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No.1 - 広島県立福山特別支援学校
No.1 No.1 平成24 平成24年 24年6月8日 広島県立福山特別支援学校 自立活動部発行 今年度は一年間を通して《感覚》に注目して情報発 信していきたいと思います。以前の便りにも,感覚統 合についての回で「自覚しやすい感覚」として視覚・聴 覚・嗅覚・触覚・味覚,「自覚しにくい感覚」として前庭 覚・固有覚があるというお話をしました。その中で, 今回は《視覚》に注目していきたいと思います!!! まずは視覚障害を伴うことで,どんな難しさがある のか,実際どんな風に見えているのか,その一部です が紹介します。 ○ 健常者の見え方 ○ ピンボケ状態:ピントが合っていない ○ 振とう状態:眼球が不随意的に動く ○ 光源不足状態:薄暗いところで見えにくい ○ 透光体混濁状態:すりガラス越しに見える ○ 視野の制限①:部分的な像 ○ 羞明(しゅうめい):眩しくて白っぽく見える ○ 視野の制限②:中心部の機能が低下 ※具体的な支援方法を紹介します。 。 ○ 視野の制限 ○ 視野欠損には,①部分的な像しか見えない場合と ②中心部の機能が低下して,見えにくい場合 があります。少しの支援で見えやすくなる場合もあるので見え方に応じて,参考にしてみてください。 * リーディングスリット 読んでいる文章を見失ったり,段落の読み間違えをなくしたりするために,下図のよう な枠を使用します。また,黒いものさし等を,読んでいる行の下にあてることで同じように どこを読んでいるか分かりやすくすることができます。これを使うことで文字周辺の眩しさ を軽減することもできます。 リーディングスリット リーディングスリット リーディングスリット リーディングスリット * 文字の大きさ 個々の見える視野の範囲に合わせて拡大・縮小を行いましょう。 例えば,中心以外が見えにくい場合・・・ 見たい文字はどれかな?? ちいさすぎてみえないよ あ?め?ぬ? 大きすぎて分からないよ・・・ * 見えやすい視野の活用 見えない範囲に危険物を置かない(教材位置の工夫) これなら読める♪ ○ 羞明(しゅうめい) ○ 光に対して眩しく感じ,光を避けるために目を細めたり,ひどいときには涙が出たり,痛みを伴う 不快感があります。また,視野に入るものが白っぽく見えるので白い紙を見るだけでも眩しく感じる こともあります。眩しさを軽減させるための支援方法を参考にしてみてください。 *コントラストを上げる あいうえお 福山特別支援学校 *白黒反転 あいうえお 福山特別支援学校 (黒地に白字は見えやすい) あいうえお 福山特別支援学校 あいうえお 福山特別支援学校 黒地だと眩しくないよ!! *文字の形 明朝体は見えにくいので,同じ太さのゴシック体を使用 あいうえお あいうえお 福山特別支援学校(明朝体) 福山特別支援学校(ゴシック体) あいうえお 福山特別支援学校(行書体) ※教室内の光の量を調整するだけでも見えやすさは違います。 窓際を避ける,カーテンを閉めるなど注意してみてください。 ☆本校での実践例 ~書見台を使って~ 児童・生徒によって,本来の感覚機能を十分に活かすための活動姿勢が異なるため,個々にあった 支援を選択する必要があります。まずは次のことに注意して実践を行ってみましょう。 ①楽な姿勢をとる ②その子の視野に書見台を置く ③角度を決める ④ゆっくり見せる Q.見えにくい子が音を怖がる理由は何ですか?? A:自分の意思とは関係なく周囲で音が鳴るから。 A:周囲の音が何の音なのか,いつどこから聞こえてくるのか,音源との距離感がつかみにくいから。 A:触って確認できる音源が限られるから。 熱いもの,大きすぎるもの,小さすぎるもの,危険なものなどは確認できない。 (例;火・建物・あり・ライオン) 以上のようなことが挙げられます。 No.13 No.13 「 脳性麻痺の 脳性麻痺の類型別運動発達 」 著者:Berta & Karel Bobath 訳者:梶浦 一郎 紀伊 克昌 今川 忠男 発行年:1978年 発行所:医歯薬出版株式会社 著者は「ボバース法(1940 年代より,世界中で中枢神経系疾患の患者さんのリハビリテーション治療に 応用,実践され,脳性麻痺児の療育に活かされている)」を考案した人物で,本著はボバース夫妻の臨床 経験と研究活動を集約したものです。本書では,正常発達について述べた後,脳性麻痺を「痙直型(両麻 痺,片麻痺,四肢麻痺)」「アテトーゼ型」などのタイプに分類し,正常発達に準ずるのではなく,タイプごと の特徴的な異常運動発達を示すとの説明があります。そのタイプごとに「1.あおむけ,うつぶせ,寝返り, ずり這い,座位」「2.膝立ち位,四つ這い,立ち上がり」「3.起立,歩行」と3つの段階に分け,写真つき で,臨床像と運動発達についての説明があり,非常にわかりやすいものとなっています。この特徴的な異 常運動発達について知ることで,現在の子どもの状態は何が原因であったのかを理解すると同時に,今 後の予測が可能となるため,脳性麻痺児の療育に関わる人にとって有益なものであると思われます。 No.14 No.14 「 脳性麻痺ハンドブック 脳性麻痺ハンドブック ―療育にたずさわる 療育にたずさわる人 にたずさわる人のために― のために― 」 編著者:穐山 富太郎 川口 幸義 発行年:2002年 発行所:医歯薬出版株式会社 著者は,1972 年に長崎で脳性麻痺チーム医療を結成し,脳性麻痺児の発達評価や発達検診,早期療 育に勤めた整形外科医です。本書は彼らによって脳性麻痺の療育に携わる人の実践の手引書として作 成されました。目次は「概要」「診断」「発達評価」「各発達期の療育」「療育の具体的アプローチ」「社会的 療育」「療育の実践」「自立生活」となっており,脳性麻痺とはどういう状態なのか,それに対してどのように 療育を行っていくべきかということが書かれています。特に「療育の具体的アプローチ」では,「呼吸」「摂 食指導」「口腔ケアや衛生」「理学・作業・言語聴覚療法」「姿勢保持具」「手術」などについて,図や表,絵 や写真などを取り入れ,非常に具体的に説明がなされており,イメージがつかみやすく,すぐ実践に活か せるものとなっています。