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サイレージ中に埋蔵 された草地雑草 Rumexobtusifolius

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サイレージ中に埋蔵 された草地雑草 Rumexobtusifolius
九大農学芸誌 (
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第3
8巻 第 4号 1
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4)
サ イ レー ジ中 に埋 蔵 され た草 地 雑 草
エ ゾ ノ ギ シ ギ シ種 子 の 発 芽 率
増 田 泰 久 ・西 村 光 博 *・小 林 民 意
山野大偉 治 ・中 野
豊 ・五 斗 一 郎
九州大学農学部飼料学教室
2月 2
7日受理)
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緒
に対する効果 は明 らかではない. そこで 本実験では,
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エゾノギ シギ シの未熟及び完熟種子 について,サイ レ
エゾノギ シギ シ (
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ージ中に埋蔵 した場合の発芽率 と,採取直後及び乾草
国の人工草地 に広 く分布 し,牧草の生長や永続性に強
調製を想定 し天 日乾燥後室内保存 した場合のそれとの
い害をおよぼしている. したがってエゾノギ シギ シの
比較検討を行った.あわせて,異なったサイ レージ調
防除法を確立するため,草地内におけるこの草の生長
製法及び添加物が発芽率におよぼす影響を検討 した.
なお, エゾノギ シギ シ種子の 発芽特性 については,
や繁殖に関する基礎的研究が進め られるとともに,薬
剤 による殺草効果,刈取 りに対する反応などの検討が
発芽 に光を 必要 とすること (
嶋田,1
966
), 発芽適温
行われている (日高,1
9
73;栗本 ら,1
9
74;大竹 ら,
は 20-25
o
C であること (
栗本 ら,1
9
74)などが明 ら
1
97
4
). ェゾノギ シギ シ種子は, 1個体 当たり 1万枚
かにされている.
前後生産され (日高,1
9
73
), 土壌中で 長期間発芽力
この研究は 昭和 5
8年度 大分県受託研究 「大家畜生
を維持すること (
渡 辺 ・広 川,1
9
71
)が 知 られて お
産技術の確立に関する研究」(
受託者 :農学部 五斗 一
り,この草の草地内伝播は主 として種子の散布による
郎)の一部 として行われた ものである.
ものと考え られる.
実
西村 (
1
9
81
)は, 草地 における 牧草の 刈払い, 反
験
方
法
1
9
83年 8月 24日, 大分県久住町九州大学高原農業
転, 薬草等の作業過程で大量の雑草種子が 散布 され,
雑草の草地内拡散の一因 となっていることを指摘 して
実験実習場内の草地 (
オーチャー ドグラスを主体 とし
いる. さらに, この対策 としては,牧草や雑草を地面
他 に トールフェスタ, レッドトップ,ペ レエアルライ
に落すことな く直接運搬車 に詰めサイロへ運ぶ,ダイ
グラスを含む)をチ ョッパーで刈取 り,サイ レージ材
レク トカ ッ ト方式 によるサイ レージ調製が有効である
料 とした.
用いたサイ レージ調製法および添加物は次の 6処理
と提唱 している.
サイレージ貯蔵過程における混入種子の発芽率抑制
である.すなわち,①無添加,②グルコース (
試薬 1
効果は, 多 くの草種の種子について 指摘 されて いる
級) 2%+乳酸菌添加剤 (
サイラパ ック,パイオニア
(
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)が,エゾノギ シギ シ種子
ハイブ リッド イ ンタナショナル社製)0.
05%添 加 ,
*九州大学農学部付属高原農業実験実習場 *
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増田泰久 ・西村光博 ・小林民意 ・山野大俸給 ・中野 豊 ・五斗一郎
0
5%添加,④ギ酸 (
試薬 1級)0.
5
⑨乳酸菌添加剤 0.
サイレージの品質調査は,p
H(
ガラス電極 p
Hメ
%添加,⑥ 予乾 (
約半 日天 日乾燥),⑥ 不完全密封 ・
ータ-),仝窒素 (
ケルダール法),アンモニア態窒素
0kg をビニール
低踏圧である. 各処理 とも材料革 6
(
水蒸気兼留法),有機酸 (フリーク法)を測定 し,フ
バ ッグサイロに詰め込んだ.
リーク評価法 とアンモニア態窒素比率による須藤の評
同日に場内のエゾノギシギ シ種子を採取 し,花被が
価法によって行った.
褐色のものと緑色のものとにわけ, 前者を 完熟種子,
材料草,サイレージ試料及び花被を含めたェゾノギ
0g
後者を未熟種子とした.これ らの種子,それぞれ1
シギシ種子の乾物率は,7
0
0
C4
8時間乾燥法により求
めた.
前後をガーゼに包み,バ ッグサイロに詰めた材料草の
中心付近に, 3個ずつ埋め込んだ.
結果及 び考察
別 に乾草調製を想定 して,種子を 3日間天 日乾燥 し
Ta
bl
elにエゾノギ シギ シ種子を埋蔵 したサイレー
た後室内に保存 した.
同年 9月 3
0日, サイロを 開封 しサイレージ品質調
ジの化学成分組成 と品質評点を示 した.サイレージ材
査の試料を採取するとともに,エゾノギ シギシ種子を
8.
8±l
.
2%, 予乾 した材料革
料草の水分含有率は,5
で5
2.
7±3.
3%であった.Ta
bl
elによると,ギ酸添
回収 した.
エゾノギ シギシ種子の発芽試験は,採取直後のもの
加サイレージのアンモニア態窒素比率による評点及び
6日か ら, サイレージ中埋蔵及び 天 日乾燥処
は 8月 2
フリーク評点が,他の処理よりやや高い値を示 したも
0月 2日か ら, それぞれ 約 1か月間,
理 したものは 1
のの,当初の意図とは異なり大きな品質の差 とはな ら
温度 2
0
o
C 一定 とし蛍光灯により 1日 1
4時間周明し
なかった. この一因 としては,材料革の熟期が進んで
たインキュベータ内において 3反復で 実 施 した. 普
おり,乾物率が高かったことが考え られる.
2,
3,
5
-トリフェニルテ トラゾ リウム) 汰
た ,TTC (
採取時における エゾノギシギ シ種子 の 水分 含有率
により,発芽試験終了時に発芽 しなかった種子の生死
6.
7%, 未熟種子で 7
2.
9% で あっ
は, 完熟種子で 1
判定を行 うとともに,本実験で用いたサイレージの中
5.
3±
た. また, 採取直後の発芽率は,完熟種子が 8
で予乾,ギ酸添加 と無添加サイレージ中に埋蔵 した種
検定を実施 した. この場合 ,TTC l%水溶液を入れ
5.
0%,未熟種子が 5
3.
5±6.
8%を示 した.
Ta
bl
e2に天 日乾燥後室内保存及びサイレージ中に
埋蔵 したェゾノギ シギシ種子の発芽試験及び TTC法
たシャーレに種子を縦半切 して置床 し,アル ミホイル
による発芽率を示 した.
子及び天 日乾燥 した種子について,同法による発芽力
o
0C一定のインキュベータ内で 2
4時間反
で遮光 し,2
乾草調製を想定 した天 日乾燥のエゾノギ シギ シ種子
応 させ,実体顕微鏡で観察 した.なお,エゾノギシギ
の発芽率は,完熟種子,未熟種子ともに採取直後のそ
シ種子の埋蔵及び発芽試験は花被を着けたままで実施
れと大きな差が認められなかった.これに対 し,サイ
した.
レージ中埋蔵種子の発芽率は,いずれの処理 とも低下
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サイレージ熟成 とエゾノギシギシ種子の発芽力
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した.特に未熟種子の場合は,ほとんど発芽カを失 う
次 に,以上の実験結果を もとに,サイレージ中埋蔵
ようであった.完熟種子の場合,サイレージの種類に
がエゾノギシギシ種子の発芽過程におよぼす影響につ
よって異なる発芽率を示 した.すなわち,ギ酸添加サ
いて考察を加えた.
イレージで最 も低 く,予乾サイレージで最 も高い値 と
なった.
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9
41
) は, トウモロコシあ
種子が埋蔵 されているサイレージは,種子の発芽に
必要な外部条件である水分については,十分な要件を
備えているといえる. また, 光発芽種子であって も,
るいは ソルガムサイレージ中に埋蔵 した 11種の 雑草
低酸素条件や窒素化合物あるいは種々の有扱酸の存在
種子は, 2, 3の草種を除いて全 く発芽 しなかったと
が, 光要求性を弱めることが 指摘されており (
中山,
報告 している.また,Ti
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1
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) は,1
9種 の
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)
, 本革の種子について も, サイレージ中とい う
雑草種子について 調査 し, 大部分の種子は 1
4日間の
暗黒条件で同様の作用を受 けた可能性が考えられる.
サイレージ中埋蔵で発芽力を失 うことを認めている.
これ らの点か ら,サイレージ中埋蔵処理は,広の生長
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4
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)は,発芽力抑制効果は低
さらに,Wo
開始をひきおこす効果をもっていると推察され,鏡検
水分サイレージより高水分サイレージで大きいことを
による種子の状態 もこれを裏付けている.なお予乾サ
示唆している.
イレージの場合には,材料草の水分がやや低いために
完熟種子の発芽率に対する天 日乾燥及びサイレージ
中埋蔵の影響さらにサイレージの種類の影響は,TTC
法による検定結果で も同様の傾向であることが確認さ
れた.
吸水が十分でなかった種子が多 く,膝の生長開始が種
子間でばらつきを生 じたと思われる.
以上のようにサイレージは,艦の生長開始には適 し
た条件を備えているようであるが,その後の歴の生長
TTC 法による発芽力検定時の鏡検によると,天 日
・発芽には適 していない.すなわち,長期間の嫌気状
乾燥種子では膝の生長がほとんど認められなかった.
H の低下,有機酸の発芽抑制効果 (中
態あるいは,p
しか し,サイレージ申埋蔵処理の種子では,広の生長
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6
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) により膝の生長が途中で停止 し死に到る種
山,1
が認められない種子 と歴の生長がかなり進んだ状態で
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)
子が多 くなったものと考え られる.Ti
死に到った種子とが混在 していた.鏡検 した 3種類の
は,サイレージ汁液及びサイレージ中と同濃度の酢酸
サイレージについては,予乾サイレージ中に埋蔵 した
あるいは乳酸で湿潤 した種子が発芽力を失 うことを報
種子に比べ無添加及びギ酸サイレージ中に埋蔵 した種
告 している.また,本実験ではml
J
定 していないが,サ
子中に, 生長途中で 死に到ったものの 割合が 高かっ
イレージ発酵過程における温度の上昇 も発芽力の低下
た.
に関与するものと考えられる.
Ta
bl
elに示 した pH,有概観含量などのサイレー
なお,ギ酸サイレージ中埋蔵種子の発芽率は,反復
ジ品質 と Ta
bl
C 2 の発芽率 との関連については.サ
8% と変動が大きく, 噴霧 したギ酸が直接
間で 0-1
イレージ品質のちがいが顕著ではなかったために,明
付着 したものは完全に発芽カを失 うようであった.
らかな傾向は認められなかった.
予乾サイ レージと他のサイレージ中塩蔵処理 との発
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増E
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泰久 .西村光博 ・′
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芽率のちがい,及び以上の考察か ら牧草のサイ レージ
山野大偉治 ・中野 豊 ・五斗一郎
巣 は, サイ レージの種類によって その程度が異なり,
調製が,混入 したェゾノギ シギ シ種子の発芽率 におよ
予乾サイ レージでやや小 さく,ギ酸添加サイ レージで
ぼす抑制効果 は,艦の生長をひきおこす条件,特 に水
最 も大きかった.
分条件により その程度が異なるといえよう. す な わ
本実験の結果か ら,サイ レージ調製は刈取った牧草
ち,高水分サイ レージで発芽抑制効果が大きいと推察
中に混入するエゾノギシギ シ種子の発芽率を顕著 に低
された.
下 させ,家畜の糞中に排推される種子 による本草の革
本実験の結果か ら,牧草の刈取 り時に混入するエゾ
ノギ シギ シ種子の発芽率は,乾草調製過程ではほとん
地内拡散を 抑制するうえで 有効で あることが 認め ら
れた.
ど影響 されず,サイ レージ調製過程で顕著 に低下する
文
と結論 され,サイ レージ調製は家畜の糞中に排壮 され
る種子による本草の草地内拡散を抑制するうえで有効
であることが認め られた.
なお,サイ レージ中埋蔵処理がエゾノギ シギ シ種子
の発芽力抑制に作用する機構及びサイ レージ品質 と発
芽力抑制効果 との関連については,今後材料草の条件
や貯蔵期間を変えて追究する予定である.
要
約
本実験 は,牧草の乾草調製及びサイレージ調製が刈
取った牧草中に混入するエゾノギ シギ シ種子の発芽率
におよぼす影響を明 らかにしようとした ものである.
エゾノギ シギ シ種子を採取 し,花被が褐色の完熟種
子 と緑色の未熟種子に分別 した. これ らの種子を調製
法及び添加物の異なる 6種類のサイ レージ中に埋蔵 し
3
8日間 貯蔵 した. サイ レージ材料草は, オーチ ャー
ドグラスを主体 とした寒地型イネ科草で,その平均乾
物含有率は 41.
2%であった.
採取 した種子の一部は,乾草調製を想定 し 3日間天
日乾燥後室内に保存 した.
採取直後の種子,天 日乾燥種子及びサイ レージ中埋
蔵種子の発芽試験の結果 は次のとおりである.
天 日乾燥種子の発芽率は,未熟種子,完熟種子 とも
に採取直後のそれと同様の値であった.サイ レージ中
埋蔵種子については,未熟種子はほとんど発芽力を失
うようであり,完熟種子 も顕著な発芽率の低下を示 し
献
日高雅子 1
9
7
3 ェゾノギ シギ シの草地侵入経路につ
いて. 日草誌,1
9:1
71
-1
7
4
栗本省二 ・大竹茂登 ・滝広徳男 ・木村陽登 1
9
7
4草
地雑草エゾノギ シギ シの発生生態 と防除に関する
研究 第 1報種子の発芽特性 について.広島県農
試報 ,3
3:5
7
6
1
中山 包 1
9
6
9 発芽生理学.内田老鶴岡新社,東京
西村光博 1
9
81 三共牧場の創立な らびに経営過程に
l:2
7
3
6
おける諸問題. 日華九州支報,l
大竹茂登 ・栗本省二 ・木村陽登 ・滝広徳男 1
9
7
4草
地雑草エゾノギ シギ シの発生生態 と防除に関する
研究 第 2報地下部の萌芽特性 について.広島県
3:6
3
6
7
農試報 ,3
嶋田 鏡 1
9
6
6 種子の発芽 と光.草地生態,7:4
8
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渡辺 泰 ・広川文彦 1
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71 畑雑草種子の地中におけ
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