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ロイヤルパーク汐留タワー

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ロイヤルパーク汐留タワー
東京都環境局発行
都内事業所における
賢い節電 & 省エネ対策
事例レポート( 2011 年夏)
KEYWORD
宿泊施設(ホテル)
、テナントの取り組み
2011 夏の使用最大電力(kW)を平日で前年比約 25%削減
、普段からの取り組みの継続
(土日では前年比約 15% 削減)
利用客の快適性に配慮したきめ細やかな照明対策
日常業務で実施する「節電点検表」
毎朝の会議で実績確認
くりに欠かせないハロゲン球をどうするか考えどころ
こうした具体的な指示は効果が高い。
「震災前には
だ。可能な限り LED に交換したが、お客様に配慮して
関心がなかった社員も、カーテンを閉める無駄な照明
交換しなかった場所もある。
を消すという呼びかけに、すぐ応えてくれました」と
例えば宴会場横のエレベーターホールでは、披露宴
石井氏は言う。
の後、ここで記念写真を撮影するお客様が多く、蛍光管
に変えると顔色が悪く写るのであえて交換しなかった。
従前の取り組みを継続
毎日の節電チェックリストを使い
やるべきことを具体化
15%以上削減に成功
ロイヤルパーク汐留タワー
施設管理担当支配人
石井均 氏
事業所名
所在地
主用途
延床面積
階数
竣工年月
事業者・所有者
運営者 ・ 設計者
ロイヤルパーク汐留タワー
東京都港区東新橋 1-6-3
宿泊施設(ホテル)
(入居部)31,042m2
(入居階)地下 4 ∼ 1 階 地上 24 ∼ 38 階
2003 年 7 月
株式会社ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ
(運営)株式会社ロイヤルパーク汐留タワー
(設計)鹿島建設株式会社
ビル管理・ビルマネジメント会社
鹿島建物総合管理株式会社
URL
www.rps-tower.co.jp/index.php
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当初、エレベーター内の天井にある照明も消灯した
が、女性のお客様から暗いという苦情があり明るくし
た。ホテルの場合、宿泊客の快適さを損なう節電は難
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しく、さらなる工夫が必要になる。
しかし宿泊客のいない客室は徹底して節電すること
ができる。客室はカードキーを差し込んでいないと、
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やるべきことを詳細に書いた行動チェックリスト(抜粋)
照明は消灯、空調機も止まる仕組みになっており、も
よる夏場の電力増の影響が少ないうえに、震災前に外
ともと電気の無駄遣いは少ない。加えてデジタルテレ
調機へのインバーターの導入が終わり効果も期待でき
ビ入替えに合わせて、宿泊客用に客室に設置したパソ
るので、震災後の節電対策はもっぱら照明を対象に進
コンを 6 割撤去し、テレビは待機電力を0にするため、
められた。
客室が使用されていないときに電源が切れる回路に切
ロイヤルパーク汐留タワーが入居している汐留タ
具体的には廊下の照明を半分以下に間引き、客室ド
り替えた。この対策で不在・未使用客室関係の使用電
社員の節電意識を高めるためには、実績を具体的に
ワーは、都環境確保条例・CO2 削減義務制度における
ア横の装飾灯を消灯、廊下の絵画を照らすスポットラ
力は 40% 削減できた。
見せること、つまり見える化が欠かせない。
「準トップレベル事業所」に認定された省エネビルだ。
イトも極力消灯した。暗い廊下になったが、ロイヤル
石井氏は、削減が見込める場所と方法、削減電力量
地域冷暖房を利用しているため
空調関係での削減効果は少なく
照明の間引きを中心に節電対策に取り組む
汐留タワーにはロイヤルパークホテル汐留タワーと
パーク汐留タワーの施設管理担当支配人石井均氏は、
資生堂が入居している。どちらも環境意識が高く節電
「常連のお客様は暗くなったと思われるでしょうが、初
にも積極的に取り組んでいる企業である。ビル側も空
めてのお客様には違和感なく使っていただいておりま
調ポンプ、空調機へのインバーターの設置をはじめと
す」と話す。
照明のオンオフ、カーテンの開け閉めなど
日常業務の中でできる節電行動リストを作り
毎日、チェックすることで行動を徹底
毎朝の会議で前日の使用量と節電実績を発表
年間の費用対効果を数値化し
社員のモチベーションを高める
、1 カ月、1 年継続したときに
(kWh)と電気料金(円)
どれだけになるか費用対効果を一覧にして、効果を具体
的な数字でまとめ、社員の自主的な行動を促した。社員
もそれに応え自主的に照明を切ることができる場所は切
した設備改修を行ってきたことで、省エネ体質のビル
従業員に対しては、事務所での不要な照明は消灯。
るなど、もっと節電しましょうという提案もあった。
が実現した。
客室の清掃や宴会の準備の際には、カーテンを開け外
毎朝の会議では、前日の使用電力量の実績データを
その成果により、東京電力との契約は汐留タワーの
光で作業を行うようにした。こうした対策を徹底する
開示して、前年比でどれだけ削減できたかという評価
ビルの一括契約で 2003 年のビル竣工当時、2,400kW
には、社員の意識づけが鍵になると石井氏は考え、何
を行い、社員が効果を実感できる工夫をしている。
であった契約電力を 2012 年 2 月には 2,150kW、4
をすればいいのか具体的な行動を一覧にしたチェック
石井氏は、こうした節電の活動を進めるなか社員の
月には 2,050kW に変更することができた。
リストを作成することにした。
意識もずいぶん変わったと感じている。
同ビルを管理する鹿島建物総合管理株式会社山田
内容は、昼食時は照明、PC を節電したか、日差し
例えば、節電のため部屋の空調を止めて扇風機を使
孝次氏は、
「すでに省エネ対策が進んでいるうえ、お
が強い時、カーテンを閉めたのかなど、日中にするべ
う対策もあるだろうが、広い部屋ならまだしも、小さ
きこと、終業時にすること、それぞれ 5 項目(全 10
な部屋で多くの扇風機を回したのではかえって電力消
項目)の具体的な指示が、15 あるセクションそれぞ
費を増やしてしまうということを、社員自身が気づく
れの業務内容にあわせて作成されている。現場の担当
ようになり、有効な節電対策を進めることができるよ
者は該当項目に○(できた)×(できなかった)を記
うになった。
入し提出。総支配人、管理支配人がチェックした。
今後も継続して節電対策を進めるつもりだが、一方
また、消灯する照明のスイッチには青のシール、消し
で社員にそろそろ 節電疲れ が見えてきたと石井氏
てはいけない照明には赤のシールを貼り、無駄に点灯し
は心配する。今後はいかにモチベーションを維持でき
ている照明があれば、社員がすぐに消せる工夫をした。
る仕組みを作れるかが課題になるだろう。
客様の快適さを考慮しなければならないホテルの節電
は困難」と考えていたが、実際には、2011 年 7 月・
照明を間引きする前の客室廊下(左側)と間引きした後の廊下(右側)
。
照明の間引き後、かなり暗くなったが宿泊客から苦情は寄せられなかった。
8 月の使用電力実績では、15% 削減した場合の目標
値 765kW を上回った日はなく、25% 削減の目標値
(675kW)を設定したとしても、数日、上回ったのみ。
山田氏はオーナー側の事前の省エネ対策とテナント側
ホテルの利用客に配慮した照明の節電
客室内のテレビは待機電力を0にするため
未使用時に電源が切れる回路に切替
の節電への運用と努力が実を結んだ結果と考える。
汐留タワーは地域冷暖房を利用しているため空調に
ホテルでは、消費電力は高いが暖かい光で雰囲気づ
都内事業所における賢い節電&省エネ対策 事例レポート(2011 年夏)| No. 19
東京都環境局 2012.03
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