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インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
早稲田大学 IT 戦略研究所
Research Institute of IT & Management,
Waseda University
2010 年 4 月
インターネットにおけるメディア型プラットフォーム
サービスの WTA(Winner Take All)状況
根来 龍之(早稲田大学大学院教授/IT 戦略研究所所長)
大竹 慎太郎(早稲田大学 IT 戦略研究所)
早稲田大学 IT 戦略研究所ワーキングペーパーシリーズ No.32
Working Paper
i
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの
WTA(Winner Take All)状況
根来
龍之(早稲田大学大学院商学研究科教授/IT 戦略研究所所長)
大竹
慎太郎(早稲田大学 IT 戦略研究所) 1
Tatsuyuki NEGORO・Shintaro Otake
(Waseda University)
<要旨>
本稿は、インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner
Take All:勝者の市場独占)の状況を分析することを目的とするものである。
本稿は、一人勝ちはシェア 50%以上、二人勝ちは上位2社の合計シェア 50%以上の
場合と定義する。また、HHI(ハーフィンダール・ハーシュマン・インデックス)が
0.25 以上を(相対的に)寡占状況と考えることにする。
2000 年 4 月から 2008 年 3 月までのデータを分析したところ、以下がわかった。 コ
ミュニティサイトに 一人勝ち市場・寡占維持市場が多い 。逆に、情報サイトは4ジャン
ル中3ジャンルにおいて 乱戦市場・分散化進展市場であることから、コミュニティサイ
トとは対照的な傾向にある。また、仲介サイトにおいてのみ唯一二人勝ち市場が存在
することから、同カテゴリーは1サイトのみが強力なシェアを持つだけでなく、もう
1サイトもそれに近しいシェアを持ちえる性質がある可能性がある。
キーワード:WTA、一人勝ち、二人勝ち、寡占維持市場、乱戦市場、分散化進展市場
1
[email protected][email protected]
ii
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
第1章 はじめに
1.1
本稿の目的
本稿は、インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービス(以下、「ネッ
トPFサービス」)の WTA(Winner Take All:勝者の市場独占)の状況を分析すること
を目的とするものである。
根来・加藤(2010)は、プラットフォーム製品・サービスを「各種の補完製品・サービ
スや補完コンテンツとあわさって顧客の求める機能を実現する基盤になると同時に、プレ
イヤーグループ間の意識的相互作用の場となる製品やサービス」
(一部表現修正)と定義し
ている。さらに、同論文は、プラットフォーム製品・サービスを、基盤機能型プラットフォー
ムとメディア機能型プラットフォームに分類している。前者は、主に「各種の補完製品や
サービスとあわさって顧客の求める機能を実現する基盤になる製品やサービス」であり、
後者は、主に「プレイヤーグループ内やグループ間の意識的相互作用の場を提供する製品
やサービス」である。本稿でとりあげるネットPFサービスは、メディア機能型プラット
フォームの1種である。
プラットフォームサービスは、一般的に WTA(Winner Take All)、つまり「特定の勝
者による市場の独占」(Frank and Cook,1995)が起こりやすいとされている。たとえば、
Arthur, B. (1996) や Eisenmann, B.(2007)などデジタル化された市場の WTA 傾向につ
いて論じている。具体例としては、マイクロソフト社のウェブ閲覧ソフトである Internet
Explore やアドビシステム社の PDF 関連ソフトウェアなどがその代表例として頻繁に論
じられる。同様の議論は、ネットPFサービスにおいても存在し、ヤフー・ジャパン社の
Yahoo! オークション、楽天社の楽天市場、ミクシィ社の mixi などが WTA の例として取
り上げられることが多い。本稿は、これらのプラットフォームサービスの中で、特にネッ
トPFサービスにフォーカスした議論を行うものである。
具体的には、本稿では、仲介サイト、コミュニティサイト、情報サイト(コミュニティ
機能を持つもの)の分析を、後述する 14 のジャンルを対象にして行う。
第2章
WTA の定義
WTA の定義は明確ではない。例えば、Frank and Cook (1995)は、「特定の勝者
による市場の独占である」と定義している。これは、特定の1社が市場のほとんどを
1
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
独占していることを WTA としていると解釈できる。ただし、同書には正確なデータ
を用いた事例分析は存在しない。一方、山本仁志・岡田勇・小林伸睦・太田敏澄(2002)
は、「消費者の購買がいくつかの売上の多い財に偏っていく」状況を WTA と定義して
いる。この研究は、何千・何万という商品が存在する音楽コンテンツ業界を対象にし
たものである。
実は、後述するように、ネットPFサービスの場合は、2位サイトもかなりのシェアを
持つ傾向がある。そこで、本稿では、WTA を「1社、あるいは2社が市場を独占してい
る」状況と定義する。そして、WTA の状況をさらに、一人勝ちと二人勝ちに分けて考え
ることにする。それ以外の状況は、「乱戦」と呼ぶことにする。
シェアの具体的数値そのものは、調査が存在しない。そこで、各ネットPFサービスサ
イトのシェアの代理変数として、ネットレイティング社調査の UU(ユニークユーザー)
数を用いる。その際に、各サイトの 2000 年 4 月から 2008 年 3 月 2までの UU 数の推移と
同時に、1位サイトと2位サイトの相対的地位の変遷にも着目する。
また、市場全体の寡占状況を HHI(ハーフィンダール・ハーシュマン・インデックス)
によって同時に測定することにする。HHI とは、ある産業の寡占化の程度を示す指標の 1
つであり、その産業に属するすべての企業のシェアの2乗和と定義されている。この指標
は、市場が寡占状態か競争状態かを見分けるものとして、産業組織論分野の研究や政府の
独禁法当局によって広く使われているものである。HHI についても、シェアは UU 数を
使って計算することにし、各ジャンルの現状の HHI だけでなく、推移も測定する。
本稿では、WTA の状況を上記したシェアと HHI の両方、具体的には「上位2サイトの
合計シェアと当該ジャンルの HHI」によって測定することにする。一人勝ちはシェア 50%
以上、二人勝ちは上位2社の合計シェア 50%以上を基準にする。HHI は、0.25 以上を(相
対的に)寡占状況と考えることにする。これは、本稿が対象とする14サイトの寡占度合
を測定すると、2008 年 3 月時点の HHI が 0.25 以上と未満で、対象サイトを半分ずつに
分かれるからである。また、上記したように、本稿では1位サイトのシェアが 50%以上の
市場を一人勝ち市場、1位と2位サイトの合計シェアが 50%以上の市場を二人勝ち市場と
定義しているが、この定義の場合、1位と2位サイトのシェアに大きな差がある場合が二
人勝ち市場に含まれてしまう。しかし、HHI を同時に参照すれば、2位以下のサイトのシェ
2 2009 年 4 月以後は、
同社が調査方法を変更したのでデータの継続性がなくなっているため使
用しない。
2
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
アがあまりに小さい場合は HHI が 0.25 以上にならないはずだからである。ちなみに、一
人勝ち市場の場合は、必ず HHI は 0.25 以上になる(0.5×0.5=0.25)。
HHI については、本稿の調査データの開始年である 2000 年 4 月からの推移を計算し、
各ジャンルを、0.25 以上で継続推移(寡占維持市場)、0.25 以上から未満へ変化(分散化
進展市場)、0.25 未満で継続推移(分散市場)に分類する。
以上の WTA の程度に関する判断基準を、図で表すと以下の通りである。縦軸に寡占度
を示す HHI の各ジャンルごとの時系列の傾向、横軸に一人勝ち・二人勝ち・乱戦を並べ
た場合、矢印の方向に進めば進むほど、強い WTA 状態にあるということになる。言い換
えれば、「一人勝ちかつ HHI0.25 以上で推移」が本研究においては、最も WTA 状態が進
行しているジャンルであることになる。
図表 1-1
第3章
3.1
本稿における WTA の判断基準
ネット PFサービス の各ジャンルの WTA 状況
本稿の対象カテゴリとジャンル
本稿が対象とするネットPFサービスの14ジャンルは、本稿がデータとして用いる
ネットレイティングス社のデータクロニクルからデータの抽出が可能なものである。この
14ジャンルを、図表 1-2 に示す合計6つの種類に分類する。14ジャンルは、仲介サイ
3
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
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ト・コミュニティサイト・情報サイトという三つに大きく括ることができる。本稿では、
これを「カテゴリ」と呼ぶ。なお、情報サイトは、情報提供機能をメインにしながら、利
用者の書込みサービスが可能となっているものがあるジャンルを対象としている(一種の
コミュニティ性を持っているジャンルを対象にする)。
使用するデータは、「ネットレイティングス・データクロニクル 2008」の「ウェブサイ
トトレンドデータ、全サイトの利用者数推移(単位:千人)」である。この資料には、2000
年 4 月から 2008 年 3 月の NetView AMS のスタンダードレポートに1回でも登場した全
15567 サイトのデータが収録されている。ただし、この資料は PC サイトのみを対象とし
ており、モバイルサイトは対象外となっている。また、事業所からのアクセスはカウント
されず家庭からのアクセスが対象になっている 3。
シェアの代理指標候補は利用者数(ユニークユーザー数:異なる利用者の数)以外にも
複数存在し、例えばページビュー数、会員数、売上、営業利益などが挙げられる。しかし
ながら、ページビュー数はサービスの動線構造による影響が大きく、また、人によって閲
覧ページ数の格差が大きいときは、利用度の大きい人の動向が強く反映されてしまう。ま
た、会員数は利用者がアクティブであるかが考慮されず、加えてサイトによって会員の定
義が異なるため統一的手法による比較ができない。さらに売上・営業利益はセグメント(事
業分野)情報の区分が企業ごとに任意で設定されるため、サイト単位での統一的基準によ
る比較が困難であり、かつ開示している企業数が少ないといった問題があることから代理
指標として適切でない。一方、ユニークユーザー数はユーザー毎の使用頻度を考慮してい
ないといった問題があるものの、第三者機関(ネットレイティングス社)による統一的手
法による調査データが入手可能であり、インターネットサイトの媒体力等を評価するにあ
たっても一般的に用いられる指標であることから、代理指標として適切と考えた。
本稿が使用するユニークユーザー数は、
「 集計対象期間に最低 1 回は各当該指定 URL に
含まれるページを利用した利用者数で、重複は省く。」ものをいい、例えば、ある人が集計
期間内に複数回同一の当該指定 URL を利用しても、利用者数は一人とカウントされる。
データ自身は、サイト別に集計されているので、ジャンルへの分類は筆者によるものであ
3
正確には、
「 自宅で専用のパソコンを保有しているインターネットユーザーを対象にパネルメ
ンバー参加の協力を依頼し、そのパネルメンバーのインターネットの利用状況を調査したイン
ターネット視聴率データ」である。
4
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
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る。この際に、各ジャンルの対象としたサイトの範囲に多少の漏れがある可能性があるが、
少なくともその産業に属する有名サイトは必ず入るように注意した。
ネットPFサービスには、例えば不動産ジャンルにおける分譲マンションサイトと賃貸
マンションサイト、不動産ポータルサイトとディベロッパーが保有するマンション検索サ
イトなど、近接分野があると同時に、ある機能はあるが他の機能はないサイトなどが存在
する。つまり、どのサイトまで含めるべきかが曖昧なジャンル、言い換えれば、対象プレ
イヤーの境界が不明確なジャンルが存在する。このようなジャンルについても、本稿にお
ける対象プレイヤーをどのサイトにするかは具体的に定めて分析するが、分析結果に境界
設定の恣意性が影響している可能性があると考えられる。それが、対象サイトを「プレイ
ヤーの境界が明確なサイト」と「プレイヤーの境界が不明確なサイト」に分けて分類して
いる理由である。
図表 1-2
カテゴリ
仲介サイト
コミュニティサイト
情報サイト
(コミュニティ機能
を持つもの)
3.2
本稿における対象カテゴリとサイト
プレイヤーの境界が明確
プレイヤーの境界が不明確
ポータル・検索
価格比較
オークション
不動産
自動車(新車&中古車)
旅行
SNS
動画共有
無料HP・ブログ
ナレッジサイト
グルメ
地図
マネー(金融情報)
ITニュース
各ジャンルごとの UU 数の推移と分析
ネットPFサービス から抽出した14ジャンルの各サイトを、以下のように各ジャンル
ごとに分析する。各ジャンルごとのグラフは、縦軸にデータクロニクルによって計測され
た各サイトごとの UU 数を、2000 年 4 月から 2008 年 3 月までの一ヶ月ごとの時系列でプ
ロットしたものである。月間の UU 数を各サイトごとにグラフにすることによって、1位
のサイト、2位のサイト、3位以下のサイトそれぞれで、いつのタイミングで UU 数が増
加したか、あるいは減少したのかを観察しやすいようにした。特に、1位サイトと2位サ
イトの相対的地位の変遷に着目して分析していく。また、各ジャンルごとに、上述した
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根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
WTA の程度(シェア:1人勝ち、2人勝ち、乱戦
HHI:寡占維持市場、分散化進
/
展市場、分散市場)について測定する。なお、シェアは、2008 年 3 月期のものである。
(1)価格比較
価格比較とは、対象製品の販売サイト等価格情報を比較することを主な機能とするサイ
トである。本稿では、合計7サイトを対象にする。1位サイトである価格.com が、2000
年 4 月当初から一人勝ち状態を維持しており、時間が経つにつれて2位の EC ナビとの差
を広げている。そのため、HHI(以下特に断りがない時は、2008 年 3 月期)は 0.41 と、
以下で記載する他ジャンルと比較して、大きな数値となっている。価格.com の 2008 年 3
月時のシェアは 61%である。
以上から、価格比較は、一人勝ち、寡占維持市場と判定される。
図表 3-1
価格比較ジャンルの UU 数推移
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
価格.com
ECナビ
コネコネット
livedoor価格比較
ベストゲート
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年07月
比較.com
2006年10月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年04月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
ベストプライス
(2)オークション
オークションは、B2C の合計9サイトを対象とする。Yahoo!オークションと bidders
は、他のサイトと比べて、格段に大きな UU 数を獲得している。ただし、1位の Yahoo!
オークションは、2000 年 4 月当初から一人勝ち状態を維持しており、常に2位の bidders
の倍以上の UU 数を誇っている。HHI は 0.46 と14ジャンル中、2番目に大きな数値で
ある。2008 年 3 月時のシェアは、Yahoo!オークションが 65%、bidders が 17%となっ
ている。
6
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
以上から、オークションは、一人勝ち、寡占維持市場と判定される。
図表 3-2
オークションジャンルの UU 数推移
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
Yahoo!オークション
bidders
楽天オークション
モバオク
aucfan.com
gooショッピング
WANTED AUCTION!
ウーマンエキサイト・オークション
ハッピーマーケット
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年07月
2006年10月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年04月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
(3)ポータル・検索
ポータル・検索では、合計9サイトを対象にする。1位サイトである Yahoo!が、2000
年 4 月当初から一人勝ち状態を維持してきた。しかし、2位の Google も右肩上がりで UU
数を伸ばしており、2005 年頃からは2人勝ち傾向にある。HHI は 0.33 と、やや寡占度は
低い。2008 年 3 月時のシェアは、Yahoo!が 49%、Google が 24%である。
以上から、ポータル・検索は、二人勝ち、寡占維持市場と判定される。
図表 3-3
ポータル・検索ジャンルの UU 数推移
40,000
35,000
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
5,000
Yahoo!
Google
msn
excite
goo
Infoseek
7
livedoor
フレッシュアイ
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年10月
2006年07月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年04月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
Ask.jp
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
(4)自動車
ここでの自動車とは、主に新車や中古自動車の仲介を機能とするサイトのことである。
本稿では、合計11サイトを対象にする。1位のカービューが UU 数で明確な格差を付け
ているが、2以下のサイトは比較的乱戦傾向にある。2002 年 5 月までは Yahoo!自動車が
1 位であったが、それ以降はカービューが1位を継続している。HHI は 0.19 と寡占度は
低い。2008 年 3 月時のシェアは、カービューが 34%、Goo-net が 16%、Yahoo!自動車が
15%である。
以上から、自動車は、二人勝ち、分散化進展市場と判定される。
図表 3-4
自動車ジャンルの UU 数推移
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
カービュー
Goo-net
Yahoo!自動車
カーセンサー
Response
オートバイテル
msn自動車
カーセブン
goo自動車&バイク
GET-U
アップル
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年07月
2006年10月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年04月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
(5)不動産
本稿での不動産とは、賃貸と新築のマンション仲介を主な業務とするサイトのことであ
る。本稿では、合計8サイトを対象とする。全体的に乱戦傾向にあり、上位3サイトであ
る住宅情報ナビ、HOME’S、Yahoo!不動産の順位は、何度も入れ替わっている。また、そ
れ以降の下位サイトの追随も激しく、毎月の UU 数のブレが大きいのが特徴である。HHI
は 0.22 で、2008 年 3 月時のシェアは、住宅情報ナビが 27%、HOME’S が 24%、Yahoo!
不動産が 21%となっている。
以上から、不動産は、乱戦市場、分散化進展市場と判定される。
8
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
図表 3-5
不動産ジャンルの UU 数推移
1,400
1,200
1,000
800
600
400
200
住宅情報ナビ
HOME'S
Yahoo!不動産
アットホーム
ホームアドパーク
Infoseek不動産
ホームメイトnavi
Homewith.net
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年10月
2006年07月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年01月
2003年04月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
(6)旅行
旅行では、いわゆる予約サイトを対象にしている。また、モルタル系旅行代理店の予約
サイトと他サイトとの連携サイト(Yahoo!トラベル)も対象にしている。合計24サイト
を対象としている。2003 年 7 月までは Yahoo!トラベルが1位であったが、それ以降は楽
天トラベル、じゃらん net の両サイトが1位を奪い合っている。この2社が徐々に UU 数
を拡大させる中で、3位~5位は乱戦傾向にある。HHI は 0.09 であり、寡占度はかなり
低い。2008 年 3 月時のシェアは、楽天トラベルとじゃらん net が 15%、Yahoo!トラベル
が 11%である。
以上から、旅行は、乱戦市場、分散市場と判定される。
図表 3-6
旅行ジャンルの UU 数推移
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年10月
2006年07月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年04月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
じゃらんnet
楽天トラベル
eトラベル
Yahoo!トラベル
JTB
阪急交通社
るるぶトラベル
一休.com
エイビーロードネット
H.I.S
ゆこゆこネット
宿プラザ
Travel.co.jp
JR東海ツアーズ
BIGLOBEトラベル
日本旅行
クラブツーリズム
近畿日本ツーリスト
トラベルアンサー
アップルワールド
トクー!
旅の素
ベストリザーブ
国内線ドットコム
9
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
(7)SNS
SNS は、招待制の日記中心サイトだけではなく、会員制の身辺情報交換を中心とするサ
イトも対象にする。合計12サイトを対象としている。このジャンルでは、2005 年 9 月
から mixi が圧倒的な一人勝ち状態を維持しており、時間が経つにつれて2位以下ともそ
の差を広げて右肩上がりの成長を続けている。そのため、HHI は 0.58 となっており、調
査対象のジャンルの中で、最も大きな数値となっている。mixi の 2008 年 3 月時のシェア
は 75%である。
以上から、SNS は、一人勝ち、寡占維持市場と判定される。
図表 3-7
SNS ジャンルの UU 数推移
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
mixi
livedoorフレパ
楽天リンクス
GREE
Echoo!
CURURU
モバゲータウン
ONEMAKE
Yahoo!DAYS
カフェスタ
COLORS
キヌガサ
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年07月
2006年10月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年04月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
(8)動画共有
動画共有では、合計9サイトを対象としている。1位サイトである YouTube が、2005
年 12 月当初から一人勝ち状態を維持している。HHI は 0.33 と、比較的大きな数値となっ
ている。2位のニコニコ動画も右肩上がりの成長を続けており、3位以下との差を広げて
いる。2008 年 3 月時のシェアは、YouTube が 51%、ニコニコ動画が 22%である。
以上から、動画共有は、一人勝ち、寡占維持市場と判定される。
10
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
図表 3-8
動画共有ジャンルの UU 数推移
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
YouTube
ニコニコ動画
Dailymotion
AmebaVision
パンドラTV
FlipClip
Google Video
ASKビデオβ
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年07月
2006年10月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年01月
2004年04月
2003年10月
2003年07月
2003年04月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年07月
2001年10月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
Veoh
(9)ナレッジサイト
ここでのナレッジサイトとは、利用者の質問に答えて他の利用者等が回答を書きこむサ
イトのことある。本稿では、合計9サイトを対象としている。このジャンルでは、Yahoo!
知恵袋が、2005 年 10 月以降一人勝ち状態を維持している。HHI は 0.37 と、比較的大き
な数値となっている。2位の価格.com 掲示板・レビューも 2005 年 10 月に飛躍的な成長
をしているが、それ以後は大きな伸びが確認できない。2008 年 3 月時のシェアは、Yahoo!
知恵袋が 56%、価格.com 掲示板・レビューが 17%である。
以上から、ナレッジサイトは、一人勝ち、寡占維持市場と判定される。
図表 3-9
ナレッジサイトジャンルの UU 数推移
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
Yahoo!知恵袋
価格.com 掲示板・レビュー
OKWave
人力検索はてな
教えて!goo
livedoor ナレッジ
答えてねっと
楽天 みんなで解決!Q&A
msn相談箱
11
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年10月
2006年07月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年04月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
(10)無料 HP・ブログ
無料 HP・ブログには、開設ユーザーと閲覧ユーザーがいる。ここでのデータは、閲覧
ユーザーの UU 数である。このジャンルは、対象とした14ジャンルの中で、最も多い合
計49サイトを対象としている。Geocities が 2000 年 4 月当初からシェア一位を維持して
いたが、2005 年前後から他サイトの UU 数も急速に上昇し、全体的に乱戦傾向となって
いる。HHI は 0.04 と、最も寡占度が低い。2008 年 3 月時のシェアは Ameblo が 8%、Seesaa
が 7%、Hatena が 7%、Geocities が 5%である。
以上から、無料 HP・ブログは、乱戦市場、分散化進展市場となっている。
図表 3-10
無料 HP・ブログジャンルの UU 数推移
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
ameblo.jp
geocities.co.jp
atwiki.jp
freett.com
269g.net
vis.ne.jp
land.to
hatena.ne.jp
yaplog.jp
xmbs.jp
uic.to
29g.net
cside.com
blog360.jp
seesaa.net
livedoor.biz
tok2.com
gozaru.jp
client.jp
oekakibbs.com
cocolog-nifty.com
webry.info
blogmura.com
ezbbs.net
dip.jp
blogzine.jp
jugem.jp
with2.net
peps.jp
drecom.jp
air-nifty.com
jugem.cc
teacup.com
sblo.jp
ocnk.net
pksp.jp
machi.to
thebbs.jp
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年10月
2006年07月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年04月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
exblog.jp
main.jp
chu.jp
nobody.jp
mac.com
m-pe.tv
(11)マネー
マネーでは、外国為替相場情報や証券市場情報を扱うサイトのことだが、これらのサイ
トには掲示板等を使って消費者が書き込み機能を提供しているものがあり、ここではPF
サービスと扱うことにした。本稿では、合計6サイトを対象としている。このジャンルで
は、Yahoo!ファイナンスが、2000 年 4 月当初から一人勝ち状態を維持しており、時間が
経つにつれて2位の Infoseek マネーとの差を広げている。そのため、HHI は 0.44 と、1
4ジャンルの中でも大きな数値となっている。Yahoo!ファイナンスの 2008 年 3 月時のシェ
アは 63%である。
以上から、マネーは、一人勝ち、寡占維持市場と判定される。
12
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
図表 3-11
マネージャンルの UU 数推移
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
Infoseek マネー
日経マネー&マーケット
MSNマネー
モーニングスター
東京証券取引所
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年07月
Yahoo!ファイナンス
2006年10月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年04月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
(12)グルメ
グルメは、レストラン等の飲食店情報を広く提供しているサイトのことであり、合計1
5サイトを対象としている。全体的に乱戦傾向であるが、2004 年 12 月以降は、ぐるなび
が一位を維持している。ただし、下位サイトの追随も激しく、2位以降は4つのサイトが
拮抗している。HHI は 0.15 で、2008 年 3 月時のシェアは、ぐるなびが 26%、Yahoo!グ
ルメが 18%、食べログが 13%である。
以上から、グルメは、乱戦市場、分散化進展市場と判定される。
図表 3-12
グルメジャンルの UU 数推移
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
ぐるなび
Yahoo!グルメ
食べログ
Walker plus
ホットペッパー
グルメぴあ
Ozmallグルメ
ウーマンエキサイト グルメ
livedoorグルメ
アスクユーレストランガイド
サントリーグルメガイド
gooグルメ&料理
全国日本料理名店ガイド
BIGLOBEグルメレストラン
MSNグルメ
13
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年10月
2006年07月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年04月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2002年01月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
(13)地図
地図サイトは、店舗や施設などと利用者等を出合わせるサービスとしてPF機能を持つ
と位置付けられる。本稿では、合計19サイトを対象としている。このジャンルでは、
Yahoo!地図が、2000 年 4 月当初から一位シェアを維持しており、時間が経つにつれて他
サイトとの差を広げている。しかし、2位の GoogleMap が、2007 年 10 月前後から急激
な追い上げを見せている。HHI は 0.15 となっている。Yahoo!地図の 2008 年 3 月時のシェ
アは 29%、GoogleMap は 17%である。
図表 3-13
地図ジャンルの UU 数推移
2002年01月
2003年04月
以上から、地図は、乱戦市場、分散化進展市場と判定される。
10,000
9,000
8,000
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
Yahoo!地図
Google Map
Mapion
Map Fan Web
AOL Travel
gooマップ
iタウンページ
まっぷるnet
カラメル
NAVITIME
ちず丸
ドコイク
ZENRIN Data com
Live Search
ゼンリン地図+ナビ いつもガイド
livedoor地図情報
BIGLOBE地図
Live Serch Maps Beta
Infoseek地図
2008年01月
2007年10月
2007年07月
2007年04月
2007年01月
2006年10月
2006年07月
2006年04月
2006年01月
2005年10月
2005年07月
2005年04月
2005年01月
2004年10月
2004年07月
2004年04月
2004年01月
2003年10月
2003年07月
2003年01月
2002年10月
2002年07月
2002年04月
2001年10月
2001年07月
2001年04月
2001年01月
2000年10月
2000年07月
2000年04月
0
(14)IT ニュース
IT ニュースでは、合計10サイトを対象としている。IT ニュースは、転送機能やコメ
ント機能を持つものがあるので、ここではPFサイトと捉えることにした。2004 年 1 月
までは Impress WatchHeadLine が1位であったが、それ以降は ITmedia と1位を奪い
合っている。この2社が拮抗する中で、3位以降も同様に乱戦傾向にある。HHI は 0.13
である。2008 年 3 月時のシェアは、ImpressWatchHeadLine が 21%、ITmedia が 17%
である。
以上から、IT ニュースは、乱戦市場、分散化進展市場と判定される。
14
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
図表 3-14
IT ニュースジャンルの UU 数推移
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
第4章
ITmedia
RBB TODAY
@IT
日経BPネット
ASCII.jp
2008年01月
2007年10月
2007年04月
2007年07月
2006年10月
2007年01月
2006年07月
2006年01月
2006年04月
2005年07月
2005年10月
2005年01月
2005年04月
2004年07月
2004年10月
2004年01月
2004年04月
2003年07月
2003年10月
2003年01月
2003年04月
2002年10月
2002年04月
2002年07月
2001年10月
Impress Watch Headline
Itpro
ITPLUS
2002年01月
2001年04月
2001年07月
2000年10月
2001年01月
2000年04月
2000年07月
0
CNET Japan
INTERNET Watch
まとめ: 各ジャンルごとの UU 数の推移と分析
以上の分析から、以下の二つの表(図表 3-2、図表 3-3)を作成できる。
表 3-2 は、14ジャンルの HHI を高い順に左から並べたものである。更に、3つのカテ
ゴリごとに色分けをして、HHI との関連性がわかるようにした。
本稿では HHI による寡占市場の基準を、0.25 と設定した。この 0.25 は、対象ジャンル
が、0.25 以上と未満で、ちょうど7ジャンルずつになるようにした数値である。なお、本
稿では1位サイトのシェアが 50%以上の市場を一人勝ち市場、1位と2位サイトの合計
シェアが 50%以上の市場を二人勝ち市場と定義している。
15
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
図表 3-2
14 ジャンルの HHI 比較
ハーフィン
ダール指数
0.70
0.60
0.50
0.40
0.30
0.20
0.10
0.00
仲介
コミュニティ
情報
図表 3-3 は、14ジャンルの UU 数の推移と分析をまとめたものである。縦軸に各3つ
のカテゴリを記載して、横軸にはカテゴリに対応する14ジャンルと WTA 状況(市場地
位)、寡占状況(HHI)をそれぞれ記載した。対象ジャンルは、各カテゴリごとに HHI が
高いジャンルから順に列挙している。また、視覚的に分かりやすくするため、1 人勝ち市
場・寡占維持市場は赤色、2 人勝ち市場は緑色、分散化進展市場はピンク、乱戦市場・分
散市場は青でセルを塗りつぶしてある。
各カテゴリごとに比較すると、コミュニティサイトに 一人勝ち市場・寡占維持市場が
多い ことがわかる。逆に、情報サイトは4ジャンル中3ジャンルにおいて 乱戦市場・分散
化進展市場であることから、コミュニティサイトとは対照的な傾向にある。また、仲
介サイトにおいてのみ唯一二人勝ち市場が存在することから、同カテゴリーは1サイ
トのみが強力なシェアを持つだけでなく、もう1サイトもそれに近しいシェアを持ち
える性質がある可能性がある。
16
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
図表 3-3
カテゴリ
14 ジャンルの UU 数の推移と分析まとめ
WTA状況
(市場地位)
一人勝ち市場
一人勝ち市場
二人勝ち市場
二人勝ち市場
乱戦市場
乱戦市場
一人勝ち市場
一人勝ち市場
一人勝ち市場
乱戦市場
一人勝ち市場
乱戦市場
乱戦市場
乱戦市場
対象ジャンル
価格比較
オークション
ポータル・検索
仲介
サイト
自動車(新車&中古車)
不動産
旅行
SNS
コミュニティ 投稿動画
サイト
ナレッジサイト
無料HP・ブログ
マネー(金融情報)
グルメ
情報
サイト
地図
ITニュース
寡占状況
(HHI)
寡占維持市場
寡占維持市場
寡占維持市場
分散進展市場
分散進展市場
分散市場
寡占維持市場
寡占維持市場
寡占維持市場
分散進展市場
寡占維持市場
分散進展市場
分散進展市場
分散進展市場
本稿の分析を受けての今後の課題は、各ジャンルの WTA 状況や推移を説明するメカニ
ズムの理論化とその検証であると思われる。
17
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
参考文献
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Events“, The Economic Journal, 99, pp.116-131.
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Review, July-Aug..(アーサー「複雑系の経済学を解明する“収穫逓増”の法則」『Diamond
ハーバード・ビジネス・レビュー』1997 年 1 月号。)
Eisenmann, B. (2007)”Winner-Take-All in Networked Markets, ”Harvard Business School
Note.
Eisenmann, T., Parker,A. & Alstyne, M.W.V. (2006), ”Strategies for Two Sided Markets, ”
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根来龍之,加藤和彦(2008)「プラットフォーム製品におけるネットワーク効果概念の再検討」
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― ソ フ ト ウ ェ ア 製 品 に お け る W T A の メ カ ニ ズ ム と 対 抗 戦 略 ― 」『 早 稲 田 国 際 経 営 』 ,
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山本仁志,岡田勇,小林伸睦,太田敏澄(2002)「音楽ソフト市場における消費者選択の多様
性に対する情報チャネル効果:Winner Take All 現象への Agent Based Approach」『経営情
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18
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
●早稲田大学IT戦略研究所 ワーキングペーパー一覧●
No.1 インターネット接続ビジネスの競争優位の変遷:産業モジュール化に着目した分析
根来龍之・堤満(2003 年 3 月)
No.2 企業変革における ERP パッケージ導入と BPR との関係分析
武田友美・根来龍之(2003 年 6 月)
No.3 戦略的提携におけるネットワーク視点からの研究課題:Gulati の問題提起
森岡孝文(2003 年 11 月)
No.4 業界プラットフォーム型企業の発展可能性―提供機能の収斂化仮説の検討
足代訓史・根来龍之(2004 年 3 月)
No.5 ユーザー参加型商品評価コミュニティにおける評判管理システムの設計と効果
根来龍之・柏陽平(2004 年 3 月)
No.6 戦略計画と因果モデル―活動システム,戦略マップ,差別化システム
根来龍之(2004 年 8 月)
No.7 競争優位のアウトソーシング:<資源―活動―差別化>モデルに基づく考察
根来龍之(2004 年 12 月)
No.8 「コンテクスト」把握型情報提供サービスの分類:ユビキタス時代のビジネスモデルの探索
根来龍之・平林正宜(2005 年 3 月)
No.9 「コンテクスト」を活用した B to C 型情報提供サービスの事例研究
平林正宜(2005 年 3 月)
No.10 Collis & Montgomery の資源ベース戦略論の特徴
根来龍之・森岡孝文(2005 年 3 月)
No.11 競争優位のシステム分析:㈱スタッフサービスの組織型営業の事例
井上達彦(2005 年 4 月)
No.12 病院組織変革と情報技術の導入:洛和会ヘルスケアシステムにおける電子カルテの導入事例
具承桓・久保亮一・山下麻衣(2005 年 4 月)
No.13 半導体ビジネスの製品アーキテクチャと収入性に関する研究
井上達彦・和泉茂一(2005 年 5 月)
No.14 モバイルコマースに特徴的な消費者心理:メディアの補完性と商品知覚リスクに着目した研究
根来龍之・頼定誠(2005 年 6 月)
No.15 <模倣困難性>概念の再吟味
根来龍之(2005 年 3 月)
No.16 技術革新をきっかけとしないオーバーテーク戦略:㈱スタッフ・サービスの事例研究
根来龍之・山路嘉一(2005 年 12 月)
No.17 Cyber “Lemons” Problem and Quality-Intermediary Based on Trust in the E-Market:
A Case Study from AUCNET (Japan)
Yong Pan(2005 年 12 月)
19
根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
No.18 クスマノ&ガワーのプラットフォーム・リーダーシップ「4つのレバー」論の批判的発展
根来龍之・加藤和彦(2006 年 1 月)
No.19 Apples and Oranges: Meta-analysis as a Research Method within the Realm of IT-related
Organizational Innovation
Ryoji Ito(2006 年 4 月)
No.20 コンタクトセンター「クレーム発生率」の影響要因分析-ビジネスシステムと顧客満足の相関根来龍之・森一惠(2006 年 9 月)
No.21 模倣困難なIT活用は存在するか? :ウォルマートの事例分析を通じた検討
根来龍之・吉川徹(2007 年 3 月)
No.22 情報システムの経路依存性に関する研究 :セブン-イレブンのビジネスシステムを通じた検討
根来龍之・向正道(2007 年 8 月)
No.23 事業形態と収益率:データによる事業形態の影響力の検証
根来龍之・稲葉由貴子(2008 年 4 月)
No.24 因果連鎖と意図せざる結果:因果連鎖の網の目構造論
根来龍之(2008 年 5 月)
No.25 顧客ステージ別目的変数の総合化に基づく顧客獲得広告選択の提案
根来龍之・浅井 尚(2008 年6月)
No.26 顧客コンテンツが存在する製品」の予想余命期間の主観的決定モデルの構築
根来龍之・荒川真紀子(2008 年7月)
No.27 差別化システムの維持・革新の仕組に関する研究 -ダイナミックビジネスシステム論への展開-
根来龍之・角田仁(2009 年 6 月)
No.28 変革期のビジネスシステムの発展プロセス-松下電気産業の創生 21、躍進 21 中期計画の考察 -
向正道(2009 年 10 月)
No.29 インフォミディアリと消費者の満足
新堂精士(2009 年 12 月)
No.30 成長戦略としてのプラットフォーム間連携-Salesforce.com と Google の事例分析を通じた研究-
根来龍之・伊藤祐樹(2010 年 2 月)
No.31 ロジスティクスの情報化における競争優位の実現とその維持・強化・革新
メタシステム-差別化システム-競争優位理論の実証分析
木村達也・根来龍之・峰滝和典(2010 年 3 月)
No.32 インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況
根来龍之・大竹慎太郎(2010 年 4 月)
入手ご希望の方は下記までご連絡下さい.
連絡先:[email protected]
www.waseda.ac.jp/projects/riim/
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根来・大竹「インターネットにおけるメディア型プラットフォームサービスの WTA(Winner Take All)状況」
(2010.4)
事務局:早稲田大学大学院商学研究科
気付
169-8050 東京都新宿区西早稲田1-6-1
連絡先:[email protected]
http://www.waseda.jp/prj-riim/
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