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自分たちでできる研修ガイド~専門性の高い教職員集団を目指して

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自分たちでできる研修ガイド~専門性の高い教職員集団を目指して
【園内研修のための参考資料】
これなら、
やれる!
自分たちでできる研修ガイド
∼専門性の高い教職員集団を目指して∼
子ども・子育て支援新制度の実施に伴い、これまで以上に、教育・保育
の質の向上が求められています。そのためには、教職員の資質能力と園の
組織力を高めるための園内研修が不可欠です。
本ガイドは、自分たちで研修を計画するにあたり、準備から実施までの
流れを分かりやすく示しています。
各園での研修がより充実・活性化することを応援しています。
栃木県総合教育センター幼児教育部
(栃木県幼児教育センター)
平成28年3月
本ガイドの見方
本ガイドでは、実際の事例から9つの研修手法を紹介しています。各手法1ページの構成で、事
前の準備、研修の流れ、ポイント等が書かれています。各園の実態に応じて、テーマと手法の組合
せを変える等工夫してご活用ください。
(※本ガイド作成にあたり、
小学校の校内研修も参考に取り入れました。)
研修テーマから
手法その1 保育研究
手法その2 授業研究
P1
P2
手法その3 視聴覚教材の活用
P3
保護者との関係
を構築する
手法その4 ワールドカフェ
手法その5 事例研究
手法その6 ロールプレイ
P4
P5
P6
幼児期と児童期
の接続を円滑に
する
手法その7 合同研修
手法その8 小学校教員の活用
手法その9 交流活動を通した協議
P7
P8
P9
保育力・授業力
をアップする
研修実施の悩みから
準備に時間をかけられないよ∼
P6
研修する時間を作れないわ
P8、9
全員の参加は難しいね
P1、3
研修日、研修時間の設定はどうしたら?
P1、3、8
若手が遠慮して意見が出てこないよ∼
P2、4
園内だけだと、考えが広がらないわ
P5、7、8
保育力・授業力をアップす
保育力・授業力をアップする
保育研究
手法 その 1
事前にシフトを組めば、同僚の保育を参観することが可能です。実際の保育を通して、環境構
成や子どもの様子について話し合い、保育力の向上を図りましょう。
事前の準備
事前の準
備
【全体に】
・シフト表・・・全職員が時間を区切って保育を参観できるようにする。
・テーマと視点・・・何をテーマに研修するのか、保育を見るポイントは
何かを明確にする。
*本事例では、
「音楽遊びが、各発達時期に適しているか」を視点にしま
した。
【公開するクラス】
・当日の日案・・・対象クラスに関わっている教職員で
保育検討会を実施し、日案を作成する。
事前検討会
(研修者の声)
研修時間
研修時
間
1
事前に検討会を行うことで、改
善点、
疑問点などを整理するこ
とができました。
120分(公開保育含む
(公開保育含む)
)
公開保育
○シフト表をもとに、
30分
できるだけ長く公開保育を参観する。
保育参観の様子
2
保育研究会
(1)テーマと視点の再確認
90分
あると
ある
あるといいもの
といいも
とい
といいも
いもの
もの!
(2)本日の保育について
☆ビデオ撮影☆
・担任から
参観できなかった保育者も含め、
具体的な保育場面を改めて振り
返ることができる。
・副担任から
(3)公開保育のビデオ視聴
(必要に応じて)
(4)グループ協議
・同じ場面を観察した者同士で。
(5)全体協議
・グループ協議で出た意見を共有化する。
(6)園長のまとめ
ポイント!
保育研究会は、午睡の時間等を利
用し、過半数の職員が参加できる
よう配慮する。参加できなかった
職員には、各クラスの職員が記録
をもとに、内容を伝える。
「保育研究」こんなところが
工夫次第で全員参加が可能!保育力向上が強く期待できる基本の手法。
執筆:芹沼保育園
1
保育力・授業力をアップす
保育力・授業力をアップする
授業研究
手法 その 2
授業参観後の研究会をワークショップ型にし、授業者も参観者も意見を出し合い、一人一人の
授業力の向上を図りましょう。
【授業参観】
事前の準備
事前の準
備
・視点・・・年度の初めに、年間研修テーマ(例:話す力)を全体周知。
そこから参観する際の視点を設定する。
*本事例の視点は「①効果的な言語活動の工夫は?
」と「②話すことの基礎的な力を
育てる指導法の工夫は?
」でした。
・ 2色の付箋紙・・・子どもの姿を書く。
良かった点は赤、
気になった点は青。
【ワークショップ】
・模造紙・・・グループ( ~ 人)の数を用意。
5 6
視点によって枠を作っておく。
視点①
1
付箋紙を貼る
その他
付箋紙に、その姿が見られ
た時刻を記入する。後で、
場面の共有化が容易にな
る。
成果
課題
改善策
85分
研修時間
研修時
間
視点②
ポイント!
(1) 事前に研修会場に模造紙を用意しておく。
(2) 研修が始まる前に、各自付箋紙を適所に貼る。
(研修時に考えを述べな
がら、付箋紙を貼ってもよい。
)
2
全体会①
(1) 研究会の進め方の確認
(2) 授業者反省
10分
(研修者の声)
・本時のねらいと視点について
・成果と課題
たくさんの意見を整理しながら考えた
ことで、大きな気付きが生まれました。
・意見や助言をもらいたい点
3
グループ協議
(1) プロンプター(司会)
、発表者、記録者の
役割を決める。
45分
(2) 視点ごとに付箋紙に基づいて考えを出す。
(3) グルーピングして見出しを付ける。
(4) 改善策を話し合う。
4
全体会②
グループ協議の様子
(1) グループ発表(情報の共有化)
(2) 教頭や主任のまとめ(必要に応じて)
30分
まとめた模造紙をもとに発表
「授業研究」こんなところが
ワークショップ型にすると、経験年数や役職に関係なく学び合いができる。
執筆:矢板市立東小学校
2
保育力・授業力をアップす
保育力・授業力をアップする
視聴覚教材の活用
手法 その 3
全員が同じ保育映像などの視聴覚教材を視聴し、それを題材に、意見や考えを出し合い、自分
自身や自園の課題を発見してみましょう。
事前の準備
事前の準
備
・DVD・・・研修内容にあったものを吟味し、選択する。
・メモ用紙・・・DVD視聴の内容を書き留める。
1日目で使用。
・模造紙、付箋紙・・・ 2日目の話合いで使用。
研修時間
研修時
間
1
120分
事前説明
2日に分けた場合で紹介して
いますが、1日で行うことも可
能です。また、DVDを各自で
都合の良い時間に見ておく方
法もあります。
ポイント!
研修の見通しがもてるように、目的、
時間、流れを示した紙を研修中、目立
つところに貼っておく。
(1) 2日間の研修の進め方について
(2)研修目的の共通理解
目的例 多様な動きを意図的に保育に
10分
取り入れよう
2
DVD視聴
1
日
目
〇DVD視聴(メモをしながら)
*本事例では、文部科学省「幼児期の運動に関する
指導参考資料(第1集)」を視聴しました。
50分
(研修者の声)
実際の映像があると理解しやすく、運動
遊びのイメージが広がりました。
視聴の様子
(午睡の時間等を利用して、前半・後半の グループに分かれる。
2
)
3
グループ協議
〇全員参加による話合い(行事による早帰りの日に設定)
(1) 模造紙を、考える視点で区切っておく。
(幼児組、
乳児組等
視点例 ・意欲 ・発達 ・生活の中で ・遊びの中で
・生かし方 ・課題 ・その他 等
で分ける)
(2) 日目のメモから、各自、付箋紙に考えを
1
50分
書き込む。
2
日
目
4
発表
(3) 付箋紙を視点ごとに貼りながら、
考えを述べる。
考える視点ごとに分けた模造紙
〇視点ごとに出た意見を各グループから発表し合い、共有化する。
ポイント!
10分
1.全員が当事者意識をもつように、発表者は話
合いの後で決める。
2.発表する内容は全員でまとめておく。
発表の様子
「視聴覚教材の活用」こんなところが
全員が同じDVDを見ることで、イメージを共有できる。
執筆:まなぶ保育園
3
保護者との関係を構築す
保護者との関係を構築する
ワールドカフェ
手法 その 4
自由な意見を出し合えるワールドカフェ形式で、保護者との関わりについて多くの知恵や考え
を集めてみましょう。
・ファシリテーター( 名)
1 ・・・研修の促進役となる人。外部の専門家に依
事前の準備
事前の準
備
頼してもよいし、園内で選出してもよい。
・模造紙、マジックペン・・・白や黒以外の色も用意すると、華やかな印象
になり、場が和みやすくなる。
・カフェスタイルのテーブル・・・テーブルにクロスをかけ、お菓子、飲み物、
小物などを置く。BGMを流すと、よりリ
ラックスした雰囲気となる。
ポイント!
90分
研修時間
研修時
間
1
はじめに
2
アイスブレイク
アイスブレイクを行うと、参加者の
心と体がほぐれ、コミュニケーショ
ンを促進させることができる。
(1) 研修の趣旨について
10分
10分
話合い
3 「ワールドカフェ
形式」
(2) ワールドカフェ形式について
例 ・バースデーライン(誕生日の順番)でグループ分け
・後出しじゃんけん、言葉の足し算等の簡単なゲームでリラックス
○ ~ 人のグループに分かれて座る。
4 5
20分程度のセッション
(話合い)
を ラウンド行う。
3
《ラウンド 》
1 (20分)
全体に出された質問(テーマ)について、考え、疑問などを自由に
60分
模造紙に書き込む。
*本事例の質問は「保護者に関して
最近気になることは?
」でした。
2 (20分)
《ラウンド 》
グループの 人がテーブルに
1
(研修者の声)
保護者との関わりについ
てたくさん聞くことがで
き、勉強になりました。
自由に考えを書き込んでいく
残って、他のメンバーはそれ
ポイント!
ぞれ別のテーブルに移動する。
問題解決や合意形成す
る場ではない。自由な意
見を出し、気付きを共有
する場に!
新たなグループで意見を交換する。
3 (20分)
《ラウンド 》
最初の席に戻り、他のテーブルで得ら
れた考えをグループ内で共有する。
4
カフェの雰囲気での話合い
グループ発表
(1) 各グループでの話合いを発表し、全体で共有する。
振返り
(2) 各自が今日の研修を振り返る。
10分
「ワールドカフェ」こんなところが
グループでの話合いにも関わらず、園全体で対話している感じになる。
4
執筆:小山幼稚園
保護者との関係を構築す
保護者との関係を構築する
事例研究
手法 その 5
理解を深めたい保護者の事例について、校内のみで話し合うのではなく、幼稚園、保育所、こ
ども園、相談機関等と一緒に話し合ってみましょう。
・取り上げる保護者事例を吟味する。
事前の準備
事前の準
備
・事例に関係する園等に参加の打診をする。
(2~3か月前)
・関係園等を含め、参加者の日程を調整する。
(2~3週間前)
・保護者事例に関する資料を準備する。
研修時間
研修時
間
60分
ポイント!
1
はじめに
担任のほかに、特別支援学級担
任・教務主任・養護教諭も参加で
きるとよい。
(1) 参加者自己紹介
10分
(2) 研究会の趣旨説明
(3) 対象児の様子について(担任・元担任)
(4) 対象児の健康状態について(養護教諭)
2
事例研究会
(1) 事例についての説明(担任)
ポイント!
・担任の困り感を中心に
45分
例 入学当初から関係構築に苦労して
いる小学1年生保護者
1回で取り上げる事例は、1∼2例に絞り、
時間をかけて話し合えるようにする。
(2) 関係園等からの情報(元担任)
例 保育所の元担任の先生に来てもらい、話を聞く。
・母親の信頼を得た対応やその時の状況などについて
(3) 意見交換
・具体的な方法を出し合う。
(4) 今後の方針
・定期的に連絡し合うなど、すぐに取り組める
ことを確認する。
3
振返り
○本日の振返り
5分
・参考になったこと
話合いの様子
(研修者の声)
就学前の、保護者との
関わり方を知ることが
でき、
貴重な時間でした。
・次回の運営の改善点
(研修者の声)
これまでの対象児の育ちに関わった教職員
を含めることで、活発な意見が出てよいと
思いました。
「事例研究」こんなところが
それぞれの立場から意見を出し合うことで、新しいアイディアが生まれる。
執筆:栃木市立岩舟小学校
5
保護者との関係を構築す
保護者との関係を構築する
ロールプレイ
手法 その 6
保護者と担任のロールプレイ(役割演技)とその参観を行うことで、保護者の思いに気付くこ
とができます。保護者とのよりよい関係を構築するためのコミュニケーションスキルを向上させ
ましょう。
・各担任から、実際にあった事例や対
事前の準備
事前の準
備
ポイント!
応が難しいと思われる事例をあげて
準備物もなく、時間もほとんどかか
らない。
簡単・手軽にできる研修。
もらう。
・事例を つ選択し、それぞれの事例
2
を挙げた担任を保護者役にする。
45分
研修時間
研修時
間
1
事前説明
2
ロールプレイ
ポイント!
演技時間は特に決めない。演技者
のやりとりで、保護者役がある程度
納得するまで続ける。
〇ロールプレイ研修の説明。参観者には見る
5分
演技・協議
ポイントを伝える。
演技 例 1
「Aちゃんにけがをさせられた。Aちゃんを別のクラスに変えて
ほしい」と訴えてきた保護者とそれに対応する担任
協議 ①参観者からの意見・感想
1
30分
②演技者(保護者役・担任役)からの感想
③出てきた意見を集約し、全体での共有化を図る。
演技 例 2
「うちの子はクラスの友達と比べて発達が遅いように感じるの
ですが…」と心配し質問する保護者とそれに答える担任
協議 2 (協議 と同様の流れ)
1
ポイント!
テーマは違うが、担任役は、協
議1で出た改善・反省点を生
かして、
演技を行う。
(研修者の声)
自分の対応の仕方を振り返り
ながら、皆のアドバイスを聞く
ことができよかったです。
ロールプレイの様子
(研修者の声)
3
保護者役となって、保護者の思い
に気付くことができました。
振返り
○ロールプレイをとおして、
10分
今回気付いた大切な点などを話し合い、各自記録する。
「ロールプレイ」こんなところが
演技して気付く、保護者の気持ち。参観者の意見も重要ポイント。
執筆:風と緑の認定こども園
6
幼児期と児童期の接続を円滑にす
幼児期と児童期の接続を円滑にする
合同研修
手法 その 7
幼稚園、保育所、こども園と小学校が合同で研修を行うことで、お互いの子ども観を知ること
ができます。幼児期と児童期の円滑な接続に向けて、一緒に考えてみましょう。
・日程、場所の決定・・・年度始めの早い時期に年間計画のすり合わせを行う。
事前の準備
事前の準
備
・担当者打合せ・・・各園・校の担当者
(窓口)
を明確にし、役割を分担する。
研修テーマと研修の流れを決める。
・参加者の決定・・・ 1週間前には、名簿を作成しグループ分けをする。
【資料等】
・グループ協議用の課題を示した用紙
・グループ作業用紙、アンケート 等
ポイント!
時間短縮のため、あらかじめグループ分け
した席に座ってもらう。
〈グループ分けの方法〉
①幼・保・こ・小をバランスよく
②管理職グループを別にする
60分
研修時間
研修時
間
1
研修内容の説明 (1) 会場園・校あいさつ
2
グループ協議
10分
30分
(2) 研修の目的・流れの説明
(1) グループ内自己紹介
(2) 課題提示
*本事例では「先生、うちの子、入学したら
45分も席に座っていられるのか不安です」
という保護者からの相談に、幼・保・この
先生と小学校の先生がどう答えたらよいか、
という課題でした。
あるといいも
あると
ある
あるといいもの
といいもの
とい
いも
もの!
☆作業用紙☆
【例】
幼児期と児童期、
それぞれの立場
から話すべきこと
を吹出し形式で。
(3) 話合い
(4) 作業用紙への書込み
3
4
発表
○グループごとに、事例について
10分
まとめ・振返り
10分
考えた内容を発表する。
○今回の研修で学んだことや
感想をアンケート用紙に
記入する。
話合いの様子
(研修者の声)
一緒に話し合うことで、就学前
の大切な経験の共通理解がで
きました。
「合同研修」こんなところが
お互いの教育・保育観をすり合わせ、地域連携も進めることができる。
執筆:那須町立田代友愛小学校
7
幼児期と児童期の接続を円滑にす
幼児期と児童期の接続を円滑にする
小学校教員の活用
手法 その 8
地域の小学校教員を自園に招き、講話をしてもらいます。小学校での指導内容や生活の様子を
知り、子どもの育ちを見通した保育について、共通理解を図ってみましょう。
・自園の保育内容について、児童期を見通した観点から見つめ直し、自園の
事前の準備
事前の準
備
課題を明確にしておく。
ポイント!
・講師(小学校教員)への依頼
*研修実施までの具体的な流れに
ついては以下参照。
日頃から様々な交流があり、卒園児が多く入学
する小学校だと、
依頼がスムーズ。
ポイント!
研修時間
研修時
間
1
小学校に連絡するときは、
教頭先生が窓口!
60分
電話による依頼
実施2~3か月前
ポイント!
研修日は、あらかじめ年間計
画に位置付け、全員参加できる
ようにする。例えば、親子行事の
午後に当てるなどして、その日は
預かり保育等も計画しない。
〇小学校の教頭に依頼の電話をする。
・希望日時及び内容を伝える。
・担当者と今後の流れを確認する。
2
依頼文書の作成
実施1~2か月前
〇園長名で校長宛ての依頼文書を作成し、
あるとい
あると
ある
あるといいもの
といいも
いいも
いもの
もの!
送付する。
☆事前見学☆
3
担当者(講師)と
〇研修当日の流れや準備物等を確認する。
の打合せ
・自園の課題や研修の目的を明確に伝える。
実施2~3週間前
当日の講話に生かすため、講師に
5歳児の様子を一度見に来てもら
う。
・講師への質問事項を集めておく。
(研修者の声)
4
研修実施
(1) 講師紹介
60分
小学校の先生から、具体的な
授業の様子を聞くことができ
てとてもよかったです。
(2) 講話
例 ・休み時間と授業について
・文字や数の指導について
・給食について 等
(3) 質問タイム
(4) 謝辞
講話の様子
(5) アンケート記入
ポイント!
アンケートの結果を講師と共有する
ことで、継続的な取組につながる。
「小学校教員の活用」こんなところが
地域の実態にあった具体的な話を聞くことができる。
講師依頼も難しくない!
執筆:認定こども園さくらが丘
8
幼児期と児童期の接続を円滑にす
幼児期と児童期の接続を円滑にする
交流活動を通した協議
手法 その 9
小学校との交流活動の打合せを単なる事務的なもので終わらせずに、子どもの学びや発達をつ
なぐための協議にしたり、情報交換の場にしたりしてみましょう。
・小学校への連絡・・・趣旨説明と日程、場所の調整をする。
事前の準備
事前の準
備
・園紹介資料
ポイント!
打合せの場所を園にすることで、小学校の先生に
子どもの様子を見てもらえる機会になる。
60分
研修時間
研修時
間
1
交流会打合せ
35分
参加者例 ・園長、主任、年長担任
・校長、1年担任
○日程や内容について話し合う。
(1) 昨年の子どもの様子から良かった点
打合せ・協議の様子
(2) 子どもの学びを深める活動について
ポイント!
(3) 活動のねらいの共有化
2
情報交換
〇現状や困っているケースについて
25分
事前に、小学校に対して聞きたいこと
等を園でまとめておく。
(1)
園から
(2)
小学校から
○園長が園内を案内する。
(小学校から)
(園から)
話合いをもつことで小学校を
身近に感じるようになりました。
交流会
子どもの交流会だけではなく、
様々な情報を交換・共有できる場
になってよかったです。
〇小学校での
交流会
( 時間)
1
出会いのあいさつ
3
まとめ
振返り
一緒にあそぼう
○交流活動で見られた子どもの姿を記録しておき、次年度の計画に生かす。
また、アプローチカリキュラムの中にも反映させる。
「交流活動を通した協議」こんなところが
すでに設定されている打合せ会を工夫するだけで、効果的に相互理解が図れる。
執筆:那須町黒田原第 保育園
1
9
園の保育・教育力アップにつながる園内研修
栃木県幼児教育センター顧問
國學院大學人間開発学部教授
神長美津子
園の保育・教育力アップには、
教員一人一人の資質向上は欠かせません。
そのため
には、保育を取り上げて同僚と話し合う園内研修は不可欠です。園内研修を通して、
教員は、子どもをみる目を養い、保育を構想する力をつけ、
保育実践力を高めること
ができます。園内研修は、教員としての資質を磨き、専門職としての成長を保障する
場と考えます。こうした園内研修の必要性は、これまでも指摘されてきましたが、そ
のために園内研修をどう進めるかは、あまり議論されてきませんでした。
現在、改めて「園内研修の在り方」が問われています。背景には、子どもたちの発達
の個人差が大きくなってきていることや特別な支援が必要な子どもがいること等、
保育の課題が、多様で複雑化し、あるいは深刻化する傾向にあり、
担任一人の力で対応するには限界があるとい
う現状があります。担任一人の問題というよりは、教員間で課題を共有し問題解決に当たることが求められて
いるのです。また、小学校教育を見通した5歳児の保育等、就学前の教育についての課題共有も必要になってい
ます。
しかし、一方では、預かり保育の実施や認定こども園への移行により、限られた時間で研修を進めること
に難しさも感じています。まさに園の保育・教育力アップにつながる、園内研修の充実の検討が必要です。その
視点として、以下の三点が考えられます。
第一は、園内研修を通して、園が保育相談力をつけることです。保育の課題の解決は一様ではなく、様々な視
点からみてよりよい解決を見出していくことです。まさに「専門家としての知恵」を絞ることが必要なのです。
こ
のため、保育相談力をつける園内研修の進め方の検討が求められます。
第二は、園内研修をコーディネートする人材の育成です。初任も組織の一員として発言できる雰囲気をつくる
ためには、
コーディネートは中堅に任せることが有効です。中堅は、初任にアドバイスすることで、自らの保育を
客観視する力をつけることができます。どうしたら初任も中堅も、さらにはベテランも各々に有意義な研修と
なるかを踏まえ、研修をコーディネートする人材を育成していくことが必要です。
第三は、教員同士が、課題を共有するための思考ツールの開発です。最近では、付箋を使いテーマに沿って各
教員の考えを分類する等、課題を共有するための思考ツールが工夫されています。限られた時間であることや、
次の話合いにつなげていくために、思考ツールや研修記録の活用等を工夫することが大切です。
様々な角度から検討し、
「我が園の保育・教育力アップにつながる園内研修」
を考えていきたいものです。
平成27年度幼児教育調査研究委員会
【 委 員 】※所属等は平成28年3月現在のものです。
薄 井 美智代 那須町黒田原第1保育園
山 口 桂 子 栃木市立岩舟小学校
安 田 享 子 まなぶ保育園
斎 藤 晶 子 矢板市立東小学校
佐 藤 美 樹 芹沼保育園
江 連 千代子 那須町立田代友愛小学校
勘解由 憲 子 認定こども園さくらが丘
【 事務局 】
今 野 貴 子 風と緑の認定こども園
栃木県教育委員会事務局学校教育課
稲 冨 啓 未 小山幼稚園
栃木県総合教育センター研究調査部
栃木県総合教育センター幼児教育部
◇本ガイドは、栃木県幼児教育センターホームページからダウンロードできます。
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