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青年海外協力隊北海道 OB 会会長賞 本当の「幸せ」 札幌市立

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青年海外協力隊北海道 OB 会会長賞 本当の「幸せ」 札幌市立
青年海外協力隊北海道 OB 会会長賞
本当の「幸せ」
札幌市立厚別北中学校 1 年
木村 俊太郎
僕がアフリカの子供たちを目にしたのは、小学校低学年の頃だった。ビデオを見た際に
一瞬、映像が映った。僕は、その姿があまりにも衝撃的で、手を止めてしまった。僕より
も小さく、痩せ細った子供たちが、ゴミに群がっていたのだ。今になって分かったことだ
が、彼らはゴミの中にあるわずかな金属類を探していた。しかも、裸足でだ。裸足で歩い
たことすらない僕にとって、それはありえないことであった。
これを機に、アフリカをはじめとする貧しい子供たちのことをもっと知りたいと思うよ
うになった。多くの情報を集め、僕の知識は高まっていった。国の貧しさを示す GDP は、
アフリカのほとんどの国が最低レベルであること。五歳未満で亡くなる子供の数が、五百
万人にも上ること。学校に行けない子供の数が、六千七百万人もいること。それらひとつ
ひとつを知っていくたびに、僕は少し悲しく思った。行きたくなくても行かなければなら
ない学校。食べたい時にいつでも食べられること。発展した医療技術。僕にとって普通で
あることが、彼らの生きている世界では得られないものであった。同じ地球内のことなの
に、別世界のように感じてしまった。
もし、自分が同じ環境に置かれたら、考えるだけでもぞっとした。何よりも、かぜを引
いいただけで死の危険があるというのが、想像すらつかなかった。僕は正直、彼らのこと
を「気の毒」
「かわいそう」と思ってしまった。
しばらくして、アフリカの伝統についての番組があった。そこにあったのは、活々と楽
しそうに踊る姿だった。僕はこの時気付いた。彼らは決して「気の毒」でも「かわいそう」
でも無いのだ。そう見えていたのは、人が作り出したお金や経済にとらわれて、それより
もっと重要なことに気付けていなかったからだ。それは、「気持ち」ではないだろうか。発
展した日本でも、自分のことを不幸と思ったり、中には死にたいと思っている人もいる。
けれども、彼らは「自分が不幸だ」などと、思っていないのではないだろうか。中には、
そう思っている人もいるだろうが、彼らにはすばらしい文化があって、僕らにも良き文化
がある。お金や貧しさだけでは決められない「幸せ」というのもあるのだと、僕は彼らに
教えてもらった。
僕には夢ができた。彼らを支援したいと、強く思うようになった。貧しい地域に行き、
彼らを支えたい。どんな形でもいい。彼らの役に少しでも立てるようにしたいのだ。心か
ら接し合い、互いの文化を尊重しあえるようになることが僕の理想だ。
僕には夢がある。-支援を必要としている人を助けたい。そして、僕の「幸せ」を配っ
ていきたい。
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