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ペイロード搭載型モデルロケットの開発

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ペイロード搭載型モデルロケットの開発
21326
ペイロード搭載型モデルロケットの開発
2512 小木曽 星河
2603 市川 竣
2618 後藤 優吾
要旨
ペイロードを搭載できるモデルロケットの製作を目指す。このために、まず、ペイロード搭載機能を
持たないモデルロケットを製作し、打ち上げに成功した。次に、ペイロードの搭載が可能なモデルロケ
ット4号機の製作を行い、シミュレーションを行った。打ち上げはまだ行っていない。
今後は、この4号機の安全な打ち上げ、回収とペイロードを搭載した打ち上げの成功を目標とする。
1. 目的
ペイロードを搭載可能なモデルロケットを製作し、安全に打ち上げ、回収する。今回はペイロードと
して小型のデジタルカメラと物理量測定用のセンサーを選択した。
2.使用した器具、装置など
(1)
パーソナルコンピューター
ミニカメラ
木工用ボンド
モデルロケットエンジン(A8-3、C6-3)
セロハンテープ
ケント紙
ビニール
タコ糸
上質紙
画用紙
刺繍糸
カッター
ハサミ
紐ゴム
単三型乾電池
3.実験手順
モデルロケットの4級ライセンスを取得した後、実験用の機体を製作した。
(1) 初号機は各自それぞれの機体を作る。 1号機:ALPHAⅢを模造した機体
2号機:「手作りロケット入門」記載の機体
3号機:設計法を参考にしたオリジナルの設計機体
(2) 機体が完成したら直径、質量、打ち上げ平均質量などを測定し、シミュレーションを行い、打ち
上げる。
(3) スイングテスト、パラシュートの開傘を確認するため、機体の自由落下実験を行う。
(4) (2)(3)で安全が確認できた後、打ち上げ実験を行い、※1 高度の実測を行った。
(5) (4)の結果、一番安定して打ち上げられる機体が ALPHAⅢの模造機だったため、ALPHAⅢの機体
を拡大し、その機体にカメラとセンサーを搭載できるように改良し、4号機を製作した。
(6) (2)(3)を再度行う。
(7) ALPHAⅢとノーズコーンの部分の構造が違うため、4号機でもエンジンの力でパラシュートを開
くことができるか、スタンドにロケットを固定しエンジンに点火する地上実験を行った。
(8) (6)(7)から安全を確認し、打ち上げ実験を行う。
※1 高度測定機を一つだけ用いて三角比から高度を計算する。
26-1
4.結果
(1) 1号機、2号機、3号機の製作
図1 1号機
図2 2号機
図3 3号機
(2) 1号機、2号機、3号機の諸元及び打ち上げシミュレーション
各機体の諸元をできるだけ高い精度で測定し、モデルロケットのシミュレーターであらかじめ飛行
状態をシミュレーションした。以下がその結果である。
機体質量[kg]
使用エンジン
3.5×10-2 dt[s]
5.0×10-2
A8-3 打上平均質量[kg]
4.9×10-2
エンジン初期質量[kg]
1.6×10-2 断面積[m2]
4.9×10-4
推進薬質量[kg]
3.3×10-3 直径[m]
2.5×10-2
抗力係数
0.75 空気密度[kg/m3]
1.2
表1 1号機の諸元
表2 シミュレーションの結果
26-2
最高到達点
3.9s 後 67[m]
最高速度
0.7s 後
36[m/s]
2.9×10-2 dt[s]
機体質量[kg]
使用エンジン
5.0×10-2
A8-3 打上平均質量[kg]
4.6×10-2
エンジン初期質量[kg]
1.7×10-2 断面積[m2]
2.8×10-4
推進薬質量[kg]
3.3×10-3 直径[m]
1.9×10-2
0.75 空気密度[kg/m3]
抗力係数
1.2
表3 2号機の諸元
82[m]
最高到達点
4.3s 後
最高速度
0.75s 後 39[m/s]
表4 シミュレーションの結果
3.8×10-2 dt[s]
機体質量[kg]
使用エンジン
5.0×10-2
A8-3 打上平均質量[kg]
5.2×10-2
エンジン初期質量[kg]
1.6×10-2 断面積[m2]
4.5×10-4
推進薬質量[kg]
3.3×10-3 直径[m]
2.4×10-2
0.75 空気密度[kg/m3 ]
抗力係数
表5
1.2
3号機の諸元
最高到達点 0.7s 後 63 [m]
最高速度
表6 シミュレーションの結果
26-3
3.8s 後 34 [m/s]
(3) スイングテスト
スイングテストでは、重心と圧力中心の位置関係が正しい場合をポジティブ、逆をネガティブという。
1号機 … 1回目の実験
ポジティブで成功
2号機 … 1回目の実験
ネガティブで失敗
原因の考察:ロケットの重心が後ろ過ぎてしまったために失敗した。
解決策
:ロケットのノーズコーンの部分に重りとなる紙を詰めて重心を前に
ずらした。
2回目の実験 ポジティブで成功
3号機 … 1回目の実験 ポジティブで成功
(4) パラシュートの開傘確認のための自由落下実験
1号機 … パラシュートがうまく機能し成功
2号機 … パラシュートがうまく機能し成功
3号機 … パラシュートがうまく機能し成功
(5) 1号機、2号機、3号機の打ち上げ
ア.1号機打ち上げ 1回目 … 打ち上げには成功したが、風の強さを見誤り回収に失敗した。
2回目 … 打ち上げ、回収ともに成功
最高到達高度 47.12[m] (実測)
1号機の打ち上げについて最も安定した打ち上げであった。
イ.2号機打ち上げ 1回目 … 打ち上げ、回収ともに成功
最高到達高度 49.50[m] (実測)
機体が軽かったことで高い高度に達したが、機体が回転し、パラシュートの展開が遅れた。
ウ.3号機打ち上げ 1回目 … 打ち上げ、回収ともに成功
最高到達高度 19.50[m] (実測)
機体が重く、高い高度まで達しなかった。
(6) 4号機製作
4号機を製作するにあたって、1号機のボディはカメラを搭載
できる大きさではなかったため、カメラを搭載できる大きさにす
るために1号機と4号機との比率が3次元の相似比5:7になる
ように設計した。
図4 1号機(左)と4号機(右)
26-4
(7) 4号機の諸元及び打ち上げシミュレーション
シミュレーション
5.0×10‐2
機体質量[kg]
0.12 dt[s]
使用エンジン
C6-3 打上平均質量[kg]
0.14
エンジン初期質量[kg]
2.4×10‐2 断面積[㎡]
1.2×10‐3
推進薬質量[kg]
1.0×10‐2 直径[m]
3.5×10‐2
0.75 空気密度[kg/m3 ]
抗力係数
1.2
表7 4号機の諸元
最高到達点
5.9s 後 121 [m]
最高速度
1.85s 後 40 [m/s]
表8 シミュレーションの結果
(8) 4号機の安全確認実験
ア.スイングテスト
ポジティブで成功した。
イ.地上でのエンジン点火実験
力学スタンドで4号機の機体を固定し、機体が飛翔しない状態でエンジンに点火し、ペイロード
室を兼ねたモデルロケットの機体上部がうまく切り離しできるか検証した。
ウ.地上でのエンジン点火実験の結果
エンジンの圧力で4号機の機体上部の切り離しに成功
した。(図5)
図5 切り離された機体下部
(9) (7)と(8)より安全確認が完了した。カメラを搭載して機体の打ち上げに移行しようとしたが、搭載す
るカメラの不具合により打ち上げを延期した。現時点ではまだ打ち上げを行っていないため、カメラ
の問題を解消して打ち上げ実験に臨む。
26-5
5.考察
(1) 機体の打ち上げに際して、シミュレーションを行っていたが、このシミュレーションでは機体を
垂直に打ち上げた場合の高度を出している。実際には鉛直斜め方向に打ち上げているため、実測
した時の高度とは異なっていた。また、今回の実測の方法では※1 にもあるように一つの高度測定
機しか用いていないため、機体の角度を正確に出すことができず、より大きな誤差が生まれてし
まったと考えられる。
(2) 今回はカメラのみを搭載した機体であった。したがって4号機の打ち上げを成功させた後、さら
に、積載可能質量を上げた機体を製作し、安全に打ち上げた後に回収し、より実用性を備えた機
体の設計と製作を行いたい。
6.参考文献
火薬エンジンのロケットを作ろう!飛ばそう!手作りロケット入門
日本モデルロケット協会 編 誠文堂新光社
26-6
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