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資料3 - 経済産業省

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資料3 - 経済産業省
資料3
第4回今後の住宅産業のあり方に関する研究会議事録(案)
1.日時等
日時:平成19年10月3日(水)10:00~12:00
場所:経済産業省本館2階2西8共用会議室
2.出席者(五十音順、敬称略)
委員長
山崎
福寿
上智大学経済学部
教授
委員
上田
勉
パナホーム株式会社
代表取締役社長
大野
直竹
大和ハウス工業株式会社
代表取締役副社長(濱代理)
岡本
利明
旭化成ホームズ株式会社
取締役会長
勝股美代子
株式会社日本メディア
加藤
社団法人インテリア産業協会
知成
常任顧問
会長
(カリモク家具販売株式会社
坂本
洋司
消費生活アドバイザー
代表取締役会長)
社団法人日本ドゥ・イット・ユアセルフ協会
(アークランドサカモト株式会社
代表取締役会長)
佐藤
春夫
ミサワホーム株式会社
取締役専務執行役員
東郷
逸郎
積水化学工業株式会社
専務取締役
長嶋
修
株式会社さくら事務所
取締役会長
住宅カンパニープレジデント
長谷川恵一
株式会社三菱総合研究所
松村
秀一
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻
和田
勇
積水ハウス株式会社
執行役員・経営管理部長
教授
代表取締役社長(久保田
(事務局)
細野
哲弘
製造産業局長
羽藤
秀雄
大臣官房審議官(製造産業局担当)
喜多見淳一
会長
製造産業局住宅産業窯業建材課長
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代理)
廣瀬
毅
製造産業局住宅産業窯業建材課企画官
3.議事
(1)長期対策WGの検討状況
(2)住宅産業フロンティア創造WGの設置及び検討状況
(3)WGの検討を踏まえた論点
(4)その他
4.議事内容
配布資料の確認後、議事に入った。
○第3回今後の住宅産業のあり方に関する研究会の議事録の確認について、事務○長期対策
WGの検討状況について
長期対策WG久保田座長より資料4に基づき説明。その後、討議を行い、委員及び事務局
の発言は以下の通り。
<長期対策WGの説明に対する質疑>
○濱代理
資料4の3ぺージの「長期点検システム」のところですけれども、これは、
長期点検の目的が、劣化の診断からずっと4番まで書かれていますけれども、今後の長期
使用というところで、やはり環境問題は切っても切れないような気がいたします。建物を
つくって壊すという CO 2排出源の削減もそうですけれども、長く住み継いでいただくた
めには、高効率の給湯器にしても必要だと思いますので、環境意識向上という観点から、
例えば省エネ診断とかランニングコストの削減診断といいますか、データをとっておれば、
ことし1年間使って来年になると、昨年はこれぐらい電気代を使っていますよと、例えば
もう少し室内の温湿度を調整すればあと3%ぐらいはランニングコストが削減できるので
はないかというような提言も、この目的の中に組み込まれたらどうかなと、意見として思
います。
○久保田長期使用対策WG座長
資料4の冒頭1ぺージに書いてございます「今後は建
てては壊すから」という部分がございますが、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドどこ
ろか、ビルド・アンド・スクラップになっているという短期使用そのもの、産業廃棄物問
題等があって環境をないがしろにしている。その辺が最も根本的な部分でございまして、
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それは、扉の部分で触れておりますが、まずそこから取り組んでいく。
そして、今おっしゃっていただいたとおり、新築あるいはリフォームにつきましても、
当然のことながら省エネ対策というのは各社とも行政とともに取り組むべきだ思っており
ます。
○勝股委員
同じ3ぺージでございます。3.住宅資産情報の役割について、この辺の
情報の出し方については、具体的にどう固めていくのか、消費者の意見をどのように入れ
ていくのかということが欠かせないことだと思いますので、ぜひご検討いただきたいと思
います。
○久保田長期使用対策WG座長
この報告書にも、まず随所に「消費者」という言葉が
ありますが、これは、果たして住宅が消費部材かどうかということで、我々は本来的には
「お施主さん」あるいは「入居者」と呼ぶべきかと思います。それで、住宅に消費税がか
かるのは日本だけではないかと思います。固定資産税で十分、まずは固定資産ですね。そ
の辺の考えを我々業界自体がまずもたなければいけないことが一点かと思います。
それと、顧客情報につきましては、これは、建てた後、我々も売り上げが上がったとい
うことですが、実際にはお客様にとってはそこからが使用開始ですね。だから、そこから
が大事です。
ですから、その方がメンテナンスされた、あるいはいろいろな手直しをされたときに、
その情報が残っているかどうかという部分、その辺の履歴情報、それによって後々フォロ
ーできるという部分、それからもう一点は、消費者といいますかお客様への啓蒙ですけれ
ども、要するに医療と一緒で、予防医療にお金は使わない、病気してしまったらお金がか
かっても仕方がないという考え、これは住宅の部分にもございます。だから、早めの予防
医療でもって住宅を長期使用化するという、そういった部分が私どもが申し上げているい
わゆる啓蒙活動でございます。
○勝股委員
今のご意見にもう一言、今までの消費者――消費者といっていいのかどう
かといったご意見もございましたが・・。やはりこれまでは、建てた後はだんだん住みつ
ぶしていくという感覚ですから、そこで発想の転換を図っていくような業界の新たな働き
かけがかなり強く行われないと感覚的にもなかなか納得できないのではないでしょうか。、
そこにかなり重点を置くべきだと感じられます。
○松村委員
1ぺージ目の図は、恐らくこれから何度も使われるだろうと思いますけれ
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ども、そういう観点でみた場合に、一つは、縦軸は資産価値ということになっていますけ
れども、もちろん資産価値も重要ですけれども、一方で利用価値という側面がないと、長
期使用という使用対策ですから、資産価値がどうかということもあるし、利用価値として
どうしていくかということはあるだろうというのが一つ。それから同じページの真ん中の
3.に、ストックの資産価値あるいは今の意見を入れると利用価値も含めて向上というこ
とがありますが、そうすると、一番下にあるライフサイクルコストの低減というのは書か
ない方がいいのではないかと思います。つまりライフサイクルコストが全部低減していく
ということは、産業はしぼんでいくということですから、むしろ利用価値を高めるために、
つまり価値を高めるために投資をするということは、もっと誘導されることがあって当然
なわけで、何もかもコストが下がっていくというのでは、産業としては話にならないと思
いますね。
そういう意味で、3.は、いろいろな投資をすることを含んでいることですから、そう
なるとライフサイクルコストの低減というのがこんなに大きく書かれてしまうと、つまり
価値が向上しないならばライフサイクルコストは低減するかもしれないけれども、価値の
向上というのは、この 100年の間にどんどん投資が入ってくるとすると、「ライフサイク
ルコストの低減」をこんなにはっきり書いてしまうと、何かやる気が出てこないというこ
とがあるのではないかなという気がいたします。
○久保田長期使用対策WG座長
実は、「ライフサイクルコストの低減」というとちょ
っと大げさになってしまいますが、例えばの話、戸車一つが、それはもうつくっていませ
んということで別注になったりサッシごとかえなければいけないとか、そういったケース
がライフサイクルコストをいたずらに高くしているということですので、その辺について
もっと賢く各社が対応すれば商売にもなりますし、それと、お客様に対してむだな出費あ
るいは捨てなくてよいものまで捨てなければいけないといった部分が大きく削減されます
から、そういった部分で書かせていただいていることでございます。この業界におります
ので、決してしりつぼみにしようとも思っておりません。頑張っていきます。
○山崎委員長
松村委員がおっしゃったことで、「利用価値を大切にしなければいけな
い」ということですけれども、基本的に将来の利用価値を今まで非常に無視していたとこ
ろがあって、将来世代や売却後に使う人たちの利用価値を評価するマーケットが全然なか
ったということが、この資産価値と密接に結びついているというふうに経済学的には理解
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できると思いますけれども、そういう意味で非常に重要なご指摘だったと思います。
○加藤委員
②賢い暮らし方という中で、ファニシングの流通の問題がやはりあるだろ
うと思います。これにつきましても、年をとれば体が変わってきますし、また趣味も変わ
ってくるということもありますので、やはりこれも流通させるようなリユースといいます
か、そういうような文言を一言でも入れていただけるとありがたいな思っております。
○久保田長期使用対策WG座長
ここに書かれています住宅の長期使用というのは、お
一人の方が使用するとは限りませんよね。ですから、先ほど松村様よりお話がありました
ように、利用価値というのは、その方には利用価値がなくなっても次の新しい家族構成の
違った方が利用する場合利用価値があるわけで、そのためにも資産価値は減らさないとい
うことですね。
○加藤委員
つけ加えていただきたいということです。
○久保田長期使用対策WG座長
わかりました。その辺についてはあわせて委員の方に
報告します。
○坂本委員
私どもはDIY関係ですが、今こうやってお話を聞いておりますと、大変
レベルの高い話ばかりでございまして、今ちょっと悩んでいたわけですが、今最後に、10
ぺージのところにも「DIY業界における長期使用に向けての提言」というのもあります
が、これを読ませていただきまして、業界の動向について、また次回にでもお話をさせて
いただきたいと考えております。
○佐藤委員
先ほど部品の共通化の中で、みえない部分を中心にという文章がどこかに
あったと思います。それと7ぺージに、各ハウスメーカーの、例えばクレセントデザイン
の差別化などで妥協点を見いだせるかと、まあ同じようなことだと思いますが、みえない
ところというのは当然やるべきだと思いますが、ある面ではみえるところも一定期間でメ
ンテナンスが必要なものについては、ある程度踏み込んでやるべき部品も多いのかなと。
だから、そこぐらいまで拡大しないと、共通というのは余り成果が出ないのかなという、
そんな感じがしたのですが、いかがでございましょうか。
○久保田長期使用対策WG座長
今おっしゃったのは、恐らく資料4の6ぺージの3.
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だと思います。「みえる部分」というのは、もちろん一番で書いてございまして、みえる
部分にはみんな目がいきますが、以外とみえない部分も当然のことながらということです。
○東郷委員
今まで我々は余り考えてこなかったことですが、長く住み続けていただく
ために場所の問題といいましょうか、地球環境ではなくて狭い意味の環境、住み続けても
らうためにはどうしても場所の要素というのは欠かせないのではないかと最近考えており
ますが、そういう議論はなかったでしょうか。
○久保田長期使用対策WG座長
○東郷委員
場所というのは、建築地ですか。
はい。いわゆる環境がいいところですね。
○久保田長期使用対策WG座長
従前我々住宅屋として考えていましたのは、高齢化さ
れると田舎に引っ込んで環境のいいところでと思っていましたら逆で、最近は高齢の方が、
医療その他生活の利便性等の問題でむしろ都心のマンションにという傾向があります。だ
から、結局専門家の判断よりも市場が教えてくれるという部分が多いかと思います。
ですから、従前働き盛りの方がちょっと郊外にお建てになった、それを国としても例え
ば借り上げてこれから子育てする方に貸すということを借り上げ機構が推進したりしてい
ますけれども、建築地によってどこをどう利用するかというのは消費者の方々のそれぞれ
の思いがございますから、その辺についてはこれからも一般のお客様に教えられながらと
いう部分があるかと思います。
○長嶋委員
的外れでしたら申しわけないのですが、これはそもそもハウスメーカーさ
んとしては、あるいは今ここに参加している皆さんとしてはこういうふうにやるという話
で、現実的には世の中にはパワービルダーとか地元の工務店みたいなところで供給してい
る物件の方が圧倒的に多いわけですけれども、ここでいっているのは、今回はどのぐらい
のくくりのイメージなのか……。
○久保田長期使用対策WG座長
おっしゃるとおりですね。こうして協議に加わってお
られる方々もそういう形になりますね。ただ、そのときに、これは口幅ったい言い方です
けれども、1ぺージ目に書かれていますような、建てて10年か15年もったらいいからイニ
シャルコストを思い切り安くという住宅の提供が今もってかなり多いという事実がござい
ます。その辺を、行政サイドからも、本当の意味で長期的に使った方が国家的損失がない
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という部分にまで、法律的なもの、あるいは税制の問題、それから業界の指導、そういっ
たものも含めて、これはとりあえず緒についたばかりかもしれませんが、進めていくべき
だということでスタートしておるところでございます。
ですから、今もおっしゃったパワービルダー等で本当にお客様にとって長くお使いいた
だけるものを良心的に提供している業者さんばかりならいいのですが、そうでない方が現
状ではまだマジョリティーではないかというのが、この長期使用対策の趣旨だと理解して
おります。
○山崎委員長
それでは次に、住宅産業フロンティア創造WGの松村座長からご説明を
お願いしたいと思います。恐れ入りますが、同じく15分程度でよろしくお願いいたします。
●住宅産業フロンテイア創造WG松村座長から資料5について説明を行った。その後、討議
を行い、委員及び事務局発言以下の通り。
<フロンテイアWGの説明に対する質疑>
今のご説明に関しまして追加すべき論点とかご意見等がございましたらご自由にお願い
したいと思います。岡本委員どうぞ。
○岡本委員
松村先生のいわれた以上に、各住宅メーカーはそれに悩んでいるのではな
いかなと私は思います。政府がいい始めた「 200年住宅」というのは、多分そういう構造
転換も含めて要求しているのではないかなと思います。
いわれるとおりですが、我々がいつも壁を感じるのは、ハコをつくる、組み立てるとい
うところは国交省です。コンポーネントである部材のところの問題は経産省です。これを
資産として活用して老後の問題を何とかしようと思ったら、これは財務省です。それから
非常に大事なハコの中、その場の中で生活する人間の心理とか成長とか健康を考えるのは
厚労省です。あるいは環境省になってくる。
すると、全部その境界のところに、例えば資産価値を上げようと思うと、例えばこの資
産はどういう価値があるのだろうかという場合、インスペクターとかアメリカにあるよう
な制度がないと、そこのところはなかなか動かないですね。
それから健康問題について、我々各社一生懸命、大学とタイアップしたり自分たちで相
当大きな研究費用を出してやっていると思いますが、例えばエアコンをずっと入れっ放し
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で育てた子ども、赤ん坊、1歳のときから幼稚園へ行くぐらいの間ずっとエアコンを入れ
ていた子どもと、外の空気に触れさせた子どもの差というのは、いろいろ医学会で発表に
なっていますし、我々も独自にいろいろな調査をやっています。
この辺の問題、つくり方の問題、経産省が管轄されているエアコンの問題、エアコンが
今のエアコンでいいのかという議論となってくると、みんなどこかの省にまたがる問題が
必ず入ってきているというのが現実です。
このフロンティア問題で、私、最初ちょっと失礼な言い方をしましたけれども、そこの
ところを国として何かお考えいただく、中のところはみんな大体やっているけれども、境
界のところにいろいろな意味で新しい価値、産業として、あるいは世界に役に立つ部分が
あるのではないかなと思いますので、その辺の議論は内部であったのかどうか。
○松村住宅産業フロンティア創造WG座長
内部ではなかったですね。ですから、まさ
におっしゃるとおりで、お話を伺っていてそう思いましたけれども、これは、例えば他の
業種との連携云々というようなこと一つとっても、多分具体論の展開の中で議論されると
きに、今おっしゃっていた管轄している省庁が違うというようなことは確かに問題になる
というか、一つの難しい面を含んでくるということは、今十分理解いたしましたので、ぜ
ひまた持ち帰って議論したいと思います。
○岡本委員
違う論点ですが、我々日本で住設メーカーなどと一緒にいろいろなことを
やっています。先ほどクレセントの話がありましたけれども、私、先日IHAという世界
の住宅協会の集まりが中国であって、その大会に行ってきましたけれども、やはり中国も
本当に大きな問題を住生活で抱えています。ヨーロッパのアルバニアの人も来ていました
けれども、そこでも抱えています。
私は、たまたま立場上講演みたいなことをやりましたが、いろいろな質問を受けました。
やはり各国とも、家をつくるということで出てきてほしいという気持ちはないけれども、
コンポーネントでこういうものはないのかと、例えばヒートポンプの話をしたら非常に興
味をもたれます。ヒートポンプというのは、エネルギーが小さくて温水と冷房ができると
いう点では、よりパッシブというか自然エネルギーに近いという意味で非常に興味をもた
れる。それから地熱も興味をもたれる。
それから、本当はまだ十分研究されていませんが、床から少しずつ空気を流しながら、
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従来の物理学でいう、いろいろな機能を利用して体感としての温度、だからエネルギーは
小さくていいという、そういう技術の話をいろいろしましたが、コンポーネントだったら
すぐ入れられるし、これは世界に貢献できるという点では、コンポーネントをコンパクト
にまとめて世界に技術として出す、あるいは商品として出すというのは、住設メーカーな
り我々がタイアップして一緒にやればできる大きな世界貢献であると同時に日本の産業の
成長にもなるのではないかと感じましたので、コンポーネントの議論もぜひやっていただ
きたいなというが私の希望です。以上です。
○松村住宅産業フロンティア創造WG座長
○勝股委員
わかりました。
唐突で恐縮ですが日本は高温多湿、昔から住まい方にはさぞ苦労してきた
ことでしょう。かなり古い話を持ち出します。『徒然草』です。
「家のつくりは夏をもってむねとすべし、冬はいかなるところも住まる」「暑きころわ
ろき住まい
たえがたきことなり」との兼好法師、いまに通ずるものと思います。
こうした点からみると、現代はエネルギーを使って涼しくするのが当然ですが、ハコそ
のものや内部の部材、仕組みを自然と共生できるような形で生かした夏を基準に創る家を
海外にもおおいにアッピールしていければと思います。例えば竹やイグサといった日本古
来の素材を使って成果を挙げる可能性を追求するなどです。最近、開口部がとても小さな
家・・、これは防犯上の問題なのでしょうか、こうした家を見かけますが、ほとんど開口
部分のない家が出てきて、これはアロマティックな家ということで、高級イメージのネー
ミングは魅力的です・・。一方ではこうしたエネルギー依存の暮らし方も進んでいること
を考えますと、これからの住宅作りの基本姿勢を明確にしておくことが求められるように
思えてなりません。
○長谷川委員
ちょっと観点を変えさせていただいて、検討に付加すべき論点というこ
とで考えていますが、先ほどの久保田委員のご説明にもあったのですが、物だけではない
という意味で「住宅システム」と仮にいうとすると、今後長期的に、その情報をいかに取
り扱うのかというのは非常に重要な論点だと思っています。
先ほどのお話の中にも、例えば家に関する情報を、「家歴」というような表現もありま
したが、きちんとどこかがもっていかないといけない。これは先ほどのお話では住宅メー
カーさんがまずもつというようなことでしたが、それに付帯する、実際に住まい手の方が
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残すべき情報といったようなものも幾つかあるということ。
あるいはもうちょっとドラスティックにいいますと、今部材一つ一つの情報に関して、
家一軒建てるのに2万とか部材があるわけですが、その部材一つ一つに、例えばICタグ
をつけてIP V6で管理をする、情報をずっと恒久的に管理するといったようなことが技
術的には可能になっています。もちろんコストの問題等ございますけれども、そのような
ことも含めて、どのようにして情報を管理するのかといったような産業分野、産業領域と
いうのが住宅に絡んであるのだろうと。
そのはしりとしてあるとすれば、今「住宅性能評価」といっていますが、これはまさに
2万点の部品の集合体である住宅の評価を十数ポイントの観点から評価をすることをやろ
うとしている、そういう情報サービス事業だと思いますが、こういった事業は今後も幾つ
か出てくるのではないか。
先ほど松村先生がおっしゃった「利用価値」という観点でいいますと、その利用価値を
示すサービス産業というのが当然にありますし、現状これに類するものがあるとすれば、
「何LDK」とか、先ほどの環境のお話でいえば「駅徒歩何分」というような情報のスキ
ームがあるわけですが、これは余り役に立たない。一部役に立ちますが、もうすべては役
に立たないという状況になっている。そうしたものをつくっていく産業もあるだろうとい
うことを一つ思います。
そういった観点と、もう一つこれに絡んで考えますのは、こうした情報をずっともって
いくことを考えると、この基盤となるインフラをだれがどのような形でもっていくのかと
いうことをどこかで考えないといけない。例えば部材の情報、先ほどどなたかおっしゃっ
ていましたが、例えば部材をどの程度メーカーの方がもっておられるのか、さらにいえば
その情報をどれだけメーカーの方がもっておられるのか、「 200年住宅」というお話があ
りますが、 200年間企業が存続をしてきちんとそれをもっていっていただけるのかという
ようなことを考えると、この場合はリファレンス情報でよろしいと思いますが、基盤とな
るものをだれがどのようにして持ち続けるのかということも一つ考えておかないといけな
いというようなことを考えます。
○細野製造産業局長
事務局が話をすることは余り期待されていないと思いますが、い
ろいろお話を伺っておりまして一言だけ申し上げたいと思います。
松村先生のご報告にもありましたし、それから岡本さんがいわれた話に関連して、確か
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に各省にまたがる話がたくさんあることは事実だろうと思います。先ほどいわれた3つ、
4つの役所のほかに、先ほどのお子さんの教育みたいな話、あるいはしつけ方の話にも関
係するとすれば文科省だって関係あるでしょうし、そういう意味では非常にたくさんの省
庁が関連するような領域の話をどれぐらいコンプリヘンシブに議論するかということだろ
うと思います。
余り確定的なことを申し上げるつもりはありませんけれども、人が住み生活していく空
間の重要な要素としての住宅の話ですから、それだけの膨らみをもつことはある意味当然
だと思いますけれども、申し上げたいことは、各省それぞれ施策がありましていろいろな
ことをやっておられますけれども、ここの住宅研究会で議論していただいているようなス
ペックで非常にワイドなレンジで話ができているところは、ひょっとするとほかにないか
もしれないということが一つ。もう一つは、最近役所も随分変わってきておりまして、
「とにかく俺のところに入ってくるな」というような話は昔はよくありましたが、最近は
そういうことを少し悔い改めるという風潮が霞が関にも広まっております。
というのは昔、通産省といった時代から、もともとうち固有の話だけで完結する話は少
ないものですから、どちらかというと提言型の行政のスタイルでやっておりまして、長い
間いじめっ子みたいな役割を果たしていたわけでありますが、最近は、遅いかもしれませ
んけれども、漸くにして言われる側も内心「そうも言ってられないよな」という気運が広
まってきております。ここでいろいろ出てきた話は、当然うちのスコープをはみ出るとこ
ろは多々あると思いますが、どんどんサーブを打ち込むというような観点でいろいろなこ
とをおっしゃっていただく、その場として使っていただくぐらいの感じで自由闊達にやっ
ていただければと思います。
重要な話で、特に税制の話とか非常に重たい対応を必要とすることもあると思いますけ
れども、これも大きな流れとして必要だと思えば他省も無視できないようにだんだんなっ
ていくと思いますので、そういった観点でも、このメンバーでは全部完結しないことを認
識の上、そうだからといって余りヘッジテートしないでどんどん提案をしていきますので、
よろしくお願い申し上げたいと思います。ちょっと補足でございます。
○山崎委員長
大変エンカレッディングなお話で勇気づけられた気がいたします。
松村委員が提案されている中に、私は、「ハコ物とほかの産業との連携を図る」という
のは非常に重要なことだと思っております。例えばここに出てきている介護サービスだけ
ではなくて子育ての育児施設だとか託児所だとか幼稚園、そういうことが、働き方や住み
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方がかなり変わってきて、特に女性の働き方が随分変わってきておりますので、育て方や
住まい方も随分変わるのではないかと考えております。
それでは、これまでのご意見を踏まえまして、またWGで引き続き検討していただきた
いと思います。
○事務局から資料6について説明を行った。その後、討議を行い、委員及び事務局発言は
以下の通り。
●事務局説明に対する質疑
○羽藤製造産業局審議官
事務局からといいましょうか、私も7月に着任しまして勉
強させていただいているので、きょうのご議論の中でも既に出ておる点でもあると思いま
すが、次に申し上げるような3つの視点が非常に大事ではないかということをこれからご
議論をいただくについて、あえて申し上げたいと思います。
まず1つは、先ほど「ハコ」の産業からということでご説明が松村先生からございまし
たけれども、これは恐らくほかのいろいろな産業にもみられる共通の現象として、ハード
とソフト、あるいはハードとサービスが融合してきているという中での産業構造論の大き
な議論に実はつながっているのではないかと思います。
例えば携帯の音楽プレイヤーについてのビジネスモデルで、「日本のメーカーが必ずし
も成功しなくてアップルが成功したのはなぜか」というようなことがいわれたりすること
があるわけですけれども、要するにハードのもつ価値、そしてその上でどういったサービ
スやソフトが提供されていくのかということを、こういう場で議論をしていただくという
ことは、とりもなおさず住宅メーカーサイド、ハードメーカーサイドがある程度イニシア
チブをとりながら新しいビジネスモデルにつなげていただきたい、そういうことが非常に
重要ではないかと改めて思うわけであります。
先ほど省庁間の話もございましたけれども、それはいろいろな広がりがありますから、
ここで自由闊達にご議論をいただいて、私どもとしてはこういう場で皆さんと一緒に考え
させていただきたいと思っています。
それから2つ目の視点ですけれども、先ほど「資産価値と利用価値」というお話があり
まして、非常に大事な点について触れられたと思います。実はこの話は、もちろん産業界
の話ではありますけれども、居住者なり消費者が一体何に投資をして、どの程度コストを
払うのか。その払う投資とかコストについてもっと投資してもらってコストをかけてもら
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おうではないかという話にしていかないとおもしろくないということなのだと思います。
ちょっと誤解を招く表現かもしれませんけれども、もちろんそのためには、その前提と
してその適正なる価値の評価の軸は一体あるのかとか、あるいはそういった便益について
どうやって評価をするのかといった議論があるのだと思います。結局供給サイドからみて
どういった投資、あるいはどういったコストがかかるという視点に加えて、居住者が払う、
あるいは投資をする、コストをかけるということでの価値の部分を、この住宅産業サイド
のサプライサイドからうまくリードをしながら議論を組み立てていただく、いろいろな意
味で呼び込む、つくりだしていく、そういう議論になっていくのではないかと思います。
それから3点目ですけれども、乱暴な言い方になりますが、情報は握り込む方が一番強
くなるというところがあると思います。つまり住まい手のニーズであるとかメンテナンス
だとか、もちろんイニシャルコストにかかわるスケルトンだとか、そういうことについて、
これからメンテナンスあるいはサービスということでの情報をどういうシステムの中でつ
くり上げていくのかということは、これまでいろいろなご努力をされておられるメーカー
もあるというのも承知していますけれども、この情報を握り込む方が強いので、ぜひそこ
は住宅産業サイドのメーカーでうまくそういう仕組みをつくりながらビジネスを展開して
いただきたいなと思います。
ただ、そのとき気をつけなければいけないのは、何が何でも競争をしながら、自分たち
で独自に握り込んでいくということになると限界もありますし、それは過剰なコストにな
りかねないので、そのときのポイントは、恐らく競争と協調、そして競争するときに一体
どの部分で競争をし、あるいは競争しないのは何かと。情報をいろいろな形で集約をした
りする上でも、共通のインフラなり共通化するのは一体どういうものか、その上で差別的
なものをどう競争するか、その競争するところと、あるいは協調するところを、こういう
議論の中でどのように整理していただくのかというのが非常に大事ではないかと思ってい
ます。協調するところには、恐らく政府がサポートするというところは前面に出てもいい
のだと思います。
今も申しましたように「ハードとソフト」、それから「資産価値、利用価値」、「競争と
協調」、キーワード的に申し上げるわけでありますけれども、そういうことを、今までの
議論の中でも恐らく繰り返されてきたことだと思いますけれども、これからご議論いただ
く上で改めて強調させていただく次第です。
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○上田委員
パナホームの上田ですけれども、資料6の11ぺージで、住宅建設費が19兆
円ということで、特に居住関連とか生活サービス関連、リフォームの市場が非常に大きい
ということとか、あるいはお客様の不満ということで、先ほど国土交通省の資料が出てい
ましたけれども、高齢者への配慮の問題とか、住宅の防犯の問題とか冷暖房の費用負担な
ど省エネルギーへの対応ということで、建てるときはお客様も一生懸命住宅の比較をされ
ますけれども、それから住み続けるというときに、ライフスタイルは5年、10年、15年た
ってくると当然変わってくるので、例えばユニバーサルデザインとか防犯、省エネルギー、
冷暖房ということについての情報、パソコンのときは「情報リテラシー」という言葉があ
りましたけれども、業界として住宅リテラシーの向上というものを図っていく、そういう
ことがこれから非常に大事になってくるのではないかと思います。
そのことが、先ほどいわれましたハードとソフトの融合という中で一体となって価値を
どのように上げていくのかということにつながってくるのではないかという感じがしてい
ます。
話をちょっと戻しまして住宅のフロンティアというところで、結局高温多湿というのが
日本の住宅環境で、他国へ行けばいろいろな環境がありますけれども、特に日本の耐震と
いうのは、世界の住宅の中でも非常に大きなウエイトを占めていて、それから建築基準法
でも日本は非常に厳しいということになっていて、例えば中国では、ベトナムでは、タイ
では、インドではというふうにいくと、そこは電気協会みたいな基準などは決まっていな
くて、基準とか基本というものを統一していく、あるいは規格を決めていくということが、
これから結構大きな要素になってくるのではないかと、そのように今お聞きしながら思っ
ていまして、そういうところでどのように取り組んでいけるかというのは、これからの大
きなポイントではないかと思っています。
以上です。
○濱代理
今、視点というところでずっと拝見させていただきましたけれども、確か
にサプライチェーンの問題、マネジメントであるとかというのは非常に強調するところで、
実際のところは、我々住宅メーカーとしたら、きっと各社思われていると思いますけれど
も、何かどこかの形で一緒にサプライチェーンをやっていけば、部品の共通化、長期使用、
コストダウンというのはつながっていくと思います。
そういう観点では、この視点というのは、今後これからもっともっと検討していくべき
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だと思いますけれども、少し気になっておりますのは、資料6の9ぺージの、住宅産業の
広がりというところで、確かにおっしゃるとおり我々住宅を扱っているメーカーとすれば、
こういう広がりがあるのは事実ですけれども、やはり時代の流れからみて、どれもこれも
実は重要なものばかりですけれども、長期使用という観点からフロンティアという目線を
みて、先ほどの審議官のハード・ソフト、すべてを網羅しますので、自分が一番感じるの
は健康ではないかと思います。
ですから、独居老人であるとか高齢者だけの住まいの場合は、自分の健康が一番大事で
あって、資産価値の高い住宅をもっておってもやはり健康ということから考えると、先ほ
どの話ではないけれども、都心にマンションを買って比較的至便なところで暮らそうと。
この至便というのはいろいろな観点がありますけれども、医療機関というのはものすごい
大きなウエイトを占めていると感じております。ですから、大学病院であるとか公共病院
と電子カルテ的なもの、これまた厚労省との絡みになるかもしれませんが、そういうもの
と住宅のソフトとハードがうまく組み合えばもっと広がり、そこから付随してくる広がり
が随分たくさん出てくるのではないかと思います。
今ちょっとお聞きしていて、我々も実はそういうところの課題をどのように克服してい
くかというのはこれからの研究課題ではありますけれども、そういう論点からの検討も少
しもんでみてはどうかなと思います。
○山崎委員長
そうですね。医療費を削減しなければいけないので、入院患者数を減ら
すというのが基本的なスタンスになっているわけですね。ですから、医療関係の人に聞く
と、特に寒冷地ではお年寄りは冬場になると入院してしまう、冬場は入院患者がふえると
いうデータがあるそうです。それは、住宅のつくり方にも一つ原因があって、暖房費など
を節約したいということがあるのだろうと思います。一方で、保険でカバーされているの
で、それでお年寄りは入院させてしまえという配慮があるのだろうと思いますけれども、
恐らくそれは、そういうことを財政的に許さなくなってきていますので、お年寄りたちが
自宅で快適に過ごせるようなビジネスというのは潜在的にかなりあるのだろうと思います
ね。
○濱代理
そういう異業種、異文化の健康サービスといいますか、その視点でいくと、
結構フロンティア施策の一つにはなるのではないかと感じますけれどもね。
○山崎委員長
そうですね。
それからアカデミックな観点から、8ぺージで、サプライチェーンのモデルは自動車産
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業に使う例がマネジメントの世界などでよくみますけれども、自動車産業と住宅産業は非
常に似ていて、耐久性もあるし家計支出の比較的高いものの中に自動車があるわけですが、
自動車産業については中古車等の売買は実際にかなり行われていますし、特に日本の自動
車産業はかなりパフォーマンスはいいのではないかと思います。それと比較して、日本の
住宅産業がどうしてうまくいかないのか、特に中古住宅市場でうまく取り引きがないとい
うことは、自動車産業と比較すると非常におもしろいのではないかという気がいたします。
○長嶋委員
羽藤審議官の話は、全くそのとおりだなと思ってお聞きしていましたけれ
ども、ハードとソフトの組み合わせのことでいいますと、私は不動産投資勉強会というの
をやっていますけれども、主に個人、昔からやっている大家さんみたいな人たちが多いの
ですが、ああいう人たちは、今、空室問題でとても悩んでいます。その中で、とてもおも
しろいくくりでソフトを提供するということをやっていまして、今ここでいうと長くなり
ますから省略しますけれども、そんなことが世の中に出ていくとますますおもしろくなる
のかなと思っています。ソフトは、割と賃貸住宅経営のところで先進的に出てくるのかな
と思っています。
あと、うちはインスペクションで建物調査、築10年、20年の家にたくさんお伺いします
けれども、どんなにいい家をつくっても、それを買った人たち、生活者の人たちがその価
値をみすみす毀損してしまっているというか、もうちょっとメンテナンスをしたり点検し
たりということをやっておいてくれればあと10年、20年もったのになというもったいない
ケースがいっぱいあります。
これでは、生活者のわがままにこたえるみたいになっていますけれども、購入者、生活
者のわがままにこたえ過ぎてしまうと、業界人はいい仕事ができないみたいなところもあ
ると思いますので、その教育的な視点が入っているといいのかなと思いました。
あとは、最後ですけれども、購入者、生活者の人たちは、結局インセンティブがないと
動かないです。経済的な資産性がどうだろうみたいなところで、例えばデータが整備され
ているとか、あるいは部材が共通化されているものについては、例えば買うときにはもっ
と金利優遇がされるとか、あるいはノンリコースローンが使えるとか、あるいは買って住
んだ後にはリバースモーゲージが使えるとか、何か金融、融資みたいなところと結びつく
ような方向性が入っていると、購入者というのは結局そういうところだと思っています。
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○山崎委員長
金融ビジネスと他の連携というのは非常に重要ですね。長嶋委員のご指
摘は全くそのとおりだと思います。信託法が変わってビジネスチャンスがものすごく出て
きたと皆さんおっしゃっていますが、リバースモーゲージを含めて……
○岡本委員
前回の信託業法では我々はできません。私のところは、リバースモーゲー
ジというかリムーブやっていますから信託をやりたいのですが、信託をやる準備をして随
分金融庁とやりましたけれども、ハードルが高くてできませんね。今のいわゆる信託業法
の改正では無理ですね。
○山崎委員長
○岡本委員
そうですか。
アメリカで、中古がなぜあれだけいくかというと、まず信託化が簡単です。
ですから、中古を預かってそれをどのように処理したり活用するかというのを業者が自由
にできます。ところが、今の業法からいきますと信託銀行しかできないです。ところが信
託銀行は 5,000万や1億円のものは扱いません。大体3億円以上じゃないと、あの大きな
コンピューターシステムを動かしてやりますから大変ですね。
それから、小さな 5,000万の家を預かっても、それを管理できないし、それを評価する
人が信託銀行にはいません。そこまで人材をもっていません。住宅メーカー、あるいは不
動産会社にはたくさんいます。だから、信託業法を変えてハードルを低くして、例えば供
託制度でも何でいいと思いますが、個人のものを割と簡単に供託で、いわゆる信託で扱え
るようにしたら、多分中古の流通は一挙にあるレベルに行くのではないかと思います。
これが一つのハードルで、我々はまだ福田さんが首相になる前に、この辺が問題ですよ
ということを一生懸命いって、金融庁の方もある程度わかっていて、今度改正されるかも
しれませんが、前回の業法ではできませんでした。だから、ほとんど異業種から入ってい
ないでしょう。
○山崎委員長
ただ、すごく注目されていて、法律の先生方は画期的だと、私は聞きま
したけれども。
○岡本委員
結局最初のうたい文句はそうでした。しかし、実際に出して、インターネ
ットで意見を求める、そういう段階になって意見を求められましたけれども、実際の意見
とはほど遠いところに線が引かれたんです。ですから、我々はある意味では出ることがで
きませんでした。異業種から出られたのは多分2、3社だと思います。結局信託銀行さん
の範囲内で、金融庁さんのいろいろな思惑もあるのでしょうけれども、これは……。
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だから、そこを下げてもらえば、中古は相当行きやすくなると思いますけれどもね。
○山崎委員長
先ほど松村委員がお出しくださった資料の5―3は非常に興味深いと思
ったのですが……。
○喜多見住宅産業窯業建材課長
資料5―3でございますけれども、これは、フロンティ
ア創造WGの議論の素材として事務局の方で、一番下にある参考資料を総合して、左の方
に社会変化を置いて、それからライフスタイルニーズの変化、それからさらに細かい住生
活のニーズを書きました。それに対応するための技術シーズがこれだけあるということで、
あるいはこれから開発していくものもありますけれども、ある意味、これが今後の住宅産
業のポテンシャルでもあるし、日本の住宅産業の強みにもなり得るのではないかと、こう
いう資料でございます。
○久保田長期使用対策WG座長
先ほど松村先生もそういうつもりでおっしゃっていた
のでしょうけれども、「ハコ」といいましても、先ほどの審議官の話ですけれども、それ
こそハードとソフトのソフトの方ですね。我々は家を売っているというよりも「幸せを売
っている」という部分での自負心が、最近はどうも我々自身の中に欠けてきているように
思います。それと、使命感といいますか、日本の企業、私どももそうだったのですが、い
ろいろな意味で企業不祥事が起きるその背景に、日本の経営陣そのものの仕事に対する使
命感のなさから、自分のところの株価を気にする、あるいは自分のところの業績を気にす
る、よそとの対比を気にする。そういった方向ばかりみていてお客様の方に目が行ってい
ないという一番大事な部分が欠けて、いろいろな失敗をしでかしているという部分がござ
いますので、もう一遍使命感をもって、我々がお客様によい家を提供するんだという本当
の使命感をもてば、おっしゃるような夢も何もかももう一遍売れると思います。
それと、先ほど局長がおっしゃった話ですけれども、経済産業省、昔の通産省、失礼で
すが、「Notorious MITI(悪名高き通産省)」といわれた。これは世界市場を席巻されたか
ら、敵国といいますか外国がいった話であって、日本国民のために大いなる意味で日本と
して売り込んで世界市場を席巻したわけですよね。ところが日本人というのは、「日本
人」ということに対する誇りがないですから、外国にいわれたらそのままあの部署は悪者
だみたいな受けとめ方をする。これが今の日本の民意、民のレベルだと思います。
その辺のところを、我々日本人として、あるいは住宅屋としての誇りをもう一遍取り戻
せば、先ほどおっしゃっているハードとソフトの融合だとか、それと本当に自分たちが何
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をしなければいけないかとか、その辺がみえてくるように思います。
それと、先ほど岡本委員がおっしゃたように、現場では何省からどういう規制を受けて
いるなどという意識は全くないです。もう少し私どもはもたなければいけないかもしれな
いですけれども、現場では日々いろいろな意味で追われていて、手かせ足かせがあるとか、
こういった部分があるからということは正直にいって余りもっておりません。それだけつ
け加えたいと思います。
○山崎委員長
○松村委員
それはすばらしいことですね。松村委員いかがでしょうか。
意見というか感想ですけれども、住宅産業フロンティア創造WGですが、
恐らく昔だと、住宅産業を産業としてつくっていかないと国民全体が共通にもっているニ
ーズにこたえられない、産業と国民ニーズという、「ハウス55」のあたりなどは典型的
にそういう時代ですけれども、今ここで検討している時期というのは、それぞれの企業が
この先どうしようかということを考えている。一方で、国民のニーズはもちろんあります
けれども、共通にこれをみんなでやってくれよというようなことでもなかったり、つまり
はっきりしにくいわけですね。ですから、こういう検討の結果をどのような形でまとめて
いけばいいのかというのを、多少考えなければいけないと思います。
余りにも具体的なものになると、ある特定の企業しかできないようなものにもなるでし
ょうし、余りにも抽象的だと何を検討していたのかということにもなりますし、それから
個々の企業で検討できることをここでやる必要もないということもあったりして、その辺、
若干悩ましいところですけれども、今後WGの中で、何か政策と結びつくようなものもあ
るでしょうし、単に産業のビジョンとして示す形になる部分もあると思いますけれども、
その辺のアウトプットをにらみながら絞り込む必要があると思っています。
○細野製造産業局長
Notorious MITIというのは、ほめ言葉だと思っておりますので、
何ともありませんけれども、要するに先ほども出ましたように、「ハコ」というかどうか
は別にして、もとから「幸せを売る」というような発想でやってこられているのだろうと
思います。急にそういうふうになれとか、足りなかったというわけではないと思いますけ
れども、やはり時代の要請というのがどんどん変わりますから、したがってそれにあわせ
ていろいろ濃淡をつけていただいたらいいと思います。
それから、先ほどいったつもりですけれども、ちょっと言葉足らずのところがあったか
もしれないのは、いろいろレンジを広くとっていろいろな議論をすることはいいことです
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けれども、松村先生がおっしゃったように、ではその中でどれをどういう順序でやってい
くかというところの、そういうのも非常に重要です。
それで、経済産業省が担えないところもたくさんありますけれども、それを他省にもっ
ていって、あなたやりなさいよ、別にうちが自分の手柄にしたくてやるわけではないので
あなたの手柄にしてやりなさいよといっても、向こうは多分不愉快だと思います。不愉快
だと思うけれども、しょうがないな、これはやらないといけないなと思うのは何ゆえかと
いうと、それは、おまえにいわれたくないという話は別とすれば、やはり世の中はそうい
うふうに向かっているなという実態が説得力をもっていえれば、それは無視できないとい
う意味で多分実現の可能性は高いということだと思います。
したがって、とりもなおさずいろいろな角度から検討していただいて、当面この点をこ
ういう順番でこうしましょうよとか、長期的にはあわせてこういうこともしましょうよと
いうような話を、相手にわかりやすくというか、もともと聞きたくない人もいるかもしれ
ないので、そういう人に、無視できないような言い方でいかに語っていくかということが
重要だと思います。その中の要素は、先ほど羽藤君がいったような要素でいろいろ整理を
したらいいと思います。
○山崎委員長
それでは時間がなくなってきましたので、本日の議論を踏まえて今後の
検討を深めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上で本日予定の議事は終了いたしました。最後に今後の進め方について、事務局から
お願いいたします。
<今後の日程について>
事務局より次回の研究会は11月下旬から12月上旬の開催で日程調整を行う旨、説明。
以上
<了>
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