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トヨタ自動車、ダイハツ工業は関西ペイントと共同で「3(スリー)ウェット
file:///C|/Documents and Settings/hayasaka.ETOS/デスクトップ/pdfsample/20041117.txt トヨタ自動車、ダイハツ工業は関西ペイントと共同で「3(スリー)ウェット・オン・ウェット塗装技術」を開発し、ダイハツの 子会社であるダイハツ車体中津工場(所在地・大分県)で採用すると発表した。3WonW方式とは、水性中塗り塗料→水性ベース→ トップコートクリアー(溶剤系)をワンベーク(1回の焼付・乾燥)で行うもので、従来の塗装工程の短縮化などにより、VOC排出量 を約70%、CO2の排出量でも約15%を同時に削減できる。これは世界で最も厳しいEUのVOC削減基準を超えた世界トップクラスの低 排出量を実現する。 トヨタグループは国内の全生産拠点での水性ベースコートの導入により、来年度にはVOC排出基準でEU水準を超える見込みにあ る。しかし、従来の水性システムではVOC排出量の削減効果はあっても、水性特有の水分を揮発させるプロセス(スプラッシュ ゾーン)の設定や焼付時間の上昇などによってCO2の発生抑制にはつながらない欠点があった。 また、塗装ラインの編成を大幅に改めなくては水性塗料の導入は困難で、それには莫大な投資とともに新たな塗装設備を入れ るスペースの確保が課題となる。このためスペース的に余裕のない自動車塗装ラインの水性転換には根本的な壁が立ちふさがっ ていた。 両立しがたい条件を整合させるには、塗装ラインをコンパクト化するしか突破口がなく、現状の3(スリー)コート2(ツー)ベー ク(3C2B)を抜本的に改める必要があった。トヨタ、ダイハツ、関西ペイントの3社は2000年よりVOCとCO2とを同時に削減できる塗 装技術の開発に着手していた。 今回開発した新技術は3ウエット・オン・ウエット塗装技術。水性中塗り塗料とクリアー(溶剤系) を新たに開発し、水性中塗 り塗料→水性ベース→クリアーをウエット・オン・ウエットで塗り重ねた後、一度に焼付・乾燥(ワンベーキング)する初の技 術。中塗りの後のベーキングプロセスが不要となり、塗装ラインの短縮が可能で、水性化に伴いVOC排出量は約70%と大幅な削減 が見込まれる。また省ベーキングによるトータルエネルギーの低減により約15%のCO2削減効果も期待される。 技術開発のポイントは、ウエット・オン・ウエット混層化による品質の低下防止にあった。レオロジーなど独自の樹脂コント ロール技術と塗装時の湿度調整によりこの課題を克服し、仕上がり品質を確保することに成功した。 更に3社は共同で世界初となる「水性1(ワン)コートソリッド塗装」を開発した。ソリッド塗装の下塗り(電着塗装)後の上塗り を水性塗料化し、1回の塗装で仕上げるシステム。 ワンコートで耐久性と仕上がり品質を確保できる。新しいソリッドタイプの水性塗料技術と塗装時の湿度調整が技術革新のポ イント。この技術によりVOC排出量を約70%、 CO2排出量を約15%それぞれ同時に低減することが出来る。 新塗装技術は、まずダイハツの子会社であるダイハツ車体の中津工場(大分県)の新ラインで導入される予定。同工場は今年 の12月から稼動する。ラインの安定性を見計らって順次他の塗装ラインへの導入も検討していく。更に今後海外の生産拠点での 導入も予定しており、自動車塗装ラインのグローパルスタンダートとなる可能性がある。 -------------------------------------------------------------------------------新塗装技術、世界に衝撃 環境面でも世界最先端を目指すトヨタグループは関西ペイントと共同で3WonW塗装システムを完成させた。関西ペイントは世界 トップクラスの水性技術を目指していることもあり、トヨタ側の方向性と合致。約4年をかけて新技術を確立することに成功。 画期的なのは、水性塗料技術と塗装技術の融合にある。関ぺを始め、日本ペイント、デュポン、PPG、BASFの有力な自動車塗料 メーカーでは水性塗料そのものは技術的に完成している。 VOC規制が実施されているヨーロッパでは水性転換が進み、米国では ハイソリッドとともに水性化へのシフトが加速している。しかし、いずれの自動車塗装ラインも水性塗料の採用に伴って、プレ ヒートゾーンなどの新たな設備プロセスが不可欠となり、塗装ラインの延長や塗装工場の重厚長大化が避けられない。 国内の自動車メーカーはVOC規制対応に苦慮している。来年春から施行されるVOC規制(改正大気汚染防止法)では自動車塗装ラ インが対象施設となることはほぼ確定しており、1年余りのリードタイムはあるものの水性転換のタイムリミットが迫っている。 設備投資を抑制しつつ、低VOC・低CO2の塗装ラインの実現には、WonWシステムの進化が求められた。関ペと日ペは既に中塗り 塗料と上塗り塗料(ベースコート)のWonWを完成させマツダなどで採用されている。しかし今回のクリアーまでを含むWonWで中塗 りとベースコートの水性採用は初めて。クリアーも数年後には水性ないし粉体塗料化される見通しにあり、スリーコートのWonW のオール水性システムも射程に入ってきた。 3社共同開発の新塗装技術に対し、他の競合塗料メーカーはこれを上回る新技術の開発に力を入れており、日本発の塗装技術が 世界を席巻する日が来るかもしれない。 file:///C|/Documents and Settings/hayasaka.ETOS/デスクトップ/pdfsample/20041117.txt [2007/07/19 11:41:28]