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本文 - J
2015 年 10 月
347
ミニレビュー
日歯保存誌 58(5)
:347∼355,2015
幹細胞由来高純度象牙芽細胞を用いた
歯髄炎モデルにおける MMP 3 の新規知見
尾 関 伸 明 長 谷 奈央子
茂 木 眞希雄* 中 田 和 彦
愛知学院大学歯学部歯内治療学講座
*
愛知学院大学薬学部生体機能化学講座
New Findings of MMP-3: Application of Purified Odontoblasts
Derived from Stem Cells as an
Pulpitis Model
OZEKI Nobuaki, HASE Naoko,
MOGI Makio* and NAKATA Kazuhiko
Department of Endodontics, School of Dentistry, Aichi Gakuin University
*
Department of Medicinal Biochemistry, School of Pharmacy, Aichi Gakuin University
キーワード:マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)
,炎症性サイトカイン,幹細胞,象牙芽細胞,細胞増殖
カインやそのレセプターの活性制御,結合組織のリモデ
は じ め に
リングや創傷治癒,血管新生促進など多岐にわたる2,3).
歯科領域での歯髄ならびに根尖歯周組織での炎症や創傷
マトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix metallopro-
治癒に関与が報告されている代表的な MMPs として,コ
teinase:MMPs)は,種々の細胞外基質成分(Extracel-
ラゲナーゼの MMP 1, 8, 134,5),ストロメライシンの
lular matrix:ECM)を分解できるエンドペプチダーゼ
MMP 36 8),ならびにゼラチナーゼの MMP 2, 99)があ
ファミリーである1).MMPs は構造ならびに基質の特異
る.
性から,マトリライシン(MMP 7,26)
,コラゲナーゼ
そのなかでも MMP 3 は,細胞の遊走の促進10),乳腺
(MMP 1,8,13)
,ストロメライシン(MMP 3,10,
上皮細胞の抗アポトーシスと分化促進11
,細胞増殖因
13)
12)
,ゼラチナーゼ(MMP 2,9)
,膜型 MMPs(MMP
子の遊離 ,Caspase 1 を介した炎症への関与15),腫瘍
14,15,16,17,24,25)の少なくとも 5 つのグループ
細胞浸潤の促進16)など多彩な作用が知られている.ま
14)
に分類される.これらは活性部位に亜鉛イオンの結合部
た,MMP 3 欠損マウスでは創傷治癒が障害されるとい
位があり,活性化には二価のカルシウムイオンが必要で
う報告もあり17),MMP 3 が炎症の進行および組織破壊
ある.また,チモーゲン(潜在型もしくは不活性型酵素)
に関連する一方で,創傷治癒にも深く関与すると考えら
として産生され,自分自身あるいはほかのペプチダーゼ
れている.これまでに筆者ら7,18
で切断されることにより活性化される
.
2,3)
もラット歯髄細胞を
20)
用いて,MMP 3 が歯髄炎に伴う歯髄細胞の増殖と抗ア
MMPs は生体内において多様な機能をもつことが知
ポトーシス作用を有することで,創傷治癒に積極的にか
られており,幹細胞や血管内皮前駆細胞の遊走,サイト
かわることを報告した.
本ミニレビューは,平成 27 年度学術賞受賞者へ依頼したものである.
DOI:10.11471/shikahozon.58.347
日 本 歯 科 保 存 学 雑 誌
348
第 58 巻 第 5 号
MMPs の活性調節機構は,内在性阻害因子 Tissue
して望まれる薬剤ではない.本来,歯髄組織はう
inhibitor of metalloproteinases(TIMPs)
,遺伝子発現調
復処置などの化学的あるいは物理的な刺激により,象牙
節,ペプチダーゼの限定分解による酵素活性化など厳密
質を再生することができる潜在能力を有している.しか
に制御されている一方で,炎症性サイトカインや成長因
も近年,歯髄前駆体細胞あるいは歯髄幹細胞の存在が明
子,癌遺伝子産物の多くが MMPs の発現誘導を示す
らかになり,これらが象牙芽細胞に分化後に象牙質の再
.
1,21)
や修
Interleukin(IL)1βや Tumor necrosis factor(TNF)
生に関与することが示唆された29).したがって,象牙芽
αは,定常状態ではほとんど検出されない MMPs の遺伝
細胞への分化能を有する幹細胞を用いた細胞導入治療法
子ならびにタンパク質発現を誘導する22,23).代表的な炎
が,従来のう
治療法や覆髄法に代わる有効な手段とな
症性サイトカインの一つである IL 1βは,細胞に対し高
る可能性がある.よって,
濃度ではアポトーシスを惹起する一方,低濃度では栄養
分化,増殖ならびに,細胞内機構のより詳細な解明が必
因子様作用,すなわち細胞増殖能を示すことが知られて
要不可欠である.その一方で,臨床応用上の問題は,象
いる .歯髄が傷害を受けた場合,早期には IL 1βに曝
牙芽細胞の生体内での存在量はきわめて微量で,Nogu-
され,MMP 3 の産生誘導を導くことはよく知られてい
chi ら30)のラット KN 3 細胞を除いて,市販培養細胞も含
24)
での象牙芽細胞への
るが,MMP 3 が本来もつ細胞組織の破壊的側面ばかり
め入手可能な培養細胞系はほとんどないことである.ま
が着目されており,ほかの生理的意義については,いま
た,象牙芽細胞の分化あるいは性状に着目した研究の大
だ不明な点が多い.
半は,組織レベルのアプローチであり,象牙質再生のメ
本稿では,筆者ら25
が新たに確立した 3 種の幹細胞
カニズムに着目した研究はいまだ少ない.そのため,こ
27)
から分化誘導した象牙芽細胞をセルソーターにて 98%
の現状を打破する新しい技術として,幹細胞から象牙芽
以上に高純度化し,炎症性サイトカインを添加すること
細胞への安全かつ効率的な分化誘導法の確立が望まれて
で
きた.
歯髄炎モデルを作製し,炎症性サイトカイン
添加で誘導される MMP 3 の象牙芽細胞に対する新規な
筆者ら25
生理的役割について,Small interfering RNA(siRNA)
葉といわれている神経堤細胞への分化機構の解析に有用
は外胚葉・中胚葉・内胚葉そして第 4 の胚
27)
を用いて検討を行った最近の研究を中心に,オーバー
なマウス ES 細胞,マウスの体細胞を初期胚細胞の状態
ビューを行う.
に初期化したマウス iPS 細胞,および移植時の免疫性の
幹細胞を用いた象牙芽細胞への 分化誘導法の確立
問題や,ES 細胞の使用に比べ,倫理的な問題が少ないと
される組織性幹細胞(体性幹細胞)であるα7 integrin 陽
性ヒト骨格筋幹細胞を用いて,後述する上皮 間葉相互
作用を介さない象牙芽細胞への分化誘導法を初めて確立
現在,再生医療の核となるのは 胚性幹細胞
(ES 細胞:
した.
Embryonic stem cell)あるいは人工多能性幹細胞(iPS
マウス ES 細胞(B6G 2,Riken Bioresource Center,
細胞:Induced pluripotent stem cell)であり,倫理的問
E14Tg2a;カリフォルニア大学サンフランシスコ校歯学
題,癌化の問題を抱えながらも,それを解消すべく研究
部 Randall H. Kramer 教授より供与)を通法31,32)に従い
が盛んに行われている.近年,注目を集めているヒト歯
培養した後,筆者ら25)が確立した分化誘導法により象牙
髄幹細胞は,そのソースとして抜去歯が想定されている
芽細胞への分化誘導を行った(Fig. 1)
.103cells/10μ の
が,採取量がごく微量であること,また,抜去歯そのも
割合で 2 日間,hanging drop 法33)を用いて胚葉体様の細
のが採取できない場合においては,代替細胞ソースとし
胞塊を形成した.その後,6 cm Petri dish
(Sumilon dish,
てほかの組織性幹細胞,ES 細胞や iPS 細胞などの幹細胞
Sumitomo Bakelite)上で,10−7mol/ の レチノイン酸
の使用が必須となる.
歯髄細胞群は象牙芽細胞,線維芽細胞,血管細胞,神
(Retinoic acid:RA,Sigma Aldrich,USA)存在下で 3
日間,浮遊培養を行い神経堤細胞への分化誘導を行った
経細胞などからなるが,特徴的な点として象牙芽細胞の
後,無血清の Glasgow modification of Eagle medium
存在比がきわめて高い28).象牙芽細胞は直接覆髄処置に
(GMEM,Invitrogen Gibco,USA)培地を用いた 10%
おいて,露髄面に誘導され象牙質を形成することが期待
のⅠ型コラーゲン・スキャホルド(PureCol Collagen,
される細胞である.近年,直接覆髄剤として高頻度に用
Advanced BioMatrix)処理を施した 10 cm dish(BD
いられる水酸化カルシウムは,高い pH(12.4)により接
Falcon Labware,USA)上に細胞を 1.5×105cells/cm2の
触した歯髄表層を壊死させ,歯髄の治癒機転により象牙
密度で播種した.Bone morphogenetic protein(BMP)
芽細胞を創傷面に誘導する.しかし,その成功率は必ず
4(100 ng/m ,PeproTech,USA)を 15% Fetal bovine
しも高いものではなく,生体親和性から考えた場合,決
serum(FBS,Invitrogen Gibco)含有の GMEM に添加
2015 年 10 月
炎症性サイトカイン誘導 MMP 3 は歯髄創傷治癒を制御する
し,7 日間,37℃,5% CO2条件下で培養を行い,象牙芽
細胞への分化誘導を行った.培養液は 2 日ごとに交換を
349
幹細胞由来象牙芽細胞はα1 integrin の高発現が観察さ
れたため,FACStar cell sorter(Becton Dickinson and
行い,BMP 4 を添加した.細胞は Phosphate buffered
Co.,USA)を用いてα2 およびα1 integrin 陽性細胞を 2
saline(PBS,Invitrogen Gibco)で希釈した 3 mmol/ の
回分取した後,回収した.このα2 およびα1 integrin 陽
Ethylenediaminetetraacetic acid(EDTA)にて剝離後,
性細胞率は 98.56%(B6G 2 ES 細胞),98.64%(E14Tg2a
回収し,再度播種したものを実験に使用した.
ES 細胞),98.45%(iPS 細胞)または 98.32%(ヒト骨格
マウス iPS 細胞(iPS MEF Ng 20D 17,Riken Biore-
筋幹細胞由来象牙芽細胞)
(N=3)で,石灰化能やアル
source Center)を通法34,35)に従い培養した後,前述の筆
カリホスタファーゼ活性など象牙芽細胞の分化マーカー
者ら が確立した ES 細胞からの分化誘導法の変法によ
の発現が培養 21 日まで観察され,ほぼ共通の分化誘導法
り,象牙芽細胞への分化誘導を行った(Fig. 2)
.103cells/
にて,マウス ES,iPS ならびにヒト骨格筋幹細胞から象
10μ の割合で 2 日間,hanging drop 法 を用いて胚葉
牙芽細胞を,効率的かつ高純度に入手できることを確認
体様の細胞塊を形成した.その後,6 cm Petri dish 上で,
した(Table 1)
.
26)
33)
10−7mol/ の RA 存在下で 3 日間,浮遊培養を行い神経
In vitro 歯髄炎モデルと高純度象牙芽細胞を 用いた MMP—3 の細胞増殖能の検討
堤細胞への分化誘導を行った後,無血清の Dulbecco s
modified Eagle s medium(DMEM,Invitrogen Gibco)
培地を用いた 10%のⅠ型コラーゲン・スキャホルド
(PureCol Collagen)処理を施したトランスウェル遊走用
歯髄組織に炎症が惹起されると,多くの炎症性サイト
チャンバー(8μm ポアサイズ,PET track etched mem-
カインの誘導とともに MMPs が産生され,ECM を分解
brane;BD Falcon Labware,USA)上に細胞を 1.5×
することで歯髄組織を破壊することが知られている.炎
10 cells/cm の密度で播種した.培養液は 2 日ごとに交換
症性サイトカインにより誘導される MMPs のなかでも,
を行い,BMP 4 を添加し,遊走用チャンバーのメンブレ
MMP 3 は主にコラーゲンを分解し,骨様組織の破壊に
ン下面に遊走してきた細胞を PBS で希釈した 3 mmol/
深く関与していると報告されている37
の EDTA にて剝離後,回収し,再度播種したものを実験
に,MMP 3 は分解基質が多岐にわたることで,ほかの
に使用した.
多くの MMPs を活性化し,組織破壊を進行させる40,41).
5
2
.興味深いこと
39)
α7 integrin 陽性ヒト骨格筋幹細胞(カリフォルニア大
これまでの研究から MMP 3 の生理的意義は,主に ECM
学サンフランシスコ校歯学部 Randall H. Kramer 教授よ
の分解にかかわるとされる一方,関節リウマチや歯周病
り供与)を通法36)に従い培養した後,筆者ら27)が確立し
などの骨破壊疾患では病態の進行に深く関与することが
た分化誘導法により象牙芽細胞への分化誘導を行った
示唆されている24,42).筆者ら7,18
も,歯髄傷害に伴う創
20)
(Fig. 3).10 cells/10μ の割合で 2 日間,hanging drop
傷治癒に MMP 3 が積極的にかかわることを報告してき
法33)を用いて胚葉体様の細胞塊を形成した.その後,6
た.そこで前述の純化した幹細胞由来高純度象牙芽細胞
3
−7
cm Petri dish 上で,10 mol/ の RA 存在下で 3 日間,
を用いた
浮遊培養を行い神経堤細胞への分化誘導を行った後,無
態を再現するため,サイトカインミクスチャー
(cytokine
歯髄炎モデルとして,人工的な炎症状
血清の Ham s F 10 medium(Invitrogen Gibco)培地を
mixture(CM)
;IL 1β,TNF αおよび interferon(IFN)
用いた 15%の Gelatin(Sigma Aldrich)コート処理を施
γの混合物)処理することで,
したトランスウェル遊走用チャンバー(8μm ポアサイ
成した.
ズ,PET track etched membrane;BD Falcon Lab-
ware)上に,細胞を 1.5×105cells/cm2の密度で播種し
ウスおよびヒト・リコンビナント IL 1β,TNF αおよ
歯髄炎モデルを作
歯髄炎モデルとして,生理活性を保持したマ
た.培養液は 2 日ごとに交換を行い,BMP 4 を添加し,
び IFN γは,PeproTech(USA)のものを使用した.本
遊走用チャンバーのメンブレン下面に遊走してきた細胞
実験では 1 U 当たり,おのおの 1 ng/m の IL 1β,TNF
を PBS で希釈した 3 mmol/ の EDTA にて剝離後,回収
α,IFN γからなる CM を使用した.その濃度はこれま
し,再度播種したものを実験に使用した.本ヒト骨格筋
でに筆者ら43)の研究に使用したものと同一とした.マウ
幹細胞を用いた研究は,カリフォルニア大学サンフラン
スおよびヒト・リコンビナント MMP 3 は R & D Sys-
シスコ校生命倫理規定と愛知学院大学歯学部倫理委員会
tems(USA)のものを使用した.
の認可(承認番号 82)の下行われた.
3 種の幹細胞由来象牙芽細胞の高純度化は,通法25
3 種の幹細胞由来高純度象牙芽細胞に炎症性 CM を 1
27)
U または 3 U ずつ添加し,1 時間および 3 時間反応させ
に従い行った.マウス ES および iPS 細胞由来象牙芽細
たところ,高純度象牙芽細胞には MMP 3 遺伝子および
胞はα2 integrin の高発現,α7 integrin 陽性ヒト骨格筋
タンパク質発現がみられた19,44).その一方で,CM 5 U 添
日 本 歯 科 保 存 学 雑 誌
350
第 58 巻 第 5 号
ES cells culture condition
Common
Hanging drop
culture (EB formation)
0
2
Day
5
7
12
Adherent culture with
collagen type−Ⅰ scaffold
Suspension culure
RA
BMP−4
Fig. 1 Schematic of the experimental protocol for odontogenic differentiation of mouse ES cells
Retinoic acid was applied at a concentration of 1×10−7 mol/ during EB formation at days 2 5, which was determined to be
optimal for neural crest differentiation. Cultures were maintained at 37℃ in a humidified 5% CO2 incubator, and the medium
was changed every 2 days. EB:embryoid body;RA:retinoic acid.
iPS cells culture condition
Day
Common
culture
0
Hanging
drop
2
5
Transwell
culture
7
12
Adherent culture with
collagen type−Ⅰ scaffold
Suspension culure
EB formation
RA
BMP−4
Fig. 2 Schematic of the experimental protocol for odontogenic differentiation of mouse iPS cells
Retinoic acid was applied at a concentration of 1×10−7 mol/ during EB formation at days 2 5, which was determined to be
optimal for neural crest differentiation. At the end of day 7, cells in the lower chamber were harvested by detachment with 3
mmol/ EDTA in PBS, and collagen type Ⅰ/BMP 4 was applied at the optimal concentration determined for odontoblast differentiation at days 7 12. EB:embryoid body;RA:retinoic acid.
α7+ human skeletal muscle stem cells culture condition
Day
Common
culture
0
Hanging
drop
2
5
Suspension culure
7
12
Adherent culture with
gelatin scaffold
EB formation
RA
BMP−4
+
Fig. 3 Schematic of the experimental protocol for odontogenic differentiation of α7 human skeletal muscle stem cells
Retinoic acid was applied at a concentration of 1×10−7 mol/ during EB formation at days 2 5, which was determined to be
optimal for neural crest differentiation. At the end of day 7, cells in the lower chamber were harvested by detachment with 3
mmol/ EDTA in PBS, and gelatin scaffold/BMP 4 was applied at the optimal concentration determined for odontoblast differentiation at days 7 12. EB:embryoid body;RA:retinoic acid.
2015 年 10 月
炎症性サイトカイン誘導 MMP 3 は歯髄創傷治癒を制御する
Table 1 Flow cytometric analysis of differentiation
induced changes in the expression of α2 and
α1 integrins
Flow cytometric analysis showed that the proportions of odontoblast like cells were 98.56%(B6G 2 ES
cell derived; =3), 98.64%
(E14Tg2a ES cell derived;
=3)
, 98.45±0.45%(iPS cell derived; =3), and
9 8 . 3 2%(α7+ h u m a n s k e l e t a l m u s c l e s t e m c e l l
351
Table 2 Induction of MMP 3, TIMP 1, and
TIMP 2 mRNA and protein expression in purified odontoblasts by the
cytokine cocktail
derived; =3).
加群では MMP 3 遺伝子およびタンパク質発現がみられ
なかった19,44).さらに,内因性の MMP 阻害因子である
TIMP 1 および TIMP 2 の遺伝子ならびにタンパク質発
現の恒常的発現を見いだしたが,CM 添加による発現変
動はみられなかった19,44)
(Table 2)
.
CM を 1 U または 3 U 添加後,24 時間の反応におい
て,高純度象牙芽細胞の増殖が統計的有意にみられ
た19,44).その一方で,炎症性 CM 5 U 添加群では細胞増
Table 3 Effect of the cytokine cocktail on cell
proliferation, MMP 3 activity, and
apoptosis of purified odontoblasts
殖がみられなかった19,44).CM を 1 U および 3 U 添加 24
時間の反応において,高純度象牙芽細胞のアポトーシス
ことから,本実験結果で見いだされた MMP 3 の活性変
はみられなかったが,CM 5 U 添加群ではアポトーシス
動は,アポトーシスの結果,細胞外に放出された MMP
が統計的有意に観察された
3 を観察したものではないことが示唆された.
.さらに,CM を 1 U お
19,44)
よび 3 U 添加後 24 時間の反応において,高純度象牙芽細
胞の MMP 3 活性は統計的有意な上昇を認めたが,CM
5 U 添加群ではコントロールとほぼ同値であった19,44)
(Table 3).
考察と今後の展望
本研究において,筆者らの CM を用いた
歯髄
MMP の 活 性 調 節 機 構 は, 内 因 性 阻 害 因 子 で あ る
炎モデルの有効性が明らかとなった.本実験系は 3 つの
TIMP,遺伝子発現調節,ペプチダーゼによる限定分解
代表的な炎症性サイトカインを混合することで細胞応答
など厳密に制御されている
.特に TIMP は MMP と
を検討する実験系であり,高純度象牙芽細胞に CM 処理
1:1 で結合し,MMP を介した細胞応答に対しカウン
と MMP 3 siRNA を併用することで,MMP 3 の新規な
ターパートナーとして強力に酵素活性抑制効果を示
作用を初めて明らかにした.象牙芽細胞はその存在量の
す3).MMP 3 の主な阻害因子である TIMP 1 およびサ
少なさから,これまでは組織学的検討しかされていな
1,21)
イトカイン誘導型 TIMP 2 の遺伝子,ならびにタンパク
かったなかで,筆者らの分化誘導法ならびにセルソー
質の発現について検討したところ,恒常的発現を見いだ
ターによる純化システムは,98%を超える精製度の象牙
したが,CM 処理によりいずれの TIMP にも発現変動は
芽細胞の分離・回収を初めて可能とし,実験的炎症下に
認められなかった.さらに筆者らは,培養上清中ならび
おける本細胞の応答性を明示できた.本実験では 1 U 当
に細胞中の MMP 3 活性が MMP 3 mRNA の変動と完全
たりおのおの 1 ng/m の IL 1β,TNF α,IFN γから
に相関を示すことを確認しており(データ未発表),この
成るサイトカイン混合物を使用した.使用した濃度は,
日 本 歯 科 保 存 学 雑 誌
352
これまでにマウス MC3T3 E1 細胞を用いた研究で報告
された用量に基づいている
第 58 巻 第 5 号
Proinflammatory cytokine
.一般的に,サイトカ
43,45 48)
インの単独使用と比較してサイトカイン混合物は,相加
Odontoblast derived
from mouse ES cells
Wnt5
的あるいは相乗的作用により高い細胞反応性を示し,結
果として低濃度での応答性を検討できることが知られて
Lrp5/Fzd9
いる47).サイトカイン単独使用の例として,筆者らはこ
れまでに IL 1βを使用してラット歯髄細胞7)ならびにマ
MMP−3
ウス ES および iPS 細胞由来象牙芽細胞において18),同
様の細胞反応性を示すデータを得ている.したがって,
3 種のサイトカイン混合物のなかでも,特に IL 1βが本
実験結果で示された細胞応答性に深く関与していると考
えられる.
CM(1 U)と MMP 3 siRNA 添加によりに惹起された
アポトーシスは,リコンビナント MMP 3 の添加(5∼30
ng/m )により濃度依存的かつ統計的有意に抑制され(p
Cell proliferation
Fig. 4 Schematic illustrating the putative signaling
pathway by which proinflammatory cytokines
stimulate MMP 3 activity to induce cell proliferation in ES cell derived odontoblast like cells
<0.01),30 ng/m の微量なレベルで,ほぼコントロール
レベルまで回復された18,19,44).一方,比較的低濃度の
ナル伝達経路として,β カテニンを介したカノニカル経
MMP 3(5∼30 ng/m )の添加が,CM 添加と MMP 3
路,PCP 経路(Wnt/JNK 経路)
,Wnt/Ca2+経路の 3 種
siRNA 併用投与により惹起されたアポトーシスを回復
類が知られている.Kobayashi ら49)は,破骨細胞分化に
することを明示した.これらの結果は,炎症の場である
Wnt5 が関与することを報告し,また筆者ら50)は,本実
微小環境下で微量な MMP 3 が細胞増殖を制御しうるこ
験系でのサイトカイン誘導による細胞増殖が Wnt5 を介
とを示唆した.
することを確認している(Fig 4).さらに,MMP 3 は,
高濃度の CM がアポトーシスを惹起する一方,低濃度
細胞周囲に存在し,象牙芽細胞自身が生成する ECM タ
の CM は MMP 3 の発現亢進とともに細胞増殖を誘導し
ンパク質であるコラーゲンタイプⅡ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅸおよび
た.しかし,MMP 3 は恒常的には遺伝子ならびにタン
Ⅹやプロテオグリカン,フィブロネクチン,ラミニン,
パク質レベルにおいて発現していない.したがって,本
エ ラ ス チ ン を 分 解 で き る51
研究結果から,早期の炎症の場(低濃度の CM)では
MMP 3 による ECM 分解の結果,細胞間の接触阻害か
MMP 3 は組織破壊というよりはむしろ,抗アポトーシ
ら開放されることで細胞増殖へ向かう可能性,あるいは
スならびに細胞増殖を誘導することで創傷治癒を促進す
ECM 分解産物の一部が,細胞増殖活性を担う可能性が
る可能性が高いことが示唆された.
ある.現在,これらの課題について引き続きに検討を
さらに興味深い知見として,炎症性 CM 添加に対し,
行っている.
マウス ES,iPS 由来高純度象牙芽細胞,ヒト骨格筋幹細
. こ れ ら の こ と か ら,
53)
お わ り に
胞由来高純度象牙芽細胞が,ほぼ同じ細胞応答性を示し
た点が挙げられる.一般的に,マウスに比べヒト幹細胞
の培養は煩雑を極め,慎重な扱いが必須である.さらに,
筆者らが新たに確立した 3 種の幹細胞由来象牙芽細胞
マウス iPS 細胞に比べ ES 細胞は高い生物学的活性なら
を高純度化し,炎症性サイトカインミクスチャー(CM)
びに細胞応答性を有することから,本実験結果はあらか
を添加することで得られた
じめ pilot run にてマウス ES 細胞由来高純度象牙芽細胞
て,炎症性 CM 誘導 MMP 3 の象牙芽細胞に対する新規
の応答性を確認することで,ヒト象牙芽細胞の応答性を
な生理的役割を明らかにするため,MMP 3 siRNA を用
かなりの高確度で予測できることを示唆する.
いて検討を行った結果をまとめると以下のとおりとなる.
サイトカインで誘導された MMP 3 がどのような機構
1.炎症性 CM 添加に対し,筆者らが新規に確立した
で象牙芽細胞の細胞増殖を導くかは,現時点では不明で
マウス ES,iPS 細胞由来高純度象牙芽細胞は,ヒト骨格
ある.しかし,部分的ではあるがシグナルカスケードが
筋幹細胞由来高純度象牙芽細胞とほぼ同じ細胞応答性を
歯髄炎モデルにおい
解明されつつあり,そのなかでも近年,外分泌性タンパ
示し,
ク質である Wnt シグナル伝達経路が注目されている.
胞内機構を解明できる細胞であることが確認された.
Wnt シグナル伝達経路は胚発生,形態形成や癌などに関
2.炎症性 CM 1 U および 3 U 添加群において,幹細胞
連するタンパク質ネットワークで,Wnt の関与するシグ
由来高純度象牙芽細胞には,MMP 3 遺伝子およびタン
での象牙芽細胞の分化,増殖ならびに細
2015 年 10 月
炎症性サイトカイン誘導 MMP 3 は歯髄創傷治癒を制御する
パク質発現がみられ,同時に MMP 3 活性がみられた.
一方,高濃度の CM 5 U 添加群では,MMP 3 遺伝子お
よびタンパク質発現,さらに MMP 3 活性がみられな
かった.
3.CM 1 U および 3 U 添加群において,幹細胞由来高
純度象牙芽細胞には細胞の増殖がみられた.その一方
で,CM 5 U 添加群では増殖がみられなかった.
4.CM 1 U および 3 U 添加群において,幹細胞由来高
純度象牙芽細胞のアポトーシスはみられない一方で,
CM 5 U 添加群ではアポトーシスがみられた.
5.MMP 3 siRNA を用いた MMP 3 遺伝子のノック
ダウンにより,CM 1 U および 3 U 添加群においてみら
れた幹細胞由来高純度象牙芽細胞の増殖が,統計学的有
意に抑制され,アポトーシスが引き起こされることが明
らかとなった.
6.IL 1β,TNF αおよび IFN γの CM は,1 U の低
濃度では細胞増殖の亢進,高濃度ではアポトーシス細胞
死を誘導した.つまり MMP 3 は歯髄の炎症時における
象牙芽細胞の増殖と抗アポトーシス作用を制御すること
で,歯髄創傷治癒に関与する可能性が示唆された.
本研究の一部は平成 26 年度日本学術振興会科学研究費補
助金基盤研究(A)
(研究課題番号:25253103)により行った.
文 献
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