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平成26年3月 鳥取県教育委員会

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平成26年3月 鳥取県教育委員会
平成26年3月
鳥取県教育委員会
目
次
Ⅰ
はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P1
Ⅱ
懲戒処分等の状況
・・・・・・・・・・・・・・
P2
Ⅲ
過去の不祥事事例
・・・・・・・・・・・・・・
P5
Ⅳ
不祥事防止対策 ・・・・・・・・・・・・・・・
P31
○コンプライアンスとは
コンプライアンスとは、一般的に「法令遵守」と訳しますが、法令だけに
とどまらず、社会の規範及びルールまで含めて遵守することをいいます。
教職員は正職員、臨時職員あるいは常勤、非常勤の区別にかかわらず、全
員が公務員である以上、その職務について法令等を遵守することは当然のこ
とであり、県民の信頼を何よりも大切にしなければならない公務員としての
立場を認識して、職務以外の法令等、さらには、社会規範、ルール及びマナ
ーについても率先して遵守していくことが求められています。
○コンプライアンス向上により目指す姿(目的)
県民の信頼を損なうような事案の発生を皆無にすること
⇒ 目的:県民に信頼される教職員、職場にすること
(鳥取県教職員コンプラアンス行動指針より抜粋)
Ⅰ
はじめに
教育は、児童生徒はもとより、保護者や県民の皆様との信頼関係によって成り立ってい
ます。本県教育は、教職員の皆さんの児童生徒への心からの教育的な愛情と献身的な教育
活動によって、これまで信頼をいただいてきました。
しかしながら、近年、飲酒運転、窃盗、体罰やセクハラなど、教職員として絶対にあっ
てはならない不祥事が続発し、極めて異常な事態となっています。
このため、平成23年9月には教育長緊急メッセージを、平成24年11月には教育長
緊急アピールを発出しましたが、25年度も不祥事が後を絶ちません。
このような状況は、本県教育の根幹を揺るがす極めて深刻な事態であり、不祥事を絶対
に繰り返さない決意を持って本冊子を作成しました。
教職員一人ひとりが不祥事を振り返り、過去の事案から学び、これを教訓として不祥事
の再発防止を心に誓ってください。そして、児童生徒のために一丸となってよりよい教育
を創造し、保護者や県民の皆様の期待にしっかり応えていきましょう。
平成26年3月3日
鳥取県教育委員会教育長
横濵
純一
~この冊子を通じて、みなさんへお願いしたいこと~
1
教職員による不祥事が相次いでいる現状を知ってください。
(P2「Ⅱ 懲戒処分等の状況」)
2
過去の不祥事を振り返り、これを教訓としてください。
(P5「Ⅲ 過去の不祥事事例」)
3
これまでの不祥事防止対策を再度確認し、不祥事再発防止を心に誓ってくだ
さい。
また、不祥事を起こさない・許さない職場をつくるため、取組むべきことを
考えてみてください。(P31「Ⅳ 不祥事防止対策」)
-1-
Ⅱ
1
懲戒処分等の状況
懲戒処分とは
職員の行った非違行為(一定の義務違反)に対する道義的責任を問うことにより、公
務における規律と秩序を維持することを目的として、地方公務員法第29条の規定に基
づき行われるのが懲戒処分です。
この規定において懲戒処分は、その処分の重い順に「免職」
「停職」
「減給」
「戒告」の
4種類が定められています。
■懲戒処分の種類
免職
・公務員関係からの排除(最も重い処分)
→ 原則、退職手当不支給
停職
・6月以下の期間、職務に従事させず、給与も支給しない
→ 昇給・期末手当・勤勉手当に影響 等
減給
・6月以下の期間、給与の1/10以下を減額
→ 昇給・勤勉手当に影響 等
戒告
・その責任を確認し、将来を戒める
→ 昇給・勤勉手当に影響 等
重
※この冊子では、懲戒処分に加え、非常勤職員の解職を含めたものを「懲戒処
分等」としています。
2 近年の懲戒処分等の状況
(1)年度別の懲戒処分等の推移
平成19年度をピークに懲戒処分等の件数は減少傾向にありましたが、平成23年度
9件、平成24年度12件と再び増加しています。
平成25年度も12月末で7件の懲戒処分等が行われており、今なお、不祥事が後を
絶たない状況が続いています。
25
20
19年度をピークに
減少していたが…
近年再び増加傾向!!
20
件 15
数 10
7
7
5
9
12
7
5
7件!!
0
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
(平成19年4月~平成25年12月)
-2-
(2)懲戒処分等の事由別件数
近年は、「飲酒運転」「公費不正執行」「窃盗」が最も多い処分事由となっています。
しかし、その他にもわいせつ行為等、体罰などさまざまな不祥事が発生しており、注意
すべき多数のリスクが存在することが分かります。
近年のワースト3
■飲酒運転
■公費不正執行
■窃盗
(職務専念義務違反1、名誉毀損1)
(平成22年4月~平成25年12月)
(3)業務との関連性
飲酒運転や窃盗など公務外非違行為による懲戒処分等が多くなっています。
我々公務員には、
「24時間服務規律の徹底」が求められており、公私を問わず服務規
律を守り、絶えず公務員としての立場を認識しておかなければなりません。
業務関連性・高
業務関連性・低
公費不正執行 5
体罰 3
わいせつ行為等(生徒) 2
個人情報流出 2
食品衛生法違反 2
職務専念義務違反 1
飲酒運転 5
窃盗 5
わいせつ行為等(生徒以外) 2
交通事故・違反(私生活) 3
器物損壊 2
名誉毀損 1
15
18
(平成22年4月~平成25年12月)
-3-
(4)処分量定別件数
最も重い懲戒処分である免職の数が多くなっています。これに解職を加えると 12 件
となり、全体の36.4%を占めています。免職又は解職の理由としては、飲酒運転や
わいせつ行為等が多くなっています。
免職となれば、職を失うだけでなく、退職手当も支給されません。年金支給額にも影
響があり、その経済的損失は大きなものです。
構成
比率
区分
免職又は解職
内訳
件数
飲酒運転4、わいせつ行為等3、窃盗2
公費不正執行1、器物損壊1、名誉毀損1
36.4%
12
停職
18.2%
6
窃盗3、飲酒運転1、わいせつ行為等1、体罰1
減給
24.2%
8
個人情報流出2、食品衛生法違反2、体罰1
公費不正執行1、器物損壊1、職務専念義務違反1
戒告
21.2%
7
公費不正執行3、交通事故・違反3、体罰1
合計
100.0%
33
(平成22年4月~平成25年12月)
被処分者のうち36.4%が職を失っている。
原因としては、飲酒運転やわいせつ行為等が多い。
(5)学校種別件数
近年は高等学校教職員に対する懲戒処分が多く、全体の60%弱を占めています。
もちろん、他の学校種や事務局の教職員においても、窃盗や飲酒運転などの不祥事が
発生しており、決して他人事と考えていてはいけません。
項目
構成
比率
(うち免職
又は解職)
件数
内訳
小学校
18.2%
6
(2)
窃盗3、飲酒運転1、交通事故・違反1
公費不正執行1
中学校
9.1%
3
(0)
体罰1、交通事故・違反1、個人情報流出1
57.6%
19
12.1%
4
(2)
飲酒運転1、わいせつ行為等1、交通事故・違反1
職務専念義務違反1
3.0%
1
(1)
器物損壊1
100.0%
33
(12)
高等学校
特別支援学校
事務局
合計
公費不正執行4、飲酒運転3、わいせつ行為等3
(7) 窃盗2、体罰2、食品衛生法違反2、器物損壊1
個人情報流出1、名誉毀損1
※処分時点の在籍所属で区分
(平成22年4月~平成25年12月)
高等学校教職員が60%弱を占めている。
-4-
Ⅲ
過去の不祥事事例(平成22年4月~平成25年12月)
1
飲酒運転
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
公費不正執行(不適正な事務処理)
3
公費不正執行(横領)
4
窃盗
5
わいせつ行為等(児童生徒に対するもの)
6
体罰
7
交通事故・違反
8
個人情報流出
9
名誉毀損
P6
・・・・・・
P10
・・・・・・・・・・・・
P12
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P14
・・・
P17
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P19
・・・・・・・・・・・・・・・
P22
・・・・・・・・・・・・・・・・
P25
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P27
・・・・・・・・・・・・・・・・・
P29
10
器物損壊等
11
その他の不祥事
・・・・・・・・・・・・・・・
P30
【活用方法例・個人】
一.じっくりと読み、過去に起きた不祥事事例から学び、これを教訓とする。
一.
「皆さんに考えてほしいこと」を自分自身で考え、これを心に刻むことで、コンプラ
イアンスに対する知識、意識を深める。
【活用方法例・組織】
一.学期始めなどのコンプライアンス研修時に紹介し、組織としての不祥事防止対策を
徹底する。
一.不祥事防止データベースに掲載している事例を併せて活用し、グループ討議等によ
り問題点や再発防止策を議論し、組織的なコンプライアンス力の向上を図る。
※不祥事防止データベースとは
過去の不祥事を題材とした事例に加え、これまでのコンプライアンス関係通
知や研修用資料が掲載されており、自己研鑽や職場研修に活用することができ
るDB。
-5-
1
飲酒運転
処分年度:平成24年度
懲戒処分の量定:免職
所属・職種:県立学校教職員
~ 皆さんに考えてほしいこと ~
・なぜ飲酒運転が無くならないのか?
・アルコールがどんな影響を及ぼすのか?
<事例>
【事案の概要】
午前 0 時 35 分頃、国道交差点で、酒気を帯びた状態で乗用車を運転し、信号
待ちで停車していた男性の乗用車に追突した。
警察署員の飲酒検知の結果、呼気 1ℓ当たり 0.75mgのアルコール分が検出さ
れ、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕された。
【要因・背景】
・ニュースで見たり、研修を受けたりしても、自分の中では
「するわけない。」と思っていた。
・学期が終わり開放的になり、気が大きくなっていた。
・飲酒後は断片的な記憶であった。
①
飲酒運転は懲戒免職が原則です。
見過ごした教職員も処分の対象となる場合があります。
(懲戒免職になると)
「退職手当が支給されない」「年金の支給額が減少する」
「教員免許状は効力を失う」 等
②
アルコールは、お酒の強い人にも影響を及ぼします。
飲酒運転による被処分者(22 年度以降)5名中4名は事故を
起こしています。
(具体的影響)
・気が大きくなりスピードを出し過ぎるなどの危険な運
転をする。
・ブレーキペダルを踏むまでの反応が遅くなる。
・車間距離の判断ができなくなる。 等
-6-
③
④
道路交通法により、免許取消などの行政処分が行われます。
◆酒気帯び運転
・呼気1ℓ 当たりのアルコール量
0.15mg 以上 0.25mg 未満 → 免許停止期間 90 日
0.25mg 以上 → 免許取消(免許欠格期間2年)
◆酒酔い運転
・免許取消(免許欠格期間3年、交通事故の場合最長7年)
刑法、道路交通法により、刑事上の責任を問われます。
◆酒酔い運転 - 5年以下の懲役又は 100 万円以下の罰金
◆酒気帯び運転 - 3年以下の懲役又は 50 万円以下の罰金
◆危険運転致死傷罪 - 最長 20 年の懲役
※ アルコールの影響により、正常な運転が困難な状態で運
転して、人を死傷させた者は、危険運転致死傷罪の適用を
受けます。
⑤
決して他人事ではありません
毎年度、飲酒運転により教職員が処分されています。
H22
H23
H24
H25
1件
1件
2件
1件
<その他の事例>
○平成22年度処分・解職・県立学校教職員(非常勤講師)
午後 1 時 25 分頃、停車中の車両に追突し、さらに車を後進させて後方車両に
も衝突した。呼気 1ℓ当たり 0.15mg以上のアルコールが検出されたことにより、
酒気帯び運転容疑で逮捕された。
○平成23年度処分・停職6月間・県立学校教職員
部活動の合宿中、夕食の際に飲酒し、その後、午後9時頃に学校内に駐車してい
た自家用自動車を自宅に向かって運転した。
この時、自動車を運転する姿を目撃され、再び学校内に帰ってきたところ、目撃
者に指摘された。
-7-
○平成24年度処分・免職・公立学校教職員
国道で、酒気を帯びた状態で乗用車を運転し、作業中の工事車両に後方から追突
するとともに、近くにいた男性作業員に軽傷を負わせる事故を起こした。
駆けつけた警察官の飲酒検知の結果、呼気1ℓ当たり0.6mgのアルコール分
が検出され、道路交通法違反(酒気帯び運転)の疑いで現行犯逮捕された。
○平成25年度処分・免職・県立学校教職員
居酒屋で開催された会合において飲酒し、午後11時50分頃、自動車を運転し
て走行していたところ、植木囲いブロックに衝突し、自動車を放置したまま帰宅し
た。後日、酒気帯び運転等の疑いで検察庁へ事件送致された。
<こんなことにも注意!>
○「飲んだのは昨日だから」という勝手な判断は禁物
☆ アルコール分解時間の目安
ビール中ビン1本(日本酒なら1合) ⇒ 4 時間以上
※ あくまで目安。体質、体調等により異なります。
○代行運転の落とし穴
運転代行を頼んだが、長時間待ち。そして…
①代行業者が来るのを待ちきれず、自ら運転。
②車中で数時間仮眠を取り、酔いが醒めたつもりで自ら運転。
(原因)
酔いで判断力が鈍っていることも…。
「少し酔いを醒ませば」
という安易な判断が、取り返しのつかない事態を生む。
(対策例)
・宴会前(飲む前)に代行を手配。
・一番良いのは、酒席に車で来ないこと。
代行は3時間
待ちか…
少し酔いを
醒ませば大丈夫!
-8-
飲酒運転で免職になるとは…。
取り返しのつかないことをして
しまった。
○お酒が嫌いな人、お酒が弱い人もいます。飲酒を無理強いしないよ
う、周囲の意識も必要です。
「注いだ酒を飲まないのは失礼だ!」と相手に思わせるような態
度をとってはいけません。
知らず知らずのうちに、次のような「アルコールハラスメント」
を行っていないか振り返ってみましょう。
○飲酒の強要(飲まざるを得ない状況に追い込む等)
○イッキ飲ませ
○意図的な酔いつぶし
○飲めない人への配慮を欠くこと
・本人の体質や意向を無視して飲酒をすすめる
・宴会に酒類以外の飲み物を用意しない
・飲めないことをからかったり侮辱したりする 等
○酔ったうえでの迷惑行為
※特定非営利活動法人アルコール薬物問題全国市民協会HPより
上司のつぐ酒が
飲めないのか!
お酒は強くないのに…。
少しくらい飲めよ。
ノリが悪いなぁ。
-9-
2
公費不正執行(不適正な事務処理)
処分年度:平成25年度
懲戒処分の量定:戒告
所属・職種:県立学校教職員
~ 皆さんに考えてほしいこと ~
・なぜ「組織」として対応することが大切な
のか?
<事例>
【事案の概要】
非常勤講師に対する駐車場使用料の徴収事務を怠り、自ら駐車場使用料の立替払
を行った。また、非常勤講師に対する報酬の追加支給事務が必要となった際、源泉
徴収票の差替事務を省くため、勤務実績を書き換えた帳簿の作成を依頼した。
【要因・背景】
・効率性や費用対効果に捉われ、規則等を無視するという勝手
な判断を行っていた。
①勝手な判断で、ルール違反を正当化しない。
☆ 「時間がないから」「ルールどおりにやると効率が悪い」「みんなや
っている」
「建前ばかりでは仕事にならない」などと都合の良い理由で
自分の行動を正当化しても、不正行為であることに変わりありません。
☆ 「ここまでなら良いだろう」という尺度は一人ひとりで異なります。
困っていることは上司に相談し、組織として対応しましょう。
※ルールと効率性のバランスを考えてみましょう。
効率性が悪すぎ。
ルールが形骸化してないか?
ルール無視は許されない!
◎
バランスが大事!!
(ルールの見直し)
(コンプライアンス
意識を高める)
- 10 -
②悪い情報ほど速やかに報告を!
☆ ミスやトラブルの発生時は、速やかに、かつ事実関係を正確に報
告することが必要です。報告の遅れは事態をより深刻にします。
☆
上司への報告は正直に!自己防衛のための小さな嘘が、上司の判
断を狂わせます。ひいては自分の身に降りかかることも…。
☆
組織にとって、ミスやトラブルの対応は最優先課題です。管理職
は、ミス等を速やかに報告させ、迅速に対応するという職場風土を
作っておくことが必要です。
速やかに報告
トラブル
発生!!
・最優先課題
・組織的対応
・事実を正確に
・正直に
※傍観者的
態度を取らないこと
(部下)
(上司)
<その他の事例>
○平成23年度処分・減給10分の1 1月間・県立学校教職員
県立学校で学校徴収金会計事務を担当していたが、適正な事務処理を怠り、準公
金である学校徴収金 11,000 円の残金不足を招いた。
○平成24年度処分・戒告・公立学校教職員
給食費に関する督促等の事務を怠り、徴収不足の金額を立て替えて補填してい
た。併せて、学力検査手数料等の代金支払事務を怠り、未払いを生じさせた。
○平成25年度処分・戒告・県立学校教職員
非常勤講師等に対する駐車場使用許可事務において、事務処理を怠り、使用許可
を行わなかった。加えて、非常勤講師等に対する駐車場使用料徴収事務において、
所属長の決裁を得ないまま納入通知書を発行し、駐車場使用料の立替払いを行っ
た。また、この事実を管理職へ報告することを怠った。
さらに、非常勤講師に対する報酬の追加支給事務が必要となった際、源泉徴収票
の差替事務を省くため、勤務実績を書換えた帳簿の作成を依頼した。
- 11 -
3
3
公費不正執行(横領)
処分年度:平成23年度
懲戒処分の量定:免職
所属・職種:県立学校教職員
~ 皆さんに考えてほしいこと ~
・何が不正を引き起こすのか?
<事例>
【事案の概要】
10か月間にわたって、会計業務を担当していた親睦会の会費を横領し、私的に
流用したことにより、98,263 円の使途不明金を生じさせた。
また、3か月間にわたって、会計業務を担当していた学校徴収金を横領し、私的
に流用したことにより、317,338 円の使途不明金を生じさせた。
【要因・背景】
・会計業務を一人が担当し、チェック機能が未整備だった。
○そもそも横領できる状態にあることが問題
☆ 各学校が作成している県費外会計取扱要綱でも、担当者が勝手に
現金を扱うことを防ぐため、次のことが規定されています。
・ 預貯金により管理する。
・ 通帳管理を分担するなど、複数職員による確認体制をとる。
・ 収入、支出は、伺書により事務を処理する。
☆ 人間は弱いもので、
「魔がさす」可能性もあります。不正への誘因
を減らし、組織としても一定の抑止力を働かせることが必要です。
自分はおかしなことは絶対にしない。通帳と印鑑を
別々に管理していたら仕事にならない。
と、考える人もいるでしょう。
へ
その場合、万が一現金が無くなれば、あなたが
真っ先に疑われます。自分を守るためにも組織と
して対応すべきなのです。
- 12 -
○不正のトライアングル理論
米国の犯罪学者である D.R.クレッシーが実際の犯罪者を調査して導き出した理論であ
り、不正行為は3つの不正リスクが全てそろった時に発生するというものです。
この理論によると、まずは組織的要因である「機会」を発生しないよう内部統制を図
るのが一般的な対応となります。
なお、個人的要因である「動機」
「正当化」についても、悩みを抱えている者から話を
聞き出す体制、雰囲気を作り、別の解決方法を見つけ出すなど、組織として対応するこ
とは可能です。
1
機会(不正可能な職場環境)
(例)通帳と印鑑を同一者が保管。
組織としてのチェックが形骸化。
2 動機
(例)ローン返済が滞っている。
3
正当化(自らを納得させる理由付け)
(例)金を一時的に借りるだけ。
いずれ返す。
- 13 -
4
窃盗
~皆さんに考えてほしいこと ~
・本当に「窃盗など自分にはありえない」
のか?
処分年度:平成24年度
懲戒処分の量定:停職 6月間
所属・職種:県立学校教職員
<事例>
【事案の概要】
午後6時35分頃、ドラッグストアにおいて、栄養ドリンク3本入2パック
1,536円相当)を万引きした。
【要因・背景】
・ 服務規律の保持について、繰り返し指導があったにもかかわ
らず、自分自身の問題として捉えていなかった。
・ 判断力が欠如していた。
盗ったもの
失ったもの
信
頼
(1,536 円相当)
と
6 か月分の給料(+手当等)
○誰からの「信頼」を失うのか?
児童生徒、保護者や県民の皆様、上司、同僚、部下などから信頼を失います。
○誰が「信頼」を失うのか?
本人は当然。職場全体が信頼を失うこともあります。
場合によっては、教職員、公務員全体が信頼を失います。
- 14 -
①近年、鳥取県(知事部局、教育委員会)職員による窃盗が続発してい
ます。「あり得ない」と思うことも「あり得る」時代です。決して他
人事ではありません。
※窃盗で処分された全国の公務員の声(ほんの一部)です。
・電灯がまぶしかったので盗んだ(防犯灯の電球1個)
・なぜこんなことをしたのか自分でも表現できない
(食料品5点・1,365 円相当)
・お金を払うのが惜しかった(キーホルダー等・14,000 円相当)
・魔がさした(育毛剤1本・6,000 円相当)
・金欲しさでやった(民家から現金 340,000 円等)
・サイフを車内に忘れた(食料品 3,200 円分)
・持っていた自転車の乗り心地が悪いので別の自転車が欲しかった
(駐輪場から自転車1台)
・バックが欲しかった(自動車内から手提げバック・6,000 円相当)
・いつも購入しているお茶より値段が高かったため、ついポケットに入れてし
まった(お茶 100 グラム・838 円相当)
・自分で読むために盗んだ(ビジネス書1冊・1,890 円)
・自分で読みたくて持ち出した(出生届や婚姻届 151 通)
・金を払うのがもったいなくて盗んだ(ビール等 8 点・約 1,700 円相当)
・所持金が足りないと思って盗んだ(野菜等 17 点・約 3,600 円相当)
あり得ない理由ですが…。実際に起こっています。
- 15 -
<その他の事例>
○平成22年度処分・解職・公立学校教職員(非常勤講師)
午前 0 時頃、飲食店に行き、同日午前 0 時 35 分頃、現金 91,500 円の入った
キャッシャーの箱を窃盗した。
その後、窃盗容疑を認めたため、同日午前 9 時 20 分に逮捕された。
○平成24年度処分・停職6月間・公立学校教職員
午後0時15分頃、スーパーマーケットにおいて、牛乳、天然水及びドッグフー
ド6点の、計8点(2,644円相当)を万引きした。
○平成24年度処分・停職6月間・公立学校教職員
海岸において「あわび」「さざえ」共に約10個を密漁した。
さらに、スーパーマーケットで、カップアイスクリーム6点、粉コーヒー2点、
パックサラダ1点の、計9点(3,162円相当)を万引きした。
○平成25年度処分・免職・県立学校教職員
民間スポーツ施設において、ロッカーに入れてあった他人の財布から現金2万円
を窃盗した。
○窃盗や万引きは、れっきとした犯罪です。
安易に考えず、刑法上の罪になるという認識をもつことが大切です。
※学校でも「万引きは犯罪」と教えているのでは?
(刑法)
第 235 条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10 年以下の
懲役又は 50 万以下の罰金に処する。
- 16 -
5
わいせつ行為等(児童生徒に対するもの)
処分年度:平成22年度
懲戒処分の量定:停職 1月間
所属・職種:県立学校教職員
~皆さんに考えてほしいこと ~
・教職員と児童生徒はどのような関係を構
築すべきか?
<事例>
【事案の概要】
部活動の練習終了後、生徒を校舎の屋上から風景を眺めることに誘い、一緒に屋
上から風景を眺めた後、当該生徒を衝動的に抱きしめる行為を行った。
【要因・背景】
・教員と生徒の関係であるという意識が欠如していた。
・女子生徒からの信頼を好意と勘違いした。
が
①教員自身が、自分の言動や行動がセクハラであると気付いていないケ
ースも多くあります。
☆ 親しみを込めた表現や励ましの目的であっても、その言動や行動
が相手を不快にさせる場合があることを理解しましょう。
☆ 教員と児童生徒は、指導する側と指導される側という関係にあり、
児童生徒はセクハラを拒み難いことにも注意しましょう。
教師
一方的な思い込みになっていませんか?
・親しみを込めた表現。
・励ましの目的。
児童生徒も喜んでいる。
(指導する側)
児童生徒
不快…。
嫌だけど断れない…。
(指導される側)
- 17 -
②進路指導や部活動指導など、児童生徒への個別指導を行う際は、次の
ことに気をつけましょう。
☆ 児童生徒と異性として接するなど、性的な関心・欲望の対象と
していないか。
☆ 児童生徒や保護者と、私的なメールのやりとりをするなど個人
的な関係を持っていないか。
☆ 個室で児童生徒への指導を行う場合は、できる限り複数で対応
するよう心がけているか。
進路や部活の悩み
私的なメール
段々と…
親身に回答
私的なメール
(教師と児童生徒の関係)
(個人的な関係?)
<その他の事例>
○平成24年度処分・免職・県立学校教職員
3か月間にわたって、女子生徒に対し、自宅アパートにおいて、わいせつな行為を行っ
た。
- 18 -
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