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高脂血症の治療にフェノフィブラート 系薬剤を使用した猫1例
高脂血症の治療にフェノフィブラート 系薬剤を使用した猫1例 隼人どうぶつ病院 大分県大分市 添田健作 高脂血症(脂質異常症) 分類(ヒト) 高コレステロール血症 高コレステロール血症 高LDLコレステロール血症 LDLコレステロール血症 低HDLコレステロール血症 HDLコレステロール血症 高トリグリセリド(TG 高トリグリセリド(TG)血症 TG)血症 犬猫での発症リスク: 膵炎、糖尿病 標準波形 標準波形 参照:Lipo 参照:Lipo TEST 犬猫における高脂血症の治療 1. 食事療法 低脂肪食 2. 薬物療法 エラスターゼ エラスターゼ スタチン系抗高脂血症薬 スタチン系抗高脂血症薬 主にコレステロール代謝の改善 フィブラート系抗高脂血症薬 フィブラート系抗高脂血症薬 主にトリグリセリド代謝の改善 クリノフィブラート系 フェノフィブラート系 フェノフィブラート系 症例 雑種・避妊メス・3歳 10ケ月齢で避妊 10ケ月齢で避妊 体重 4㎏ BCS 3.5/5 肥満対策として低脂肪 肥満対策として低脂肪 食を給餌 各種予防( 各種予防(+ 予防(+) 病歴 低脂肪食給餌7ヵ月目に元気消失、食欲不振を主 訴に来院 身体検査、血液検査、X 身体検査、血液検査、X線検査、腹部エコー検査を 実施し、急性膵炎と診断 治療を行い、元気・食欲ともに回復 膵炎治癒後も高 膵炎治癒後も高TG 治癒後も高TG血症が持続したため、 TG血症が持続したため、 LipoTESTにて、脂質解析を実施 LipoTESTにて、脂質解析を実施 膵炎発症(初診)時:CBC RBC(10⁴ ⁴/µl) 850 12900 PCV(%) 38 Band-N 0 Hb(g/dl) 13. 13.9 Seg-N 10716 MCV(fl) 44. 44.1 Lym 2820 MCHC(%) 37. 37.1 Mon 0 Plat(10⁴ ⁴/µl) 26. 26.9 Eos 0 TP(g/dl) 9.2 Bas 0 WBC(/µl) 膵炎発症(初診)時: 血液生化学検査 TP (g/dl) 7.0 BUN (mg/dl) 16 Alb (g/dl) 2.4 Cre (mg/dl) 1.5 Glb (g/dl) 4.6 Lip (U/l) ALT (U/l) 12 CK (U/l) 55 ALP (U/l) 45 P (mg/dl) 3.3 GGT (U/l) 0 T-cho (mg/dl) Ca (mg/dl) 9 Na (mg/dl) 144 K (mg/dl) 3.9 Cl (mg/dl) 119 246 Tbil (mg/dl) <0.1 Glu (mg/dl) 135 Trig (mg/dl) 2835 (100-1400) >375(10-100) 375 膵炎治癒後の抗高脂血症治療1 エラスターゼ:1800EL.U., エラスターゼ:1800EL.U., B.I.D. 4週間 ↓ クリノフィブラート 6.4㎎ 6.4㎎/㎏ , B.I.D. B.I.D. (CoQ10: CoQ10:5㎎ S.I.D.で S.I.D.で併用) 併用) ↓ 漸増 ↓ T.I.D.( T.I.D.(13.3㎎ 13.3㎎/㎏×2 ㎏×2,26.6㎎ 26.6㎎/㎏×1 ㎏×1) 約1年 ↓ 膵炎治癒後の抗高脂血症治療2 フェノフィブラートへ変更 (CoQ10: CoQ10:5㎎ S.I.D. 継続) 継続) 3㎎/㎏ S.I.D. 4週間 ↓ 3㎎/㎏ E.O.D. 4週間 ↓ 2㎎/㎏ S.I.D. 投与中 治療経過および血中トリグリセリド値 CHOL 300 TRIG 200 100 0 3/5 4/5 5/5 エラス ターゼ 6/5 7/5 8/5 9/5 10/5 11/5 12/5 1/5 クリノフィブラート 2/5 3/5 4/5 5/5 6/5 7/5 8/5 9/5 10/5 フェノフィブラート LipoTESTの推移 膵炎治癒後 クリノフィブラート開始 3ヵ月 フェノフィブラート開始 1ヵ月半 中性脂肪 コレステロール フェノフィブラート開始 4ヵ ヵ月 まとめ 猫の高TG 猫の高TG血症の治療において、クリノフィブラート TG血症の治療において、クリノフィブラート 系薬剤で効果が認められなかった症例に、フェノ フィブラート系薬剤を投与したところ、速やかな反応 がみられた。 フェノフィブラートの投与間隔は、E.O.D フェノフィブラートの投与間隔は、E.O.Dで、 E.O.Dで、TG で、TG値の TG値の 上昇を認めた。 上昇を認めた。 投与量は、より高用量の 投与量は、より高用量の方が 、より高用量の方がTG 方がTG値を下げた。 TG値を下げた。 まとめ 現在のところ、理想体重へ減量、維持できており、 臨床症状の発現もなく、血液生化学検査において 肝酵素の上昇等、副作用は認められていない。 考察 ヒトにおいて、フェノフィブラート系薬剤で肝 ヒトにおいて、フェノフィブラート系薬剤で肝酵素の 、フェノフィブラート系薬剤で肝酵素の上 酵素の上 昇が報告されている。これは、投与前TG 昇が報告されている。これは、投与前TG、 TG、γ-GTP、 GTP、 ALT値が ALT値が高値 値が高値の 高値の患者、 患者、BMI低値の女性に多く認めら BMI低値の女性に多く認めら れるため、 れるため、TG値 TG値が劇的に下がった本症例 が劇的に下がった本症例で 本症例でも綿密に モニターして モニターしていく必要があろう。 していく必要があろう。 考察 本症例の高TG 本症例の高TG血症 TG血症が 血症が膵炎発症以前に存在していた かは不明である かは不明である。ネコにおいてリポ 不明である。ネコにおいてリポ蛋白リパーゼ 。ネコにおいてリポ蛋白リパーゼ欠損 蛋白リパーゼ欠損 症の報告があり、カイロミクロンが著しく上昇 症の報告があり、カイロミクロンが著しく上昇する が著しく上昇する本疾 する本疾 患では、 患では、膵炎を来し易い。 膵炎を来し易い。 本症例に 本症例において、高脂血症の治療は投薬中止によっ てTG値の上昇が認められたことから、生涯治療が必 TG値の上昇が認められたことから、生涯治療が必 要かもしれない。 考察 フェノフィブラートはネコの高脂血症 フェノフィブラートはネコの高脂血症に はネコの高脂血症に対しても有効 であった。 投与間隔は1日1回、用量は今後調節する 投与間隔は1日1回、用量は今後調節する必要が 1回、用量は今後調節する必要が あろう。 ネコの高脂血症にフェノフィブラート系薬剤を使用し ネコの高脂血症にフェノフィブラート系薬剤を使用し た報告はなく、今後はデータの蓄積が必要であろう 報告はなく、今後はデータの蓄積が必要であろう。 の蓄積が必要であろう。 謝辞 LipoTEST並びに抗高脂血症薬の情報提供をしてくだ LipoTEST並びに抗高脂血症薬の情報提供をしてくだ さった株式会社スペクトラムラボジャパンの荒井延明 先生に深くお礼申し上げます。