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発表資料5 - 大阪市立大学

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発表資料5 - 大阪市立大学
プレスリリース
2013 年 2 月 28 日
大阪科学・大学記者クラブ 御中
発表資料 5
プレスリリース
公立大学法人大阪市立大学
「結び目理論を応用した図形ゲーム」による
幼児の数学教育効果の調査研究を開始しました
大阪市立大学は、結び目理論を応用した図形ゲーム「領域選択ゲーム」(Region Select)を用いて、幼
児の数学教育効果の調査研究を保育園、幼稚園の協力を得て開始しました。
本学数学研究所の河内明夫所長(理学研究科教授)を中心とする研究チーム(現 大阪工業大学:岸本
健吾特任講師、現 広島大学:清水理佳特任助教)は、2011 年に結び目理論を応用した図形ゲーム「領
域選択ゲーム」を考案し、その年の 12 月には、共同研究先の株式会社グローバルエンジニアリング(本
社:名古屋市中村区名駅南 2-10-22)からスマートフォン用図形ゲームとして商品化を実施しました。
今回、同じく(株)グローバルエンジニアリングの協力を得て、この図形ゲームの幼児版を製作し、
数字をよく知らない幼児がどの程度図形による数学アルゴリズムを獲得できるかを研究するための検
証を開始しました。
調査対象としては、幼児教育に熱心に取組んでいる大阪
教育大学附属幼稚園、大阪女子短期大学地域子育て支援研
究所、社会福祉法人晴朗会すくすく保育園の3施設に、こ
の幼児版の図形ゲームを組込んだタブレット端末を配布し
て、その教育効果のデータ取得を依頼しました。
取得データの解析とその教育効果の検証は、
「結び目の数
学教育研究会」
(代表 柳本朋子大阪教育大学教授)に依頼
して行います。
<調査検証の概要>
●調査期間:平成 25 年 1 月下旬~9 月上旬
●調査目的:幼児の数学力を向上させるための教材として、結び目理論を応用した図形ゲーム「領域選
択ゲーム」の幼児版を使い、その教育効果を検証する。
●調査対象: ①大阪教育大学附属幼稚園
②大阪女子短期大学地域子育て支援研究所
③社会福祉法人晴朗会すくすく保育園
(実施期間:平成 25 年 1 月下旬~3 月下旬)
●教育効果の検証:
「結び目の数学教育」研究会(柳本朋子大阪教育大学教授代表)
(実施期間:平成 25 年 4 月上旬~9 月上旬)
●調査方法:幼児版の結び目ゲームを組込んだタブレット端末(10 台)によるデータ取得
<領域選択ゲームとは>
「領域選択ゲーム」は、大阪市立大学 数学研究所によって開発されたものです(特願 2011-95520)。
今回、製作した幼児用「領域選択ゲーム」の代表的な結び目の図形を図に示します。
幼児用の図形ゲームの場合(下図(b)を参照)は、一筆で描ける茎(線)の交わる部分に例えば、朝顔の
つぼみの図形を配置し、茎(線)で囲まれた閉領域を指でタッチして選択するごとに、この領域に接する
交点のつぼみが開花(点灯)したり、つぼみに戻ったりを繰り返します。ゲームクリアの条件は全てのつ
ぼみを開花状態にすることです。
ルール通りに描かれた図形であれば、朝顔の状態がつぼみ、開花のどのような状態であっても必ず全
ての朝顔を開花できるということが、数学の結び目理論で証明されています。
数学を応用した文字や数字を使用しない頭脳ゲームですが、数学の知識を必要としません。操作・ル
ールは簡単でありながら、直感力や数手先を読む思考力が試されるという特性を持っており、就学前児
童や、小学校低学年児童の図形教育、および高齢者の視空間認識機能リハビリテーションに役立つこと
が期待されています。
(a)
(b)
幼児用「領域選択ゲーム」の代表的な結び目の図形
<研究の概要>
数学に限ってみると、左脳には、論理的思考、数学の知識、抽象的思考などのメカニズムが集中し、
右脳には空間的視覚機能、空間感覚・空間認知、視覚的記憶などのメカニズムが集中しています。数学
を考えるには、まず数学の具体的なイメージをもつ力が必要となりますが、それは図形教育による右脳
思考の訓練により培われるものです。
結び目理論の初等部分は、ユークリッド幾何の進化した図形の研究です。結び目理論を応用した図形
ゲーム「領域選択ゲーム」の1つ1つは、ある 0 と1からなる係数の多変数の連立1次方程式を解くこ
とと同等であり、これはすなわち右脳思考の訓練になります。
幼児に数学を教えようとする場合、一般には、まず数字を暗記させることから始めます。しかし、そ
れは将来の数学の勉強のための重要な準備作業ではありますが、右脳思考の数学訓練や数学アルゴリズ
ムの訓練などの数学力を向上させるための訓練とはいえません。
この「領域選択ゲーム」幼児版では、数字を知らない幼児にも数学力を向上させることが可能である
ことを検証したいと考えています。
<今後の展開>
幼児版図形ゲーム「領域選択ゲーム」の数学教育効果の研究成果を基に、幼児教育産業向けにこのゲ
ームの製品化の可能性を探求する予定です。
また、「領域選択ゲーム」の高齢者版を製作して、アルツハイマー病など空間認知の病気の改善効果
の検証を行いたいと考えています。
【研究に関する問い合わせ先】
【取材に関する問い合わせ先】
大阪市立大学理学研究科 教授 河内 明夫
大阪市立大学広報室 小澤、勝井
TEL:06-6605-2514
TEL:06-6605-3570 FAX:06-6605-3572
【参考資料】
河内 明夫(かわうち あきお)
大阪市立大学 大学院理学研究科 数物系専攻 教授
○略歴
上智大学理工学部数学科卒業、神戸大学理学研究科修士課程数学専攻、大阪市立大学理学研究科博士課
程数学専攻修。理学博士(大阪市立大学)。
1977 年 4 月~1980 年 3 月 大阪市立大学理学部助手
1980 年 4 月~1981 年 3 月 大阪市立大学理学部講師
1981 年 4 月~1988 年 10 月 大阪市立大学理学部助教授
1988 年 10 月~2001 年 3 月 大阪市立大学理学部教授
2001 年 4 月~現在
大阪市立大学大学院理学研究科教授
この間、 1978 年 9 月~1980 年 4 月 プリンストン高等学術研究所研究員
1987 年 6 月~1988 年 3 月 カリフォルニア大学バークレー校客員研究員
1991 年 3 月~1991 年 4 月 メルボルン大学 Visitor
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<参考資料 5>
2011 年 6 月 3 日
プレスリリース
報道機関 各位
公立大学法人大阪市立大学
結び目理論を応用した「領域選択ゲーム」の開発に成功
―数学を使った新しい脳のトレーニング―
大阪市立大学理学研究科の河内明夫教授(数学研究所所長)、清水理佳氏(数学研究所所員)、
岸本健吾氏(元
数学研究所所員)の研究グループは結び目理論を応用した「領域選択ゲーム」
の開発に成功しました。これは、純粋数学である結び目理論を世界で初めて工学的に応用したこ
とになります。このゲームは数学の知識がなくても直感的に解くことができ、子どもからお年寄
りまで幅広く楽しむことができるので初等教育や認知機能のリハビリなどに応用が期待されてい
ます。なお、このゲーム装置およびゲームプログラムについては特許出願を行いました。
<研究の背景・経緯>
『結び目』とは一般的にはひも状のものが絡んでいることを指しますが、科学的には輪のよう
に 3 次元空間内に閉じたひものことを指します。
『結び目理論』とは、どのような結び目があるか
という問題と、与えられた2つの結び目が同じかどうかを判定するという問題を、数学の理論を
使って研究する学問です。近年は物理、化学、生物との関連研究において注目されています。
本学の数学研究所では 21 世紀 COE プログラムに採択され、結び目を焦点とする研究拠点とし
て多くの成果をあげてきました。
<研究の概要>
「領域選択ゲーム」は両端を閉じた 1 本の横断的に交わる線から
なる図形で 2 重の交点を少なくとも 1 つ以上有するものを、ディス
プレイ上に表示しておき、その図形の線で囲まれた任意の領域を選
択する毎に、領域の境界に属する交点上に設けた表示部、例えばラ
ンプの表示状態を変化させる電子ゲームです。
数学を応用したゲームとしては、ルービックキューブや数独(ナ
ンプレ)などの頭脳ゲームがよく知られていますが、それらと比較
すると文字や数字を使用しておらず、年齢性別を問わず数学の知識
がなくても直感的にゲームを楽しむことができます。
領域選択ゲーム
<今後の展開>
どのような図形であっても必ず解くことができることが結び目理論で証明されているため、プ
レイヤー自身が自由に図形を設定し、問題を作ることが可能です。ゲームの難易度も自由に設定
でき、初等教育や認知機能のリハビリにおいて、図形を認識する訓練の一環として利用すること
ができると考えられます。さらに領域選択ゲームは照明装置について新しい点灯方式に応用でき
るなど、その他産業分野への応用が期待されています。
【報道に関する問い合わせ先】
総務課広報担当 小澤・勝井
TEL:06-6605-3570 / FAX:06-6692-1295
【内容に関する問い合わせ先】
数学研究所 所長 河内明夫
TEL: 06-6605-3103 / FAX:06-6605-3104
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