...

公聴会記録(第1回)(PDF:597KB)

by user

on
Category: Documents
20

views

Report

Comments

Transcript

公聴会記録(第1回)(PDF:597KB)
平成23年度第1回
堺市都市計画公聴会記録
日時:平成23年4月26日(火)
午前10時~
場所:堺市堺区南瓦町3番1号
堺市役所本館地下1階 職員会館大会議室【東側】
都市計画課
平成23年度
1
第1回堺市都市計画公聴会
対象となる都市計画案件
南部大阪都市計画特別緑地保全地区の決定
2
日時
平成23年4月26日(火)
午前10時00分開会
3
場所
堺市堺区南瓦町3番1号
堺市役所本館地下1階
4
出席者
午後14時40分閉会
(1)議長
職員会館大会議室【東側】
堺市建築都市局都市計画部都市計画課
課長補佐
(2)公述人
17名
(3)公述聴取者
堺市職員
(4)傍聴人
14名
1
加勢
英哉
平成23年度 第1回堺市都市計画公聴会 全文
(午前10時00分開会)
●司会(辻本係長)
お待たせ致しました。ただいまより、南部大阪都市計画特別緑地保全地区の決定につ
いて、都市計画の公聴会を開催いたします。
私は、本日司会を務めさせていただきます、「堺市都市計画課
施設係長の辻本」と
申します。よろしくお願いいたします。
公聴会の開催にあたり、皆様にお願いがございます。
本会場は禁煙となっておりますので、タバコはご遠慮願います。携帯電話をお持ちの
方は、電源をお切りいただくか、マナーモードに設定していただき、通話しないように
してください。
また、私語や議長の許可していない撮影や発言等は禁止されております。特に、本日
は隣の会議室との関係上、申し訳ございませんがマイクを使うことができません。公述
人の発言がよく聞こえるように、ご静粛にお願いいたします。
本日、皆様には名札をお配りしていますが、お帰りの際には名札を受付に返却してく
ださい。また、公聴会の途中、トイレ等で一時的に退室される場合は、名札を着用し、
入室の際に受付で名札を提示していただきますようにお願いします。
本日の議事は、堺市都市計画課長補佐の加勢が議長として進行いたします。
議長、よろしくお願いします。
●議長(加勢課長補佐)
おはようございます。本日、議長を務めさせていただきます、堺市都市計画課課長補
佐の加勢と申します。よろしくお願いします。
開催にあたりまして、まず公聴会について説明させていただきます。
公聴会は、あらかじめご提示させて頂いております素案について、ご意見を述べてい
ただくもので、その意見を踏まえて都市計画の案を作成するため、開催するものでござ
います。
公聴会の記録につきましては、後日堺市において作成した後、公述人の方に郵送にて
記録の確認をさせていただきます。
その後、公聴会でのご意見に対する堺市の考え方とともに、都市計画決定の手続きで
ある案の縦覧を行う際、一般の閲覧に供し、意見書の受付を行います。また、本市のホ
ームページにおいても掲載いたします。
その後、堺市都市計画審議会へ付議することになりますが、その際には、本公聴会で
のご意見やそれに対する堺市の考え方及び意見書が提出されていればそちらも審議の
資料として提出し、報告いたします。
次に、本日の公聴会における公述の方法について申し上げます。
2
最初に、堺市の事務局より、都市計画の素案について説明があり、その後、都市計画
の素案について、公述人の方に公述していただくことになります。
公述にあたりましては、まず公述人席までお越しいただきます。
公述の内容につきましては、公述申出のときにご提出いただきました要旨に従って、
ご発言をお願いいたします。発言時間は15分以内となっています。公述の制限時間の
2 分前になりましたら、ベルを 1 回、制限時間に達したらベルを 2 回鳴らすようにいた
しますので、時間厳守をお願いいたします。
最後に、会場の皆様にお願いいたします。
本日の公聴会は、意見を述べていただく場であり、質疑応答を行う場ではございませ
ん。また、あらかじめ公述の申出のあった方に公述していただく場でございますので、
傍聴される方は、発言や拍手等を慎まれるようお願い申し上げます。
もし、本公聴会の秩序や進行を乱す行為があった場合、堺市都市計画公聴会要綱に基
づき、この会場から退場していただくことになりますので、ご注意くださいますようお
願いいたします。
それでは、事務局は、都市計画の素案を述べてください。
●事務局(林主幹兼土地利用係長)
堺市都市計画課主幹兼土地利用係長の林でございます。よろしくお願い申し上げます。
それでは、
「今回作成しようとする都市計画の案」についてご説明させていただきま
す。
失礼して、座ってご説明させていただきます。
事前にお配りしております「南部丘陵における特別緑地保全地区の決定(素案)につ
いて」をご参照下さい。
本市南部に位置する南部丘陵地域には、自然豊かな一団の緑地が存在し、次代に緑地
を保全・継承していくための仕組みづくりが急務となっています。
市では、条例に基づき設置された「堺市緑の政策審議会」に対し、「南部丘陵におけ
る緑地保全の仕組みづくり」について諮問を行い、「特に保全を優先すべき地区」にお
ける「最も有効な緑地保全制度は特別緑地保全地区である」との中間答申を受けました。
特別緑地保全地区は、都市の無秩序な拡大の防止に資する緑地、都市の歴史的・文化
的価値を有する緑地、生態系に配慮したまちづくりのための動植物の生息、生育地とな
る緑地等の保全を図ることを目的とする都市計画法第8条に規定される地域地区です。
本案の鉢ヶ峯寺地区は、石津川水系・明正川の水源地に位置し、樹林地が良好な自然
的環境を保っている貴重な緑地であり、今回、特に緑地の減尐が危惧される区域につい
て、特別緑地保全地区約 14 ヘクタールを決定しようとするものです。
説明は以上でございます。
●議長(加勢課長補佐)
ただいまの都市計画の素案につきまして、17名の方から公述の申し出がありました。
3
午前中に7名の公述人にご発言いただき、その後12時から13時まで休憩を取りま
した後に、午後から10名の公述人にご発言いただく予定になっております。
なお、公述時間の関係で予定を変更することがございますので、あらかじめご了承く
ださい。
公述人の方には、あらかじめ公述の項番をお伝えしていますので、その項番になりま
したら、公述人席へ進んでいただき、ご発言していただくことになります。
それでは1番の方、よろしくお願いいたします。
●公述人(A)
本日、南部大阪都市計画特別緑地保全地区に対する公述をさせていただきます、A で
ございます。
また、内容は緑の保全についての一連を公述させていただきます。よろしくお願い申
し上げます。インターネットでの公述の申し出時には、30分いうことでございました
が、郵送案内では15分となっております。何十年と土地を守ってきた地権者が、15
分しか一方的に話し合いができないのは、行政に対してたいへん不信感を持っています。
また、今後のこの緑地法に対しても考慮する所存でございます。
40年前に、泉北ニュータウンの開発により、多くの田と山林がなくなりました。こ
の開発では、堺市、大阪府が、堺市に緑がいらないという考えのもとで開発なさったと
聞き及んでおります。
このように、40年前、またこのたび、この都計法によってしばりをかけられるとい
うことは、地権者としましては絶対に反対しなければならない問題でございます。
また、たいへん失礼なことで申し訳ない言葉になろうかと思うんですが、われわれの
土地に野鳥の会、また鉢ヶ峯自然を守る会等の団体の皆様が、上神谷地区の土地に多々
お見えになります。このような方が、ほとんどが、民地の中へ入られまして、この方が
採っているとは言えませんけれども、野草等がほとんど皆無に等しく荒らされた土地に
なってきているのが現状でございます。これは、従来行政さんにいくら指導をお願いし
ても、行政の指導はなかったと、こういうところに今の都市計画法をかけられることは、
今後いかがなものかと、ほんとに考慮する次第でございます。
また、堺市緑の保全と創出に関する条例は、22年6月に制定、22年9月1日に施
行されました。地権者としまして、堺市さんと何度か話しさせていただきましたが、例
を言いますと、22年11月11日、上神谷地域の緑の保全に関する座談会は、大学教
授等を交えてさせていただきました。この時は、堺市の方、また地権者、またわれわれ
上神谷地区の町会長さんもお見えになっていただきまして、内容的には説明不足、また
具体的な内容も出ず、不調に終わった経緯がございます。
また、この後、堺市さんより今日現在までは全く指導がなされてない状況だと思いま
す。
また、上神谷においては、地権者を交えて、2月6日、これは、地権者と堺市南区の
市議会の8名の方でしたかね、それとまた堺市さんの環境、南区の区役所さん、公園の
4
方々を交えて、私が地権者を代表しまして、地権者の皆様方に説明させていただきまし
た。この時も、いろんな形の中で内容が不透明で、具体的な内容が明示されなかった状
況でございます。
また、23年4月3日、これも地権者75名を集めまして説明会を行いました。この
实施に関して、反対に対する同意書も皆様方から提出していただきまして、藍野病院さ
んの2名を入れまして77名のうち66名の「反対に対する同意書」が私の方へきてお
ります。パーセンテージで言えば85.7パーセントの反対の同意書を得ておりますの
で、近々これを堺市長宛てに提出する予定でございます。
また、今日いただきました23年3月26日の、この特別緑地保全地区の決定に関し
ましてもですね、私ども地権者といたしましては、22年9月の緑の条例を作りますよ、
これで藍野病院さんの開発を止めますよ、ということを聞いておりました。しかし、蓋
を開けてみると、49万坪がいずれは入っていくだろうと解釈されるような条例になっ
ております。今回においては、14ヘクタールの緑が都市計画法で指定されるというこ
とでございますけども、指定されると、近隣の土地、いろんな形の中で、やはりいろん
な問題が出ようかと思いますし、今後49万坪をいずれかけていくであろうと解釈され
るのが、ものの項序でなかろうかと思います。
また、この3月26日の説明会に関しましては、堺市さんではインターネットと広報
で出しているじゃないかとお聞きしました。しかし、われわれ田舎の人間に対しては、
パソコンで見るというのは非常に不十分であり、周知徹底された地権者への説明は一度
もなく現在に至っている。堺市さんは、地権者を騙すような緑の条例を作って藍野病院
さんの開発を止めるよと、だけど最終的には都市緑地法ですかね、都計法でやると、結
局、いろんな地権者に対しては2枚舌で、地権者が騙されているような現状が見受けら
れるのが多くございます。
今回、藍野さんの土地14ヘクタール、都市計画法の特別緑地保全地区に決定しよう
としていることを、堺市さんが示されておりますが、藍野さんの土地を保全するために、
近隣の地権者の土地約49万坪を保全地区にするのは、僕は不条理、これは断固反対す
べきであると解釈しております。
また、ここで一言、地権者として堺市に提案しておきますが、もし藍野さんの土地を
特別緑地保全地区に決定した場合、もし私が5万坪を買って開発した時に特別緑地保全
地区をかけないということであれば、僕は見解的にはいいかもわかりませんが、やはり
5万坪に関してもたぶん堺市さんがいずれかけてくるだろうと、このような2枚舌、3
段、4段で法律をかけてくるものには非常に大きい問題が出ようかと思います。
よって、この特別緑地保全地区の決定に対しましては、地権者としまして、85.7
パーセントの地権者を代表いたしまして、断固反対といたします。
いろいろな形の問題点もありますけども、最後に申し上げるのは、行政さんの指導が
全くなってなかったいうのが僕の解釈でございまして、これを今日公聴会で提案するこ
と自体が僕は非常に不信感を抱いているというのが現状でございます。
以上でございます。
5
●議長(加勢課長補佐)
はい、ありがとうございました。
それでは、続きまして2番の方、公述人席へお願いいたします。
●公述人(B)
公述人、B と申します。座らせて発言させていただきます。
私は、鉢ヶ峯寺地区特別緑地保全地区決定の都市計画案に、次の理由により賛成しま
す。
私は20年来、鉢ヶ峯寺地区において野鳥観察を続けてまいりました。これまでこの
地区で生息を確認した野鳥は120種以上に及んでいます。
野鳥は、生態系ピラミッドの上位に位置し、多種類の野鳥がいるということは、その
裾野に多様な野生生物が生息しているということです。それはまた、この地区が良好な
自然環境にあるということの証明でもあります。
人も自然の一部であるということを考えたとき、これら自然環境を保全することは、
人が生存していく上でも大切なことだと思っております。
この度指定の特別緑地保全地区、約14ヘクタールですね、には生態系ピラミッドの
頂点に位置し、かつ、種の保存法の国内希尐動物であるオオタカが生息しております。
10年以上も前から生息し、繁殖しています。古巣も数個確認されており、現在も雌雄
がペアで行動していることなどから、オオタカの高利用域、高利用域というのは、営巣
木を中心として半径1.5キロメートル以内のことです、であると推測されます。
オオタカは、また環境省レッドデータブック「準絶滅危惧」、大阪府レッドデータブ
ック「絶滅危惧Ⅱ類」
、堺市レッドリスト「A ランク、最重要保護」に該当します。
環境省の猛禽類保護の進め方によれば、オオタカの営巣中心域、これは営巣木を中心
として半径400メートル以内のことです、はもちろん、高利用域での開発行為等の計
画に対しては、事前に回避することが事業者に求められています。当該地区周辺の開発
計画が持ち上がっている現状に鑑み、今回の特別緑地保全地区決定は、堺市南部丘陵地
の自然環境保全と、生態系の頂点にいるオオタカなど、貴重な動植物の保護に寄与する
ものと考えます。
なお希望としては、堺市緑の政策審議会中間答申で、特に保全を優先すべき地区、面
積161.7ヘクタールとして指定された区域のうち、ハーベストの丘と内河池との間、
通称つつじ尾根と呼んでいます。面積約6ヘクタールございます。これを、特別緑地保
全地区に追加することも検討して下さい。
内河池には大阪府レッドデータブック「要注目種」のオシドリが毎冬、多数飛来しま
す。オシドリは大変用心深く、池周辺の常緑樹が開発等の影響で枯死、あるいは伐採さ
れると飛来しなくなる恐れがあります。内河池西岸には、堺市レッドリスト「要注目植
物群落」のシリブカガシ林も存在します。
以上で私の公述を終えます。ありがとうございました。
6
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
それでは、続きまして3番の方、公述人席へお願いいたします。
●公述人(C)
本日、意見を述べさせていただきます C です。よろしくお願いします。座らせていた
だきます。
意見の趣旨としまして、堺市南部丘陵の自然環境の保全に対しまして、私どもは隣接
します藍野学院さんの特別緑地保全地区に指定することを、隣接土地所有者として、大
きく影響を受けることとなります。
土地所有者と十分な話し合いもなく、また指定をしようとする土地の保全計画も示さ
れず、私どもの所有地はどうしたらいいのか、とりあえず規制してしまえば、後はなん
とかなる的な考えが見え隠れし、堺市のビジョンがまるで見えません。
また、当事者の理解を得ないまま、法律による規制に行うっていうことに対して、疑
問があり、特別緑地保全地区指定については、反対いたします。
また、意見の理由といたしまして、私どもの土地は道路に面しておらず、今回、藍野
学院さまが、自分ではどうにもならない長年の思いである道路をつけて下さるというこ
とについて、事業に賛同しておりましたが、道路ができなくなるのは大変困ります。
今まで道路がなく、山林の管理ができなかったんですが、道路ができることにより、
適切な管理ができ、健全な緑地保全と、土地の有効活用が可能となります。
また、私ども土地所有者に自然環境の保全計画を明確にして、その計画に基づいて、
丁寧な説明が必要と考えられます。
堺市緑の政策審議会の中間答申を受けて、早速の特別緑地保全地区指定に取りかかっ
ておりますが、審議委員会には大学教授や市民活動家等で構成されており、地権者は部
外者であります。
議事録に目を通しますと動植物のことは論議されておりますが、南部丘陵の人のこと
は一切触れておりません。
動植物さえ良ければ、人間を無視したこのような環境保全はないと思っております。
また、この度のように、土地所有者の理解も得ず、法律による規制をするという实例を
作ると、いずれ私どもの土地も同じように所有者の意見を無視して、規制するという脅
しに思えてなりません。
仮に、特別緑地保全地区指定にされた場合、地区内に何らかの行為をする場合は、市
長の許可が必要とありますが、調べてみますと事实上許可されたことはなく、その上の
土地使用権を奪うことと考えます。
また、借り入れを申し出ることができるともありますが、これも何の利用価値もない
土地に安価する、召し上げる行為と考えます。
7
このような所有者の意見を奪う、権利を奪うこのような規制には断じて応じられませ
ん。
以上をもって公述を終わります。ありがとうございました。
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
続きまして、4番の方、公述人席へお願いします。
●公述人(D)
それでは、座らせて申し上げます。
私は、堺市南区に在住いたしております。当地域に土地を所有する D と申します。
私は、この特別緑地保全地区指定に係る都市計画案に反対の立場で意見を述べさせて
いただきます。
近年、とみに説明責任という言葉がよく使われます。堺市の都市政策として緑を残そ
うとすることに関しては、全て否定するつもりはありませんが、今回の特別緑地保全地
区指定については、堺市から地元、地権者への説明が、いつ、どこで、何回、どのよう
な内容であったのか、教えて頂きたい。地権者の一人としては、寝耳に水のごときでご
ざいます。
都市緑地保全法で、個人の財産である土地に特別緑地保全の地区指定の網をかけるこ
とは、土地の評価も下がり、また、自分の土地でありながら土地利用にも支障を受ける
など、私権の制限を多大に受けることになり、土地所有者等、当事者の合意を得ないま
ま進めるやり方に納得できず到底理解はできません。
将来の堺市にとって、本当に必要で重要な施策であるならば、関係地権者及び堺市民
に対し、十二分な時間をかけ説明をし、賛同を得ることが必要ではなかろうか、と思い
ます。
市の担当部局や関係諮問機関、その他の環境団体は、南部丘陵といえば貴重な里山保
全、動植物の保護など自然環境に対する意見のみを述べております。
一方、同じく南区にある泉北ニュータウンについては、尐子高齢化や若年層の流出、
公共施設の老朽化など、ニュータウンに住む人のことが議論されております。
これは明らかに南部丘陵に住む住民や土地所有者は問題とされず、周辺都市部の人の
ために南部丘陵の緑を保全し、動植物を保護しなさいと言っているように思えます。言
い換えれば、南部丘陵に住む住民は、動植物以下の扱いでございます。
その最たるものが、今回の特別緑地保全地区の指定である。この指定により当該土地
所有者はもちろんのこと、周辺隣接者の財産的、経済的に大きな損失を受けることにな
り、これも全て都市住民の犠牲になりなさいということでございます。
ちなみに、先ほども出ましたけれども、昭和40年頃より開発されました泉北ニュー
タウンは、当時、良好な田、畑、山林で形成され、田園的景観をかもし出しておりまし
た。今現在、それがこの泉北で残っておればこのような議論をしなくてもよいのではな
8
いか。また、このニュータウン開発事業は誰がしたのか。それは、まさしく大阪府をは
じめ行政主導で实施されたものではないでしょうか。
ニュータウンは、開発により文化的な生活をする中、開発に協力した地元地域は、4
0年間の年月が過ぎても、未だ下水道の整備すら出来ておりません。今回も何のビジョ
ンもなしに、今残っている緑を強制的に守るため、個人の土地に網をかけ、個人の負担
だけに頼るこのような方法には、一切納得することが出来ません。
地権者は、先祖より譲り受けた土地を今まで守ってきたわけですが、これからは何の
土地利用も出来ない土地を、市街地に住む人たちの為に汗水を流して管理するよう命じ
るつもりなのでしょうか。また、市が買い取ったとしても、道路も無い土地をどのよう
に適正に管理するのか、結局放置して極相林となり里山とは程遠い状態になるのが手に
取るように見えます。
そうならないためにも、急いで都市計画決定をするのではなく、その後のビジョン等
を含め、土地所有者等との将来について話し合いを行うのが先決でございます。
市担当部局は、法に基づき保全地区内の土地については、その土地を買い入れるべき
主旨、申し出があった場合は、買い入れるものとするとありますが、その時の買い入れ
価格はどのようになるのですか。法第17条では、土地の価格は時価によるとなってお
ります。
尐し前、この地区では、坪10万円で土地取引がされたと聞いております。また、土
地の売買価格は、売り手と買い手の合意のもとに決定するものだと思っております。公
共用地の取得には、時価を出すのに不動産鑑定士の鑑定価格を基にされると思いますが、
その時はすでに当地域の土地評価は下がっており、本当の時価は出ないのではないでし
ょうか。堺市にとって貴重な緑地であるならば、その評価を含めた特殊な価格での取引
が必要と考えます。
法による地区指定されたその日から、地権者が不利益を被ることに賛成はできません。
何の利害関係のない地区の方々は、当然自然を残すことに賛成するでしょう。が、し
かし、私たち地権者にとっては、何のメリットも無く、財産的犠牲という負担だけが残
ります。
個人の負担をなくす為にも、地権者の納得する価格で買い入れをすれば、莫大な資金
が必要となり、その資金も税金ということを考えれば、市民に対して費用対効果を十分
に説明する必要があります。
市は今まで、泉北ニュータウンの開発、ゴミ焼却灰の処理施設、クリーンセンター南
工場、堺公園墓地、堺酪農団地、ハーベストの丘等々と、南部丘陵に押し付けて、もう
作るものがなくなったので今後は市民受けしやすい緑地等として緑を残します、土地所
有者には何も作らせない、このような身勝手な政策が行われようとしております。断じ
て賛同することはできません。
最後に、本日述べさせていただいた事が、事務的手続きの一環として終わるのではな
く、都市計画審議会等の議論のひとつの材料となることを願って、私の公述といたしま
す。
9
どうもありがとうございました。
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
続きまして、5番の方、公述人席へお願いします。
●公述人(E)
はい、座って証言させていただきます。
僭越でございますが、本日意見を述べさせて頂きます E でございます。どうぞ宜しく
御願い致します。
意見の要旨は、この度の都市計画案に反対致します。
その理由を述べさせていただきます。
私は昭和40年に施工されました泉北ニュータウンに家屋、周辺土地すべてを協力を
しました。その時に見返りとしてこの土地を買い求め、私達家族は将来果樹園を作った
り、観光農園や畑などして、また小さい家でも建てて、高齢者の憩の場として利用した
いと計画していました。
今回堺市が、特別緑地保全に指定しようとしている土地と、私の所有している土地も
含まれておりまして、都市計画決定がなされた場合、土地の評価も下がり、自分の土地
でありながら、土地利用にも制約を受ける事になります。
このような大きな影響を受ける当該地や隣接地の土地所有者に、ただ一回の説明で同
意を得ず、決定されるのは、堺市民である我々を軽視している事に他ならず、決して許
すべきではないと考えております。
また、特別緑地保全地区に指定される目的、理由となる根拠が、土地所有者に満足な
説明がなされないことや、将来、南部丘陵地区をどのようにするのか、何のビジョンも
なく、ただ開発から緑を守りたいだけで、決定しようとしておるような、重要な問題は、
地権者も交えて十分時間をかけて協議を重ねるべきであり、役人とどこかの大学の先生
や、他の学者さんだけが決めるべきではないと思います。
堺市民を蚊帳の外に置いて、そんな傲慢な行政の執行は許されないと考えます。
また、この計画決定をしようとする土地を含む開発事業区域に、先に申し上げました
が、私の土地も入っております。事業ができなくなった場合の損失補償はどうなるのか。
また、特別緑地保全地区に指定された土地所有者には、法により補償されると思いま
すが、それ以外の土地所有者にも当然補償していただけるものと思いますが、そうでな
ければ、補償できない理由など納得のいく詳細な説明を受ける権利があると思います。
市当局はこういった具体的な説明を土地所有者に対してせず、通り一辺倒の市民への
説明を終えたと思っているのであれば、法の執行者としては、あまりにも傲慢な行為だ
と思います。
また、堺市緑の政策審議会で、特に保全を優先すべき地区として、聞くところにより
ますと、161.7ヘクタールとしているが、この広大な土地をどのように保全しよう
10
としているのか、また、土地所有者の財産権をどのように考えているのか、全く示され
ていません。ただ、161.7ヘクタールの地権者を無視して、特別緑地保全地区に指
定して、山林を放置させようとしているとしか思えません。
それとも、161.7ヘクタールの土地を全て買い取るつもりなのか、買い取るので
あれば、大きな資金が必要となり、それを市民の血税でまかなっていいものなのか。
また国の補助金もあると思いますが、補助金自体も税金であり、起債は市民の借金と
なります。また、市民がこの緑地保全に大きく賛同しているならば、市民からの寄付金
で対応すべきであり、税金を使うべきではないと思います。
いずれにしても、多額の支出をしてまで保全しようというのであれば明確に計画に基
づいたものでなければならず、地権者全員に具体的な説明を丁寧にして、協力を求め、
全員の同意とは言いませんが、多数の賛同を得た後に決定すべきであると私は思います。
以上、公述を終わります。
宜しく御願いいたします。
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
それでは、続きまして、6番の方、公述人席へお願いします。
●公述人(F)
座らせていただきます。
本日意見を述べさせていただきます F と申します。よろしくお願いいたします。
私は、この度の都市計画案である、南部大阪都市計画特別緑地保全地区の決定に反対
いたします。
貴市が、特別緑地保全地区に指定しようとしている地域は、現法律下では、開発可能
であり、弊社は平成19年より野外活動施設、以後「当該計画」と申しますが、の開発
許可を得るために、コンサルタント契約を締結し、測量及び基本設計を完了して、堺市
環境影響評価条例に基づいた手続きを現在行っているところでございます。
そして、今年になり堺市緑の政策審議会の中間答申が発表され、答申内容に、特に保
全を優先すべき地区として、161.7ヘクタールが明記されました。その後、貴市は
当該計画の事業者である一法人の土地のみを突然、特別緑地保全地区に指定するための
都市計画案を決定して、開発の阻止を図ろうとしているものです。
本来、このような都市計画を決定するには、土地所有者など、開発関係者に貴市の環
境保全の趣旨を十分に説明し、緑地の保全について協力するよう要請することが、道筋
にもかかわらず、強引に公権力により私有財産を侵しているものです。
また、堺市環境影響評価条例に基づいた手続きにおいては、市長意見として、「事業
を回避することも含めて検討すること」と申述されており、これは、環境に対しては事
業を回避することが望ましいが、環境に対する配慮をよく検討するよう意見されている
11
ものであり、事業者と私ども設計者は、真摯に受け止め、環境に対する配慮を検討して
いたところであるにもかかわらず、この決定は、言葉悪く言えば、二枚舌を使っている
としか言いようがありません。
私どもも四半世紀以上、都市計画に携わっていますが、このような一法人に対して合
意もなく、都市計画決定をしようとする行政は一度も見たことも聞いたこともありませ
ん。この日本においてこのような暴挙が、はたして許されることなのか、大いに疑問を
抱くところです。
さらに、国土交通省の都市緑地法運用指針では、生息生育地型特別緑地保全地区を決
定する際には、適正な事業活動を制限し、または適正な産業立地を阻害しないように配
慮することが望ましいと言っています。
この運用指針に反してまで、特別緑地保全地区を決定するからには、事業者に対して
十分な説明と緑地の保全に関する協力を求めるべきであるにもかかわらず、説明責任や
公務努力を省いて公権力の執行は大いに問題であります。
次に、この都市計画決定を、今、急いでする理由がどこにあるのかさえもわかりませ
ん。
例えば、国土交通省の都市緑地運用指針では、「特別緑地保全地区についてその保全
に関する事頄等を基本計画において特に定めるものである」とありますが、堺市緑の基
本計画に定めたものが見当たりません。そのほか、都市緑地法第24条の管理協定の締
結に向けた様々な管理方針が明らかにされていないのが現状です。
このように、緑地保全をしようとする行政が、まだまだ準備不足であるにもかかわら
ず、地区指定をしても、運用ができないことは明白です。
また当該計画を着手するには、堺市環境影響評価条例に基づいた手続きを終わらせ、
各種法令の許可の取得が必要であることを考慮すると、事業者と緑地の保全について協
議ができるはずです。それを分かっていながらこの様な行為に至った理由を、是非お聞
きしたいところでございます。
仮に、都市計画決定がなされた場合、当該計画は实施不可能となります。それが市当
局の狙いでしょうが、当該計画が实施不可能となった場合には市当局が行うべき義務と
して、損失の補償があります。どのようなことをお考えでしょう。
本来、可能であった事業が不可能になるわけですから、事業関係者全てに対して補償
しなければなりません。事業者にはもちろん事業区域内にある土地所有者や、私どもコ
ンサルタントにも必要です。許可取得までの設計費用、環境アセスメント費用、地質調
査費用など企業として契約に基づいて確定した利益を損なうわけです。これは契約当事
者間の都合による契約解除ではなく、明らかに市当局の事業阻止によるものだからです。
1月下旪に担当部局のところに都市計画法の取り扱いについてヒアリングした際に、
損失の補償と土地の買い入れは別途に適用されると判断を聞きました。
さすれば、この事業関係者に対する補償と、仮に土地の買い入れを申し入れた場合に
は、莫大な金額を堺市は支払うことになります。そのようなことを市民に説明したので
しょうか。寄付金で賄うとも聞いていますが、到底足りるものではありません。どうす
12
るつもりかはわかりませんが、莫大な費用の支出をなくす為には、事業者に緑地保全に
対する協力を求めてはいかがですか。今の山林の状態は、人の手が入らず荒れた状態で
あります。このまま適正な管理がなされなければ、植生遷移で言うところのクライマッ
クスがやがて起こります。
そうならないためにも、当該計画と適正な山林管理がうまく融合した計画も提案でき
る可能性もあります。そうすれば事業者も、市当局も、市民も、環境保全を求めている
方も納得するのではないでしょうか。
最後に市当局は、もう一度冷静な判断のもと行動されることを申し添えて、公述を終
わります。ご清聴ありがとうございました。
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
続きまして、7番の方、公述人席へお願いします。
●公述人(G)
座らせてもらいます。
私、この地域の隣接する G と申します。よろしくお願いします。
重複するところもあろうかと思うんですけれども、南部丘陵における特別緑地保全地
区の決定につきましては断固反対とさせていただきます。
私の先代、親父なんですけれども、泉北ニュータウンの開発につきましては、公共事
業であるということで、先祖代々から継承してきた大切な土地を安価言うんですかね、
大体坪3千円くらいで提供してきたと聞いております。その後、ニュータウンの開発後
の土地につきましては、大体坪あたり5万くらいというようなことを記憶しているとこ
ろでございます。また、開発後の泉北ニュータウン地区につきましては、都市ガスの整
備や公共下水道に加え、道路は歩行者分離、公園の整備や街路樹等における行政による
維持管理等々、住環境は上神谷地区とは比較にもならないほどの落差があり、地域無視
の政策にはあきれているところでございます。
この度、計画されている南部地域における特別緑地保全地区の都市計画案についても、
地権者には何ら意思打診もなく、小さなスペースで広報さかいに掲載するだけでは、は
い、そうですかという、いくものでは我々はないものと思います。あまりにも地権者の
権利を無視し馬鹿にした行政の一方的な施策で、とんでもない行為であり、この度の都
市計画案については断固反対させてもらいます。
なお、この計画決定案は、開発行為が出たから開発行為を止めるがために計画すると
いうような施策で、地権者としては何とも言いようのない施策で、開発行為周辺の我々
地権者がとばっちりを受けるようなもので、非常に腹立たしく思います。計画そのもの
の内容について憤りを感じているところでございます。
また、自然愛好家あるいは野鳥の会の方々等々でございますけれども、自然を残せ、
野鳥等々いろんな生態系があるんだと、声を高らかに上げておられるわけなんですけれ
13
ども、我々地権者は税金も払い、相続税等々も払ってきました。しかし、声をあげてお
られる方々につきましては、税金も資金もいらず、ただ言っておられるという風に聞こ
えるわけなんですけれども、もしこれが保全されても野鳥の会等々につきましては山林
の管理をされるんでしょうか。清掃管理等も。多分、何もされずにいくんではないかと
思います。また、この方々につきましては、聞いたものなんですけれども、大切な土地
に無断で徘徊し、巷の声ですけれども、貴重な山野草を採取して、その方たちが通った
後には何も残らない、まさに自然破壊をしているという様な事を聞き及んだこともござ
います。まさに、山野草の採取の場ともなっているのではないかと思います。
この地域については、ニュータウン地域住民の趣味のためや、遊び場の確保のための
施策とも考えられます。これはちょっと聞いた話ですが、過日には山野草の採取にきた
方が、亡くなられたということも聞きました。
今回の都市計画法の施行については、何の計画性もなく、その場その場の思いつき施
策で、しかも地権者の権利を何ら考慮することなく、無視した施策としか考えることが
できません。
藍野さんですかね、開発行為を中断させるがための施策と聞き及んでおりますけれど
も、緑地計画も考慮しながらの開発行為と思います。が、何が行政にとって不足なのか
理解し難いのが私の考えであります。開発行為については行政指導の中で緑地計画等々
の指導をしながら行う方法もあるのではないかと思います。いかがなものですか。
あまりよく分かりませんけれども、南部地域には、上神谷地域、美木多地域、別所地
域と広範囲にありますけれども、そのあたりの計画は、どのようになっているのか聞き
たいものです。どの道、行き当たりばったりで思いつきの施策になるように思えます。
次の開発行為が出た場合はどのようにするのか、同じように計画決定をすることになる
と思いますが、いかがですか。
ニュータウンのような、行政の行う大きな開発については寛容で、民間開発には縛り
がきついではないものかと考えます。
自然を大切にというのであれば、ニュータウンを元の自然な環境に戻してくれとは言
いませんけれども、随時、緑地をたくさん確保して一定市内のほうにもね、一定緑の環
境を多くしていってもらったらどうかなと思います。
地権者としては、苦しい中、先祖代々の土地を相続税や子供たちに贈与した時には贈
与税を払いながら相続し守ってきました。税金を払うだけで、何の価値もないような土
地にはしたくないと思います。そんな馬鹿げた今回の都市計画案については、断固反対
します。
地権者にも土地を守る権利はないのですか。民主主義の世の中には、行政サイドによ
る一方的な施策であってもいいのかと、理解に苦しむ有様です。
余談ですけれども、私個人としてですが、以前、藍野さんから土地を売ってもらえな
いかとの話が平成元年頃に坪10万円との話がありました。私の土地は境界も分からな
かったので、売りたいとは考えてはいましたが、乱開発をされては他の地権者に迷惑を
かけてはいけないと思い、断った経緯があります。地権者にも良好な環境維持は必要と
14
考えています。
堺市さんも自然環境や緑地保全の大切さを考えるのであれば、それなりの対価で用地
買収をして下さい。我々も税金を払うことがなくなるし、行政に協力したという達成感
を感じられます。お互いの利害がなくなるのではないかと思います。地権者にも思いや
りを持ってもらいたいと思います。あるいは、ニュータウンを開発した時に我々この土
地を購入いたしましたのでね、代替地とかがね、あるんであれば、それはそれなりにや
ってもらったらいいんじゃないかなと思います。
以上でございます。
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
ただいまの公述をもちまして、当初予定しておりました午前中の7名の方の公述が終
わりましたが、まだ、お時間ございますので、当初、午後の予定でですね、公述の予定
だった方で午前中に振り替えることを了解いただきました方に、引き続き公述していた
だきたいと思っております。
それでは、10番の方、公述人席へお願いします。
●公述人(H)
公述人の H と申します。宜しくお願いします。座らせていただきます。
私は、この度の鉢ヶ峯寺地区特別保全地区の決定に賛成をいたします。その理由をま
ず述べさせていただきます。
堺市鉢ヶ峯寺地区は雑木林、田畑、草地、ため池、小河川、小川などの自然環境を残
している大阪府下有数の中山間地の里山です。多様な自然環境に、多様な動植物の生息、
生育区域で、絶滅が危惧される種も確認されています。
当地区は、大部分が民有地という中、これまで利活用という開発の波にさらされてき
ました。まさに、無秩序な開発を抑制する法制度を早期に策定することが緊急の課題で
あります。
これまでの堺市の緑施策には、里山の保全や生態系の保全といった取り組みが不十分
です。多様な自然環境に、多様な生き物が生息していることが生物の多様性であり、人
も大事なんですよ、人も里山の生態系の輪の中に生きている視点がやっぱり重要なので
す。これまでから皆さんのいろんなご意見の中で、動植物が中心で人には触れていない
と。もちろん人が一番大事なのです。
そしてここでちょっと、先ほどのいろんなご意見あって、私も野鳥の会もしているも
のですから、誤解があってはいけませんので、申し上げておきます。
15
山野草を採取しているということは大きな誤解です。そういうことはありません。日
本野鳥の会に私、所属しておりますが、撮っていいのは写真だけ、残していいのは足跡
だけ。採取は一切しておりません。それだけは申し上げておきます。
それから、かつて、大阪府の審議会委員をされていました高橋理喜男大阪府立大学名
誉教授、この方はお亡くなりになりました過去の方なんですけれども、ご専門が、緑地
保全学というご専門でございます。この方がおっしゃったことが、
「開発から緑を守れ」
との提言の中で、堺市を例にひいて述べられております。緑のほとんどない都市砂漠の
過ちを、これ以上、郊外で繰り返さないことが大切という風なご指摘がありました。こ
れは新聞報道もされております。堺市内の都市公園で、これは里山だけとは違うんです
けれども、全体これ含まれることになりますけど、特に都市公園について述べておられ
たんですけれども、一人当たりですね、里山も緑地も含めて6.7平方メートル。後背
地、南部丘陵あたり、特に鉢ヶ峯寺地区あたりは、恵まれていたわけですよね。そして、
大阪市内の場合を考えてみた場合に、堺市の半分なんですね、一人当たりの緑地が2.
9平方メートル。そして、いま災害地であります仙台市は5.6平方メートル。他の政
令市よりも、一人当たりの緑が多いんですね、堺市は。そこはもう、大阪市はもう里山
なんかありません。しかしながら、堺市はあるわけですね、今。そういうですね、緑の
乱開発の心配は大きいという見解を、生前示されておりました。
意見といたしまして、堺市都市計画法に基づく市街化調整区域における開発行為等の
許可に関する条例の改正案を、一年の経過措置を設け、その間は従来どおりの手続きで
許可することができるとしています。この措置は、非常に曖昧さが残ります。条例によ
り、万一と言いますかね、それは私の言い方でございますが、開発審査をクリアした場
合ですね、緑地保全地区に負荷を与えないかというのが私の考えでございます。そして、
更に、緑地の公益性に鑑み、土地所有財産とですね、みなさん今地権者の方が多かった
のですけれども、財産との調整を図る見地から、土地の買い入れによる公有地化や、損
失補償。当然損失もあるわけです。事業を中断したり、計画していることが出来なけれ
ば損失もございます。それを検討する必要があるということを行政側に申し述べておき
ます。更に、今の申し述べたことにちょっと補足的に追加をしておきますと、南部丘陵
の鉢ヶ峯寺地区の自然環境なんですけど、これ1990年代の調査なんですが、動植物
を含めて1800種。そのうち植生は、コナラ林が多いですね、雑木林ね、アカマツは
最近枯れてきていますけどね、それからコシダ群落があります。それから動物に関して
は、哺乳類が8種類います。イノシシも含めてね、ネズミも含めて。それから鳥類は1
20種を超えています。もちろん絶滅危惧種も生息しております。それから昆虫類、ト
ンボにいたっては70種、六甲山に匹敵するぐらいの湿地とかため池がありますので生
息が言われております、記録ですね。それから両生類、爬虫類、これも生息しておりま
す。ということで、生態系豊かな場所だということですね。
16
堺市の鉢ヶ峯寺地区は多様な環境に、多様な生き物が生息、繁殖して、互いに繋がっ
て、支え合って生きています。人間もそうなんですね。人間もその中の輪の中の一人な
のです。人間は万物の霊長なんです。まさに生物多様性がそこにありますよということ
を申し述べておきます。
堺市の緑地政策と、里山の保全や生態系の視点が、これまで本当に不十分でありまし
たということを申し述べておきます。
1992年に、ゴルフ場開発計画をされたときに堺市はアンケート調査をとっており
ます。その時に市民の9割が行政による自然の保全を望んでおります。多くの市民意識
は、できるだけ森林を維持・保護していこうという方向をもっておりました。この時の
アンケート調査。
それからいま先ほど国交省の法制度について述べられましたけれども、生物多様性に
関する主な法律ですね。昨年10月に名古屋でCOP10というのがありましたけれど、
国際的な流れの中で今やっておりまして、ここで人間とそういう自然をどう共生してい
くのかということが大きな課題ですね。その中で、環境に関する法律は環境基本法とい
うのが一番上にあります。それから生物多様性基本法、これは平成20年6月にできま
した。これは全般を把握している法制度でございます。そして下位とは言いませんけれ
ども、都市計画法というのが先ほどから言われております。これは、都市の生態系につ
いて述べたもので、中山間地や市街化調整区域の法制度についてここで述べたものでご
ざいます。
それとですね、先ほど高橋元大阪府立大学名誉教授がこういうことを言い残しており
ます。
「開発から南部丘陵の緑を守れ」と訴えてこられましたわけですけれども、
「緑被
率が高い都市は都市格があります」と。つまり、
「都市の品格が高い」ということです、
緑があるということはですね。ということを言い残されて亡くなられました。
以上、私の意見といたします。ありがとうございました。
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
続きまして、14番の方、公述人席へお願いします。
●公述人(I)
南区新檜尾台から来ました I と申します。座らせていただきます。
私としましては、今回のですね、南部丘陵における緑地保全のため、鉢ヶ峰寺地区特
17
別緑地保全地区の決定に賛成といたします。
まず、賛成の理由ですが、理由を申し上げる前にですね、ちょっと南部丘陵とかがど
のようなものであるかということを、皆さんご存じかもわかりませんけど、ちょっと述
べさせていただきます。
まず南部丘陵と言われますと、面積1,600ヘクタールと言われています。その中
には、住宅地、農地、緑地、河川、ため池、道路などがあります。町名とか集落名でい
きますと、片蔵、泉田中、釜室、逆瀬川、畑、富蔵、鉢ヶ峯寺、豊田、別所、美木多と
10か所ございます。それで、人口は約8千名、世帯数ですと2千世帯。これは、平成
17年の国勢調査に基づいています。これぐらいの土地でございます。
今回指定される14ヘクタールというのは、この南部丘陵の中でも特に緑地保全が必
要であるとされている160ヘクタールのうちの一部です。
参考のためにちょっと申し上げますと、南区の面積が4,044ヘクタールですので、
南部丘陵は、南区の約40パーセントを占めています。ここは、やっぱりきれいな緑地
として残したいと私は思っています。
次にですね、都市計画、いろんな都市計画が出てますが、その中における南部丘陵は
どう評価されているかということについて、ちょっと申し上げます。
まず最初に、堺市にはマスタープラン基本計画というのがございます。これは平成2
2年度に策定されて、今パブリックコメント中だと聞いております。
その中ではですね、環境共生への重点推進エリアとして示され、クールダムとして位
置づけられています、南部丘陵につきましては。
次にですね、堺市都市計画マスタープランというのがございます。これも平成22年
に策定されて、今改定中だと聞いてますが、その中でも、南部丘陵とそれにつながる田
園集落地は良好な自然環境の保全を目標に農業振興と集落地の生活環境などを図ると
ともに身近な自然とのふれあいの場や環境教育の場として活用するというふうに謳わ
れております。
次にですね、堺市の緑の基本計画。これは平成13年に策定され、概ね20年後まで
の計画が載っています。その中にはですね、南部丘陵エリアは堺らしさを象徴する緑の
シンボルエリアとして里山景観を次代に継承し、堺らしさを象徴する緑地として保全す
るというふうに書かれております。その緑の基本計画を推進する堺市緑の計画推進プラ
ン、これは平成22年に策定され、約10年後、要は基本計画の最終年までについての
推進について書かれたものですが、その中の6つの重点施策の1つに、南部丘陵におけ
る緑地保全を行うと、ここで初めて緑地保全をするという言葉が出てきます。それまで
は、ただ言うだけだったんですが、昨年出された堺市の緑の計画推進プランによって初
めて緑地保全を行うというのが出てます。
そのためにはですね、緑地保全のためには、都市緑地法による保全制度を活用し、土
地利用規制も推進すると、保全し土地規制を推進するというのがここに書かれておりま
す。これの徹底により、先ほどから何回も出ております堺市緑の政策審議会に諮問され、
その中間答申が今年の1月に出て今回の都市計画の決定案になったと、私は思っており
18
ます。
ちょっと話を変えまして、皆さん、平成21年に堺市は日本の都市環境モデル都市に
選ばれました。その都市環境モデル都市の計画の中にも南部丘陵の位置づけがされてご
ざいます。南部丘陵は大規模な緑の拠点、クールダムを形成する緑地として里山環境の
保全地区として認定し、緑地保全のために市民の森や企業の森として保全活動を行うと、
保全しましょうということが、ここでも書かれております。
それからですね、もう1つ、身近にいきまして。南区のまちづくりビジョン、これは
平成20年に策定されたものなんですが、その中にも南区の特徴の1つとして丘陵地の
豊かな自然環境と農空間と捉えて、まちづくりの方向性を、自然とふれあい、人と人と
のつながりを大切にするまちと、南区としてはこういうふうなまちにしたいというふう
なことも書かれています。
一番身近なニュータウンの再生指針ですが、これはあの南部丘陵を潰してつくったま
ちなので、皆さん先ほどから何でこんなん作ったんやという話も出てますが、もうでき
たものはどうしょうもないんで、そのニュータウンの今盛んに言うてました老齢化か何
かで、活性化が求められていますが、その中にもですね、周辺の田園地帯として自然環
境の豊かさや四季の風景の美しさを身近に感じることができるようなまちにして残し
たいというふうになっています。それから、もう1つですね。農地や里山などの保全活
動に市民が参加すると。そういうことを南区はやりたいというふうに書かれています。
これは、参考までにちょっと言いましたんですが、最終的には、私の賛成の理由を申
し上げます。
南部丘陵は、堺市内に残された自然的環境を保ち、多様な生き物を育む貴重な里地里
山であります。それは皆さんもご存じだと思っております。
鉢ヶ峯寺地区特別緑地保全地区は、南部丘陵の中でも、連続して残された緑地の中心
部の約14ヘクタールであります。多様な生き物の生息には、連続した緑地が必要で、
緑地を細切れにしてしまっては、緑地の価値が半減します。
南部丘陵の中でも特に緑地保全が必要な地区は、鉢ヶ峯寺地区特別緑地保全地区を含
む連続した160ヘクタールの地区と報告され、今これが先ほどからいろいろ話にのっ
ております。
このような貴重な南部丘陵の緑地を保全し、次代に継承することが重要であり、一度
破壊しては復元できません。自然というものは、一度破壊してもうたら復元できません。
堺市民の皆様に、南部丘陵の緑地の保全の大切さをご理解いただき、今回の鉢ヶ峯寺
地区特別緑地保全地区決定にご賛同とご支援をお願いいたします。
多分、地権者にとっては大変だと思いますが、私としてはそうふうにお願い申し上げ
ます。
なお、行政におかれましては、堺市マスタープラン基本計画をベースに、堺市緑の計
画プランなどの緑の政策を取り入れた、まちづくりを推進されることを期待しておりま
す。
これで私の公述を終わらせていただきます。
19
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
ただいまの公述をもちまして、午前の部で公述される予定の方が全て終了いたしまし
たので、これをもちまして、午前の部は終了といたします。
午後の部につきましては、午後1時より再開となっております。
●司会(辻本係長)
この後、この部屋は一旦閉めさせていただきましてですね、午後は12時20分から
ですね、部屋を開けるようにいたします。で、午前の部で帰られる方はですね、名札を
受付のほうにですね、返却していただきますようお願いいたします。
ありがとうございました。
●議長(加勢課長補佐)
それでは、ご苦労様でした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 昼
休
憩 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
●司会(辻本係長)
お待たせ致しました。ただいまより、南部大阪都市計画特別緑地保全地区の決定につ
いて、都市計画の公聴会を再開いたします。
私は、午前に引き続き、司会を務めさせていただきます、「堺市都市計画課
施設係
長の辻本」と申します。よろしくお願いいたします。
公聴会の開催にあたり、皆様にお願いがございます。
本会場は禁煙となっておりますので、タバコはご遠慮願います。携帯電話をお持ちの
方は、電源をお切りいただくか、マナーモードに設定していただき、通話しないように
してください。
また、私語や議長の許可していない撮影や発言等は禁止されております。特に、本日
は隣の会議室との関係上、申し訳ございませんがマイクを使うことができません。公述
人の発言がよく聞こえるように、ご静粛にお願いいたします。
本日、皆様には名札をお配りしていますが、お帰りの際には名札を受付に返却してく
ださい。また、公聴会の途中、トイレ等で一時的に退室される場合は、名札を着用し、
入室の際に受付で名札を提示していただきますようにお願いします。
また、市役所にお車で来られて駐車されている方に、受付のところでいったんハンコ
を押させていただいたと思うのですが、そうすると1時間無料になります。ただ後です
ね、長時間にわたっておりますので、追加の駐車券をお渡ししたいと思います。市役所
20
の駐車場に止められていまして駐車券が必要な方、用意します関係上、人数を把握した
いのですが何人ぐらいいらっしゃいますでしょうか。挙手願います。2人でよろしいで
しょうか。ありがとうございます。後ほどお渡しさせていただきます。
議事は、午前に引き続き、堺市都市計画課長補佐の加勢が議長として進行いたします。
議長、よろしくお願いします。
●議長(加勢課長補佐)
こんにちは。議長を務めさせていただきます、堺市都市計画課課長補佐の加勢でござ
います。よろしくお願いします。
再開にあたりまして、午前の方につきましては繰り返しになりますけれども、再度、
公聴会について説明させていただきます。
公聴会は、あらかじめご提示させて頂いております素案について、ご意見を述べてい
ただくもので、その意見を踏まえて都市計画の案を作成するため、開催するものでござ
います。
公聴会の記録につきましては、後日堺市において作成した後、公述人の方に郵送にて
記録の確認をさせていただきます。
その後、公聴会でのご意見に対する堺市の考え方とともに、都市計画決定の手続きで
ある案の縦覧を行う際、一般の閲覧に供し、意見書の受付を行います。また、本市のホ
ームページにおいても掲載いたします。
その後、堺市都市計画審議会へ付議することになりますが、その際には、本公聴会で
のご意見やそれに対する堺市の考え方及び意見書が提出されていればそちらも審議の
資料として提出し、報告いたします。
次に、本日の公聴会における公述の方法について申し上げます。
最初に、堺市の事務局より、都市計画の素案について説明があり、その後、都市計画
の素案について、公述人の方に公述していただくことになります。
公述にあたりましては、まず公述人席までお越しいただきます。
公述の内容につきましては、公述申出のときにご提出いただきました要旨に従って、
ご発言をお願いいたします。発言時間は15分以内となっています。公述の制限時間の
2 分前になりましたら、ベルを 1 回、制限時間に達したらベルを 2 回鳴らすようにいた
しますので、時間厳守をお願いいたします。
最後に、会場の皆様にお願いいたします。
本日の公聴会は、意見を述べていただく場であり、質疑応答を行う場ではございませ
ん。また、あらかじめ公述の申出のあった方に公述していただく場でございますので、
傍聴される方は、発言や拍手等を慎まれるようお願い申し上げます。
もし、本公聴会の秩序や進行を乱す行為があった場合、堺市都市計画公聴会要綱に基
づき、この会場から退場していただくことになりますので、ご注意くださいますようお
願いいたします。
21
それでは、事務局は、都市計画の素案を述べてください。
●事務局(林主幹兼土地利用係長)
堺市都市計画課主幹兼土地利用係長の林でございます。よろしくお願い申し上げます。
それでは、
「今回作成しようとする都市計画の案」についてご説明させていただきま
す。
失礼して、座ってご説明させていただきます。
事前にお配りしております「南部丘陵における特別緑地保全地区の決定(素案)につ
いて」をご参照下さい。
本市南部に位置する南部丘陵地域には、自然豊かな一団の緑地が存在し、次代に緑地
を保全・継承していくための仕組みづくりが急務となっています。
市では、条例に基づき設置された「堺市緑の政策審議会」に対し、「南部丘陵におけ
る緑地保全の仕組みづくり」について諮問を行い、「特に保全を優先すべき地区」にお
ける「最も有効な緑地保全制度は特別緑地保全地区である」との中間答申を受けました。
特別緑地保全地区は、都市の無秩序な拡大の防止に資する緑地、都市の歴史的・文化
的価値を有する緑地、生態系に配慮したまちづくりのための動植物の生息、生育地とな
る緑地等の保全を図ることを目的とする都市計画法第8条に規定される地域地区です。
本案の鉢ヶ峯寺地区は、石津川水系・明正川の水源地に位置し、樹林地が良好な自然
的環境を保っている貴重な緑地であり、今回、特に緑地の減尐が危惧される区域につい
て、特別緑地保全地区約 14 ヘクタールを決定しようとするものです。
説明は以上でございます。
●議長(加勢課長補佐)
ただいまの都市計画の素案について、17名の方から公述の申し出があり、9名の方
には午前中にご発言いただいております。
公述人の方には、あらかじめ公述の項番をお伝えしていますので、その項番になりま
したら、公述人席へ進んでいただき、ご発言していただきます。
それでは8番の方、公述人席へお願いいたします。
●公述人(J)
失礼いたします。 公述申出人 J と申します。
私は、鉢ヶ峯寺地区の特別緑地保全地区、面積約14ヘクタールの決定に賛成にしま
す。
理由、今回の鉢ヶ峯寺地区特別緑地保全地区の決定に賛成する理由を申し述べます。
6頄目を挙げました。その理由とするところは、当該地区を含む鉢ヶ峯寺周辺で、私
は20年近く自然観察および調査をしてきたその見地から意見を申し述べるものです。
22
1番目の頄目としてあげましたのは、当該地区は、大阪層群と呼ばれる新生代第四紀
の約100万年前の地層の見られる丘陵地で、谷筋では植物化石も観察され、台地の生
い立ちや昔の植生の分かる貴重な場所である。今後、地層の学習の場としても役立てら
れるものです。
その地層と植物化石ですが、私たちは観察会で何度か見ました。大阪自然史博物館の
専門の先生を現地に案内して、確認して頂きました。また大阪層群の年代についても、
地質図というのがあるんだそうですが、この地質図で調べて頂きました。先生の説明に
よると、このような地層はここだけのものでは無いとのことですが、丘陵地の多くが開
発で失われてしまった今では、観察地として貴重だと言われました。埋め立てなどする
と、この礫や粘土が幾重にも層になっている100万年前の地層や、当時の植物化石が
埋没してしまい、目にすることも出来なくなります。
2番目の頄目。当該地区のような深い森は、また、まとまりを持って保全されること
で樹木をはじめ、野鳥や昆虫などの生物生態系が保護保全されるものであり、一旦開発
されれば、例え植樹により緑が担保されたとしても、生物相は極めて貧弱になり、種の
多様性を失うことは明白である。生態系のピラミッドの頂点に位置するオオタカが営巣
したことから見ても、裾野の生物相が、いかに豊かであるかも明らかであり、生物多様
性が世界的な課題とされる中で、生態系の保全という視点からも緑地保全は見逃せない。
市役所の方は皆さんご存知だと思うんですけれども、南支所の壁面に南部丘陵の航空
写真が掛けられています。その写真を見ると一目瞭然ですが、この今回の指定地のとこ
ろは、濃い緑がこんもりと茂っています。谷は深く、現地を歩くと秘境の心地さえする
所です。その谷筋に植物化石が見られることからしても、ほとんど人の手が入っておら
ず、動植物にとってはまさにサンクチュアリーと言えるところです。オオタカの営巣の
例を出すまでもなく、生物生態系を保全するにはぎりぎり必要な14ヘクタールです。
3番目の頄目。この良好な森は、緑の回廊、一般にはコリドーと言われていますけれ
ども緑の回廊という役目も果たしており、野鳥や昆虫の移動のための中継点に位置して
いる。堺市ほか大阪狭山市、河内長野市、和泉市など、近隣との緑の連続性からしても
重要である。
当該地区は、隣接地に2つのゴルフ場、泉ヶ丘カントリーと天野山カントリー、その
2つのゴルフ場とテーマパーク、ハーベストの丘があり、もしさらに開発されれば、緑
の空白地帯はいっそう拡大し、野鳥や昆虫が孤立化する恐れがあります。種の多様性と
いう観点からみても、この緑の回廊、コリドーは欠かせません。
23
4番目の頄目。当該地区が緑地保全されることにより、自然環境、特に空中湿度です
けれども、空中湿度が良好に保たれ、堺市で最も多種生育するシダ類が保護保全出来る。
これまで調査観察されたシダ類は56種にのぼり、堺市のレッドリスト種、カテゴリー
でいえばBランク重要保護ですが、レッドリスト種のミヤマノコギリシダも生育してい
る。
明生川の川筋、私たちは度々観察会をしましたけれども、200から300メートル
の川筋に56種ものシダが確認されており、レッドリスト種のミヤマノコギリシダのほ
かに、珍しいコモチシダ、私の背丈くらいあるシダですけれども、その葉っぱの表の方
にもムカゴが付いて、それがあの、子持ちのように見えるのでコモチシダと言われてい
ますけれども、コモチシダやオオキジノオ、またヘラシダやイワガネソウなども群生し
ており、一面はびこっており、あの生育しております。群生しており、堺市では、まさ
にシダの宝庫とも言える所です。シダ類は環境の指標とされていますが、この多様なシ
ダから見ても自然度の高さが伺われ、森の存続は不可欠だと思われます。
5番目。保全地区の尾根筋にはカスミザクラやヤマザクラが、谷筋にはシリブカガシ
が群生しており、景観としても高く評価出来る。
早春のヤマザクラ、春本番のカスミザクラ、紅葉のコナラ、一年中緑を絶やさないシ
リブカガシ、と四季を通じて豊かな自然景観が観賞できる所です。斜面地にはシリブカ
ガシが群生していますが、このシリブカガシは、南区鴨谷台の美多弥神社では、大阪府
の天然記念物第一号だったと思いますけれども、天然記念物に指定されていますし、和
泉市の聖神社では、環境庁の特定植物群落に指定されている通りです。シリブカガシの
群生地は保護の対象になっています。
最後の頄目。20年近く鉢ヶ峯地区の植物の観察会を催してきたが、この10年で鉢
ヶ峯の自然の目減りは著しい。里山の棚田や溜め池なども重要かつ優先すべき特別緑地
保全地区であり、今回の事例は、今後の里山保全へと繋がることが期待できる。
堺市が2008年に策定した堺市レッドリストに見られる植物の多くが、当該地区を
含む鉢ヶ峯寺地区に生育しています。堺自然観察会では2008年に、「22世紀に残
したい堺・鉢ヶ峯の植物-草本」と言う冊子を作成しました。その冊子は堺市環境総務
課それから秘書課を通じて市長さんにも差し上げたと思いますけれども、そういう冊子
を作成しました。その冊子に記載した植物の50パーセント余り、53パーセントです
24
けれども、50パーセント余りが激減、減尐が心配される植物になっています。今後こ
の特別緑地保全地区が有効すみやかに機能し、堺市の財産とも言える緑地が、より多く
保全、保護されることを願ってやみません。
以上です。ありがとうございました。
●議長(加勢課長補佐)
はい、ありがとうございました。
続きまして、9番の方、公述人席へお願いいたします。
●公述人(K)
中区の K です。私は、南部丘陵における特別緑地保全地区の決定に賛成の立場から、
意見を述べたいと思います。
私は、1999年、平成11年、第4次の堺市総合計画策定に向けての、市民グルー
プまちづくり提言に応募しました。そこで、公園・緑地・溜池を緑と水の核とし、農地・
河川・樹林地などの自然オープンスペースをつないだ、臨海部から市街地・郊外ニュー
タウン・郊外農地・南部丘陵のエコロジカルネットワークについて提言しました。
その後、堺市の緑の施策、計画を注意深く見守るとともに、私自身は、緑化など实践
活動を行ってきました。
平成22年6月に、堺市緑の保全と創出に関する条例が制定された時には、堺市も本
気で緑の保全に取り組む覚悟を決めたと期待しました。その平成22年8月の、堺市緑
の基本計画推進プランでも、南部丘陵は、農と緑の里づくりとして重点施策の1番目に
挙げられ、堺に残された樹林地として保全の推進が図られることになりました。
今回、都市計画公聴会にかかる鉢ヶ峯寺特別緑地保全地区の決定について、検討され
る区域は、空中写真で見ると、東側が泉ヶ丘カントリー、南側に天野山カントリーが近
接していますが、堺で唯一、最もまとまった丘陵の樹林地であります。現状はコナラな
どの二次林ですが、ここは1991年から、堺植物同好会が8年かけて調査作成した堺
市植物目録というのがあるんですけれども、そこの該当メッシュには、キキョウ、ミズ
タマソウ、ツリフネソウ、イワガラミ、コモウセンゴケ、アリマウマノスズクサ、カワ
ラナデシコ、オオサンショウソウ、ミヤマウズラ、ジガバチソウ、ホウチャクソウなど
の草本類や、樹木ではヤマウグイスカグラ、アセビ、コシアブラ、ウリカエデ、ウワミ
ズザクラなど、堺市域では、自生が尐ない希尐な植物が約80種、出現しています。
また、この地域は植物だけではなくて、ネズミ類やウグイス、コゲラ、メジロ、ホオ
ジロなどの小鳥が生息し、それらをエサとするオオタカなどの猛禽類の餌場として、堺
市内の数尐ない場所であります。
放置されたコナラ林でも管理の仕方によって、自然性の高いシリブカガシ、コジイの
常緑広葉樹林に遷移することができます。また、昔のようなアカマツ林への再生が可能
なポテンシャルを持った樹林であります。
25
もし、開発で樹林及び表層土壌が失われれば、人力による樹林地の造成に、非常に長
い年月を要します。また、石津川の支流である明正川の水源地でもあり、堺を貫流する
石津川の水域生態系を守るためにも、この樹林を開発すべきではないと考えます。所有
者の方も、対象樹林地は、堺の緑地の骨格となるものである事を理解して、特別緑地保
全地区決定に配慮してください。
特別緑地保全地区内では、損失補償、土地の買い入れもあります。
堺市は長期的な緑地保全のために、この特別緑地保全地区の決定を、後退、縮小する
ことなく、早急に推進してください。我々市民も趣旨に賛同し、市民協働で樹林管理に
取り組んでいきます。
今回の大震災で、利益を追求する開発によって得たものが、自然の前では、いかにも
ろいものであるか、私たちは学んだはずです。負の遺産を、子供や孫の代に残さないた
めにも、今わずかに残された自然を、開発による荒廃から守り、育てていくことが私た
ちの使命であると考えます。何十年か先、私はすでにこの世にいません。子供や孫の代
になっています。この時、まったく自然のない堺市を作った先祖と呼ばれるよりは、緑
を守り、よりよい環境づくりを目指した世代だという名誉を選びたいと思います。
以上です。
●議長(加勢課長補佐)
はい、ありがとうございました。
繰り返しちょっと申し上げさせていただきます。携帯電話をお持ちの方は、マナーモ
ードにしていただくか、電源をお切りいただきまして、通話なさらないようお願いいた
します。
続きまして、11番の方、公述人席へお願いいたします。
●公述人(L)
鉢ヶ峯の土地改良区の L と申します。座ってやります。
今回の南部大阪都市計画特別緑地保全地区の決定についてはですね、賛成での意見を
述べさせていただきたいと思います。
この鉢ヶ峯の現在指定されようとしている地区でございますけれども、このパンフに
もありましたが、ハーベストの丘から、なお南の場所でございます。
このハーベストの丘の建設する買収等につきましては、昭和50年代の後半から買収
にとりかかり、バブル崩壊後これを堺市に買収されたという、そして、第3セクターに
よって現在のハーベストの丘が建設され、現在JAが直売所をしたり、ファームがハー
ベストを経営したりというような状態になっておる土地でございます。また更に現在の
指定はその奥の南側の場所でございます。
ハーベストの丘の買収につきましては、当初、学校を造るとか、グラウンドを造ると
いうことで買収が入ってきました。その後、ゴルフ場に変更するというような話もあっ
たんですけれども、地元の反対もあって、ゴルフ場はできずに現在のところになりまし
26
た。これが堺市に買い上げてもらったと、堺市が第3セクターに買い上げてもらったと
いうような、いきさつがあるわけでございます。
昨年、私どもの土地改良区に対しまして、現在指定されようとしている場所について
ですね、開発ということではなしに、残土で埋め立てをしたいという申し出がございま
した。残土で埋め立てをするけれども、埋め立てをする業者の方は番人をつけて、きち
んと変な物は入れないというような話をして、交渉もされてきたところでございますけ
れども、我々は、特に山奥の誰もいないようなところを残土で埋め立てて、申請はその
上にグラウンドを造ると、藍野病院のグラウンドですから茨木市のほうにあるわけです
けれども、そこから、学校からグラウンドへどうして来るのか、というような疑問が残
りますけれども、グラウンドにならなければ何になるのか、というようなこともありま
して、私たちは、これはどうも具合が悪いというようなことで、ましてや残土で埋める
ということについては賛成できない、ということできたわけでございます。
理事会でも色々相談もしましたけれども、堺市に要望を出してみたらどうかと、いう
ようなこともありまして、堺市では止められないと、こういう話がありました。そこで
今年の1月27日付けですけれども、土地改良区といたしまして、堺市鉢ヶ峯地域の農
地・水・里山等自然環境保全に関する要望書というのを市長さんあてに出しました。
鉢ヶ峯地域における農地は、昭和56年より国・府・市の指導と援助を受け、土地基
盤整備事業、約30ヘクタールを实施してきました。
以後約30年にわたり、農地・水・里山等自然環境などの農空間の保全活動を全組合
員が協力し、取り組んできたところであり、今後ともこの豊かな恵まれた土地を未来を
展望しながら適正に保全していくことが、全組合員の願いであり、使命だと考えており
ます。
もうひとつは、農地の生命線は、地域の自然環境であり、良質の土と良質の水であり
ます。したがって、良質の上神谷米は何百年の歴史と、この地域の土壌と水から生まれ
たものであり、先人の遺産でもあります。しかし、この地域の水質、農業用も上流の開
発とともに徐々に水質悪化が進行しており、これ以上の水質悪化が許されない状況にあ
り、我々鉢ヶ峯土地改良区も、この対策を検討しているところであります。
我々鉢ヶ峯土地改良区として、この農地・水・里山等自然環境を、末代まで守り、発
展させる思いでいっぱいであります。
このたび、上流部の自然区域約23ヘクタールに関し、民間業者の開発計画が提示さ
れ、すでに行政機関への事務手続きがなされていると聞き及んでいます。
仮に、土地の所有者が自ら所有地を開発するということであっても、この下流に位置
する我々鉢ヶ峯土地改良区としては、農地・水・里山等自然環境という、自然の営みを
守ることが最も重要との考えから、この開発行為を了とすることはできません。
以上は、堺市緑の保全と創出に関する条例と合致するものだと考えます。よって、貴
職におかれましても、以上の点に格段のご理解を頂き、今般の開発計画を許可すること
なく、現状の自然環境保全をして頂きますよう要望しますということで、市長さんあて
に要望書を提出してきたところでございます。その後ですね、特に何もあえて返事がな
27
いということでございました。我々としては、業者から話を聞いてくれということも何
回となく申し出がございまして、検討をしてきたんですけれども、我々はどうしてもや
っぱり自然のきれいな水を守っていく。それと農業振興地域として野菜も作り、米を作
り、ブランド米の上神谷米としてやってる。これが変な水になってですね、孫末代まで
米の作れないというような可能性も出て来るわけですから、我々としては了とすること
はできないと。また明正川の下流、鉢ヶ峯の下は泉田中、片蔵、さらには栂、豊田と、
この水を使うところ、地域も非常に多いわけでございまして、我々は一番上流の所で何
としても守っていきたいなという考えでございました。
今回の特別緑地保全地区の指定については、都市計画案は、この鉢ヶ峯土地改良区と
してまさに救いの水であり、非常に喜ばしいことであると認識をしております。
どうか特別緑地保全地区の都市計画を推進し、上神谷米のふるさとの水を供給する、
みどり豊かな自然環境を保全することを切に望むものでございます。
以上、私の意見は終わります。
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
続きまして、12番の方、公述人席へお願いいたします。
●公述人(M)
鉢ヶ峯営農組合の M であります。
堺市鉢ヶ峯の営農組合は、堺市鉢ヶ峯土地改良区の田畑30ヘクタールを管理する目
的で設立された組合であります。
土地改良区権利者約90名を組合員としています。
鉢ヶ峯土地改良区農業従事者代表として、特別緑地保全地区の都市計画決定に賛成す
る立場より意見を述べます。
鉢ヶ峯土地改良区30ヘクタールと、となりの大正池土地改良区70ヘクタールは、
堺市南部に残された優秀な農地であります。
その土地を、現在、有効に生かせているのは堺市の農政部の大きな努力と支援があっ
たからです。両地区に堺市農政部の大きな支援が無かったら、現在は大半荒れた中山間
地として、イノシシ、アライグマの天国になっていたと思います。この点について、堺
市の果たしてきた行政の役割を高く評価したいと思います。
現在農業の实態は、米作は、水稲、米は3分の2、畑作は3分の1の割合で行ってお
ります。
米作りは先程、理事長が言いましたように、古くから上神谷米として優秀な米が生産
されています。土地の土質と水が良いからです。食味指数は、昨年も今年も79から8
0を示し、府下最高数値で、大変おいしい粘りがあり、しっとりしていると好評です。
組合員の自家消費、自分の家で使う米以外を、私達営農組合がすべて買いとり、地域
の野菜直売所コスモス館で販売しています。
28
皆さん方は、ご存じの方は尐ないと思うんですけれども、更にですね、種籾を作って
ます。これは千本、20トンになります。この20トンというのは、大阪府全体の4分
の1.25パーセントに相当しているもので、鉢ヶ峯の果している役割は、大変大きい
と言えます。
水田は自然のダムと言われています。水田の果している役割は、相当大きな雤が降っ
ても水田に蓄えられます。
田畑は人々のいやしの場になっておりますが、科学的に見ても、広い水田に水を張っ
てあるだけで、夏の冷却効果等は、計り知れないものがあると思います。
3分の1は畑作です。新鮮・安心・安価な野菜をコスモス館で販売しています。小さ
な集落の、小さな営農組合の野菜販売所です。先日の日曜日も、昼頃にはほとんど売り
切れて野菜はありません。毎日売り切れるんですから、新鮮この上ありません。
この野菜作りにも、良質の水は欠かせません。南部地域、丘陵地域に畑を作ることは
出来ても、土地はあっても水が無かったらダメなのです。
農業を続けていくことは全国的に困難を伴っていますが、私達の営農組合には、後継
者が育ち、頑張っています。後継者が農業に頑張れるように、田畑を後継者に集中し、
そして、また年金生活者や二種兼業農家、それらの人々が能力に応じ、やる気に応じて
田畑を耕作できるようにしています。更に都市近郊に位置する農業として、野菜の直売
所を経営し、市民にもホビー農園として提供しています。
私達営農組合は180区画の貸し農園を持っています。市民の皆さんは、この貸し農
園に春夏秋冬いろいろな野菜を作って楽しみ、いこいの場になっています。
ある後継者はおいしいトマトの作付けで有名です。組合員のトマトの周年栽培に頑張
っています。野菜の直売所コスモス館のメイン商品の一つになってます。お実様が朝並
び、トマトに殺到し怪我をしないかと、そういう気がかりをするくらいで、30分でト
マトの売り切れは常態化しています。
イチゴの栽培にも取り組んでいます。おいしいイチゴでなければすぐに飽きられます。
コスモス館の特徴はもぎとりです。新鮮なイチゴ、トマト、ナス、キュウリ等々、お実
様が自分の好きな野菜をもぎとってコスモス館のレジに持って来て支払いをするので
す。
ハウスで花の栽培もしています。幼稚園、小学校、大量に見学に押し寄せてきます。
野菜の収穫や、ジャガイモ、サツマイモ掘り等々、大変学習の場になっています。
鉢ヶ峯土地改良区営農組合は、貸し農園、ホビー農園、イベント時など100台以上
の車が私道である農道に押し寄せ、一定迷惑でありますけれども、農家とのトラブルは
あまり聞きません。先程ありました野鳥の会等々も、自然と親しむために入ってきてま
す。
私は、土地基盤整備事業に国とか府とか市の税金をいただいております。だから、貸
し農園その他で市民に便宜を図り、お返しをしているつもりでおります。
これらの取り組みも良質な水があってこそです。鉢ヶ峯周辺の水質は残念ながら悪化
しています。東の法道寺川、西の明正川、どちらも石津川の最上流ですが、水質は良く
29
ありません。水質検査は毎年してもらっておりますが、限界に近づいています。昔はど
ちらの川にもですね、ハエタとか僕らは言っておったんですけども、赤マス、ハエ、川
にたくさんおりました。歩けば夜、ホタルが体に自然と当たってきます。河川はですね、
現在砂防工事をしました。工事の途中、しじみもかなり出てきましたが、今はいません。
鉢ヶ峯土地改良区は、優秀な農地、良質な水があってこそ、営農活動が成り立ってい
る所であります。上流部に残土処分地等の開発行為が行われたりすると、死活問題であ
ります。そもそも残土処分地を開発行為と呼ぶこと自体、私は意味が分かりません。大
規模な残土処分地で一切水を汚さないとしても、今は風評被害も含めて大変怖いです。
都市近郊農業として頑張り、世間的に評価されている鉢ヶ峯土地改良区営農組合の基盤
が崩れてしまうわけです。
明正川の鉢ヶ峯土地改良区の取水場所には、2台の大型ポンプを動かしていますが、
上流下流でも個人の農家も、取水ポンプでポンプアップしています。更に鉢ヶ峯の下流
では、泉田中もかなり大規模に取水しています。過日、泉田中の自治会長と話する機会
がありましたが、相手から話に入る前に、水が汚れている旨の話がありました。
私は個人的な言葉をちょっと引用させていただきますけども、父は、山高きがゆえに
貴からず、青きがゆえに貴しとす、と言いました。自身、山はですね、高い所も皆さん
敬愛しておられますけども、やっぱり、山はスギ、ヒノキ、マツとか、いろんな青々と
する木を植えて、山として立派なものであります。竹やぶもありますけれども、やはり、
自身は手入れを十分にして、行き届き、本年も、竹の子、その他もたくさん採れて、皆
さんに喜んでもらってます。山は手入れが行き届いてこそ山林として価値があるのです。
鉢ヶ峯の奥、堺市南部は、現在ゴルフ場が大きな面積を占めています。残された残地
はわずかです。この大部分は、残念ながら手入れは行き届いていません。170号線で
すね、和泉市から河内長野の方によく走りますけれども、みかんを続けられない山には、
ちゃんとスギとかヒノキを植えて、きれいな景観を持っている所があります。
土地を所有する方々のご意見も分かりますけれども、手入れを行い、そうでなければ
所有する意味がないと思います。荒れた自然は人々の心に良い効果を与えません。
近年、アライグマとイノシシの被害に頭を悩ましています。イノシシは私の子供の頃、
4、50年前よく出没していました。正月の15日ぐらいにはイノシシをうってきて、
皆さん楽しく食していました。しかし、南部丘陵にゴルフ場が3か所も出来るに及んで、
出没しなくなりました。
それがですね、この40年ぶりにイノシシがたくさん出るようになりました。それは
中山間地の放棄田、手入れの行き届いていない山林の存在があるからです。アライグマ
のために、スイカやトウモロコシ、サツマイモ、いろんな物をやられています。私は、
山林を所有する者は、山林として生かすことなく放置し、更に括弧つきの開発計画、残
土捨て場として、金儲けその他の対象とすることは許されないことだと思っています。
ずさんな計画では、周りの者に迷惑こそかかってきます。
堺市の行政に携わる方々に申し上げておきます。
鉢ヶ峯の土地改良区として行った土地基盤整備工事等が、高く評価する一方、堺市南
30
部丘陵はですね、逆瀬川、畑、そして鉢ヶ峯、全部その辺りを見回しても、やはり、お
そまつ極まりない放棄田が点在し、山林も荒れています。今回の特別緑地保全地区ので
すね、都市計画決定をですね、政令指定都市堺市としては、行政としては、是非とも行
いですね、南部丘陵にもっと市の財政をつぎこんでいく必要があるのではないでしょう
か。
今日、私がここにも来ましたけども、旧市街地は十分な予算配当をして、きれいにな
ってますけども、南部丘陵は非常に見劣りがします。
今後とも、こういう所に十分な計画をもって、保全していただきますよう、公述を終
わります。
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
続きまして、13番の方、公述人席へお願いいたします。
●公述人(N)
南区から来ました N と申します。座らせていただきます。
私は、この度、堺市が「鉢ヶ峯寺地区特別緑地保全地区」として都市計画決定の提案を
されていることについて、主に次のことを踏まえて、賛成の意見を申し述べたいと思い
ます。
賛成の理由の1つは、本特別緑地保全地区は堺市内の里山自然環境の保全や周辺の農業
環境の維持を図るうえで重要な意義があることです。
泉北ニュータウンの南側に拡がる南部丘陵は、堺市では最も豊かな自然環境が残されて
います。なかでも南部丘陵の核のエリアと言えるのが、本特別緑地保全地区の森です。
里山の多様な生態系を育み、生物多様性を維持する上でも「最後の砦」とも言える貴重
な自然空間であり、堺市にとっては「かけがえのない森」と言っても過言ではありませ
ん。
本特別緑地保全地区のエリアはコナラ等の落葉樹を中心に堺市内に残る最も広大な森
の一部であり、森の中を南から北に蛇行して流れる明正川は V 字の谷を形成し、崖面は
多様のシダ・コケ類で覆われ、せせらぎはサワガニやカワムツなどの生き物を育んでい
ます。また、夜行性の獣類や野鳥の貴重な生育地でもあり、堺レッドリスト A ランク即
ち最重要保護に指定されているオオタカの採餌行動が見られ、かつて繁殖が確認される
など南部丘陵のなかでも第一級の自然環境、自然景観を代表する所です。さらに、石津
川の源流域にあり、緑のダムとして水源涵養の機能を有するだけでなく、農業用水など
に利用されるなど下流域の農業の営みを支え、さらに石津川の水質向上や海の生き物の
生育環境に貢献するなど、多様な役割を果たしています。
2つ目の理由は、堺市のマスタープランや環境政策に合致し、その具体化を図るという
31
点です。
都市計画など土地利用規制法の不備や堺市の緑の保全施策の立ち遅れの中で、南部丘陵
の緑の多くはゴルフ場開発を始め、残土処理開発などで虫食い的に消滅し、現在、まと
まった緑・自然環境はごく一部しか残されていない状況となっています。このような現
状を踏まえ、堺市は総合計画『堺21世紀・未来デザイン』において、南部丘陵の無秩
序な土地利用を抑制することによって良好な自然環境を保全することを目標とし、また、
『堺市緑の基本計画』では南部丘陵の多様な自然環境と生き物の保全を図るとしていま
す。
さらに環境モデル都市として低炭素型都市『クールシティ堺』の实現をめざし、古墳群・
ため池・旧環濠・里山等の歴史文化・自然資源を保全・再生することで、ヒートアイラ
ンドを抑制し、市民が憩う「クールダム・クールライン・クールスポット」の保全・創
出をめざしています。昨年9月に施行された「堺市緑の保全と創出に関する条例」は、
堺市の緑保全行政に大きく踏み出しました。したがって本特別緑地保全地区の都市計画
決定は、「環境」をキーワードとし、これから堺市が目指そうとしている都市像のマス
タープランや政策に合致し、その具体化を図る第一歩となるものです。
3つ目の理由は、南部丘陵の保全を求める市民の意向を踏まえて立案されているという
ことです。堺市が昨年10月に行った「南部丘陵に対する市民意識調査結果」を見ると、
50.7パーセントの市民が「南部丘陵の保全をすすめるべきであると思う」、32.
4パーセントの市民が「どちらかと言えば保全をすすめるべきと思う」と答え、両方を
合わせると80パーセントを超える堺市民が南部丘陵の保全を求めていることが明ら
かになりました。このことからも本特別緑地保全地区の都市計画決定は、市民アンケー
トの結果に整合し、市民の声を反映しているものと言えます。
4つ目の理由は、本特別緑地保全地区の指定にあたって実観的な評価を踏まえて適正な
手続きにより行われているということです。
本特別緑地保全地区は、今年1月、「堺市緑の政策審議会」が南部丘陵の中でも『特に
保全を優先すべき地区』として堺市長に中間答申をしたエリアの一部にあたります。
植生等の自然環境の調査や各種データなどから緑地の評価が行われ、自然環境の質の高
い緑地空間として抽出されたものです。このように本特別緑地保全地区は、学識経験者
などで構成された第三者機関による答申結果を尊重し、実観的な評価を踏まえ、適正な
手続きを経て指定されているものと思われます。
戦後、とりわけ高度成長期において都市のスプロール化を背景に市街化が拡大し、堺市
も例外なく急速に緑はなくなっていきました。これまで堺市は多額の費用をかけて公園
整備など都市緑化、つまり「作る緑」を進めていましたが、その一方で、南部丘陵など
身近な緑・自然環境は無し崩し的に失われてきたのが实情です。堺市内の緑比率で大き
なウエイトを占め、市民に憩いと安らぎを提供する南部丘陵の緑地など自然環境を「守
32
る緑」の役割は、いまや益々重要となっています。
堺市緑の政策審議会は、今年1月の市長への中間答申において、南部丘陵地区の中でも
161.7ヘクタールを「特に保全を優先すべき地区」とし、最も有効な緑地保全制度
は、都市緑地法に基づく「特別緑地保全地区」の指定にあることを示されました。本「鉢
ヶ峯寺地区特別緑地保全地区」は、その特に「保全を優先すべき地区」の一部でしかな
く、しかも2つのエリアに分かれています。多様な生態系は有機的な繋がりで成り立ち、
その微妙なバランスを保っています。できるだけ広い緑地全体を保全することが、その
多様で豊かな生態系を保全することになります。今後、本緑地保全地区の都市計画決定
に引き続き、答申で示された「特に保全を優先すべき地区」全体を特別緑地保全地区に
することも視野に入れて、南部丘陵の保全に取り組まれることを切に要望して、公述意
見とさせていただきます。
ご静聴ありがとうございました。
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
続きまして、15番の方、公述人席へお願いいたします。
●公述人(O)
私は、O です。
土地所有者として貴重な事業財産を、限られた15分の公述意見で論議する事は不公
平でありできませんので、これより公述意見を質問書として提出いたします。後日、堺
市担当責任者と話し合いをさせていただきます。
初めに、30年間所有してきて、私、昭和57年から開発事業担当者、代表として、
公述意見説明をいたします。
経歴、昭和57年事業用地取得。目的、総合グラウンド施設計画。文部省、現在の文
部科学省からの要請でオリンピックセンター計画。
昭和64年、鉢ヶ峯寺ゴルフ開発事業計画。鉢ヶ峯寺ゴルフ計画に対しての基本契約
書並びに、保証書、鉢ヶ峯寺自治会、上神谷自治連合会と締結。
平成3年、堺市企画調整課にゴルフ場開発事業の申請申し入れをしてあります。
平成3年、日独親善ドイツ村計画。
平成5年、堺市ゆとりとふれあいの場構想推進協議会に参加。協議会メンバー、大阪
府、堺市、堺商工会議所、堺市農業協同組合、日本労働組合連合会、大阪府連合会、上
神谷地区自治連合会、鉢ヶ峯寺自治会、株式会社パークシティジャパン、関西電力、大
阪ガス。
平成9年、第三セクターハーベスト計画に協力、貢献。
平成17年、グローバルIT大学院大学基本計画。
平成20年、学校法人藍野学院堺市南区鉢ヶ峯寺地区野外活動施設整備開発計画。
別紙資料2。堺市市長が替わりました。市長が替わったため、2年間の協議をやむな
33
くされました。
昭和57年から堺市、上神谷自治連合会、鉢ヶ峯寺自治会代表の経歴を申し上げます
が、前の田中市長、幡谷市長、木原市長。上神谷自治連合会は、吉川自治連合会長、池
西連合会長、西田会長。鉢ヶ峯寺自治会は、吉川自治会長、北野自治会長、木目自治会
長、西田自治会長、森口自治会長。
本日、都市計画案に対する公述をさせていただきます。
私は、学校法人藍野学院堺市南区鉢ヶ峯寺地区野外活動施設開発事業、代表の O です。
よろしくお願いいたします。都市計画に対する意見の趣旨として、断固反対いたします。
その理由を述べさせていただきます。
今、特別緑地保全地区に指定しようとする予定地は、事業目的のため昭和57年に取
得した土地であります。当該地を含む南部丘陵地中央地区の地区整備を図るため、平成
5年から大阪府、堺市並びに関係団体と、ゆとりとふれあいの場構想推進協議会を設立
し、当学院の関連グループの鉢ヶ峯寺ゴルフ場開発会社、株式会社パークシティジャパ
ン代表として、協議メンバーとして、地区の発展に最大限協力し、先導プロジェクトで
ある仮称緑のミュージアムとそのアプローチ道路となる東西道路の整備を、貴市ととも
に推進してまいり、現在も東西道路は事業継続中で地元より早期完成を望まれていると
ころであります。
また、ゆとりとふれあいの場構想の2期構想として2006年、IT大学院大学にお
いて、特区認定へ尽力をしていただき、貴市においても積極的な南部丘陵地の地区整備
を図られてまいりました。まずは、都市計画による特別緑地保全地区の指定の前に、ゆ
とりとふれあいの場構想推進協議会の場で、協議すべきではないでしょうか。
第2頄。平成21年12月15日産業環境委員会において、市当局は、委員の質疑に
対して、通常地区の決定にあたりましては、制度に対する土地所有者の理解と協力を得
て、事前に調整を図りながら進めていく方法が全国的に行われており、従いまして、特
別緑地保全地区に指定するには、土地所有者など開発関係者が、本市の環境保全の趣旨
を理解し、緑地保全に協力してもらえることが必要と考えております、と答弁しており
ます。
公の場でそう申しておきながら、環境保全の趣旨を理解するための具体的な説明や協
議を土地所有者としないまま、特別緑地保全地区の決定を行うということは、市民また
は土地所有者に嘘をついた事になります。
土地所有者に協力を求める努力もせず、法的に同意が必要ないということだけで公権
力を振るまうということは許せません。こんなことがまかり通ってよろしいのでしょう
か。
第3頄。都市緑地法第10条又は第16条で、その損失を受けた者に対して、通常生
ずべき損失を補償する、とありますが、一度も損失の補償、土地買上げ価格について説
明を受けたことがありません。
制限という義務を負わせようとしているのに対して、補償と言う権利を説明しないこ
とは、法的に問題であります。法17条の土地の買い入れは、申出があった場合は買い
34
入れするものとする、と書いてあります。補償は申出がなくともしなければならないと
いうことです、補償は。
または、憲法29条1頄に、財産権は、これを侵してはならない、さらに第3頄に、
私有財産は、正当な補償の下にこれを公共のために用いることができる、とあります。
これは財産権を侵してはならないが、正当な補償の下に、これを公共のために用いても
構わないと言ってる。つまり、特別緑地保全地区の決定を行うならば、正当な補償をし
なければならないとなっています。
公述の時間が限られていますので、2つ補償しなければならないことを申し上げます。
1つ目は、野外活動施設23ヘクタールの代替地です。平成21年12月15日の産
業環境委員会で地区の決定がなされなければ、建設可能と申されています。すなわち、
この都市計画決定により建設不可能となるので、当然代替地が必要です。
2つ目は、事業利益です。私どもの試算では、防災工事、排水工事、施設整備工事等
の支出と土砂の受け入れによる収入は、ほぼ同額でしたが、平成22年6月11日の建
設委員会で、どなたか名前は伏せておきますが、委員が21億から26億円儲かると言
われており、何の根拠も無く申されたと思えず、我々の計算が間違っているならば、当
然事業利益も補償の対象と思います。根拠として、財産権とは経済的利益を目的とする
権利、物権、債権、無体財産権などがあるのです。
当局は、この莫大な補償を寄付金で賄うと述べておりますが、市当局が行ったアンケ
ートでは、堺市緑の保全基金への寄付について、年間500円程度が一番多かったよう
ですが、堺市の人口は84万ですから、堺市民全員が500円ずつ寄付しても4.2億
円です。一桁足りません。すなわち、補償をするつもりはまったく無いと思います。現
に庁議や堺市緑の政策審査会でも買入れの論議はあるが、補償、土地価格についての議
論は全くなされておりません。
このように法律の中の法律である憲法に反して、都市計画決定は許されることではあ
りません。
第4頄。この度の都市計画決定は、堺市緑の政策審議会による中間答申を受けてのこ
とだと思いますが、その中間答申の最後の、南部丘陵の緑地保全のあり方で、他の緑地
保全制度と担保性やコスト面で比較しているものの、最も重要な实現性について説明し
ておらず、わずか数行で、最も有効な緑地保全制度は特別緑地保全地区であると結論付
けている。
これは、単に特別緑地保全地区にするための理由付けにすぎず、もっと多方面から検
討が必要と思います。
また、南部丘陵の緑地保全に関する現状認識として、市民アンケート調査において8
割以上が南部丘陵の緑地保全の推進を望んでいるとあるが、有効回答数は46.7パー
セントの8割であり、あたかも市民の8割以上が望んでいるかのように思わせている点、
見方を変えれば堺にふさわしい緑のまちづくりに無関心の方が5割以上いることを浮
き彫りにしております。市民の多くが緑地の保全を求めているとは言い難い。
そもそもですが、アンケートは作る側が意図的に回答を誘導できるものであり、例え
35
ば、南部丘陵の土地所有者に財産的負担をかけてでも、緑地の保全を進めるべきと思う
かと問うという場合に同じ8割以上が進めるべきと回答するか疑間であり、思わない、
の方が大勢を占める可能性は十分あり、アンケートは設問しだいで結果は変わると、堺
市緑の政策審議会は認識すべきである。
このような、まだまだ検討不足の中間答申を受けて特定の個人所有地だけを公権力に
より財産権を奪うことは許されることではありません。絶対あってはならない事案とな
ります。
第5頄。特別緑地保全に指定するためには、土地所有者などに、環境保全の趣旨を理
解し、緑地の保全について協力してもらえる具体的な緑地保全計画などを示し、理解を
得ることが大切です。
しかし、そういう当たり前のことを省いて、有無を言わさずいきなりー方的に、当該
地だけを特別緑地保全地区指定するには、一個人に対して公権の行使による私権を奪う
行為であり、法を執行する行政権をもった立場のものが言うべき事ではないと思います。
また、中間答申ではエネルギー改革等により、人の手が入らず荒れた状態になってい
る、と指摘したうえで、「適正な保全に向かった持続的な維持、管理のあり方の検討が
課題である」、と定義しております。土地所有者と保全方法、維持管理や利用の方法に
ついて十分協議する時間があるため、優先すべきは、まず土地所有者と具体的に話すべ
きだと思います。
最後に、本都市計画決定に至る要因の一つとして、環境保全等を御旗とした団体等の
要望書によるところも大きいと思いますが、この団体の方々に憲法29条をどのように
認識しているのか伺いたい。
真の要望とは、自分たちの思想と、犠牲になる土地所有者などへの補償も書き添える
のが正当であり、最も説得力のあるものと考えます。自分たちの思想だけを訴え、周囲
に賛同を求める行為は、エゴイズムの押し付けでしかありません。
どうか、環境保護やエコ活動がエゴ活動にならないよう庁議を充分にしていただきた
くお願いして、公述を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
続きまして、16番の方、公述人席へお願いします。
●公述人(P)
北区から来ました P です。
特別緑地保全地区の決定にわたしは賛成です。
どういうような立場からというふうにいうことですが、都市計画に当たって地域地区
がどのような役割を持たせるか、これは非常に重要なことなのであります。
36
生産活動、消費活動、市民生活の各々の場においてその機能を十分に発揮できるよう
に行政当局は地域地区、それぞれ用途地区を定めてきました。
近年の職住の分離は、より高度な土地利用や人間の生活スタイルにより、生活により
適応しております。この恩恵で私達は生活を豊かにしてきました。しかし失うものも大
きかったと思っております。開発が進むにつれて、私達が生活圏を広げていったところ
は、田園地帯や里山で、これは開発以前は緑の宝庫でした。しかしですね、今、森や林
は急速になくなっております。それでまた、川は汚れ、どぶ川になってるようなところ
もあります。このような状況の中にあって、緑を確保すべき地域は、都市計画の中にあ
って、市街化調整区域にその多くを委ねる事になりました。これは、都市化、都市の中
に求めてもいいのですけども、なかなか今、そういうことは厳しい状態であります。で
すから、この市街化調整区域っていうのは、市街化を止める役割ってのを大きく持たし
ているというのが、今の現状であるというふうに認識をしております。
そういうふうな状況の中にあって、私たちは都市と、それからこういう地域の間で空
気の循環、それから水の循環などを通してですね、非常に都市機能っていうものを調節
してきております。
緑が人々に憩いと潤いを与えると同時に、防災面でも雤が木々を伝い土へ浸透し、田
園地帯は大きな貯水池となって、川の流れを調節してきました。そして、急激な水の流
出を押さえて、防災に当たっているというふうな地域でございます。
特に鉢ヶ峯地区は堺でも唯一緑の豊かなところでありまして、緑環境が存在する地域
であります。そしてその地域が都市というものの機能を支えてきました。今般の指定は、
指定された地域ということのみでなく、この地域一体の緑環境を存続させていく事が重
要で、地区の指定は土地の役割を十分に発揮させ、地区が持つ潜在的な有用性を緑の保
全においた事に、私は敬意を表したいというふうに考えております。
二番目に、保全地区は私人の権利が制約されるという点についての考え方であります。
ここは非常に重要なことであります。土地は私的な権利が優先されるものであるという
ふうには、私は考えておりません。土地の売買にあたっても地域指定があり、開発行為
の制限や権利の移動に関する制約も多々あります。
これらは何を意味するか、土地とは公共性が高く、私人の権利の行使には一定の制約
が伴うという事を意味しております。土地の個人的な占有は、個人の自由な占有でなく、
一定の制約があっての占有である。このように考えております。
しかしですね、時代ってのは変わってます。地域も変わっていきます。そしたら、そ
れにふさわしい土地のあり方というものが、社会的な要請であります。
この場合にですね、社会的な要請をどういうふうにしていくか、これは非常によく考
えなきゃいけないことだと思います。
これは、例えばどういうふうなことかと言うと、土地の市街化調整区域やなんかの線
引きっていうふうなものがありますね。こういうふうなのは10年ごとに見直されてお
ります。それで、市街化区域に繰り入れられる、尐しでも繰り入れられたら、その線引
きが不動産業者や建設業者にとって有利に働きます。
37
また、その逆で、この線引きが市街化調整区域のほうに大きくなるということになる
と、それまでの農業経営者とか、またその土地によっていろいろな生産物を得ている人
たちにとっては、非常にまた有利になっていく。こういうふうなことがあります。
それで、公的な目的の為の保全地区の指定、これは行政がやらなきゃいけない問題な
んですけれども、これは、土地が個人の占有から発生する権利を超えたところにあるも
のであるというふうに、私は認識しております。
個人は公的な目的を理解して、それを遵守しながらです。自己实現を図るべきである
というふうに考えております。
特に現在ですね、食糧の自給率っていうのが、30パーセントを切っております。そ
れで、やっぱり農業の振興っていうのは、本当にこれから考えていかなければならない
問題だと思いますので、この特別緑地保全地区の指定っていうのは、非常に今後を踏ま
えた優秀な施策であるというふうに考えております。
それから、三番目にですが、南部丘陵の緑を保全する市民の声は大きいということで
す。昨年、南部丘陵に残土処分の計画が持ち上がりました。南部丘陵約125ヘクター
ルのうち25ヘクタールを開発しようとするものであります。この面積は甲子園球場の
6倍にあたり、残土処分の後はグラウンドに使用するというものです。このグラウンド
の使用する人数は、その学園のおよそ250名程度であり、25ヘクタールとの整合性
がありません。
また、残土処分による地下水の汚染の懸念があります。このような開発行為に対して、
鉢ヶ峯の自然を守る会、大阪自然環境保全協会堺自然観察会、堺野鳥の会は、残土処分
計画に反対する署名を集めたところ3,400筆が集まりました。そしてそれをですね、
昨年6月、堺市長ならびに市議会議長に署名を提出したところであります。そしてまた、
この私たちの意図することに賛同しまして、その後に647筆の署名がまた届いており
ます。こういうふうな現状でありまして、是非ともここを保全したい、こういう場所が
あって欲しいという市民の声が大きいもんだと感じております。
四番目に、昨年12月に堺市まちづくり基本計画に市民の意見を反映させようとする、
「堺市マスタープラン基本計画」
(案)に対する説明会を、堺市は各支所で7回開いた
事を評価したいと思います。この中で堺の南部丘陵はクールダムとして位置づけられて
おります。
そしてもう一つクールダムとして位置づけられているのが、臨海部の産業廃棄物処理
場跡の共生の森であります。ここを新たな緑の拠点として創出することで、南部丘陵と、
それから臨海部、この両方に挟まれて堺市があるということで、涼しさと安らぎを創出
する大規模な緑の拠点、クールダムを实現というふうなものを堺市は位置づけておりま
す。非常に優秀な施策だというふうに思っております。
さらにですね、本年の1月13日に発表されました堺市緑の政策審議会の中間答申、
南部丘陵における緑地保全の仕組みづくりについては、さらに6つの重点施策のひとつ
として、農と緑の里づくりの中に、南部丘陵における緑地の保全、施策番号1を位置づ
けております。その目的とするところは、南部丘陵において、樹林地や農地、ため池な
38
どが一体となった緑豊かな自然環境を保全、活用した取り組みを進めるとともに、人と
の関わりで育まれてきた里山の多様な景観をこれからも守る事ができるよう、新しい仕
組みづくりをします、と具体的に示されています。堺市にとって緑地保全は喫緊の課題
であり、その解決に向けて、今般の保全地区指定は、諸手を挙げて賛成したいというふ
うに思います。
どうか今後とも、可能な限り緑地の保全を増やして、農業の振興と緑環境の保全を両
立し、市民がその恩恵を享受できるような施策を实行していただきたいというふうに考
えております。またこれらの施策を進めるにあたって、堺市が緑の保全基金の創設をし
ていますので、これにも積極的に市民の一人として協力していきたいと思います。
以上です。
●議長(加勢課長補佐)
はい、ありがとうございました。
続きまして、17番の方、公述人席へお願いいたします。
●公述人(Q)
堺市北区から参りました Q と申します。座らせていただきます。
まず最初に、今回、堺市が検討されておられる特別保全地区決定について、賛成をい
たします。
その理由を以下、申し上げます。
その一。保全地区として検討されているエリア、以下「このエリア」と申し上げます
けども、周辺は、堺市においてもっとも自然度が高いということですね。で、ここにお
いてですね、残土処分、そしてその後にグラウンド整備という形で開発されるとこのエ
リアを代替する場所ってのが存在しないことが第一です。
その二。このエリアにおきましてはオオタカを頂点にして、豊かな生態系が存在して
いることです。オオタカの営巣がこれまでに確認できているのは、堺市においてはこの
エリアを含む鉢ヶ峯寺地区のみであります。
その三。このエリアは堺市南部丘陵の自然の中でも中心に位置しているということが
あります。南部丘陵の中でもですね、今、一定の自然部分っていうのがあるわけなんで
すけども、そのちょうど中心に位置しているため、その中心部分が失われてしまうとで
すね、その自然の連続性ってのが、失われてしまうということ。
そしてそれによってですね、その生態系も大きくとその豊かさが減尐してしまうとい
う、こういう問題点があります。動植物の生息と移動等のために必要な面積っていうの
があるんですけども、その必要な面積っていうのが失われてしまうってことですね。
そうすると、単に現在、開発が予定されている、あるいは今回緑地保全、特別保全地
区決定をですね、検討されているエリアそのまま失うだけではなくて、その周辺のエリ
アの自然度も著しく低くなってしまう。そういう問題点が考えられます。
その四。このエリアは河川、石津川なんですけども、その最上流域に当たりますが、
39
そのような河川の上流域を、特に子供たちをはじめとする市民がですね、体験すること
ができる、ほぼ唯一の場所であると考えております。ほとんどのですね、部分っていう
のが、第二豊田川も含めてですね、三面張りになってしまっています。で、ちょうどこ
のですね、明正川のへりにつきましては、まあ、自然の状態でですね、河川が残ってい
るということで、ここがですね、格好の子供たちの自然教育の場になっているというこ
とです。
そして、そこではサワガニや、カゲロウの幼虫や、カワムツなどの魚類など、たくさ
んの動物が見られます。
まあ、それをですね、自然観察会等の参加者は、思い思いにですね、見たりあるいは
すくったり、あるいはかごに入れてそれを眺めたり、いうことでですね、それを实際に、
自分で触り、どういうものが生きているのかということを体感できるという、そういう
場所なんですね。で、そういう豊かな生態系を残すことともに、そういう体験できる場
所を残すということが大変重要なことだろうというふうに考えます。
まあ、このような場所ってのが、堺市においてはほとんどここだけ残っているという
ことですので、このエリアを失うってことは、そういうことを体験できるエリアを失っ
てしまうということになりますので、代替することは不可能なわけです。
その五。このエリアの中心には大阪層群の地層を明正川が長い年月をかけて削り取っ
て谷状にしている部分があります。景観としても堺市では他に例を見ません。自然観察
会に参加したほとんどの大人や子供がですね、堺市にこのような場所があったのかとい
うことで、驚きの声を口にされます。私もそうでした。そういう場所は是非残すべきだ
ろうと考えています。
その六。残土処分をしてですね、その上にグラウンドとして開発してしまうというこ
とになると、計画上はですね、一定の樹林地と言いますか、緑地を残す、あるいは、回
復緑地を残すという計画に作っておられると思うのですけど、まあ、そのようにしたと
しても、元の自然には、決して戻らず、現地の自然というものは永久に失われるという
ことです。
まあ、そういう六点に基づいてですね、このエリアは今後、我々子孫に残していくで
すね、堺市の宝として保全すべき価値があるというふうに考えています。
地区指定による私権の制限があるわけなんですけども、そこをですね、堺市の宝とい
うことについて、ご理解をいただきですね、ご協力をいただきたいというふうに考えて
います。
私事になるのですけども、今から20年ほど前からですね、鉢ヶ峯エリアに足を入れ
させていただきですね、四季折々にその自然の中で歩かせていただいております。
その中でですね、やはり今まで経験をしてきた都市緑地と言いますか、公園ですね、
都市公園。違うのは本当に様々な植物や動物がですね、存在するということです。なか
なかこれはですね、これで大体見尽くしたかなと思っても、次に行くとまた新しいもの
があるということに気がついて、これがやはり本来持っている自然の奥深さだろうとい
うふうに考えています。
40
まあこれはですね、なかなか都市公園では得られないところです。そして、このよう
な自然というふうなものを残し、自然とはこういうものなんだということについてです
ね、やはり理解していく、そういう環境教育と言いますか、自然教育と言いますか、そ
ういう場としての価値というのは大変大きなものがあります。
で、私たち堺市民としてですね、このようなことを理解できる場を是非、今後とも残
していきたい。そのためにもですね、今回の堺市が検討されている特別緑地保全地区決
定については、是非進めていただきたいなあというふうに考えています。
これまでですね、わたしわずか20年なんですけども、関わらせていただく中でです
ね、その中でも色んなことがありました。
あの、ゴルフ場の開発の問題もございましたし、その過程の中でハーベストの丘とい
うですね、まあ公園と言いますか、農業公園ができるという経過もございました。
そして、あるいはですね、現在ふれあいの森というふうになっているエリアについて
はですね、そもそもと言いますと、墓地拡張の予定があったエリアでございます。これ
についてはですね、ニーズの問題等もあって、一旦それはなくなってしまって、むしろ
積極的にここの緑地を保全しようという形でですね、堺市のほうでお考えになって現状
に至っていると。
私たちとしては、あの、まあもともとですね、里山公園を作っていただきたいなあと
いうような思いを持ってきたわけなんですけども、徐々にですね、やはり鉢ヶ峯あるい
は南部丘陵、相対から見るとその中で、豊かな自然が残っているエリアっていうのは
徐々に尐なくなってきているという事实でございます。
今回の残土処分以外のところについても、残土処分っていうのは部分的に進められて
きてるという現实があります。
そうした中で、今回のですね、ごく一部になります特別緑地保全地区決定ではござい
ますが、これをテコにしてですね、さらに積極的にですね、他の緑地、まあ農業におき
ましてもですね、放棄されている田等ですね、たくさん出てきております。そういうな
ところもですね、どういうふうに回復していくのかっていうことも含めまして、大きく
ですね、今後の自然保全の政策を進めていただきたいというふうに思います。
以上です。ご清聴ありがとうございました。
●議長(加勢課長補佐)
ありがとうございました。
ただいまの公述を持ちまして、本日の公述人の発言は終了いたしました。本日お聞か
せいただきましたご意見については、内容をよく整理させていただいた上で、今回の都
市計画の素案に関係するものについては、その案を縦覧する際に閲覧に供し、あわせて
ホームページ等で公表する予定でございます。
●司会(辻本係長)
本日は、貴重なご意見をお聞かせいただき、ありがとうございました。
41
以上をもちまして、都市計画の公聴会を終了いたします。
お帰りの際は名札を受付までご返却ください。
ありがとうございました。
●議長(加勢課長補佐)
長時間、ありがとうございました。
(午後2時40分閉会)
42
Fly UP