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東京・春・音楽祭
東京・春・音楽祭 -東京のオペラの森 2013- バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテット ~ワーグナーを熟知した 4 人の名手たち 日時:2013 年 4 月 5 日(金)19:00 開演 会場:東京文化会館 小ホール ●テレマン:4 つのヴァイオリンのための協奏曲 ハ長調 TWV40:203 ヘンデルや J.S.バッハと同時代のドイツの作曲家ゲオルク・フィリップ・テレマンは、 通奏低音なしの「4 つのヴァイオリンのための協奏曲」という、まったく新しいジャンルを おそらく初めて開拓した作曲家だろう。同編成の作品では、ト長調、ニ長調、ハ長調の 3 つが残されている。4 楽章構成のハ長調は、テレマンらしい生き生きとした表情に加え、思 わぬ新鮮な響きを備えていることにも気づかされるに違いない。 ●J.S.バッハ(木村三穂子編):イタリア協奏曲 ヘ長調 BWV971 1734 年、ライプツィヒ時代に書かれ、バッハのチェンバロ楽曲のなかでも特に親しまれ ている作品である。原曲は協奏曲となっているが、急/緩/急の 3 楽章構成によるチェン バロ用の独奏曲である。ヴィヴァルディを中心とするイタリア・バロック音楽の協奏曲様 式を 2 段鍵盤のチェンバロによって置き換えようとする試みであり、一聴してとにかく明 るく華やかな印象がある。 ●キルヒナー:4 つのヴァイオリンのためのエレジー《エッコ・ヴェネツィアーノ》 マインツの由緒正しき音楽一家に生まれたフォルカー・ダーヴィッド・キルヒナーは、 ヴィオラ奏者としてのキャリアを持つ、ドイツ現代音楽の作曲家である。この作品は、2009 年にバイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテットのために作曲された委嘱作品で、69 歳で ヴェネツィアにて死去したワーグナーを悼む哀歌となっており、ワーグナーの楽劇《トリ スタンとイゾルデ》に因んだ曲想を展開している。 ●ホフマン:4 つのヴァイオリンのための四重奏曲 op.98 ドイツの作曲家リヒャルト・ホフマンは、音楽教師としてライプツィヒで活動し、ライ プツィヒ音楽院の教授も務めた経歴の持ち主で、数多くの教育的な作品を書いている。今 回演奏されるこの四重奏曲は、1896 年にライプツィヒで出版されたものである。4 楽章構 成(アレグロ/アンダンテ/スケルツォ/アレグロ・マ・ノン・トロッポ)となっており、 曲頭の第 1 ヴァイオリンの音階的な上下降が、教育家としてのホフマンを彷彿とさせて印 象的である。 ●宮城道雄(木村三穂子編):春の海 近代筝曲の父とも呼ばれる宮城道雄が 1929(昭和 4)年に書いた作品。宮城の代表作で あるとともに、日本の近代楽曲を代表する一曲でもある。8 歳で失明する以前に住んでいた 瀬戸内の印象を表現したもので、波の音、空を舞うカモメ、漂う小舟など全てが春の海の 構成音として穏やかに流れていく。しかし、この曲が有名になったのは、フランスのヴァ イオリニスト、ルネ・シュメの再発見によることは、あまり知られていない。 ●クプコヴィッチ:4 つのヴァイオリンのための《ローエングリュン変奏曲》 スロヴァキア生まれの作曲家ラディスラフ・クプコヴィッチは、前衛音楽からそのキャ リアをスタートさせたが、70 年代には調性音楽に回帰した。クプコヴィッチは、ハノーフ ァーの音楽大学の教授として奉職しながら作曲を続け、ギドン・クレーメルらにも楽曲提 供を行っている。この作品は、2008 年にバイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテットのた めに作曲された委嘱作品で、ワーグナーの歌劇《ローエングリン》の主題を用いた変奏曲 となっている。 ●番場俊之:4 つのヴァイオリンのための《あの空...》 番場俊之はドイツ在住の作曲家で、室内楽曲を中心に作曲編曲活動を行っており、その 作品は欧州や日本で演奏されている。このたび、バイロイト祝祭ヴァイオリン・クァルテ ットが委嘱し、本日“世界初演”される本作には、作曲者の次のような思いが込められている。 「今年は、私が日本を離れて 30 年目を迎えます。これを機に、幼い頃に見た空、生まれ育 った故郷の空を現在の目で見つめ直してみました。この曲は、平和へ向けた切なる祈りの 歌です」 。 ●ダンクラ:4 つのヴァイオリンのためのファンタジー《ヴェネツィアの謝肉祭》 19 世紀フランスの作曲家シャルル・ダンクラは、パリ・オペラ座管弦楽団のコンサート マスターも務めたほどの名ヴァイオリニストだった。作曲家としては、パガニーニやヴュ ータンから多大な影響を受け、またヴァイオリンの教則本や練習曲でも知られている。今 回演奏される曲は、誰でも一度は耳にしたことのある民謡《ヴェネツィアの謝肉祭》の旋 律を主題にした華麗な変奏曲で、イントロダクション、主題と 8 つの変奏、フィナーレか らなっている。 © Spring Festival in Tokyo Excective Committee.