...

近代シャンソンの成立と発展

by user

on
Category: Documents
34

views

Report

Comments

Transcript

近代シャンソンの成立と発展
JASRAC講座
ミュージック・ジャンクション
出演者プロフィール
講師
蒲田 耕二 (音楽評論家)
東 京 外 国 語大 学フランス科 卒。出 版社 勤 務 中にシャンソンとオペラの評 論を始め、
1973年から20年間『レコード芸 術』誌で新譜月評を、88年から15年間NHK-FMおよ
びラジオ第1でDJを担当した。その間『ミュージック・マガジン』
『CDジャーナル』など
各誌に寄稿。近著に『聴かせてよ愛の歌を∼日本が愛したシャンソン100』
(清流出版)
その他がある。
ワールドミュージックというと、
何か特殊な音楽と思われるかもしれません。
演奏
しかしワールドミュージックは、
生まれた国では普通に聴かれているポピュラー音楽で
Sublime (フランス人歌手)
あることが少なくありません。
ときには民族音楽やクラシックの一部だったりもします。
シンガーソングライター、
女優、ステージディレクター。
1978年にアーティストとしてデ
ビュー。
85年から94年まで日本に滞在。
トランペット奏者三宅純とアコーディオン奏者
cobaらとのコラボレーションも行う。
10年ほど前からは、
自分のバンドを結成し、
東京
や横浜のライブハウスでオリジナル・ソングのライブを定期的に開催。
歌手活動以外にも
多数の舞台に出演し、
さらには手回しオルゴールにのせて歌うストリートパフォーマーと
しての顔を持ち合わせている。
JASRACメンバー。
http://www.myspace.com/sublimetokyo
http://www.dailymotion.com/video/xeysko_ludic-live-mandala_music
バンドメンバー:Kota Sayama(Pf) / Yoshiaki Sato(Acc) / Koichiro Abe(Cb) / Yoshie(Per)
いずれにせよワールドミュージックのほとんどには、生まれた地域の伝統的な音楽の
要素が含まれています。
世界各地には色彩豊かなさまざまな伝統的な音楽がありますが、
それは外部から孤立した、不変のものではありません。伝統的な音楽はどこでも時代に
応じて新しく作り直されてきました。
ワールドミュージックは更新されつつある伝統的な
音楽の宝庫です。
コンピュータや携帯電話や飛行機で情報や人が世界中を飛び交うような
時代には、その影響も無視できません。ワールドミュージックとは一見関係なさそうな
英米のポピュラー音楽もまた世界の音楽に影響されて刻々と変化しています。
司会・コーディネーター
遠い未知の世界のエキゾチックな音楽としてだけでなく、
同時代の刺激的なポピュラー
音楽としてワールドミュージックを聴き直してみましょう。
司会
コーディネーター
ayako
北中 正和
(制作プロジェクトHalo主宰)
音 楽 家 / 写 真 家 としてHaLo
名義で世界各地の音楽家たちと
のコラボレーションにより色を
音で現す試みのアルバム"blue"
と"yellow"をリリースし、
現在
"green"のリリース準備中。
旅先でカメラに収めた犬や
猫たちを集めたポストカードセットも好評。
また、
1999年
『親の目子の目(猫みち小みち谷中露地)』
(のちに民教協
会長賞受賞)
に出演以降、
数々のドキュメンタリー番組の
ナレーションを手がけ、2003年にACC賞など多数の
賞を受 賞したネスカフェのCMで『朝 のリレー』(谷川
俊太郎作)も朗読するなどテレビ/ラジオCMでも活躍中。
制作プロジェクトHaLo主宰。
(音楽評論家)
音楽評論家。
音楽雑誌の編集者
を経て、
新聞、
雑誌、
放送などで
世界各地のポピュラー音 楽 を
紹介している。
著書に
『毎日ワー
ルド・ミュー ジック』
『 Jポップ
を 創った アルバ ム69』
『日 本 の うた』な ど、共 編 著 に
『世界は音楽でできている』
『事典 世界音楽の本』
など。
ミュージック・ペンクラブ・ジャパン会員、
東京音楽大学
非常勤講師。
音楽を中心にしたウェブサイトWABISABILANDを主宰。
NHK-FM
「ワールド・ミュージック・タイム」
DJ
http://homepage3.nifty.com/~wabisabiland/
http://www.halo-inc.net
24回
第
近代シャンソンの成立と発展
2011年12月7日
(水)19時∼20時45分
講師:蒲田 耕二
(音楽評論家)
演奏:Sublime
(フランス人歌手)
コーディネーター:北中 正和
(音楽評論家)
司 会:ayako
(制作プロジェクトHalo主宰)
会 場:けやきホール
(東京都渋谷区上原3-6-12)
主 催:一般社団法人 日本音楽著作権協会
(JASRAC)
http://www.jasrac.or.jp
この公開講座は、
音楽文化の振興を目的として開催いたします。
第1部
講義
蒲田 耕二
近代シャンソンの成立と発展
第2部
演奏
Sublime
1. Ludic'
19世紀末、
ベルエポック期の経済的繁栄を土台に誕生した近代シャンソン。
フランス社会の富裕化に伴い、
ヨー
ロッパ都市歌謡の中でも特に早く成熟したこの音楽の隆盛期に焦点を当て、
その経緯を辿る。パリ下町のダンス音楽
“ミュゼット”
やフランス独特のジャズ
“マヌーシュ・スウィング”
との関係、
演劇性重視の特質、
戦後シャンソンを予告
したピアフとトレネの登場など。
(作詞:Sublime 作曲:三宅 純)
2. Minerale
(作詞:Sublime 作曲:三宅 純)
3. Hymne à l'amour(愛の讃歌)
(作詞:Edith Piaf 作曲:Margueritte Monnot)
1. ベル・エポック:近代シャンソンの基礎形成
19世紀末、
歌を芝居のセリフのように表情づけして歌う表現スタイルをイヴェット・ギルベールが開始。
同じころ、
モンマルトルを本拠
にするアリスティード・ブリュアンが周辺の娼婦やヤクザ者を主人公とするバラードを歌い、
現実派シャンソンchansons réalistes
のジャンルを開拓する。
以後、
ストーリー性のある歌詞、
演劇的歌唱様式、
現実性の3点が20世紀のシャンソンの性格を形作る。
4. La Foule(群衆)
5.
東京
je t'Aime
(作詞:Sublime 作曲:三宅 純)
2. 19世紀末∼1920年代:ミュゼットの台頭
●サクレ・クール寺院
(作詞:Michel Rivgauche 作曲:Angel Cabral)
※演奏曲目、曲順等は変更になる場合があります。ご了承ください。
パリに出稼ぎに来て下町のバスティーユ界隈、
特にラップ通りに集中して住んでいたオーヴェルニュ人たちの民俗ダンス、
ミュゼット
が次第に人気を博し、
環境の近い現実派シャンソンと融合。
のちにイタリア移民の持ち込んだアコーディオンを採り入れて、
3拍子、
ア
コーディオン伴奏というシャンソンの音楽的特質が形成される。
モンマルトル
●凱旋門
シャン
ゼリ
ゼ
●オペラ座
パリ
●ルーブル美術館
●オルセー美術館
●エッフェル塔
●ノートルダム大聖堂
サン・ジェルマン・デ・プレ
3. 1920∼30年代:メディアの普及とバカンスの拡大
バスティーユ
カルティエ・ラタン
好景気の1920年代、
ラジオ、
レコード、
トーキー化された映画がシャンソンを全国に広める。
29年の大不況を経ながらも、
36年の人
民戦線内閣成立、
労働時間短縮でフランス社会はさらに音楽を楽しむ余裕を増す。
モンパルナス
セーヌ川
4. 1930∼40年代:ジャズとマヌーシュ・スウィング
スウィング・ブームがアメリカから到来し、
フランス人のジャズ好みに拍車をかける。
一方、
ベルギー経由でやってきた東欧ジプシー
(マヌーシュ)
の中から、
ミュゼットを媒介に独特のジャズ・スタイル、
マヌーシュ・スウィングが生まれる。
5. 第2次大戦前夜:ピアフとトレネのデビュー
MEMO
1930年代末に相次いでデビューした二人の歌手、
エディット・ピアフはミュゼットなど伝統的ジャンルを、
シャルル・トレネはより現
代的なジャズ風シャンソンを代表し、
それぞれ戦後シャンソンの先駆者となる。
6. 1950∼60年代:セーヌ左岸派とブラッサンス
旧世代に不信感を持つパリの若者たちが40年代末、
セーヌ左岸のサンジェルマンデプレ地区に反コンヴェンショナリズム傾向の文
化を開花させる。
一方、
反骨精神を彼らと共有しながらも、
より豊かな歌唱力と人格的魅力を持つジョルジュ・ブラッサンスは旧世代も
ファンに取り込んで国民的人気歌手となり、
シャンソン史の掉尾を飾る。
曲目
Titres
Artistes
Sources
1
辻馬車 Le fiacre (Xanrof)
イヴェット・ギルベール
2
娼婦ニニ Nini, Peau d'Chien (Bruant)
アリスティード・ブリュアン 『シャンソン歴史物語』ライス FSR-717
3
魅惑のオバード Aubade charmeuse (Vacher)
エミール・ヴァシェ
4
青色のジャヴァ La java bleue (Scotto/Koger/Renard)
フレエル
5
ヴァランティーヌ Valentine (Christiné/Chevalier/Willemetz)
『聴かせてよ愛の歌を∼日本が愛したシャンソン100』付属CD
『シャンソン歴史物語』ライス FSR-717
"Frehel" MM 7 86881 2
モーリス・シュヴァリエ
『シャンソン名曲大事典』
2 EMI Odeon TOCP-6422
6
異国の人 L'étranger (Malleron/Juel/Monnot)
ダミア
7
マイ・スウィート My sweet (Reinhardt/Grappelli)
ジャンゴ・ラインハルト
8
私の兵隊さん Mon légionnaire (Asso/Monnot)
エディット・ピアフ
『聴かせてよ愛の歌を∼日本が愛したシャンソン100』付属CD
9
私は歌う Je chante (Trenet/Misraki/Trenet)
シャルル・トレネ
『シャンソン歴史物語』ライス FSR-717
10
絶対従順主義 Je me suis fait tout petit (Brassens)
ジョルジュ・ブラッサンス
『シャンソン歴史物語』ライス FSR-717
11
懐かしき恋人の歌 La chanson des vieux amants (Brel/Jouannest)
ジャック・ブレル
『シャンソン歴史物語』ライス FSR-717
"Django Reinhardt 1937-1938" Classics 777
Jacques Brel 6 "J'arrive" Barclay 816 725.2
時間の都合で曲はフェイドアウトまたはスキップする場合があります。
JASRAC講座 ミュージック・ジャンクション
「ワールドミュージック」
シリーズ
第 1 回/アルジェリアにおけるライの現況
第13回/心に響く歌:ファドの本質と現在
第 2 回/インド映画とポピュラー音楽
第14回/ブラジリアン・ミュージックの現在
第 3 回/ポピュラー音楽を巻き込む地方伝統の力:ランガム・ジャワ
第15回/アラブ古典音楽の魅力
第 4 回/アメリカ合衆国のルーツ・ミュージック
第16回/森の息吹と共に呼吸する北欧の伝統音楽
第 5 回/バカラックから探るワールドミュージック
第17回/進化するアルゼンチン・フォルクローレ
第 6 回/カリブ・アフリカ英語圏のワールドミュージックの本質
第18回/文化の十字路・バルカン半島の音楽
第 7 回/躍動する中近東音楽シーン
第19回/西アフリカ<グリオ>の世界:伝統からポップスまで
第 8 回/ケルト音楽の変遷と現在
第20回/インドの古典音楽の現在:ビートルズからグローバルへ
第 9 回/ジプシー・ミュージックの謎
第21回/伝統と革新に揺れ動くフラメンコのギターと歌
第10回/沖縄の唄と暮らし
第22回/タンゴ・古くて新しいブエノスアイレスの鼓動
第11回/ハワイ音楽の現状と魅力
第23回/知られざる音楽王国、
コロンビアの魅力
い
ま
第12回/ラテン系ニューヨーカーが生んだミクスチャー音楽
「サルサ」
※シリーズの一部模様をJASRACホームページでストリーミング配信しています。http://www.jasrac.or.jp/culture/stream.html
Fly UP