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第8回かめのり賞 表彰者活動報告書 PDF(約5.8MB)

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第8回かめのり賞 表彰者活動報告書 PDF(約5.8MB)
公益財団法人かめのり財団
2015年度/第8回かめのり賞
活動報告書
第8回かめのり賞 表彰者(敬称略)
○ 特定非営利活動法人多文化共生教育ネットワークかながわ
○ 小さな美術スクール
○ 認定特定非営利活動法人地球の木
○ 特定非営利活動法人新潟国際ボランティアセンター
○ 公益財団法人日本キリスト教婦人矯風会「女性の家 HELP」
○ 特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター
○ 特定非営利活動法人ニランジャナセワサンガ
○ 特定非営利活動法人みんなのおうち
○ NGO ユイマール
第 8 回かめのり賞
NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net)
A: かめのり賞表彰回:第8回
B:団体名:NPO法人 多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net)
C:活動目的
神奈川県内を中心とした外国につながる子どもたちとその周囲の人たちに対して、外国につながる子
どもたちに必要な教育や多文化共生教育に関する事業を行い、多文化共生社会実現を目指した子どもの
人権擁護、健全育成及び社会教育の推進に寄与することを目的として様々な活動を展開しています。
今日の社会で、多様な文化を持った子どもや若者が息苦しい状況にあります。彼ら彼女らが、多様な
文化を持っていることに誇りを持ち、学校生活、さらには社会参加まで自己実現を果たし、社会のグロ
ーバル人材として活躍していくよう、学校から社会参加までの長い期間に見守りや寄り添いながら支援
を継続的に行いたいと思います。
1.活動奨励金の活用方法
外国につながる若者が主体的に行う活動や社会参加につながる活動の費用として活用させていただき
ました。外国につながる若者は、本人の意思で日本に来た訳でなく、親に連れられて日本にやってきた
ケースが多く、友達がいないという孤独感の中で、孤立し挫折するケースも多く、仲間づくりを通して
日本で生きていこうという気持ちが芽生え、スピーチや音楽発表などを通して自信をつけていきます。
そうした場がオルタボイスです。6月に「オルタボイス交流会」11月に「オルタボイスキャンプ」3
月に「オルタボイスフェスタ」を実施しました。さらには自分が日本社会でどう社会参加していく道筋
を支援者が寄り添う中で、考えたり、体験したりするのが社会参加につながる活動です。7月に「大学
にいってみよう」、8月に「職場見学会」を実施しました。
2.かめのり賞表彰後の事業活動の内容・功績
2014年度及び2015年度前半に行った事業の一覧です。
① 外国につながる子どもたちのための教育・進路支援に関する事業
ア 日本語を母語としない人たちのための高校進学ガイダンスの実施事業
イ 公立高校入学のためのガイドブック(多言語)の作成・配布事業
ウ 外国につながる高校生への学習等支援事業(多文化教育コーディネーターの派遣)
エ
外国につながる子ども支援のためのネットワーク会議
※上記 4 事業は神奈川県教育委員会高校教育課との協働事業
オ たぶんかフリースクールよこはま運営事業
=文部科学省「虹の架け橋事業」
(青丘社及び ABC ジャパンとの共同)
カ かながわ外国人教育相談の実施事業
キ 外国につながる若者交流事業
②
ク
「多文化学習活動センター(CEMLA)」に関する事業
ケ
定時制高校等でのキャリア支援事業(2015 年度より県教育委員会との協働事業)
多文化共生教育にかかわる啓発・提言に関する事業
(通訳・講師派遣、翻訳、活動報告書作成など)
第 8 回かめのり賞
NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net)
ME-netの事業のネットワーク図
…県教育委員会との協働事業
外国につながる子どもや若者の各ステージでの活動
海外で中学を卒業した子ども
を高校へつなぐフリースクール
外国につながる中学生等への支援
小中学校
ア)高校進学ガイダンス(9-10 月実施)
イ)ガイドブック(7 月作成・配布)
オ)たぶんかフリースクール
高校進学への支援
高等学校
よこはま(通年)
外国につながる高校生等への支援(通年)
ウ)多文化教育コーディネータ派遣
外国につながる若者へのキャリア支援(通年)
大学・専門学校
ケ)定時制高校等でのキャリア支援
すべてのステージを通した支援
社会参加へ
カ)外国人教育相談(通年)
キ)若者交流(6 月、11 月、3 月)
ク)多文化学習活動センター(通年)
(CEMLA)
エ) 外国につながる子ども支援のためのネットワーク会議(8 月)
行政とNPO・NGOがともに課題解決のために会議し、連携協力を作っています。
県教育委員会(主催)
ME-net(主催)
県国際課
かながわ難民定住援助協会
(かながわ外国籍県民会議)
川崎市ふれあい館
県青少年課
日本ペルー共生協会
国際言語文化アカデミア
かながわ国際交流財団 他
第 8 回かめのり賞
NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net)
【活動の内容及び功績】
①
外国につながる子どもたちのための教育・進路支援に関する事業
当団体は、神奈川県教育委員会はじめ県内各市教育委員会との連携・協力体制を築き、県内で支援活
動を行う団体とのネットワークを大切に活動を行っています。その成果として、様々な事業が有効に展
開できています。その成果の代表事例として、年1回開催している「外国につながる子ども支援のため
のネットワーク会議」が上げられます。県の様々な部署の担当者とNPO等の支援団体のメンバーが一
堂に会し、外国につながる子どもの現状や課題を共有し、課題解決のための協力や取り組みを行ってい
ます。このような行政とNPO等が定期的に会議を行う事例は稀有で、先駆的な取り組みとして注目さ
れています。
また、今回の活動奨励金を活用させていただいた事業の中で、2015年6月に行われた「オルタボイス交
流会」についてご報告します。横浜総合高校を会場に県内の高校に在籍する外国につながる生徒が約40
名参加しました。高校生自身がグループリーダーとなり、4つのグループで「自分の体験を語ろう」「文
化の違いを乗り越えて」「将来について考える」などのテーマで話し合い、発表しあいました。今まで
自分の中に閉じ込めていたいじめ体験を話す生徒や学校の中で友達ができない日本語がわからないなど
の悩みを打ち明ける生徒もいます。そうした悩みや困難を仲間や支援者の手助けを得て、乗り越えるこ
とができます。このオルタボイス交流会にはNHKのニュース取材が入り、首都圏ニュースで報道され
ました。(2015年6月)
②
多文化共生教育にかかわる啓発・提言に関する事業
文部科学省や神奈川県教育委員会と連携し、「高等学校等就学支援金」や「高校生等奨学給付金」の
10言語翻訳版を作成し、ホームページで公開しています。神奈川県内のみならず、全国からアクセスが
あり活用されています。
3.今後の展望
①
日本社会が移民や難民の子どもたちを社会として受け入れ、社会参加し、社会貢献するために
日本社会がいわゆる「移民し、定住化する人々」の受け入れに関して、きちんとした政策を持たない
ままに、外国につながる子どもや若者たち(2世、3世)がどんどん増えてきています。彼ら彼女らは、
グローバルな視点で考えれば、宝石の原石のようなグローバル人材です。日本政府は、「留学生の活用」
のみに目がいきがちで、「定住する外国につながる若者」の育成がおろそかです。私たちはそうした外
国につながる若者の育成や支援の必要性や有用性を訴えながら、実践的な活動を幅色いネットワークを
活かして継続していきたいと考えています。
②
多文化社会の構築のために
多文化共生社会は、マイノリティである外国につながる子どもや若者に、マジョリティである日本の
子どもや若者たちが自ら近づき、彼ら彼女らの困難さや悩みを知り、文化・言語・習慣などの違いを相
互に理解し合い、違いを認め合いながら形成されていくものと考えます。そのためにも学校での多文化
共生教育を教育委員会や学校との連携の中で構築していきたいと考えます。
第 8 回かめのり賞
NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net)
活動の様子(かめのり賞の活動奨励金活用事業から)
2015年3月オルタボイスフェスタのポスター(右)
とダンス発表の様子
2015 年 6 月オルタボイス交流会の様子。
(グ
2015 年 6 月オルタボイス交流会の様子。
(グ
ループでの話し合い)
ループごとに話し合った内容の発表)
2015 年 7 月桜美林大学での「大学に行って
2015 年 8 月いずみ保育園で職場体験会
みよう」
(園長先生の話を聞く参加者)
第8回 かめのり賞
小さな美術スクール
活
動
報
告
書
A:かめのり賞表彰回:第 8 回かめのり賞表彰
B:団体名:小さな美術スクール
C:活動目的
カンボジアには学校教育科目に図工や美術の授業がなく、また、子ども達を取り囲む経済的・地理的理
由からも、子ども達の多くは「絵を描きたい」と言う成長過程の自然な知的欲求を満たすことができており
ません。
こうしたカンボジアの子ども達へ、一度きりの子ども時代を心豊かに過ごしてほしいと願い、シェムリ
アップ市内に無料で学べる美術スクールを建築し、「表現する喜び」と「豊かな表現世界」を広げられるよ
う活動。子ども達の潜在能力や可能性を引き出し、世界を広げる機会を提供すると共に、カンボジアの文
化を担う人材の育成に繋がることができるよう活動しております。また、経済的困窮が理由で外国語を学
びたくても学ぶことができない子ども達への日本語授業も実施、合わせて学業・生活支援を行い、子ども
達の未来の扉が少しでも開けるよう活動しております。
(1)活動奨励金の活用方法
a) 美術館ではなく、ギャラリーとなりましたが、応募時に記載した次の内容通りの増改築の一部金とし
て奨励金を活用させていただきました。
「カンボジアの小さい子ども達が描く生命感に溢れた作品は多くの人を魅了している。
また、2007年からの活動を通して、子ども達も大人へと成長し、独創的な絵画を創作する生徒も
増えている。カンボジアにはこうした作品を発表し展示する場がないため、子ども達の生活を支援で
きるようスクールを改築して、作品を常設展示できる子ども美術館建設の費用に当てたい。」
b) 増改築箇所
・スクール1階教室の壁2面を壊してスペースを広げ、ギャラリーに改築。
・2階建てのオープン教室を増築。
・スクール建物外壁に雨避け屋根の取り付け(制作スペースの確保)
・収納小屋の増築(教室内にあった画材の収納)
・スクールの環境整備(塀を白壁に塗装等)
(2)かめのり賞表彰後の事業活動の内容・功績
a) スクールを 増改築し教育環境を整えたいと言う夢が、受賞の知らせを受けて実現可能な計画になり、通
常のスクールや出張授業に加えて、増改築の具体的な案の作成に入りました。2階建てのスクールを3
第8回 かめのり賞
小さな美術スクール
階建てにする当初の計画は、見積もりの段階で予算的に難しいことが判明、計画を変更。既存の建物の
改築部分をできるだけ最小にして、作品を常設展示でき、十分な制作スペースの確保、尚且つ、増改築
費用を安価にする計画案の作成を急ぎ、増改築箇所を決めました。建築資材は施主が購入し、労働者だ
けを雇うカンボジア独特の方法があることを知り、その方法でギャラリー改築から始め、約3ヶ月で全
ての増改築を終えることができました。この間、日本で開催するスクールの子ども達の作品展の作品準
備及び日本語検定試験を受験する生徒の日本語授業の継続、初めて絵を描く子ども達への遠方への出張
授業等、年当初の授業計画からずれない様にし、改築を行いました。
b) 今年3月まで無料でお借りできていたギャラリーを閉鎖後、働く場と作品発表する場を失った生徒達
にとって、6月末スクール内にギャラリーをオープンできたことは、働く場と作品発表できる場が確
保でき、制作、生活両面の支援に繋がりました。
c) 学校の増改築は、日本の財団の活動奨励金を受賞できたことによることを生徒達に伝え、生徒達も貴
財団のご厚意に深く感謝しておりました。
d) 増改築によって制作スペースが広くなり、また、スクール周りの環境も整備できたことにより、以前
よりも明るく、整った環境で子ども達がのびのび制作できるようになりました。
e) スクールに通う小さな子ども達や村から通う子ども達にとっても、ギャラリーに展示してある作品を
常に鑑賞できることは、自ら学ぶ姿勢を養う教育的効果が出ています。
f) 増改築後の整った環境で制作した作品を掲載した作品集「Joy of Art – カンボジア 輝く瞳の子ども達
の絵画集」を出版致しました。
g) 活動を始めましてから、授業見学等でこれまでに33カ国の方が来校して下さいましたが、スクール
内にギャラリーが併設されたことにより、スクールにいらっしゃる各国の方々のカンボジアの子ども
達に対する理解が深まったように思えます。この活動に共感して下さり、個人的善意の支援の輪も広
がりつつあります。
(3)今後の展望
a)
スクールでの美術・日本語授業、近隣の村への出張授業をこれまで通り継続し、地域に根ざした活
動をして行きたいと考えます。また、産業の少ないカンボジアで、貧しい家の子ども達の将来の職業
選択の幅が少しでも広げられるよう、自己の能力を開発、発展させることができる環境を提供して行
きたいと考えます。
b)
無料の学校ではありますが、カンボジア教育省から学校としての正式な認可が下りましたので、文
化の光の当たらないカンボジア農村部の子ども達へ、表現する喜び、楽しさを伝えられる美術教育者
や、次世代のカンボジアの文化を担える人材を養成して行きたいと考えます。
c)
スクール、ギャラリーを訪れて下さる世界各国の人々と繋がり合い、貧しさゆえに自己の能力を発
展させる機会を得られない子ども達への共感の輪を広げて行きたいと考えます。
第8回 かめのり賞
小さな美術スクール
改築前の1階教室の授業風景。
・壁2面を壊してスペースを広げ、
ゆったりした空間となるよう開口
部の大きい窓を設置
・室内からトイレドアーが直接見えないようにレンガ壁を設置、
ま
た、
ドアーの開閉の向き変え
・照明器具、扇風機取り付けの電気工事
・車庫スペースだったところに、
2階建てのオープン教室を増築し、
2教室分増築
・制作スペースをできるだけ広くするために、
スクール建物外壁に屋根を取り付けて、制作スペ ースの確保
・1階教室にあった画材等の物品を収納する小屋の増築。 第 8 回かめのり賞
認定特定非営利活動法人 地球の木
活動報告書
1.かめのり賞表彰回:第 8 回
2.団体名:認定特定非営利活動人 地球の木
3.活動目的:
アジアの途上国は目覚ましい発展を遂げていますが、押し寄せる経済発展の陰で、少数民族、
貧困家庭の少女たちなど、弱い立場におかれた人びとは、更なる貧困へと追い込まれています。
地球の木はこのような人びとが自ら力をつけて、困難な状況を改善していくことができるように、
現地の NGO パートナーと協力しながら支援を行っています。また、日本に住む私たちが、同じ地
球市民としてつながりながら、貧困・人権・環境破壊などの問題と日本との関わりを考え、 私た
ちの暮らしを見つめなおし、広く社会に発信しています。
(1)活動奨励金の活用方法
活動奨励金は、2014 年度に支援を始めた新規プログラム「カンボジア DV/レイプ被害者支
援」とネパールでおこなっている支援プログラム「ネパールしあわせ分かち合いムーブメント」の活
動に使わせていただきました。
カンボジアのプログラムでは、DV/レイプ被害者のための保護シェルターの運営支援(6 か月間の
生活費、職業トレーニング、カウンセリングなどの心のケアなど)の他、プログラムの広報ビデオ制
作のためのフォトグラファーへの謝礼として使わせていただきました。
ネパールのプログラムでは、奨学金(高校 2,3 年生) の支給、教師トレーニング、小学校教師の
給与補助、作文コンテスト、会報誌作成などに使わせていただきました。
(2)かめのり賞表彰後の事業活動の内容・功績
①カンボジアプログラム(2014 年度プログラム)
・職業トレーニング(裁縫クラス)
シェルターで保護されている被害者たちが立ち直るためには、手に職をつけ、自立できるようにな
ることが必要です。中でも、裁縫トレーニングは、シェルターを出た後、縫製工場(近年は軒並み
に増えている)で働いたり、自宅でテーラーの仕事を始めることができるため、一番現実的に有
効な手段といえます。
・カフェトレーニング
近年カンボジアでは、カフェが多く開店していて若者に人気のスポットとなっています。カフェで働
きたいという希望者が多いため、エスプレッソマシーンでコーヒーを入れたり、オーブンでケーキ
やクッキーを作るトレーニングをおこなっています。また、カフェを始め、首都プノンペンの飲食業
で働くためには、外国人顧客のために英会話の習得も必須であるため、新しく英会話のクラスも
始まっています。
・支援プログラムを広報するためのビデオ作成
カンボジアでの新規のプログラムは DV/レイプ被害者の支援ということで、地球の木としても初
めて取り組む「重たい」問題です。プログラムをわかりやすく説明し、共感を得るために広報用の
ショートビデオを制作しました。DV やレイプの被害者でシェルターに入居している人たちの撮影
に関しては厳しい規制・プロトコールがあり、特別な配慮が必要なため、プロのカメラマンに依頼
して(ボランティア価格で)、本人を特定できないような配慮した撮影をお願いしました。シェルタ
ーで、しっかりと保護された環境できちんとした治療、セラピーを受け、職業トレーニングを受けな
がら、被害者たちが自分を取り戻していく様子が描かれていて、プログラムの主旨をうまく伝える
ことができるビデオができあがりました。
②ネパールプログラム(2014 年度プログラム)
・奨学金の支給
奨学金を受けた高校生 8 名が卒業し、8 名が進級、新たな 8 名が選出されました。奨学金を受け
た卒業生の中には他のNGOの訓練生に選出され、保健衛生分野のリーダー研修を日本で受け
ている女性もいます。
・教師サポート
2 村の小学校 3 校において、新任教師 3 人の給料をサポートし、教授法の助言をしました。民
族の言葉ができる教師は地域で歓迎されています。
・作文コンテスト
ロシ地域の4つの高校から 21 名が参加、優勝者の作品が地域の会報誌「ロシ・ラハール」に掲
載されました。この会報誌の発刊は、地球の木の支援プログラムのひとつとしておこなっている
もので、発行は 500 部。紙媒体の少ない地域で自分たちの近況や作文が掲載されることは、学
生たちのモチベーションを大きく高めるものとなっています。
★上記のネパールプログラムについて、2014 年 4 月の大地震により地球の木の支援地も大きな
被害を受けました。すでに第 1 次、第 2 次の緊急支援を実施し、現在、第 3 次緊急支援の準備
をしているところです。現地パートナーと上記の支援者を含む現地の人々が手を携えて現地の
復興し尽力しています。
(3)現在、今後計画している事業(今後の展望やアピールなど)
カンボジア:
被害者たちがシェルターを出た後、経済的に自立することがなにより必要なため、通常のシェル
ター運営支援に加えて、日本にいる私たちができることとして、カフェトレーニングに対するメニュ
ーやレシピの提供など、職業訓練へのアドバイスやアイデアの提供もおこなっていきたいと思っ
ています。
ネパール:
引き続き、上記の教育支援、生活向上のための支援、ムーブメントを広げるための会報誌作成
などの支援を行っていきます。しかし、大地震の被害で、地域にある殆どの学校が使えなくなっ
てしまいました。緊急支援で、中期的に使用できる校舎の建設も行いながら、現地の復興を支え
ていきたいと思っています。
第 8 回かめのり賞
認定特定非営利活動法人 地球の木
■カンボジア
シェルターにはモスリムの被害者もいる
裁縫教室で指導を受ける被害者少女。シェルターでは写真
やビデオの撮影に関して厳しい規定(制限)がある。
ビデオのインタビューを受ける被害者。
後ろから撮る、逆光で撮るなど、ビデオ撮影にも様々
な工夫が必要。
カフェトレーニングでケーキを焼いている
ケーキとカプチーノ(右)
■ネパール
作文コンテスト表彰式。ちょっぴり誇らしげな顔で。
奨学生たちとの話し合い
第 8 回かめのり賞
特定非営利活動法人新潟国際ボランティアセンター
活
動
報
告 書
A: かめのり賞表彰回:第 8 回
B:団体名:特定非営利活動法人 新潟国際ボランティアセンター
C:活動目的
NVC の組織の目的(Vision)は以下の通りです。
「 私たち NVC は、この地球上に作られた人と人との境界を越え、心に響き合う交流を通じ
て、幸せな未来に向かって助け合い育ち合うきずなを作るかけ橋となることを目指します。
--- 私たちが考える「境界」
: 国境、人種、宗教、世代の壁、経済格差 ---」
この目的に向かって、ベトナムにおいて貧困層の大学生に対する奨学金支援事業、障がい
をもったこどもたちの生活支援・自立支援事業、シェルターで暮らすこどもたちの自立を目
指したフェアトレード事業、小学校支援事業、ラオスにおいて農村開発事業、地元新潟にお
いてチャリティーバザー事業、留学生に対する国民健康保険料助成事業、啓発講座事業など
を展開しています。
1.活動奨励金の活用方法
活動報奨金は、当団体が展開している中で特に未来に向けて発展できる様な事業を実施するた
めの費用として大切に使わせていただきました。おかげで、ベトナムのフェアトレード事業、障
がい児の自立支援事業、新潟の若者のグローバル人材育成事業、当団体設立 25 周年記念事業を実
施することができました。
2.かめのり賞表彰後の事業活動の内容・功績
【ベトナムでの活用】
①フェアトレード事業
孤児院及びシェルターで暮らす女児達の自立を目指し職業訓練を兼ねて縫製技術を学んでもら
う、というフェアトレード事業において、継続して支援をすることができました。2014 年より支
援を開始したシェルターでは、女児達が意欲的に縫製技術習得に取り組んでいることが確認でき
た為、更に事業規模を拡大し、2015 年 8 月から縫製の布や糸、ミシンの購入費、縫製指導者の雇
用費などを支援することができました。
1 年半前までミシンを使用したことが無かった女児達が慣れた手つきでミシン台に向かい、誇
らしげに縫製作業に取り組む姿には感動すら覚えました。自分の力で作品を作ることができる、
という技術を身につけた彼女たちからは、自分を信じる力のようなものも感じます。エンパワー
メントを促進できているという実感を得ることができました。
②障がい児自立支援事業
ラムドン省にある孤児院マダグイこどもセンターにおいて、障がい児の自立を目指した職業訓
練として線香を生産する機械を購入することができました。センターは仏教系の僧侶が運営して
いるため、線香の販路は確保しております。線香生産の技術を身につけ、将来は自分の力で生活
していくことができるような自立支援をすることができました。
③新潟の若者のグローバル人材育成事業
新潟の大学生を中心とした若い世代に、世界的な視野を持ちながら地元新潟で国境を超えた社
会活動の担い手となってもらうべく、グローバル人材育成事業を実施することができました。単
発のイベントや勉強会・ワークショップではなく、インターン生として定期的に業務に従事して
もらい、積極的にベトナムの学生とつながる機会を設け、きめ細やかに業務及び NGO 組織の運
営方法について指導しました。これによって、地元の様々な人と関わりながら社会貢献活動を継
続して行っていく将来のリーダー育成を行うことができました。
④当団体設立 25 周年記念事業
11 月 23 日(月祝)に、当団体設立 25 周年記念シンポジウムを開催することができました。当
団体からの奨学金のおかげで学問を成就することができ、卒業後は日系企業に就職し、ようやく
貧困から抜け出すことができたので、今度は自分が NVC の支援者(ドナー)となり寄付者とな
った元奨学生のロイ氏(他二人)を新潟にお招きし、学ぶことの重要性や日本及び新潟に対する
思いを話してもらいました。会場には地方都市でありながら 110 人以上の来場者があり、地元メ
ディアにも多数取り上げられました。これをきっかけに新たに会員になりたい、と申し出てくれ
る人もおり、ベトナムと新潟をより深くつなげることができました。
3.今後の展望
①フェアトレード事業の拡大
昨年度までは、フェアトレード事業を開始したばかりであり、そのため生産に従事する女児達
の意欲や学業との両立方法、運営体制などその都度確認、調整などを行っていました。しかし、
度重なる調査の結果、女児達の意欲が高いという結論を導き出すことができ、なおかつ彼女たち
のエンパワーメントも促進されているという成果を見出すことができたため、来年度以降は支援
規模の拡大及び本格的に日本で生産物を販売していく、という段階までステップアップすること
を見越して計画を立てています。
②新規支援者の拡大
今年度は新たに奨学金支援事業において、直接奨学生とつながることのできる 1 対 1 のサポー
ター制度を導入することができました。この仕組みに賛同してくれる人が多く、申込みも順調に
受け付けることができているので、次年度以降より多くの奨学生をサポートするべく多くの人か
ら共感を得てもらえる様な広報展開を実施していきたいと思っています。
また、先述のロイ氏のように、ベトナムの何人かの元奨学生が現在は貧困から抜け出すことが
できたので今度は当団体を通じて自分たちが支援する側となりたい、と申し出てくれています。
寄付者となってくれる人、当団体のスタッフとなりフェアトレード事業の進捗状況をレポートし
てくれている人、など様々な形で協力してくれています。こういった支援の輪がつながっていく、
という新しい支援の形を今後も継続して作って行きたいと思っています。
~おわりに~
当団体にとって、第 8 回かめのり賞を受賞できたということは、本当に大きな喜びでした。地
方の小さな NGO であり、首都圏の団体に比べて大規模な活動は展開できていないという状況に
も関わらず応援していただいた、というのは組織として成長し続け活動を継続して実施していこ
う、という決意を強固にすることができました。新規支援者の拡大もそうですが、新たなる資金
調達ツール(カラクリ募金箱の開発及び配布やアンバサダー制度)などを展開することができる
ようになり、より多くの方が参加しやすい環境を整えることができました。心から感謝しており
ます。これを再スタートとし、更に日本とアジアの発展に寄与していきたいと思っておりますの
で、どうぞこれからもご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。
以上
第 8 回かめのり賞
特定非営利活動法人新潟国際ボランティアセンター
支援活動の様子(新潟国際ボランティアセンター)
フェアトレード事業でミシンによる縫製技術を学
ぶ女児達の様子。調査担当者が到着するなり、自分
の作った作品を笑顔で持ってきてくれました。かめ
のり財団報奨金の一部を使って継続支援をするこ
とができました。
障がい児支援事業において、線香を作る機械を使っ
て線香作りを学ぶこどもの様子。かめのり財団報奨
金の一部を使って機械の購入支援をすることがで
きました。
フェアトレード事業でミシンの台数を増やし、より
多くの女児が縫製技術を学ぶことができるように
なりました。
グローバル人材育成事業において、担当インターン
生と共に関係企業・団体を訪問する様子。新潟とい
う地域の NGO はどのような人々に支えられている
のか、ステークホルダーを実際に直接訪問すること
によって具体的に理解してもらいました。報奨金の
一部を使って実施することができました。
当団体設立 25 周年記念シンポジウムの様子。右の写真向かって右に座っているのが、元
当団体の奨学生で現在は貧困から抜け出したため、寄付者となったロイ氏。地方都市であ
りながら、110 人を超える参加があり、支援活動の軌跡を辿りながら未来に向かって進む
決意表明をすることができました。
活動報告書
A. かめのり賞表彰回:第 8 回かめのり賞表彰
B. 団体名:公益財団法人日本キリスト教婦人矯風会 女性の家 HELP
C. 活動目的
女性の家 HELP は、日本キリスト教婦人矯風会の創立 100 周年を機に、1986 年に設立
されました。女性とその子どもたちのための緊急避難センターとして、国籍・在留資格の
有無を酔わず、シェルター活動と電話相談活動を行っています。シェルターでは主に DV
や売春強要(JK ビジネスなど)から逃れてくる人、住居を失った人、また、最近は妊婦を
多く受け入れるようになりました。電話相談では自分自身、夫や恋人、子どもの事など、
何でも受け付けています。女性と子供の人権を守るために、それぞれの問題の解決を目指
しながら、私たちの社会が「人を大切にする地球市民の社会」となるよう願いつつ活動し
ています。
HELP が大切にしている事:
1.非暴力の立場に立ち、安全と安心な場を提供するよう心がけています。
2.当事者の自己選択を尊重し、当事者と協議するスタンスをとります。暴力の問題を総
合的にとらえ、女性と子どものそれぞれの立場から支援することを心がけています。
3.母国語での支援を大切にし、一人ひとりの違いやニーズに合わせて柔軟に対応し、そ
れぞれの力が十分に発揮できるように支援しています。
4.様々な関連機関・団体を連携・協力し、ネットワークを活用しながら、支援や政策提
言をしています。
5.暖かい布団と手作りの食事を提供し、皆が気持ちよく心地よい場となるように心がけ
ています。
(1)活動奨励金の活用方法
昨年 10 月から二名の国際インターンを韓国とコンゴから迎えた。彼女たちの住宅契約費
の補助、活動費に当てさせていただきました。他の施設見学・政府主催イベントへの参加・
HELP の郊外活動・退所者ケアプログラムの同行等です。彼女達は日本語クラスにも通い、
日本語も上達して外国籍入所者と日本語学習を積極的にしました。2016 年 4 月末まで
HELP で活動予定です。彼女達の存在は外国籍入居者にとって心強いものであると確信し
ています。
また、昨年度は行政からの支援が一切ない外国籍入居者がおり、10 か月 HELP に滞在し
た。彼女の入管・行政・弁護士事務所・通院同行及び彼女自身の経費の予算がなかったの
で、主に同行支援費に当てさせていただきました。彼女は人身取引被害者認定を受けるこ
とができました。
(2)かめのり賞表彰後の事業活動の内容・功績
昨年度後期は、日本人大人 19 名、子ども 1 名、外国籍大人 5 名子ども 1 名、今年度は
10 月末までに日本人大人 41 名、子ども 4 名、外国籍大人 12 名、子ども 5 名が入所し、そ
れぞれ新しい生活の場へと卒業していきました。
最近の外国籍入居者の国籍はアジアばかりでなく、アフリカ諸国が増加した事が特徴で
す。ウガンダ、ケニヤ、カメルーン、コンゴ、エジプトなどです。多くのケースが DV 被
害者ですが、夫は日本人のケースが増加してきたように思われます。海外進出した日本企
業や国際 NGO の職員の妻が被害者となっています。
年中行事として 12 月にクリスマス会、4 月にお花見会、8 月に海水浴を催し、合計約 80
名の退所者を招待しました。退所後の状況を退所から聞き取り、担当行政にフィードバッ
クして自立支援の協働に努めました。
11 月と 6 月の 2 回ネットワークニュースを発行(6 月号は英文も)し、一般に情報発信
した。また、自治体や東京都ウィメンズセンターなどに講師を派遣し、DV 被害者や外国籍
被害者の支援に関して講演して啓発活動の一端を担いました。
2014 年 12 月に政府の「人身取引行動計画」が 5 年ぶりに見直され、HELP は民間団体
として唯一内閣官房でのヒヤリングで講演し、現状報告と政策提言をしました。そのご、
JNATIP(人身売買禁止ネットワーク)と共に人身取引に関する連絡会を内閣官房と継続的
に 6 回程持ち、人身取引被害者の状況をレポートし、現行制度の狭間に関して共通理解の
基礎を築いています。今後、弁護士とも連携して人身取引被害者支援法の制定を政策提言
する予定です。日本政府の人身取引政策は遅れを世界から指摘されていますが、民間団体
として政府と共に世界に恥ずかしくない人身取引政策を実現して、地球市民の一員として
の務めを果たしたいと願っています。
(3)今後の展望
緊急一時シェルターの日本での草分けとして、社会のニーズがある限りシェルター活動
を継続し、福祉の現場からの発信を続けていきたいと思います。社会のニーズは刻々と変
化するのでその要請に的確に応えられるよう、柔軟にシェルターを運営していかなければ
なりません。
緊急一時シェルターは人件費等が多く必要となるため、民間では運営が難しいのが現状
です。当シェルターも運営費は昨年度から赤字となり、厳しい運営となっていますが、法
の狭間にあって公的支援が一切受けられない女性もまだ、入所してくる現実の中で可能な
限り継続こうとスタッフ一同決意しています。少し特殊な福祉部門であるので、現行制度
に精通する必要もありますが、何よりも必要なのは、入所者の幸を共に探って行く心意気
であると確信しています。
HELP アルバム
国際インターンの二人
海水浴に同行して下さいました。
海水浴
20 名以上の退所者が楽しみました。
手芸教室
手提げを作成しました。
誕生日会
スタッフ手作りのケーキをカット
初めての誕生日会
スタッフ手作りデコレーションの前で
工作教室
ダイニングの飾りを作りました。
1.かめのり賞表彰回:第 8 回かめのり賞受賞
2.団体名:特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター
3.活動目的:
日本国際ボランティアセンター(JVC)は、1980 年にインドシナ難民の救援を機に発足し、現在世界
9 ヵ国・地域と東北の震災被災地 2 ヶ所で活動している国際協力 NGO です。JVC は、武力に拠らな
い紛争解決・平和構築を目指すと共に、自然環境に配慮した地域循環のある暮らしや生き方をつくり
だすことを目指しています。さらに、それぞれの地域で社会を変えていこうとする人々同士が学びあう
場をつくり、新たな実践が生まれるよう支え、各活動が持つ社会変革のメッセージを発信することに注
力しています。
4.活動奨励金の活用方法および活動内容
本活動奨励金を活用し次の 2 つの活動を実施することが出来ました。
<1> 福島原発事故の経験と教訓をまなぶ研修プログラム
2014 年 6 月に約 1 週間、タイ人 2 名(エネルギー政策の研究者、東北タイの原発建設候補地の住
民)を招聘し以下の訪問地を訪れ福島原発事故の経験を学ぶ機会を提供しました。

福島県喜多方市山都町:浅見彰宏氏(有機農家)、竹内氏・藤岡氏(ふくしま地球市民発伝所)

福島県南相馬市:神谷氏(放射能測定センター)、今野由喜氏(小高区塚原行政区区長)、亀
田氏(福島県農民連)

福島県二本松市:菅野瑞穂氏(有機農家・新規就農者)

宮城県丸森町:吉澤武志氏(丸森町筆甫まちづくりセンター事務局長)
この滞在を通じて、次のようなことを学ぶことができました。

福島原発事故により顕在化した諸問題は、環境汚染といった個別の問題として捉えてはいけな
い。原発建設は、都市の経済的利潤を地方が支えるという構造の上に成り立った社会開発全
体に関係する問題であること

原発は、現在の科学技術では処分できない放射性廃棄物を生み、将来への負債を残していく
リスクを伴うものであること

放射能は目に見えない、匂いがないため認知することが難しく、県境や国境などの境界を越え
る広域性を持ち、且つ、将来にわたって(世代にまたがって)その影響(害)が残ること
招聘したタイ人(研究者)は、帰国後、今回の経験をタイの週刊誌にコラムを掲載したり、現在はタ
イ国家エネルギー計画のサブコミティーの相談役を担っているなど、学びを効果的に還元できるポジ
ションにあります。今回の招聘企画で生まれたふくしま地球市民発伝所とのつながり、および招聘した
タイ人とのネットワークを活かす形で、<2>で記述する 2015 年 3 月のタイ人招聘企画につなげることが
できました。
1
<2> 福島原発事故の経験と教訓をまなぶプログラム
2015 年 3 月に仙台で開かれた国連防災世界会議に先駆けて、東日本大震災に伴う福島原発事
故の経験と教訓を世界に発信するための取組みが日本の NGO/CSO を中心に行われました。ここに
参加する形で、JVC はタイから 2 名を招聘しました。タイ人 2 名は、福島県内を回ったほか、福島県内
でのシンポジウムに登壇しました。また、東京でもシンポジウムを開催、タイ本国での原発建設の状況
と今回の滞在での学びを報告しました。
訪問中の学びとして<1>で記述したことに加えて、次のことを学ぶことができました。

福島原発事故後、放射能汚染の範囲や程度について政府から正確な情報がすぐに市民に知ら
されることがなかったために、放射能汚染が高いにも関わらず避難指示が出されなかった地域も
ある。事故が起きる前から市民の手で自分たちが暮らす地域各所の放射線量を定期的に測定・
モニターしていくことが大切である。そうしたデータを保有しておくことで事故前後での比較するこ
とを可能にし、補償問題においても手続きを容易にする。

放射能汚染の危険度について人々の捉え方は様々である。平常時から原発や放射能について
情報収集・学習に努め、事故後の避難等の判断基準を政府や行政に委ねるだけでなく、自分や
家族にとっての判断基準を持っておくことが大切である。
5.現在・今後計画している事業
タイでの発信をスタート
JVC は 2012 年からこれまで 4 度にわたりタイの若手農家、原発建設候補地の住民、タイのエネル
ギー・環境分野の研究者を招へいし、福島県への訪問を通じて、原発に関する潜在的リスク等の情
報・知識の提供をしてきました。
2015 年度は、これまで関係を築いてきた福島県の住民(復興と再生に取り組む実践者)をタイにお
招きし、2016 年 2 月にタイでセミナーを開催することを計画しています。このセミナー開催において、
貴財団の国際交流助成を活用し、実施します。東日本大震災から 5 年が経過しようとしている中、福
島原発事故の現在の状況を伝えるメディアはタイでほとんどありません。他方、原発建設によって安
価なエネルギー供給が可能であることや建設地での雇用創出といったメリットが強調され、その潜在
的リスクを訴える声は陰を潜めています。原発建設候補地で暮らす住民や、エネルギーの大消費地
である首都バンコクにおいてセミナーを開催し、「原発リスクを抱えずに済む社会」、「原発に頼らない
社会」について日本側から問いかけをし、タイの市民社会と対話の機会をつくっていきます。
原発候補地での市民による放射能測定の可能性
2016 年 2 月のセミナーでは、タブレットを使った誰でもできる放射能の簡易測定方法についても実
演を行います。実演を通じて、特に原発建設候補地で市民の手で放射能測定が開始されることを期
待しています。自分たちの暮らしを誰かに委ねるのではなく、万が一に備えて、自らの手で自分たち
の暮らしを守ることの重要性を感じ取ってもらい実践に移せるよう、日本の市民団体として協力してい
きたいと思います。
以 上
2
2014.6 福島県南相馬市の放射能測定セン
ター視察の様子。身近にある土や水、家庭
菜園の野菜や庭の果樹を測定所に持ち込み、
放射線量を測定してもらう。
2015.3 震災から4年、富岡町にて震災被害者
を悼み合掌。事故後、入域できなかった富岡
町も国道の封鎖が解除され車で入ることがで
きるようになった。
2014.6 福島県南相馬市小高区の様子。震
災から3年が経過したが、この時点でまだ
小高区での寝泊まりができない状況だった。
家の片付けもままならず、津波の被害が当
時のまま残る家屋があちこちに見られた。
2015.3 宮城県丸森町筆甫地区。震災前きの
こ栽培で有名だった筆甫地区。震災から4年
が経ち、ようやくきのこの試験栽培を始める
農家が立ち上がった。
2014.6 宮城県丸森町筆甫地区訪問。放射能
被害は県境を越えて宮城県まで及んだが、事
故直後、補償は福島県と同等のものが得られ
なかった。市民の手で測定を行うことで申し
立てを行い、2014年5月ようやく福島県と同
等の補償を得ることに成功した。
2015.3 東京。福島県訪問後、東京にてシ
ンポジウムを開催した。福島を訪問して学
んだことの他、タイの原発建設計画の進捗
についても発信した。「原発建設反対だけ
を訴え続けることも難しいが、小さくても
いいから市民の目線で原発リスクを訴え続
けていくことが重要」と訴えた。
3
第 8 回かめのり賞
特定非営利活動法人ニランジャナセワサンガ
活動報告書
1.かめのり賞表彰回 第 8 回
2.団体名
NPO 法人ニランジャナセワサンガ
3.活動目的
当団体は、2003 年よりインド・ビハール州を中心に活動しています。地球上で飢餓・貧困により支援
を必要とする人々に対して、教育支援、生活支援、職業訓練、意識啓発、環境保全に関する事業を行う
ことにより、すべての人びとがともに生き、ともに学べる社会づくりを実現することを目的として、3 つ
の学校運営、診療所、裁縫教室、植林の主に 4 つの事業を柱に継続したサポートを行っています。
①活動奨励金の活用方法
当団体では、インドの貧困地域の子どもたちが継続して教育を受けられるようにと学校の運営をサポ
ートしてきました。しかし、子どもたちの親に仕事がなかったり、仕事があってもわずかな収入しか得
られず、子どもたちも働き手のひとりとなっているために、学校に通えないという現実がありました。
そのため、縫製技術を身につけ、まずは家族や親せき、近所の人たちの衣服を縫えるようになり、将来
的には職業となり得るよう、また商品の受注生産によって、現地パートナー団体が寄付に頼らない自立
した運営を行えるよう、職業訓練、特に裁縫教室の事業に、今回の活動奨励金を活用させていただきま
した。
②かめのり賞表彰後の事業活動の内容・功績
裁縫教室の事業の中でも、これから特に「制服プロジェクト」に力をいれていこうと考えており、初
期投資として、スチームアイロン 2 台とオーバーロックミシンの機械類、そして制服の生地や芯地、ボ
タン等の原材料の購入に、今回の活動奨励金を充てさせていただきました。
インドでは、私立、公立に関わらず制服を着て学校に通うことが通例で、支援地の学校ニランジャナ
スクールでも、貧困地域の子どもたちが学校に通えること、学べることに誇りをもって通ってほしいと
の願いから、これまで資金を工面して、子どもたち 500 名に無料で提供してきています。裁縫教室では、
そのニランジャナスクールの制服を製作することを目標に「制服プロジェクト」を開始しました。
2015 年 10 月から 11 月にかけて、2009 年よりご支援をいただいている NPO「チームピースチャレン
ジャー」様のご協力を得て、裁縫教室での制服の製作指導を行いました。熟練の日本人講師 3 名から、
女の子用の半袖シャツ、スカートの裁断、縫製指導を裁縫教室のインド人講師たちを中心に約 40 名の生
徒へ指導しました。特に 1 名のインド人講師についてはこの制服プロジェクトのリーダーとして、すべ
ての工程の技術を習得し、他の生徒たちへの指導も行えるようになっています。日本人講師の約 2 週間
のインド現地滞在中に、シャツ 14 枚とスカート 4 枚を完成させることができました。現在も、引き続き
製作を続けています。
第 8 回かめのり賞
特定非営利活動法人ニランジャナセワサンガ
③今後の展望
制服プロジェクトのスタートにあたって、まずは、女の子用のシャツとスカートの指導・製作を行う
ことができました。今後 2 年間の中で、男の子用の半袖シャツ、半ズボン、そして冬用の長袖シャツ、
ジャンバースカート、長ズボンの指導・製作を予定しています。3 年目以降は、近隣の学校からも制服の
発注を受けていけるよう、技術の向上と裁縫教室の運営体制の強化、受注体制の構築に努めていきたい
と考えています。
④活動報告写真
制服プロジェクトのリーダー
アンジェナ
日本人講師から裁断の指導を受ける様子
縫製のやり方を日本人講師に教わるアンジェナ
スチームアイロンを使用している様子
縫製の進め方について確認し合うインド人女性
ようやく 1 枚完成し、自分で着てみる生産者の女性
第 8 回かめのり賞
NGO ユイマール
活動報告書
A.
かめのり賞表彰回:第 8 回 B.
団体名:NGOユイマール C.
活動目的: 「世界中の子ども達が自尊心を持って暮らすことができ、自己実現を目指せる社会の実現」 【活動内容】 2007 年よりモンゴルを拠点に、親の養育を受けられない社会的養護が必要な子ども達に対する支援を行っております。保護、
再教育、自己肯定感醸成、自己実現という段階に応じた支援プロセスの中で、当団体は「自己肯定感醸成」および「自己実現
の支援」に注力した活動を行っております。 2014 年 2 月からは、モンゴル国立孤児院と提携し、音楽を通した独自の自立支援プログラムを実施。さらに、メンタル面で
のサポートとして、メンタリングやチームビルディングの指導、ビジョンビルディングなどを実施いたしました。 ※当団体の目的実現のためには、現在の団体の形にこだわらず多様なアプローチをするべく、2016 年 3 月をもって当団体は活
動終了の運びとなりました。 1.活動奨励金の活用方法 モンゴル国立孤児院への来日プロジェクトの中止対応に係る諸費用に充てさせて頂きました。 当団体では、孤児達の自立支援の一環で、2014 年 12 月に、国立孤児院の子ども達を日本に招へいし、来日プロジェクトを実施
する予定でした。しかし、代表の体調不良により、日本での良質なプログラムが提供出来ないと判断したことから、来日プロ
ジェクトを中止と致しました。貴財団より頂いた活動奨励金を、航空券やコンサート会場のキャンセル代、広報物作成や関係
各所の皆さまへの説明活動につかわせて頂き、プロジェクトの損失を最小限に留めることが出来ました。 2.かめのり賞受賞後の事業活動の内容・功績 【かめのり賞受賞後の事業活動】 i.
来日プロジェクト中止の説明と意味づけ 来日プロジェクトを中止としたことから、日本での支援者の皆さまへの説明を行うとともに、代表に代わりスタッフがモン
ゴルへ渡航し、モンゴル国立孤児院の子ども達と先生方に中止になった経緯説明と謝罪、この経験の意味づけを行うワークシ
ョップを行いました。
「自らの努力だけでは、どうしようもない経験」を通じて、子ども達が何を感じ、今後どの様なアクショ
ンに繋げていくのか、を話合い、新しい目標立てや、努力を続けることの大切さを学ぶ機会をつくりました。 その後、子ども達は音楽の練習に励み、大使館での演奏に呼ばれるなどモンゴル国内にて活動の幅を広げ、ロシアやブリヤ
ート共和国にて 2 回の海外公演も実施致しました。また、音楽プログラムを受けていた男の子達 5 人は、自分たちで馬頭琴バ
ンドを組みました。そして、モンゴルのスター発掘オーディションに応募・出場し、決勝まで駒を進めました。これまでモン
ゴル国立孤児院の中でバンドを結成した事例はありません。子ども達が自ら新しい目標を立て、実行に移しました。 ii.
自立支援プログラムの引き継ぎ NGO ユイマールからの支援が終了した後も、国立孤児院独自で自立支援プログラムを行っていけるよう、話合いとモンゴル政
府への交渉を行い、音楽教師 4 名の給与をモンゴル政府から支出してもらうことが決定致しました。また、楽器の購入を行い、
第 8 回かめのり賞
NGO ユイマール
今後も継続的に音楽を通じて自立支援を行っていく基盤作りを行いました。 iii.
代表照屋による世界経済フォーラム年次総会(以下、
「ダボス会議」
)への参加 代表の照屋は世界の若手リーダー50 人に選ばれ、2015 年 1 月に、スイスで開催されたダボス会議に日本から唯一招待され、
世界のリーダーと議論をする機会を頂きました。モンゴルのエルベクドルジ大統領とも、直接話をすることができ、モンゴル
国立孤児院での共同の話、今後の経済発展の上で貧富の格差の拡がりに早い段階から取り組んだ方が結果的に財政負荷が少な
くなるとの見解、当団体が重要視している貧困層の貧困のサイクルを止めること、等を提言させていただきました。 【成果】 i.
孤児院の新しい目標設定および、指導体制の変化 モンゴル国立孤児院にて、所長などの経営者層、子ども達の日頃の指導をする現場の職員、自立支援を行う音楽のプロフェ
ッショナルの、3 者を集め、孤児院の職員達の目標を決めるワークショップを開催。18 歳までの生育を見守る、という従来の
目標を、
「先生が親の代わりを務められるような体制にし、子ども達の自立に向けた養育を行う」という目標へ変更することに
なりました。 指導方法に関しても、プログラムを行う以前は、先生達は子ども達に対してこと細かに指示を出す方法で指導を行っており
ました。しかし、先生達へのメンタリングやチームビルディング、目標から指導体制を考える話合いを重ねた結果、子ども達
の自主性を育てる指導方法に変化しました。子ども達の委員会を設置し、委員会の意見と先生達の意見を同等に扱い、子ども
達主体で日常生活を行うことで、先生方の負担が軽減し、より余裕をもった接し方が出来るようになってきています。 ii.
モンゴル国立孤児院所長が論文発表 モンゴル国立孤児院の所長は、当団体との 2 年間の協同を基に、モンゴルで初めての「孤児の自立」に関する論文を発表し
ました。所長になる前、孤児院卒業生に会えるだけ会いましたが、刑務所に入っている人、定職がないといった自立ができて
いない人が殆どだったといいます。その課題を基に当団体と一緒に活動を行った結果、自立で大切なのは、子ども達が自分で
夢を設定し努力する力、自己肯定感ということが分かり、それを論文にまとめられました。本論文を見れば、どの孤児院でも
自立に向けた活動ができるということです。更に、孤児院職員向けの、自立のためのガイドブックも作成し、これまでに当団
体と実践した自立へのノウハウをモンゴル全体に共有していく予定です。 3.今後の展望 i.
モンゴル国立孤児院における音楽を通じた自立支援プログラムの継続・発展 当団体との 2 年間の協同の中で、国立孤児院の所長をはじめ先生方は、子ども達の自立に必要な要素を学び、独自の手法で発
展させてきました。2016 年 3 月をもってNGOユイマールからの支援が終了したとしても、素晴らしい先生方の手で自立支援
プログラムが継続し、発展していくことと考えております。 ii.
NGOユイマールとしての活動を終了:目的達成のための手段の模索 「世界中の子ども達が自尊心を持って暮らすことができ、自己実現をすることができる社会の実現」に向けては、NGOユイ
マールという形に絞られないと、代表がダボス会議参加により気付いたことから、目的を達成できるための最善の手段を模索
して参ります。より深く、より大きく世界に貢献するための発展的な活動終了とし、
「モンゴル」
「孤児」という枠を越えて見
つめ直していきたいと考えております。
第 8 回かめのり賞
NGO ユイマール
支援活動の様子 音楽プログラムの実施の様子。音楽を通じて多くの子ども達が自
子ども達へメンタリングの様子。
「良いコンサートとは」という
分に自信を持てるようになりました。音楽プログラムを受講した
テーマを子ども達自身に考えてもらいました。この方法をもと
5 人は、自分たちで馬頭琴バンドを結成しています。
に、現在は子ども達自身でイベントの企画・運営をしています。
メンタリングを終えた子ども達の様子。演奏を聴いてくれる観客
孤児院の経営者層向けの目標設定ワークショップの様子。ワール
への感謝と笑顔を届ける演奏を意識するようになりました。
ドカフェの手法を用い、先生達自身に子ども達の自立のあり方を
考えてもらいました。
コンサートの様子。音楽を通じて、モンゴル国内だけでなく、ロ
5 人の馬頭琴バンドを結成。モンゴルのテレビ番組「モンゴルス
シアやブリヤート共和国にコンサートに行くチャンスを掴んで
ター発掘」にも出演し、最終選考まで残りました。
います。
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