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特集:左官仕事の幅を拡げるために ★
インタビュー
施工技術の多能化で顧客のニーズに応える
有限会社原田左官工業所 代表取締役社長 原田 宗亮 さんに聞く
他店にはない斬新なデザインで顧客を呼びたい店舗改
修において自由度の高い左官仕上げに注目が集まってい
る。また、住宅市場では新築が伸び悩む一方、リフォーム・リ
ニューアル市場が堅調な伸びを示しており、そうした中で
自分らしい住まいを求めるニーズが高まり、左官仕上げが
選択肢の一つになってきている。
本稿では、住宅から店舗に至るまで幅広く施工を手掛け
る㈲原田左官工業所代表取締役社長の原田宗亮氏を訪ね、
店舗やリニューアル市場における左官の多能工化について
お話を伺った。
(編集部)
仕事を得る機会が増える
―店舗を中心に幅広く施工をされていますね
うちでは店舗工事の割合が多いのですが、実は店舗の仕
事で左官仕事の割合は少ないのです。多くはブロックやタ
イルを組み合わせた複合的な施工になります。
当社では大まかに分けて左官部門とタイル部門に分かれ
ています。左官部門は左官工事の他にブロック工事と防水
工事を担当し、タイル部門はタイル工事の他にブロック工
事と防水工事も担当しています。タイル部門を分けた理由
としては、最近の流行りでもある 600 角や 800 角といった
タイルの大判化に伴い、より専門的な技術が必要になった
ということです。ただ、タイル施工にはモルタルも塗ります
ので、材料を捏ねたり、調合したりするのは左官が得意とし
ています。ですから、部門を超えて当社では職人が作業を手
伝うようにしています。
―多能工化の利点についてはいかがですか
様々な施工ができるということは、施主や元請けにとっ
て工事を依頼しやすいということです。それと、施工単価を
しっかりと取れることも利点の一つです。
防水工事や床下地工事は要求される性能を確保する必要
があるので、施工単価を下げられることが少ないように感
じます。それに比べて左官の仕上げ工事は、工事全体で見る
と最後に行うため、全ての皺寄せを仕上げ工事が負うこと
が多いのです。それは工期であったり、コストであったりす
るのですが、多能工化により一つの現場を全て請け負うこ
とで施工単価をしっかり取ることが出来ます。また、一般
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No.480 2016 年 8 月号
▲「左官仕上げが選ばれるチャンスが増えたと思います」と語る原田社長
的に普及しているジョリパットの仕上げについても業界内
で施工単価の目安がありますが、それよりも施工単価を下
げないために独自の意匠仕上げを提案できるようになれば
競争にはならないので、
単価を叩かれることはないと思いま
す。
また、色んな施工ができるということは、仕事を依頼され
る機会が必然的に増えるということです。タイル張り現場
ではタイルの施工をしていない会社が呼ばれることはあり
ません。それに町家の左官仕事はしっかりと納まりを知っ
ていなければ仕事になりません。ですから、技術的な幅があ
る方が会社としても有利です。同じ会社内でも様々なこと
に興味が出てきて、左官の職人でもタイルを覚えたいとい
う人が出てきましたし、社内で部門分けをしていますが、非
常に緩いチーム分けとなっているので、職人個人でも様々
な技術を身に付けることができるようになっています。
一つの現場で様々な施工ができる会社が必要になる
―塗り床や防水施工はいかがでしょうか
塗り床の工事は、一般的にローラー仕上げで塗装工が行
うイメージが強いのですが、最近では厚塗りの塗り床材も
多く、鏝をつかう機会が増えましたので、実は左官向けで
チャンスなのではないかと思います。また、店舗や厨房など
の施工ではブロックで厨房区画を仕切って防水し、左官で
埋め戻して塗り床やタイルを施工するなど一つの現場で複
数の工事を行います。一つの現場を押えてしまうほうが、管
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