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新・旧植物バイオによる化合物高生産への展開
2016.11.14: NEDO「植物等の生物を用いた高機能品生産技術の開発」キックオフシンポジウム 新・旧植物バイオによる化合物高生産への展開 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 松村 健 1 固有な反応 【ER】 トリテルペン類(C30) 20160511版 Tasaka protopanaxatriol ジンセノサイドRg-‐‑‒1(⾼高麗麗⼈人参) protopanaxadiol ジンセノサイドRb-‐‑‒1(⾼高麗麗⼈人参) アルテミシニン(クソニンジン) ネロリドール(アマランサス) アリストロチェン(タバコ) ファルネソール(バラ) ゲルマクロン(ウコン) ホパノイド類(C30) フムレン(ホップ) ククルビタン類(C30) カジネン(ヒノキ) (真核型) HMG-‐‑‒CoA 律律速段階 セスキテルペン類(C15) 【細胞質】 メバロン酸経路路 Acetyl-‐‑‒CoA 植物共通な主反応 hydroxymethylglutaryl-‐‑‒CoA reductase(HMGR) mevalonyl-‐‑‒PP (MVA) dammarenediol-‐‑‒II farnesyl-‐‑‒PP Synthase (FPPS) デンプン 解糖系 ⇅ isopentenyl-‐‑‒PP (IPP) C5 グルコース ↓ グルコース6P ↓ フルクトース6P ↓ フルクトース1,6P ↓ ↓ ホスホエノール ピルビン酸 ↓ ピルビン酸 ↓ 乳酸 IPP isomerase farnesyl-‐‑‒PP (FPP) dimethylallyl-‐‑‒PP (DMAPP) C5 2×IPP geranyl-‐‑‒ geranyl-‐‑‒ PP synthase (GGPPS) FPP 【ER】 PNA squalene C30 C15 squalene synthase (SQS) C5 IPP LAS1 βAS squalene epoxidase (SQE) シトステロール、カンペステロール スチグマステロール、ソラニン ブラシノステロイド、ジオスゲニン ビタミンD2 CYP88D6 Geranyl geranyl-‐‑‒PP (GGPP) グリチルリチン酸 シダ植物の トリテルペン類(C30) lanosterol ステロイド類 β-‐‑‒amyrin 3×IPP cycloartenol CAS1 2,3-‐‑‒oxidosqualene なぜ、植物を用いての高機能品(化合物) 植物は、約20万∼100万種類の 高生産技術開発なのか? 二次代謝産物を生合成すると言われている C20 IPPを融通(DMAPP、GPP、FPPも?) Acetyl-‐‑‒CoA isopentenyl-‐‑‒PP (IPP) C5 オキサロ酢酸 geraniol geranyl-‐‑‒PP synthase (GPPS) isopentenyl-‐‑‒PP (IPP) C5 10-‐‑‒hydroxygeraniol モノテルペン類(C10) GES geranyl-‐‑‒PP (GPP) C10 IPP isomerase ATP カ ル ビ ン ・ ベ ン ソ ン 回 路路 ADP 3×IPP 2×IPP geranyl-‐‑‒ geranyl-‐‑‒PP farnesyl-‐‑‒PP synthase synthase (GGPPS) (FPPS) dimethylallyl-‐‑‒PP (DMAPP) C5 geranylgeranyl-‐‑‒PP synthase (GGPPS) 3×IPP リモネン、酢酸リナリル、 リナロール、酢酸ラバンデュリル、 オシメン、ボルネオール、 ファーネッセン、ペリルアルデヒド メントール、ピネン(松) 2×IPP geranylgeranyl-‐‑‒PP (GGPP) C20 phytyl-‐‑‒PP (PPP) ジテルペン類 (C20) 植物体内に多種多様な生合成経路を既に有している イソクエン酸 L-‐‑‒リンゴ酸 TCA回路路 2-‐‑‒オキソグルタル酸 スクシニルCoA NADPH NADP+ farnesyl-‐‑‒PP (FPP) C15 ユビキノン (CoQ10) フマル酸 コハク酸 タンパク質プレニル化 「他の生物種は?」、「化学合成等は?」 dimethylallyl-‐‑‒PP (DMAPP) C5 クエン酸 光化学系 より RuBP G10H 【ER】 geraniol 【葉葉緑体】MEP経路路(原核型) CO2 【ミトコンドリア】 pyrvate グリチルリチン(⽢甘草) カタルポール(ジオウ) ドリコール G3P O2 geranylgeranyl-‐‑‒PP (GGPP) C20 1-‐‑‒Hydroxy-‐‑‒2-‐‑‒methyl-‐‑‒ 2-‐‑‒butenyl 4-‐‑‒ diphosphate 光呼吸 ホスホ グリコール酸 Isoprene 天然ゴム (パラゴムノキ) クロロフィル ビタミンE ビタミンK フィードバック阻害 2-‐‑‒C-‐‑‒methyl-‐‑‒D-‐‑‒erythritol 4-‐‑‒phosphate (MEP) glycer-‐‑‒ aldehyde-‐‑‒3-‐‑‒P dimethylallyl pyrophosphatase (DXR) pyruvate 1-‐‑‒deoxy-‐‑‒D-‐‑‒xylulose 5-‐‑‒P 1-‐‑‒deoxy-‐‑‒D-‐‑‒xylulose 5-‐‑‒phosphate synthase (DXS) Phytoene synthase (PSY) ジベレリン GGPP タキソール(イチイ)、 アコニチン(トリカブト) (C20) ジベレリン(植物ホルモン) phytoene (C40) テトラ テルペン類(C40) βカロテン カロテノイド類 リコピン ビタミンA など ルテイン ゼアキサンチン アスタキサンチン(福寿草) カプサンチン(トウガラシ) 2 クロチン(サフラン) 植物(生物)は、複雑な代謝反応を体内で行っている=生合成(生産)している 化学合成、 50ステップ以上 植物体内で生合成 国内生産:11.9%その他の国:6.5% 中国:81.6% 国内使用生薬植物の供給 ある特定の高機能・有用な化合物は、ある特定の植物種でのみ生合成される 2次代謝産物の国内市場規模 ・体内で生産される量がごく微量 ・植物体の生長に長期間を要するものも多い 区分 国内市場規模 ⽤用途 ・国内圃場での生産(栽培)が困難(不可能) / 世界的にも栽培技術が確立されていないものも多い 医療療⽤用、⼀一般薬、煎じ薬 医薬品 1,228億円 特に国内生物資源・供給量は、充分ではない 特定保健⽤用⾷食品、栄養機能⾷食品、医薬部外品、化粧品、浴剤等 その他 2.6兆円 ・食用・飼料用途の作物種で無い場合が多い (育種・組織培養・遺伝子情報/技術等の研究蓄積) ・個々の代謝系の詳細(関連酵素・遺伝子の同定・単離)が明らかになっていない 「薬⽤用植物の特性と栽培・⽣生産技術」より(2011) これらの性質・現状が産業利用上の量的・安定的・価格的(コスト)の障害となっている 現状の課題 特定の化合物は特定の植物種のみで生合成される。 ●目的化合物を生産する植物での研究開発が必要 栽培(生産)技術系 遺伝子組換え系 ●目的代謝系遺伝子の情報 ●目的植物種での遺伝子組換え系 ●目的代謝物高生産栽培技術 植物体内の化合物生合成系は、多岐・非常に複雑に連携している (多数の反応を体内で実施している) 同時に多数の遺伝子を導入、機能させなければいけない。 ●目的代謝系遺伝子の発現増強(単独→複数) ●目的外代謝経路へ分岐する遺伝子のノックアウト(突然変異→ゲノム編集) ●目的外代謝経路へ分岐する遺伝子の適度な抑制(致死回避) 4 参考資料1 フラボノイド類 光合成 アントシアニン類 解糖系 アピゲニン 配糖体 ビセニン2 ルテオリン 配糖体 アセチルCoA フェニルアラニン PAL フラボン類 シアニジン-3-グルコシド デルフィニジン-3-グルコシド マロニルCoA アピゲニン ケイヒ酸 ルテオリン チロシン C4H カフェ酸 シアニジン オーロノール類 デルフィニジン CYP93B2-4 クマル酸 ヒドロキシフェニル ピルビン酸 2-ヒドロキシフラバノン フラバン オーロン類 4CL ヒドロキシフェニル 乳酸 クマロイルCoA CYP93B1 CHS DFR F3H カルコン類 (ナリンゲニンカルコン) フラバノン類 (ナリンゲニン) ジヒドロフラボノール類 フラバン-3,4-ジオール フラバン-3-オール フラバン-4-オール カテキン類 F3H RAS クマロイルヒドロキシフェニル乳酸 CYP98A6 ロスマリン酸 ジヒドロカルコン類 イソフラボン類 (ゲニステイン) ジヒドロケンフェロール FLS フラボノール (ケンフェロール) 遺伝子組換えによる有用二次代謝産物生合成研究の例 Artemisinin (アーテミシニン、アルテミシニン) Artemisia annua L.(クソニンジン)が生産する。0.2~10 mg/g DW(dry weight)。 Artemisininおよびその誘導体:抗マラリア薬(誘導体に抗がん活性) artemisinin A. annuaの遺伝子組換え(Over expression) 関連代謝系遺伝子の導入(単独 or コンビネーション) :2009~ HMGR, DXR,FPS, ADS,CYP71AAV1/CPR, DBR2, ALDH1 ≒25mg/D.W. A. annuaの遺伝子組換え 転写因子の導入(単独 or コンビネーション) :2012~ ≒24.5mg/D.W. AaWRKY, AaERF1,AaERF2, AaORA, A. annuaの遺伝子組換え(Repression) SQS (RNAi), CPS (Antisense) 2009~ ≒31.4mg/D.W. 微生物の遺伝子組換え (artemisinic acid)[Nature 496 (2013) 528–532] 25g/L N. tabacum の遺伝子組換え(前駆中間体以降の関連遺伝子をまるごと導入) The complete pathway for artemisinic acid, the precursor of artemisinin, into the high-biomass crop tobacco. Fuentes et al. 2016. 海外における動向 NATIONAL INSTITUTE OF GENERAL MEDICAL SCIENCES ADVANCING DRUG DEVELOPMENT FROM MEDICINAL PLANTS USING TRANSCRIPTOMICS AND METABO Medicinal Plant Genomics Resource (2010-2015) 6M US$(2009-2010) 一次代謝、中間代謝に関する遺伝子は植物種間で保存されているが、薬用成分を 合成する二次代謝は薬用植物固有の特殊な経路であるため薬用植物の遺伝情報 解析が必要である。 Determining the DNA sequence and expression of the transcriptomes and the associated metabolomes of 14 key medicinal plant species. 対象植物種 ベラドンナ、大麻、ニチニチソウ、ジギタリス、オトギリソウ、ローズマリー、 アメリカニンジン(オタネニンジンとは同属異種)、インドジャボク、ヤマノイモ、 エキナセア、イチョウ、カンプトテカコンジローム、フーディア、セイヨウカノコソウ ケンタッキー大学、ミシガン州立大学、ジョンイネスセンター、アイオワ州立大学、パデュー大学、 天然物研究サドコクランナショナル・センター、ミシシッピ州の大学、テキサスA&M 海外における動向 Synthetic Biosystems for the Production of High Value Plant Metabolites Budget Total budget = $13,602,100 2009~ • pharmaceuticals (e.g. codeine, vinblastine, taxol) • flavours (humulone, nootkatone, carvone) • fragrances (jasmine, rose oil) • Pigments (carotenoids, anthocyanins, betalains) • insecticides (pyrethrins), • and other fine chemicals. The main outcomes of this project are: 1. A public resource of genomic and metabolic information for 75 plants that produce a huge number of important natural products. 2. Yeast strains that produce high-value natural plant products. 3. A catalogue of new enzymes for use as catalysts in synthetic biology applications. 4. Creation of functional-genomics methods for describing metabolic pathways and identifying unknown biosynthetic genes from plants. 5. An analysis of regulatory, ethical, and economic issues, to help ensure sound and responsible plant-technology development. 海外における動向 January 2009 - September 2013 funded by the European Commission with a total budget of 8.5 million euros Novel plant biotechnology approach for sustainable production of pharmaceutical compounds SmartCell focused on metabolic engineering using plants and plant cellbased systems to produce key terpenoids Focusing on the terpenoid indole alkaloid (TIA) pathway Catharanthus roseus (ニチニチソウ) vincristine and vinblastine 14 academic partners from European universities and research institutes, 4 industrial members 9 海外における動向 TriForC Project period: 2013- 2017 (48 months) funded by the same EU-FP7 7 millions euros "A pipeline for the discovery, sustainable production and commercial utilisation of known and novel high-value triterpenes with new or superior biological activities”. • Identify new bioactive triterpenes for commercial development as exemplified for pharmaceuticals and agrochemicals. • Elucidate Structure-Activity-Relationships (SAR) of triterpenes through biological activity screenings. • Constitute a genetic toolbox that will allow mimicking ‘rainforest’-like structural triterpene diversity in the laboratory. • Develop a metabolic engineering platform for rational design of triterpenes for production in bioreactors. • Develop and upscale plant-based bioreactors for sustainable commercial production and biorefining of high-value triterpenes Establishing an integrative and innovative pipeline for the exploitation of plant triterpenes. University of Copenhagen, Denmarkが中心に、フランス、イギリス、ベルギー、イスラエル、 スペイン、ギリシャの大学・研究機関が参画 10 研究開発の概要 ・目的化合物の代謝系が解 明されている。 ・代謝経路を俯瞰して、増 強・抑制遺伝子の戦略構築 ・該当遺伝子の植物体から の単離 二次代謝遺伝子制御植物開発研究 遺伝子操作による代謝系改変、 関連代謝反応の増強・抑制・遮断 化合物の輸送・蓄積 ゲノム編集基盤 技術開発研究 新たな経路 遺伝子導入 RNAi等で 経路knock down ゲノム編集で 経路knockout 薬用植物など 有用物質生産 植物 NPBT・遺伝子操作と 特殊栽培技術の融合 赤色光 緑色光 紫色光 製品化 化合物高効率生産特殊栽培技術開発研究 薬剤投与 目的化合物の高効率生産 「特殊な環境・栽培技術で目的物質を高効率生合成させる技術開発」 環境・刺激 ↔ 代謝系変動の解析 ・有用化合物増産のための特殊な人工環境・特異な栽培技術構築 ・光質、温湿度、日長条件、化学物質投与、前駆体投与など、目的化合物:植部t種の組合せに応じた個々の 特殊栽培技術開発 医薬原材料 農薬 化粧品 機能性食品 医薬部外品 工業原材料 など 遺伝子発現制御および栽培環境制御の融合による 代謝化合物高生産基盤技術開発 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 国立大学法人 北海道大学 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 国立大学法人 横浜国立大学 国立大学法人 千葉大学 公益財団法人 北海道科学技術総合振興センター 12 ストレス栽培技術により二次代謝物質を増加させた研究例 栽培環境 光 赤色光 青色光 緑色光 遠赤色光 強光 強光 + 高C O 2 紫外線 ガス 高C O 2 オゾン イオン照射 乾燥 乾燥 温度 高温 低温 植物種 変化した二次代謝物量 アルテミシニン・グリチルリチン・リモネン アオジソ・アカシソ ベータカロテン・ペリルアルデヒド テルぺノイド系 オトギリソウ・カンゾウ メントール・ルテイン・ククルビタシン クソニンジン・レタス ビンドリン アルカロイド系 サニーレタス・シラカンバ ロズマリン酸・クロロゲン酸 そばスプラウト・ニチニチソウ フェニルプロパノイド系 フラボノイド類・クェルシトリン・リクイリチン ハッカ・ホウレンソウ フラボノイド系 イソリキリチゲニン・リキリチゲニン モロヘイヤ・沈水香木 アントシアニン アントシアニン系 セイヨウオトギリソウ ポリケタイド系 ハイペリシン・シュードハイペリシン ベータカロテン テルぺノイド系 セイヨウオトギリソウ 総アントシアニン アントシアニン系 ハクサイ・レタス 含硫化合物 シニグリン キャベツ ポリケタイド系 シュードハイペリシン・ハイパーフォリン セージ・オウシュウトウヒ M o n o terp en es テルぺノイド系 ヨーロッパアカマツ Trig o n ellin e・g -A m in o b u tyric a cid アルカロイド系 アラビカコーヒーノキ フェニルプロパノイド系 C h lo ro g en ic a cid ダイズ・サンザシ ep icatech in s・X atech in s アントシアニン系 リーフレタス 薬剤 処理 薬剤 植物ホルモン 抗酸化剤 イチイ・コムギ・ダイズ コダチチョウセンアサガオ アラビドプシス ニチニチソウ・ロートコン 防御 応答 エリシター 感染 機械刺激 コダチチョウセンアサガオ レモン・ダイズ・トマト 二次代謝産物の分類 フェニルプロパノイド系 クロロゲン酸・チコリ酸 タキソール アルカロイド類・ビンドリン・スコポラミン アルカロイド系 タベルソニン・カタランチン・ヒヨスチアミン ゲニステイン・ダイゼイン・フラボノイド類 フラボノイド系 グリセオリン・クメステロール アントシアニン アントシアニン系 アルカロイド類・ニコチン アルカロイド系 フェニルプロパノイド系 スコパロン ゲニステイン・ダイゼイン フラボノイド系 P P E 1 フィトプロスタン・P PA 1 フィトプロスタン 脂質 P P B 1 フィトプロスタン テルぺノイド系 環境ストレスを活用した植物の二次代謝系制御による高効率物質生産 本テーマは、複合的な環境ストレスを与えて二次代謝系の生合成の挙動を解明し、目 的とする有用成分の高発現を葉・花・茎などの器官特異的に誘導する手法を確立し、高 効率物質生産を実証する。 光環境 空気中ガス ・UVと光質(青・赤) ・光強度 葉内 葉内 ・オゾンガス ・CO2 葉内、花、種子、茎 根へ 信号伝達 細胞損傷や活性酸素で ホルモンの変化 成長維持して 強光順化や抗酸 化反応を誘導 地上部 目的物質が高蓄積 葉内、花器、茎 目的物質が 高蓄積 地下部(根圏) 目的物質が高蓄積 根内 二次代謝生合成 が促進 目的物質が高蓄積 根 培養液環境 根の活性が変化 吸水が変化 ・低温 ・水分ポテンシャル低下 ・浸透圧の高低 • 環境ストレス因子に光(紫外線と光質)、オゾンガス、低温、水分を選び、単独または 複合的なストレス環境を、生育ステージごとに、短期・長期の処理を付与する。 異なる光質による二次代謝の変化 青色光の短期間処理で、レタスの抗酸化成分が3倍 B3 B82 B32 B17 Phenylalanine PAL Cinnamic acid アントシアニン合成酵素の遺伝子発現 (24時間で上昇する) C4H p-coumaric acid Vacuole Anthocyanin Derivatives CHS Traspoter Chalcone Cyanidin 3-glucoside CHl Flavonols UFGT Naringenin Cyanidin F3H Dihydrokaempferol ANS F3’H Dihydroquercetin DFR Leucocyanidin FLS Flavone Quercetin Proanthocyanidins アントシアニン(フラボノイド類の1つ)の生合成経路 アントシアニン(C3G) 濃度 (mg/g leafDW) 4CL 4-coumaroyl-CoA 3 x Malonyl-CoA 18 16 14 12 10 8 6 4 2 0 B3 B5 B11 B17 B32 B82 青色光割合(%) 青色光によるレタスの抗酸化能成分(アントシアニン)の増加 *アントシアニン:抗酸化作用のあるフラボノイド類の1つ UVによる二次代謝の変化 1) UV照射で、日本ハッカのL-メントールが1.3~1.8倍に増加 2) 葉にUV暴露で、カンゾウの根の薬用成分が1.5~4.5倍に増加 シキミ酸経路 メバロン酸経路 Shikimic acid pathway 世界初の「薬用植物(甘草)の人工水耕栽培」 医薬基盤研究所、鹿島建設株式会社、千葉大学 Acetyl-CoA Phenylalanine Malonic acid pathway Mevalonic acid pathway Farnesyl diphosphateSQS1, SQS2 4-coumaroyl-CoA + Malonyl-CoA CHS/CHR Isoliquiritin (ISLQ) Liquiritin (LQ) Isoliquiritigenin (ISLG) CH I Liquiritigenin (LG) フラボノイド類 Flavonoids 2,3-oxidosqualene bAS β-amyrin LUS Lupeol CA S Cycloarteno l グリシルリチン Glycyrrhizic acid (GL) カンゾウの薬用成分の生合成経路 葉がUVストレスを受けて根の二次代謝を活性化 対照区に対する増加率( %) Cinnamic acid 500 400 300 200 100 0 Glycyrrhizic acid liquiritigenin Isoliquiritigenin グリチル リチン リキリチ ゲニン イソ リキリチゲニン 短期間のUV曝露でカンゾウ根(生薬)の薬用成分濃度が増加 *グリチルリチン:抗腫瘍活性などのあるテルペン化合物 保有施設および実施例 異なる光波長における栽培の実施例 LED照明装置 水耕栽培の実施例 ベンタミアーナ 薬用植物 薬剤・化合物投与における変動解析 【検討中の候補リスト】 薬品名 プロヘキサジオン テルビナフィン ・・・・・ システイン キトサン ・・・・・ 薬剤処理 作⽤用 既報の対象 ・・・・・ ・・・・・ アン トシアニン系 薬剤処理による代謝産物増加の実施例 植物体 酵素の促進 テルペノイド系 培養細胞 酵素の促進 フラボノイド系 酵素の阻害 フェニルプロパノイド系 酵素の阻害 ・・・・・ 5アザC セブラリン ・・・・・ ・・・・・ ・ 種類 ・ 処理濃度 ・ 添加時期 組織 ・・・・・ 植物体 転写の 活性化 コントロール トラニルサイプロミン NCDM-‐‑‒32b in vitro 転写の 抑制 植物体 薬剤A ・・・・・ 培養細胞 (動物) 培養細胞 (動物) ・・・・・ 主要な二次代謝合成経路の解析 薬剤B 二次代謝系遺伝子の 発現解析 ・real-time PCR ・RNA sequence 代謝産物の分析 ・TLC、HPLC、 LC-MSなど 植物の栽培(生育)環境変動は、代謝変動を誘導する 光環境 ・光強度、日長時間、波長、紫外線、等々 ガス環境 (二次)代謝産物 の変動 ・CO2濃度、オゾン等々 温度環境 ・高・低温、乾燥、等々 地上部 病原ストレス ・ウイルス、糸状菌、最近等の感染 物理的刺激 ・接触、食害等 培養液環境 地下部(根圏) エピジェネティック な制御 ・低温 ・水分ポテンシャル低下 ・浸透圧の高低 赤色光・遠赤色光下での栽培で沈香の二次代謝が変動 Far red:CG, CHG,CHH up, Red:CG, CHG,CHH down BMC Plant Biol. 15:139 (2015) Stresses produced by heavy metals such as cadmium, nickel,and chromium have varied effects on plants in terms of global DNA methylation.( Peng and Zang 2009 ) Density-tolerant varieties of maize hybrids have a lower global DNA methylation level than densitysensitive ones. (Guo et al. 2006 ; Tani et al. 2005 ). 19 Reduction of DNA methylation decreases the ability of Arabidopsis to cope with salt stress.(Baek et al. 2011 ). The salt tolerant wheat variety has a higher level of methylation than the salt-sensitive variety. (Zhong and Wang 2007 ). Under drought conditions, hypermethylation is detected in the root tip DNA of peas (Peng and Zhang 2009 ). Cucumber Mosaic Virus (CMV) vector ・ウイルス増殖量が多い(物質生産能高い) ・約1000種類の植物種に感染(多くの植物種で利用可能) CMVベクター接種 健 全 葉 形質転換体 No.43 CMV-scFv ベクター CMVベクター (北大/産総研:国内外特許):関連特許複数 7.8倍 5日後 塗布 CMV agroinfection法 の開発 60µg TSP/lane N.benthamiana 抗ダイオキシン単鎖抗体遺伝子を導入した タバコにおけるウエスタン解析 GFP : 750µg/g.f.w. CMV-A1ベクター、virus induced gene silencingに利用可能 CMVベクターで色素代謝系遺伝子抑制 野生型 抑制型 Virus Induced Gene Silencing in Antirrhinum majus. Functional Analysis of the AINTEGUMENTA (Am-ANT) Gene of A. majus 20 Hort. Environ. Biotechnol. (2011.) 「目的遺伝子の特異的メチル化解除による発現制御技術開発」 DNAメチル化を解除するとどうなるか? 例えば、 DNA demethylaseであるROS1を過剰発現するタバコで塩耐性を調査 Bharti et al., (2015), J. Exp. Bot. CHS フラボノイド系の遺伝子群(CHSや ANSなど) や抗酸化系の遺伝子群(GSTや APXなど)が 軒並み発現上昇(左図) フラボノール、アントシアニン、ビタミンCなどが上昇 GST DNAメチル化解除で植物有効成分の上 昇は大いに期待できる! ROS1過剰発現によってすべてのDNAのメチル化解除するとトランスポゾンなどを活性化し、 突然変異体出現頻度をあげる(メチル化で制御される遺伝子の発現制御に悪影響) 21 「目的遺伝子の特異的メチル化解除による発現制御技術開発」 ROS1やRSSなどの、非特異的脱メチル化誘導は、目的外の形質も誘導 目的の遺伝子(特異的配列)をターゲットに脱メチル化を誘導する De novo methylation and maintenance rolling circle RRP6 ②RDR2による合成 ⑥DDRメチル化 m mC mC C m mC CmC DDR DRM2 ①Vによる転写 dsRNA合成 RDR2 Pol IV Pol V SHH1 SHH1: CLSY1 ヒストンメチル基を認識 ⑤sfdRNA捕捉 ①IVによる転写 scaffold (sfd) RNA (〜200bp) RRP6 RRP6: scaffold RNAを 安定化 siRNA-AGO4 ③siRNA生成DCL3 ④AGO結合 切断 24-nt siRNA AGO4 このサイクルをいずれかの箇所で途切れさせることで、メチル化を阻害する。 代謝系関連遺伝子の安定化技術開発(発現増強) DNA 新規合成mRNA (転写速度) 安定性 (分解速度) AAA AAA AAA AAA AAA AAA AAA AAA AAA AAA AAA 蓄積mRNA量 ▲ タンパク質 (代謝系酵素) AAA AAA 〇 AAA AAA AAA ✖ AAA mRNA中の不安定化要因の排除/汎用的な人工mRNAの設計 (ゲノムスケールでの解析およびインフォマティックス解析) * * AAA AAA AAA AAA AAA * 〇 AAA AAA AAA AAA AAA 不安定要因を排除した安定化技術の開発 23 転写・発現調節因子等による遺伝子発現制御技術 a) 多重遺伝子導入発現系の高度化 高効率発現制御因子等の利用 これまでに蓄積したIRES配列,イントロン配列等の知見を活用し,ターゲット酵素群等の高効率同時発 現制御を目的とした研究開発を行う。 新規介在配列付加による多重遺伝子導入発現系の高性能化 現在の問題点: 介在配列(自己切断ペプチド、IRES等)を用いた方法は発現効率が低い A 35S SLCP B Ter. 各種機能性配列等の挿入 (先行研究と本研究による知見) 35S A SLCP B Ter. 人工転写因子等を用いた植物遺伝子転写制御の検討 GAL4、dCAS9系等を用いた植物遺伝子転写制御の検討 任意標的遺伝子の転写制御 導入、制御 発現上昇 o r抑制 ATF Gene Gene Gene 転写制御に有効な標的配列探索方法の開発 ・転写制御に有効なシス制御配列探索方法の開発 標的遺伝子プロモーター配列と標的配列(1〜6) target promoter 6 5 4 3 2 200bp 1 TSS 実証研究を伴う研究事例は殆ど見あたらない ATG 「遺伝⼦子発現制御および栽培環境制御の融合による 代謝化合物⾼高⽣生産基盤技術開発」 効果的な 環境制御 + 代謝系 遺伝子制御 = 環境制御 生合成系 モニタリ ング 遺伝子 薬剤 処理 H 光 処理 C … ガス E 目的物質の より高い生産性 遺伝子制御 ガス F … 遺伝子 操作A 遺伝子 操作B 遺伝子 操作C … 遺伝子 操作G 遺伝子 操作H HMGR DXS DXR 物質Xの 生合成系 GGPPS GPPS PSY TS … アルカ ロイド系 QPT … … :発現増加 :発現減少 :変動なし …