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「ツキ」をどのように読むか : レース後 のコメント分類

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「ツキ」をどのように読むか : レース後 のコメント分類
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ギャンブラーは「ツキ」をどのように読むか : レース後
のコメント分類から探る
村上, 幸史
対人社会心理学研究. 1 P.69-P.80
2001
Text Version publisher
URL
http://doi.org/10.18910/3849
DOI
10.18910/3849
Rights
Osaka University
対人社会心理学研究, 2001 年, 第 1 号, 69-80.
Japanese Journal of Interpersonal and Social Psychology, 2001, No. 1, 69-80.
ギャンブラーは「ツキ」をどのように読むか
1)
- レース後のコメント分類から探る村上幸史(大阪大学大学院人間科学研究科)
事象の結果が説明される際には、一般的に「ツイている」もしくは「ツイていない」状態があるように語られることがある。
このような「ツキ」のよしあしが説明される現象の背後要因について、一定期間のベッティング行動(競馬)を測定し、そ
の結果に関する記述を分析することで探索的な検討を行った。内容の特徴に着目して、記述は「自分−非自分」及び
「レース前−レース後」の要因に関する語りという 2 軸に基づいて解釈された。ベッティングの実際の結果(的中/不的
中)からは、記述内容に違いは見られなかったが、「ツキの流れ」を肯定する者は否定する者よりも「自分」の「レース前」
のことを多く語っていた。しかし肯定する者であっても、「ツイていない」状況では、「ツイている」状況に比べて「レース
後」に関する記述が増えていた。この結果からは、ある期間「ツキ」が連続するように説明される要因として、実際に生起
した事象の結果だけではなく、状態としての統制感の変化を加味した判断がなされている点が考えられる。このような形
で統制感を捉える背景には、結果に対する視点の違いを作り出すような、「ツキ」に関する先入観の影響があるのでは
ないかと推測される。
キーワード:「ツキ」・ギャンブル・「フレーム化」・統制感
問題
ギャンブラーと迷信行動
かねてよりギャンブラーには多くの迷信行動が見られることが報告されており、その行動はしばしば
指摘される(例えば Henslin, 1967)。この理由を考えてみれば、ギャンブルは不確実性が高く、行う
必要性が非常に低いとされる行動である点が挙げられる。いわゆるギャンブラーは、本人の楽しみや
自我の維持(谷岡,1996)といった面を除けば、リスクを含んだ選択の機会を自ら増やしていると言える。
さらには選択した事象の結果は、日常生活より速くかつ明確に示されることが多い。例えば、結婚とい
う選択は数年たっても成功・失敗といった明確な「結果」が分かるとは限らない。
迷信行動を取りやすい社会集団の例として、Vyse(1997)がギャンブラーや運動選手や試験を受け
る学生などを挙げているように、このような特定の不確実事象に対する選択の機会が多く、成功・失敗
の結果が明確な状況ほど、迷信行動は生み出されやすいと考えられる。日常生活の中にも、丙午の
年に女性を産むことに対するものなど、行動に大きな影響力を持つ可能性がある迷信はあるが、特に
ギャンブラーは迷信の真偽を測ることができる機会が多いと言えるだろう。
迷信と「ツキ」
−迷信行動の背景−
このように選択の機会が多く、事象の結果が明確な状況における迷信行動の 1つとして、Gilovichら
(1985)は予想以上に成功が「連続するように見える」現象を説明している。プロバスケットボールの試
合で、ある期間シュートの成功率が高くなったように「見える」選手の状態は、一般には“hot hand”や
“streak shooting”という現象として捉えられているが、この現象は観察者の錯覚に過ぎないことを
Gilovich らは示している。“hot hand”の状態にある選手に、わざわざシュートのチャンスを回したりす
る例からは、迷信行動に直結していると言えるかもしれない。
この“hot hand”や“streak shooting”は、いわゆる「ツイている」と説明される概念に近いと考えられ
対人社会心理学研究, 2001 年, 第 1 号, 69-80.
Japanese Journal of Interpersonal and Social Psychology, 2001, No. 1, 69-80.
る。「ツキ」によって説明される現象の時間的な範囲は、単一の事象からある期間の事象群まで様々で
あるが、このような説明を行うベースに共通してあるのは、ある期間内におけるポジティブな事象(ある
いはネガティブな)事象の結果を一連の固まりとして捉えていることであり、これは事象間における独立
性を無視した認知的な錯誤であると考えられる。
「ツキ」に関する個人差
しかしながら、Gilovich らはこのようなデータを観察者や行為者自身に示しても、考え方自体はほと
んど変容しないことも同時に指摘している。この原因として、一般的に事象が生起するランダムさへの
誤解が堅固であることに加えて、状態の捉え方について先入観があることが挙げられている。例えば
Gilovich らが挙げているのは、惜しいシュートを外した場合でも「ツイている」選手の結果は入ったも同
然だったと判断されるのに対して、そうでない選手の結果は「ツイていない」と見なされるなど、いわば
都合のよい見方がなされやすいというような、選手の状態に関する観察者の視点の違いである。
Figure1 は説明される文脈によって類型化した「運」を示したものであるが、この意味で「ツキ」という
概念は「幸運」あるいは「不運」な状態の説明であると考えられる(本研究では「運」の下位概念として
「ツキ」を捉えることにする)。しかしながら、このように「ツキ」という概念を用いて、事象の連続性を説明
するかどうかについても、この先入観から生じる個人差があると考えられる。
必ずしもポジティブな事象が連続していない場合にも、「ツイていた」と判断されているシュートの例
からも、もし認知的な錯誤が生じる原因が、「ツキ」の捉え方における個人差にあるならば、「ツキ」によ
って事象を説明している者は、結果そのもの以外の要因にも着目した判断をしているのではないかと
考えられる。
この要因については、観察者は“hot hand”の状態を説明するのに、事象の結果だけではなく、行為
者である選手が持つ自信のような付加的要因を推測しやすいことが挙げられている。このような自信は
Langer(1975)が示した、全く偶然の事象であっても生じる統制の錯覚( illusion of control)に類似
している。Hill&Williamson(1998)などによっても、(状態としての)luck と統制の感覚の関連性が
指摘されているように、おそらく「ツキ」の背後にも、この統制感の強弱によって説明されている部分が
あるだろう。しかしながら、どのような背景で統制感から「ツキ」の説明がなされやすいのか、またどのよ
うな場合に「ツキ」のよしあしが連続するものとして説明されるのかは分かっていない。そこで、この背後
要因を探ることが「ツキ」に関する先入観をひもとく鍵になるのではないかと考えられる。
先述したように、ギャンブル場面においてベッティング(賭け)結果の的中・不的中に関わり続けること
で、ギャンブラーは「ツキ」の連続性を確認する機会を持つと考えられる。そこで本研究では、一定の
期間を決めて継続したギャンブルにおけるベッティング行動の測定を行うことにした。その結果に関し
て記述されたものを質的に分析することによって、具体的にどのような状態を「ツイている」あるいは「ツ
イていない」とギャンブラーが捉えているのかという認知的な側面について探索的に検討した。
<生得的>
「運命」
特性的
<特性>
<運資源>
「運の強さ」
「運の減少感」
<個人の説明>
Figure1
<状態>
<結果>
「ツキ」・「運の波」・「運勢」
状態的
「運」に関する捉え方の違い
<事象の説明>
対人社会心理学研究, 2001 年, 第 1 号, 69-80.
Japanese Journal of Interpersonal and Social Psychology, 2001, No. 1, 69-80.
方法
本研究ではギャンブル状況として競馬を採用した。これは、1.参加者を幅広く集めるため知名度が高
く、2.インターネット上でもできるだけ現実に即した擬似的な場面を作りやすいもの、3.一定の間隔(1
週間に 1 度)で測定が可能なもの、という基準を満たしている点から選択された。
手続き 予備研究として、インターネットの Web ページ上で、馬券の買い方や頻度などの「競馬スタ
イル」に関する質問紙調査を実施した。この回答者の中から、Web ページ上でのベッティングゲーム
(擬似的な馬券投票行動によるポイントの合計勝負のゲーム、以下コンテストと呼ぶ)への参加者を募
った。このゲームでは全参加者が一定の持ち点を与えられ、期間を決めたゲーム形式であることや、
毎週ベッティングを行うことなどいくつかのルールを設定したが、実際の行動にほぼ準じた形でベッテ
ィングを行ってもらった。
コンテストの実施時期は 1998 年 10 月∼12 月である。参加者は 45 名。コンテストの対象期間は10
週間に設定した。この期間は時間的な長さだけでなく、メディアへの露出度も大きく、一般的なファン
にも注目度が高いと考えられる「GⅠレース(賞金が高く設定されており、最も価値の高いレース。年に
約 20 レースほどある)」のみが対象とされた。ベット(賭け)の対象は馬 2 頭をペアで選ぶ「馬番連勝方
式」とした。これは JRA(日本中央競馬会)が発売する全売上の 7 割程度を占める最もメジャーなベッ
ティング方式であり、馬 2 頭を選択して、そのペアごとに賭ける金額を決める。レースの結果、選択した
ペアの 2 頭の馬が 1 着と 2 着(どちらの馬の着順が 1 着かは問わない)を占めた場合に的中となる。
参加者のほとんどは実際にこの方式で JRA にベッティングを行っていた。
コンテストでは、この実際に行われた JRA のレースに基づいてポイントを賭け、的中した場合には実
際のレースで発表されたオッズ(賭け率)に基づいて、[的中したペアに賭けていたポイント×実際のレ
ースによるオッズ]を計算したポイントが加算された。逆に、そのペア以外に賭けた(つまり不的中の)ポ
イントは全て減算された。最終的にコンテスト対象期間の終了後に、所有するポイントの多い上位 3 名
が賞品を獲得できるルールとした。この賞品が金銭的動機づけの代わりに、参加者に対する一つの動
機づけとなっている。
測定項目 「競馬スタイル」を測定した際には、参加者の「ツキ」に対する態度についても同時に測定
している。項目内容は「『ツキの流れ』はあると思う」、「『ツキ』は何かをきっかけにして切り替わると思う」、
「ギャンブルに関して『運の流れ』や『ツキ』を意識することがある」、「ギャンブルにおける『ツキ』と日常
生活における『ツキ』は違うものだと思う」の 4 項目である。各項目に対して、参加者は「全くそうだ」から
「全くちがう」までの 5 段階で回答した。
ベッティングの的中・不的中の結果については 1 レース終了ごとにフィードバックを行った。その際に
は、予想が的中(あるいは不的中)だった理由を自由記述で回答してもらった。以下の分析では、主に
このコメントに記述されたものを用いている。その他に、的中(あるいは不的中)から生じる感情の度合
いなどについても判断してもらったが、本研究とは直接関係がないので省略する。
さらに、コンテストの終了後にも、「ツキ」に関するいくつかの質問項目に回答してもらった。その中で
も、コンテスト期間中に「ツイている」と感じた期間及び「ツイていない」と感じた期間を、振り返る形で具
体的に尋ねた。回答はレース名(例: A のレースから B のレース)で記述した。さらに普段行っているベ
ッティング行動において、「ツキ」がギャンブルの結果や自分の行動に関与していると思う程度につい
て自由記述で尋ねた。記述内容は、「ツイている」あるいは「ツイていない」状態に対する意識の有無、
「ツキ」が変化するきっかけ、「ツイているとき」及び「ツイていないとき」が持続すると思う期間、「ツイて
いるとき」及び「ツイていないとき」に取る特別な行動などである。
対人社会心理学研究, 2001 年, 第 1 号, 69-80.
Japanese Journal of Interpersonal and Social Psychology, 2001, No. 1, 69-80.
以上の回答及びフィードバックには E-mail を用いた。参加者の性別や年齢などの属性については
測定しなかった。性別については、インターネット人口とギャンブルに関する参与度を考えた場合に、
女性の参加者は性差を比較するには少ないため要因から外した。年齢の代わりには、競馬に関わっ
ている年数(平均 7.65 年、SD=5.19)を測定しているが、測定した「ツキ」に関する項目の肯定/否定
と年数との間に関連は見られなかったので、以下の分析要因としては加えなかった。
結果
参加者の分類 コンテストの終了後に尋ねた「ツイている」と感じた期間、及び「ツイていない」と感じ
た期間に関する質問に回答した 32 名のうち、連続した状態として「ツキ」のよしあしを何らかの形で感
じたと回答した参加者は 12 名だった。なお、この参加者は「ツキの流れはあると思う」の項目に全員肯
定的に回答していた。そこで本研究では、この項目に肯定的に回答した者を、「ツキ」の連続性につい
ても肯定している者とみなした。回答者の人数、カテゴリーは以下の通りである。
・「ツキの流れはある」という信念の肯定群(以下「ツキの流れ」肯定群): 25 名
(内訳)「ツイていた」と感じた期間のみがあったと報告した者(2名)/「ツイていなかった」と感じた
期間のみがあったと報告した者(5 名)/両方の期間があったと報告した者(5 名)/
「ツキの流れ」については肯定したが、コンテスト期間中にはなかったと回答した群(13名)
・「ツキの流れはある」という信念の否定群(以下「ツキの流れ」否定群): 7 名
カテゴリーの分類 参加者には、各レース後に自分の予想が的中(あるいは不的中)だった理由を書
いてもらった。このコメントは、コンテストの参加者がどのような観点を持ってレースを捉えているかの判
断材料になると考えられる。
このコメントについて、KJ 法を用いて分類を行った。1 レース分の参加者のコメントは、内容によって
1∼5 個のコメントに分割した。コメントののべ総数は、的中時のものが 62 個、不的中時のものが 228
個の計 290 個である。
的中した場合と不的中だった場合のコメントは別々に分類が行われたが、結果的には同じ象限を用
いて分類された。大カテゴリーに分類された後に、内容の特徴に着目して、最終的なカテゴリーの象
限は「自分−非自分」、及び「レース前−レース後」の 2 軸に基づいて解釈された。
「自分−非自分」の軸は、コメントの内容が自分に関する状態や判断などについて述べられているの
か、それとも自分以外のことについて述べられているのかによって区分された。代表的なものを挙げれ
ば、「高配当を狙いすぎた」というコメントは自分の、「レース中の事故」というコメントは自分以外の語り
として分類されている。その他、「ユタカ(騎手の名前)が嫌いだから」のように騎手の好みに関するコメ
ントも見られたが、騎手という対象自体は自分以外の要因ではあっても、「騎手のミス」といったコメント
とは違い騎手との関係から自分の感情に注目したものと考え、自分についての語りとして分類された。
また「レース前−レース後」の軸は、コメントの内容がレース前にあたかも予想がついていたように捉
えられていることか、あるいはレース後の結果として初めて分かったとされているかによって区分された。
代表的なものを挙げれば、「やる前から勝ち馬が見えていたこと」というコメントは「レース前」の、「まぐ
れ当たり」というコメントは「レース後」の語りとして分類されている。
これらの 2 軸を組み合わせて、例えば「データをよく検討しなかった」というコメントは「自分−レース
前」の象限に、「馬が故障したから」というのは「非自分−レース後」の側に分類された。以下、「自分−
レース後」に属するコメントを第Ⅰ象限のコメント、「自分−レース前」に属するコメントを第Ⅱ象限のコメ
対人社会心理学研究, 2001 年, 第 1 号, 69-80.
Japanese Journal of Interpersonal and Social Psychology, 2001, No. 1, 69-80.
ント、「非自分−レース前」に属するコメントを第Ⅲ象限のコメント、「非自分−レース後」に属するコメン
トを第Ⅳ象限のコメントと呼ぶことにする。分類したカテゴリーの項目はTable1と Table2 に、分類した
カテゴリーの内容については Figure2 と Figure3 に示した。なお以上の分類は著者が行い、その後
で訓練された者(大学院生)が確認することで一部を修正した。
Table1
次元 No
大カテゴリー
Ⅰ ① 縁のなさが判明した
② 分からない
③ 運・ツキがなかった
Ⅱ ④ 自分のミス
N
1
7
2
74
⑤ 自分の意志に基づいた判断
Ⅲ
Ⅳ
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
⑬
⑭
⑮
選んだ馬の片方は正しかった
予想に対する不満足感
予想の際のまごつき
才能がない
負け神
ゲームシステムに対する批判
当てるのが難しいレース
馬の状態が良くなかった
もともと当たらないもの
予想外のレースになった
次元 No
大カテゴリー
Ⅰ ① 運が良かった・まぐれ
Ⅱ ② 狙った配当の良さ
③ 馬の選び方の良さ
Ⅲ
Ⅳ
18
中カテゴリー
(例:「牝馬限定(のレース)は縁がないみたい」)
欲に目がくらんだ/過信しすぎた/情報の検討不足/
選択ミス/可能だった行為を選択しなかった
(自分の判断自体のミスについて述べたもの)
自分は絶対にしない選択や行為/嫌いな騎手は買わない/
選択しなかった馬を信用しきれなかった/予想のやり方
(自分の判断の根拠について述べたもの)
(不的中でも予想が当たっていた点を述べたもの)
時間がなかった/状態への反省
頭が回らなかった/絞りきれず迷った
(例:「最近何か負け神が取り付いて離れない」
)
(このコンテストのルールでは的中しにくいことの記述)
(もともと的中するには難しいレースと感じていたこと)
(狙った馬の状態が良くなかったこと)
(競馬自体が当たらないものという記述)
レースのあや/あまりにオッズが本命すぎた/超自然的な力/
3
6
6
1
1
4
8
8
1
68
予想外の結果に終わった/レース中のアクシデント/仕方ない
⑯ 騎手のパフォーマンス
7 (騎手が予想以上に素晴らしいorダメだったことに関する記述)
⑰ 新しい時代の訪れ
(例:「長距離もスピードで押し切れる時代になったこと」)
1
⑱ 馬に能力差があることが分かった 11 Table2
不的中後のコメント分類
的中後のコメント分類
N
中カテゴリー
4 5 穴狙いをしたこと/本命を予想したこと
(
狙った配当に関する記述)
馬を消した/たて目をおさえた/正しい狙いをした/
8
相手の選び方が良かった/素直な予想をした/
馬の能力予想が的確だった/ちょうど良い穴馬を選べた/
④ 馬への感情
5 追っかけている馬/追悼の気持ちがあった
(
選択した馬に対する感情を示したもの)
⑤ 実際に馬券を買っていなかった
(
実際に馬券を買ってなかったことを良かったとしたもの)
1
⑥ カン・ひらめき
3 ⑦ 自分の実力
1 ⑧ 狙いが付けやすいレースだった
4 軸・勝ち馬が明確だった/ヒモ選び
⑨ 馬の状態が良かった
12 前レースの馬の状態/馬の過去のレースのデータ/
当レースの馬の状態/馬に好条件がそろっていた
(
好走した馬のセールスポイントに関する記述)
⑩ 騎手が頑張りそうだった
(好走した騎手の状態に関する記述)
2
⑪ 実力が反映されたレースになった 12 レースが本命で決まった/結果的に予想通りのレースになった/
データ通りの結果になった/馬が不利なく能力を発揮できた
⑫ 馬が好走した
3 狙った馬が勝った/馬の頑張り
対人社会心理学研究, 2001 年, 第 1 号, 69-80.
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<判断>
⑤
自分の意志に
基づいた判断
<状態>
自分に
ついての語り
④
自分のミス
状態
★⑥
選んだ馬の片方は
正しかった
★⑦
予想に対する
不満足感
<状態>
★⑧
予想の際の
まごつき
★③
運・
ツキが
なかった
②
分からない
★⑩
負け神
★⑨
才能がない
能力・縁
レース前
⑭
馬の状態が
良 くなかった
馬・騎手
<状態> レース
★⑪
ゲームシステム
に対する批判
★②
狙った
配当の良さ
<状態> 状態
能力
当てやすさ
★⑰
新しい時代
の訪れ
自分以外に
ついての語り
<状態>
(結果)
自分に
ついての語り
★⑤
実際に馬券を
買っていなかった
★④
馬への感情
★⑦
自分の実力
⑨
馬の状態が
良かった
★①
運が良かった
・まぐれ
★⑥
カン・
ひらめき
Ⅱ Ⅰ
Ⅲ Ⅳ
★⑩
騎手が頑張り
そうだった
<状態>
レース後
⑫
馬が好走した
<状態>
レース
レース後
不的中後のコメント分類
③
馬の選び方
の良さ
レース前
馬・騎手
⑯
騎手の
パフォーマンス
⑮
予想外の
レースになった
★⑬
もともと当た
らないもの
Figure2
(予想以外の)
行為
⑱
馬に能力差がある
ことが分かった
⑫
当てるのが
難しいレース
競馬観
当てやすさ
<判断>
Ⅱ Ⅰ
Ⅲ Ⅳ
★①
縁のなさが
判明した
⑪
実力が反映された
レースになった
⑧
狙いが付けやすい
レースだった
<状態>
(結果)
自分以外に
ついての語り
Figure3
的中後のコメント分類
※Figure2/Figure3 ともに、★は「ツキの流れ」肯定群のみ見られたカテゴリーを示す。
対人社会心理学研究, 2001 年, 第 1 号, 69-80.
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「ツキ」に関する信念による差 まず、各象限にコメントが占める割合について、ベッティングの結果
が的中の場合と不的中だった場合を比較した。1 つのレースに対して複数のコメントがある場合には、
その割合に重み付け(例えば 2 つのコメントに分割された場合には、0.5ずつカウント)を付けている。
その結果、的中時には不的中時に比べて、第Ⅲ象限に含まれるコメントの割合が増加し、第Ⅳ象限
に含まれるコメントの割合が多少減少していることが分かった(Figure4)。しかしながら、「自分−非自
分」及び「レース前−レース後」の象限におけるコメントの比率はほとんど変化していないことから、どち
らかといえば的中時と不的中時で、結果に対する視点はあまり変化しないと考えられる。そこで的中・
不的中の両方のコメントをまとめて、「ツキの流れはある」という信念について「ツキの流れ」肯定群と否
定群に分けて、コメントが各象限に占める割合の比較を行った。
その結果、「ツキの流れ」肯定群には第Ⅱ象限、つまり「自分−レース前」のコメントが多いのに対し
て、「ツキの流れ」否定群には第Ⅳ象限、つまり「非自分−レース後」のコメントが多いことが分かった
(Figure4)。さらに第Ⅱ象限に含まれる「ツキの流れ」否定群のコメント内容を分析してみると、「予想
する時間がなかった」のような、「レース前」における自分の状態について述べていると考えられるコメ
ントが全く見られないことが分かった。実際のレースにおける的中率は、多少「ツキの流れ」肯定群の
方が高かった(肯定群 19%vs 否定群 13%)が、大きな差ではなかった。
「ツイている」状態と「ツイていない」状態における差異 さらに「ツキの流れ」肯定群の中でも、「ツイ
ている」と感じた状況・「ツイていない」と感じた状況・どちらでもない状況の3 つの状況に分けて、コメン
トが各象限に占める割合を同様に比較した(Figure4 の矢印部)。
このうち「ツイている」と判断された状況におけるコメントの中には「第六感(ひらめき・予感)みたいな
ものが的中した」や「やる前から勝ち馬が見えていた」のように、前もって結果が予想できたかのように
判断していると考えられるようなコメントも見られた。このように「ツイている」と感じた状況では、第Ⅱ象
限と第Ⅲ象限を加えた「レース前」の象限のコメントが8 割強を占めていたのに対して、「ツイていない」
と感じた状況では「レース前」の象限に含まれるコメントは逆に 5 割強に減少していた。つまり「見当も
つかない」や「あれじゃしょうがない」といったコメントに代表されると考えられるような、「レース後」の側
に含まれるコメントがかなり増加していた。「ツイている」と感じた期間で示された、コンテスト中の実際
の状況下における的中率は 39.3%に対して、「ツイていない」と感じた状況では 12.2%であった。
コメント全体 5.5
46.2
不的中時のコメント 5.0
46.4
的中時のコメント 7.8
11.5
10.2
45.6
Ⅰ
36.7
38.4
16.7
Ⅱ
Ⅲ
30.0
Ⅳ (象限)
4.1
「ツキの流れ」否定群
30.6
「ツキの流れ」肯定群
5.9
12.2
53.1
50.6
11.3
32.2
2.0
「ツイている」状況
60.0
どちらでもない状況 6.2
「ツイていない」状況
50.8
Figure4
9.5
41.9
8.1
0%
22.0
20%
9.7
40%
16.0
33.5
40.3
60%
80%
状況別/信念別コメントの割合(単位:%)
100%
対人社会心理学研究, 2001 年, 第 1 号, 69-80.
Japanese Journal of Interpersonal and Social Psychology, 2001, No. 1, 69-80.
状態の変化 −「ツキ」に関する捉え方− レース後に尋ねた質問から、ギャンブラーが「ツキ」をど
のように捉えているのかについて簡単にまとめた。
本研究では、コンテストが終わってから振り返る形で「ツイていた」あるいは「ツイていなかった」という
期間を具体的に尋ねたが、現時点の状態として実際に「ツキ」を意識することがあると答えた者は、「ツ
キの流れ」肯定群のうち約 70%(16 名; 2 名無回答)であった。
「ツキ」に関する態度項目の中では、「『ツキ』は何かをきっかけにして切り替わると思う」という項目を
測定している。「ツキの流れ」肯定群の中で、この項目にも肯定的に回答している者は 75.0%(18 名;
1 名無回答)だった。このきっかけとは具体的に何を指しているのかを考えるに当たって、今回のコン
テスト中に意識した「ツキ」の切り替わりの契機に関して具体的な記述を行った者が 7 名いた。その内
容を見ると、好転した方の記述には「予想外の的中があった」、「大きく勝ってふっきれた」、逆に悪くな
った方の記述には「そこそこの的中をした」、「馬券を買わなかった」、「絶対に逆らった」、「おっちょこ
ちょい」という記述が見られた。
これらの記述内容は、行為や状態、ベッティングの結果と様々であるが、特徴として自分に関する語
りが大半を占めていると考えられる。つまり「ツキ」は自然に変化するというよりも、むしろ自分の行為の
ような人為的な影響の方が大きいものと捉えられており、それがベッティングの結果につながっている
と捉えられているのではないかと推測される。
このように自分の行為が影響力のあるものとして捉えられている点については、普段のベッティング
行動に関する記述においても、「ツイてるときミスをすると、ツキがなくなる」や「事前予想と違う馬券を購
入して、事前予想が的中していたような場合には、ツキが下降する」、「切った(予想で消した)有力馬
が勝った場合にツイていない状態が来る」のような形で、特に「ツキ」の低下を招く契機になると判断し
ていると考えられる記述が多く見られた。
このような事象の結果は記憶として利用可能性が高く、「あの時のミスによってツキが変化した」のよう
に、「ツキ」の期間を区切る判断基準を与えているとも考えられるが、先述したシュートに対する解釈の
ように、実際に得られる事象の結果に何らかの要因を結びつけて、「ツキ」が連続しているという期間は
自ら作り出している部分があるのではないかと考えられる。
考察
本研究では、連続性のある現象として「ツキ」のよしあしを認知することについて、レース後のコメント
を分析し検討した。その結果、事象に対する捉え方に関して、いくつかの視点の違いがあるのではな
いかという知見が得られた。この違いは「ツキの流れ」を肯定する者と否定する者の間に見られたことか
ら、「ツキ」を自分の状態に対する判断として考えた場合には、事象に対する視点の違いが、「ツキ」を
用いて事象の連続性を説明する背景要因の一つになっている可能性が示唆された。
もう少し詳しく述べれば、Figure5(各象限に占める面積はコメント量を示している)に示すように、「ツ
キの流れ」を否定する者は、「非自分」かつ「レース後」の象限(第Ⅳ象限)に「注視の方向」が向きやす
いことが考えられる。この「注視の方向」とは、事象に対してどのような点に注目しやすいかという視点
の方向のことである。
この結果は「ツキの流れ」を否定する者にとって、他者が行うレースを予想することはあくまで生起す
る事象(レースの結果)に判断を下すことであって、レースの結果と自分の予想は無関連と捉えている
ことにあるのではないかと推測される。そこで視点の中心はベッティングの的中・不的中という結果に
関わらず、生起したレースの結果(例えば「馬が好走した」)にあると考えられる。
対人社会心理学研究, 2001 年, 第 1 号, 69-80.
Japanese Journal of Interpersonal and Social Psychology, 2001, No. 1, 69-80.
注視の方向
「ツキの流れ」否定群
「ツキの流れ」肯定群
判断
判断
状態
ⅡⅠ
ⅢⅣ
状態
統制感大
状態
(結果)
ⅡⅠ
ⅢⅣ
状態
状態
(結果)
←移動→
注視の方向
Figure5
状態
状態
統制感小
「ツキ」の信念別に見たレースの捉え方の模式図
これに対して「ツキの流れ」を肯定する者には、「自分」かつ「レース前」の象限(第Ⅱ象限)に「注視の
方向」が置かれていると考えられる。このことは「自分」かつ「レース前」の象限に含まれる、状態(つまり
自分が予想を行う時点での状態)に関するコメントが、「ツキの流れ」を肯定する者のみに見られたこと
からも言えるだろう。例えば、自分が行った判断も「判断を下せるような∼の状態だった」とか、「ツキが
あったから的中した」のような形で捉えやすいのではないかと考えられる。
さらにその「ツキの流れ」を肯定する者のコメントの比重は、「ツイているとき」と「ツイていないとき」の
間では「レース前」から「レース後」の象限へ変化していた。「レース前」や「レース後」という時間軸の違
いが、この統制感の上昇・下降の状態の表出と考えれば、今回の結果は統制感が高い状態から低い
状態への移行を示していると考えられ、「ツキ」のよしあしという形で、統制感の高低は「ツキ」の状態に
よって変化する指標として捉えられていると推測される(Figure5 の点線の軸)。
つまり「ツキの流れ」を肯定する者は、自分の「ツキ」の状態に応じてベッティングに対する統制感が
変化する、逆に言えば統制可能性を判断する基準として、現時点における自分の「ツキ」の状態を判
断しているのではないかと考えられる。このように「注視の方向」の置かれ方は、自分の状態や行動を
ベッティングの結果を左右する要因として、どの程度扱うかどうかという、結果に対する統制感の持ち
方の大小に左右されているのではないかと推測される。
原因の帰属としては成功した理由を自分に、失敗は自分以外のものに求めやすいという
self-serving biasの傾向が示されている。例えば Lau& Russell(1980)は、スポーツを行っている選
手やコーチが試合の結果をどのように語っているかを新聞の記事から調べたところ、勝った場合には
負けた場合よりも自分のチームの要因について語る割合が多いことを示している(ただし、どちらも自
分のチームについて語る割合の方が多い)。しかし、本研究ではベッティング結果の的中・不的中の
間で、コメントの割合にこのような傾向はほとんど見られなかった。
ただし、自分がレースに直接携わっていない観察者であるという側面や、自分の的中を自慢すること
を、回答の際に避けた可能性も考えられるため、これを否定するものではない。むしろ、どちらの観点
から語りやすいかには個人差があって、事象の結果以外の面も合わせて「ツキ」の状態が判断されて
いるとすれば、「ツキ」に関しての先入観がもともと「注視の方向」の向きやすさを決めていたり、事象を
捉える視点を変化させたりしているのではないかと考えられる。
対人社会心理学研究, 2001 年, 第 1 号, 69-80.
Japanese Journal of Interpersonal and Social Psychology, 2001, No. 1, 69-80.
この視点の変化についてもう少し説明すれば、「ツキの流れ」を持って事象を捉える者は、ひらめきな
どの自分の感覚といった直感的な部分や、好みや選択の基準、「調子が出ない」などの予想する時点
での自分の状態など、「レース前」に認知できる要因に対して、もともと「注視の方向」が向いているの
ではないかと考えられる。このことは「ツキ」の変化を決定する要因の一つとして、自分の行為が語られ
ていたことからも推測される。そして自分の判断や予想する時点での状態が、ベッティングの結果はお
ろか、場合によってはレースの結果をも左右しているように捉えられているのではないかと考えられる。
特に「ツイている」状態では、錯覚であったとしても、現象を説明する際に何かしらの手がかり(例えば
「自分」の手応えやひらめき、「自分以外」では狙い目の馬や予想しやすいレースがちょうど用意されて
いたかのような認知など)が、レースやベッティングの結果と結び付けられやすいのではないかと考え
られる。実際にレースの結果として表れるものは一つなのに対して、「レース前」には複数のパターンの
結果について予想が立てられることが多い。そこで「ツイている」状態では、予想外の結果が生起した
場合でも、何らかの形で予想がついていたかのように説明されるのではないかと推測される。
つまり、あらかじめ「ツイている」状態にあるという視点から語られることで、レース前の時点でベッティ
ングの結果に対して、漠然としたものであっても手応えや根拠のない自信を持ったり、的中することが
決まっているかのように捉えられるので、結果論で語られることは少ない。結果的に不的中だった場合
でも「選び方が悪かった」のように、自分のどの行為や選択が誤った結果を導いたかという「改善策」も
見えているように捉えられているのではないかと推測される。
ところが逆に「ツイていない」状態では、統制感が低下しているために、自分の判断が結果に及ぼす
影響力は小さいと捉えやすく、直接的な結果を左右する原因としては結び付けられない。さらに的中
するという結果を得ることが最優先にあるような、暗中模索の状態にあると推測される。そのため、予測
できない「レース後」の要因に視点が向きやすく、得られた結果に対しても後付け的な説明をしやすい
と考えられる。もちろん「レース後」の要因に視点が向きやすいだけで、「イヤな予感がしていた」のよう
に説明されることもあるだろうし、ギャンブルの中でも競馬はスキルの割合が高いと認知されやすい(楠
見,1994)こともあり、「レース前」の要因が語られることがゼロになることはないだろう。
この「ツイている」状態と「ツイていない」状態の違いは、例えば同じ不的中というベッティングの結果
に対しても、「ツイている」場合にはどの程度手応えがあったかという過程が語られるのに対して、「ツイ
ていない」状態には最終的に得たネガティブな結果が語られるという点に顕著に表れるのではないか
と考えられる。これは、ポジティブな結果を得ることに対する「余裕」の差とも言えるかもしれない。
最も本研究で判断された結果は、コンテストが終わった後から振り返る形で「ツイている」あるいは「ツ
イていない」期間を尋ねている。このような判断には、既に生起した事象の結果(特にベッティングの的
中・不的中)だけを回想してまとめ直した部分も含まれていると考えられる。しかしながら、現時点にお
ける状態として、「ツイている」あるいは「ツイていない」ことを意識している者が 7 割近くもいることから、
生起した結果に対する単なる後付け的な解釈がなされているだけではないと考えられる。
このように過去ではなく、現時点の状態として「ツキ」が捉えられることについては、始めは事象の結
果に対して「ツキ」と呼んでいただけかもしれないが、何らかのポジティブな結果を得た(あるいは成功
した)ことから、統制感が上昇した状態を「ツイている」と呼ぶように転じて、ある期間の連続した状態と
して捉えられている、いわば「ツキ」が「フレーム化」して捉えられているのではないかと考えられる。
同様に、何らかの失敗やネガティブな結果を得ることで統制感が低下した状態も、「ツイていない」状
態として「フレーム化」されていると考えられる。このような「フレーム化」のされやすさは、「ツキ」に関す
る信念の違いから来ていると考えられ、事象間における独立性が無視されたり、迷信行動の取られや
対人社会心理学研究, 2001 年, 第 1 号, 69-80.
Japanese Journal of Interpersonal and Social Psychology, 2001, No. 1, 69-80.
すさにもつながっているのではないかと推測される。「フレーム化」された状態では錯覚であれ、何らか
の手がかり(例えば直感など)を伴った現象として語られやすいだろう。
最もこの「ツキ」の状態が、どのような条件で「フレーム化」されやすいのかについては、実際に得られ
た事象の結果以外の面も含めて、「ツイている」状態や「ツイていない」状態が判断されていることから
考えると、他にも直感的な要因や過去の記憶の利用などとの関連性についても検討する必要があるだ
ろう。また本研究では予想を立てて行うギャンブルを扱ったが、あらかじめ予想を立てないギャンブル
やギャンブル以外における判断にも同様の傾向があてはまるのかなど、具体的な事象に対してさらな
る検討が必要であると考えられる。
引用文献
Gilovich, T. , Vallone, R.& Tversky, A. (1985) The hot hand in basketball: On the misperception of
random
sequences. Cognitive Psychology, 1 7 , 295-314.
Henslin, J. M. (1967) Craps and magic. American Journal of Sociology, 7 3 , 316-330.
Hill, E. , & Williamson, J. (1998) Choose six numbers, any numbers. Psychologist: Bulletin of the British
Psychological Society, 1 1 , 1, 17-21.
楠見孝 (1994) 不確実事象の認知と決定における個人差 心理学評論, 3 7 , 3, 337-356.
Lau, R. R. , & Russell, D. (1980) Attributions in the sports pages. Journal of Personality and Social
Psychology, 3 9 , 29-38.
Langer, E. (1975) The illusion of control. Journal of Personality and Social Psychology, 3 2 , 2, 311-328.
谷岡一郎 (1996) ギャンブルフィーヴァー 中央公論社
ヴァイス S. A. 藤井留美(訳) (1999) 人はなぜ迷信を信じるのか 朝日新聞社 (Vyse, S.A. (1997) Believing in
magic: The psychology of superstition. Oxford University Press.)
註
1)本研究は第 40 回日本社会心理学会大会(1999 年)における筆者の発表の一部をまとめ直したものである。共同研
究者として、三浦麻子氏(大阪大学大学院人間科学研究科助手)・畦地真太郎氏(北海道東海大学国際文化学部講
師)に協力を頂いた。またデータの確認や考察について、大学院生の金政祐司君には貴重な時間を割いてもらい、
有効な意見を頂いた。ここに感謝の意を表する。
H o w d o g a m b l e r s j u d g e t h e “t s u k i”, the state of luck in betting games?
– The analysis of their comments –
Koushi
MURAKAMI(Graduate School of Human Sciences, Osaka University)
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