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三菱電機技報2007年11月号 論文04

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三菱電機技報2007年11月号 論文04
特集論文
新たなエレベーター地震対応システム
毛利一成*
東中恒裕*
渡辺誠治**
福井大樹***
西山秀樹†
New Anti-Earthquake Technology for Elevator System
Kazunari Mori, Tsunehiro Higashinaka, Seiji Watanabe, Daiki Fukui, Hideki Nishiyama
要 旨
従来,エレベーターの地震時における安全対策として,
す3つの技術を開発した。まず,従来のP波感知器よりも
地震の初期微動を感知するP波感知器や,本震を感知する
早く地震を感知し,エレベーターを安全に最寄階へ停止さ
S波感知器を設け,地震発生時にエレベーターを最寄階に
せるために,気象庁の緊急地震速報を利用した新しい地震
停止させる地震時管制運転システムが普及している。一方,
時管制運転を開発した。次に,従来の地震感知器では検知
2005年7月の千葉県北西部地震では,都心部の多くのエレ
が困難であった長周期地震動に対応した新しい感知器を開
ベーターが運転休止し,通常運転への復旧までに多大な時
発するとともに,ロープの揺れ増大による昇降路機器の被
間を要するとともに,閉じ込め事故が発生した。また,
害を防止する長周期地震時管制運転を開発した。さらに,
2003年9月の十勝沖地震,2004年10月の新潟県中越地震で
地震後のエレベーター休止台数低減のために,自動的に診
観測された長周期地震動でも,エレベーターの機器に被害
断運転を実施して仮復旧する地震時自動復旧システムを開
が生じた。このような事故を契機として,より安全なエレ
発した。これらの新しい技術によって,昇降路機器の耐震
ベーターの地震対策が,現在求められている。
性向上と,乗客サービスの早期再開を実現する。
そこで,新しいエレベーターの地震対策として,次に示
緊急地震速報利用
地震時管制運転
インターネット網
地震時自動復旧
システム
本震到達前に
最寄階停止
高層建物
の揺れ
地震後の自動診断
運転・仮復旧
長周期地震時
管制運転と機器対策
ロープの揺れを
抑える退避運転
ロープ
の揺れ
サーバ
緊急地震速報配信
従来の自動復旧領域
震源
長周期地震動
初期微動(P波)到達時刻
経過時間
震源からの距離
小さな揺れ 自動復旧
震源
大きな揺れ 運転休止
中規模の揺れ 仮復旧
エレベーターの耐震性能を向上させる新しい技術
早期にエレベーターを最寄階に停止させる“緊急地震速報利用地震時管制運転”,長周期地震動による昇降路機器の被害を低減させる“長周期
地震時管制運転と機器対策”,地震後に休止しているエレベーターを早期に復帰させる“地震時自動復旧システム”によって,耐震性を高めたエ
レベーターを実現している。
*
三菱電機㈱ 稲沢製作所 **同先端技術総合研究所(工博)
***
同研究所 †三菱電機ビルテクノサービス㈱
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