...

東京勤労者つり団体連合会からの報告集

by user

on
Category: Documents
14

views

Report

Comments

Transcript

東京勤労者つり団体連合会からの報告集
日本勤労者つりの会協議会 第 3 回総会 全国交流会集会
東京勤労者つり団体連合会からの報告集
2012 年 6 月 10 日 山梨県鶴川「ヤマベつり講習会」で18.5㎝のヤマベ
*目
次
*東京勤労者つり団体連合会(東京労釣連)組織の概要と活動日誌・・・ ・・・・・・P 1~ 6
まとめ・大島
肇 事務局長
*「外来魚駆除つり会」の取り組みについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P 7~10
まとめ・報告 名児耶 忠章 副会長
*「奥多摩川・秋川水系でのヤマメの発眼卵放流活動について」 ・・・・・・・・・・P11
まとめ 佐藤
弘 副会長 ・ 報告 伊藤
亨
副会長
*「清掃活動の取り組みについて」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P12~13
まとめ 神田 貞男 副会長 ・ 報告 松本
工
事務局次長
*「新しいつり」発刊500号を迎えた機関紙活動 ・・・・・・・・・・・・・・・・P14~15
まとめ・報告 竹藤
敦
事務局次長
*「東京電力福島第一原発事故と放射能汚染、これまでの魚の汚染調査」・・・・・・・P16~18
まとめ・報告 大島
肇
事務局長
*「東日本大震災とその後の救援活動について」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・P19~20
まとめ 大島
肇
事務局長 ・ 報告 桑原
裕士 会長
(桑原裕士会長・伊藤節治常任理事・竹藤敦事務局次長の資料提供、
伊藤亨副会長・高橋力夫理事写真提供)
1.東京勤労者つり団体連合会(東京労釣連)組織の概要
1)2012年1月現在の単会数と会員数:20会310名
2)組織を構成する単会名と会長名:
①浅草台東勤労者つりの会 会長 小宅
③足立新釣会
会長 清水
⑤江戸川つりクラブ
会長 西村
⑦葛飾勤労者つりの会
会長 小沢
⑨国鉄勤労者つりの会
会長 井瀧
⑪杉並勤労者つりの会
会長 田中
⑬多摩勤労者つりの会
会長 石川
⑮つりてんぐの会
会長 佐藤
⑰練馬勤労者つりの会
会長 木谷
⑲港新釣会
会長 小松
和夫
市郎
国男
義宣
桂吉
幸彦
静治
弘
八士
壽
②小豆沢勤労者つりの会
④板橋勤労者つりの会
⑥大田釣和会
⑧北区勤労者つりの愛好会
⑩渋谷勤労者つりの会
⑫墨田勤労者つりの会
⑭地下鉄勤労者つりの会
⑯中野勤労者つりの会
⑱文京勤労者つりの会
⑳輪釣会
会長
会長
会長
会長
会長
会長
会長
会長
会長
会長
竹藤 陽之助
伊勢 一夫
福井 英之
名児耶 忠章
公文 共宣
渡辺
良
加藤
茂
深野 金蔵
滝澤 完美
清水 正俊
3)東京労釣連組織図
総会(年1回)
常任理事会(毎月)
役員会(不定期)
理事会(毎月)
4)総会
毎年2月に定期開催、各会からの代議員制、各会持ち回りで開催
を担当する
5)役員体制(現行)
役 員 会:①会 長
②副会長(4名) ③事務局長
④事務局次長(3名)以上9名
常任理事会:役員会 + 常任理事(8名) 以上17名
理 事 会:受任理事会 + 理事
(20の単会より 1~2名)
2 月 19 日総会で挨拶する桑原会長
6)専門委員会(不定期開催)
①総務委員会
②組織委員会
③財政委員会
④機関紙委員会
⑥放流事業委員会
⑦自然保護委員会
⑧企画委員会
⑤記録公認委員会
7)機関紙の発行
「新しいつり」毎月1回 年12回 定期発行、 1月(新年号)
「B4」12ページ、 2月~12月
「B4」8ページ
2.日本勤労者つりの会協議会 第2回総会開催以後の主な取り組み
2010年8月22日・23日以降に取り組まれた、東京労釣連の主なものは以下の通りです。
P1
1)2010年の活動日誌
①第39回北部つり大会「ハゼ」
・8月22日(日) ・千葉県 金田海岸
・5会22人
②第56回下町勤労者つり大会「ハゼ」
・8月29日(日) ・千葉県 金田海岸(川筋含む)
・12会49人
③秋の勤労者つり大会「ハゼ」
・9月5日(日) ・千葉県 木更津市 金田海岸他
・14会76人
④第8回研究会「フナ」
・10月9日(日) ・千葉県 与田浦 ・5会19人
⑤第55回清掃つり大会「フナ」
(関東労釣協後援)
・10月3日(日) ・千葉県 与田浦・茨城県 稲敷市周辺 ・16会79人
⑥関東労釣協59回つり大会「カワハギ」
・10月10日(日)台風接近のため中止
⑦第64回各会対抗つり大会「磯の小物」
・10月24日(日) ・神奈川県 三浦市
三浦半島 間口港周辺 ・11会43人
⑧第9回研究会「和竿のハゼ」
・10月30日(土) ・東京 深川「富士見」
台風接近で中止
⑨第61回船づり大会「カワハギ」
・11月3日(月) ・神奈川県 三浦市
三浦半島 松輪港「あまさけや丸」
・12会45人
11 月 3 日「カワハギつり大会」で29.8㎝の大型
・多摩川水系
秋川水系
⑩第10回研究会「ハヤ」
・11月7日(日) ・栃木県 荒川 諸般の事情で中止
⑪第5回関東労釣協ワカサギ競技会
・11月7日(日) ・長野県 諏訪湖
⑫第27回ヤマメ発眼卵埋設放流
・11月15日(日)
・12会34人+東京都島しょセンター1人
⑬第29回関東労釣協総会
・11月28日(日) ・平和と労働会館 ・4会20人
⑭第11回研究会「和竿のハゼ」
・12月4日(土) ・東京 深川「富士見」
・8会20人
2)2011年の活動日誌
①2011年初づり会 1月9日(日)
・
「磯の小物」 ・神奈川県 三浦市
三浦半島 間口港周辺 ・5会19人
・
「フナ」 ・千葉県 与田浦周辺 ・9会16人
・
「ヤマベ」 ・神奈川県 丹沢湖 ・5会14人
②第1回研究会「落ちギス」
・1月16日(日) ・東京 羽田「かめだや」
・11会25人
③2011年新春のつどい
・1月21日(金) ・東京 足立教育会館
・13会38人
P2
1 月 21 日「新春のつどい」で、
加藤恵司名誉会長
④第43回東京労釣連総会
・2月20日(日) ・カメリアプラザ ・亀戸文化センター ・19会45人
⑤第2回研究会「フナ」
・3月20日(日) ・千葉県 与田浦周辺 東日本大震災のため中止
⑥関東労釣協 第60回つり大会「フナ」
・3月27日(日) ・千葉県 与田浦・茨城県 稲敷市周辺 東日本大震災のため中止
⑦第28回ヤマメ発眼卵埋設放流カゴ回収
・4月3日(日) ・多摩川水系
秋川水系 ・13会36人
⑧春の勤労者つり大会「フナ」
・4月10日(日) ・千葉県 与田浦・茨城県 稲敷市周辺 東日本大震災のため中止
⑨第59回下町勤労者つり大会「フナ」
・4月18日(日) ・千葉県 与田浦周辺 東日本大震災のため中止
⑩第3回研究会「フナ」
・5月1日(日) ・千葉県 与田浦周辺 東日本大震災のため中止
⑪第60回船づり大会「シロギス」
・5月8日(日) ・神奈川県 三浦市
金田湾「つりの浜浦」 ・10会45人
⑫第40回北部つり大会「フナ」
(東日本大震災支援チャリティ大会)
・5月15日(日) ・千葉県 与田浦周辺
・10会51人
⑬第30回ヤマベつり学校
・5月21日(土)~22日(日) ・静岡県 稲生沢川
・9会14人
⑭第4回研究会「ヤマベの瀬づり」
5 月 15 日静岡県稲生沢川で「ヤマベつり
・6月5日(日) ・栃木県 荒川 ・5会10人
学校」で、まず講師の釣技
⑮第23回アユつり大会「アユ」
・6月12日(日) ・神奈川県 相模川 ・8会18人
⑯第65回各会対抗つり大会「ヤマベの瀬づり」
・6月19日(日) ・栃木県 荒川 ・12会50人
⑰第5回研究会「アユ」
・6月19日(日) ・神奈川県 相模川 ・7会12人
⑱第6回研究会「和竿シロギス」
・6月25日(日) ・神奈川県 三浦市 金田湾「つりの浜浦」 ・8会13人
⑲第7回研究会「ヤマベの立ウキづり」
・6月26日(日) ・山梨県 西湖
・8会13人
⑳上田労釣会とのアユ・渓流つり交流会
・7月2日(土)~3日(日)
・長野県 依田川水系 ・東京から11名
㉑第14回ヤマベつり大会(山上湖)
・7月10日(日) ・山梨県 ・西湖
・12会55人
㉒第8回研究会「ヤマベの瀬づり」
・7月24日(日) ・栃木県 荒川
・5会7人
7 月 3 日上田労釣会との交流会で
㉓第28回アユつり学校
・8月5日(金)~7日(日) ・岐阜県 高山市 高原川 ・7会13人
P3
㉔第9回研究会「ハゼ」
・8月21日(土) ・千葉県 木更津市 金田海岸周辺
・5会17人
㉕第41回北部つり大会「ハゼ」
・8月28日(日) ・千葉県 金田海岸
・4会26人
㉖第59回下町勤労者つり大会「ハゼ」
・8月28日(日) ・千葉県 金田海岸(川筋含む) ・7会40人
㉗秋の勤労者つり大会「ハゼ」
・9月11日(日) ・千葉県 木更津市 金田海岸他 ・14会72人
㉘第56回清掃と外来魚駆除つり会(関東労釣協後援)
・10月2日(日) ・千葉県 与田浦・茨城県 稲敷市周辺 ・14会47人
㉙関東労釣協61回つり大会「カワハギ」
・10月10日(日) ・神奈川県 三浦市
三浦半島 松輪港「あまさけや丸」 ・13会58人
㉚第66回各会対抗つり大会「フナ」
・10月23日(日) ・千葉県 与田浦
・茨城県 稲敷市周辺 ・11会69人
㉛第63回船づり大会「カワハギ」
・11月3日(月) ・神奈川県 三浦市
三浦半島 松輪港「あまさけや丸」 ・13会53人
㉜第6回関東労釣協ワカサギつり大会
・11月6日(日) ・群馬」県 丹生湖
・3回8人+個人会員3人
11 月 13 日のヤマメ発眼卵埋設放流、
㉝第29回ヤマメ発眼卵埋設放流
「月夜見沢」へ埋設された3000粒
・11月13日(日) ・多摩川水系
秋川水系
・12会34人+東京都島しょセンター1人
㉞第10回研究会「フナ」
・11月20日(日) ・千葉県 与田浦周辺
・5会11人
㉟第11回研究会「和竿のハゼ」
・11月26日(土) ・東京 深川「富士見」
・8会19人
㊱第30回関東労釣協総会
・11月28日(日) ・平和と労働会館 ・4会20人
㊲磯の小物つり大会
11 月 26 日江戸前のつり「練り舟の和竿
・2月4日(日) ・神奈川県 三浦市
でのハゼ」つり場は高層ビルに囲まれ
三浦半島 間口港周辺 ・11会38人
3)2012年の活動日誌
① 2011年初づり会 1月9日(日)
・
「磯の小物」 ・神奈川県 三浦市 三浦半島
間口港周辺 ・4会13人
・
「フナ」 ・千葉県 与田浦周辺 ・7会33人
②第1回研究会「落ちギス」
・1月15日(日) ・東京 羽田「かめだや」
・10会33人
② 011年新春のつどい
・1月20日(金) ・東京 足立教育会館
・12会30人
P4
1 月 15 日「落ちギス」研究会で、
良型が揃うので人気がある
④第44回東京労釣連総会
・2月19日(日) ・江東区産業会館
・19会 代議員45人 評議員17人 合計62人
⑤平成23年度 養殖衛生管理技術講習会(魚族防疫講習会)
・2月24日(日) ・奥多摩さかな養殖センター
・会代表2人+2人
⑥第2回研究会「フナ」
・3月4日(日) ・千葉県 与田浦周辺 ・4会15人
⑦第29回ヤマメ発眼卵埋設放流カゴ回収と放射能汚染調査つり会
・3月18日(日) ・カゴ回収 ・多摩川水系
秋川水系
・13会35人
・汚染調査つり会 ・奥多摩湖 ・12会31人
⑧関東労釣協 第60回つり大会「フナ」
・3月25日(日) ・千葉県 与田浦・茨城県 稲敷市周辺
・12会93人
3 月 18 日には空間線量も、地上
⑨第60回下町勤労者つり大会「フナ」
5㎝・50㎝・1mで測定した
・4月8日(日) ・千葉県 与田浦周辺 ・6会37人
⑩第40回北部つり大会「フナ」
・4月8日(日) ・千葉県 与田浦周辺 ・7会40人
⑪春の勤労者つり大会「フナ」
・4月15日(日) ・千葉県 与田浦 ・茨城県 稲敷市周辺
・16会80人
⑫第3回研究会「フナ」
・4月29日(日) ・千葉県 与田浦周辺 ・3会21名
⑬第64回船づり大会「シロギス」
空間線量測定に使用したのは、
・5月13日(日) ・神奈川県 三浦市 金田湾「つりの浜浦」
「環境放射線モニタRadi
・13会47人
PA-1000」
⑭第2回外来魚駆除つり会(関東労釣協後援)
・5月27日(日) ・千葉県 与田浦・茨城県 稲敷市周辺
・12会51人
⑮ヤマベつり学校
・6月9日(土)~10日(日) ・栃木県 荒川 荒川の上流で渓流魚の放射能汚染が確認され中止
⑯ヤマベつり講習会(中止された「ヤマベつり学校」に変えて実施)
・6月10日(日) ・山梨県 上野原市 鶴川 ・8会23人
⑰第67回各会対抗つり大会
・6月17日(日) ・・栃木県 荒川
荒川上流で渓流魚の放射能汚染が確認され中止
⑱「手長エビ」放射能汚染調査つり会(足立新釣会と共催)
・6月18日(月) ・東京 足立区小菅周辺の荒川
・11会26人
⑲農民連食品分析センター「放射能分析機器導入
記念見学会とレセプション」
・5月26日(土) ・農民連食品分析センター他
・3人を代表派遣
⑳第4回研究会「和竿シロギス」
・6月23 日(土) ・神奈川県 三浦市
金田湾「つりの浜浦」 ・7会13人
6 月 23 日練の和舟で「和竿でシロギス」
P5
㉑上田労釣会とのアユ・渓流つり交流会
・6月30日(土)~7月1日(日)
・長野県 依田川水系 ・東京から9会9人
㉒第5回研究会「ヤマベの立ウキつり」
・7月1日(日) ・・山梨県 ・西湖 ・5会11人
㉓第15回ヤマベつり大会(山上湖)
・7月8日(日) ・山梨県 ・西湖 ・13会65人
7月 8 日山梨県西湖で「第 15 回ヤマベつり大会」全員集合
㉔第6回研究会「アユ」
・7月14日(日) ・山梨県 桂川 ・7会12人
㉕「さよなら原発10万人集会」へ参加
・7月16日(月) ・代々木公園イベント広場での
集会とパレード ・33名以上
㉖第7回研究会「ヤマベの瀬づり」
・7月22日(日) ・栃木県 荒川 ・3会8人
㉗北部つり大会「ハゼ」の事前放射能調査つり会
(北部ハゼつり大会実行委員会共催)
・7月29日(日) ・東京 江東区東大島 旧中川
・16人
㉘金田海岸周辺の「ハゼ」放射能汚染調査つり会
7 月 16 日「さよなら原発10万人集会」へ
(下町つりハゼつり大会実行委員会と共催)
・7月31日(金) ・金田海岸周辺 ・4会9人
㉙第30回アユつり学校
・8月3日(金)~5日(日) ・岐阜県 高山市
高原川 ・7会14人
㉚多摩川水系の「アユ」放射能汚染調査つり会
(多摩労釣会と共催)
・8月8日(水) ・多摩川と秋川 ・2会6人
㉛第30回アユつり大会「アユ」
・8月19日(日) ・神奈川県 相模川
・11会24人
集会で、桑原会長を先頭に労釣の仲間たち
㉜第8回研究会「ハゼ」
・8月26日(日) ・千葉県 木更津市 金田海岸周辺
㉝日本勤労者つりの会協議会 第3回総会
・8月25日(土)~26日(日) ・広島県呉市「つばさ会館」 ・会を代表して6人派遣
P6
「外来魚駆除つり会」の取り組みについて
東京労釣連 副会長
名児耶 忠章
1.外来魚駆除の取組
1)「全国ブラックバス防除市民ネットワーク」(通称ノーバスネット)での活動
外来魚の拡散と繁殖が、全国いたるところで問題になって、在来固有種への影響も深刻になる
中で、2005年6月に「外来生物による生態系等に係わる被害の防止に関する法律」(以後、「外来
生物法」と略)のが発足したのをきっかけに、「全国ブラックバス防除市民ネットワーク」(通
称ノーバスネット)が誕生し、東京労釣連も加盟しました。ノーバスネットでは毎年「ブラック
バス問題シンポジウム」 が開催され、2006年にはシンポジウム
「釣り人が考えるブラックバス問題」が開催されました。このシン
ポジウムでは、主宰の湯川孝志教授が「職業漁師は『ブロックバス
に反対』。釣りを趣味にする人は、みんな『バス釣り賛成』という、
単純化された報道がされてきたが、本当にそうだろうか」と冒頭で
提起しました。実は前年のシンポジウムで、東京労釣連の参加者が
「ブラックバスは非常に迷惑を被っている」と発言したことから企
画され、シンポジストに東京労釣連の代表も参加しました。
ノーバスネットは2006年から、毎年5月末から6月初旬の9日間
「全国一斉ノーバスウィーク」を取組んでいます。この時期に東京
労釣連が開催する行事に各会対抗(ヤマベ)がありますが、早速20
06年の「第55回各会対抗つり大会(ヤマベ)」では、開会式で「ブ
ラックバスは日本にいてはいけない魚」と書かれた横断幕や「ST
OPブラックバス」ののぼり旗を掲げてアピールし、その後の大会
でも継続して取り組まれています。
なお、ノーバスネット2012年3月発行の「外来魚のいない水辺づ
くり 活動報告(2009~2011)」が活動内容を報告してい
ます。
ノーバスネット発行の「外来魚の
いない水辺づくり」
2)「外来魚」について学習
2005年2月の東京労釣連第37回総会では、写真家・秋月岩名氏の記念講演を企画し、「『なぜ、たかだか
魚のことでそんなにがんばるんだ』と、よく言われるんですが、ブラックバス問題は、単なる魚の問題では
ないんです。つまり食物連鎖の問題、日本の食文化の問題でもあるわけです。生態系を壊すことで、これは
『食べ物が手に入らなくなってしまうことにつながる』と言うことです。」強調されました。この時の総会
では、「第1分科会(自然保護問題)」を行い秋月さんにも参加していただいて、この問題を深めました。
3)東京都に対する要請
2010年には、日本共産党都議会議員の清水ひで子さんに、東京都に対して東京労釣連からの要望事項を文
書で質問していただきました。その内容は、①ブラックバスの放流禁止を知らない人もまだ少なくない。奥
多摩湖への放流禁止の周知を徹底すべき。また、琵琶湖などでは、釣り上げたブラックバスを再放流しない
よう「回収ボックス」を設置している。都も回収ボックスを設置すべき、との質問に対し回答は「・貯水池
の一部が禁漁区であることや水質保全等の観点から、つり禁止の看板をすでに設置。・ブラックバスの放流
は外来生物法上の規制対象、このため、看板の設置など他の取組状況等について情報収集。・外来生物法で
は、ブラックバスの再放流は規制の対象ではない、このため、小河内貯水池において回収ボックスを設置す
る予定はない。」との回答でした。
4)「外来魚駆除つり会」
こうした「外来魚」に関する取り組みが、「外来魚を駆除することの必要性」について、会員の意識を高
P7
めることになったものと思います。日常的にも大会などで「釣れた外来魚は再放流しない」、魚に罪はない
が「殺処分」にすることを徹底してゆきました。「外来魚駆除つり会」を実施前の行事でも、与田浦周辺の
「春の勤労者つり大会・フナ」、西湖の「第13回ヤマベつり大会」などで、釣れたブラックバス、ブルーギ
ル、チャネルキャットフッシュなどを回収し、会が責任で持って処理するようにしました。そして、2010年
に「外来魚駆除つり会」を初めて計画しました
が、この年は台風の接近で中止し、2011年から
駆除つり会の取り組み開始しました。
①2011年「第56回清掃と外来魚駆除つり会」
(関東労釣協後援)
10月2日に「第56回清掃と外来魚駆除つり会」
が、千葉県与田浦周辺で開催されました。こ
れには14 会47人が参加しました。釣れ
た外来魚はブルーギル1267尾、チャネル
キャットフッシュ25尾、ブラックバス3尾
などでした。本格的な外来魚の駆除を目的と
2011年10月2日「第56回清掃と外来魚駆除つり会」
で駆除された外来魚
した取組は初めてで、経験者から餌や釣り方
で、まだまだ研究の余地がありそうでしたが、1束を超えた人が1人ありました。
②2012年「第2回外来魚駆除つり会」(関東労釣協後援)
3月27日に「第2回外来魚駆除つり会」が、前年に続き千葉県与田浦周辺で行われました。こ
れには12会51人が参加しました。釣れた外来魚はブルーギル2051尾、チャネルキャットフッ
シュ17尾、ブ
ラックバス3尾などを駆除しました。前年に比較してトップはブルーギル206尾を釣
るなど、釣果は大きく伸びました。また、ブルーギル20.2cm、チャネルキャットフッシュ55.8
cm、ブラックバス41.3cmの大型も釣れました。
2.特定外来生物指定種について
以下、「ブラックバス問題シンポジウム」などで提供された資料により、外来魚について紹介
します。
①ブラックバス:
スズキ目サンフィッシュ科オオクチバス属は北アメリカ原産の温帯性の魚食性淡水魚です。最
新の研究によると,オオクチバス属には9種が含まれています。これら9種の総称として,
「ブラックバス」の呼び名が使われています。現在,日本に分布するブラックバスはオオクチ
バスMicropterus salmoidesとコクチバスM. dolomieuの2種ですが,一部の水域でオオクチバ
スとフロリダバスの雑種も確認されています。
1)導入経緯と分布拡大
日本への導入は1925年に芦ノ湖にオオクチバスMicropterus salmoidesとコクチバスM.dolomi
eu が放流されたのが最初とされています。ルアー釣りの対象として利用するためです。これら
の2種は,近年になって急速に分布を拡大し,現在では,全国各地の湖沼やため池,河川など
で生息するようになっています。なお,同じように,サンフィッシュ科に属するブルーギルLep
omis macrochirusも,1960年に導入されて,今では全国各地の水域で定着が確認されています。
2)分布拡大の理由
日本でこんなにもブラックバス(オオクチバス,コクチバス)が広がったのには,おもに二
つの理由があります。一つ目の理由は,人によって各地の水域へと放流されたことです。魚は
同一の水域内を自由に泳ぎまわることはできても,鳥みたいに空を飛んで水系間を移動するこ
P8
とはできません。ですから,各地で確認されているブラックバスの水系を越えた分布拡大には,
必ず人が関わっているはずです。二つ目の理由は,ブラックバス自体がもっている生物学的特
性です。ブラックバスは,湖沼やため池、河川などの多様な環境に適応して生息できますし,
北アメリカ原産なので冬の低水温に耐性があります。また,成魚は魚類・甲殻類食性ですが,
生息環境に応じて柔軟に食性を変化させます。さらに,産卵数が比較的多く,かつ,雄親が卵・
仔魚を保護する習性があるので,少数個体の放流で定着・増殖できます。そして,在来魚と比
べて成長が早く2年目で約20cmに達します。このような侵略的な生物学的特性は,ブラックバ
スが各地の水域に定着するうえで役立ったものと考えられています。もちろん,これらの二つ
の理由のうち,どちらか一方でも欠ければ,これほどのブラックバスの分布拡大は起こらなかっ
たものと推測されます。
3)在来生物群集への影響
ブラックバスは世界各地に導入されており,少なくとも80カ国以上で導入の記録があります。
海外の研究者は,ブラックバスが定着して,生息密度が高くなった場合に,捕食や競争・駆逐
などにより在来生物群集に甚大な影響を及ぼすことを報告しています。
同じように,日本各地の水域でも,ブラックバスが在来生物群集にさまざまな悪影響を及ぼし
ているおそれが指摘されています。例えば,京都府深泥池ではブラックバスの侵入後に在来魚
の種数や個体数が減少し,在来生物相に変化が生じています。宮城県鹿島台のため池では,ブ
ラックバスが侵入したあとに,絶滅危惧種のシナイモツゴが確認できなくなっています。
また,秋田県のため池ではブラックバスが個体数や重量で優占し,いくつかの在来魚種の生息
が確認できなくなっています。ラムサール条約登録湿地の宮城県伊豆沼・内沼では,ブラック
バスの侵入・定着後に,希少なゼニタナゴやメダカ,ジュズカケハゼが急減し,いくつかの魚
種では全長分布が大型個体に偏るなど,著しい魚類群集構造の変化が確認されています。この
ような魚類への影響だけではなく,捕食による甲殻類や昆虫類への影響も懸念されています。
さらに,ごく最近の研究では,ブラックバスの強い捕食圧によって生物群集がさまざまな間接
的な影響を受けていることが実証されています。この他,ブラックバスの捕食により水産業被
害が起きていると考えられる水域も多くみられますし,ブラックバスが多く生息する湖沼では
多数混獲されることにより操業に著しい支障をきたしています。
4)日本におけるバス類の推移年表
「ブラックバスを考える」シンポジウムの資料から抜粋。なお、バス釣りが認められている
のは、芦ノ湖、河口湖、山中湖、西湖の四湖のみ。
◆1925年(大正14年):実業家・赤星鉄馬氏、米国カリフォルニアからオオクチバスを持ち帰
り、芦ノ湖(神奈川県)へ放流(約90匹)。コクチバスも含まれていたが定着しなかったと
も言われる。
◆1945年~(昭和20年):進駐軍(在日米軍)による部分拡散(相模湖、津久井湖など)。
◆1951年(昭和26年):芦ノ湖(神奈川県)で、オオクチバスを漁業権漁種として初めて免許。
◆1960年(昭和35年):皇太子殿下(当時)、日米修好条約百年記念式典で訪米の際、シカゴ
市長からブルーギルを贈られ、これを淡水区水産試験場へ下賜。
◆1970年(昭和45年)~:第一次ルアーフイッシングブーム。
◆1972年(昭和47年):釣り具輸入業者のツネミ・新東亜グループによって米国ペンシルバニ
ア州からバス稚魚が芦ノ湖に移植。
◆1974年(昭和49年):琵琶湖(滋賀県)でオオクチバス初確認。
◆1985年(昭和60年):バスプロ・トーナメント始まる(第二次ルアーフイッシングブー
ムに突入)
◆1989年(昭和64年):河口湖漁協(山梨県)、オオクチバスを漁業権漁種に指定。
◆1991年(平成3年):野尻湖(長野県)で、コクチバス国内初確認。
P9
◆1992年(平成4年):「外来魚の移植の禁止と罰則規定」を都道府県・内水面漁業調整規則
に盛り込むよう水産庁が通達を出す。これにより各県で内水面漁業調整規則が順次改正され
る(東京は遅く1999年〔平成11年〕)、木崎湖(長野県)、桧原湖、小野川湖、秋元湖(福
島県)などでコクチバス確認。
◆1994年(平成6年):山中湖、西湖(山梨県)にオオクチバスの漁業権漁種の認可。
◆1995年(平成7年):中禅寺湖(栃木県)でコクチバス確認。漁協全面駆除を宣言。
◆1996年(平成8年):本栖湖でコクチバス初確認(山梨県で初)。
◆1997年(平成9年):茨城県北浦のドック(船だまり)が釣り人(バス釣りファン)のマナー
の悪さから次々に鉄条網で閉鎖される。
◆1999年(平成11年):9月茨城県内水面試験場、霞ヶ浦(桜川)でコクチバス初確認。12月新
潟県が釣った外来魚(オオクチバス、コクチバス、ブルーギルなど)のリリース(再放流)
の禁止に踏み切る。違反者は1年以内の懲役若しくは50万円以下の罰金。
◆2000年(平成12年):11月、富山県警はブラックバスを密放流した男(25歳)を摘発し書類
送検した。
◆2001年(平成13年):1月琵琶湖とその水系のダム湖で相次ぎコクチバスの生息を確認。2月
福島県内水面漁業調整規則でブラックバス等の放流を罰則付きで禁止を決める。7月北海道で
公式にバス(コクチバス)初確認。その後、オオクチバスも発見される。8月内閣府の移入種
に関する世論調査で、9割の国民が「制限」を支持。10月、北海道も漁業調整規則を改正。
内水面漁協のない沖縄県を除く全都道府県でバス等外来魚の放流が禁止となる。
②ブルーギル
ブルーギルはもともと北アメリカの中部・東部に広く分布する魚だが、移入された先々に定着
し、世界各地に分布している。小動物から水草まで食性は幅広く、汚染などにも適応力がある。
さらに卵と稚魚は親が保護しているため捕食者は手を出せない。これらの習性からブルーギルは
短期間で個体数を増やすことができ、各地で分布を拡げている。
日本への移入は、1960年に当時の皇太子明仁親王(今上天皇)が外遊の際、シカゴ市長から寄
贈されたアイオワ州グッテンバーグで捕獲されたミシシッピ川水系原産の15尾を日本に持ち帰り、
水産庁淡水区水産研究所が食用研究対象として飼育したのち、1966年に静岡県伊東市の一碧湖に
放流したのが最初とされていた。2009年に三重大学生物資源学部が発表したミトコンドリアDNAの
解析結果により、全都道府県の56ヶ所で採取した1,398体全ての標本の塩基配列が、米国13地点で
採取したサンプルのうちグッテンバーグで採取したものと完全に一致したことでこの事実が証明
された[2]。こうした経緯もあって、「おめでたいプリンスフィッシュ」と称されて各地に放流さ
れたという記録がある[3]。
このブルーギルが今や外来種として深刻な問題を起こしていることについて、天皇即位後の200
7年「第27回全国豊かな海づくり大会」において今上天皇は「ブルーギルは50年近く前、私が米国
より持ち帰り、水産庁の研究所に寄贈したもの。食用魚として期待が大きく養殖が開始されまし
たが、今このような結果になったことに心を痛めています」と発言した[4]。
当初は食用として養殖試験なども行われ、各地の試験場にも配布されたが、成長が遅く養殖に
は適さないことが判明した。その後起こったバス釣りブームの際に、バス釣り業界の関係者や愛
好家の手によりブラックバスの餌と称して各地の湖沼に放流されたものが繁殖し、日本中に分布
を広げるに至った[5][6]。(ウィキペディアから)ウグイを湖沼に放流することはブルーギルを
抑制するうえで有効である可能性が示された。
③チャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)
1971年には、食用目的で日本の霞ヶ浦にも導入されて定着、1994年以降に個体数が激増してい
る[2]。琵琶湖でも捕獲された記録がある[3]。
P10
ヤマメ発眼卵埋設放流活動
東京労釣連 副会長
佐藤 弘
東京労釣連は、河川の荒廃、自然破壊が進行するなかで、つり人の立場から単につりを
やるだけでなく、つり場の確保、自然を守ってサカナの増殖も進めながらつりを楽しむこ
とをめざし、創立15周年を記念し、東京の奥多摩、秋川水系にヤマメ発眼卵の埋設放流を
1983年から始めました。自主放流を15回(15年間)で、発眼卵89万1,400
粒を埋設放。埋設に参加した会員のべ404人。発眼卵代金や埋設用金網カゴ制作費など
を含めた総費用は224万2,834円を、放流バッチ普及などやカンパなどでまかなっ
てきました。
その後、1998年からは東京都「島しょ農林水産総合センター」の指導のもと、「発眼卵
は漁協が購入」、「埋設はつり団
体 な どが 行 う」 こと が提案 され
「5つのつり団体や自然保護団体」、
「4つの漁協」、東京都の三者に
よるヤマメ発眼卵埋設放流活動が、
順調に継続され毎年115,00
0粒の発眼卵を20箇所の河川に
埋設されています。東京労釣連は
昨年11月に29回目の活動行い、
新たに39,500粒を埋設、自
主放流を含め累計で「142万3
千400粒」を埋設放流したこと
になりました。
三者による放流活動が定着した
ことにより費用負担が必要経費の
みとなりましたが、一方で会員の
高年齢化により「埋設やカゴ回収」
実施時の河川行動の負荷がかかり、
参加者の減少傾向が進んでいます。
また、自然や環境を守る活動を長
年続けてきたことが成果として現
れ、多くの沢でヤマメの自然繁殖
の跡が確認されるなど、行動に参
加するとヤマメの姿が目視できワ
クワクするとの感想も寄せられて
います。
一昨年からは秋川漁協と島しょ
センターが、新たに直埋め方式で
の放流も試され、より自然に近い
ヤマメ発眼卵埋設場所に張り出されるポスター
方法でも実施されています。
また、埋設ポイントを記録写真
で残す様になり、貴重な環境の記録として役立つものと思っています。「つり場の環境破
壊がますます進んでいる状況下で、この活動の重みが増していること」を実感いたします。
今後は、会員の高齢化による負担軽減も考慮する中で埋設だけですむ「直埋め方式」も研
究し、埋設カゴ回収をなくす方向で検討していきたいと思います。
P11
東京勤労者つり団体連合会、清掃行動の成果と今後の課題
東京勤労者つり団体連合会
副会長 神田 貞男
1.清掃つり大会の始まり
・自分たちを楽しませてくれる釣り場を汚さないという思いで、しかし実際には非常に汚れて
いるので綺麗にするという気持ちから。
・将来、地球規模で人類の問題となるであろうゴミ問題への我々自身への意識の変化を期待し
て多くの方々の協力を得て始められた。
2.清掃つり大会の実施
清掃つり大会の開始は1975年12月
7日に神奈川県・三浦半島 剱崎周辺で
12支部72名で開催、翌年1976年
7月4日より行事として第1回を開催以
来36年間、延べ56回実施し、延べ4,
708人が参加している。そして延べ約
56t686㎏のゴミを回収した。
1988年までは年1回、春に東京都西
多摩郡奥多摩町の奥多摩湖にて行いまし
た。
集めたゴミを再分別(2010年奥多摩湖で)
1989年からは年2回、春は4月中旬
に奥多摩湖にて行い、秋は、1年おきに神奈川県三
浦市・三浦半島周辺と千葉県香取市・与
田浦周辺にて、共に2時間程度 清掃をした後、つ
り大会を実施してきたが、現在は各自治
体より要請があり秋の1回を与田浦周辺のみで実施
している。いずれも各自治体に連絡をし
て集めたゴミの回収もお願いしている。
3.清掃つり大会の成果と教訓
1)参加者の自然保護への心の成長
清掃つり大会に参加した人は、何時どこに居てもゴミをポイ捨てする事はしなくなっている。
また、自然環境破壊に対する関心も強くなり、全国各地の自然環境破壊の動きに敏感になり、
その反対運動に立ち上がる素地が出来て来たように思われる。
2)清掃つり大会開催地、地域住民の環境に対する意識の変容
奥多摩湖で清掃つり大会を始めた頃は、つり師、観光客が捨てたゴミとともに、地域住民が
捨てたと思われるゴミも多く見られたが、現在では地域住民による清掃も行われるようになっ
た。その結果、奥多摩湖や三浦半島、与田浦周辺のゴミは大変少なくなっている。また、清
掃をした後はだれかの役にたったという清々しい気持ちになる。人間はいつもだれかの役に
たちたいという願望を持っている。この願望をいささか満たしてくれるのだと思う。
4.清掃つり大会の問題点と今後の展望
2011年現在、清掃つり大会の参加者は、会員数の18%前後である。清掃つり大会は、魚族
保護(ヤマメの発眼卵埋設放流)と共に、東京労釣連の3本の重要な柱の一つであるが、決
して参加者は多くない。この重要な活動を全会員のものにしたいものです。
清掃つり大会は東京労釣連だけでなく、全国にある幾つもの労釣会が取り組んでいる。以前、
1988年に第1回全国勤労者統一清掃行動として実施し、その後も何度かの計画が実施さ
れている。今後も全国の仲間と共に行えば釣り場の環境問題、地球の環境問題のさらなる大
きな力となるでしょう。
P12
行
動
東京勤労者つり団体連合会会報「新しいつり」500号を迎えて
東京勤労者つり団体連合会 事務局次長
「新しいつり」編集長 竹藤 敦
2012年、「新しいつり」2月号が通巻500号の記念号として発行されました。まず初めに、記念
号発行に際し、全国の仲間の会のみなさんや、多くの労釣会や個人の方々にお祝いの記事を寄せ
て頂き御礼を申し上げます。
1.創刊から500号までの「会報」の変遷
会報の流れを簡単に振り返ります。1968年に
「東京勤労者つりの会」が22人で発足し、1968
年には会員増加に伴い、行政区 単位や職場単
位で支部を作りが進み、1978年支部から現在の
連合会へ移行してゆきます(1988年には会員が
一時千人を超えます)。会員の増加に伴い印刷
方法も変わっていきます。
・1968年5月にガリ版刷り4ページで「東京労釣
会会報」第1号として発行されました。
・1971年に会報の印刷が活版印刷になり、1971
年からオフセット印刷が取り入れられ、写真
が写真版として会報に登場します。
・1973年38号から会報名が「ろうちょう」と変
わります。編集も当初は個人で会報を作って
いますが、1970年に岡田章編集長を中心に発
行体制が作られました。
・1976年までは4~8ページの会報ですが、ガリ
版刷りの仕掛けや釣り場案内などを載せた
「ふろく」を発行したそうです。
・1977年から月一回の定期発行が確立し、これ
左下:昭和43年5月の創刊号「東京労釣会会報」、
は現在まで引き継がれています。
中:昭和48年3月「ろうちょう」と改名された第38
・1978年に100号の記念号が発行され、1979年に
号、右上:1980年1月に現在の「新しいつり」と改
は会報は10ページになりました。
名
・1980年に会報名が現在も使用している「新し
いつり」に変更されました。
・1981年から会報は12ページとなり、1983年には会報は16ページになりました。
・1987年1月号が200号記念として発行、1995年5・6月合併号が300号記念として発行、2003年10月
号が400号記念として発行されました。
・1989年以降は、会員数がしだいに減少してゆく中で、「新しいつり」も編集の事情もあり、16
ページから2001年6月号の会報から8ページになりました。
2.機関紙の役割、現状と課題
会報の役割は、①連絡及び情報の伝達、②大会や会の行動の記録、③会運営の指針の周知、④
釣り技術、知識を広める。⑤会員相互の理解と交流と連合会の(「新しいつり」○○号)記念誌
に田嶋修三さん(当時の編集長)が書いていますが、まさしく釣りだけではなく公害問題や消費
税問題など、調べてみると労釣の会報はその時々の社会状況についても記事にしています。
現在の「新しいつり」配布体制は、毎月行なう定例理事会(毎月第3火曜)で配布しています。
そして、全国の仲間の会や個人、概ね100の団体、個人の会報発送へは担当常任理事が行っていま
す。何とか定期的に発行することは出来ていますが、課題は沢山ありそうです。特に今年の連合
P14
会総会では「新しいつり」について「記事が古い」、「大会などに向けたタイムリーな記事が出
せないか」などの意見が出されました。
現在の会報発行の流れをお話しすると、理事会に間に合わすために、一週間ほど前に印刷屋
(現在は新協印刷株式会社)で会報の内容を校正します。校正日の数日前には新協印刷から会報
の「初稿」を受け取り、編集委員に見てもらう時間も確保しなければなりません。すると、最低
でも校正日から逆算して最低10日程前には原稿を入稿しなければなりません。土日が入ればさら
に早くする必要があり、年末年始やゴールデン
ウイークなどのある月はさらに早まります。例
えば、5月の行事は早くても6月理事会で渡され
る会報に掲載されますが、6月理事会で配布され
る会報は7月号として発行していますから、どう
しても時間差が出てしまいます。さらに、5月下
旬の行事は月末の印刷屋に入稿する時間に原稿
が間に合わければ8月号に記事が掲載されるため、
いっそう記事の内容が遅く感じます。
この間、編集委員会では釣り技術の記事や、
釣行記など工夫して会報作りをしていますが、
歴代の編集者は、初代から、木谷八士さん、加
藤恵司さん、岡田章さん、竹藤陽之助さん、田
嶋修三さん、 横山暢夫さん、 小澤佐千夫さん、片
桐公男さん、小澤佐千夫さん(再任)と皆さん
優秀な方々ですが、それでも大変なご苦労をさ
れてきたとのお話を聞いています。今後も編集
委員を初め多くの会員の皆さんの力をお借りし
てよりよい会報を目指したいと思っています。
全国の皆さんにも、お世話になりますが宜しく
今年の2月に「新しいつり」500号を達成!!
お願いします。
500号には女性会員からもメッセージ
500号には各会からメッセージ
P15
東京電力福島第一原発事故と放射能汚染、これまでの魚の汚染調査
東京勤労者つり団体連合会
事務局長 大島 肇
1.釣魚の放射能汚染測定に至った経過
2011年3月11日に発生した地震とそれに伴う津波により、東京電力福島第一原子力発
電所はそれまでの“原発神話”をもろくも崩れ、原子炉冷却のための全電源を失い、水素爆発
を繰り返し原発が設置されている福島県はもとより、広い地域に放射能汚染をもたらす結果と
なった。こうした事態にたいしそこで生活する住民はすべての生活を奪われました。大気の汚
染から放射能が降り注ぎ!大地を汚染し雨水によって、海も湖沼も河川をも放射能を汚染し、
各地から魚の放射能汚染が伝えられ、原発事故は釣り人から釣り場を奪いました。こうした状
況の中で2012年6月に予定していた、栃木県那珂川水系の荒川での「第31回ヤマベつり学校」と
「第67回各会対抗つり大会 ヤマベ」を中止せざるを得ませんでした。私達が学校や大会を予
定していた荒川の上流域やその支流のヤマメが放射能で汚染されていることが判明して、ヤマ
メの解禁の延長やつり禁止の処置がとられました。その下流域での釣りが安全安心のもとで出
来なくなり、何よりも釣った魚を食べることができないような環境での釣りは避けるべきとの
判断から中止いたしました。
事故発生から時が経過して、テレビや新聞などの報道で東京湾に流れ込む、荒川や江戸川な
どの河口近くの汚泥から高濃度の放射能汚染が伝えられ、その後東京湾の汚染が2~3年後に
はピークに達するとの報道がされるなど、不安は増すばかりです。しかも、チェィノブイリの
原発事故によって汚染された魚は現在もかなり高いデータでなかなか下がりにくいとの報道も
あります。東京には葛飾区水元公園の高汚染場所の判明(東京都は共産党都議団と住民の繰り
返しての交渉で除染を行いました)や江東区など東京の東部地域でのホットスポットの存在も
明らかになりました。こうした経過の中で、私たちの身近で行われている釣りの対象魚がどの
ような汚染状況なのか、特に公的に市場に出回らない釣魚は行政側もなかなか調査の対象にも
しません。私たち自身が自主調査に踏み切るしかありませんでした。最初は「農民連食品分析
センター」の有料で測定をお願いしました。その後は、日本共産党都議団が環境・食品汚染調
査の一環として、東京労釣連と連携して、釣魚の汚染調査を行って下さることになりました。
以下にこの間に測定した結果を報告いたします。なお、農民連食品センターの測定器は、Canbe
rra社製 Nal(T1)シンチレーションスペクトルメータ。共産党都議団の測定器は、ベルトール
ドジャパン製 LB2045 NaI(T1)シンチレーションスペクトルメ-タです。
2.この間の放射能汚染測定の結果について
1)2011年11月26日採取:東京の隅田川・小名木川・浅潮運河などで釣った「ハゼ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ハゼ
Cs-137&134
4.0 ㏃/㎏
846g・10分
農民連食品センター
2)2012年3月18日採取:奥多摩湖郵便局近くで釣った「ニジマス」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ニジマス
Cs-137&134
11.0 ㏃/㎏
230g・30分
共産党都議団
3)2012年3月25日採取:千葉県香取市の与田浦周辺で釣った「フナ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
フナ
Cs-137&134
11.3 ㏃/㎏
500g・30分
共産党都議団
4)2012年3月28日採取:山梨県西湖・根場で釣った「ヤマベ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ヤマベ
Cs-137&134
6.0 ㏃/㎏
423g・30分
共産党都議団
5)2012年5月6日採取:栃木県荒川の青雲橋付近で釣った「ヤマベ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ヤマベ
Cs-137&134
10.1 ㏃/㎏
400g・30分
共産党都議団
P16
6)2012年5月27日採取:千葉県与田浦周辺で釣った「ブラックバス」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ブラックバス Cs-137&134
63.8 ㏃/㎏
400g・30分
共産党都議団
7)2012年5月27日採取:千葉県与田浦周辺で釣った「ブルーギル」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ブルーギル
Cs-137&134
14.7 ㏃/㎏
400g・30分
共産党都議団
8)2012年5月27日採取:千葉県与田浦周辺で釣った「チャネルキャットフィッシュ(西
洋ナマズ)」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
西洋ナマズ
Cs-137&134
22.6 ㏃/㎏
400g・30分
共産党都議団
9)2012年6月3日採取:千葉県布良沖で釣った「イサキ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
イサキ
Cs-137&134
2.0 ㏃/㎏
400g・30分
共産党都議団
10)2012年6月14日採取:東京湾木更津~富津沖で釣った「シロギス」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
シロギス
Cs-137&134
3.0 ㏃/㎏
400g・30分
共産党都議団
11)2012年7月18日採取:千代田線鉄橋と千住新橋の「中間点」で釣った「手長エビ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
手長エビ
Cs-137&134
5.0 ㏃/㎏
500g・30分
共産党都議団
12)2012年7月18日採取:千代田線鉄橋下周辺で釣った「手長エビ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
手長エビ
Cs-137&134
13.5 ㏃/㎏
500g・30分
共産党都議団
13)2012年7月22日採取:栃木県荒川の青雲橋付近で釣った「ヤマベ(魚肉だけ)」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ヤマベ
Cs-137&134
依頼中㏃/㎏
400g・30分
共産党都議団
14)2012年7月22日採取:栃木県荒川の森田橋付近で釣った「ヤマベ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ヤマベ
Cs-137&134
依頼中㏃/㎏
400g・30分
共産党都議団
15)2012年7月24日採取:千代田線小菅周辺で釣った「ハゼ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ハゼ
Cs-137&134
9.0 ㏃/㎏
500g・30分
共産党都議団
16)2012年7月29日採取:江東区東大島の旧中川水路周辺で釣った「ハゼ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ハゼ
Cs-134
4.0 ㏃/㎏
387g・40分
共産党都議団
17)2012年7月29日採取:金田海岸「畔戸」(ホテル「竜宮城」前の河口付近)で釣っ
た「ハゼ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ハゼ
Cs-137&134
依頼中㏃/㎏ 500g・30分
共産党都議団
18)2012年7月29日採取:蔵波川で釣った「ハゼ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ハゼ
Cs-137&134
依頼中㏃/㎏
500g・30分
共産党都議団
19)2012年7月29日採取:浮戸川(長浦と浮戸の交差点付近)で釣った「ハゼ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ハゼ
Cs-137&134
依頼中㏃/㎏
500g・30分
共産党都議団
20)2012年7月29日採取:潮見運河(市役所横)で釣った「ハゼ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ハゼ
Cs-137&134
依頼中㏃/㎏
500g・30分
共産党都議団
P17
21)2012年7月31日採取:金田海岸「高須」(船溜り外のミオ筋)で釣った「ハゼ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ハゼ
Cs-137&134
依頼中㏃/㎏
500g・30分
共産党都議団
22)2012年7月31日採取:金田海岸「ヤエンガ」(船溜り外のミオ筋)で釣った「ハゼ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ハゼ
Cs-137&134
依頼中㏃/㎏
500g・30分
共産党都議団
23)2012年7月31日採取:金田海岸「ヤエンガ」(船溜り外のミオ筋)で釣った「ハゼ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
ハゼ
Cs-137&134
依頼中㏃/㎏
500g・30分
共産党都議団
24)2012年8月8日採取:多摩川・秋川で釣った「アユ」
魚 種
核 種
測定結果
試料と測定時間
測定依頼先
アユ
Cs-137&134
検体不足
150g・分
未提出共産党都議団
6名が参加してサンプルの採取にあたりましたが、検体重量不足で測定はできませんでした。
3.振り返りと今後の課題
現在依頼中や計画も含め24検体もの放射能汚染測定を実施してきました、これ程多くの検体を
測定できたのも、日本共産党都議団が無料で測定して下さったことに寄ります。検体の測定結果
は幸いに、高いものは少なかったことでした。しかし、汚染はこれからも進むものと考えられ、
引き続きの調査を経年的に行うことが求められています。これまでの測定で最も高い値を示した
与田浦周辺のブラックバス(419ミリ)63.8㏃/㎏、次のも与田浦周辺の西洋ナマズ(558ミリ)2
2.6㏃/㎏でした。ともに与田浦周辺で採
取したもので共通していることと、もう一
つは両魚種とも捕獲した個体が大型である
ことです。大型になるまで生息していると、
それだけ体内に放射能物質が蓄積されると
言えるのかもしれません。 7月18日に荒
川で釣った「手長エビ」では、データが釣っ
た場所で13.5㏃/㎏と5.0㏃/㎏と大きく
かい離いたしました。これはデータが低い
方の場所には明らかな伏流水が湧き出てい
る場所で、その周辺の環境汚染がその水で
希釈されているからと考えられます。放射
能汚染はこうした環境の違いの影響を大き
く受けるものと思われました。
ご存知のように、本年の4月から示され
た「放射性セシウムの新た基準値」は、魚 手長エビを釣った場所からは、スカイツリーが見える
類を含む一般食品が100㏃/㎏、飲料水が1
0㏃/㎏、牛乳50㏃/㎏、乳児用食品50㏃/㎏が示されてい
ます。果たしてこの値でよいのかはわかりません。おそらく
今度の事故が起こる前までは、自然界の魚類は10㏃/㎏以下
あったろうと思われるからです。これから現在のデータがど
のように変化してゆくのか、実態を引き続き追及いて行きた
いと思います。また、東京労釣連ではプロジェクトチーム
「放射能汚染調査と東京労釣連行事検討委員会」を設置して、
学習会の企画、今後の放射能汚染の測定について、何よりも
行事の安心安全な開催の確保を目指して、引き続く測定調査
とともに、原発ゼロを目指して運動にも参加しながら、検討
を進めて行きたいと思います。
P18
この手長エビを500g検体に
東日本大震災とその後の救援活動について
東京労釣連 事務局長
大島 肇
はじめに
3月11日2時46分ころ、三陸沖を震源とするM9.0の地震が発生し、その後の大津波の発生の影響
もうけ、岩手・宮城・福島を中心とした東北地方に多大な被害をもたらしました。2012年7月現在で警
察庁の発表によれば、死者15,867人、行方不明者2,909人と発表されています。東京労釣連は、
釣行などで日頃から交流のある方々の安否を気遣い、被害状況の把握に努めました。その中で東京労釣連が
「フナつり大会」などで、お世話になっている与田浦周辺での被害状況について、幸いにして亡くなられた
方はいなかったものの、救援物資を持って直ちに現地に入った浅台労釣や小豆沢労釣から、大きな被害が出
ているとの情報が寄せられました。直ちに役員会で相談して、3月31日に桑原裕士会長や高柳武夫相談役
など、三役を中心に六名で香取市役所と佐原漁協坂本組合長を訪問し、現地の状況の把握とお見舞いにうか
がうことを決めました。
香取市と佐原漁協支援活動
東京から千葉県の東関東自動車道に入り、大栄ICで下りて国道51号線を香取市方面へと向かうと所ど
ころで屋根にブルーシートが掛けられている状況が見られました。ところが香取市役所近づくと道路には亀
裂が入り、応急処置工事が進められている様子が見けられるようになりました。市役所近くの川は護岸崩れ、
川底が隆起して水が無くなり、川に架かる橋は「への字」に曲がり、補修の跡が痛々しく感じられました。
香取市役所の入り口は地盤沈下で玄関と庁舎が30センチほどの段差ができるほどズレが生じていました。
市役所では、清掃つり行動でお世話になっている環境安全課で、地割れや停電・断水などの被害状況と復旧
作業の状況をお聞きしました。
その後、坂本佐原漁業組合長を訪問して、漁協の
養殖池の枠が傾き修理ができない状況やとりわけ深
刻なのは広大な稲作地帯の田んぼが液状化現象で砂
が噴き出て、これを取り除かないと田植えができな
いこと。取り除くには膨大な費用と時間がかかると
の説明を受けました。労釣連が日頃釣り場として利
用している、水路などを視察しながら、帰路に着き
ました。
東京労釣連は、以上の状況を踏まえて香取市への
支援を中心に、救援募金の取り組みを決定し、広く
会員に対しても募金の協力を呼びかけました。こう
した連合会との取り組みとともに、東京北部つり実
行委員会なども「香取市は、フナの釣行やつり大会
田んぼの畔は崩れ、液状化現象も見られる
香取市役所訪ねる桑原会長他
フナつりりをする水路脇もひび割れて
P19
開催等お世話になっている地、つりが縁で知り合いになった人たちがおり、災害発生後、直ちに有志が飲
料水や食糧をもって支援に入り、あまりの被害の大きさにびっくりした」とその後の釣り大会には、募金箱
を携帯しその都度繰り返し募金を集め、会員からも釣り具やつり竿をはじめ、その他にも野菜、ジャム等を
提供していただき、集めた物品でチャリテーバザーを行いました。また、参加者の理解を得てつり大会の賞
品代を全額募金に充てるなどしました。
こうして集められた義援金24万円余りを、9月26日に佐原漁協と香取市役所を訪問して、東京労釣連
からは桑原裕士会長が、北部つり実行委員会からは伊藤節治常任理事から、それぞれ届けしました。
有志による「石巻に船を送る」取り組み
2月の東京労釣会総会の懇親会で震災に遭い、
津波で船を流された石巻の仲間たちに船を送るこ
とを訴えました。この取組は葛飾労釣会会長の小
澤義宣さんが(現在、千葉県館山市在住)、館山
年金者組合が石巻支援に参加し折りに、現地で石
巻釣愛好会副会長の阿部さんに会い、たまたま阿
部さんの家にあった東京労釣連機関紙「新しいつ
り」を通じて話題がはずみました。その中で阿部
さんの所属する漁協の組合員さんが船を流され困っ
ているとのことでした。そのことが葛飾労釣会の
総会で話され、2009年以来、ハゼつりやカレ
イ釣りで、石巻釣愛好会の阿部さん達と交流があっ
た東京労釣連の有志も加わって、現地に船を贈ろ
被災地「石巻」復興を激励する
うとの話になりました。交流のある被災した釣り仲間のためにと、役員会の了解をえて有志の取り組みとな
りました。
東京労釣会からは呼び掛けの会(葛飾・江戸川・小豆沢)、カンパを寄せてくれた団体は(安房同好会、
横浜労釣会、杉並労釣会)三団体と、20人からの個人からカンパが寄せられました。カンパは現在も引き
続き寄せられており確定できていませんが、館山の漁業者のみなさんの協力もあり、船体は全て中古船では
ありますが、エンジンを交換し4船を贈ること出来ました。送り先はは、北上追波漁業組合
事阿部慶一氏 この組合は北上川を漁場にする内水面の組合です。
袋谷地支部理
なお、7月23~24日に桑原会長が、中心に
なって取り組んだ葛飾労釣会の仲間と当地を訪問
し、現状をみききして交流をしてきました。4船
のうち1船は他の漁業組合支部にも引き取られて
います。現地は今も1メートルも地盤沈下のまま
であり、川底の瓦礫などの沈殿物の除去作業もお
こなわれています。阿部さんもうなぎの仕掛けを
入れたそうですが、沈殿物が多く当面の漁は無理
とのことでした。
地元では釣りに行くのに公然と行くのもはばか
られる雰囲気のとのことで、内緒で行ったつもり
が現場で仲間同士が顔を会わせてバツの悪い思い
をしたなどと言った話もされました。心から早く
北上川に係留された贈られた2船
復興して東京からも釣で訪問して、船つりでの交
流会ができることを願っています。
注)
なお、本報告は桑原会長、伊藤節治常任理事の報告、竹藤敦事務局次長の「新しいつり」記事、伊藤亨副
会長、高橋力夫理事の写真提供を受けて、大島肇事務局長がまとめました。
P20
Fly UP