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RFID: センサー・ベースの 技術を理解する
目次 RFID: センサー・ベースの技術を 理解する R RFID: センサー・ベースの 技術を理解する Edwin Kalischnig 著、 RFID リーダー、Oracle EMEA 社 技術の飛躍的な進歩が最終的に市場に普及するまでには、普通、何年もか かります。1985 年、 絵か鏡のように壁に掛ける新型の超薄型 TV が、 Philips 社の経営陣の中で話題になっていました。これは、プラズマテレビが初め て店頭に出た 12 年前のことで、プラズマテレビが手の届く価格になった のは、それから 6 年後のことです。現在、プラズマテレビは小売店のショ ールームで主役の座を占め、メーカーは需要に追いつくために増産体制を 取っています。 250 以上の製品カタログがwww.itinforequest.comから自由に閲覧できます。 2004 年 7 月 FID(Radio Frequency Identification: 無線 ID)技術も 同様です。この技術は、第二次 大戦中から存在しますが、今や 並行する 3 つの技術開発を背景 に表舞台に立とうとしています。 まず、半導体技術により、RFID の基礎となるチップを実用的な 価格で製造できます。次に、イ ンターネットは世界中でデータ が簡単に共有できる段階まで発 達を遂げました。3 つ目に、移 動体通信技術はモバイル・リー ダーから取り込んだ大量データ を配布できるまでに進化しまし た。 すでに様々な小規模の RFID ソリューションが世界各国で実 現していますが、この 3 つの技 術開発が足並みを揃えることに より、毎年 1500 億∼3000 億ド ルの潜在的利益を生み出す世界 規模のサプライ・チェーン向け ソリューションが実現可能にな ります。(出典: AutoID-Center, 2003 年発行) Î 「RFID 技術により、ウォルマート一社で年間 83 億 5,000 万ドルも経費を抑える ことができました。この額は実にフォーチュン 500 社のうち半数に及ぶ企業の合 計収益に当たります。」 実際、RFID は、最も影響力 のある数少ない最新技術の 1 つ といわれています。このため、 近く、RFID に関する会議、セ ミナー、ホワイト・ペーパー、 Web 放送、雑誌記事などいたる ところでこの話題を目にするこ とでしょう。 報はインフラストラクチャが取 り込んで管理します。その後ト リガーされますが、その動作は、 基本的な在庫補充から究極の低 コストサプライ・チェーンの促 進まで、個々の用途によって異 なります。 そこで、いくつか突っ込んだ 質問をしてみます。「RFID と は一体どんなものか」、「どん な働きをするのか」、「企業に どのようなメリットをもたらす のか」、「コストは」、「どう すればメリットが得られるの か」 財政面でのメリット RFID が実業界にもたらすメ リットは、はかり知れません。 そのため、この技術が現在、大 きな関心を呼んでいるのです。 Brigham Young University のコ ンピュータ・サイエンス学部助 教授 Phillip J. Windley 氏の試算 最初の 2 つの質問に対する答 によると、米国の巨大小売チェ えは、実に簡単です(図 1 参照) 。 ーン、ウォルマートに及ぶ企業 RFID は、無線信号を送る小さ の総収益を上回る額です。RFID な電子タグ(極小のチップとア 技術により、ウォルマート一社 ンテナで構成)と、無線信号リ で年間 83 億 5,000 万ドルも経 ーダー、関連するハードウェア 費を抑えることができました。 およびソフトウェア・インフラ この額は実にフォーチュン 500 ストラクチャで構成させたシス 社のうち半数に及ぶ企業の合計 テムです。送信器は、コンテナ、 収益に当たります。 パレット、マテハン機器、ケー ス、個々の製品など、物品の移 同助教授による試算合計の内 動を追跡することで付加価値が 訳は、次のようになります。在 得られるところに配置します。 庫切れ防止による経費削減 6 億 ドル、盗難・ベンダーによる不 タグの認識は、無線信号リー 正防止による経費削減$5 億 ダを通るときに行われ、その情 7500 万ドル、大量のパレット/ 図1 ケースの効率的な追跡による経 費削減 3 億ドル、在庫削減によ る経費削減 1 億 8,000 万ドル、 サプライ・チェーンや店内で手 動でのバーコードの読取りを不 要にしたことによる経費削減 67 億ドル。したがってウォルマ ートがむこう数年間 RFID に 30 億ドルを投資し、RFID 実現の 主要な原動力の 1 つであること は、当然のことです。 カナダのある消費者向 け製品メーカは、単価 15 セントで RFID の採 算が取れることを立証 RFID は、サプライ・チェー ンに革命をもたらし、コストの 削減、効率およびビジネス・イ ンテリジェンスの新時代の先駆 けとなります。RFID は、物品 の製造、移動あるいは販売に携 わるすべての企業に関連するた め、膨大な潜在的用途がありま す。たとえば、小売店、流通業 者、物流業者、製造メーカ、製 造メーカの納入業者などがその 例です。RFID には、効率や可 視性の向上、コスト削減、資産 の活用率の向上、品質の向上、 シュリンケージ(内部犯行や万 引きなどによる在庫減少)・偽 造の防止、在庫切れ防止による 売上増などをもたらす潜在能力 があります。さらに、一般消費 者向けの食品や医薬品の安全性 を高める効果もあります。 これらのメリットをすべて実 現するうえで鍵となるのがコス トです。プラズマテレビは、発 売当初 1 万ポンドだった価格が 2,000 ポンドになって初めて売 上げが伸びたと同様に、RFID タグの価格が急落すればこの技 術も促進されます。カナダのあ る消費者向け製品メーカは、単 価 15 セントで RFID の採算が取 れることを立証しました。この 単価ならば、バーコードの代り に RFID が普及する見通しは現 実的になります。 タグの価格設定が重要です。 業界は、タグ製造メーカが単価 5 セントを打ち出すことを期待 しています。この価格が、IC タ グの普及を飛躍させるレベルで あると考えられています。それ でもまだ、この価格はコカコー ラなどには高すぎます。そのた め、包装業界や研究者はこの技 術を応用する革新的な方法を探 しています。バーコードの制作 コストは、ほぼゼロです。 これまでのところは順調です。 しかし、RFID の実現は一筋縄 ではいきません。ウォルマート は、先駆者として RFID の利用 に関する指標を定め、同社の納 入業者に対し指示書を送付して サプライ・チェーン全体での導 入を推進しました。ウォルマー ト、Metro Group(ドイツの小 売業者)および米国国防省は、 納入業者の上位 100 社に対して 2005 年までに納入するパレッ トへの RFID タグの添付を指示 しました。しかし、3 月には、 納入業者も、またウォルマート 自身もこの期限を守るのはほぼ 不可能なことがわかり、態度を 軟化させています。 RFID 戦略の基礎を信頼 できる情報アーキテク チャに置く必要がある 期限は変更されましたが、そ の意図は非常に明白です。RFID は、まもなく「次の大市場」に なります。IDC は、米国の小売 りサプライ・チェーンによる RFID のソフトウェア、ハード ウェアおよびサービスへの投資 は、2002 年は 850 ドルだが 2008 年にはほぼ 13 億ドルにな ると予測しています。 2004 年 7 月 Wireless Data Research Group の予測では、 世界の RFID 市場は 2007 年までに 30 億ドル 規模に成長するといわれます。 これは事業に対する巨額の出資 を意味するため、企業は、確実 に顧客の付託に応えるだけでな く長期的な見返りをいかに手に するかを考えることが重要にな ります。 限界の拡大 RFID がもたらすものは、企 業の価値連鎖のあらゆる側面を 網羅する膨大なデータです。こ れにより、拡張性、信頼性、セ キュリティの点から情報管理の 範囲を広げ、個々の固有な用途 を扱う情報のサイロが作られま す。初期の投資を保護し長期的 利益を最大限実現するには、 RFID 戦略の基礎を信頼できる 情報アーキテクチャに置く必要 があります(図 2 参照)。この 情報アーキテクチャとは、技術 や標準、ビジネスの動態の変化 に適応し、ビジネスのあらゆる 部分が RFID の恩恵を享受でき るようにする一元化された「唯 一の正確な情報源」を提供する アーキテクチャです。 「オラクル社の Sensor Based Services は、RFID とセンサ ー・データをユーザーから見えない方法でビジネス・ソフ トウェア・インフラストラクチャに統合する手段」 RFID 技術の重要な価値命題 は、RFID タグ付きのすべての 商品をほぼリアルタイムで追跡 する能力です。この能力を持続 性のある競争力に変えるのは、 RFID データをいかに効率よく、 予測や在庫管理などの貴重な作 戦情報にして、すべての基幹業 務システム、アプリケーション、 ユーザーにより利用可能にする かにかかっています。この能力 は、企業に人件費をかけずにサ プライ・チェーン全体と企業資 産を把握できる可視性をもたら します。 オラクル社の情報アー キテクチャ オラクル社は、適切な情報ア ーキテクチャこそ RFID 支出に 対する収益率を高める重要な決 め手と考えています。オラクル 社では、Oracle の情報アーキテ クチャの強力なデータとアプリ ケーションの統合機能を十分に 引き出すことにより、短期間で い通知機能は、敏感に反応する 効率よく稼働できる RFID 対応 企業にとって不可欠なコンポー のアプリケーション、ソフトウ ネントです。 ェア・インフラストラクチャお RFID 技術をビジネス・プロ よびツールを提供しています。 さらに、グリッド・コンピュー セスに統合することにより、サ ティングの機能を RFID ソリュ プライ・チェーンに変革をもた らします。RFID により、商品 ーションに組み込みました。1 台の大型コンピュータとして機 を自動的に識別してサプライ・ 能する多数の小型サーバーを協 チェーンにほぼ完全な可視性を 働させるグリッド・コンピュー もたらすオープンなグローバ ティングを使用することにより、 ル・ネットワークが実現します。 需要の急上昇や過剰生産能力を RFID が大規模に導入された場 懸念する必要がなくなります。 合、人為的なデータ収集エラー の排除、手持ち在庫の削減、無 駄な資源の最小化、安全性とセ オラクル社が最近発表した キュリティの改善が期待でき、 Sensor Based Services は、 最終的には、低コストで企業に RFID とセンサー・データをユ ーザーから見えない方法でビジ 対し業務上の最適な決定を下す ネス・ソフトウェア・インフラ ための洞察力をもたらします。 ストラクチャに統合する手段で 誇大な宣伝の対象となる技術 す。Oracle Database 10g、 Oracle Application Server 10g、 の受入れを渋る傾向もあります。 Oracle Enterprise Manager 10g しかし、長期的なデータ管理ソ リューションに投資する準備が ならびに Oracle E-Business できている企業は、その成果を Suite とのインタフェース機能 得ることができます。Gartner を備えた Oracle Sensor Based Services は、企業情報システム の主席アナリスト Jeff Woods 間で情報を取得、管理、分析、 氏は「RFID を活用して、注文 アクセス、応答するように設計 の処理や製造ならびに倉庫管理 のために RFID 中心のプロセス されています。 を確立する企業は、戦略面で競 合他社との差別化を図ることが RFID 技術をビジネス・ できる」と述べています。 プロセスに統合するこ とにより、サプライ・ チェーンに変革をもた らす 図2 企業は、統合された作業現場 を通して業務が見えるため、例 外を管理してリスクを低減しビ ジネス・チャンスを最大限引き 出すことができます。豊富な連 携ツール、相手や場所を問わな 250 以上の製品カタログがwww.itinforequest.comから自由に閲覧できます。 2004 年 7 月