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月が地球にもっと近づいたら

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月が地球にもっと近づいたら
月が地球にもっと近づいたら
地球の周りを回っている月は、地球から 38 万 km も離れたところにあります。月から
受ける潮汐作用によって地球の自転が少しずつ遅くなっているため、月は地球から少
しずつ離れているといわれています。
月は、地球からの万有引力を受けて地球の周りを回っており、地球の周りを回るこ
とによって遠心力が発生します。この地球からの引力と遠心力が釣り合っているため
に、月は地球に落ちてきたり、地球から離れてどこか遠くへ飛んでいくということもあり
ません。
月や地球を構成する物質が球形を保っているのは、それらの物質がお互いの引力
によって引っ張り合って圧縮力を受けているからなのです。1g と 1g の物質が 1cm 離
れていてもたいした力にはなりませんが、地球であれば 5.974×1024kg、月であれば
7.347×1022kg の個々の物質同士の引っ張り合った積分値が球形を保つ大きな力とな
っているのです。
今現在、月の構成物質が地球に飛んでこないのは、月の構成物質への地球の引
力が無視し得るほど小さいからです。
ここで、思考実験をしてみましょう。すなわち現状とは逆に、月が地球にどんどん近
づいてきたときのことを考えてみましょう。
そこで、月の表面の構成物質を mm、地球の質量を Me、月の質量を Mm、地球の半
径を Re、月の半径を Rm、地球の中心から月表面の構成物質までの距離を地球の半
径の X 倍として計算してみましょう。ここに、e は地球(earth)を、 m は月(moon)を表わ
します。
まず、月表面の構成物質 mm への地球からの引力 Fe、月からの引力 Fm は次式で表
わされます。
現在の月と地球の関係は、Fm>> Fe で月からの引力の方が地球からの引力よりもは
るかに大きいので、月は安定しているわけです。
さて、ここで月が地球に近づく場合を考えてみましょう。月がどんどん地球に近づい
てきて、ついに月表面の構成物質 mm に働く地球からの引力 Fe と月からの引力
Fm が等しくなった場合を考えてみましょう。
この距離が、月が地球に接近できる限界です。というのは、この距離より少しでも地
球に近づけば、月表面の構成物質 mm は、月の引力より大きい地球の引力に引っ張
られて、地球に落ちてきます。月の構成物質の一部でも月表面から離れると、月の重
力が減少し、ますます構成物質は月から離れやすくなり、この現象が加速度的に起こ
って、ついには月がバラバラに破壊されてしまうというシナリオです。普通、私達が天
体の衝突を考える場合、月がどんどん地球に近づいてきてそのままの形で衝突する
と考えますが、そうではなくて、ある距離まで近づくと、一瞬のうちに月は破壊されてし
まうというわけです。
さて、それではどの程度まで月が地球に近づけばこのような現象が起こるのでしょう
か。ちょっと、計算してみましょう。このような、現象が起こるには
ですから、
となります。この式を変形し X について表わせば次式が得られます。
Me=5.974×1024 kg、Mm=7.347×1022 kg
Re=6,370km、Rm=1,730km を式(5)に代入すると
すなわち、地球の半径の約 2.5 倍以内に月が地球に近づくと、図 1.のように月がば
らばらになり、一気に月の破片が地球に降り注ぐというわけです。
図 1. 月が地球にもっと近づいたら
さて、相手が月の場合でも大変な被害になると思われますが、今度は地球より質量
の大きい、天体が地球に近づく場合はどうなるのでしょうか。
月と地球の思考実験から、次のようなことが想像されます。
地球より大きな引力を持った天体が地球に近づけば、
1.地球の引力は、大気を地球につなぎ止め、宇宙への飛散を防いでいます。もし、
地球の引力が小さかったら、大気が地球を離れて、地球は大気のない天体になって
いたわけですが、地球より大きな天体の接近により、今度は地球を覆う大気がその天
体に引っ張られて、地球上の空気がなくなってしまいます。
2.つぎに、地表にある家屋や人間など地表に存在する全ての物がその天体に引き
寄せられてしまいます。
3.最後に、地球全体が前述した月の場合と同じようにばらばらになって、地球上の
全ての生き物が死に絶え、地球は大きい天体に吸収合併される。
というシナリオになり、「地球最後の日」というSF映画が出来そうですね。こんな映画、
過去にあったような気もしますが、記憶が定かではありません。
2006.2.11
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