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第3編
基本計画
- 35 -
- 36 -
第1章
地球温暖化の防止
1
温室効果ガスの排出削減による低炭素社会の実現
2
再生可能エネルギーの普及・拡大
3
二酸化炭素の吸収源対策
4
フロン類の排出抑制による温暖化対策
- 37 -
第1節
温室効果ガスの排出削減による低炭素社会の実現
現状と課題
○人間の活動に起因する地球温暖化は、異常気象の頻発、生態系への悪影響、食料の減
産、海水面の上昇、感染症や熱中症の増加など、様々な変化をもたらし、人類の生存
にも重大な影響を及ぼすおそれがあることが指摘されています。
○将来の県民に良好な環境を引き継ぐため、温室効果ガスの発生をもたらす化石燃料に
依存した社会から、地球環境への負荷が少ない低炭素社会への転換を図っていく必要
があります。
○東日本大震災後のエネルギー情勢の変化により、電力1 kWh 当たりの二酸化炭素排
出量が増えているため、震災後は二酸化炭素排出量の削減が進んでいません。特に業
務・家庭部門からの排出量が増えています。
○本県は自動車交通への依存度が非常に高く、運輸部門における二酸化炭素排出量の割
合が全国値に比べて約10ポイント高いことから、自動車交通対策についても積極的に
推進する必要があります。
○環境に関する県民アンケート結果では、「地球温暖化に関心がある。」との回答は91.8
%で、非常に関心が高いことがうかがえます。
二酸化炭素の部門別排出量の割合
県内
全国
(資料:環境エネルギー課)
- 38 -
方向性
○群馬県地球温暖化防止条例に基づく「温室効果ガス排出削減計画提出・公表制度」等
の着実な運用や環境GS制度*1などの環境マネジメントシステムの普及・定着を図り
ます。
○工場・事業所等への省エネルギー設備の導入を促進します。
○東日本大震災後に定着した省エネ・節電意識と行動の定着を図るとともに、省エネル
ギー性能の高い家電や設備への更新、住宅用太陽光発電設備等の導入を促進します。
○都市機能の集約化と公共交通の利用を促進し、省エネルギー化を促進します。
○県で管理している道路照明及び全ての信号機については、計画的にLED化を図りま
す。
○次世代自動車など燃費の良い自動車への買い換えを促進するとともに、エコドライブ
の普及・定着を図ります。
○自動車交通について渋滞の緩和と移動時間の短縮を図り、二酸化炭素等の排出を削減
します。
○自動車から自転車への転換を促進するために、自転車が安全で快適に移動できる環境
を整備します。
○エコアクション21(EA21) *2やISO14001*3認証取得を目指す中小企業の取組を
支援します。
○普及啓発活動や環境学習の推進により、環境保全に関する人材の育成や関係団体の活
動の活発化を促進し、地球温暖化の防止に係る県民意識の醸成を図ります。
施策展開
1
温室効果ガス排出の計画的削減
・群馬県地球温暖化防止条例の着実な運用【環境エネルギー課】
・群馬県地球温暖化対策実行計画の推進【環境エネルギー課】
2
省エネルギー対策の促進
・環境GS認定制度の運営及び認定事業者への支援【環境エネルギー課】
・家庭の節電・省エネプロジェクト【環境エネルギー課】
・公共施設の省エネルギーの推進【管財課、環境エネルギー課、建築課、(警)会計課】
・都市機能集約・「まちのまとまり」維持【都市計画課】
・住宅の省エネルギー化の推進【住宅政策課】
・環境対応型県営住宅の整備【住宅政策課】
・道路照明のLED化・長寿命化計画の推進 【道路管理課】
・LED式の信号灯器の導入【(警)交通規制課】
3
自動車交通対策の推進
・エコドライブ普及促進協議会の運営【環境エネルギー課】
・燃料電池自動車普及促進協議会の運営【環境エネルギー課】
・公用車への次世代自動車等の導入【管財課、環境エネルギー課】
・公共交通機関利用促進【交通政策課】
・地方バス路線対策【交通政策課】
- 39 -
・市町村乗合バス振興対策【交通政策課】
・中小私鉄振興対策【交通政策課】
・「7つの交通軸」の整備・強化【道路整備課】
・生活幹線道路の整備・強化【道路整備課】
・安全な自転車利用の環境整備推進【道路管理課】
4
県民による自主的取組の促進
・制度融資【環境政策課、商政課】
・エコアクション21認証登録支援【環境エネルギー課】
・ISO14001認証取得支援【商政課】
5
県民や民間団体の温暖化防止活動の促進
・群馬県地球温暖化防止活動推進センターの活動推進【環境エネルギー課】
・群馬県地球温暖化防止活動推進員の活動推進【環境エネルギー課】
『用語解説』
*1
環境GS制度:自らの事業活動に伴って排出される温室効果ガスを持続的に削減していくため
の計画(Plan)を立て、実行(Do)、点検(Check)、見直し(Action)を行う体制を整備し、組
織的に運用する事業者を、群馬県が「環境GS事業者」として認定し、支援する制度。
*2
エコアクション21(EA21):環境省が定めたガイドラインに基づき運営されている「環境マネ
ジメントシステム」。事業者は、ガイドラインに基づき環境への取組を効果的、効率的に行う
ことを目的に、環境に取り組む仕組みを作り、取組を行い、それらを継続的に改善し、その結
果を社会に公表する制度。特徴としては、中小企業でも比較的容易に環境配慮に対する取組が
できる制度で、かつその取組結果を「環境活動レポート」として取りまとめて公表できるよう
に工夫されています。
*3
ISO14001:ISO14001シリーズは、国際標準化機構(ISO:International Organization for
Standardization)が定めている環境管理システム規格で、1996年9月に発行しました。ISO14
001は、このシリーズの中核となる環境マネジメントシステムの仕様及び利用の手引き。この
ほか、環境監査の指針、環境ラベル、ライフサイクルアセスメント、用語と定義などの計画が
あります。
コラム
次世代自動車
- 40 -
第2節
再生可能エネルギーの普及・拡大
現状と課題
○再生可能エネルギーは二酸化炭素を排出せず、化石燃料と異なり、持続的な利用が可
能で、環境負荷の少ない地域エネルギーであることから、今後一層の普及が求められ
ています。
○本県は、年間の日照時間が全国上位であることや豊富な水資源、豊かな森林資源を保
有していることなどから、再生可能エネルギーの利用に適した条件を備えています。
○再生可能エネルギーへの関心の高まりを背景に、太陽光発電を中心に導入が進んでお
り、県内における平成26(2014)年度の導入量(大規模水力を除く)は74万kW、発電
量(推計値)は約10億kWhで、県内電力消費量の6%程度となっています。
○本県の特性を活かし、再生可能エネルギーの自給率を高めていくとともに、地域にお
ける自立・分散型エネルギーの普及を進めていく必要があります。
○ H25県政県民意識アンケートでは、約9割が「再生可能エネルギーを推進すべき」と
回答しており、普及が望まれていることが伺えます。
再エネ導入量の推移グラフ
方向性
○本県の再生可能エネルギー資源を活用して、太陽光発電、小水力発電、木質バイオマ
ス発電の重点的な導入を促進するとともに、他の再生可能エネルギーの導入可能性を
検討します。
○再生可能エネルギーによる自立・分散電源を普及するとともに、電力需要の平準化、
非常時の電源確保の観点から、蓄電池などを活用したエネルギー利用の効率化を進め
ます。
○本県に建設される八ッ場ダムの水資源を有効活用して、再生可能エネルギ-である水
力発電の開発を進めます。
施策展開
1
再生可能エネルギーの普及・拡大
・住宅用太陽光発電設備導入支援【環境エネルギー課】
・蓄電池設置支援【環境エネルギー課】
・太陽光発電の県有施設への導入【環境エネルギー課】
・太陽光発電事業マッチング【環境エネルギー課】
- 41 -
・小水力発電有望地点調査【環境エネルギー課】
・小水力発電に係る調査支援【環境エネルギー課】
・木質バイオマスエネルギー利活用施設の整備支援【林業振興課】
・木質バイオマス収集体制推進【林業振興課】
・小型風力発電風況調査【環境エネルギー課】
・地中熱利用システム導入モデル支援【環境エネルギー課】
・再生可能エネルギ-導入促進【(企)発電課】
・八ッ場発電所建設の推進【(企)発電課】
- 42 -
第3節
二酸化炭素の吸収源対策
現状と課題
○群馬県の森林面積は42万5千 ha、県土面積に占める割合は67%で、森林面積、森林
率とも関東地方ではトップとなっています。
○森林は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収し、炭素を固定しながら成長して
いますが、この機能が発揮されるためには、間伐などの森林整備を適切かつ継続的に
行い、森林を健全に成長させることが必要です。
○また、森林による二酸化炭素の吸収能力は、森林が若いうちは成長とともに大きくな
り、高齢になるにしたがって徐々に小さくなります。本県の森林は、高齢林への偏り
が進行している状況にあり、森林の二酸化炭素の吸収能力を将来にわたり持続させる
ためには、成熟した森林を伐採して活用し、その跡地に苗木を植えて森林を若返らせ
ることが求められています。
○環境に関する県民アンケート結果において、地球温暖化防止のため県に求める取組と
して、「森林の適切な管理・利用や緑化対策の推進」と回答した人は、83.7%となっ
ています。
(資料:林政課)
方向性
○森林施業の集約化*1を進め、利用間伐の促進を図ります。
○林業経営の成り立たない経営条件が不利な森林に対しては、治山事業やぐんま緑の
県民基金事業*2等により森林整備を推進します。
○街路や広場などの緑化を進めます。
施策展開
1
森林等の保全・整備
・造林・間伐等の推進【林政課】
- 43 -
・治山事業による森林整備の推進【森林保全課】
・規制管理による森林の保全【森林保全課】
・都市緑化の推進【都市計画課】
・都市内の道路築造に伴う街路樹整備の推進【都市計画課】
『用語解説』
*1
施業の集約化:隣接する複数の所有者の森林を取りまとめ、意欲と能力のある林業事業者等が
路網整備や間伐等の森林施業を一括して実施することです。
*2
ぐんま緑の県民基金事業:平成26年4月から導入した「ぐんま緑の県民税」を財源として、水
源地域等の森林整備、ボランティア活動・森林環境教育の推進、市町村提案型事業に取り組ん
でいます。
- 44 -
第4節
フロン類の排出抑制による温暖化対策
現状と課題
○フロン類*1には、地球温暖化への単位当たりの影響(地球温暖化係数)が二酸化炭素
の数百倍から1万倍超という強力な温室効果があります。このため、
「京都議定書*2」
の排出抑制の対象物質になっています。
○エアコンや冷蔵庫などを整備または廃棄する場合は、「特定家庭用機器再商品化法(家
電リサイクル法)
」(平成13(2001)年4月施行)及び「フロン類の使用の合理化及び管理
の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)
」(平成27(2015)年4月施行)に基づき、製
品中に含まれた冷媒フロンを回収することが義務づけられています。また、使用済み
自動車のカーエアコンに使用されたフロン類については、「使用済自動車の再資源化等
に関する法律(自動車リサイクル法)」(平成17(2005)年1月施行)により回収・破壊の
取り組みが行われています。
○平成27(2015)年4月1日にフロン排出抑制法が施行され、フロン類の排出抑制が強化
され、フロン類の利用過程における漏えい防止などが盛り込まれました。
○今後は、オゾン層の保護だけでなく地球温暖化を防ぐために、フロン類を使用しない
製品(ノンフロン製品)の選択・利用やフロン類を大気中に漏えい・放出させないこ
とが非常に重要となります。
○法の施行に先駆けて、県ではフロン類の回収事業者と連携してフロン類の回収・破壊
に取り組んできました。フロン対策の先進県として、「一般社団法人群馬県フロン回
収事業協会」等と連携しながら、フロン排出抑制法が定める業務用冷凍空調機器等の
適正管理の推進等により排出抑制を図る必要があります。
○業務用冷凍空調機器からのフロン類の回収量等(平成25年4月1日~平成26年3月31日)
( 単 位 : kg )
廃棄時
回収した量
(a )
年度当初の
保 管 量 (b )
破壊業者へ
の 引 渡 量 ( c)
再利用等
し た 量 (d)
年度末の保
管 量
(a+b-c-d )
CFC
HCFC
2,7 4 2
41 ,2 92
整備時
HFC
9 ,04 3
合計
5 3,0 77
CFC
HCFC
36
8 ,11 4
HFC
7, 977
合計
16, 12 7
168
1 ,2 34
31 9
1 ,7 21
36
6 74
69 1
1 ,40 1
2,6 8 9
37 ,1 83
8 ,2 70
4 8,1 42
70
6 ,41 9
7, 593
14, 08 2
22
3 ,7 58
36 1
4 ,1 39
2
1 ,74 8
36 0
2 ,11 0
199
1 ,5 85
73 1
2 ,5 15
0
6 21
71 6
1 ,33 7
- 45 -
方向性
○フロン類使用機器からのフロンガスの使用時の漏えい防止、整備時・廃棄時における
回収・破壊を進めます。
○脱フロン、フロン代替物質への転換を積極的に進めます。
施策展開
1
フロン類排出抑制対策の推進
・フロン類の回収の促進【環境保全課】
・管理者による判断基準の遵守等の促進【環境保全課】
・脱フロン化の促進【環境保全課】
『用語解説』
*1
フロン類:塩素、フッ素、炭素を含んだ人工化合物で、学術的にはフルオロカーボン類といい、
その化学構造によりCFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロ
ロフルオロ
カーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)等に区分されます。
*2
京都議定書:1997年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締結国会議において採択され
た、2008年~2012年までの間に先進国全体の温室効果ガス排出量を5%削減することを規定し
た文書です。
地球温暖化の防止
数値目標
指標
単位
現状
年度
目標
数値
年度
数値
温室効果ガス排出量
千t-CO2
H24
18,840
H32
17,249
環境GS認定等事業者
事業者
H25
2,560
H31
4,600
%
H26
約49.4
H31
約65.3
kWh/年
H26
40億
H31
(検討中)
燃料用チップ・ペレット生産量
㎥/年
H26
20,997
H31
(検討中)
間伐等森林整備面積
ha/年
H26
2,267
H31
3,500
LED式の信号灯器の整備率
再生可能エネルギー導入量
※森林整備面積には、県事業、県補助事業、市町村事業、ボランティア等による整備を含みます。
- 46 -
第2章
生物多様性の保全・自然との共生
1
生態系に応じた自然環境の保全と再生
2
野生鳥獣対策と外来生物対策への取組
3
自然とのふれあいの拡大
- 47 -
第1節
生態系に応じた自然環境の保全と再生
現状と課題
○本県は本州のほぼ中央に位置し、標高差が2,500mを超えるなど、変化に富んだ地形
を有しています。この県土に利根川を軸とする河川が葉脈のように広がり、恵まれた
水系を背景としながら、多種多様な野生動植物が生息・生育しています。
○農林業などに伴うさまざまな人間の活動を通じて二次的な自然環境が維持されてきま
したが、中山間地域を中心に管理や耕作の放棄などの大きな環境変化を受け、生物多
様性の劣化が懸念されています。
○「群馬県の絶滅のおそれのある野生生物(県レッドデータブック*1)」平成24(2012)
年改訂版の掲載種数は表1のとおりで、平成12(2000)年の初刊行時より増えています。
○「群馬県希少野生動植物の種の保護に関する条例(種の保護条例)」を平成26(2014)
年12月に制定し、平成27(2015)年8月には特に保護を図るべきものとして11種の野生
動植物を、当該条例に基づき特定県内希少野生動植物種*2に指定しました。
○河川に生息する多くの魚は、河川の本流・支流を季節によって移動しながら生息して
いますが、河川には砂防堰堤や洪水調節ダムなど様々な河川横断構造物が設置され、
魚類の遡上降下の妨げになっている場所が数多く存在しています。
○河川改修において、川の作用でもともと形成されていた多様な自然環境が失われるこ
とや、生物の生息環境にダメージを与えることがあります。
○尾瀬は平成17(2005)年11月、渡良瀬遊水地は平成24(2012)年7月、芳ヶ平湿地群は平
成27(2015)年5月に、湿地とそこに生息・生育する野生動植物の保全と賢明な利用の
促進を目的としたラムサール条約*3に基づく国際的に重要な湿地として登録されまし
た。
○特に、美しい自然と貴重な生態系を持ち、自然の宝庫と言われている尾瀬は、過去に
おいて幾多の開発の波にさらされましたが、その都度、人々の懸命な努力により守ら
れてきました。また、ゴミ持ち帰り運動の発祥の地でもあることから「自然保護の原
点」と言われており、環境教育の場としても優れたフィールドです。
○尾瀬は、年間30万人を超える入山者が訪れ、入山者の適正な利用と自然環境の保全と
のバランスを図ることが大きな課題です。
○環境に関する県民アンケート結果では、生物多様性について「よく知っている。」は
13.7%にとどまり、内閣府の世論調査結果(平成26(2014)年)より3.0ポイント低い
数値となっています。ただし、「意味は知らないが、言葉は聞いたことがある。」に
ついて、県民アンケート結果では48.6%で、世論調査結果を11.1ポイント上回りまし
た。
○生物多様性の保全に対する取組の支持について、環境に関する県民アンケート結果で
は「生活の便利さがある程度制限されても、生物が生息等できる環境の保全を優先す
る。」は26.3%でした。
- 48 -
表1:県レッドデータブック掲載種数
区 分
植 物
絶滅
絶滅危惧
野生
絶滅
53
2
Ⅰ類
Ⅱ類
A類
B類
217
134
準絶滅
情報
危惧
不足
合
計
122
46
59
633
1
9
13
26
5
14
52
86
2
3
1
6
5
2
2
10
1
5
6
4
26
38
53
83
125
300
物 クモ類
4
6
10
甲殻類
4
1
5
15
10
5
55
4
1
85
90
136
209
529
436
212
182
268
1,162
哺乳類
3
鳥類
3
12
爬虫類
動 両生類
1
淡水魚類
7
昆虫類
1
陸・淡水産貝類
3
1
24
その他動物
9
合 計
62
2
5
方向性
○希少野生動植物の保護を進めるため、県レッドデータブック改訂版等を活用し、自然
環境や動植物の生息・生育状況等のモニタリングの実施、掲載種やその絶滅に向かわ
せている要因の周知などに努めます。
○県レッドデータブック掲載種の増加や、掲載種においては絶滅のおそれの度合いが高
まらないように、種の保護条例の適切な運用に努めながら生息・生育環境の保全と盗
採や違法捕獲の防止を進めます。
○人々の「いのち」と「暮らし」を支える生物多様性について、一層の県民の理解促進
に努めます。
○河川の縦断的連続性を確保するために、必要に応じて河川横断構造物に魚道を整備し、
魚類の生息環境の改善を図ります。
○河川改修にあたっては、目的である治水機能を確保するとともに、河川が本来有する
河川環境及び自然環境面での機能が十分に発揮されるような整備に努めます。
○尾瀬における環境負荷を軽減するとともに、適正利用を推進するため、鳩待峠口への
利用集中の是正を図ります。
○尾瀬を通して群馬の子どもたちの自然を守る意識を醸成するとともに、郷土を愛する
心を育むことを目的とした環境教育として、「尾瀬学校」を推進するとともに、より
安全で効果的な実施方法等について、検討します。
○尾瀬の生態系を維持するため、調査研究や、植生回復を実施します。
施策展開
- 49 -
1
多様な生態系の保全
・自然環境保全地域等整備【自然環境課】
・良好な自然環境を有する地域学術調査【自然環境課】
・自然保護指導員設置【自然環境課】
・種の保護条例の推進【自然環境課】
・生物多様性地域戦略への取組【自然環境課】
・ラムサール条約湿地の保全と利活用【自然環境課】
・魚類の繁殖と資源管理手法の研究【水産試験場】
2
水辺空間の保全・再生
・漁場環境対策の推進【蚕糸園芸課】
・環境に配慮した河川改修(多自然川づくり)【河川課】
3
尾瀬の保全
・尾瀬山の鼻ビジターセンター運営【自然環境課】
・尾瀬の適正利用推進【自然環境課】
・尾瀬学校推進【自然環境課】
・尾瀬環境学習推進【自然環境課】
・尾瀬シカ対策【自然環境課】
・尾瀬学校充実プログラム【義務教育課】
『用語解説』
*1 県レッドデータブック:県内を対象として、絶滅のおそれのある野生生物をリストアップし、
その絶滅のおそれの度合い、生息・生育の状況、絶滅へ向かわせている要因や生態などについ
て、記述したものです。レッドデータブックの基盤となる絶滅のおそれのある野生生物種のリ
ストをレッドリストといいます。
*2 特定県内希少野生動植物種:本県では特に保護を図るべきものとして、次の11種を指定してい
ます。
動物:オオモノサシトンボ、ゲンゴロウ、オオタニシ
植物:タチスミレ、アイズヒメアザミ、ナツエビネ、ムカデラン、ムカゴソウ、ノヤマトンボ、
ニョホウチドリ、コウシンソウ
*3 ラムサール条約:特に水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地及びそこに生息・生育する動
植物を保全することを目的として、昭和46年にイランのラムサールという都市で開催された国
際会議で採択された国際条約です。
- 50 -
第2節
野生鳥獣対策と外来生物対策への取組
現状と課題
○県内における野生鳥獣による農林業被害は、農林水産物の経済的な損失に加え、農林
漁業者の経営意欲等の減退、それに伴う耕作放棄地の増加、森林の荒廃等にもつなが
り、依然として被害は深刻な状況にあります。
○近年では、農林業被害以外にも、生態系や生活被害なども増加しており、多方面から
の対策が求められています。
○野生鳥獣の生息域や農地への出没が全県的に拡大するとともに、広域的に移動し新た
な被害地域も発生していることから、捕獲のさらなる強化に加え、市町村を越えた広
域的な体制づくりが必要です。
○鳥獣による被害を減らすためには、地域、市町村、県等が協働し、
「捕る」
「守る」
「知
る」の各対策を総合的、計画的に実施することが重要です。
○捕獲の担い手である狩猟免許所持者は、ピークであった昭和56年より大幅に減少して
おり、確保対策が求められています。
○外来生物*1による農林業被害や生態系への被害、生活環境への被害が発生してきてお
り、外来生物対策が課題となっています。
○環境に関する県民アンケート結果では、県民の62.7%が「身近な動植物の種類が変わ
ってきた。」と回答しています。
農林業被害額
農業被害
千円
林業被害
1,400,000
1,200,000
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
0
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
(資料:技術支援課)
方向性
○県では、「群馬県鳥獣被害対策本部」が中心となって、部局を横断した全庁的な体制
を整えるとともに、「鳥獣被害対策支援センター」を対策の司令塔として被害対策を
強力に推進します。
○野生鳥獣の生息状況や被害実態を調査するとともに、適正管理計画(特定鳥獣管理計
- 51 -
画)に基づき、市町村や関係機関等と連携し、「捕る」対策を強化するとともに、「守
る」「知る」対策を一体的に推進します。
○野生鳥獣による森林被害を軽減するため、獣害防護柵設置等の獣害防止対策を促進し
ます。
○鳥獣の移動経路を遮断するため、鳥獣の捕獲数が多い区域や狩猟制限がある区域を優
先的に、河川内の伐木を実施します。
○外来生物対策として、コクチバスの駆除やアライグマの捕獲等に対する支援等を継続
して進めます。
施策展開
1
野生鳥獣対策の推進
・鳥獣被害対策【鳥獣被害対策支援センター】
・捕獲の担い手確保対策【自然環境課】
・指定管理鳥獣捕獲【自然環境課】
・森林獣害防止対策【林政課】
・農作物被害対策【技術支援課】
・鳥獣対策伐木【河川課】
・環境に配慮した河川改修(多自然川づくり)【河川課】(再掲)
2
外来生物対策の推進
・特定外来生物*2対策【自然環境課】
・コクチバス被害対策【蚕糸園芸課】
『用語解説』
*1 外来生物:人間の活動によって、本来の生息地とは異なる地域に人為的に持ち込まれた生物の
ことです。
*2 特定外来生物:「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」により、生態系、
人の生命・身体、農林水産業への被害を及ぼすもの、または、及ぼすおそれがあるものの中か
ら指定されます。特定外来生物は、生きているものに限られ、個体だけではなく、卵、種子、
器官なども含まれます。
- 52 -
第3節
自然とのふれあいの拡大
現状と課題
○里地・里山の荒廃などにより、身近な野生動植物が減少し、自然とふれあえる「場」
が減少しています。
○本県には、「自然公園法」に基づく3つの国立公園(日光、尾瀬、上信越高原)と1
つの国定公園(妙義荒船佐久高原)があります。また、県立公園のうち赤城、榛名及
び妙義の3公園は自然とのふれあいの場として利用されています。
○県立森林公園は県内7箇所(伊香保森林公園、赤城森林公園、赤城ふれあいの森、さ
くらの里、桜山森林公園、みかぼ森林公園、21世紀の森)に県民の保健休養の場とし
て設置されていますが、ここ数年利用者が減少しています。また、施設の老朽化が進
行しています。
○県立都市公園は県内に5箇所(県立敷島公園、金山総合公園、群馬の森、観音山ファ
ミリーパーク、多々良沼公園)あります。都市公園は市街地に位置しながら、県民が
気軽に自然にふれあう場として利用されています。
○「ぐんま昆虫の森」、「ぐんま天文台」、県立青少年自然の家(北毛、東毛、妙義)な
どの教育施設も、自然体験ができる場として利用されています。
○各施設においては、老朽化した施設の改修や維持管理、利用者減少への対策が課題と
なっています。
○森林環境教育を広く一般県民に対して普及していくためには、森林環境教育を実施で
きるフィールドの提供、森林環境教育プログラムの開発、指導者の養成などが必要で
あり、体系的かつ総合的に展開していく必要があります。
○高齢化や人口減少が進む農村地域において、農村の環境保全を図るためには、農業生
産を継続し、集落機能を維持するための対策が必要となっています。
○市街地や近隣に公園などの人々が集まる施設がある河川では、河川と親しめる場とな
るように階段などの親水施設を設置して、人々の憩いの場として利用されています。
○多くの県民は、身のまわりの緑の豊かさや自然景観の美しさに対する満足感はあるも
のの、自然とのふれあいに対しては充分な満足感を得ていません。また、自然観察会
や緑化活動への参加取組率は低く、活動参加への啓発や機会の拡大が課題となってい
ます。
- 53 -
図
※「国立・国定、県立公園等位置図」掲載
方向性
○本県を代表する優れた自然風景地を保護するとともに、その適正な利用を推進するた
め、自然とのふれあいの場を増やすよう県立公園や自然公園等の管理及び整備に取り
組みます。
○県立森林公園等をフィールドに、大人から子どもまで幅広い年代層の県民向けの森林
環境教育を実施します。
○県立森林公園等の利用を促進するために、森林環境教育の場としての積極的な活用を
図ります。
○農業生産活動の継続を支援することにより、農業・農村の有する多面的機能の良好な
発揮を確保するとともに農村回帰の受け皿づくりを推進します。
○憩いの場である県立都市公園を利用する県民の安全を確保し、安心して利用してもら
える環境を整えます。
○河川改修にあたっては、改修前の河川利用や住民要望等を勘案して改修計画に反映す
ることで、自然とのふれあいの場を拡大します。
○「ぐんま昆虫の森」の利活用促進のため、企画展や講演会の開催、各種イベントへの
出展、旅行雑誌社を対象とした取材会の開催に取り組みます。
○「ぐんま天文台」の職員が積極的に地域や学校に出向き、学校での天体観察会、地域
団体との連携による天文講座などを実施し、自然とのふれあいの充実を図ります。
○県立青少年自然の家においては、引き続き集団宿泊や自然体験等の各種体験活動を通
じて、青少年の心身ともに健全な育成に努めます。
- 54 -
施策展開
1
ふれあいの「場」の確保
・自然公園等の管理整備(国立・国定公園、長距離自然歩道)【自然環境課】
・県立公園の管理整備【自然環境課】
・県立森林公園の管理整備【緑化推進課】
・中山間地域農業の持続的発展(中山間地域等直接支払制度)【農村整備課】
・県立都市公園の適正な管理【都市計画課】
・親水性に配慮した河川改修(多自然川づくり)【河川課】
・ぐんま昆虫の森の運営【生涯学習課】
・ぐんま天文台の運営【生涯学習課】
2
ふれあいの「機会」の提供
・グリーン・ツーリズムの推進【農村整備課】
3
ふれあいを深めるための「人材」の育成
・自然保護思想の普及啓発【自然環境課】
・青少年自然体験等事業【生涯学習課】
生物多様性の保全・自然との共生
指標
数値目標
単位
現状
年度
尾瀬学校等による自然環境学
目標
数値
年度
数値
%
H27
55.6
H31
100
千円
H26
424,050
H31
250,000
頭
H24
17,185
H31
10,479
習の実施率
野生鳥獣による農作物被害額
生息頭数
ニホンジカ
(推計値)
森林公園利用者数
自然体験活動等に係る事業へ
千人
H26
483
H31
540
人
H26
2,542
H30
2,800
の参加者数(県立青少年自然
の家3施設合計)
- 55 -
- 56 -
第3章
森林環境の保全
1
- 57 -
公益性の高い森林の保全
第1節
公益性の高い森林の保全
現状と課題
○群馬県の森林面積は42万5千 ha、県土面積に占める割合は67%で、森林面積、森林
率とも関東地方ではトップとなっています。
○しかし、過疎化・高齢化等により、森林整備の担い手が不足するとともに、奥山や地
形的要因などによる条件不利な森林では、森林整備が遅れています。
○間伐*1面積の7割以上が切捨間伐であり、伐採した木が林内に放置されている状況で
す。地域資源である県産木材を有効利用するためには、効率的に素材生産を行うため
の基盤整備が必要です。
○近年、集中豪雨が頻発する中、森林が有する公益的な機能を適切に発揮させていくた
めには、予防治山の推進等山地災害の未然防止策を進めていくことが重要です。
○森林環境問題に注目が集まる中、県民の森林づくりへの関心が高まり、森林活動への
参加を希望する人が増えてきており、多くの人が気軽に森林整備に参加できる場づく
りが必要です。
(資料:林政課)
- 58 -
林道・作業道の実績
延長(km)
1,000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
平成23年度
平成24年度
平成25年度
平成26年度
全体
229
205
256
214
全体累計
229
434
690
904
森林経営計画内
1
21
78
127
森林経営計画内累計
1
22
100
227
全体
全体累計
森林経営計画内
森林経営計画内累計
(資料:林政課)
方向性
○林業経営の成り立たない経営条件が不利な森林に対しては、「ぐんま緑の県民基金事
業」等により森林の整備・保全に努めます。
○森林の土砂災害防止機能を維持増進させるため、治山施設整備や治山事業による森林
整備を推進します。
○公益上重要な森林を保安林に指定するとともに、無秩序な森林の伐採や開発を防止し
ます。
○森林施業の集約化を進め、利用間伐の促進を図ります。
○森林環境の保全と森林資源の適正利用を図るため、森林経営計画が策定された森林内
における林道・作業道整備を推進します。
○松くい虫から守るべき松林を保全するとともに、「ナラ枯れ」の早期発見及び被害拡
大防止を図ります。
○森林病害虫及び気象害等の被害を受けた森林の再生を図るとともに、林野火災を未然
に防ぐため、県民の予防意識向上を図ります。
○「森林ボランティア支援センター」を活用し、情報の収集・発信や技術指導、森林整
備器具の貸出しなど一体的なサポートを行い、森林の維持管理に努めます。
○森林整備の担い手となる林業従事者を確保・育成し、定着化を図るため、就労希望者
への働きかけ、技術者の養成、林業事業体の雇用の創出、環境の改善に取り組みます。
施策展開
1
公益的機能の高い森林づくり
・間伐等の推進【林政課】
・治山事業の推進【森林保全課】
・保安林の適正な管理・保全・指定の推進【森林保全課】
・林地開発許可制度の適正な運用【森林保全課】
- 59 -
2
持続利用可能な森林づくり
・利用間伐*2の促進【林政課】
・森林経営計画区域内における林道・作業道の整備【林政課】
・集約化による計画的かつ効率的な施業の推進【林業振興課】
3
森林を支える仕組みづくり
・森林病害虫、気象害、林野火災対策【林政課】
・森林ボランティア等推進【緑化推進課】
・林業事業体の雇用の創出及び改善、労働安全衛生対策【林業振興課】
・森林組合強化対策【林業振興課】
『用語解説』
*1
間伐:木が成長し森林内が混み合ってきたら、間引きをして本数を減らし、残した木の成長を
助ける作業のことです。
*2
利用間伐:伐採した木材を搬出して利用する間伐のことです。搬出間伐、収入間伐ともいいま
す。
森林環境の保全
数値目標
指標
単位
現状
年度
間伐等森林整備面積(再掲)
目標
数値
年度
数値
ha/年
H26
2,267
H31
3,500
守るべき松林の松くい虫被害量
㎥
H26
719
H31
420
治山事業施工地面積(累計)
ha
H26
318
H31
600
保安林指定面積(水源かん養保
ha
H26
59,785
H31
60,300
森林ボランティア団体会員数
人
H26
4,968
H31
5,500
森林経営計画区域内の林道・作
km
H26
227
H31
1,300
千㎡
H26
278
H31
400
安林)(累計)
業道の新設延長(平成23年度か
らの累計)
素材生産量
コラム
企業参加の森林づくり
- 60 -
第4章
生活環境の保全と創造
1
水環境、地盤環境の保全、土壌汚染対策の推進
2
大気環境の保全、騒音、振動、悪臭の防止
3
有害化学物質による環境リスクの低減
4
放射性物質への対応
5
快適な生活環境の創造
6
里山・平地林・里の水辺の再生
- 61 -
第1節
水環境、地盤環境の保全、土壌汚染対策の推進
現状と課題
○本県の河川の環境基準達成率(BOD *175%値*2)は77.5%(平成26(2014)年度)で、
全国平均よりも低く、ここ数年横ばいです。
○水質測定結果が県内ワースト1の「鶴生田川(城沼)」は、高度経済成長以降の流域
都市化など環境変化に伴い、生活排水や工場、家畜排水の流入による水質悪化が著し
く、悪臭やアオコの発生など生活環境や水辺環境が悪化してきており、水質改善が急
務となっています。
○地下水の環境基準超過が顕著であり、特に硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素による汚染*3
が顕在化(全国ワースト4位(平成25(2013)年度))しています。
○水質汚濁事故の発生件数は、平成21(2009)年度以降、増加傾向にあります。
○汚染処理人口普及率*4は77.5%(平成26(2014)年度)で、全国平均(89.5%)と比べ
て10ポイント以上遅れています。
○川や湖を汚す大きな原因として、家庭からの汚水が直接川や湖に流れ込んでいること
があげられることから、水源県として水環境の保全のために汚水処理人口普及率を向
上させる必要があります。
○地盤沈下は、全体としては沈静化の傾向にありますが、県東南部では依然として地盤
沈下が確認されています。
○工場跡地などで土壌汚染が確認されたために、土壌汚染対策法で区域指定された箇所
は県内に15箇所(平成26(2014)年度末)あり、土地改変時や自主調査等の調査契機の
拡大を背景に増加傾向にあります。
○市街化・混住化の進展、家畜飼養規模の拡大等に伴い畜産経営に起因する環境問題が
発生し、畜産経営の健全な発展にとって早急に解決しなければならない問題となって
います。
○碓氷川流域及び渡良瀬川流域において、「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」
に基づき、農用地土壌汚染対策地域が指定されています。
○環境に関する県民アンケート結果では、県民が県に求める取組として「大変必要であ
る。」との回答が多かったのは、「水道水のおいしさ」(59.9%)、「河川や湖沼のきれ
いさ」(46.2%)となっています。
河川の環境基準達成状況推移(BOD75%値)
100
90
87.2
91.2
90
93
93.1
87.5
80
70
60
92.3 92.3 92.5
77.5 77.5 77.5
70
72.5
70
17
18
19
92
82.5
75
77.5
50
40
20
21
群馬県
22
23
24
25
26
全国
(資料:環境保全課)
- 62 -
地下水における環境基準達成率の推移
100.0
95.0
93.7
93.2
93.0
94.2
93.1
94.1
93.1
94.2
93.9
90.0
80.0
90.1
88.7
85.0
85.2
80.7
75.0
88.7
84.8
82.1
78.8
79.5
76.8
70.0
65.0
60.0
H17
H18
H19
H20
H21
H22
群馬県
H24
H25
(資料:環境保全課)
H26
水質汚濁事故件数推移
(件)
100
90
H23
全国
92
83
80
70
72
60
50
79
77
73
82
78
67
65
40
30
20
10
0
17
18
100
60
20
21
22
23
24
(年度)
25
26
(資料:環境保全課)
汚水処理人口普及率の推移
(%)
80
19
80.9
82.4
63.8
65.8
17
18
83.9
84.8
85
86.9
87.6
88.1
88.9
89.5
68.5
70
71.4
73
74.3
74.9
76.3
77.5
19
20
21
22
23
24
25
26
40
20
0
群馬県
全国
(年度)
(資料:下水環境課)
方向性
○河川の水質を改善するため、生活排水対策を促進します。
○水質汚濁防止のため、工場・事業場における自主管理を促進します。
○家畜排せつ物を堆肥化し、環境に負荷のかからない資源循環型農業を推進することで、
水資源や土壌環境等にやさしい畜産経営の展開を目指します。
○鶴生田川(城沼)については、底泥浚渫や浄化施設の適切な維持管理による浄化対策
を続けるほか、関係する地元団体や館林市の関係部局と連携しながら取組を進めます。
○汚水処理人口普及率の向上に向けて、下水道と浄化槽のベストミックスによる整備促
進を図るとともに下水道整備アクションプラン策定により、効果的・効率的な取り組
みを推進します。
○地下水資源の管理と適正利用を促進し、地盤沈下の防止に努めます。
- 63 -
○土壌や地下水汚染による、人の健康被害を防止するため、環境調査の実施や原因者に
対して対策の実施を指導します。
○「農用地土壌汚染対策計画」に基づき、「農用地土壌汚染対策地域」の指定解除に向
けて公害防除特別土地改良事業等を実施します。
施策展開
1
水質汚濁・地下水汚染の防止
・河川・湖沼・地下水の水質測定の実施と公表【環境保全課】
・水質汚濁事故の迅速な情報伝達と関係機関との連携【環境保全課】
・工場・事業場への立入指導の実施【環境保全課】
・生活排水対策に向けた広報【環境保全課】
・家畜排せつ物の取り扱いの適正化指導【畜産課】
・鶴生田川(城沼)水質浄化対策【河川課】
・流域下水道建設【下水環境課】
・市町村下水道費補助【下水環境課】
・農業集落排水事業費整備【下水環境課】
・浄化槽設置整備事業費補助【下水環境課】
・浄化槽市町村整備推進事業費補助【下水環境課】
・浄化槽エコ補助金事業費補助【下水環境課】
2
地盤沈下の防止
・一級水準測量による地盤変動調査の実施と結果の公表【環境保全課】
・地下水採取状況の把握と結果の公表【環境保全課】
・取水における地下水から表流水への転換の推進【(企)水道課】
3
土壌汚染対策の推進
・有害物質使用事業場に対する立入指導【環境保全課】
・市街地における土壌汚染対策の推進【環境保全課】
・農用地の土壌汚染防止対策【技術支援課】
『用語解説』
*1
BOD:水中の汚濁物(有機物)が微生物によって分解されるときに必要な酸素の量で、単位
は mg/l で表します。河川水や排水、下水などの汚濁の程度を示すもので数値が大きいほど水
が汚れていることを示します。
*2
75%値:BODやCODの環境基準適合状況を判断するときに用いる値で、年間を通じて測定
した日平均値の全データをその値の小さいものからを順に並べたときに、0.75×n(n=
日平均値のデータ数)番目(端数を切り上げた整数番目)の値です。
*3
硝酸性窒素・亜硝酸性窒素による汚染:主な原因は、生活排水の地下浸透、窒素肥料の過剰な
施肥、家畜排せつ物の不適正な処理、工場・事業場からの排水等が挙げられます。
*4
汚水処理人口普及率:下水道処理のほか、農業集落排水処理施設、合併処理浄化槽、コミュニ
ティ・プラント処理施設等の整備されている人口が、県の行政人口に対して占める割合のこと
です。
- 64 -
第2節
大気環境の保全、騒音、振動、悪臭の防止
現状と課題
○本県の大気環境の状況は、二酸化硫黄*1、二酸化窒素*2、浮遊粒子状物質*3について
は、環境基準を達成していますが、光化学オキシダント*4については、例年、環境基
準を達成していません。また、微小粒子状物質(PM2.5)*5は、10観測地点中6地点
で環境基準を達成しています。
○騒音・振動規制基準達成状況(特定工場)や自動車騒音については、改善されてきて
いますが、自動車保有台数が多い本県では、引き続き自動車騒音対策が必要です。
○悪臭に関する苦情は、物質濃度規制では解決できない事例や、規制地域外での事例が
多い状況です。このため、本県では県内全市町村で臭気指数による規制を行うことを
基本方針に、市町村と調整を行っています。
○市街化・混住化の進展、家畜飼養規模の拡大等に伴い、畜産経営に起因する環境問題
が発生しています。特に、悪臭関連の公害苦情件数は6割以上を占めており、畜産業
の健全な発展のためには悪臭防止対策が重要な課題となっています。
二酸化硫黄の年平均値経年変化(全測定局平均)
(ppm)
0.01
0.005
0.003
0.003
0.003
0.002
0.002
0.002
0.002
0.001
0.001
0.001
24年度
25年度
0
17年度
18年度
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
浮遊粒子状物質の年平均値経年変化(全測定局平均)
(mg/m3)
0.05
0.029
0.028
0.025
0.025
0.023
26年度
0.02
0.019
0.019
0.017
21年度
22年度
23年度
24年度
0.018
0.018
0
17年度
0.03
18年度
19年度
20年度
25年度
二酸化窒素の年平均値経年変化(全測定局平均)
0.016
0.02
0.016
0.013
0.012
0.011
0.01
26年度
(ppm)
0.01
0.01
0.009
0.009
24年度
25年度
0.009
0
17年度
18年度
19年度
20年度
21年度
22年度
23年度
26年度
(資料:環境保全課)
- 65 -
0.05
光化学オキシダントの年平均値経年変化(全測定局平均)
0.038
0.036
0.035
0.034
0.031
0.033
17年度
18年度
0.033
0.037
0.036
0.038
23年度
24年度
25年度
26年度
(ppm)
0.025
0
19年度
20年度
21年度
22年度
(資料:環境保全課)
微小粒子状物質の年平均値経年変化(全測定局平均)
(μg/m3)
20.0
15.0
16.1
15.6
23年度
24年度
14.4
13.5
25年度
26年度
10.0
(資料:環境保全課)
※23、24年度は前橋局の年平均値、25年度は前橋・太田・沼田局の各年平均値の平均値です。
26年度は前橋・太田・沼田・館林・桐生・吾妻・嬬恋局(全局)の各年平均値の平均値です。
畜産経営に起因する苦情発生状況
その他
13
18%
水質汚濁・害虫
1
1%
水質汚濁
7
10%
平成26年度
72件
悪臭
34
47%
害虫
7
10%
悪臭・水質汚濁
4
悪臭・害虫
6%
6
8%
(資料:畜産課)
方向性
○大気環境の常時監視と結果のリアルタイム公開を継続し、光化学オキシダント、微小
粒子状物質の注意報を適切に発令し、健康被害の防止を図ります。
○光化学オキシダント、微小粒子状物質の発生源対策を図るため、調査・研究を推進し
ます。
○市町村における騒音・振動・悪臭に係る業務が円滑に推進できるよう、研修会の実施、
相談・助言などにより市町村を支援します。
○高速自動車道及び新幹線の騒音については、環境基準を上回る状況が確認できた地
域において、管理者に対して防音対策を要望していきます。
- 66 -
○騒音調査の結果が環境基準を超過しており、沿道に人家が連担している地域について、
低騒音舗装を実施し自動車騒音の低減を図ります。
○県内全市町村で臭気指数による規制を行うことを基本方針に、市町村と調整を行いま
す。
○畜産公害の発生を防止し、畜産環境の保全を図るため、巡回指導、研修会の開催、啓
発冊子の配布、水質検査、各種調査等を実施します。
○畜産臭気低減技術等の開発を通して、畜産環境対策を技術的に支援します。
施策展開
1
大気汚染の防止
・大気汚染状況の常時監視【環境保全課】
・大気汚染による健康被害の防止対策【環境保全課】
・工場事業場への立入検査【環境保全課】
・微小粒子状物質の成分分析【環境保全課】
2
騒音・振動の防止
・騒音規制法・振動規制法の管理運営【環境保全課】
・環境騒音の測定調査、防音対策の要望【環境保全課】
・騒音・振動の業務を行う市町村に対する側面支援【環境保全課】
・騒音・振動防止のための路面改善の推進【道路管理課】
3
悪臭の防止
・悪臭防止法の管理運営【環境保全課】
・悪臭の業務を行う市町村に対する側面支援【環境保全課】
・畜産公害防止対策の推進【畜産課】
・畜産臭気低減技術の開発【畜産試験場】
『用語解説』
*1
二酸化硫黄:腐敗した卵に似た刺激臭のある無色の気体です。石炭や石油などの燃焼時に、石
炭中に最大2.5%程度、原油中に最大3%程度含まれる硫黄が酸化したものです。主要な大気
汚染物質の一つであり、窒素酸化物とともに酸性雨の原因物質として知られています。
*2
二酸化窒素:窒素の化合物で赤褐色の気体です。発生源はボイラーや自動車などの燃焼過程や、
硝酸製造などの工程などで、代表的な大気物質です。燃焼過程でほとんどが一酸化窒素として
排出され、大気中で酸化されて二酸化窒素になります。
*3
浮遊粒子状物質:大気中に浮遊している粒子状物質のうち、粒径10μm以下のもので、代表的
な大気汚染物質の一つです。発生源は工場のばい煙、自動車排出ガスなどの人の活動に伴うも
ののほか、自然界由来(火山、森林火災など)のものがあります。
*4
光化学オキシダント:自動車や工場から排出された窒素酸化物や炭化水素類などの一次汚染物
質が、太陽光線中の紫外線を受けて光化学反応を起こして発生する物質です。高濃度になると
目やのどの粘膜を強く刺激するなどの直接的な健康被害を引き起こします。
*5
微小粒子状物質(PM2.5):浮遊粒子状物質よりさらに細かく、粒径が2.5μm以下の粒子です。
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粒子が細かいため、肺の奥深くまで入りやすく、肺がんや呼吸器系への影響だけでなく、循環
器系への影響も懸念されています。このため、類似項目の浮遊粒子状物質と比較して非常に厳
しい環境基準値が設定されています。
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