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原著 ・基礎 - 日本化学療法学会

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原著 ・基礎 - 日本化学療法学会
日 本 化 学 療 法 学 会 雑 誌
768
OCT,
2000
【
原 著 ・基 礎 】
厨 房 内 の 消毒 にお け る電 解 水 の 有 用 性
佐藤
久 聡1)・ 前 原
信 敏1)・井 川
房 欣2)・ 斎 籐
洋 介3)
阿 知 波 信 夫3)・松 井 英 則4)・ 小宮 山 寛 機4)
1)北里 大学 獣医畜産 学 部獣医微 生物 学教 室
,2)日 本 食品 分析 セ ン ター.
3)ホシザ キ電 機株 式会社
,4)(社)北 里研 究所*
(平成12年5月1日
受付 ・平成12年7月26日
受理)
水 道 水 に 少 量 の 食塩 を添 加 後 隔 膜 を 介 して 眠 気 分 解 し階 極 側 か ら生 成 さ れ た 強 酸 性 電 解 水(酸
性 水)は
薬 剤 耐 性 菌 を含 め た 種 々 の微 生 物 に対 し て優 れ た 殺 菌 効 果 を 示 す 。 ま た 陰 極 側 か ら生 成 さ れ る 強 ア ル カ リ
性電 解 水(ア
ル カ リ水)は
器 物 に付 着 した有 機 物 を 除 去 す る 効 果 が 期 待 され て い る。 一 方,贋
房 内の機 器
に 付 着 した 細 菌 は 食 中 毒 の 一 因 に もな っ て お り有 効 な 洗 浄 ・消 毒 剤 が 望 まれ て い る。 そ こ で,食 中 毒 防 止
の た め,わ れ われ は厨 房 内 の 器 物 に対 す る電 解 水 を用 い た 有 効 な 消 毒 方 法 につ い て 検 附 した。 は じめ に タ
イ ル,ス
テ ン レ ス お よ び ガ ー ゼ 小 片 に0,1%の
Staphylococcus aureusお
よびSalmonella
細 菌 は次 亜 塩 素 酸 ナ トリ ウ ム液(次
少 した。 た だ し,1%の
亜 水)お
ス キ ム ミ ル ク と と も に 付 着 し たEscherichia
coli,
typhimuriumに
対 す る電 解 水 の 殺 菌 効 果 を 調 べ た 。 こ れ らの
よ び 酸 性 水 で の 消 毒 に よ り103個 以 上 の 細 菌 数 が101∼0に
減
ス キ ム ミル ク と と もに付 着 した 細 菌 につ い て は,次 亜 水 お よ び酸 性 水 で の 消 毒 後 に
も生 残 し て い た(102∼101個)。
しか し,ア ル カ リ水 で の 洗 浄 後 に 酸 性 水 で 消 毒 した と こ ろ101∼0個
少 した。 次 い で市 中 の ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト厨 房 内 の汚 染 され た 器 物(た
と え ば,狙 板,長 靴,包
に減
丁 な ど)を
対 象 に して ア ル カ リ水 で の 洗 浄 後 に 酸 性 水 で 消 毒 した 。 汚 染 菌 は 上 記 の 処 置 に よ り水 道 水 で の 洗 浄 後 に 次
亜 水 で 消 毒 す る従 来 の 方 法 と比 較 し,ほ ぼ 同 等 の 効 果 な い しは 対 象 に よ って は優 れ た 効 果 が 認 め られ た 。
した が っ て,有 機 物 の 混 入 が 多 い厨 房 の 除 菌 に は,水 道 水 感 覚 で使 用 で きる 電 解 水(強
ル カ リ性 電 解 水)が
Key
words :電
酸 性 電 解 水,強
ア
き わめ て 有 効 な方 法 で あ る と考 える 。
解 水,消 毒,厨 房,electrolyzed
water
水 に 少 量 の 食 塩 を添 加 後 隔 膜 を 介 し て 電 気 分 解 し陽 極 側 か
ら生 成 さ れ た 強 酸 性 電 解 水(以
下 酸 性 水)は
薬 剤 耐 性 菌 を含
的 に 有 効 性 を判 定 し,次 い で 食 料 品 を扱 っ て い る 小 売 桑 の 厨
房 を使 用 して 有 効 性 を 調 べ た の で 報 告 す る 。
め た 種 々 の 微 生 物 に 対 して 優 れ た 殺 菌 効 果 を 示 し1∼8),安全
性 も 比 較 的 高 い こ と か ら9∼121,医療13+6),獣
医 療17,18)歯
科19,20),食品21∼25),農業26,27)な
どさ まざまな領域 で消毒 剤 と し
て 使 用 され て い る。 殺 菌 活 性 の 本 体 は 主 と して 酸 性 水 中 に 含
1.
1.
材 料 お よび 方 法
使用電解水
電 解 水 生 成 装 置(ホ シ ザ キ 電 機 株 式 会 社,ROX-20TA)
か ら 生 成 さ れ た ア ル カ リ 水(pH11.5,酸
-820mV)お
よ び 酸 性 水(pH2
.6∼2.7,酸
化 還 元電 位
ま れ る次 亜 塩 素 酸 と考 え ら れ て お り28),速 効 性 で あ る が 有 機
物 の 混 在 に よ りそ の殺 菌 効 果 が 著 し く低 下 す る。 一 方,陰 極
1,100mV,有
試 験 に供 し
側 か ら生 成 さ れ る ア ル カ リ性 電 解 水(以 下 ア ル カ リ 水)はpH
た 。 対 照 消 毒 剤 と して,有
が 約11と
製 し た 次 亜 塩 素 酸 ナ ト リ ウ ム(鶴
ア ル カ リ 度 が 高 い た め,施
設,器
具 に 付 着 した 有
効 塩 素 濃 度36∼40mg/L)を
機物 の 除去 に期待 されて いる。従 来食 中毒予 防の ため に種 々
液(次
の 消 毒 剤 が 使 用 さ れ て きた が29),食 品 お よ び厨 房 の 消 毒 に 利
に 生 成 した 。
亜 水)を
効 塩 素 濃 度 を100mg/Lに
2.
実験室 内での消毒試験
1)
試 験 菌株
菌 が 付 着 ・増 殖 し て お り,細 菌 性 食 中毒 の 誘 因 と な っ て い る
Staphyloccus aureus
中毒 の予 防 に あ た っ て は厨 房 内 の 器 物 か ら細 菌
を排 除 す る 必 要 が あ る 。 そ こで,本
た め,厨
房 を対 象 と して,酸
研 究で は食 中毒 の予 防の
性水 お よび アルカ リ水 の消毒 効
果 に つ い て 検 討 し た。 は じめ に ア ル カ リ水 で 洗 浄 し た 後 に 酸
性 水 を 用 い て 消 毒 す る と い う方 法 を用 い て 実 験 室 規 模 で 基 礎
* 東 京 都 港 区 白 金5-9-1
coli NIHJ
13311株
2)
調
見 曹 達 株 式 会 社)水
使 用 し た 。 な お,い
用 で き る よ り安 全 で 有 効 な 製 剤 が 求 め られ て い る。
一 般 に厨 房 の 壁 面
,シ ン ク,布 巾 な ど に有 機 物 と と も に 細
こ と か ら,食
化還 元電位
溶
ず れ の 液 も使 用 直前
209PJC-1株,Escherichia
JC-2株,Salmonella
typhimurium
ATCC
を用 い た 。
付 着 素 材 と菌 液 調 整
細 菌 を 付 着 さ せ る 素 材 と し て,ス
30×0.5mm),タ
テ ン レ ス 小 片(30×
イ ル 小 片(30×30×5mm)な
らび にガ
VOL.48
電 解 水 に よる
NO.10
ー ゼ(30×30×1mm
, 4枚 重 ね)を 用 い た 。 な お,こ
らの 器 物 の う ち,ス
テ ン レス と タ イ ル は ガ ラス シ ャー レ
れ
に 入 れ て 乾 熱 滅 菌 し,ガ ー ゼ は ガ ラ ス シ ャー レに 入 れ て
高圧 蒸 気 滅 菌 した 後 に試 験 に供 した 。
769
厨房
消毒
し24時
間 培養 し た。 培 養 後 生 じた 暗 赤 色 コ ロ ニ ー を 算
定 し検 体 単 位 あ た りの 細 菌 数 を求 め た.
2)
厨 房 内 の 器 具 に 対 す る消 毒 試験
従 来 の 洗 浄 法 との 比 較 の た め に 厨房 内全 体 の さ ま ざ ま
菌 液 の 調 製 な らび に菌 の 素 材 へ の 付 着 方 法 は,2価
の
な 箇 所(エ
プ ロ ン,床,冷
蔵 庫 取 つ手 。 長靴,ア
陽 イ オ ン を除 い た ダ ルベ ッ コの 燐 酸 級 衝 食塩 液(PBS,
ッ ト,ラ ック な ど)に お い て,作
pH72)に
ウ シ胎 子 血 清(FCS),ゼ
よ び ス キ ム ミル ク(SM)を0.1%も
の 検 体 表 面 を上 記 方 法 に準 じ拭 き取 り,一 般 細 菌 数 と 大
溶 液 に3種
ラ チ ン(GEL)お
し くは1%加
えた
の 菌 を1×109CFU/mLに
せ た後,同 緩 衝 液 で 希 釈 し,5濃
×104∼5×109CFU/mL)。
ン レス,タ
な る よ うに浮遊 さ
度 の 菌液 を調 製 した(5
次 い で,上
記 の 各 棄 材(ス
イ ル,ガ ー ゼ)を20mLの
業 中,作
業後
腸 菌群 数 を測 定 した 。 洗 浄 方法 は 従 来 の1手順 で 以下 の よ
うに 行 っ た.す な わ ち,作 業 後 に 水 遭 水 で 洗 い流 し,中
性 洗 剤 で ブ ラ ッ シ ン グ後,水 道 水 で す す い だ.電 解 水 に
テ
よる 洗 浄 ・消 毒 は 上 記 の 水 道 水 と洗 剤 の 部 分 を 酸性 水 と
菌液 中 に室 潟で
ア ル カ リ水 に換 え て 実 施 した。 な お,電 解 水 の 使 用 量 は
30分 間 放 置 後 に 液 か ら 出 し て 乾 燥 させ,使
用 直 前 まで
放 置 した。
3)
業前,作
ル ミバ
水 道 水 と同 量 と した。 これ らの 洗 浄 ・消 毒 操 作 は 同 一人
物 が 従 来 の 方 法 通 りに 実 施 した 。 な お,洗 浄 液 量 と時 間
消毒 試験 法
は10L/m2で60秒
菌 を 付 着 させ た 各 素 材 に つ い て5通
試験 を実 施 し た。 す な わ ち,処
浄,処 理2は
理1は
りの 方 法 で 消 毒
精 製水 の み で洗
ア ル カ リ水 の み で 洗 浄,処
の み で 洗 浄,処
理4は
理3は
次亜 水
ル カ リ水,精 製 水,酸
酸 性 水 の み で 洗 浄,処 理5は
性 水 の順 に 洗 浄 した。 な お,い ず
れ の処 理 も ピペ ッ トを使 用 して 素 材 表 面 を10mLの
体 で10∼15秒
ア
液
間 洗 い流 し た。 た だ し,ガ ー ゼ は10mL
の 液体 中 に10∼15秒
間 浸 漬 し,軽
く振 盤 し た。 消 毒 試
処 理 後,各 素 材 を滅 菌 シ ャー
レに 移 し,た だ ち に 寒 天(日
に ス タ ン プ後,37℃,24時
間 洗 浄 した 。
調理 工 程 に 対 す る消 毒 試験
魚 をお ろ す 工 程 中 の 汚 染 細 菌 に対 す る 消 毒 効 果 を 調 べ
た。 す な わ ち,ア
ジ8匹 を3枚
にお ろ す 工 程 にお い て,
作 業 前,作 業 中,作 業 後 の 検 体 表 面(布 巾,〓 板,包 丁,
手指)100cm2(た
だ し,包 丁 は 全 体,手 指 は 片 掌 全 体)
を拭 き取 り,一 般 細 菌 数 と大 腸 菌 群 数 を 測 定 した 。 洗 浄
方 法 は 次 亜 水 お よ び電 解 水 を用 い る場 合 も従 来 の マ ニ ュ
ア ル に した が って 行 っ た。 す な わ ち,作 業 中 は 水 道 水 と
タ ワ シに よ る洗 浄 を行 い,作 業 後 は水 道 水 で 洗 浄 後 次 亜
験 は3回 繰 り返 し た。
生 菌 数 の 測 定 は1∼5の
3)
水,9cmシ
ャ ー レ)表 面
間培 養 し,コ ロ ニ ー 数 か ら
各 素 材 あ た りの 生 菌 数 を算 定 した 。 なお,コ
ロニ ー が 融
水 で消 毒 した 。 電 解 水 につ い て は まず ア ル カ リ水 と タ ワ
シ に よる 洗 浄 を行 い次 い で 水 道 水 で 洗 浄 後 酸性 水 を用 い
た。 包 丁 お よ び ま な板 は5L各
わ しで30秒,布
種 水 を用 い て消 毒 した た
巾 は1.7Lで10秒
もみ 洗 い した。なお,
合 して測 定 で きな か っ た 場 合 に は コ ロ ニ ー 数 を>1,000
こ れ らの 洗 浄 ・除 菌 操 作 は 同 一 人 物 が 従 来 の 方 法 通 りに
と した 。3回 の実 験 で 得 られ た そ れ ぞ れ の 処 理 後 の コ ロ
ニ ー 数 の 平 均 値 を 求 め,未 処 理 も し くは精 製水 で 洗 浄 し
実 施 した。
た 後 の コ ロニ ー 数 と比 較 す る こ とに よ り消 毒 効 果 を判 定
した 。
3.
II.
1.
0.1%あ
る い は1%SM添
テ ン レス 小 片,タ
フ ィー ル ドで の 除 菌 試験
愛 知 県 豊 橋 市 内 の 一 般 的 な ス ー パ ー マ ー ケ ッ ト1施
結
果
実験室 内での消毒試験
加PBSに
浮 遊 させ た 菌 を ス
イ ル小 片 な ら び に ガ ー ゼ に 付 着 させ て
電 解 水 で 消毒 しそ の 効 果 を 調べ た 。そ の結 果,0。1%SM
設 の鮮 魚 な ら び に惣 菜 部 門 の 厨 房 を 対 象 に して,酸 性 水
加PBSで
とア ル カ リ水 に よ る消 毒 効 果 を次 亜 水 を用 い た従 来 の 方
は,い ず れ の 菌 種 も精 製水 お よ び ア ル カ リ水 単 独 処 理 に
法 と比 較 した 。
比 較 して 次 亜 水 お よ び酸 性 水 単 独 処 理 で 高 い 消 毒 効 果 が
1)
認 め られ た(Table
生菌数測定
微 生 物 検 出 法 と して拭 き取 り検 査 を 以 下 の よ うに 実 施
した30)。す な わ ち,施 設 の 壁,床
100cm2を
お よ び 器 具 な どの 表 面
拭 き 取 っ た ガ ー ゼ(10×10cmを3×3cmに
折 り畳 む)を ポ リ ソ ル ベ ー ト80を0.05%含
mLと
激 し く振 と う し細 菌 を洗 い 出 した(布
10×10cmを
洗 液100mLで
調 製 した 菌 液 を付 着 させ た 素 材 の 消 毒 試 験 で
むPBS10
巾の場合 は
洗 い 出 し た)。 洗 浄 液 を 段
階 的 に希 釈 し そ れ ぞ れ を標 準 寒 天 平 板(日
水)0.1mL
1)。 ま た,ア
ル カ リ水 処 理 後 に 精 製
水 と酸 性 水 で 処 理 した 場 合 生 菌 数 は0∼ 数 個 に 減 少 し
た 。 そ れ ぞ れ の 処 理 後 の 生 菌 数 の 推 移 を比 較 す る と,タ
イル付 着 菌 の排 除 が さ れ に くか った 。
1%SM加PBSで
調 製 した 菌 液 を付 着 さ せ た 素 材 の
消 毒 試 験 で は,0.1%SM加PBSを
菌 数 が 著 し く増 加 した(Table
用 い た場 合 に 比 べ 生
2)。 しか し,ア ル カ リ水
処 理 後 に精 製 水 と酸 性 水 で 処 理 した 場 合 の 生 菌 数 は0∼
塗抹 後,35℃,24時
間 培 養 し,生 じた コ ロ ニ ー 数 か ら
一 般 細 菌 数 を算 定 した 。 大 腸 菌 群 の 場 合 は 洗 液1mLを
30個 程 度 で あ り,比 較 的 高 い 消 毒 効 果 が 認 め られ た 。
デ ソ キ シ コ レ ー ト寒 天 培 地(日
合 に は ア ル カ リ水 処 理 後 に 精 製 水 と酸 性 水 で 処 理 した 群
水)15mLと
混 釈培 養
次 亜 水 お よ び 酸 性 水 単 独 処 理 は,SM添
加 量0。1%の
場
日本 化 学 療 法 学 会 雑 誌
770
Table 1.
Electrolyzed
forming
7.0)
acidic
units.
with 0.1% skim milk
water
water
The
for
test
water,
with
10-15s.
hypochlorite
acidic
Electrolyzed
2.
units.
of water
for
hypochlorite
water,
(100
and
water
test
with
10-15
acidic
0.1%
40ppm
was
skim
Data
(pH
milk
2.5-2.7,
ppm
skim
soaked
for
T 1: washed
T 4:
presented
と 同 程 度 の 消 毒 効 果 を示 し た が,添
removal,
washed
mean
with
20min.
with
After
removal,
water;
T 4: washed
加 量 を1%に
mean
増加
させ る と,除 菌効 果 は 著 し く減 少 した。
2.
T 5:
with
washed
water;
washed
with
triplicate
Electrolyzed
CFU/mL)
the
alkaline
suspended
material
T 2: washed
acidic
experiments
in
was
with
water;
gently
alkaline
T 5:
with
11.5).
CFU:
water
10mL
washed
water,
T 3: washed
with
alkaline
with
type
sodium
water,
distilled
(n=3).
1% skim
milk
11. 5).
with
alkaline
CFU:
colony
saline
(pH
10mL
of each
T 3: washed
determinations
(pH
of each
phosphate-buffered
washed
triplicate
with
(pH
colony-
saline
determinations
with
2000
with
water,
(n=3)
type
sodium
distilled
.
こ れ ら2つ の 処 理 法 の 間 に は 大 き な 差 は み ら れ な か っ
6に 示 した よ うに,大
腸 菌 群 は水 道 水
で の 洗 浄 後 に ほ ぼ み られ な く な っ た た め,2つ
験1)で
は,Table
の処理法
問で の 差 を み る こ と は で きな か った 。
3に 示 した よ うに,従 来 の 水 道 水 を 用 い る処 理 方 法 で は
相 当 数 の 細 菌 が 残 存 して い た が ア ル カ リ水 お よび酸 性 水
で 処 理 す る こ と に よ り菌 数 が 減 少 し た。 ま た,Table
に 示 した よ う に,床
water;
gently
alkaline
た。 ま た,Table
ブ イー ル ドで の 除菌 試 験
各 施 設 お よ び 器 具 の 消 毒 試 験(試
with
of three
with
(pH
in phosphate-buffered
in PBS supplemented
chlorine).
(1•~106
distilled
as the
acidic
was
experiments
disinfection
of dissolved
material
T 2: washed
of three
alkaline
suspended
the
water;
in bacteria
chlorine);
are
After
distilled
as the
Electrolyzed
(1•~106CFU/mL)
and acidic water
milk
of dissolved
Data
20min.
40ppm
was
chlorine).
bacteria
with
presented
alkaline
s. Treatment:
water.
for
of dissolved
in
chlorine);
are
material
0.1%
soaked
T 1: washed
Electrolyzed
The
supplemented
2.5-2.7,
of dissolved
water.
acidic
-forming
(pH
material
Treatment:
(100ppm
and
Table
7.0)
Electrolyzed alkaline and acidic water disinfection in PBS supplemented
supplemented
of water
OCT.
4
・長靴 に わ ず か に見 られ た大 腸 菌 群
III.
考
察
食 品 関連 分 野 で はす で に 大 規 模 な電 解 水 の 装 置 が 稼 働
して お り,こ れ ら施 設 は年 々増 加 して い る 。 しか し,厨
房 関 連 分 野 に お け る電 解 水 の 消 毒 効 果 に つ い て は,基 礎
は ア ル カ リ水 お よ び 酸 性 水 で 処 理 す る こ とに よ り10個
的 な ら び応 用 的 研 究 が 非 常 に 少 な く,現 場 にお け る 有効
以 下 とな っ た 。
性 を評 価 す る体 系 的 な デ ー タが ほ と ん ど存 在 しな い のが
調 理 工 程 中 の 除 菌 試 験(試
し た よ うに,ア
験2)で
は,Table
5に 示
ル カ リ水 お よび 酸性 水 で 処 理 す る こ とに
よ り水 道 水 洗 浄 後 に次 亜 水 で消 毒 した 場 合 よ り も少 な い
菌 数(解 体 用 狙 板,手 指)か
や や 多 い 菌 数(解 体 用 包 丁
柄,刺 身 用 包 丁 柄 お よ び刃)の 残 存 が み られ た。一 般 に,
現 状 で あ る 。 そ こで,わ
れ わ れ は厨 房 に お け る電 解 水消
毒 の 有 効 性 に 関 す る基 礎 的 お よ び応 用 的 研 究 を実 施 し
た。
消 毒 試 験 に さ き だ ち,S. typhimurium
ATCC
13311
を用 い て素 材 へ の 菌 付 着 の た め の 最 適 菌 液 濃 度 を 検 討 し
VOL.48
Table
NO.10
3.
771
電 解 水 に よる厨 房 消毒
Number
of bacteria
recovered
disinfection with water
acidic water
after
washing
and
alkaline
and
or electrolyzed
Table 4.
bacteria was determined
of coliform recovered
after washing
from materials
and disinfection
in the
with water
or
electrolyzed alkaline and acidic water
log10CFU/material. 2)log10 CFU/25cm2.
CFU: colony-forming
units. Each material was washed with tap water or electrolyzed
water (alkaline and acidic water) based on daily cleaning using
tap water at a public market
Number
kitchen
in Toyohashi
City.
log CFU/material. 2)log.
CFU/25 cm2. CFU: colony-forming
units. Procedure: See Table 3. Data are presented
of three experiments with triplicate determinations
as the mean
(n=3).
The CFU of
by Udagawa surface-wiping30). Data are
presented as the mean of three
determinations
(n=3).
Table
experiments
5.
with
Number
triplicate
of bacteria
1) For cutting whole fish. 2)For slicing fish meat
recovered
from materials
(sashimi). *log10
CFU/material.
units; ND: not done; EW: electrolyzed water; SH: solution of sodium hypochlorite
at each work
step
logo CFU/hand.
Materials were washed with tap water or electrolyzed water as in usual daily cleaning.
three experiments with triplicate determinations
(n=3).
Data are presented
た 。 精 製 水 の み に よ る 洗 浄 に よ り3種 類 の 素 材 へ の 付
数 は1,000以
着 菌 数 が1,000以
を使 用 す る こ とに した 。
下 と な っ た場 合,電 解 水 と他 の 薬 液 の
消毒 効 果 を比 較 す る 際 にそ の 差 が 不 明 瞭 とな るた め に 条
CFU: colony-forming
(100ppm of residual chlorine). Procedure:
as the mean of
上 保 た れ て い た の で,有
機 物 と し てSM
素 材 に付 着 した細 菌 の 物 理 的洗 浄 に よ る影 響 を調 べ る
件 を検 討 し た 。 そ の 結 果,使 用 菌 液 濃 度 を1×106CFU/
た め,精 製 水 で1∼3回
mL以
い ず れ の 素 材 に付 着 した 菌 も精 製 水 で の 洗 浄 回 数 に は影
上 用 い る と菌 付 着 数 は1,000以
上 素 材 に保 持 さ れ
る こ とか ら,こ の濃 度 を用 い る こ と と した。
響 され ず,い ず れ も1,000以
次 に,細 菌 の 素 材 へ の 付 着 効 率 を評 価 す る た め,基 礎
緩 衝 液 で あ るPBSに
FCSを0.1%に
GELあ
るい は
な る よ う に 加 え た 液 で 菌 液 を調 製 し,
精 製 水10mLで1回
の 結 果,い
有 機 物 と してSM,
洗 浄 した 後 の 生 菌 数 を 求 め た。
洗 浄 した 後 の 生 菌 数 を 求 め た 。 そ
ず れ の 緩 衝 液 を用 い た場 合 に も洗 浄 後 の 生 菌
お い て,処 理1∼4(精
洗 浄,次
亜 水 で の 洗 浄,酸
浄操 作,処 理5(ア
上 であった。以 後の試験 に
製 水 で の 洗 浄,ア
ル カ リ水 で の
性 水 で の 洗 浄)は1回
の洗
ル カ リ水 で の 洗 浄 後 に 精 製 水 で 洗 浄
し,最 後 に 酸 性 水 で 洗 浄 す る 方 法)は3回
の洗 浄操 作
とな る が,精 製 水 での 繰 り返 し洗 浄 に よ る付 着 菌 数 の低
772
日 本 化 学 療 法 学 会 雑 誌
Table
1)
For cutting
whole
fish.
units; ND: not done; EW:
See Table 5. Data
2)
6.
Number
of conform
For slicing fish meat
recovered
as the mean
of sodiumhy
of three experiments
2000
at each work step
(sashimi). *log10CFU/material.
electrolyzed water; SH; solution
are presented
from materials
OCT,
log10CFU/hand.
pochlorite (100 PPm
CFU: colony-forming
of residual chlorine). Procedure;
with triplicate determinations
(n=3).
下 が み られ なか っ た こ とか ら,各 処 理 後 の 生 菌 数 の 相 違
が,電 解 水 で 処 理 す る こ とに よ り比 較 的 容 易 に排 除 で き
は物 理 的 洗 浄 効 果 に よる もの で は な く,各 薬 剤 の 化 学 的
た。 しか し,タ イ ル の よ うな 凹 凸 の あ る 素 材 の 洗 浄 ・消
洗 浄 効 果,殺
毒 に は ブ ラ ッ シ ング を併 用 し,有 機 物 を 十 分 に除 去 す る
こ とが よ り望 ま しい と思 わ れ る。
菌効 果 に起 因 す る と判 定 した。 以上 の 条 件
設 定 の 後,本 試 験 を実 施 した 。
まず,器 物 に対 す る電 解 水 の 消 毒 効 果 を比 較 検 討 す る
次 亜 水 の 有 効 塩 素 濃 度 は ガ イ ドラ イ ンで は 器 物 に対 す
た め,壁 材 の 代 表 と して タ イル を,シ ン クの 素 材 と して
る消 毒 濃 度 は 通 常100mg/L以
ス テ ン レス を,布 巾 の代 わ りに ガー ゼ を用 い.こ れ らの
験 で は100mg/Lを
表 面 に付 着 した細 菌 に対 す る 電 解 水 の 消 毒 効 果 を比 較 検
度 は30∼40mg/Lで
討 した 。 水 洗 の み で は 菌 数 の 減 少 は ほ とん どみ られ な か
で あ り,こ のpHで
った が,ア
次 亜 水 のpHは
ル カ リ水 を用 い る と洗 浄 後 に 菌数 が や や 減 少
上 を用 い る の で 今 回 の 試
用 い た。 一 方,酸 性 水 の 有 効 塩 素 濃
あ る。 酸 性 水 のpHは
約2.5∼2.7
は化 学 種 と して 次 亜 塩 素 酸 が 多 く,
約 弱 ア ル カ リ性 で あ り次 亜塩 素 酸 は比 較
した 。 これ は菌 と と もに付 着 して い る 有 機 物 が ア ル カ リ
的 少 な い。 次 亜塩 素 酸 は殺 菌作 用 が 強 くこ れ が 酸性 水 の
水 に よ り溶 解 し,洗 い流 さ れ た た め と考 え られ る。 た だ
有 効 塩 素 濃 度 が低 くて も次 亜 水 と同 等 も し くは そ れ 以上
し,添 加 す る 有 機 物 を10倍
の 効 果 を示 す と考 え られ る
に増 量 す る と効 果 は み ら れ
な くな った 。 なお,精 製 水 に よる 数 回 の 洗 浄 操 作 に よ っ
フ ィー ル ドテ ス トに お い て は 対 象 とす る 施 設,対
象
て は 器 物 に付 着 した 菌 数 の 減 少 は み られ な か った が,こ
物,洗
れ に ア ル カ リ水 に よ る洗 浄 と酸 性 水 に よる 消 毒 を加 え る
に み られ る ス ー パ ー の 生 鮮 食料 品 を扱 っ て い る厨 房 を試
と強 い 消 毒 効 果 が み られ た。 以 上 の結 果 は,ア ル カ リ水
一 精 製 水 一 酸 性 水 処 理 に よ る 消 毒 効 果 が 洗 浄 を3回 繰
験 対 象 に選 ん だ。 また,も
り返 す こ とに よ る物 理 的 な洗 浄 効 果 で な く,ア ル カ リ水
れ て い る洗 浄 方法29)を用 い て電 解 水 の 消 毒 効 果 を 評価 し
に よ り有 機 物 が 分 解 され た後 に精 製 水 で 洗 浄 す る こ と に
た 。 施 設 ・器材 の 消 毒 試験(試
よ り大 部 分 の 付 着 菌 が 表 面 に露 出 し,そ の 後 の 酸 性 水 処
業 後 の 水 道 水 に よ る 洗 浄 で は 多 数 の 菌 が 残 存 して い た
理 に よ り殺 菌 され た こ と を示 唆 して い る。
が,電 解 水 で の 処 理 に よ り菌 数 が1/10∼1/1,000に
有 機 物 を0,1%添
加 した 実 験 で は,ア ル カ リ水一 精 製
浄 方 法 の 設 定 が 重 要 で あ る 。 本 研 究 で は 市 中 一般
っ と も細 菌 汚 染 に 暴露 され る
可 能性 が 高 い鮮 魚 部 門 の 器 物 を 対 象 と し,日 常 的 に 行 わ
験1)で
は,作 業 中 や作
減
少 した 。 ま た,大 腸 菌 は 電 解 水 処 理 後 に は ほ とん どみ ら
水一 酸 性 水 処 理 後 の 生 菌 数 と酸 性 水 単 独 処 理 後 お よ び次
れ な く な っ た。 調 理 工 程 中 の 除 菌 試 験(試
亜 水 単 独 処 理 後 の 生 菌 数 の 問 に大 きな差 は 認 め られ なか
作業 中 や 作 業 後 の水 道 水 に よ る洗 浄 で は 比 較 的 多 数 の 菌
っ た。 しか し,有 機 物 添 加 量 を1%(10倍)に
が残 存 して い たが,次
る と,0.1%に
増量す
比 べて酸性 水単独 処理お よび次亜水 単独
処 理 で は生 菌 数 が 著 し く増 加 した が,ア
験2)で
は,
亜 水 お よ び電 解 水 処 理 に よ り有 意
に 消 毒 す る こ とが で き,両 者 の 問 に 大 き な差 は 認 め られ
ル カ リ水一 精 製
な か っ た 。 ア ル カ リ水一 精 製 水 一 酸 性 水 処 理 は 従 来 の 次
水 一 酸性 水 処 理 で は 生 菌 数 の 変 化 は ほ とん ど認 め られ な
亜 水 を 使 用 す る 方 法 と 同 等 の 洗 浄 ・消 毒 効 果 を 示 した
か っ た 。 した が っ て,こ れ らの 器 物 の 洗 浄 ・消毒 には ア
が,作 業 性 の 上 で は 明 らか に次 亜 水 を使 用 す る 方 法 に比
ル カ リ水 一 精 製 水 一 酸 性 水 処 理 が も っ と も効 果 的 で あ る
べ て 簡 便 で あ っ た。
と考 え られ た 。 従 来 法 で は ガ ー ゼ,ス
テ ン レス に 比 べ て
凹 凸 が あ る タ イ ル に付 着 した 菌 を排 除 す る こ とが 難 しい
俎 板,包
丁 な どは 食 物 の 汚 染 源 と な っ て お り31)作業 中
で も消 毒 が 必 要 な場 合 が あ るが,繁 忙 期 に は作 業 を 中 断
VOL.48
773
電 解 水 に よる厨 房 消 毒
NO.10
して 除 菌 す る こ とは 一 般 的 に 困 難 で あ る 。一方,蛇
口を
す る こ とが で き る こ とか ら,ア ル カ リ水 を川 い た ブ ラ ッ
回す と電 解 水 が 生 成 さ れ る 装 置 で は,従 来 の よ う に 水 道
シ ン グ と酸性 水 を線 み 合 わ せ る と よ り優 れ た効 果 が 期 待
水 感 覚 で使 用 す る こ とが 可 能 な た め,十 分 量 の 電 解 水 で
で きる。 した カし,て,有
対 象物 を 洗 浄 ・消 毒 し,感 染 経 路 を 遮 断 す る こ とが 容 易
は,水 道 水 感 覚 で 使 用 で き る電 解 水(強 酸 性 電 解 水 。 強
で あ る。 電 解 水 処 理 に よ る食品 の賞 味 あ るい は香 りの 減
ア ル カ リ性 電 解 水)が
退,変 質 が 懸 念 さ れ る が,食 品 そ の もの に直 接 作 川 させ
川 な方 法 で あ る と 考え る 。
機物の混 人が多い厨房 の消 毒に
有 効 で あ り公 衆 衛生上 きわ め て 有
るの で は な い た め,影 響 は ほ とん ど ない と思 わ れ る。 短
謝
所 と して は,対 象 とす る 器 物 に よ っ て は 錆 が 出 や す い(次
本研 究 の ・部 は厚 生省 科 学1砂
院 費(食 品 衛 生 側 査研 究
亜 水 に も認 め られ る9,10))こと,初 期投 資(機 器 の 購 人,
配管 費 用)お
経 済 性,作
辞
事 業)に よ り行 わ れ た。
文
よ び 定 期 点 検 が 必 要 で あ る こ とで あ るが,
業 効 率,簡 便 性,確
実 性 をあ わせ て 考慮 す る
1)
実 施 した が,夏
期
で あ れ ば よ り効 果 的 な結 果 が 期 待 で き る こ とが 考 え られ
2)
水 野 徳 次: 臨 床 分 離 株 に 対 す る
11∼16,
1993
大 久 保 憲: 電 解 酸 性 水 に 関 す る 調 査 報 告, 日 本手 術 医
学 会 誌15:
3)
安部
508∼520,
敏, 宮
1994
豊, 奥 田 礼 一:酸 化 電 位 水 のHBウ
イ ル ス に 対 す る 不 活 化 作 用。口 歯 保 誌37:
る。
1623,
これ らの 施 設 で 汎 用 され て い る 布 巾 は 一 般 的 に は作 業
終 了 後 次 亜 水 に 浸 漬 させ て 消 毒 す る場 合 が 多 い,デ
ータ
に は示 して い な い が,浸 漬 直 後 の 一 般 細 菌 数 は210g以
下 で あ るが,一
中 村 良子,
ア ク ア酸 化 水 の 効 果。日 環 感8:
と,電 解 水 に よる 洗 浄 ・消 毒 は 有 益 な 方 法 で あ る と思 わ
れ る。 本 試 験 は 厳 冬 期(1∼2月)に
岩 沢 篤 郎,
献
晩 浸 漬 す る と 細 菌 数 は 約4∼5logで
4)
120∼127,
っ た。 これ は浸 漬 中 に 布 巾 な らび に 付 着 有 機 物 な どに よ
考 え られ る。 した が っ て,布
6)
ル カ リ水 中 の
2000
堀 田 国 元: 電 解 水 の 生 い立 ち と 行 方 。 月 刊 フ ー ドケ ミ
8)
Venkitanarayanan
カ ル5:
al.:
19∼24,
tivating
enteritidlis,
ム は 食 品添 加 物 と して 認 め られ て お り'21,さ ら に使 用 後
viron.
9)
of
The
resorations
in
oxidizing
問題 点 が あ げ られ て い な い 。 しか も,厨 房 で の 使 用 量 は
38∼48,
1998
高 杉 益 充: XI.
新 太 喜 治 編),
11)
12)
water
on
metallic
reduction
behav-
Sch.
Dent.
39:
その 他の消 毒 剤。 消毒
杉 益充 ・
117∼122,
1996
小 宮 山 寛 機: 電 解 水 の 安 全 性。 食 品 と開 発33:
8∼9,
1998
13)
Miyamoto
M,
Inoue
K,
Gu
potential
と思 われ る。
bacterial
infection
in
Transplantation
14)
待 され てお り,す で に 米 国 で は認 可 され て い るが 日本 で
Tsuji
S,
Kawano
infection
は食 品 添 加 物 規 制 問 題 で 認 可 され て は い な い 。 しか し,
31:
15)
528∼535,
405∼411,
S,
Oshita
etal.:
Effectiveness
water
islet
8:
acidic
Y,
in
preventing
transplantation.
Cell.
1999
M,
etal.:
electrolyzed
Endoscope
water.
dis-
Endoscopy,
1999
桜 井 幸 弘: 内 視 鏡 に よ る 感 染 防 止 マ ニ ュ ア ル 。 総 合 臨
床48:
16)
using
2425∼2426,
Sasai-Takedatsu
去 しな い と,酸 性 水 は 十 分 殺 菌 効 果 を発 揮 で き な い の
Reduction
で,通 常 洗 剤 に よ る ブ ラ ッ シ ン グで 有 機 物 を除 い た 後 酸
skin
性 水 で 消 毒 を 行 って い る。 一 方,酸 性 水 の 反 対 側 の電 極
therapeutic
52:
か ら生 成 さ れ る ア ル カ リ水 は 有 機 物 を 溶 解 し容 易 に 除 去
En-
の酸性 電解 水生成 水溶 液の 手指消 毒 効
oxidative
わが 国 で は厨 房 施 設 の 消 毒 を 目的 に導 入 され は じめ た。
Appl.
乙 黒 一 彦, 鈴 木 英 世, 秋 丸 洋 子, 他: グ ロ ー ブ ジ ュ ー
ofacidic
厨 房 施 設 お よび 機 器 は有 機 物 が 付 着 して お りこれ らを 除
et
inac-
医 薬 ジ ャ ー ナ ル 社, 大 阪, 1998
あ っ た と して も,人 体 へ の 影 響 は次 亜 水 に 比 べ て 少 な い
現 在,酸 性 水 の 優 れ た殺 菌 力 の 食 品消 毒 へ の 応 用 が 期
C,
Salmonella
Univ.
電 解 酸 性 水7.
次 亜 水 は ほ ぼ 同 等 の 消 毒 効 果 が 得 られ た が,次 亜 水 は現
度 で あ り,多 少 の 残 存 が
H7,
vitro
J. Nihon.
ス 法 に よ る2種
し,酸 性 水 は30∼40mg/L程
Y
for
1999
in
果 に つ い て 。 環 境 感 染11:
上 使 用 され て い るの に対
157:
of oxidizing
処 理 も問 題 は な い10)。一 方,本 研 究 に お い て,酸 性 水 と
場 で は少 な く と も100mg/L以
O
mouth:
water.
Hung
monocutogenes.
4276∼4279,
effbct
the
O,
剤 一 基 礎 知 識 と 臨 床 応 用 。P. 186∼188(高
に比 べ て 少 な く,有 機 物 との 反 応 に よ り速 や か に不 活 性
化 され る た め 残 存 性 は ほ とん ど な いの で,使 用 後 の 廃 水
65:
G
oxidizingwater
Listeria
Micmbiol.
NishidaT:
Ezeike
coli
and
ior of
10)
S,
electrolyzed
Escherichia
酸 性 水 は細 胞 お よ び動 物 を 使 用 した種 々 の毒 性 試 験 で は
上)
1998
K
Efficacy
て容 易 に 中和 され る。 しか も,低 濃 度 の 水 酸 化 ナ トリ ウ
市 販 の 塩 素 系 消 毒 剤 の 使 用 濃 度(最 低100mg/L以
755∼765,
7)
水 酸 化 ナ トリウ ム 濃 度 は きわ め て 低 く,有 機 物 と反 応 し
は水 洗 ・除去 され る た め,残 留 の 心 配 は ほ とん ど ない 。
Py-
1994
ア ル カ リ水 の 主 成 分 は水 酸 化 ナ トリ ウ ム で あ る た め,
厨 房 で の 使 用 の 危 険性 が 危 惧 され る が,ア
1996
奥 田 礼 一, 笹 崎 弘 巳, 兼平 正 史, 他: 形 態 変 化 か ら 観
た 酸 化 電 位 水 の 殺 菌 効 果 。 日 保 歯 誌37:
巾 は 使 用 直 前 に消 毒 す る こ
とが 望 ま しい。
915∼922,
中 村 美 幸, 横 旧 憲 治, 小 熊 恵 二, 他: Helicobacter
loriに 対 す る 電 解 機 能 水 の 殺 菌 効 果 。 感 染 症 誌74:
あ
っ て有 効 塩 素 濃 度 が 失 わ れ 細 菌 の増 殖 が 起 こ っ た もの と
岩 沢 篤 郎 。 中 村 良子: 酸 性 電 解 水 と擬 似 酸 性 水 と の 殺
菌 効 果 の 比 較 検 討 。 感 染 症 誌70:
5)
1616∼
1994
lesions
1012∼1016,
1999
M,
Kojima
T,
of Staphlylococcus
with
acid
strategy
for
1977
Yamamoto
A,
aureus
electro-lytic
atopic
in
water-a
dermatitis.
etaL:
atopic
new
Allergy.
日 本 化 学 療 法 学 会 雑 誌
774
17)
小松
茂, 斉 藤 幸 夫, 川 村 隆 男: Staphylococcus
mediusに
水 の 治 療 効 果 。東 北 家 畜 臨 床 研 究 会 誌19:
18)
小松
cutting
inter-
起 因 す る子 豚 の 膿 皮 症 に 短 す る ア ク ア 酸 化
茂, 佐 藤
隆,
Food
26)
1∼6, 1999
19)
Horiba
N,
effect
isolated
Med.
Hiratsuka
of
from
Oral
83•`87,
20)
芝
K,
Onoe
electrolyzed
infected
Pathol.
root
Oral
22)
canals.
183,
al.:
27)
1996
on
28)
87:
1994
29)
高 橋 修 和, 吉 川
泉; 食 品 衛 生 分 野 に お け る 滅 菌 と消
企 画 出 版, 弘 前, 1995
1995
30) 宇
満: 強 酸 性 電 解 水 に よ る 生 野菜 の 除
田 川 俊:
分 離 法(山
31)
1998
Zhao
毒 方 法 の 調 査 な らび に 研 究。 食 品 衛 生 研 究47:
53, 1997
nation
Inactivation
and
Listeria
K S,
of
Ezeike
G O,
Escherichia
monocytogenes
Hung
coli O
on
Nobutoshi
Japan
of Veterinary
Food Research
Hoshizaki
The Kitasato
Electric
Microbiology,
water
Maehara1),
School
for
in
T,
Doyle
evaluation
the
&
Dプ
M
P,
of
microbial
kitchen.
J.
et
Food
al.:
Development
of
cross-contamiProtect
61:
960•`
1998
厚 生 省: 食 品 衛 塗 法 施 行 規 則(昭
和23年7月13日,
獣 医 畜 産 六 法, 新 日 本 法
規, 東 京, 1998
kitchen
Hidenori
Zhao
R
1986
厚 令23)。P.1348∼1404,
H 7
of electrolyzed
Satoh1),
32)
et
P,
model
963,
Y C,
plastic
Nobuo Achiwe3),
Department
49∼
157:
寵 内 耀 境 の 菌 類,
里 一英, 他 編)。p.409∼410,
ラ ン ニ ン グ, 東京,
a
al.:
拭 き取 り試 験 法 。5.
藤田
III. 種 々 の 環 境 お よ び 試 料 か ら の 分 離 法 。 微 生 物 の
27∼34,
小 宮 山 寛 機: 機 能 水 に よ る 病 原 性 大 腸 菌 汚 染 食 品 の 消
Hisaaki
4)
11∼19,
加 工技 術15:
政 系 編)39:
1998
1998
毒。(よ くわ か る 滅 菌 ・消 毒の 実 際)。p.29∼49,
Efficacy
3)
245∼249,
忍, 米 森 重 明, 他: 強 酸 性 電 解 水 の
山 中 個 介: 電 解 酸 化 水 を 利 川 し た 衛 生 管 理 技 術。 食品
7∼16,
177∼
慶 春, 他: 電 気 分 解 強 酸
物理 化 学 と殺 菌作 用。 日本手 術 医 学 会 誌19:
Venkitanarayanan
2)
野 村 浩 膿, 香 川
1999
23∼29,
J.
1999
発 生 に 及 ほ す 影 讐.生 物 環 境 調 節36:
Oral
Endodontics.
性 。 月 刊 フ ー ドケ ミカ ル5: 35∼42,
1)
water.
キ ュ ウ リベ と病 の 発 病 抑 制 お よ び 葉焼 け 様 生 理 障 害 の
bacteria
Surg.
鈴 木 鐵 也: 食 品 分 野 にお け る 電 解 水 利 用 の 実 際 と 安 全
25)
oxidizing
1999
寓士源 和 宏, 土 井 龍 太, 史
燦 彦: 強 酸 性 電 解 水 の 殺 菌 作 川 と 歯 科 領 域 に お け
山 本 輿 弓, 山 田
24)
electrolyzed
857•`860,
性 水 噴 窃 に よ る作 物 癖 害 防 除 に 関 す る 基 礎 研 究(2):
Bactericidal
Oral
and
菌 効 果 。 和 洋 女子 大 学 紀 要(家
1999
23)
et
water
Radiol.
る 応 用 の 歯 科 衛 生 士18:
21)
T,
neutral
by
62:
こ 病 抑 制 へ の電 解 水 の 利 用 。 農 作 業 研 究34:
症 お よ び 豚 の 滲 出 性 表皮 炎 に 対 す る ア ク ア 酸 化 水 の 治
1∼7,
Boards
Protect
2000
ア ネ ッ テ ・シ ャー ナ ー, 八 巻 良 和: キ ュ ウ リの う ど ん
斉 藤 幸 夫。 他: 牛 の 皮 膚 糸 状 菌
療 効 果 。 東 北 家畜 臨 床 研 究 会 誌17:
OCT.
for kitchen
Fusayoshi
Matsui4)
of Veterinary
disinfection
Ikawa2),
Yousuke
Saito3),
and Kanki Komiyarne4)
Medicine
and Animal
Sciences,
Kitasato
University
Laboratories
Co. Ltd.
Institute,
5-9-1
Shirokane,
Minato-ku,
Tokyo,
108-8642,
Japan
Electrolyzed acidic and alkaline water generated from tap water containing a small amount of salt by
electrolysis is strongly bactericidal (acidic) and degrades organic materials (alkaline).
Food may become
contaminated
by pathogenic microorganisms
from kitchen equipment
and the hands during food
preparation. To prevent food poisoning, we studied disinfection using electrolyzed water on several kitchen
materials. Applying sodium hypochlorite
(residual chlorine=100mg/L)
and acidic electrolyzed water (pH
2.7, residual chlorine=35-40mg/L)
against
Escherichia coli, Staphylococcus aureus, and Salmonella
typhimurium
adhering to tile, stainless steel, and gauze containing 0.1% protein killed almost all
bacteria. When 1% protein was added to the bacteria, they survived on the above materials after
disinfection with sodium hypochlorite and acidic electrolyzed water. Almost all bacteria were killed by
disinfection with acidic electrolyzed water after washing with alkaline electrolyzed water. Disinfecting
contaminated
materials such as cutting boards, boots, and knives with acidic electrolyzed water after
washing with alkaline electrolyzed water markedly decreased bacteria to the same level as with commonly
used procedures such as disinfection with sodium hypochlorite after washing with tap water. These
findings suggest that washing and disinfection with electrolyzed water effectively prevents bacterial
contamination of foods because electrolyzed water can be used in the same way as tap water.
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