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第6章 有限要素法プログラムの試用
第6章 有限要素法プログラムの試用 (FEMAP v.11.0 版, 2015.2) 6.1 有限要素法プログラムの導入 (1) 有限要素法プログラム 新たに有限要素法プログラム(ソフトウエア)の導入を計画中の方に、あるいは個人 用の有限要素法プログラムを入手したい方に、パソコンで稼動する「お試し版プログ ラム」を付録 A で紹介する。これらは、節点数の制限などはあるものの使用期限はな く、弾性応力解析はもちろん、熱伝導解析、弾塑性解析など正式版と同等の解析ができ る。バージョンアップやベンダーへの相談はできないが、有限要素法プログラムの感 触をつかむかとはでき、納得した上で正式版を購入すれば、導入の失敗もなくなるで あろう。なお、最新の仕様や対応 OS などについては、インターネットで調べたり、直 接ベンダーや代理店に問合せて頂きたい。 (2) 導入支援企業 現実に有限要素法プログラムを導入しようとしても、指導者や解析経験者がいない 企業の場合、プログラム導入時点から困難を伴うことが多い。プログラムベンダーは インストールや入力方法の指導を行うのは専門でも、企業の設計への適用に関しては 必ずしも得意ではない。その部分で障害にぶつかると、たとえそれが些細なことでも 導入が頓挫してしまう。実際、障害に足をとられて、一歩も先に進まない例も見られ る。これは惨事といっても過言でなく、導入の責任者は企業における人生を棒に振り かねない。責任を持って導入・稼動・設計への適用などを支援してくれる企業が必要で ある。付録 B に、導入支援企業などを紹介したので、必要であれば、インターネット で調べたり、直接問合せたりして頂きたい。 (3) 導入問題 6.2節、6.3節の問題は、お試し版プログラムである Femap with NX Nastran の 118 6- デモ版を使って、有限要素法計算の入門体験を行えるようにした導入問題である。 6.2 節は、有限要素法計算の一通りの手順を理解するための問題で、できる限り簡 単な入力で済ますようにしてある。プログラムの起動から形状モデルを作り、要素分 割し、拘束と荷重を入力し、応力算出とその結果表示まで一連の操作を含んでいる。 パソコンの前に座り、そっくりそのまま自分の指と目で試してみることで体験入門が できる。この問題を数回繰り返せば、プログラム操作の感覚がつかめるだろう。初め ての方にも操作ができるように書いたつもりであるが、同じように操作できずに、途 中でつまずくかもしれない。多くの場合、ツール→元に戻す で操作を前段階に戻せ るので、落ち着いて操作して頂きたい。それでもおかしければ、中断して最初からや り直したほうがよいだろう。 6.3 節は、著者の意図を込めたモデルで、理想に近い分割を行う問題である。説明 は6.2節より簡便にしているが、6.2節の問題が解ければ容易に操作できると思う。 共にボタン使用は最小限で、メニューとコマンドを使って階層構造が理解できるよ うにした。また、全般的な操作を優先しているので、個々のコマンドの説明は含めて いない。それらは上記プログラムに付属するファイルから調べて頂きたい。 6.2 節と 6.3 節における凡例と用語 メニューやコマンドなどを区別するためのアンダーラインである。 → メニューやコマンドなどの操作順序を示す。 DB ダイアログボックスの略。 = DB 内で特定の欄へデータ等の入力を意味する。 ■、● DB 内の□、○をクリックしてチェックを入れる。 □、○ DB 内の□、○をクリックしてチェックをはずす。 ID ポイント、カーブ、マテリアル、ノードなどに付く固有番号で、マ テリアル ID は材料番号、ノード ID は節点番号である。 ポイント 形状のかどの点や円弧の中心点で、節点ではない。 カーブ ライン(直線)やアーク(円弧)の総称で、直線を含むことに注意。 サーフェイス カーブで囲まれた面で、これを分割して要素ができる。 ジオメトリ ポイント、カーブ、サーフェイスなどの総称で、要素分割前の状態。 モデル ジオメトリを要素分割したもので、節点や要素で構成される。 任意 タイトルやファイル名は任意であるが、英数字を用いること。 (4) 訓練問題 第2章~第5章に計12の問題があるが、すべて300節点以下のモデルである。し 119 6- たがって、付録 A のいずれのプログラムでもトレースでき、図形表示も同様に可能 である。本章を終了したら、関心のある問題から試みて頂きたい。 6.2 引張を受ける孔あき板1 (1) 問題 問題とする構造の形状、荷重、解析領域を図 6.1 に示す。形状は、長さ 200 mm、 幅 120 mm の長方形の板で中央に円形の孔がある。形状と荷重が上下左右対称であ るため、1/4 モデルとして解析する。なお、図のポイント ID は後出の(4)で決まる。 Y 分布荷重 1000 N/mm 5 対称条件 解析領域 80 200 6 板厚 15 100 φ40 4 120 20 1 対称条件 2 X 3 40 60 ポイント ID (a) 全体構造 (b) 解析モデル 図 6.1 引張を受ける孔あき板1の問題 このモデルの特性と解析条件は次の通り。 ・材料特性:縦弾性係数 200 GPa、ポアソン比 0.3 ・要素特性:使用要素は平板要素(プレートエレメント)、板厚 15 mm ・拘束条件:X 軸上は上下対称(Y 対称、XZ 対称とも呼ぶ) Y 軸上は左右対称(X 対称、YZ 対称とも呼ぶ) ・荷重条件:板の上端部に分布荷重 1000 N/mm (1/4 モデルの範囲での荷重総量 60 kN) ・単 位:力は N、長さは mm、応力は MPa 120 6- (2) 準備 Femap のアイコンをダブルクリックすると、パソコンの画面は図 6.2 となる。 正常に立ち上がれば、 最初の画面は左のよ クリック うになる。ただし、画 面の色は青色を灰色 に変更している。 再立ち上げでは広が った操作画面となる。 図 6.2 初期画面4) 図の画面でカーソルを近づけると現れる箇所の自動的に隠すをクリックして、操作 画面を広げる。以降では、前出の凡例に従い、→の順に、 を画面上でクリック し、=で選択や入力などをしていく。 ファイル→初期設定→ジオメトリ/モデル→ジオメトリエンジン=0.Standard(図 6.3) →OK 。 図 6.3 初期設定の DB4) 121 6- (3) モデル特性 ここでは、材料特性と要素特性を入力する。 モデル→マテリアル→タイトル=任意(図 6.4 では steel)、縦弾性率=200 000、ポア ソン比=0.3 今回はこれ以外の 入力は不要。 縦弾性率は縦弾性 係数と同じ。 せん断弾性率は横 弾性係数のこと で、裏で計算され る。 図 6.4 等方性材料の定義 DB4) →OK→再び同じ BD が出て ID2 の入力が求められる→キャンセル。 モデル→プロパティ(図 6.5 *)→タイトル=任意(plate)、マテリアル=入力済み材料 の選択、厚さ T1=15 *プレートエレメントの DB でなければ、エレメント/プロパティタイプで選択 今回はこれ以外の 入力は不要。 プレートエレメン トは平板要素と同 じ。 図 6.5 プレートエレメント DB4) →OK→再び同じ BD が出て ID2 の入力が求められる→キャンセル。 122 6- (4) 形状モデル 形状を作成するためにモデルの隅の座標などを入力しポイントを作成、ポイントを つなぎラインなどを作成、最後にラインに囲まれたサーフェィスを定義する。 ジオメトリ→ポイント(図 6.6)→ DB に以下6点の X, Y, Z 座標値を順に入力し OK する(全6回繰り返し)→キャンセル。 ポイント 1 2 3 4 5 6 X 0 20 60 0 0 60 Y 0 0 0 20 100 100 Z 0 0 0 0 0 0 これらのポイントの ID と座標値は、図 6.1 に示した通りである。 ID は1から自動的 に増えて行くので、 入力の必要はない。 図 6.6 座標定義(位置)DB4) ビュー→オートスケール→全体(図 6.7) 。 余裕を持たすため、さらに ボタンを数回クリックして縮小する。次に解析領域 の周囲の4直線と、さらに円弧を作る。 これで入力データが画 面内に収まり、入力した 6点が表示される。 図 6.7 ポイント入力後の画面4) ジオメトリ→カーブ-ライン→2ポイント→画面上にて直線で結ぶ2個のポイントに順 次ポインターを近づけハイライトさせクリックすれば DB に入力される(図 6.8) →OK 123 6- ポイント ID を 知らなくても操 作できる。 図 6.8 ライン作成 DB4) →同じ DB が繰り返されるので、順次クリックし4直線を作成(図 6.9)→キャンセル。 画面上のクリックで入力 できるので、マウスのみの 手早い操作ができる。 図 6.9 ラインが完成した画面4) ジオメトリ→カーブ-アーク→中心-始点-終点(図 6.10) 図 6.10 座標定義(位置)DB4) メソッド この DB は座標入力形式である。定義済みのポイントで入力するため、メソッドを クリックしポイントを選択する(図 6.11) 。 ポイント ID を知 らなくても操作で きる。 図 6.11 座標定義(ポイント)DB4) 124 6- 円弧の中心のポイントを画面でクリック→OK→X 軸上の始点のポイントをクリック →OK→Y 軸上の終点のポイントをクリック→OK(図 6.12)→キャンセル。 カーブ-アークは入力 2点を反時計回り(左 回り)に結んで円弧を 作る。 図 6.12 カーブが完成した画面4) ジオメトリ→バウンダリサーフェイス→カーブから(図 6.13 )→全選択→OK (図 6.14)→同じ DB が出る→キャンセル。 図 6.13 カーブ選択 DB4) 全選択 形状の境界がハイライト される。 図 6.14 バウンダリの画面4) 125 6- (5) 要素分割と節点 形状モデルが完成したので、それを要素分割し、要素と節点を自動生成する。ここで 分割根拠 (1.4 節(1) ) はおいておき、要素辺長を 8 mm 以下、形状の辺を8分割以上 とすることを指示する。 メッシュ→メッシュコントロール→デフォルトサイズ (図 6.15)→要素分割情報とし て、エレメント サイズ=8 mm、最小エレメント数=8 個→OK。 図 6.15 メッシュサイズ DB4) メッシュ→ジオメトリ→サーフェイス(図 6.16 ) →選択すべきサーフェイスが1個で あるから→OK(図 6.17)→プロパティ=入力済み要素特性の選択→OK(図 6.18)。 図 6.16 サーフェイス選択 DB4) 図 6.17 オートメッシュ DB4) 126 6- 一瞬で要素分割がなされる。 メッシュは図 6.15 で入力の通 り、要素最大辺長が 8 mm で、 形状の辺の分割が最小8個で あるが、節点数、要素数は操作 の微妙な違いで変化する。 図は 150 節点、126 要素だが、 142 節点、118 要素もあった。 図 6.18 要素分割直後の画面4) (6) 付帯操作 ここは省略してもよいが、画面を見やすくするためなどの操作を少し示す。 ビュー→表示切替オプション→□ジオメトリ、□ノード→終了(図 6.19) 。 以上の操作で図 6.19 となり、要素のみの表 示ですっきりする。 図 6.19 要素分割の画面4) ビュー→オプション→エレメント、1.ID→OK(図 6.20)。 ビュー→オプション→エレメント、0.ラベルなし→OK(図 6.19) 。 127 6- 表示スタイルボタン これで図 6.20 となり、 要素番号が入る。塗り つぶされて見えない場 合、表示スタイルボタ ンでワイヤーフレーム を選択する。 図 6.20 要素番号の画面4) (7) 拘束条件 節点に対し、対称性および剛体移動防止の拘束条件を入力する。 モデル→拘束→ノード→タイトル=任意(図 6.21 では sym)→OK→ 図 6.21 拘束セット DB4) ノードを選択(図 6.22)→ 図 6.22 ノード選択 DB4) 128 6- X 軸上の 9 個の節点を拘束するため、画面上で順次ハイライトさせクリック→OK (図 6.23)→ 図 6.23 自由度の設定 DB4) X 軸上節点は Y 軸対称であるから、Y シンメトリ(図 6.24)→OK→ Y シンメトリをク リックするだけで 対応する自由度が 拘束される。 図 6.24 自由度の設定 DB4) 再び図 6.22 の DB となり、Y 軸上の 11 個の節点を対称拘束するため順次クリック→ OK→X シンメトリ(図 6.25)→OK→ X シンメトリをク リックするだけで 対応する自由度が 拘束される。 図 6.25 自由度の設定 DB4) 再び図 22 の DB となり、任意節点(ここでは右上隅)をクリック(図 6.26 )→OK→ この操作は Z 方 向への剛体移動 の防止のための 拘束である。 図 6.26 ノード選択 DB 4) 129 6- ■TZ(図 6.27)→OK→キャンセル(図 6.28)。 図 6.27 自由度の設定 DB4) 各節点に入力した拘束 条件が画面に表示され る。 図 6.28 拘束が設定された画面4) (8) 荷重条件 モデルの上端に作用する分布荷重を荷重総量で入力する。 モデル→荷重→カーブ上→タイトル=任意(図 6.29 では load)→OK→ 図 6.29 荷重セット DB4) 130 6- 上端カーブをクリック(図 6.30)→OK→ 図 6.30 カーブ選択 DB4) 力→FY=60,000(図 6.31)→OK→キャンセル(図 6.32)。 力-長さ当たりで分 布荷重 1000 を入力 しても同じ。 図 6.31 荷重設定 DB4) 上端のラインに入力し た荷重条件が画面に表 示される。 図 6.32 荷重が設定された画面4) 次は省略できるが、この操作で入力荷重を節点荷重に展開した結果が表示される。 モデル→荷重→展開/格納→OK(図 6.33)。 131 6- 荷重の展開とは、分布 荷重を節点集中荷重に 置換することである。 この操作は、省略して 次の応力解析に移って も、裏で実行される。 図 6.33 荷重を展開した画面4) (9) 応力解析 以上でモデルが完成し、応力解析に移る。 ファイル→名前を付けて保存→ファイル名=任意(図 6.34 では plate0)→保存。 ファイル名は英数字 とし、ホルダーは既存 の Data があれば、そ れを用いる。 図 6.34 名前を付けて保存 DB4) モデル→解析→新規→タイトル=任意(図 6.35 では plate-stress)→OK→終了。 132 6- モデル図の上に、 解析セットマネ ージャの DB と 解析セットの DB が重なって表示 される。 図 6.35 解析のタイトル記入 DB とその時の画面4) モデル→解析→解析実行→「結果の読込み」が出て解析完了(図 6.36) 。 データに不備があれば、 Fatal Error などのメッ セ ー ジ が 出 る 。 Show Detail でエラーを見つ けて修正するか、このデ ータを放棄して最初か らやり直す。 図 6.36 解析実行完了時の画面4) (10) 結果表示 結果を見やすくするための準備操作をしてから、変形と応力を表示する。 NX Nastran 解析モニター 早 × をクリックして画面を広げる。 133 6- ビュー→表示切替オプション→□拘束、□荷重→終了(図 6.19 と同じ)。 ビュー→セレクト→●変形、●コンター(図 6.37)、変形およびコンターデータ→ 図 6.37 ビューセレクト DB4) ポスト処理データの選択(図 6.38)→OK→OK(図 6.39)。 デフォルトで以下が表示さ れるようになっている。 変形=1.Total Translation コンター=7033 Plate Top VonMises Stress 変形もコンターもここで任 意に選択ができる。 別の解析を実行すればアウ 図 6.38 データの選択 DB 4) トプットセットが増える。 誇張された変形とミーゼス応力のコンター図が完成した。最大主応力、最小主応力、 せん断応力などを、図 6.38 のコンター枠から出力できる。コンター枠の X, Y 軸方 向応力は、本書では全体座標を示す大文字であるが、ここでは要素座標に従う値であ るので、そのままの全体表示は不適切である。 ファイル→上書き保存。 ファイル→終了。 134 6- 図 6.39 変形とミーゼス応力コンター図の画面4) 6.3 引張を受ける孔あき板2 (1) 問題 問題とする構造の形状、荷重、解析領域を 図 6.40 に示す。形状は、孔あきの長方 形板で、形状と荷重が上下左右対称であるため、1 / 4 モデルとしている。これは 6.2 節 の問題と同じであるが、ポイント ID の7~9を追加して形状を4角形(辺は直線で も曲線でもよい)の集合とし、対辺等分割で格子状の分割ができるようにした。なお、 図のポイント ID は後出の(4)で決まる。 このモデルの特性と解析条件は次の通り。 ・材料特性:縦弾性係数 200 GPa、ポアソン比 0.3 ・要素特性:使用要素は平板要素(プレートエレメント)、板厚 15 mm ・拘束条件:X 軸上は上下対称(Y 対称、XZ 対称とも呼ぶ) Y 軸上は左右対称(X 対称、YZ 対称とも呼ぶ) ・荷重条件:板の上端部に分布荷重 1000 N/mm (1/4 モデルの範囲での全荷重 60 kN) ・単 位:力は N、長さは mm、応力は MPa (2) 準備 Femap のアイコンをダブルクリックする。 135 6- Y 分布荷重 1000 N/mm 5 対称条件 解析領域 80 6 9 板厚 15 100 8 4 7 20 1 対称条件 X 2 3 40 60 ポイント ID (a) 全体構造 (b) 解析モデル 図 6.40 引張を受ける孔あき板2の問題 ファイル→初期設定→ジオメトリ/モデル→ジオメトリエンジン=0.Standard→ OK。 この操作は一度行えば省略できる。 (3) モデル特性 モデル→マテリアル→タイトル=任意、縦弾性率=200,000、ポアソン比=0.3→OK →キャンセル。 モデル→プロパティ(*)→タイトル=任意、マテリアル=入力済み材料の選択、厚さ T1 =15→OK→キャンセル。 *プレートエレメントの DB でなければ、エレメント/プロパティタイプで選択する。 (4) 形状モデル ジオメトリ→ポイント→以下9点の X, Y, Z 座標値を順に入力→OK(全9回繰り返し) →キャンセル。 ポイント 1 2 3 4 5 6 7 8 9 X 0 20 60 0 0 60 14.14 60 0 Y 0 0 0 20 100 100 14.14 50 60 Z 0 0 0 0 0 0 0 0 0 136 6- ビュー→オートスケール→全体。 必要に応じてさらに縮小する。 ジオメトリ→カーブ-ライン→2ポイント→繰り返し8直線を作成(*)→キャンセル。 *(5)の重み付き分割の始点との関係で、原点に近い3本の放射状の直線は原点側のポ イントからクリックし、他は任意にクリックし、OK する。 ジオメトリ→カーブ-アーク→中心-始点-終点→(**)→クリック(***)→キャンセル (図 6.41)。 **座標入力形式を、メソッドをクリックしポイントに変更する。 ***中心のポイント→OK→始点のポイント→OK→終点のポイント→OK、 これはアークを 2 回に分けて反時計回りにクリックする。 以上の操作で、 左図の画面とな る。 図 6.41 カーブが完成した画面4) 次にポイントのマージ処理をする。マージについては、1.4 節(2)に説明してある。 ツール→チェック→重複ポイント→全選択→OK→マージ距離=0.1→OK。 ジオメトリ→サーフェイス→エッジカーブ→面を構成する閉じた4本のカーブを反時 計回りにクリック→OK(面が格子で表示、全3回繰り返し)→キャンセル。 反時計回りは慣習で、これが要素の表裏(3.1 節(3))を決める。なお、ここではそれ による影響がない。 137 6- (5) 要素分割と節点 メッシュ→メッシュコントロール→カーブ上のサイズ→(*)→OK→エレメント数=4 →OK。 *ここでは、原点に近い3本の放射状のカーブを除く7本をクリックする。 次に重み付き分割(等比バイアス)をする。重み付き分割は 1.4 節(3) に説明してある。 再び同じ DB→(**)→OK→エレメント数=6、●等比バイアス、バイアスファクタ= 2、●始点側を小さく→OK→キャンセル。 **ここで残りのカーブ、即ち、原点に近い3本の放射状のカーブをクリックする。 メッシュ→ジオメトリ→サーフェイス→全選択→OK→プロパティ=入力済み要素特 性の選択、■ノードのマージ→OK。 ビュー→表示切替オプション→□ジオメトリ→終了(図 6.42)。 83 節点、64 要素の要素 分割が、重み付き分割 を用いて完成した。 図 6.42 要素分割の画面4) (6) 付帯操作 ビュー→オプションで、ノード ID、エレメント ID の記入など必要に応じて操作する。 塗り潰しをなくすには、表示スタイルボタンでワイヤフレームを選択する。 (7) 拘束条件 モデル→拘束→ノード→タイトル=任意→OK→ノードを選択 138 6- X 軸上の全7節点を順次クリック→OK→Y シンメトリ→OK→ Y 軸上の全 11 節点を順次クリック→OK→X シンメトリ→OK→ 剛体移動の防止のため任意節点をクリック→OK→■TZ→OK→キャンセル。 (8) 荷重条件 モデル→荷重→カーブ上→タイトル=任意→OK→上端カーブをクリック→OK→ 力→FY=60,000→OK→キャンセル。 省略可能であるが、モデル→荷重→展開/格納→OK。 (9) 応力解析 ファイル→名前を付けて保存→ファイル名=任意→保存。 モデル→解析→新規→タイトル=任意→OK→終了。 モデル→解析→解析実行。 (10) 結果表示 解析モニター 早 ×をクリックして画面を広げる。 ビュー→表示切替オプション→□ノード、□拘束、□力→終了。 ビュー→セレクト→●変形、●コンター、変形およびコンターデータ→ ポスト処理データの選択→OK→OK(図 6.43)。 ファイル→上書き保存。 ファイル→終了。 誇張された変形とミー ゼス応力のコンター図 が完成した。他の応力も ここで表示できる。 図 6.43 変形とミーゼス応力コンター図の画面4) 139 6- (11) 比較 6.2 節と 6.3 節の結果を比較すると、表 6.1のようになる。 表 6.1 引張を受ける孔あき板の結果比較 項目 引張を受ける孔あき板1 引張を受ける孔あき板2 150 142 83 要素数 126 118 64 Y 軸上(Y=100) (mm) X 軸上(X=60) (MPa) 6.3 節 節点数 最大変位 最大応力 6.2 節 0.0409 0.0409 0.0409 -0.0132 -0.0131 -0.0131 ミーゼス 節点 220.0 応力 要素 173.6 172.7 176.2 主応力 節点 227.3 225.7 227.7 要素 180.7 179.6 183.1 218.3 220.7 6.3 節は、要素分割が理想に近いので、6.2 節と比べ半分程度の節点数と要素数であ るにもかかわらず、同等以上の結果が出ている。さらに、等比バイアスのバイアスファ クタを前出の(5)で2としたが、それを3にすると、最大主応力の節点における値は 229.0 MPa となる。最大主応力の理論値は、ポアソン比やモデルの長さの影響を受け るが、約 230 MPa で、応力集中係数では約 2.3 である。節点における値はこの理論 値に近いが、要素における応力は要素の大きさの影響を受け、差が大きい。この節点応 力と要素応力については、3.4 節(7)で解説している。なお、ここで応力集中係数は、最 小断面の平均応力 100 MPa に対応する値である。 分割数、分割パターン、バイアスファクタ、使用要素、解析領域などをさまざまに変 化させて、最大応力、最大変位、節点数、要素数などを比較して頂きたい。これらの蓄 積が適正な結果を得るためのノウハウとなっていくだろう。 なお、細かいことにこだわらず、これらの分割の最小寸法で構造全体を要素分割し て解析しても、同様の結果が得られる。そのようにすることを否定するものではない が、この解析を通して応力の変化が大きい部分に密な要素分割が必要な有限要素法の 特徴を知っておくことは有意義である。 140 6-