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第三次男女共同参画計画提言書 (PDF 669.7KB)
「武蔵村山市第三次男女共同参画計画」 の策定に向けた提言 平成 26 年3月 武蔵村山市男女共同参画計画市民懇談会 提言に当たって 武蔵村山市男女共同参画計画市民懇談会(以下「懇談会」という。)は、平成 25 年 10 月 に第1回市民懇談会を開催して以来、合計6回に及ぶ懇談会を開催しました。懇談会では、 これまでの市の取組や「武蔵村山市第二次男女共同参画計画」の進捗状況、市民意識調査結 果、国や都の状況などを踏まえ、 「武蔵村山市第三次男女共同参画計画」に盛り込むべき内容 について検討を行いました。 懇談会には市民活動団体をはじめ、自治会や商工会など市内で活動する公共的団体の関係 者、公募による委員が集まりました。その中で活発な意見交換を行い、委員一人ひとりの力 を集結して懇談会としての提言書を取りまとめました。 本提言書では、基本理念の案と5つの提言「1 権の尊重」、「3 男女平等の意識づくり」、 「2 男女の人 あらゆる分野における男女共同参画の推進」、「4 就労におけるワーク・ ライフ・バランスの推進」、 「5 第三次男女共同参画計画の推進に向けて」を掲げています。 今後、市長をはじめ、市職員など第三次計画の策定に携わる皆様がこの提言書を真摯に受 けとめ、今後の課題について十分な議論がなされた上で、市民一人ひとりを取り巻く環境が それぞれ異なることに配慮しながら、計画が策定されることを期待しております。 これらを通して、本市において男女が互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合い、性 別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会が早期 に実現されることを切に望みます。 武蔵村山市男女共同参画計画市民懇談会 座長 澤田 泉 目 次 1 基本理念について ................................................................................................................................ 1 2 武蔵村山市の男女共同参画を取り巻く現状と課題、方向性について ....................... 2 提言1 男女平等の意識づくり ........................................................................................................ 2 提言2 男女の人権の尊重 .................................................................................................................. 6 提言3 あらゆる分野における男女共同参画の推進 ......................................................... 12 提言4 就労におけるワーク・ライフ・バランスの推進 ................................................ 16 提言5 第三次男女共同参画計画の推進に向けて .............................................................. 21 資料 武蔵村山市男女共同参画計画市民懇談会のこと ......................................................... 23 1 基本理念について 第二次計画では、すべての市民が性別にかかわりなく、それぞれの人権・個性・能力・価 値観が尊重される男女共同参画社会の実現を目指し、基本理念は『誰もがイキイキと暮らせ る社会をつくります』と設定されました。 市民懇談会では、今後の男女共同参画社会実現に向けた取組を見据え、第三次計画の基本 理念について話し合いました。委員から複数の具体的な表現案が提案される中で、必ずしも 「男女」という考え方に限定せず、多様な生活を対象とした幅広い視点で物事を捉え、市民 にとって分かりやすく、目指す社会の姿を誰もがイメージできるということを念頭に置き、 以下の案に絞り込みました。 ❉ 誰もが自分らしくイキイキと暮らせる社会をつくりましょう 第二次計画で目指した『誰もがイキイキと暮らせる社会』の実現は道半ばである ため、引き続き全ての市民が性別にかかわりなく、それぞれの人権・個性・能力・ 価値観が尊重される男女共同参画社会の実現を目指します。 また、男女共同参画社会を男女がともに認め合い、誰もが意欲に応じて、あらゆ る分野で活躍できる社会であると認識して、その実現を目指します。特に、男女格 差をなくし、女性の活躍の場を増やす社会の実現を目指します。 仕事、家庭、地域生活など、多様な活動を自らの希望に沿った形で展開し、一人 ひとりの市民が多様な生き方をすることができて、夢や希望を実現できる社会であ ることを願うものです。 1 2 武蔵村山市の男女共同参画を取り巻く現状と課題、方向 性 について 市民懇談会では、第二次計画の体系を参考にして5つのテーマを設定しました。そのテー マごとに現状と課題を分析し、第三次計画に盛り込むべき方向性について話し合いました。 提言1 男女平等の意識づくり ✑ 現 状 と課 題 1 男女平等意識について 1-1 男女共同参画社会とは、「男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任も分かち合 い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会」で す。しかし、現実の社会では、今なお「男性は仕事、女性は家庭生活」といった固 定的性別役割分担意識が根強く残っています。 1-2 本市が平成 25 年度に実施した市民意識調査では、男女共同参画社会の内容を理 解している市民が一部に留まっているとともに、第二次計画策定前の平成 21 年度 と同様に、男性が女性よりも優遇されているという意識が強いということが分かり ました。男性は「男女が平等である」、女性は「男性の方が優遇されている」と認 識する傾向があり、男女間における意識の違いが浮き彫りとなっています。今なお、 私たちを取り巻く男女共同参画社会への意識は未成熟であり、男女共同参画社会の 実現のため、市の広報・啓発体制の充実、とりわけ男性に対する啓発を重点的に行 う必要があります。 2 男女平等の意識づくりについて 2-1 固定的性別役割分担意識を解消し、男女共同参画社会を実現させるためには、市 民一人ひとりが「男らしさ」「女らしさ」といったジェンダーに捉われない男女平 等意識を持つことが欠かせません。具体的には、家庭、学校、職場、地域社会など 全ての人々が男女平等について理解し、日頃の生活の中で常に心掛け、実践するこ とが必要です。そのためには、子どもの頃から男女共同参画に対する認識を育むこ とが大切です。本市では各小・中学校でキャリア教育などの男女平等教育が展開さ れていますが、このような取組の積極的な展開が求められます。 2 3 男女共同参画センターについて 3-1 これまで、本市では第二次計画に基づき、YOU・Iフォーラム(男女共同参画講 演会)の定期的な開催、緑が丘ふれあいセンター内の男女共同参画センター「ゆー あい」の設置・運営、男女共同参画社会情報誌「YOU・I」の発行など、様々な取 組を実施してきました。しかし、市民意識調査からは、大半の市民がこれらを知ら ないということが分かりました。 3-2 男女共同参画センター「ゆーあい」は、男女共同参画に関する情報提供、相談業 務、講座や講演会の開催を主な業務としています。さらに、地域で活動する団体に 対して活動場所を提供しており、市民や登録団体が積極的に利用しています。しか し、同センターの活用は未だ十分とは言えない状況にあり、今後更に同センターの 周知を図ることや、男女共同参画について同センターを拠点としての発信・施策が 求められます。 3-3 市や男女共同参画センター「ゆーあい」が行う男女共同参画に関する取組の効果 を市民全体に波及させるためには、市民と接する職員が男女共同参画を正しく理解 してその実践を心掛け、男女共同参画社会の実現に向けて市民をリードすることが 必要です。 ❖ 主 要 課 題 ❖ このテーマに関する課題を、次の5点に集約しました。 1 男女平等意識の啓発・醸成 2 家庭や地域における男女平等の意識づくり 3 学校などにおける男女平等の意識づくり 4 事業所における男女平等の意識づくり 5 男女共同参画センターの周知啓発と機能の充実 3 ✒ 第 三 次 計 画 に盛 り込 むべき方 向 性 1 男女平等意識の啓発・醸成 1-1 多くの市民が男女平等についての認識を持ち、固定的な性別役割分担の意識を解 消することを目指して、市民への啓発を行うべきです。広報誌やパンフレットの配 布、講座やイベントの開催など、積極的な取組を進めるべきです。また、特に男性 の意識改革に向けて啓発の強化を図るとともに、市民への啓発を主体的に行う市職 員の資質の向上を図るべきです。 1-2 メディアの多様化や新たなメディアの普及により、これまでに比べ膨大な量の情 報を受け取ることができ、性的表現や暴力表現が市民の目に触れやすくなっていま す。男女平等の視点から、広報など市の作成する出版物で用いる表現に十分配慮す るべきです。 1-3 多くの市民が情報を自分自身で取捨選択する能力(メディア・リテラシー)を身 に付けることができるよう、教育分野との連携により、学習機会を提供するべきで す。 2 家庭や地域における男女平等の意識づくり 2-1 家庭や地域の中で男女ともお互いを理解し、尊重し、協力し合う社会の形成を目 指すべきです。そのため、固定的な性別役割分担意識やジェンダーに捉われず、男 女平等の意識を持って日常生活を送ることの意義についての啓発を進めるべきです。 2-2 生涯学習の場において、男女平等に関する学習機会を提供し、学校における男女 平等教育と連動した取組を図るべきです。 3 学校などにおける男女平等の意識づくり 3-1 子どもの頃から男女平等意識を高めるため、学校教育等において男女平等教育を 行うべきです。実施に当たっては、男女平等に関する図書などの資料を充実させる とともに、教職員が子どもに与える影響は大きいことを踏まえ、教職員に対する男 女平等研修・学習の機会を充実させるべきです。 3-2 固定的な性別役割分担意識に捉われず、男女とも一人ひとりが社会の一員として の役割を果たすとともに、それぞれの個性、持ち味を最大限発揮しながら自立して 生きていくために必要な能力や態度を育てる教育(キャリア教育)を推進するべき です。 4 事業所における男女平等の意識づくり 4-1 働く場における男女平等の実現のため、事業所における男女平等意識の定着を促 すべきです。商工会などの各種団体との協働により、市内の事業所に対する支援を 行うべきです。 4-2 市役所においては、一層職員の研修を充実させ、市内事業所に率先して男女平等 4 意識の定着を図るべきです。この取組を通して、市が市民及び市内事業所の模範と なることを目指すべきです。 5 男女共同参画センターの周知啓発と機能の充実 5-1 男女共同参画センター「ゆーあい」の市民への認知度を高めるため、市の実施す る各種取組を通じた啓発や分かりやすい案内の表示などをはじめ、施設の一層のP Rを行うべきです。 5-2 今後は、地域における男女共同参画の拠点施設として、男女問わず幅広い年齢層 の市民が利用しやすくなるよう、施設のPRとともに、相談業務など市民に身近な 機能を充実させるべきです。 5 提言2 男女の人権の尊重 ✑ 現 状 と課 題 1 互いの性の尊重について 1-1 男女共同参画社会の実現のためには、男女が互いの身体的性差を十分に理解し合 い、人権を尊重する意識を持ち、相手に対する思いやりを持って生きていくことが 大前提となります。 1-2 内閣府の世論調査によると、自分自身の人権を侵害された経験があるという人が 2割弱であり、人権課題の解決に向けて力を入れていくべきこととして、「学校内外 の人権教育を充実する」が最も多くなっています。市民一人ひとりが人権を尊重する 意識を持ち続けるため、学校等における人権教育が重要な位置付けにあります。 1-3 性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)の人々の割合は人口の 5%程度、学 校を例にとると一つのクラスに 1 人いる計算になると言われています。内閣府の世 論調査によると、性的指向(異性愛、同性愛、両性愛)や性同一性障害者に関して 起きている人権問題として、「差別的な言動をされること」「職場、学校等で嫌が らせやいじめを受けること」などが挙げられています。これからは、市民一人ひと りが互いの多様性を認め合う社会を意識的に作っていくことが必要です。 2 男女の基本的人権としての健康支援について 2-1 日本国憲法第 25 条は生存権(全ての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営 む権利)を保障しており、市民が健康であるということは基本的人権が尊重されて いることでもあります。市は男女の性差を踏まえ、性別や年代に応じた取組を行う ことが必要です。特に、女性は妊娠・出産のみならず更年期など、ライフステージ けい を通して男性とは異なる問題が生じることや、乳がんや子宮頸がんといった女性特 有の問題があり、男性とは異なる配慮が求められます。がん検診に関する東京都の けい 調査では、乳がん、子宮頸がんともに東京都が設定した受診率の目標値を大きく下 回っています。子どもを産む・産まないに関わらず、また、年齢に関わらず、全て の女性の生涯を通じた健康のための総合的な取組が不可欠です。 2-2 市民意識調査によると、男性の 6 割弱、女性のほぼ 7 割が定期的に健康診断等を 受診しており、多くの市民が自らの健康状態を確認する機会を得ていることが分か ります。今後も市民一人ひとりが「自分の健康は自分で守る」という意識の下で、 主体的に健康づくりに取り組むことが必要です。 6 3 配偶者等からの暴力の防止と被害者の支援について 3-1 どんな理由があっても、暴力を振るうことは犯罪であり、許されることではあり ません。また、配偶者等からの暴力(DV)は、犯罪となる行為をも含む重大な人 権侵害であり、絶対に許すことのできない行為です。殴ったり、蹴ったりするとい う身体的暴力のみがDVというわけではなく、人格を否定するような暴言や脅迫と いう精神的暴力、性的行為を強要する性的暴力、生活費を渡さないという経済的暴 力など様々な形態があります。市民意識調査によると、「どんな理由があっても暴 力はふるうべきではない」と考えている市民が 7 割弱を占めているものの、「暴力 は個人的な問題ではなく、社会的に対応が必要な問題だ」と考えている市民は 2 割 台半ばに留まっています。DVに対する意識はあるものの、解決に向けて社会全体 として取り組むべきという理解がまだ得られていません。 3-2 市民意識調査によると、回答者の2割弱が身体的暴力、精神的暴力又は性的暴力 のいずれかを受けたことがあることが分かりました。その中には「何度もあった」 という人も含まれており、DVが決してメディアなどで見聞きするような話ではな く、市民の身近なところで起きている問題であること、女性のみならず男性も被害 を受けているということが分かります。 3-3 近年は、若年層における交際相手からの暴力である「デートDV」について注目 される機会が増えており、被害の深刻さと被害者保護の必要性はDVに劣りません。 市民意識調査では、DVの認知度が9割弱であるのに対し、デートDVはほぼ 5 割 と低い状態にあることから、若年層に対する未然防止のための取組と、市民全般に 対する周知のための取組が必要です。 3-4 DVは主に家庭内で行われるため、被害が誰にも発見されないままで暴力が長期 化・深刻化することが懸念されます。DVの未然防止のためには、「DVはどのよ うな理由があっても許されない行為である」ということを子どもの頃からの教育を 通して徹底させるとともに、被害を見聞きした場合の相談先(通報先)の周知が必 要です。また、被害者が外国人や障害のある人の場合は、必要な情報が適切に提供 されるよう配慮する必要があります。 3-5 DV防止法では、配偶者などからの暴力を受けている被害者を発見した人には、 警察もしくは配偶者暴力相談支援センターに通報する努力をするよう規定されてい ます。また、医師や医療関係者は、被害者の意思を尊重した上で通報できることが 定められています。被害者を発見する機会が多いと考えられる立場の人がDVにつ いてよく理解し、適切な対応を取ることが必要です。 3-6 DVの被害の解決のためには、市の相談窓口や警察や東京都の配偶者暴力相談支 援センターなどの専門機関に対応を委ねることが必要です。相談員がDVに対する 専門的知識を欠いている場合、被害者に対して不適切な対応を取り、被害者が更に 傷つくことになりかねません(二次的被害)。こうしたことを防ぐために、相談窓 口を設置する市には相談員の資質向上が絶えず求められます。 3-7 相談窓口での相談内容や、DV被害の通報者が誰であるかという情報が外部に漏 7 れた場合、被害者及び通報者の安全に重大な影響を及ぼすほか、DV被害の通報・ 相談体制への信頼が揺らぐことになりかねません。相談窓口の相談員や被害者に関 する情報を取り扱う市職員は、DVに対する高い意識を持つことと、情報の管理に ついて特に慎重な取扱いが求められます。 3-8 相談や通報により、DV被害が明らかになった場合、被害者の意思に基づいて一 時保護が行われます。一時保護が必要な被害者は、子どもを伴っていたり、外国人 であったり、障害があるなど、様々な困難を併せ持つ場合もあります。こうした場 合の安全確保のため、市のきめ細かい取組が求められます。 3-9 被害者が加害者の暴力から逃れた後、自立して生活を再建する際には、就業機会、 住宅、生活費の確保、子どもの就学など、様々な問題が立ちはだかります。加害者 からの暴力に伴う精神的な不調を抱えた中で、これらの問題を被害者のみで全て解 決することは、非常に困難です。新たな生活が軌道に乗るまでの間、市が被害者に 寄り添う形で支援することが必要です。 3-10 DV被害者の自立と生活再建を早期に実現させるためには、DVに対する市の姿 勢を明示するとともに、市を中心とした関係機関との連携体制の強化が不可欠です。 関係機関同士の定期的な情報交換や研修等により、常に機能する関係づくりを図る 必要があります。 4 セクシュアル・ハラスメントや性犯罪の防止と被害者の支援について 4-1 セクシュアル・ハラスメントはDVと同様に被害者の人権を著しく侵害するもの であり、社会的に許される行為ではありません。男女雇用機会均等法により、働く 場においてはセクシュアル・ハラスメントに対する防止措置が事業主に義務付けら れています。また、東京都男女平等参画基本条例では、「何人も、あらゆる場にお いて、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない」と規定されています。 4-2 近年、男女間の交際関係のもつれからストーカー行為が発生し、被害者が命の危 険にさらされることが社会問題となっています。性犯罪やストーカー行為に苦しむ 女性の支援のため、こうした犯罪の未然防止を図るとともに、被害者の保護や支援 を適切に行うことが必要です。 8 ❖ 主 要 課 題 ❖ このテーマに関する課題を、次の4点に集約しました。 1 互いの性の尊重 2 男女の基本的人権としての健康支援 3 配偶者等からの暴力の防止と被害者の支援 4 セクシュアル・ハラスメントや性犯罪の防止と被害者の支援 ✒ 第 三 次 計 画 に盛 り込 むべき方 向 性 1 互いの性の尊重 1-1 男女が互いの身体や性について十分理解・尊重し、自らの身体を管理し適切に判 断していくことができるようにするため、正しい知識や情報を提供し、意識啓発を 充実させるべきです。特に若年層や妊産婦に対して重点的に取り組み、誤った知識 が定着しないようにするべきです。 1-2 家庭や地域、学校、職場などあらゆる場において、誰もが可能性や個性を発揮で きるよう、発達段階に応じた人権教育や性教育の充実に努めるべきです。 1-3 性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる社会の実現 に向けて取り組むべきです。 1-4 性的少数者(セクシュアル・マイノリティ)に対する理解と配慮の促進を図るべ きです。 2 男女の基本的人権としての健康支援 2-1 生涯を通じた健康な生活を送るための情報や学習機会を提供し、男女が自らの健 康について考え、健康づくりに取り組むことができる環境を整備するべきです。思 春期、妊娠期・出産期、更年期、高齢期といった男女のライフステージに対応した 健康づくりを支援するべきです。 2-2 女性は妊娠・出産などのための身体的機能を備えており、男性とは特に異なる健 康上の問題に直面します。女性特有のがん検診の受診を促すなど、女性の健康面に 対する支援を充実させるべきです。 3 配偶者等からの暴力の防止と被害者の支援 (1)被害の未然防止・早期発見のための取組 3-1 様々な機会を捉え、市報やホームページ、パンフレットなどの多様な広報媒体 9 を活用して、市民に対する積極的な広報・啓発活動を行い、「配偶者等からの暴 力(DV)は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害である」「DVは、一部 の人だけの問題ではなく多くの市民に身近な問題である」という認識を定着させ るべきです。 3-2 市民に対し、DVの未然防止やDVの被害に遭った場合の対処方法や被害者を 発見した場合の通報先など、DVについての正しい知識の啓発に努めるべきです。 近年では「デートDV」が問題とされていることもあり、特に学校での暴力防止 教育をはじめとした取組や若年層に向けた取組を重視するべきです。 3-3 市民のみに留まらず、学校や医療・福祉機関などでDVを発見する可能性の高 い教員等の学校関係者、医師等の医療関係者、民生委員・児童委員をはじめとす る福祉関係者などに対しても、DV について理解を深める機会の提供に努めるべ きです。 3-4 男女共同参画センター「ゆーあい」をDVに関する啓発活動の拠点と位置づけ て、市民等に対する情報提供や学習機会を提供するべきです。 (2)相談業務の充実 3-5 被害者をはじめ、市民が安心して相談できる窓口や被害者支援などに関する情 報が入手できる窓口を広く周知するとともに、被害者やDVを発見した人からの 相談に迅速かつ的確に対応でき、専門のノウハウを有する相談員による相談支援 体制を充実させるべきです。 3-6 被害者がちゅうちょせずに相談できるような環境づくりや、被害者を孤立させ ないための支援をするべきです。具体的には、ピアカウンセリングや自助グルー プなどによる支援が考えられます。また、日本語を十分に理解することができな い外国人に対しては、外国語表記による相談カードを作成するなど、きめ細かい 配慮をするべきです。 3-7 相談窓口などにおいて、相談員を中心とする職務関係者からの二次被害(被害 者への不適切な対応によって、被害者が更に傷つくこと)が生じないようにする ため、ボランティアを含むあらゆる職務関係者の資質向上に努めるべきです。 (3)被害者の保護 3-8 被害者が加害者から逃れ、安全な環境が確保できるよう、被害者の一時保護体 制を充実させるべきです。 3-9 子どもを伴っていたり、高齢者であるなど、被害者が置かれている個別の状況 を把握した上で、被害者の意思に基づき、状況に応じた的確できめ細かな支援を 行うべきです。 3-10 被害者やその関係者の安全を確保するため、被害者の個人情報などの管理には 細心の注意を払い、情報の保護に努めるべきです。 10 (4)被害者の自立支援 3-11 被害者が暴力被害から完全に立ち直り、生活を再建することができるよう、住 宅や就業、当面の生活費の確保等の生活基盤の確立と、被害者本人やその子ども の心身回復のための支援に努めるべきです。市としての支援策を強化し、継続的 な支援を行うべきです。 3-12 個々の被害者のそれぞれの問題に対応した情報提供を充実させるなど、被害者 の異なる状況に応じてきめ細かな支援を行うべきです。 (5)関係機関との連携 3-13 DV被害の解決に向けて、市役所内の関係部署や警察、東京都女性相談センタ ー、児童相談所などの関係機関のほか、医療機関や民間支援団体などと連携し、 情報共有や支援の各段階で協力し合い、相談から自立まで切れ目のない支援体制 を確保するべきです。あわせて、それぞれの機関同士をつなぐコーディネーター を養成するべきです。 4 セクシュアル・ハラスメントや性犯罪の防止と被害者の支援 4-1 職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止に向けて、市内事業所の事業 主及び従業員に向けた積極的な啓発を行い、事業所として被害者を支援するため の相談体制を構築するなどの取組の強化を促すべきです。市役所においても、職 員に対する研修や指導を行うとともに、関係機関と連携し、セクシュアル・ハラ スメントの根絶に努めるべきです。 4-2 教育の場や地域活動の場など、職場以外で発生するセクシュアル・ハラスメン トに対しては、市の相談窓口などについて繰り返し周知するべきです。 4-3 相談窓口では、被害者がちゅうちょせず相談でき、必要な支援を受けることが できるようにするべきです。相談員による二次被害の発生防止を徹底するべきで す。 11 提言3 あらゆる分野における男女共同参画の推進 ✑ 現 状 と課 題 1 女性の参画について 1-1 男女共同参画社会の実現のためには、提言1で掲げた男女平等の意識形成ととも に、政治の場、行政の場、教育の場や労働の場など、あらゆる分野における男女共 同参画を推進するための具体的な取組を進める必要があります。男女いずれか一方 の意見のみに偏らず、社会に男女双方の意見が正しく反映されるためには、あらゆ る分野における政策や方針などの意思決定の過程への男女双方の参画が不可欠です。 1-2 平成 23 年3月に策定された武蔵村山市第五次行政改革大綱では、市の審議会等 委員の女性比率を平成 27 年度に 40%とすることを目標としていますが、第二次計 画の期間中の実績は、各年度とも 30%前後で推移しています。本市の女性比率は 全国の市区における平均値(平成 24 年度時点で 27.6%)をやや上回っているもの の、目標達成に向けて取組の強化が求められます。 1-3 我が国では、男女共同参画社会基本法の制定から 10 年以上が経過したにもかか わらず、政治、行政、教育の場など様々な分野における指導的地位が未だに男性に 偏っており、女性の参画が進んでいません。国は平成 15 年に「社会のあらゆる分 野において、2020 年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも 30% 程度になるよう期待する」という目標を定めています。この実現に向けて、取組の 強化や迅速化が求められます。 1-4 企業や事業所など、働く場における管理運営の立場や経営上重要な立場への女性 の参画も促進する必要があります。女性管理職が在職しているという事業所自体は 多いものの、役員など経営上重要な立場に女性がいるという事業所は少数に留まっ ています。また、女性管理職の人数は男性の人数を大きく下回っており問題です。 1-5 自営業や農業の場は、家族経営が基本とされており、労働の場と家庭生活の場が 密接な関係にありますが、その一方で労働と家庭生活の分離が難しい面も見受けら れます。このようなことから、従来、女性の業務上の役割が不明瞭であったり、経 営へ参画する機会がなかったり、女性が業務だけではなく家事や育児を担うことが 当然視されてきました。近年では若年層を中心に夫婦ともに農業経営に参画する動 きが見られるなど、これまでとは異なる新たな状況が浸透しつつあり、その動向が 注目されます。 12 2 地域社会や防災分野における男女共同参画について 2-1 近年、防災・防犯活動、見守り活動、ボランティア活動などを担う地域コミュニティ 活動の重要性が再認識されています。地域における様々な活動に参加を希望する人に対 し、性別を理由とした差別があってはなりません。また、地域で活動する団体の代表者 など指導的地位については、男女いずれかの性のみに固定されることは本来ではありま せん。市内の自治会の会長に占める女性の割合は 11.1%、市内の小・中学校の単位P TA会長に占める女性の割合は 30.8%(いずれも平成 24 年度)であり、ともに全国 平均値を上回っています。市としては、団体運営における男女共同参画を更に促進し、 性別を理由とした差別のない地域社会の形成を目指す必要があります。 2-2 平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災は、我が国に未曾有の被害をもたらし、 今なお被災地では復興に向けた活動が続いています。被災地の避難所では、女性に 対する配慮に欠けた運営がなされるなどの課題が浮き彫りとなりました。本市にお いても、大規模災害の発生時に備え、平常時から防災面における女性の参画につい て意識して取り組む必要があります。その際、避難所運営において男女でニーズが 違うこと、とりわけ女性特有のニーズへの配慮が必要なことに対する理解を得るた めの取組が求められます。本市の消防団員に占める女性の割合は 3.0%であり、全 国平均をやや上回っていますが、男性団員と比べ圧倒的に少ない状況であり、今後 の参画の拡大が望まれます。 3 国際理解・国際交流について 3-1 我が国の男女共同参画施策は、これまで国際的な動向と軌を一にして進められて きました。しかし、男女共同参画に関する国際的な指標を見ると、低位に留まって いるものが見られます。男女共同参画社会の実現に向けて、国際的な視点も踏まえ て行動するとともに、一人ひとりの市民が外国や外国人との間でお互いの文化や習 慣を理解し、尊重し合える関係を築いていく必要があります。特に、身近な地域で 私たちとともに暮らす外国人市民との交流を進め、国籍を問わず互いに認め合い、 助け合う関係づくりを支援する必要があります。 ❖ 主 要 課 題 ❖ このテーマに関する課題を、次の4点に集約しました。 1 政策・方針決定過程への女性の参画促進 2 地域社会における男女共同参画の推進 3 防災分野における男女共同参画の推進 4 国際理解・国際交流の推進 13 ✒ 第 三 次 計 画 に盛 り込 むべき方 向 性 1 政策・方針決定過程への女性の参画促進 1-1 市民に身近な存在である市役所における政策決定に際して、審議会等の委員会が 男女双方の意見を適切に反映させることができるように、各委員会の委員構成上の 男女比に配慮するべきです。男女比については、本市の実態を踏まえ、当面は計画 最終年度である平成 31 年度に女性委員の割合を 40%とすることを目指すべきで す。 1-2 企業活動における意思決定の場への女性の参画の促進を念頭に、市内事業所の実 態を把握するべきです。あわせて、商工会等の各種団体との協働により、市内に所 在する事業所に対して役員や管理職への女性の登用を促すべきです。 1-3 家族経営が基本である農業や自営業分野については、男女とも仕事の面で重要な 役割を担っているものの、女性についてはそれが正当に評価されにくい点や、家庭 での責任が女性のみに求められがちである点が問題とされています。これらの分野 における女性の果たす役割の重要性を踏まえ、経営への女性の参画を促すべきです。 1-4 次世代を担う子どもたちが男女共同参画について正しく認識するためには、教育 の場における男女共同参画が重要な位置を占めています。このことを踏まえ、教育 現場での男女共同参画を推進する立場である市立小・中学校の校長や副校長につい て、女性の登用を一層促すべきです。 2 地域社会における男女共同参画の推進 2-1 固定的性別役割分担意識を前提とした仕組みや仕来たりを見直し、身近な地域で 男女がお互いを理解し、尊重し、協力し合いながら自らの希望する活動に参画でき る地域づくりを進めるべきです。 2-2 男女ともに参画している地域活動のグループでも、代表者や方針決定を行う立場 の者が一方の性に偏りがちであることを踏まえ、各種団体の指導的地位における男 女共同参画を促進するべきです。 3 防災分野における男女共同参画の推進 3-1 近い将来の発生が想定される首都直下型地震をはじめとした大規模災害に備え、 防災訓練や自主防災組織など防災分野における男女共同参画、とりわけ女性の参画 を促すべきです。 3-2 平常時からの男女共同参画の推進が防災・復興支援の基盤となることを認識する とともに、市民及び防災関係者に対し、男女共同参画の視点からの災害対応につい て意識することの重要性を周知するべきです。 3-3 大規模災害発生に伴う避難所の運営に女性が参画する体制を構築し、女性の視点 を取り入れ、緑が丘ふれあいセンターを女性や避難行動要支援者向けの避難所とし て位置付けるなど、災害時に懸念される女性の人権侵害を防ぐべきです。 14 4 国際理解・国際交流の推進 4-1 市民一人ひとりが外国や外国人との間でお互いの文化や習慣を理解し、尊重し合 える関係づくりを支援するべきです。その際、外国の市民と本市の市民との包括的 な交流の推進という面で重要な意義を持つ国際姉妹都市提携について、実施に向け た検討をするべきです。 4-2 地域で働き、生活する外国人は、国籍は異なるものの、同じ地域社会の一員です。 このことを踏まえ、国籍を問わず自らが希望する活動への参画の機会を可能な限り 確保できるよう支援するべきです。特に、女性であることに由来して地域で不都合 な状況に置かれている外国人女性を支援するべきです。 15 提言4 就労におけるワーク・ライフ・バランスの推進 ✑ 現 状 と課 題 1 男女を取り巻く労働環境について 1-1 仕事は、暮らしを支え、生きがいや喜びをもたらすものであり、一人ひとりの市 民の生活の中で重要な位置にあります。男女共同参画社会の実現のためには、就労 の場において男女ともに能力を十分に発揮できる機会と処遇を確保されることが欠 かせません。 1-2 我が国の就業者に占める女性比率は 42.3%(平成 24 年)で、これは諸外国と比 較しても同等の水準です。しかし、女性の労働力率(15 歳以上人口に占める労働 力人口の割合)を年代別に見ると、30 歳代を底とする「M字カーブ」の状態にあ り、結婚や出産を機に仕事を辞める女性は少なくありません。また、市民意識調査 からは、職場において男女いずれかが優遇されているという意識が見られます。男 女雇用機会均等法では、職場における男女の均等な取扱いと処遇の確保を図ること を定めていますが、現実には男女格差が解消されていないことが分かります。 1-3 我が国の社会・経済情勢の急激な変化を受けて、男女ともに雇用者に占める正規 職員・従業員の割合が減少を続け、代わって非正規雇用者の割合が増加しています。 また、最近では身近な課題を解決する手段としてNPOを設立したり、起業という 形で社会に参画する女性も少なくありません。こうした女性のチャレンジ活動を支 援することは、女性本人のみならず、地域社会の活性化にもつながります。 2 ワーク・ライフ・バランスについて 2-1 一人ひとりの市民の暮らしを考える上では、仕事とともに、家事・育児、近隣と の付き合いなどの生活も欠かすことはできません。その充実があってこそ、人生の 生きがい、喜びは倍増します。こうした中で、ワーク・ライフ・バランス(仕事と 家庭生活、地域・個人の生活の調和)の実現が求められています。 2-2 市民意識調査によると、ワーク・ライフ・バランスの内容を理解しているのは市 民の 4 人に 1 人程度であり、この言葉自体を知らないという人が 3 人に 1 人を占 めています。また、「仕事」「家庭生活」「地域・個人の生活」の優先度合いにつ いて、希望と現実が一致している人と一致していない人がほぼ同数となっており、 特に会社員では「仕事と家庭生活をともに優先させたい」という希望が強いのに対 し、現実には「仕事を優先している」人が多いという状況です。このことから、市 民のワーク・ライフ・バランスの実現は未だ道半ばであると言えます。 2-3 改正育児・介護休業法が平成 22 年 9 月に制定され、育児と仕事との両立支援制 16 度を利用しながら就業を継続するという女性の割合が増加する一方で、依然として 妊娠や出産等を機に仕事を辞める女性は多いのが現実です。仕事を辞めた女性の離 職理由として、両立して働き続けるための制度が活用できないことや、労働時間が 長いこと、同じような状況で働く同僚が周囲にいないことなどが考えられ、制度の 整備に人々の意識が追い付いていないのが現状です。単に制度を整備するだけでは、 課題の解決にはならないことが浮き彫りとなっています。 2-4 介護と仕事の両立については、都内の大半の事業所で介護休業規定が整備されて いるものの、取得実績は少数にとどまっています。家族・親族の介護を理由として 離職する人は全国で年間4万人を超えており、近年は働き盛りの男性で介護と仕事 との両立に悩み、やむを得ず離職するという人も増加しています。一たび離職する と、安定した収入が途絶え経済的負担が大きくなることに加え、再就職が難しく、 将来の見通しを立てにくいことに不安を感じる人も多くなっています。また、生活 が仕事中心で地域とのかかわりが少なかった人で、介護に際して孤立し、不安や戸 惑いを感じる人もいます。 2-5 社会・経済情勢の変化に伴い、ひとり親家庭、高齢者や障害者とその介助者など、 生活上の困難を抱えている人が増加しています。生活上の困難を抱えている場合、 公的機関が単に情報提供や能力開発のための講習会等を開催するだけではワーク・ ライフ・バランスの実現に至らないことも考えられ、地域で包括的な支援が必要と されています。 3 男性にとっての男女共同参画について 3-1 ワーク・ライフ・バランスを考える上で、男性の長時間労働が問題となっていま す。子育て期に当たる 30~40 歳代の男性の 2 割程度が週に 60 時間以上就業して いるという状況にあるほか、子どもを持つ父親の多くは仕事が忙しすぎて子どもと 過ごす時間が少ないと感じています。育児休業は男女ともに取得可能な制度ですが、 実際に育児休業を取得したという男性は極めて少数にとどまっており、取得してい ても、その期間は大半が 1 か月未満にすぎません。 3-2 家庭の状況を見ると、夫婦の家事分担は女性(妻)に偏っています。市民意識調 査からは、大半の家庭で家事を主に女性が行っており、フルタイムの共働きという 家庭であっても、家事を行うのは主に女性であるという実態が分かります。また、 30~40 歳代の男性の多くが自分と配偶者(妻)が同じくらい育児に取り組んでい ると考えているのに対し、同年代の女性では主に自分が育児に取り組んでいると考 えており、男女で意識の違いが見られます。 3-3 男性の働き方を見直すことにより、長時間労働を解消し、女性とともに家庭での 役割を担えるようにしていくことが必要です。そのためには、男性自身が意識を高 めるとともに、職場や上司の理解・協力、育児・介護と仕事の両立支援制度の利用 がキャリア形成の上での障害とならないようにすることなどが求められます。加え て、子どものいる夫婦について、出産から子どもが 2 歳くらいまでの間に夫婦間の 17 愛情が急速に冷え込む「産後クライシス」と呼ばれる現象が社会的に注目されてい ます。夫婦や家族間でコミュニケーションを確保し、男女が協力して家庭生活を築 き上げていくことが欠かせません。 ❖ 主 要 課 題 ❖ このテーマに関する課題を、次の3点に集約しました。 1 男女とも多様な働き方のできる社会の形成 2 ワーク・ライフ・バランスの推進 3 男性の家事・育児・介護への参加の促進 ✒ 第 三 次 計 画 に盛 り込 むべき方 向 性 1 男女とも多様な働き方のできる社会の形成 1-1 事業者に対し、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法など、男女の働き方に関 する法制度を周知し、採用や昇進、休暇の取得など働く場における男女平等の取り 扱いの徹底を促すべきです。 1-2 パートタイム労働や派遣労働、テレワーク(情報通信技術を活用して、場所と時 間を自由に使った柔軟な働き方のこと)、ワークシェアリングなど、一人ひとりの 男女の希望に応じた多様な労働形態についての情報を市民に提供していくべきです。 また、これらの働き方がフルタイムで働く正規社員(職員)と比べて不安定な雇用 状態にあることを踏まえ、パートタイム労働法など関係する諸法令について市民及 び事業者に周知し、労使双方がルールを遵守する職場環境づくりを支援するべきで す。 1-3 男女を問わず働く人が結婚や出産、介護などを機に仕事を辞めざるを得ないとい う状況を改善するべきです。また、このような事情で一度仕事を辞めた女性の復職 や再就職を支援するため、事業者に対して女性の再就職に関する意識啓発を行うと ともに、復職・再就職を希望する女性に対し、能力向上(スキルアップ)のための 研修などを行うべきです。 1-4 女性起業家の事業規模が男性と比べて小規模であることや、女性起業家の起業時 点での就業年数が短く、資金やノウハウ等に不安を抱える例が見られることを踏ま え、男女共同参画センター「ゆーあい」がハローワークなどの関係機関と連携する とともに、支援の拠点として情報提供や相談などの支援の機会を設けるべきです。 18 2 ワーク・ライフ・バランスの推進 2-1 ワーク・ライフ・バランスの意義や必要性について事業者及び市民に啓発を行い、 市民一人ひとりが自らの生き方について考え、実践するための機会を提供するべき です。また、ワーク・ライフ・バランスの実現に当たっての阻害要因を分析し、そ の解消に向けた事業所や市民の取組を支援するべきです。具体的には、市の関係部 署が事業所を訪問して個別の状況に応じたアドバイスを行ったり、男女共同参画セ ンター「ゆーあい」が事業所を対象とした講座を開催するなど、個別のニーズを汲 み取るようにすることなどについて検討するべきです。また、実際にワーク・ライ フ・バランス実現のために効果的な取組を行った事業所を顕彰するべきです。働く 人全てがワーク・ライフ・バランスを実現できるように、市役所は市内の他の事業 所の模範(モデル)として、仕事と生活との両立支援策を推進するべきです。 2-2 育児、介護をしながら働く市民がそれらを両立させることを支援するため、相談 の機会や各種支援制度に関する情報提供を行うとともに、支援策の充実を図るべき です。 2-3 ワーク・ライフ・バランスの実践を希望する市民に対し、趣味や余暇を生かした 仲間づくりや地域活動など、充実した多彩な暮らしを実現することを支援するべき です。あわせて、夫婦のいずれか一方に仕事や家事・育児・介護等が偏ることのな いよう、市民への意識啓発を図るべきです。 2-4 ひとり親家庭や高齢者、障害者とその介助者など、生活上の困難を抱えている人 が働き続けることができ、安心して暮らせるように支援するべきです。支援に当た っては、一人ひとり異なる生活環境を踏まえ、その人に寄り添った形での配慮が必 要です。このような取組を通して、全ての市民のワーク・ライフ・バランスの実現 を目指すべきです。 3 男性の家事・育児・介護への参加の促進 3-1 恒常的に長時間労働の状態にあったり、生活が過度に仕事中心となっている男性 の事情を考慮した上で、働き方を見直すことを積極的に促すべきです。同時に、長 時間労働の改善は単に個人の問題に留まらず、事業所全体としての意識改革が不可 欠であることから、事業者に対して社会全体の動向を折に触れて周知し、事業者に よる自主的な改善を促すべきです。これまでにも市役所において実施してきた超過 勤務の縮減と業務の効率化を引き続き推進するべきです。 3-2 性別にかかわらず多様な生き方を選択することを可能とするため、家事・育児・ 介護を男女がともに担うことに対する男性の意識改革とともに、男性の具体的な参 画を促すべきです。男女共同参画センターなどにおいて、経験や技能に不安を抱え る男性を対象とした講座・講習会を開催し、男性の参画を促進するべきです。 3-3 男性の育児休業取得率が女性に比べて特に低いことを踏まえ、取得率向上のため の事業所における取組を支援するべきです。市役所においても、男性職員の育児休 業取得が一般的になるよう、数値目標等の導入の可能性も含めて取組を図るべきで 19 す。あわせて、今後介護と仕事との両立が切実な課題となることを踏まえ、介護休 業の取得促進に向けた取組について検討するべきです。 20 提言5 第三次男女共同参画計画の推進に向けて ✒ 第 三 次 計 画 に盛 り込 むべき方 向 性 1 国・東京都・関係機関との連携 1-1 男女共同参画社会を実現するためには、計画の基本理念を念頭に、計画で設定す る4つの基本目標を着実に実現させるべきです。事業所に対する雇用・労働条件に 関する男女格差解消に向けた働きかけや女性の就業に関する支援、DVをはじめと した暴力被害者の保護・支援など、市単独での解決が困難な課題に対しては、国・ 東京都・関係機関と連携して対応することが不可欠です。また、必要に応じて要望 や提言を行うほか、他の自治体の取組を参考にするべきです。 2 計画の進行管理と推進体制の充実 2-1 男女共同参画社会を実現するためには、行政だけでなく、市民や市民団体、事業 所等との協力体制を一層強化し、連携を強めるとともに、それぞれの立場から取組 を推進していくべきです。 2-2 市が率先して取組を実践するため、全庁的な推進体制を確立し、施策を総合的か つ効果的に実行するための体制を強化するべきです。施策の実施に当たっては、課 題解決に向けた優先度を踏まえて重点項目を定め、市役所を挙げてその推進を図る べきです。また、市民に応対する相談員や職員の専門性を高め、市民に対して的確 なサービスを提供するべきです。 2-3 第三次計画を広く市民に啓発するために、計画書の概要版を作成して公表するべ きです。作成の際には、イラストなどを効果的に用いて、読み手に必要な情報を分 かりやすく伝える工夫をするべきです。 2-4 計画の実効性を高めていくために、地域の実情や市民・事業所等の意識・実態調 査を通してニーズを絶えず把握するべきです。また、あらかじめ数値目標を設定し、 定期的に計画の進捗や事業評価等により進行管理を行うことにより、市の実情を分 かりやすく市民に示し、意見を求めるべきです。それらの結果から、必要であれば 計画期間中であっても計画の見直しを行うべきです。 2-5 武蔵村山市における男女共同参画の基本的方針や取組を市民的課題として共有化 することを目的に、市の男女共同参画条例を制定することが必要です。 2-6 地域においては、平成 18 年に開館した男女共同参画センター「ゆーあい」を男 女共同参画推進の拠点施設として、情報提供や相談の場として一層活用していくべ きです。あわせて、社会情勢の変化を踏まえ、同センターの担うべき役割について 絶えず検討し、市民のニーズに合った男女共同参画センターとするべきです。同セ ンターの運営に市民意見を反映させる仕組みづくりが望まれます。 21 《男女共同参画社会の実現に向けた取組のイメージ》 男 女 共 同 参 画 社 会 の実 現 市 民 協 働 *1 武蔵村山市*2 市民団体 事業所 要望 国 東京都 連携 関係機関*3 *1:研修、広報活動、能力開発(研修、実践)、男女参画社会の実現のための阻害 要因(例えば社会制度、慣行の見直しや啓発等)の解消について、市役所と市 民等が役割分担しながら一体となって推進すること。 *2:推進体制を確立するとともに、モデル(規範)として市民をリードします。 *3:ハローワーク、警察、法務局、DV 被害者支援団体など 22 資料 武蔵村山市男女共同参画計画市民懇談会のこと この提言書を作るまで、市民懇談会では以下のように検討を進めてきました。 ●武蔵村山市男女共同参画計画市民懇談会開催経過 開催日 第1回 ・今後の会議の進め方について 10 月 17 日(木) ・計画の体系について 午後6時 30 分~ ・計画の基本理念について 11 月 12 日(火) 午後6時 30 分~ 第3回 容 平成 25 年 平成 25 年 第2回 内 ・計画の基本理念について ・目標1(男女平等の意識づくり)について 平成 25 年 ・目標1(男女平等の意識づくり)について 12 月 12 日(木) ・目標2(あらゆる分野における男女共同参画の推進)について 午後6時 30 分~ ・計画の基本理念について 平成 26 年 第4回 1月 21 日(火) 午後6時 30 分~ ・目標2(あらゆる分野における男女共同参画の推進)について ・目標3(就労における男女共同参画とワーク・ライフ・バ ランスの推進)について ・計画の基本理念について ・目標3(就労における男女共同参画とワーク・ライフ・バ 平成 26 年 第5回 2月 18 日(火) ランスの推進)について ・目標4(男女の人権の尊重と暴力の根絶)について 午後6時 30 分~ ・ 「計画の推進に向けて」について ・計画の基本理念について 平成 26 年 第6回 3月 17 日(月) ・提言書の案の検討 午後7時~ 23 ●武蔵村山市男女共同参画計画市民懇談会委員名簿 氏 名 澤 田 田 中 勝 選 出区 分 泉 子 所 属団 体 識見を有する者 男女共同参画推進 市民委員会委員(公 藤 原 アヤ子 朝 倉 高 猪 股 募委員) 志 特定非営利活動法人ダイバーシティコミュ 昭 武蔵村山市自治会連合会(上水台自治会長) 自治会その他の市 栗 原 誠 内 で 活 動 す る 公 共 武蔵村山市商工会 的団体 水 上 玲 子 国際ソロプチミスト武蔵村山 森 林 育 代 特定非営利活動法人ダイバーシティコミュ 青 木 裕 子 公募 渡 辺 真紀子 (同一選出区分内五十音順、敬称略) 24 武蔵村山市男女共同参画計画市民懇談会設置要綱 平成25年7月5日 訓令(乙)第120号 (設置) 第1条 武蔵村山市(以下「市」という。)における男女共同参画社会の形成を促進するた めの基本的な計画となる武蔵村山市男女共同参画計画(以下「計画」という。)を策定す るため、武蔵村山市男女共同参画計画市民懇談会(以下「市民懇談会」という。)を置く。 (所掌事務) 第2条 市民懇談会は、市が行う男女共同参画社会の形成の促進に関し必要な事項について 調査検討し、その結果を市長に報告する。 (組織) 第3条 市民懇談会は、次に掲げるところにより市長が委嘱する委員10人をもって組織す る。 ⑴ 識見を有する者 1人 ⑵ 武蔵村山市男女共同参画推進市民委員会設置要綱(平成12年武蔵村山 市訓令(乙)第21号)第3条第2号の委員 2人 ⑶ 自治会その他の市内で活動する公共的団体の代表者がその構成員のうちから推薦す る者 5人 ⑷ 公募による市民(市内に住所を有し、又は市内に通勤し、若しくは通学する満20歳 以上の者をいう。) 2人 2 市長は、前項の規定により委員を委嘱しようとするときは、市民懇談会を構成する男性 及び女性の数がなるべく同数となるように配慮するものとする。 (座長及び副座長) 第4条 市民懇談会に、座長及び副座長1人を置く。 2 座長は前条第1号に掲げる者である委員をもって充て、副座長は委員のうちから座長が 指名する者をもって充てる。 3 座長は、市民懇談会を代表し、会務を総理する。 4 副座長は、座長を補佐し、座長に事故があるとき、又は座長が欠けたときは、その職務 を代理する。 (会議) 第5条 市民懇談会の会議は、座長が招集する。 2 3 市民懇談会は、委員の半数以上が出席しなければ会議を開くことができない。 市民懇談会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、座長の決する ところによる。 (任期) 第6条 委員の任期は、第2条の規定による報告の終了をもって満了する。 25 (庶務) 第7条 市民懇談会の庶務は、生活環境部協働推進課が行う。 (委任) 第8条 この要綱に定めるもののほか、市民懇談会の運営に関し必要な事項は、座長が市民 懇談会に諮って定める。 附 則 この要綱は、平成25年7月5日から施行する。 26 「武蔵村山市第三次男女共同参画計画」の策定に向けた提言 平成 26 年3月発行 発 行 武蔵村山市男女共同参画計画市民懇談会 (事務局:武蔵村山市生活環境部協働推進課) 〒208-8501 東京都武蔵村山市本町一丁目1番地の1 TEL(042)565-1111(代表)