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クック諸島マンガイア島 亡フィロロンガ道跡出土木炭の

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クック諸島マンガイア島 亡フィロロンガ道跡出土木炭の
ク ック諸 島マ ンガイ ア 島
T
,
1
.
7イ ロ ロ ンガ 遺跡 出土木 炭 の放 射 性 炭 素年 代
小 田寛 貴 1) , 中村 俊 夫
1)
, 片 山一 道 2)
1)
名 古屋 大 学年 代 測 定 資 料 研 究 セ ン ター
4648602 名 古屋 市 千 種 区不 老 町
Tel
:
0527892578, Fax:
0527893095
2)
京 都 大 学 霊 長類 研 究所
4848506 愛 知 県 犬 山市 官 林
Tel
:
0568630520,Fax:
0568615775
<は じめ に >
- ワイ 諸 島, ニ ュー ジー ラ ン ド, イ ー ス ター 島 を三 つ の頂 点 とす る三角 圏 をポ リネ
シ ア とよぶ . この 地 域 に広 が っ たモ ン ゴ ロイ ドが ポ リネ シア人 で あ る. そ の起源 につ
い て は ,3000年 以 上 前 に トンガ ・サ モ ア諸 島 な どの西 ポ リネ シ ア に定 着 した ラ ピタ人
が ,後 に東 進 しポ リネ シア全 域 に拡 が った もの と考 え られ て い る. ポ リネ シア人 の拡
散 過 程 に 関 して は, 「
オ ー ソ ドッ クス 。シナ リオ 」 と よばれ る一 つ の仮 説 が提 示 され
て い る. これ に よれ ば, トンガ 。サ モ ア諸 島 にい た ポ リネ シア人 が,AD300年 頃マ ル
ケ サ ス諸 島-移 り, 以 後 , このマ ル ケ サ ス諸 島 を植 民 の 中心 地 と して , イ ー ス ター 島
(
AD400年 頃 ) ,- ワイ 諸 島 (
AI
)500年 頃 ) , ソサ イ テ ィー 諸 島 (
AD600年 頃) ,
AD800年 頃) - と次 々 に拡 が った とされ る.
ニ ユー ジーラ ン ド (
しか しな が ら, この 「
オ ー ソ ドックス ・シナ リオ」 に は, 不 自然 な点 を指 摘 す る こ
とが ゼ き る. それ は , トンガ ・サ モ ア諸 島 か ら, ソサ イ テ ィー 。ク ック諸 島 とい った
地 域 を飛 び越 えて ,は るか東 の マル ケ サ ス諸 島- 先 に植 民 が な され た とす る点 で あ る.
「
オ ー ソ ドックス ・シナ リオ 」 は, ポ リネ シア の 島 々 に あ る遺 跡 か ら発 掘 され た遺 物
の 14C 年 代 , 特 に最 も古 い 14C 年 代 , 等 に基 づ い て構 築 され た もの で あ る. しか し,
ク ック諸 島 の よ うに発 掘 調 査 例 の少 ない地域 で は, 各 島嘆 の最 古 の 14C 年 代 を, そ の
ま ま , そ の 島- の植 民 の 時期 と考 え る こ とは で きな い .す な わ ち, この地域 の古 い 遺
跡 ・遺 物 が発 見 され て い ない た め, 見 か け上 , 中間地 域 を飛 び越 え トンガ ・サ モ ア か
ら直 接 マ ル ケサ ス諸 島-植 民 した か の よ うに と らえ られ て い る可能 性 が あ る.
ク ック ・ソサ イ テ ィー 諸 島 の例 外 を除 い て,ポ リネ シア の遺 跡 ・遺 物 の 14C 年 代 は,
西 ポ リネ シ ア か ら東 ポ リネ シア, そ して辺 境 ポ リネ シ ア に 向 か うにつ れ て次 第 に新 し
くな る とい う傾 向 が あ る. した が って , モ ン ゴ ロイ ドの ポ リネ シ ア- の拡 散 に 関す る
--1
し
1
3-
研 究 に とって,現 段 階 で は, ク ック ・ソサイ テ ィー諸 島で の遺跡 発 掘 ,お よび , そ の
出土遺 物 の 14C 年 代 測 定 が必 要不 可 欠 な作業 で あ る とい え よ う.
さて,14C 年 代 測 定法 に は,分析機 器 の異 な る二つ の方 法 が あ る.14C 年 代測 定法 が
開発 され た の は 1940 年 代 末 の こ とで あ るが, この とき以 来行 われ て い る方 法 は,放
射 線 計数 法 とよばれ て い る. これ は, 14C が放 出す る β線 を, 比例 計 数 管 ない しは液
体 シ ンチ レー シ ョンカ ウンター に よって計数 す る こ とに よって ,試 料 の
14C
年 代 を測
AMS:
定 す る方 法 で あ る . これ に 対 し, 1980 年 代 に入 っ て ,加 速 器 質 量 分 析 法 (
Ac
c
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y) とよばれ る新 た な 14C 年 代 測 定法 が 実現 した .この
AMSに よ る 14C 年 代 測 定 で は,数 ミ リグ ラム の炭 素試 料 につ い て測 定 が可能 で あ る.
これ は,放 射 線 計数 法 にお い て必 要 とな る量 の約 1
/
1000に相 当す る.このた め,AMS
の 実現 に よって, 元 よ り量 の少 ない 資料 (
例 えば,植 物 の種 子 , 土器 に付 着 した炭 化
物 ) ,破 壊 分 析 に供 す る量 に限 りの あ る資料 (
人骨 ,古文書 ) ,炭 素含 有率 の低 い資
料 (
鉄 器 ) な どの 14C 年 代 測 定 が実質 的 に可能 とな った.本 報 でそ の 14C 年代 を報 告
す る木 炭 の 多 くは, 1グ ラム以 下 の資料 で あ り,化 学処理 に よる損 失 な どを考慮 す る
と通 常 の放 射 線 計数 法 に よる測 定 は困難 で あ り,AMSに よって
な った もの で あ る.
14C
年 代 測 定 が可能 と
1994年 に ク ック諸 島マ ンガイ ア 島 ワイ ロロンガ遺跡 にお いて発 掘 さ
本 報 は, 1993れ た木 炭試 料 22点 につ い て得 られ た
14C
年 代 を報ず る もの で あ る. ま た, 1992年 に
マ ンガイ ア 島 ンガ アイ ツ タキ遺跡 にお い て発 掘 され た木炭試 料 2点 につ い て得 られ た
14C
年 代 も併 せ て記 載 した .
マ ンガイ ア 島 は,南緯 21
0 55',西 経 1570 55'に位 置す る ク ック諸 島最 南 の 島で
あ り,約 52km2の隆 起珊瑚 礁 島で あ る.ワイ ロ ロンガ遺跡 は,マ ンガイ ア 島の西 の海
Ⅴ.
R.
A) と墓 祉
岸 沿 い に位 置 す る遺 跡 で あ り, 出 土す る遺 物 の性 格 か ら, 生 活 祉 (
(
Ⅴ.
R.
C) とに分 け る こ とが で き る. ワイ ロロンガ南部 の生活祉 は, 8層 の堆積 物 か
らな ってお り,木 炭 ・石器 ・釣針 ・貝 ・魚 骨 な どの遺物 がみ られ る.一 方 ,北部 の墓
以 下 ,ア トム人骨 ),
祉 か らは人骨 ・木 炭 な どが 出土 してい る.1993年 の発掘 で は 1体 (
1994年 の発 掘 で は 11体 (
No.1-ll) の人骨 が 出土 してい る.
測 定 に供 した ワイ ロ ロンガ の木 炭試 料 22点 の うち, 11点 は,生活祉 遺跡 の各層 か
ら出 土 した木 炭 で あ る. そ の 内訳 は,第 2層 か ら採 取 した木 炭 2点 ,第 3層 の もの 1
点 , 第 5層 の もの 1点 ,第 6層 の もの 2点 ,第 7層 の もの 4点 ,最深 の第 8層 か ら採
取 され た もの 1点 とな る.一方 ,墓祉 遺跡 か らの木炭 も,11点 を年代 測 定 に供 した .
これ ら木 炭 は, 出 土人骨 の周 りか ら採 取 した もの で あ る.
-
10
4
-
<実験 >
本 研 究 にお い て は,計 24個 の木 炭試 料 につ い て 1
4
C年 代 測 定 を行 った .発 掘 され た
木 炭 試 料 は ,炭 酸 塩 ,フ ミン酸 な どの不 純 物 に よる汚 染 を土壌 か ら受 けてお り,ま た ,
発 掘 作 業 の 際 に手垢 や 大気 中の塵 な どが付 着 して い る可 能性 が あ る. 1
4
C 年 代 の誤 差
には い くつ か の原 因 が あ るが (
小 田 1998),そ の一 つ が試 料 中 の 不 純 物 に起 因す る系
統誤 差 で あ る.木 炭試 料 の場 合 , 炭 酸 塩 とフ ミン酸 が試 料 中不 純 物 の代 表 で あ る とい
え る. そ の た め, これ ら不 純 物 を除 去 す るた め, 以 下 の よ うな化 学 処 理 を試 料 に施 し
た.
各 木 炭 試 料 を数 百 mg分 取 し,蒸 留 水 中 にお い て超 音 波 洗 浄 を行 うこ とで ,表 面 に
付 着 して い る塵 な どの不 純 物 を除 い た . この後 ,試 料 を, 60-70℃ の 1.
2N HClに よ
2N NaOH で の処 理 に よって フ
って処 理 す る こ とで炭 酸塩 な どを除 き,60-70℃ の 1.
ミン酸 な どを除 去 した . この試 料 を再 度 1.
2N HCl(
60-70℃ ) に よって処 理 した後 ,
蒸 留 水 に よって洗 浄 し,真 空 デ シケー ター 中で 乾燥 させ た .
化 学 処 理 後 の試 料 約 4mgを ,600-700mgの CuO と ともに ガ ラス管 に真 空 封 入 し,
950℃ で 2時 間加 熱 す る こ とに よって , C02に変 換 した . この C02を,真 空 ライ ン 中
で精 製 した後 , Fe を触 媒 と して H2に よって還 元 (
650℃ で 6時 間加 熱 ) し, グ ラ フ
ァイ トを得 た .
試 料 か ら調 製 した グ ラ フ ァイ トを ター ゲ ッ トと して , 名 古屋 大 学 年 代 測 定 資料研 究
4
C/
1
3
C 比 を測 定 した . こ
セ ン ター の タ ンデ トロ ン加 速器 質 量 分 析 計 に よって , そ の 1
4
C/
1
3
C 比 に も とづ い て各試 料 の 1
4
C年 代 を算 出 した . ま た , 精 製 後 の C02を試 料
の 1
と して , トリプル コ レク タ一 式 気 体 用 質 量 分 析 計 (
Fi
nni
gan MAT社 製 MAT252)
に よって そ の 8 1
3
C値 を測 定 し,1
4
C年 代 算 出 の際 の 同位 体 分 別 効 果 の補 正 に充 て た .
<結 果 ・考 察 >
マ ンガイ ア 島 出土 の木 炭試 料 につ い て得 られ た 1
4
C年 代 お よび 6 1
3
C値 を Tabl
e1
- 3に ま とめ た . ま た, St
ui
ver, Pear
s
onの較 正 曲線 (
St
ui
verandPear
s
on1993)
に よって,測 定 され た 1
4
C年 代 を暦 年 代 に換 算 し,Tabl
e1- 3に示 した .同 曲線 は,
4
C 年 代 に基 づ い て 作 成 され た もの で あ る.
暦 年 代 既 知 の樹 木 年 輪 につ い て測 定 され た 1
た だ し, そ の 際 に用 い られ た樹 木 はいず れ も北 半球 産 の もの で あ るた め, 南 半球 産 の
試 料 に適 用 す る こ とにつ い て は十 分 吟 味 され た もの で あ る とは い え ない .南 半球 産 試
4
C年 代 に は,30年 程 度 古 くな る とい う系 統誤 差 の存 在 が 示 唆 され て い る. した
料の 1
が って以 下 の議 論 で用 い る較 正年 代 は, 南 半球 産樹 木 年 輪 の HC 年 代 測 定 に 関す る今
4
C
後 の研 究成 果 に よって補 正 され る可能 性 が あ る こ とを記 してお く.ま た ,較 正 後 の 1
年代 は,単 に 「
暦 年 代 」 と表 記 され る こ とが 多 い が , 本 報 にお い て は, 1
4
C 年 代 を較
正 曲線 とい う関数 に よって変 換 し得 られ た 自然 科 学 的 年 代 で あ る こ とを明示 す るた め ,
一一1
05-
一 般 の暦 年 代 と区別 して,暦 1
4
C 年 代 と表 記 す る. なお , 単位 に は, 【
c
alAD】を用 い
る (
c
alは C
al
i
br
at
edの意) . ワイ ロ ロンガ遺跡 出土木 炭 の暦 1
4
C 年 代 を Fi
g.1, 2
に示 した .
Tabl
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1283)1302
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28.
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1244)1285
861±58
25.
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539±93
23.
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750±44
23.
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1075,
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1133,
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1214)1253
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1355,
1383(
1411
)1445
1257(
1282)
1292
205±50
24.
0
763±47
25.
0
1655(
1671
)1685,
1741(
1783,
1794)1808,
1931(
1237(
1279)1290
830±33
29.
4
1212(
1225)1259
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25.
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1284(
1297)1313,
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1932
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24±135
486±37
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8
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1434)1444
495士54
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1432)1446
329±42
26.
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孔048±41
26.
5
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1525,1558,
1632)1645
978(
1006)1021
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R.
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4
C年 代 は,一 点 を
Fi
g.1に示 され る とお り,生 活 祉 Ⅴ.
除 い て 11501450【
c
alAD]の 範 囲 に集 ま っ て い る . これ か ら, 生 活 祉 Ⅴ.
R.
A は,
11501450
・
【
c
alAD]
の約 3世 紀 に わ た っ て使 用 され て い た遺 跡 で あ る と考 えて よい で
あ ろ う. ま た , 第 5層 と第 6層 の 間 を境 に,暦 1
4
C 年 代 の上 で 明 らか な差 が認 め られ
4
C 年 代 が いず れ も 11501300[
c
alAD】の範 囲 に
る.第 8-ノ6層 にお い て は , 木 炭 の 1
入 ってお り, この 三 層 が約 一 世 紀 半 の 間 に堆 積 した こ とが示 され て い る.一 方 , 第 5
- 2層 の暦 1
4
C年 代 は 13001450l
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alAD]
を示 してお り,次 の 一 世 紀 半 で堆積 した と
考 え られ る.す な わ ち,V.
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A 遺跡 は,表 層 を含 めて 8層 の堆 積 物 に分 け られ るが ,
時 間 的 に は ,表 層 を除 く と大 き く 2層 に分 類 す る こ とが で き る とい え る.
マ ンガ イ ア 島 は,マ カテ ア とよばれ る隆 起 珊 瑚 礁 に よって 島 の周 りを囲 まれ て い る.
ワイ ロ ロ ンガ は , このマ カ テ ア の外 ,海 岸 沿 い に位 置 す る遺跡 で あ る. これ に対 し,
マ カ テ ア 内側 の遺 跡 と して 島 の南 西 部 に あ る タガ タ タ ウ遺跡 が 知 られ て い る. 出土 し
4
C 年 代 か ら, タガ タ タ ウ遺 跡 は 11- 16世紀 にか けて使 用 され て い た こ
た木 炭 の暦 1
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.1991) .
とが示 され て い る (
ポ リネ シア人 のマ ンガ イ ア 島- の植 民 が 開始 され た年 代 につ い て, Ki
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れ が 350550l
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に ま で さか の ぼ る と述 べ て い る (
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.1991) . この植 民
年 代 は , タガ タ タ ウ遺跡 の南 東 に位 置 す るチ リア ラ湖 か ら採 取 した湖 底 土 につ い て の
花 粉 分 析 と湖 底 土 自体 の 1
4
C年 代 測 定 の結 果 か ら導 かれ た もの で あ る.しか しな が ら,
この年 代 の導 出 に は 二つ の 問題 点 を指 摘 す る こ とが で き る.一 つ は,花 粉 分析 に よっ
て判 明 した植 生 の変 化 を,直 ち に ポ リネ シア人 の森 林破 壊 の結 果 と して い る点 で あ る.
植 生 変 化 は 自然 環 境 の一 面 の変 化 を示 す もの で あ り, そ の原 因 は, 人 間 に よる摂 動 よ
りも, む しろ気 候 ・気 象 を は じめ とす る他 の 自然 環 境 の変化 に求 め られ る.仮 に植 生
変 化 と植 民 の 間 に 因果 関係 が あ っ た と して も,植 生 変化 が原 因 とな って植 民 が行 われ
るわ け で は な く,植 民 が原 因 とな って植 生 変化 が 生 じる こ とに な るた め,植 生変 化 の
一 一
10 9
-
発 見 を もって そ の 時期 に植 民 が あ った とす るの は論 理 的 に矛 盾 を伴 うもの で あ る.棉
生 変 化 は 自然 環 境 の一 面 の変 化 を示す もの で あ り,植 民活 動 に限 らず ,人 間 の歴 史 的
行 為 とは分 け て考 え る必 要 が あ る. ま た, も う一 つ の問題 点 は,湖 底 土 そ の もの を年
代 測 定 に用 い て い る点 で あ る.堆 積 物 に は堆積 が行 われ た 年 代 以 前 の古 い有機 物 が含
4
C 年 代 は堆積 が 生 じた年 代 よ りも古 い値 を示
まれ て い るた め,通 常 ,堆積 物 全 体 の 1
す . この 1
4
C 年 代 の系統 的 な ズ レの程 度 は,湖 に よって異 な る もの で あ るが,琵 琶湖
BP】とい う 1
4
C年 代 を もってい る (
前
の場 合 で は, 0年 前 とな るはず の表層 泥 が 2000【
田 ら 1988) . した が って,チ リア ラ湖 湖 底 土 につ い て も, 1
4
C年 代 が古 い方 に系統 的
な ズ レを もっ て い る可能性 が あ る とい え る.
4
C年 代 測 定 とか ら得 られ る 「植 民年 代 」 は, 実
した が っ て,湖 底 土 の花 粉 分 析 と 1
際 に植 民 が行 われ た年 代 との 間 に大 きな ズ レを もってい る危 険性 が あ る.植 民 の年 代
4
C 年 代 か ら吟 味 され るべ き もの で あ る. よって現
は ,発 掘 に よ って得 られ た遺 物 の 1
在 は , ワイ ロ ロ ンガ ・タガ タタ ウ両遺跡 の 出土木 炭 の 1
4
C 年 代 測 定 の結 果 か ら, ポ リ
ネ シア人 のマ ンガイ ア 島- の植 民 は ,ll- 12世 紀 まで さか の ぼ る こ とが確 認 され た段
階 で あ る とい え る.
墓 祉 Ⅴ.
R.
C か ら採 取 され た木 炭 の暦 1
4
C 年 代 を Fi
g.2に示 した . これ ら木 炭 の暦
1
4
C 年 代 か ら, 1400[
calAD】
以 降使 用 され た遺跡 で あ る こ とが示 唆 され るが ,今 回測
定 され た木 炭 は, 人骨 の周 りか ら採 取 され た試 料 で あ り, 人 骨 との 間 に 明確 な 関連性
を もつ もの で は な い . した が って この年 代 につ い て は, 考 古 学 的 ・人類 学 的研 究 , な
4
C年 代 測 定 か ら,今 後 さ らに吟 味 され る必 要 が あ る.
らび に人 骨 の 1
<参 考文献 >
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