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シラバスPDF版

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シラバスPDF版
事務局 開設
記載欄 年度
科目名(メディア)
2013年度
=
科目
区分
専門科目
科目
認知心理学
履修
制限
1528904
コード
(’13)=
無
単位
数
2
(TV)
〔主任講師(現職名): 高野 陽太郎 (東京大学名誉教授)
〕
〔主任講師(現職名):
〕
【 本 学 担 当 専 任 教 員 : 三宅 芳雄 (放送大学教授)
】
講義概要
認知心理学は、人間の心の働きを情報処理プロセスとして理解しようとする心理学です。人間は、目や耳などの感
覚器官から環境についての情報を入力し、それを選別したり、貯蔵したり、加工したりして、環境に適応するための
行動という形で出力します。この授業では、そうした情報処理のプロセスについて、認知心理学ではどのようなことが
明らかになってきたのかを調べます。話の中心は、人間の情報処理の特色になっている高次認知(記憶・言語・思
考など)です。また、目で見ることも手で触ることもできない心の働きをどのように研究するのかという研究方法の問
題、あるいは、認知心理学の研究がどのように役立つのかという実用の問題についても考えてみることにします。
授業の目標
この授業の最大の目標は、人間の認知を実現している仕組み、および、その特性について、知識を広げ、理解を深
めることです。何故そのような仕組みになっているのかという認知の適応的な機能についても考えてみたいと思いま
す。また、欲を言えば、研究方法が適切かどうかという観点から学問的な知見を吟味する習慣も身につけることがで
きればと思っています。
履修上の留意点
この科目では、放送教材と印刷教材の内容は、完全に同じではありません。「話の大筋は同じで、取り上げる研究
例や実例が少し違う」という場合が多いのですが、内容がかなり異なる回も幾つかあります。1つ1つの事項につい
て、できるだけ丁寧に説明をしようとすると、どうしてもスペースが足りなくなってしまうので、この科目では、両方を合
わせて、認知心理学の全体像が掴めるようにしたいと考えています。予習は必要ではありません。しかし、放送教材
を視聴した後、印刷教材を読んで復習をすることは、理解を広げたり深めたりすることに役立つでしょう。
回
テ ー マ
認知心理学のプロ
1 フィール
内 容
執 筆 担 当放 送 担 当
講 師 名講 師 名
(所属・職名) (所属・職名)
第1回は、認知心理学の紹介です。認知心理学というのは
どのような心理学なのか、大局的な視点から俯瞰します。研
究の対象、認知研究の歴史、認知を理解するための概念 高野 陽太郎 高野 陽太郎
(東京大学名 (東京大学名
的な枠組みなどについてお話をします。
誉教授)
誉教授)
【キーワード】
情報処理パラダイム、適応論パラダイム、概念装置
五官では直接捉えることのできない精神活動をどのようにし
て科学的に研究するのかは、心理学にとって、常に直面し
続けなければならない重要で困難な問題です。五官では
高野 陽太郎 高野 陽太郎
認知心理学の研究方 捉えられない精神活動の最たるものである心的イメージの
2 法
研究を例にとって、この問題に認知心理学がどう対処してき (東京大学名 (東京大学名
誉教授)
誉教授)
たのかを調べます。
【キーワード】
研究法、反応時間、イメージ
3 知覚
この回から、認知プロセスを入力から出力まで順に追って
いくことになります。まず最初は、情報を入力するプロセスで
ある知覚です。主に視知覚を対象にした研究を取り上げ、 高野 陽太郎 高野 陽太郎
環境についての有用な情報を得るために、知覚プロセスが (東京大学名 (東京大学名
どのような情報処理をしているのかを検討します。
誉教授)
誉教授)
【キーワード】
立体視、恒常性、補完、運動からの構造復元
回
テ ー マ
4 注意
内 容
執 筆 担 当放 送 担 当
講 師 名講 師 名
(所属・職名) (所属・職名)
感覚器官からは絶えることなく大量の情報が流れ込んでき
ます。とても全ての情報を処理することはできません。環境
について重要な事柄を知らせてくれる情報を選り分ける必
要があります。それが注意です。情報をどのように選別する 高野 陽太郎 高野 陽太郎
(東京大学名 (東京大学名
のか、人間はどれぐらいの処理能力を持っているのかと
誉教授)
誉教授)
いった問題を検討します。
【キーワード】
選択的注意、分割注意、注意の容量、視覚的注意
5
記憶1:さまざまな記
憶
人間の記憶は1つではありません。さまざまな種類の記憶が
あります。この回では、記憶の全容を概観するために、どの
高野 陽太郎 高野 陽太郎
ような種類の記憶があるのかを紹介します。
(東京大学名 (東京大学名
誉教授)
誉教授)
【キーワード】
長期記憶、作動記憶、手続き記憶、宣言記憶
記憶2:記憶の適応
6 的な特性
この回では、記憶がどのように適応に役立っているのかを
考えます。記憶については、非常に多くの現象が知られて
高野 陽太郎 高野 陽太郎
いますが、その多くは、環境への適応という観点から見る
(東京大学名 (東京大学名
と、その意味を理解することができます。
誉教授)
誉教授)
【キーワード】
符号化特定性原理、処理水準、目撃証言
7 記憶3:知識の構造
宣言的記憶の中で、知識がどのように構造化されており、ど
のように想起され、どのように忘却されるのかを考えてみま
高野 陽太郎 高野 陽太郎
す。
(東京大学名 (東京大学名
誉教授)
誉教授)
【キーワード】
意味ネットワーク、スキーマ、カテゴリ、活性化、意味
8 思考1:演繹的推論
環境を正確に認知するためには、複雑な情報処理が必要
になる場合もあります。そのような情報処理が推論です。高
度の推論能力は、人間の認知の際立った特色であり、非常
に柔軟性の高い適応行動を可能にしています。その一方 高野 陽太郎 高野 陽太郎
(東京大学名 (東京大学名
で、組織的な偏りが生じる場合もあることが知られていま
誉教授)
誉教授)
す。
【キーワード】
三段論法、信念バイアス、選択問題
9 思考2:帰納的推論
帰納的推論は、環境の中の規則性を見出すことによって、
環境によりよく適応することを目的とした情報処理です。こ
の回では、帰納的推論に関する代表的な研究を紹介しま 高野 陽太郎 高野 陽太郎
(東京大学名 (東京大学名
す。
誉教授)
誉教授)
【キーワード】
確証バイアス、基準率無視、ヒューリスティクス
回
テ ー マ
内 容
執 筆 担 当放 送 担 当
講 師 名講 師 名
(所属・職名) (所属・職名)
この回では、推論以外で特に研究が進んでいる高度な情
報処理として、意思決定と問題解決を取り上げます。複数
の選択肢がある場合に、どれを選ぶかという情報処理が意
高野 陽太郎 高野 陽太郎
思考3:意思決定と問 思決定、記憶から答を探し出すことのできない問題につい
(東京大学名 (東京大学名
10 題解決
て、答を得るための情報処理が問題解決です。
誉教授)
誉教授)
【キーワード】
フレーミング効果、プロスペクト理論、機能的固着
11 言語1:心理言語学
言語については、言語学という分野がありますが、認知心
理学には、言語を研究対象とする心理言語学という分野が
あります。この回では、心理言語学が言語のどのような面を 高野 陽太郎 高野 陽太郎
(東京大学名 (東京大学名
研究しているのかを紹介します。
誉教授)
誉教授)
【キーワード】
言語習得、臨界期仮説、言語相対性仮説
12 言語2:理解と産出
人間が言語をどのように理解し、どのように産み出すのかと
いう問題についての心理学的な研究を紹介します。音声の
知覚、文字の認知、単語の認知、文の理解、文の産出など 高野 陽太郎 高野 陽太郎
(東京大学名 (東京大学名
のトピックを取り上げます。
誉教授)
誉教授)
【キーワード】
カテゴリカル知覚、音素修復、単語優位効果
13 学習
認知心理学では、知識や技能を身につけていくプロセスも
研究されてきました。高度の技能を身につけた熟練者と初
心者を比較した研究も行われてきました。この回ではそうし
高野 陽太郎 高野 陽太郎
た研究を紹介します。また、学習を行なう神経回路のモデ
(東京大学名 (東京大学名
ルについても簡単に紹介します。
誉教授)
誉教授)
【キーワード】
熟達化、熟練者、並列分散処理
14 社会的認知
人間にとって、他の人間、および、人間がつくる社会集団
は、環境の中の非常に重要な部分です。人間の認知は、
人間集団の中で適応的な行動をとるために発達してきたと
いう側面もあります。この回では、認知心理学と社会心理学 高野 陽太郎 高野 陽太郎
の境界領域で研究されてきた、人間についての認知を取り (東京大学名 (東京大学名
誉教授)
誉教授)
上げ、過去の研究成果を概観します。
【キーワード】
二過程モデル、帰属、対応バイアス、ステレオタイプ
15 実生活との接点
最後の回では、認知の研究が実生活とどのような関係を
持っているのかを考えてみます。実生活と関係のあるさまざ
まな研究を概観した上で、外国語使用に伴う思考力の低下
高野 陽太郎 高野 陽太郎
という現象を少し詳しく論じ、この研究が現実の国際交流の
(東京大学名 (東京大学名
中で持つ意味を考えてみます。
誉教授)
誉教授)
【キーワード】
外国語副作用
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