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全方向移重力車のコンピュータ制御 - 津山工業高等専門学校リポジトリ

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全方向移重力車のコンピュータ制御 - 津山工業高等専門学校リポジトリ
NDC 501.9
全方向移動車のコンピュータ制御
大西輝国*橋野 賢**
中 野 栄 二**
(昭和61年8月30日受付)
Computer Control of a Omni−Directional Vehicle
Teruhisa ONISHI Satoshi HASHINO Eiji NAKANO
This paper deals with a cotrol method of the ODV一 ! (Omni−Directional Vehicle−1) which is developed in
Mechanical Engineering Laboratory. This vehicle has unigue characteristic to be driven for omni−direction very
smoothly. This behicle was controlled by 12 bits−microcomputer. But in order to increase the efficency of software
development, new system by 16bits−microcomputer has been developed. ln this system, the FORTH language is
adapted for high software efficency. New control method which is application of rotaion mode is presented. By us−
ing this method, the ODV−1 can reach the destination point at designeted heading angle.
1。緒 言
工場,病院等で作業するロボットの移動部として,様々
な方式が考案され研究されている。ODV−1(OMNI
DIRECTIONAL VEHICLE−1)は,機械技術研究所で
駆動軸
/
操舵軸
/
開発された全方向移動機能を備えた最初の移動機械であ
る。従来12ビットCMOSマイクロコンピュータで制御さ
れてきたが,開発効率の相対的低下等の問題が生じて来た
多多多
ので,今回16ビットマイクロプロセッサを用いたシステム
を構成し,FORTH言語を使用してソフトウエアの開発
効率の向上を計った。そして二点問の移動と姿勢制御を同
N星
R2
Z
時に行う方式を提案し,既存設備を利用した誘導をめざし
て廊下に於けるガイド走行の基礎実験を行ったので報告す
し
るQ
恥」
2.ODV−1の機構
〆車輸
狭い室内で使用される移動機械は,小回りの利く機構を
持たなければならない。その一つの方式として全方向移動
機構が考案された。ODV−1の全方向移動車の操舵機構
の原理を図1に示す。駆動軸は,歯車比Nl:N2の傘歯車
*津山工業高等専門学校
**工業技術院機械技術研究所
一39一
Fig. 1 Steering mechanism of ODV−1.
津山高専紀要 第24号 (1986)
を介して車輪に接続されている。車輪は,駆動軸とオフ
更に自律的に移動を行う為に,次のようなセンサが取り
セットR1の距離をもって取りつけられており,半径R2
つけられている。駆動用モータの回転数は,タコゼネレー
の駆動輪が滑らかな操舵を行なう為に,N、/N2=R、/R2
タで計測される。操舵角は,操舵軸に取りつけたポテンショ
の関係が保たれている。図1に示す駆動輪と駆動部を持
メータで測定される。障害物またはガイド対象物との距離
たない従輪が一つのペアをなし,前輪,後輪を形成して
を計測するために四個の超音波センサが,図2に示すよう
いる。図2は,全方向移動機構ODV−1の概略図である。
に車体側面に取りつけられている。また位置校正用に車体
対角二輪を駆動輪,他の対角二輪を従輪とし,前二輪及
の中央には蛍光燈検出装置が取りつけられている。更に前
び後二輪は,それぞれ同一操舵角を実現するために機械
右回にはエンコーダが取りつけられておりODV−1の移
的に連結されており,操舵用モータで駆動される。
動距離を計測する。
U.S.1(U.S.:超音波センサ}
前駆動産
ッチ
3.制御装置の構成
前一丁
奄焔ソ動用 ける
夢撃。チ
@1■.1 」 .
U.S.2
1 ・且 1
浴@ トJ
h 駈
@1
車軸画転角
測定用エン
コーダ
図4に制御装置の構成を示す。CPU及びメモリ(i
8086,メモリ容量:RAM128Kバイト, ROM64Kバイ
ト),A/D, D/A, D・1/0友び各インターフェイ
【 幽
l o
f
スボードはマルチバスを介して接続される。ポテンショ
メータ及びタコゼネレータからのアナログ信号はA/D
ボードに接続される。駆動及び操舵用DCモータへの出力
前軸操舵用
モータ
蛍光燈検出装置
回
はD/Aボードを介して行われる。クラッチ切り換え用ソ
レノイドの,オン一男フ,超音波による距離の計測,エン
コーダによる移動距離の計測に関する入出力はそれぞれ
響舵用
D・1/Oボードを介して行う。蛍光燈の検出は割り込み
i
1
T 1
後軸駆動用
。 [
a[タ
。 1
h l
の計測は,市販のインスタントカメラ用超音波センサを使
含
.:
O 1
P復翰クラ
o ‘
戟@ ・
U.S.3
としてD・1/0ボードに入力される。超音波による距離
’』
、
’ ¶
訷ケ o
i
クラッチ
後従軸
砿s.4
後駆動輸
Fig. 2 Summary of ODV−1.
用して行った。図5のように超音波送受信部は,リレー回
路を介してポラロイドカメラ用モジュールと接続されてい
る。距離は,反射波がもどるまでの時間をタイマカウンタ
で計測することによって行われ,インタフェイスを介して
D・1/0に取り込まれる。計測可
この機械的連結は,駆動輪側に設けたクラッチによっ
屍 一
ド ・セ竺型
て分離が可能で,車体の中心回りの回転モードが実現出
ゼネレータ
来るようになっている。また,各四輪共独立に懸架され
ポテ ンヨ
E・プレ・ク・
ており,地面から車輪が離れないようになっている。前
一一
サーボモータ
駆動回路
後輪が独立していること,及びクラッチが取りつけられ
CPU
ていることにより,ODV−1は,図3のように全方向
L6BITS
モード,自動車モード,旋回モード,回転モードの四種
AZD
D/A
32C日,
SCH.
12 BETS
±LOV
マルチパス
類の走行モードを実現できる。
D・1/O
D.1−O
超音波距離計
インターフェイス
蛍光燈検出器
エンコーダ
ソレノイド
駆動回路
(a)全方向モート (b)冒動車モート. (〔つ 旋回モート (d>回転モート
Fig. 3 Moving mode of ODV−1.
Fig. 4 Control system of microcomputer.
一40一
全方向移動車のコンピュータ制御 大西・橋野・中野
蟹
超音波センサ
v
リレー一切リ
換え回路
ンスタン
超音波距離計
Jメラ用 曹シュール
Cンタフェイ
((c
D{/O
q
X
x
B (xd, yd)
Fig. 5 lntrface of ultora sonic sensor.
フィルタ 増幅 コンパレーータ
leO HZ 1 LrJ 一
AND
太階電池
増幅
再トリガ
a
コンパレータ
O (xo, yo)
Fig. 6 Circuit for fluorescent light−detector.
能範囲は,約27cm−5mであり,垂直面に対して±10度の
A(e,o)
l i X
範囲で正しい距離を計測することができる。
Fig. 7 Geometric relation of start and destination
蛍光燈検出の原理を以下に示す。レンズ系を使って,太
陽電池で光一電気変換された出力信号を,図6に示すよう
on turning mode.
にアンプで増幅し,100Hzのバンドパスフィルタを通過
また,前後輪の目標操舵角θfd,θ,dは,正接の関係から
させた後再度増幅し,コンパレータでスレシホールドレベ
次式で表される。
ルと比較する。もう一方は,そのままコンバレー明目でスレ
e fd =tanLi ( (y o 一L2/ 2 ) / (xo +Li/ 2 ))
シホールドレベルと比較する。これら2つの出力信号は,
AND回路に加えられ,更にモノマルチ回路に加える。こ
θ,d=tan 1((yo十L2/2)/(xo−Li/2))
の回路において出力信号は,蛍光燈を感知している問ハイ
レベルに保持される。
(ただし,L1, L2は操舵軸間の距離)
4.ODV−1による二点間の移動
目標点までの移動と,その点における姿勢制御には,従
ここで,操舵と走行は,同時に行われるのでコンピュータ
来,全方向モード,自動車モード,あ.るいはその場回転モー
のサンプルタイムAt時刻後に,目標操舵角を修正する。
ドが,組合されて使われてきた。しかしこの方式は制御は
現在の操舵角をθf,θ,とすると,瞬間中心Oi(X。i, Y。i)
簡単であるが,モード変更に時間がかかるという欠点が
は,
あった。そこでモード変更の時間を必要としないで位置と
姿勢を同時に制御する旋回モードについて検討した。
xoi=(L2十(tanθ,十tanθf)・L1/2)/(tanθ,一tanθf)
このモードを使用すれば,位置と姿勢を同時に制御する
ことが出来る.が,走行中の操舵により回転中心が移動する
yoi=((tanθ,十tanθf)・L2/2十(tanθ,.tanθf●
ために,次の目標に移動する為の計算が再度必要となって
Li))/(tan 0 ,一tan e f)
くる。つぎに,この計算法について述べる。図7に示すよ
うに前後輪をある角度に固定しA(0,0)からB(Xd,
である。
yd)に移動する場合を考えると,回転中心0(Xo, yo)
姿勢角の変化,Aαは
との関係は,次のように表すことができる。
A・一一・GN(・。、)・w・At/、/((・。、)2+(y。、)2)
(1:)一Cliil.a
ユ
、∴〕ω
で表わされ,もとのODV−1座標系で見た∠t時刻後の
予想位置(dx,∠y)は,
一41一
津山高専紀要第24号(1986)
等しく
じ〕〔1−cos A a sin zt a −sinAa 1−cosA a〕〔:::〕
wf=:w ・ Rf/R,
Wr==W ’ RrfR
であり
である。
ここで現在の,ODV−1座標系から見た新たな目標値
(Xd, yd) は,
Wf/wr == Rf/Rr
となる。またエンコーダを取りつけてある前従輪の回転半
a==a−zia
径R。は
〔::〕一じ:1
:二::〕〔::1::〕.
Re= ((X。、一L1/2)2十(y。1−L2/2)2)
一 SGN (X.i) ’ Zt Li
となる。よって二点問の移動と姿勢角の制御を微小時間
であり,重心の移動量しと,前従輪の移動量L.の関係は,
At毎に行なえば,操舵によって生じる目標点との差を
角速度が等しいことから
補正することが出来る。
但し,図8の様に操舵機構はアッカーマン機構などを
し =Le’RIRe
使用していないために,前従輪においては,Aθfの誤差
を有する。さらに前従輪に距離計測用のエンコーダを取
である。一方
り付けてあるための補正はつぎの様に行う。すなわち,
A ef =cos’i((Rf2十R.2−Li2)/(2 ’ Rf ’ R.))
回転時の内外輪差は中心及び動輪の回転半径を,R, Rf,
R,とすると
であるから,近似的に
L=L. ’ R/(R. ’ cos( A e f))
Ll
S//
y
.動輪
と表される。
Aef
従輪
W
N﹄
W
図9は,加減速ルーチンの概念図である。上記の計算方
Re
Rf
法で移動を行う場合,車輪のスリップを防ぎ,機構の保護
x
を行う為に,加減速を行う必要がある。最高速度に到達す
R
郎、、 wr θ
Aer
(xoi
, yol )
Rr
従輪
動輪
る距離及び最高速度から停止するまでの距離をそれぞれ
Laccel, L decelとし,速度を0.1秒刻みで行うと,到達
距離は次式で表される。
Fig. 8 Steering system in turning mode.
L accel=L decel=(O.1十〇.2十”’十1.0) ’
O.1Wmax =O.55 wmax
R =V((x.i)2十’
iy一.1 2)
B
Wmax
﹁﹂
﹁
メ
一 sGN (x.i) ’ A LI
1,ト■
Rf;N/((xoi十L1/2)2十(yoi−L2/2)2)
Laccel L decel時間t
R,羅 ((xoi−L1/2)2十(yo、十L2/2)2)
Fig. 9 Control method for acceleration and deceleration.
一 sGN (x.i) ’ Zt Li
であるから,中心の速度をWとすると,動輪の角速度が
即ち1秒間に進む距離の0.55倍を必要とすることにな
一42一
全方向移動車のコンピュータ制御 大西・橋野・中野
る。ここでWrn・xはODV−1の設定速度である。また出
ow
発点から停止点までの距離しがL<1.1W一のときは,
夏50
Wmaxまで加速しないで途中から減速することになる。
US3
5.ソフトウエア及び開発装置
too
プログラムの開発効率を高める為にFORTH言語を使
用した。またODV−1制御装置上のデバック効率を高め
US2
5e
[璽]・
る為にソフトウエアインサーキットエミュレータを用い
US2 US3
た。プログラムの開発,コンパイル等は,CP/M86ホス
mpimpm・
トマシン上で行う。図10にワイヤレスモデムを使用した,
s [o sEr]
これらの開発環境をしめす。
Fig.11 Measur皿ent of distance from wall
using ultora sonic sensor.
瓢臨霧無熱1
CM DE巳REE
E婁星塑
t50
Fig. 10 Environment of software development.
IOO
x
6.実 験
50
二点商の移動について,目標点の座標(Ocm,100cm),
a
姿勢角(0度)の場合と,目標点の座標(30cm,100cm),
5
IO
姿勢角(一20度)の場合について精度を測定した結果,座
SEC
標値について約1cm,姿勢角について約3度の誤差があっ
た。移動車が蛍光燈の長手方向に直角に進む場合に蛍光燈
検出装置が蛍光燈を検出できる誤差は約3cmであった。こ
一50
れらの基本的動作をもとにODV−1を壁に沿って走行さ
せる場合は,超音波距離計によって壁との傾を計測し,目
一100
標値を常に前方に置く方式を用いた。目標値のy座標は,
進行前方1m, x座標は目標軌道の前方1mにおけるずれ,
Fig. 12
姿勢角はその点に達するに必要な角度を指示した。実験結
Y
Temporary reference points (x, y) and
attitude ( a ).
果を図11,12にしめす。図11は超音波距離計の読みで.ある。
図12は各サンプル時間毎の目標値の変化を示す。また建物
7.結 言
内等の無人走行には地図が必要である。表1は実験に用い
二点間の移動について,目標点と姿勢角を与え位置と姿
た地図のコンピュータ内での表現形式である。
勢を同時に制御する方法を提案した。この方法を使用すれ
Table. 1 Map table of certain route.
ば超音波センサや蛍光燈検出装置を使用して壁や蛍光燈,
ASSOR
RGUTE NAME sMENT
1WEST
2WEST
DW
DW
DW
DW
DW
DW
DW
DW
DW
DW
DW
DW
DW
DW
DW
DW
BP
1W’
℃’
℃’
DEPTH
1EAST
0
1SOUTH
2SOUTH
LENGTH
G
1024
2WEST
lWEST
RQOM NAME
0
0
FLUOR、
kAMP NO
2
1
2NORTH
lNORTH
ガイド走行が可能である。
W’
0
1022
o
3
脚W’
一99
一200
一99
一200
40
0
0
76
331
0
0
0
1
go
0
1
一99
一200
一99
一133
一99
25
133
o
0
o
0
345
0
1
658
G
2
34
0
0
0
3
’S’
W1
’S’
’W’
’S’
’W
w’
W’
W’
℃’
0
4SOUTH
1022
3WEST
5NORτH
さらに計算機内の地図をガイドとして特別な装置を設置す
ることなく対象物への接近や姿勢角の制御及び長い廊下の
8.参 考 文 献
1)中野栄二,新井健生,橋野賢,山羽和美,“全方向移
動試験車の機構”,日本機械学会講演予稿集,(1980)
2)片桐 明,FIFTH 86総合マニアル,リギーコーポレー
ション,(1984)
一43一
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