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チリにおける太陽光発電市場の潜在力

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チリにおける太陽光発電市場の潜在力
チリにおける太陽光発電市場の潜在力
2007 年 3 月
ジェトロ・サンティアゴ事務所
1
目次
序論
Ⅰ.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
調査の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
Ⅰ.1. 全般的な目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
Ⅰ.2. 特定な目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
Ⅱ. コンサルタント業務の展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
Ⅱ.1. 業務
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
Ⅱ.2. 情報の出所 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
Ⅲ.
ソーラー発電関連機器の定義と分類
Ⅳ.
太陽光発電システム
・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
Ⅳ.1. 太陽光電発電システムの応用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
Ⅳ.2. 太陽光電システムの主な構成要素 ・・・・・・・・・・・・・・・・13
Ⅴ.
チリにおいて太陽発電関連機器の販売と据付を行う企業
Ⅵ.
太陽発電関連機器輸入・販売に関する法規
Ⅵ.1.
Ⅵ.2.
・・・・・・・・・21
・・・・・・・・・・・・・・・26
輸入税 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
製品の認証 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
Ⅶ.
輸入統計
Ⅷ.
チリにおける光電セルタイプの太陽光発電プロジェクト
Ⅸ.
チリにおいて太陽光発電プロジェクト実施の可能性がある地域 ・・・・・・39
Ⅸ.1. チリの太陽光発電に関係する公共政策 ・・・・・・・・・・・・・43
Ⅸ.2. 太陽発電推定電力と潜在的プロジェクト ・・・・・・・・・・・・56
結論
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29
・・・・・・・・・36
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61
添付資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62
略語
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63
参考文献 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64
2
序論
チリにおいては,1980 年代に行われた電力部門民営化の後,国家のエネルギー政策と首尾
を一貫して,長い期間,再生可能なエネルギーに関する技術は中立を保ち,従ってその技
術は従来型のエネルギーと対等な条件で競争することを強いられたため,主に大規模な水
力発電のプロジェクトが開発された。
1990 年代には国家農村電化プロジェクト(PER)を通じて,障壁を排除し非従来型再生エネル
ギ ー (ERNC) を 奨 励 す る 最 初 の 努 力 が な さ れ , 農 村 又 は 僻 地 に お い て 第 一 ス テ ッ プ が
1994-2000 年,第二ステップが 2000-2006 年に展開されたが,全国的に観ると国の電力事
情に与えたインパクトは微々たるものであった。
グラフ 1 において,2004 年のチリの一次エネルギー消費は石油が 35.3%,天然ガス 24.3%,
水力発電 17%,石炭 9.3%,薪その他の燃料 14%である。
一次エネルギー構成(308,000テラカロリー)
重油
薪その他
14.0%
35.3%
(99%輸入)
水力発電
重油
天然ガス
17.0%
石炭
水力発電
薪その他
石炭 9.3%
(96%輸入)
グラフ 1:
チリの一次エネルギー消費
天然ガス 24.3%
(80%輸入)
(出展:国家エネルギー委員会,CNE,2004)
1996-2006 年の平均エネルギー消費の増加は 4.5%であり,同じ期間中の国民総生産(GNP)
の成長は 3.9%あった。このことは経済成長とエネルギー消費の密接した関係を反映し,更
に国内消費を満たすためと経済成長を支えるために石油,石炭,天然ガスなどの輸入が増
加していて,国のエネルギーの海外依存性が非常に高いことをグラフ 2 に示す。
3
Participación de Importaciones en Consumo Bruto de
一次消費エネルギーに占める輸入の割合
Energía Primaria
80%
70%
60%
50%
% 40%
72%
69%
54%
48%
30%
20%
10%
0%
1990
1995
2000
2004
グラフ 2:チリ全体の消費に占める一次エネルギー輸入の増加
(出展:CNE)
電力部門は,政府のエネルギー政策に基づく技術の発達を考慮すると,従来の送電ネット
ワークに供給するためにも,僻地の農村に電力を供給するためにも,再生可能なエネルギ
ーを使用することは可能である。表 1 に 2005 年 12 月現在の全国電力ネットワークに供給
している発電方式を示す。
システム
水力
更新可能
風力
MW
%
バイオマス
MW
%
MW
%
SING
12,8
0,4
0
0
0
SIC
4.695,3
56,6
0
0
XI Región
Aysén
17,6
52,6
2
XII Región
Magallanes
0
0
Total País
4.725,7
39,4
地熱 (b)
MW
%
0
3.583,0
99,6
170,9
2,1
3.422,1
41,3
5,9
0
0
13,9
41,5
0
0
0
0
64,7
100
2
0,0
170,9
1,4
7.083,7
59,2
(a)
2006 年 12 月現在の既設発電能力(出展:CNE)
(b) バイオマスを引いたもの
SING:チリ北部送電システム,第一州タラパカーと第二州アントファガスタ1に供給
SIC:チリ中部送電システム,北は第二州のタルタルから南は第十州のチロエ島まで供給
表 1:チリの主要な送電システムのエネルギー別発電能力(a)
この表から,チリの電力の 40%以上は再生可能エネルギーによるものであるが,風力,太
陽光,20MW 以下の水力,バイオマス,地熱,波力などの非従来型の再生可能エネルギー
が送電システムに供給する電力は微々たるものであり,表 2 に示すように 2005 年の統計で
は僅か 2.4%に過ぎないが,最近このようなタイプの技術に関連した動きと市場が動き始め
ている。
4
13 州に分けられていて,近々新しい州が誕生し(第一,第十州が二つに分割さ
れる)全国 15 州になる。
1チリは行政的に
エネルギー源
水力 > 20MW
化石燃料
従来型合計
水力 <20MW
バイオマス
風力
ERNC 合計
全国合計
ERNC %
SIC
4.612,9
3.422,1
8.035,0
82,4
170,9
0,0
253,3
8.288,3
3,1%
SING
0,0
3583,0
3.583,0
12,8
0,0
0,0
12,8
3.595,8
0,4%
MAG
0,0
64,7
64,7
0,0
0,0
0,0
0,0
64,7
0,0%
Aysén
0,0
13,88
13,9
17,6
0,0
2,0
19,6
33,5
58,5%
合計
4.612,9
7.083,7
11.696,6
112,8
170,9
2,0
285,7
11.982,3
2,4%
表 2:送電システムにおける異なる発電技術別発電能力
(単位:MW)2006 年 12 月(出展:CNE)
非従来型再生エネルギー(ERNC)技術の導入が非常に少ない理由は,技術的・経済的な一連の
ファクターによるものであるが,一番大きな理由は従来型の発電に比較して競争力が低い
ことである。例外として水力発電があるが,それはチリ独特の地形によるもので短い距離
の間に大きな落差がある(山脈と海との距離が近い)ためである。それよりは少ないがパルプ
工場又は製材所などが廃棄物であるバイオマスを燃料とするコージェネ又は熱源とするプ
ラントが建設されている。しかしながら,環境保護という国策による推進と,先進国にお
ける ERNC 発電技術のたゆまない発達により,近い将来にこのようなタイプのプロジェクト
に対する最適な投資環境を醸し出す可能性がある。
常に供給電力を増大(経済成長が続く発展途上国独特の現象)する中,70%以上に及ぶ一次エ
ネルギーの非常に大きな海外依存性,それに加えて天然ガスの唯一の供給国であるアルゼ
ンチンのチリに対する供給制限,石油価格の高騰,石炭炊きや大規模なダムのような従来
型発電の環境インパクトに対する社会の圧力などが重なって,経済成長を脅かすエネルギ
ー危機を引き起こす潜在的な可能性があるということから,近年チリの電力事情は変化し
つつある。
それらを反映して 2004 年以降,電力法を改正し省エネを推奨している。それを次に示す:
✔
2004 年 3 月 13 日付けの「電力法」(法律第 19.940 号)では地熱,風力,太陽光,バイ
オマス,波力,小規模水力などの非従来型発電余剰電力が 9MW 以下の全てのプロジェ
クトの主要送電網通過料の支払いを免除。9∼20MW までのものは一部支払うという規
定を入れた。
✔
2005 年 5 月 19 日付けの「電力法Ⅱ」(法律第 20.018 号)では発電・配電の競争を半統制
して,その部門の投資を保証し,ERNC の使用と省エネを推奨している。
✔
2005 年 4 月 8 日にスタートした省エネ国家プログラム(PPEE)は ,チリにおける省
エネの推進と推奨プログラムを規制,奨励,普及,教育などを含めて定義付けた。
✔
2005 年以降,産業振興公社(CORFO)と国家エネルギー委員会(CNE)は 非従来型再生
エネルギー(ERNC)奨励プログラム,特に投資事前調査経費の共同融資プログラムを
実施している。
✔
2007 年 3 月 28 日に政府は環境省を設立し,大臣を任命した。
5
✔
2007 年 3 月 28 日に政府はエネルギー大臣を任命した。
✔
2007 年 4 月 4 日に政府は ERNC 使用を奨励する法案を国会に送付したが,その内容は主
に ERNC の使用を奨励するもので,SING と SIC のシステムにおいて電力を販売する企業
(発電企業)がシステム内で販売される電力の 5%に相当するものを ERNC により供給する
というものである。
更に,2006 年 8 月にはチリの電力部門のプロジェクト向けに「クリーン開発メカニズム
(CDM)ガイドブック」を CNE と国家環境委員会(CONAMA)がドイツ技術協力事業団(GTZ)
の支援の下に刊行したが,それは京都議定書により確立された CDM 市場を推進する政府の
意思を示すものである。
前記のような政策は維持可能な再生可能エネルギー安全計画(PSE)という大統領命令の枠
内に入るもので,エネルギー源を多様化し,自立性を向上し,省エネを奨励するもので,
政府の目標は 2006-2010 年までに建設する発電能力の 15%を非従来型再生エネルギー
(ERNC)で発電するというものである。
従って,環境インパクトが低くく枯渇しないこのような技術を奨励し,一次エネルギーの
パターンを多様化するために,初めて差別待遇が行われるようになったのである。
このような背景と太陽光の利用(添付 1 参照)という観点からの,特にチリ中部・北部の有利
な気候条件を考慮して,JETRO サンチャゴ事務所は,チリの太陽光発電において日本の企
業が参加できるような潜在能力と市場を調査することに大きな関心を持っていて,それが
当調査の分析テーマである。
6
Ⅰ.
調査の目的
Ⅰ.1. 全般的な目的
チリにおける太陽光発電プラントの現状を把握し,市場の潜在性を明らかにすること。
Ⅰ.2. 特定の目的
◍ チリにおける太陽光発電プラントのビジネスチャンスを分析すること。
◍ 情報を提供することにより,チリの市場に太陽光発電プラント関連の技術と製品の供給
を奨励すること。
7
Ⅱ.
コンサルタント業務の展開
Ⅱ.1.
業務
コンサルタント業務は,最低次のような業務を行わなければならない:
1.
ソーラー発電と関連する機器の分類の定義。
2.
製品(ソーラー発電関連機器),国,金額,数量(ユニット)別の 2001-2006 年の輸入
統計。
3.
製品の金額,数量,シェアーを含めたメーカーと輸入業者別の 2003-2006 年の輸
入統計。
4.
チリにおいてソーラー発電関連機器販売と据付に従事する企業(企業名:Solarco,
Solener, Soltec など,投資家,製品,ブランド,代理店,電話,Fax,メール,財
務経歴/DICOM)。
5.
ソーラー発電関連機器の輸入と販売に関する法律(関税,輸入・販売に関する制限の
有無)。
6.
チリにおける太陽光発電タイプのプロジェクト(刊行物など)。
7.
Ⅱ.2.
チリにおいて太陽光発電プロジェクトを実施できる可能性のある地域:
・プロジェクトを実施する利点(日照時間,地理的条件,通関上の利点,商業慣習上
の利点:透明性,低焦げ付きリスク)。
・太陽光発電関係の公共政策:プロジェクト実施の奨励(助成金制度及び太陽光発電
政策と関係ある機関の存在の有無),このテーマにおける公共,民間機関の担当者リ
スト。
・太陽光発電の推定電力と公共,民間の大規模プロジェクト実施の潜在的部門(A:
ワイナリー,B:その他の農牧部門,C:住宅,D:ビル,E:生産施設,F:公共
施設,G:その他)。
情報の出所
当調査に使用した情報の出所とアクセスは次のようなものである:
1.
輸入の数量,金額,国:JETRO サンチャゴ事務所のホームページから統計を入
手する。
2.
チリの輸入金額,メーカー・輸入業者別市場シェア:JETRO サンチャゴ事務所の
ホームページ,インターネット,関連企業にインタビュー。
3.
サンティアゴ市商工会議所(Portal Comex Online)。
4.
チリのソーラー発電関連機器取扱い企業の輪郭:インターネットで探す,関連企
業にインタビュー,DICOM の報告書を申請する。
5.
ソーラー発電機器の輸入と販売に関連する法規:インターネットで探す,該当す
る公共・民間機関に相談する。
8
6.
チリにおけるソーラー発電プロジェクト:SEIA のホームページで探す,該当する
公共・民間機関(CNE, CORFO)に相談する。
7.
チリ農村電化プロジェクトの地図(http://www.cne.cl/mapa/per.php)。
8.
チリ農村電化プログラム(http://www.renovables-rural.cl)。
9.
報 告 書 ( チ リ の 農 村 電 化 及 び 再 生 可 能 な エ ネ ル ギ ー の 役 割 )
http://www.ugm.cl/ugmnews/pdf/faceituno.pdf
10. チリでソーラー発電プロジェクトを実施する潜在的な部門:報告書(チリの太陽熱
発電市場調査),関連公共機関 (鉱業・エネルギー省,CNE, CORFO,パイス プ
ログラム)及び民間団体に相談及びホームページで探す。
9
Ⅲ.
ソーラー発電関連機器の分類と定義
太陽から発生するエネルギーを太陽エネルギーと称しているが,我々が使用している大部
分のエネルギー源は太陽にあり,例えば化石エネルギー(石油,天然ガス,石炭に代表され
る),水力(水力タービンで発電できる),風力(風)なども化学的又は運動エネルギーを使用す
るが,いずれも元は太陽光線から創り出されたものである。
図 1:太陽エネルギー捕獲の形
現在は化石燃料によるエネルギーの不足と消費の増大,それに環境保護の心配などが相ま
って,更新可能なエネルギーの使用が増えていることが観察されるが,その中の最たるも
のは太陽エネルギーであり,その発生源は太陽内部の核融合と称する現象によるもので人
類の尺度では無尽蔵である。太陽から放出される膨大なエネルギーは,宇宙のあらゆる方
向に照射され太陽光線として知られていて(電磁波の組み合わせ),その内の極一部が地球に
届き,それがキャッチされて次のように色々な利用をされている:
─
─
─
─
─
─
製品の天日乾燥
太陽熱温水器
太陽炉と調理
太陽熱蒸留
受動的システム
太陽光発電
当調査はこれらの応用の一つである発電に焦点を当てたものであり,現在は太陽エネルギ
ーから電力を得る方法は基本的には二つある:
太陽光発電システム:太陽光線の「光子」が衝突することによって電子を放出する
結晶体又は非結晶体により太陽光線を直接に電気に変換するシステム。
b) 太陽熱発電システム:太陽光線を従来の熱電気の形で適用するもの。即ち,石油,
天然ガス,石炭,原子力の代用として使用するもの。そのためにコレクターを使用
し,通常は熱力学を応用して液体を過熱して発電する。
a)
当調査は,世界的に商業ベースを確立した技術であり,他のタイプの技術と競争できる太
陽光発電システムに的を絞る。太陽熱発電システムは未だに研究・開発段階にあり,発電コ
ストが高く既存の電力市場において競争できないからである。
10
Ⅳ.
太陽光発電システム
光電導性太陽エネルギーとは光電導性効果と称する現象を応用した一種の太陽エネルギー
であり,半導体と称する物質に光線が照射した際にその物質の内部に電子の流れが発生し,
適当な条件下においては利用できるだけの電圧が発生する。
その他の再生可能エネルギーと同じように,光電導性太陽エネルギーは非常に限られた環
境インパクトが特徴であり(この場合ほとんどなし),人類の尺度では無尽蔵である。それに
加えて太陽光発電システムからは非常に高品質なエネルギーが得られ,その発電工程はメ
ンテも人手もほとんど必要ない上に全く無音である。
太陽光発電システムは静かに,着実に日常生活のあらゆるところに代替不可能な電源とし
て入り込んでいる。その重要性は非常に大きく,誰もソーラーパネルを展開しない人工衛
星を想像することはできないだろうし,何十もの応用があるので,誰も電卓,時計,玩具,
交通信号機,遠隔通信などが太陽光発電で機能していることなど気が付かないだろう。し
かしながら,太陽光発電システムが最も華々しく普及したのは僻地の農村の住居,農場,
村落などの電化であり,その他の方法ではまず不可能である。このような経験から現在の
ように技術が向上し様々な分野での応用ができるようになったのである。
他のタイプのエネルギーと比較して,太陽光発電システムは全く外部からの供給(燃料)を必
要とせず,その他の資源(水,風など)も必要としないという利点を有している。
近年,太陽光発電はネットワークに接続され統合されることにより,新しい前向きの一歩
を踏み出した。ヨーロッパ,アメリカ,日本,スペインなどの国においては,ネットワー
ク又はシステムへの貢献が毎年重要性を増しているが,それは全て環境保護的発電に非常
に関心を持つ政府の助成金制度の下で行われている。
従って,この技術は農村における利点を示しているが,近年,幾つかの先進国においては
この技術の広範な応用が実証されている。
Ⅳ.1. 太陽光発電システムの応用
太陽光発電システムの応用は大きく3つのグループに分けることができる:
a)
自主的太陽光発電システム:従来の送電線ネットワークがアクセスできないよう
な場所又は電気の供給が不規則な地帯への給電に使われる。その応用範囲は農村
の住宅,設備又は通信,信号,警報など様々なシステムなどである
b)
送電ネットワーク接続太陽光発電システム:大電力の光電発電所,及び小規模の
家庭用又は産業用。
c)
最後は特殊な個別機器などに電力を供給するもので,それには人工衛星から携帯
用の時計,電卓などがある。
当調査においては c)のグループは対象とせず,a)と b)のみを対象とする。
a) 自主的太陽光発電システム:
自主的太陽光発電システムの主な応用は次のようなグループに分類することができる:
11
◍ 住居及び公共施設の電化,これには僻地の恒久的な住居,一時的な住居,自動
点火式街灯,公園,自然保護地などの観光地の電化,山の避難小屋などが含まれ
る。
◍ 農業,牧畜への応用,これには農村の住居電化と同じものであるなしにかかわ
らず,揚水ポンプ,灌漑施設,温室照明,養鶏場の照明,搾乳,冷蔵,用水浄化
などが含まれる。
◍ 標識と通信,この分野の需要は増加していて,航空,航海用の標識(灯台,標識
灯,ビーコン),ハイウェイと鉄道の標識(信号,標識),ラジオとテレビのリピー
ター,電話,無線電話のリピーター,観測台のデータ送信,標識とアラームなど
がある。
◍ 特定な応用,例えば環境的な応用で水の酸素供給,ガスパイプラインの陰極電
解保護,宇宙での応用,水素の生産又は電気自動車の電源,その他多くの応用が
あり,その汎用性により太陽光発電システムの応用範囲は広がっている。
b)送電ネットワーク接続太陽光発電システム:
送電ネットワーク接続太陽光発電システムについては,大きく二つのグループに分ける
ことができる:
◍ 大電力太陽光発電プラントのことで,出力は数百キロワットに及びその出力は
全て送電網に供給するもの。そのグループの中に特別なケースとして支援発電所
というのがあり,配電ラインの最後に接続されていて,そのラインに接続してい
るユーザーの電力事情を改善するものである。
◍ 送電ネットワークに接続されているビルで,発電設備を送電網に接続し,電力
の消費者でもあり(機器が設置されている上にある施設,又は自分の住居),余剰
電力を送電ネットワークに売却するもの。
次の図に太陽光発電システムの主な応用例を示す:
農村電化
ポンプ揚水
送電網無接続の
応用例
通信
自動点火照明
太陽光電
エネルギー
信号と警報
その他職業的応用
送電網接続の
応用例
光電発電所
ビル内自家発電
図 2:太陽光発電システムの応用
12
Ⅳ.2. 太陽光発電システムの主な構成要素
太陽光発電システム利用に関連する技術的な面の中で,設備自体の技術的な要素,最も一
般的な応用例,ケースごとのニーズに応じた適応,そして異なるシステムの機能する原理
などを考慮しなければならない。
太陽光発電システムは太陽光線のエネルギーを直接に電力に変換することができるので,
電気を使うあらゆる機器に電力を供給することができるが,唯一の制限要素は発電量であ
る。この直接変換(動く部品なし)は光電モジュールと呼ばれるソリッドステートの装置を通
じて行われ,これはあらゆる太陽光発電における不可欠なユニットである。
a) 自主的太陽光発電システム:
自主的太陽光発電システムは次のような要素から構成されている(図 4 参照):
◍
◍
◍
◍
◍
◍
◍
◍
ソーラーパネル
負荷レギュレーター
バッテリー
直流・交流変換機(インバーター)
プロテクター
電線とコネクター
補佐要素
負荷又は消費
レギュレ
ーター
直流負荷
発電機
電池
インバータ
交流負荷
図 4:自主的太陽光発電システム
技術面の中で現在研究中のセルと集中システムに触れておく必要があり,それは効率が著
しく向上するので,比較的短期間に市場にリリースされヒットする見通しである。集中シ
ステムには二種類ある:
◍ 静止式。即ち,太陽の動きを追跡せず,主に反射鏡,二相性セル,組み合わせ
式パラボラ集光機を使う。
◍ 可動式。即ち,反射鏡により光線を集中できる太陽光追跡式。
13
a.1)
ソーラーパネル:
太陽のエネルギーは電磁波の形で地上に届く。光線を電気に変換するのは光電セルである
(図 5 参照)。セルは物理・化学プロセスにより半導体として機能する。
図 5:光電セル
光電セルは半導体であり,一般には処理した珪素の薄い板からなり,太陽光線を当てると
表面と裏面の間に電位差又は電圧を生ずる。ソーラーパネルを生産するための基本ユニッ
トである。
光電セルを電導体で直列に接続するとパネル又はモジュールと呼ばれるものになる。ソー
ラーパネルはこの太陽の光線エネルギー直接に直流に変換する。
必要な電力に応じて異なる数の光電セルを接続したソーラーパネルがある。このパネルは
屋外の天候に耐えるためにアルミの枠と硬質のプラスチックで構成されている。
ソーラーパネルは特定な数の光電セルにより構成され,セルは光線の照射を受けると電流
を発生するような半導体から成っている。
図 6:ソーラーパネル
パネルの生産には高度な技術が使用され,市場に出回っている光電パネルの原料は主に珪
素であるが,その他にも砒酸ガリウム(AsGa),テルル酸カドミウム(CdTe),ジセレン酸銅
インジウム(CuInSe2 CIS)なども使われている。物質の結晶構造の面から見ると,セルは単
結晶型,多結晶型,非結晶型に分類できる。
製造技術の面から見ると,珪素のオブラートから製造される結晶珪素型と真空蒸着技術に
よって製造される薄膜型がある。
現在は世界で生産される光電セルの 90%は珪素をベースにした単結晶珪素型と多結晶珪素
型が支配しているが,需要と生産の増大により光電セル市場は原料の在庫に大きく依存し
ている。そのため原料の効率的な使用を目指して新しい工程技術の開発を進めていると同
14
時に(更に薄い結晶からなるセル,切断工程の改善,切断工程における原料の損失を防ぐセ
ルと同じ厚さの珪素成長),同様に安価な基板(プラスチック,ガラス)に薄膜を蒸着した新
しい材料の使用も研究されている。
薄膜型セルの製造にも最も重要な原料は非結晶珪素,多結晶珪素,テルル酸カドミウム
(CdTe),ジセレン酸銅インジウム(CuInSe2 CIS), 砒酸ガリウム(AsGa)などである。
技術のタイプ
変換効率
%
実験室最高効率
%
単結晶タイプ
15,3 – 17,5
24,8
シリコン多結晶タイプ
13,5 – 15,0
21,0
シリコン非結晶タイプ
5,0 – 7,0
12,0 – 16,0
集中用セルタイプ
25,0
29,0 (Si) – 36,0 (GaAs)
シリコン薄板タイプ
8,0 – 11,0
16,0
表 3:技術のタイプと効率,出典:エネルギー・環境・技術研究所(CIEMAT)
a.2)
負荷調整器:
太陽光線の強度は一日,一年を通じて変化し,電力の消費はその変化と平行しないので発
電した電力を貯蔵する必要がある。
負荷調整器は電子装置でその機能は光電モジュール,バッテリー,電力消費要素間の直流
電流を調整することと,バッテリーを過充電,過放電から保護することである。即ち,負
荷調整器はソーラーパネル(又はその集団)からバッテリー又は電力消費要素への直流を調
整することである。
こうすることによりバッテリーが保護される。というのもバッテリーはその最大定格電圧
を超える充電をし,最低電圧以下に落ちるような過放電をするとその有効寿命が著しく短
縮するからである。
過充電から保護するために負荷調整器はパネルからの電流を断続し,バッテリーの定格最
大充電電圧を超えないようにする。この最大電圧はバッテリーが設置してある場所の温度
によって変化するので,最適なレベルに充電できるように,負荷調整器の種類によっては
温度補正装置を内蔵したものもある。
バッテリーを過充電,過放電から保護するために,大部分の負荷調整器はバッテリーの電
圧が最低(通常 11.5-12V)に達すると直流の消費電流を切断する装置を内蔵していて,過放電
によるダメージから保護している。この装置を LVD (Low Volt Disconnecting)と呼ぶ。
バッテリーを過充電,過放電から保護する他に,負荷調整器はバッテリーの充電状態表示
の機能も持っている。
a.3)
蓄電池又はバッテリー:
太陽光発電システムにおけるバッテリーの機能は,パネルが発電する電力が需要よりも低
い場合に,負荷に対して電力を供給することである。
15
バッテリーの3大機能は次のようなものである:
◍ 太陽光線の照射が全く無いか少なくてパネルが発電しない時間に,消費回路に
電力を供給すること。
◍ パネルの最大発電電力を超える需要がある消費のピーク時にその需要を満たす
ことを保証する。
◍ パネルの故障又は気候条件が悪くてパネルの発電がない,もしくは一日の消費
電力を満たすことができない場合に,何時間か自力で電力を供給する。
日中にソーラーパネルが太陽から受けたエネルギーを電気に変換したものは,必要な時に
使うために蓄電しなければならない。例えば日中に蓄積されたエネルギーを夜間の証明に
使うためにはバッテリーに蓄電しなければならない。
バッテリーの端子に直流を加えると,その電圧がバッテリーの電圧よりも高い場合にはエ
ネルギーを蓄積(充電)する。バッテリーの端子に負荷又は抵抗を接続するとバッテリーはエ
ネルギーを引き渡す(放電)。
ソーラーパネルシステムの場合には全く同じ現象が起こる:ソーラーパネルはバッテリー
の最大電圧よりも高い電圧を発電し,その電圧はレギュレーターを通じてバッテリーの端
子に加えられ,バッテリーは日中に充電される。夜間照明を点灯するとバッテリーは日中
に蓄積した電力を徐々に放電しエネルギーを消費して行く。
夜間に消費する電力が日中に蓄積されたエネルギーよりも大きいこともあるが,その場合
にはバッテリーは益々放電し,需要を満たせない状態に達する。そのような場合には電力
の消費を制限するかソーラーパネルを追加して発電能力を増大するか,さもなければバッ
テリーを増やして蓄電能力を増大する。従って,プロジェクトを実施する前に然るべき調
査をすることが大切である。
a.4)
直流・交流変換機(インバーター) :
既に見たように,ソーラーパネルはバッテリーを充電するのに適当な,定格電圧 12V 又は
24V の直流を発電する。そのためにソーラーパネルシステムは通常,12V, 24V, 48V に設計
し,ソーラーパネルシステム用の機器(照明,ポンプなど)は 12V で機能する。しかしなが
ら,特に大きなシステムでは交流 220V の標準機器を使用する必要がある。インバーターを
使用することによりそれが可能である。
インバーターは電子装置で低圧の直流(12V, 24V, 48V)を高圧の交流(220V,110V)に変換す
るものである。
ソーラーパネルは直流の電気を発電するが,中型,大型の機器は一般の家庭に供給されて
いる交流 220V を必要とすることが多いので,チリでは直流を標準の交流 220V, 50Hz に変
換するためにはインバーターを使用する。
a.5)
計装,保護回路,配線,接続:
ソーラーパネルシステムは少なくとも,システムの主なパラメーターを計測し設備が正常
に機能しているかを確認できるような計器を装備していなければならない。汎用計器又は
個別計器で必ず測定しなければならないパラメーターは,パネルから発生する電圧,バッ
16
テリー充電インジケーター,負荷回路の電圧などである。
同様に,故障又は誤操作の際にユーザー及び機器を保護するための装置も内蔵しなければ
ならないが,それには負荷側のショートから保護するヒューズ,バッテリーを過充電,過
放電から保護する装置,ユーザーを保護する装置などがある。
更に,機器接続と送電用の電線を考慮することが必要である。
計器:
最大性能を発揮するためにはソーラーパネルシステムは,最低,システムの主なパラメー
ターを計測し設備が正常に機能しているかを確認できるような計器を装備していなければ
ならない。汎用計器又は個別計器で必ず測定しなければならないパラメーターは,パネル
から発生する電圧,バッテリー充電インジケーター,負荷回路の電圧などである。
保護装置:
故障又は誤操作の際にユーザー及び機器を保護するための装置も内蔵しなければならない
が,それには負荷側のショートから保護するヒューズ,バッテリーを過充電,過放電から
保護する装置,ユーザーを保護する装置などがある。
◍ スイッチと交換器:
ソーラーパネルシステムに使用するスイッチと交換器でセットに含まれていないものは,
電気法規の低電圧設備の規定を遵守したものを使用しなければならない。
回路とソケットはスイッチが開いている時には絶縁されるように,スイッチはプラス側又
は回路を開閉する側に設置しなければならない。
スイッチ類は壁又は天井のような固定されたたベースに取付けなければならず,宙吊りの
配線は許可されない。
直流回路で使用するスイッチは直流用に設計されたものでなければならない。特に定格電
流を開閉できるものでなければならない。
◍ ヒューズとホルダー:
全てのソーラーパネルシステムは充電調整器とインバーター及び負荷回路の間にヒューズ
を入れなければならない。
ソーラーパネルシステムに使用するヒューズとホルダーでセットに含まれていないものは,
電気法規の低電圧設備の規定を遵守したものを使用しなければならない。
ヒューズは負荷回路がショートした時にその回路の電流を遮断するようなものを選ばなけ
ればならない。
ヒューズの容量の計算はシステムの許容最大出力電流に従って,全ての消費電流を加算し
て行う。
バッテリーとそれに接続されている機器とバッテリー保護装置の間には,プラス端子に最
も近い位置にヒューズを入れなければならない。このヒューズの容量はバッテリーに接続
されている機器の許容最大電流を基準にして計算する。
17
過電流保護用ヒューズは次のような回路に必要である:
✔
パネルと充電レギュレーターの間:充電レギュレーターの最大入力電流と同じ
容量のヒューズが必要。
✔
充電レギュレーターとバッテリーの間:充電レギュレーターの最大出力電流と
同じ容量のヒューズが必要。
✔
バッテリーとインバーターの間:インバーターの最大入力電流と同じ容量のヒ
ューズが必要。
✔
配電回路:その回路に接続されている各機器の最大消費電力の合計と同じ容量
のヒューズが必要。
電線と接続:
送電用に使用するケーブルには,電気法の高圧,低圧設備の規定をクリヤーした製品を使
わなければならない。
送電用に使用するケーブルを選ぶ際には送電電流に耐える容量,ショートしたときの電流
に耐える容量,気候条件の変化に耐えるような機械的な強度などを考慮すること。
配線の接続点及び分岐点は絶縁テープ,合成樹脂,又はその他の適当な材質の製品によっ
て絶縁すること。
配線の接続点及び分岐点は機械的な張力を受けてはならない。
断面積 10mm2 までの電線はターミナルを使わずに,直接に機器又は端子に接続することが
できる。それ以上の断面積の電線の場合には適当なターミナルの使用が必要であるが,タ
ーミナル不要な設計の機器の場合にはこの限りではない。
ソーラーパネルシステム設置用の電線は次のような色分けをしなければならない:
直流の場合にはプラス側,交流の場合には位相側は赤色を使う。マイナス側又はニュート
ラル側は黒又は青色を使う。保護用のアースは白色又は緑色を使わなければならない。
a.6)
その他の装置:
ソーラーパネルシステムの電気的な特徴によると電流は光線の強度につれて増大するが,
電圧はほぼ一定に保たれる。このような効果を知ることは大切である,というのは太陽光
線の地平線に対する角度は一日のうちに常に変化するのでパネル適当な位置に設置するこ
とは大切であり,一日の内,又は一年の季節に応じてその角度を変えることもできるから
である。
一例を挙げると,晴天の日の正午の日照エネルギーは 1000W/m2 に相当し,曇天の日の日
照は 100W/m2に相当する。
上記に指摘するように,ソーラーパネルシステムの重要な補助装置の一つは,パネルを支
える支柱である。これは気候の変化に耐えてパネルをしっかりと固定すると同時に太陽光
線を十分に利用するために方角と角度も考慮しなければならない。
18
大気中の要素(風,雪など)は構造物に対する機械的な荷重の他に使用されている材質にも影
響することがある。
パネル据付の際のもう一つの重要な点は,太陽に対する位置である。一年間を通じて変化
する太陽の位置と,それがパネルに与える日照量に大きく影響することを考慮することで
ある。
パネルの位置は,方角と傾斜という異なる二つの角度に基づいている。
パネルの方角は,一年を通じての日照を最大限に利用できる唯一の方角である北(南半球の
場合)に向けるべきである。最も適した方角を決めるために勧められることは,太陽の進路
を記した地図の上に一日の間太陽光を妨げて日陰をつくる可能性のある障害物を記入する
ことである。原則として,日の出後の 2 時間,又は日没前の 2 時間の間に日陰をつくる障
害物は問題とみなさない。
太陽からの光線をパネルが受けるエネルギーは主に地表との傾斜角度に依存する(太陽光線
がパネルに当たる入射角が重要であり,直角が最良でそれからずれるに従って減少する)。
機械的な太陽追跡機(tracker) :
光電セルの発電量が最大になるのは,太陽光線がセルの表面に直角に当たる時である。し
かし,一日のうちに太陽は地表に対して水平にも垂直にも移動するので地上に固定された
光電セルへの入射角も変化し,何時も最良ではない。その欠点を改善し各光電セルの発電
量を最大にするための一つの方法は,ソーラーパネルを機械的な太陽追跡機又は Ttracker
と呼ばれる装置の上に据え付けることである。
トレッカーはパネルを支える台でモーターにより水平に,あるものは垂直にも回転でき,
光線センサーにより操作され,一日中太陽光線をほぼ直角に受けるように回転する。
この装置はコストが非常に高いのであまり使われていないが,一年中発電された電力を利
用する大規模なソーラーパネルシステムを有するプラントは使用している。
最大出力点追跡機:
最大出力点追跡機は電子装置でソーラーパネルの出力電圧を,パネルに接続されている負
荷に必要な電圧に調整し,パネルの出力電力に相当する電圧 X 電流(I-V)を最適化する。
b).
送電ネットワークに接続されたソーラーパネルシステム:
送電ネットワークに接続されたソーラーパネルシステムは次のような要素から構成されて
いる(図 7 参照) :
◍
◍
◍
◍
◍
◍
ソーラーパネルシステム
負荷調整器又はレギュレーター
DC-AC コンバーター(インバーター)
保護装置
電線と接続
補助要素
19
光電発電機
インバーター
送電網
図 6:送電ネットワークに接続されたソーラーパネルシステムの基本形
送電ネットワークに接続されたソーラーパネルシステムの場合には,自主システムと同じ
ような設備だが,電力電子装置であるインバーターというものがあり,ソーラーパネルシ
ステムの直流を交流に変換して送電ネットワークに注入する。光電セルの最高性能を発揮
させるためには,最大出力点を追求しなければならない。更に,特定な品質の電力(低高調
波歪,高力率,低電磁波妨害)を最大効率で発電し,規定の安全規準(人,機器,送電ネット
ワークの)も守らなければならない。
あるケースにおいては,このタイプの設備,特に図 6 に示すように大規模の(100kW 以上)
プラントではトランスを必要とするが,小さな設備,特に「ソーラーパネル屋根」(5
kW,230V)と呼ばれるものと,三相 380V ,5kW 以上 100kW までのものは,インバータ
ーを通じて,電圧を上昇させることなく送電ネットワークに接続するコストなしに,配電
ネットワークに直接に接続することができる。
20
Ⅴ. チリにおいて太陽光発電関連機器の販売と据付を行う企業
近年,世界の光電セルの需要は大きく伸びているが,それは主にヨーロッパ,アメリカ,
日本などで奨励プログラム,特に送電ネットワークに接続する光電発電システムの奨励に
よるものである。
Fabricación
Mundial de Paneles Fotovoltaicos
世界のソーラーパネルの生産量
2.000
1.800
1.600
1.400
1.200
MWp 1.000
800
600
400
200
0
1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006
出典:1994-2004 PV News
2005-2006 Photon International
グラフ 3:世界のソーラーパネルの生産量
Otros; 110,7; 6%
India; 26,6; 1%
Japón
Zona; MWp; %
Europa
EEUU
Australia; 35,3; 2%
China
China; 150,7; 8%
Australia
EEUU; 154,8; 9%
Japón; 824,3; 46%
India
Otros
Europa; 515,3; 28%
註:メーカーから提供された数値を加算したもの。
その他:中東,台湾,フィリッピン,韓国。
出典:Photon International
グラフ 4:2006 年の世界のソーラーパネル生産量
21
チリではこのような機器の生産はなく,光電セルの組み立てもシステム用の要素の生産も
なく,あるのは電線,保護装置,計測装置などで,ソーラーパネルシステム用の機器を販
売する企業があるだけで輸入している。
次にソーラーパネルシステムのプロバイダーとその据付を行う企業のリストを示す。
企業名
所在地
メール,ホームページ
光電パネルのメーカー (生産国)
Solarco
Santiago
www.solarco.cl
多種,他の企業から購入
SK Ecología S.A.
Santiago
www.ske.cl
Isofotón (スペイン)
Soltec
Valparaíso
www.soltec-ltda.cl
Isofotón (スペイン). SK Ecología S.A.から購入
Solener
Santiago
www.solener.cl
Kyocera (日本)
Solartec (アルゼンチン)
Wireless Energy
Puerto Montt www.wireless.energy.cl
Bp solar (イギリス)
Heliplast
Santiago
www.heliplast.cl
Shell Solar(ドイツ)
Atersa (スペイン)
Solartec (アルゼンチン)
Solarworld (ドイツ)
Conergy (ドイツ)
Tecnored
Viña del Mar
www.tecnored.cl
Tenesol (元 Total Energie,フランス)
Saxamar
Iquique
www.saxamar.cl
Atersa (スペイン)
Kyocera (日本)
*
Isofotón 社はスペインにソーラーパネルの工場を持っている。
Kyocera は日本とメキシコにソーラーパネル工場を持っている。
Solartec 社はアルゼンチンに組立て工場があり,Kyocera のセルを使っている。
Bp solar 社はパネル工場をスペイン,オーストラリア,アメリカ,香港,マレーシア,インドに持っている。
Shell Solar 社はパネル工場をアメリカ,オランダ,ドイツに持っている。
Atersa 社はスペインにパネル工場を持っている。
Tenesol (元 Total Energie)社はフランスとモロッコに工場を持っている。
表 4:チリのソーラーパネルシステム販売企業リスト
現在までこれ以外のソーラーパネルシステムのプロバイダーは確認されていない。
Tecnored 社の場合には 2006 年に第Ⅳ州のコキンボで実施された 3,064 軒の家庭電化プロジ
ェクトのために機器を輸入しただけである。パネルの出力は 125Wp で 2005 年に一部と
2006 年に残りを輸入した。
a).
企業の特徴:
調査した 8 社の中の 4 社がサンティアゴ,4 社が地方にあり,地方 4 社のうち 2 社は第Ⅴ
州にある。
ソーラーパネルシステム市場に参加している 8 社のいずれもこの分野を専門に行っている
わけではなく,僅か 5 社が直接に輸入している,それらは:SK Ecología S.A., Solener,
Gíreles Energy, Heliplast, Saxamar である。残りの 3 社はストックと価格に応じて上記 5
社から購入している。
22
ソーラーパネルを輸入している 4 社の中で Heliplast 社と Solener 社は,光電機器を主要
商品にしており,同じ製品はビジネス全体のそれぞれ 80%と 70%を占める。
SK Ecología 社のビジネスは多岐にわたり,その主力はモニタリング機器,燃料漏洩管理な
どの環境関連機器であり,光電機器の占める割合は 20%である。
b).
流通方法:
チリでソーラーパネルシステムを扱う全ての企業は,顧客に直接販売と据付を行う。
全ての企業が据付を行うが,特定なプロジェクトを実施する際,規模の問題で自社の人員
でカバーできない場合には,据付工事に関しては下請業者と契約することがある。
現在このような機器の据付を専業とする,プロバイダーから独立した据付業者は存在しな
い。
c).
アフターサービス:
一般には企業は据付と製造上の欠陥については保証するが,共通な判断基準はなく,顧客,
購買量などで変わる。
光電パネルの場合には 20 年から 25 年間保証する。
更に,全ての企業はメンテサービスを提供するが,大抵は保証に含まれていない。
d).
チリに輸入されたソーラーパネルの生産国別金額:
País de Orígen de los Paneles Fotovoltaicos
輸入光電パネル国別金額
2003-2006
2003 - 2006, Total 3.204.506,22
US$ CIF
合計 CIF US$3,204,506.22
EEUU
705.213,68; 22,0%
Japón
158.208,00; 4,9%
291.068,31; 9,1%
Argentina
China
India
1.788.250,00;
55,8%
2.928,79; 0,1%
Alemania
6.453,00; 0,2%
España
9.585,94; 0,3%
214.474,09; 6,7%
México
23.162,41; 0,7%
Francia
5.162,00; 0,2%
グラフ 5:2003-2006 年の生産国別輸入統計
23
Colombia
País de Adquisición de los Paneles Fotovoltaicos
チリに輸入した光電パネルの購入先
2003 - 2006, Total 1.416.256,22 US$ CIF
2003-2006 合計 CIF US$1,416,256.22
837.557,11; 26,1%
USA
Japón
3.251,92; 0,1%
Argentina
313.405,97; 9,8%
China
Alemania
España
1.788.250,00; 55,8%
6.453,00; 0,2%
México
2.928,79; 0,1%
50.902,12; 1,6%
Colombia
200.533,21; 6,3%
Francia
1.224,10; 0,0%
グラフ 6:2003-2006 年にチリが輸入した光電パネルの購入先
全体としてソーラーパネルを輸入しているチリの 4 社のうち SK Ecología 社だけが Isofotón
という一社のみをプロバイダーとしている。残りの Wireless Energy,Heliplast,Solener
は様々なメーカーのパネルを買っていて,最近ではアルゼンチンに組立工場があり Kyocera
の光電セルを使っている Solartec 社のパネルを輸入しているが,それはストックがあるこ
とと運賃が安いからという。
グラフ 6 に見られるようにフランスが市場一番のシェアを占めているが,それは 2005 年に
政府が入札した第Ⅳ州コキンボの 3,064 軒の農村家庭を光電パネルで電化するプロジェク
トのために一度だけ Tenesol (元 Total Energie)社が 125Wp パネルを輸入したことによるも
のである。
e).
価格:
サンチャゴ渡しの国内価格は次のようなものである。これは Heliplast 社の価格表で 2007
年 3 月 15 日現在のものである。
モジュール
タイプ
Wp
電圧
短絡電流
Atersa
Atersa
Solartec
Shell CIS
Shell
Atersa
Shell
A-5
A-10
KS20
ST40
Ultra 50
A-66P
SQ85
5
10
20
40
50
66
85
[V]
12
12
12
12
12
12
12
[A]
0,33
0,74
1,54
2,68
3,40
4,60
5,45
価格
US$ s/IVA
US$/Wp
s/IVA
102
174
222
435
526
622
915
20,4
17,4
11,1
10,9
10,5
9,4
10,8
表 5:チリに輸入している光電パネルの国内価格,出典:Heliplast 社
2003 年から 2006 年までの間にチリの企業が輸入した光電パネルの US$/Wp,CIF 価格の年間
平均価格が次の表で見られる:
24
モジュール
2003
2004
2005
2006
US$/Wp
価格 CIF, s/IVA
4,0
3,9
4,4
4,6*
* この価格には第四州,コキンボ
の光電パネル 3,064 の輸入は含
まれていない。
表 6:2003-2006 年にチリが輸入した光電パネルの Wp 当たり平均価格
Valor Promedio de Importación de Paneles Fotovoltaicos
光電パネル平均輸入価格
CIF
Valor CIF
4,8
4,6
4,4
4,2
US$/Wp
4,0
3,8
3,6
3,4
2003
2004
2005
2006
グラフ 7:2003-2006 年にチリが輸入した光電パネルの Wp 当たり平均価格
f).
企業が識別する市場開発上の障壁:
企業は光電パネル市場開発において次のような障壁を識別した:
✔
市場の規模は小さく不安定である,従ってストックが少なく販売価格が高くなる。
✔
送電ネットワークへ接続するための補助金政策がない。
✔
技術のコストが高い。
25
Ⅵ.
太陽光発電機器輸入・販売に関連する法規
1986 年の大蔵省の法律,第 18.525 号において,チリに商品を輸入するための規定が定め
られているが,太陽光発電関連機器の輸入,販売に関する特別な方式も特定な様式も含ま
れていない。
原則としてチリでは商品の輸入は自由である,即ち,現行法で禁止されている次のような
ものを除いては,どのような商品でも輸入できることになっている,例えば:中古の自動
車とオートバイ,あらゆる形のアスベスト,ポルノ,毒性産業廃棄物など,その他に厚生
省,農牧庁(SAG),その他の国家機関が禁止しているもの。
商品の価格に応じて輸入手続には2つのシステムがある:
a)
商品の価格がFOB2 US$500.-を超えない場合:輸入手続は輸入者本人が,該当する税
関で簡単に行える。
b)
な
商品の価格が FOB US$500.-を超える場合:輸入者は通関業者を契約しなければなら
い。
最初のケースでは輸入者は次のような書類を提出しなければならない:
✔
✔
✔
船荷証券の原本又は輸送手段に応じた相当書類。
インボイス。
手続きを行う者が第3者の場合には,指定の発送のための荷主又は荷受人の公
証人承認済みの委任状。
✔ 必要な許可書又は証明書(SAG,衛生局のコントロール下にある商品)。
✔ 旅行者が持ち帰る荷物の場合にはパスポート又は国際警察が発行する証明書。
2番目のケースでは,商品の通関は通関業者に委託するが,輸入者は輸入申告の書類を作
成するために必要な書類を業者に手渡さなければならない。その輸入申告書は税関にイン
ターネットで提出することができる。
必要書類に関しては,商業目的の全ての輸入に必ず要求されるものと,ある特定な場合に
のみ要求されるものがあることを明確にしておきたい。
光電パネルと関連機器の輸入に関しては商業目的での全ての輸入に必ず要求される書類を
要求されるだけであるが,それには次のようなものがある:
✔
✔
✔
✔
船荷証券の原本,積荷証券又は空輸ガイドなど積荷が荷受人のものであること
を証明する書類。
売買した商品と価格を証明するインボイス原本。
通関業者が手渡す書式による,価格についての輸入者の宣誓申告。
船荷証券の原本に裏書した委託契約書。
26
2
Free on Board:輸出国で商品を船に乗せた時点の価格で保険と運賃を含まない。
Ⅵ.1.
輸入税
原則として輸入は,商品のCIF価格(商品の価格+保険掛け金+運賃)の上に関税(6%)とCIF3価
格+関税(6%)の上にIVA (19%)が掛かる。
a). 特別税:
商品の性質によるが,同じ関税ベース(CIF 価格+関税)の上に特別税を課される場合がある,
例:豪華な自動車,奢侈商品,アルコール飲料,燃料など。
その他の場合にも,各ケース毎に設定された範囲内の特定税を課される例がある(小麦と砂
糖)。輸入を許可されている中古商品はその種類により課される税金の他に,CIF 価格の上
に 3%の追加税が掛る。
上記の特別なケースにはソーラーパネル及び関連機器は含まれない,即ち,このような技
術に対する特別税はない。
b).
関税特待措置のある地理的な地域:
上記に加えて,国内には関税免除地域がある。第一州のイキケと第ⅩⅡ州プンタ・アレー
ナスで輸入商品は関税を免除されているが,商品を特待地域から持ち出すことはできない。
c). 外国との自由貿易協定又は商業協約:
輸入商品の原産地が,チリと自由貿易協定(FTA)を締結している場合には,関税は免除
されるか何パーセントか関税が低くなる。
チリはそのような自由貿易協定(FTA)を次のような国々と結んでいる:米国,EU(25 カ
国),中国,カナダ,メキシコ,中米諸国,韓国,日本。
Ⅵ.2. 製品の認証
法律第 18,410 号,法律第 18,681 号,第 60 条及び経済省至上政令第 399/85,及びその改
定条項によると,認証を義務付けられている電気製品は国内で販売,使用する前に,指定
の規準又は技術的仕様に従って,最低安全必要条件を満たしているかの評価を受けなけれ
ばならない。
認証を義務(Mandatory Certification)付けられている電気製品の認証は認証機関(Testing
Laboratories)と称する機関が行う。その電気・燃料監査局(SEC)の外部機関であり SEC か
ら権限を与えられているその機関は,その製品が現行規準又は技術仕様を満たし,製品の
品質と人と物の安全を保証する最低必要条件を守っているかを評価しなければならない。
国内で認証義務を課される製品を分析し提案し,そして承認又はその認証のための技術的
議定書を作成するのは SEC の役割である。このプロトコルは多くの場合国際規準を,主に
IEC (International Electrotechnical Commission Standards)を規範にしている。
3:コスト,保険,運賃
27
チリでは全ての電気製品が認証義務を課されているのではない。ある電気製品に認証義務
を課すか否かを決定する場合には,SEC は一連の技術的・社会的判断基準に基づいて,経済
省に提案する。
その判断基準とは主に次のようなものである:
✔
✔
✔
✔
製品が大量使用のもので,自由に販売されるもの。
製品を使用する際に危険なもの。
製品は技術者ではなく消費者が購入するもの。
製品の使用により環境に影響を与えるもの。
補足的にその他の要素,例えば商業的な要素も考慮することができ,製品に認証義務を課
すかは所轄官庁とユーザーの経験と知識により決定される。
認証義務を課された製品が国内で流通できるようにするためには,輸入業者又は国内のメ
ーカーは SEC が権限を与えた認証機関に赴いて,該当する認証申請をしなければならない。
製品が認証を受けたらその認証を受けた際の規準又は技術的仕様に従って表示をしなけれ
ばならない。
ソーラーパネル及び付属機器の場合には認証義務を課されていないので,輸入する際に特
別な手続きは必要ない。
28
Ⅶ.
輸入統計
次のグラフには 2003∼2006 年までの間に調査の対照となったチリの 4 企業が輸入した光
電パネルの金額と第Ⅳ州コキンボで実施された 3,064 軒の電化プロジェクトの分も含めた
統計を表す。
Importaciones
en Paneles Fotovoltaicos
(Valores CIF)
光電パネル輸入金額
(CIF 価格)
800.000,00
732.340,14
700.000,00
600.000,00
500.000,00
US$ 400.000,00
300.000,00
200.000,00
272.934,83
275.553,55
2004
2005
135.427,70
100.000,00
0,00
2003
2006
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含まず。
グラフ 8:2003 年から 2006 年までの間にチリが輸入した光電パネルの金額
光電パネル輸入金額
(CIF (Valores
価格) CIF)
Importaciones
en Paneles Fotovoltaicos
3.000.000,00
2.514.840,14
2.500.000,00
2.000.000,00
US$ 1.500.000,00
1.000.000,00
500.000,00
135.427,70
272.934,83
281.303,55
2004
2005
0,00
2003
2006
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含む。
グラフ 9:2003 年から 2006 年までの間にチリが輸入した光電パネルの金額
29
Importación de Paneles Fotovoltaicos
チリが輸入した光電パネル生産国
100%
Colombia
México
80%
España
60%
Alemania
China
40%
Argentina
20%
Japón
USA
0%
2003
2004
2005
2006
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含まず。
グラフ 10:2003 年から 2006 年までの間にチリが輸入した光電パネルの輸入国
Países
de Importación de Paneles Fotovoltaicos
チリが輸入した光電パネル生産国
Francia
100%
Colombia
80%
México
60%
España
40%
China
Alemania
Argentina
20%
Japón
0%
2003
2004
2005
2006
USA
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含む。
グラフ 11:
2003 年から 2006 年までの間にチリが輸入した光電パネルの輸入国
30
Orígen de Importaciones
チリが輸入した光電パネル生産国
Colombia
100%
México
80%
España
60%
Alemania
40%
China
India
Argentina
20%
Japón
0%
2003
2004
2005
2006
USA
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含まず。
グラフ 12:2003∼2006 年までの間にチリが輸入した光電パネルの輸入国
Orígen チリが輸入した光電パネル生産国
de Importaciones de Paneles Fotovoltaicos
Francia
100%
Colombia
México
80%
España
60%
Alemania
40%
India
China
20%
Argentina
Japón
0%
2003
2004
2005
2006
USA
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含む。
グラフ 13:2003∼2006 年までの間にチリが輸入した光電パネルの輸入国
31
Orígen de Importaciones de Paneles Fotovoltaicos
チリが輸入した光電パネル生産国
300.000,00
250.000,00
USA
Japón
200.000,00
Argentina
China
US$ 150.000,00
India
Alemania
España
100.000,00
México
Colombia
50.000,00
0,00
2003
2004
2005
2006
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含まず。
グラフ 14:2003∼2006 年にチリが輸入した光電パネルの輸入国
Orígen
de Importaciones de Paneles Fotovoltaicos
チリが輸入した光電パネル生産国
2.000.000,00
1.800.000,00
USA
1.600.000,00
Japón
1.400.000,00
Argentina
1.200.000,00
China
India
US$ 1.000.000,00
Alemania
800.000,00
España
600.000,00
México
Colombia
400.000,00
Francia
200.000,00
0,00
2003
2004
2005
2006
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含む。
グラフ 15:2003∼2006 年にチリが輸入した光電パネルの輸入国
32
Importaciones de Paneles Fotovoltaicos
光電パネル輸入動向
180.000
160.000
140.000
120.000
100.000
Wp
80.000
60.000
40.000
20.000
0
2003
2004
2005
2006
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含まず。
グラフ 16:2003∼2006 年にチリが輸入した光電パネルの Wp
Importaciones
de Paneles Fotovoltaicos
光電パネル輸入動向
600.000
500.000
400.000
Wp 300.000
200.000
100.000
0
2003
2004
2005
2006
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含む。
グラフ 17:2003 年から 2006 年までの間にチリが輸入した光電パネルの Wp
33
Importación por Marcas de Paneles Fotovoltaicos, cifras en Wp
メーカー別光電パネル輸入量
(Wp) 2003-2006
2003 - 2006
Otros; 8.011; 2%
Bp; 24.879; 8%
Isofotón; 42.761;
13%
Kyocera; 58.364;
18%
Solartec; 66.048;
20%
Shell; 123.989;
37%
Atersa; 7.104; 2%
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含まず。
グラフ 18:2003∼2006 年にチリが輸入した光電パネルのメーカー
Importación por Marcas de Paneles Fotovoltaicos, cifras en Wp
メーカー別光電パネル輸入量
(Wp) 2003-2006
2003 - 2006
Isofotón; 42.761;
6%
Shell Solar;
123.989; 17%
BP Solar; 24.879;
3%
Kyocera; 58.364;
Otros; 8.011; 1%
8%
Atersa; 7.104; 1%
Solartec; 66.048;
9%
Tenesol; 388.750;
55%
* 第四州 3,064 軒の電化プロジェクトを含む。
グラフ 19:2003∼2006 年にチリが輸入した光電パネルのメーカー
34
Importación de Paneles Fotovoltaicos por Marcas
メーカー別光電パネル輸入量 (Wp)
60.000
50.000
Bp
Kyocera
40.000
Wp
Solartec
Atersa
30.000
Shell
20.000
Isofotón
Otros
10.000
0
2003
2004
2005
2006
* 第Ⅳ州 3,064 軒の電化プロジェクトを含まず。
グラフ 20:2003∼2006 年にチリが輸入したメーカー別光電パネル
Importación de Paneles Fotovoltaicos
por Marcas
メーカー別光電パネル輸入量
(Wp)
450.000
400.000
350.000
BP Solar
Kyocera
300.000
Solartec
Tenesol
200.000
Atersa
Wp
250.000
Shell Solar
150.000
Isofotón
Otros
100.000
50.000
0
2003
2004
2005
2006
* 第Ⅳ州 3,064 軒の電化プロジェクトを含む。
グラフ 21:2003∼2006 年にチリが輸入したメーカー別光電パネル
35
Ⅷ.
チリにおける光電セルタイプの太陽光発電プロジェクト
チリにおいては光電セルタイプの太陽発電プロジェクトしかなく,それも小規模なもの又
は僻地における通信企業,農村電化システムの住居,学校,揚水,通信などである。
チリで光電セルタイプの技術が導入されたのは 1980 年代の初頭で,主に北部の僻地の村落
でのラジオとテレビの送信,リピーターシステム,灯台などに使われ,技術的にも経済的
にも非常に良い結果が得られた。その後 1992 年から 2000 年の間に市役所,地方政庁,民
間企業などが個別のプロジェクトでソーラーパネルシステムを使用した 2000 前後の住居,
施設用の農村電化プロジェクトを実施した。
1993 年に CNE が実施した「全国 ERNC プロジェクトと設置台帳作成」と称する調査による
と,ソーラーパネルシステムによる実績発電容量は 94kWp であった。次の表 7 に ERNC 設
備の数とその能力を示す。
エネルギー,
応用
太陽
光電
温水
オーブン
蒸留
乾燥機
風力
ポンプ
発電
バイオガス
水力
合計
設備能力
設備数
843
233
551
15
14
30
97
61
36
21
215
1.160
94 kWp
8.550 m2
74 m2
107 m2
491 m2
27,5 kW
51,5 kW
48.000.000 m3/y
8,7 MW
表 7:チリにおける非従来型再生可能エネルギー設備
(出典:CNE,1993)
その後,1999 年に CNE は新しい ERNC の台帳登記を行い,その結果,次の表に示すように
光電セルタイプの実績容量は 531kWp に達していることが判明した。
源
光電
熱水
風力
小規模水力
その他
合計
設備能力
531 kWp
7.653 m2
51,0 kW
2,0 MW
設備数
599
491
13
112
17
1.232
表 8:チリにおける非従来型再生可能エネルギー設備(出典:CNE,1999)
36
補足として,2002 年 4 月に実施された全国国勢調査において 2,398 軒の住宅にソーラーパ
ネルシステムが設置されていることが判明したが,その分布を次の表に示す。
州
住宅数
I
300
II
112
III
107
IV
1.043
V
73
VI
138
VII
254
VIII
53
IX
99
X
69
XI
91
XII
26
RM
33
Total
2.398
表 9:ソーラーパネルシステムで電化されている州別住宅数(出典:2002 年国勢調査)
Distribución Regional de 2.398 Viviendas Rurales 2,398
Abastecida
チリにおいてソーラーパネルで電化されている
軒の s
con Paneles Fotovoltaicos en Chile
農村家庭の全国分布状態
I
II
III
2%
4%
3%
4%
1%
IV
13%
V
5%
11%
4%
RM
VI
VII
VIII
6%
IX
1%
43%
3%
X
XI
XII
表 10:ソーラーパネルシステムで電化されている州別住宅数(%) (出典:2002 年国勢調査)
最後に,プロジェクト CHI/00/G32 として 2006 年 12 月実施された「再生可能エネルギー
による農村電化の障壁除去」において,チリにおける ERNC 設備の設置情報収集を行った結
果ソーラーパネルシステムの実績発電容量は 605kWp に達していることが分かった。それ
らの設備は全て既存の送電ネットワークとは隔離されていて,主に学校,住宅,通信設備
に供給されている。前記の数字に第Ⅳ州の 3,064 軒の農家に設置されたソーラーパネルシ
ステム(各パネル 125kWp)の発電容量を加算すると 988kWp になる。
次のグラフ 23 にチリのソーラーパネルシステム発電設備の推移が見られる。
37
Capacidad Instalada en Paneles Fotovoltaicos en Chile, kWp
チリのソーラーパネル発電能力,kWp
1200
1000
800
kWp 600
400
200
0
1992
1994
1996
1998
2000
2002
2004
2006
グラフ 23:チリにおけるソーラーパネルシステム設備の発電容量の推移
(出典:コンサル作成)
チリにおいてはソーラーパネル発電を全国送電ネットワークに接続するプロジェクトも情
報も無い。しかし,多くの国においてはこのような設備についての特別計画とか補助金制
度が存在し,ラテンアメリカ諸国の中では,メキシコでこのような応用についての関心が
高まりつつあり,もう農村や僻地への応用だけでなく,それは年々の推移に見られる。
(www.iea-pvps.org/index.html).
38
Ⅸ.
域
チリにおいて太陽光発電プロジェクト実施の可能性がある地
1961 年にチリで太陽光線の体系的な測定が開始された。全国の太陽光線ファイルはフェデ
リコ・サンタマリア工科大学(UTFSM)にある。1987 年に UTFSM の太陽エネルギーラボ
は,全国太陽光線分析ファイルを刊行した。そのファイルには全国に分布する 28 ヶ所の気
象観測ステーションの地表における月・年間平均の日照量が記載されている。
表 10 には全国に分布する 89 ヶ所の気象観測ステーションにおいて 1961 年から 1984 年ま
でに測定した一日平均の日照量を州別に示す。
州
水平面一日の日照量,年平均
[kcal/m2/día]
I
4.554
II
4.828
III
4.346
IV
4.258
RM
3.570
V
3.520
VI
3.676
VII
3.672
VIII
3.475
IX
3.076
X
2.626
XI
2.603
XII
南極
2.107
1.563
表 10:州別,一日平均日照量
(出典:太陽エネルギーの応用と設計:ペドロ・サルミエント著)
Radiación
Solar Diaria Total Horizontal, Promedio Anual
水平面一日当たり日照量,年間平均
5.000
4.500
4.000
3.500
3.000
kcal/m2/día 2.500
2.000
1.500
1.000
500
0
I
II
III
IV
V
RM
VI
VII
VIII
IX
X
XI
XII
A ntártica
グラフ 24:州別,年間平均日照量
(出典:太陽エネルギーの応用と設計:ペドロ・サルミエント著)
39
上の表とグラフで見られるように,チリの北部には世界でも有数の太陽光線エネルギーの
大きな潜在力があり,従って,そのエネルギー利用の素晴らしい条件を備えている。日照
量は第Ⅰ州から第Ⅳ州までが 4,200-4,800kcal/m2/day,第Ⅴ州から第Ⅷ州までが 3,400
kcal/m2/day,残りの地域が 3,000 kcal/m2/day以下である。
次の図 7 で世界的に知られている日照量の多い地域がチリにあることが分かる。
世界の潜在日照量地図
図 7:世界の潜在日照エネルギー地図
UTFSM の暦年のデータによるとチリで最も日照量の多い 10 地域は以下のとおり:
測候所
南緯
西経
Chuquicamata, II Región
El Tatio, II REgión
Calama, II Región
San Pedro de Atacama, II Región
Potrerillos, III Región
Pashall-2, II Región
El Salvador, III Región
Pica, I Región
Murmuntane, I Región
Lautaro, III Región
22º 19´
22º 21´
22º 28´
22º 55´
26º 20´
21º 58´
26º 16´
20º 30´
18º 22´
27º 58´
68º 56´
68º 03´
68º 55´
68º 11´
69º 26´
68º 31´
69º 32´
69º 21´
69º 34´
70º 01´
水平面年間平均日照量
[kWh/m2*日]
6,54
6,44
6,19
6,13
6,10
6,06
5,88
5,85
5,77
5,68
表 11:チリで最も日照量の多い天候観測所
上記のような潜在力,即ち他の国々と比較して,チリには潜在的な太陽エネルギー資源が
40
豊富にあるとはいえ,このような技術のコストは他の技術に比較してまだまだ高価である。
次の表 12 に ERNC を用いて発電した場合のその他の選択肢とのコストを比較している:
技術のタイプ
投資額
US$/kW
効率
%
平均コスト
US$/MWh
出典
地熱
1.400 – 2.000
90
30 以上
CNE, otros
風力
1.200 – 1.800
45 以上
CNE, otros
4.550
45 以下
7 - 15
240 - 300
US DOE
バイオマス
1.300 – 1.700
80 - 85
35 以上
CNE, US DOE
バイオガス
1.500 以上
80
50 以上
CNE, US DOE
小規模水力
1.200 – 1.800
50 - 80
30 以上
CNE, Otros
ソーラーパネル
註 1:チリの現状に合わせた妥当な投資と平均最低コスト,最高は各プロジェクトによる。
註 2:地熱発電の場合は・・・のプロジェクトによる。風力発電は 2005 年 12 月の国際的な投
資コストに基づく CNE の推定による。バイオマスは製材プラントのコージェネプロジェクトか
ら推定。バイオガス:産業・農業廃棄物(固体と液体)のガス化。
表 12:送電ネットワークに接続された代表的な ERNC 発電コスト(出典:CNE)
農村は低い電力消費,小規模な設備,都市からの遠距離などの条件から,表 12 のコストよ
りも高くなる。次の表 13 において農村における典型的な発電コストが見られる。
技術のタイプ
ディーゼル l*
風力・ディーゼル ハイブリッド*
光電・ディーゼル ハイブリッド*
小規模水力*
家庭用光電パネル**
投資額
US$/kW
平均コスト
US$/kWh
800 – 1.000
3.000 – 10.000
5.000 – 10.000
1.500 – 5.000
8.000 – 14.000
0,9 以上
0,5 – 1,5
0,5 – 2,5
0,2 - 1
1-3
⋆ 年平均 120kWh/月。局地小配電網の経費は考慮していない。
⋆⋆ 年平均 10kWh/月。
表 13:農村の典型的な発電コスト(出典:コンサル作成)
参考のため,次のグラフ 25 に光電セルタイプの屋根型で平均 120kWh/月の発電量,送電ネ
ットワーク4に接続されたもので,パネルへの投資金額がUS$10/Wp及びUS$5/Wpの推定コ
ストを示す。
41
4
インバーターのコスト=1US$/W
据付,運賃,設備,補助資材のコスト=パネル+インバーターのコストの 15%
1US$=$540
Costo Medio送電網接続光電発電平均コスト
Generación Fotovoltaica Conectada a Red
120 k年間平均
Wh/mes promedio
anual
120kWh/月
2,0
1,8
1,8
10 US$/Wp
1,6
5 US$/Wp
1,4
1,2
US$/kWh 1,0
0,8
1,1
1,0
1,5
1,0
1,1
1,1
1,1
0,8
0,8
X
XI
1,1
1
1,0
0,9
0,6
0,4
1,5
1,3
0,6
0,6
0,6
III
IV
0,7
0,7
0,7
0,7
0,7
0,7
V
RM
VI
VII
VIII
IX
0,5
0,2
0,0
I
II
XII
表 25:光電セルタイプの屋根型の典型的な発電コスト(出典:コンサル作成)
このようなタイプの発電方式の選択肢を分析するためには,消費者の住宅でのコスト(最終
コスト)を比較しなければならない。次の表 14 に 2006 年 3 月現在の全国消費者への最終家
庭コスト(BT1)を示す。
地域
家庭用電力料金 US$/kWh
0,20
0,15
0,22
0,21
0,17
北部, SING
中部, SIC
南部, SIC
南部, Edelaysén
南部, Edelmag
* 北部, SING:第一州配電企業 Eliqsa 社の料金。
中部, SIC:首都圏州配電企業 Chilectra 社の料金。
南部, SIC:第九州配電企業 Frontel 社の料金。
南部, Edelaysén:第十一州 Edelaysén 社の料金。
南部, Edelmag:第十二州 Edelmag 社の料金。
表 14:契約消費者の最高料金(出典:SEC)
ここで見られるように,エネルギー資源の観点からすると太陽発電は技術開発の面白い将
来性を見出せるが,ソーラーパネルの生産コスト,従って設備一式のコストを下げる必要
がある。それが実現された時には市場は発電プラント,既存送電ネットワーク接続タイプ
なども含めて,あらゆる応用部門において大きく拡大されるであろう。
現時点においては,ソーラーパネルシステムは僻地の農村では,自主的な個別の光電セル
42
タイププロジェクトとして,又はディーゼルエンジンで発電するハイブリッドシステムと
して競争力があり,特に北部及び僻地のディーゼルオイルの輸送が発電コストを上昇させ
るような場所においては,小規模なソーラーパネルシステムを併用することによって燃料
の消費を 30-50% 節約することができる。
Ⅸ.1.
チリの太陽光発電に関係する公共政策
チリは歴史的に,技術の種類応じて特別な政策を打ち立ててこなかったが,それは技術及
び使用された技術の出所についての中立的な法規制に特徴付けられている。あらゆるタイ
プの発電技術は,品質と価格について同じ条件下での競争を強いられている。
チリは世界でも最初にエネルギー部門の統制を排除し民営化した国の一つであり,発電,
送電,配電とそれぞれの投資は民間企業が行う。国家は規制,監査そして補助的な役割を
保ち,価格政策は効率的に発電,送電,配電する現実のコストを反映することを可能にし,
そして最後に,1990 年代頃から環境に対する配慮が大きく関心を持たれるようになり,維
持可能な開発のための法規と政策が布かれるようになった。
この法の枠は火力発電,従来型の水力発電,ごく少ないが幾つかのバイオマス発電5などを
大きく開発することを可能にした。
しかしながら,このような状況は近い将来大きく変わる可能性があり,それは次のような
理由によるものである:
✔ 常に電力の供給を増やす必要があること(経済成長を続ける途上国独特な現象)。
✔ 国際的な環境保護政策により奨励される非従来型再生可能エネルギー(ERNC)
発電技術のたゆまなき進歩。
✔ 輸入化石燃料に対する依存度が 70%を超えていること。
✔ チリに対する現在唯一の天然ガス供給国であるアルゼンチンが 2004 年 4 月から
輸出制限を決定したこと。
✔ 化石燃料(石油,石炭,天然ガス)の価格の高騰に伴う電力コストの高騰。
✔ 石炭,石油の燃焼や巨大なダムなどの従来型技術が環境に与えるインパクトに対
する社会的な圧力。
✔ 歴史的に不安定な隣国との関係。
✔ 少ない埋蔵量と高い採掘コストによる化石燃料の採掘が減少していること。
✔ 2006 年から 2010 年までの新設発電所の発電量の 15%を ERNC にするという政府の
公約。
このような状況が電力部門に与えている影響は次のグラフ 26 に見られるように,近年電気
代が高くなっていることが分かる。
43
5 2005 年 12 月のチリの総発電能力は 11,982MW でその内訳は 60%が火力,40%が水力であった。
それにもかかわらず,ERNC の占める割合は微々たるもので(2.4%程度),主にバイオマスプラ
ント,小さな水力発電所,アイセンの風力プラント(2MW)などである。
PRECIO DE NUDO ENERGIA
電力の分岐点価格
(Valores en dólares) (US$)
100
90
[m ills/ kW h]
80
70
60
50
40
30
20
10
OCTUBRE OCTUBRE
1982
1984
ABRIL
1987
OCTUBRE
1989
ABRIL
1992
OCTUBRE
1994
SIC - Santiago
ABRIL
1997
OCTUBRE
1999
INDEX. A
SEP-01
OCTUBRE
2002
ABRIL
2004
OCTUBRE
2005
INDEX. A
SEPT-06
SING - Antofagasta
グラフ 26:電力の分岐点価格の推移(出典:CNE)
政府は 2007 年,最終消費者電力価格が 8%程度上昇するであろうと発表したが,それは主
にアルゼンチンからの天然ガスの供給が一段と制限されることと,将来の供給が不確実な
ことによるもので,新しい値上げが予想され,国の経済成長を脅かす潜在的なエネルギー
危機が予想されるので,大手の消費者は新しい電力供給の選択肢を探している。
Ⅸ.1.1.
電力部門の法規とノルマ:
電力部門は 1982 年に発布された鉱業省の電力業務一般法,DFL1 号及びその後の改定条項によ
り規制されている。それを実際に施行するための細則は,1997 年に発効した至上政令第 327 号,
電力業務一般法の施行細則である。
a). 電力部門の区分と一般規準:
a).1. 発電:
新しい発電企業に解放されている競争のある市場とみなされている。最小コストによる発電と給電
の安全性。
4種類の市場の存在:
1. ‒ 統制された市場: 統制された顧客(500kW 以下の顧客, 500kW から 2MW まではオプ
ション)のための発電企業と配電企業間の統制市場。引渡し価格は 6 ヶ月毎に CNE が統
制する。2010 年からはその価格は入札で決定される。
44
2. - 自由消費者市場: 発電企業と 2MW 以上,500kW から 2MW まではオプションの顧客
間の市場。当事者間の契約。
3. - 卸スポット市場: 発電企業間。契約なし,時間帯によって料金が変わる。
a).2.
4. ‒ 一般顧客のための,発電企業と又は配電企業間。当事者間の契約。
送電:
この部門は規模の経済が働くため,自然と独占事業になりやすいが,新しいユーザーと新しい企
業がネットワークに接続できるように,そして競争し易いように,価格を差別しないように,統制され
ている。
a).3. 配電:
全国各地方の利権企業及び協同組合。この部門はスケール経済が存在するので,自然に独占事
業になるものとされている。
最終ユーザーの価格は2つのコストからなっている:
1.- 発電と送電(引渡し価格)レベルの価格,近年中(2010 年)に入札価格になる見込み。
2.- 配電サービスコスト(付加価値)。同コストは CNE により 4 年毎に定められる。
b).- 非従来型再生可能エネルギー(ERNC)の規制と規準:
チリには ERNC に関して法的に確立した定義は存在しない。制限はあるがそれに最も近いのは電
力業務一般法の条項で,それには「非従来型エネルギーを使用する発電方法」は通行料支払
いの例外とするという規定がある。その表現が曖昧であることから,CNE は ERNC を国内
で普及していない更新可能なエネルギー,又はそのエネルギーと技術の組合せという解釈をして
いる。この解釈は,チリの幾つかの更新可能なエネルギーを使用するプロジェクトの「非従来型」
という特徴を強調している。国際的には「新しいエネルギー源」と称するのが一般的であり,
その大部分は従来型の発電方法よりも環境に対するインパクトがかなり少ないものである。
前記の定義は大規模な水力発電所,特にダムを建設するものは除外されているが,それは
更新可能なエネルギーとはいえ,同時に国際的,国内的にも長い経験のある「従来型」プロジェ
クトだからである。
前記のような理由から,ERNC には風力,地熱,太陽(太陽熱と光電),バイオマス(固体,液体,バイ
オガス),大洋(海流,潮,波),そして水力,これに関しては小規模な通過型のものに制限される(低
い環境インパクト)。水力発電プロジェクトを非従来型と分類するための国際的に認められた規
模の定義はない。そのため,CNE は非公式ながら 20MW 以下のプロジェクトを ERNC とみなし,
このようなプロジェクトに電力業務一般法に規定されている特待を与えている。
b).1.- 非接続型 ERNC プロジェクト:
送電システムから分離されたプロジェクトの場合には,当事者間で料金を協定しなければならない
ため,法の枠は非常に柔軟である。
特に社会的に便益をもたらすプロジェクト,即ち,貧困な農村の住民に電気を供給する場合には,
1994 年末から開始され,現在ではほぼ全国で光電方式のプロジェクトを策定,進捗状況の異なる
様々なプロジェクトを展開している農村電化プログラム(PER)を通じて特別奨励金又は助成金制度
45
がある。
展開された農村電化政策の目的の一つは,適当な技術が存在し,従来型の電力の供給と競争で
きるような小規模なプロジェクトに再生可能なエネルギーの使用を選択することなのである。従って,
非従来型再生可能エネルギーは,国家農村電化プログラムの中で開発する余地があり,事実,今
日,僻地の農村に電気を供給するために再生可能なエネルギー,及びその使用を奨励する様々
な特定プロジェクトがある。
b).2.- 既存の送電ネットワークに接続する ERNC の大規模発電プロジェクト:
既存の送電ネットワークに接続するプロジェクトの場合,このようなタイプの応用に対して ERNC の
使用が低い理由には一連の技術的,経済的な要因が加算されたものがあるが,最大の原因は従
来型の電力に対する競争力が未だに低いことである。
上記のような理由から,政府は規制制度を通じて市場の自由競争を保証することを試み,2004 年
から電力法の改正を行い,以下のとおり省エネ活動を行ってきた。:
✔ 2004 年 3 月 13 日に発効した「電力法Ⅰ」(法律,第 19,940 号)では,余剰電力が
9MW 以下の地熱,風力,太陽,バイオマス,波力,小型水力,コージェネレーション発電の
ような非従来型エネルギー発電プロジェクト,メイン送電線の通過料支払いを免除され,9
から 20MW までの場合には一部を支払うことが規定された。
✔
2005 年 5 月 19 日に発効した「電力法Ⅱ」(法律,第 20,018 号)では,半統制式の発電・
配電システム,電力部門及び再生可能エネルギー開発への投資の支援,省エネへの支援
など。
従って,環境インパクトの低い,無限なエネルギーの技術に対して初めて差別待遇が採られたこと
になるが,それは ERNC の使用を刺激し,奨励する一つの形であり,国の一次エネルギーのマトリ
ックスを多様化する試みの一つである。
これらの要素は,将来再生可能エネルギータイプのプロジェクトに対する投資環境を改善する可能
性がある。
b).3.
光電方式に対するチリの規準:
次の表にプロジェクト CHI/00/G32 の枠内で作成された,光電方式に対するチリ現行自主規制を
示す:
46
NCh2898
IEC 61194
光電エネルギー –
NCh2902
IEC 61836
光電エネルギー –
太陽エネルギー光電システム – 用語と記号.
NCh2903/1
IEC 60904-1
光電エネルギー–
光電装置–
NCh2903/2
IEC 60904-2
光電エネルギー – 光電装置–
二部: 基本的ソーラーセルの必要条件.
NCh2903/3
IEC 60904-3
光電エネルギー – 光電装置–
三部::地表 光電装置測定の原理と基本的日照データ.
自主光電システム特徴的パラメーター.
一部::光電の特徴的電流・電圧測定.
NCh2903/10 光電エネルギー – 光電装置- 十部: 直線性測定方法.
IEC
60904-10
NCh2896
光電エネルギー 直流 2V の家庭用光電装置一般仕様,必要条件.
THERMIE B
SUP 995-96
NCh2927
光電エネルギー – 地上用光電発電システム - 概論とガイド.
IEC 61277
NCh2940
IEC 61173
光電エネルギー – 光電発電システムの過電圧保護回路 – ガイド.
NCh2925
IEC 61701
光電エネルギー – 光電モジュール腐食試験 –
NCh2922
IEC 61721
光電エネルギー – 突発的衝撃に対する光電モジュールの敏感さ.
NCh2956
IEC 61646
光電エネルギー – 薄板型光電モジュールの応用 – 設計の評価とその承認.
NCh2976
IEC 61215
光電エネルギー – 珪素結晶型光電モジュールの応用,設計の評価とその承認.
NCh2970
IEC 61683
光電エネルギー- 光電システム – 出力調整器 – 効率測定手順.
NCh2978
IEC 61427
光電エネルギー- 太陽光線光電システムのための電池 – 必要条件と試験方法.
塩性霧法.
c).- 環境面での要求:
環境の観点からすると,法の枠は 1994 年に発布された法律第 19,300 号,環境基本法及びその施
行細則である 1997 年の至上政令,第 30 号により規制されていて,稼働能力 3MW 以上のあらゆる
発電所は,環境影響評価システム(SEIA)に入らなければならない。従って,光電パネル方式という
特定な場合,追加的な制限はなく,プラントが国立公園又は保護地区内に建設されない限りは問
題ない。
間接的に,送電線の電圧が 23kV を超える場合には,その変電所と同じく SEIA に入らなければな
らない。
Ⅹ.1.2.-
太陽発電関連プログラム:
次にエネルギーのテーマと関連した様々な側面を持つプログラムで,太陽発電と何らか関係のあ
るプログラムをまとめてみる:
47
MINECON
Oficial
2004-08-17
MINECON
Oficial
2004-08-17
MINECON
Oficial
2004-09-27
MINECON
Oficial
2004-09-27
MINECON
Oficial
2004-12-29
MINECON
Oficial
2004-12-29
MINECON
Oficial
2004-12-29
MINECON
Oficial
2005-06-10
MINECON
Oficial
2005-06-18
MINECON
Oficial
2005-06-18
MINECON
Oficial
2005-08-03
MINECON
Oficial
2005-06-18
MINECON
Oficial
2005-11-03
MINECON
Oficial
2005-08-03
MINECON
Oficial
2005-11-15
a). 持続可能なチリ・プログラム:
持続可能なチリ・プログラムは,環境保護団体,学会,異なる部門の社会的リーダーたちが主唱す
るもので,チリの社会・政治・経済を現行のモデルから,持続可能な発展に基づいた変革に導く市
民による提案の作成を推進するものである。
1997 年に環境政策研究所,全国環境活動ネットワーク(RENACE),ボリバリアーナ大学により開始
されたもので,持続可能な提案を推進し,作成するために作られた。これらの団体はプログラムの
理事会のメンバーである。
プログラムの目的は次のとおり:
✔ 持続可能な国家プロジェクト作成の必要性について,広範な議論を提起し合意を得るこ
と。
✔ チリの発展プロセスの方向を修正する目標と活動を系統化及び定量化する方向に知
的・社会的調和を図る努力を奨励すること。
✔ チリの持続可能性を引き出す提案のための政治的基盤を生み出す政治家や,民衆を
喚起する市民活動の強化。
b). 国家省エネプログラム (PPEE):
経済省,生産・商業連盟(CPC),産業振興会(SOFOFA),「持続可能なチリ」,チリ建築会議所,チリ
市役所協会などが 2005 年 4 月 8 日に全国省エネプログラムをスタートさせたが,その調整は経済
省が行っている。
全国省エネプログラムは,長期に亘る有効性,一貫性,維持可能性を確保するために,3 レベルの
活動を基準にして構成されている。第1のレベルは召集団体6のもの,第2のレベルは運営委員会7
と称し,その目的は省エネ関係の選考されたプロジェクトの実施を支援することであり,第3の活動
レベルはプログラム運営を補完する独立した活動に関心を持つ民間又は公共団体を集めた協力
団体8により構成される。
一般にこのプログラムは持続可能なエネルギー源の開発プログラムを持たないが,特に「家庭・産
業用銅製太陽熱温水器」プロジェクトと称する,当調査で取り扱うテーマと間接的に関係あるプロ
ジェクトを持っている。それにもかかわらず,新しいテーマを編入することができる。
c).
CORFO-CNE による ERNC 発電奨励プログラム:
ERNC を用いた発電奨励として,産業振興公団(CORFO)は助成金を通じてプロジェクトの F/S ス
タディ,そしてプロジェクト金融支援を通じて投資援助などのツールを持っていて,更に政府が京
都議定書により合意された CDM 市場を奨励する意思を示したものでもある。
c).1.
投資事前調査のコンクール:
チリのエネルギー多様化プログラムの一環として,産業振興公団(CORFO)は「全国投資誘致」とい
うプログラムを通じて,そして CNE は ERNC を用いた発電の奨励プログラムを通じて,2005 年 7 月
に奨励活動を開始した。このイニシアティブは電力法を改正する「電力法Ⅱ」と称する法律が発効
した 2004 年 3 月 13 日からスタートしたが,その改訂の中には小規模な ERNC 発電所の建設にも
インセンティブを導入し,このタイプのプロジェクトに対する投資環境を醸し出す規定がある。
インセンティブは投資前段階の調査,又は専門的なコンサルタント経費の一部を融資するというも
の。
48
第 1 回公募:
2005 年 7 月に,CORFO と CNE は投資前の段階の調査,又は専門的なコンサルタント経費の一
部を融資するというプログラムの第一回目の公募を実施したが,その制限は,全コストの 50%まで,
プロジェクト一件に付き上限 5 万ドルまで,合計 130 万ドルまでというものであった。75 プロジェクト
が応募され,そのうちから ERNC の発電プロジェクト 46 件が選考され,合計発電力 300MW,推定
投資金額 4億 3,000 万ドルであった。投資前調査のために 130 万ドルが融資された。
州
I
II
III
IV
V
RM
VI
VII
VIII
IX
X
XI
XII
合計
水力
バイオマス
風力
地熱
合計
3
3
1
1
1
1
2
2
4
1
3
1
5
2
2
3
7
4
3
1
8
1
5
8
1
1
22
11
12
6
10
1
1
1
46
表 15 : 第1回公募の結果, 出典:CNE,CORFO
第2回公募:
2006 年 4 月には CORFO と CNE は第2回目のコンクールを募集し,それは 6 月 26 日に締め切っ
たが,その目的は投資前の段階の調査又は専門的なコンサルタント経費の一部を融資するという
もので,その制限はコストの 50%まで,プロジェクト一件に付き上限 5万ドルまで,合計 200 万ドルま
でというものであった。90 プロジェクトが応募され,ERNC による発電 40 件の発電プロジェクトが選
ばれ,その合計推定発電量 300MW,推定投資金額 4億 3,000 万ドルであった。投資事前調査の
ために 130 万ドルが融資された。
州
I
II
III
IV
V
RM
VI
VII
VIII
IX
X
XI
水力
バイオマス
風力
1
地熱
合計
1
2
2
2
2
2
3
5
2
1
3
6
1
1
8
3
1
2
6
1
1
6
2
8
1
2
3
49
XII
合計
18
6
1
1
16
40
表 16 : 第2回公募, 出典:CNE,CORFO
第3回目のコンクール:
2007 年 1 月に CORFO と CNE は第3回目の公募を呼びかけ中であり,締め切りは 4 月 9 日であ
る。プロジェクトを選出するための主な判断基準は次のようなものである:
✔
送電システムに接続できる発電プロジェクトで,システムに供給できる余剰電力が
40MW 以下のもの,そして次のようなエネルギー源を使用するもの: 地熱,風力,バイオ
マス,小規模な水力。
✔ 決定的選出条件: 資源の所有権 (又は開発権)又は所有者の正式な約束。
✔ 可能性調査 (例:風)のための所有権又は所有者の公証人立会いの許可書。
✔ 助成金の金額は,投資金額が 40 万ドル以上のものにはコストの 50%まで,企業
ごとに6万ドルまで,投資金額の2%を上限とする。
c).2. CORFO の金融源:
このツールは2つに分けられる:
金融 (長期貸付) :
企業の投資プロジェクトに対して,商業銀行がそのプロジェクトの性状に相応しい返済期限と猶予
期間の設定を通じて行う。それは機械,機器の購入,土木・建設工事,施設,栽培,設計と据付サ
ービスなどに使うことができる。
投資と関連する業務資金としてその 30%までを追加資金として金融することができる。
それには3つの方式がある:一つは多部門投資(B11)と称するもので,2つ目は特定な部門に焦点
を当てたもので,地方投資(B15)と環境投資(B14)である。現在まで発電と関連するプロジェクトが 5
件承認されているが最後の 2 件が B14 の金融様式に該当する。
次の表で CORFO が奨励している ERNC のための貸付の詳細を見ることができる:
条件
期限
金融再興金額
通過選択肢
利子率
猶予期間
対照企業の最大規模
総投資金額の中で企業が負
担すべき割合 %
B11 方式
10 年まで
500 万ドル
UF* あるいは米ドル
固定又は変動
24 ヶ月
年間売上 3,000 万ドル
B14 方式
12 年まで
US$ 5 millones
UF あるいは米ドル
固定
30 ヶ月
年間売上 3,000 万ドル
B15 方式
10 年まで
US$ 5 millones
UF あるいは米ドル
固定
24 ヶ月
年間売上 3,000 万ドル
0%
15%
15%
表 17: ERNC 向け CORFO の金融
*UFは,チリの物価調整単位で,物価指数を基準とし変化する
ほぼ全ての銀行に申請することができる。しかし,ある銀行はその他の銀行よりもエネルギー関係
に強い。申請する前に考慮すべき幾つかのポイントがある:
50
✔ プロジェクトは明快で体系化していること,特に金融面で明快なこと。
✔ 貸付リスクを最小にする保証があること。
✔ できる限りの貸付オッファーを検討すること。
資本化
(リスク資本) :
✔
投資基金設立の支援。プロジェクトのポートフォリオを作成する投資基金に資本金を
融資することにより,PYMES(中小企業)の資本化を目指すための長期金融手段。
✔ CORFO の融資:基金に投資する民間資金の 300%まで。
✔ 基金がプロジェクトのポートフォリオを決定する。
✔ ERNC プロジェクトへの関心が高まっている。
d).
全国農村電化プログラム(PER) :
CNE,地方開発・行政次官室(SUBDERE),企画省(MIDEPLAN),大蔵省予算局(DIPRES)が地方
政府,市役所と調整を取り,1994 年から国内の農村電化計画に重要な役割を果たしてきた。それ
は,農村の家庭が電気という最重要な要素を使用できるようにするため,過去に必要であったよう
に将来も国の介入が必要であるという考えに基づいたものであり,その成果は成功した農村電化
プログラム(PER),1995-2000, 2000-2006 にみられる。
農村で展開された戦略は,電力の提供範囲を広げることとなった。しかし農村地域への配電事業
は,僻地の住宅は分散していて,しかも消費が少ないことなどから,民間事業としては採算が合わ
ず,基本的には国家の補助金を適用して電気化を進めることになる。更に,再生可能エネルギー
分野の技術は,技術・経済的見地から,伝統的又は従来型選択肢と競合するため,同エネルギー
を使用する技術に対する障害物を排除する努力をしてきた。
農村電化プログラム(PER)は,CNE の技術的なコーディネーションの下に実施された地方分権的な
プログラムで,エドワルド・フレイ政権下の 1994 年末に,国の農村電化に新しい推進力を与え,投
資を増加し,政権の終わりには 75%カバーすることを目標としてスタートしたものである (PER 開始
時の電化率は 59%で,全国 522,153 軒の農村住宅のうち,226,609 軒しか電化していなかった)。
1999 年末には電化率 76%と目標を達成したが,未だに全国 570,738 軒中 136,850 件の農家が電
化されていないと推定される。従って,近代的で効率の良い電力の供給を叫ぶ社会的要求を満た
すため,その後のリカルド・ラゴス政権が更に野心的な目標を掲げたが,それは政権末期までに国
の各地方の電化を 90%に上げるというものであった。
両政権期に重要な投資が行われ,地方投資の約束に大きな推進力を与えた補完的なプロジェ
クトが加わり,プロジェクトのポートフォリオができ,地域内の技術的な能力を生み出し,国際協力プ
ロジェクトと海外資金を通じて技術的な支援が行われた結果,地方の技術的な能力が向上した。
51
d).1.- 現状の診断:
農村電化プログラム(PER)の成功で,チリは現在コスタリカと共に中南米諸国中,最も電化された家
庭の多い国となった (都市部で 99%,農村で 92%)。前記の成功にもかかわらず,未だに 4 万 5,000
軒には電気がなく,2万軒は不十分な供給しかさず,安全又は品質の面から見ても,例えば一日
に数時間しか供給されない,料金のばらつきがあるなど,特に僻地には消費者の社会経済的な状
況が反映されない場合がある。
農村の電化率は 2006 年の始めに 92%に達したが,第Ⅳ州の 82% から首都圏の 99%までと各地方
間でのばらつきが大きい。
州別農村電化率
Cobertura Electrificación
Rural por Región
120%
99%
100%
94%
94%
83%
82%
94%
79%
60%
93%
88%
93%
80%
79%
78%
79%
66%
96%
91%
88%
80%
86%
74%
76%
63%
89%
91%
79%
73%
71%
64%
99%
99%
94%
89%
71%
63%
54%
40%
45%
44%
Censo 1992
38%
Censo 2002
20%
23%
2006
0%
I
II
III
IV
V
VI
VII
VIII
IX
グラフ 27: 州別農村電化率
X
XI
XII
RM
出典:CNE
電気のない家庭が一番集中しているのは第Ⅷ,Ⅸ,Ⅹ州で,2006 年初めに全体の 44,359 軒中
25,100 軒,57%の住宅に電気がないことが次の表で見える:
州
農村家庭数
電化された農村家庭数
電気のない農村家庭数
I
II
III
IV
V
VI
VII
VIII
IX
X
XI
XII
RM
合計
6.272
2.206
6.009
38.341
35.458
60.173
82.844
90.206
77.201
97.326
5.671
2.277
48.030
552.014
5.568
2.195
5.001
31.589
33.349
56.725
77.972
83.807
67.580
88.246
5.584
2.014
48.024
507.655
704
11
1.008
6.751
2.109
3.448
4.872
6.399
9.621
9.080
87
263
6
44.359
表 18: 2006 年始め州別農村電化率
52
出典:CNE
電化率
%
89
99
83
82
94
94
94
93
88
91
98
90
99
92
d).2.
技術:
技術的観点からみると,農村電化は2タイプのプロジェクトに分類できる:一つは従来型の既存の
配電網を延長することであり,もう一つは個別の自家発電プロジェクト又は小規模な配電網を有す
る小さな発電システムである。
2002 年 4 月に実施された国勢調査の結果から,多くの農村家庭が配電網延長プロジェクトにより
電化されたことが確認される。全国の農村家庭 53 万 9,714 軒のうち 46 万 2,596 軒(86%)が電化さ
れている(44 万 391 軒が配電網に接続, 1 万 9,892 軒が自己又は共同の発電機に接続, 2,313
軒がソーラーパネルを設置)。そして 7 万 7,118 軒(14%)は未だに電気がない。次の表でその状況を
示す。
2002年の国勢調査による農村電化とその方式
4.30%
0.50%
送電網接続
自家、共有発電
ソーラーパネル
95.20%
グラフ 28: 農村電化に使用される技術のタイプ
出典:2002 年の国勢調査,CNE
未だに電気のない農村の 4 万 4,359 軒のうち,70%程度,約 30,000 軒は既存の配電網への延長プ
ロジェクトで,残りが自家発電システムで電化されると思われる。
自家発電システムの場合には,この方式を使う家庭はおよそ2万9戸で,現在ポートフォリオにある
ものだけを加えても,このシステムにより3万家庭に供給することになると推定される。現在 100 件の
再生エネルギーによる自家発電プロジェクト(カバー範囲の拡大とサービスの向上)が入ったポート
フォリオがあり,ほぼ全国に亘り,異なる進捗状況のプロジェクトがあり,1 万 500 戸の農村家庭が恩
恵を被るはずである。このポートフォリオはCNE,管轄地方政府,市役所などにより,「再生エネル
ギーによる農村電化の障害排除」(GEF/PNUD/CNECHI/00/G32)と称するプロジェクトの支援の
下に作成されていて,CNEが 2001 年から 2007 年の間に実施する。
d).3. 助成金:
適用された助成金のモデルは,投資の一部を融資するもので,収入から回収することは不可能で
あるもの国内投資システムにより定められた更新率 (現在 10%)により,利権又は市の許可を取得し
て運営する民間企業に与えられ,中央レベルから統制される料金により投資の何パーセントかの
収益を上げられるというものである。
2002 年 4 月の国勢調査では,全国の 53 万 9,714 軒が農村地帯にあり,うち 1 万 9,892 軒が自
家発電あるいは共同体から電力を受け取っている。
9
このタイプの助成金制度は送電線延長プロジェクトでは成功したが,自家発電システムでは十分に
53
機能しない。即ち,延長プロジェクトの場合には持続可能性を確保できるが,各プロジェクトの経
済・社会・環境維持性に開発モデルを合わせなければならない自家発電プロジェクトの場合には
一般にうまく行かない。
この 10 年間で,このように投資の一部を融資する国家の助成金制度のおかげで,1 万 4,500 家庭
がこの重要な要素を得た (グラフ 29 参照)が,これはこのメカニズムが,特に既存の配電網からの
延長プロジェクトに参加することを通じて,民間セクターが参加することを刺激したからである。
Viviendas
Rurales Electrificadas
農村家庭電化戸数
25.000
20.427
19.05319.107
20.000 17.933
13.000 13.901
15.000
9.987
9.851
10.000
9.111
6.488 5.876
5.000
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
グラフ 29 : 年別農村電化戸数
出典: CNE
家庭又は住宅ごとの助成金という観点からすると,年毎に増加しているが,これは主に受益者が
益々遠くなり分散していることと,同時に機材の価格が上昇しているからであるが,それをグラフ 30
で見ることができる。
Subsidio
Promedio por Vivienda
一戸当たり平均助成金額
Valores
Reales
a Dic 2005
2005 年
12 月現在
3.000
2.433
US$/viv
2.500
2.038
2.000
1.225
1.500 1.107
1.282 1.397
1.615
1.544
1.957
1.595
1.181
1.000
500
0
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
表 30 : 一戸当たり平均国家助成金額
出典:CNE
発電システムの特徴として,使用する技術のタイプによってコストとそれに伴う助成金も
変化し,更に遠距離と僻地にエネルギーを供給するための地理的な条件が大きく影響する。
54
重油による発電システムは,その技術・商業的観点からして,二つの特徴がある:
第1に高い操業コストとメンテの面から,平均 4-5 時間しか稼動しないこと。
第2に市役所の一般行政ルールに従ってユーザーが支払う料金は,全国で非常に大きな差があり,
ある場合には極端に高く,典型的な農村の配電に接続している料金の 400%などという例もあること。
別の例では,コストは投資及び操業とメンテも含めて,国家の助成金制度に吸収され,必ずしも必
要な家庭における各家庭の社会・経済的変数と支払う料金との間に関係はないことがある。
チリに設置された光電システムの場合,コキンボ地方の 3,064 軒のプロジェクトでは,各軒ごとに国
家が負担したコストは 1,609 ドルであり,年平均,月に 10-12kW の発電量があった。
同じ電力を第Ⅶ州で 21 軒の家庭に供給するプロジェクトでは,一戸当たり 2,409 ドルのコストであ
った。このタイプの電化は 12V の直流電圧で蛍光灯 4 本,ラジオ用の差込ともう一つ小さなテレビ
用の差込がある。
13kVA の小規模水力発電で 18 軒の家庭を電化するプロジェクトの場合には,コストは一軒当たり
2,311 ドルであった。別のプロジェクトで3つの村落,126 軒の家庭に3つの小規模水力発電所から
電力を供給するもののコストは 3,930 ドルであった。
ここで分かるようにこのタイプのプロジェクトには,一言でいえるようなコストというものがない。
e).- プロジェクト「再生エネルギーによる農村電化の障害排除」:
温室効果ガスの排出を制御する国際協定のお陰で,世界環境基金(GEF)はチリで「再生エネ
ルギーによる農村電化の障害排除」というプロジェクトに共同融資している。2001 年 9 月には国
連開発計画(UNDP),CNE,外務省の間で CHI/00/G32 という協定が結ばれた。
この GEF の無償融資 600 万ドルによる 2001 年から 2007 年までのプロジェクトの目的は次のよ
うなものであった:
* プロジェクトのポートフォリオ作成 (プレフィージビリティ・スタディ)
* 技術規準作成
* 認証要項作成
* 奨励キャンペーン実施
* 研修プログラム作成
* 北部での大規模な太陽光電プロジェクト実施
* リスク軽減金融機構の設立
* 重油発電システムのハイブリッド化
* チリの風力資源測定のための技術的能力養成
このプロジェクトのお陰で,およそ 100 件のプロジェクト,2000 万ドル,およそ農村家庭 1 万 500 戸
を受益者とする ERNC プロジェクトの重要なポートフォリオが作成された。このポートフォリオのプロ
ジェクトは異なる進捗状況にあり,太陽光電技術によるものは,このプロジェクトのお陰で実現した。
f). 全国ソーラーパネル計画:
現在 CNE は UNDP,GEF とフランス政府の民間調査セクター調査・援助機関(FASEP)の支援の下
55
に,上水用の太陽熱パネルの使用を奨励する計画を進めている。それと平行して CNE は「国家太
陽熱収集パネル委員会」を設立したが,その構成メンバーは CNE,UNDP,GEF,省エネ国゜
ログラム,住宅・都市省,鉱業・エネルギー省,PROCOBRE などである。
Ⅸ.2.-
太陽光発電推定電力と潜在的なプロジェクト
つぎの表 19 に太陽光電システムの様々な応用における消費電力を参考として示す。
タイプ
1.2.3.4.5.6.7.-
用途
微電流消費
住宅電化
公共照明
通信
揚水
光電ハイブリッド
送電網に供給
電卓,時計など
照明,ラジオ,テレビ,家電
照明
ラジオ,送信機
水道と灌漑水
送電網経由(小規模配電網)
住宅電化と光電発電所
電力範囲
電流
1 Wp 以下
50 – 500 Wp
0,1 – 1 kWp
0,05 – 5 kWp
0,05 – 3 kWp
0,5 – 20 kWp
0,1 – 9 MWp
cc
cc/ca
cc/ca
cc
cc/ca
ca
ca
表 19 : 光電システムの応用,電力範囲と電流の種類 出典:ジェトロ・サンティアゴ事務所
次に「再生エネルギーによる農村電化の障害排除」プロジェクトにより識別された潜在的なプロジ
ェクトの分析と推定発電電力を計算する:
a).- 家庭用光電システム(SFD) :
州
I
I
I
I
I
I
I
II
II
II
III
III
IV
VI
VII
VII
VIII
VIII
VIII
XI
プロジェクト
FV General Lagos
FV Putre
FV Camarones
FV Pica
FV Pozo Almonte
FV Huara
FV Colchane
FV Calama
FV San Pedro de Atacama
FV Tocopilla
FV Regional
地域
General Lagos
Putre
Camarones
Pica
Pozo Almonte
Huara
Colchane
Calama
San Pedro de Atacama
Tocopilla
Diego de Almagro, Copiapó, Caldera, Tierra
Amarilla, Vallenar, Freirina y Huasco
受益軒数*
14
76
22
6
2
16
21
25
24
11
Todas las comunas
198
Todas las comunas
1.531
Todas las comunas
Empedrado
Todas las comunas
Todas las comunas
Todas las comunas
Todas las comunas
Cochrane
合計
236
40
323
244
164
159
63
3.637
FV Mejoramiento Sist.
Existentes
FV Mejoramiento Sist.
Existentes
FV Regional
FV Empedrado II
FV Regional
FV Provincia de Arauco
FV Provincia Bio Bío
FV Provincia Ñuble
FV Cochrane
462
* 住宅と農村の施設
表 20 : 家庭用光電発電システムのプロジェクトのポートフォリオ 出典:プロジェクト CHI/00/32
56
太陽光電発電システムの農村家庭用としてチリで標準化したものは,日照時間が一番少ない月に
(10kWh/月)でも必要最低限の電力は保証できるものである。次のグラフに示す:
Potencia
Mínima Garantizada para lograr 10
kWh/mes por
州別保証最低電力(月当たり最低
10kWh)
Región
450
391
400
350
271
Wp
300
200
150
230
214
250
98
90
I
II
113
124
III
IV
145
167
174
166
RM
VI
VII
182
100
50
0
V
VIII
IX
X
XI
XII
Región
グラフ 30 : 個別家庭用光電システムによる,州別保証最低電力(10kWh/月)
出典:チリの調査企業
上のグラフによると,それぞれの州の潜在プロジェクトを考慮すると,合計 372.6kWp の潜在的なポ
ートフォリオが存在するが,それが次の表で見られる:
州
潜在的 kWp
I
II
III
IV
V
RM
VI
VII
VIII
IX
X
XI
XII
13,8
4,9
57,4
94,9
s.i.*
s.i.
37,1
54,5
93,0
s.i.
s.i.
13,0
s.i.
Total
372,6
*s.i. データなし,ポ−トフォリオの調査していない。
表 21 : 家庭用光電システムの潜在力 出典:プロジェクト CHI/00/32
57
改良のケースでは各家庭ごとに 50Wp のパネルの据付を考慮したが,それは既に 90 年代に第Ⅲ
州,第Ⅳ州においてスタンダードとして 50Wp パネルが設置されたからで,差を設置するための経
費をグラフ 30 に示す。
b).- 光電パネルとディーゼルのハイブリッドシステム:
更に,光電パネルとディーゼルのハイブリッドシステムと小さな配電網を組み合わせたプロジェクト
がいくつかある。それを次に示す:
州
I
I
I
I
I
I
I
I
I
I
I
I
I
II
II
III
IV
IV
プロジェクト
Proyecto Híbrido Nama
Proyecto Híbrido Chaca
Proyecto Híbrido Alcérreca
Proyecto Híbrido Tacora
Proyecto Híbrido Mulluri
Proyecto Híbrido Jaiña
Proyecto Híbrido Chiapa
Proyecto Híbrido Mauque
Proyecto Híbrido Cancosa
Proyecto Híbrido Lirima
Proyecto Híbrido Macaya
Proyecto Híbrido Sibaya
Proyecto Híbrido Achacagua
Proyecto Híbrido Machuca
Proyecto Híbrido Camar
Proyecto Híbrido Caleta Pan de Azúcar
Proyecto Híbrido Almirante Latorre
Proyecto Híbrido Los Morros
地域
Camiña
Arica
General Lagos
General Lagos
Camarones
Huara
Huara
Colchane
Pica
Pica
Pozo Almonte
Huara
Huara
San Pedro de Atacama
San Pedro de Atacama
Chañaral
La Serena
La Higuera
合計
受益軒数*
28
25
15
6
4
20
24
15
10
20
20
40
35
23
20
28
70
42
445
* 住宅と農村の施設
表 22 : 太陽光電パネルとディーゼルのハイブリッドシステム ポートフォリオ
出典:プロジェクト CHI/00/32
未だ一つのプロジェクトも実施されていないが,最も進んでいるのは第Ⅱ州カマールのプロジェクト
でほぼ設計が終わり,国庫の助成金申請の段階にある。
太陽光電パネルの容量の計算には,カマールの 20 軒用のプロジェクトでは 6.2kWp の容量が必要
であり,直線的に計算すると 445 軒用には 138kWp を必要とする。
c).- 学校と診療所:
更に,第Ⅳ州の 36 の学校と診療所に電気を供給するプロジェクトが調査段階にあるが,これは既
存の配電網に接続するのが不可能なケースである。 プレフィージビリティ・スタディによると,最良
の選択肢は,16 軒を光電パネルとディーゼルのハイブリッドシステムで供給,20 軒を個別光電シス
テムで給電することで,次の表に示すように,それぞれの規模に応じて消費電力も異なる:
58
地域
消費
Ppeak
Vcc
C100 - Bat
Pel, c.a. - Inversor
ディーゼル
Wh/día
W
V
Ah
kW
kVA
La Laja
2.137
942
24
400
1,6
Condoriaco
1.529
674
24
300
1,6
El Chacay Alto
2.880
1.269
24
600
1,6
Agua Grande
1.642
724
24
360
1,6
El Mollaco
1.387
611
24
300
1,6
Camarones
2.590
1.141
24
500
1,6
Los Morros
2.379
1.048
24
500
1,6
La Caldera
2.479
1.092
24
500
1,6
El Cobre-Las Damas
1.880
828
24
360
1,6
2,2
2,2
La Mollacana
1.824
804
24
360
1,6
El Peral
2.139
942
24
400
1,6
San Lorenzo
2.458
1.083
24
500
1,6
El Parral
1.817
801
24
360
1,6
Chingay
3.214
1.416
24
600
1,6
Qda Seca Sotaqui
1.402
618
24
300
1,6
El Sauce
4.052
1.785
24
960
2,3
2,2
Teniente Alto
2.512
1.107
24
500
1,6
2,2
El Tabacco
2.541
1.120
24
500
1,6
2,2
El Arrayán
2.292
1.010
24
500
1,6
La Quiroga
2.183
962
24
500
1,6
Algarrobo de Hornillos
2.267
999
24
500
1,6
Alto de Pechén
2.916
1.285
24
600
1,6
La Higuera de Quiles
8.470
3.732
48
960
3*5,0
15
El Durazno de Quiles
3.829
1.687
24
960
2,3
2,2
Alhuemilla
2.581
1.137
24
500
1,6
2,2
El Talhuén
2.488
1.096
24
500
1,6
Las Mollacas
2.579
1.136
24
500
1,6
Ilta
2.337
1.030
24
500
1,6
Ravanales
4.099
1.806
24
960
2,3
Fundo La Aguada
4.101
1.807
24
960
2,3
2,2
Qillaicillo
3.006
1.325
24
600
1,6
2,2
Peladeros
5.089
2.242
24
960
2,3
2,2
El Naranjo
2.379
1.048
24
500
1,6
Culimo
2.338
1.030
24
500
1,6
Cerro Blanco
3.316
1.461
24
720
1,6
Maria Isabel
2.063
909
24
400
1,6
99.195
43.708
2,2
2,2
2,2
2,2
2,2
19.920
表 23 : 第Ⅳ州の学校と診療所電化プロジェクトのポートフォリオ 出典:プロジェクト CHI/00/32
59
次の表に光電パネルの主要な潜在的需要を等級別にまとめてみる:
kWp
分類
農村住宅
401,5
ハイブリッドシステム
138,0
43,7
診療所と学校
583,2
合計
表 24 : 光電パネル潜在市場の要約,民間部門又は農村電化 出典:チリの調査会社
60
結論
世界的に光電発電市場は毎年 30% 程度の急成長を続けている。これは奨励政策に支えられ
送電ネットワーク接続方式,自立方式とも成長を続けるであろう。
チリでは規制の動きが活発であり,関係者間で ERNC 使用を奨励する意思が強まっている,そ
れは主に次のような理由によるものである: 1) 異なる部門の将来のエネルギー供給の不安,2)ア
ルゼンチンからのガスの供給危機,3) エネルギー供給の 15%を ERNC に依存するという大統領
の公約。従って,ERNC 使用を進めるための事前投資,プロジェクトへの金融,法的なインセンチ
ブなどの方法が存在する。
我国にはソーラーパネル発電の大きく活発な市場がないので,ヨーロッパ,アメリカ,日本の国々と
同じく,この市場の開発は国家の補助金による以外にはない。それは送電ネットワークに接続
する光電パネル発電による現在の商業コストは US$10/Wp であり,地理的な位置にもよる
が IVA なしで平均 US$0.9 から 1.8/kWh で,2007 年 3 月現在の最終消費者家庭コストは IVA
なしで US$0.15 から 0.22/kWh であった。パネルのコストが半分になれば(US$5/Wp),消費
者コストが IVA なしで US$0.5 ‒ 1.0/kWh になる,従って,競争力という観点からすると大電力の送
電ネットワーク接続方式は可能性がない。
僻地の送電線が届かないような場所においては状況は明るくなり,光電パネル発電はディ
ーゼル発電などと比較してメンテのコストも燃料も必要ないので最も良い選択肢である。
このタイプの設備の経済的な分析をする場合に考慮しなければならないことは,僻地への
送電線の敷設のコストはざっと 1km 当たり US$10,000 から US$15,000 するということであ
る(使役権を含めず)。その意味から農村のプロジェクト,特に農村家庭の場合の潜在力を
554.3kWp と推定したが,実現するか否かはそのプログラムを担当している国家機関の意思次第で
ある。
これはモジュールの技術なのでスケール経済は存在せず,どちらかと言うと大量に購入する,又は
同じ場所に大量に販売すれば安価になるという程度である。
今年,政府は電力の最終消費者価格が 8%上昇することが予想されると発表したが,それはアルゼ
ンチンのガスが益々制限されてきたことによるものである。この事実は大手の消費者を非常に困難
な状態に追い込み,どうしてでも解決策を探す事を強いられ,しかも供給の不足から将来の新しい
値上げが予想されるのである。
上記に加えて,政府が国会の承認を受けるために発議した再生可能エネルギー使用奨励のため
の法案は売電(発電)企業は毎年の総発電量の 5%をERNCによることを要求し,そうでない場合には
0.4UTM/kWh10, US$0.025 相当の罰金を課すというのである。
光電パネル発電プロジェクト開発の可能性を上げるために重要な役割を果たすもう一つの要素は
CDMであり,光電発電の一つの利点は大気中の炭酸ガス濃度を減少させることだからである。ディ
ーゼル発電を光電システムに替えると発電量 1kWh当たり 1kgの CO2が抑制されると推定される。
石油ランプを光電式に替えただけで発電量 1kWh当たり 25kgの CO2が抑制される。
10
UTM: 月間納税単位のことで,現在US$62.5/UTM
61
添付資料
添付
1.
チリの太陽資源
添付
2.
水平面総日照量
添付
3.
企業情報
添付
4.
価格
添付
5.
光電パネルの輸入統計
62
略語
ca
cc
CIEMAT
CIF
CNE
CONAMA
CORFO
CPC
ER
ERNC
FOB
GEF
GTZ
IEC
IVA
JETRO
CDM
PER
PIB
PNUD
PPEE
PSE
RENACE
SAG
SEC
SEIA
SIC
SING
SOFOFA
UTFSM
交流
直流
エネルギー,環境,技術研究センター
コスト,保険,運賃
国家エネルギー委員会
国家環境委員会
産業振興公団
チリ商工連盟
再生可能エネルギー
非従来型再生可能エネルギー
Free on Board
世界環境基金
ドイツ技術協力機関
国際電気技術標準委員会
付加価値税
日本貿易振興機関
クリーン開発メカニズム
全国農村電化プログラム
国民総生産
国連開発プログラム
国家省エネプログラム
エネルギー安全計画
全国環境活動ネットワーク
農牧庁
電気・燃料監察局
環境影響評価システム
中部送電ネットワーク
北部送電ネットワーク
産業振興会
フェデリコ サンタ マリア工業大学
63
参考文献
1. Energía Solar, Aplicaciones e Ingeniería, Pedro Sarmiento M., 3era Edición, 1995.
2. Pautas para la Elaboración de Proyectos de Generación de Electricidad
Mediante Sistemas Fotovoltaicos, Comisión Nacional de Energía, 1996.
3. Datos para Proyectos de Energía Solar, Adolfo Arata, Universidad Técnica
Federico Santa María.
4.
Módulo III: Energías Solar Fotovoltaica. Sr. Miguel Alonso, CIEMATEspaña, Cuarta Edición, 2006.
64
Fly UP