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資料3―1 - 経済産業省

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資料3―1 - 経済産業省
資料3―1
基本的な問題意識と検討論点
平成20年2月5日
1.現状認識
(1) IT利活用 : 生活やビジネスの現場における質的変化の遅れ
PC やインターネットなどの普及に伴い、IT 利活用の量の拡大は実現し、ITも量
から質を問われる時代になった。しかし、その質を国際的に比較してみると、IT投
資の生産性や電子政府の利便性など、生活やビジネスの現場での実感を伴う変
化に十分につながっていない。
インターネットの世帯普及率とITを巡る社会的話題の変遷
電子商取 引普及 施策
(実証実験等)
本格的な制度整備
(電子契約法、ISP法、電子署名法、
電気通信事業法規制緩和等)
(万人)
10,000
FOMA本格普及開始
フィッシング詐欺
9,000
電子タグ
MSブラスター
Winny
8,000
7,000
デジタルエコノミー
オープンソース
6,000
44.0
37.1
5,000
i-Mode
60.6
3,000
2,000
1,000
0
9.2
1,155
1997
2,706
1,694
プ
般へ
ロか ら 一
1998
1999
62.3
2000
個人
ット
やネ浸 透
ル
メ ー グの
電 子ッ ピ ン
ショ
7,730
7,948
、
の充実
動 (HP
の 浸透
企業活
へ
)
等
ネッ ト の
活用
など
取引 の
の IT化
電子商
自 動 車 もIT が 浸 透
りに
も の作
2001
2002
70.0
60.0
5,593
4,708
13.4
68.5
54.5
6,942
21.4
iPod, YouTube
セカンドライフ
80.0
EDY,SUICA
Web2.0
ブログ、SNS
SOX法
66.8
4,000
インターネットの
本格的普及
利活用の 質が
問われる ステー ジへ
電子タグ標準化・普及
電子政府構築等IT活用促進施策
2003
2004
からの
8,529
情
信
報発
50.0
(%)
40.0
8,754
の最
IT 投 資
適化
30.0
20.0
る
ード す
IT 化 をリ ビ スモ デ ル
ー
サ
な
新た
2005
2006
10.0
0.0
(2) IT産業 : グローバルな競争の変化への対応
市場の急速なグローバル化に対し、我が国IT企業の多くは、今ある国内の市
場への対応に追われ、従来型の商品・サービスの展開からの脱却や競争構造の
変化への対応が遅れている。その結果、国際競争力も相対的に低下しつつあり、
新たな製品・サービスの面でも、外国企業に囲い込まれつつある。
1
ITを巡るパラダイムの変化
レントの発生源
各社独自
各社独自仕様
仕様
アプリケーション
&コンテンツ
ソ フトウ ェア
面
成
・ 自社独自のOS
サービス
優秀なアプリ/コンテンツが使いた
いから、ハード/OSを決める。
・自社独自のアプリ
・自社によるサービス
コンテンツ
事実上不可分
レ
の
源
アプリケーション
OS
事実上マイクロ
ソフト一人勝ち
(ハード、ソフトト一体となっ
たビジネス)
情報家電等
LINUX
等の登場
多種多様な情報
機器
密接不可 分
ハ ードウ ェア
ハ ードウ ェア
組込OS
Dos-V、MACなどが群雄割拠。
価格は叩き合い
企業毎の独自のアーキテク
チャと独自の製品
色々な試みが
進捗中
インテル/マイクロプロセッサ
オープンソースソフト
技術
の構
&
技術
ン ト
発生
各社共通
各社共通仕様
仕様
ネットを通じた効率
的なソフトウエアの
提供(SaaSなど)
デジタルコンバージェンス
ネットワーク全体を
あたかも一つの
コンピュータのよう
に動かす技術
(グリッド、仮装化)
(注)ワード、エクセル、インターネットエクスプローラ など
オフィスから
どこで もコン
ピューティング
計算センター
からオフィスへ
ITバラダイム
の変化
∼1980
1981∼2000頃
汎用大型機の時代
=IBMの時代
新規開拓 市場の
リーダ
?
2000頃∼
PC&PCネットワークの時代
=Wintel の時代
マイクロ ソフ ト、 インテ ル、
サン、オ ラクル、シ スコな ど
IBM、富士通、日 立、
NEC,“BU NCH”な ど
2010頃∼
多様な機器がネットワーク接続
され情報処理を行う時代
?
グー グル、アッ プル、サム ソン、
Salsfor ce、 FO N、任天 堂など
?
(3) 社会基盤:消費者からの発信の強化と嗜好の多様化、情報量の爆発的増大
ITインフラの普及に伴い、情報流通量の爆発的増大が進みつつある。また、ブ
ログなどを通じた消費者からの発信の急拡大、「もの」から「こと」への消費文化の
多様化など、市場自身も急速にその性格を変えつつある。我が国企業は、なかな
か、こうした変化を産業競争力の強化や生活の充実に活かしきれていない。
情報量の爆発的増加
世界情報産出量(テラバイト)
2002年
媒体
紙
下限値
上限値
上限値
の増加
率
下限値
1,634
327
1,200
240
36%
うち新聞
138
28
124
25
11%
マイクロフィルム
420,254
7,669
431,690
58,209
-3%
5,187,130
3,416,230
2,779,760
2,073,760
87%
103
51
81
29
27%
5,609,121
3,416,608
3,212,731
2,132,238
74.5%
磁気ディスク
光ディスク
2002 3.4∼5.6
エクサバイト
1999∼2000年
上限値
計
媒体
テレビ
2002年
上限値
68,955
下限値
39,841
(注)テレビは流通量。1時間当たり
1.3ギガバイト∼2.25ギガバイト
で換算。
(出所)UC Berkeley. (2003). How much information 2003.
(http://www.sims.berkeley.edu/research/projects/how-much-info2003/execsum.htm#summary).
(注)上限値は世界で産出される情報が全てそのまま電子情報として格納され
た場合の容量として表示、下限値はその情報がデータ圧縮された場合の容量と
して表示。
2
(4) 公的分野 : ITによる公的課題への貢献不足
中小企業の生産性にせよ、公的サービスの利便性にせよ、ITの利活用により
その水準を更に向上させる余地は多く残されている。地球温暖化問題の解決など
社会的な課題に対しても、ITは、更に多くの貢献の余地が残る。
3
2.基本的な問題意識
IT利活用による成長力・社会力の強化と、IT産業の競争力強化は、本来、「車
の両輪」。その「両輪」の間の「つながり」の弱さが、IT利活用とIT産業競争力の双
方のカイゼン・強化にとって、今後、ますます重要な鍵を握るのではないか。
多様化しつつある消費者からの発信や膨大化しつつある情報量をはじめ、未だ、
「見える化」されず、有効に活用されていない情報資産は多い。これらを、ITを通じ
て、我が国企業の誇る強い現場力や技術力と的確につなぎ直すことにより、ユー
ザニーズを起点とした我が国経済の成長力・競争力強化及び我が国の社会力向
上を目指すべきではないか。
(1)
ビジネスの「つながり力」
:ITによる情報資産の「見える化」とバリューチェーン全体の再構築
○ ユーザ側の期待を顕在化させ、我が国企業の優れた技術シーズや現場力と
最適な形でつなぎ直せば、IT利活用とIT産業の競争力強化は、更なる好
循環を起こすはずではないか。
○ その実現のためには、シーズ開発とユーザの期待を直接繋げる機会や、異
分野間の知の融合を積極的に促す機会を拡大しつつ、生産から流通・販売、
アフターケア・リサイクルまでバリューチェーン全体を、鍵となる情報資産の
可視化とその生産性向上を起点に、つなぎ直す作業が必要ではないか。
(2)
商品の「つながり力」
:デジタルによる変化とアナログな原点の融合による商品力の再生
○ 自動車、家電、産業機械や金融、物流など様々な分野で浸透しつつあるデ
ジタル化・ネットワーク化は、従来提供してきた製品・サービスに対し抜本的
な変化を促しているのではないか。
○ 我が国製品・サービスは、デジタル化によって得られる新たな強みと、安全・
高信頼など我が国本来のアナログな強みとを積極的に結びつけ直すことに
より、その商品力の再生・強化を更に促すことができるのではないか。
(3)
社会基盤の「つながり力」
:ユーザからの発信や情報量の爆発的増大を、有効かつ的確に活
用できるネットビジネス環境の整備とその信頼性確保
4
○ ITインフラの普及に伴い、消費者からの情報発信や情報流通量の爆発的
増大が進みつつあるが、我が国においては、それらが新たな価値や富の獲
得に十分活かされていないのではないか。
○ 大量の情報を個人が的確に活用するために必要な信頼性の高い社会イン
フラ・サービスはまだ不足しているのではないか。また、知的財産、個人情報
等情報資産に係る制度の運用が、大量の情報を的確かつ適正に活用する
ための実情に必ずしも適合していないのではないか。
IT による公的インフラの充実
(4)
:ITによる公的基盤形成・社会的課題のへの貢献
○ 中小・小規模企業の再生や公的サービスの質的向上など、ITが果たすべき
社会的役割は、まだ多く残されているのではないか。
○ 地球温暖化をはじめとした環境問題や、製品安全問題など、多くの社会的
課題に対しても、ITは更に多くの貢献をなしうるのではないか。
ITに よ る 成長 力・ 競争 力の 強化 、社 会力 の向 上
(IT投資の生産性向上、新サービスの市場化、電子行政サービスの充実など)
− 消費者 からの 発信の 活用力
− 爆発す る情報 量への 対応力
− 中小企 業底上 げ、電 子行政
− 環境、 安全、コミュニティ活性化
強
りの 環 バリューチェーン・
が
製品・サービスの商品力の再生 な 好 循
サービス全般の再構築
つ と
化
新たな技術単体では付加価値が 生めない時代。
使い手の嗜好、潜在的ニーズ を活かせる
企業の個性や企業間関係の作り方 が新 たな付加価値の源泉に。
デ ジタルによる変化と
ITによる情報資産の可視化と
その生産性向上
アナログな着想の融合
デジタル 化
原点回帰
見える化
グローバ ルな商 品競争 力
柔軟化
ビジネス のつな がり力
IT産業
IT産 業 の 競争 力
(信頼性の提供、高い人材力の提供、サービスへの戦略的移行など)
5
消費者自らの 情報発 信も積 極化。膨 大な 情報量の 使い こなしが 課題 に
ITによる公的基盤形成・
社会的課題への貢献促進
トータルなビ ジネ スプロセ スの競 争力の 強化が 課題に
情報活用のためのネットビジネ
ス環境の整備とその信頼性確保
消 費 者 か ら の 発 信 の 強 化 ・ 情 報 量 の 爆発 的 増 大
消費者 の嗜好 は﹁もの﹂ か ら﹁こと﹂ へと変化・多 様 化。
グ ロ ー バ ル な 競 争 の激 化 と 変 化
商品 力に加 え、 ﹁開 発 ﹂ か ら ﹁ リサイ クル ﹂まで
ITユー ザ
3. 検討論点
(1)
IT による成長力・競争力強化、共生力の向上
① IT による社会・産業の「つながり力」の強化 (IT成長・革新強化)
i)
ITによる成長力・革新力強化にむけ、「見える化」による企業等の強み
の認識と活用を促すべく、何から取り組むべきか?
ii)
マーケティング、開発、生産、流通、物流・決済、アフターケア・リサイク
ル等様々な視点からグローバルなバリューチェーンの再構築を加速
するため必要な共通の土台とは何か?
iii)
統合的なツールの整備によって様々な事業者が共有できる情報シス
テム基盤を整備するなど、IT 投資の選択と集中に向け何から取り組ん
でいくべきか?
iv)
中小企業や農商工連携など裾野の広い「つながり」の実現に向け必
要な方策は何か?
② IT による新たな商品・サービスの創出 (オープン・イノベーション)
i)
先進的な IT により、グローバルに市場をリードできるような新たなサー
ビス・コンテンツ、ビジネスモデルを生み出し、雇用機会の拡大やイノ
ベーションサイクルの活性化に繋げていくためには、何に取り組んで
いくことが必要か?
ii)
「消費者の気づき」と「開発者のシーズ」を直接的につなげるような機
会や、異分野・異企業の知の融合を促す機会をITによって積極的に
創出することによって、オープンなイノベーションサイクル作りに更に貢
献していくことができないか?
③
官の IT 化と民の IT 化の連携強化 (IT共生力強化)
i)
官の IT 化と民の IT 化の連携、つながりを強化してくことによって、電子
行政サービスの充実、地域等コミュニティの再生を更に促すことができ
ないか。
ii)
また、IT化を契機として、パブリックサポートサービスや官民連携した
ビジネスの市場拡大を加速化できないか?
6
(2)
IT に対する信頼性の強化
① ネットビジネス環境の信頼性強化
○
匿名性の高いサイバー空間において、爆発的増大を続ける情報やユ
ーザからの発信を、消費者が安心して商品やサービスの選択に活用し、
事業者が安心して様々なビジネスモデルを試せるような、信頼性の高
いネットビジネス環境を作るには、何から取り組むべきか?
② 情報システムの信頼性強化
○
相次ぐシステム障害に対する的確な未然の対応強化と、ややもすれば
相互不信に陥りがちなベンダ・ユーザ間の信頼関係の再構築を進めて
いくためには、何から取り組んでいくべきか?
(3) IT による環境問題等への貢献
○
IT自身の省エネに加え、ITによる省エネも視野に入れ、業種別ではな
く、 ITという取組別の新たな切り口から、ITによる社会貢献を可視化、
加速化できないか?
(4) 我が国ITビジネスのアジア・グローバル展開
○
成長著しい中国をはじめとするアジアなど、我が国発のITビジネスを世
界的に拡大し、我が国をIT利活用とIT産業競争力強化の好循環の起
点としていくためには、何から取り組んでいくべきか?
7
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