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農業所得収支計算の手引き

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農業所得収支計算の手引き
農業所得収支計算の手引き
雫
石
町
H27.1
1 申告までの流れ
収支計算(収入-支出=所得)では、その年の 1 月~12 月の間について、農業の実際の「収入金
額」から「必要経費」を差し引き、実額で『農業所得』を計算します。
収支計算による申告までの流れは、以下のとおりです。
①(取引の都度) ………収入・経費に関する書類の保存
・預貯金通帳・請求書・領収証(レシート)等を中心に、収入と経費の証明書類を保存します。
【現金取引分を紛失しないよう注意してください】
② 12 月~1 月 ………収入・経費の1年間の集計
・保存していた書類をもとに、ノート等に書き出してまとめます。
・家事消費は、1 年間分を一括して計上します。
(経費按分の必要なものは使用割合に応じて按分してください)
③ 1 月~2 月 ………収支内訳書・申告書の作成
・まとめが終了したら、収支内訳書の該当項目に転記していきます。
・取得価格 10 万円以上の機械等は、別途減価償却の計算が必要です。
・収支内訳書はご自分で作成して、申告書に添付しましょう。
④(2 月中旬~3 月 15 日) 〔申告受付期間 〕 ………収支内訳書・申告書の提出
・控は、必ず保存してください。
(翌年以降に必ず役立ちます)
収入
―
経費
-
1
-
=
所得
2 農業に関して保存しておく書類
(1)書類保存の必要性と保存期間
収支計算を行うためには、貯金通帳を中心に、色々な証明書類を保存することが不可欠です。
保存した書類は、所得計算の根幹であり、また、ご自分で申告した内容を立証するものですか
ら、書類が残っていないと、結果的にご自身が不利益(経費不算入)を被ることにもなりかねま
せん。
書類の保存期間は次のとおりです。
(所得税法で定められています。)
帳簿・申告関係書類
申告書や収支内訳書の控は必ず保存してください。
7年
預貯金通帳
その他の書類
【注】穴のあいた古い通帳も保存してください
5年
収入と経費を証明する書類(次ページを参照)
なお、申告年分ごとに整理し、紙袋や段ボールなどに入れて保存すると良いでしょう。
(2)保存方法等
以下の内容を参考に、保存方法や保存場所をしっかりと決めておきましょう。
① 必要経費の支払に関して受け取った書類は、その都度、該当する経費科目を鉛筆書きして
おく。
② 経費科目ごとに専用封筒を作成し、その都度、該当する封筒の中に入れる。
③ 現金購入のレシートなど小片のものは、紛失しないよう(ノートや雑誌に糊付けする等)
特に注意して保存する。
レシート整理から始める
-
2
-
(3)保存しておく書類
《収入》を証明する書類
項目
保存しておく書類
必須
販売金額
①
預貯金
米穀その他の販売計算明細、請求書(控)、領収書(控)
家事消費・事業消費
②
通帳
家事消費・事業消費に計上した金額〈種類・数量・単価〉
雑収入
③
雑収入の金額がわかる計算明細書、領収書(控)など
《支出》を証明する書類
項目
保存しておく書類
必須
雇人費
⑧
支払った農作業料金(給料)の領収書
小作料・賃借料
⑨
小作料の領収書、振込通知書
減価償却費
⑩
購入した際の契約書、領収書、販売証明書
利子割引料
⑫
農業に関して借り入れた金融機関からの返済予定表
租税公課
イ
固定資産税の納税通知書(課税明細書)
、領収書
種苗費
ロ
素畜費
ハ
肥料代
二
飼料費
ホ
農具費
ヘ
農薬衛生費
ト
諸材料費
チ
修繕費
リ
動力光熱水費
ヌ
作業用衣料費
ル
農業共済掛金
ヲ
荷造運賃手数料
ワ
土地改良費
カ
土地改良区からの賦課金通知書(証明書)
(空欄)
ヨ
該当する項目が無い場合で雑費以外の科目を設定すると
~
きに使います。
預
貯
金
通
帳
・
領
収
書
・
請
求
書
は
必
ず
保
存
(畜産農家のみ)
預貯金通帳からの
引き落とし明細書
(畜産農家のみ)
(購買利用明細書)
現金購入の領収書やレシート
各種伝票類など
ソ
雑費
ツ
営農組合から受け取る証明書、雑費を証明する書類
-
3
-
3
農業所得の収入金額
次のようなものが農業の収入になります。
項目
販売金額
①
家事消費
事業消費
②
雑収入
③
保存しておく書類
留意事項
・米の販売金額(農協への委託販売収入)
・自主流通米の精算金
(入金があった年に、その金額を計上します)
・米の個人売買、業者への販売
・ワラ、もみ殻など副産物の販売代金
・くず米、モチ米などの販売代金
・野菜などの青空市、100円店、スーパー、
産直等への出荷売上金額
家族名義による農産物の出荷
収入金額が計上漏れにならな
いよう注意してください。
・米の自家消費(保有米、縁故米)
・野菜の自家消費
・現物支給による米などの事業消費
*自家消費は年間分を一括計上します。
*事業消費は、現物を金額に置き換えて
収入・経費に同じ額を計上します。
・農作物に対する各種共済金、補償金、水田農業構造改革交付金( H20~)
・農作業の受託収入(例:耕起、育苗、田植、刈取り、乾燥調整、籾摺り等)
・農業の休止、転換、廃止に伴う農業収益の補償金
・農業の各種補助金、奨励金(市町村等からの給付金など)
・農業申告主が受け取る中山間地域等直接支払制度交付金
(中山間収入-中山間経費=中山間所得)
・営農集団からの役員報酬、出役賃金、機械賃借料
《備考》
1 小作料収入・電柱等の敷地料・営農集団から受け取る地代などは、本来は「不動産所得の収入」
ですが、他に貸付している不動産がない場合は、農業の雑収入に含めても差し支えありません。
2 次のものは通帳に振込みされる場合が多いですが、農業の収入には含めないでください。
○農業委員手当、JAや共済組合の協力委員手当など・・・・・・・給与所得の収入
○営農貯金や各種預貯金の利息・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・利子所得の収入
○農協への出資に対する配当金・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・配当所得の収入
○農業関係の各種交付金・補助金など・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・農業収入の雑収入
○農業法人からの従事分量配分金・・・・・・・・・・①農業収入のある方は農業収入の雑収入
②農業収入のない方は給与所得の収入(賃金)
-
4
-
4 農業所得の必要経費
次のようなものが、農業の経費になります。
【経費】とその内容
収支内訳書の
番号記号
経 費 の 内容
項 目
農作業にかかる支払給料や現物支給、請負耕作料、賄
費等
※現物で支払った場合は、収穫時の価格で計算します。
小作料(地主への地代等)、機械の借料、使用料(共
同施設等も含みます)
取得価額 10万円以上の農業用建物、機械、車両等の償
却費
必 要 経 費に
ならないもの
同一生計家族への
支払
雇人費
⑧
小作料・賃借料
⑨
減価償却費
⑩
利子割引料
⑫
農業用(農業用資産の取得のため)借入金の支払利息等
元金部分
租税公課
イ
農業に係る税金や賦課金
租税:固定資産税、不動産取得税、(軽)自動車税
公課:部会費、農協組合費、水利費等
所得税、県民税、国
保税、介護保険料、
国民年金保険等
種苗費
ロ
種子、苗、苗木購入代、育苗センターへの支払等
素畜費
ハ
子牛等の購入費、種付け料
肥料代
ニ
化学肥料、たい肥の購入費等
飼料代
ホ
飼料の購入費
農具費
ヘ
購入価額 10万円未満の農具費
耐用年数が1年未満の農具費
農薬衛生費
ト
農薬購入や共同防除費、除草剤等
諸材料費
チ
生産資材(ビニール・縄・針金など )の購入費用
修繕費
リ
動力光熱費
ヌ
作業用衣料費
ル
農業共済掛金
ヲ
荷造運賃手数料
ワ
土地改良費
カ
農業用施設、建物、農機具、トラック等の修理代、車
検費用
農業に使用した電気、水道、ガソリン・軽油等の燃料
費
※生活用と区分ができない場合は合理的な使用割合で
計算した分が経費となります
農作業に使用した衣類、長靴、手袋、合羽、手拭、帽
子等
水稲、農業施設に対する共済掛金
(居住用部分を除く)
出荷用資材費(米袋など)、農協や市場等の運賃・手
数料
土地改良費のうち必要経費部分
-
5
-
耐用年数が経過し
たもの
10万円以上は減価
償却として計上
1回の修繕費用が
60万円以上で資本
的支出(資産の価
値を高めたり耐久
性を増すなど)と
なるものは減価償
却費
生活用に使用した
分
生活用として購入
した分
生命保険の掛金、建
更のうち積立部分
(空欄 )
ヨ ~
ソ
雑費
ツ
該当する科目がない場合で雑費以外の科目を設定する
時に「空欄」を活用します
上記以外で農業を経営する上で必要な費用
事務用用品等
《留意事項》
1 家事費(生活費)は、農業の経費にはなり得ません。
また、自分や家族が働いた日当(自家労賃)も経費にはなりません。
2 以下の経費科目には、家事費が混在している場合が多いので、確実に除いてください 。
租税公課(固定資産税・自動車税)、動力光熱費(燃料費・電気・水道) 共済掛金(車両任
意保険・JA 建更)
、減価償却費 なお、農業用、家事用いずれにも使用している費用は、合理
的に見積もって、家事費部分を減算する必要があります。
???
Q1
経費にかかる
Q&A
???
親類に農業を手伝ってもらった場合に米を現物で支払った場合はどうなるのか?その
時、領収書をもらう必要があるのか?
A1
労働力の対価として米で支払う場合は、縁故米でなく事業用として消費した農産物と
みなし、収入計上が必要です。一方、雇人費として必要経費計上もします。その際、領
収書があったほうがいいのですが、最低限、支払先の方の住所・氏名・数量はきちんと
記録しておく必要があります。
Q2
雇人費はどのように計算すれば良いのか?
A2
雇人費については、特に労働単価というものは設けられていません。両者間で決めてく
ださい。なお、支払いを受ける方の収入金額となりますのでご注意ください。
Q3
無人精米機は領収書や明細が出てこないが、どのように経費計上するのか?
A3
無人精米機での精米は出荷でなく自家消費分なので、経費計上できません。
Q4
領収書等は何年保管すればよいですか。
A4
現金の収支(領収書、預貯金通帳、借用書等)にかかるものは7年間、その他の書類(請
求書、契約書、納品書等)は5年となっていますが、同一年の書類はまとめて7年間保
存していただくのが良いかと思います。
Q5
水道代や電気代、燃料費などの経費に日常生活で使用した分も含まれている場合は?
A5
農業に使用した分のみを必要経費として計上します。使用割合などの合理的な基準であ
ん分してください。
※例
軽トラ等
:使用距離の割合や使用時間の割合
電気、水道等:農繁期と農閑期の比較による差
-
6
-
減価償却の計算のしかた ※平成 21 年分から耐用年数が改正されています。
1.減価償却とは
農業のために使用される耕作機械などの資産を買い入れる費用は、これらの資産が使用に耐えられ
なくなるまでの収入に対応しているといえます。そのため、支出した年にその全額を必要経費とする
のではなく、一定の方法によりこれらの資産の使用期間に配分して必要経費化していきます。このよ
うな事業用資産を減価償却資産、この配分された必要経費の金額を減価償却費といいます。
2.減価償却の方法
減価償却の方法は平成 19 年 3 月 31 日以前に取得した場合と平成 19 年 4 月 1 日以後に取得した場
合で計算方法が違います。また、平成 19 年 3 月 31 日以前に取得した資産で、減価償却可能限度額(取
得価額の 95%に相当する額)に達した場合、翌年以後 5 年間で未償却残高(取得価額の 5%に相当す
る額)を1円まで均等に償却することができるようになりました。
平成 19 年分以前の申告で既に減価償却可能限度額に達している資産で使用されているものは、平成
20 年分以後で減価償却することができます。
3.減価償却費の計算
○1-1平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産
①購入金額です。領収書等で確認してください。消費税込金額です。
②取得価額(①)から残存価額(取得価額×残存割合)を差し引いた金額です。
③耐用年数は、減価償却資産の効用が持続する期間で、法律で個別に定められております。
④償却率は、1 年間に必要経費に算入できる割合です。旧定額法償却率表を参照してく ださい。
⑤耐用年数が全部経過した場合や廃棄する等で使用しなくなった場合は使用月数を求めますが、
それまでは 12 ヶ月となります。
⑥償却の基礎になる金額に償却率と使用月数/12 を掛けたもの(②×④×⑤)です。
⑦農業に使用する割合を%で記入してください。使用時間や距離など客観的な基準で決定してく
ださい。
⑧今年の必要経費に算入できる額です。
⑨取得した年は「①取得価額」から「⑥年間の償却額」を差し引いた額ですが、翌年からは、前
年の期末残高から「⑥年間の償却額」を差し引いた額になります
-
7
-
○1-2平成19年3月31日以前に取得し、減価償却可能限度額に達した減価償却資産
5 年間の均等償却
①取得価額は購入金額です。領収書や過去の申告書の控等で確認してください。
②取得価額から「取得価額の 95%」を差し引きます。
( 計算例 2,000,000-(2,000,000×0.95)=100,000 )
③「②の金額」から 1 円を差し引き、5 で割った金額が年間の償却額となります。
( 計算例 100,000-1=99,999 → 99,999÷5=19,999.8 )
(注) 4 年目までは、必要経費算入額の 1 円未満を切り上げて、20,000 円とします。また、
最終年は償却可能金額が 99,999 円のため、19,999 円とします。
期末残高には 1 円が残ります。
④年の途中で廃棄する等で使用しなくなった場合は使用月数を求めますが、それまでは 12 ヶ月
となります。
⑤1-1の⑦と同じ。
⑥今年の必要経費に算入できる額です。
⑦「②の金額」から償却した額を差し引いた額です。
※償却の途中に資産を処分した場合は、未償却残高を「除却損失」として別途、必要経費に算入
できます。収支内訳書空欄(ヨ~ソ)に記入してください。
(但し、売却した場合を除きます。
)
-
8
-
○2 平成19年4月1日以後に取得した減価償却資産
①1-1と同じ。
②①と同じ金額です。
(償却可能限度額及び残存価額が廃止されました。)
③1-1と同じ。
④定額法償却率表を参照。
⑤購入した年は使用月数を求めます。8 月購入なので 8 月から 12 月までの 5 ヶ月使用となり
ます。
翌年から は 12 ヶ月となります。
⑥・⑦・⑧・⑨1-1と同じ。
4.耐用年数の改正について
平成 21 年分から改正後の耐用年数が適用されています。
<例> 法定耐用年数が改正された減価償却資産について、改正前の法定耐用年数が 10 年、改正後
の法定耐用年数が 8 年である場合(平成 20 年 1 月取得)
、平成 22 年分の減価償却費の額の
計算は次のように なります。
(定額法によっている場合)
年分
償却の基礎になっている金額 (取得金額)
耐用年数
償却率
減価償却
期末未償却残高
20
1,000,000 円
10 年
0.100
100,00
900,000 円
21
1,000,000 円
8年
0.125
125,00
775,000 円
22
1,000,000 円
8年
0.125
125,00
650,000 円
-
9
-
5.特殊な償却資産の計算
(1) 一括償却
取得価額が 10 万円以上 20 万円未満の場合には、3 年間で 1/3 ずつ均等に償却することができ
ます。必ず、収支内訳書の「減価償却の計算欄」に記入してください。
※収支内訳書(うら)記入例」参照。
(2) 中古資産を取得した場合の耐用年数の求め方
中古の減価償却資産を取得した場合は、使用可能な年数を適切に見積もって計算することとなっ
ています。しかし、見積りができない場合は、下記の式で計算した年数とすることができます。
6.大規模な修繕・改良等の費用について
減価償却資産の修繕・改良が、通常の管理や修理の程度を超えて、これによって資産価値が高まった
り、使用可能年数が延長することになれば、その支出(資本的支出という)の効果は翌年以降にも及
ぶことから、その取得価額に加算され、減価償却の方法により、順次必要経費に算入していきます。
※税務署にご相談ください。
〈修繕費として経費に算入できる場合〉
(1) 一の計画に基づき同一の固定資産について行う修理、改良等に要した金額が 20 万円に満たな
い場合。
※その修理等が、資本的支出に該当するか否かを問わない
(2) 資本的支出か修繕費か区分が困難な修理等において、その金額が 60 万円未満の場合。
-
10
-
7.減価償却資産の償却率表
(1) 平成 19 年 3 月 31 日以前に購入した資産
(2) 平成 19 年 4 月 1 日以降に購入した資産
耐用年数
旧定額法
耐用年数
旧定額法
耐用年数
旧定額法
耐用年数
旧定額法
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
0.500
0.333
0.250
0.200
0.166
0.142
0.125
0.111
0.100
0.090
0.083
0.076
0.071
0.066
0.062
0.058
0.055
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
0.048
0.046
0.044
0.042
0.040
0.039
0.037
0.036
0.035
0.034
0.033
0.032
0.031
0.030
0.029
0.028
0.027
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
0.500
0.334
0.250
0.200
0.167
0.143
0.125
0.112
0.100
0.091
0.084
0.077
0.072
0.067
0.063
0.059
0.056
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
0.048
0.046
0.044
0.042
0.040
0.039
0.038
0.036
0.035
0.034
0.033
0.032
0.031
0.030
0.029
0.028
0.028
(3) 農業専用割合の考え方
農業用・家事用のいずれにも使用する費用については、以下の例を参考にして合理的に見積もっ
て(農業専用割合を乗じて)計算し、農業用部分のみの金額を経費に計上します。
なお、軽トラの農業専用割合が 50%だとすれば、減価償却費・燃料費・自動車税・任意保険・車
検費用などを軽トラに関連する経費は、同じ比率を乗じて、農業用部分の金額を計算します。
*車両関係(減価償却費・燃料費・自動車税・
任意保険など)
考え方:農繁期とそれ以外、走行距離の比率
*建物関係(納屋の減価償却費・固定資産税な
ど)
考え方:農業用と居住用の面積比率
*水道光熱費(農業用動力光熱費としての電気・水道料)
考え方:農繁期による増加部分
-
11
-
-
12
-
**** 専従者控除について ****
1.専従者控除について
事業主と生計を一にする配偶者その他親族に対する給与などは、原則的に必要経費としては認められ
ません。
なぜならば、これを認めると、親族内で所得を分散させて、税金がなるべくかからないように自由に
所得を操作でき、他の所得との公平性が損なわれるためです。
しかし、生計を一にする親族といえども、労働に対する対価には経費性があると考えられることから、
一定の条件を満たした場合のみ、算出した金額(算出方法は下の「2」に記載)を必要経費に算入す
ることができます。
この親族に対する給与扱いの経費を「専従者控除」といいます。
専従者控除の対象にした親族を「専従者」といいますが、専従者には、次のような条件があります。
2.専従者控除額の算出法
以下の数字(ア.
)と算式の答え(イ.)のどちらが少ないですか?
ア.50万円(ただし、専従者が配偶者の場合は86万円)
イ.
「専従者控除前の農業所得金額」÷(農業に従事している親族の数+1)
少ない方が専従者一人あたりの専従者控除額となります。
3.専従者控除と扶養控除、どちらが得か判断しよう!
専従者控除を取ると、以下のような申告に関する制限があります。
A.専従者控除額(つまり事業主の所得が安くなった分)がそのまま専従者の給与収入として挙が
ってきます。
→ 専従者に税金などがかかってくる場合もあります。
→ 扶養控除の場合は、扶養家族の所得になることはありません。
B.専従者控除の対象にした親族は、税金上の扶養家族にすることができません。
→どちらか1つしか選べません。
C.一度申告してしまったら専従者控除と扶養控除を変更することはできません。
これらの制限を考慮して、専従者控除と扶養控除のうちどちらが有利か判断しましょう
例えば、専従者に全く税金がかからない場合で、計算した専従者控除が扶養控除より大きけ
れば、専従者控除を適用した方が得といえます。
扶養控除とは・・1年間の所得金額が38万円以下の扶養親族がいる場合、確
定申告、市県民税・国保税申告、年末調整をすれば、税法で決まった一定額を
所得から差し引くことができます。
これを扶養親族といいます。扶養控除額は年齢などの条件により様々ですが、
所得税の計算で最低38万円、市県民税の計算では最低33万円を所得から引
くことができます。
-
13
-
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