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車載用フォトカプラ - 高温時の電気性能を高める

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車載用フォトカプラ - 高温時の電気性能を高める
車載用フォトカプラ - 高温時の
電気性能を高める
ホワイトペーパー
Leong Yik Loong, Roy Tan, Andy Poh
はじめに
AEC-Q100
電 気自動 車 や ハイブリッド車 の 登 場 によって、自動
車への電子部品の採用が加速されています。ボンネ
ット内 の 部 品 の 周 囲 温 度 は + 1 0 5 ℃ 以 上 に 達しま
す。一般的な半導体製品でも最高動作温度+125℃
に対 応 するものもありますが、それらが 必 ずしも車
載 用 途 に 適しているとは いえませ ん 。そこで 、我々
は 、高 温 電 気 性 能 を 高 め た 車 載 用グレ ード のフォ
トカプ ラを 開 発しまし た 。アバ ゴ・テクノロ ジ ー の
車 載 用フォトカプラR 2 C o u p l e r T M シリーズ は 、車
載 用 途 に 要 求される厳しい 基 準 を 満 た すように 設
計され たもので す。
A E C - Q 1 0 0 は、動 作 温 度 範 囲 別、或 い は パッケージ
の 種 類 別 (プラスチックまた は ハ ーメチック) に 、広
範 囲 に わ たる信 頼 性 試 験 の 手 順 を 示しています。
この 基 準 で は 、各 ストレ ス 試 験 に 必 要 な サンプ ル
数 を、そ の ばらつ きも含 めて規 定しています。認 証
試 験グ ル ープ は 、図 1 に 概 要 を 示したように 、電 気
的 試 験 を 行う前 にアセンブリや パッケージング に
関 する パ ラメ ータを 確 認し な け れ ば なりま せ ん 。
そ の 後 、車 載 用 集 積 回 路 の 信 頼 性 を 確 認 する様々
な 電 気 的ストレス、環 境 的ストレス、さらに 機 械 的
ストレス試 験を実 施します。
車載用部品は、他の装置と同じように、ある一定の仕様
または規格を満たさなければなりません。
よく知られた
自動車用部品に対する技術仕様には、国際標準化機構
(ISO)と共に、国際自動車タスクフォース(IATF)によって
制定されたISO/TS 16949 [1] 品質管理システムがあり
ます。また、米国車載用電子部品評議会のAEC-Q100
規 格 [ 2 ] は、車 載 用 集 積 回 路 の 故 障メカニズ ムに 基
づ い たストレス 信 頼 性 試 験 のガイドラインを 提 供
しています。
最 初 に行 なわ れる試 験グル ープ Dで は、ウェーハ 製
造プロセスの 信 頼 性と設 計 ル ールを評 価します。こ
れらの試験は、一般にウェーハ製造者によって行な
われ 、エレクトロマイグレーションやホットキャリヤ
注入などの重要なデータを監視することにより信頼
性を評 価します。試 験グル ープ C は、アセンブリとパ
ッケージ に 関 するもの で 、ワイヤ 引っ張り試 験 、物
理 寸 法 検 査、および 半 田 耐 熱 試 験 などにより、パッ
ケージ 構 造 の 堅 牢さを評 価します。
チップ設計
試験グループD
試験グループE
ウェーハ製造工程
ウェーハ製造工程
の信頼性
特性分布評価
パッケージ・アセンブリ
試験グループC
アセンブリお
よびパッケージ
の堅牢性
外観検査
試験グループF
欠陥スクリーニング
(バーンインなど)
統計的解析
機能/パラメータの電気的検証
試験グループA
試験グループB
試験グループG
過酷な環境条件
下での信頼性を
評価する加速環境
ストレス試験
信頼性を評価す
る加速寿命試験
中空型パッケー
ジの完全性試験
(ハーメチック・
パッケージのみ)
図1.AEC-Q100認定グループ
試 験グル ープ E および F は、部 品 の 性 能を統 計 的 分
布と電 気 特 性 の 面 から評 価します。試 験グル ープ G
は、中空型パッケージの完全性を評価する試験とし
て分類され 、ハーメチック部品専用の特別な試験と
して推 奨されており、プラスチック樹 脂 封 止され た
R 2 C o u p l e r に は 適 用されません 。
試 験グ ル ープ B は 、加 速 寿 命 試 験 により信 頼 性 を
評 価します。試 験グ ル ープ B の 共 通 試 験 は 、高 温 動
作 寿 命 試 験で あり、部 品 は 実 際 の 使 用 環 境 下で 生
じる 可 能 性 の ある 故 障 モ ード を 洗 い 出 す た め 、所
定 の 時 間、高 温 下で バイアスされます。R 2 C o u p l e r
で は、L E Dと受 光 I Cをともに 適 切 に 評 価 することが
で きるように バ イアス 条 件 を 慎 重 に 検 討していま
す。R 2 C o u p l e r に 使 用 さ れ て いる L E D は 、温 度 お
よび 電 流ストレス による光 出 力 の 低 下 を 最 低 限 に
抑え、長 動 作 寿 命 を 保 証 する た め 、高 い 接 合 温 度
にも耐えるように 設 計されています。パッケージも
ま た 、各 チップ からの 放 熱 を 効 果 的 に 行 なうよう
に 設 計されています。
信 頼 性 認 定プロセスの 最 後 に、製 造 業 者 は、設 計、
構 造 および 信 頼 性 試 験 の 証 明 書を顧 客 に提 出 する
た め に 作 成します。
AEC-Q100には新製品に対する評価手順に加え、既
存 製 品 の 変 更 に対 する評 価 手 順も規 定されていま
す。これ により、予 測される品 質 および 信 頼 性 に 関
する懸 念 点 は 、変 更 が 顧 客 に 通 知 され 実 施 される
前 に、信 頼 性 試 験 の 中で 検 証されます。
ISO/TS16949
A E C - Q 1 0 0 は、車 用 途 向 けの 高 品 質 部 品 の 一 貫 生
産 を 保 証 する 品 質 管 理 システムで は なく、製 品 の
堅 牢 性 に 対 する確 証 を 提 供 するもの で す。品 質 規
格 I S O / T S 1 6 9 4 9 は、特 に自動 車 産 業 に お いて、こ
の ギャップ に 対 処 する手 助 けとなります。
試 験グル ープ A は、温 度 サイクル 試 験 やプレッシャ
クッカ試験などの種々の加速環境ストレス試験によ
り、きわめて過酷な温度や湿度環境下での信頼性を
評価します。一般的なモノリシックICよりも多くの部 品 質 管 理 基 準 I S O 9 0 0 0 [ 3 ] は 、産 業 界 で 広く受 け
品から成り、組立工程が複雑なフォトカプラは、この 入 れられていますが、品 質 技 術 規 格 I S O / T S 1 6 9 4 9
グループの試験に適合するために、多くの技術的課 は、自動 車 産 業で 必 要とされる付 加 要 件を含 み、車
題に取り組まなければなりません。R 2 Couplersは、 載 用 途 に固 有 の 要 求 事 項を品 質 管 理システムに組
み 込んで います。車 載 用フォトカプラの 製 造ライン
重 要 な 機 能を持 つチップ 上 の 端 子を二 重 の ボンデ
へ の I S O / T S 1 6 9 4 9 規 格 認 証 により、継 続 的 な 改 善
ィングワイヤ( 図 2を参 照 )で 強 化 する冗 長 構 造を導
入し、そのような過酷な状態下でのパッケージの堅 の 実 施、不 良 予 防 対 策 の 強 化、製 造 ばらつきとサプ
ライ・チェーンでの無駄の排除を確実にする品質管
牢 性と信 頼 性を改 善しています。
理システムが導入され、顧客中心で顧客の新たな要
求 にも対 応 可 能 なシステムとなります。
I S O / T S 1 6 9 4 9 には 5 つ の 技 術 基 準 ハンドブックが
あります。これらは、コアとなる3つのツール;潜在的
故 障モード解 析 ( F M E A [ 4 ] )、統 計 的 工 程 管 理 ( S P C )
、測定システム解析(MSA)および、2つの技術ハンド
ブック;先行製品品質計画 (APQP[5])、製造部品承
認プロセス( P P A P [ 6 ] ) が 含まれます。
図2. 二重のボンディングワイヤによる強化構造
車 載 シス テム 顧 客 が 要 求 する 提 出レ ベ ル により、
新 製 品 、製 品 変 更 、また は 既 存 の 部 品 の 改 善 の 都
度 P P A P 書 類 の 作 成 が 必 要とされる 場 合 が ありま
す。P P A P 書 類 が 完 成 すると、要 件 を 満 たして いる
かどうか の 確 認 の た め 必 要 に 応じて顧 客 に 提 出さ
れます。
R 2 C o u p l e r は、車 載 用 途と高 温 産 業 用 途で 不 可 欠 以上に述べたような広範で詳細な書類作成の他、車載
な 安 全 な 信 号 分 離 を 提 供 するた め 、強 化され た 絶 システム顧客に対しては、他の産業よりも厳しい要求に
縁 性と信 頼 性を重 視しています。A E C - Q 1 0 0 に は、 対応しなければならない場合があります。次に、アバゴ
絶 縁 性 能 の 信 頼 性 に関 する評 価 方 法 が 規 定されて の車載グレード・フォトカプラが、そのような管理的要求
いません。フォトカプラは、長年にわたり高電圧の絶 にどのように対応しているかについて例を挙げて示し
縁に使用されてきており、経験を積んだ専門メーカ ます。
が、絶縁層と構造の完全性と信頼性を評価するのに
適した 試 験を開 発してきました 。R 2 C o u p l e r は、絶
縁 耐 電 圧、過 渡 絶 縁 過 電 圧、作 動 絶 縁 電 圧、パッケ
ージ 外 部 沿 面 および 空 間 距 離 に 関して定 義され た
高電圧絶縁安全基準と共に、UL1577、CSA Notice
5、IE C 6 0 7 4 7 - 5 - 2また は I E C 6 0 7 4 7 - 5 - 5 などの 特
にフォトカプラの 安 全 基 準 に 適 合しています。
2
1. 製造記録保存期間の長期化
まとめ
車 載 用 部 品 に 対しては、最 低 1 0 年 の 製 造 記 録 の 保
存 が 要 求されます。この 要 求 に対し、製 造 記 録 の 長
期保存のみならず、必要に応じて関連情報もより迅
速 に 取り出 すことができるよう、総 合 的 なデ ータベ
ースを車 載 用フォトカプラに 用 意しました 。
アバゴ の 産 業 用フォトカプラと車 載 用フォトカプラ
R 2 C o u p l e r の 主 な 違 い は 表 1 のように なっており、
より広 範 な 信 頼 性 試 験 基 準 ( A E C - Q 1 0 0 )と品 質 管
理システム( I S O / T 1 6 9 4 9 ) へ の 対 応 が 求 められる
自 動 車 部 品 へ の 要 求 を 反 映しています。絶 縁 部 品
であるフォトカプラは、A E C - Q 1 0 0で 規 定されてい
るよりも高 い負荷 に耐えな けれ ば ならず、また 独 特
な構造と組立てプロセスで出来ているため、アバゴ
で は 一 貫した 高 品 質を維 持 するた め 品 質システム
に 特 に 重 点を置 いています。
2. ロット・トレーサビリティーの強化
万 が 一 品 質また は 信 頼 性 問 題 が 生じた 場 合 、影 響
の あるロットを 絞り込 む た め 、個々の 車 載 用フォト
カプラに 印 字され た 固 有 の 拡 張 デ ートコード によ
って問 題 が ある製 品 の 製 造 ロット履 歴 を 素 早く追
跡することができます。LEDおよびICウェーハ、使用
原材料のバッチなどの重要な情報を、個々の製品の
拡 張デ ートコードから手 繰り出 すことができます。
参考文献
[1] ISO/TS 16949:2002 Technical Speciation (2nd Ed)
[2] AEC-Q100 Rev G
[3] ISO 9001:2000 (3rd Edition)
[4] FMEA Reference Manual (4th Edition)
[5] APQP Reference Manual (2nd Edition)
[6] PPAP Reference Manual (4th Edition)
表1. 産業用フォトカプラと車載用フォトカプラの比較
R2Coupler
動作温度範囲
使用部品
重要部ワイヤボンド
信頼性認定計画
信頼性試験サンプル数
信頼性試験グループ
品質管理
組み立てライン
PPAP
製造記録保存期間
ロット追跡
産業用フォトカプラ
産業用高温度対応
ACPL-xxxU
車載用
ACPL-xxxV/xxxT
-40°C ≤ TA ≤ +105°C
-40°C ≤ TA ≤ +125°C
-40°C ≤ TA ≤ +125°C
産業用
産業用
車載用
シングルワイヤ
ダブルワイヤ
ダブルワイヤ
JEDEC47
JEDEC47
AEC-Q100
標準25個×3ロット
(JEDECによる)
標準25個×3ロット
(JEDECによる)
標準77個×3ロット
(AEC-Q100による)
JEDEC47による
JEDEC47による
AEC-Q100による
ISO 9001
ISO 9001
ISO/TS 16949
ISO認証ライン
ISO認証ライン
TS認証ライン
非対応
非対応
顧客要求により対応
標準10年以下
標準10年以下
標準10年以上
通常のデートコード・マーキング
通常のデートコード・マーキング
拡張デートコード・マーキング
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AV02-2421JP - March 24, 2010
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