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REIT NEWSLETTER 2015年5月号(Vol. 1)PDF

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REIT NEWSLETTER 2015年5月号(Vol. 1)PDF
REIT NEWSLETTER
2015 年 5 月号(Vol.1)
会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う
投資法人法制への影響について
Ⅰ. はじめに
森・濱田松本法律事務所
Ⅱ. 資金調達の場面における改正
弁護士 尾本 太郎
TEL. 03 6312 8307
[email protected]
Ⅲ. 組織再編の場面における改正
Ⅳ. キャッシュ・アウトの場面における改正
Ⅴ. 会社法の改正に伴うその他の改正
Ⅵ. 税会不一致の解消
弁護士 金光 由以
TEL. 03 6213 8107
[email protected]
弁護士 坂㞍 健輔
TEL. 03 6213 8108
[email protected]
弁護士 高田 和佳
TEL. 03 6213 8113
[email protected]
Ⅰ.
はじめに
平成 26 年 6 月 27 日、
「会社法の一部を改正する法律」
(以下「改正法」といい、改
正法が施行された後の会社法を以下「改正会社法」といいます。
)及び「会社法の一部
を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」
(以下「整備法」といい
ます。
)が公布されました。改正法及び整備法の内容は多岐にわたっていますが、その
中には、投資法人法制に影響をもたらす改正も含まれています。また、平成 27 年 1
月 28 日、改正法及び整備法の施行に伴う金融庁関係政令の整備に関する政令が公布
され、所要の規定の整備が行われました。これらの関係法令は、平成 27 年 5 月 1 日
から施行されています。
また、平成 27 年度税制改正に伴い、平成 27 年 3 月 31 日、
「投資法人の計算に関す
る規則の一部を改正する内閣府令」
(同府令施行後の投資法人の計算に関する規則を以
下「改正投資法人計算規則」といいます。)が公布されました。同内閣府令は、租税特
別措置法施行規則等の一部を改正する省令等の施行にあわせ、平成 27 年 4 月 1 日か
ら施行されています。
本ニュースレターにおいては、改正法の施行に伴う各関係法令の改正内容及び改正
投資法人計算規則等の内容について概観します。なお、改正制度の詳細すべてを記載
しているわけではないこと及び記載した改正制度には経過措置が設けられている場合
があることにご留意下さい。
当事務所は、本書において法的アドバイスを提供するものではありません。具体的案件については個別の状況に応じて弁護士にご相談頂きますようお願い申し上げます。
© 2015 Mori Hamada & Matsumoto. All rights reserved.
REIT NEWSLETTER
Ⅱ.
資金調達の場面における改正
1.新投資口予約権無償割当てに関する割当通知
改正前の会社法のもとでは、新株予約権無償割当てを用いた資金調達方法(いわ
ゆるライツ・オファリング)による資金調達を普及させる観点から、ライツ・オフ
ァリングの実施に要する期間を短縮することができるように、割当通知の在り方を
見直すべきであるとの指摘がされていました。
改正前の会社法では、新株予約権の無償割当ての効力発生日から権利行使期間の
初日の 2 週間前までの間に、株主及び登録株式質権者に新株予約権の内容及び数等
を通知(割当通知)する必要があります。しかし、新株予約権の株主確定日から株
主を確定し割当通知の印刷・送付作業等を行うまでには約 2 週間は要するため、株
主確定日から権利行使期間の初日まで約 1 か月を要することとなり、その間、発行
会社、引受証券会社、株主等は、株価変動のリスクにさらされることとなります。
一方、新株予約権無償割当てを受けた株主が行使の準備をする時間的余裕を与える
という趣旨からは、割当通知は新株予約権の行使期間の末日の 2 週間前までにされ
れば足りるのではないかと考えられるとともに、割当通知は、新株予約権無償割当
てにより変更された株主の権利内容を株主及び登録株式質権者に知らせるという機
能を有することから、割当通知は、新株予約権無償割当ての効力発生日後遅滞なく
される必要があるものと考えられました。
そこで、改正会社法では、新株予約権の割当通知は、割当ての効力発生日後遅滞
なくしなければならないとするとともに(改正会社法第 279 条第 2 項)
、行使期間
の末日が当該通知の日から 2 週間を経過する日前に到来するときは、当該行使期間
が当該通知の日から 2 週間を経過する日まで延長されるものとみなされることとな
りました(同第 279 条第 3 項)
。
整備法が施行された後の投資信託及び投資法人に関する法律(以下「改正投信法」
といい、整備法により規定が改正されていない場合は「投信法」といいます。)では、
ライツ・オファリングに関する割当通知について、会社法と同様の改正がなされま
した。すなわち、投資法人は、新投資口予約権無償割当ての効力が生ずる日後遅滞
なく1、投資主及びその登録投資口質権者に対し、当該投資主が割当てを受けた新投
資口予約権の内容及び数を通知しなければならない旨定められたほか(改正投信法
第 88 条の 15 第 2 項)、行使期間の末日が当該通知の日から 2 週間を経過する日前
に到来するときは、同行使期間は、当該通知の日から 2 週間を経過する日まで延長
されたものとみなされることとなりました(同第 88 条の 15 第 3 項)。
1
改正前の投信法では、改正前の会社法同様、新投資口予約権の行使期間の初日の 2 週間前までに、
割当通知をする必要があるとされていました。
当事務所は、本書において法的アドバイスを提供するものではありません。具体的案件については個別の状況に応じて弁護士にご相談頂きますようお願い申し上げます。
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REIT NEWSLETTER
2.払込み等の仮装に関する規律
会社法の改正前において、募集株式の発行等で払込みが仮装された場合について、
出資の履行を仮装した引受人や仮装に関与した取締役等に責任を課す規定がなかっ
たことから、改正法では払込み等の仮装に関する規律が見直されました。これに伴
い、改正投信法にも同様の改正がなされたほか、投信法の準用先の会社法が改正さ
れたことで、投資法人における仮装払込み等に関する規律が以下の通り整備されま
した2。

募集投資口の引受人は、募集投資口の払込みを仮装した場合、投資法人に対し、
仮装した払込金額の全額の支払義務を負います(改正投信法第 84 条第 1 項、
改正会社法第 213 条の 2 第 1 項第 1 号3)。この募集投資口の引受人が負う義務
は、総投資主の同意がなければ免除することができません(改正投信法第 84
条第 1 項、改正会社法第 213 条の 2 第 2 項)。

出資の履行を仮装することに関与した執行役員及び監督役員として内閣府令で
定める者は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合4
を除き、投資法人に対し、募集投資口の引受人と連帯して払込金額の全額の支
払義務を負います(改正投信法第 84 条第 1 項、改正会社法第 213 条の 3)5。

募集投資口の引受人は、仮装した払込金額の全額の支払が改めてなされた後で
なければ、出資の履行を仮装した募集投資口について、投資主の権利を行使す
ることができません(投信法第 84 条第 1 項、改正会社法第 209 条第 2 項)
。募
集投資口を譲り受けた者は、悪意又は重過失がない限り、当該投資口について
の投資主の権利を行使することができます(投信法第 84 条第 1 項、改正会社
法第 209 条第 3 項)
。

上記出資の履行を仮装した募集投資口の引受人及びそれに関与した執行役員及
び監督役員の義務は、投資主代表訴訟による責任追及の対象となります(投信
法第 84 条第 4 項、第 116 条、改正会社法第 847 条第 1 項)
。なお、出資の履行
を仮装した募集投資口の引受人に対する責任追及の訴えに係る訴訟における和
解をする場合には、総投資主の同意は要しません(投信法第 84 条第 4 項、改
正会社法第 850 条第 4 項、同第 213 条の 2 第 2 項)
。
2
募集新投資口予約権の行使についても、募集投資口の発行と同様の改正がされています。該当条文
については、次頁の表 1 をご参照下さい。
3
投信法上、現物出資に関する会社法の規定は準用されていません。
4
なお、出資の履行を仮装した執行役員及び監督役員は、このような証明により義務を免れることは
できないものとされています(改正投信法第 84 条第 1 項、改正会社法第 213 条の 3 第 1 項但書括弧
書)。
5
出資の履行を仮装することに関与した執行役員及び監督役員は、出資の履行の仮装によって自らが
利益を得るわけではないこと等を踏まえ、この執行役員及び監督役員の義務の免除については、総投
資主の同意を要することとはされていません。
当事務所は、本書において法的アドバイスを提供するものではありません。具体的案件については個別の状況に応じて弁護士にご相談頂きますようお願い申し上げます。
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REIT NEWSLETTER
表 1 改正投信法における仮装払込み6
募集投資口の発行
募集投資口の引受人
責任主体
(投信法第 84 条第 1 項、
引受人の責任
会社法第 213 条の 2 第 1 項第 1 号)
免除要件
関与した執行役員及び監督役員の責任
責任主体
募集新投資口予約権の引受人
(投信法第 88 条の 17 第 3 項、
会社法第 286 条の 2 第 1 項 2 号)
総投資主の同意
(投信法第 84 条第 1 項、
(投信法第 88 条の 17 第 3 項、
会社法第 213 条の 2 第 2 項)
会社法第 286 条の 2 第 2 項)
執行役員及び監督役員
執行役員及び監督役員
(投信法第 84 条第 1 項、
(投信法第 88 条の 17 第 3 項、
会社法第 213 条の 3)
会社法第 286 条の 3)
―
―
会社法第 213 条の 2 第 1 項第 1 号又は
会社法第 286 条の 2 第 1 項第 2 号
第 213 条の 3 第 1 項の規定による
又は
支払があるまで行使不可
第 286 条の 3 第 1 項の規定による
(投信法第 84 条第 1 項、
支払があるまで不可
会社法第 209 条 2 項)
(投信法第 88 条の 18 第 2 項)
投資主権の行使
悪意又は重過失がある場合を除き、
譲受人
行使した新投資口予約権者のうち
総投資主の同意
免除要件
払込義務者
7
募集新投資口予約権の行使
行使可
(投信法第 84 条 1 項、
会社法第 209 条 3 項)
悪意又は重過失がある場合を除き、
行使可
(投信法第 88 条の 18 第 3 項)
※表中の「投信法」には「改正投信法」も含まれます。
※表中の「会社法」は「改正会社法」をいいます。
6
投信法上、設立時の仮装払込みに関する規定は準用されていません。
投信法上、募集新株予約権の発行に際しての仮装払込みに関する規定は募集新投資口予約権の発行
には準用されていません。
7
当事務所は、本書において法的アドバイスを提供するものではありません。具体的案件については個別の状況に応じて弁護士にご相談頂きますようお願い申し上げます。
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Ⅲ.
組織再編の場面における改正
1.投資口買取請求
(1)撤回の制限の実効化
改正前の会社法のもとでは、会社の組織再編等に際し、株式買取請求を行った反
対株主が株式買取請求を撤回するためには、会社の承諾が必要とされていました。
しかし、買取対象の振替株式や株券が反対株主のもとに残されていたため、市場や
相対で売却することが可能であり、事実上株式買取請求を撤回することが可能であ
ることが指摘されていました。そこで、改正会社法では株式買取請求の撤回の制限
の実効化が図られ、これに伴い、投資法人における投資口買取請求の撤回に関して
も、以下の改正がなされました。
ア.買取口座制度
整備法が施行された後の社債、株式等の振替に関する法律(以下「改正振替
法」といいます。
)では、以下のとおり買取口座(投資口買取請求に係る振替を
行うための口座)の制度が創設されました。なお、上場投資法人の発行する投
資口は、振替投資口として電子管理されています。
 振替投資口の発行者が、投資口買取請求権が問題となる投資口の払戻しの
請求に応じないこととする規約の変更又は合併をしようとする場合には、
既に買取口座があるとき等でない限り、振替機関等に対し、買取口座の開
設の申出をしなければなりません(改正振替法第 228 条、第 155 条第 1
項)。また、発行者が投資口買取請求に関する通知に代えて公告をする場
合には、併せて買取口座を公告しなければなりません(改正振替法第 228
条、第 155 条第 2 項)
。
 振替投資口の投資主は、振替投資口の買取請求をしようとするときは、当
該振替投資口について買取口座を振替先口座とする振替の申請をしなけ
ればなりません(改正振替法第 228 条、第 155 条第 3 項)8。かかる振替
申請をする投資主以外の加入者は、買取口座を振替先口座とする振替の申
請をすることができません(改正振替法第 228 条、第 155 条第 7 項)
。
 振替投資口の発行者は、上記規約の変更又は合併の効力発生日までは、買
取口座に記載され、又は記録された振替投資口について、当該発行者の口
座を振替先口座とする振替の申請をすることができません(改正振替法第
228 条、第 155 条第 4 項)
。一方、振替投資口の発行者は、投資主からの
投資口買取請求の撤回を承諾したときは、遅滞なく、買取口座に記録され、
又は記録された振替投資口について当該投資主の振替口座を振替先口座
8
当該申請をせずにされた投資口買取請求は、無効になるものと解されています。
当事務所は、本書において法的アドバイスを提供するものではありません。具体的案件については個別の状況に応じて弁護士にご相談頂きますようお願い申し上げます。
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とする振替の申請をしなければなりません(改正振替法第 228 条、第 155
条第 5 項)
。
 振替投資口の発行者は、買取口座に記載され、又は記録された振替投資口
については、当該発行者又は振替申請をした振替投資口の投資主の口座以
外の口座を振替先口座とする振替の申請をすることができません(改正振
替法第 228 条、第 155 条第 6 項)
。
イ.投資証券の提出
投資証券が発行されている場合9、投資主の手元に投資証券が残されたままで
あると、投資主が当該投資口を売却することが事実上可能な状態であるといえ
ます。そこで、投資口の払戻しの請求に応じないこととする規約の変更又は合
併に関して投資口買取請求をしようとする投資主は、投資法人に対し、当該投
資口に係る投資証券を提出しなければならないものとされました(以下、本項
から(3)までに関する条文の適用関係については、表 2 をご参照下さい。
)10。
ウ.投資主名簿の名義書換請求
投資証券が発行されていない場合も、投資口の譲渡は意思表示のみによって
可能であるため、投資主が当該投資口を売却することが事実上可能であるとい
えます。そこで、投資口取得者は、投資法人に対して、投資口買取請求に係る
投資口について、投資口名簿の名義書換を請求できないものとされました。
(2)投資口買取請求の効力発生日
会社法の改正前は、買取請求の効力発生時点が不統一であり、組織再編等の効力
発生日に効力が発生するという規定と代金支払時に効力が発生するという規定の
両方がありました。後者の場合、買取りの効力が当該株式の代金支払の時に生ずる
ことから買取請求をした株主が不当に利益を得ることができ得ると指摘されてい
たため11、改正会社法では、株主買取請求に係る当該株式の買取りについての効力
発生時点が組織再編等の効力発生日に統一されました12。これに伴い、投資口買取
9
上場投資法人の発行する投資口は証券保管振替機構の行う株式等振替制度のもとで振替投資口とし
て電子管理されるところ、振替投資口について、投資証券を発行することはできませんので(振替法
第 227 条第 1 項)、これは上場投資法人以外が発行する投資口の場合ということになります。
10
投資証券を喪失した投資主が買取請求をするためには、非訟事件手続法第 114 条の公示催告の申立
てが必要となります(各適用条文の但書)。
11
株式買取請求後株式の買取りの効力が生じるまでの間、当該株主は、当該株式に係る剰余金配当受
領権等の権利を有すると解し得る一方で、株式買取請求を受けた会社は、価格決定の申立てにつき裁
判所の決定する価格に対し、効力発生日から 60 日が経過した後年 6 分の利息を支払わなければなら
いとされており(会社法第 786 条第 4 項等)
、その結果、株式買取請求をした株主は、その代金につ
き年 6 分の利息を受領するとともに、剰余金配当請求権も有し得るという、いわば二重取りをするこ
とができる可能性が指摘されていました。
12
なお、新設合併については、買取請求の効力は設立会社の成立の日に生じるとされていますが(改
正会社法第 807 条第 6 項)
、新設合併の効力は、新設会社の設立の登記による成立(会社法第 49 条)
によって生じるとされているので(会社法第 754 条)、実質的には組織再編等の効力発生日に買取請
求の効力が生じるといえます。投信法においても、会社法と同様、新設合併の効力は、新設合併設立
法人の設立の登記による成立
(投信法第 74 条)によって生じるとされています(投信法第 148 条の 2)
。
当事務所は、本書において法的アドバイスを提供するものではありません。具体的案件については個別の状況に応じて弁護士にご相談頂きますようお願い申し上げます。
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請求に係る投資口の買取りの効力についても、同様に効力発生日が統一されました。
(3)投資口価格決定前の支払制度(仮払制度)
会社法のもとでは、株式買取請求に係る株式について、裁判所に価格決定の申立
てがされた場合、当該申立ての当事者となる会社は、組織再編等の効力発生日から
60 日の期間の満了の日後、年 6 分の利率の法定利息を支払う必要があります(会
社法第 786 条第 4 項等)
。しかし、年 6 分の利率は現在の経済状況に照らして高水
準であることから、株式買取請求の濫訴を招く原因になっているとの指摘がされて
おり、会社の利息負担の軽減を可能とするとともに、株式買取請求の濫訴を防止す
るための制度(仮払制度)が創設されました。
改正投信法においても、投資口買取請求があった場合、投資法人は、投資口の価
格の決定があるまで、投資主に対し、当該投資法人が公正な価格と認める額を支払
うことができるものとされました。この仮払制度のもとでは、投資主がその受領を
拒絶した場合、投資法人は弁済供託をすることができます(民法第 494 条)。
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表 2 適用条文
投資証券の提出
とする規約の変更
合併
仮払制度
(会社法)
(会社法)
(会社法)
(会社法)
116 条 6 項
116 条 9 項
117 条 6 項
117 条 5 項
(投信法)
149 条の 3 第 4 項
買取
請求
効力発生日
141 条 5 項
投資口
吸収
名義書換請求
(投信法)
投資口の払戻の請
求に応じないこと
投資主名簿の
(会社法)
(会社法)
(会社法)
(会社法)
785 条 6 項
785 条 9 項
786 条 6 項
786 条 5 項
消滅
新投資
(投信法)
法人
口予約
149 条の 3 の 2 第 4 項
権買取
(会社法)
(会社法)
(会社法)
(会社法)
請求
787 条 6 項
787 条 10 項
788 条 6 項
788 条 5 項
(投信法)
投資口
149 条の 8 第 4 項
買取
吸収
請求
合併
存続
新投資
法人
口予約
(会社法)
(会社法)
(会社法)
(会社法)
797 条 6 項
797 条 9 項
798 条 6 項
798 条 5 項
-
権買取
請求
(投信法)
投資口
149 条の 13 第 4 項
買取
請求
新設
合併
(会社法)
(会社法)
(会社法)
(会社法)
806 条 6 項
806 条 9 項
807 条 6 項
807 条 5 項
新投資
(投信法)
口予約
149 条の 13 の 2 第 4 項
権買取
(会社法)
(会社法)
(会社法)
(会社法)
請求
808 条 6 項
808 条 10 項
809 条 6 項
809 条 5 項
※表中の「投信法」には「改正投信法」も含まれます。
※表中の「会社法」は「改正会社法」をいいます。
当事務所は、本書において法的アドバイスを提供するものではありません。具体的案件については個別の状況に応じて弁護士にご相談頂きますようお願い申し上げます。
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2.合併の差止請求
改正会社法では、略式組織再編に限り認められていた組織再編の差止請求につい
て、事前救済手段としての一般的な差止請求に係る規定が新設されることとなりま
した13。改正投信法においても、投資法人の吸収合併及び新設合併について、投資
主は、当該合併が法令又は規約に違反する場合であって、投資主が不利益を受ける
おそれがあるときは、当該投資法人に対し、当該合併をやめることを請求すること
ができるものとされることとなりました(改正投信法第 150 条、改正会社法第 784
条の 2、第 796 条の 2、第 805 条の 2)
。
Ⅳ.
キャッシュ・アウトの場面における改正
1.投資口の併合
改正会社法では、株式の併合の端数処理によるキャッシュ・アウトについて、端
数となる株式の株主を保護するための規律が見直され、投信法においても、以下の
手続的な規律についても整備されました14。

投資口の併合をする投資法人は、投資主総会の日の 2 週間前の日から効力発生
日後 6 か月を経過する日までの間、投資口の併合に関する事項を記載又は記録
した書面又は電磁的記録を本店に備え置かなければなりません(事前開示手続。
改正投信法第 81 条の 2 第 2 項、改正会社法第 182 条の 2 第 1 項)15。

投資口の併合をした投資法人は、効力発生後遅滞なく、投資口の併合に関する
事項を記載又は記録した書面又は電磁的記録を作成し、効力発生日から 6 か月
間本店に備え置かなければなりません(事後開示手続。改正投信法第 81 条の 2
第 2 項、改正会社法第 182 条の 6 第 1 項及び第 2 項)16。

投資口の併合が法令又は規約に違反する場合において、投資主が不利益を受け
るおそれがあるときは、投資主は、投資法人に対し、当該投資口の併合をやめ
ることを請求することができます(差止請求。改正投信法第 81 条の 2 第 2 項、
改正会社法第 182 条の 3)。
13
もっとも、いわゆる簡易組織再編の場合(会社法第 784 条第 2 項等)には、当該簡易組織再編の差
止めを請求することができないとされています(改正会社法第 784 条の 2 但書等)。同様に、投資法
人における簡易合併の差止請求はできないとされています(改正投信法第 150 条、改正会社法第 784
条の 2 但書等)。
14
投信法上、株式の併合に関する反対株主の株式買取請求の規定(改正会社法第 182 条の 4)は準用
されていません。
15
事前開示手続違反は罰金刑(100 万円以下の過料)の対象となります(改正投信法第 249 条第 7 号)。
また、投資主は、事前開示手続に係る書類等の閲覧等を請求することができます(改正投信法第 81
条の 2 第 2 項、改正会社法第 182 条の 2 第 2 項)。
16
事後開示手続違反も罰金刑の対象となります(改正投信法第 249 条第 7 号)
。また、投資主は、事
後開示手続に係る書類等の閲覧等を請求することができます(改正投信法第 81 条の 2 第 2 項、改正
会社法第 182 条の 6 第 3 項)。
当事務所は、本書において法的アドバイスを提供するものではありません。具体的案件については個別の状況に応じて弁護士にご相談頂きますようお願い申し上げます。
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2.創立総会・投資主総会の決議の取消しの訴えの原告適格
改正会社法では、株主総会等17の決議の取消しの訴えにつき、決議取消しの結果
として、株主の地位を回復する可能性がある者についても原告適格を認める明文規
定が置かれました。これにより、例えば、キャッシュ・アウトによって株主として
の地位を失った者が、株主の地位を失う原因となった株主総会決議を取り消すこと
で、株主としての地位を回復することが明文上可能となりました。
投資法人においても同様に、創立総会・投資主総会の決議取消しの結果、投資主
の地位を回復する可能性がある者に、かかる創立総会・投資主総会の決議の取消し
の訴えの原告適格が認められることとなりました(投信法第 73 条第 4 項、第 94 条
第 2 項、改正会社法第 831 条第 1 項)
。
Ⅴ.
会社法の改正に伴うその他の改正
1.規約変更の際の通知・公告制度の整備
改正投信法により、投資法人は、規約を変更して投資口の払戻しの請求に応じな
いこととする場合、同規約の変更の効力発生日の 20 日前までに、投資主に対し、
当該変更をする旨を通知又は公告しなければならないこととなりました(改正投信
法第 141 条第 2 項及び第 3 項)
。
2.インサイダー取引規制
会社法の改正に伴い、金融商品取引法施行令の一部が改正され(以下「改正金商
法施行令」といいます。)
、インサイダー取引規制の重要事実が追加されました。会
社法改正により創設された株式等売渡請求制度に関して、特別支配株主が上場投資
法人等の資産運用会社に係る株式等売渡請求を行うこと(又は行わないこと)を決
定したことが、上場投資法人等の資産運用会社に発生した事実に係る重要事実に追
加されました(改正金商法施行令第 29 条の 2 の 5 第 6 号)
。
3.適時開示
会社法の改正に伴い、東京証券取引所の有価証券上場規程も改正され、特別支配
株主が上場投資法人の資産運用会社に係る株式等売渡請求を行うこと(又は行わな
いこと)についての決定をしたことが適時開示事由に追加されました(改正後の東
京証券取引所有価証券上場規程第 1213 条第 2 項(1)d(k))
。
17
株主総会若しくは種類株主総会又は創立総会若しくは種類創立総会をいいます(改正会社法第 830
条第 1 項)
。
当事務所は、本書において法的アドバイスを提供するものではありません。具体的案件については個別の状況に応じて弁護士にご相談頂きますようお願い申し上げます。
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Ⅵ.
税会不一致の解消
1.平成 27 年度税制改正以前
平成 27 年度税制改正以前は、投資法人の税制において、会計と税務の処理の差
異(税会不一致)に伴い、会計上の利益を上回る税務上の利益を分配(利益超過分
配)する場合等に、利益超過分配する分は税務上損金算入できないため課税が発生
するという問題を抱えていました。そこで、平成 27 年度税制改正大綱において、
①利益を超える金銭の分配の額のうち一時差異等調整引当額(仮称)の増加額に相
当する金額を、配当等の額(現行
資本の払戻しの額)とする(所得税についても
同様とする。)
、②投資法人に係る課税の特例について、支払配当等の額が配当可能
利益の額の 90%を超えていることとする要件における配当可能利益の額から一時
差異等調整積立金(仮称)の増加額を控除する等の措置を講ずる、という 2 点を中
心として、投資法人税制を改正することが定められました。
2.平成 27 年改正の内容
この税制改正大綱に従い、投資法人における税会不一致の問題を解消するために、
平成 27 年度税制改正が行われ、一時差異等調整引当額18及び一時差異等調整積立金
19
という概念が新たに創設されました。
改正前は、税会不一致が生じた場合(合併に伴うのれん償却、定期借地権の償却
又は減損損失の場合が例として挙げられます。
)に会計上の利益を超えた部分は分配
をしても投資法人段階において課税対象となっていましたが、一時差異等調整引当
額の創設により、一時差異等調整引当額の分配については税務上配当として扱われ、
投資法人段階で損金算入することができるようになりました(個人投資主につき改
正所得税法第 25 条第 1 項第 3 号。法人投資主につき、改正法人税法第 24 条第 1 項
第 3 号)
。
また、租税特別措置法施行令第 39 条の 32 の 3 に規定する配当可能利益の額又は
配当可能額の 90%超の分配を行うべきとする要件の判定において、負ののれん発生
益等を一時差異等調整積立金として積み立てることで配当可能利益の額に含めない
ことが可能となりました。これに伴い、従来の負ののれんに関する特別規定はこの
18
「一時差異等調整引当額」とは、投信法第 137 条第 1 項本文の規定により、利益を超えて投資主に分
配された金額のうち、所得超過税会不一致(益金の額から損金の額を控除して得た額が、収益等の合
計額から費用(ただし、交際費、寄付金等のいわゆる永久差異に相当するものは除かれています。
)等
の合計額を控除して得た額を超える場合における税会不一致をいいます。
)の額および純資産控除項目
(改正投資法人計算規則 39 条 1 項 2 号及び 3 号ならびに同条 2 項 2 号および 4 号に掲げる額の合計
額が負となる場合における当該合計額をいいます。)の額の合計額の範囲内において、利益処分に充当
するものをいいます(改正投資法人計算規則第 2 条第 2 項第 30 号)
。
19
「一時差異等調整積立金」とは、投資法人が、金銭の分配に係る計算書に基づき積み立てた任意積立
金のうち、利益超過税会不一致(収益等の合計額から費用等の合計額を控除して得た額が、益金の額
から損金の額を控除して得た額を超える場合における税会不一致をいいます。)の範囲内において、将
来の利益処分に充当する目的のために留保したものをいいます(改正投資法人計算規則第 2 条第 2 項
第 31 号)。
当事務所は、本書において法的アドバイスを提供するものではありません。具体的案件については個別の状況に応じて弁護士にご相談頂きますようお願い申し上げます。
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新たな制度に一本化されることが想定されています。
さらに、平成 27 年度税制改正により、負ののれんの将来分加算に係る土地紐付
け方式を認める改正前租税特別措置法施行規則 22 条の 19 第 5 項・6 項が削除され
たことに伴い、投資法人の規約において不動産等への投資を 100 分の 70 以上とす
る規定が不要となります。
改正投資法人計算規則は、平成 27 年 4 月 1 日以降に開始する営業期間から適用
され、改正後の租税特別措置法施行規則は、平成 27 年 4 月 1 日以降に開始する事
業年度分の法人税から適用されます。
NEWS

名古屋オフィス開設のお知らせ
当事務所は、この度、東海地区のクライアントの皆様の拠点設置へのご要望にお
応えするため、名古屋オフィスを開設することを決定いたしました。
名古屋オフィスには、M&A、会社法関連業務、アジア業務、税務等において豊富
な経験を有する小島 義博弁護士及びアソシエイト弁護士複数名が所属し、案件に
応じて東京オフィス等の弁護士とも共同して、M&A、会社法関連業務、独禁法、
危機対応、アジア業務、知財、ファイナンス、税務等の幅広い分野のリーガル・
ニーズにお応えしてまいります。さらに、クロスボーダーの M&A やアジア業務
等につきましては、国内拠点のみならず、北京、上海、シンガポール、バンコク、
ヤンゴンを含めた海外の各拠点と連携をとりながら、東海地区のクライアントの
皆様に充実した最先端のリーガル・サービスを提供してまいります。
名古屋オフィスの開設については、2015 年 9 月のスタートを目指しております。
開設日・オフィスの所在地等の詳細が決まりましたら、改めてお知らせいたしま
す。
※
名古屋オフィスは、弁護士法人森・濱田松本法律事務所の従事務所として開
設する予定です。
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
バンコクオフィス業務開始のお知らせ
当事務所は、2012 年にシンガポールオフィス、2014 年にはヤンゴンオフィスを
開設し、アジアの新興国特有の諸問題にかかわるノウハウと豊富なクロスボーダ
ー案件の経験を活かして、クライアントの皆様にリーガル・サポートを提供して
まいりました。
また、
タイにおいては、
提携関係を有している Chandler & Thong-ek
法律事務所に、二見 英知弁護士が常駐する MHM バンコクデスクを設け、同国に
おける皆様のご活動のサポートを実施してまいりました。
近時、アジア新興国の中でも特に成長著しいタイにおいては、複雑な案件が急増
するとともに、現地におけるサポートの必要性が一段と高まってきております。
当事務所は、時代の変化や多様化するリーガルニーズに応えつつ最良のクライア
ント・サービスを提供することを常に使命としており、タイ現地におけるサービ
スの提供体制をより一層強化すべく、今般、MHM バンコクデスクを改変し、新た
にオフィスを設けることを決定し、2015 年 4 月 1 日より開業いたしました。
バンコクオフィスでは、35 年を超える国際取引の実務経験を有するパートナーの
米 正剛弁護士が代表を務めるほか、引き続き二見 英知弁護士が常駐して業務を
提供いたします。さらに、クロスボーダー案件につき豊富な経験を有する秋本 誠
司弁護士が新たに常駐いたします。バンコクオフィスは、東京・大阪・福岡の各
オフィスにおけるタイ案件の豊富な経験を有する弁護士と、また同地域に所在す
るシンガポールオフィス、ヤンゴンオフィスの弁護士とも緊密に協働しながら、
クライアントの皆様をサポートしてまいります。
当事務所は、今後とも、東京、大阪、福岡、北京、上海、シンガポール、ヤンゴ
ン、そして新たに加わるバンコクの各オフィス・全弁護士が一丸となって、より
一層クライアントの皆様のお役に立てるよう尽力してまいりますので、何卒宜し
くお願い申し上げます。
(当事務所に関するお問い合せ)
森・濱田松本法律事務所 広報担当
[email protected]
03-6212-8330
www.mhmjapan.com
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