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電子情報工学科・電気電子工学科 進学ガイダンスブック

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電子情報工学科・電気電子工学科 進学ガイダンスブック
EEIC 2015
電子情報工学科
電気電子工学科
2015 進学ガイダンスブック
EEIC
Electrical and Electronic Engineering / Information and Communication Engineering
東京大学工学部
電子情報工学科 電気電子工学科 事務室
〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1
Phone: 03-5841-6711 Fax: 03-5841-6702
http://www.ee.t.u-tokyo.ac.jp/ e-mail: [email protected]
201503.1500 / gram inc.
誰よりも速く走るのだ。
創造力というバッテリーを載せて。
ものづくりの夢を追う者なら一度は経験するはずだ、
「今まで学んできたのはこのためだったのか」と悟る瞬間を。
ガソリン車より速い EV を創るという夢に向かって
走り続けている彼らもそうだった。
自ら創造しようとした時はじめて、
知恵と技術が掌中でひとつに重なり、
森羅万象がリンクし始める。
その時、この世界の豊かな広がりが
俄然輝いて見えてくるだろう。
走りながら夢を見つけた彼らは、
マシンを指差して冗談交じりに言っていた。
「いずれこいつは飛びますよ」
■ 東京大学 EV クラブ「UTECH」
「EV( 電気自動車 ) をやってみないか」という工学
のモチベーションを刺激したのだ。
教育推 進機構の草加特任教授の呼びかけに応じ、
初めての大会当日まで、もうダメだという瞬間が
以前から東京大学フォーミュラファクトリー (UTFF)
何度となくやってきたという。活動を支援してくれる
に所属していた電気工学科出身修士 2 年の恩田祐輔
スポンサー企業から念願のバッテリーが届いたのは、
さんが中心となって、2010 年春に東京大学 EV クラ
大会のわずか 2 週間前。そのバッテリーがシャシー
ブ「UTECH」が発足。現在は電子・情報系の 堀教授・
に収まらないという予想外の事態。限られた時間で
藤本准教授の指導のもとに活動し、自作の EV で学
のチューニングはトラブル続出。なんとか走行までは
生フォーミュラ大会に参戦、ガソリン車に負けない
こぎつけたものの、メカニカルトラブルで敢えなくリ
EV をめざしてマシンを磨き上げている。
タイア。しかしピンチのたびに彼らは自らを奮い立た
8 人のメンバーは電子・情報系出身者ばかりで機
せた。以前使った教科書を引っ張り出して考え、電
械の専門家を欠いていたが、シャシーを UTFF から
気以外の分野の勉強もした。数々の失敗が経験と
譲り受け、慣れない工作機械を操作して必要なパー
なって蓄積されていった。
ツを自作した。
「電子回路を組む、鉄のパイプをつ
EV を通じて、彼らは多くのものを手に入れた。
なぐ、そのたびに理屈と実際との違いを思い知らさ
知恵と技術と、問題を見つけ自力で解決する力、社
れた」と初期メンバーの 1 人は当初を振り返る。
会や企業とのつながり、仲間との連帯感。数少な
だが試行錯誤を繰り返し、ハンドメイドの EV が
い機械系メンバーがため息混じりにつぶやいていた。
徐々に形になっていくにつれ、
「楽しそうだから」と、
「電子・情報系の連中って、何でもとりあえず試して
仲間が少しずつ増え始めた。学部 3 年生も、機械工
みようとするんだよな ( 笑 )」。失敗を恐れず走り続
学科のメンバーも加わるようになった。新しいモノ
ける彼らに、いずれ未来が微笑むだろう。
を生み出し実際に走らせるという大きな目的が、皆
目次
2015 年度
電子情報工学科・電気電子工学科 進学ガイダンスブック
04 履修について
06 卒業生の進路
07 大学院の紹介
08 講義系統図
10 時間割
13 学科の先導者たち
14 学生実験・演習
18 施設・設備
20 [ Voices ] 現役学生の声
20 ボイス 1:駒場時代とここが変わった!電気式本郷生活
22 ボイス 2:研究室へ、ようこそ。
24 [ 教員鼎談 ] 電気にハマる 5 つの理由
26 社会に貢献する活動
26 物理・情報に続く第三の柱「人間」- - 苗村研究室
27 自立分散型エネルギーの中核「太陽電池」- - 杉山研究室/染谷研究室
28 研究紹介
28
メディア技術で新しい生活文化を創る
30
人間とコンピュータが共存するシステムを創る
32
社会のあらゆる側面をネットワーク化する
34
未来のコンピュータを創造する
36
集積回路で知性や感性をデザインする
メディア・コンテンツ
知能インタフェース
ネットワーク
コンピューティング
システム・エレクトロニクス
48 学科沿革
49 アクセスマップ
38
光や電波でものを感知するしくみを創る
40
光量子エレクトロニクスのパラダイムシフト
42
ナノサイエンス&テクノロジーで創るデバイスの新次元
44
プラズマを活用し、新世紀のエネルギーを創造する
46
次世代のエネルギーシステムを考える
フォトニクス&ワイヤレス
量子フォトニクス
ナノ物理・デバイス
プラズマ・エネルギーフロンティア
エネルギーシステム・制御
【
カ
リ
キ
ュ
ラ
ム
】
【
研
究
紹
介
】
履修について
【進学振り分けと履修プラン】
電子情報工学科・電気電子工学科の 2 学科では、現代
技術の中枢を担う情報・電気・電子の技術を体系的に
学び、最先端の応用へと展開していく学力と知識を養
うことをめざしていきます。
3 年生の冬学期からはこれまでに培ってきた知識を発
展させ、さらに深く学べるよう、広範な分野における
履修プランが用意されています。学びながら将来を見
据えた専門分野を考えていきましょう。
皆さんは、幅広い視野をもって多彩な学術分野を学ぶ
とともに、特定の分野について深く掘り下げていき専
門知識を身に着けます。
詳細は、
http://www.ee.t.u-tokyo.ac.jp をご覧ください。
電子情報工学科と電気電子工学科は、学ぶべき基礎学
問が重なり合っているため、当初は履修できる科目の
ほとんどが共通しています。
【学科の生活】
多彩な分野の学問や多彩な仲間が集まる教養学部とは
打って変わって、一つの場所に軸足を置いて探究を進
める学科では、同じ志を持つ教員・仲間との深く濃い
交流が生まれます。卒業や進学などの展望も開け、企
業や研究所の最前線に触れるチャンスも。学部上級生
として新人研究者として、ますます自発性が問われる
でしょう。
アクティブで実り多い毎日が待っています。
【2015 年度予定】
コンタクトグループ
本郷進学
安田講堂隣に立つ真新しい工学部 2
号館、ここが皆さんの学びの拠点です。
学生控室にロッカーを持ち、腰を据え
て授業に取り組めるはず。本郷キャン
パスは駒場キャンパスに比べて落ち着
いていて研究に適した雰囲気で、気
持ちも新たにこれからの研究生
活の礎となる知識を身に
つけます。
4
研究室
配属
企業見学・見学旅行
企業見学
春
5
6
五月祭
スポーツ
大会
3 年生が中心となって学科展示を
行います。興味を持った研究室に入
門し、4 年生や大学院生の助けを借り
ながらグループで展示を準備します。
五月祭当日、展示の説明を行うのも
3 年生の役目。電気・情報系の魅
力をどう伝えるか、皆さんの
腕にかかっています。
夏学期・冬学期とも水曜の午後を使っ
て企業見学や JAXAの研究所をはじめ
とした研究現場見学を行います。さ
らに夏・冬休みには水力発電や関
西地区の企業などへの見学旅
行も行います。
7
3∼4 名の学生と 1∼2 名の教員で組
むコンタクトグループでは、授業を
超えて密度の濃い交流がはかれます。
時にはプライベートで食事やお酒を
交えて、人生の夢や日頃の思い
を共に語り合ってみては。
8
見学旅行
夏
9
大学院
入試
2 年生の生活
2年生は基礎固めの時期。しっかり基礎から学びます。専門的
な科目は、それぞれが関連しあっているので、いろいろな方面
からのアプローチを見ることができます。冬学期には、オリエ
ンテーションを行い、科目選択の方向性を定めていきます。
【カリキュラム】
◉ 2 年冬〜 3 年夏 :
情報と物理から学び始める学科カリキュラム
【 電子情報工学科 】
《キーワード》
計算知能・コミュニケーション・メディアデザイン
主に情報系の科学と技術に重点をおいて学び始めます。
各履修プランに定員はなく、それまでに学んできた
経験を踏まえ、自分が希望するプランを選ぶことが
できます。
ム
】
【
研
3 年夏学期になると必修の講義科目はなくなり、自分の
興味に応じた履修ができます。
こうした学習を経て、4 年次には卒業研究を行う研究
室を選択します。研究室の選択はまったく自由で、3
年次までの経験からもっとも自分に適したテーマを選
ぶことができます。
ラ
必修科目は学科による違いがありますが、意欲のある
学生はすべての科目を履修できるように時間割が設計
されています。
ュ
最初はそれぞれの学科の必修科目を中心に学びます。
キ
メディア情報・コンテンツ・人間
コンピュータ・ネットワーク
システム・エレクトロニクス
ナノ物理・光量子・バイオ
エネルギー・環境・宇宙
リ
エネルギー & 環境・ナノ物理・電子 & 光システム
主に物理系の科学と技術に重点をおいて学び始めます。
カ
《キーワード》
3 年冬学期からはさまざまな履修プランが準備されて
おり、情報・電気・電子に共通する基礎技術を応用
に結び付けていく技術を学びます。
【
【 電気電子工学科 】
◉ 3 年冬〜 4 年冬 :
専門分野に学びを進める履修プラン
究
紹
懇和会は、4 年生以上の学生・卒
業生や教員が分野の枠を超えて親睦
を深める組織。春・秋のスポーツ大
会では、普段厳しく指導している先生
や先輩の意外な一面が見られるかも
し れ ま せ ん。夏 に は ビ ア パ ー
ティー、冬には新年会で盛り
上がります。
企業見学
秋
10
11
スポーツ
大会
12
1
研究室での 1 年の成果をまとめ、教
員陣や同期生の前で発表します。先生
方の厳しい質問をクリアすれば、晴
れて卒業 ! 大きな成果が得られれ
ば、国内外の学会でも発表を
行います。
2
3年生で特に大きなウェイトを占めるのが実験や演習。実際に
手を動かすことで知識が身についていきます。時には夜までか
かることもありますが、それは友達同士のつながりを深めたり、
担当の先生方と交流を深めるチャンスでもあります。
3
見学旅行
冬
駒場祭
3 年生の生活
】
懇和会
専門というと難しく感じますが、実
際は分野の基礎からスタート。重点科
目を丁寧に学んでいきます。この道の
先輩でもある教員陣は、これまで以
上に身近な存在に。また、共通す
る興味関心を持った仲間も集
まってきます。
介
卒業論文
発表会
専門科目講義開始
4 年生の生活
4年生になると研究室に所属し、研究者への第一歩を踏み出します。
これまで学んだことを活かし、前人未踏の課題に挑戦しましょう。
ここからは日常生活の舞台も研究室。経験豊かな大学院の先輩も
支えに、卒業まで日々成長していく自分を実感してください。
卒業生の進路
約 6000 名の卒業生が広範な分野で活躍しており、その圧倒的な
OB 力を背景に、この 8 年間に限っても 200 を超える企業や機関
に学部・修士の学生が就職しています。就職先に困るというこ
とはまずありません。最も多いところは 8 年で 50 名を超えました。
就職人気企業の上位を網羅しており、Google や楽天などへの就職
も増えてきました。また、この 8 年で金融・商社関係に 45 名弱、
官公庁 ( 特許庁、総務省、文科省、国交省など ) に 25 名弱、メディ
ア関連 (Yahoo、GREE、テレビ局、博報堂など ) に 25 名弱が進
んでいます。加えて博士課程修了者も含めると、公的研究機関(宇
宙航空研究開発機構 JAXA や産業総合研究所)などへ 20 名程度が
就職しています。社会と密接に関わりながら広範な知識を身に付
けた卒業生の進路は、多岐に渡っています。
【学部卒業生・修士課程修了者の企業別就職状況(最近の 8 年間)】
60 人
49 人
46 人
・日立製作所
6 人 ・東芝三菱電機産業システム
・ソニー
5 人 ・アクセンチュア
・Google
・Samsung
・ヤマハ
・国土交通省
・富士通
37 人
・NTT データ
29 人
・東芝
28 人
24 人
・三菱電機
22 人
・東京電力
21 人
・パナソニック
・ファナック
20 人
・野村総合研究所
19 人
・NTT コミュニケーションズ
16 人
・日本 IBM
15 人
14 人
・NTT 東日本
13 人
・NTT
・関西電力
・トヨタ自動車
・ディー・エヌ・エー
・日産自動車
12 人
・NEC
・キヤノン
11 人
10 人
・楽天
4人
・インターネットイニシアティブ(IIJ)
・ゴールドマンサックス証券
・九州電力
・JFE スチール
・三菱商事
・三菱総合研究所
・Link-U
3人
・大阪ガス
・グリー
・コーエーテクモホールディングス
・シスコシステムズ
・シュルンベルジェ
・JR 西日本
・TBS テレビ
・豊田自動織機
・ドワンゴ
・フジクラ
・北陸電力
・本田技研工業
・三井物産
・安川電気
・リクルート
・総務省
2人
・ACCESS
・IHI
・ANA
・オリンパス
・鹿島建設
・川崎重工
・クボタ
・国際石油開発帝石ホールディングス
・コマツ
・JR 九州
・四国電力
・島津製作所
・新日鐵住金
・スクエア・エニックス
・スズキ
・住友金属工業
・住友商事
・住友信託銀行
・ソニーエリクソン
・東北電力
・中国電力
・鉄道総合技術研究所
・東京エレクトロン
・東芝ソリューションズ
・凸版印刷
・ドリームインキュベータ
・日本信号
・KDDI
・NTT ドコモ
・JR 東海
・JR 東日本
・デンソー
・三菱重工業
・中部電力
・住友電気工業
9人
・ソフトバンク
・電源開発
8人
・NHK
・キーエンス
・東京ガス
・特許庁
7人
・旭硝子
・宇宙航空研究開発機構(JAXA)
・韓国 LG 電子
・サイバーエージェント
・任天堂
・ヤフー
・日本航空インターナショナル ・数理システム
・日立ハイテクノロジーズ ・スカパー JSAT
・フィナンシャルエージェンシー ・スバル光電子
・セガ
・フジキン
・マイクロソフトディベロップメント ・セリウス
・ソニーLSIデザイン
・Mckinsey & Company
・ソーラーフロンティア
・三菱東京 UFJ 銀行
・三菱 UFJ 証券
・ダイキン工業
・みずほフィナンシャルグループ ・大東建託
・タイププロジェクト
・モルガンスタンレー
・大和総研
・ローム
・ワークスアプリケーションズ ・テレビ新潟放送網
・電通
・経済産業省
・Donuts
・文部科学省
・東洋エンジニアリング
・東京都庁
・TIS
・テルモ
1 人 ・アイオーデータ
・アイエムジェイ
・デジサーチアンドアドバタイジング
・アビームコンサルティング ・テプコシステムズ
・アクセンチュアテクノロジーソリューションズ ・テレビ東京
・アクティス
・東洋経済新報社
・アナログデバイセズ
・東洋電機製造
・旭化成
・東海テレビ
・朝日放送
・東京海上日動火災
・アドバンテスト
・TOTO
・Allegro MicroSystems, inc ・ナナオ
・A.T. カーニー
・ニッセイ情報テクノロジー
・IBM ビジネスコンサルティングサービス ・ニッセイマネジメント
・iDC フロンティア
・日本エリクソン
・IIJ グローバルソリューションズ ・日本精工
・IIJ テクノロジーズ
・日本ユニシス
・いすゞ自動車
・日本テレビ
・インクス
・日本電産
・インテルジャパン
・日本 AE パワーシステムズ
・ウシオ電機
・日本エネルギー・経済研究所
・SMG
・日本オラクル
・SMBC 日興證券
・日本原子力研究開発機構
・SCE
・日本銀行
・NRI セキュアテクノロジーズ ・日本ヒューレットパッカード
・エリオニクス
・日本マイクロソフト
・沖縄電力
・日本政策投資銀行
・京三製作所
・日本テキサスインスツルメンツ
・公文
・日本生命
・Klab
・日興シティグループ
・コナミ
・日興コーディアル証券
・コルグ
・NEDO
・Cygames
・ニューソフト
・サントリー
・ニューソン
・サンディスク
・野村アセットマネジメント
・シーエーシー
・野村ホールディングス
・シグマクス
・ハートフォード生命保険
・シチズン
・ハイニクス
・清水建設
・博報堂
・シャープ
・博報堂 DY メディアパートナーズ
・JR 北海道
・ヒロセ電機
・ジェイテクト
・Barclays Capital
・商船三井
・Bank of America
・昭和シェル石油
・バンダイナムコ
・新日鉄エンジニアリング ・日立コミュニケーションテクノロジー
・Simplex Technology
・日立システムズ
・日立ソリューションズ
・日立電線
・フォルシア
・フェアウェイウイング
・福岡放送
・富士重工
・富士通ミッションクリティカルシステムズ
・富士電機
・富士レビオ
・ブラザー工業
・古川電工
・フレンズ
・北海道電力
・HOYA サービス
・毎日放送
・丸紅
・三菱総研
・三菱日立パワーシステムズ
・村田製作所
・Mugenup
・メリルリンチ日本証券
・モニターグループ
・モトローラ
・モリサワ
・森ビル
・ユー・エス・イー
・ユナイテッド
・ユニパルス
・ユニプロ
・ゆうちょ銀行
・ラウレンス
・リコー
・ルネサステクノロジ
・ローランドベルガー
・渤海銀行
・神奈川県立高校
・関東管区警察局
・埼玉県庁
・岐阜県庁
・石川県庁
・防衛省
【博士課程修了者の就職状況(最近の 7 年間)】
2013 年
2012 年
2011 年
2010 年
2009 年
2008 年
2007 年
大学教員
1
2
4
5
4
6
4
大学等研究員
13
8
15
5
11
10
7
企業
21
24
8
13
18
22
18
帰国等
ー
ー
22
11
4
23
16
単位:人
大学院の紹介
学部で基礎的な学力を
身につけた学生がさら
に専門分野を深く探究
するために、大学院(研
究科)があります。
大学院には前期 2 年間の
修士課程と後期 3 年間の
博士課程とがあります。
《 修士課程 》
《 博士課程 》
学部における一般的ならびに専門的な教育の
基礎のうえに、広い視野に立って深遠な学識
をおさめ、専門分野における理論と応用の研
究能力を養うことを目的としています。
独創的研究によって、従来の学術水準に新し
い知見を加え、文化の進展に寄与するととも
に、専門分野に関し研究を指導する能力を養
うことを目的としています。
カ
●情報学環・学際情報学府
学際情報学専攻
浅見 徹
坂井 修一
橋田 浩一
【教 授】
相澤 清晴
伊庭 斉志
田浦 健次朗
【准教授】
【准教授】
入江 英嗣
山﨑 俊彦
川原 圭博
●東京大学生産技術研究所
荒川 泰彦
藤田 博之
櫻井 貴康
合原 一幸
喜連川 優
平川 一彦
】
長谷川 禎彦 落合 秀也
【教 授】
ム
【講 師】
利恵
ラ
【特任准教授】山口
苗村 健
上條 俊介
ュ
【教 授】
キ
●情報理工学系研究科
電子情報学専攻
リ
佐藤 洋一
創造情報学専攻
平本 俊郎
瀬崎 薫
【教 授】
高橋 琢二
松浦 幹太
根本 利弘
河野 崇
豊田 正史
岩本 敏
野村 政宏
大石 岳史
小林 徹也
小林 正治
究
大津 元一
保立 和夫
菊池 和朗
日髙 邦彦
相田 仁
中野 義昭
【特任教授】荻本
和彦
高木 信一
田中 雅明
廣瀬 明
【特任准教授】
岩船
由美子
松橋 隆治
古関 隆章
峯松 信明
●東京大学先端科学技術研究センター
染谷 隆夫
池田 誠
岡田 至崇
森川 博之
】
【教 授】
介
【教 授】
紹
【准教授】
研
江﨑 浩
●工学系研究科
電気系工学専攻
【
電子情報工学科、電気電
子工学科の 2 学科に関連
する組織には、電子情報
学 専攻、電気 系工学 専
攻をはじめとする 7 つの
専攻と、そのほかに 6 つ
の研究所があり、総勢約
100 名もの教員が所属し
ています。
【
関連セクションと教員陣
山下 真司
【准教授】
八井 崇
熊田 亜紀子 杉山 正和
三田 吉郎
鶴岡 慶雅
竹中 充
年吉 洋
●大規模集積システム設計教育センター(VDEC)
小関 泰之
関野 正樹
種村 拓夫
【教 授】
浅田 邦博
藤田 昌宏
矢谷 浩司
【准教授】
高宮 真
飯塚 哲也
バイオエンジニアリング専攻
【特任准教授】
名倉
【教 授】
【特任講師】
【講 師】
田畑 仁
松井 裕章
徹
池野 理門
●情報基盤センター
総合研究機構
【教 授】
【准教授】
【准教授】
中山 雅哉
関谷 勇司
加藤 雄一郎 大矢 忍
国際教育推進機構
【特任准教授】中根
了昌
堀 洋一
大崎 博之
【准教授】
小野 亮
複雑理工学専攻
【准教授】
井 通暁
光量子科学研究センター
【特任教授】
小野寺
宏
佐藤 周行
小川 剛史
●国立情報学研究所
田中 剛平
●新領域創成科学研究科
先端エネルギー工学専攻
【教 授】
中島 研吾
【教 授】
安達 淳
佐藤 真一
●宇宙航空研究開発機構(JAXA)
横山 明彦
馬場 旬平
小野 靖
藤本 博志
【教 授】
齋藤 宏文
廣瀬 和之
久保田 孝
橋本 樹明
講義系統図
【
カ
リ
キ
ュ
ラ
ム
】
【
研
究
紹
介
】
現代社会の中枢を担う科学技術の基礎から最先
端までを体験的に学ぶため、
「情報」を基盤にした
教育を行う『電子情報工学基礎』と「物理」を基
盤にした教育を行う『電気電子工学基礎』の 2 つ
のカリキュラムを設けています。
必修科目などに違いはありますが、意欲に応じ
て広い分野の基礎を学べるように各科目を配置し
ています。
※ 学事歴の変更により今後若干の変更があります。
◎ 電子情報工学基礎
◎ 電気電子工学基礎
時間割
【2014年度実績】
※学事歴の変更に伴う変更が予定されています。
◎2 年冬学期
【電子情報工学科】
月
9:00-10:30
10:40-12:10
13:00-14:30
14:50-16:20
16:30-18:00
生命科学概論
電気磁気学Ⅰ
電気磁気学Ⅱ
数学1D
数理手法ⅠB
前期課程
火
水
ディジタル回路
情報通信理論
エネルギー工学
信号解析基礎
電気回路理論第一
ソフトウェアⅠ(前半)
電気電子計測
電子基礎物理
木
金
18:10-19:40
ソフトウェアⅡ(後半)
電気電子数学演習
電子デバイス基礎
プログラミング基礎演習
【電気電子工学科】
月
9:00-10:30
10:40-12:10
13:00-14:30
14:50-16:20
16:30-18:00
生命科学概論
電気磁気学Ⅰ
電気磁気学Ⅱ
数学1D
数理手法ⅠB
前期課程
火
水
ディジタル回路
情報通信理論
エネルギー工学
信号解析基礎
電気回路理論第一
ソフトウェアⅠ(前半)
電気電子計測
電子基礎物理
木
金
18:10-19:40
ソフトウェアⅡ(後半)
電気電子数学演習
電子デバイス基礎
プログラミング基礎演習
◎3 年夏学期
【電子情報工学科】
8:40-10:10
10:30-12:00
13:00-14:30
14:50-16:20
月
制御工学第一
アルゴリズム
実験演習第一
火
コンピュータアーキテクチャ
信号処理工学
実験演習第一
水
半導体デバイス工学
数学2D / G
木
ネットワーク工学概論
電気回路理論第二
金
電子回路Ⅰ
ハードウェア設計論
離散数学
電磁波工学
8:40-10:10
10:30-12:00
13:00-14:30
14:50-16:20
月
制御工学第一
電気機器学基礎
実験演習第一
火
コンピュータアーキテクチャ
電子物性基礎
実験演習第一
水
半導体デバイス工学
数学2D / G
木
ネットワーク工学概論
電気回路理論第二
金
電子回路Ⅰ
ハードウェア設計論
16:40-18:10
実験演習第一
18:30-20:00
電気電子情報工学倫理
特許法
【電気電子工学科】
実験演習第一
数学2D
16:40-18:10
18:30-20:00
電気電子情報工学倫理
電磁波工学
特許法
◎3 年冬学期
【メディア情報・コンテンツ・人間】
8:40-10:10
10:30-12:00
月
計算論
映像メディア工学
実験演習第二
火
オペレーティングシステム
人工知能
実験演習第二
水
システム数理工学
木
情報通信工学
金
言語・音声情報処理
電子回路Ⅱ
13:00-14:30
14:50-16:20
16:40-18:10
18:30-20:00
国際経済学
ヒューマンインターフェース
職業指導
数理手法Ⅲ
システム工学基礎
実験演習第二
電子情報機器学
数学3
無線通信応用工学
脳科学入門
コンテンツ特別講義Ⅰ
10:30-12:00
13:00-14:30
14:50-16:20
16:40-18:10
18:30-20:00
【コンピュータ・ネットワーク】
8:40-10:10
月
人工知能
制御工学第二
光情報工学
情報通信工学
電子回路Ⅱ
システム工学基礎
実験演習第二
数学3
無線通信応用工学
脳科学入門
コンテンツ特別講義Ⅰ
10:30-12:00
13:00-14:30
14:50-16:20
16:40-18:10
18:30-20:00
ム
電子情報機器学
8:40-10:10
光情報工学
制御工学第二
電力システム工学第一
電子回路Ⅱ
実験演習第二
光電子デバイス
電子情報機器学
数学3
無線通信応用工学
電気機器 CAD 演習
脳科学入門
コンテンツ特別講義Ⅰ
16:40-18:10
18:30-20:00
【ナノ物理・光量子・バイオ】
月
8:40-10:10
10:30-12:00
電磁界応用工学
VLSI 工学基礎
実験演習第二
光情報工学
実験演習第二
火
水
木
金
電子物性第一
情報通信工学
電離気体論
13:00-14:30
14:50-16:20
国際経済学
電子量子力学Ⅰ
職業指導
光電子デバイス
実験演習第二
電子情報機器学
数学3
無線通信応用工学
脳科学入門
8:40-10:10
10:30-12:00
13:00-14:30
14:50-16:20
16:40-18:10
月
電磁界応用工学
エネルギー変換工学
実験演習第二
火
制御工学第二
電力システム工学第一
実験演習第二
電子回路Ⅱ
【エネルギー・環境・宇宙】
水
電子物性第一
数理手法Ⅲ
システム数理工学
電子量子力学Ⅰ
木
電離気体論
金
電子回路Ⅱ
国際経済学
職業指導
光電子デバイス
実験演習第二
パワーエレクトロニクス
電子情報機器学
18:30-20:00
電気機器 CAD 演習
脳科学入門
数学3
: 必修科目
: 限定選択科目
: 標準選択科目
】
金
システム工学基礎
介
情報通信工学
職業指導
数理手法Ⅲ
紹
木
実験演習第二
究
電子物性第一
システム数理工学
国際経済学
研
水
実験演習第二
VLSI 工学基礎
オペレーティングシステム
【
火
計算論
映像メディア工学
】
【システム・エレクトロニクス】
月
ラ
言語・音声情報処理
職業指導
数理手法Ⅲ
ュ
金
ヒューマンインターフェース
キ
木
実験演習第二
リ
システム数理工学
国際経済学
カ
オペレーティングシステム
水
実験演習第二
VLSI 工学基礎
【
火
計算論
映像メディア工学
※学事歴の変更に伴う変更が予定されています。
◎4 年夏学期
【メディア情報・コンテンツ・人間】
8:40-10:10
10:30-12:00
13:00-14:30
14:50-16:20
月
プログラミング言語
バイオエレクトロニクス
演習
火
データベース工学
情報セキュリティ
演習
水
通信網工学
16:40-18:10
18:30-20:00
Intro. Quantum Information
演習
木
電気系特別講義Ⅰ
金
コンテンツ特別講義Ⅱ
【コンピュータ・ネットワーク】
10:30-12:00
13:00-14:30
14:50-16:20
月
8:40-10:10
プログラミング言語
バイオエレクトロニクス
演習
火
データベース工学
情報セキュリティ
演習
通信網工学
宇宙電気電子システム工学
Intro. Quantum Information
水
VLSI アーキテクチャ
18:30-20:00
16:40-18:10
18:30-20:00
16:40-18:10
18:30-20:00
16:40-18:10
18:30-20:00
演習
木
金
16:40-18:10
ワイヤレスエレクトロニクス
電気系特別講義Ⅰ
電気自動車工学
10:30-12:00
13:00-14:30
14:50-16:20
バイオエレクトロニクス
演習
【システム・エレクトロニクス】
8:40-10:10
プログラミング言語
月
VLSI 設計工学
火
電子材料プロセス
水
VLSI アーキテクチャ
データベース工学
情報セキュリティ
光波電子工学
電子物性第二
通信網工学
半導体物性工学
Intro. Quantum Information
演習
木
金
宇宙電気電子システム工学
演習
ワイヤレスエレクトロニクス
電気系特別講義Ⅰ
電気自動車工学
10:30-12:00
13:00-14:30
14:50-16:20
バイオエレクトロニクス
演習
【ナノ物理・光量子・バイオ】
8:40-10:10
VLSI 設計工学
月
電子量子力学Ⅱ
火
電子材料プロセス
光波電子工学
電子物性第二
演習
水
VLSI アーキテクチャ
半導体物性工学
宇宙電気電子システム工学
Intro. Quantum Information
電気材料基礎理論
演習
木
金
ワイヤレスエレクトロニクス
電気系特別講義Ⅰ
【エネルギー・環境・宇宙】
8:40-10:10
10:30-12:00
13:00-14:30
14:50-16:20
月
高電圧工学
電気材料基礎理論
環境電気工学
演習
火
応用電気工学
プラズマ理工学
グローバルシステム工学
演習
水
超電導エネルギー工学
電力システム工学第二
宇宙電気電子システム工学
Intro. Quantum Information
演習
木
金
モーションコントロール
電気系特別講義Ⅰ
電気自動車工学
電気機器設計法演習
: 必修科目
: 限定選択科目
: 標準選択科目
The Vanguard of EEIC
学科の先導者たち
何事も、多数決では決めない。
各自が好きなようにやった方が、
学科は面白くなる。
現在五月祭の学科展示で3連覇を果たしたEEIC。
2013年にその立役者となった4年生の中心メンバーが「EEIC2012イベント委員会」の面々だ。
たかが大学祭と侮るなかれ。彼らの緻密な戦略と実行力、
そしてどんな他学科にも劣らないモチベーションなくして、
この栄光は掴めなかったのだから。
場者の流れをつくった。
当初「いやならやめればいい」という気楽な
へのアドバイスや機材の提供も惜しみなく協力
成り行きで五月祭の運営を買って出たメンバー
してくれた。昨年の展示を見た人の意見も参考
だったが、ふたを開けてみると前年の覇者で
にした。PCの扱いに慣れたEEICならではの実
あった先輩たちから引き継げる資料などは何も
務能力も大いに役立った。
残っていなかった。前年の記憶を頼りに一から
しかしEEICの優勝は単なる作戦勝ちではな
の再出発。そこでまず立てたのは「この学科の
かった。委員会メンバーは言う。「この学科に
アピールにさえなれば何でもOK」というゆる
はもともと『やろう』という雰囲気がありま
いスタンスだった。
す」
リ
キ
ュ
ラ
年生の友人ができて研究室への勧誘もできた。
上下関係なく、やる気のある人同士で勉強会が
開けるのも嬉しい」と話すは島津真人だ。「人
】
やるようにしたんです」と委員長の中村鮎葉は
人とのつながりがやる気を呼ぶ
カ
い。役割ごとに班長を立てて、それぞれ自由に
【
「ルールに縛られると組織はうまくいかな
教員陣や先輩院生らも熱心で、より良い展示
ム
やろうという雰囲気がある
とつながることが、やる気につながる。だから
彼らイベント委員会は今、五月祭のみならず
この学科の人は元気になれるし楽しくなれる」
自が自分の持ち場で好きなようにやるから面白
学科のさまざまなイベント運営の中心メンバー
と白浜妥知も言う。
いことができる」
として活躍の場を広げている。いわば学年の顔
新生イベント委員会を引き継ぐ後輩たちも見
係の責任者を中心に皆がミッションを追求し
役となったことで、教員陣や先輩・後輩との交
つかった。次の五月祭もめざすは優勝。
究
ていったおかげで、イベントは格段に厚みを増
流がより密になった。
「EEICにふさわしい、向上心とコミュニケー
紹
した。展示係の松井”まとん”遼平は工学初心
「タテのつながりができて、先輩たちから研
ション能力のある2年生に大勢来てもらって、
者から専門家まであらゆる来場者に対応できる
究の話が聴けるようになった」「先生と親しく
もっと盛り上げて欲しい!」と、彼らは熱い
介
よう展示ごとにFAQ集を準備したし、会場係の
なると生きる上で何かと有利(笑)」と、単な
エールを贈っている。
】
陶山桃子は点在する展示会場に順路を設けて来
るイベント以上の「効果」も感じている。「3
集合写真左から、展示担当/松井遼平(三田研究室)、電子工作教室担当/島津真人(田浦研究室)、会場担当/陶山桃子(関野研究室)、総務担当/白浜妥知(森川研究室)、イベント委員長/中村鮎葉(苗村研究室)
研
(取材日:2014年2月)
【
話す。「物事を多数決で決めるんじゃなく、各
学生実験・演習
04 プログラミング言語処理系
-------------------------------------------プログラミング言語が機能するしくみを学び、2 人 1 組で
C 言語のコンパイラを作成。高速かつ独創的に、という技
術者永遠のテーマに挑める。
04
02
02 音声インタフェースを備えた
ロボットの製作
----------------------------------
音声で操作するロボットのプログラミングに
挑戦。班対抗のタイムレースが最大の見せ場 !
マシン性能を磨いて盛り上がろう。
好奇心が動き出す。
この世の原理が手に取れる。
3 年次の実験・演習は、自分の興味を存分に刺激するエキサイティングな時間。
電子・情報系の幅広い研究領域から、まず押さえておきたい基礎的学習事項を、
実際に手を動かして体得していきます。「そうだったのか !」「自力でできた !」
そんな感動を味わっているうちに、原理に気づく力、問題を解決する力が身に
つくでしょう。ここではそんな実験の様子を少しだけご紹介します。好奇心の
アンテナを高くして、いろいろなジャンルに挑戦してみてください。
Experience
Presentation
Creation
Self-analysis
幅広い研究領域を持つ電子・情
報系では、自分が何をめざして
何を学ぶかという目的意識を持
たなければ、せっかく得た見識
や技術が活かせません。多くの
実験・演習の中から自分の興味
や得意分野を探り、将来の指針
としてください。
未知の体験を楽しもう
わかりやすく説明しよう
アイデアを発揮しよう
専門的な実験装置の扱い方を覚
え、目に見えない電気電子や情
報のありさまを測定・解析し、
定性的・定量的な特性を実際に
体感することができます。実験
結果をふまえて原理を理解する
ことで、その分野に欠かせない
基礎が身につくでしょう。
実験・演習で得られた結果を全
員の前で発表する課題もありま
す。他人にわかりやすく言語化
しようとすることで、自分自身
の理解も深まっていくでしょ
う。将来の卒業研究発表や自己
PR のためによい経験となるは
ずです。
課題の中には、学んだ技術を駆
使してオリジナル作品を創るも
のもあります。独創的なアイデ
アが評価されるとともに、目的
のモノをめざす過程で生じるさ
まざまな問題を自分で見つけ、
解決する能力が身につきます。
自分だけの
専門分野を探そう
【実験・演習課題 /2014 年実績 】
24 課題のうち、3~6 課題を自由に選択できます
◎ 01 OpenCV/OpenGL による映像処理
◎ 02 音声インタフェースを備えたロボットの製作
◎ 03 マイクロプロセッサの設計と実装
◎ 04 プログラミング言語処理体系
09
◎ 05 IP ネットワークアーキテクチャ
ることで、デジタル集積システムの基礎
ュ
きた時は感動 !
◎ 08 LSI の物理設計
/ ゲートアレイによる CMOS VLSI の設計試作
( 完全版 )
◎ 09 システムエレクトロニクス実験プロジェクト
キ
を学ぶ。身近なシステムを自分で実装で
リ
ワンセグテレビの基本技術を実装してみ
◎ 07 C ベース設計記述言語による VLSI の論理設計
/LSI のテスト
カ
------------------------------
◎ 06 無線通信を支える技術
〜アンテナと通信方式の実践的理解
【
09 システムエレクトロニクス
実験プロジェクト
ラ
ム
】
◎ 10 ゲートアレイによる CMOS VLSI の設計試作評価
( 簡易版 )
◎ 11 フォトニクス実験
【
実験の裏に潜む物理を自分の手で発
◎ 15 半導体デバイス:MOSFET
見する、これこそ科学者の醍醐味だ。
◎ 16 電力経済
11
◎ 17 制御系設計と運動制御
◎ 18 高電圧現象
◎ 19 サージ伝播現象
18 高電圧現象
------------------------
◎ 20 核融合・宇宙プラズマ実験
◎ 21 静電気・大気圧プラズマ
他大学に類を見ない大型高電圧
発生装置を駆使し、インパルス
をはじめ様々な電気が引き起こ
18
す自然現象を測定。迫力ある実
験スケールを堪能しよう。
◎ 22 パワーエレクトロニクスと制御
◎ 23 マグネティクス基礎
◎ 24 三相交流電力発生・輸送の基礎
】
◎ 14 半導体デバイス:キャリア統計と輸送現象
光ファイバ通信の計測・評価を実施。
介
光の性質を理解し、半導体レーザや
--------------------------
紹
◎ 13 物質における光波の振舞とその応用
〜材料を見る〜
究
11 フォトニクス実験
研
◎ 12 物質における光波の振舞とその応用
〜光デバイスを使う〜
01 OpenCV/OpenGL による映像処理
情報系の実験の中でも特にクリエイティブな発想が試
される課題。画像認識 / 画像処理 (Computer Vision) のラ
イブラリ「Open CV」と、画像合成 (Computer Graphics)
のライブラリ「Open GL」の動作原理を学んで、まずサ
ンプルプログラムを自分で動かしてみます。それらの理
斬新アイデアの見せどころ !
プログラミングで映像を遊ぼう
解をもとに独自の映像プログラムを創作。もしくは既存
の高度な映像プログラムのしくみを調べ、最終日にひと
りずつプレゼンテーションを行います。
作 成 さ れ た 作 品 の 一 部 が http://nae-lab.org/lecture/
OpenCV+OpenGL.html で公開されています。
プログラムで映像を操るという面白さに、思わずハマる先
輩多数。たとえば、カメラ付 PC を傾けて画面上の UFO を
動かすミニゲーム、撮影した映像に残像が残るおもしろ効果、
太陽系の天体の自転や公転をいろいろな角度から眺められるシミュ
レーション映像・・・等々、アイデアあふれる秀作がこの実験から
たくさん生まれてきました。Open CV/Open GL の多様なライブ
ラリをうまく組み合わせれば、こうした自分だけのユニークな映像
アプリケーションが実現します。日頃から温めてきたアイデアや、
夢の映像世界が実現できるかも ? 毎回出される課題を理解し、自力
で解決していくことで、イメージを実現する力がぐんぐんついてく
るでしょう。
06 無線通信を支える技術からアンテナと通信方式の実践的理解
自作アンテナで信号をキャッチ !
銅板 1 枚からの無線システム
無線通信がどうやって離れたところに意味のある情報を伝えているのか、そ
のしくみを知っていますか ? この実験では、まず無線技術の根幹を成す高周波
回路と電磁波の特性を理解することからスタート。実際にマイクロ波伝送回路
を自分でつくってみます。基盤加工機を使って銅板からマイクロストリップラ
インやアンテナといった素子を掘り起こし、できた素子の特性をベクトル・ネッ
トワークアナライザという測定器で測定。仕上げに、最新のソフトウェア通信
システムを用いて伝送信号処理や通信プロトコルのしくみを理解します。
テレビ放送から携帯電話まで、無線通信技術は身近な存在ですが、それら技術の
中身に迫る機会はそうないはず。無線の原理を学ぶだけでなく、実際に素子を手作
りし、作った素子が狙い通りの特性を示すまで試行錯誤するプロセスは、ものづく
り魂をくすぐるはず。電波暗室で測定結果を分析しながら調整を繰り返し、狙い通りのもの
ができた時の達成感は格別 ! アンテナ製作初体験という学生も多く、目に見えない無線を扱
う難しさと面白さに熱中しています。
好奇心が動き出す。
この世の原理が手に取れる。
14 半導体デバイス:キャリア統計と輸送現象
20 世紀最大級の発明、
半導体の真価をまだ知らない人へ
一言で言えば、いろいろな半導体材料の特性を測ってみようという実験。半
導体素子の特性を決める上で特に重要な物理量「キャリア濃度」と「ホール移
動度」を調べます。これらは電流に垂直に磁場をかけると生じる「ホール効果」
のホール効果とは異なる「異常ホール効果」と呼ばれる現象も測定し、通常と
カ
の結果の違いを実感します。
リ
とその温度依存性を実際に測定し、個々の特性を探っていきます。また、通常
【
を測定することで簡単に求めることができます。半導体それぞれのホール効果
キ
ュ
ム
】
2 〜 4 人のグループで作業を分担し、多数のデータをとりながら時間内に正しい結
い電圧に含まれる余分な電圧成分を考慮に入れる必要があり、若干の工夫が必要。教科書通
【
りには出てこないデータを読み解きながら半導体の中身に迫ってみましょう。
研
果を導き出します。正しく測定するには、半導体自体の磁気抵抗や熱起電力など、測定した
ラ
電子・情報系の全ての分野に関係深い、半導体を知る入門篇。おなじみのチップ
がどんな原理で動いているか見て取れるのが面白いところ。ホール効果の測定では
究
紹
介
核融合プラズマや宇宙プラズマに代表される「完全電離
プラズマ」をその目で確かめるという貴重な体験が待って
います。実験装置の真空容器の中にらせん磁界構造をつく
り、そこに低温プラズマを発生させて、プラズマが磁界に
閉じ込められる様子を観察。磁場の変化によってプラズマ
が閉じ込められたり、閉じ込められなかったりするのを実
際に見て、なぜそうなるか考えていきます。プラズマの入
門篇ではありますが、しくみの定性的説明だけでなく定量
的説明ができるようがんばってください。
核融合プラズマが磁界に閉じ込められて描くドーナツ状
の形はあまりにも美しく、自然界の神秘を実感 ! 実験装置
の中で太陽フレアや地球のオーロラが形成される様子を見
て原理を理解するだけでなく、コイルを使った磁化プラズマの基本
的な取扱い方法や高温プラズマ計測法も身につきます。出題される
天体を成り立たせるプラズマの真理が、
自分の手の中に
検討課題に回答するうちに、コイル電流から磁力線形状を自分で描
けるようになるはず。これは電気技術者の基礎的素養ですから、
やっ
てみる価値大です。
】
20 核融合・宇宙プラズマ実験
施設・設備
拠点となる 2 号館、新築された 3 号館をはじめ、本郷、駒場、柏、相
模原の各キャンパスには、世界最高峰の施設や設備が充実しています。
最先端の研究を行う居室空間。
海外からの
留学生も多く、
インタナショナルな雰囲気
が広がっています。
今年新築された3 号館。ここから様々な
新しい研究がはじまります。
駒場:研究環境(居室)
駒場:研究環境(実験室)
本郷:3 号館( 正面入り口)
本郷:3 号館( エントランス)
工学部2号館は
どこでもWi-Fiが
使える!
最先端技術と歴史が融合した工学部2 号
館。
電気系のヘッドクォーターです。
巨大
な吹き抜けがあり、
様々なイベントが行わ
れています。
「サブウェイ」
もあり、
憩いの
場になっています。
本郷:2 号館
本郷:2 号館( エントランス)
相模原:屋外展示
上段:美味しくて安い安田講堂下の中
央食堂。
上段&中段:ディスカッションを行う
ための憩いの空間がたくさんあります。
本郷:食堂
中段:あらゆる書物がそろった図書館。
【
カ
リ
キ
ュ
ラ
ム
本郷:ラウンジ
相模原:屋内展示
柏:研究環境(設備)
】
駒場:ホワイエ
【
研
究
紹
介
】
柏:図書館
柏:研究環境(設備)
本郷:研究環境(設備)
世界最高の研究設備がそろった実験室。
最
先端の研究が毎年生み出されています。
柏:研究環境(屋外)
駒場:講義室
綺麗な講義室。冷暖房はもちろん、ワイ
本郷:講義室
柏:講義室
ヤレスLAN や電源も各机に完備されて
います。
自動車制御の研究を行うサーキット。
1
ス
ボイ
[ Voices ]
駒場時代とここが変わった!
電気式本郷生活
2012 年度3年生は底点が比較的高かったせいか(?)活きがいいとの噂あり。
その中でも指折りの個性派たちが語り合った、本郷キャンパスの刺激的な毎日。駒場の頃より、ここが面白い!
石渡 祥之佑さん
目下の
関心事
学科選択
の理由
陶山 桃子さん
吉田 夏子さん
中村 鮎葉さん
[ 電気電子工学科 BS コース ]
[ 電気電子工学科 B2 コース ]
[ 電気電子工学科 BS コース ]
[ 電子情報工学科 A1 コース ]
自宅サーバーの構築。プログラミング
工 学 部 丁 友 会 RoboTech の 活 動。
東京大学音楽部合唱団コーロ・レティ
教育支援の NPO 法人でのインターン
通称「スマブラX」と呼ばれるゲーム。
のアルバイト。
文三出身で教育学部に進学するつもり
が、進振りで「好きなコンピュータの
ことを趣味で終わらせたくない」と考
え、理転を決意。
後輩の
皆さんへ
島津 真人さん
[ 電子情報工学科 A1 コース ]
高校物理や数学3Cを勉強していなく
ても、なんとかなります。
ハードウェア系のインターン。
ツィアの活動。
化学系に進もうと思っていたのが、
工学部のガイダンスを見て、幅広い分
と、就職活動。
先日もプレイヤー兼通訳として大会に
参戦するため渡米。
IT ベンチャーでインターンを経験し、
メディア系がある。
野を選べるのも魅力。
先輩が笑顔。
情報分野に興味が。入ってから研究分
建物がきれい。
RoboTech で活動しているうちに回
野を勉強したいと思った。
電気電子と電子情報は、研究室の配属
ロボゼミなど、教養課程でもこの学科
ここまで電気電子と電子情報の授業が
情報系でありながらスマホや電子機器
に入って知りました。
ておくと興味が湧くかも。
噂されたほどきつくはないです。
ツ好きな情報系には最適です。
路やプログラミングに興味が湧いた。
に関しても横断的だということ、学科
の授業が学べるので、早いうちに取っ
共通しているとは思わなかった。
けど、
のハードまで頭に入る。リベラルアー
駒場時代とここが変わった!電気式本郷生活
陶山:女子は圧倒的に少ないけど、そういうことを
気にしない人が来るのかな。それに、少ない分、上
すごい人がいる。
の女性の先輩たちと話せる。
島津:学年によって雰囲気は変わるけど、この学科
吉田:縦のつながりができますね。あと、女子だと
にはすごい先輩がいるよね。2つ上の学年なんか起
勉強ができる人たちに教えてもらえる(笑)
。
業しまくってたり。
石渡:うちの代もすごいですよ。この島津は日本の
島津:それと、この学科は先生が教育熱心。他学科
の授業より面白いって声が明らかに多いし、先生の
ロボット界を背負って立つ RoboTech の回路班の
教える意欲が高い気がする。
班長だし、部長も副部長もこの学科。
陶山:特定の分野にものすごく長けた人たちがいっ
紹
介
】
中村:新しいモノを創ることと宇宙の真理を見つけ
ることは別ですから。
石渡:実際に見学に来てくれればここの良さはわか
ります。
中村:学生の顔色を見るだけで違いますよ。
(取材日:2012 年 2 月)
究
石渡:女子で工学部って、親戚のおじさんとかに不
自然に思われたりするの?
吉田:驚かれることはある。
就活でも驚かれるけど、
それはメリットかなと思います。
石渡:印象には残るよね。
中村:みんなかわいいもんな。
吉田:進振りを考える時は、情報誌の評価を鵜呑み
にしてはいけないかも。
中村:今年は工学部がひたすら悪く書かれてて、皆
がそれに振り回されて底点が変わるのが癪。学生は
もうちょっと産業界の状況を自分の目で見て考え
た方がいいと思う。電気機械は即戦力になるから社
会でも欲しがられます。電気の知識があると私生活
から変わりますからね。たとえば電子機器を品定め
する時も騙されない。
吉田:人による気はするけど(笑)
。確かに、情報
強者にはなる。
島津:優秀な人たちは理学部に行くってイメージが
あるけど、工学的な人まで行っている気がする。
研
タテの人間関係が広がった。
即戦力になれる。
【
石渡:俺はここの大学院の研究が面白そうだと思っ
て理転してきたから、これから始まる研究室生活に
ものすごく期待してます!
】
やってた相方のところに彼女から電話がかかって
きて、痴話ゲンカになってたことも(笑)
。
吉田:プライベートにも支障が(笑)
。
石渡:実験が終わると仲直り。
前より仲良くなって、
実験のおかげで恋もうまくいくと(笑)
。
島津:記憶に残ってるのは CPU を作る実験。ここ
までできた人はいないって聞いてたことができて、
誰もできないだろうといい気になってたら、他にも
できた人が普通にいて『ごめんなさい』みたいな。
石渡:なんて簡単そうに言ってるけど、常人のレベ
ルを超えた話ですから(笑)
。彼氏が万能だと辛く
ない?
吉田:
(笑)すごいと思います。
ム
吉田:私も就職は考えたけど、やっぱり院に行っ
て、研究したことを就職後にも役立てられたらいい
かな、と。
中村:俺はアメリカの大学院に書類だけは出すつも
り。アジア人の受け入れは厳しいみたいだけど。
ラ
楽ではないよね。あと、実験はチームでやることが
多いので、一緒にやった人と仲良くなれる。
中村:コンパイラ実験なんてパートナーとどれだけ
一緒にいることになるか。
石渡:恋人より一緒にいるよね。夜中まで一緒に
ュ
島田:やっぱり実験はコマ数が一番多くて印象的。
特に6学期は実践的な内容が多くて大変だったけ
ど結構楽しかった。
石渡:情報系の実験はパソコン1台でできるから4
時には確実に終わるんだけど、
家でもやったりして、
とか、発見がある。
石渡:いろいろな企業で活躍している OB が案内し
てくれる。
この学科はそこが有利なんじゃないかな。
陶山:就活で企業説明会に行くよりもちょっとゆる
い感じで裏話が聴けたので、働くというイメージが
湧きました。でも今のところは、こんなところで働
けたらカッコいいなと思う程度で。
行った。そしてちゃんと単位をもらいました(笑)
。
キ
実験が面白い。
吉田:私は、毎週水曜にやっていた工場見学が印象
に残っています。
島津:意外な企業が世界レベルの技術を持っている
外の交流もあります。
石渡:鮎葉は先生にお願いして、絶対にサボっちゃ
いけない実験を休んでアメリカのゲームの大会に
リ
やっぱり将来のことも考える。
在。その分本気で教えてくれますし、講義・学術以
カ
島津:実験で自分がやった内容は学科の Wiki や
ファイル共有システムでみんなに情報共有してる。
過去の蓄積がある分、
駒場時代より情報が厚いです。
石渡:できる人はその知識を大衆のためにどんどん
使ってくれないと(笑)
。
島津:自分が困った時に助けて欲しいからやってる
んだけどね。
中村:俺は入試も国語と英語で入ったようなものだ
から、この学科だと全部苦手科目で戦うしかない。
なので、奥の手を使う。
石渡:それを僕たちは『先人の知恵を借りる』とい
う言い方をしていて(笑)
。
島津:もちろん、一応理解はしようとするよね。完
全にわからない時に丸写しするのは抵抗があるから。
中村:そういう時は出さない。その代わりに出す謝
罪文を用意してある。
石渡:何それ?共有してよ(笑)
。
中村:本郷では学生は先生にとって戦力になる存
【
ぱいいる。
『何だこの人たち』と思うくらい。
石渡:この学科だと人数が多くて、それぞれ得意分
野が違うので、この分野のことがわからないという
時には誰かに助けを求められる。俺は文系出身だけ
ど、みんなに支えられたおかげで3年生になれた。
中村:勉強してるよね、みんな。駒場時代は頑張っ
てると『なに頑張っちゃってるの』みたいな目で見
られたり、下ネタばかり言ってる奴が評価されてた
りしてたけど、学科では頑張れば頑張るほど周りか
ら頼られて、神と呼ばれたりする。だからやる気が
出ます。
島津:確かに、やれば評価は上がるよな。
「先人の知恵」
に助けられている。
2
ス
ボイ
[ Voices ]
4 年生になれば、楽しくもディープな研究室生活がスタートします。
先輩たちはいかにして進む道を決め、いま何を追い求めているのでしょうか。
学科内で異彩を放つ 4 人の研究者たちに訊ねました。
■中野・種村・杉山研究室(量子フォトニクス/ナノ物理・デバイス)
藤井宏昌さん
電気系工学専攻・博士課程2年(学年は取材時)
Research
どんな研究?
杉山研究室のテーマは多接合太陽電池の開発。異質な材料のセルを複数
重ねて光の変換効率を高めるものです。現在の3接合太陽電池では
GaAsミドルセルの吸収端波長が短すぎて全体の電流を制限しており、
これを打破するため当研究室ではInGaAs/GaAsP超格子をミドルセルに
挑戦するからには
組み込むことに挑戦しています。十分な光を吸収するためにはこの超格
子が100層程必要なのですが、ここ10年ほどは50層以上積むと性能が
究極的なものをめざしたい。
落ちるという技術的限界に直面していました。修士時代にそれを知って
太陽電池で「世界初」
を実現
以来、やるからには実用化につながる究極のものに挑戦したいと、この
難問に取り組んできました。昨年、世界で初めて100層で変換効率の上
昇を達成。太陽光発電の三大国際学会で学生賞をいただきました。
Why
なぜこの研究室に?
もともと環境問題を技術で解決することに興味があって、学部時代はシ
ステム創成学科の環境エネルギーシステムコースを選びました。でも、
再生可能エネルギーの研究室がなく、探し当てたのが今の杉山研究室で
す。電子・情報系で学んでいないので、回路は未だに苦手(笑)。
ここでの研究はあまり電気らしくない材料工学の世界です。
What
何をめざしたい?
100層の積層には成功しましたが、実装までにはまだ課題が山積。次は
ゲルマニウムのセル上に積層するというさらに困難な課題に挑みます。
博士課程のうちに成果を出して、その後は産業界で研究を続けたいと
思っています。
■森川研究室(ネットワーク)
佐藤弘之さん
Research
電気系工学専攻・修士課程2年(学年は取材時)
どんな研究?
無線とネットワークの研究室ではありますが、いろいろな分野に関心
を持つ森川先生らしく、コアになるテーマがあまりないのが特徴。セ
研究の原動力は、
ンサネットワーク、ワイヤレス通信、それに車の蓄電池を使った分散
技術で社会の新しい形を
型エネルギーシステムを研究するデマンドレスポンスまで、研究内容
は多岐にわたります。今僕が取り組んでいるのは、スマホのマイクで
周辺の音を拾って音波を分析することで、室内に入ってきたスマホを
感知し、例えば情報サービスを提供するという技術。最初は工場での
異音感知を目的に考え始めたセンサ技術が別の形に発展しました。
Why
なぜこの研究室に?
建築学科で学ぶうちに、意匠設計よりも建物のスマート化などのエン
ジニアリングの面白さに惹かれるようになり、新しい社会の形を創っ
ていけるような技術を手がけたいと、この研究室に進みました。今で
は「ブラック研究室」といわれるほど研究室に入り浸りの毎日
(笑)。家族みたいに寝食を共にしている仲間とサポートし合って研
究を進めています。
What
何をめざしたい?
今研究しているセンサネットワーク技術を、農業などの他産業で活か
すのが今後の目標です。森川先生も「まず応用先を考えろ」「社会に
役立てる嬉しさを考えて研究しろ」という考え方。先生が産業界や行
政とのパイプを多く持っていて、企業との共同研究も数多く手がけて
いるので、実際に農場で実験できたりもするし、研究テーマには事欠
きません。
創るという嬉しさ
研究室へ、
ようこそ。
■田浦研究室(コンピューティング)
島津 真人さん
電気電子工学科4年(学年は取材時)
Research
どんな研究?
扱っているのは並列分散コンピューティング。web検索のように膨大な
量のデータを多数のPCで並列処理する際、複数のCPUをより効率的に働
ソフトとハードの狭間で
かせるにはどうしたらいいかというのが一つの大きなテーマ。一方、送
効率に並列処理できるかというのももう一つのテーマです。僕の卒論研
究もデータに関するもの。既存のweb検索システムではデータをいった
カ
知り尽くしたい
【
受されるデータの方に着目し、ひとつのデータをどう分割すればより高
コンピュータのすべてを
ら直接検索できるようにして高速化をはかろうという試みです。田浦先
生とコンセプトを話しながらプログラミングを進める毎日。先生に
キ
ちょっと質問しに行くとアイデアが次々出てきて、延々3時間話してく
ュ
なぜこの研究室に?
をつくっているこの研究室を選びました。ハードとソフトのつなぎ目を
チップ一つ一つの中身まですべて知り尽くしたいですね。
何をめざしたい?
研
What
【
学ぶため両方の知識が必要になります。今は知ることが純粋に楽しい。
】
ピュータそのものへの興味が強くなり、中でもソフトウェアの基盤技術
ム
ロボットサークル「RoboTech」でコンピュータをいじるうちに、コン
ラ
れたこともありました。田浦先生、超人です。
Why
リ
ん専用の形式で保存してから処理しているところを、テキストデータか
ニュースの裏で、実はそれが自分の手がけた基盤技術だったりしたら、
究
ある日コンピュータが飛躍的に速くなった、高機能になった、なんて
紹
面白いだろうなと思います。
介
山本直人さん
Research
】
■染谷研究室(ナノ物理・デバイス)
電子情報工学科4年(学年は取材時)
どんな研究?
この研究室で扱う有機トランジスタは、薄く軽く、曲げられるという
特徴が新しい。食品ラップの10分の1の薄さの電池など、面白い研究が
技術と経営を結んだ
行われています。そんな中で私が研究しているのは透明な有機トラン
その先の新ビジネスが
ジスタ。光を透過するため、たとえば医療の分野で、脳の一部にピン
日本を変える
ポイントで光刺激を送るといった新しいオプトエレクトロニクスが可
能になります。実現すれば有機トランジスタで世界初になるはず。関
谷先生と話す中で着想を得て、先生や先輩方にもサポートしていただ
きながら取り組んでいます。
Why
なぜこの研究室に?
日本は技術を巧くアピールできていない。それは技術者と経営者の相互
理解がないからだと感じてきました。この状況を打破するには自分自身
が技術と経営の両方を学ぶ必要があると考え、この学科に来ました。今
研究している有機トランジスタのようなハードウェア系の技術を磨い
て、技術と経営を結んだ新ビジネスに結びつけたいと考えています。一
方、経営の方は様々なビジネスコンテストに出て自力で勉強してきまし
た。経営的視点を持つと研究の視野も広がる気がしています。
What
何をめざしたい?
技術も経営も高く評価される新ビジネスを興したい。その成功が若者
を動かし、日本を変えるエンジンになる。その思いを土光杯全日本青
年弁論大会で訴え、東大理系学生で史上初の土光杯を受賞しました。
多くの方に評価していただいて、私の思いは間違っていないと確信で
きました。
(取材日:2014年2月)
5
教員鼎談
電気にハマる
つの理由
研究の第一線で活躍している先生方から見た、本学科の魅力とは。
電気・電子・情報系の3先生がざっくばらんに語り合いました。
1
電気という
自分の基礎ができる
熊田 電子・情報系の学科はいろいろあり
ますが、この学科の特徴は何でしょうね?
川原 印象に残っているのは岡部(洋一)
先生のことば。情報のことも電子のこと
もわかる君たちはラッキーだ、電子の動
きまでわかる情報屋はなかなかいない、
と。10 年 20 年経つと、
「引き出し」の多
さが武器になるんですよね、社会では。
奥様はフランス人
三田
吉郎 准教授
システム・エレクトロニクス
[ 担当授業 ] 電子情報機器学、電気工学実験大要 B
線形素子と非線形素子を同じ回路図の中で扱え
るというのも僕らの強みですよ、たぶん
本学科の教員陣で紅一点
熊田
亜紀子 准教授
プラズマ・エネルギーフロンティア
[ 担当授業 ] 電気磁気学、電離気体論、高電圧工学
電力系では、電気自動車で使われる非接触充電
の概念を考えた卒業生が、今引っ張りだこです
三田 日本は材料が強いのですが、材料の
ことだけわかっても面白くない。マテリ
アルがそれほど良い性能を持っていなく
ても回路構成次第でデバイスの特性を最
大限に引き出せる、といったことを染谷
(隆夫)先生たちが手がけて、大活躍して
いる。それも、デバイスという出口からマ
テリアルまで押さえているからですよね。
熊田 エネルギー関連の学科も最近増えて
きましたが、エネルギーの未来がどうで
あれ、石油ストーブの時代には戻らない
わけで、100 年後も電気エネルギーは使
うだろうと。そうした意味で電気エネル
ギーの神髄から応用まで全部把握してい
る学科ですよね。電気という基礎があっ
て全部を捉えられるところが強みかな。
三田 ちなみにここにいる3人は電気・電
子情報・電子の三者ですが、学生にとっ
ても3分野が同じくくりでいるのが強み
ですよね。
アメリカから Skype で参加
川原
圭博 准教授
ネットワーク
[ 担当授業 ] プログラミング基礎演習、電子情報ゼミ
電気電子情報第一実験/第二実験
情報系は自分の腕一本でいくらでもいいソフト
ができる。学生で起業する人も多くいます
熊田 基礎は共通なんですが幅は広くて、
基礎を押さえておくとちょっと変えるだ
けでいろいろな分野を攻めていけます。
私も最初は情報デバイス系から入ったの
が気づけば情報系とはいちばん遠いとこ
ろにいますから。
2
ハード・ソフト
両方の素養を持つ
人材は貴重
川原 あと、人数が多いので尖った人が結
構いますよね。呼吸するようにプログラ
ミングする神みたいな人とか。
三田 アメリカでは電気系ってどうなんで
すか?
川原 アメリカで今活躍している情報系
企業の経営者は電気系出身者が多いです
ね。アメリカでも情報関係というと理学
系と工学系の学科がありますが、電気も
合わせて勉強する工学系学科のほうが、
即戦力になるという理由で、就職はいい
みたいです。人気の情報系企業は Google
とかマイクロソフト、アマゾン、フェイ
スブックなどありますが、その多くが今
はハードをつくろうとしているんです。
Google なら携帯のハードウェアがわか
る人が求められていたりします。
三田 情報系の企業にも電気電子の素養が
あってハードウェアが分かる人が必要な
んです。工場などで何か問題があった時
に、どんなデバイスがどう動いているか
全体が掴めている人でないと解決できな
いからだというんですね。
川原 ソフトとハードの境界がなくなって
きていますよね。電気自動車などのもの
づくりにソフトが大きな位置を占めてい
たり。
三田 最近の学生もそんな空気を敏感に察
知している。ハンダ付けがしたいという
学生が戻ってきています。グループで目
の色を変えて電子工作をやっている。
熊田 化学系や土木系の方と話すと違いを
痛感しますが、電気屋さんって設計通り
にやれてなんぼという文化がありますよ
ね。緻密に設計して、不具合が出たら基本
に戻って論理的に説明しようとする。電
気系の分野は幅広いけれど、その辺の考
え方は皆同じですね。
オールマイティな
技術が身に付く
身近にいる先生が
超一流
介
】
熊田 ここではドクターを修めた後も引く
手あまたですよね。高学歴プアなんてど
この世界の話?という感じです。
紹
三田 川原先生もハードを押さえた上でソ
フトの研究をされていますよね。それは
とても大切で、ソフトの技術者ならイン
ドを中心に10 億人くらいライバルがいる
けれど、ハードもソフトもできる人とい
うと途端に数が減ります。
究
三田 江﨑先生は「左手に研究、右手に運
用」と言っておられるんですよね。研究と
いうと頭でっかちなイメージだけれど、
裏で運用もするという。電子系だと、ナノ
テクなどはすごく大きな装置群が要るん
ですが、それを使いこなすだけでなく装
置の維持管理も自分たちでできてしまう。
装置の納入業者さんに驚かれましたよ。
まさに「右手に運用」ですよね。
三田 この学科にいれば得意なこと好きな
ことが伸ばせる。苦手なことも、それを
補ってくれる友達ができる。昔よりはる
かに充実した研究ができますよ。
研
川原 うちの学生も来週から MIT メディ
アラボに行くことになっています。それ
に、ディズニーリサーチという、ディズ
ニーランドで使う技術の研究所にも別の
学生が呼ばれています。ハードをからめ
た情報技術でないとあそこは通用しない
ので。
川原 武田先端知ビルでも本気になればパ
ソコンのCPUくらいつくれますし、一般実
験室に来れば3Dプリンタも使えますしね。
【
川原 浅見先生も江﨑先生もそれぞれ通信
会社と電機メーカーでインターネットを
黎明期から支えて来た方々ですね。江﨑
先生は日本のインターネット研究を手が
ける WIDE プロジェクトの代表ですが、
江﨑研の学生も技術者として日本のイン
ターネットを支えていますよ。
三田 しかも選り好みなしでやっておくの
が実は大切。いろいろな実験ツールを使
いこなすためにも実験は大切です。他学
科の学生は経験のないことには触れたが
らず、オシロスコープも使いたがらない。
波形を見たら一発でわかるのに苦労して
いる。電気の学生はこんなことができる
のかと感心されたこともあります。昔と
比べて今はこちらが提供できる設備環境
も超一流になっている。好きなことがど
んどんできます。
】
熊田 企業からいらした先生も1、2割はい
ますよね。
三田 学生から「今のうちに海外インター
ンを経験しておいた方がいいですか」と
相談されることもありますが、焦らなく
ても自然にインターナショナルな雰囲気
になれるから心配しなくていいよと言い
ます。海外と共同研究している人も多い
ですよね。
ム
川原 ことばは皆ちゃんぽんですね。
ラ
三田 それは先生の方針で「当たり前のイ
ンターナショナル」でなくてはと。研究室
ではそれぞれが最も得意なことばで話す。
川原 でも、あの年代に詰め込んだ知識や
技って歳を取っても案外残ってるんです
よね。
ュ
熊田 藤田研究室などは海外の人が多いで
すよね。
三田 なぜ最初手こずるかというと慣れて
いないからですよね。
キ
三田 普通にエース級がいますから。小惑
星探査機「はやぶさ」が大気圏突入直前に
撮った地球の写真が話題になった時、隣
にいた先生に「すごいね」と話しかけたら
「あ、それ撮ったの、僕です」とか(笑)
。
JAXA の橋本樹明先生です。そんな先生方
が 100 人近くいて、
何に興味を持って入っ
てきてもすごい先生に必ず当たります。
4
インターナショナルな
共同研究ができる
熊田 特に4学期は授業がいっぱいあって、
1限もあって。
リ
川原 染谷先生の折り曲げられるディスプ
レイなどはアメリカでも度肝を抜いてい
ましたよ。
川原 授業はたいへんですよね。
カ
三田 この学科はすごい先生が大勢います
よね。今月号の文芸春秋にも、いつも隣に
座っている染谷先生が載っていてびっく
りしました。
三田 褒めてばかりだと嘘っぽいな
(笑)
。
【
3
5
社会に貢献する活動
現代社会のさまざまな問題に直結した研究ができること、そしてその成果が直接的に実社会の役に立つこと。
それが本学科の大きな特徴の一つです。最近の研究活動から、その一端をご紹介しましょう。
物理・情報に続く第三の柱「人間」
苗村研究室
人間に新しい体験を
もたらす技術
張された表現をアニメ映像の世界で自動生成
する技術「E-Impact」、あるいは美術館の展
示物を眺める角度によって違った関連映像が
映し出される「MRsionCase」など、アプロー
本学科の研究対象はエレクトロニクスやプ
チもさまざまだ。
ログラミング技術に限らない。
「物理」
「情報」
先端技術を駆使しながら誰にもわかりやす
に加え、それを使う「人間」という第三のファ
く、多くの人々が良いと感じる技術を生み出
クターを重視した研究が盛んになってきてい
り、問題を解決する手段は特に選ばない情
していく。さらにその成果を実用化に結びつ
る。苗村健教授らが取り組んでいる情報メディ
報技術を中心に据えた研究だが、ソフトウェ
けて社会で役立てるのも課題だ。例えばラジ
ア・コンテンツ研究もその一つ。めざしてい
アだけでなく回路や光学、超音波などといっ
オ放送中に聞いている人の反応を「いいね」
るのは、人間の体験をデザインして人々の心
た広範なハードウェアも扱う。目的に沿って
「へぇ」などと音声で伝える技術「ラジへぇ」
を動かす、人間主体の情報技術だ。
既存の技術をうまく組み合わせることにより、
などは実際に実験放送も行っている。社会の
例えば大学の授業。PC を使う授業では皆
従来にはなかったシステムを生み出すことも
さまざまな分野と結びついて研究成果を世に
がそれぞれ手元の画面を見ていてディスカッ
多い。誰かが作った新技術をどうすれば役立
出すことが、技術をさらに磨くことにつなが
ションが生まれにくい。どうしたらいいか?と
てられるか、その発見も大事だ。
るのだ。
考えてみる。そこから、公私を使いわけられ
る画面共有ソフト「SHelective」や、他の人の
画面に触れると自分の画面にその情報が飛ん
研究成果を実社会と結びつける
でくる「SHelective Plus」といった新たな技
術が生まれる。その結果、人間のふるまいに
しばしば映像を扱う情報メディア・コンテ
変化が生じる。
ンツ研究は、アートの世界とも親和性が高い。
人間や社会に対して「こんなことができた
幾つか 例を挙げると、鏡の中の自分とエア
らいいのに」
「こんな体験をしてみたい」といっ
ホッケーが楽しめるアート作品「through the
た問題意識を持つことが研究の出発点であ
looking glass」もあれば、マンガのように誇
【
カ
ネルギーを集める技術があれば、トータルな
たる。駒場の先端科学技術研究センターや
費用対効果の面で十分対抗できる。その一
本郷の武田先端知ビルにある最先端のクリー
つの答えが、杉山正和准教授らが開発を進め
ンルームを研 究拠 点とし、原子を超高精度
キ
リ
次世代の超高効率太陽電池は
日本の救世主となるか
で積層できる半導体結晶成長装置をはじめ、
ュ
効率の多接合太陽電池素子だ。
完成品まで生産可能な設備が揃う恵まれた
ラ
で、一基の太陽電池モジュールが稼働してい
杉山研究室が取り組む多接合太陽電池と
環境で、世界中の研究機関との熾烈な高効
る。大口径レンズで集光することで、通常の
は、複数の材料を組み合わせて積層すること
率化競争に挑んでいる。
ム
太陽電池素子と比べて 1000 倍も強い光を素
で、集光時にどうしても生じるエネルギー損
子に入射するものだ。レンズに当たる光をまっ
失を可能な限り抑えるものだ。現在実用化さ
すぐ電池に受けとめるよう、常に太陽の方角
れている一般的なシリコン製太陽電池のエネ
を向かせる機構も搭載した。日照条件に恵ま
ルギー変換効率は 30% 以下だが、この多接
れた海外のいくつかの地域で、既に実用化が
合電池では今後数年のうちに 48%を突破す
進んでいる。
ることを目標に開発を急いでいる。
日本が太陽光発電の先進国だったのは少し
杉山研究室の特徴は、こうした発電素子ば
以前のこと。最近は外国の安いシリコン製電
かりでなくモジュールの研究から実用化まで
池に押されているのが実情だ。しかし、ほん
の一連の開発をすべて研究対象としているこ
の小さな面積の太陽電池素子で多くの太陽エ
とだ。そのため学生のアプローチも多岐にわ
【
研
究
紹
介
】
自立分散型エネルギーの中核「太陽電池」
杉山研究室/染谷研究室
極薄・軽量の太陽電池が拓く
アンビエント・エレクトロニクス
】
ている集光型太陽電池モジュールであり、高
駒場の先端科学技術研究センターの屋上
違和感なく身に付けて心拍をモニターするデ
バイスなど、医療福祉分野など幅広い活用が
期待されている。
現在開発が進んでいるデバイスは、1 平方
太陽電池を扱う研究室は学内にもいくつか
メートルあたり 3g と綿毛よりはるかに軽量な
あるが、非常に軽量の太陽電池を用いて電力
がら、1g あたり 10W の発電性能を持つ。変
を使いたいところで発電する、いわば「電力
換 効率こそ 4.2%と決して高くはないが、特
の地産地消」の実現をめざしているのが、関
筆すべきはそのコストだ。この電池は身近な
谷毅准教授のアンビエント・エレクトロニクス
材料や既存の印刷技術を用いて安 価に大量
研究だ。有機半導体からつくる、極度に薄く
生産が可能として、大いに注目を集めている。
軽い太陽電池をウエアラブル電源として活用
今後は電池の寿命を組み合わせて使えるウエ
することで、これまで考えられなかったフェー
アラブルなセンサの開発も並行して進め、エ
ズでの電力利用が可能になる。たとえば常時
ネルギー供給の新たなフェーズを拓いていく。
研 究
Introduction
紹 介
メディア技術で新しい生活文化を創る
メディア・コンテンツ
Media Contents
人の心の営みに
人の
コンピュータは人間性を阻害するものではありません。
技術がもっと進化すれば、人の心を豊かにする
情報化社会はできるはずです。私たちが考えるのは、
そのための自由で柔軟な方法論です。
技術はどう活かせるだろう。
いま人々が求めているのは、技術革新がもたらす
例えば、コンピュータが作り出すバーチャルな世
熾烈な競争社会ではありません。人が心豊かに暮ら
界。バーチャルとは本来「実際に存在しなくとも実
せる社会です。
効的に同じ役割を果たす」
という意味であって、物事
心の豊かさは工学とは無縁のものと感じるかもし
の本質を見極める学問です。それがどこかネガティ
れません。しかし、効率化・高速化を極めて超人的
ブな意味にとられるようになっているのは、まだ技
な計算能力を手にすることだけが技術の進歩ではな
術が成熟していないためです。この分野では、バー
いはずです。この分野は、これまでの競争的な技術
チャルとリアルの融合をテーマに、真に人々が望む
革新とは一線を画す新たな方向性として、
「心の豊か
技術のあり方を探究しています。
さ」
を生み出す技術を追求しています。
また、技術とアートとの関わりもこの分野のテー
日本はこの分野で、欧米諸国よりも先導的な立
マ。魔法のような先端技術は、人々の常識を覆し、
場にあるといえます。日本のゲームやアニメが世
心に響く力を持っています。ルネッサンス以降、そ
界を席巻しているのはご存知の通りですが、それ
れぞれの道を歩んできた技術と芸術が、再び歩み寄
だけではありません。諸外国よりも少子高齢化が
る時が来ました。先端技術だからこそ可能になる新
進む日本では、老若男女を問わないメディアの活
たな芸術表現をめざしていきます。
用、子どもたちの心の教育、快適なリハビリ環境
もう一つの主要テーマはコンピューティング。計算
などに関するニーズが既に高まってきています。
そのものを目的化せずに、人を中心に見据えた情報活
日本発の技術が世界に先んじて問題を解決してい
動をデザインする、人にやさしいインタフェースをつ
けば、それがいずれは世界標準になる。この分野
くるなど、心理学的な検討が必要な技術分野です。こ
では日本主導型の技術革新をめざし、さまざまな
の分野では、人の理性的な活動だけでなく、感性にも
分野に視野を広げています。
訴える情報処理のあり方を開拓していきます。
画素単位での可視光通信を実現するテーブル型ディスプ
レイ「EmiTable」
メディア処理技術を駆使した食事ログ解析サービス
「FoodLog」
満足できる体験をしたい、納得のいく写真をとりたいな
どを支援する行動・メディア生成ナビゲーション
リアル × バーチャル
リアルな「実世界」とバーチャルな「仮想世界」を繋いで、
誰も体験したことのない映像や体験を創り出す。例えば、360
度どこからでも見ることができる映 像を表現する 3 次元映 像
処理、3 次元ディスプレイ。実空間と仮想空間を融合した複合・
拡張現実感技術。見た目には普通の映像なのにその中に別の
情報を埋め込んだ可視光通信、照明やレンズを工夫すること
で今までは取得できなかった情報を計測するビジョン技術。カ
メラやレンズ、センサといった様々なハードウェアと、様々な
信号・情報理論やソフトウェア開発技術を駆使した、インタラ
クティブなコンテンツを創造しています。
もちろん、それらの技術を開発していく中では、基礎的な
信号・情報理論の理論的体系化、画像映像取得・符号化・検索・
教 授
編集・処理など、古そうに見えて実は新しい基礎技術の開発
Kiyoharu AIZAWA
がんばりすぎず、あきらめず。
教 授
苗村 健
Takeshi NAEMURA
座右の銘 :「鳴かぬなら鳴かせてみよう
不如帰」
「ゆっくり急げ」
「時は加速する」
【
も行っています。
相澤 清晴
カ
リ
アート×テクノロジー
キ
ュ
信号処理、画像・映像処理、ハードウェア技術などを駆使
ラ
して新たなアート作品やメディアを創る。例えば、日本アニメ
ム
のような誇張表現を可能にする 3D CG、紙面上への手描きを
】
自然に拡張する多機能印刷、映像キャラクタを手のひらに提
示する複合現実感インタフェース、漫画・スケッチといった新
【
たなメディアを対象とした検索・処理・描画支援技術。大量の
これまで電子情報学は縁の下の力持ちという印象がありまし
山崎 俊彦
Toshihiko YAMASAKI
一所懸命に一生懸命。勉強も遊びも恋愛
も全力でやりましょう。
准教授
ヒューマン ×
コンピューティング
人と計算機を繋ぐ。
「心豊かな」情報処理を実現する。単に
「すごいだけ」の技術から飛び出し、みんなが「幸せになる」
技術を開発する、未来志向の研究です。例えば、多人数が集
う場における画面共有技術や感想共有技術、ウェアラブルな
センサやカメラを身につけたり環境に埋め込んだりしてその人
の一生分のデジタル日記を取得・処理する体験情報処理、食
事やファッションといった生活に密着したデータを対象にした
【メディアコンテンツ特別講義担当】
りよいものにするためのメディア生成支援技術、物体や素材を
柔軟に判断するための機械学習や画像認識技術等々。
感性や心理といった、文系の研究分野と思われがちなテー
マを「テクノロジー」としてとらえ、研究することでメディア・コ
教 授
喜連川 優
Masaru KITSUREGAWA
】
行っており、一般の人に楽しんでもらう活動を行っています。
Media Contents
内のみならず、博物館やイベント会場などでの展示も積極的に
ンテンツの新たな学術領域を開拓しています。
Koji YATANI
Think deeply, do broadly.
た皆さんが表舞台に立って主役となるチャンスです。作品は学
メディア処理技術、ユーザ個人が生成する写真や動画などをよ
矢谷 浩司
介
に欠かすことができません。電子情報学の基礎力を身につけ
紹
た。しかし、電子情報学の知識はこれからのメディア・アート
准教授
究
センシング、処理、表現技術を追求しています。
研
写真・映像を瞬時に処理し可視化する技術。その他、新しい
研 究
Introduction
紹 介
人間とコンピュータが共存するシステムを創る
知能インタフェース
Intelligent Human-Computer Interface
人間を知り、コンピュータを考え、
の架け橋をデザインする。
両者
計算機と人間を一つのシステムととらえてみる。
すると、いま私たちが追求すべき技術のあり方が見えてくる。
脳科学から情報技術まで多彩な知見から新たな構想を生み、
その構想を実現化する思考回路を育みます。
現在のコンピュータの情報処理能力は人間を超え
私たちは、高速・高度化するコンピュータ環境や、
ているといわれます。しかし実際には、人間の無意
Web をはじめ爆発的に増殖する情報コンテンツと
識な記憶に基づいた柔軟な判断力など、人間が得意
いった物的側面とともに、それらを操る人間の認知
とする側面については、未だ足元にも及びません。
的・心的側面にも広く目を向けます。そして「コン
この未開の領域に対し、この分野は、大きく二つ
ピュータ + 人間」を一つのシステムとして考えた場
の方向からアプローチしています。一つは、人間の
合に、コンピュータの情報処理をどのように実装す
情報処理の原理を解き明かして理論構築し、コン
るのか、それを人間とどのように繋ぐのか、そして
ピュータに実装すること。昨今の脳科学や認知科学
最終的には両者の情報交換をどのように実現すれば
では、常識が非常識となり非常識が常識となる劇的
システム全体の評価関数を最大化できるのか、とい
な進展が起こっています。そうした知見をいち早く
う問いを常に追求しています。
取り入れることによって、例えば快・不快までも感覚
研究を進める上でまず大切なことは、最終的な
する新しいコンピュータをめざすことも可能です。
ゴールを常に意識した上で「今、何をすべきか、そ
一方、
「現時点のコンピュータ」
と
「人間」
という異
のためにはどんな技術を実現すべきか?」という思
種の情報処理体が共存するシステムをどのようにデ
考回路を持つことです。この分野では、個々の研究
ザインし、気の利いたインタフェースを構築するの
プロジェクトが少しずつ異なるゴールを持ち、その
か、という問いを立てるのも一つの選択肢です。五
ゴールを実現するための努力を日々重ねています。
感に対応するセンサーをコンピュータに授け、
「コン
ピュータ + 人間」というシステム全体をデザインす
ることも可能です。
CALL( Computer Aided Language Learning)
目標となる発音データと、学習者の発音のずれを分析す
る事で、効率的な発音学習を可能にする。
進化型ロボットによる協調搬送作業のようす。
発振回路の自動設計。
約 10 万年前にサルの一種が、空気振動という非常に不安
定な物理現象を使って頑健なコミュニケーション手段を得まし
た。それは音声言語です。人間は空気振動の中にさまざまな
情報を載せ(符号化)、認知(復号化)しています。本プロジェ
クトの究極目的は、この情報通信プロトコルをさまざまな観点
から解き明かし、計算機に音声言語能力を授けることです。
例えば、幼児は親の発声を真似て言語を獲得するのになぜ
親の声まで真似ようとしないのか、などといった問いから音声
に潜む構造表象を提唱しています。心理学、言語学、言語障
害学、音楽学、脳科学、生理学、進化人類学(霊長類研究)
教 授
などで交わされる言語論を網羅。それに物理学と計算機科学
Hitoshi IBA
水中ナチュラリストを目指す。研究でも
共生と多様性の視点を欠かさない。
教 授
峯松 信明
Nobuaki MINEMATSU
自分らしい問いを立て、自分らしい解き
方で攻める。研究は、自己表現です。
教 授
苗村 健
(メディア・コンテンツ)
長谷川 禎彦
Yoshihiko Hasegawa
問題の本質を見極め、情報生物学の根幹
を成すような研究をしましょう。
る知能機能を持った次世代 Web 基盤技術について考えます。
さらに、統計的機械学習理論に基づいた学習手法を使い、
膨大な Web データから意味的関係抽出、評判情報抽出、分
野適応、転置学習、深層ニュラルネットワークの研究を行なっ
ております。
進化システムと人工生命
合成生物学は 2000 年に提唱された比較的新しい分野です。
生物学的なモジュールを設計し、それらを組み合わせて自然
界に存在しない生物を作ります。
決められた振る舞いをする生物を基本モジュールから合成
する場合はそれぞれのモジュールが正しく連動して動くための
最適な設計を行う必要があります。しかし、複雑なモジュール
を組分せるためには膨大な設計パラメータ空間を調べる必要
【メディアコンテンツ特別講義担当】
があり、大変困難な最適化問題です。
そこで、様々な最適化問題において功績をあげている進化
的計算アルゴリズムを用い、合成生物学の課題に取り組んで
います。その結果、人手では組み合わせ不可能な多数の基本
モジュールを組み合わせて様々な振る舞いをする生物を設計す
ることができました。
教 授
佐藤 洋一
Yoichi SATO
】
また、テキストの意味処理を中心に、情報の意味に立ち入
介
して利用するしくみを考えます。
紹
能を追求しています。例えば、Web から価値ある情報を抽出
講 師
究
ここでは、Web という共有資産と人間の知を繋ぐ新しい機
研
に連携し、グローバルに蓄積・共有され、また共創されるよう
【
Web 上に人間の脳の記憶量を上回る膨大な情報・知識が相互
】
展してきましたが、最近では大きく状況が変わってきています。
ム
人工知能は計算機上での人間的な知能の実現をめざして進
になってきたのです。
廣瀬 明
(フォトニクス&ワイヤレス)
ラ
教 授
ュ
Web と知能機能
キ
等々。基礎から応用まで、幅広く音声言語を見つめています。
リ
分析や音声認識、音声対話システム、外国語発音学習支援、
カ
に発信しています。感情豊かな音声合成、雑音に頑健な音声
【
を掛け合わせて、より良い音声分析・認識・合成技術を世界
伊庭 斉志
Intelligent Human-Computer Interface
音声言語
コミュニケーション
研 究
Introduction
紹 介
社会のあらゆる側面をネットワーク化する
ネットワーク
Network
情報ネットワークが変わると、時代が変わる。
が変わる。社会のカタチが変えられる。
科学
例えば、世界中に張り巡らされた情報ネットワークが
使う人や使う場に合わせて、いつも最適な情報を
提供できるとしたら。この巨大な社会基盤には、
次なる革命的進化が求められています。
情報ネットワークの進化は、社会に変革を起こし得
の流通形態とコストが劇的に進歩し、それまでのパワー
るものです。
バランスや社会構造が革命的に変わりました。特に産
インターネットをはじめとする情報ネットワーク技術は
業革命の時代には科学技術の流通速度も規模も飛躍
今やあらゆる社会活動の基盤になっています。日常生
的に向上し、
「科学技術の民主化」
が実現しています。
活でも Web やメール、携帯電話などが欠かせないも
現代の情報ネットワーク技術はさらに情報の流通度
のとなっている他、皆さんが学んでいる科学技術とい
を向上させ、科学者も技術者も異分野の情報を容易に
う学問も、情報ネットワークなくしてここまで急激な進
獲得できるようになり、新しい分野やアイデアが次々と
歩を遂げることはなかったでしょう。情報ネットワーク
創造されるようになっています。つまり情報ネットワー
は、あらゆる創造活動の源ともいえます。
ク技術は、グローバル規模での「知の民主化」
「経済
情報のネットワーク化とは、個々の知識と知をメディ
の民主化」
をもたらしているのです。
アとして抽象化して流通させ、伝達・共有・加工・
この分野では、すべての産業や研究開発活動基盤と
保存を可能にするものです。
なる情報ネットワークの革新を考え、グローバルな社
人間はこれまで、情報のネットワーク化を革新する道
会貢献を進めていきます。より使いやすく、
高機能で、
具を数多く発明してきました。言葉、文字、印刷、コ
しかも信頼できる情報ネットワーク技術は、
まだまだ発
ンピュータといったものが社会に浸透するたびに、情報
展途上です。
波長多重実験ネットワーク GLIF
無給電無線センサデバイス SolarBiscuit
気象センサで収集したデータを Google Earth に表示
どこでも使える
Ubiquitous
携帯電話は今や皆さんの生活に欠くことのできないものと
なっていますが、残念ながら、建物の地階やトンネルの中など、
電波の届かない場所がまだたくさんあります。また、今後は携
帯電話やパソコンだけでなく、AV 機器やエアコン、人感センサ、
室温センサといった多くの機器がネットワークにつながって情
報交換することで、より快適な生活を送ることができるように
なると考えられます。
そこで、この分野ではこのような、
「いつでも」
「どこでも」
「ど
教 授
んな機器でも」自由に情報をやりとりすることができるような
ユビキタスネットワーク環境の実現に向けて、技術開発を行っ
浅見 徹
Tohru ASAMI
機械をつなぐ通信から人の心をつなぐコ
ミュニケーションへの脱皮が目標です。
教 授
相田 仁
Hitoshi AIDA
ぜひ大学にいる間に意欲を持って新しい
ことにチャレンジしてください。
ています。
【
カ
リ
安心して使える
キ
江﨑 浩
Hiroshi ESAKI
自身を理解し、自信を持ち、新しい可能
性と新領域を開拓してみませんか。
教 授
森川 博之
Hiroyuki MORIKAWA
技術的・肉体的労苦と愉悦から精神的輝
きを得ることをしていこう。
】
情報を含む情報資産が保存されています。ところが小型軽量
ム
携帯電話に代表される携帯端末には様々な個人情報や業務
教 授
ラ
皆さんは携帯電話をなくして困ったことはありませんか?
ュ
Secure
の携帯端末は紛失や盗難に遭う確率が非常に高く、例えば携
【
帯電話の場合、1 年で 10 万件以上も紛失しています。
研
この分野では、情報を携帯端末とネットワークに分散配置
究
し、端末が盗難・紛失した際も本人以外の利用を防ぐデータ
紹
分散配置方式と暗号化方式の研究を行っています。また、ネッ
准教授
川原 圭博
Yoshihiro KAWAHARA
小さな計画は立てず、でっかいことを考
え、そしてまずやってみる。
あなたらしく使える
For You
教 授
通信技術がどんなに発達しても、使う人にとって使いにくい
教 授
ます。
菊池 和朗
中野 義昭
(量子フォトニクス)
准教授
種村 拓夫
(量子フォトニクス)
作り上げることをめざしています。そのための要素技術として、
無線 LAN の電波の強さからユーザの位置を推定する、あるい
は携帯電話に搭載された加速度センサからユーザの姿勢や行
動を推定するといった研究を行っています。またその研究成果
をウェアラブルコンピュータのアプリケーションとして応用し、
実証実験を進めています。
Hideya OCHIAI
一人一人の力の集大成が次の日本を創り
【情報セキュリティ講義担当】
教 授
松浦 幹太
Kanta MATSUURA
Network
で理解し、提供するサービスを適切に選択・適応するしくみを
落合 秀也
(量子フォトニクス)
ネットワークでは意味がありません。
この分野では、ユーザの好みや周囲の状況をネットワーク側
講 師
】
ついても研究を行っています。
介
トワークに障害が起きた場合に影響を最小限に抑える方式に
研 究
Introduction
紹 介
未来のコンピュータを創造する
コンピューティング
Computing
これまでも、これからも、求められるのは
速 く・賢 く・頼 も し い コ ン ピ ュ ー タ 。
より
コンピュータの能力は、情報社会の基盤です。
未だかつてない優れたコンピュータを実現するために、
どんな情報処理のしくみを創造するか。
それがこの分野の課題です。
いま皆さんが使っているパソコン。
だから私たちは、かつてない「速い・賢い・頼も
10 年先も使い続けていけると思いますか?
しい」
コンピュータの開発をめざします。それは、い
今のままで満足ですか?
かなる問題をも瞬時に解決する速いコンピュータで
私たちはそうは考えません。
あり、SF にしか現れないような人間より賢いコン
今とはまったく異なるコンピュータを、何十年か
ピュータであり、どんな災害にも壊れずどんな悪
先の未来に届けたい。私たちの分野は、その実現に
知恵でも情報を盗むことができない頼もしいコン
向け、情報処理のしくみを研究し、新しいコンピュー
ピュータです。それは、皆さんの知るコンピュータの
タの開発に取り組んでいます。
概念をはるかに超えたものになることでしょう。
コンピュータの能力は、現代の新しい学問や産業、
従来と同じことをしていては、飛躍的な進化は望め
社会の発展を支えています。例えば、今や誰もが何
ません。私たちは、これからこの分野に参加される
気なく使っているインターネット検索エンジンは、
皆さんとともに、将来つくられるすべてのコンピュー
数千台のコンピュータが、百億ものページを蓄え、1
タに搭載されるような新技術を提唱していきます。
秒間に何億とやってくる検索要求を並列処理してい
画期的に進化したコンピュータに、分野と自分の名前
ます。コンピュータの情報処理能力が人間の生活を
を刻印したい。その実現をめざして、より高度な情
変えているのです。
報処理システムの形を探究していきましょう。
数百台の PC を結合したクラスタ型コンピュータ
機械学習や人工知能技術による「賢い」コンピュータの
実現
「頼もしい」コンピュータの開発のためのテストベッド
速いコンピュータ
Powerful
時折、
「コンピュータの性能はもう十分」というような意見を
耳にします。そのような意見は 10 年前にも 20 年前にもありま
した。でも現在、10 年前のコンピュータを使い続けている人
はいないでしょう。優秀なプログラマほど、今あるコンピュー
タでしっかりと動くプログラムしか書かないものです。逆に言
えば、コンピュータの高速化が約束されてきたからこそ、新し
い応用分野が広がってきたのです。私たちは、より「速い」コン
ピュータのエンジンとなるプロセッサや、ネットワーク上に分散
したたくさんのコンピュータを一つの非常に「速い」コンピュータ
として使えるようにする基盤ソフトウェアの研究を行っています。
教 授
坂井 修一
Shuichi SAKAI
田浦 健次朗
Kenjiro TAURA
素直に自分が「好きだ、はまりたい」と
思える学科を選びましょう。
カ
リ
賢いコンピュータ
は安全・安心情報処理が主な関心事。
【
専門は情報システム。趣味は短歌。最近
教 授
キ
Intelligent
ュ
「どうしてわかってくれないんだろう。頭悪いんじゃないの?」
ラ
と、コンピュータに不満を覚えたことはありませんか?これま
ム
でのソフトウェアは、どのように動作するかを詳細までプログ
】
ラムで指示するのが普通でしたが、それでは隅々まで行き届い
たシステムをつくるのは難しかったのです。私たちは、機械学
【
習や人工知能などの技術を使って、実例から自動的に動作を
研
決める「賢い」ソフトウェアの構成法を研究しています。
Yoshimasa TSURUOKA
プログラミングに興味あり?
「賢い」コンピュータを作ってみよう!
准教授
入江 英嗣
Hidetsugu Irie
紹
笑う門には福来たる。遊び心を大切に、
コンピュータをどう作る?どう使う?
介
】
頼もしいコンピュータ
鶴岡 慶雅
究
准教授
Dependable
現在の情報社会は危険がいっぱいです。ウィルスやワームに
よる攻撃、故障や災害、情報の漏えい、誤操作による損害など。
コンピュータは、私たちを脅かすこれらもろもろの恐ろしい事
象に適切に対処しなければなりません。
が完全に頼りきってしまってよい「頼もしい」コンピュータを追
求し、耐故障性を持つプロセッサやセキュアな基盤ソフトウェ
アの構成法を研究しています。
Computing
私たちは、安心・安全な情報社会の実現のために、ユーザ
研 究
Introduction
紹 介
集積回路で知性や感性をデザインする
システム・エレクトロニクス
System Electronics
ほんの小さなチップが、
か 人 間 の 思 考 回 路 を 超 え る か も し れ な い。
いつ
人間のように、見る・聴く・考える半導体チップ。
そんな先進技術もこの分野の研究領域です。
私たちは、ハード・ソフトの両面から
まったく新しい電子システムの課題に取り組みます。
システム・エレクトロニクスは、物性やデバイス・
ンサは、3 次元影像の記録再生用途はもちろん、
ロボッ
電磁気といった物理的な側面と、回路・アーキテク
トビジョンやジェスチャ解析などの、対象を認識・
チャ・ソフトウェアといった情報的な側面の両面か
理解するための技術へと発展していくでしょう。
ら成り立つ科学技術です。家電や携帯電話、自動車
また、それら複雑多岐に渡る電子システムをデザ
に人工衛星等々、システム・エレクトロニクスの成
インする手法や、デザインを検証する手法は、ます
果は既に社会の隅々にまで浸透しています。
ます広く用いられていくことになるでしょう。
例えば、この分野で研究開発している 3 次元 LSI
や新メモリは、近い将来皆さんの手のひらの上で膨
現代社会は、安全安心かつ信頼できるシステムを
大な情報を記憶・処理し、またミリ波無線通信 LSI は
求めています。この大きな課題は様々な形で皆さん
近い将来、家庭内の機器同士、そしてそれらを世界
の研究に関連してきます。この分野では、こうした
とつなぐネットワークの主役になっているでしょう。
未来の夢に立ち向かうための教育・研究を進めます。
画像の特徴抽出は既にデジタルカメラなどにも応
いつか、自分の手で生み出したアーキテクチャや
用されつつあり、今後は医療現場での診断の補助か
アルゴリズム、回路やデバイス構造が実用化され、
ら自動車の自動運転補助に至るまでその応用分野を
世界中の人々に使われる日が来るかもしれません。
広げていきます。3 次元取得向けスマートイメージセ
初期視覚チップが「かたち」と「動き」を解析し、連想
プログラム可能ハードウェアを用いて処理に適した設計を
最先端プロセス技術を用いて実現された数多くの研究成果:
速な認識を実行する
低コスト・低消費電力なシステムを実現することができる
クロ電子機械構造体を用いた新機能の実現
脳プロセッサが過去の記憶を想起することで、柔軟に迅
行うことにより、スーパーコンピュータ並みの性能を持つ
半導体基板上に集積された高性能・高機能回路およびマイ
知性を創る
炊飯器から自動車まで、幅広い機器に用いられる電子シス
テムの多くは、あらかじめ仕組まれた計算を忠実にこなすもの
で、人間でいう左脳的論理的なはたらきをしています。これま
で日々高機能化、軽量化といった進化を遂げて私たちの生活
に浸透してきました。ところが今、処理速度・記憶容量いずれ
の面でも、従来用いられてきた方式の延長では限界があると
いわれています。この分野では次の画期的進化をめざし、ユ
ニークな物性を利用したメモリや、従来平面上に構築されてき
たシステムの 3 次元化などの研究を行っています。
一方、ロボットに人間のような賢さを持たせるには、自然界
の情報を取り込み、瞬時に直感的な判断を行う右脳的なはた
らきが不可欠です。この分野では最先端の半導体技術をもと
教 授
に、写真や映像などの情報から特徴を取り出して過去の似通っ
Kunihiro ASADA
新しい世界の開拓は学んだことをすべて
疑うことから始めましょう。
教 授
藤田 昌宏
Masahiro FUJITA
コンピュータサイエンスと電子工学が融
合した技術を使って研究しています。
【
た記憶を呼び出すという、人間の右脳に近いシステムを研究し
浅田 邦博
カ
ています。
リ
キ
ュ
五感を創る
ラ
どんな電子システムも、外 界とのやり取り、つまりインタ
ム
フェースなしには成り立ちません。この分野では、いつでもど
】
こでも映像や音声などが高速にやり取りできるワイヤレスイン
【
タフェースや、実世界から直感的に情報を取り込むイメージセ
ンサ、温度センサ、また自然界からのアナログ情報をシステム
池田 誠
Makoto IKEDA
将来の頭脳を創るためのパズルを一緒に
解いてみませんか ?
准教授
名倉 徹
Tohru NAKURA
趣味はバドミントンと読書。
好きな言葉:技術は「愛」だ。
シンの開発もめざしています。
道具を創る
電子システムをデザインする時には、クリアすべき様々な課
題があります。例えば、システムが複雑化するほど単位面積当
たりの発熱量が増えるため、その省エネルギー化は欠かせま
せん。もちろん、システムの高い信頼性も必要です。
准教授
これらの高度な要求に応えるためには、システムのデザイン
を支援するツールや、より抽象度の高い言語が不可欠です。さ
た学生生活を約束しよう。
三田 吉郎
Yoshio MITA
知的・独創的・積極的・国際的な充実し
らに、デザインをシステム上で検証し、誤動作の原因を見つけ
て回避するといった検証システムも重要です。この分野では、
高度で複雑なシステムをミスなくデザインするための支援シス
テムを研究しています。
教 授
森川 博之
(ネットワーク)
准教授
飯塚 哲也
Tetsuya IIZUKA
オモシロ楽しく研究しましょう。そして
充実した学生生活を。
】
クリーンルームにおいて自らの手で創り、髪の毛より小さなマ
介
ごく微細な電子デバイス・機械デバイスを武田先端知スーパー
紹
けにとどまらず、大きさが髪の毛の直径の 1000 分の 1 という
教 授
究
この研究では、最先端の半導体マイクロチップを用いるだ
研
究を行っています。
System Electronics
で取り扱うデジタル情報に変換するインタフェースに関する研
研 究
Introduction
紹 介
光や電波でものを感知するしくみを創る
フォトニクス & ワイヤレス
Photonics and Wireless
見えないものを見つけ出す、
とシカケのある手品。
タネ
光波や電磁波には、情報を伝送するはたらきとともに
センサやレーダとして外界の情報を得る力があります。
光や電磁波が獲得する情報を、どう取り入れどう伝えるか。
物理と数理の両面を基礎に考えていきます。
皆さんが使っている携帯電話は、電磁波を使って
こうして初めて、人間には気づけないものを感知
無線通信を行います。また、最近は家庭にも光波を
し、的確に伝えることができるのです。
用いた光ファイバ通信が普及しています。1895 年
そのような素晴らしい機能は現代の「手品」とも呼
にマルコーニがワイヤレス電信を発明して以来、人
べるものです。しかし、手品にはタネとシカケが必
類はより効率の高い通信を求め、より高い周波数の
要です。タネとはモノのあり方、つまり物理です。
電磁波つまりギガヘルツ以上のマイクロ波帯や、テ
シカケはコトのあり方、すなわち数理です。このタ
ラヘルツ以上の光波の領域を開拓してきました。
ネとシカケが、新しいアイデアの基礎になります。
その一方で、光波や電磁波は、世の中の様々な情
この分野では、手品のように画期的な新機能を実
報を獲得すること、つまりセンシングにも使われて
現するため、フォトニクスやワイヤレスといった物
います。例えば、体を傷つけないで体内を見る医療
理と柔軟な数理を基礎とした、情報通信システムや
分野や気象・地震の観測、防犯や交通システムでも
センシング・信号処理システムのアイデアを生み出
活躍しています。
し、それを実現するための教育研究に深く取り組ん
これらのセンシング技術では、光や電磁波から必
でいます。私たちと一緒にハードからソフトまで勉
要な情報を上手に素早く取り出す必要があります。
強し、あなたらしい手品のタネとシカケを育ててみ
また得られた情報を、私たちが使い易いように加工
ませんか?
し、柔軟に結び付けて統合し、賢く判断することも
要求されます。
光ファイバに独自技術を加えて痛みの分かる材料・構造
物を実現する
やわらかな、やさしい電波で快適なユビキタス環境を作
り出す
フォトニクスによる生体イメージング:光を巧みに創り
操ることで、生体内部を可視化する
痛みのわかる光ファイバ
光波の干渉特性を任意に合成する独自技術「光波コヒーレン
ス関数の合成法」により、従来技術を数桁も凌ぐ空間分解能
を持った分布量センシング技術を開拓し、光ファイバ神経網の
開発を進めています。光ファイバ神経網技術により、光ファイ
バをビルや橋、航空機の翼や圧力隔壁に張り巡らせることで、
「痛みの分かる材料・構造物」が実現されます。また、相対性
理論をベースとした極限的感度を持つ絶対回転センサ「光ファ
イバジャイロ」もその草創期から研究を進め、宇宙、ロボット、
民生分野での実用へと橋渡しをしました。
感じる無線
(画像取得)を行うと、普通は見えないさまざまなものが見えて
保立 和夫
Kazuo HODATE
学びて思い、思いて学べ : 独創技術の創
成には、広範な知識と深い思考が重要。
教 授
廣瀬 明
Akira HIROSE
研究で、思う存分楽しいことができ、さ
らに人も幸せにできれば、最高です。
【
神経網を面に広げると、網膜になります。電波でイメージング
教 授
カ
きます。そのとき、位相や偏波も柔軟に上手に使うことが必要
リ
です。いわば、電波を学習する脳の機能が重要になります。こ
キ
れら電波の網膜と脳で
「感じる無線」を実現し、従来は見えなかっ
慣を大学生のうちに身につけて欲しい。
山下 真司
Shinji YAMASHITA
研究はこんなふうに進みます。暗中模索
→温故知新→創意工夫→前人未到
術では、光強度のみを変復調のパラメータとして用いていまし
技術と電子技術を融合した新しいコンセプトを提案し、光位
教 授
中野 義昭
(量子フォトニクス)
相を自在に操る技術、多値信号の復調技術、伝送に伴い劣化
した信号の等化技術などを開発しました。この新技術は、無
教 授
線通信並みに光の周波数資源を有効活用することを可能とし、
森川 博之
(ネットワーク)
現代の超大容量通信を支える有力な手段となっています。
准教授
種村 拓夫
(量子フォトニクス)
光ファイバレーザと そのパイオ・メディカル応用
低損失で広帯域な光ファイバは通信やセンシングだけでな
く、レーザ光源へも応用されています。光ファイバレーザでは
超短光パルスを高い効率で容易に作り出すことができ、また
波長を高速に掃引することも可能です。このような新しいレー
ザは環境センシング、加工、バイオ・メディカルの分野で注目
されています。私たちは、新しい超短光パルス発生法の研究
を進めるとともに、超短光パルスによる生体の3次元可視化手
法(非線形光学顕微鏡)や高速波長掃引レーザによる光断層
撮影 (OCT) 技術など、特に光ファイバレーザのバイオ・メディ
カル応用を進めています。
准教授
小関 泰之
Yasuyuki OZEKI
電子工学を武器として、物理学と生物学
の境界領域を開拓しましょう。
】
たが、私たちは、ディジタル・コヒーレント光受信機という光
介
限まで発揮させるための技術です。従来の光ファイバ通信技
“自分の頭で徹底して考える” という習
教 授
紹
コヒーレント光信号処理技術は、光の波動としての性能を極
Kazuo KIKUCHI
究
菊池 和朗
研
教 授
【
コヒーレント光通信
】
を構築します。
ム
アプリケーション技術までを包括的に考え、賢い無線情報環境
ラ
無線センサネットワークの研究を進めています。通信技術から
ュ
は、
通信でも活躍します。快適なユビキタス環境を実現するため、
Photonics and Wireless
たものを見る新しい科学技術を展開しています。またこの発想
研 究
Introduction
紹 介
光量子エレクトロニクスのパラダイムシフト
量子フォトニクス
Quantum Photonics
光情報技術の限界を打破し、
世紀の光エレクトロニクスを創造する。
21 世紀のネットワークを物理層で支えているのが光。
その潜在情報処理能力はペタビット(Pbps)レベルです。
この未開拓な資源を、次世代の通信ネットワークや光記録
光センシングに活用する研究を進めています。
21
1962 年、私たちの生活を大きく変える一つの歴
は、レーザの短波長化とディスクの多層化によって
史的な技術革新が生まれました。世界初となる半導
大容量化を実現してきましたが、ディスクに集光し
体レーザ発振の成功です。半導体レーザは、量子力
たレーザ光の反射光を読み取るという基本原理は変
学、固体物理学、電磁気学という神様が与えてくれ
わらないため、光の回折限界によって記録密度が限
た物理原則をもとに、人類が英知を結集して生み出
界に達しています。将来の超大容量フォトニックネッ
した芸術的な作品です。半導体レーザの発明を皮切
トワーク構築のためには、これまでのコンセプトか
りに光量子エレクトロニクスは飛躍的に発展し、そ
ら脱却した新しい技術が求められています。
れまでの磁気記録テープは光記録ディスクへ、電信
量子フォトニクスラボでは、光量子エレクトロク
は光通信へと変貌を遂げました。
スのパラダイムシフトを実現する数々の革新的な技
今では、光ディスク、光ディスプレイに始まり、
術を研究しています。例えば、光の回折限界を打破
光ファイバ通信網、光センシングに至るまで、私た
する「ナノフォトニクス」
、
デジタル信号処理を「光」
ちの情報化社会は「光」で溢れています。
で行う「デジタルフォトニクス」
、光の LSI(大規模
しかし今、光情報技術は大きな分岐点に差し掛かっ
集積回路)を実現する「集積フォトニクス」
。これら
ています。光ファイバ 1 本当たりの伝送容量は、研
は、ほんの一例に過ぎません。
究レベルで 1 ペタビット(1 ギガビット光ブロード
アインシュタインの光量子説提唱から 100 年、半
バンドインターネットの 100 万倍!)を突破し、光
導体レーザの発明から半世紀が経った今、確実に新
ファイバの全伝送帯域を使い尽くそうとしています。
しい「作品」が生まれようとしています。あなたも
一方、ブルーレイディスクに代表される光記録技術
歴史の証人になりませんか?
ナノフォトニックデバイスの概念図:10nm 以下のナ
ノ結晶により構成される世界最小のデバイス
InP 半導体チップ上に集積した全光フリップフロップデ
バイス
200 個以上の光素子を集積した大規模光スイッチ回路
ナノフォトニクス
100 年前のアインシュタインの光量子説が端緒となり、レーザ
が発明され光科学技術が急進展しました。将来の高度情報化・高
度福祉化社会を支えるには光技術が不可欠なので、
「21 世紀は光
の時代」と言われています。ところでアインシュタインの光量子説
の中では「光は寸法の小さな粒」とは言っていません。このよう
に光が小さな粒ではないことが、実は 21 世紀の社会の要求を満
たす光技術を実現する際の原理的限界を与えています。この限界
を打破するために光の小さな粒(近接場光)を発生させることに
成功させ、これを使ったナノテクノロジー(光デバイス、光システム、
光加工を実現する技術)、つまり「ナノフォトニクス」を研究してい
ます。具体的には、従来の光デバイスの 1/100 以下の寸法の光
スイッチ、論理ゲートなど、これまで原理的に不可能だったナノ寸
教 授
いシステム、そしてこれらを作るための、近接場光を使ったナノ寸
せんか ?
大津 元一
Motoichi OHTSU
胸躍らせ、前人未踏の地を開拓してみま
教 授
中野 義昭
Yoshiaki NAKANO
普遍的な学問・原理を身につけ、未来を
大胆に切り拓いて下さい。
【
法の光デバイス、従来の光では不可能な現象を生かした全く新し
カ
法微細加工を提案し実現しています。ナノ領域での光の本質に迫
リ
りながら、世界最先端の研究開発を進めています。
キ
ュ
ディジタルフォトニクス
ラ
近未来のフォトニックネットワークにおいて必要となる「デジタ
ム
ルフォトニクス」を数ミリ角の半導体チップ上で実現する新規光
】
集積デバイスの研究開発を行っています。フォトニックネットワー
八井 崇
Takashi YATSUI
ナノフォトニクスによって光技術のパラ
ダイムシフト実現を目指しています。
素子など、様々な革新的な光集積デバイスを提案し実現してい
ます。これらは、光信号のままでの波形再生、ビットレート・デー
准教授
タフォーマット変換などを可能にするほか、将来の光信号のバッ
ファリング、全光メモリを実現する基盤技術になります。
集積フォトニクス
パソコンやスマートフォンの内部に用いられている電子回路は、
「ムーアの法則」と呼ばれる法則に従って性能が向上しており、現
在では、チップあたりのトランジスタが 10 億個を超えるレベルの
大規模集積回路(LSI)が実現しています。一方、半導体チップ
内に微細な屈折率構造を作りこむことで、
「電子」ではなく「光子」
の流れを制御する「光の回路」を作ることができます。しかし、
現在実用化している光回路は、高々 100 個程度の光素子を集積
したもので、電子 LSI とは比べものにならない初歩的な段階です。
私たちは、より大規模な光集積回路、すなわち、光 LSI の実現を
目指して「集積フォトニクス」の研究を進めています。数ミリ角の
半導体チップに、レーザ、光増幅器、光位相制御器、光受光器
などの基本光素子を高密度に集積する技術を開拓し、大規模光ス
イッチ回路、光ビームスキャニング回路、光パケット処理回路な
どを実証しています。
「光のムーアの法則」を推進し、光エレクト
ロニクスのパラダイムシフトを実現することが私たちの目標です。
加藤 雄一郎
(ナノ物理・デバイス)
准教授
竹中 充
(ナノ物理・デバイス)
種村 拓夫
Takuo TANEMURA
膨大な情報が溢れる時代だからこそ、本
質を見極める力を身につけましょう。
】
全光フリップフロップに加えて、光非相反素子、光ルーティング
准教授
介
クデバイス」が必要になります。私たちは、全光論理ゲート素子、
紹
などのデジタル信号再生を
「光」のままで行う
「デジタルフォトニッ
准教授
究
網を形成するものです。そのためには、波形整形、ジッタ除去
研
持つペタビット以上の超広帯域を最大限に活用した大容量通信
【
行っている信号処理を出来る限り光領域で行うことで、
「光」の
Quantum Photonics
クとは、信号再生やルーティングなど、現在、電子回路を用いて
研 究
Introduction
紹 介
ナノサイエンス & テクノロジーで創るデバイス新次元
ナノ物理・デバイス
Nanophysics and Devices
材料から刷新されたナノデバイス技術が
を変える日が来る。
世界
20 世紀最大の発明といえるのが、シリコンでできたトランジスタでした。
その延長線上にはない革命的なデバイス技術を生んだ者が、
21 世紀のヒーローとなるでしょう。
それは、あなたかもしれません。
あらゆる電子機器を動かしているのは半導体集
ともいえるほどに発展してきたシリコンの微細加
積回路です。その技術の発展は、MOSFET と呼ば
工技術に加えて、化合物半導体や酸化物、有機材
れるシリコンでできたトランジスタの微細化によ
料までを一貫して扱うことのできるデバイス作製
り実現されてきました。しかし現在、微細化による
技術と、ナノ粒子やナノチューブ、DNA など微
性能向上は壁に直面していています。私たちはこの
細構造体の自己組織化現象を巧みに組み合わせた
壁を打破するため、まったく新しい形のトランジス
異種材料融合ナノ構造形成プロセスを開発。世界
タの開発や、シリコン以外の新材料の導入など、従
最高水準のクリーンルームをフル活用して研究を
来技術の延長ではない革命的な進歩を半導体素子
行っています。
にもたらすべく精力的に研究を進めています。
このような研究は、応用目的一辺倒の研究姿勢
例えば、材料技術により電子や正孔の移動速度
では限界があります。私たちは科学者として、広
を飛躍的に高めた超高速トランジスタの開発、電
い視野をもち純粋な知的好奇心に根ざした探索的
子の電荷のみならず電子のスピンを識別できるデ
なサイエンスの研究も大切にしており、理学部に
バイスの開発、さらには半導体デバイス技術と生
も負けない水準を持っています。固体物理や材料
体分子との融合をはかるバイオエレクトロニクス、
科学の深い理解に基づく既成概念にとらわれない
有機材料を用いて軽量かつ薄型の電子機器を実現
柔軟な思考が、思いもしないブレイクスルーを生
する有機エレクトロニクス、等々。これらは半導
み出すでしょう。
体エレクトロニクスの新次元とも呼べるものです。
従来のシリコン集積回路を超える次の技術。その
こうした研究に不可欠なのが、ナノメータスケー
研究分野はまさに革命前夜の様相であり、若い皆さ
ルの材料とデバイスの作製を可能にするナノサイ
んが国際的に活躍できる大きなチャンスがありま
エンスとナノテクノロジーです。わが国のお家芸
す。私たちとともにチャレンジしてみませんか?
次世代トランジスタの構造と課題
スピン自由度と量子効果を用いたデバイス
酸化物とバイオの融合
バイオに学び、模倣し、活用するエレクトロニクス
次世代トランジスタとデバイス物理
トランジスタチャネル中の電子や正孔の移動度を高めて性能
向上を図るために、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ある
いは III-V 化合物半導体といった材料を用いた MOSFET を開発
しています。さらに、光学物性にも優れたこれらの材料を用いた
光デバイスとの集積化にも取り組んでいます。加えて、究極の超
薄膜材料である遷移金属カルコゲナイドやグラフェンなどの 2 次
元材料を用いたデバイスの研究も進めています。一方でその基
礎には、デバイスにとって最適な電子物性を実現するためバンド
構造や波動関数をエンジニアリングするという発想があり、半導
体物性と先端ナノテクノロジーとの接点ともなっています。
スピントロニクス
教 授
高木 信一
Shinichi TAKAGI
デバイス・物性分野の研究では、自然と
の対話を大いに楽しむことができます。
教 授
田畑 仁
Hitoshi TABATA
“ 面白そう” からはじめよう。好奇心が
旺盛で、根あか人間、来たれ。
これまでの情報通信技術の発展は、電子の電荷を用いた半
【
導体デバイスによってもたらされ、磁性の源ともなるもう一つ
カ
の自由度「スピン」が使われることはありませんでした。この
田中 雅明
Masaaki TANAKA
二度とない若い時代です。何かを創造す
ることに全力で打ち込みましょう。
教 授
染谷 隆夫
Takao SOMEYA
フレキシブル大面積デバイスによって未
来のエレクトロニクスを切り拓きたい。
応用への指針を打ち立てています。
相や強誘電相から構成される人工格子を創製し、相共存と「ゆ
杉山 正和
Masakazu SUGIYAMA
半導体技術を発展させ、太陽光から燃料
をつくる技術にチャレンジしています。
准教授
竹中 充
Mitsuru TAKENAKA
デバイスには未知の物理が溢れています。自ら新理
論を発見して、21 世紀のファラデーを目指そう!
らぎ」が引き起こす新規物性と、柔軟でしなやかなバイオ固
有の機能との類縁性に関する基礎研究を行っています。また、
DNA 分子の自己組織化・クローニングを利用したナノ構造制
御によるバイオ分子センサ・メモリに関する研究も行います。
このように、バイオと酸化物を融合した「バイオキサイドエレ
クトロニクス」を推進しています。
有機エレクトロニクス
地球環境との調和やそこで暮らす人類との親和性を実現す
准教授
加藤 雄一郎
Yuichiro KATO
身の回りに溢れている電子技術。理解で
きれば世界の見え方が変わりますよ。
准教授
より、少しずつその新たな一面が見えてきます。
教 授
ること、豊富な元素を活用できること、環境負荷の小さな印
教 授
実現できます。たとえば、有機エレクトロルミネセンス素子の
ています。有機材料が本来持つ柔らかさを生かし、医療や福
祉など新たな応用分野への展開を進めています。
中野 義昭
(量子フォトニクス)
ディスプレイへの応用も実用化されており、有機太陽電池につ
ネル層に用いたフレキシブルな有機トランジスタの研究を進め
菊池 和朗
(量子フォトニクス)
刷プロセスで加工できるため、全く新しいエレクトロニクスが
世界最薄膜・最軽量の太陽電池の研究や、有機半導体をチャ
大津 元一
(量子フォトニクス)
炭素を中心に構成される有機分子材料は、柔らかく軽量であ
いては効率 10% に達し実用化目前となっています。最近では、
Shinobu OHYA
まさに物質との対話。じっくり取り組むことに
教 授
るために、多様な発展がエレクトロニクスに求められています。
大矢 忍
講 師
松井 裕章
准教授
(量子フォトニクス)
Hiroaki MATSUI
明確な夢は経験を積み重ねることで見え
てくる。明日に向かって挑戦しよう。
八井 崇
准教授
種村 拓夫
(量子フォトニクス)
】
ニクスを展開。生命に特有の「ゆらぎ」をキーワードに、磁性
准教授
介
に学び、バイオ機能を模倣・活用する、ナノバイオエレクトロ
紹
出される自然科学の神秘だといえます。バイオを観て、バイオ
究
工格子。いずれもプログラムされた構造に対応して機能が生み
研
生命の設計図である DNA、結晶格子を人為的に構築する人
【
ナノバイオエレクトロニクス
】
設計・作製。デバイスの試作を通して将来のエレクトロニクス
ム
技術を用いて、自然界には存在しない新物質を原子レベルで
教 授
ラ
して研究を進めています。具体的には、ナノスケールの超薄膜
ュ
デバイス、あるいはそれらのハイブリッド素子への応用をめざ
キ
しています。将来の電子デバイス・光デバイス・磁気/スピン
リ
を積極的に用いる、スピントロニクスと呼ばれる新分野を開拓
Nanophysics and Devices
分野では、次世代の半導体テクノロジーにはこのスピン自由度
研 究
Introduction
紹 介
プラズマを活用し、新世紀のエネルギーを創造する
プラズマ・エネルギーフロンティア
Plasma and Energy Frontier
プラズマは、
ルギー問題の解決の鍵を握っている。
エネ
プラズマ技術が社会に浸透していくと、
エネルギーの生産・流通・活用の形が劇的に進化します。
ナノから地球規模まで、社会のあらゆる分野の課題に
プラズマが答えを出す日が来るでしょう。
気体・液体・固体のどれとも異なり、物質の第四
かした有害化学汚染物質の効率的な分解技術、殺菌
態ともいわれるプラズマ。プラズマディスプレイや
や DNA 操作などのバイオ技術、怪我や病気治療な
半導体プロセスプラズマなどの低温プラズマから、
どの医療技術、ナノテクを駆使した新しいセンサデ
宇宙・太陽プラズマや核融合エネルギーへ利用され
バイス技術、カーボンナノチューブなどの新素材生
る超高温プラズマに至るまで、物理的にも面白く、
成技術の開発等々。人類にとってのフロンティアで
美しく、応用範囲の広い現象です。
ある、宇宙の解明や利用に伴った諸問題にも取り組
この分野では、このプラズマを道具として、エネ
んでいます。
ルギー分野を取り巻く緊急性の高い課題を対象に、
このように、21 世紀中に人類が直面する諸問題
エネルギーシステム・制御の分野と協調して研究に
を解決するには、プラズマ、放電、材料、デバイス、
取り組んでいます。具体的な研究テーマとしては、
バイオ、機器、システム、運用制御に至るまで広範
人類究極のエネルギー源といわれる核融合エネル
な技術分野を技術的ベースとし、さらに資源問題や
ギーの実用化、100 万ボルト送電や高温超電導送電
エネルギー戦略など長期展望の視点を併せ持つ総合
の利用による電力システムの大幅な効率化、さらに
力が要求されます。こうした要請に応えるべく、こ
は、社会的に取り組みが要請されている環境の保全
の分野では、電磁気に始まる基礎科目から応用科目
と改善を目的とする課題が挙げられます。
までを幅広く網羅。プラズマ、エネルギー分野のみ
一方、プラズマの応用に関する研究テーマも近年
ならず社会の幅広い分野で活躍できる豊かな人材の
広範囲に及んでいます。例えばプラズマの特性を活
育成をめざしています。
球状トカマ型核融合炉と炉心プラズマ(UKAEA)。ドー
ナツ状炉心プラズマをリンゴのように圧縮すると経済性
が飛躍的に向上する
プラズマは環境・医療・バイオ・材料・エネルギー・プラ
ズマディスプレイなど様々なところで利用されている
110 万ボルト送電試験場。世界標準の 100 万ボルト級
の電力ネットワークはここから始まった
(東京電力株式会社 UHV 機器試験場)
核融合エネルギー開発
海水の重水素から無尽蔵のエネルギーを生み出す、核融合
エネルギー。核融合反応が持続する
「人工太陽」が実現すれば、
CO2 や NOx、SOx を発生しない無尽蔵のエネルギー源として
環境問題の抜本解決になります。
いよいよ世界の 7 極協力で国際熱核融合炉 ITER がスター
トし、工学実証がはじまる中、重要な課題は、いかにその 済性を高めるかです。磁力線で作った容器でプラズマを閉じこ
める核融合炉は、磁場強度がコストに直結します。弱い磁場
で高圧力の核融合プラズマを閉じこめることができるコンパク
トな設計が求められます。我々が開発した「球状トカマク」は、
ドーナツ状の磁力線をリンゴのようにぎゅっと圧縮してコンパ
向けた原型炉開発はもう始まっています。
教 授
日髙 邦彦
Kunihiko HIDAKA
の不思議、研究の可能性は無限大です。
小野 靖
Yasushi ONO
無尽蔵のエネルギー源 : 核融合 = 人工太
陽の早期実現で環境問題の抜本解決を !
Akiko KUMADA
放電は綺麗でそして不思議で見ていて飽
きません。自然の神秘です。
応用技術の開発につなげる基礎研究にも取り組んでいます。
100 万ボルトの世界
高電圧・放電プラズマ現象は、ナノオーダから地球規模に
まで広がる諸問題の解決に活用されています。このように広範
な学問領域を究めるべく研鑽を積んだ人は、社会のどの分野
でも活躍できると確信しています。
この考え方に基づき、プラズマ技術、エネルギーフロンティ
ア技術のバックボーンとなる計測手法の開発、物理現象の解
明、現象の工学的制御、さらには新しい応用分野の創出など
に関連する研究テーマに取り組んでいます。
例えば計測技術。高電圧を取り扱うには対象の状態を把握
する計測技術が欠かせないものの、高電圧が加わった部分や
放電現象を計測するのは意外に難しく、通常の測定装置では
【プラズマ理工学講義担当】
太刀打ちできません。そこで 100 万ボルトの高電圧を安全か
つ正確に測定できるセンサや、見えない電気をレーザ光で可
視化する技術の開発を世界に先駆けて進めています。
准教授
井 通暁
Michiaki INOMOTO
小野 亮
Ryo ONO
大きなポテンシャルを秘めたプラズマ、
その可能性を追求しよう。
】
る反応をレーザ計測や反応シミュレーションで詳細に解明し、
准教授
介
たプラズマ応用技術の開発を行い、さらにプラズマで起きてい
熊田 亜紀子
紹
エネルギー・医療分野で広く研究されています。我々はこうし
准教授
究
環境負荷・高効率燃焼、次世代太陽電池の製造など、環境・
研
いという利点があります。この他にも、プラズマは癌治療、低
【
に比べて取り扱いが簡単、装置が小型、エネルギー効率が良
】
浄化技術は、従来の化学物質を用いた環境汚染物質処理法
ム
など、様々なところで利用されています。例えばプラズマ環境
ラ
バイオ、医療、高効率燃焼、半導体製造、表面処理、レーザ
ュ
す。この高い反応性を活かして、プラズマは環境浄化、水処理、
キ
性種や励起種を大量に含む、反応性の極めて高い電離気体で
リ
プラズマは電子やイオンなどの荷電粒子、反応性の高い活
カ
プラズマ応用技術の開発
【
ナノからテラ規模まで広がる高電圧現象
教 授
Plasma and Energy Frontier
クト化し、経済性を数倍に高めたもの。ITER の先の実用炉に
研 究
Introduction
紹 介
次世代のエネルギーシステムを考える
エネルギーシステム・制御
Energy Systems and Control
地球環境の美しさも、人々の進歩も幸福も
い電気エネルギーが支えていく。
新し
ここまで紹介してきたどの分野の先進的研究も、
電気エネルギーとそのエキスパートが支えています。
再生可能エネルギー、電気駆動から超電導の実用化まで、
知恵を駆使し、環境の世紀をともに生きましょう。
電気エネルギーは、機械/化学/熱/光エネルギー
や、ワイヤレス電力伝送技術の発展などにより大き
などどんなエネルギー形態にも最高効率で変換でき
く変化しようとしています。このような状況の中、
るクリーンエネルギーです。さらに近年、電力変換
エネルギーシステム・制御の分野では「電気エネル
技術の向上に伴って、電気エネルギーは非常に高い
ギー」
「制御」
「システム」をキーワードとし、プラ
変換効率と制御性を持つようになり、情報社会の根
ズマ・エネルギーフロンティアの分野と協調して研
幹を担うエネルギーになると予想されています。
究を進めています。研究領域は電気エネルギーの発
電気エネルギーの発生は、再生可能エネルギー源
生から流通/応用まで多岐にわたります。発生に関
(風力、太陽、バイオマスなど)
や分散型電源などの
しては分散型電源導入の評価など、流通に関しては
普及により今後ドラスティックな変貌を遂げるで
再生可能エネルギー源の大量導入を可能とするシス
しょう。それに伴って電気エネルギーを安定に輸送
テムや、今後実用化が期待される超電導応用機器、
する手法も従来の前提が崩れるため、新たな考え方
回生ブレーキを通じた再利用 などを研究。また応
を導入しなくてはなりません。
用研究としては電気自動車/電気鉄道の電源/駆動
また、電気エネルギーの応用でも大きな変革が起
システム、福祉機器 まで様々。身近なクルマから
こりつつあります。自動車や鉄道・船舶などでは、
地球環境、宇宙まで網羅しています。
応答が速く再現性の高い電気駆動が広範に普及して
未来社会の根幹を担うエネルギーシステムを一緒
います。情報機器や移動体へのエネルギー供給につ
に考えて行きませんか?
いても、高性能電池や電気二重層コンデンサの出現
電気自動車「FPEV4-Sawyer」
次世代 EV の駆動系と制御系を研究開発
風力発電から地球全体のエネルギー問題の解析、
更に宇宙太陽光発電まで
実用化に向けた開発が進められている
超電導磁気浮上式鉄道
電気自動車と
交通エレクトロニクス
環境とエネルギーの 21 世紀に、CO2 を減ら
し、人類が幸福な社会を持続するには、電力エ
ネルギーを賢く使う知恵が必要です。電気は様々
なエネルギーとの相互変換が可能なため、ブレー
キ時の運動エネルギーの回収やその蓄積も重要
な研究開発の対象です。また、ITS や人の流れ
の制御にもエレクトロニクスは大きく貢献します。
身近なクルマから、電車・飛行機、さらに宇
研究しています。私たちの未来のために、今な
大崎 博之
准教授
馬場 旬平
教 授
中野 義昭
Hiroyuki OHSAKI
超電導技術による革新的エネルギー
機器と高磁界応用システムの実現を
目指す。
すべきことは何か、一緒に考えていきましょう。
電力エネルギー
システム
エネルギーセキュリティ問題、地球温暖化を
文明とは物を動かすこと : 実際に旅
して運ぶ科学を考えませんか。
ルすることが大切です。風力発電、太陽光発電、
Jumpei BABA
エネルギーを自在に操る技術で未来
社会を築こう。
バイオマス発電などの地上の分散型電源から宇
電池などといった生活に身近な電気機器設備に
しましょう。そして、大幅に CO 2 排出削減可能
藤本 博志
Hiroshi FUJIMOTO
制御工学を生かした近未来 EV など、
世界を変える研究に取り組もう !
なエネルギーシステム技術を世界に発信しよう
准教授
関野 正樹
Masaki SEKINO
体に優しい磁気を使って、次世代の
医療に役立つ診断・治療機器を開発
しよう。
ではありませんか。
超電導の応用
超電導は巨視的スケールで出現する量子現象
【宇宙電気電子システム工学講義担当】
といわれ、今まさに応用へ向けた大きな展開期
を迎えています。既に現在、加速器などの科学
研究施設や医療用核磁気共鳴イメージング装置
(MRI)において、超電導技術は欠くことのでき
ない技術です。さらに、高温超電導材料・線材も、
発見から 20 年を経て実用期に入りつつありま
す。この分野では、超電導の持つ高効率・大電流・
教 授
教 授
教 授
教 授
Hirobumi SAITO
Tatsuaki HASHIMOTO
Takashi KUBOTA
Kazuyuki HIROSE
齋藤 宏文
【グローバルシステム工学講義担当】
高磁界・軽量コンパクトなどの特長を活かすた
めに、先端的応用研究を推進していきます。
環境エネルギー問題の解決に資する超電導
エネルギーネットワークや超高速磁気浮上鉄道
システムの実現をはじめ、限りない可能性を秘
めた超電導技術の応用を共にめざしましょう。
橋本 樹明
特任准教授
岩船 由美子
Yumiko IWAFUNE
久保田 孝
廣瀬 和之
】
えて、夢のある電気エネルギーシステムを構築
准教授
介
活かす。その全経路をトータルのシステムと考
紹
り、そしてヒートポンプ給湯、電気自動車、蓄
究
された電気を超電導技術や無線送電技術で送
研
宙の太陽光発電衛星までをうまく使い、生み出
【
(量子フォトニクス)
】
気エネルギーを上手に作り、送り、コントロー
本分野確立には若手研究者のエネル
ギーが必要です。共に取り組みましょう。
Takafumi KOSEKI
ム
はじめとする地球環境問題を解決するには、電
Ryuji MATSUHASHI
ラ
古関 隆章
環 境 にやさしい 知 的 な 電 気 エネル
ギーネットワークで安全・安心な社会
の実現を!
教 授
ュ
教 授
Akihiko YOKOYAMA
キ
横山 明彦
リ
松橋 隆治
100 年後のクルマとエネルギーのた
めに、今できることを考えよう。
教 授
カ
教 授
Yoichi HORI
【
堀 洋一
Energy Systems and Control
宙へと視野を広げ、夢を実現する最先端技術を
教 授
学科沿革
東京〜横浜間に日本初の電信が開通したのは明治 2 年 12 月 25 日。本学科の起源は、
その後明治 6 年
(1873 年)
に設置された工部省工学寮工学校電信科にまで遡ります。それは時代の要請を受け、当時の技術の最先端
を行く学科でした。明治 6 年、25 歳だった英国人 W.E. エアトンが初代教授となり、5 年間主任教授を務
めました。
この電信科では主に電気通信技術の習得をめざし、教育科目は数学と物理学、特に電磁気学でした。エア
トン教授は学生たちとともに日夜研究に没頭し、その成果を英国の学会誌などに次々に発表したため、電
磁気学の大家マクスウェルをして「電気学界の中心は日本に近づけり」と言わしめたという有名な伝説が
残されています。
明治 19 年
(1886 年)には東京大学と統合され、帝国大学工科大学として再スタート。この頃には電気工学
科として電信のみならず電灯、電力、電気鉄道、電話など広範な講義が開講されるようになっていました。
これは大学の電気工学科としては世界最初の学科であり、現在の電子・情報系の基礎となっています。
1871
工部省工学寮の設置
1962
工学部 3 号館の増築
1873
英国人 W.E.Ayton
( エアトン)の電信科初
1965
大学院数物系研究科から大学院工学系研
代教授への就任/第一期生入学
究科への改組
1877
工学寮から工部大学校への名称変更
1976
工学部 10 号館の竣工
1879
工部大学校第一期生卒業
1991
電子情報工学科の新設
1883
志田林三郎の日本人初の教授への就任
1995
電子情報工学専攻の新設/工学部 14 号館
1884
電信科から電気工学科への名称変更
1886
工部大学校と東京大学工芸学部との合併
1888
虎ノ門から本郷への校舎移転/志田林三
の竣工
1996
大規模集積システム設計教育研究セン
1999
大学院新領域創成科学研究科
(先端エネル
/帝国大学工科大学への名称変更
ターの設立
郎教授の尽力により電気学会
(初代会長:
ギー工学専攻、基盤情報学専攻)の新設/
榎本武揚)
の創立
高温プラズマ研究センターの設立
1897
帝国大学から東京帝国大学への名称変更
2000
大学院情報学環、学際情報学府の新設
1919
工科大学から工学部
(旧制)
への名称変更
2001
大学院情報理工学系研究科
(電子情報学専
1923
関東大震災で本館校舎崩壊
(現工学部 1 号
館付近)
2002
文部科学省 21 世紀 COE プログラムに選定
1930
高電圧実験室
(現工学部 13 号館)
の竣工
2005
工学部新 2 号館の竣工
1939
工学部 3 号館の竣工
2007
文部科学省グローバル COE プログラムに
1942
第二工学部の増設
1947
東京帝国大学から東京大学への名称変更
2008
電気工学専攻、電子工学専攻、基盤情報
1949
第二工学部の生産技術研究所への転換
1953
大学院数物系研究科
(新制大学院)に電気
1958
電子工学科の新設
1961
電子工学専攻の新設
攻)
の新設
選定
学専攻から電気系工学専攻への改組
2009
電気工学科、電子工学科から電気電子工
2013
工学部3号館の竣工
工学専攻の設置
学科への改組
【 学科のロゴマーク 】
学科のロゴマークは、
2009 年3 月に電子情報工学科を卒業した林泰子さんのデザインです。
電球のフィラメントを回転させ、
電気の「e」
を想起させる「ε」
としたものです。
「でんきのちからで あかるくてらす」
学科をイメージしたものです。
アクセスマップ
N
N
12
東京メトロ南北線
東大前駅
C
14
東京メトロ千代田線
根津駅
茶 51
東 43 BUS
【
農学部正門
工学部 10 号館
カ
通り
言問
リ
武田先端知ビル
工学部 9 号館
キ
ュ
工学部 13 号館
浅野正門
ラ
弥生門
工学部 12 号館
ム
浅野南門
】
工学部 3 号館
【
通り
不忍
工学部 2 号館
研
BUS
】
本郷通り
池ノ端門
BUS
学 01
学 07
茶 51
東 43 BUS
龍岡門
学 01
BUS 学 07
M
21
都営大江戸線
本郷三丁目駅
東京メトロ丸の内線
本郷三丁目駅
介
BUS
学 01
学 07
赤門
E
08
紹
茶 51
東 43
究
正門
都 02
BUS 上 69
EEIC 2015
電子情報工学科
電気電子工学科
2015 進学ガイダンスブック
EEIC
Electrical and Electronic Engineering / Information and Communication Engineering
東京大学工学部
電子情報工学科 電気電子工学科 事務室
〒113-8656 東京都文京区本郷7-3-1
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