...

その1 - 岡山大学 工学部

by user

on
Category: Documents
4

views

Report

Comments

Transcript

その1 - 岡山大学 工学部
2013/11/06
岡山情報通信技術研究会
放送とデータ通信の融合による
新しい映像配信サービスの可能性
岡山大学大学院自然科学研究科
産業創成工学専攻 助教
後藤 佑介
2013/11/06
略歴
現在33歳.
 学歴

2005.3 岡山大学工学部情報工学科卒業
 2007.3 京都大学大学院情報学研究科修士課程修了
 2009.3 京都大学大学院情報学研究科博士後期課程修了
博士(情報学)


職歴

2009.4 岡山大学大学院自然科学研究科助教,現在に至る
この間,
2011.4-2012.6 日本学術振興会海外特別研究員
(豪メルボルン・ラトローブ大学)
 2011.4-2012.11 豪・ラトローブ大学客員研究員

2
2013/11/06
内容
1. 研究紹介
1.1 概説
1.2 放送とデータ通信の融合技術に関する研究
(1) 連続メディアデータの分割放送型配信
(2) 選択型コンテンツの放送型配信
(3) 放送通信融合環境におけるデータ配信
(4) 近距離放送型配信
(5) 没入型コンテンツの放送型配信システム
2. まとめと今後の予定
3
2013/11/06
背景

放送通信融合サービスの台頭




日本:アクトビラ
米国:Google TV
欧州:YouView (英国),コネクテッドTV (ドイツ)
ユーザ主導の多様なコンテンツ利用環境が提供
 映像コンテンツを利用した
視聴者参加型の双方向サービス
 過去に放送した番組をコンテンツ化
して再視聴可能なサービス
インターネットを介して,非常に多くの
コンテンツを配信する必要がある!
4
2013/11/06
これまでの放送と通信の関係

放送と通信のサービスは独立していた.
情報通信審議会 情報通信政策部会
新事業創出戦略委員会及び研究開発戦略委員会 基本戦略ボード第3回資料
「2015年のライフスタイルを変える放送・通信連携サービスとスマートTV」より引用.
http://www.soumu.go.jp/main_content/000140947.pdf
5
2013/11/06
2013年現在の放送通信融合技術

既存の放送技術にIPTV(VoD)を取り込んだ状態
ハードディスク
レコーダの普及
情報通信審議会 情報通信政策部会
新事業創出戦略委員会及び研究開発戦略委員会 基本戦略ボード第3回資料
「2015年のライフスタイルを変える放送・通信連携サービスとスマートTV」より引用.
http://www.soumu.go.jp/main_content/000140947.pdf
6
2013/11/06
本研究で想定する放送通信融合技術

2015年以降:放送と通信の境界が無くなる.
情報通信審議会 情報通信政策部会
新事業創出戦略委員会及び研究開発戦略委員会 基本戦略ボード第3回資料
「2015年のライフスタイルを変える放送・通信連携サービスとスマートTV」より引用.
http://www.soumu.go.jp/main_content/000140947.pdf
7
2013/11/06
放送型配信の重要性

これまでの通信(オンデマンド型:Full VoD)の
問題点
 ユーザ:人気番組は受信要求から再生開始までの
待ち時間が長くなる.
 配信サーバ:使用する帯域幅の増加で
サーバの負荷や維持費用が増大
ユーザの数が非常に多い場合,
放送型配信 (Near VoD) が有効
8
2013/11/06
放送型配信で使用するストリームデータ

連続メディアデータ
 再生中に途切れが発生しないひと続きのデータ
(例)音楽データ,コンサート映像

選択型コンテンツ
 ユーザがコンテンツを選択
視聴順序の例
しながら視聴する番組
(例)択一式のクイズ番組,
ニュース番組,ドラマ番組
15秒
 複数のコンテンツで一つの
番組を構成
 コンテンツ間で発生する
途切れ時間はユーザの
選択待ち時間として許容
10秒
30秒
金閣寺
銀閣寺
9
2013/11/06
放送型配信の特徴(連続メディアデータ)(1/3)
利点:多くのクライアントにデータをまとめて配信可能
問題点:配信データの受信要求から再生開始までの
間に待ち時間が発生する.
例:同一のサッカー中継(90分)を繰り返し放送
再生開始
時間
9分
・・・
サッカー
中継
配信データ受信要求
サッカー
中継
サッカー
中継
サッカー
中継
・・・
10
Mbps
待ち時間
90分
クライアント
が再生して
いる様子
サッカー中継
1.0
Mbps
10
2013/11/06
内容
1. 研究紹介
1.1 概説
1.2 放送とデータ通信の融合技術に関する研究
(1) 連続メディアデータの分割放送型配信
(2) 選択型コンテンツの放送型配信
(3) 放送通信融合環境におけるデータ配信
(4) 近距離放送型配信
(5) 没入型コンテンツの放送型配信システム
2. まとめと今後の予定
11
2013/11/06
(1) 連続メディアデータの分割放送型配信

分割放送型配信
データを分割して複数のチャネルで配信
 初めの部分を頻繁に放送して再生開始までの待ち時間を短縮


スケジューリング手法



再生中に途切れが発生しないようにデータの分割比率を決定
帯域幅やビットレートといった様々なネットワーク条件を考慮
既存のスケジューリング手法




Pyramid Broadcasting [Viswanathan95]
Harmonic Broadcasting [Juhn97]
Bandwidth Equivalent - Asynchronous Harmonic Broadcasting
(BE-AHB) 法 [Yoshihisa05]
Optimized Heterogeneous Periodic Broadcast
(OHPB) 法 [Shi06]
12
2013/11/06
スケジューリング手法による待ち時間の短縮例
サッカー中継(90分)
簡単な例 (BE-AHB法) で
2チャネル使って放送する場合
時間
C1
待ち時間
15.4分
12.9分
77.1分
2.6分
S1 S1 S1 S1 S 1 S1 S1 S1
・・・
C2
S1
S2
1.0
Mbps
S2
S2
S2
・・・
5.0
Mbps
・・・
5.0
Mbps
・・・
1.0
Mbps
配信データ受信要求
クライアント
が再生して
いる様子
S1
S2
平均待ち時間=1.3分 (分割なしだと4.5分なので,71.1%短縮されている)
13
2013/11/06
分割放送型配信システム TeleCaS の実現

TeleCaS (Telecommunication and BroadCasting System)
 システムの処理負荷やパケット損失が分割放送型配
信に与える影響を評価
待ち時間と途切れ
時間を測定可能
<TeleCaSのスクリーンショット>
木村 明寛, 後藤 佑介, 谷口 秀夫: ``動画データを分割配信するシステムの実現と評価,’’
電子情報通信学会論文誌 B, Vol.J96-B, No.10, pp.1217-1225, (Oct. 2013).
14
2013/11/06
(2) 選択型コンテンツの放送型配信(1/2)

双方向性をもつ選択型コンテンツに対する注目
(例)択一式のクイズ番組,ニュース番組,ドラマ

既存手法:視聴順序を考慮したスケジューリング
(問題点)使用できる帯域幅の減少で待ち時間発生
例:既存手法CCB法でサーバから
ニュース番組を放送する場合
放送
開始時刻
チャネル1
(5.0Mbps)
メインページ
必要な
帯域幅
チャネル2
12.5Mbps (5.0Mbps)
時間
60秒
60秒
メインページ
スポーツ
経済
野球
チャネル3
スポーツ
経済
サッカー
(2.5Mbps)
再生開始時刻
クライアント
が再生して
いる様子
野球
サッカー
メインページ
スポーツ
サッカー
60秒
60秒
60秒
(5.0Mbps)
15
2013/11/06
(2) 選択型コンテンツの放送型配信(2/2)

双方向性をもつ選択型コンテンツに対する注目
(例)択一式のクイズ番組,ニュース番組,ドラマ

既存手法:視聴順序を考慮したスケジューリング
(問題点)使用できる帯域幅の減少で待ち時間発生
例:既存手法CCB法でサーバから
ニュース番組を放送する場合
放送 (60/0.64≒)
開始時刻
(60/0.64≒)
94秒
94秒
メインページ
スポーツ
経済
野球
時間
チャネル1
メインページ
スポーツ
経済
必要な帯域幅
(5×0.64=)
12.5Mbps
3.2Mbps
チャネル2
0.64倍
(5×0.64=)
8.0Mbps
3.2Mbps
チャネル3
1.6Mbps
クライアント
が再生して
いる様子
野球
サッカー
サッカー
(2.5×0.64=)
再生開始時刻
受信待ち時間(計68秒)
メインページ
スポーツ
34秒 60秒 34秒
60秒
サッカー
(5.0Mbps)
60秒
16
2013/11/06
提案手法:CCB-CB

(Contents Cumulated Broadcasting Considering Bandwidth)
法
帯域幅に上限がある場合に待ち時間を
短縮するスケジューリング手法
例:サーバからニュース番組
を放送する場合
帯域幅:8Mbps,再生レート :5Mbps,
コンテンツ再生時間:60秒,
チャネル:C1,…,CN
受信
開始時刻
メインページ
C1
(5.0Mbps)
C2
スポーツ
経済
経済
(3.0Mbps)
再生
開始時刻
クライアントが
再生している
様子
野球
野球
サッカー
サッカー
(5.0Mbps)
時間
60秒
60秒
60秒
メイン
ページ
スポーツ
野球
経済
経済
7.5秒
サッカー
サッカー
60秒
60秒
メイン
ページ
スポーツ
12秒
60秒
サッカー
サッカー
受信待ち時間
17
2013/11/06
(3) 放送通信融合環境におけるデータ配信

「通信と放送の連携」が叫ばれてはや10数年・・・
連携はそれほど進んでいない.

放送形態の長所
 リアルタイム性重視
(例)報道番組,スポーツ中継

通信のリアルタイム性は希薄
 見過ごした番組(例:サッカー)はすぐに視聴できない.
放送終了後のスポーツニュースまで待つ必要がある.
 YouTube にも,すぐにはアップロードされない.

通信にリアルタイム性を与えて放送と連携すれば,
通信と放送の融合環境が実現できる!
18
2013/11/06
通信における問題点とその解決策

通信(オンデマンド型)の問題点
 ユーザ:人気番組は再生までの
待ち時間が大きい.
「まだ受信できない…イライラ」
 配信側:使用する帯域幅の増加で
サーバの負荷や維持費用が増大
(例) YouTube: 数百万ドル以上/月

P2Pネットワークの利用
 映像コンテンツをユーザ間で共有して
人気番組の受信時間を短縮
 サーバが使用する帯域幅を減少させ,
負荷を抑制し,維持費用を削減
19
2013/11/06
放送における問題点とその解決策

放送(ブロードキャスト)における問題点
 ユーザ:見逃した番組は
初めから視聴不可
「見たかった番組,見逃した~!」
 放送局:すべてのユーザの
好みに応じた放送ができない.
「放送後の番組も多くの人に見て
欲しい!」
放送した番組を映像コンテンツ化してP2Pネットワークで
共有できる配信システム構築が必要!!
20
2013/11/06
放送通信融合環境の実現
BroGrid environments
(Broadcasting and Grid environments)
放送局
ブロードキャストサーバ
コンテンツサーバ
組み込み
放送スケ
ジューリング
P2P
アプリケーション
ネットワーク
Internet
Web
サービス
ユーザ
タ
デー
タ
デー
ユーザ
タ
ー
デ
デ
ー
タ
データ
京都5-0A.C.Milam
データ
ユーザ
ユーザ
グリッド技術を利用した放送通信融合環境
21
2013/11/06
端末伝送型映像配信システムの構築
Brossom (ブロッサム)
(Broadcasting System with
P2P Environments)
(※)2007年度(独)情報処理推進機構(IPA)
未踏ソフトウェア創造事業(未踏ユース)採択課題

要求事項
視聴率
 放送とP2Pネットワークの連携
によるコンテンツ情報の共有

解決策
 P2Pストリーミング配信で
リアルタイム性を実現
放送型
+P2P
=60%!
放送型
10%
時間
22
2013/11/06
Brossom の構成
Brossom トラッカ
端末
ピア
WEBサーバ
P2Pネットワーク
コンテンツ
サーバ
ブロードキャスト
サーバ
クライアント
ブラウザ
Webサーバ部
(ローカル専用)
ページ
データ
データ
処理部
P2P
ブロードキャスト
インタ
インタフェース部
フェース部
Brossom クライアント(バックグラウンドで実行)
23
2013/11/06
Brossom の特徴と機能

データベースを利用したコンテンツ情報管理
映像コンテンツにメタ情報を付加
ユーザはメタ情報(タグ)を基にP2Pネットワークで
検索,受信

デュアル画面視聴による視聴時間の有効利用
リアルタイム映像と
PC画面
ディレイ映像の2画面表示
 放送中の映像を見ながら, P2Pで受信した
コンテンツの映像
別窓でP2Pネットワークから (前半20分)
日本0-0タイ
受信したコンテンツ映像を
視聴

放送中の映像
(後半35分)
日本 3-1 タイ
(右図)サッカー番組の視聴例
24
2013/11/06
(4) 近距離放送型配信

特定の場所で端末を利用するユーザに
連続メディアデータを配信
 エリアワンセグ,スポットキャスト

サーバ
 電波出力を制限して
近距離放送型
配信エリア
配信側
視聴範囲を限定
 他のチャネルとの干渉を
抑制

ユーザ
エリア内の
クライアント端末
 端末を利用して視聴地域に
応じた情報を受信可能
エリア外の
クライアント端末
25
2013/11/06
近距離放送型配信における待ち時間短縮

再生開始待ち時間
 番組データの受信開始から再生開始までの待ち時間

本編開始待ち時間
 スポット再生終了から本編再生開始までの待ち時間
ユーザの視聴待機時間として許容
想定する近距離
放送型配信
C1
C2
配信データ受信要求
・・・
・・・
スポット スポット スポット スポット スポット
映像
映像
映像
映像
映像
本編映像
本編映像
クライアント
スポット
が再生して
本編映像
映像
いる様子
再生開始待ち時間 本編開始待ち時間
・・・
・・・
時間
26
2013/11/06
近距離放送型配信のスケジューリング例
簡単な例 (CR-HB法) で6チャネル
使用して番組を放送する場合
Time
C1 C1,1 ・・・
(3.63
C1,2 ・・・
Mbps)
C1,3 ・・・
C2 C2,1 ・・・
(1.37
C2,2 ・・・
Mbps)
C3.3 ・・・
180秒
スポット
映像
本編映像
65.7秒
5.0
Mbps
(S2)
(S1)
S1-1 S1-1 S1-1 S1-1 S1-1 S1-1 ・・・
S1-2
S1-2
S1-2
S1-2
S1-2 ・・・
S1-3
S1-3
S1-3
S1-3
・・・
S2-1
S2-1
S2-2
S2-3
S2-1
S2-2
S2-3
配信データ受信要求
60秒
クライアント
が再生して 再生開始
いる様子 待ち時間
S1
(5.0 Mbps)
60秒
本編開始待ち時間
180秒
S2
・・・
・・・
1.21
Mbps
0.46
Mbps
・・・
本編開始待ち時間を
受信時間として利用
C1,1増加,待ち時間短縮
(BE-AHB: 0.83Mbps, 153.9秒)
27
2013/11/06
(5) 没入型コンテンツの放送型配信システム

CAVE (Cave Automatic Virtual Environment) の利用
 没入型3次元仮想現実体感システム
(引用)KCave: 慶応義塾大学・小木研究室HP
http://lab.sdm.keio.ac.jp/ogi/lab/kcave.html
28
2013/11/06
(6) 没入型コンテンツの放送型配信システム

CAVEを用いた茶道e-Learningシステム
 先生(熟練者)と生徒(未熟練者)が時間と場所を
共有することなく効率的に技能を伝承
 熟練技術者の作業を保存することで,伝承を容易化

茶道の練習場所問題
 いつでも学習できる環境の確保
初心者でも自分のペースで学習・上達可能
 先生の作法をいろんな角度から学習可能
普段見えない視点からの茶道学習
29
2013/11/06
目標&解決策

CAVE上に茶室を再現
没入型立体視ディスプレイ
http://robo.mech.gifu-u.ac.jp/
~endo/hirodemo/hirodemo.html
Blenderで茶室作成

学習用コンテンツの作成
没入型3次元仮想現実体感システムCAVE
 先生の作法を様々な角度から
没入型nVisor SX60
http://www.nihonbinary.co.jp/
039nVisor5.html
学習可能
普段見えない視点からの茶道学習を可能
 ステレオカメラでお点前撮影
CAVE上に投影して学習能力向上
30
2013/11/06
CAVE空間に表示する茶室の作成

Blender上でVRML (Virtual Reality Modeling Language)
によるテクスチャの貼り付け
31
2013/11/06
VRMLビューワによる3D表示

Virtual Reality Modeling Language
 Webページで3Dグラフィックスを表示するための
データ形式
32
2013/11/06
CAVE上への茶室表示
User
Hanging
Shoji
Controller
3-D
grass
Control
Unit
Operating
Interface
Mat
提案システムの利用例
Wearable
Computer
CAVE Ring
system
Ring type
controller
Y. Gotoh, Y. Ebara, T. Yoshihisa, K. Koyamada, M. Kanazawa, ``Development of Tea Ceremony
E-learning Environment within Immersive Projection Technology,’’ 4th International Workshop on
Network-based Virtual Reality and Tele-existence (INVITE2008), pp.1000-1005, (2008.3).
33
2013/11/06
ステレオカメラの利用

熟練者のお点前映像コンテンツ作成
普段見えない視点からの茶道学習

ステレオカメラでお点前を撮影
3次元映像に変換して,お点前を
している映像をCAVE上に表示
図3. ステレオカメラ
図4. ステレオカメラによる
表示例
(イメージ図)
34
2013/11/06
内容
1. 研究紹介
1.1 概説
1.2 放送とデータ通信の融合技術に関する研究
(1) 連続メディアデータの分割放送型配信
(2) 選択型コンテンツの放送型配信
(3) 放送通信融合環境におけるデータ配信
(4) 近距離放送型配信
(5) 没入型コンテンツの放送型配信システム
2. まとめと今後の予定
35
2013/11/06
まとめ・今後の予定

放送とデータ通信の融合による新しい映像配信
サービスの可能性
 「蓄積型放送」が今後のキーワード?
 放送と通信を組み合わせた情報取得方法の模索

放送型配信システムの製品化
などの配信システムを改良
 近距離放送型配信環境の実現
 Brossom

様々な研究者との共同研究
 異分野との融合(企業,大学)
地元企業との共同研究を積極的に推進
36
Fly UP