Comments
Description
Transcript
Ⅰ.計画策定の背景と目的
山形市地域公共交通総合連携計画 Ⅰ.計画策定の背景と目的 1 計画策定の背景 山形市(以下「本市」という)は,山形県の中部に位置する内陸部にあり,生活交通基盤とし て鉄道(山形新幹線,奥羽本線,仙山線,左沢線)に加え,路線バス,タクシーが交通事業者に より運行され,市民の日常生活を支える足となっており,周辺市町を始め仙台圏や首都圏と本市 を結ぶ広域交通基盤としての機能を果たしています。 しかし,鉄道と路線バスを中心とした公共交通網が整備されてきた反面,近年のモータリゼー ション1の進展と市街地の拡大により,市民の移動手段はマイカーに依存する傾向にあります。特 に,山形県は世帯あたりの自動車保有台数が平成22年3月末で全国2位(国土交通省自動車交 通局調べ)となるなど自動車への依存率が高く,このことが交通渋滞問題などの原因にもなって います。 一方, 本市の公共交通の利用者数は減少傾向にあり, サービスを提供する交通事業者の経営は, 厳しさを増しています。 こうした状況の中,人口減少・少子高齢化の進行により,通勤・通学で公共交通を利用する年 齢層の減少をもたらす反面,自分で自動車を運転できない交通弱者が増加することが予想され, 通院や買い物などの手段として,生活交通の確保が急務となっています。 さらに,近年,大きな問題となっている地球温暖化対策の観点からも,低炭素型のまちづくり2 に向け, マイカーから公共交通機関への転換による二酸化炭素排出量の削減が求められています。 表 本市の公共交通利用者数 公共交通利用者数(万人/年) H16 H17 H18 H19 H20 H21 鉄 道 520 523 514 514 512 508 路線バス 638 626 621 602 578 563 (資料) 「鉄道:山形市統計書,路線バス:山交バス調べ」 1 モータリゼーション:自家用車が大衆に広く普及すること。 2 低炭素型のまちづくり:二酸化炭素の排出が少ないまちづくりのこと。平成 22 年に国では「低炭素都市づくりガイ ドライン」を示し,集約型の都市システムの構築や,エネルギーの小消費型都市活動等を進めていくことを提唱して いる。 1 山形市地域公共交通総合連携計画 2 計画策定の目的 全国的にも公共交通の利用者が減少傾向にあり,その維持が困難な状況となっているため,その 再生・活性化を図るために「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成19年法律 第25号) 」が施行され,法律に基づく支援制度として「地域公共交通活性化・再生総合事業」が実 施されています。 本市においても,利用者が減少傾向にある公共交通について,その利用を促進することにより, 交通弱者の生活交通の確保,地域間の交流促進による地域の活性化,交通に係る環境負荷の低減等 を目指し,将来にわたり持続可能な公共交通を実現します。 なお,本市では,路線バスが公共交通の中で最も利用者数が多く,市域全体にサービスを提供し ており,本市の公共交通において大きな役割を担っていますが,近年,利用者の減少が著しくなっ ています。 路線バスは路線維持のための補助金を受けながら運行されていますが,自動車の普及状況や人口 減少傾向等の影響により,取り巻く環境は厳しさを増しています。 そんな中,高齢化の進展や自動車依存による環境負荷の増大への対応のため,身近で環境にやさ しい生活交通手段として路線バスの利用促進が急務となっています。 このため,本連携計画では,将来にわたって市民の暮らしを支え生活交通手段となる公共交通を 確保していくためには,路線バスの維持活性化が不可欠と考え,路線バスの利用実態と問題の把握 を行い,路線バスの利用促進に取り組んでいくこととします。 3 計画の区域 本連携計画の対象区域は,山形市全域とします。 2 山形市地域公共交通総合連携計画 4 計画の位置づけ 本連携計画は, 「第7次山形市総合計画」に基づく「山形市経営計画(平成19年2月策定,計 画期間:平成19~23年度) 」 (以下, 「経営計画」という。 )を上位計画とします。 経営計画では, 環境にやさしい身近な交通機関である公共交通に関して 「公共交通の利用促進」 , 「アクセス基盤の整備と促進」 を主要事業と位置づけ, 持続可能なまちづくりを目指しています。 また,関連計画においても,公共交通は重要な役割を果たすものとされています。 山形市交通マスタープラン(平成14年3月策定,計画期間:平成14~23年) 」では,誰も が移動しやすい,人・まち・環境が調和した交通体系を構築するため,バスや鉄道の利便性,快 適性,安全性の向上に努めることが基本方針の一つとされています。 また, 「山形市都市計画マスタープラン(平成10年10月策定,計画期間:平成10~27年 度) 」においても,広域交通拠点へのアクセスの確保と多様性のある交通体系の構築を目指し,公 共交通の利便性を図ることがまちづくりの方針のひとつと位置づけられています。 さらに, 「山形市中心市街地活性化基本計画(平成20年11月策定,計画期間:平成20~ 25年度) 」では, 「公共交通の利用促進」は,郊外からのアクセスの向上と,交流人口の増加に つながるものであり,まちなかの賑わい拠点創出とまちなかの観光交流人口の増大に資する施策 と位置づけられています。 以上のように「公共交通の利用促進」は,本市のまちづくりにとって重要な役割を求められて いるところです。 本連携計画では, これら関連計画との整合性を図りつつ, 経営計画における課題解決に向けて, 「公共交通の利用促進」を図っていきます。 山形市第7次総合計画 山形市経営計画(平成 19~23 年度) 公共交通の利用促進 アクセス基盤の整備と促進 関連計画 ・山形市交通マスタープラン 山形市地域公共交通総合連携計画 ・山形市都市計画マスタープラン 連携 図 ・山形市中心市街地活性化基本計画 山形市地域公共交通総合連携計画の位置づけ 3