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地層処分事業における技術業務支援のための要件管理基本システムの

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地層処分事業における技術業務支援のための要件管理基本システムの
地層処分事業における技術業務支援のための要件管理基本システムの開発
1. 背景・目的
2.2 RMSデータベース構造に関する検討
¾
処分事業は,約100年もの長期にわたる事業であり,国民,地元自治体及び住民など
利害関係者(ステークホルダー)の理解を得ながら事業を進めることが不可欠である。
¾
地層処分事業は3 段階のサイト選定から処分場建設,操業,閉鎖と段階的に進められ,
その各段階の節目では重要な意思決定,つまり関係者が次段階に進むことの合意がな
された上で着実に進められることが不可欠となる。したがって,事業の推進においては,
事業の一貫性は保ちつつ 事業内容に関して柔軟性が必要とされる
事業の一貫性は保ちつつ,事業内容に関して柔軟性が必要とされる。
¾
そこで,原子力発電環境整備機構(以下,「機構」)は,段階的なサイト選定の進展に応
じ,一貫しつつも柔軟性のある処分事業全体の管理手法として,構造化アプローチ
(NUMO Structured Approach:NSA)の開発に取り組んでいる(図-1) 。
¾
処分事業は段階的に進められるサイト選定に応じて地質環境等に関する情報や技
術開発に伴う工学技術や性能評価の技術が蓄積され事業の計画も詳細化されてい
くという特徴を有する 例えば サイト選定の各調査段階において 「処分場概念」の
くという特徴を有する。例えば,サイト選定の各調査段階において,「処分場概念」の
検討が進められるが,サイトの環境情報が段階的に詳細化されるのに伴い,「処分場概
念」も繰り返し,段階的に最適化される。このように,構造化アプローチでは,「処分場概
念」構築の一連の業務をモデル化し,各段階を通じて一貫性を持って管理する。また,
技術開発の達成や,安全規制等の整備に伴う,新たな要件の発生を将来にわたって見
通しつつ,これらの変化に柔軟に対応できるよう,将来必要となる技術や情報を抽出し,
現段階の技術開発あるいは検討課題としてフィードバックする。
設計に影響を
与える因子
構造化因子
¾
図 4 「意思決定事項」と「要件」の管理構造モデル(NUMO TR07
図-4
TR07-01)
01)
¾
最適化されたR
C
設計に影響を与
える因子
設計の確認
研究
開発
基本RC
サイト環境
条件の確認
閉鎖の構想
設計に影響を
与える因子
工学技術
からの制約
性能評価
からの制約
研究
開発
工学技術
からの制約
RCの具体化
性能評価
からの制約
サイト
環境条件
RC原案
研究
開発
操業
研究
開発
サイト
環境条件
建設許可申請
工学技術
からの制約
サイト選定
サイトに適するRC
事業許可 ※
研究
開発
性能評価
からの制約
最終処分施設建設地選定
2.3 RMSデータベースの記述内容に関する検討
閉鎖 ※
閉鎖の許可
建設
サイト評価
設計
すなわち,このモデルでは,「意思決定事項」を表す“D”とその「要件」“R”の対応
関係を基本とする。また,“D”,“R”の記述内容を補足的に説明するために,“C”
(意思決定事項に関連する「考慮事項」)と,“A”(要件の「論拠」)を加え,この4つ
の要素でデータベースを管理することとした。
研究
開発
事業の進展
設計の
再評価
事業に関する「意思決定事項」とその「要件」をデータベースとして効率的に管理す
るために,図-4に示す管理構造モデルを考案した。ここでは,全ての「意思決定」
は「要件」に基づいてなされるものと仮定し,また,「意思決定」が階層構造を有して
いると考えた。
ィー
フ
ック
ドバ
¾
基本システム開発段階においては,技術部業務のうち処分技術関連の業務につ
いて試行的にデータベースを準備し,DCRAモデルの記述内容について検討した。
検討においては,最上位の「意思決定事項」を,処分場概念構築手順に設定し,
図-5に示すように意思決定の階層構造を展開した。
精密調査地区選定
サイト選定とRCに関する報告書
1.1. 地下施設建設可能区域の設定
概要調査地区選定 ※
処分場概念の
の構築に関する意思決定
2000 NUMO設立
図-1 「構造化アプローチ」の事業全体への展開 (NUMO TR07-01)
¾
8.1.1. 基本シナリオの設定
1.建設可能区域設定
この技術開発では,構造化アプローチを効率的に実践するための計算機支援システム
として,要件管理システム(Requirements Management System:RMS)を開発する。RM
Sは 処分場概念等に関わる各要件やその関連情報を構造化し デ タベ スとして管
Sは,処分場概念等に関わる各要件やその関連情報を構造化し,データベースとして管
理することを基本的な役割とする。さらに,意思決定支援機能等を備えることで,機構の
技術業務全体を支援する。要件管理システムの導入については,海外の機関でも検討
が進められており,技術情報交換を実施している。
1.2. 地上施設建設可能区域の設定
8.1. 安全評価シナリオ検討
8.1.2. 変動シナリオの設定
1.3. 処分施設建設用地の設定
8.2.1. 天然バリア移行モデルの設定
2.処分施設レイアウト
設定
2.1. 処分場建設水平位置の設定
8.2. 天然バリアの移行評価
8.安全評価
3.1.2. OP形状・寸法設計
3.人工バリア基本仕様
設定
処分場施設に関する意思決定
•事業に関わる意思決定の経緯の追跡性と透明性の確保
•意思決定事項や要件に変更があった場合,影響範囲の把握と課題の効率的な抽出
3.2.3. 緩衝材製作/定置方法
6.2.1. グラウト仕様
6.1. 廃止計画の策定
6.閉鎖仕様設定
6.2.2. 埋め戻し仕様
6.2. 坑道のシーリング
7.1. 1.建設手順検討
7.1. 2.建設ロジスティクスの検討
7.1. 建設方法の検討
N-RMSの概念設計
基本システム構築(入力・閲覧機能)
実務システム開発段階
入力支援機能
意思決定支援機能(変更管理機能等)
N-RMSデータベース構築
4.3.1. 熱設計
4.3.パネル設計
4.3.2. 力学設計
4.4. 処分坑道埋め戻し材仕様決定
4.3.3. パネル形状設計
7.1.3. 掘削ズリの管理
7.1.4.建設時の安全確保
7.2. 1.操業手順検討
4.5. 処分孔・坑道支保仕様決定
7.2. 2.操業ロジスティクスの検討
7.建設・操業・閉鎖シス
テム検討
4 6 モニタリング設備設計
4.6.モ
タリング設備設計
7.2. 操業方法の検討
安全確保
7.2.3. 操業時の安全確保
5.1. 港湾の確保
5.地上施設仕様設定
7.2.4. 再取り出し性の検討
5.2. 道路等インフラ整備設計
5.3.オーバーパック封入施設設計
7.3. 1.閉鎖手順検討
5.4. 地下搬入施設設計
7.3. 2.閉鎖ロジスティクスの検討
7.3. 操業方法の検討
5.5.排気塔,空調・換気設備施設設計
7.3.3. 閉鎖時の安全確保
5.6. 排水処理施設設計
7.3.4. 閉鎖判断の検討
図-5 「意思決定事項」の階層構造(第3階層の一部まで展開)
¾
例えば,「緩衝材の仕様
例えば
緩衝材の仕様,設計」を例に挙げると,
設計」を例に挙げると 「意思決定事項」と「要件」は
意思決定事項」と 要件」は,図
図
-6に示す関係にある。
NUMO版RMS(N-RMS)の必要性
基本システム開発段階
8 4 生物圏評価
8.4.
6.2.3. プラグ仕様
•事業に関わる意思決定とその要件の効率的な情報管理
構造化アプローチ検討段階
8.3.3. 緩衝材性能評価
3.2.2. 緩衝材形状・寸法設計
3.2. 緩衝材仕様設定
4.地下施設仕様設定
RMSの開発により,技術業務に対して次の効果が期待される。
RMSの開発は,図-2に示すように段階的に行われる。ここでは,基本システム開発の
進捗状況について紹介する。
進
8.3.2. オーバーパック性能評価
3.2.1. 緩衝材材料選定
4.1. シャフト・アクセス坑道仕様の設定
RMS開発により期待される効果
¾
8.3.1. ガラス固化体性能評価
8.3. 人工バリアの性能評価
3.1.3. OP製作方法
3.1. オーバーパック仕様設定
4.2. 連絡坑道仕様の設定
¾
8.2.2. 天然バリア移行パラメーター
の設定
3.1.1. OP材料選定
2.2. 処分場建設深度の設定
D
C
緩衝材の仕様,設計
*2年後を目処に処分技術・性能評価関連のデータベースを構築
R1
岩盤とオーバーパックの間に設置し,放
射性核種を地下環境に漏出させないよう
に材料選定,基本設計,製作施工法を選
定し,緩衝材仕様を決定する
オーバーパックの保護
A1
R2
放射性核種の移行抑制
•良好な伝熱性
•オーバーパック支持性能
オ バ パ ク支持性能
•岩盤変形の力学的緩衝性
A2
•核種の溶解抑制
•地下水の移動抑制
•溶解した核種の移行遅延
技術業務への導入
d1
c1
緩衝材材料の選定
図-2 RMSの開発段階
性能要件を満たし
つつ,長期安定性,
安定供給を考慮し,
材料を選定
自己シール性
2 検討成果
2.
長期間安 安価・安
定な材料 定供給
r1
2.1 RMS概念設計に関する検討
意思決定支援機能
データベース管理機能
N-RMS
¾
例)意思決定,要件の変更に伴
う影響範囲の特定,外的な要因
の反映
意思決
決定支援システム
N-RMS database
DCRA
データベース管理シ
システム
変更管理機能
製作・施工法
の選定
c3
製作技術,施工環境,ロ
ジステクスに留意し,製作・
施工方法を選定する。
考慮・確認要件群
コロイド移行抑制
施工性
a2
良好な熱伝導性
OP力学的支持性
人工バリア耐震
安定性の確保
緩衝材流出耐性
製作性
r3
a3
r4
施工性
a4
¾
構造化アプローチの実践として,要件管理
基本システムの開発に取り組んできた。基
本システムの概念検討,意思決定の構造
本シ
テ
概念検討,意思決定 構造
分析やデータベース構造等を検討し,基本
システムを開発(図-7),意思決定データ
ベース入力を行った。
¾
今後は,技術業務への導入を目標とした実
務システムの開発に着手する。より発展的
な利用法として,変更管理機能やプロジェク
ト管理機能などを検討する予定 ある
ト管理機能などを検討する予定である。
図-3 NUMO版RMSのシステム概念図
データベース管理機能
例)データベース編集機能
データベース入力支援機
能
例)テンプレート機能,外部データ
ベースとのリンク
これらの構造に基づいて,それぞれ「意思決定の考慮事項」と「要件充足の論拠」
を記述する。なお,海外専門家からのレビューも考慮し,日本語と英語の両方で
記述する
記述する。
3. 今後の課題
N-RMS閲覧機能
例)意思決定構造俯瞰図, データ
ベース検索・閲覧機能他
意思決定管理機能
a1
応力緩衝性
r2
d3
考慮・確認要件群
基本要件を満たすように,
緩衝材の締め固め密度,
厚さを設計する。
図-6 「意思決定事項」と「要件」の対応関係(一部記述を簡略化)
NUMO版RMSのシステム概念図を図-3に示す。RMSは意思決定事項とその要件
を管理するリレーショナル型データベースと,ユーザーインターフェースとなる「意思決
定支援システム」と「RMSデ タベ ス管理システム」からなる 『基本システム開発
定支援システム」と「RMSデータベース管理システム」からなる。『基本システム開発
段階』では,「RMSデータベース管理システム」に関する基本的な機能を開発すること
とした。
例)意思決定のスケジュール管理機
能等
c2
緩衝材の基本
設計検討
設計基本要件群
材料選定要件群
¾
d2
図-7 基本システム実行画面(日英対応)
参考文献
原環機構(2007)段階的な事業推進における構造化アプローチと要件管理,NUMOTR 07-01
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