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現場化・統合化ソフト“e-ISO” - J
平成1 9年度「中小企業経営診断シンポジウム」受賞論文 【第二分科会 入選論文】 ISO が成熟期に入ったいま,より効 果的な ISO への見直しと改善に役 立つ中小企業向きの現場化,統合化 ∼事例企業の課題&対策「統合管理システム“e―ISO・楽々”」の開発∼ 流王 明美 平成18年度「支部における調査研究」事業担当チーム,静岡県支部・ISO 研究会代表 1.はじめに…この調査・研究の背 景と目指した方向 1 この調査・研究の背景 業3社への応用結果を要所要所に例示した。 これは今回の調査・研究が単なる勉強会では なく,実務に直結したものにしたかったから に他ならない。 ISO9 0 0 1や ISO1 4 0 0 1などが,一般企業に普 及し始めてから1 0年以上経過したいま,よう 2 この調査・研究の目指した方向 やく企業のなかに定着しつつある。しかし, 【調査のねらい】 反面「もっと経営に役立つ ISO に再構築で ①ISO の導入効果,維持負担,見直しについ きないか」また,「維持負担が大変だ。なん て的を絞った調査…アンケート調査 とかならないか」という声があるのも事実で ②アンケート調査を受けて,訪問調査を行い, ある。今回のアンケート調査でも41社中,3 2 現場の生の声を聞く…訪問調査 社が「見直しをしたい」と回答している。 私どもの研究会は,このような背景のもと 【研究のサブテーマ】 に図1のとおり「ISO の見直しと,中小企業 ①中小企業向きの簡素な,現場で使い勝手の 向きの現場化及び統合化」について調査・研 よい文書類の実現…現場化 究を行ったものである。 ②品質リスク,環境リスクへの対応手順の組 特に,今回の報告書に関する論文では,報 み込み…リスク指向の具体化 告書の要約のほかに,調査・研究活動と“同 ③中小企業にも導入容易な統合化 MS の構築 時進行”で行ったセミナー,メッセ及び,事 …簡易電子版文書システムの開発 例企業への調査・研究結果の活用状況も,参 考のために随所で引用した。なかでも事例企 図1 本調査・研究の背景 企業診断ニュース 2 0 0 8. 4 23 図2 診断・コンサル支援手法を含めた調査・研究の方向 2.より効果的な ISO への見直 しで,ISO を新たな段階へ 1 図3 ギャップの発生と ISO の仕組み見直し ISO は,なぜ,いま見直しが求め られているか 【アンケート調査の要約】 「維持負担が大変だ。なんとかならな いか」 こんな声を受けて,まず,「見直し をしたい」会社がどれくらいあるのか, アンケート調査の項目に含めた。その結 果,QMS で3 6社中3 2社,EMS で2 5社中1 9社 いるのか,会社ごとにチェックする必要があ が見直しをしたいと回答している。これに合 る。図3は,乖離の程度をチェックする「ギ わせて,その理由として,マニュアルや規程, ャップ分析」の考え方を示した。 帳票類の使い勝手について回答を求めたとこ 実際に図3の考え方で「見直しチェックリ ろ,QMS で3 6社中2 1社,EMS で2 5社中1 9社 スト」を作成し,事例企業 A 社のチェック が,使い勝手が悪いと答えている。マニュア を行った。いわば経営診断の ISO 版として ルなどがあまり使われていないのか,懸念さ 役立つか否かのチェックを試みたものである。 れるところである。 【事例企業 A 社のプロフィール】 【訪問調査の結果】 認証取得済みの企業の一部で「マニュアル や手順書などは,使われていない」「現場で 役に立っていない」など,ISO の仕組みの形 骸化を疑いたくなるような状況が見られた。 実際,このような企業でマニュアルや手順書 を見せてもらうと,手垢がついてなく,使わ れた形跡がない。担当者に聞くと,これで 「仕事が廻っている」と言う。 1 業種・規模:製造業,従業員3 0人 2 認証規格 ISO9 0 01:取得 ’ 0 4年 3 取得の動機:取引先からの要請 4 見直しの動機:維持負担の軽減 5 文書体系・文書量:大企業並みの体系・文書量 6 業務の実態 ①定期審査ごとに,準備に追われている。 ②現場では,手順書が使われていない。 ③帳票類を除き,文書類は不使用である。 ④現場では ISO への関心,極めて低い。 ⑤ISO1 40 0 1も取得準備を開始した。 まさに「ISO の仕組み」と「現場の実務」 が乖離している結果ではなかろうか。 2 ISO の仕組みと現場の乖離の的確な掴 導入時,コンサルタントの指導のもとに,文書 類を作成したところであるが,企業規模に見合 った仕組みになっていない。ISO の仕組みと現 場のギャップが大きい。 み方 【研 究】 一口に乖離と言っても,何がどう乖離して 24 企業診断ニュース 2 0 0 8. 4 ISO が成熟期に入ったいま,より効果的な ISO への見直しと改善に役立つ中小企業向きの現場化,統合化 図4 見直しチェックの結果 (A 社の場合) 3.身丈にあったムダのない真に役 立つ仕組み作りが求められている! 今回の調査では,文書の重さや使い勝手の ほかに維持が大変で,その経費も負担になっ ているという意見も多く寄せられた。その背 景にはやはり従来方式から抜けきれない原因 があったのではなかろうか。「これでないと 審査に合格しない」 「審査に合格した他社例 を参考にする」など,コンサルタント側にも その傾向があったことは否めない。 1 現場で役立つ ISO の仕組み…文書類 をどのように作るか 【アンケート調査の要約】 ISO の仕組みは,マニュアルや手順書,帳 票などをどのような体系で,どれくらいの文 書量で作成するかによって決まる。この文書 その結果を図4のとおり,マトリックス図 類のボリュームがどの程度であれば適当なの にまとめた。これにより,事例企業の場合, か。図5は,QMS,EMS 別に調査した結 果 見直し作業は,次の着眼で行えばよいことが の要約である。 明確になったといえる。 □共通化の視点から … 4. 1から6. 4まで, 図5 文書類のボリュームと分布状況 ISO1 4 0 0 1との共通化を進める。 □簡素化の視点から … 7. 1から7. 5まで, 簡素化を進める。 □ギャップの視点から … 7. 1から7. 5まで, 現場との乖離を直す。 □難解度の視点から … 仕組み全体を通 じて難解のため,平易な文言に変える。 【事例企業 A 社の結果と評価】 1 図5を見ると,平均的な頁数や規程の種類 チェック結果の活用 ①見直し改訂重点を7. 1から7. 6におき,使い 易い,解りやすいものに改訂する。(ギャ ップの防止) ②統合化は,4. 1から6. 4まで,簡素で平易な 文言で,14 0 0 1に合わせて新規作成する。 (統合化) 2 評価 QMS について,見直し前の定期審査準備 工数:15 0工数が,見直し後,70工数に改善 される。 と頁数の分布がわかる。なかでも規程の数が 増えれば,全体の頁数も増えている。つまり, 文書体系の構築のしかたで文書のボリューム が増え,最大でマニュアル1 0 0頁,規程8 0種 類,3 5 0頁(6 0人規模)という会社もあった。 【研 ア 究】 組織構造にあわせた“文書体系” 企業規模に合わせて,身丈にあった文書体 系をどのように構築すればよいのか。図6は, 企業診断ニュース 2 0 0 8. 4 25 図6 文書体系の類型化と“シート式文書体系” の 会 社 で も 使 え る 汎 用 ISO の仕組み?になってしまう。 本当に必要なのは,自社が晒 されている品質や,環境に関 するリスクに対応した仕組み で あ る。現 場 で 役 立 つ ISO は,決して規格さえ満足すれ ば良いというものではない。 【事 例】 図7は,リスク対応を組み 込 ん だ,事 例 企 業 B 社 の 構 築事例を示したものである。 これまでにコンサルで関与した事例企業の文 書体系を類型化した結果である。 中小企業,特に3 0人前後の場合,組織構造 が大企業のように重層的ではない。 たとえば,事例企業 A 社の場合,社長の 下に営業は A さん,購買は B さん,製造は 【事例企業 B 社のプロフィール】 ①業種・規模:製造業,従業員2 5人 ②認証:ISO9 00 1,1 4 0 01 ’ 05年取得 ③業務内容:金属材料の切削加工 ④品質要求:高精度加工 ⑤環境:切削油・金属切り粉大量発生 C さん以下1 0人で担当しているが,このよう 【B 社の抱える課題】 な形の企業が珍しくない。 もともとフラット化した規模の小さい企業 に対して,大企業並みのピラミッド型の文書 体系を奨めても,中間管理層が薄いため,現 場の担当者にその負担がのしかかり,いわゆ る重たい仕組みになる。筆者の場合,組織が フラット化している規模の小さい企業には, ①従業員の質:外部労働者を多く使用しているため, 定着が悪い。教育・訓練の徹底と技術維持が難し い。 ②加工:電力,切削油,刃物などが環境側面である。 ③廃棄物:切削油の大量使用,切り粉の発生,保管 場所の制約等が多く,管理に困難がつきまとって いる。 「1要求項目1シート」を原則に したシート式のマニュアルを考案 図7 業務の流れに沿ったリスク対応・B 社の仕組み し提案しているが,大変好評を得 ている。 イ 汎用?の ISO からリスク指 向の ISO へ ISO9 0 0 1と ISO1 4 0 0 1を比べると, 一番大きな違いは,後者には側面 とリスク評価があるが,前者には ない。これは ISO9 0 0 1の大きな欠 落ではないかとも言われている。 つまり,規格を鵜呑みにし,その ままマニュアル化した場合,どこ 26 企業診断ニュース 2 0 0 8. 4 ISO が成熟期に入ったいま,より効果的な ISO への見直しと改善に役立つ中小企業向きの現場化,統合化 体化が本来の姿 【課題に対して,とった対策】 業務の流れに沿ってリスク発生の可能性が 仕事の流れに伴い,何らかのリスクがつき 潜んでいる。そこで,図7の構築事例では, まとう。例えば,部品加工という仕事の流れ 環境側面だけでなく,品質側面についても過 をみると,図8のように,品質面,環境面2 去のデータを分析・評価し,リスクを明らか つのリスクに晒されている。したがって, にした点は,他の ISO の仕組みと大きく違 「1業務1手順書」に一体化すべきである。 う点である。そして,これを業務フロー図に 沿って潜むリスクへの対応事項を併記した, 図8 業務の流れに沿ったリスク対応・B 社の仕組み 「フローチャート式作業手順書」を発案し, 提案した。この結果,「チャート式であれば, 見やすい!」「作業の流れに沿ってリスクが 認識できるようになった」などの好評も聞か れ,結果が期待されている。 【事例企業 B 社の結果と評価】 1 クレーム発生状況のデータ活用 ①要求項目の「データ分析」で収集されたデ ータの活用手順を決め,周知した。(品質 リスクの特定) ②手順書を「業務フロー図」に書き替え現場 へ配付し,「品質及び環境リスク対応」を 示す。 2 評 価 〈見直し・改訂前〉類似クレーム頻発, 〈見直し・改訂1年後〉類似クレーム減少が顕 著になる。 イ 統合化の規格はあるのか?統合化しや すい環境が整ってきている! 統合マネジメントシステムを定めた規格は ない。しかし,これまでに発行され た ISO 規格をみると,確実に統合化しやすい環境が 整ってきている。 ①2 0 0 2年:ISO1 9 0 1 1「品 質 及 び/又 は 環 境 マネジメント監査の指針」 ②2 0 0 4年:ISO1 4 0 0 1「環 境 マ ネ ジ メ ン ト シ ステム─要求事項及び利用の手引」 付属書 B(参考)表 B1,表 B2 2 中小企業こそ,複数の仕組みの1本化 (統合化)が望まれる! (ISO9 0 0 1と ISO1 4 0 0 1の対比表) ③2 0 0 6年:BSI 規格・PAS9 9「統合マネジメ ントのためのガイドライン」 【アンケート調査の要約】 今回の調査では,回答企業4 1社中,2 0社が 品質,環境の両規格の認証取得をしていた。 こ の う ち,PAS9 9は,平 成1 8年8月,BSI 統合化については,2 0社のうち3社は統合済 (英国規格協会)から発行され,日本国内で みで,残りの1 7社のうち,1 3社までが「統合 も普及が始まった。その特徴は,複数のマネ したい」と回答している。このことから統合 ジメントシステムの核になる部分を「統合フ 化の潜在的ニーズは高いものと考えられる。 レームワークとしての共通マネジメントシス さらに,統合済み企業のうち,1社について テム要求事項の仕様」として一体化している 訪問調査したところ,実は品質,環境両マニ 点であり,普及が進むものと思われる。 ュアル並列の複合型であった。調査した他の 企業でも複合型があり,完全統合に至ってい ウ 「PAS9 9」に準拠した中小企業向きの 統合 MS…その構築案とメリット ない実態もみられた。 これまで,統合の規格がないため,さまざ 【研 ア まな組み合わせの統合が見られた。 究】 品質も環境も“1業務1手順書”で一 そこで,発行間もない PAS9 9に準拠して, 企業診断ニュース 2 0 0 8. 4 27 図9の と お り ISO9 0 0 1と ISO1 4 0 0 1の 統 合 化 い」「使い勝手が悪い」 「日常業務と一体化し 体系を考案した。 ていること」などの意見が目立っていた。ま た,このような課題に対して一歩掘り下げて 〈この統合化の特色〉 訪問調査したところ,そのうちの1社では, ①統合化…両規格に共通する要求事項を「共 これらの課題を解決するため,記録類を電子 通手順」として完全に1本化した。ISO9 0 0 1 文書化していた。電子版文書への関心やニー 及び1 4 0 0 1の独自事項は「個別手順」として ズは,ISO の普及,成熟化とともに高まって 独立させた。 いくものと思われる。 ②クレーム対応…規格要求事項である「デー タ分析」の結果に基づき,品質リスクを分析 【研 し,環境リスクとともに品質リスクの具体的 ア 究】 中小企業で使いやすい,電子版文書の 条件とは? 対応策を盛り込む。 ISO9 0 0 1が中小企業に普及し,さらに ISO 1 4 0 0 1を取得する企業など,複数の MS を運 〈この統合化の利点〉 ①完全統合できるので,簡素化,使いやすさ, 維持負担の面で大幅に改善できる。 ②データ分析結果に基づき,当たり外れの少 ないクレーム対策ができる。 ③「共通手順」の2年目以降の定期審査は簡 略化され,負担軽減になる。 3 日常業務に溶け込んだ文書管理の仕組 み…新開発「e―ISO・楽々」! 【アンケート調査の要約】 今回の調査では,特に「文書を簡素化した 〈電子版文書の条件〉 ①操作が容易で,使い慣れたアプリケーション ソフトであること。 ②業務手順に沿って,帳票への書き込み,記録, 保存機能を持っていること。 ③タスク機能を備え,有効性診断が可能な検索 機能を持っていること。 ④品質や環境上のリスクに対応したソフトであ ること。 ⑤品質や環境など,統合化に,容易に対応でき るソフトであること。 図9 「PAS9 9」を組み込んだ統合化の体系 28 企業診断ニュース 2 0 0 8. 4 ISO が成熟期に入ったいま,より効果的な ISO への見直しと改善に役立つ中小企業向きの現場化,統合化 用する企業も増えてきている。このようなな かで,従来からの紙版による文書管理から, 電子版による文書管理へと移行する企業も増 えてきている。しかし,大企業並みの重たい 文書管理ソフトを装備する例もあり,必ずし も使い勝手がよいとは言えない。中小企業に 適した電子版文書システムには,次のような 【事例企業 C 社のプロフィール】 ①業種・規模:製造業,従業員3 5人 ②認証:ISO9 00 1,1 4 0 01総合構築中 ③業務内容:専用機製造業 ④品質要求:設計,製作,メンテナンス ⑤環境要求:振動,騒音,廃棄物等の対策 【C 社の抱える課題】 具備条件が望ましい。 イ コンサルの現場で生まれた電子版統合 管理システム「e―ISO・楽々」 前項に示した電子版文書の条件は,コンサ ルの現場で聞いた企業ニーズや,今回のアン ケート調査の結果を踏まえて設定したもので ある。ところで,市販のソフトは必ずしもこ ①社内体制:個人技術が先行,組織的には弱体であ る。 ②品質上の問題:受注,個別生産。納品後のクレー ム,メンテナンスに追われ,能率が悪い。改善し たい。 ③環境上の問題:工場周辺に民家が多く,夜間の作 業で環境影響が懸念される。 れらの条件は満たされているとは限らない。 品質と環境の仕組みを構築する。組み込んだ また,高価なため中小企業では導入が容易で 文書は,すべてシート式にし,簡素化を図る。 はない。そこで開発したのが,この電子版統 ②クレーム対応…業務フロー上,どんなリス 合管理システム「e― 図1 0 品質/環境・電子版統合管理システム“e―ISO・楽々”の体系図 ISO・楽 々」で あ る。 これは筆者が,これ までのコンサル経験 と当研究会員の意見 を取り入れ,約1年 かけて完成したもの である。平成1 8年後 半からすでに5社に 導入され,結果がす こぶる良いので,そ の体系と導入事例を ここに紹介する。 【事 例】 図1 0は,事例企業 C 社の統合化にあた って「PAS9 9」を応 用した事例である。 【課題に対して,と った対策】 ①統合化…電子版統 合管理システム「e― ISO・楽 々」に よ り, 企業診断ニュース 2 0 0 8. 4 29 クがあるか「データ分析」の結果に基づき, 分析・抽出し,改善計画につなげる。リスク 2 機 能 「e―ISO・楽々」の基本的な操作のパター ンは,図1 1のとおりである。 対応のサイクルを構築する。 ③文書保存機能…計画書,報告書,各種記録 類等は,画面上で記入し,そのまま保存でき 【機能】 るようにした。現場用は,紙版でも可能なよ ①リンク機能…各シートに記載した図形が, うに PDF を活用する。 すべて動作ボタンになっている。クリックす 【事例企業 C 社の結果と評価】 ることにより,順次,自由自在に開くことが 1 「e―ISO・楽々」による統合 MS 導入結果 ①既存の社内諸規定が,「e―ISO」に統合。 決定が迅速になり,組織的に動くようにな った。 ②データに基づくクレーム対策手順を明確に し,再発防止体制を強化する。 2 評 価 ①「e―ISO」で短期間に統合 MS を導入でき, ソフトの便利さに「目から鱗が落ちた」 (C 社社長) ②創業以来の社内ルールも,ペーパーレスで, 維持負担も軽く,スタートできる。 (同上) でき,使い勝手が抜群! ②検索機能…見直しやリスク管理のため,キ ーワードを検索し,改善につなげる。 ③記録保存機能…業務フロー図や各帳票へ, 作業の進捗記録の書込みができる。その他, 一括入力・転記機能,自動計算機能がある。 5.おわりに…報告書から生まれた もの ISO が普及し,どの会社も相当な経営資源 を投入して維持している。ところが見直しを 4.新 開 発「e―ISO・楽 々」の 仕 様 と機能の紹介 簡素化,リスク対応及び統合化に役立つ 「e―ISO・楽々」の仕様と機能を紹介する。 しないと,その効果に問題があると指摘する 意見の多いことが,今回の調査でわかった。 これを受けて研究を重ね,今回の「調査・研 究報告書」としてまとめたものである。 そこで生まれたのが,①簡素化手法(シー ト 式) ,②リ ス ク 対 応 の 仕 組 み,③統 合 化 1 内容構成 (「e―ISO・楽々」 )の3点セットである。な かでも統合管理システム「e―ISO・楽々」は, 診断士の診断技法の1つにもなるように,研 究会が総力をあげて開発したものである。 ISO が経営全般に広がりつつあるなかで, 「e–ISO・楽々」が,ISO のしくみを通じて 経営診断の1つの手法として育っていくこと を願ってまとめとする。 図1 1 「e―ISO・楽々」の基本的な操作パターン 30 企業診断ニュース 2 0 0 8. 4