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詳細内容はこちら - 一橋大学イノベーション研究センター

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詳細内容はこちら - 一橋大学イノベーション研究センター
特集にあたって
大学大学院助教授五十嵐伸吾氏は、技術系スタートアッ
な応用例に言及しているため、今後スタートアップスを
プス支援を目的に設立された財団法人UFJベンチャー育
開業しようとする企業家(アントルプルヌア)たちにと
成基金に長く在籍し、日本のスタートアップスの現状を
っても有用な論文となっている。スタートアップス支援
つぶさに分析してきた実務家的研究者である。また、同
の制度基盤整備に関する最先端を紹介した、優れた論稿
氏が主宰するメーリングリスト「win-win」は、日本で
である。
最も知的かつ活発なスタートアップス関係者のサイトで
ある。五十嵐論文では、長い経験と豊富な実務情報をも
「ベンチャーキャピタリストに求められる要件」を執
とに、日本のスタートアップスの現状が分析されている。
筆されたのは、グロービス・マネジメント・スクールを
特に日本スタートアップスの「成功確率」「ベンチャ
1992年に起業し、1996年からはベンチャーキャピタリス
ー・ファイナンス」「起業家像」が、欧米との国際比較
トとしても活躍されている堀義人氏である。同氏がグロ
のうえで分析されているので、スタートアップスの世界
ービスをビジネススクール、企業研修、出版、コンテン
的な全体像を理解するうえで貴重な論稿となっている。
ツ制作、人材紹介にわたる企業グループに育成した手腕
は多くの人が認めるところだが、今回はベンチャーキャ
「日本におけるベンチャー政策の実態と展望」を執筆
ピタリストとしての経験からキャピタリストの要件を執
されたのは、1999年から2004年にかけて経済産業省経済
筆願った。ベンチャーキャピタリストは米国のビジネス
産業政策局新規産業課長、産業構造課長、産業再生課長
スクールにおいて、最も人気の高い職種の1つであるに
を務め、日本のスタートアップス振興政策に直接かかわ
もかかわらず、日本ではその要件について体系的に書か
ってきた石黒憲彦氏(現・同省大臣官房総務課長)であ
れた論稿が少ない。堀論文はベンチャーキャピタルを3
る。過去10年における日本のベンチャー支援策充実に関
つの類型に分類し、なおかつそこで求められるキャピタ
する石黒氏の果たした役割を高く評価する人はきわめて
リストの要件を簡潔に述べている。同論文はこれからキ
多い。本特集では、同氏の行政実務者としての視点から、
ャピタリストを目指す人ばかりでなく、スタートアップ
に執筆願った。以下、それぞれの論稿について簡単なイ
日本におけるベンチャー支援政策の歴史と展望が、さま
スを創業する人にも有用な論稿である。本格的な成長を
ントロダクションを書いておきたい。
ざまな実例をベースに書かれている。同論文の「おわり
目指すスタートアップスは、結局ベンチャーキャピタル
に」で述べられる、「ベンチャー輩出へのビジネス生態
のロジックを理解せずに事業展開を図ることは難しい。
The Start-ups of Japan
20世紀後半から現在の日本において、新たな産業フロ
ンティアと雇用を創出するような新規開業企業が望まれ
てきたのは、単にブームや活力論のためではなく、むし
ろ構造的なものだと思う。グローバル経済やIT革命を中
「ベンチャー企業総論」を執筆いただいた清成忠男氏
系の変革は、いまだ道半ばだが、筆者は、最後は時間と
したがって、ベンチャーキャピタルが何を考え、どこを
心とするハイテク技術の進展が、大企業やこれまでの中
は、まさに「ベンチャー企業」という和製英語の考案者
経済構造の変化が解決すると思っている」という一文は、
判断材料としているのかを理解することは、スタートア
堅・中小企業とは全く違った役割を果たす一連の新規開業
の1人であり、長く日本におけるスタートアップスの興
制度基盤が整いはじめた日本におけるベンチャー時代へ
ップ経営の第一歩なのである。
企業、すなわちスタートアップスを必要としているので
隆をリードしてきた第一人者である。法政大学総長時代
の力強いエールである。米国においてリストラと大企業
ある。それは、かつて米国のボストン連銀総裁であった
には、ビジネススクールの拡充やイノベーション・マネ
神話の崩壊からベンチャー時代が始まったように、日本
今回の特集では、日本のスタートアップスを取り巻く
ラルフ・フランダースが、1945年という早い段階に新たな企
ジメントに特化した大学院の設置など、スタートアップ
でも新たな時代はすぐそこまで来ていることを示唆する
環境変化について、以上のような第一人者たちそれぞれ
業勃興の重要性を力説して述べた状況に酷似している。
ス人材に対する高等教育の充実にも尽力されてきた。今
石黒論文である。
の視点からのきわめて有益な論稿・インタビューを集め
「米国のビジネス、米国の雇用、米国国民の繁栄は、
回の特集では過去を振り返るのではなく、むしろ知識社
自由な企業体制のもとで新しい企業が続々と生まれて
会へ移行しつつある現在こそ「21世紀型ベンチャー企業」
「新産業創造のための組織の創設」において、今、最
なぐ唯一の架け橋(One and Only Bridge)たる『一橋
くることで保証される。将来にわたって既存大企業の
が必要と説いている。知識社会とは「知識が最重要の経
も話題を呼んでいる日本版LLP(有限責任事業組合)お
ビジネスレビュー』らしい特集になったと自負している。
成長だけに依存することはできない」
済資源となる社会」であり、「自立した個人のネットワ
よび日本版LLC(合同会社)の政策理論と応用実践を詳
日本における新規開業企業はブームではなく、社会的ト
ークをベースにして企業組織が構築される」社会である。
述されたのは、成蹊大学教授宍戸善一氏と経済産業省課
レンドになった。多くの研究者、ビジネスマン、そして
スタートアップスの重要性は明らかである。今号の『一
清成論文にはそうした知識社会にあって新たなベンチャ
長補佐石井芳明氏である。両氏は今国会に提出された日
アントルプルヌアたちが日本の新たな次元を拓いていく
橋ビジネスレビュー』では、日本のスタートアップスを
ー企業が進出するであろう分野や大学を中心にした産官
本版LLP・LLC立法に直接かかわってきた当事者である
一助になれば、望外の喜びである。
取り巻く環境がどのような変遷を遂げ、今、どこに向か
学による知的クラスターのあり方が展望されている。
だけに、両組織の新産業創出における効用の法的根拠を
「米国」という言葉を「日本」に置き換えてみれば、
明示的に論述している。さらに、理論的根拠だけでなく、
おうとしているのかを、各界においてスタートアップス
の発展・興隆を身をもってリードしてきた第一人者たち
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一橋 ビジネスレビュー 2005年 SUM.
ることができた。まさに、経営学と現実のビジネスをつ
「日本のスタートアップスの現状」を分析された九州
内外にわたる豊富な事例をもとに、LLP・LLCの実践的
一橋大学イノベーション研究センター教授
米倉誠一郎
一橋 ビジネスレビュー 2005年 SUM.
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