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3.展示計画 扱う時代は「佐伯の中世から近代初頭(西南戦争)」までと

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3.展示計画 扱う時代は「佐伯の中世から近代初頭(西南戦争)」までと
Ⅲ基本計画
3.展示計画
(1)基本方針
展示は主に一般の人々に、貴重な資料を通して郷土の歴史をわかりやすく伝え、
調査研究等活動の成果を発表する資料館の顔となる基本的な機能です。佐伯市
歴史資料館(仮称)では次の方針のもと展示を行います。
●扱う時代は「佐伯の中世から近代初頭(西南戦争)」までとする
展示で扱う基本となる時代は、現在の佐伯の礎が築かれ豊富に資料が揃う近
世佐伯藩の時代を中心に、中世から近代初めの西南戦争までとします。西南戦
争以後については「佐伯市平和祈念館やわらぎ」で扱い、役割分担するものと
します。
●収蔵する実物資料を最大限活用する
佐伯市では寄託を受けた毛利家の遺品をはじめ、貴重な資料を数多く収蔵し
ています。佐伯の歴史を検証する中で、これらの資料のもつ歴史的な意義を踏
まえ、市民に「実物資料」にふれてもらうことで、一層郷土への理解を深めて
もらうことを目指します。
●繰り返し訪れてもらえるよう、展示のテーマや資料を可変的な構
成とする
一般的に多くの博物館では、展示は一度作られると様々な問題からなかなか
更新されず、結果として魅力に乏しい施設になっているといわれます。佐伯市
歴史資料館(仮称)では、固定的な展示を極力少なくし、展示のテーマや資料
を入れ替えながら、常に市民をはじめ多くの人々に繰り返し利用してもらえる
施設を目指すものとします。
●小中学生や一般の来館者にもわかりやすい平易な展示演出を行う
近年「歴女」や「戦国武将ブーム」等の現象が注目され、歴史愛好家の裾野
が女性や若者にも広がりつつあります。一方で、学校教育での歴史学習は、試
験対策として年号や事象の暗記が中心となり、結果として子どもたちの歴史離
れにつながっているといわれます。
佐伯市歴史資料館(仮称)では、わたしたちの郷土佐伯がどのような歴史を
基盤として今の姿となったのかを、その成立と変遷の過程からを見ていきます。
学校では扱わない地域の歴史を掘り下げ、単に資料を展示するだけでなく、わ
かりやすく興味を掻き立てる見せ方や演出を用いて紹介するものとします。
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Ⅲ基本計画
(2)展示の
展示の構成
展示は常設展示・特別(企画)展示・屋外展示により構成します。
1)常設展示
常設展示は、佐伯の自然と風土及び原始から古代までの概略を紹介する「導
入展示」と中世から近代初頭(西南戦争)までを設定したテーマで区分し紹介
する「テーマ展示」により構成します。
①導入展示
・佐伯の自然と風土及び原始から古代までの流れを、出土資料をもとに紹介
します。
②テーマ展示
・近世佐伯藩の時代を中心に中世~近代初頭(西南戦争)までの中でテーマ
を決め、展示を構成します。想定されるテーマとしては、
「佐伯荘と佐伯氏の
支配」・「栂牟礼城と周辺遺跡」・「佐伯藩の成立」・「佐伯城と城下町」・「藩主
毛利家」
・
「農村と浦方」
・
「学問の振興と佐伯文庫」などが考えられます。
2)特別(企画)展示
・資料館活動の成果や借用資料を活用する場として、様々なテーマにより特
別(企画)展示を行います。
3)屋外展示
・敷地内の遺構を屋外展示と位置づけ、活用をはかります。
常設展示
導入展示
テーマ展示
屋外展示
特別(企画)展示
御居間
薬医門
土蔵
防空壕
城山・現地のフィールドへ
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Ⅲ基本計画
(3)展示の
展示の概要
1)常設展示
①導入展示
●基本的な考え方
佐伯の自然と風土及び原始から古代までの概要を紹介。主に小中学生等を対
象にわかりやすくガイダンス的な展示を用意します。
●展示の概要
テーマ
○佐伯の自然と風土
項 目
概 要
①城山の自然
・城山の動植物
②番匠川と海
・豊かな海と川の暮らし
主な資料等
○旧石器・縄文時代の佐 ①早期の集落
・集石・住居跡・連結土坑 ○森の木遺跡・神ノ原
伯
等が発見されている。
②前~晩期の様相 ・土器・石器の出土
○弥生時代の佐伯
○堂ノ間遺跡
①下城式土器の発 ・下城遺跡より命名。大分 ○前期~中期:下城遺
見と命名
県海岸部の弥生前期末~中 跡・白潟遺跡・源六原
期を特徴付ける土器型式。
②集落の調査
遺跡
・白潟遺跡の貝塚・住居跡、 ○後期~終末期:樫野
源六原遺跡の住居跡など
○古墳時代の佐伯
遺跡・源六原遺跡
古墳・堂ノ間遺跡
①海部の小首長墓 ・市内の古墳は川または海 ○樫野古墳・萩山古
を見下ろす丘陵頂あるいは
墳・宝剣山古墳・上
島嶼部に立地し、規模・構
小倉横穴墓・汐月遺
造・副葬品等から、被葬者
跡
は佐伯湾岸一帯を掌握する
小首長と考えられる。
○奈良~平安時代の佐 ①海部郡穂門郷と ・佐伯は海部郡4郡のうち ○汐月遺跡・白潟遺跡
伯
佐伯院
穂門郷に比定されており、
令制下の官倉佐伯院の想定
地である。
②白潟遺跡の火葬 ・奈良末~平安中期の蔵骨
墓
器 4 基が出土。
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Ⅲ基本計画
②テーマ展示
●基本的な考え方
近世佐伯藩の時代を中心に中世から近代初頭・西南戦争までを紹介します。
特に資料が豊富に揃う近世については、毛利家資料や藩政史料・佐伯文庫をも
とに更新性の高い展示を構成します。
●テーマ構成案
テーマ構成では以下のように、佐伯の歴史の流れが理解できる展示と、様々
なテーマ設定による可変性の高い展示で構成します。
佐伯の中世~近代初頭までの
流れが理解できる展示を行う
佐伯藩の時代
藩主毛利家
中世の佐伯
佐伯荘と 栂牟礼
佐伯氏の 城と周
辺遺跡
支配
毛利家
資料
初代藩主
毛利高政
城と城下
町の建設
領民のくらし
在方と
藩の生
浦方
業
学問の奨励
四教堂
佐伯
文庫
可変的な展示構成とし、特
別(企画)展開催時には展
示室として使用する
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近代の佐伯
維新と 西南戦争
佐伯
Ⅲ基本計画
●展示の概要
テーマ
中世の佐伯
項 目
①佐伯荘と佐伯氏の支配
概 要
主な資料等
・佐伯荘の成立、地頭職と ○栂牟礼城跡
して記録に現れる佐伯氏の ○小田山城跡
支配とその領域、守護大名 ○ 十 三 重 塔 ( 蔵 骨
大友氏との関係などについ
器)
て、史料と市内の中世遺跡 ○ 二 上 寺 ・ 三 上 寺
を用いて紹介する。
(銅銭・銅鏡)
○上小倉磨崖石塔
②栂牟礼城と周辺遺跡
・佐伯氏の拠点であった栂 ○古市遺跡
牟礼城を中心に周辺に所在
する石塔類、寺院跡、町場
推定地などから当時の佐伯
の様子を考える。
佐伯藩の時代
①初代藩主毛利高政
・藩政史料や毛利家資料、 ○佐伯城跡
近世遺跡出土資料などによ ○毛利家資料
②佐伯城と城下町
③藩主毛利家
り、佐伯藩の成立、城と城
武具(甲冑・大鉄
下町の建設、毛利家の支配、
炮等)、染織(武
領民のくらし等について紹
家装束)
、漆工(化
介する。
粧道具・飲食具)
、
④領民のくらし
絵画(襖画)、古
文書(家譜・系
⑤学問の奨励
・佐伯藩における文化の展
図・絵図)、その
開や学問の奨励(藩校四教
他(和時計・平家
堂の設立)などについて、
琵琶等)
佐伯文庫や先哲関係資料を ○藩政史料(御用日
用いた展示で顕彰する。
記、郡方町方御用
日記等)
○佐伯文庫
○城下町遺跡出土
資料(陶磁器・土
器・瓦・金属器等)
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Ⅲ基本計画
近代の佐伯
①維新と佐伯
・明治維新・廃藩置県によ ○佐伯県関連資料
る佐伯県の誕生、大分県へ ○西南戦争関連資
②西南戦争
の編入から西南戦争時の佐
伯の様子を紹介する。
料
○陣跡・古戦場跡
*岡藩領であった宇目地区については、特別(企画)展示で紹介することも検
討します。
(重岡のキリシタン墓や木浦鉱山跡、水ヶ谷窯跡等)
2)特別(企画)展示
●基本的な考え方
特別(企画)展示では、常設展示とは異なるテーマあるいは更に深めるテー
マで、調査研究に基づく展示をはじめ、新資料の速報展・新発見の展示、他施
設との共同展等幅広く行い、常に資料が変わり動きのある展示を行うものとし
ます。
3)屋外展示
●基本的な考え方
敷地内に残る歴史的な遺産を保存し、屋外展示として活用します。その際歴
史的な意義をわかりやすく解説するものとします
また、城山(佐伯城)や山際地区も屋外展示の一部ととらえ、見学ルート設
定や案内を行います。
展示物
薬医門
概 要
・九代藩主毛利高誠が文化 2 年に設置し ・解説等の設置
た三府役所の門
御居間
備 考
・明治 23 年に建てられた毛利家屋敷の
一部
土蔵
・御居間と同時期のもの
防空壕
・大戦中料亭池彦に置かれていた水交社
(海軍士官の社交クラブ)の防空壕。昭
和 19~20 年建設。
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Ⅲ基本計画
(4)展示の
展示のイメージ
資料展示イメージ
演出展示イメージ
●毛利家資料を活用し、シンボリックな空間を創出。展示
替えしやすいケースの配置を行う。
●発掘調査をもとに、栂牟礼城や佐伯城の全体像を復元。
映像と組み合わせて城下町発展の様子を紹介する。
可変型展示イメージ
導入展示イメージ
●展示替えに配慮しウォールケースを活用した展示。資
料をもとにした体験展示も考えられる。
●エントランスホールを利用した導入展示。明るい空間
を活かして佐伯の風土、原始から古代を主に紹介する。
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