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ISO/IEC Guide 99: 2007

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ISO/IEC Guide 99: 2007
計量計測標準分野でのトレーサビリティ
と測定不確かさ評価の最新動向
計測標準フォーラム第8回講演会
2011年2月17日
日本科学未来館
今井秀孝 NITE/AIST/JEMIC
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
1
講演概要
測定標準に関しては,従来の物理分野に加えて,
化学・臨床検査・食品科学・気候変動など新たな分
野での計量計測トレーサビリティ及び測定不確かさ
の概念の導入が進められている。
本報告では,計量計測の基礎となる科学と技術の
基盤構築に関わる国際動向とそれを客観的に支援
する国際文書の現状について展望する。
すなわち,SI(国際単位系),VIM(国際計量計測用
語集),GUM(測定における不確かさの表現のガイ
ド)の概要と共に,国際文書に関わる国際合同委員
会JCGM の活動の現状を紹介し,国際文書の役割
とその重要性について報告する。
GUM及びVIM改訂の将来計画についてもふれる。
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
2
キーワード
・SI (国際単位系),VIM(用語),GUM(測定不確かさ)
・測定標準,エタロン(etalon)
・計量参照(reference):
測定単位(標準),参照手順,標準物質
・校正(calibration)
・計量計測トレーサビリティ
(metrological traceability)
・測定不確かさ(measurement uncertainty)
・信頼の水準(level of confidence)
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
3
略語一覧表
・SI:International System of units(国際単位系)
・GUM:Guide to the expression of Uncertainty in Measurement, JCGM 100
ISO/IEC Guide 98-3:2008). 日本語への 翻訳版が「計測における不確かさの表現のガイド」として
日本規格協会より1996年に刊行されている。
・VIM:International Vocabulary in Metrology, JCGM 200(ISO/IEC Guide 99, 2007); /国際計量計測
用語(Corrected versionが2010年にISOから発行されている。英和の対訳版を日本規格協会が出版済)
・JCGM:Joint Committee for Guides in Metrology/計量に関するガイド国際合同委員会
JCGMを構成する組織は以下のとおり:BIPM~ILAC
・BIPM: Bureau International des Poids et Mesures(F),International Bureau of Weights and Measures(E),
国際度量衡局,<http://www.bipm.org>
・IEC:International Electrotechnical Commission,国際電気標準会議<http://www.iec.ch>
・IFCC: International Federation of Clinical Chemistry and Laboratory Medicine,国際臨床化学連合
<http://www.ifcc.org>
・ISO:International Organization for Standardization,国際標準化機構<http://www.iso.org>
・IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry,国際純正・応用化学連合<http://www.iupac.org>
・IUPAP:International Union of Pure and Applied Physics、国際純粋・応用物理学連合<http://www.iupap.org>
・OIML:International Organization of Legal Metrology,国際法定計量機関<http://www.oiml.org>
・ILAC:International Laboratory Accreditation Cooperation、国際試験所認定協力機構<http://www.ilac.org>
・CGPM:General Conference on Weights and Measures/国際度量衡総会
・CIPM:International Committee for Weights and Measures/国際度量衡委員会
・MRA:Mutual Recognition Arrangement/相互承認協定
・NMI:National Metrology Institute/国家計量標準研究所
・ CMC:Calibration and Measurement Capability/測定校正能力
・IMEKO:International Measurement Confederation/国際計測連合 <http://www.imeko.org>
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
4
目次
1.「はかる」ことの目的と意義
2.計量計測の基盤
3.標準・文書規格・勧告類の融合化
4.最新情報と方向性
5.今後の課題
6.まとめ
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
5
1.「はかる」ことの目的と意義
・はかることの意義:
⇒目的の明確化
⇒客観性,公平性,透明性が重要
・「はかる」ことは,「比べる」こと
⇒基準(標準)が必要 ⇒国際協調
・測定原理と法則:
・測定結果の活用 ⇒評価のルール作り
・measurementとmetrology
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
6
測定標準の必要性
*測定標準の性質: 普遍・不偏・不変
*標準を必要とする分野の拡大と要求の高度化
⇒(人) (社会) (科学) (産業) (人間生活)
最近の例: 診断結果の信用性:IFCC,ISO/TC212
食品の安全性:AOAC,IMEKO
気候変動の予測:IPCC,BIPM‐WMO
⇒国際性の確保,貿易摩擦障壁の低減
(人)及び(環境)の安全と安心の確保
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
7
測定不確かさ:measurement uncertaintyとは?
http://en.wikipedia.org/wiki/ から
測定の目的は、目指す量(測定対象量)についての情報
を提供することである。
完璧な「測定」は存在しない!
ある量の測定が実施されたとき、その出力情報は、測定システム、
測定手順、測定者の熟練度、測定環境、その他の効果に依存す
る。
同一の方法、同一の環境下で何度か測定されて、測定システムが
測定値の間の値を区別できるような分解能を有していたとしても、
通常はその都度、異なる測定値が得られるであろう。
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
8
表1
誤差評価(EA)と不確かさ評価
(UA)の比較
関連項目
誤差評価(EA)
不確かさ評価(UA)
① 真の値
存在を前提
考慮しない
① ばらつきの指標
標準偏差
標準不確かさ(標準偏差)
① ばらつきの推定
偶然誤差,系統誤差
統 計 的 方 法 ( タ イ プ A ),
統計以外の方法(タイプB)
①
二乗和の平方根
代数和
二乗和の平方根
① 信頼の水準
標準偏差の倍数
包含区間,包含係数(k),
包含確率(約95 %)
① 最終的な表現
決定的な方法なし
拡張不確かさ(総合評価)
ばらつきの合成
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
9
表2
CIPMーMRA におけるAppendix の内容一覧
Contents
Appendix
A
MRAに署名したNMI 現在:48/54加盟国,29 Associates,3国際機関
(1999年当時:38国,2国際機関)
B
C
日本の指名計量標準機関: NICT/CERI/JEMIC
B1:
Results of CIPM key comparisons.
CIPM基幹比較
B2:
Results of RMO key comparisons.
RMO基幹比較
B3:
Results of supplementary comparisons.
RMO補完比較
Quantities for which calibration and measurement certificates are recognized by
institutes participating in part two of the agreement. The quantities, ranges and
calibration and measurement capabilities expressed as an uncertainty (normally
at a 95% level of confidence) are listed for each participating institute.
CMCの内容(約95 %の信頼限界つき)
基幹比較の結果
D
List of key comparisons .
E
Terms of reference of the Joint Committee of the Regional Metrology Organizations
and the BIPM ( JCRB ) .
JCRB関連事項
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
10
ばらつきを総合的に評価する:要因分析が有効
( どこで )
( なにを )
試験所
時期
( いつ )
測定機器
測定者
( だれが )
方法 / 条件
( いかに)
図1 不確かさの要因図(4W1H)‐Fish bone diagram‐
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
11
2.計量計測の基盤
*計量計測標準の歴史
・標準の確立:メートル条約
・法定計量: 強制法規
・適合性評価: マネジメント能力と技術能力
・文書規格: ISO/IEC Directive
ISO/CASCO
ISO/REMCO
・地域の組織: APMP・APLAC・APLMF・PASC・PACなど
・JCGMの活動: VIM・GUM・Software
・BIPMを中心とする国際合同委員会:JCRB,JCTLM,JCDCMAS ⇒「はかる」手順と「評価」のルールを共有する!
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
12
計量計測の体系化: 概念整理
*計量計測の扱う分野
・科学計量(計測):scientific metrology 測定標準の開発と維持
・法定計量:legal metrology 計量器の法的な検証(透明性)
・産業計量(計測):industrial metrology 測定器の適正化
・生活関連の測定標準: 安全・安心の世界
*測定結果の信頼性評価の手法
・EA(誤差評価)からUA(不確かさ評価)への転換
Error Approach⇒Uncertainty Approach
・GUM(ISO/IEC Guide 98-3)における評価の手順
分布形既知から分布形未知へ対象の拡充
*客観性・透明性・公平性の確保が重要 !
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
13
図2
国際単位系(SI)の概要:NMIJのHP参照
長さ ~10-12
m
光度
rad
m2
lx
T
m-1
質量
~10-8
N・m
kg
W/sr
3
kg/m
m3/kg
mol/m3
Pa
m/s2
m/s
J/m3 cd/m
kat
Pa・s
J
J/kg
Sv Gy
W
~10-14
C
Bq Hz
A/m
V
~10-6
J/mol
℃
J/K
S

計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
mol
J/(mol・K)
F
A
物質量
H/m
H
J/(kg・K)
F/m
2
A/m2
W/m2
Wb
時間
lm
m3
N
s
cd
sr
~10-3
K
熱力学的温度
~10-6
電流 ~10-8
14
SI文書関連
表3
ISO/EC 80000s(JIS Z 8202)「量及び単位」
規格番号
名称/(英文)
旧対応規格
ISO 80000-1
一般原則/General
ISO 31-0, IEC 60027-1 and IEC 60027-3
ISO 80000-2
自然科学及び産業分野で使用さる数学記号/Mathematical signs and
symbols to be used in the natural sciences and technology
ISO 31-11, IEC 60027-1
ISO 80000-3
ISO 80000-4
ISO 80000-5
IEC 80000-6
ISO 80000-7
ISO 80000-8
空間及び時間/Space and time
力学/Mechanics
熱/Thermodynamics
電気及び磁気/Electromagnetism
光及び関連する電磁放射/Light
音/Acoustics
ISO 31-1 and ISO 31-2
ISO 31-3
ISO 31-4
ISO 31-5, IEC 60027-1
ISO 31-6
ISO 31-7
ISO 80000-9
物理化学及び分子物理学/Physical chemistry and molecular physics
ISO 31-8
ISO 80000-10
核反応及び電離性放射線/Atomic and nuclear physics
ISO 31-9 and ISO 31-10
ISO 80000-11
ISO 80000-12
特性数/Characteristic numbers
固体物理学/Solid state physics
ISO 31-12
ISO 31-13
IEC 80000-13
情報科学及び技術/Information science and technology
subclauses 3.8 and 3.9 of IEC 60027-2:2005 and
IEC 60027-3
IEC 80000-14
/Telebiometrics related to human physiology
IEC 60027-7
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
15
表4
国際文書に関する活動の概要
西暦年号
1960
1984
1993
1997
主な活動状況
国際単位系(SI)の構築
VIM1の発行
VIM2及びGUMの発行(1995:初版の訂正版)
BIPM,ISO,IEC,OIML
(4組織)
IUPAC,IUPAP, IFCC参入(7組織)
JCGM設置:ISO/TAG4→JCGMへの継承
JCGM親委員会①
JCGM親委員会②
1998
1999
2004
2005
2006
2007
2008
2010
備考
CIPM-MRA 署名開始:メートル条約のもと
VIM3原案編集・回付(WG2)
同上対応意見の収集
JCGM親委員会③
SI第8版の発行
GUM・Suppl.1原案編集・回付(WG1)
VIM3の発行(ISO/IEC Guide 99)
GUM/Suppl.1編集終了
GUM及びGUM/Supplement 1の発行:
(ISO/IEC Guide 98-3/Supplement 1)
Ad-hoc Group設置(Software metrology)
VIM3訂正版の発行(ISO)
BIPM
JCGM親委員会④
JCGM親委員会⑤
ILAC正式参入(8組織)
JCGM親委員会⑥
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
JCGM親委員会⑦
16
計測 1)
測定 2)
• 計測計測
計量 3)
(a) 「計測用語」の定義
JIS Z 8103: 2000 metrology 5)
• Mmd
measurement 4)
(b) 「VIM3」の定義
ISO/IEC Guide 99: 2007
図3 「計測用語」の定義と「VIM」の定義の範囲の違い
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
17
表5
計量計測関連用語(JIS):
日本語訳の比較
英語の用語
計測用語
(JIS Z 8103:2000)
統計-用語と記号-第2部:統計的
品質管理用語
(JIS Z 8101-2:1999)
VIM3での日本語訳
(併記を容認)
(1)
accuracy
精度
精確さ,総合精度
総合精度、精確さ
(1)
precision
精密さ
精度、精密度,精密さ
精密さ,精度
(1)
trueness
正確さ
真度,正確さ
真度、正確さ
(1)
repeatability
繰返し性
併行精度
繰返し性,併行精度
(1)
intermediate precision
―――
―――
中間精度
(1)
reproducibility
再現性
(室間)再現精度
再現性,再現精度
―――
併行条件
繰返し条件,併行精度条件
(8) intermediate
precision condition
―――
―――
中間精度条件
(9) reproducibility
condition
―――
再現条件
再現条件,再現精度条件
(7) repeatability
condition
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
18
3.標準・文書規格・勧告類の融合化
*MRAと文書規格
・ISO/IEC 17025関連
⇒マネジメントシステム能力の要求
⇒技術能力の要求
・CIPM‐MRA,OIML‐MAA,ILAC‐MRA
⇒計量計測トレーサビリティ
⇒測定不確かさ
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
19
表6
技術能力に関するISO等の要求事項の比較
ISO/IEC 17025:2005
(試験・校正機関)
ISO Guide 34:2009
ISO 15195:2003
(標準物質)
(臨床検査)
5.4 標準物質
5.5 参照手順
5.4
試験・校正方法の比較
妥当性確認
5.6
トレーサビリティ
5.12
計量計測トレーサビリ
ティ
5.9 試験・校正結果の
品質保証
5.13 均質性
5.14 安定性
5.10 測定結果の報告
5.16 測定不確かさ
5.6
計量計測トレーサビリティ
測定不確かさ
5.8 測定結果の報告
9
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
20
Metre Convention:メートル条約
Laboratory :適合性評価
Accreditation
ILAC
(IAF)
Legal Metrology :
法定計量
OIML
CGPM
CIPM/BIPM
CCs
NMI
JCGM
IUPAP/IUPAC
IFCC
Directors’
Meeting
地域計量組織
ISO/IEC
Academia
RMOs
学術組織
IMEKO
CPEM
CITAC
図4
Industrial Standards:
(工業)標準化
NMIs
計量標準研究所
計量計測を取り巻く国際組織の連携
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
21
表7 JCGMの組織と活動の概要
委員会・WG等
活動範囲の概要
備
考
JCGM親委員会 JCGM 全 体 の 総 括 , Charter の 作 2003年より毎年末に開催
成・見直し,Copyrightの検討など (8加盟組織の代表会議)
JCGM-WG1
GUM本体の改訂と関連文書の編集 GUM(GUM:1995)
を
ISO/IEC Guide 98-3:2008
と発行
として発行。ほかに2文書
を発行済,現在4文書を編
集中
JCGM-WG2
VIMの改訂と活用,VIMの活用と VIM(VIM3) を ISO/IEC
Guide 99:2007として発行
啓発活動
Ad-hoc Group
Measurement Software 関 連 文 書 2008年に設置
の編集
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
22
表8
測定条件に関する用語の内容の比較
○:同じ
×:異なる
Repeatability
(×):特段の指定なし
Reproducibility
繰返し性
Intermediate
precision
測定手順(procedure)
○
○
(×)
測定者(operator)
○
(×)
×
測定システム(system)
○
(×)
×
操作条件
(operating condition)
○
(×)
×
場所(location)
○
○
時期(duration)
短時間
長時間
測定条件
(measuring condition)
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
再現性
23
計量トレーサビリティ:Metrological Traceability
個々の校正が不確かさに寄与する、文書化された切れ目
のない校正の連鎖を通して、測定結果を計量参照*に関連
づけることができるという測定結果の性質
*reference
注記(抜粋)
1)計量参照: 測定単位の定義、測定手順、測定標準(含む標準物質)
2)計量トレーサビリティには、確立された校正階層が必要
3)計量参照の仕様には、関連する他の計量情報を含めること。
4)複数の入力量の場合、各入力量が計量レーサビリティをもつことがよい。
7)ILACは、計量トレーサビリティを確認するための要素として6項目を考慮
(別記)
8)計量トレーサビリティ以外のトレーサビリティの意味と区別する。
・(試料、文書、機器、物質)のトレーサビリティ ⇒ 履歴管理(時系列)
・計量トレーサビリティ ⇒ 階層構造(Vertical)
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
24
測定不確かさ:Measurement Uncertainty
用いる情報に基づいて、測定対象量に帰属する量の
値のばらつきを特性づける負でないパラメータ
注記(抜粋)
1)定義の不確かさと共に、系統的効果から発生する成分を含む。
2)パラメータは、例えば、標準測定不確かさと呼ばれる標準偏差(又はその
指定倍量)、又は区間の幅の半分であり、表記された包含確率をもつ。
3)測定の不確かさは、一般に多くの成分からなる。
・タイプA評価: 統計分布から評価
・タイプB評価: 経験又は他の情報に基づく確率密度関数で評価
(これも標準偏差によって特性づけることができる)
4)一般に、任意の一組の集合の情報に関して、測定不確かさは、測定対
象量に帰属する表記された量の値に付随すると理解される。
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
25
4.最新情報と方向性
<従来の中心分野>
*物理・電気: CIPM‐MRA, ISO/CASCO
ISO/IEC 17025, ISO Guide34, ISO 15198,15195 *化学測定・ 生物 (CCQM)
<最近の動向>
*臨床検査: JCTLM, ISO/TC212
*食品科学: AOAC *気候変動予測 (IPCC report)
Workshop by WMO & BIPM: March, 2010
*法科学(Forensic Science)
化学分析,遺伝子,指紋
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
26
表9
JCGM関連文書の現状:GUM・VIM
Title of documents
Guide to the expression of uncertainty in
measurement, GUM 1995, with minor modifications
Supplement 1 to the “Guide to the expression of
uncertainty in measurement”
— Propagation of distributions using a Monte Carlo
method
Supplement 2 to the “Guide to the expression of
uncertainty in measurement”
— Extension to any number of output quantities
Supplement 3 to the “Guide to the expression
of uncertainty in measurement”— Modelling
An introduction to the “Guide to the expression of
uncertainty in measurement” and related documents
JCGM
Number
No. of ISO/IEC
Guide
Note
JCGM 100
98-3
JCGM 101
98-3/
Supplement 1
Published
(2008)
Published
(2008)
JCGM 102
98-3/
Supplement 2
Voting for final draft
(to be published in 2011)
JCGM 103
98-3/
Supplement 3
98-1
Preparing the Draft
Concepts, principles and methods for the assessment JCGM 105
of measurement uncertainty
The role of measurement uncertainty in conformity JCGM 106
assessment
98-2
Preparing the draft
98-4
Collecting
comments for the draft
Applications of the least-squares method
JCGM 107
98-5
In preparation
International Vocabulary of Metrology (VIM)
- Basic and General Concepts and Associated Terms
JCGM 200
99
Published(2007)
Corrected version (2010)
JCGM 104
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
Published
(2009)
27
測定不確かさ関連用語
(measurement uncertainty)
いずれも、VIM3において新たに採用された用語
・定義の不確かさ(definitional uncertainty)
・タイプAの測定不確かさ評価(Type A evaluation of measurement uncertainty)
・タイプBの測定不確かさ評価(Type B evaluation of measurement uncertainty)
・標準測定不確かさ(standard measurement uncertainty)
・合成標準測定不確かさ(combined standard measurement uncertainty)
・拡張測定不確かさ(expanded measurement uncertainty)
・相対標準測定不確かさ(relative standard measurement uncertainty)
・不確かさバジェット(uncertainty budget)
・目標測定不確かさ(target measurement uncertainty)
・機器の測定不確かさ(instrumental measurement uncertainty)
・ヌル測定不確かさ(null measurement uncertainty)
・包含区間(coverage interval)
・包含確率(coverage probability)
・包含係数(coverage factor)
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
28
GUM・MCM・ベイズの比較
R. Kackerほか, Metrologia 43 (2006) より引用
(1)GUM本体:GUF
・測定方程式が線形の場合、GUM本体の方法で決まるy及びu(y)は測定対象量
の期待値Yに対して頑健
・GUM本体の方法で求めた推定値yとその標準不確かさu(y)は、小さな不確かさ
をもつ非線形入力に対しては合理的
・馴染みのある単純な計算が求められる。
(2)GUM/S1:MCM(モンテカルロ法)
・記述された包含確率の包含区間として表現することが可能
・どのような包含確率に対しても不確かさ区間を示すことが可能
・GUM本体に基づく様々な確率分布の入力に対して不確かさ区間の評価が可能
(3)ベイズ統計(Bayesian)
・Type A評価の定義に完全に一致
・ベイズ統計によるType Aの評価は完全で,標準不確かさは自由度を伴わない。
(有効自由度の計算が不要であり,不確かさの表現を単純化する。)
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
29
① モ デリング
( 数学モデル)
測定対象量
(measurand)
計量参照
測定単位
測定手順
標準物質
②データの収集
③要因ご との
標準不確かさ
⑤拡張不確かさ
の算出
測定値
測定結果
(measurement)
(measured
value)
(measurement
result)
校正(calibration)
試験(testing)
検査(inspection)
④合成標準
不確かさの算出
⑥最終表示
測定
最 確 値
± 拡 張 不確かさ
図5 測定不確かさ評価の流れ:測定結果の最終表示
データは、ばらつくもの! 測定結果をいかに表現するか?
6
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
30
不確かさピラミッド
上位標準
最終製品
中間検査
加工
下位標準
原産地
現場
階 層 構 造
(a) 計量計測トレーサビリティ
図6
時間的経過
(b) 履歴管理
計量計測トレーサビリティと履歴管理の区別
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
31
CMC表示の例:長さ[NMIJ]
表10-1
1)Lをmm単位で表し、式全体の単位はnmで表現する。
量の種類
装置(測定器)
範囲
拡張不確かさ
長
さ
0.5 mm~250 mm
ゲージブロック
17.2+0.228L1)(k=2、95 %信頼水準)
長
さ
150 mm~1000 mm
ゲージブロック
20.0+0.164L1)(k=2、95 %信頼水準)
長
さ
50 mm~500 mm
線度器(標準尺)
200 nm
(k=2、95 %信頼水準)
長
さ
500 mm~1000 mm
線度器(標準尺)
300 nm
(k=2、95 %信頼水準)
CMC表示の例:直流電圧・電気抵抗[BIPM]
表10-2
注:BIPMのCalibration and Measurement service から引用・作成
量の種類
直流電圧
範囲
1.018 V
装置(測定器)
拡張不確かさ
ゼナー電圧標準発生器
28 nV/V(k=2、95 %信頼水準)
直流電圧
10 V
ゼナー電圧標準発生器
28 nV/V(k=2、95 %信頼水準)
電気抵抗
1Ω
標準抵抗(23 ℃)
34 nΩ/Ω(k=2、95 %信頼水準)
電気抵抗
100 Ω
標準抵抗(23 ℃)
36 nΩ/Ω(k=2、95 %信頼水準)
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
32
図7
Coriolis 流量計の国際比較の例: CCM及びAPMPで実施 BIPM提供
計量計測トレーサビリティと測定不確かさ評価の最新動向
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5.今後の課題
*SI:基本量の定義の変更?
(2011年第24回CGPMの議題案)
*VIM: Nominal property(名義的性質)対応
普及・啓発活動
*GUM:本体の改訂:骨子案の審議開始
・分布系既知と未知
・Bottom up 方式(従来のGUMの手法)
・Top down 方式(実験計画法の概念)
・混合(Hybrid)方式?
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最近のトピックス:国内対応
(1)ISO/IEC 80000シリーズの発行とJIS化
・SI Broacher 2006 との整合性
・将来のSI基本単位の定義の改正対応
(2011年の第24回CGPMの議題案)
(2)VIM及びGUMの普及策
・VIM3:英和対訳版の発行(2010:JSA)
・VIM(ISO/IEC Guide99:2007)のJIS/TS化
・GUM(ISO/IEC Guide98-3:2008)のJIS/TS化
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最近のトピックス:国際対応(1)
(1)ISO/ IEC Directive Part2に引用: Normative
VIM・GUMの位置付け(ISO/ IEC 17025も)
(2)次世代のVIMとGUM開発:10年仕事?
・VIM:nominal property対応(VIN)など
・GUM:1995年版の改訂:動特性対応など
(3)BIPM局長文書:学界・産業界への啓発
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最近のトピックス:国際対応(2)
(1)VIMの改訂(VIM4の編集)
*CIPM-MRA対応用語等の追加を検討
・Key comparison,CMC,適合性評価関連
*nominal property,examination,など
*動特性関連用語の扱い
(2) GUM:1995年版の改訂(骨子案)
*基本的には従来のGUMを尊重し,新規内容を追加
*ボトムアップ方式(GUM)とトップダウン方式(ISO規格等)
繰返し性・再現性・枝分かれ実験など・・:実験計画法
*時系列データの扱いをどうするか?:Allan variance
n,n+1(時間間隔τ)の間の分散を考慮
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まとめ(1):計量計測分野の文書規格
メートル条約(BIPM)/工業標準化(ISO・IEC)
試験所認定(ILAC)/法定計量(OIML)
①SI文書(第8版:2006)/ISO 80000 Series(2010)
⇒ http://www.bipm.org/en/si/ ② 測定不確かさ(GUM) ③ VIM(計量計測用語)
⇒ http://www.bipm.org/en/publications/guides/ *適合性評価
④ISO/IEC 17025, ISO 9000, ISO/IEC 17043
⑤ISO Guide 30~35 (CRM):ISO REMCO(標準物質委員会)
⑥ISO 15189, ISO 15195: 臨床検査(ISO TC212)
*ISO/TC69(統計的方法の適用) ISO 21748,ISO/TS 21749
ISO/TS 19036:微生物試験対応
*相互承認協定: CIPM‐MRA/OIML‐ MAA/ILAC‐MRA
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まとめ(2):測定結果の表示
①測定(試験)のモデルの確認:
②測定対象の状況、 ③測定の手順、
④測定の実施、 ⑤結果の評価、 ⑥最終表現
*不確かさ要因の抽出
→フィッシュボーン図の利用
*不確かさ要因の分析
→評価マトリックスの作成:
モデル化から最終表現まで(Flowchart)
*バジェット表による整理と確認
→要因別の定量評価
→総合評価:包含区間で表現
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