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MR営業車の使用見直しの試行結果について
東 京 都 環 境 局 日本製薬工業協会 平成 22 年 4 月 MR営業車の使用見直しの試行結果について 1 全体の状況について 日本製薬工業協会常任理事 13 社で「環境負荷の少ない営業スタイルへの転換」を 目的に、平成 20 年 2 月から同年 7 月まで試行的に自動車使用の見直しの取組を行っ た結果は、下図のとおりであった。 % 30 25 20 15 10 5 0 -5 -10 -15 -20 A B C D E F G H J K L M N 計 台数増減率 総走行距離 増減率 平均走行距 離増減率 燃料消費量 増減率 平均燃料消 費量増減率 CO₂排出量を削減するという観点からは、総燃料消費量は前年比較で 72,608Lが 削減できた。 この燃料削減量は、CO₂の量に換算して、168.5 トン削減したことになる。これは、 日比谷公園 5 個分の面積のブナの天然林が半年間に吸収するCO₂量に相当する。 しかし、総走行距離は前年比較で 79,073 ㎞が増加した。これは、営業所の統廃合、 人員や車両の増加などの営業戦略上の要因が大きかった。 今回の試行では営業活動に影響しない範囲で取り組み、問題点を抽出するところに あったことから、営業戦略上の問題と環境対策をどう取り組むかがまさに課題であり、 その観点から試行の取組内容を検討分析した。 また、取組でほぼ目標以上に取り組めたとした営業所の割合が多かったものは「低 公害車の利用」(7 割)、「電車・バスの利用」(6 割)、「休車日の設定」及び「同一車 の相乗り」(4 割)であった。 なお、今回の取組で 20 以上の営業所がエコ意識の向上などを挙げていた。このこ とは、数値では測れない取組の効果と捉えられる。 2 燃料消費量の状況について 試行 13 社全体では、表1のとおりであった。車両数の 25 台減がなかったと仮定し てみても、58,688L の削減になり、走行距離の増加以上に燃費が改善された。 その要因は、走行距離削減やエコドライブの取組以上に、ハイブリッド車の導入が 大きいと考えられる。 表1 全 13 社合計の取組結果(燃料消費量) 車両台数 全 13 社計 3 総燃料消費量(L) 平均燃料消費量(L/台) 20 年 増減 20 年 19 年 増減 増減率 (ポイント) 20 年 19 年 増減 増減率 (ポイント) 2,393 -25 1,332,390 1,404,998 -72,608 -5.2 556.8 581.1 -24 -4.2 走行距離の状況について 試行 13 社全体では、走行距離の削減には結びつかなかったが、総量又は平均のい ずれかが削減できた会社は 9 社あった。 また、MR個々の取組を見るために、車両台数の大幅な増減等による走行距離の変 動要因が少なかった 8 社の 1 台あたりの平均走行距離では、0.5 ポイントの削減を示 した。このことは、各MRの取組の成果と捉えられる。(表 2 参照) 表2 全 13 社合計の取組結果(走行距離) 車両台数 20 年 増減 全 13 社計 2,393 -25 8 社計 1,288 32 4 総走行距離(km) 平均走行距離(km/台) 増減 増減率 (ポイント) 20 年 19 年 増減 増減率 (ポイント) 13,438,633 13,359,560 79,073 0.6 5,616 5,525 91 1.6 6,979,602 140,925 2.1 5,419 5,445 -26 -0.5 20 年 19 年 6,838,677 各取組について 多くの営業所で積極的に取り組まれた 4 つの取組概要は、次のとおりであった。 (1)電車・バスの利用 多くの営業所で取り組まれ、取り組みやすいものとして対応された。 この取組は特に、「休車日の設定」や「営業ルートの見直し」、「相乗り訪問」 とのセットでの対応が多かった。 取組事例では、全体として内勤日、会議や研修日等が多かったが、病院等の 訪問時での利用も高い評価で取組んだ営業所が約 10%あった。 公共交通利用アンケートでは、57%が週に 1 日以上利用し、44%が「移動時 間が自動車使用と比べて短縮もしくは同じ」と回答していた。 課題としては、「販促物などの荷物があること」「不便・時間ロスなどの時間 的制約」などがあった。 (2)休車日の設定 取組は、「電車・バスの利用」と同じ傾向があり、内勤日以外での取り組みは 一部で見られた。 課題としては、「休車日の予定外訪問等の対応」「外勤日の休車日設定」など があった。 (3)複数担当者が同一車に相乗り 取組事例としては、「卸・特約店訪問時の相乗り」「大学病院等への相乗り」 が多く、一部に「同一方面での相乗り」があった。 (4)低公害車の利用 更新時などにハイブリッド車にするなど、ハイブリッド車の導入が多かった。 5 追加調査について 今回の試行では、効果の上がっている取組が多々見受けられた。それらの共有を図 っていくために、取組にあたっての条件や工夫などの具体的内容を追加調査した。追 加調査の内容及び結果は次のとおりであった。 (1)各社のMR営業車におけるハイブリッド車の導入状況 13 社全体のハイブリッド車の導入状況は、表 3 のとおりであり、ハイブリッ ド車の割合が増加している。 うち 2 社では、100%の導入率であった。 表3 全 13 社合計の導入状況 21 年 全 13 社計 前年 全営業車数 うちハイブリッド車 比率 a 全営業車数 うちハイブリッド車 比率 b ハイブリッド 車割合増 (a-b) 2,956 831 28.1% 2,849 310 10.9% 17.2 ポイント (2)試行以降の取組の継続状況 11 社が、試行以降も取組を継続している。主な取組内容は、次のとおりであ った。 ・ 会議や研修などの内勤日には公共交通機関を利用する ・ 複数担当者が同一車に相乗りする ・ ハイブリッド車を導入する 6社 6社 4社 ・ その他、エコドライブ講習会の実施など 5 社が、これまでの取組以外に、新たに次のような取組を実施している。 ・ 複数で担当している病院においては、複数MRで相乗りする ・ 定期的な車両清掃に上司によるチェックを加え、余分な資材を極力積込ま ない ・ エコドライブコンテストを実施 ・ 燃費効率改善度を指標として優良ドライバーを表彰 ・ リース更新時にはハイブリッド車の導入を原則とする ・ 電気自動車の導入 (3)①電車・バスの利用、②休日車の設定、③複数の担当者が同一の車に相乗り の 各取組を行うことができた条件、工夫した点 ①電車・バスの利用について ・ 会議等の内勤日に利用した 5社 ・ 駅に近い施設のみで持参品が少ない日に利用した ・ その他 2社 1 日の訪問件数が少ない場合に利用した ②休車日の設定 ・ 会議等の内勤日に設定した ・ その他 7社 1 日の訪問件数が少ない場合に設定、休車日設定の呼びかけ ③複数の担当者が同一の車に相乗り ・ 複数で担当している施設への訪問時に実施した ・ その他 4社 特約店訪問時や同じイベントに参加する場合に相乗り、スケジュ ール等を共有化 6 まとめ MRの日常活動から自動車使用を切り離すことはできないことから、営業活動の強 化などにあたっては、環境対策と調和した新たな自動車使用が求められる。 今回の取組結果では、ハイブリッド車の導入のほか、電車・バスの利用、休車日の 設定、同一車両への相乗りなど、各社の共通的な取組により、燃料消費量や走行距離 の削減効果の上がっている取組が多々見受けられた。それらの取組に当たっての条件 や工夫した内容についてみると、各社の間で共通項が認められるとともに、試行を機 に継続して実施している取組も認められた。