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商工会支援事例集 - 全国商工会連合会

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商工会支援事例集 - 全国商工会連合会
商工会は 行きます 聞きます 提案します
各地で経営指導員が奮闘中!
商工会支援事例集
商工会の経営指導や役割に対するニーズが多様化するなか、
これまで以上に経営指導員の伴走型支援が求められるようになっています。
全国の商工会が近年行った支援事例をまとめました。
各地の取り組みを参考にしていただき、
小規模事業者の持続的発展のための支援に役立てていただければ幸いです。
※平成26年度および平成27年度の各ブロック先進事例普及研究会で報告された
支援事例を取り上げています。内容は報告当時の資料をもとに作成しています。
Contents
4 北海道・東北ブロック(17事例)
21 関東ブロック(19事例)
41 中部ブロック(13事例)
54 近畿ブロック(10事例)
64 中国・四国ブロック(13事例)
77 九州・沖縄ブロック(13事例)
90 Index
記事内の支援テーマの見方
創=創業 経=経営革新 源=地域資源活用・新連携
農=農商工等連携・6次産業 販=販路拡大・販路支援
海=海外展開・海外販路開拓 再=事業再生・再チャレンジ
承=事業承継 も=ものづくり 雇=雇用・労務関係
資=資金繰り 持=持続化補助金 他=その他
3
お と ふ け
さんごう
三楽/麺処
でんがく
田楽(飲食業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
人気メニューの持ち帰り用商品を開発した「麺処 田楽」
課題
人気のメニューを
持ち帰り用商品に
「らーめん酒屋 三楽」は平成20年に帯広市に、
「麺処 田楽」
は平成22年に音更町にそれぞれオープン。
「三楽」
はあっさり系、
「田楽」はこってり系ラーメンとコンセプトが異なっている。
音更町の温泉ホテルの敷地内に店を構える「田楽」の人気メ
ニューは、つけ麺だ。あるとき、事業者は来店客との会話から、
を使った、土産用つけ麺の開発と、販路開拓による新たな顧
客獲得の支援に乗り出した。
具体的には平成25年3月、まずは事業者と地域の小麦生産
者との連携支援と、北海道農商工連携ファンド助成事業計画
登録された。同社への支援については、鷹栖町、東川町、東
会の経営支援会議で、経営革新計画の策定支援を行うことも
に、地元の人たちにも広く知ってもらえるようにデザイン事務所
近在の農家から、
「ビニールハウスの設置は家族総出で重労働。
決定。中小企業診断士の派遣とともに、他機関との連携によ
と打ち合わせを行い、パンフレットの作成もサポートした。こ
何かいい方法はないか」という悩みを聞く。そこで、試行錯誤
る支援が積極的に行われたケースといえる。
うして同店は平成27年、
アジア最大級の国際食品・飲料展示会
の末、ビニールハウスの骨組みに簡単に取り付けられる留め金
以上のような経過を経て、意匠権と商標権を取得した同社
具の試作品を製作。農家で実際に試してもらったところ、作
は、小規模事業者ながらオリジナル自社製品の本格販売に向
この土産用つけ麺の商品化は、同店の売り上げアップだけ
業が大幅に楽になり、作業時間も短縮したと喜ばれた。そのと
け、経営革新計画策定とともに体制を整備。事業者は「今のと
でなく、十勝産小麦のブランド力向上にも貢献。また、原料の
き農家に勧められたのが「特許を申請して本格的に販売」する
ころ地元農家を中心に販売しているが、今後は委託製造およ
生産地と商品加工地が近いため、音更町を中心とした十勝の
ことだった。とはいえ、どう手続きをすればいいのかわからな
び委託販売も取り入れた体制を構築して、販路を拡大し、雇
さらなる振興に寄与することが期待できるだろう。
い。そこで鷹栖町商工会の経営指導員に相談を寄せた。
用の創出も図りたい」と意気込みを語った。
支援の経過
期間
H25年3月~4月
支援内容
農商工連携ファンド事業計画
策定支援
支援
中小企業診断士派遣と
経営革新計画の策定
鷹栖町商工会でも、同社が開発した留め金具は寒冷地の農
支援の経過
期間
H24年8月~
支援内容
中小企業診断士派遣
家に需要が高いと思われるが、同業者であれば比較的容易に
11月
意匠権の出願
製造できる製品だったため、特許申請をして専売を確保すべき
H25年8月
意匠権の登録
パンフレット製作支援
だと判断。北海道商工会連合会で実施しているエキスパートバ
11月
経営革新計画の説明
8月~
麺の賞味期限延長の研究支援
ンク事業を活用して、専門知識の豊富な中小企業診断士を派
12月
商標権の出願
9月~
展示会出展支援
12月~
パッケージ開発支援
7月~
そこで音更町商工会では、音更町産の小麦「ゆめちから」
グについての商標権も出願。商品名「ワンタッチャブル」として
ていた。そして平成 23年に事業を承継した夏の頃、事業者は
元産の食材にこだわった持ち帰り用商品ができないか。そう考
支援
さらに診断士は商品のロゴデザインの検討を提案し、ネーミン
要だ。商工会ではパッケージデザインの開発支援を行うととも
持ち帰り用つけ麺のニーズがあることを知る。それならば、地
商品開発から
展示会の出展支援まで
小規模事業者である佐々木鉄工業は、平成2年の設立以来、
のもと、価格設定を検討するとともに正式に意匠登録をした。
神楽町の3町で構成される上川中央部三商工会広域連携協議
商品の試作開始
販業の経験やノウハウが不足していた。
特許申請を勧められるも
手続きがわからない
おもにカーポートやガレージ、シャッターの修理などを手がけ
4月~
えた事業者は、土産用つけ麺の商品開発を模索。しかし、物
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
に完成した。また、土産用商品である以上、パッケージも重
「FOODEX JAPAN」に出展を果たしている。
H27年3月
FOODEX JAPAN出展支援
遣することにした。平成24年8月、診断士は試作段階の製品
H26年4月
商標権の登録
の概略を説明。その後も商工会では数回にわたり診断士派遣
H26年7月~
経営革新計画の策定・申請支援
を実施し、意匠権取得に向けた支援を行った。翌年にはミラ
H27年3月~
経営革新計画の承認・実施支援
についての聞き取りを行うとともに、事業者に特許申請手続き
サポなどを活用して再度の専門家派遣を実施。診断士の指導
経営指導員から
経営指導員から
飲食店の物販業進出は、新たな
事業主1名の鉄工所ですが、非
収益源になると同時に店舗の知
常に大きな将来性を感じています。
名度向上や来客数増大などの相
意匠権、商標権を取得したこと
乗効果が期待できます。さらに単
で、販売における優位性が増し、
の策定支援を実施。翌月から、土産用として賞味期限の長い
独で全国的にアピールすることが
経営革新計画の策定や承認をき
麺の開発に着手した。そしてこの年、試作麺の開発試験を繰
困難な農林漁業者も、こうした取
っかけに、事業者の経営に対す
り組みによって産地ブランドの向
る意識の向上にもつながりました。
上を図ることが可能でしょう。長
同社の
「ワンタッチャブル」
は現在、
り返した結果、味・食感ともに満足のいく麺がひとまず完成す
る。次の課題は麺の賞味期限である。翌年1月に行った試食
会でのアンケート結果を踏まえて改良したものの、食品加工技
術センターでの賞味期限検査の結果は目標の2週間におよば
ず、1週間。それでも、その後も試験を継続し、10日間にま
4
課題
つけ麺のたれについても、地元産の大豆を主原料に、札
幌の調味料製造会社の協力を得て開発を進め、平成26年秋
支援テーマ
オリジナル製品の開発にともなう
特許申請の手続きをサポート
で延ばすことができた。さらに、
「1週間の賞味期限で市場に
出すことも一考」という専門家の意見も得られ、麺が完成した。
佐々木鉄工業(鉄工業)
北海道・東北ブロック
北海道・東北ブロック
地元産小麦にこだわって成功した
土産用つけ麺の商品開発
鷹栖町商工会
北海道
北海道
音更町商工会
らーめん酒屋
期的には音更町として小麦作付面
積の拡大とブランドの確立につな
げていきたいと考えています。
他町からの引き合いも増えており、
音更町商工会
角谷 稔さん
いずれ北海道のみならず全国への
販路拡大が期待されます。
鷹栖町商工会
古川 泰志さん
農家の悩みから生まれたビニールハウス用留め金具「ワンタッチャブル」
5
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
ザイン・構成の刷新)
、②事業PRチラシの作成(新聞折り込み、
営業用)
、③足を使った地道な営業(プリント食品サンプル品
焼きタラの乾物に可食印刷したもの
課題
せっかくの印刷技術でも
売り上げが伸びず
東日本大震災の余波で
新商品がふるわず
下北半島の中ほど、陸奥湾に面した横浜町にある、すぎ
やま(従業員5名)は平成元年設立の土産物店。
の提供)がその内容である。
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
観光客誘致も視野に
土産物店の商品開発をバックアップ
事業計画と販売戦略についての指導を行うとともに、3つの販
路拡大策を立て、
支援に取り組んだ。①ホームページの充実
(デ
有限会社すぎやま(小売業)
まずホームページの刷新は商品の魅力を生き生きと伝えるに
横浜町は「菜の花の町」と呼ばれるほど菜の花栽培が盛
は必須であり、ホームページ経由での販売増加を図った。PR
んであり、同店ではこれまでも地域資源を活用した「菜の
チラシはとくに域内外の新聞折り込みを利用することで食品印
花焼酎なの恋」や「菜の花ラーメン」
「菜の花はちみつ」な
刷の浸透を図ると同時に新規顧客開拓を狙った。
どを商品化してきた。
商工会と青森県商工会連合会では、支援テーマを「オリジ
ナル新商品開発とプロモーション強化」とし、とくに消費
者への訴求ポイントを明確にしたプロモーションに重点を
置いた「商品づくり」を目標に事業者を支援していった。
資金面については小規模事業者持続化補助金を活用し、
新商品開発にかかる開発費、商品パッケージ、そのほかの
プロモーション諸費用を強化することを提案した。
新商品開発の支援については、青森県よろず支援拠点を
中心に開発プランニング強化を図り、青森県産業技術セン
そして3つ目の営業活動は、サンプル品の提供に重点を置い
しかし、それらの商品はなかなか売り上げを伸ばすこと
ターなどの協力する関係機関が全員集まり意見交換を数回
たもので、親しみやすい、ゆるキャラマスコットなどを印刷し
ができず、とくに東日本大震災以降、多くの原子力施設を
開催し、商品のブラッシュアップの検討を行ったことによ
たサンプルを持参し、とにかく一度試食してもらうことが肝要
有する下北半島への観光客が大幅に減少するにともない、
って完成度の高い新商品が誕生した。
と判断した。
売り上げの9割以上を観光客に支えられていた同店は、そ
こうした取り組みによって、以前と比べてインターネット経由
のあおりを受け、さらに深刻な状況となった。
また、商品パッケージも実績のある専門家がデザインし
たことでさらに訴求力の高いものとなった。事業者は「今
での販売が少しずつ増加。なかでもギフト商品大手企業より受
これまでに開発した商品は、青森県よろず支援拠点の支
回は支援機関の皆様の協力・支援体制で素晴らしい商品が
パソコンの普及やプリンターの高性能化・低価格化などを背
注があり、キャラクターをプリントしたマシュマロを定期納入す
援のもとで誕生しており、商品としての品質は一定の高レ
できました。来年、再来年とさらにステップアップした商
景に近年、印刷会社は苦戦を強いられている。平川市にある
るようになったのが注目される。食品印刷は今後、購買意欲を
ベルにまで達していた。その反面、コスト削減のために商
品を開発していきます」と強い意欲を見せていた。
つしま印刷(従業員3名)も例外ではなく、売り上げは右肩下
刺激する商品開発により、さらなる販路拡大が期待される。
品パッケージに費用をかけず、また商談会などへの出展や
がりに推移していた。
販促 PR も十分に行われていなかったため、せっかく地元
そこで、新たな活路を求め、可食インクを使用した食品カラ
の特産を活かした新商品も多くの顧客を獲得するまでには
ー印刷分野への進出を目指し、平成23年、食品印刷部門「め
じゃ〜倶楽部」を立ち上げた。その結果、平成25年度には食
品印刷が売り上げ全体の25%を占めるようになった。同社では
独自に研究を重ね、可食フィルムや可食シールを使用せず、食
品への直接印刷技術を確立。画像データがあれば写真でもイ
ラストでも鮮明に再現し印刷でき、平面はもちろん凹凸面や曲
面など、あらゆる面への印刷を可能にしている。おもな食品印
北海道・東北ブロック
北海道・東北ブロック
食品印刷の新技術で
新マーケットへ販路拡大
横浜町商工会
青森県
青森県
平川市商工会 つしま印刷(印刷業)
いたっていなかった。
支援の経過
期間
H26年5月
7月~12月
H27年1月
支援内容
持続化補助金の申請支援
HP、
販促チラシ作成
実績報告作成支援
支援
外部連携で
商品プランニング強化
そのようななか、観光客誘致の契機も視野に入れた新商
品開発をしたいと考えていた事業者の相談を受け、横浜町
支援の経過
期間
支援内容
H26年4月
持続化補助金の活用提案
6月~7月
商品開発についての意見交換
12月
デザイン専門家派遣
H27年1月
事業報告書の作成指導
刷取扱品は、リンゴ、せんべい、クッキー、チョコレート、バ
ウムクーヘン、マシュマロ、焼きタラ(乾物)などである。
しかし、せっかくの印刷技術を確立しながら、同社の食品
印刷部門の認知度が低いこともあり、設備の稼働率はまだ高く
はなかった。それでも紙媒体の印刷物の売り上げ拡大が見込
めない状況のなか、食品印刷部門は、同社の今後を担う大き
な柱として成長が期待されていた。
今回の持続化補助金活用にと
理し、3年後、5年後のビジョン
もなう経営計画策定から事業実
を想定して販売戦略を考えていき
施までにあたり、各支援機関が
ました。その結果、事業者に経
連携することで、当初予定してい
営計画の重要性を理解していた
た以上の高水準の支援を行うこと
だき、意識改革にもつながったと
ができました。
思います。今後の取り組みとして、
この経験や結果をもとに今後も
ペット
(犬)用のクッキーやビスケ
さらに支援機関と連携を密にし、
ットなどへのプリントを視野に入れ
こうした現状を踏まえて、平川市商工会では食品印刷部門の
グ支援などを行っていく方針です。
事業を拡大すべく、小規模事業者持続化補助金の活用を提案。
経営指導員から
まず現状分析によって課題を整
ホームページの刷新と
サンプル持参営業を提案
支援
6
経営指導員から
ており、ペット事業者とのマッチン
事業者の経営向上のための支援
がより有効的となるよう、努めて 青森県商工会連合会
平川市商工会
川村 諭さん
いきたいと思います。
奥崎 富士雄さん
菜の花のエキスも入ったマヨネーズ「恋マヨ」
7
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
弘前市を中心に眼鏡・補聴器店を営むメガネフラワー(従業
てるためには、ターゲットの設定や商品コンセプトの確立が重
上の高齢者人口の割合が31%で全国平均の26%よりも非常に
時、1回200円の配送料金で、配達エリアの1025世帯が対象と
要となる。ブランドへの想いや価値を共有すべく、事業者、経
高く、街まで出かけることが困難な「買い物弱者」人口が高齢
なる。高齢者の生活不安を減らすため、宅配時には安否確認
営指導員、専門家との間で何度も議論を重ね、ネーミングにつ
化とともに増えている。そこで同店では買い物弱者を救うべく
も行うことにし、地域への貢献度を高めることにした。
いては、最終的に 5 つの候補のなかから、弘前城の象徴でも
宅配サービスの検討を始めたものの、対象となる高齢者世帯
商工会の支援により採択となった小規模事業者持続化補助
の把握、ニーズ、採算性の確保がつかみきれず、どういうかた
金により、配達用の軽自動車を購入することができ、事業の実
ちで実施するのがいいのか迷っていた。
現へ向けて弾みをつけることにつながった。
津軽塗眼鏡フレーム「天守」の本格販売がスタートした平成
27年12月には、チラシやECサイト、テレビCMを見た顧客から
商工会はさらに経営革新計画策定もバックアップ。事業者は
の問い合わせや来店が相次ぎ、同商品の購入につながった。
さらに来店者数の増加だけでなく、既存商品の売り上げについ
ても前年同月比5%アップと、思わぬ相乗効果を生み出してい
る。また当初は1人の職人の手によって仕上げられていたが、
支援
専門家による戦略立案、
調査や補助金申請
ち早く高齢化社会に目を向けてきた同店では、顧客一人ひとり
い手の拡大にも一役買っている。
トサイズを把握した。さらに、店を利用している65歳以上の高
の要望に応じたきめ細かなサービスや、確かな知識と技術で
森市浪岡商工会に対して、
「新たな経営戦略を打ち立てて、経
営を改善したい」との相談をもちかけた。
支援
自社ブランド確立に向けた
広報活動の強化
商工会では、同店の経営改善の手段として、小規模事業者
持続化補助金の活用を提案した。
まずは、経営改善に向け、実施したい内容について事業者
にヒアリングをしたところ、新規顧客の獲得を目的に、チラシ
齢者に対してアンケートを実施し、移動手段や買い物頻度、宅
配サービス利用希望の有無などを調査することにより、同店が
支援の経過
期間
H27年5月
支援内容
目指すべき事業の方向性を明確にした。
宅配サービスにはいくつかの付帯サービスを検討した。その
ひとつが「お店箱」という置き箱販売である。これは家庭で必
専門家派遣
5月
経営計画書作成
5月~9月
専門家派遣 経営戦略提案
11月
実績報告作成支援
「データの把握や新サービスを検討する際のさまざまな気づき
は、商工会や専門家のアドバイスや議論がなければできなかっ
た」と支援の存在を実感している。
洋野町商工会は新事業を支援するにあたって、まずは社会
福祉協議会と連携し、高齢者世帯数の調査を行い、マーケッ
上げの減少が続いていた。こうした状況のなか、事業者は青
配達するサービスと、店舗での買い物商品を自宅に配達するサ
施の方向とした。配達日は週3回、配達時間は午後2時から4
現在は4人の職人に製作を依頼しており、津軽塗の継承、担
ェーン店の進出や業界全体の低価格志向の影響により、売り
った。宅配方法には2種類が検討された。電話注文で商品を
は、地区唯一のスーパーマーケットである。同地区では65歳以
員4名)は、今年で創業34年目を迎える。オープン当初よりい
地域住民の支持を集めてきた。しかし近年は、大手低価格チ
リットがある。テスト販売も好評だったため、取り組むことにな
一般的な商品とは異なり、高付加価値商品の販売戦略を立
ある「天守」に決まった。
課題
買い物の困難さを解決し、
利便性を向上させたい
ービスである。テスト販売が好評であったことから双方とも実
てんしゅ
大手低価格チェーンの
進出による売り上げ減少
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
洋野町大野地区の中心に位置するみちのくクックサービス
核に、広報活動を展開していくことになった。
要と思われる品物や量、季節性商品を選別しておき、3日ごと
に消費した量だけの代金を支払うシステムであり、利用者には
「いつでも必要なときに使えて便利」
「使っただけ支払うからお
得」
、同店には「機動性の高い営業展開」
「顧客密着性」のメ
支援の経過
期間
H27年3月~
支援内容
巡回による課題の把握
5月~
新事業の検討
6月~
持続化補助金の申請支援
7月~
経営革新計画の策定支援
マーケット調査
8月~
アンケート調査の実施
テスト販売の実施
11月
経営革新計画承認
経営指導員から
経営支援スタッフから
津軽塗という地域性の強い商品
初めて事業者の経営課題の掘
のブランド化とそのPRは、他社商
り起こしから戦略立案、事業計
配布やテレビ・ラジオのCMなど、広告宣伝の強化を検討して
品との差別化だけでなく、技術力
画策定まで、指導員や専門家の
や品質の高さといった事業者の魅
指導のもと行うことができました。
いるという。しかし、商工会は、事業者が考える広報・広告は
力も発信することができました。今
とくに新しい取り組みである「お店
一過性のものであり、同店の特徴や強みが反映されていなか
後の展開としては、さらなる周知と
箱」はアンケート調査の実施や商
営業活動、たとえば、青森出身者
品の見せ方など、さまざまな試行
からなる県人会など、全国の津軽
錯誤がありましたが、事業化のめ
ったことから、根本的な経営課題の改善は難しいと判断。エキ
スパートバンク事業を活用して、専門家に有効な広報・販売戦
略について、アドバイスを求めることにした。
さらにヒアリングを続けると、同店では数年前より、津軽の
伝統工芸である津軽塗を眼鏡のテンプル部分に施したオリジ
8
課題
た。そこで、他社との違いをアピールできるこの津軽塗商品を
地域の伝統工芸・津軽塗を施した眼鏡フレーム「天守」
支援テーマ
商品宅配サービスを開始して
地域の「買い物弱者」に貢献
ナル商品を開発していたことがわかった。試行錯誤の末、商
品化には成功していたが、まだ本格販売にはいたっていなかっ
株式会社みちのくクックサービス(小売業)
関係者に対しての訴求も考えてい
ます。 実施には持続化補助金が
ふたたびその助けとなるはずです。
北海道・東北ブロック
北海道・東北ブロック
地域の伝統技術を施した
高付加価値商品による差別化戦略
洋野町商工会
岩手県
青森県
青森市浪岡商工会 メガネフラワー(サービス業)
どがつきました。今後も事業実施
青森市浪岡商工会
山口 広仁さん
に向けて支援をしていきたいと思
います。
洋野町商工会
沼田 加奈子さん
商品配達の際、利用者と交わす会話も重要なサービスのひとつ
9
有限会社羽沢製菓(製菓・販売業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
名産「南部煎餅」を
新たな販路に乗せたい
岩手県のお土産で有名な南部煎餅を、半世紀前に世に送り
根強い人気を保っているが、最近はさまざまな環境の変化へ
の対応が求められるようになってきた。
たとえば人々のお土産に対するニーズが変わってきた。以前
は「立派な大きさで、品質は長持ち」なものが喜ばれてきたが、
最近は「小量で、賞味期限の短い生もの」が求められることが
多くなった。また、南部煎餅の競合メーカーでは若者ターゲッ
トの商品を開発し、人気を集めている。
新しい販路を開拓するという課題にも直面していた。同社は
観光土産品専門卸が売り上げの 85%を占めており、ここでの
販売額が減少すれば、業績が悪化しかねない。
うするかが課題となっていた。
支援
専門家とともに
新商品試作を伴走支援
同社は新市場のターゲットを首都圏に置いた。まず髙島屋
横浜店での物産展で、岩手県立大学の協力のもとにアンケート
調査を実施。首都圏でも南部煎餅の購買ニーズが確実にある
ことがわかった。続いてその首都圏向けをターゲットにした新
たな商品の開発に乗り出す。
「ごぼうせんべい」や、静岡県と
のコラボレーションによる「由比漁港の海老煎餅」など付加価
かり、試作を依頼した。原料となるそば粉は、近隣の農家か
ら購入。さらに余剰の小麦粉を買いつけて麦焼酎の製造も依
頼した。こうしてでき上がったオリジナルのそば焼酎は自店で
県南部に位置する村田町は「みちのく宮城の小京都」と呼ば
る機械を導入。これにより、サクサク感を活かしつつ、そこに
れ、土蔵づくりの商家の並ぶ古いまち並みが残る。その村田
さまざまな材料をトッピングすることが可能になった。
町にある山専酒店(従業員1名)は、東日本大震災で店舗が
一方、店舗の改装は事業者が震災の被災者であるため、宮
商品パッケージのデザインも見直しを行った。
「店頭でお客
大規模半壊となった。そのため事業者は事業再建のために店
城県の補助金を申請するように提案。また、店舗設計や店内
様が20m先からでも視認できるパッケージにすることを指導員
舗のリニューアルを計画し、蔵のまち並みにふさわしい店舗づ
ディスプレイなどは、まち並みにマッチするように専門家に依頼
からアドバイスされました」
(事業者)というように、都心の百
くりを模索していた。他店との差別化を図り、しかも客に喜ば
した。その結果、土蔵にしまってあった古物などをディスプレ
貨店の売り場でも映える色使いや高級感のあるパッケージを導
れる店にするにはどうしたらいいのか。相談に乗ってもらうた
イに活用することで、従来なかった独特の雰囲気を醸し出すこ
入した。
め、事業者は村田町商工会を訪れた。
とに成功している。
申請に向けた経営計画作成の支援だ。市場調査や商品開発も
含め、商工会・岩手県商工会連合会が一貫してサポート役を
果たした。その後、経営革新計画の策定に向けて支援を続け
支援
地元産そばを使った
焼酎の製造を提案
さっそく商工会では宮城県商工会連合会とともに「客が入り
ている。
やすい店づくり」をコンセプトに検討を開始したが、その過程
期間
3月
支援内容
新事業を起こすことを検討。江戸時代にこの地で酒づくりが行
われていたことから、まずオリジナルの日本酒づくりのプランを
経営計画作成支援
考えた。しかし、日本酒は最低生産量が大きいため、商品ロ
持続化補助金の申請支援
8月
百貨店バイヤーとの商談支援
3月
同店では粗利益が2%アップ。加えて、これまで商売に無関心
だった息子の妻が積極的に店を手伝うようになるという付帯効
果ももたらしたという。蔵のまちにふさわしい雰囲気の店舗に
なったおかげで、毎年秋に開催される、
「蔵の陶器市」開催時
には、多くの客で賑わうようになっている。
事業者とともに確認し合った。そこで、地元の産物を活用した
支援制度説明セミナーへの参加
7月
H28年2月
な販路も開いた。
で、単に店舗を改装しても売り上げ増には結びつかないことを
支援の経過
H27年3月
販売するだけでなく、地元の農家レストランにも卸すなど新た
こうして新事業とともに生まれ変わった店舗になってから、
以上の試みを下支えしたのが、小規模事業者持続化補助金
スが膨らむことが懸念され、計画は困難と判断された。
次に目をつけたのが、村田町で栽培が盛んなそばだった。
事業者はそばを使ったオリジナル商品をつくれないか模索す
経営革新計画策定支援
る。これを受けて商工会では、そば焼酎の製造を提案。そし
経営革新計画承認
て、酒づくりに通じた商社に問い合わせたところ、福島県にオ
同社はB−1グランプリで話題になった「せんべい汁」も製造
販売して好評を得ている。次は伝統の南部煎餅のテコ入れをど
小京都のまち並みに
ふさわしい新店舗を模索
ことにした。そのために、きめ細かい水分調整や乾燥ができ
出したのが羽沢製菓(従業員5名)である。定番名産品として
10
課題
なっている独特のサクサクとした食感に、一層の磨きをかける
新商品の南部煎餅「ごぼうせんべい」
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
震災からの店舗再建と
オリジナル焼酎の開発を果たす
値のある南部煎餅を開発した。
一方で、他社商品にはない特長であり、セールスポイントに
支援テーマ
北海道・東北ブロック
北海道・東北ブロック
南部煎餅の元祖が土産品を
首都圏市場向けにアレンジ
村田町商工会 山専酒店(酒小売業)
宮城県
岩手県
岩手県商工会連合会
支援の経過
期間
支援内容
H23年8月~
店舗コンセプトの策定
専門家派遣の開始
H24年2月~7月
店舗設計計画の策定
5月
県の補助金の申請支援
9月~12月
オリジナル商品開発支援
リジナル焼酎の製造を引き受けてくれる醸造所があることがわ
経営指導員から
経営指導員から
セミナーなどに積極的に参加し
小規模事業者がやる気を出すこ
てもらったことで、自己研鑽の意
とで地域資源を活かしたオリジナ
欲が増し、前向きな姿勢が見られ
ル商品が誕生しました。これは単
るようになりました。観光土産の
にプライベートブランドができただ
製造で培ってきたノウハウを活か
けにとどまらず、地域全体の振興
しつつ、首都圏や若者といった新
にも寄与したと思います。商工会
しいターゲットや、百貨店などの
単独での支援にはおのずと限界
新しいチャネルへの参入も支援し
がありますが、時間をかけて支援
てきました。今後も継続支援を依
を継続することで事業者が満足を
頼されています。全力でバックアッ 岩手県商工会連合会
プしていきたいと思います。
得られたことが大きな効果だと思
浦田 和輝さん
っています。
村田町商工会
赤間 利明さん
改装により、蔵のまち並みにふさわしく生まれ変わった店舗
11
田所食品株式会社(食品製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
地域ブランドのゆずを使って
パン事業の戦略商品を開発
部協力者を交えた定期会合で新商品についての詳細を詰めて
課題
いった。
販路開拓支援としては、首都圏消費者の反応を把握するた
め東京・六本木にある食のショールーム「PaRs(パルズ)
」 にイ
事業者の試行錯誤の末、製品化に成功したイチゴのジュース
課題
急務の新商品開発に
立ち塞がった問題
ビ局の取材も受けた。
として提供することによって新たな販路を見い出している。
を用いたインストアベーカリー事業に進出。当初は収益を計上
発売後の人気は上々で、一日平均 200 個程度が毎日売り切
こうして完成した無添加100%のイチゴジュース「Strawberry
していたが、商品構成を長年にわたり変更してこなかったこと
れ、生産が追いつかないほど。新商品発売直後の仙台駅での
Pure100 しぼりたて」は、懸念された品質問題を賞味期限を
もあり、収益力は低下。ベーカリー事業単体として自立するた
イベントでも、用意した 1000 個が完売。ゆずケーキ人気の相
短くすることでクリア。製造コストについてもターゲットを女性
めにも、商品力の強化が求められていた。
乗効果で、パンの売り上げも好調に推移している。
柴田町は日本さくらの会選定の「さくら名所 100 選」に宮城
「パン事業がここまで伸びるとは正直予想していませんでし
県内として唯一選ばれており、県内外から多くの観光客が訪れ
た。地元でも評判で、毎日売り切れの状態です。おかげで自
販売開始は平成26年6月。受注は当初の予想をかなり上回
る。しかしこれといった土産品がない。同社はここに目をつけ
信もついたので、今後は JR や仙台空港などに売り込んで常時
り、
お取り寄せサイト
「47CLUB」のカテゴリー別
(ソフトドリンク)
た。培ってきたパン製造技術を使って、地域を代表する商品を
販売へと展開していきたいと思います」と、事業者は販路拡
の売れ筋ランキングで第3位に入るなど、上々の滑り出しを見
開発することができないかと考えた。
大に次の目標を定めている。
向けに絞った贈答品とすることで高めの値段設定(2本化粧箱
詰め・税込3240円)を可能にした。
高齢者の流動食としても購入されている。
果汁「マルタのきぶどう」を看板商品として発展してきた。
期間
スの開発を考えたが、そこに大きな壁が立ち塞がった。イチゴ
H25年8月~9月
支援内容
事業計画の策定
10月~
試作品づくり開始
12月
商品仕様の細目検討
H26年2月~6月
支援
ゆずを活用した商品の
開発から販売まで後方支援
柴田町商工会と宮城県商工会連合会の支援のもと、新商品
支援の経過
が急務だった。そこで同社は山元町産のイチゴを使ったジュー
起、商品化に向けて踏み出すことなったのである。
商工会との支援のもとに進められていった。プロモーションで
ている。設備工事のノウハウを活かして、平成 2 年、冷凍生地
搾汁業として創業した田所食品(従業員6名)は、高級ブドウ
ジュースの商品化が本当に可能なのか。それでも同社は一念発
のあるプロモーション方法の計画実行などが、専門家も交えた
ゴの絞りカスも、地元の菓子製造業者にイチゴペーストの原料
どの贈り物として購入され、小需要ながら、イチゴが噛めない
が多かったのだ。そんな大手食品メーカーさえ敬遠するイチゴ
がありながら適正な収益が確保できる販売価格の設定、効果
は商工会主導でプレスリリースを作成し、地元紙に掲載。テレ
畑が広がるブドウの産地だった。その地で大正時代にブドウ
は水分が少なくジュース化が難しい果物で、コスト的にも問題
改良を加えたほか、店頭で映えるパッケージの検討、値ごろ感
上下水道や冷暖房の設備工事、リフォームなどを手広く展開し
せた。色味のよさからクリスマスやバレンタイン、ひなまつりな
なる。生産が震災前より大幅に落ち込んだため、新商品開発
白石ハウビング(従業員 19 名)は、LP ガスや灯油の販売、
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
ベント出展を宮城県連が要請。また、当初廃棄予定だったイチ
イチゴの一大産地として知られる山元町は、かつてはブドウ
しかし、東日本大震災の津波で自社ブドウ畑が壊滅状態に
ベーカリー事業の
自立に向けた商品力強化
支援テーマ
販路開拓に関する支援
の開発はまず「どの素材を活用するか」の検討から始まった。
地域の名産品のなかでいくつか候補が挙がったが、
「雨迄のゆ
ず」
「北限のゆず」などの地域ブランドが定着しているゆずを
素材にしたケーキを開発することを決めた。指導前に同社がす
でに商品化していた「ゆずマドレーヌ」が好調で、地域の消費
者から一定の評価を得ていたこと、通年供給を受けることが可
能なことなども、ゆずに決めた理由だった。
北海道・東北ブロック
北海道・東北ブロック
連携コーディネート力で
開発困難なジュースを商品化
柴田町商工会 株式会社白石ハウビング(設備工事・菓子パン製造小売業)
宮城県
宮城県
亘理山元商工会
支援の経過
期間
H27年5月
支援内容
現状分析
5月
事業計画策定支援
7月
商品開発支援
8月~9月
製品パッケージ支援
9月~10月
プロモーション支援
11月
プレスリリースを作成
その後、商品開発の具体化に入る。試作品を何回もつくり、
支援
企画から販路開拓まで
連携でトータル支援
相談を受けた亘理山元商工会は、すぐに宮城県商工会連合
経営指導員から
新商品開発にあたり、計画段階
事業者は今回の商品開発で意
から関わり、食味や品質、製造工
欲が向上し、パン事業の次の展
程の問題解決、さらにパッケージ
開も視野に入れています。実現が
デザインやマーケティング、販路開
可能な内容にて明確なゴールを設
リングを行い、技術的な課題を把握するとともに、地域力活用
拓まで一貫して携わることができま
定することで、支援する側、事業
市場獲得等支援事業(新商品・新サービス開発支援事業)を
した。こうした機会はめったにない
者ともマイルストーンが可能となり
会・広域企業支援グループに支援を要請。平成25年夏にヒア
活用することになった。宮城県連は商工会とともに事業計画の
策定支援を行い、あわせて食品製造やマーケティングなどの外
部専門家との事前折衝を開始する。こうして同年秋から事業
者は試作品づくりに乗り出し、糖度・酸味・粘度のバランスや
退色について研究を重ねるとともに、商工会、宮城県連、外
12
経営指導員から
ので非常に勉強になりました。とく
ました。柴田町には、このほかに
に検討会議で事業者、外部専門
もさまざまな地域資源があります
家、県連、商工会がそれぞれの
立場から妥協することなく議論を重
ねていった場面が印象的でした。
ので、今後も制度を有効に活用し
亘理山元商工会
佐藤 良一さん
て産業創出を進めていきたいと思
っています。
柴田町商工会
日下 尚さん
ゆずを使ったケーキ「北のゆず姫」
13
オーシャンクロス株式会社(繊維工業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
請したが、これは不採択に終わる。
これを受けて秋田県商工会連合会から専門家の指導を仰
課題
昭和57年に婦人服の生産会社として創業したオーシャンクロ
ス(従業員26名)は、その後、のぼり旗(フラッグ)や横断幕、
懸垂幕などの広告宣伝資材関連分野にシフト。こうした製品は
もともとオーソドックスな長方形をしたものが多かったが、近年
は集客効果を狙って文字やイラストに合わせて縁の角度を任意
に変えたり、湾曲させて裁断したもの、くり抜き加工を施すも
のなど、特殊形状品フラッグの需要が高まっている。
しかし、これら特殊形状品の生産には時間と手間を要する
ため、同社の生産能力は 80枚~100枚/日であり、これは発
注元の需要量の5分の1程度でしかなかった。特殊形状品の
需要は今後さらに高まることが予想されるうえに、この業界で
は受注から納品までの期間が5日~7日とかなり短い。こうし
八郎潟町に店舗を構える畠栄(畠栄菓子舗、従業員7名)
窓口となり課題を洗い出し、県連合会は課題に合った専門家の
選定および商工会と専門家の調整を行い、専門家は課題解決
に向けた具体的な提案・指導を行った。
具体的な課題(支援内容)は3つ。①訴求力のある商品パ
は昭和4年設立の老舗和菓子店だ。秋田県内での知名度は抜
ッケージへの改良、②来場者への効果的な商品説明の方法、
導入による効果は、生産力アップだけでなく、生産ラインや工
群に高く、県内の優良特産品のコンテストでもスイーツ部門で
③出展ブースの効果的な装飾と陳列、である。
数などのラインバランスが改善され、多品種少量生産に対応で
3年連続1位に輝くなどの実績がある。
三者の連携はスムーズに進み、出展準備も順調に進んだ。
その一方で県外での知名度は低かった。できたてにこだわ
事業者は「東京で出展するというと、私たち地方の人間はどう
り、その日に売り切れる分だけしか製造しないという信条のも
しても都会的にしようとか、おしゃれにしようとか背伸びをして
採択された。さらに商工会と専門家が連携して経営革新計画
と、多店舗展開や県外進出などの拡大路線は歩まない身の丈
しまいます。でも、専門家の方から『東京の人は地方のお菓子
の申請に向けた支援を行い、平成26年12月、承認を得た。
に合った経営を行っていたからだ。
にそうしたものは求めていない』といわれてハッとしました」と
こうして平成26年8月、再度、ものづくり補助金を申請し、
特殊形状品の需要増と
生産能力の限界
品質第一で
県外進出に慎重
ぎ、再度改善に向けた取り組み内容を検証。その結果、設備
きる多能工化が実現することを確認した。
特殊形状品の裁断工程を大幅に省力化できるレーザー自動裁断設備
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
チーム支援で全国第3位を獲得。
県外への販路拡大に大きな弾み
だった。
そのため、商工会では平成26年3月、ものづくり補助金を申
支援テーマ
語っている。そして、商品の見せ方も、核家族化の進んだ東
事業者は、これら一連の取り組みを通して「後継者である長
男の自覚と責任を促すことができたことも大きな成果」だと捉
支援
えている。
期間
H26年2月~3月
商工会、 県連合会、 専門家の
三者で伴走支援
こうした事業者に対して湖東3町商工会では、時代に適応
支援の経過
支援内容
方向性の検討
3月
ものづくり補助金の申請(不採択)
4月~7月
方向性の再検討
7月~8月
専門家の指導
8月
ものづくり補助金の再申請(採択)
9月~11月
経営革新計画の申請支援
12月
経営革新計画承認
北海道・東北ブロック
北海道・東北ブロック
最新省力設備の導入にともない
経営革新計画の承認へ
湖東3町商工会 株式会社畠栄(製造小売業)
秋田県
秋田県
ゆざわ小町商工会
京ではボリューム感よりも、むしろ小さくして希少感を出したほ
うがいいと考えて工夫した。
その結果、
「畠栄のあんごま餅」は、平成26年の「ニッポン
全国ご当地おやつランキング」で3位に選ばれた。
した営業展開の必要性から、東京・池袋で毎年開催される「ニ
「出展は利益を目的としたものではなかっただけに、この3位
ッポン全国物産展」の投票イベント「ニッポン全国ご当地おや
という結果は、とても光栄です」
(事業者)
つランキング」に、同社の人気商品「畠栄のあんごま餅」でエ
ントリーすることを提案する。すると、事業者は「全国展での
地方の老舗菓子店にとってこの快挙は、大きな自信とともに
販路拡大に向けた道筋を示してくれた。
上位へのランクインはとても無理だから」と辞退してしまう。し
かし、その後も秋田県商工会連合会からの熱心な打診もあり、
「どこまで評価されるか試してみよう」と出展に向けて取り組む
ことになった。
全国物産展までの準備期間は3ヵ月。出展に向けて商工会、
県連合会、外部専門家の三者連携による伴走支援体制が組ま
れることになった。役割分担としては、商工会が畠栄の相談
支援の経過
期間
H26年9月〜10月
10月〜11月
支援内容
商品パッケージ改良支援
商品PR支援
出展ブース演出支援
た要求に対応するためにも、思い切った経営革新が求められ
ていた。
支援
経営指導員から
商工会と専門家の
チーム支援で成果に導く
専門家のサポートなくしてここま
今回の支援で連携の大切さを認
での成果は得られませんでしたが、
識することができました。全国物産
我々経営指導員が現場で得た情
展への出展は、商工会だけではこ
報や判断を事業者に正確に伝え、
なしきれない試みでしたので、県連
そこで、ゆざわ小町商工会では、特殊形状品の裁断工程を
理解してもらうことの大切さをあらた
合会や専門家の先生をはじめ多く
大幅に省力化できるレーザー自動裁断設備を同社が全国の同
めて感じました。今後、設備導入
の皆様の連携とご協力をいただきま
により工場が手狭になることが予想
した。商工会にとってもノウハウの
されます。工場増床の際にも補助
蓄積という成果を残すことができ、
業者に先がけて導入し、需要増に対応するため、経営革新計
画の策定支援に取り組むことにした。
従来、特殊形状品の裁断は手作業で行っていたが、レーザ
ー自動裁断設備を導入すれば、生産能力は 800枚~1000枚/
日と大幅に向上する。問題は設備の導入資金をどう調達するか
14
経営指導員から
金の活用を検討しており、そのた
めにも経営革新計画の承認を受け
たことは有益だと思います。
今後も伴走型支援によって事業者
ゆざわ小町商工会
佐藤 敏洋さん
とともに成長していきたいと思って
います。
湖東3町商工会
鈴木 康記さん
ご当地おやつランキングで3位に輝いた「畠栄のあんごま餅」
15
有限会社M商店(小売業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
備を導入するため、小規模事業者持続化補助金の活用を提案。
M 商店の後継者、専門家、経営指導員は打ち合わせを継続的に実施
課題
味に自信はあるが
地域商品の域を出ず
昭和26年創業のM商店(従業員2名)は、野菜を中心に食
料品の小売を行う青果店である。
以前より自家製漬物をつくり、得意先相手に細々と販売して
いたが、2年前から本格的に商品化し、自社ブランドとして販
売を開始した。青果店ならではの目利きを活かして厳選した
材料を揃え、添加物などを使用せずに手づくりされる漬物は、
安全でおいしいと評判だった。しかし、販路は地元のみ。味
に自信はあっても、食品表示の不備やパッケージデザインに難
があるなど、販路を県外にまで広げるには多くの課題を抱えて
いた。
さらに肝心の青果販売も、スーパーマーケットの進出や、な
じみ客の高齢化などで近年は苦戦を強いられている状況。後
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
特産フルーツを使った新スイーツで
新規顧客開拓にチャレンジ
ために商品パッケージの見直しにも着手した。
こうした販路開拓に向けた地ならしを進める一方で、機械設
支援テーマ
商圏が小さく
商品アイテムも少ない
ってもメリットのあるアイデアであったため、商工会では商品開
発と販路拡大に向けた支援を開始することになった。
そこで、まず平成25年3月に新商品・新サービス開発支援
また、店舗ロゴや商品ラベルを固めて生産体制を整備するとと
県内陸部に位置する東根市は日本一のサクランボの産地とし
事業の助成金申請を行い、資金計画を支援するとともに、生
もに商談代行事業に参加し、首都圏の百貨店や高級スーパー
て知られるが、そのほかにリンゴ、もも、ラ・フランスの生産
産者と同店の連携を進めて試作試食会をサポート。続いて経
マーケット、卸売業など複数のバイヤーから商談可能の返答を
が盛んなフルーツのまちだ。そんな東根市で吉田屋(従業員2
営革新計画の策定とともに、小規模事業者持続化補助金の申
得た。これらのバイヤーからは、価格、味、商品デザイン、量
名)は昭和3年から営業を続ける洋菓子店である。クッキー、
請支援も実施。
目などの項目で評価されており、販路開拓への具体的な道筋
マドレーヌなどの焼き菓子のほか、ケーキ、シュークリーム、
が徐々に明確になりつつある段階といえる。
プリンなどを販売しているが、商圏が小さく、商品アイテムも限
拡大を目指して平成 26 年の「ニッポン全国物産展」に出展す
ちなみに同店の売り上げ高は、自家製漬物商品化以前の平
られているため、近年は売り上げが低迷していた。そうした現
べく、その準備を支援した。出展においては商品の見せ方がカ
成24年度が5000万円で、商品化した24年度は5800万円、25
状を打破するためにも、新商品の開発と新規顧客の開拓が急
ギとなるため、エキスパートバンク事業を活用して専門家を派
年度は6000万円と着実に増加。オリジナル商品をもつことの強
がれていた。
遣。パッケージや告知方法、出展ブースの効果的なディスプレ
加わることで、さらなる飛躍が期待される。
支援
期間
支援内容
H24年
自家製漬物の商品化
H26年1月
地域振興等機関主催型広域展示販売
6月~12月 アンテナショップでの展示販売
7月~11月 持続化補助金の申請支援
8月~
山形県産食品等販路開拓支援事業
9月
地域振興等機関主催型広域展示販売
H27年2月
生産者と事業者をつなぐ
連携役として
そして平成 26 年 11 月、晴れ舞台である全国物産展に出展
した同店のブースには、
「果樹の実ばうむ」の“さくらんぼ”
“ラ・
フランス”
“りんご”という3つの新商品が並ぶことになった。
ちょうどその頃、東根市商工会では、地元の生産者から「サ
クランボを使ったバウムクーヘンの製造委託ができないか」と
いう相談を受けていた。商工会では委託先を探したが、東根
市内に対応できるところはなく、近隣の市町村にも照会。それ
でも、適切な委託先は見つからなかった。そこでやむなく再度、
市内の菓子店に打診したところ、名乗りを上げたのが、商品開
発を模索していた同店だった。
新たなバウムクーヘンの要望は、土産品として「東根らしさ」
を表現した商品であることだった。生産者側は、サクランボを
洋菓子の原料にすることで傷モノや規格外品を有効活用でき
るという狙いもあった。つまり、事業者にもサクランボ農家にと
経営革新計画承認
こうして新商品の製造に対応できる設備を整える一方、販路
イについて支援を仰いだ。
みがこの数字に表れているが、これに首都圏への販路拡大が
支援の経過
北海道・東北ブロック
北海道・東北ブロック
青果店の手づくり漬物を
首都圏の販路へ
東根市商工会 吉田屋(菓子製造小売業)
山形県
山形県
N商工会
支援の経過
期間
支援内容
H25年3月
試作試食会と資金計画を支援
H26年2月
経営革新計画の策定支援
5月
持続化補助金の申請支援
6月
専門家のパッケージ支援
11月
専門家のディスプレイ支援
ニッポン全国物産展に出展
継者を呼び戻して事業を継続させるためにも、自社ブランド漬
物の販路開拓は同店にとってきわめて重要なテーマだった。
支援
販路開拓に向けて
施策を総動員
経営指導員から
さまざまな支援策の組み合わせ
地域内外に商品知名度を高め
活用が、この事業者には有効で
て事業者の収益向上を図るととも
した。今後は5年後に総売り上げ
に、地元生産者の果物を菓子加
8000万円を目標とし、財務内容
工できることを浸透させて、規格
そこで N 商工会は事業者に、地域振興等機関主催型広域
の改善を目指していきます。今回
外農産物の付加価値向上を目指
展示販売・商談会事業に参加し、専門家らのさまざまな助言
の経験で、あらためて定期巡回を
していきたいと思っています。新
を得ながら商品のブラッシュアップと販路拡大の足がかりをつ
かむ方向性を提案。これにより東京駅のアンテナショップでの
半年間にわたる展示販売を通して多くの収穫を得た。さらにフ
ードコーディネーターら食の専門家の助言によって新たなレシピ
の開発や味の改良を行うとともに、消費者への訴求力アップの
16
経営指導員から
重ねて継続支援を行うことで、事
商品開発とプロモーションの両方
業所との信頼関係が深まることを
を経験させてもらいましたが、今
実感しました。今後新たな課題に
も他機関との連携を密にし、迅
N商工会
大木 学さん
速に対応していきたいと思います。
※所属商工会は支援当時
回生まれた新商品が店の看板商
品となるよう、応援していきたいと
考えています。
東根市商工会
村岡 義幸さん
※所属商工会は支援当時
地域の特産フルーツを使った「果樹の実ばうむ」
17
銀舎利いなほ(食品製造販売業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
だ。そして、とりあえず資金のいらないレベルで徐々に改革を
援。平成16年に創業者から娘へ事業継承が行われた際にも商
工会が支援を行っている。
大型店のテナントとして入居し、当初はキーテナントのスーパ
ーマーケットとの棲み分けもできていたが、平成 24 年の大型
店の全面リニューアルにともなう契約更新で、その棲み分けが
なくなった。ここから競合関係が始まり、価格競争に巻き込ま
れた。同店は250円という格安弁当を投入。この商品は人気を
集めたが、逆にほかの商品の売り上げは伸びず、利益が確保
び、商品に付加価値をつける事業再生支援をスタート。うど
や店舗レイアウトができてきた。頻繁に顔を出して一緒に考えて
し、育てた野菜は東京の大手有機・低農薬野菜販売会社を通
んの商品名は、地元の山の名前をとって「矢大臣うどん」とし、
くれたので、負担も少なく、事業計画が受け入れやすかった。
じて販売していた。
パッケージは高級な和紙風のものを採用した。そして、完成し
それが東日本大震災の原発事故で状況は一変する。野菜か
た商品は、東京・日本橋にある福島県のアンテナショップや二
ら放射能は検出されなかったものの、風評被害で福島産のも
子玉川でのイベントで試食会を開催するなど、販路拡大に向け
のは一切売れなくなり、その状態はなかなか改善されなかった。
て継続した支援が続いている。採算が取れるか、販路が見つ
て120万円アップの改善。平成27年の売り上げもさらに100万円
もはや同社にとって、事業モデルの再構築が急務だった。しか
かるかなど、未知の部分があるなかで、
「自分ではとても頼め
アップした。そして平成28年以後の重点課題は、原価率の低
し、好きな農業は続けていきたい。そこで思いついたのが、生
ない専門家が、思いもつかない方法を次々に提案してくれてあ
減化に置いている。
の野菜販売はあきらめて、農産物を原材料とした加工食品の
りがたかった」と、事業者は語っている。
これらの試みの結果、平成26年の売り上げは前年と比較し
製造・販売を行う 6 次産業化だった。しかし、何をどうやって
進めていけばいいのか、事業者はまったくわからなかった。
支援の経過
期間
支援内容
H4年
創業支援
H16年
事業承継支援
H24年
大型店との契約更新
H25年
5 ヵ年計画の策定
H26年
持続化補助金活用
専門家派遣事業を活用
できない状況に陥ってしまった。
この状態から脱却するため、商工会の支援のもと、平成 25
福島県商工会連合会が実施するブランディング事業を活用
土壌消毒をしなくても連作障害を起こさない良質の堆肥を開発
銀舎利いなほ(従業員3名)は米飯中心の寿司・弁当店とし
て平成4年に創業した。白鷹町商工会は創業時から同店を支
というプランだった。
用である。
「商工会の支援を受けながら、少しずついいチラシ
用して、何回もプロのアドバイスを受けた。
課題
して世のグルメ志向、安心・安全にこだわる人たちに売り出す
し、デザインやマーケティングなどの専門家3名を東京から呼
指導員にはとても感謝しています」と事業者。専門家派遣も活
キーテナントとの
価格競争を余儀なくされる
専門家と連携し、この良質のうどんを新しい高級ブランド品と
組んでいた農業法人、宇佐見興産(従業員3名)
。同社では、
大きな節目になったのが、小規模事業者持続化補助金の活
同店の代表者(左から2番目)とその父(左)
、スタッフの方々
震災で生野菜販売をあきらめ
6次産業化へ事業転換
いわき市北部の川前町で、安全で高品質な野菜づくりに取り
進めていった。
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
土づくりからのこだわりを活かして
地元小麦のうどんをブランド化
経営者の「話し相手」になることを重視する。日々の会話のな
かで少しずつ課題解決への意識を高めてもらおうと考えたから
支援テーマ
北海道・東北ブロック
北海道・東北ブロック
低価格競争からの脱却は
「指導」ではなく「話し相手」になることから
川前町商工会 株式会社宇佐見興産(農業)
福島県
山形県
白鷹町商工会
H27年
支援
専門家チームによる
高級ブランド品づくり
川前町商工会と同社は、すでに経営革新計画の策定支援で
付き合いがあった。商工会では、6次産業化総合計画書作成、
小規模事業者持続化補助金の申請から実績報告書の作成を
支援して、事業者の新事業への取り組みを後押しした。
新たな課題解決へ
商工会が注目したのは同社が堆肥でつくっていた「キヌアズ
マ」という種類の小麦だった。この小麦でつくったうどんは風
味と香りがよく、ほかに類を見ない。そこで考え出したのが、
支援の経過
期間
支援内容
H20年1月
経営革新計画の承認
5月
経営革新計画補助金の申請
H25年3月
6次産業化総合計画書の承認
H26年4月
持続化補助金の申請支援
H26年2月~27年1月
ブランディング支援
11月
H27年1月
首都圏での需要調査
新商品試食会
年から専門家と連携して月1回、経営者との会議の場をもち、
あらためて現状の課題を抽出。その結果、①原価率が高い、
②利益率の高い商品の売り出し不足、③売り場に活気がない、
という 3 点を最重要課題として位置づけ、その解決のための 5
ヵ年計画を策定した。
支援
経営指導員の伴走した支援で
持続化補助金申請
しかし、より根源的な問題は、経営者が日々の店舗運営に
追われ、支援を受けるにも精神的・時間的な余裕がなかった
ことだった。
そこで経営指導員は同店に頻繁に足を運ぶことで、とにかく
18
経営指導員から
経営指導員から
持続化補助金の活用はあくま
福島県連と連携して専門家を招
できっかけに過ぎません。事業計
聘し、ピンポイントで効果的な支援
画で立てた目標に向かって、経営
ができました。 川前町はいわき市
者と指導員が一緒に進んでいくこ
の山間部に位置し、市内でも過疎
とが商工会の役割だと考えてい
化が進む地域です。 商工会の会
ます。
員も 40名ほどしかいませんが、今
最終的には、我々の支援なし
回の支援例が、地域の新たな需
でも、自らPDCAを回して経営で
要や雇用につながっていくことを期
きるように、これからも経営者の
隣に立ち、支援していきたいと思
います。
待します。また今後も、このような
白鷹町商工会
千田 隆行さん
イノベーションに取り組む事業者を
支援していきます。
川前町商工会
飯高 良子さん
自社栽培の小麦を使って商品化した「矢大臣うどん」
19
福島県
ひがし商工会
有限会社石井養鶏場(製造販売業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
北海道・東北ブロック
事業計画で方向性を定めて
オリジナルスイーツを商品化
この場合、
「将来あるべき姿」とは、スイーツの販売・PRに
よって、素材である卵の品質のよさを多くの消費者に知っても
らうとともに、卵の需要増につなげることだった。これを実現
するうえで必要なことは、スイーツの製造法を確立することであ
り、マーケティング調査、商品パッケージの作成、販路開拓で
ある。これで取り組むべき課題が明確になった。
商工会はこの事業計画に基づいて進捗状況をチェックし、
実行支援を行ったが、そうすることで経営者の行動が後押し
され、目に見えるかたちで事業が進行していった。これには事
業計画を固めることによって、やるべきことが可視化され、さ
「碧空たまご」を使ったシフォンケーキ
課題
ブランド卵だけでは
売り上げが伸びず
白河市の石井養鶏場(従業員5名)は新鮮な卵を県南地区
の一般消費者に販売してきたが、近年は価格競争が激化し、
らにそれを事業者や商工会が共有化して、ムダな活動が排除
されたことが大きかったと思われる。
開発されたスイーツは、専門家の協力のもとパッケージデザ
インや販促用パンフレットを作成し、商品化にこぎつけ、卵の
卸し先の直売所やスーパーマーケットで販売を開始。地域の6
次産業化商品として県や市のイベントなどでも紹介され、
「碧空
たまご」とともに売り上げの向上につながっている。
商品の差別化と高付加価値化が求められていた。そんななか、
同社は専門家と共同で菓子の原料に合うブランド卵「碧空たま
ご」を開発。県内の菓子店の間で評判が広がり、多くの引き合
いがあった。
支援の経過
期間
しかし、ブランド卵だけの販売では売り上げに限界を感じ、
次なる展開を模索していたところ、転機が訪れる。経営者の娘
支援内容
H25年4月
2人が帰郷し、家業を手伝うことになったのだ。同社ではこれ
現状分析
5月〜6月
事業計画の作成と共有
設備導入支援
する。そして地元産の果実を豊富に使ったシフォンケーキとプ
7月〜9月
商品パッケージ支援
リンを完成させた。この取り組みにおけるひがし商工会の役割
10月〜12月
販路開拓支援
を機に自社で「碧空たまご」を使ったスイーツの商品化に着手
は、新商品のアイデアをはじめ、試作品づくり、商品化、販路
開拓までを計画、実行支援することだった。
支援
事業計画を作成して
やるべきことを可視化
この支援ケースを振り返って重
要な改善効果を挙げるとすれば、
やはり実行支援の後押しだと思い
ます。
商工会では、商品開発の新事業を行うにあたって、まず重
現状分析に始まり、将来ある
要なことは事業計画の作成だと考えた。一般に経営者の頭の
べき姿の設定、その目標に向け
なかにあるイメージは、必ずしも家族や従業員に伝わっていな
いことがあり、そのイメージを整理し、共有するため、全員で
話し合いを実施。そのうえで、将来あるべき姿の設定とそのギ
ャップを経営課題と認識し、ギャップを埋めるための事業計画
を作成した。
20
経営指導員から
た事業計画(アクションプラン)の
作成、それに基づく進捗チェック、
そして実行という流れをたどること
で、着実な結果につながることが
ひがし商工会
青柳 孝さん
あらためて確認できたと思います。
※所属商工会は支援当時
茨城県商工会連合会 株式会社イイジマ(食肉小売業)
支援テーマ
地域資源を活用した加工食品の
商品開発とブランド化
価格志向と高級志向に二分されていることを確認。そこでメイ
ンターゲットをグルメや高付加価値を求めるシニア層やファミリ
ーに設定し、高級地域産品として消費者へのアピールにつなが
水戸市で昭和38年に創業した食肉小売業のイイジマ(従業
る商品を目指すことになった。こうして商品企画の段階から関
員136名)は、常陸牛をはじめとする銘柄牛肉の販売のほかに、
わることで、単に地域資源活用事業認定にとどまらない戦略
手づくり総菜の製造販売や、水戸市内などでレストラン事業を
構築を支援することになった。
展開。県内では高品質の肉を扱う「肉のイイジマ」として広く知
られている。
一方で、この取り組みには多くの他機関や専門家が関わって
いる。具体的には中小企業基盤整備機構(チーフアドバイザ
国産肉にこだわり、安心で良質のものを提供する企業姿勢
ーによる課題対応支援)
、茨城県畜産協会(畜産支援情報の
は高い評価を受け、これまでにIFFA(国際食肉産業見本市)
取得)
、JETRO(海外販路支援)
、税理士(会計支援)など。
で同社ソーセージの食材加工技術が評価され、金賞を受賞し
いわば、新しい高級地域産品によって地域活性化を目指した、
たほか、平成26年1月に茨城県観光物産課主催の「第1回茨
関係支援機関あげての取り組みだったといえる。
城おみやげコンクール」で優秀賞を受賞している。
こうした輝かしい実績をもつ同社だが、かねてより、さらな
る高付加価値商品を世に出すべく、常陸牛と地場産野菜を使
関東ブロック
課題
常陸牛などを使った
ハム・ソーセージの開発
茨城県
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
今後は高級志向の新商品開発にともない同社のさらなるブラ
ンド力アップが期待される。同社では本事業計画終了時に新
商品で約8500万円の売り上げを目指している。
ったドイツ製法のハム・ソーセージの商品開発とブランド化を計
画していた。
これを受けて茨城県商工会連合会は、ほかの諸機関とも連
携しながら地域資源活用事業による商品開発と販路開拓の支
援にあたった。
支援
多様な連携で商品開発と
地域活性化につなげる
商品開発にあたり、同社と茨城県連の担当者は、まず顧客
ニーズと市場動向を踏まえて購買ターゲットと商品戦略につい
て時間をかけて話し合った。その結果、最近の消費傾向が低
支援の経過
期間
支援内容
H26年6月~
新商品構想の具体化
試作品開発と改良
9月~
相談依頼表作成支援
10月~12月
地域資源活用事業の申請支援
H27年1月
2月
関東経済産業局での申請支援
地域資源活用事業の認定
経営指導員から
今回の支援により、商工会の認
知度や支援内容の理解を深めても
らうこともできたと思います。事業
者からは「地域貢献型のオリジナ
ル商品の製造には、地域のさまざ
まな機関と連携することが必要で
あり、多くの知識と人脈による支
援に感謝している」と評価してい
ただいています。
茨城県商工会連合会
藤本 隆幸さん
※所属商工会は支援当時
本格ハム、ソーセージ、ビアシンケンなどを商品開発
21
株式会社西岡本店(清酒製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
に、地元のブランド価値向上、地域農業や観光事業との相乗
効果、さらに地域一帯の活性化につながることが期待されると
して、桜川市商工会や茨城県商工会連合会を中心に支援が始
課題
日本酒離れが進むなか
新商品を模索
宿泊客減少のなか
どう収益を確保するか
平成7年から那須町で営業しているペンションあじわいは、
“和食の宿”をセールスポイントにしている。ペンションであり
げたほうがよいと考えたからだった。さらにペンションの場合、
収容人数が限られているため、リピーターが増えるように宿の
滞在価値を上げる方策(同ペンションの特色でもある体験教室
を充実させるなど)も検討することになった。
その一方で、客単価の増加を図るためにもITを活用した戦
ながら、地元産の旬の食材を使った和食を提供することで、
略は欠かせないと判断。専門家の力を借りてホームページの改
具体的な支援としては、地域資源活用支援チェックシートを
ほかのペンションと差別化を図ってきた。また、パンづくりなど
善やSEO(検索エンジン最適化)対策、動画作成などを支援。
活用した支援課題分析、環境チェックシート、環境分析など
子どもも楽しめる手づくり体験教室を用意し、ファミリー客を
とくにホームページについては、予約ページのフォーマットを改
の抽出、OJT進捗管理ツールによる意識づけ、専門家派遣に
意識したサービス展開を行っている。
善するとともに、体験教室のページを見直すなどの工夫をして
まった。
山桜酵母と真壁高校産コシヒカリを使った純米吟醸酒も開発商品
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
宿泊客の単価増を優先課題に
IT活用で経営力強化を実現
リ(通称「山根米」
)を活用した商品開発を提案。こうした地
元の名物や名産を活かした商品開発を目指す同社の取り組み
支援テーマ
関東ブロック
関東ブロック
地域ブランド向上を担う
新商品開発をバックアップ
那須町商工会 ペンションあじわい(宿泊業)
栃木県
茨城県
桜川市商工会
よる商品開発支援、中小機構・コーディネーター連携による訪
こうしたペンションの特色づくりは、多くの同業者が存在す
問支援。 さらに企画開発コーディネーターによる高度な試作品
る那須町にあって重要なポイントといえるが、東日本大震災で
(微発泡酒、甘酒、奈良漬け、ジェラートアイスなど)の提案も
宿泊客が大幅に減少した平成23年を境に、顧客ニーズの変化
体験教室の充実を図ったことで客単価増加につながり、10~
なされている。これらにより近い将来、同社から桜川市のブラ
が見られるようになった。経営環境が厳しさを増すなかで同ペ
20%の増収を実現した。また申請した小規模事業者持続化補
ンド価値を高める逸品が生まれることが期待されている。
ンションは、収益確保に向けた売り上げ増のための新たな方策
助金により事業効率が向上し、夏・秋シーズンの予約も増加。
を模索していた。
当面の課題は予定通りにクリアされつつある。
いる。
こうした取り組みの結果、旅行サイトの口コミや評価が上昇。
桜川市で清酒「花の井」を醸造する西岡本店(従業員5名)
は、江戸時代中期の天明2年(1782)の創業。もともと近江
商人だった先祖が良質の米と水に恵まれたこの地で酒づくりを
始め、230年の長きにわたって蔵元を守ってきた。
昔ながらの手間をかけた製法による同社の清酒は固定ファン
支援の経過
期間
H25年6月~
を獲得しているものの、酒造業には今日的な課題が多い。ま
ず全国傾向として日本酒の消費量が低迷しており、若者だけで
なく中高年層のアルコール離れが進んでいること。また、付加
支援内容
地域資源活用のヒアリング
9月
相談依頼表作成支援
10月~12月
地域資源活用事業の申請支援
価値の高い小ロット商品が少なく、若者に飲んでもらうための
H26年1月
工夫が乏しい。さらに過大な自社設備の非効率性から、酒蔵
2月
地域資源活用事業の認定
3月
経営革新計画の承認
持続化補助金の申請支援(採択)
などに新たな利用価値を見い出す必要性も指摘されている。
こうした多くの課題を抱えるなか、同社では今後の事業継続
申請プレゼンにかかる指導
支援
ホームページ改善などで
IT戦略を支援
相談を受けた那須町商工会では、まず経営課題を3つに集
約して整理した。それは、①資格を活かした新たなサービス
の提供(客単価増加)
、②稼働率アップ(満足度向上)
、③売
り上げ拡大(リピート、新規顧客、閑散期対策)である。
そのうえで、事業者と相談し、優先順位をつけて課題に取
り組むことにし、まず「客単価増加」を最優先すべきと判断
した。その理由は、宿泊客の絶対数が減少しているなか、新
規顧客開拓よりも既存客の満足度を上げて客単価増加につな
支援の経過
期間
支援内容
H25年6月~9月
HP改善に着手
10月~12月
H26年5月
SEO対策
HP改善(体験教室ページ)
6月
動画作成、SEO対策
7月
持続化補助金採択
9月
HP改善(宿泊以外のサービス)
と拡大に向けた特色ある商品が不可欠と考え、新商品開発を
模索していた。
支援
地域資源活用から
試作品提案まで
経営指導員から
経営革新計画の策定などの支
那須の観光事業者は外部流入
援を通じて事業者とさらなる深い
者が多いため商工会とつながらな
信頼関係を築くことができたと思
い方もいますが、地区を担当して
います。自分自身、このOJTが経
3年、巡回訪問によって徐々に個
その新商品開発に大きな弾みをもたらす出来事があった。平
験とスキル向上につながり、経営
別相談が増えてきました。支援を
成22年、同社は地元の山桜の保存を推進する「サクラサク里
指導員としてのヒアリング力や課
求める事業者に対しては、具体的
題抽出能力が身についたと感じ
な成果を提示することで商工会支
ています。今後も事業者に伴走し
援実績が波及すると考え、これか
プロジェクト」と連携し、
茨城県工業技術センターの協力により、
桜川市の天然記念物の山桜から酵母の抽出に成功。この桜酵
母を使って醸造した「花の井 桜川」を平成23年2月に限定販
売した。
これに続いて同社では、地域の隠れた逸品であるコシヒカ
22
経営指導員から
て支援を続けていきたいと思いま
す。
らも多くの支援事例を積み重ねな
桜川市商工会
中野 将一さん
がら地元商工会の存在意義を高
めていきたいと思います。
那須町商工会
高久 秀樹さん
宿の魅力は、仲のよいオーナー夫婦
23
株式会社BMZ(製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
への参加申請を支援した。
同社が懸念する技術ノウハウの流出については、国際特許
取得とともに、製造を内製化することで技術流出を防げると
課題
高い開発力ながら
生産能力が小さい
事業計画の策定と
資金調達
平成26年設立のかばんねこは、桐生市で知育玩具の販売と
レンタルスペースの提供を行っている。
Jリーグ選手、プロ野球選手など一流アスリートの足を支えて
きた実績をもつ。平成26年には、
「キュボイド」よりも安定性と
運動性を高次元で実現させた、機能性インソールの革命ともい
われる「CCLP」を開発し、注目を集めた。
このように機能性インソールでは突出した開発力をもつ同社
だが、いくつかの経営課題を抱えていた。まず生産能力が小
面販売する経験が必要と考え、イベントなどでのテスト販売を
支援した。このテスト販売を重ねるなかで事業者は、こうした
おもちゃ販売で起業したいと考えるようになり、群馬県商工会
そこで創業計画書に、起業を目指す女性向けのレンタルスペー
「CCLP」
ブランドを確立するほうが重要と判断して、これを念
連合会主催の創業塾に参加したのが平成 16 年のことだった。
スの提供が加えられることになった。これにより創業資金が膨
しかし当時はまだ商売についてまったくの素人で、子育て中で
らみ、手持ち資金では不足したため、商工会では創業補助金
もあったため、迷う日々が続いていたという。それでもその後、
の申請を提案したというわけだ。この申請にあたり、群馬県商
てブランド力向上などである。
群馬伊勢崎商工会主催の経営革新塾に参加するなど、子育て
工会連合会に専門家の派遣を依頼し、創業計画書に基づく創
事業者は「この取り組みで事業の方向性や具体的な手段が
が終わるまでの時間に何ができるか模索していた。
業補助金申請書のブラッシュアップを行った。
支援で得られた改善効果は、売り上げ増、顧客開拓、そし
ときに気軽に利用できるスペースが非常に少ないことに気づく。
明確になり、また量産体制が整ったことで売り上げが伸び、新
そして、子育てが一段落した平成25年3月、創業準備を進
たな販路も開拓できた。さらにGIAに入賞し、自社のブランド
めるなかで、事業計画の策定や融資について商工会に相談。
携、担当者とともに申請書に基づく資金計画の見直しを行いな
力も高まった」と話す。
商工会では、当初計画していた資金を超えることから、創業
がら融資実行に結びつけた。創業までの道のりを振り返って
補助金獲得に向けた支援を行うことになった。
事業者は「事業規模の大小にかかわらず、創業するには年次
実際の融資にあたっては、日本政策金融公庫前橋支店と連
の事業計画はもとより中長期にわたる経営計画の策定が重要
支援の経過
期間
H26年6月
支援内容
巡回訪問によるヒアリング
ものづくり補助金に向けたヒアリング
支援
IT化の支援と
創業補助金の獲得
事業者が創業を目指す原点には、自分が子育てで苦労して
いたときに出会った優れたある知育玩具によって、子育てに喜
7月
ものづくり補助金の事業計画整理
8月
ものづくり補助金の申請支援
9月
GIA申請へのプレゼン支援
GIA訴求ポイントの整理
けて情報発信をしてはどうか」と提案する。当時、商工会はイ
GIAの申請支援
はブログの立ち上げを支援。その後、いずれ創業後に必要に
さいこと。
「キュボイド」は海外工場で生産しているが、
「CCLP」
は自社製造のため、一日の生産数は10足~15足に過ぎない。
ニーズの把握と販売方法習得のために、実際におもちゃを対
ため模倣される可能性は低いと考えられ、それよりも早期に
造を手がけているメーカーである。従業員4人と小規模ながら、
ュボイド」を開発。トップスキーヤーをはじめ、
プロゴルファー、
運営の支援も行った。こうしてIT支援を実施する一方、顧客
そもそも事業者の女性が、自身の子育て経験から子どもの
BMZはみなかみ町で高機能インソール(靴の中敷き)の製
平成19年に従来の常識をくつがえすアスリート用インソール「キ
なることから、ホームページも開設することにし、その構築と
商工会は判断。また量産化に向けた機械設備も特注品である
頭に置いた支援が行われている。
「CCLP」のインソールはグッドデザイン賞を受賞
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
子育て経験から生まれた
知育玩具販売の創業をバックアップ
づくり補助金の申請を支援。続いて、次代を担う群馬の優れた
起業家を発掘・奨励する「群馬イノベーションアワード(GIA)
」
支援テーマ
関東ブロック
関東ブロック
ものづくり補助金で
生産拡大を果たした開発型企業
群馬伊勢崎商工会 かばんねこ(小売業)
群馬県
群馬県
みなかみ町商工会
10月
びが感じられるようになったという体験があった。そこで商工
会では、創業するにあたって、
「子育ての悩みをもつ母親に向
ンターネットを活用した支援に力を入れていたこともあり、まず
であることを学びました」と話している。
支援の経過
期間
支援内容
H20~22年度
創業塾等参加時の支援
(創業マインドの醸成)
H23~24年度
創業準備にかかわる支援
(IT支援・テスト販売)
H25~26年度
創業時の支援
(創業補助金申請など)
当然、設備導入を検討しているものの、資金的な問題が立ち
塞がっていた。さらに「CCLP」はすでに国内特許を取得して
いるが、技術ノウハウの流出防止と海外特許申請も同社にとっ
て重要な課題のひとつだった。
支援
自社ブランド確立に
向けたサポートを展開
みなかみ町商工会では、これらの課題を解消するのに有効
な手立てとして、ものづくり補助金の活用を提案。群馬県商工
会連合会の消費税転嫁対策窓口相談等事業を活用し、支援を
開始した。
まず専門家を招いて詳細なヒアリングを行ったうえで、もの
24
経営指導員から
経営指導員から
事業者と専門家の間に入り、橋
創業者は自分の思いばかりが先
渡し的な役割を担いました。専門
行してしまうものですが、軌道修正
家とは情報交換を密にして、理想
や隠れた課題の整理、課題解決
的な支援につながるように連携を
方法の見極めなどができたと思いま
図りました。
す。 創業2年以内の廃業率が高
このように専門家と連携して支
いため、今後は定期的に状況を
援したことで、今までにはない切
確認し、必要に応じて専門家派遣
り口や、一連の取り組みによる製
を行いながら事業運営のサポートを
品のブランド化、付加価値の高い
ビジネスプランが確立できたと考
えています。
実施。 事業計画についても、必
みなかみ町商工会
山賀 英彦さん
要に応じて再構築の支援を行って
いきたいと思います。
群馬伊勢崎商工会
青木 義彦さん
親子で遊びながらおもちゃを選べる店内
25
ログコテージふりーたいむ(貸コテージ)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
この補助金で宿泊施設の一部を改修するとともに既存のホ
課題
多彩な体験メニューの
訴求方法を知りたい
ログコテージふりーたいむは、平成9年から浅間山山麓1.5
しかし近年では嬬恋村への観光客が減り、事業者の売り上
げも減少傾向にあった。
とはいえ、これまで60代の経営者と妻の2人で切り盛りして
いたため、土日やハイシーズンの売り上げをこれ以上増やそう
にも対応ができない。そこで、オフシーズンや平日の集客を目
エステを活かして顧客の滞留時間を長くすることを提案。これ
道沿いにある化粧品店である。急増したドラッグストアに対抗
さらに近年の業界動向を踏まえ、近隣競合店との差別化に
入った。
して売り上げが確保できているのは、無料サービスの体験エス
なっていたエステサービスの強みを活かすためにも、トイレの
テが顧客の商品購入につながっていることが大きい。
リニューアルは必需として小規模事業者持続化補助金の申請を
を軸にして経営計画が策定された。
訴求したものに一新。これが功を奏し、前年同期をはるかに
ただ、常連客は50代以上と高齢化が進んでおり、若い客は
支援。改修工事は最初の相談から半年後に行われたが、商工
上回る集客を得て、大きな自信につながることになった。商工
ドラッグストアに流れてしまうので、若年層への販路開拓と、
会が民間金融機関とコネクションをつけ、
補助金精算までの
「つ
会でも、実績報告にかかわる書類整備などを丁寧に支援し、
高齢者にふさわしい店舗整備が急がれていた。
なぎ融資」を説明したことも事業者の安心感につながっている。
確実な補助金精算に努めた。
その後、商工会は経営革新計画の承認を目指すことも勧め、
準備に1年をかけて承認を得ることができた。
平成27年には2度目の持続化補助金の採択を受け、補助事
業に取り組んでいる。後継者は「これからが新たなスタート」
その店舗整備のひとつが、高齢の常連客から多く要望が寄
リニューアルされたトイレは、予想通り高齢者に好評で、常
せられていた店内トイレの洋式改修である。和式トイレから洋
連客が知り合いを連れて来店するケースも増加。トイレ改修が
式トイレへの改修は、高齢者の使い勝手をよくするとともに、
新規顧客開拓に結びついているという。
ドラッグストアに流出した若年層への販路開拓にもつながると
考えて、同店は改修を決めた。
支援
支援の経過
事業者の意欲を喚起した
アドバイザーの助言
とはいえ、トイレ改修の費用は個人商店にとって決して小さ
期間
支援内容
い出費ではない。事業者は平成24年1月、商店街組合主催の
H26年3月~H27年2月
持続化補助金の申請・実行支援
補助金活用セミナーに参加した際、小規模事業者持続化補助
H26年6月~H27年6月
経営革新計画の策定支援
H27年2月~3月
所得税等税務申告関係指導
3月~12月
商工会では、商店街主催のセミナーのざっくばらんな意見交
換で、小規模小売店の抱えるさまざまな課題を把握できたこと
が大きいとしている。事業者は「トイレ改修は喫緊の課題でし
と意欲を見せている。
内には自家農園、石窯、囲炉裏小屋、そば打ち部屋などがあ
る。
常連客の高齢化と若年層の流出が最大の課題だとして、体験
工会が専門家派遣事業を通じて疑問点を解消してから作成に
コテージ全棟にバーベキューコーナーを設置するほか、敷地
7月~8月のハイシーズンの売り上げが全体の60%を占めてい
は新たな販路開拓に意欲的になっていった。アドバイザーは、
ふくだや(従業員3名)は昭和6年創業、幸手市の旧日光街
haの敷地で7棟の貸コテージ業を営んでいる。
り、
数々の体験メニューを提供。首都圏の若年世代が多く訪れ、
常連客の高齢化と
若年客の流出
ームページをリニューアル。リニューアルに関しては、事前に商
後継者が製作会社と作成したホームページは施設の魅力を
冷涼な夏の浅間高原に佇む「ログコテージふりーたいむ」
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
店内トイレのリニューアルで
老舗化粧品店が新規顧客獲得へ
し、商工会主催の経営計画作成セミナーの受講を勧めた。計
画書の策定を支援し、採択を得た。
支援テーマ
関東ブロック
関東ブロック
ホームページのリニューアルで
後継者の事業訴求を後押し
幸手市商工会 有限会社ふくだや(小売業)
埼玉県
群馬県
嬬恋村商工会
持続化補助金の申請・実行支援
(2回目)
金のことを知り、幸手市商工会に相談をもちかけた。
これにより、まずは埼玉県商工会連合会のアドバイザーが
派遣されることになり、経営計画の策定が進められた。商工
会のOBでもあったアドバイザーは、商店経営の改善に関する
過去の事例を具体的に示しながら助言。それによって事業者
たので、タイミングよく補助金が活用できただけでなく、商工
会による経営分析や業界分析も大変参考になった」という。
支援の経過
期間
H24年1月
支援内容
商店街主催セミナー参加
2月
経営計画の策定支援
3月
持続化補助金の申請支援
8月
トイレ改修を実施
指したが、新たな顧客を確保するためには、他社との差別化
を強化する必要があった。
支援
補助金申請と
経営革新計画の策定
そんななか、平成25年の春に後継者の長男がサラリーマン
を辞めて帰郷し、事業に従事することになった。
嬬恋村商工会では後継者に青年部への加入を促し、経営者
も早く地元に馴染むようにと後継者に働きかけた。個人事業で
あり、経営資金も限りがあるため、後継者は事業を補助金で
まかなうことに強い関心を示していた。
そこで商工会は小規模事業者持続化補助金の活用を提案
26
経営指導員から
経営指導員から
補助金のなかでも小規模事業
持続化補助金での今回のよう
者持続化補助金は、これまで多
な事例は、幸手市商工会にとっ
くの小規模事業者があまり取り組
ても初めてでした。アドバイザー
んでこなかった経営計画策定の重
の的確な助言と計画書策定もあ
要さを認識することにつながって
って、よい支援ができたと思いま
います。事業者自身が自社の経
す。この事業者の場合、タイミ
営資源を棚卸しして、今後の実現
ングがちょうどよかったこともあ
可能な事業展開を考え、実行して
りますが、それまで迷っていた経
いくことは、補助金を受けること
以上に意義があることだと感じて
います。
営者の意識が前向きになり、積
嬬恋村商工会
磯野 宏和さん
極経営を目指す意欲が生まれた
ことが大きいと思っています。
幸手市商工会
長岡 智明さん
持続化補助金を活用してトイレのリニューアルを行った
27
美容室えはら(美容業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
酵素風呂の提供価値については、同美容院が人口約3000人
課題
までは大幅な集客増は望めないため、新たに酵素風呂の温浴
サービスを始める構想を描いていた。
半製品を競りで仕入れ、数年かけて自然乾燥させ、加工した
したため、事業者の頭のなかにある思いをさらにはっきりとさ
たうえで、安心や信頼、快適性などの付随的価値も差別化要
ものを建材・家具材として地元工務店やリフォーム会社に販売
せて、目標達成への道筋を明らかにすることができた。
因になると考えられた。さらに「顧客カルテ」を作成して接客
してきた。建材として需要の高かった銘木はバブル崩壊以降、
にあたり、コミュニティスペースを確保することも検討された。
核家族化、和風建築物の減少、安いインテリア家具小売業の
ものを提案していく内容。顧客との付き合いを長期化させ、そ
台頭などで、同社の売り上げも大きく落ち込んで、回復のメド
こで発生する収入を拡大する計画だ。
自家用酵素風呂を設置するまでになっていたからだ。そこで、
この事業を行うことにしたのだが、問題は新たな店舗を建設す
る費用で、予定額は約1200万円だった。
支援
差別化要因を明確にして
経営革新計画を策定
相談を受けた東秩父村商工会は、まず同美容院の財務内容
を把握し、経営者の今後の生活も考慮のうえ、万一途中で計
画を中止することも視野に入れて支援を開始した。当初は金融
また、
銘木から建材や家具材をつくると、
端を切り落としたり、
傷の部分を避けたりして、どうしても端材が出る。これを杢目
その結果、今後の事業経営に対するイメージと自信の構築が
性の高い銘木家具を自社で製造・販売すること。それは銘木
(天然の模様)の美しいいろいろな日用品に加工して、販売し
できたという。こうした流れを経て、相談を受けてから4ヵ月
家具のリフォームと、端材の活用も視野に入れたものだった。
後には経営革新計画の承認を得て、日本政策金融公庫の融資
を受けている。
付き合いのある会計事務所に、家具製造機械を購入するた
ていく。これなら低価格でできるうえ、
銘木のロス率も減らせる。
新事業の販売促進には、既存事業の顧客や提携先のルート、
めの借り入れの相談に行った事業者は、そこで商工会に補助
ショールームやホームページの活用、PR活動などを通して、周
金の相談をするように勧められる。これがいすみ市商工会が
知させていくことを考えている。
支援するきっかけだった。
支援の経過
期間
H25年8月
支援内容
経営状況と課題の確認
支援方針の説明
9月
経営資源の整理
10月
新事業の価値判断分析
11月
損益計算
12月
経営革新計画承認
支援
専門家の派遣と
経営革新計画の策定
支援の経過
期間
H26年4月
相談を受けた商工会ではヒアリングを開始、市場の分析や
経営課題の洗い出しを行った。その結果、専門家のアドバイス
専門家の派遣
専門家派遣を受け巡回指導
12月
経営革新計画で県連担当者と訪問
県へ経営革新計画の事前相談
1回ずつのミーティングを重ねた。ミーティングのたびに専門家
から業界の動向や今後の方向性などの指導、アドバイスを受け、
巡回訪問で国の施策などを周知
売り上げ向上の相談
5月
が必要だと判断し、エキスパートバンク事業で中小企業診断士
の派遣を依頼。その後、事業者、商工会、診断士の三者は月
支援内容
H27年2月
経営指導員から
経営革新計画の提出
経営指導員から
酵素風呂の業務設計と損益の
会員事業者への日頃の巡回訪
管理体制についてもう少し煮詰
問がいかに大切かを感じました。
めたかったと思っています。意欲
それがなければ、会員はなかなか
的になった事業者が途中から事
本音で相談に来ないと思います。
機関向けの事業計画書を作成する予定だったが、より有利な
業化を急いだこともあり、おろそ
今回、専門家を派遣したことで、
融資を活用するため、経営革新計画の承認も得られる計画書
かになったのが反省点です。実
事業者は商工会会員であること
行後のフォローは不可欠であると
のメリットを感じ、商工会の信頼
あらためて思い直しましたが、商
度を向上させることができました。
を目指すことになった。
まず同美容院の現状についてだが、顧客は50代が32%、70
代が27%を占めており、車で50分ほどの地域からも来店してい
た。活用できる経営資源としては、自然豊かな土地、自宅に
酵素風呂があることから酵素を維持管理するためのノウハウ、
28
が立たなくなっていた。
銘木家具のリフォームサービスはライフステージに合わせた
売り上げ拡大のために事業者が考えた新事業は、デザイン
策定そのものよりも、事業者の実行力を喚起することに置き、
酵素風呂に着目したのは、かつて経営者本人がリウマチ治
療のために酵素風呂を経験し、効果を実感。その後、自宅に
とを自覚させられる。そして商工会の支援のもと経営革新計画
差別化を明確にする必要があること。また、競合店なども調べ
に美容院を開設。それまでに築いた人脈から固定客をつかみ、
境は厳しく、近年は売り上げも低迷。立地条件などからこのま
がそれまで家具製造を漠然と考え、融資も簡単に考えていたこ
を策定、採択された。申請書作成には相当のエネルギーを要
美容室えはらの経営者は平成10年、
東秩父村の自宅敷地内
遠方からの集客も図って事業を行っていた。しかし、競争環
事業者は自らのビジョンをはっきりさせていった。同時に自分
いすみ市で50年近く銘木を扱ってきた野瀬銘木店。原木や
ら事業者の「気づき」を促しつつ計画を策定。主眼は計画書
建設費1200万円を
どうするか
新事業で低迷する
売り上げ回復を図る
と少ない地域にあるため、より広域からの集客をはかるために
支援方法はコーチングスタイルで、質問表なども活用しなが
米ぬか 100%の酵素風呂の前で事業者夫妻
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
自社で製造・リフォームした
銘木家具で新事業に乗り出す
理学療法士である息子ら家族の協力が得られること。さらに
関係性の深いなじみ客が約100人いることなどが抽出された。
支援テーマ
関東ブロック
関東ブロック
美容院に併設した酵素風呂で
新たな集客を図る
いすみ市商工会 有限会社野瀬銘木店(製造業)
千葉県
埼玉県
東秩父村商工会
工会ならではの、きめ細かな対
応により、事業者の商工会への
東秩父村商工会
島村 誠さん
信頼は向上したと思っています。
※所属商工会は支援当時
商工会と県連が連携して支援を
行い、事業者の満足度も高かっ
たと思います。
いすみ市商工会
根本 量ニさん
端材を活用してつくる日用品は美しい杢目が魅力だ
29
株式会社感謝(学習塾)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
ス・中学生コースへとつなげていくのが狙いで、最近の新規生
課題
教室を増やし、さらに平成26年には3教室目も開設した。公
文式時代から、のべ約3500人の生徒を指導してきた実績から、
立。平成18年に現経営者が祖父から事業を継承し、
金属加工、
が定められた。その結果、一般消費者向け「金属モデル」の
により、手が回りきらず手薄になっていた。そういう意味で今
精密板金、溶接、組み立てまで行う設備を整えるとともに、同
商品化により下請けからの脱却を目指すとともに、地元多摩の
回の取り組みは、複雑化したコースの見直しも含めて、創業時
業他社と連携して機械設計から各種処理まで幅広い要望に対
美術大学との産学連携により、製品の企画、デザイン、製造
の原点に立ち返ることの大切さを示したといえる。
応できる事業展開を図ってきた。しかし、
リーマンショック以降、
に関する事業を展開した。
受注が減少し、それまでおもに大手企業の下請けに頼ってい
た経営を見直すことになった。
模事業者持続化補助金の活用を提案し、新事業の販路拡大
援。その結果、新設コースについては予定定員を大きく上回る
販路開拓、人材育成、知的財産権やPL対策の計画立案など、
に向けた展示会への出展やパンフレットの作成支援を行った。
申し込みが寄せられるなどの効果が見られた。
取り組むべき課題は多かった。
立ち返って生徒たちの指導にあたっています」と事業者は話す。
支援
支援の経過
期間
支援内容
体質改善から
商談会参加まで
銀行との融資相談対応
家派遣事業を活用して詳細なヒアリングと経営診断を行った。
内容や料金体系が複雑になり、事業者自身も戸惑うほどわか
H24年
アシストプログラム活用
りにくくなっていたこと。もうひとつは、近年の少子化により新
H25年
将来的なFC化相談
H26年
持続化補助金の申請支援
融資相談対応支援
のアイデアを出し合うなど、企業風土や従業員のモチベーショ
ンが改善されたのも大きな収穫だったという。
の企業規模の範囲内で利益追求していくという事業者の意向
H19年
生徒募集チラシの作成支援
じるようになった。同時に従業員が担当グループごとに新事業
相談を受けた昭島市商工会は、最初のヒアリングで、現状
られるまでになった。
H20年~22年
その結果、高級ブランドをはじめとし、小売店やホームセン
ターからの受注を獲得し、事業者は脱下請けへの手応えを感
「取り組みを通して、教育への創業理念を再確認し、初心に
を確認する。そこで、経営力向上TOKYOプロジェクトの専門
そんな同塾と東大和市商工会の関わりは古く、20年以上前
拓を図るマッチング商談会への参加を促進した。さらに小規
ただ、新事業を立ち上げて安定収入源を確保するためにも、
確定申告作成支援
規生徒の獲得がしだいに厳しくなっていることである。
商工会としては、東京・多摩地区の各種製造業者の新規開
配布、新英語教材を活用する英語コース開設の告知などを支
H4年~19年
の要望に応えるかたちでさまざまなコースを増やしたために、
ては、市場競争が少ないマーケットを自ら開拓するという事業
り組んでおり、それが強みでもあったが、事業者の業務多忙
口コミで生徒が集まり、東大和市内では評判の学習塾として知
しかし、やがて経営問題が浮上。ひとつは、生徒たちから
が高まっていった。このような改善運動の一方、新事業につい
者の意向を尊重し、利益率の高い市場と顧客を開拓する方針
株式会社感謝(従業員1名)は、もともと公文式の学習塾と
して発足。平成19年に独立すると、その4年後に法人化して
組みのなかで不具合発生件数を減らそうという従業員の意識
板金加工業の丸和製作所(従業員19名)は昭和35年の設
続化補助金の活用により、新規生徒募集の看板製作やチラシ
増えすぎたコースと
新規生徒の獲得難
受注減の対策として
新事業を立ち上げ
徒獲得難に対応した戦略だ。同塾では以前から幼児教育に取
このような事業改革とともに、商工会では小規模事業者持
将来の生徒獲得を目的に幼児向けコースを設置
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
脱下請けへ動き出した
板金工場の新事業をサポート
その一方で、幼児を対象にした新コースが設置されることに
なった。これは、幼児の募集を行うことでその後の小学生コー
支援テーマ
関東ブロック
関東ブロック
教育事業の出発点に立ち返って
経営課題の解決に取り組む
昭島市商工会 株式会社丸和製作所(製造業)
東京都
東京都
東大和市商工会
その結果、既存事業の問題解決には全社の協力体制が不可欠
であることから、従業員を交えた改善の取り組みを実施するこ
とになる。具体的には工程管理のムダを省き、品質管理の向
上による失敗コストの低減を目指すことになった。
これを実現するために、生産管理ソフトの入力の徹底と機能
強化を図り、入力環境の整備を行うことになったが、その取り
支援の経過
期間
支援内容
H21年
専門家による経営診断
H24年
経営革新計画の策定支援
マッチング商談会参加
H25年
アシストプログラム活用
H26年
持続化補助金の申請支援
に商工会が確定申告などの財務面の支援をしたことにさかのぼ
る。その後、法人化して教室を増やすにあたり金融機関との
融資交渉を支援し、当初よりも1000万円増額のうえ、低利率
の融資に導いている。
支援
幼児教育復活で
新規生徒取り込みへ
同塾の課題に対して商工会では、エキスパートバンク事業と
経営変革アシストプログラムを活用し、複雑化していたコース
や料金体系の見直しを支援することになった。事業者の経営
理念を再確認したうえでコースの取捨選択を行い、簡略化を図
っている。
30
経営指導員から
経営指導員から
日常の支援を通じて得た信頼に
事業者支援といいつつ自分自身
よって商工会の必要性を理解して
の勉強にもなり、事業者とともに
いただけた事例だと思います。ひ
考えるきっかけになりました。名
とつの施策による成功体験が次
刺交換をした事業者にはメールで
につながり、それがまた再度の施
情報提供を行っており、それに関
策につながる。事業者と商工会双
する問い合わせや相談依頼も多
方にとっての好循環ができました。
く、商工会の信頼度が増したよう
同時にまた、支援を通じて専門家
に思います。これからも新たな事
のノウハウを習得することができ、
自分自身の能力向上にもつながっ
たと思います。
業者への相談対応につなげられる
東大和市商工会
芦澤 毅士さん
ノウハウを蓄積できるように業務
に取り組みたいです。
昭島市商工会
小山 昌宏さん
捨てられる端材を使い、工場の職人たちの手づくりから始まった縞板ボックス
31
有限会社光製作所(金属製品製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
人材確保にも貢献する
地域資源活用の新型寿司が誕生
戦!」を選び、内容をブラッシュアップ。これが採択され、
1000
万円の補助金を得た。続いて翌年も、
ものづくり補助金を申請。
課題
これは3次元形状測定器の購入資金にあてるためで、事業計
課題
昭和45年創業の光製作所(従業員65名)は、プレス加工ひ
こうして2度にわたる、ものづくり補助金によって設備の拡
地元食材の甲斐サーモンなどを使ったオリジナルの押し寿司を
黒米と白米の配合、甲斐サーモンの仕込み方法などを最適に
充を図るとともに、商工会の支援のもと経営革新計画も申請。
開発するとともに、数年前からは山梨県産ワインを地酒として
する一方、ゆずやオリーブオイルで食べるといったワインを意識
テーマは「女性を活用した新しいプレス生産方式の確立」で、
提供するなどユニークな取り組みを続けている。
した新しい食べ方を提案している。
平成26年4月に承認された。さらに県の専門家派遣事業を活
その一方で、拘束時間の長い調理師の人材確保に頭を痛め
販売については、県内の観光施設や山梨シェフズクラブ加盟
用し、中小企業診断士ら専門家のヒアリングにより、組織・人
ていた。今後、新店舗の展開など新事業を立ち上げて、さら
のレストラン、道の駅、お取り寄せサイトなどの利用を検討。あ
事体制の指導も行われた。
に発展していくためにも、人材確保は重い課題になっている。
わせて山梨県連主催の展示会や商談会に参加して販路開拓を
営革新計画の承認により、企業の5年後の方針が明確化でき
たのがよかった」と話している。なお、平成 27 年にも、もの
づくり補助金を申請し、3年連続で採択されており、現在4年
支援
店頭以外で売る
姫棒寿司の開発支援
支援の経過
期間
支援内容
見ない姫棒寿司(細身の棒寿司)だ。その特徴は、ワインとの
マッチングを意識するとともに、地元の食材をネタに使用した
H25年7月
ものづくり補助金の申請支援
の売り上げ高を達成している。その大きな要因として、これま
H26年1月~3月
経営革新計画の策定支援
憩時間)を利用して調理することで、休憩時間をなくす一方、
で他社が敬遠する高度な加工にも果敢に取り組んできた積極
4月~5月
ものづくり補助金の申請支援
二交替のシフト制を導入。そうすれば、現状の労働環境が改
9月~12月
組織・人事体制の指導
さらなる信頼と受注を獲得してきたのである。
そんな同社は商工会の非会員であったが、平成25年、綾瀬
市商工会に相談をもちかける。それは、専用加工機のワイヤー
H27年4月~5月
10月~11月
ものづくり補助金の申請支援
組織体制および営業強化の指導
カット放電加工機とデジタル電動サーボプレスを導入するにあ
たり、ものづくり補助金を活用したいという内容だった。より
高度な金属加工に対応するための積極的設備投資である。
支援
経営革新計画で
5年後を明確化
商工会では、さっそく同社に商工会会員になってもらうと、
ものづくり補助金の申請に向けて支援を開始した。まずエキス
パートバンク事業で派遣された中小企業診断士とともに同社を
訪問し、ものづくり補助金の採択に必要な事業計画書の作成
を支援。同社が用意した3パターンの計画書案のうち「
『プレ
ス化は1000個/LOT以上の常識を変える』ための町工場の挑
にウェブなどでの広報宣伝を行い、将来的には海外への販売
も視野に入れた展示会や商談会への出展を検討する予定だ。
こうした人材面の課題をクリアしながら新しい事業展開を模
連続採択に向けて挑戦中である。
頭以外で提供する新事業だった。その新商品が、ほかに類を
姿勢があった。これにより技術力を高め、その高い技術力で
32
行うとともに、ワインを扱う業者とも連携することにした。さら
一連の取り組みに同社は、補助金獲得もさることながら、
「経
取引先の海外移転で売り上げが激減しながらも、これを機に
だものの、その後は順調に回復し、平成25年度には過去最高
認定された甲斐サーモン、ゆず、紫黒米を使用するとともに、
義を明確化し、ブランド化を図った。試作では酢の配合や紫
索するなかで浮上してきたのは、新商品を開発して、それを店
に対応できる態勢にシフト。リーマンショックで一時落ち込ん
まず新商品である姫棒寿司の開発については、地域資源に
は、寿司だけでなく、宴会の仕出しや弁当販売など幅広く展開。
と筋に歩んで発展してきた。創業から30年目の平成12年、
主要
大型顧客の受注頼りの経営をあらためて、少量多品種の受注
連携して支援することになった。
山梨シェフズクラブ加盟レストランの協力を得て姫棒寿司の定
定器の活用で実現化する町工場の挑戦!」である。
高度な仕事に応える
専用機導入を
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
富士川町にある昭和 63 年創業の「おかめ鮨」
(従業員24名)
画名は「海外流出した金型市場を奪還すべく、3次元形状測
同社の工場内(自動金型倉庫)
調理師の人材確保難が
事業発展を阻む
支援テーマ
関東ブロック
関東ブロック
さらなる技術力追求のため
設備投資をバックアップ
山梨県商工会連合会・富士川町商工会 有限会社おかめ鮨(飲食業)
山梨県
神奈川県
綾瀬市商工会
ところにある。これを店のアイドルタイム(ランチタイム後の休
善され、人材確保がしやすくなる。また店舗と労働力の効率が
上がるので、収益構造の改善も期待できる。
以上のようなメリットが考えられたため、地域資源活用プロ
グラムを利用した新商品開発と販路開拓を、山梨県商工会連
支援の経過
期間
H26年7月
支援内容
認定地域資源の確認
7月~
試作品開発開始
10月
食材開拓のため海外視察
11月
試食会開催
8月~12月
地域資源活用事業の申請支援
H27年1月
プレゼン方法の支援
合会、富士川町商工会、山梨県成長産業創造課、中小機構が
経営指導員から
経営指導員から
商工会は同社に対して、中小企
今回の支援先は「地域社会に
業診断士や県の支援を受けなが
食文化で貢献する」をビジョンに
ら事業者に寄り添ってフォローす
しており、その企業姿勢が今回の
る伴走型支援を行ってきました。
新商品開発の大きな成功要因に
今回の取り組みの結果、各種
なったと思います。今後は販路拡
承認や採択を得たことは、商工会
大と商品のバリエーションアップに
のブランド力や支援体制の強化
取り組んでいただき、地域内連携
にもつながったと思います。また、
による波及効果が高まればと思っ
多くの事例に携わることによって、
自身の引き出しが増えました。
ています。地域資源活用に熱心な
綾瀬市商工会
竹川 隆幸さん
複数社の連携で域外から集客させ
る面的な取り組みが重要でしょう。
富士川町商工会
植松 克年さん
甲斐サーモンなど地元食材を使った姫棒寿司
33
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
既存事業の落ち込みを
新商品の開発で歯止め
古くから林業と木工業が栄えた木祖村にある伊勢屋木工所
て、長年培ってきたイーゼル製造技術を活かした日用品の開発
が始まった。興味深いのは、新商品はイーゼル製造で発生す
る端材を使用してつくることで、資源の有効活用にひと役買っ
ていることだ。
は、昭和16年から続く老舗木工所だ。昭和40年代以降、村内
結局、商工会は情報発信や知的財産権の指導など計5回の
で画材生産が盛んになったこともあり、長年、イーゼルの製造
専門家派遣を実施している。平成26年2月には大阪商工会議
を手がけてきた。しかし、少子化やパソコンの普及、海外から
所主催の「ザ・ベストバイヤーズ」に試作品のスマホスタンドや
の安価製品の流入などにより、生産量は減少し、最盛期の1
ワインラックを出展。しかし成果が得られなかったため、その
割以下にまで落ち込んでいた。
反省を踏まえて商品バリエーションを増やし、自社のロゴマー
そんななか、平成22年に木祖村商工会が受け皿となり、村
クも制定することになった。
内木工業18社による組合が「KISOMURA木の匠」ブランド
さらに使用例をわかりやすく示した商品チラシを用意し、専
を立ち上げ、長野県地域資源製品開発支援センターの支援を
門家派遣によりプレゼンの実践的指導を受けるなどして、商品
受けて商品開発に取り組んだ。これ以降、人的ネットワークが
化と販路開拓を進めた。
形成されるとともに、木工業者たちのモチベーションが高まり、
積極的に新商品開発に向き合う素地がつくられた。
そんな木祖村で、同木工所も特性を活かした新商品開発と
関東ブロック
小さな山村の木工所が
挑んだ端材を使った商品開発
長野県
木祖村商工会 伊勢屋木工所(木工業)
その結果、大手DIY関連会社の商談会でスマホスタンドが
採用され、納入が決定。そのほか、最近では安曇野の美術館
や県内の道の駅でも納入実績を積みつつある。
販路開拓によって収益改善を目指している。
支援
商品企画から
知財権指導まで
同木工所は平成25年、商工会の呼びかけに応じて大阪商工
会議所主催「買いまっせ! 売れ筋商品発掘市」に参加。この
とき、試作品の卓上イーゼルを商談会に持ち込んだところ、大
手企業の担当者から問題点を指摘され、新たな商品開発の提
案を受ける。
これを機に商工会の専門家派遣事業で工業デザイナーの指
支援の経過
期間
H25年1月
12月~
H26年2月
支援内容
HPによる情報発信支援
新商品企画開発支援
知的財産権指導
8月~9月
試作品開発・ロゴ作成支援
10月~11月
試作品開発・宣伝支援
導を受け、さらに長野県中小企業振興センターなどの支援を得
経営指導員から
小規模事業者だけで新たな道を
切り拓くには限界があり、ハード・
ソフトの両面からの支援が必要で
す。このケースでは、以前からの
人的ネッ
トワークを活用し、それぞれ
の特徴を活かしながら円滑に進める
ことができました。
木祖村の木工産業も、経営者
や職人の高齢化による事業承継
問題を抱えており、行政も交えなが
ら課題克服に取り組んでいます。
木祖村商工会
山口 一幸さん
木のぬくもりが感じられる、折りたたみ式スマホスタンド
34
35
鈴木大和園(造園業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
メディアを利用した PR も検討することにした。なお、ホーム
ページ開設やパンフレット作成は、小規模事業者持続化補助
金を活用することで支援を行った。
このように新商品の販売・PR方法の確立、ホームページ開
設などのIT化、登録商標の手続きと、それぞれの分野の専門
「結桜」と事業主。造園業の取り組みとしては革新的チャレンジである
課題
期待の新商品も
売り上げが伸びず
ヤマイ佐藤商店(従業員2名)は、上越市で明治33年から
題もあり、売り上げは期待されたほど伸びていない。
また、仕事柄、受注がどうしても一定期に集中するため、仕
事量が年間を通じて均衡化しにくく、繁閑の差が大きいことも、
経営課題のひとつだった。
持続化補助金で
販路開拓へ
こうした課題に対処するため安田商工会に支援を求めた同
社は、
商工会の古くからの会員だった。これまでも税務や労務、
融資などで相談してきた経緯がある。ただ今回は、新商品の
販路開拓と新規顧客獲得を目指した、より積極的な相談であ
ともに、こだわり商品をアピールするための看板、しおりの作
土蔵の放つレトロ感を含めた店舗全体の雰囲気によって、顧客
うべき米と酒に強いこだわりをもった商売を貫いている。
への訴求力をいっそう高めた。
家による支援が行われた。その意味では、単なる新商品の販
新潟米は契約農家に低農薬栽培してもらっているもので、コ
これらの取り組みは、顧客開拓とともに売り上げ増とブラン
路開拓にとどまらず、古い体質をもった事業者に対する経営革
ンピュータ制御の低温低湿倉庫で保管することで一年中、新
ド力向上の改善効果をもたらした。同店の場合、もともと商品
新の取り組みでもあったといえるだろう。
米に近い状態を維持できるという。日本酒もこだわりの新潟の
へのこだわりと土蔵という2つの強みをもっていたが、事業者
これら一連の支援は平成25年の年初から翌26年6月にかけ
地酒がラインナップされ、普通酒や純米酒は土蔵で、吟醸酒
は「専門家の支援と持続化補助金の活用により、自社の強み
て行われたが、その結果、当初の狙い通り、個人顧客の開拓
や生酒は冷蔵庫で保管されている。こうした同店のこだわり商
を明確にでき、今後の事業運営に弾みがついた」と手応えを
による売り上げ増につなげることに成功。さらに桜の苗木は行
法は顧客の支持を集めているものの、課題もあった。これま
感じているようだ。
政や地域の関心も喚起し、市の桜として、今後、市内随所に
でホームページや販促チラシなどを活用して販売促進に努めて
植えられることが決まっている。
きたが、こだわり商品の認知度は決して高いとはいえなかった。
存在感とレトロな雰囲気を醸し出していた。近くには温泉など
支援の経過
期間
支援内容
H25年1月
販路開拓への支援開始
2月
販売戦略の策定
権利保護に向けた支援
9月
商標登録支援
H26年5月
支援
あわせて、小規模事業者持続化補助金の申請を支援すると
リを中心とした新潟米と新潟産の地酒。日本人の食の原点とい
厚なつくりは、明治時代から続く老舗商家にふさわしい独特の
からピンクに変わるというとても珍しい桜だが、販売方法の問
イスを仰ぐことにした。
成をサポート。同店が大切にしてきた米と酒へのこだわりは、
ら代々この地で造園業を営み、実績を築いてきたが、近年の
く、桜の苗木「結桜」を3年かけて開発。季節になると花が白
店内レイアウト、ディスプレイ、チラシについて専門家のアドバ
続く米と日本酒の老舗専門店である。扱っているのはコシヒカ
また、同店の店舗裏には築100年以上の土蔵があり、その重
ゆいざくら
6月
の観光地もある。この土蔵を有効活用して、上質な空間やサ
ービスを提供する施設に使えないか。事業者はそう考えるよう
になった。
支援
HP作成指導①(コンセプト)
HP作成指導②(SEO対策)
パンフレット作成支援
エキスパートバンク事業と
持続化補助金が奏功
相談を受けて柿崎商工会では、エキスパートバンク事業を
活用。他店にはないレトロ感を活かした看板とキャッチコピー、
経営指導員から
事業者の潜在的なポテンシャルをどこまで引き出すことがで
きるか。それも商工会の重要な役割だろう。
支援の経過
期間
支援内容
H24年5月
看板・レイアウト支援
H26年4月
経営指導員による課題抽出
5月
持続化補助金の申請支援
6月
土蔵内レイアウト支援
9月~12月
看板 ・ パンフ作成支援
H27年1月
持続化補助金実績まとめ支援
経営指導員から
今回の相談をきっかけに事業者
一般に事業者は、顧客獲得の
にはITの活用やPRの重要性につ
ためのアイデアをもっていても、「誰
いてしっかり認識していただけまし
に」 「何を」 「どのように」 するのか
た。一連の取り組みによって顧客
が曖昧な場合が多いようです。そ
をしてこなかった事業者だっただけに、このチャレンジは新た
の反応も好評ですが、加えて経営
こで、話し合いを重ね、アイデアを
な経営改革に向けた思い切った第一歩だった。
者の意識も積極的になってきたこ
具体化することで現実的な方策に
とが大きな収穫だと思います。な
なる可能性が出てきます。同時に
お持続化補助金は、小規模事業
自店の強みを認識することも大切
る。これまで造園業の職人意識が強く積極的な受注営業活動
商工会では、新商品「結桜」の販売方法や顧客開拓の進め
方を検討するため、マーケティング指導の専門家を派遣。そ
の結果、新規顧客開拓は個人からの受注を増やすためにホー
ムページを開設し、また「結桜」の権利保護も検討することに
なった。
36
築100年の土蔵を
どう活かすか
阿賀野市にある鈴木大和園(従業員2名)は、昭和 29 年か
需要低迷により受注減が続いていた。こうした現状を打破すべ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
米と酒への老舗のこだわりを
レトロな土蔵活用とともに訴求
苗木の販路開拓としては、個人へのインターネット販売ととも
に、地元の阿賀野市役所の植栽用として採用を依頼するほか、
支援テーマ
者の前向きな取り組みを支援する
大変よい事業だと感じています。
関東ブロック
関東ブロック
開発した桜の苗木販売で
造園業の未来を切り拓く
柿崎商工会 ヤマイ佐藤商店(小売業)
新潟県
新潟県
安田商工会
で、同店の場合、お客様を土蔵
安田商工会
難波 英明さん
に誘導することで、いっそう魅力が
アピールできると思います。
柿崎商工会
渡部 鮎美さん
店づくりにはこだわりの商法と築100年以上の土蔵が活かされた
37
西光エンジニアリング株式会社(機械製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
握や最適施策の提案・実行支援、商工会や専門家との連携を
課題
技術開発コストが
利益を圧迫
藤枝市の西光エンジニアリング(従業員12名)は、昭和62年
消費者嗜好の変化で
伸び悩む業績
発に取り組み、特殊な専用乾燥設備の製造販売を行っている。
この分野のおもな実績としては、モズクやホタテ貝柱といった
海産物の乾燥機開発を手がけ、とくに年間2万トンの乾燥モズ
クを生産する沖縄県への導入実績が注目される。
そんな同社は平成26年1月、マイクロ波加熱による乾燥技術
のさらなる利用拡大を図るため、
「マイクロ波加熱と電熱加熱
を併用した乾燥機」の開発を目指して岡部町商工会に支援を
われた。
一連の支援は平成26年1月の新事業のヒアリングから、もの
(従業員19名)は、昭和53年の設立以来、安定した経営を続
路開拓支援事業による、首都圏のスーパーマーケットのバイヤ
づくり補助金の採択までの約半年間。これによって開発され
けてきたが、近年は業績が伸び悩むようになった。食肉の高
ーを招いた個別商談会への参加支援と販路開拓支援を実施。
た製品は、大手自動車メーカーより「4輪触媒生産用設備」と
騰や消費者の嗜好の変化が、食肉業界に影を落としているた
これにより同社は販路開拓の足がかりをつかむことができた。
して一式を受注。平成26年に発注先の海外拠点(東南アジア)
めだ。
あわせて新商品が商工会の地域ブランドの認定を受けたことも
に輸出され、同メーカーより独自の高度な技術力による貢献を
そこで同社では新たな商品開発に乗り出す。緑茶でボイルす
表彰された。これを皮切りに、同装置は平成27年から順次海
ることで臭みや固さを解消し、女性や子ども、高齢者にも食べ
外拠点に納入される予定だ。
やすい豚ホルモンの唐揚げの開発だ。それは、茶どころならで
商工会では静岡県連のホームページの特産品紹介コーナーに
はのアイデアであり、また食べやすくすることによって、従来女
「豚ホルモン唐揚げ」を掲載するなどしてPR支援を行っている
性や子どもに敬遠されがちだった豚ホルモンの需要を掘り起こ
が、この新商品の販路開拓は、同社の既存商品についても売
なお、同社は、静岡県連および商工会の実施する各種事業
す可能性を秘めたチャレンジだった。この商品の販路開拓につ
り上げ増の波及効果をもたらしている。
に積極的に協力する先進事例として、地域の他企業の模範的
いて同社から相談を受けた菊川市商工会は、経営革新計画の
存在になっている。
策定を提案。同社に対する本格的な支援がスタートした。
今回の支援について事業者からは、商工会の支援能力や迅
速な対応に対して高い評価が得られた。
大きかった。それによって人気の高いB級グルメイベントに出
展し、新たな顧客開拓につながったからである。
支援の経過
意としており、もともと麦茶や玄米の焙煎装置で実績を積み上
10年ほど前からはマイクロ波加熱を利用した乾燥技術の開
ップ、さらに現地調査を踏まえた計画のブラッシュアップが行
こうした流れを経て平成25年12月、静岡県連の特産品等販
設立の技術開発型企業。ニッチ業界向け専用機械の開発を得
げていた。
した支援が行われた後、経営指導員による申請書のフォローア
茶どころで知られる菊川市で食肉加工業を営むマルマツ食品
図りながらの進捗管理などを行った。
マイクロ波加熱と電熱加熱を併用した乾燥機(実験機)
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
地の利を活かした新商品に
販路開拓の確かな道筋を
その過程で、事業計画のブラッシュアップのために専門家派
遣を実施。また、静岡県商工会連合会では、企業ニーズの把
支援テーマ
関東ブロック
関東ブロック
ものづくり補助金を活用して
新製品を開発
菊川市商工会 マルマツ食品有限会社(食肉加工業)
静岡県
静岡県
岡部町商工会
支援
支援の経過
期間
H26年1月
2月~3月
支援内容
新規事業のヒアリング
経営革新計画の策定支援
4月
経営革新計画承認
4月〜5月
ものづくり補助金の申請支援
6月
ものづくり補助金採択
経営革新計画申請と
バイヤー個別商談会
期間
H25年5月
支援内容
巡回による相談対応
そもそもの発端は平成25年5月、菊川市商工会の経営指導
7月
経営革新計画の申請提案
員が巡回の際に相談をもちかけられたことに始まる。話を聞い
9月
専門家派遣の実施
10月
申請書フォローアップ
12月
計画ブラッシュアップ
バイヤーと個別商談会
た経営指導員は、静岡県商工会連合会の特産品等販路開拓
支援事業の商品評価相談会への参加を提案。この相談会で
新商品について課題の整理と商品化後の販路についての助言
がなされ、あわせて経営革新計画策定の提案がされた。
経営革新計画の策定にあたっては、専門家派遣事業を活用
H26年1月
経営革新計画承認
静岡県連HPで商品紹介
要請した。
その背景には、こうした技術開発型企業によく見られる、技
術開発コストの増大による利益圧迫、安定した売り上げ確保の
困難といった経営課題があった。
支援
ものづくり補助金獲得への
ブラッシュアップ
商工会では、同社が目指す新型乾燥機について、技術開発
コストの低減と安定した売り上げ確保を検証するため、経営革
新計画の策定を提案。承認を得た後、試作機の開発コストを
抑えることを目的に、ものづくり補助金の申請を提案し、採択
まで支援した。
38
経営指導員から
経営指導員から
商工会の経営指導員は、経営
地元の特産であるお茶を活かし
革新計画の進め方や支援方法な
た新商品開発と販路開拓を支援す
ど、県連合会や専門家と連携して、
ることで商工会の存在感を示すこ
会員企業の支援を行っています。
とができた事例だと思います。 事
とくに小規模事業者の場合、環
業者支援を行うなかで、経営革新
境変化に応じて柔軟に経営計画
をはじめ小規模企業施策を意識で
を変更しています。このため、今
きているかが重要だと感じています
回の事業者の評価も得られたよう
が、この事例は支援案件発掘から
に、企業ニーズを踏まえた迅速か
つ的確な提案や支援が重要だと
考えています。
販路開拓まで円滑に支援できまし
た。今後もこのような支援ができる 静岡県商工会連合会
静岡県商工会連合会
吉田 謙二さん
ようにがんばりたいと思っています。
今本 亮さん
豚ホルモンを食べやすくした「豚茶もつから揚げ」
39
静岡県
吉田町商工会
本橋テープ株式会社(製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
関東ブロック
地場産業の細幅織物メーカーが
自社ブランドの製品開発に挑む
て、製品の新規性や実現可能性を検討。そして、専門家の支
援のもと、経営革新計画の策定を行った。また、現行の織機
では幅広い要望に応えることが難しいことがわかり、新たな設
備を導入するためにものづくり補助金の申請も実施することに
なった。
こうして、新たなループ付き多機能テープ「ルーティー」の開
発・製造に成功。スニーカーの靴紐や、バッグの飾り、簡易カ
ーテンなどの多方面での用途提案が可能になったという。
「自
社が策定した事業計画が、経営革新計画や補助金制度におい
て評価されたことは、社員の意識が変わり、モチベーションに
開発したループ付き多機能テープ「ルーティー」
課題
注目を集める
新たな主力製品
もつながった」と事業者は話す。
この支援をきっかけに商工会では、同社から地域産業資源
登録の相談を受けた。まだ、登録申請にはいたっていないが、
地場産業を地域住民に知ってもらうための工場見学をサポート
するなど、商工会の支援は地場産業の振興にも広がっている。
大井川河口西岸に位置する吉田町では、地場産業として細
幅織物(テープ)産業が発展してきた。昭和40年頃から細幅
テープ製造会社が増え始め、ピーク時には約200社が存在し
た。しかしその後、取引先メーカーが海外生産にシフトするな
どしたため、産業が縮小。受注が激減するなかで、現在では
20社弱にまで減少している。
そんな厳しい環境のなか、昭和 61 年設立の本橋テープ(従
業員 30 名)では、小ロット生産の対応力を強化して新たな需
要を掘り起こすとともに、付属品としてのテープを製造するだ
けのメーカーから脱却。反射材を織り込んだストラップなどの
オリジナル製品を多数開発し、自社ブランドを立ち上げて売り
上げを伸ばしてきた。
支援の経過
期間
支援内容
H25年2月
案件の相談 経営革新の提案
2月〜3月
経営革新計画の立案
5月
ものづくり補助金の申請支援
経営革新計画の承認
7月
ものづくり補助金の採択
H26年3月
設備導入
そして展示会にも積極的に出展するなかで、ある商品が注目
を集めることになる。ループ付き多機能テープに、多数の企業
から問い合わせが寄せられたのだ。この製品を経営の柱のひ
とつにできるかもしれない。そう考えた同社では、経営革新計
画で本格的な製品化に向けて取り組みを開始。目指したのは、
伸縮可能で強度をあわせもつ、新たなループ付き多機能テープ
の開発・販売だった。
経営指導員から
商工会の機能として補助金など
の各種制度の活用は、事業者に
とってメリットが大きい。今回のケ
ースで、経営革新計画のフォロー
アップ支援が有益であることや、
制度活用の重要性を学びました。
支援
新商品開発支援が
地場産業振興に波及
相談を受けて支援を行うことになった吉田町商工会では、
まずは、同社の担当者からのヒアリングや工場見学などを通し
40
その一方で、事業者だけで申請す
るには、手間暇がかかってしまい
ます。だからこそ商工会がサポー
トすることで、計画を実践に移し
やすくなると思います。
吉田町商工会
杉山 邦久さん
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
課題が山積で
資金繰りも悪化
日本酒市場は昭和55年をピークに減少しているが、大野町
にある明治25年創業の杉原酒造(従業員1名)も、そんな厳
を支援。⑤新商品開発については、エキスパートバンク事業で
派遣された専門家とともに、自社商品の強みと弱みを洗い出し
中部ブロック
優先順位で課題に取り組み
財務状況の改善へ
岐阜県
大野町商工会 杉原酒造株式会社(酒製造業)
て整理。そのうえでターゲットを明確化し、新商品開発の必要
性や新たな連携先について検討した。
以上のような課題解決に向けた取り組みを検討した結果、
しい業界事情のなかで、大手酒造メーカーへの桶売りをやめ、
経営革新計画の策定、岐阜県地域活性化ファンド助成金の活
苦戦を強いられながらも酒づくりに取り組んでいる。
用による販売促進策、ものづくり補助金の事業計画策定につ
とはいえ、酒造部門の年間販売額は300万円ほどで、その
なげることができた。なお、岐阜県商工会連合会・西濃ブロッ
ほか別事業として行っている雑貨店と不動産収入が売り上げの
ク広域支援室では、各種補助金の情報提供や申請にかかわる
多くを占めていた。
作成手順支援、市場ニーズ調査や事業者の強み・弱みの分析
平成15年には5代目が事業を継ぎ、これを機に「日本でもっ
と助言などを支援した。また、販売戦略や新商品開発をめぐ
とも小さな酒蔵だからできる酒づくり」を目指したが、経営は
るパッケージデザイン、IT戦略、人材育成、労務管理などに
好転せず、資金繰りも厳しい状況にあった。
ついても専門家のアドバイスを仰いでいる。
これらの取り組みによる改善効果として、経営革新計画の策
支援
金融機関の折衝から
商品開発までサポート
定で取引先の信用が増し、また部門ごとの収支状況の把握に
よって経費削減につながったことから、売り上げ増大と財務状
況の改善が見られるようになっている。
課題が山積していた同社に対する大野町商工会の支援は、
まずヒアリングによる経営課題の整理と、解決すべき優先順位
を明確にすることから始まった。
その結果、取り組む経営課題の優先順位は、①資金繰り(キ
ャッシュフロー)の円滑化、②各部門(とくに酒造部門)の財
務内容の把握、③自社の強みと弱みの把握、④ターゲットの
支援の経過
期間
H24年~
経営状況の把握
公庫向け事業計画書策定支援
経営革新計画の策定支援
H25年度
事業計画書の策定支援
H26年度
事業の進捗状況確認
HPによる情報発信支援
明確化、⑤新商品開発となった。
①資金繰りについては、金融機関と借入金の条件変更など
の折衝を行うとともに、日本政策金融公庫に新規融資の申し
込みを行った。これにあたり、商工会では事業計画書の策定
支援内容
経営指導員から
支援当初は課題が多く不安があ
りましたが、岐阜県連 ・ 広域指導
室との連携による課題抽出と順位
づけで問題が整理できました。専
門家の助言により課題をクリアする
とともに、事業計画策定により経
営革新計画の承認や補助金の採
択も受け、支援能力の向上につな
がりました。今後の方向性が明確
になったため、より深い継続支援
が可能になったと思います。
大野町商工会
森 幸雄さん
※所属商工会は支援当時
販売促進を支援した名酒「射美」
41
有限会社デザインオフィス・シィ(電子機器設計業)
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
郡上市商工会 めいほうキャンプ場(キャンプ場)
課題
路拡大を目指し、日本最大級の異業種交流会「メッセナゴヤ
課題
技術サービスを開発したが
販売経験やノウハウがない
などを手がけてきた。当然、顧客は電子機器メーカーなどの企
業であったが、最近、これまで培った技術を活かして一般消
費者向けの技術サービスを開発。連続写真加工「Mopi」と呼
ばれるもので、たとえばスキー場で滑走中のパフォーマンスを
つまり、それまで B to Bの取り引きしか経験がなかった同社
は、B to Cビジネスに乗り出すことになったわけである。その
ため、販売手法などのノウハウはない。また、この新技術の用
途についても模索していた。そこで同社が支援を求めたのが、
さんは事業引受を決断。双方の了解のうえで、商工会がマッチ
これらの取り組みの結果、成果はどうだったか。
きた。夏場だけの営業だが、組合員10名が協力をして運営に
ング支援を開始することになった。
まずスキー場でのフィールドテストはメディアに取り上げられ、
あたってきた。それがオープンから35年が経ち、
施設は老朽化。
同社に対する商工会と飛騨ブロック広域支援室の支援は、
平成25年12月から始まった。
現状と課題を確認し、同社の連続写真加工技術によるサー
ビスは新規性と優位性が認められるため、経営革新計画の承
認を目指すことになった。
ターゲットをウインタースポーツ業界に絞り込み、県内スキ
ー場への紹介とともにフィールドテストを実施。一方、販売戦
略による知名度向上と販売体制の整備に取り組み、経営革新
42
支援にあたり、つねに双方の間に経営指導員が入り、双方
話題性によるPR効果が得られた。
「メッセナゴヤ2014」での反
組合員の世代交代が進んだこともあり、実際にキャンプ場運営
の利害調整を図った。また、大塚さんには事業計画の策定を
響は、90社ほどの名刺交換およびマスコミ関係からのイベント
をする組合員は 3 名に減少してしまう。さらに、この 3 名も高
支援し、具体的な体験メニューの実現可能性を探ってもらっ
出展依頼のほか、県内イベントにアトラクションとしての出展依
齢だったため、もはやキャンプ場の閉鎖はやむを得ない状況だ
た。営業譲渡契約や借地契約の締結には、専門家のアドバイ
頼もあった。
った。その窮地に、手を上げたのが、郡上市の自然豊かな環
スを受けながら経営指導員が契約書雛形を修正加筆するかた
境に感銘を受け、家族とともに10年ほど前から移住していた大
ちで契約書の作成を進め、双方の内容理解を確認した。さら
塚義弘さんだった。
にキャンプ場の広報PRを目的として、事業引渡契約調印式を
こうして県内のスキー場とタイアップして連続写真加工サービ
スを新規事業として立ち上げ、最初のシーズンに約5000人を撮
郡上市副市長の臨席のもとで行い、テレビ、新聞などのメディ
影し、連続写真約2000枚を販売している。
支援
支援の経過
期間
H25年12月
12月~
H26年2月
3月
4月~11月
H27年1月
支援内容
経営革新計画の提案
スキー場でフィールド調査
経営革新計画の策定支援
同計画ブラッシュアップ
ものづくり事業計画の策定支援
「メッセナゴヤ」
出展支援
新事業計画の策定支援
引渡希望、
引受希望の間で
マッチング支援
大塚さんは自然体験を企画運営する地元企業に就職したが、
経営者との運営方針に違いを感じ、転職か独立かの検討を始
めていた。
一方、組合への巡回時にキャンプ場閉鎖の意向を聞いた郡
上市商工会では、事業承継(M&A)について説明。すると組
合は、地域振興の観点からも適切な人材が見つかれば営業権
を無償で譲渡したいという。そこで郡上市商工会事業承継セ
ンターに組合を「引渡希望者」として登録。情報機密に配慮し
ながら多くの情報を開示して、引受希望者からの連絡を待った。
そして、商工会の会報誌に入っていた、その内容の折り込み
アにも情報を提供。
同支援センターで初めてのマッチング成立事例となった。
支援の経過
期間
支援内容
H26年10月~11月
引渡・引受双方にM&Aの理解促進
11月
相互の利害調整
12月
各種契約書の作成
H27年1月
事業計画作成
2月
事業計画の策定
事業引渡契約調印式
チラシを見た大塚さんから商工会に問い合わせが入ったのだ。
経営指導員から
経営革新計画の策定と
異業種交流会の出展を支援
ジネスモデルや、事業承継直後の経営安定のためにも、既存
者で組織され、昭和56年から大谷森林キャンプ村を経営して
金山町商工会だった。
支援
る場ではなかったが、商工会では、希望に沿うような新しいビ
うえ、岐阜県商工会連合会の枠での出展となった。
連続写真にし、一連の動きを写真で捉えられるようにするサー
ビスである。
当初、キャンプ場は大塚さんが描く自然体験が豊富にでき
のキャンプ場顧客を維持確保することを提案した。そして大塚
下呂市金山町にあるデザインオフィス・シィ(従業員2名)は
平成8年の設立以来、各種電子機器の設計・製造や回路開発
運営してきた森林組合員の
高齢化と減少で閉鎖の危機
大谷森林総合利用協同組合は郡上市明宝大谷の山林所有
2014」への出展を提案。展示会出展は、予算や人員を考慮の
スキーの大会中に撮影。その場で連続写真ができ上がる
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
閉鎖寸前のキャンプ場を存続させた
マッチング支援による事業承継
計画にともなって特許関連費減免措置や各種助成金の活用に
ついての可能性を探った。さらに新サービスの情報発信と販
支援テーマ
中部ブロック
中部ブロック
連続写真加工技術を駆使した
新サービスの販路開拓
支援テーマ
岐阜県
岐阜県
金山町商工会
経営指導員から
この支援では、市場を踏まえた
商工会と専門家が伴走 的に
テストマーケティングによって顧客か
サポートして、魅力ある取り組み
らの視点や問題点が明確になり、
を事業化することができました。
またサービスの新規性と優位性か
M&Aによりコストを抑え、短期間
ら競合他社との比較を客観的に考
で事業がスタートできるのは大き
えてもらうことができました。 経営
な収穫です。キャンプ場をもっと
革新計画の承認やものづくり事業
認知させ、通年営業や設備投資
計画の採択にあたっては、支援制
を考えるなど、まだまだ課題も多
度の趣旨の理解と、事業者の実
情を踏まえた適切な活用が大切だ
と感じています。
く、今後も専門家の助言を受けな
金山町商工会
和田 勝正さん
がら事業者に寄り添って支援して
いく必要があります。
郡上市商工会
荒谷 彰宏さん
※所属商工会は支援当時
緑に包まれたテントサイト。夏には多くのレジャー客で賑わう
43
プライベートスクールシナプス(学習塾)
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
清須市商工会 八洲重量株式会社(重量物据付業)
課題
きるというメリットがある。
厳しい経営環境を
どう乗り切るか
定にあたり、自社の強み・弱みを分析するとともに、問題解決
から今後の展望、改善策策定というストーリーの重要性をアド
バイスした。また、過去3期分の決算書から財務上の問題を抽
大型産業用機械など重量物の輸送から搬入、搬出、据付ま
出する財務分析を実施。さらに企業として今後あるべき姿を数
事業者持続化補助金の申請を支援し、採択された。補助金
でを行う八洲重量
(従業員22名)は、
多彩な特殊設備を保有し、
値計画によって設定し、PDCAサイクルの実施とその留意点に
を活用して企業・団体など1000社へリーフレットのDMを送付。
顧客の多様なニーズに応えている。安全を最優先に「技術力・
ついても説明した。
企業向け人材育成雑誌への広告掲載も実施した。これは市場
対応力・スピード」をモットーにした仕事ぶりは高い評価を得
なお、他機関との連携については、中小企業・小規模事業
の反応、需要を確認するためのテストマーケティングでもあっ
ており、大手工作機械メーカー各社から東海地方据付業者に
者ビジネス創造等支援事業の登録専門家との連絡を密に行
たが、企業2社、個人10名程度から受注を受けることができた。
指定されている。
い、また税務上の問題については顧問税理士も同席のうえで専
次に岐阜県商工会連合会・西濃広域支援室とともに小規模
また、結婚相談所からの引き合いもあり、広いニーズがあるこ
ただ、リーマンショック後、自動車部品・工作機械業界の設
門家と意見交換を行っている。
備投資は冷え込み、生産拠点の海外移転とも相まって需要は
これらの支援により、売り上げ増、顧客開拓、顧客満足向
この婚活支援事業は新しい業態であるため、商工会は支援
減少し、競合他社との競争も厳しさを増している。こうした経
上、コスト削減、ブランド力向上などの改善効果が見られた。
学習塾の競争激化を前に
新事業をスタートさせたい
室とともに経営革新計画の申請、さらにフォローアップも支援し
営環境のなか同社では、
「安易な価格競争に走ることなく自社
さらに事業者は「経営革新計画の承認を得て目標設定が明確
て、事業の方向性をしっかりと見据えることをサポートし、認
の強みである高度な輸送・据付技術を活かして他社との差別化
になったことで社内にチャレンジ精神が芽生えた。財務分析や
定を取得した。商工会、支援室、専門家の三者が連携し、そ
を図りたい」と、清須市商工会に相談をもちかけた。
SWOT分析を専門家とともに実施したことにより、経営方針を
プライベートスクールシナプス(従業員1名)は、平成10年創
れぞれのノウハウを共有、補完しながら支援することで、企業
学習塾での授業風景
課題
業の個人教育を特徴とする学習塾である。
とが確認できた。
支援
えて、競合他社の進出拡大、さらに個人指導を特徴とした学
習塾の増加で、競争の激化が進んでいた。
その対策として同塾では平成25年、小規模事業者持続化補
支援の経過
助金を活用し、学習塾の売り上げ拡大に向けたチラシの折り
期間
込み、ポスティングを実施。その際に事業者は、経営計画に
H26年10月~12月
結婚支援事業の専門家派遣
H27年2月
持続化補助金の申請支援
今後の新事業への思いを込めていた。
それが結婚促進に向けた婚活支援事業である。とはいえ、
具体的にどう事業を展開するのか明確になっているわけではな
かった。しかし、経営環境や社会環境は今後どんどん厳しくな
支援内容
5月~12月
経営革新計画の申請支援
H28年3月
経営革新計画認定
ることが予想される。そう考えると、新事業に乗り出すことは、
もはや急務でもあった。
判断する際の手法を学ぶことができたのも有益だった」という。
支援体制の強化にもつながった。
学習塾経営をとりまく環境は、少子化といった社会問題に加
経営課題の抽出から
経営革新計画の策定へ
支援の経過
同社に対して商工会は、経営革新計画の承認を目指すこと
期間
を提案する。そして、まずは現状分析のためにSWOT分析を
H25年10月
行い、以下のような経営課題が浮かび上がった。外部環境の
課題としては、特殊技術をもつ外注先の確保が難しく、外注
費の高騰が予想され、顧客から据付作業の短納期化が求めら
れていることなど。一方、内部環境の課題は、作業技術者の
育成と人手不足、また労働集約型ゆえに作業時間にばらつき
があるといった労務管理上の問題などである。
支援内容
経営課題の抽出
11月~12月
経営革新計画の策定
H26年1月
経営革新計画の申請支援
経営革新計画の承認
2月
承認後のフォローアップ
9月
大型設備導入
このような現状を踏まえて商工会では、経営革新計画の策
経営指導員から
経営指導員から
ビジネスモデルの作成から
販促支援まで
支援者側が事業者と一緒のチ
経営課題の抽出、課題解決の
ームとして支援したからこそ実現
方策、稼働後のPDCAサイクルの
大垣市赤坂商工会は、結婚支援事業や女性向けサービスの
がわかりました。また、事業者と
に満足のいく結果となりました。ま
専門家の派遣を支援し、事業者とともにターゲットや具体的な
の信頼関係、人間関係を強める
た、経営革新計画は経営者自ら
ことが非常に大切であることを実
が策定することは非常に難しく、専
感。事業者の思いや理念を大切
門家の指導を受けながら承認され
支援
サービス内容を明確化してビジネスモデルを作成。事業内容と
して、従業員の結婚支援を求める企業に対して「結婚への意
識改革セミナーと成婚に向けたアフターフォロー」を実施する
ことに決めた。婚活のハウツーではなく、結婚に向けた意識改
革を促す教育を施すという、学習塾の事業者ならではのものだ。
44
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
経営革新計画策定で
同業他社との差別化を支援
これまでの学習塾事業で培ったノウハウを活かすことができる
だけでなく、企業の人材教育の一環としても事業をアピールで
支援テーマ
中部ブロック
中部ブロック
塾経営の教育ノウハウを活かした
婚活支援事業をスタート
支援テーマ
愛知県
岐阜県
大垣市赤坂商工会
できた成果として提示することで、
実施など、策定した経営革新計画
満足度の高い支援につながること
が承認され、事業者にとって非常
にし、寄り添って支援すれば事業
者の積極的な行動を促すことがで
きることもわかりました。
たことは商工会の信用アップにも
大垣市赤坂商工会
間塚 始代さん
つながったと思います。
清須市商工会
鵜木 千絵さん
同社が中部圏内で初めて導入した全輪駆動式クレーン車
45
株式会社松浦紙器製作所(紙器容器製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
こうして同社では、設備の導入により、外注費の削減や試作
品の短納期化が可能となり、オリジナルギフトケース「POPPY
2016年の年賀用
「POPPY BOX」
のひとつである「七福神」
課題
アイデアはあるが
かたちにする設備がない
ありすえ(飲食業)
交通の流れが変わり
来客数が減少
伊勢市の南隣に位置し、熊野灘に面した南伊勢町は、伊
会社として、順調に売り上げを伸ばしていた。それがリーマン
ショックにより売り上げが激減。段ボール販売に限界を感じた
同社では、将来を見据えて、段ボール製品以外の包装資材な
どの販売比率を高めていった。
そんななか、同社のパッケージを使用して商品を売る取引先
から、
「安くしてもなかなか商品が売れない」などといった悩み
を耳にする。そこで同社では、自社パッケージ製品に付加価値
をつけることで、取引先の商品が売れるようにできないかと考
えた。そこでヒントになったのが、経営者が好きだった飛び出
す絵本。つまり、飛び出す絵本の機能を応用したPOPをつけ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
位の提供により、他店との差別化を図った。
この新メニュー開発とあわせて、トイレの改修、新メニュー
内容をPRすべく看板設置、誘客のためのパンフレット作成も
支援した。新メニューによって女性客を取り込むためには、清
BOX」
の開発に成功。知的財産権を保護するため、
実用新案権、
勢志摩国立公園に含まれた風光明媚な地域ながら、人口は約
潔で新しいトイレが不可欠だったからであり、看板については、
意匠権、商標権を登録し、ブランド力の強化も図った。さらに、
1万3000人、65歳以上の人口比率の高さは全国でもトップクラ
従来の中華メニュー中心の看板しかなかったからである。これ
他社製品との差別化や全国的な知名度を得るべく、小規模事
ス。主要産業は漁業で、鯛などの魚類養殖が盛んだ。
には小規模事業者持続化補助金を活用することで実施した。
業者持続化補助金を活用して市場のニーズ調査を実施。調査
そんな南伊勢町で昭和58年から続く飲食店「ラーメン・ お食
そのほか、パッケージデザインの専門家にはパンフレットで
の結果、お土産市場やブライダル市場を販路の中心に位置づ
事 ありすえ」
(従業員1名)は、伊勢市から車で1時間ほどの
訴求する点やデザイン内容について、ITコーディネーターに
けた。
国道沿いにある中華料理店。売り上げの内訳は、ランチ6割、
は、ホームページ・ブログの開設による情報発信について、料
現在ではまだ受注数が少なく、単価が高いのが課題だ。そ
夕食と弁当各2割で、客層は20~50代(釣り客、 工事関係者、
理研究家講師には、お持ち帰り用商品の開発・販売について、
のためにも販路開拓や知名度アップに向けたPR活動が必要に
地元住民など)が中心である。地元で獲れる海鮮類を使った
提案や指導を受けた。なかでも販路につながったのが無料サ
なる。事業者は「補助金も積極的に活用して販路開拓に努め
定食とラーメンが人気メニューだが、近年は来客数が減少。以
ーバーを活用したホームページの開設だ。平成26年3月からの
たい」と、今後の意気込みを語る。そのための費用として県の
前は地元客や釣り客が多かったが、県道の開通で伊勢、松阪
新メニュー開設後は、伊勢まぐろの人気とともにテレビ放送で
助成金の申請を検討中だ。
方面への車の流れが変わったことが影響していた。
取り上げられることが急増した。そのため、テレビ放送後の閲
昭和38年創業の松浦紙器製作所(従業員20名)は、ダンボ
ールなどの紙を使ったパッケージを製造・販売する包装の専門
支援テーマ
ご当地マグロの新メニューと
IT化で新規顧客を開拓する
項目である経営革新計画の策定・承認にも取り組むことになり、
専門指導員も派遣した。
ラーメン・お食事
中部ブロック
中部ブロック
飛び出すPOPで付加価値をつけた
オリジナルパッケージを開発
南伊勢町商工会
三重県
愛知県
大口町商工会
覧、検索により他地域からの顧客が増え始め、すでに同店が
支援の経過
期間
支援内容
支援
新メニュー開発と
大切なトイレ改修
H25年3月
ものづくり補助金の概要説明
南伊勢町商工会では経営指導員による巡回の際に、同店か
6月
ものづくり補助金の申請支援
ら売り上げ減対策についての相談を受けていたが、平成25年
7月
経営革新計画の策定支援(承認)
度に本格的な支援を開始。南伊勢町のブランド養殖マグロ「伊
10月
H27年5月
10月
知的財産権の登録支援
(平成26年5月登録)
勢まぐろ」を使用した新メニューを加えることを提案した。
専門家講師(フードコーディネーター)によるアドバイスを受
持続化補助金の申請支援(採択)
けながら、
「まぐろ丼」においては、ランチタイムのサラリーマ
あいち中小企業応援ファンド助成の
概要説明
定食」は刺身部分に限らず、新鮮な血合や心臓などの内臓部
ンをターゲットとした低価格1000円を実現。また「まぐろづくし
限定ご当地メニューとして提供していた「鯛ラーメン」の人気が
復活するなどし、店の経営改善につながっている。
支援の経過
期間
支援内容
H25年度
HP、
ブログの開設
新メニューの開発支援
H26年度
持続化補助金の申請支援①
H27年度
持続化補助金の申請支援②
た自社オリジナルギフトケースを開発しようというのである。
しかし課題があった。開発には試作品製作が不可欠だが、
同社にはその設備がない。また、企画や設計ノウハウはあるが、
外注に依存しているため、時間やコストがかかりすぎるのだ。
支援
ものづくり補助金で
試作品づくりの設備導入
そこで大口町商工会の支援のもと、課題を解決し、短期間
で試作品の製作を可能にするため、UV印刷機とサンプルカッ
ターの設備導入を検討。エキスパートバンク事業で派遣された
専門家からのアドバイスを受け、ものづくり補助金を活用する
ことになった。また、ものづくり補助金の申請にあたり、審査
46
経営指導員から
経営指導員から
補助金が受けられたことで、事
経営指導員の地道な巡回による
業者にとっては少ない自己負担で
「伊勢まぐろ」のPRやチラシの作
商品開発に取り組むことができ、
成提案、IT化支援などで、事業
とても満足のいく結果になりまし
者の経営に取り組む意識が変わ
た。専門家とともに取り組んだこ
り、モチベーションの向上につな
とで、商工会の信頼度や利用価
がりました。今回の一連の取り組
値の向上にもつながったと思いま
みによって、
「商工会はこんなこと
す。今後は、販路開拓が課題に
までしてくれるのか」と事業者に
なりますが、活用できる補助金な
どにアンテナを張り、継続的に支
援していきたいと思います。
再認識してもらえ、地域で商工会
大口町商工会
遠藤 季晃さん
の信頼度が向上したことも大きい
成果だと思います。
南伊勢町商工会
下村 恵子さん
「まぐろ丼」
(右)には相性のよいアボカドで彩りもプラス
47
博多らーめん
半蔵(飲食業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
商工会(持続化補助金申請支援、補助事業のフォローアップな
ど)
、北勢商工会連合会(専門家派遣事業サポート、研修会の
課題
リピーター減少を
どうくい止めるか
ュー開発、各種制度の解説など)
、三重県産業支援センター(事
魚介類の生産者人口の減少や流通体制の激変、販売単価の低
業分析などの専門的アドバイス、三重県版経営向上計画の認
下などで経営状態は極めて厳しい状況にあった。
り売り上げは安定していなかった。
や他機関との連携によって課題の解決を図っている。調理師
だった。広告を見たという新規顧客が多数来店したからであ
いる。平成26年に三重県版経営向上計画が施行されたため、
やデザイナーの派遣も広域連合が担当した。
る。これにより、事業者はその効果とともに体質強化に一歩近
同社ではその策定も行うことになり、商工会と広域連合が支援
また、商工会や広域連合が収集した情報のなかから事業者
づいたことを実感したという。
をすることになった。事業計画の策定にあたって徹底したヒア
に必要なものがタイムリーに提供され、必要に応じて三重県産
リングを行い、SWOT分析から目標を明確にし、経営課題を
業支援センター、三重県、三重大学が連携をしながら、事業
抽出した。
計画に基づいた商品開発や販路開拓などを支援している。
近年はIT化によりインターネットを活用したPRばかりに注
目が集まりがちだが、従来のオーソドックスな広告宣伝もまた
支援
がりも飲食店の事業者としては大きな不安要因になっていた。
支援
持続化補助金で
計画的な広告宣伝
相談を受けたいなべ市商工会では、小規模事業者持続化補
助金を活用し、広告宣伝に注力して新規顧客獲得を図り、店
の経営体質を強化することを提案。さらに、有効な広告宣伝
は引き続き計画的に取り組んでいくことができるように「三重県
48
支援機関が連携した
手厚いサポート体制
経営課題は次の3つ。①新商品開発、②新たな物流システ
支援の経過
期間
支援内容
H26年4月
持続化補助金の説明
5月
事業計画の策定支援
7月~12月
補助事業フォローアップ
11月~H27年1月
三重県版経営向上計画認定
ムの構築、③産学官連携を基軸とした販路の拡大である。
支援の経過
期間
H22年1月~26年12月
経営革新計画の策定支援
H27年1月
三重県版経営向上計画の策定
支援
課題を解決するため、商工会は優先順位をつけることを提
案。具体的な課題解決の方策を明確にし、事業実施計画、設
備導入計画、資金計画を策定した。計画を遂行するために必
要な専門家を派遣し、小規模事業者持続化補助金の申請を支
援し、認定を受けた。
新商品開発の専門家には調理師を招へいし、3回の技術的
支援内容
4月~
新商品開発専門家派遣
5月~
統一デザイン専門家派遣
7月~
持続化補助金の申請支援
9月~
持続化補助金実施支援
な支援を受け、独自商品の開発に取り組んだ。また、デザイン
る。そして、この減少に歯止めをかけ、なおかつ新規顧客を
上する。加えて、消費税引き上げによる消費者の節約志向の広
者を支える構図になっている。まず商工会が常に事業者に寄
基づいた伴走型支援を続けた結果、売り上げを伸ばしてきて
やはりラーメン店にとっての生命線はリピーターの確保であ
獲得したい。それが事業者にとっての大きな経営課題として浮
今回の取り組みは、さまざまな機関の連携支援体制で事業
ードなどの広告宣伝を行った結果は、事業者の満足のいくもの
てきた。平日の顧客の8割をリピーターが占めており、また遠
カバーされ、キープしていたものの、夜の来客数にはムラがあ
を構築して、熊野灘で獲れる魚介類の拡販事業に着手した。
きは広域連合に取り次いで解決策を探り、専門家派遣の実施
だろう。
る。売り上げそのものは客単価の高い夜の宴会や家族連れで
同社が中心となり、連携事業としての「食のサプライチェーン」
が経営革新計画の策定を支援。それから5年間の事業計画に
少ない博多ラーメンの店として平成17年の設立から人気を博し
た影響で、近年は主要顧客であるリピーターが減少傾向にあ
続化補助金の活用では、卸売業から製造卸売業へと革新する
持続化補助金によって計画的に折り込みチラシ、ショップカ
効果をもたらすことを、あらためて教えてくれたケースといえる
しかし、近隣に大型小売店や大手飲食チェーン店が進出し
れに基づいたパンフレットなどの販促物を作成した。そして持
り添い伴走型支援を行う。高度専門的な課題が抽出されたと
た本場の麺を使用し、本格的なとんこつスープが味わえる数
にも熱心で、リピーターを飽きさせない努力を続けている。
の専門家も派遣し、統一デザイン・企業イメージを構築し、そ
そこで平成22年からは大紀町商工会と松阪商工会広域連合
重要な情報発信であり、タイミングとその手法によって確実な
つ風味を大切にしながらも、ひと工夫加えた新メニューの開発
大紀町で魚介類卸売業を営む、昭和 12 年創業の丸太水産
(従業員4名)
。平成17年に現経営者が事業を受け継いだ頃は、
「博多らーめん 半蔵」
(従業員 8 人)は、博多から取り寄せ
方からの来店客もいることから、味への評価は高い。とんこ
三重県版経営向上計画策定で
新たなステップアップを図る
実施など)
、中小企業診断士(効果的な広告ノウハウ、新メニ
定サポート)である。
新メニューの黒とんこつ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
商品開発と物流システムの構築で
熊野灘産魚介類の販路拡大
版経営向上計画」の認定支援も行うことにした。
これら一連の取り組みにかかわった連携機関は、いなべ市
支援テーマ
中部ブロック
中部ブロック
広告宣伝力で新規顧客を獲得して
経営体質強化をサポート
松阪商工会広域連合(大紀町商工会) 丸太水産(卸売業)
三重県
三重県
いなべ市商工会
経営指導員から
経営指導員から
持続化補助金に取り組んだこと
事業計画の策定を支援し、事
で事業者と経営指導員がともに成
業戦略に基づいて専門家や各機
長することができました。制度を理
関と連携し、伴走型の支援を行っ
解してもらい、一緒に考えて取り組
たことで、製造卸売業としてポジ
めばタイムロスは少なく、効率的な
ションを明確にし、経営基盤の強
支援ができると思います。また、と
化が図られた成功事例だと思いま
もに考えて取り組んだことで事業
す。今後は、これまでの事業戦略
者の経営意識に変化をもたらす効
をもとに経営向上計画ステップ3
果もありました。今後もわかりやす
く伝えることを意識して支援してい
きたいと思います。
の認定を受け、地域雇用の創出・
いなべ市商工会
諸岡 雅仁さん
後継者育成・地域振興へと大き
な成果が出ることを期待します。
松阪商工会広域連合
鎌田 文雄さん
持続化補助金を活用して設備を整えた
49
有限会社中政商店(小売業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
いることからクリアできると判断。②は、女将がもつ野菜ソム
笑栄通商(従業員9名)はもともと大阪で運送業を営んでい
地が観光地であり、観光客が帰宅後にネットで注文することが
たが、石川県内で木材運送の取り引きを始めたのが縁で、志
期待できる。ただし、投資は最小限にとどめたい。
賀町の製材所を買い取り、製材業にも携わるようになった。
それらの観点から、低コストで利用できる「みんビズ(現・は
同社から、新事業として木製ペレットの製造販売に参入する
じめてWEB)
」で自らホームページの作成とブログを開設。フ
にあたって志賀町商工会に相談が寄せられたのは、平成 26 年
ェイスブックも活用して積極的に情報発信することを指導した。
5月のことだった。
新事業の内容は、県内の製材所から間伐材を運び、チップ
ることから、関係者の協力が得られるように、それぞれのメリ
ットの想定を丁寧に行っていった。
事業計画策定後、補助金メニューの検討に入り、石川県が
里山・里海地域の振興を支援する、いしかわ里山創生ファンド
への申請を決定。商工会は申請書作成の支援を行うとともに、
「ミラサポ」専門家派遣事業を利用して、ふたたび中川中小企
業診断士に申請書のブラッシュアップを依頼した。
結局、この申請は採択されなかったものの、その後、策定
した計画に基づいて木製ペレットやストーブ・ボイラーの生産
販売を開始した。木製ペレットの普及にはペレットストーブとペ
に加工して製紙会社に卸すとともに、加工で発生するおが粉を
レットボイラーが必須となるため、行政、福祉施設、入浴施設、
こうした努力の結果、複数のテレビ局が取材に訪れ旅番組
牧場に提供するというものである。同社では、今後バイオマス
学校、ボイラーメーカー、ハウスメーカーなどへの営業活動に
でも紹介されたことから知名度が高まり、サイトの訪問数アッ
ボイラーの普及が見込まれることから、県内の製材業者から出
も力を入れている。
プに貢献。今では週末を中心に県外から多くの来店があると
る廃材を利用し、おが粉を圧縮成型した木製ペレットの製造
この新事業は、再生可能エネルギーである木製ペレットを普
同時にネット経由の注文も確実に入るようになってきている。
に乗り出そうと考えた。そこで、事業計画の作成と販路開拓
及させることにより、低炭素社会の実現と山林の保全・美化と
中政商店(従業員1名)は、山中温泉のメイン通りにある昭
に関して補助金を活用できないかと商工会に打診してきたのだ
いう、大きな社会的意義に応える意味でも期待される。
和元年創業の老舗青果店。スーパーマーケットに転業した時期
った。ただ、ペレット事業そのものが未成熟なビジネスで、収
店頭には数々の加賀野菜が並ぶ
課題
野菜をインターネットで
販売できないか
もあるが平成9年に加賀野菜と地元野菜の専門店として再スタ
ートした。同時に商店会が進める「一店舗2業種」戦略に賛
同し、店舗内に和紙の手づくりギャラリーを併設している。
しかしそれでも時間とともに来店客の伸びが鈍化。そこで、
事業者は新たな試みとして平成22年、
加賀野菜を使った健康ジ
ュースの販売を開始。これがインターネットで話題になった。こ
れは、ネットを通じて加賀野菜や地元野菜の販売もできるかも
しれない。同店ではそう考えるようになっていた。
支援
ホームページ作成から
通販サイト出店支援まで
ネットショップ開設の相談を山中商工会が受けたのは平成24
年9月。その段階で同店は簡易的なホームページを作成してい
たが、機能に物足りなさを感じていた。そんなとき、あるネッ
通販サイトへの試験的な出店など知名度の向上を目指した。
益性も不透明であり、そうした理由から、補助金の対象になる
支援の経過
期間
支援内容
H24年9月〜10月
かどうか、この段階では不明だった。
ホームページ作成支援
10月
Facebookページ作成支援
H25年4月
カート設置支援
7月
運用支援ツールの導入支援
10月
Amazon出店支援
H26年1月〜
フォローアップ支援
支援
補助金不採択ながらも
計画に基づき事業化へ
商工会では事業計画の策定にあたり、石川県中小企業施策
の企業ドック専門家派遣事業(3回まで無料で派遣を受けられ
る制度)を利用し、中川義崇中小企業診断士に計画策定支援
を依頼。経営者も交えて協議し、利害関係者の多い事業であ
経営指導員から
支援の経過
期間
H26年5月
支援内容
新規事業のヒアリング
5月~6月
事業計画の策定
6月
補助金の申請書作成
9月
補助金不採択
12月
森林組合と提携、事業開始
経営指導員から
同店がウェブの活用に成功した
中小企業診断士の先生に事業
ことで、山中温泉全体にプラスの
計画の策定を、石川県商工会連
ト業者からセールスを受け、その提案を受けるべきかどうかと
波及効果が広がっています。ネッ
合会職員に補助金事業申請を支
トで同店を知った観光客が店舗を
援していただき、支援企業の要望
いう相談だった。
訪れることで、周りの商店の売り
に応えることができました。商工
上げも増加。さらに最近ではイタ
会、県連、専門家の連携がうまく
リアンの開業など、
30代の若者に
いき、支援体制の強化が図られ
よる新規の出店も続いています。
たのが大きかったと思います。お
商工会では、さまざまな観点からネット業者の提案を検討し
た結果、契約は得策ではないと判断。ただし、同店へのヒア
リングから、ウェブを活用することには可能性があるとの結論
を得る。そこでITコーディネーターの協力のもと、別の方法で
のネット販売への取り組みに着手することになった。
具体的に検討したポイントは、① ITスキルの有無、②サイト
50
新規事業の計画策定と
補助金申請
リエの資格がセールスポイントになる。③については同店の立
さらにホームページ内にカート機能を設置すると同時に、大手
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
バイオマス事業の立ち上げを
事業計画策定でバックアップ
のウリは何か、③ネット販売で得られる期待売り上げ高はどの
程度か、という3点。①は同店の女将がすでにブログを使って
支援テーマ
中部ブロック
中部ブロック
加賀野菜の販路拡大に取り組む
老舗青果店のIT化を支援
志賀町商工会 株式会社笑栄通商(製材・運送業)
石川県
石川県
山中商工会
ネットでの直接販売とともにリア
ル店舗も賑わう、好循環が生まれ
てきたと考えています。
かげで経営者から感謝の言葉が
山中商工会
堂新橋 満さん
寄せられ、商工会への確かな信
頼を得ることができました。
志賀町商工会
中田 明さん
経営者(右)と中川中小企業診断士
51
カフェ食堂れんげや(飲食業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
ントに出店したり、全国商工会連合会のECサイト「ニッポンセ
持続化補助金で導入したショーケース
課題
イムのみ営業を行う「カフェ食堂れんげや」
。30代の女性事業
者は、商売や地域活性化へのアイデアと行動力があるものの、
グランドデザインは専門家のアドバイスをもとに委員が中心にな
働保険の加入手続きや、
「古代米」を生産する会員事業者との
店舗の老朽化や経営者の高齢化、後継者不足、売り上げ減少
って固められた。
マッチングによるランチメニュー開発なども支援した。
などといった問題に直面していた。さらに、福岡町は平成17年
「かつては遠い存在だった商工会が、今ではとても身近で頼
に高岡市と合併されており、地理的にも、東に高岡市中心部、
補助金)の助成金があてられ、
この資金によって地元情報誌
『ふ
りになる存在です。私のような女性経営者の方に、もっと商工
西には石川県金沢市と、都市部に挟まれているため、消費の
くおかたろぐ』が発行された。情報誌の製作には当初から委
会を活用してもらいたいと思います」
流出に歯止めがかからない状況だったのだ。しかも福岡町の
員会に参加してもらい、コンセプトを共有化。編集方針につい
そう話す事業者の紹介で、商工会・青年部への新規加入に
中心は、小規模なスーパーマーケットや店舗が散在し、まとま
ては、商店経営者という「人」にスポットを当てることになっ
もつながった。支援により商工会の信頼度が向上した結果だ。
ったかたちの商店街を形成していない。さらに、そこに空き店
た。たとえ販売形態の主流がインターネットに移りつつあって
舗や空き住宅が生まれ、いっそう活気が失われつつあった。
も、
「商売の基本は人と真心である」という商店主らの信念が、
支援の経過
期間
支援内容
H26年3月〜
持続化補助金の申請支援
支援
「人」
に焦点を当てた
地域情報誌を発行
活性化プロジェクト実行委員会」として立ち上げた。委員会の
創業支援を受けてからは疎遠となり、脱会も考えていたという。
9月〜10月
セミナーへの参加提案
メンバーは若手後継者や女性を中心に、富山県商工会連合会
そんなある日、事業者は中能登町商工会が発行する商工会
12月〜2月
企業ドックの利用提案
職員もメンバーに加わって編成され、その会合は月に数回行わ
持続化補助金の申請支援
(2回目)
れた。高岡市商工会福岡支所ではこれまで同組合の事務代行
H27年3月
疎化が進む地域を元気にしたいという思いである。商工会は、
これらをひとつひとつサポートしていくことになった。
支援
青年部加入からセミナー参加、
補助金活用まで
そのため、提案や促進などを行った支援メニューは多岐に
わたった。これにより、事業者は平成26年、持続化補助金の
活用にはじまり、地域に根ざす同世代の仲間との交流を図るた
めの青年部への入会、傷害共済への加入、マル経融資の利用、
を手がけており、この委員会の開催運営などを担当した。
4月〜7月
イベントなどへの出店
6月
労働保険加入手続き、
PL保険の加入支援など
うブレーンストーミングに始まり、専門家を交えた全国の商店
6月〜7月
チラシ・ポスター作成支援
街の先進成功事例報告、方向性やターゲットの明確化、また、
「売り上げ増加」
「雇用」
「地域への貢献」の3つ。具体的には、
されたアンテナショップ「さんちょんぴん蔵」もまた、福岡町の
魅力アピールにひと役買っている。
その状況に突破口を見出すため、福岡町商業協同組合は長
マル経融資の利用支援
であり、パートナーと力を合わせた事業展開であり、そして過
この取り組みの財源には地域商店街活性化事業(にぎわい
この情報誌には投影されている。築100年の蔵を改造して設立
9月
ティータイムに提供するスイーツの開発やランチメニューの強化
ムページをフェイスブック上に立ち上げるなど、コミュニティ機
模な商業協同組合で、多くの商店街などでも見られるように、
事業ができずにいた。また、商工会とは平成23年の開業時に
会に対する支援ニーズを語ってもらい、判断したキーワードが
推進として、フェイスブック講習会を開き、組合員が自店のホー
行っている。さらに商工会では、従業員を雇用するうえでの労
く停滞していた組合員の連絡会議を新たに「福岡町商業再生
う動けばいいのかわからないという状況だった。そこで、商工
の選択などが進められた。さらにモバイル・マーケティングの
能の強化が図られた。外部からの支援も多く、商店街全体の
青年部入会、傷害共済加入の促進
事業者に面談すると、やってみたい事業がたくさんあるがど
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
福岡町商業協同組合は高岡市福岡町にある組合員50の小規
8月
談に訪れる。これが新たな支援のきっかけとなった。
52
消費流出に
歯止めがかからない
現実には人材不足などから日々の営業に精一杯で、思い描く
報で、小規模事業者持続化補助金のことを知り、商工会に相
支援テーマ
レクト.com」を活用した「いしかわの名品PR事業」への出品も
日々の営業に追われて
考えていることができない
中能登町の築 100 年以上の古民家でランチタイムとティ―タ
福岡町商業協同組合(商業)
にぎわい補助金をテコに
動き出した地域商店再生への道
さらにはセミナーへの参加などを行っている。また翌年には、
新たな事業展開で2回目の持続化補助金を活用。地域のイベ
福岡支所
中部ブロック
中部ブロック
支援メニューをフル活用して
事業者の思いをひとつずつ解決
高岡市商工会
富山県
石川県
中能登町商工会
委員会では、現況と今後どうあるべきかなどの意見を出し合
支援の経過
期間
支援内容
H25年4月~
意見交換・事例研究
6月~
調査分析・戦略立案
7月~
地元情報誌の創刊
9月~
アンテナショップ開設
10月~
IT・ネットワーク整備
具体的な事業や戦略のプランニング、有効な補助事業や施策
経営指導員から
経営指導員から
商工会のもっているさまざまな
この支援ではこれまで地域商
武器(支援メニュー)をフル活用
店街活性化事業(にぎわい補助
すれば課題は解決できると実感
金)によっていろいろな企画をや
しました。もちろん事業者の「ア
ってきましたが、 今後は自己財源
クセル」を踏むことだけではなく、
による企画運営になります。 した
細部では「ブレーキ」を踏むアド
がって、自己責任を自覚しつつ確
バイスも行いました。事業者の規
かな効果が見込める施策をより慎
模などに応じて、失敗のリスクも
重に行っていくことが大切でしょ
考えながら、第三者の視点でとき
には後ろ向きな支援をすることも
肝心だと感じました。
う。商店街の各店舗のイノベーシ
中能登町商工会
高田 圭一朗さん
ョンの結集こそが商店街再興の 高岡市商工会福岡支所
起爆剤になると信じています。
宮脇 年範さん
福岡町商業協同組合が発行する地域情報誌『ふくおかたろぐ』
53
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
自社商品の売り上げ低下と
店舗外観のミスマッチ
有限会社草土(製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
オリジナルブランドの
販路開拓に挑む陶芸作家を支援
「和菓子庵かどや」から現店名に変更するとともに、2階に喫
おいては、展示会の紹介や出展支援、バイヤーの紹介などを
茶スペースを新設することにした。これは地域の休憩スポッ
実施。海外展開では、JETROの支援窓口をつなぎ、海外展
ト不足を解消するための案でもあった。
示会への出展を支援した。
琵琶湖の北に位置する長浜市木之本地区の商店街にある
一方、商品については、地元の食材を使った新しい和風ス
また、資金面では、平成25年にタイミングよく公募が始まっ
「菓子乃蔵 角屋」
(従業員2名)は、もともと洋菓子チェーン
イーツの開発・販売によって話題性を高め、地域外からの来
た小規模事業者持続化補助金の活用を提案。3回(3年)に
のフランチャイズ店として約30年間、洋菓子を販売していた。
店客数の増大を狙った。ちなみに、このスイーツとは、同地
わたって活用。事業計画書は事業者自らが作成したものをブラ
その後、平成15年に加盟店を脱退すると、以後、羊羹、うい
区の酒造会社の吟醸酒の酒粕を使用したカステラや、羊羹な
ッシュアップしていった。事業計画の遂行については巡回訪問
ろう、せんべいなどの和菓子を中心に扱うようになった。来
どだ。
時に確認。必要に応じて情報提供や、専門家や支援機関の協
客は、地元の顧客は減少傾向にあるものの、観光スポットの
こうした取り組みを経て平成26年3月、経営革新計画が承
木之本地蔵院の前に立地していることもあり、観光客の来店
認される。さらにその3ヵ月後、経営革新計画をマスタープラ
は増加傾向にある。このため土産物用の仕入れ商品を増加さ
ンとして小規模事業者持続化補助金の事業計画を作成し、採
せてきたが、その結果、自社製品の売り上げが全体の4割程
択を受けている。経営計画、事業計画の策定は、当初の目標
度にまで低下し、利益率が低下していた。しかも、自社製造
を上回る売り上げ増をもたらした。しかも新商品開発により自
の和菓子は他店と差別化できるだけの特長がなく、また元洋
社商品の売り上げ比率は、それまでの4割から7割にはね上
菓子店であった店舗の外観は、周辺環境や取り扱い商品と不
がり、利益率も改善している。
似合いであることも経営課題のひとつだった。
支援の経過
支援
2階喫茶スペースを
地域の休憩スポットに
そんな同店が店舗改装を決めたのは、平成25年秋。翌年の
NHK大河ドラマ『黒田官兵衛』の放送にともない、黒田家発
祥の地がある木之本地区への観光客の増大が見込めると判断
したからだ。長浜北商工会ではこのとき、単なる店舗改装で
はなく、改装に合わせて経営革新計画の申請を提案。これに
期間
H25年1月
10月
店舗改装の意向を確認
新商品、店舗改装の相談
11月
経営革新計画策定の提案
12月
店舗コンセプトなどの支援
H26年3月
より店舗経営について総合的な見直しが行われることになっ
た。まず店舗コンセプトそのものを見直し、店名もそれまでの
支援内容
6月
近畿ブロック
近畿ブロック
大河ドラマの波及効果を捉えた
和菓子店の経営革新計画
甲賀市商工会
滋賀県
滋賀県
長浜北商工会 菓子乃蔵 角屋(菓子製造・小売業)
力を行っている。
「展示会に出展し、100 件近い引き合いがありました。その半
展示会の様子。ステンレス製カトラリーの販路開拓につながった
課題
新ブランド食器の
販路開拓
数は新規顧客で、販路開拓につながりました。また、新たな
ニーズを知る機会にもなり、次の商品開発にもつながっていま
す」と、事業者は話す。
現在、ステンレス製カトラリーは、支援前の売り上げ金額の
約20%増で、売り上げ全体の4割を占めるまでに成長している
草土(従業員3名)は、信楽焼の産地である甲賀市信楽町
という。商工会では今後、次のステップとして知的財産権の分
で、アトリエ兼ギャラリーを構える陶芸作家だ。安価な海外製
野での専門家の支援や、将来的な事業承継に関する専門家の
の陶器に押され、産地全体の出荷量や販売金額が減少してい
支援を予定している。
るなか、同社は、木や金属、布などの素材を使ったオリジナル
商品をつくり、卸販売と小売を行ってきた。
さらに、事業者自身のネットワークを活用して新潟県の
燕三条の企業と提携し、ステンレス製カトラリー(食器)の
「WASABI」ブランドを開発した。自社オリジナルデザインによ
る槌目のあるこのブランド食器は、銀食器に近い質感をもち、
店舗・商品の撮影
経営革新計画の承認
洋食器にも和食器にも合わせられるのが特長で、デザイン性を
持続化補助金の採択
このブランドを広く PR して、販路を拡大できないか。事業
求める消費者には高い付加価値を訴求できる。
支援の経過
期間
支援内容
H25年
持続化補助金による商品開発・展示会
出展支援
H26年
持続化補助金による販路開拓支援
H27年
持続化補助金による新商品開発支援
者は、国内のカフェやレストラン、ホテルなどの飲食市場、イ
ンテリア・生活関連のギフト市場はもちろん、海外展開も考え
経営指導員から
ていた。
3年間にわたり滋賀県商工会連
合会や専門家と連携しながら伴走
型支援を続けることで、事業者の
支援
みならず地域のにぎわい創出に貢
献することができました。経営指導
員も経験を積むことで多様なノウハ
今回の事例を参考に、さらなる地
域の活性化に取り組みたいです。
店舗改装で和菓子店らしく生まれ変わった。2階は喫茶スペースだ
54
持続化補助金の活用や
展示会への出展支援
路開拓に使える経営資源やノウハウが不十分と判断し、まずは
も新店舗出店や経営計画作成の
相談が寄せられるようになりました。
小規模事業者にとって、資金
販路開拓の相談を受けた甲賀市商工会の経営指導員は、販
ウが身につき、ほかの事業者から
事業計画作成を提案、その支援を行うことになった。
長浜北商工会
川村 仁志さん
経営指導員から
同社の強みである優れたデザイン性やネットワークを発展さ
せるため、今後の商品開発・改良の方針や、販路開拓対象市
を投入して商品開発や販路開拓
を行うことはリスクをともないます
が、持続化補助金は、新たな挑
戦をしようと考える小規模事業者
のリスクを軽減するうえで有効で
す。
「商品開発と市場投入⇒販路
開拓⇒顧客ニーズによる課題発
見と改善⇒商品開発」というサイ
クルを定着させ、持続的な発展を
支援していきたいと思います。
甲賀市商工会
玉置 宏至さん
場と手法などを海外展開も視野に検討した。販路開拓支援に
55
和束町商工会 有限会社北午木材(木材・建築業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
課題の整理ができず
将来ビジョンが描けない
京都府の南に位置する和束町は「茶源郷」と呼ばれるほど、
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
伝統の柿渋染料を使った
ハンドメイド鞄の販路開拓
せられることになった。
模事業者持続化補助金を申請。商工会開催の経営計画書策
この支援で商工会は、いわば具体的に解決すべき経営課題
定セミナーなどの支援を行い、採択された。
を探索するところから事業者の相談に乗ったことになる。経営
結果的に、展示会支援、ホームページ開設支援、補助金申
者の頭の整理を進めた結果、経営者の事業に寄せる思いと、
請支援の3つを柱とした伴走型支援を続けたことになる。具体
お茶の栽培が盛んな山里のまちだが、そこで木材・建築業を
市場ニーズは整合性がとれていることが判明した。経営者の思
的な成果としては、展示会出展により百貨店バイヤーらとのコ
営む北午木材は昭和5年の創業。平成7年の先代のときに法
いとは、
「自然素材である木を使った快適な住空間を提供した
ンタクトができ、また、ほかの支援機関主催の展示会への誘い
人化し、平成25年から3代目が代表取締役に就任した。住宅
い」
「景観を大切にしたい」
「木のよさをわかってほしい」などだ。
を受けるなど、販路拡大に向けたネットワークを獲得。これに
不況のあおりもあって、近年の業績はかなり低迷。売り上げは
これに対して、市場が家屋や住まいについて求めているのは、
より、これまで地元中心だった柿渋染め鞄のファンが全国的な
ここ数年、3000万円前後で推移し、営業利益は2期連続のマ
「国産材使用の住宅」
「和風建築に似合うインテリア家具」
「地
イナスだ。そうしたなか、和束町商工会では経営指導員の巡
元工務店による小回りの利く良質木材の供給」などである。
回訪問の際に、同社から今後の事業戦略(事業の再構築)に
広がりを見せ、事業者を喜ばせた。
事業者はそれまで「商工会支援は融資相談ぐらいのものと考
もちろん、これで経営者が求めていた事業再構築に向けた
ついて相談を受けた。それが平成25年9月のことだ。経営者は、
戦略ができ上がったわけではなく、まだ方向性のコンセプトづ
厳しい製材業界にあって自社の将来ビジョンを描くことができ
くりの段階といえる。それでも、経営者は「話を聞いてもらっ
ず、当時は経営者自身が問題を整理できていない様子だった。
てすっきりした。この先の道筋が少し見えてきてよかった」と
柿渋染めの鞄が京都から全国へ広がり始めている
課題
手応えを感じているとともに、木にこだわった住宅づくりについ
支援
自社の強みと
市場環境を分析
そこで商工会では、京都府商工会連合会を通じて専門家で
ある中小企業診断士を派遣し、中短期の事業領域と将来ビジ
ョンの策定についてアドバイスを行った。そのうえで自社の強み
を掘り起こしてもらい、市場環境を踏まえて事業戦略の探索を
促すことになった。
こうした流れを経て、頭の交通整理をしてもらったところ、
自社の強みについては抽出できた。しかし、事業戦略は明確
にならず、将来に向けての方向性は依然曖昧なままだった。
そして平成26年7月、商工会の経営支援員を通じて、府連
て、同じ思いをもつ取引先などと協働での取り組みを始めてい
添うかたちで支援してもらったのは非常にありがたかった」と
評価している。その後は、向日市商工会が支援を引き継ぎ、
策定した事業計画書をもとに経営革新計画や知的資産経営報
告書の策定などに結びつける方針だ。
古くから日本人の暮らしのなかで使われてきた柿渋。この高
販売を行っているのが「仁アートショップ&スペース」
(従業員2
名)である。滋賀県高島で織られる専用の生地を京都・大原
支援の経過
期間
支援内容
H26年7月
経営者のヒアリング
8月
業界・市場環境の研究
10月
自社の強みの深堀り
12月
事業再構築のコンセプト設定
H27年1月
の工房で丁寧に染め上げて製造される鞄は、多くの愛好者を
獲得している。
ただ、顧客の多くは地元を中心とした50代~60代女性で占
められ、売り上げは安定しているものの、伸び悩み状態にあっ
た。魅力的な製品を手がけながら、その強みが十分に活かさ
れず、新たな販路開拓を模索していた。
知的資産経営報告書まとめ
支援
経営指導員から
以前の経営者は自分の思いだけ
展示会への出展支援と
ネットショップの開設
同社では平成25年より経営者の長女が経営に参画し、これ
を機に「パリコレ出展」という大きな目標を掲げた。それに向
で今後の事業戦略を語っていまし
けてまず国内での実績を積むため、京都市内のギャラリーで
たが、客観的に自社の強みを深堀
の展示会や物産展などへの出展攻勢を展開した。
りし、分析することによって前進で
支援の経過
期間
H25年4月
支援内容
面談・ヒアリング
9月~11月
展示会等出展支援
12月~
京都府ファンドの申請支援
H26年5月~
持続化補助金の申請支援
H27年3月
経営革新計画策定に向けた支援
4月
向日市商工会に事業引き継ぎ
経営指導員から
今回の支援を通じて、事業者に
商工会の経営支援が広範囲であ
ると認識してもらえました。とくに事
業計画書の策定により経営課題
きたと思います。さらに市場環境を
京都府商工会連合会は平成25年に支援を開始。
約1ヵ月半に
が浮かび上がるとともに今後の方
研究することで納得してもらい、信
わたって各種展示会の出展を支援したほか、顧客ターゲットを
向性も明確になりました。また、ト
頼を得ることができました。経営者
30代後半まで広げ、従来の卸売中心を見直し、直販比率を高
に、既存の事業形態に執着せず、
潜在的な需要を見据えて提案する
ことの大切さを認識してもらえたの
が成果だと思います。
木に対する思いを胸に事業の再構築に向けて動き出した
顧客増を目指して
新たな販路獲得へ
えていた」というが、今回の支援によって認識を一変。
「寄り
い防水・防虫効果をもつ柿渋を染料にしたオリジナル鞄の製造・
るようである。
合会へふたたび同社の強みの深堀りなどについての相談が寄
56
仁アートショップ&スペース(鞄製造・販売業)
近畿ブロック
近畿ブロック
解決すべき経営課題を探索して
事業再構築の道筋を定める
京都府商工会連合会
京都府
京都府
き た う ま
めるために、セミオーダーが可能なネットショップの開設を検討
京都府商工会連合会
小林 康夫さん
した。一方、資金調達として京都府のファンド助成金の獲得に
向け、専門家の指導のもと事業計画書作成を支援したが、こ
ータルな伴走型支援によって職員
の事業計画書策定能力などが向
上。このようなかたちで多くの業種
を支援することは、我々にとっても
大切だと思います。
京都府商工会連合会
西出 英人さん
れは不採択に終わる。その後、新たな資金調達に向け、小規
57
課題
特産の番茶を使った
新メニュー開発を
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
大阪府商工会連合会 株式会社ミサキ(製造業)
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
高性能加工設備の導入支援で
売り上げ1.5倍増へ
流を深めることで観光客増大と地域活性化につなげたいと考
ためのオリジナル加工機の製造と、受注増に向けて製造体制
えている。
を強化していく方針を固めた。
売り上げ向上の方策としては、
国土交通省のイントラネットや、
そんな同社の意向を踏まえて、支援にあたった中吉野地区
吉野地域の玄関口にあたる、大淀町の国道沿いでドライブイ
広域協議会では、まず経営計画策定についてのセミナーへの
インターネットで運用されるデータベースシステム(NETIS新技
ンと道の駅の「レストランときん」の2店を経営するドライブイ
参加を提案した。その後、専門家派遣事業を活用して事業計
術情報提供システム)の申請・登録を行い、国内で実施され
ン S・T・D(従業員4名)は、喫茶メニューやランチメニューを
画のブラッシュアップを続けて計画を策定。その事業計画に基
る工事などを対象にした。
提供するほか、仕出し弁当の注文も受け付けて事業を展開し
づいて支援が行われた。具体的には、鮎1匹をフライにしたご
経営革新計画申請後は、開発機械の設計・製造と新工場設
ている。専属シェフによる料理は、とくに手づくりハンバーグが
当地ハンバーガーの開発とイベントへの参加、そしてスイーツの
立のための準備などについて、中小企業応援センター事業と中
人気だが、以前から吉野地域厳選の食材を使ったメニュー開
新商品開発である。
小企業支援ネットワーク強化事業の施策に応じて支援を実施。
発を模索していた。
さらに経営革新計画の承認を受けた後、同社は地元商工会の
スイーツについて、同社ではすでに番茶のソフトクリームを
ところで、大淀町一帯は古くから番茶の産地である。この地
開発しているが、今回は土産用商品の賞味期限の長期化を目
域資源に着目した大淀町商工会では、番茶でまちおこしをす
指した商品開発に取り組むことになり、国際ジェラートコンテス
べく、平成22年より番茶を中心に大淀町の食と文化を発信する
トでの入賞実績をもち、食品製造やレストラン運営を手がける
「番茶プロジェクト」を展開している。同社も、この番茶プロジ
県内の商工会会員事業者と連携して取り組んだ。このスイーツ
ェクトに参加したことで、多彩な地元企業と連携して商品開発
開発は小規模事業者持続化補助金を活用して行われ、販路開
を可能にする素地をつくっていた。
拓支援の取り組みとしては各種商談会や展示会への出品ととも
摂津市にあるミサキ(従業員25名)は、井戸・温泉工事や
能スリット加工機によって、同社はこれまで国内で製造できな
に、県内の商工会員が運営する店舗にも拡大させていく方針
地質調査などに用いられるストレーナー管の加工・販売を行っ
かった高付加価値製品を提供できるようになり、売り上げは
だ。なお同社の売り上げは、新メニューのご当地ハンバーガー
ている。
1.5倍に増えている。
支援
事業計画の策定と
持続化補助金の申請支援
新メニュー開発にあたって同社では、そのプロジェクトで培
開発した加工機が横スリット加工を可能にした
課題
開発コストと
受注増への対応
の登場もあって上昇傾向にある。意欲的な姿勢を見せる事業
ストレーナー管にはスリット(切れ目)が入っているが、近
者だけに、今後も吉野伝統の日干番茶をはじめ、地域資源を
年は非常に細いスリット加工が要求されるようになった。たと
使ったどんなメニューが登場するか楽しみだ。
えばスリット幅0.3㎜クラスの極細加工を要求された場合、従
った強みを活かして、吉野特産の日干番茶をベースにした「食
来だと手作業による加工を余儀なくされるため、コストがかさ
べる番茶メニュー」として「番茶ソフトクリーム」を開発。また、
むうえ、納期までにかなりの時間を要した。そこで、同社は幅
地元の日干番茶製造業者や老舗割烹料理店の協力のもと、数
種類の日干番茶を配合した粉末やチップを使用し、さらに吉
野特産のほかの食材も取り入れた和テイストのメニュー開発
(ハ
ンバーガー)に着手。開発した新メニューをさまざまなイベント
0.3㎜の横スリット加工を可能にした高性能スリット加工機の
支援の経過
期間
支援内容
H25年4月~
事業計画の策定支援
事業連携・販路開拓支援
開発を計画する。
しかし、そのためには、開発・製造コストの問題と、加工機
導入後の受注増にともなう製造体制強化という、2つの経営
経営指導員から
高度な専門的支援を大阪府連や派遣専門家が行う体制がとら
れている。
これら一連の支援を受けて事業者は「経営革新計画の申請
により事業計画の重要性を認識した」と強調。開発した高性
支援の経過
期間
支援内容
H22年5月~
経営戦略策定・事業計画
H25年2月~
新工場の資金調達支援
4月~
経営戦略策定・資金計画支援
H26年4月~
経営戦略策定・資金計画支援
経営指導員から
このケースでは事業計画の策定
支援
から販路開拓まで一連の指導に携
わることができました。ご当地ハン
経営革新計画申請を
ベースにサポート
専門家相談の同席などを通じ
て課題解決への理解が深まりま
した。今後、大阪府内全域の中
バーガーは今のところ店頭販売の
当時、同社は商工会の会員にはなっておらず、セミナーを通
みですが、今後は新たな商品開発
じて大阪府商工会連合会と接点をもつことになった。相談を受
企業支援の成功体験を重ねるこ
けた大阪府連は、現状把握のため専門家とともに同社を訪問。
とにより、支援体制が強化される
とともに、県外の各種イベントへの
参加やネット販売による販路開拓
まず資金調達を優先する必要があることから、金融機関への
により、さらなる売り上げ増が望め
るでしょう。また、ご当地グルメのP
Rによって吉野地域の観光客増加 中吉野地区広域協議会
も期待できると思います。
コンテスト入賞実績をもつ事業者と連携して生まれた「番茶ジェラート」
会員となり、以後の支援は日々の業務支援を地元商工会が、
課題を解決しなければならなかった。
や全国規模の食品コンテストなどに積極的に出品させ、人的交
58
支援テーマ
近畿ブロック
近畿ブロック
地域資源の番茶を活用した
ドライブインの新メニュー開発支援
支援テーマ
大阪府
奈良県
中吉野地区広域協議会 有限会社ドライブイン S・T・D(飲食業)
植田 豊さん
信用度を高めるためにも経営革新計画の承認を目指すことに
し、経営革新計画のメリットと申請書の作成方法について具体
的に説明した。さらに、この経営革新計画策定支援の一環と
小企業が抱える課題が把握され、
と思います。これらの体制強化に
より、意欲的に取り組む企業のお
役立ちに励んでいきます。
大阪府商工会連合会
上田 道世さん
して長期事業計画について検討し、今後は高付加価値製品の
59
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
変化への対応力を
備えたい
那智勝浦町の勝浦港は、はえ縄漁法による生マグロの水揚
川口建設株式会社(総合工事業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
間伐材のチップを活用した
ペット製品などの販路開拓
プロジェクトの肝は、国立和歌山工業高等専門学校と連携
申請を支援。採択されたことで、生産能力の向上や品質改善
したマグロ水分調整技術の開発である。同社の経営者は、長
におけるハード面での課題をクリアできた。
年の目利きの経験から、生マグロの味は魚肉の水分状態に左
一方、東京ビッグサイトで開催されたペット関連の展示会へ
右されることを知っていたからだ。
の出展準備の支援や、出展後の営業活動や今後の販売計画の
げが日本一を誇る漁港として知られている。大正元年に創業し
プロジェクトチームは、和歌山工業高専教授をはじめ、弁
たという老舗、木下水産物(従業員19名)は、この漁港で生マ
理士(特許等の権利関係の調査・保護を担当)
、栄養管理士、
グロの仲卸売業を営んでいる。
中小企業診断士によって構成され、商工会の経営指導員がい
策定に向けた支援を開始。翌年、
経営革新計画の評価部会(審
商品は市場で買い付けたマグロを原体のまま全国の中央・地
わばプロジェクトマネージャーとして全体のコーディネートに当
査会)に同行した。
方卸売市場に直送出荷するものと、生マグロを四つ割に解体
たった。こうして開発された商品は「もちもちまぐろ」と命名さ
この支援事例では、訪問、聞き取り、対策、進捗確認、専
加工して量販店などに出荷するものに大別される。いずれにし
れ、これまでにない新食感のマグロとして平成26年に発売、マ
門家のコーディネートなどの地道な支援の繰り返しによって、よ
ても、勝浦港で水揚げされる生マグロの7割はツナ缶などの加
スコミにも取り上げられた。発売にあたっては、大手食品卸売・
工用に多く使用されるびん長マグロで、味はよいものの、全国
流通会社の紹介など、販路開拓支援、記者発表やプレスリリ
的な流通力が弱く、価格もほかのマグロにくらべて安い。
ースといった広報活動支援も商工会が担当している。
策定支援を行った。
そして、平成26年に、販路開拓を念頭にした経営革新計画
同社が開発した猫用トイレチップ
課題
新事業を立ち上げたが
売り上げが伸びない
こうした地域が抱える課題に加えて、生マグロを中心に扱う
同社はこの年、商工会や和歌山県商工会連合会の支援で経
同社の経営環境は、不安定な漁獲高に加えて、マグロの養殖
営革新計画の承認も得ており、かねてより経営目標だった、変
技術や冷凍技術の向上、流通構造の変化などによって厳しさ
化対応力の実現に向けた弾みになった。同社は生マグロのま
公共工事関連の土木建築事業とともに、製材・不燃処理加
を増している。そんななか同社では、変化への対応力をつける
ち・勝浦を象徴する企業のひとつであり、そうした会社が新
工事業を営んでいた川口建設(従業員 16 名)
。不安定な土木
ため、より付加価値の高い新事業の開発が重要な経営課題に
境地を開いたことは地域にとって大きな意味をもつだろう。
建設業界にあって、地域の豊富な天然資源である木材資源を
活かした新事業展開を模索し、平成23年頃から、間伐材や製
なっていた。
支援
プロジェクトチームで
商品開発をサポート
卸売業だけでは今後の経営が厳しいと判断したことから、
南紀くろしお商工会では平成24年、産学連携による商品開発
を目指して多様な専門家からなるプロジェクトチームを編成。
支援に乗り出すことになった。
材の廃材などの木質資源をバイオマスエネルギーとして、木材
支援の経過
期間
支援内容
H24年1~12月
経営課題の把握
H25年1月~26年2月
商品開発支援
H26年7月~10月
経営革新計画の策定支援
12月~
近畿ブロック
近畿ブロック
産学連携プロジェクトで
マグロの新商品を開発
龍神村商工会
和歌山県
和歌山県
南紀くろしお商工会 木下水産物株式会社(卸売業)
販路開拓支援
の乾燥や温泉を温める熱源などに有効利用する取り組みに挑
戦してきた。
同事業は、龍神村商工会が書類作成を支援し、和歌山県か
ら補助金の交付を受けることもでき、さらに、同社では間伐材
を粉砕したチップを、燃料チップや猫用トイレチップなどに製
品化し、販路開拓も行ってきた。
しかし、これまでの建設業界とは異なる業界でのチャレンジ
い方向に向かうことができたと、経営指導員は振り返る。一方、
事業者も「経営革新計画を申請するにあたり、商工会の積極
的な支援に助けられた。これからも発展していくためには、商
工会とコミュニケーションをとりながら、進んでいくことが必須
だと感じている」という。
支援の経過
期間
支援内容
H25年9月〜
課題整理など支援を開始
H26年4月
ものづくり補助金の申請支援
5月・7月
展示会出展への準備支援
8月・9月
展示会後の販売計画の策定支援など
9月〜
経営革新計画の申請支援
H27年3月
経営革新計画評価部会へ同行
は商社任せの販売に頼っていたため、思うように売り上げを確
経営指導員から
変化への対応力をつけることを
保するまでにはならなかった。
そして平成25年、同社は経営改善について商工会に相談を
もちかける。平成24年度の販売実績が当初の目標を大きく下
重視しながらの伴走型支援を続け、
回ったため、
「目標に向けた販路拡大計画をつくりたい」とい
事業者にはその結果を喜んでもらっ
う依頼だった。
ています。
プロジェクトチームのコーディネー
申請支援などを進めるなかで、商
支援
工会への信頼が増したのを実感で
経営者の確かな目利きから「もちもちまぐろ」が生まれた
60
事業者へのヒアリングを通して、
経営者から直接話を聞くことで具
体的な支援のイメージをつかむこ
とができるということを実感しまし
た。また、事業者の商工会への
ト、記者発表、経営革新計画の
きました。
経営指導員から
南紀くろしお商工会
大江 伸二さん
展示会への出展や
経営革新計画の策定支援
商工会では、販路拡大の取り組みに向けて、課題を整理す
るとともに、マーケティングや展示会出展に向けた勉強を開始。
翌年からは、まず、設備投資を目的としたものづくり補助金の
理解も深まったと思います。
これからも会員事業者の立場
に立って、自分自身のことのよう
に考え、コミュニケーションをとり
ながら伴走型支援を続けていきた
いと思います。
龍神村商工会
落合 康人さん
61
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
株式会社三丹本店(食料品製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
越前柿を使った特産品を
農商工連携で開発・商品化へ
現状を知った事業者は「家畜にも環境にも酪農家の作業に
定番商品の小鯛・鯖・鮭、さらにプレミアム商品として、のどぐ
も配慮した商品を開発したい」と検討。飼料としても使われる
ろ・越前ガニ・若狭牛など旬のネタ、地元産米と柿の葉を使っ
綿実をヒントにして綿糸に着目し、使用素材と決めた。だが、
た、あわら産100%のすしを検討。あわせて、冷凍・冷蔵によ
ベールネットとして編み上げるのは至難の業で、失敗を重ねな
る保存方法や、あわらのお土産らしいデザインのパッケージも
の30%を占め、その産地として知られている。昭和31年創業の
がらも開発を続け、世界初100%綿素材の「e-コットンネット」
検討された。柿については、葉の収穫時期や効果的な保存方
岡本レース(従業員 10 名)は、経編みを得意とし、現在は自
が完成した。開発にあたっては、ものづくり補助金を受けたこ
法、冷凍方法などの研究のほか、効果的な洗浄法を検討。さ
動車用資材を主力として特殊な産業資材を製造している。
だが、
とで事業者に資金的余裕をもたらしたことは大きい。また、従
らに生柿についても効果的な皮のむき方や冷凍方法、渋抜き
受注が景気動向に左右されることもあり、安定した工場稼働と
来品との差別化を図った商品は、その着眼点もよく、市場での
方法などが研究されるなど、さまざまな角度から検討が進めら
経営維持のため、
異分野への進出を検討していた。そんななか、
需要も期待できるだろう。さらに、ふくい産業支援センター、
れた。
同社に酪農・畜産資材を扱う会社から、家畜の粗飼料を束ね
県の農林水産部、畜産試験場、県内外の牧場などの協力を得
るベールネットの開発依頼の相談があった。新分野への参入と
て、実用化に向けた検証も進めることができた。
課題
異分野進出を試みたが
情報と資金不足が課題
繊維王国、福井県。なかでも、編レース生地は全国生産量
いうことで、商品開発は情報収集からして難しい。そこで同社
平成26年夏に小規模事業者持続化補助金を使い、販路開
は、商品開発と補助金申請の支援について坂井市商工会へ相
拓のひとつとして、北海道の帯広で開催された国際農機械展に
談した。
出展。商品のプロトタイプを披露した。平成28年春、販売に
その一方で、商工会では試作品を地元の旅館や飲食店にサ
あわらの柿の葉の香りを愉しむ「柿の葉すし」
課題
向けた準備を進め、特許も出願中だ。
支援
相談を受けた商工会では、同社が新たな市場に打って出る
ためには、市場ニーズを的確につかむ情報収集、資金面では
補助金を活用する支援が必要と判断し、支援を開始した。商
工会は、補助金の申請を支援するなかで商品開発の実行計画
を具体的にまとめ、まずは商品開発の実現性を高めた。
開発を試みる梱包用ベールネットとは、牧草などの粗飼料を
束ねるもので、従来品はポリエチレンなどを使用した輸入品で、
誤って家畜が食すると有害であり、これを取り除くことも処分
することも酪農家に負担であった。
地域資源を使った
新商品をつくりたい
三丹本店は「関西の奥座敷」といわれるあわら温泉で各種
他機関とも連携し
5ヵ年計画で開発を支援
近畿ブロック
近畿ブロック
編レース製造技術で異分野進出。
商品開発と販路開拓を長期支援
あわら市商工会
福井県
福井県
坂井市商工会 岡本レース株式会社(繊維製造業)
ンプル品として提供し、アンケート調査などで消費者の反応を
収集するとともに、展示会への出展などで販路開拓を支援。
こうして生まれた新商品に、事業者は「長年の構想だった地域
資源を活かした特色ある商品で事業計画の認定が受けられた
ことによって、他社との差別化と経営基盤の強化が図られた」
と、手応えを感じている。
弁当の製造販売を行っている。会食、慶事 ・ 仏事、スポーツ
大会、子ども会、老人会など、さまざまな集まりに合わせた多
支援の経過
期間
支援内容
H25年3月~
畜産業界向け新商品開発の協議
H26年3月~
ものづくり補助金などの申請支援
持続化補助金の申請支援
7月~
補助金にて販路開拓支援等実施
7月
国際農業機械展示会で試作品案内
11月~
畜産試験場、県内外牧場で実用検証
様な弁当を提供して顧客を広げてきた。そうしたなかで、あわ
ら温泉は年間155万人の観光客(宿泊客82万人)が訪れる人気
温泉であることから、同社では地域資源を活用した特色ある
弁当や特産品の開発を模索。その地域資源として着目したの
が、年間310トンを出荷する越前柿だった。
支援の経過
期間
H24年9月~
専門家、生産者等紹介
H25年6月~
試作品開発支援
10月~
支援
充実の連携と
販路開拓
支援内容
農商工等連携事業計画の策定支援
H26年4月~
商品開発支援
H27年10月~
販路開拓支援
越前柿の活用について相談されたあわら市商工会では、連
携事業に精通した中小企業診断士とともに同社を訪問し、ヒ
経営指導員から
アリングを行った。続いて、越前柿の出荷状況や柿の葉などの
事業者は、当商工会の副会長
特長について県坂井農林総合事務所から情報収集するととも
を務めています。今回の支援を通
に、柿生産者との協議も重ねた。
して、地域の皆様や他機関に支
い、農商工等連携事業計画認定
を受けることができました。これ
こうした経過を経て、全国展開支援事業で柿と葉を使った
を評価いただき、広めていただい
商品開発を支援。その後、試作と試食を繰り返し、中小機構
信用が向上し、ほかの会員への
北陸本部の専門アドバイザーの協力も得て、平成25年12月、三
波及効果も大きいと思います。
ます。商品はこれから販売予定。
丹本店、野菜卸売業者、花咲ふくい農業協同組合の三者で農
売り上げと利益率向上を実現し、
安定した経営基盤をつくるため、
今後も継続的に経営計画や計画
書策定を支援していきます。
62
多くの専門家とともに支援を行
援団体として地元商工会の活動
たことが一番の成功だと考えてい
日本初の100%綿素材でできたベールネット「e- コットンネット」
経営指導員から
商工等連携事業計画の認定申請を行った。その内容「あわら
坂井市商工会
高木 隆敏さん
産柿を活用した柿の葉すしなどの製造・販売事業」は、翌26
年2月に認定を受けた。
その後、本格的な商品開発に入り、まず「柿の葉すし」は、
により事業者の商工会に対する
このようなやる気のある企業を
支援することで、商工会にとって
も、職員能力やブランド力のアッ
プ、支援体制の強化につながった
と思います。
あわら市商工会
青木 政彦さん
63
課題
廃棄果肉を
有効活用したい
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
中部商工会産業支援センター
有限会社木屋旅館(旅館業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
老舗温泉旅館の後継者が挑んだ
経営革新計画で売り上げアップ
よる商品開発と雇用創出」
。続く平成23年10月、やはり採種後
むことになった。目指したのは、
温泉の泉質を有効活用した
「癒
のカボチャ果肉の有効活用をテーマに県6次産業化総合支援
やしの宿」づくりと、木造建築を有効活用した「日本らしさ」
事業の申請支援を行い、これも承認された。
の演出によるブランドイメージの確立だ。
名峰・大山の麓、大山町で昭和45年に創業したカンダシード
平成25年12月からは専門家派遣による支援も実施。専門家
産業支援センターではその実現に向け、経営計画策定と実
(従業員10名)は、おもにメロン、カボチャなどの種子の製造
による人材育成セミナーを開催することで従業員の意識改革を
行支援を行った。支援にあたっては、後継者の頭のなかにあ
販売を行っており、独自開発商品の「クレオパトラメロン」など
促し、業務の効率化と社内ベクトルの統一を図るのが目的だっ
るイメージを書面化して整理するとともに、自主的な取り組み
を主力商品としている。平成19年に創業者の息子(現経営者)
た。その背景として、同社で若年層の採用を積極的に行ったこ
を促すことで計画実行の主体性が増すように配慮。そして、後
が経営革新セミナーに参加したことを機に、新サービスに向け
とから従業員の年代層が広がり、全社的な統一性をもたせる
継者と産業支援センターが一緒になって現状分析に取り組み、
た経営革新計画の策定に着手。同計画の採択後に事業を継ぐ
必要があった。さらに小規模事業者持続化補助金の申請支援
経営革新の計画策定を実行した。
と、6次産業化による食品分野に進出、そして新商品開発へ
も行い、これによって販路開拓を進めている。
と展開することになった。
支援による改善効果について事業者は、
「経営革新計画の
事業承継とともに同社は変貌を遂げ始めたが、その後も経
承認によって企業としての認知度と信用度が高まり、また補助
営課題は少なくなかった。たとえば従来、種子生産の際、メロ
金の活用で新事業に向けた正規雇用の確保と設備の導入につ
ンやカボチャなどの種子を取り出した後の果肉はそのまま廃棄
ながり、経営基盤の確立が図られた」と評価をしている。
経営革新計画の承認後も、小規模事業者持続化補助金の
ラドン温泉熱を活用した暖かい空間(オンドル)
でのヨガ体験も好評
課題
処分していた。その果肉を有効活用する方策を模索していたの
だ。また、現経営者になってから正規雇用の確保に努めたこ
とにより、閑散期の人材活用も頭の痛い問題だった。この人材
活用のためにも食品分野に進出し、販路を拡大して収益の向
上を図りたいと考えていた。 期間
10月~
各種承認申請と
専門家派遣で支援
支援内容
経営革新計画の申請支援
専門家派遣による支援
H22年5月~
経営革新計画の申請支援
H23年10月~
県6次産業化総合支援事業の申請
H24年6月~
雇用関係助成金活用
た。まず平成22年5月から2回目の経営革新計画の申請支援
H25年12月~
専門家派遣による支援
にとりかかった。テーマは「採種後の南瓜果肉のペースト化に
H26年4月~
持続化補助金の申請支援
支援
以上のような課題の解決に向けて、西部商工会産業支援セ
ンターでは関係機関と連携を図りながら施策活用の検討を進め
従来のビジネスモデルから
脱却して顧客増を図る
活用などを通して新たな課題について対応している。
こうした取り組みが功を奏し、売り上げや客単価が増加。ホ
ームページをリニューアルしたことによる直販の増加(エージェ
ントに支払う手数料の削減)も見られた。
およそ 850 年前に開かれたと伝わる三朝温泉(三朝町)
。木
支援の経過
H19年6月~
中国・四国ブロック
中国・四国ブロック
経営革新計画の承認で
新事業と経営基盤の確立を図る
支援テーマ
鳥取県
鳥取県
西部商工会産業支援センター(大山町商工会) カンダシード株式会社(種苗製造・卸売業)
屋旅館(従業員5名)は、この地で約150年前に創業した老舗
温泉旅館で、今では珍しい木造3階建ての建物は、国の有形
文化財に指定されている。
旅行業界は、かつてのマスツーリズムから、個人旅行にシフ
トし、旅行の目的も多様化してきた。この環境の変化に、三
朝温泉の多くの旅館経営者たちは対応ができず、大手エージェ
ントに集客を頼るかつてのビジネスモデルから脱却できずにい
た。三朝温泉の観光客は右肩下がり。平成8年のピーク時に
年間55万人いた宿泊者数は、平成24年に32万人にまで落ち込
んだ。
そんななか、同旅館では、今後は、個人旅行だけでなく、
支援の経過
期間
H24年10月
11月〜1月
H25年1月〜2月
支援内容
研修会参加後の支援案件発掘
経営の現況調査
経営革新計画の実施にあたって
の課題抽出など
3月〜4月
経営革新計画の策定支援
5月〜
経営革新計画の実行支援
H27年5月
持続化補助金の申請支援
趣味や志向が核となる、
「個」の集合体としてグループ旅行(血
経営指導員から
経営革新計画策定を実践する
ーを囲い込むとともに、新たな滞在環境を提供し、売り上げ増
資質向上が図られたと思います。
加を目指すことになった。
その後、新たな事業の方向性を見
経営指導員から
この事例は、後継者を支援した
ことで、横のつながりでほかの青
年部員事業者の経営革新への動
機づけにつながりました。
極めるなかで、社内の組織体制や
産業支援センター体制は、経
経営基盤の確立に向けた支援を
営支援に専念できるとともに、チ
行い、地域の雇用創出につなげる
支援
ことができました。今回、他機関と
連携することで、商工会単独では
限界のある支援がより実効性のあ
るものになることがわかりました。
64
要だと考えていた。そのためにも、客との地道なコミュニケー
ションを図りつつ、信頼と信用を積み重ねることで、リピータ
過程で、事業者は後継者としての
さらなる販路拡大と収益向上を目指す経営者(右)
縁・地縁含む)が一般的となり、そのニーズに応えることが重
西部商工会
産業支援センター
桑本 清美さん
新たな宿泊プランと
ブランドイメージを確立
そこで中部商工会産業支援センターの支援のもと、後継者
を中心に「新たな宿泊プランの造成による癒やしの宿づくりと
ブランディング事業」と題して、経営革新計画の策定に取り組
ームでの課題解決や計画のブラッ
シュアップを行うことで効果的な
支援が行えます。自分自身のノウ
ハウの蓄積や能力の向上にも役
立ちました。
中部商工会
産業支援センター
小椋 秀一さん
65
支援テーマ
課題
卸売では差別化や
オリジナル性が出せない
B株式会社(印刷・製本業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
事業再生案件を支援して
経営革新、 ものづくり補助金へ
営力強化アドバイザーを活用した専門家派遣により、市場の絞
や品質管理の現状把握など「見える化」重視の職場風土醸成
り込みから、販売戦略などのアドバイスを行った。そして経営
を目指した。
革新計画の承認を目指して、申請書などの作成支援を行った。
3つ目の課題の新事業開発は、事業領域の確認、新事業候
経営革新計画の承認後も、エキスパートバンク事業を活用し
補の選定、市場調査を経て新サービスメニューの開発、とい
県東部の小規模な酒類販売店などを中心に、お酒のおつまみ
て、専門家によるアドバイスを受け、パッケージデザインなどを
う流れを踏んだ。この新事業の継続可能性をさらに高めるた
類の卸売を行ってきた。
作成。さらに、平成25年から27年にかけて、スーパーマーケッ
めに事業実施1年後に、新事業の効果検証結果により経営革
近年では、酒類の小売規制の緩和や、安売り大手の進出も
トトレードショーや、全国商工会連合会主催の物産展「ニッポ
新計画の策定に着手。さらに翌年、市場性の高い事業の存在
あり、
価格競争が激化。これにより取引先の廃業が増えたため、
ン縦断物産オールスターズ」への出展、地域力活用市場獲得
が判明したことから、ものづくり補助金の申請に着手した。
年々売り上げが減少傾向にあった。
等支援事業によるモニター調査、ECサイト「ニッポンセレクト
昭和43年に松江市で創業したスナハラ(従業員5名)は、
そこで同社では、メーカーから仕入れた単体商品を、組み
平成26年には、ものづくり補助金の申請支援も行い、採択
を企画するなどしてきたが、同じような競合商品も多く、差別
されたほか、翌年9月には、小規模事業者持続化補助金の申
化やオリジナル性を出すことには限界があった。
請を支援し、採択された。
そんななか平成24年に、先代から現社長への事業承継を機
事業者は「細かいことまでアドバイスをいただき、新規取引
に法人化。ビジネスモデルを大きく転換させるため、オリジナ
先も増え、売り上げが向上しました。これも支援のおかげです。
ル商品を開発して、利益率の低い卸売から、収益性の高い食
今後のさらなる認知度アップや販路開拓、新商品開発の支援
品メーカーへの脱却を図り、経営基盤の強化を進めていくこと
をお願いしたい」と話す。
業ノウハウの不足などの課題を抱えていた。
支援
商品開発から販路開拓、
補助金の申請支援まで
支援の経過
期間
H24年7月
7月~
支援内容
経営革新計画の申請支援(承認)
導入した「自動無線綴機」
要因としては、経営者自身の改善意欲の高さに加えて、金融機
関が商工会の支援レベルの高さを認識し、商工会との連携の
課題
構造不況で
資金繰りが悪化
重要性を理解してもらえたこと。また、商工会と岡山県商工会
連合会の連携支援体制がうまく機能したことも、よい結果に結
びついた一因といえる。
印刷・製本業界は大手印刷会社の内製化や外注先の再編
場の縮小とともに業績低迷を余儀なくされる会社が増加してい
支援の経過
る。このB社も例外ではなく売り上げは減少傾向をたどり、原
期間
価とコストの圧縮によって経常損失を出さないようにするのが
やっとだった。先行設備投資による借入過多により返済負担
が膨らみ、資金繰りも悪化。計画的な資金調達ではなく、場
当たり的な調達を行ってきたつけが回っている状態だった。
専門家派遣
H25年2月〜
展示会出展など販路開拓支援
ートをお願いしている専門家に依頼し、市場調査とともに関東
H26年8月
ものづくり補助金の申請支援
(採択)
地区の主婦を対象にモニタリング調査を実施。また、県の経
H27年9月
持続化補助金の申請支援(採択)
支援にあたったまつえ南商工会では、新商品開発からサポ
にものづくり補助金に承認および採択された。ここまでの成功
などにより、今や構造不況業種といっても過言ではない。市
になった。
とはいえ、商品開発にともなう市場調査や、販路開拓や営
結果的に、事業再生案件が1年後に経営革新計画、2年後
.com」への登録など、販路開拓支援を実施した。
合わせてパッケージして販売したり、客の注文に合わせた商品
中国・四国ブロック
中国・四国ブロック
オリジナルのおつまみ商品を開発し、
卸売からメーカーへの脱却
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
A商工会
岡山県
島根県
まつえ南商工会 株式会社スナハラ(食品製造業)
支援
金融機関も交えた
連携支援体制を確立
支援内容
2週間
現状把握・支援方針立案
1カ月
課題解決策の検討
1カ月
事業計画書の作成支援
2カ月
再生計画書の作成支援
2カ月
経営革新計画の申請支援
2カ月
ものづくり補助金の申請支援
商工会が経営課題を整理すると、①改善に取り組むための
経営指導員から
支援機関などと連携し、新規
これに対して、まず喫緊の課題である運転資金の調達につ
献することができました。また、
経営指導員から
商工会が主体となって本格的な
事業再生に取り組んだ初の案件で
したが、支援成果は確実に生まれ
今回の支援を通じて、事業者との
いては、バンクミーティング(経営者、メインバンク、専門家、
信頼関係が強固になったと思いま
担当指導員、広域サポートセンターの出席による)を実施。改
事業者再生支援の重要性を感じ、
善の方向性を検討するとともに、当面必要な運転資金2000万
県に対して小規模事業者再生スキ
す。まだ、多くの課題があります
が、定期的な巡回を通して、課題
円を調達することにした。2つ目の課題であるコスト削減と利
解決に向けた支援や販路開拓支
援を行い、さらなる新商品の認知
度アップにつなげていきたいと考
えています。
66
益体質に向けた価格競争力、③新事業開発による売り上げ増、
④設備導入資金の調達方法、となった。
顧客の獲得、売り上げ向上に貢
ナッツを使った同社オリジナル商品
早急な運転資金の調達、②コスト削減と生産性向上による利
益体質への転換は、専門家を交えて生産工程などを把握した
まつえ南商工会
高木 亨さん
うえで、コスト削減については対象科目を整理して優先順位を
つけ、実績目標を立てて削減に取り組むことにした。生産性向
上については日報による現場把握とともに、計画と実績の対比
たと思います。これを機に小規模
ームを提案し、制度化に成功しまし
た。行政や金融機関、そのほかの
支援機関に対して、商工会が実施
する経営支援の重要性の理解を深
める事例にもなったと思います。
岡山県商工会連合会
津田 健治さん
67
課題
雇用確保と
販路開拓の方向性
尾道市と愛媛県今治市を結ぶ、しまなみ海道のほぼ中央に
ある生口島
(尾道市瀬戸田町)は
「レモンの島」として知られる。
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
五日市商工会
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
既存概念を打破する学習塾開業。
資金面と広報活動を支援
に続く経営革新計画承認と補助金活用などで雇用の確保を提
人材募集のプロを紹介し、スタッフ確保に向けて動いた。こう
案。販路開拓と生産体制の整備は、どちらも中小企業支援ネ
したなか、開業当初、入塾生は小学生3名だったが、翌年 10
ットワーク強化事業の専門家派遣により、販売戦略の立案やI
月には開設場所を1ヵ所増やし、入塾生は小学生27名、中・
Tを使った受発注システムの構築を行っている。
高生6名の計33名と増加。開業時から続いていた赤字も黒字
ちなみに同社と商工会のつながりは、同社の創業を商工会
へと転換した。
日当たりのよい傾斜地の多い生口島は、温暖な瀬戸内海でも
が支援したときにさかのぼり、以後、経営指導員がこまめに
有数の柑橘類の産地で、とくに盛んなのがレモン。日本の国産
巡回訪問し、そのつど課題に迅速に対応してきた経緯がある。
会を勧めた。これは、同世代の経営者との交流で地域とのつ
レモンの実に4分の1がこの島で生産されている。
両者は密な関係にあり、今回も商工会は課題整理や各種補助
ながりを深め、ビジネスのヒントも得られるはずだと考えたか
パティスリーオクモト(従業員25名)は、その生口島で地元
金申請支援などを担当するとともに、課題に応じて広島県商工
らだ。また商工会実施の交流会にも参加し、人脈づくりに取り
産の瀬戸田レモンを使った洋菓子の製造販売を行っている。
会連合会や専門家、発明協会などにつないでサポート。これ
組んでいる。
平成20年に個人事業として創業し、翌年、
「瀬戸田レモンケー
に対して、連携をとった広島県連は課題整理とともに専門家選
キ“島ごころ”
」を発売すると、人口8700人の島ながら発売か
定、販路開拓支援などを担当した。急成長の事業者だけに課
ら半年たらずで7000個を売り、地元土産の定番商品になった。
題対応には迅速さが求められるが、今回の支援では、その点
その後、東京の西武池袋本店をはじめ各地の百貨店で扱われ
においても事業者の満足が得られている。
支援するなかで経営指導員は、事業者に商工会青年部へ入
生徒獲得のために作成した折り込みチラシなど
課題
るなど販路を拡大。平成22年には手狭になった店舗を移転し、
リニューアルオープンした。その翌年には第51回全国推奨観光
土産品審査会で日本観光協会会長賞を受賞している。
こうして順調な歩みを見せる同社だが、急成長ゆえの経営
課題があった。ひとつは従業員の雇用確保であり、また今後、
売り進むべき販路開拓の方向性、さらに若い企業(法人設立
は平成24年12月)ゆえに組織や生産体制の整備も急務だった。
期間
支援内容
経営革新計画の策定支援
5月
過疎地域小規模企業等活動モデル
支援
10月
地域資源活用支援
全国推奨観光土産品支援
業者が、子ども一人ひとりのやる気を高め、とことんサポート
する独自の学習塾を目指して平成 26 年5月に開業した。
開業の準備にあたり、近隣に競合のない市内の新興住宅地
2ヵ所を選び、団地の集会所を長期間予約して場所を確保。
しかし、資金も生徒の募集案内も不足していた。そのようなな
H24年5月~6月
IT強化(生産・販売管理)
業)のパンフレットを見た事業者は、専門家のアドバイスを受
H25年7月~10月
IT強化(ネットショップ)
けたいと相談窓口へ電話を入れた。
これに対して尾道しまなみ商工会では、従業員の雇用につ
H26年6月
創業塾で体験事例発表
いて広島県中小企業新事業創出支援事業の補助金申請、これ
9月
H23年5月~
IT強化(自社システム構築)
支援
経営指導員から
補助金申請や
販促ツール制作の支援
相談を受けた広島県商工会連合会では、事業者の居住地域
成長発展を遂げる事業者の経
である五日市商工会の経営指導員を紹介し、支援を開始。経
営課題・改善点に対し、迅速か
営指導員は、中小企業診断士でもあり、事業の確実性を含め
つ的確な支援策の提案が必要と
でにないスタイルの学習塾は、さらなる一歩を踏み出そうとし
ている。
支援の経過
期間
H26年4月
支援内容
独立開業に関する相談
4月~5月
事業計画の課題整理
持続化補助金の申請支援
5月~6月
創業補助金の申請支援
7月
持続化補助金の採択
7月~8月
専門家の選定・派遣の実施
(3回)
H27年1月~2月
専門家の選定・派遣の実施
(3回)
経営指導員から
小さな学習塾ですが、事業者は
「これまでにない個別学習指導」
を掲げ、その方針はぶれずにしっ
なります。それを円滑に実行でき
て内容を検証。資金調達として、小規模事業者持続化補助金
るのも商工会がもつネットワーク
と創業補助金の活用を提案し、申請を前提とした事業内容の
なくても自ら積極的に動くタイプ
力があるからであり、そこが強みだ
精緻化を進め、事業計画と課題の整理などを行った。
の事業者ですが、スタッフが増え
と思います。事業者にとって高度
開業にあたっては、ミラサポ(中小企業・小規模事業者ワン
な専門的知識や技術が求められ
ストップ総合支援事業)の専門家派遣を実施。デザイナーとと
る経営課題に対して、専門家派
遣制度などを活用して支援するこ 尾道しまなみ商工会
とが伴走型支援だと考えます。
島やレモンへの想いをかたちにした「瀬戸田レモンケーキ“島ごころ”
」
どもの学力向上を目指したい」と意欲を見せる事業者。これま
か、開業1ヵ月前に地元銀行で手にした「広島市域中小企業支
援ナビ」
(広島県、広島市、広島県商工会連合会などの連携事
専門家派遣で
迅速対応
「今後は、ほかの個人塾とも提携し、相互に補完しながら子
学習塾 Choice は、広島市内の学習塾で勤務経験をもつ事
支援の経過
H22年4月
個人学習塾の開業に
向けた不安や課題
販路拡大・経営戦略支援
支援
68
学習塾Choice(教育・学習支援業)
中国・四国ブロック
中国・四国ブロック
レモンの島の新名物を全国へ。
成長企業を支える伴走型支援
支援テーマ
広島県
広島県
尾道しまなみ商工会 株式会社パティスリーオクモト(製造業)
大谷 貴紀さん
※所属商工会は支援当時
もに対象地域の子どもたちとその親に効果的に案内できるチ
ラシを作成し、新聞折り込みで配布。地域力活用市場獲得等
支援事業による専門家派遣では、優秀なスタッフ確保のため、
かりとしています。とくに手をかけ
たこともあり、売り上げ拡大に向
けて経営的な支援も必要と思わ
れます。しばらくは継続的に巡回
指導をして進捗状況を見守ってい
きたいところです。
五日市商工会
金行 政実さん
69
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
く
ら
や
長門峡 美蔵屋(食品製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
こだわりの手づくりかき餅の
生産強化と販路開拓を支援
とし、人形の衣装は神楽衣装の特徴である金襴織物、ICチ
に直売所開設を目指した中期事業計画を策定。2年後、この
ップに入れる神楽囃子の音も実際の神楽団の生演奏を使うな
事業計画をブラッシュアップし、経営革新計画の策定支援を行
どの本格仕様とした。動力部分などは「動く獅子舞」を製作し
い、平成26年4月に承認を得た。その際、小規模事業者持続
いわみ(従業員5名)は安芸太田町で花と野菜の栽培・販
ていた名古屋のメーカーが担当。衣装は地域の製作所に、面
化補助金の公募制度を商工会に教えてもらい、経営革新の事
売を手がけている。平成2年の創業以来、無借金経営を続け
の製作と製品の組み立ては島根県の社会福祉法人に委託し
業実施に際して、経費負担軽減のために持続化補助金の申請
ながら道の駅で販売を行っていた同社は、平成22年の暮れ、
て、障がい者の就業機会の確保につなげることになった。
を行った。そのほか、販路拡大に向けた各種イベントなどへの
課題
畑違いの事業化に
何をどうしたらいいのか
知人から、正月用品のおもちゃ「動く獅子舞」を販売してみた
販路開拓については、商工会の支援のもと、小規模事業者
出展支援も随時行っている。
らどうかと勧められる。そこで試しに店頭に置いたみたところ、
持続化補助金を活用してパンフレットを作成し、スマートフォン
こうした取り組みにより、新たな加工場を建設し、受注に対
思わぬ反響があった。電動で独特の横揺れや回転をするおも
対応のホームページも開設。広島市内の物産展や商談会への
応できる生産体制を完備。さらに直売所を併設し、山口県産
しろさから、観光客の注目を集め、よく売れたという。
出展も支援した。このほか、原価計算と販売価格の見積りを
のゴボウ、ニンジン、リンゴなどを使用した珍しいかき餅など、
ここ安芸太田町は伝統芸能の神楽が盛んなこともあり、経
行ったうえで、マル経融資による資金調達の支援を行っている。
営者夫婦は、このおもちゃに神楽の衣装と面をつけて「動く神
商標など知的財産権については、広島県発明協会の知財ア
楽人形」として売り出せば、地域のお土産品として喜ばれるの
ドバイザー出張相談制度を活用し、製造委託先との契約を含
ではないかと考えた。こうして夫婦で商品化の構想を練ってい
めた手続きを行った。こうして販売することになった「動く神楽
たが、平成26年に夫が他界。その遺志を継ごうと妻は商品化
人形」は「ドン舞い神楽ちゃん」として商標登録し、順調に売
を決意する。しかし、これまで経験のない事業でもあり、何を
り上げを伸ばしている。
支援
安芸太田町商工会と広島県商工会連合会は、
「動く神楽人形」
の開発と事業化に向け、経営革新計画の策定支援に乗り出し、
課題を以下のように整理した。①商品仕様の確定、②製造協
力パートナーの選定、③商標など知的財産権の取得、④販路
開拓、⑤資金計画、の5点である。これを踏まえて「事業展開
ロードマップ」を作成し、必要事項を関係者で共有した。
市の山里で手づくりのかき餅製造を手がけているが、地産地消
期間
H26年10月~
12月~
H27年5月~7月
支援内容
ヒアリング、
課題整理
知財アドバイザー相談
経営革新計画の申請支援
5月~10月
マル経融資による資金調達支援
5月
持続化補助金の申請支援
10月
山口銀行助成金の申請支援
るようした。
なお同社の商品は、やまぐち農山漁村女性起業統一ブランド
「やまみちゃんブランド」に認定されており、手づくりのかき餅
に込めた事業者のこだわりを、さらに発信できる体制が整った
ことになる。
支援の経過
にこだわり、材料は地元農家の「はぜかけ米」を使っている。
これは、稲刈り後すぐに脱穀して乾燥機にかける通常の米と異
なり、稲穂がついたまま束ねてハゼに吊るして天日干しをする
昔ながらのやり方。
手間はかかるが、
そうすることで甘みのある、
しっとりした米になる。同社の商品は、今や希少価値の高い地
元産はぜかけ米100%で、そのほか、サツマイモや大豆、ゴマ
などの材料も、新鮮なものを決まった地元農家から直接仕入
期間
H23年
中期事業計画策定
H25年~26年
経営革新計画の策定支援
H26年4月
経営革新計画の承認
H26年
持続化補助金の申請支援
7月
れている。
販売は県内のスーパーマーケットや道の駅のほかに、インタ
支援内容
(随時)
持続化補助金承認
各種イベント出展支援
ーネットでも販売。消費者のニーズに合わせて30g~140g まで
各アプローチについては、①と②は事業者が中心に行うこと
経営指導員から
会員の持続的発展は新事業開
全部で9種類の袋詰めサイズを用意している。販売先からの返
品率は1%未満という好成績ながら、経営課題も少なくない。
新たな販路開拓と、それにともなう生産能力の強化、はぜか
発が重要テーマのひとつであるこ
け米の安定的確保、納品管理・賃金管理など管理能力の強化、
とから、今回の経験は他会員へ
将来を担う人材の育成などである。
の支援にも役立つと思います。自
経営指導員から
事業計画の策定をはじめ、事業
者に寄り添う伴走型支援ができた
と思います。新加工場により、鮮
度のよい素材を手早く効率的に加
分自身、とくに知的財産について
工できる体制になり、従来逃してい
の知見を得ることができました。
た注文にも対応できるようになりま
事業者は将来的に海外展開も視
支援
野に入れており、そのためにもま
ず国内の事業基盤を確立すべく
販売機会の提供など、継続して
支援していきたいと思います。
伝統芸能と匠の技で商品化した「ドン舞い神楽ちゃん」と同社の方々
課題
販路を拡大したいが
生産能力が小さい
他店にはないできたての商品を鮮度のいい状態で展示販売す
ーを受講した女性経営者が平成11年に創業した。以来、山口
支援の経過
課題整理から
商標登録まで
店舗の前にて、手づくりのかき餅を手にした代表者
「長門峡 美蔵屋」
(従業員5名)は、山口女性起業家セミナ
どうしてよいかわからなかった。
70
み
中国・四国ブロック
中国・四国ブロック
念願の新事業「動く神楽人形」の
開発・販売をトータルサポート
山口県央商工会
ちょうもんきょう
山口県
広島県
安芸太田町商工会 有限会社いわみ(花・植木小売業)
支援テーマ
安芸太田町商工会
井上 雄介さん
中期事業計画から
経営革新計画の承認へ
これらの課題に対する支援策は、まず山口県央商工会、山
口県商工会連合会、中小企業診断士、6次産業化サポーター
などの専門家による総合支援を実施することにし、平成 23 年
した。
生産増大により、農家でも売れ
る米づくりの期待が高まり、はぜか
け米の仕入れの安定化につながっ
たことも大きいと思います。
山口県央商工会
浜谷 宜明さん
71
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
安定利益に向け
加工食品開発を
山口市の郊外で農業を営むミライエfarm(従業員2名)は、
自然薯(じねんじょ)の無農薬栽培を行っている。
これまで自然薯の販路拡大を目指し、新しい品種の自然薯
栽培に乗り出すとともに、新規就農者支援制度を利用して2名
の従業員を雇用し、販路拡大に向けた体制づくりを進めてき
た。
有限会社柚冬庵(食品製造・販売業)
始め、心の通い合いができたところで、この支援が単発で終
ンナーの指導を受けながら事業計画策定を支援。あわせてミ
わることのないよう、5年間の長期的支援計画を策定。5年の
ラサポの専門家派遣も受けて計画を固めている。そして、この
スパンで効果的にステップアップしていくために、最初の入り
事業計画をもとに経営革新計画の承認申請をした。
口部分で国や県の補助制度を効果的に活用し、取り組みの最
また、資金面については小規模事業者持続化補助金の申請
終目標である販路開拓までを見通した計画とした。具体的に
を支援。新たな労働力確保に向けては、山口市重点分野雇用
は、経営革新計画の承認を得ることから始め、続いて地域資
確保人材育成事業申請を支援した。
源活用事業計画の策定支援、ものづくり補助金の申請、首都
具体的な加工商品のプランニングまでには至っていないもの
圏での販路開拓という流れを構築した。
連携機関の役割分担は、商工会が各種補助金の説明や計
やるべき目標が具体的に見えてきた」と手応えを感じている。
画実行後のフォローアップ、徳島県連が事業者の課題整理と方
今回の取り組みで従業員のモチベーションもアップした
るようにしたいと事業者は考えていた。
加工商品については、自然薯の規格外品や傷物などを利用
課題
し、地元の豆腐製造業者と組んで自然薯入りの豆腐やこんにゃ
くなどを考えているが、具体的な商品コンセプトまでにはいた
6次産業化プランナー
とともに計画策定
確認した。
これを踏まえて商工会はまず中小企業・小規模事業者ビジ
向性の決定、計画のブラッシュアップ、販路開拓支援など。そ
のほか、新商品開発をめぐるデザインや技術的問題については
派遣による専門家の指導を仰いだ。
事業者は経営革新計画や地域資源活用計画により、自分た
ちの取り組みが国・県に認められ、その結果、補助金などの
支援が得られ、新商品開発と販路開拓に結びついたことで、
「従
ゆず製品の製造会社。この地は木頭ゆずの発祥地で、県下一
業員一同、やればできる。次は何をするといった、これまでに
のゆず産地として知られる。
ないモチベーションと希望にあふれている」と喜びを隠さない。
同社は地元の木頭ゆずを使った調味料、飲料、ジャム、みそ、
佃煮、菓子などを製造してきたが、営業機能をもっていなかっ
た。販売は道の駅や催事に委ねるほか、郵便局や自治体から
相談を受けた徳地商工会では、ヒアリングの結果、経営課
で加工品製造に乗り出した場合、労働力が不足することなどを
急務の新商品開発と
販路開拓
柚冬庵
(従業員11名)は那賀町木頭の自然豊かな山村にある、
っていなかった。
であり、ゆえに資金調達が必要であること。また、現状の人員
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
ネス創造等支援事業を活用し、専門家である6次産業化プラ
いため、自然薯を使った加工商品を開発し、通年で利益が出
題として、何をつくるにせよ加工品の生産には機械化が不可欠
支援テーマ
5年がかりで計画実行した
加工場から「企業」への脱皮
の、代表者は「事業計画を固めることで、これからの方向性と
しかし、農作物の販売高は季節変動が大きく、利益率も低
支援
と う あ ん
中国・四国ブロック
中国・四国ブロック
事業計画策定支援で
自然薯加工品開発に道筋をつける
徳島県商工会連合会
ゆ
徳島県
山口県
徳地商工会 株式会社ミライエfarm(農業)
支援テーマ
支援の経過
期間
の注文を受けて生産するかたちをとってきた。
支援の経過
期間
支援内容
H26年7月~
ヒアリング、
専門家派遣
経営革新計画の策定支援
H27年3月
持続化補助金の申請支援
人材育成事業の申請支援
しかし町村合併や郵政民営化により、受注が大幅に減少。
加えて、消費者のライフスタイルや嗜好の変化から商品サイク
ルが短くなったこともあり、生き残るために新規顧客獲得が急
務になっていた。
これまで企業としてのビジョンがあまり明確でなく、営業機
支援内容
1年目
経営革新計画の策定支援
2年目
地域資源活用事業計画
3年目~4年目
事業計画の推進
5年目
首都圏での販路開拓支援
能がなかったために経営基盤が弱いのは否めず、商品開発や
販売戦略を立てることもなかった。いわば、名産のゆずに寄り
経営指導員から
かかった受け身の商売に終始していたが、そうした山村のゆず
今回、6次産業総合化事業計
加工場から「企業」への脱皮を図るためにも新商品開発が不
画認定申請までいきませんでした
可欠だった。
が、事業計画の策定によって加
工商品開発に向けての準備を整
商品開発後に、新たな商品開発
支援
の計画策定として6次産業総合化
事業計画を目指します。この地域
では自然薯の生産農家が増えてお
うな波及効果を期待しています。
地域と自然薯栽培を結びつけ持続可能なビジネスモデルを構築
72
事業者が喜ぶ姿を見て、我々
経営指導員のモチベーションも上
がりました。同時に商工会の経営
指導においては、単発の支援では
えることができました。今後は加工
り、今後、農業所得が見込めるよ
経営指導員から
5年先を見据えた
長期支援計画を策定
同社はそれまで商工会などの支援機関との接触はなく、その
徳地商工会
伊藤 智秀さん
ため徳島県商工会連合会と地元商工会ではまず相手の警戒心
を解き、自分たちは事業者の味方であることを理解してもらう
ことからスタート。仕事上の悩みや雑談に耳を傾けることから
なく継続的支援が大切であること
が今回のケースを通じてよくわかりま
した。その支援が本当によかった
のかどうかも、継続して支援を行わ
ないとわかりません。 経営指導員
の経営指導にもPDCAが必要だと 徳島県商工会連合会
考えさせられました。
妹尾 圭一郎さん
73
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
現有設備の限界で
受注機会を損失
観音寺市にある村上鐡工所(従業員9名)は創業が昭和9
年と古く、もともと窯業用機械を製造していたが、その後、各
種産業用機械を手がけるようになった。
工場にはNCターニングセンタや5面加工型マシニングセンタ、
伊藤製麺所(食品製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
持続化補助金で乗り出した
ロゴ&商品パッケージ刷新作戦
その申請を支援した。なお、連携の役割分担は、商工会が各
や製函業者との打ち合わせ同行などの支援を行い、こだわり
種補助金の紹介と計画実行後のフォローアップ、香川県連が支
のあるロゴが誕生。他社製品との違いを明確に打ち出すことに
援企業の課題整理と方向性の決定。専門家には計画書のブラ
成功した。
ッシュアップと技術的問題の指導を仰いだ。
もうひとつの課題である経理業務については、事業者が日々
設備導入後の効果としては、売り上げ20%増の実益と新規
そうめん製造に長時間拘束される現状を踏まえ、経理への労
取引先2社を獲得(設備導入先からの紹介による)した。
力投入は難しいと判断。経営支援員と連携し、記帳代行を商
事業者はこれまで公的補助金は中小企業でも比較的規模の
工会で行うことにした。これにより数字面の説明を丹念に行う
横中マシニングセンタ、NC旋盤、NCスライスなどの各種設備
大きな事業所しか対象にならないとの思い込みがあったが、こ
を備え、顧客のさまざまな注文に応えている。典型的な多品
れがあらためられ、
「自分で各省庁のホームページを調べるな
また、持続化補助金の申請にあたって、経営者が自社のコ
種少量生産の受注生産型製造業だが、
製缶(溶接)
、
機械加工、
ど各種支援制度に前向きになった」と、実益以外の付随効果
ンセプトや強み、目的意義などを再確認し、そのうえで経営
組み立て、塗装を自社で行うため、競合他社に比べて短納期・
も強調している。
ことで、事業者側の経理知識も飛躍的に向上した。
自社製品の差別化をいかに図るか
低価格の強みがある。
ただし、現有設備ではより付加価値の高い大型設備の製造
課題
が難しく、鉄素材加工の一部を高コストの外注に出さざるをえ
ず、これによって受注機会の損失が生じるという大きな経営課
ひしめく同業者のなか
差別化をどう打ち出すか
小豆島の伊藤製麺所(従業員5名)は、島の名産品である
題を抱えていた。
手延べそうめんの製造会社だ。売り上げ高のうち、小豆島素
支援
麺組合への納入分が8割を占めており、残り2割は自社の直販
ものづくり補助金で
設備導入へ
である。製造品はそうめんと半生うどんで、素麺組合から販売
されるものはすべて「島の光」という統一ブランドで販売され
るため、商品に事業者名は記載されない。そこで、直販分に
経営指導員による巡回訪問で相談を受けた香川県商工会連
合会では、さっそく現状のヒアリングを開始。その結果、業績
は近年好調で、財務状況にも問題がないことから、新たな設
備導入を決定した。
補助金については、ものづくり補助金を活用することにし、
支援の経過
ついては食感や風味を工夫するなど独自性を重視していた。
期間
支援内容
2週間
業況ヒアリング
1カ月
ものづくり補助金の申請支援
6カ月
設備導入後のフォローアップ
中国・四国ブロック
中国・四国ブロック
補助金申請で手に入れた
最新製造設備と経営計画の効用
土庄町商工会
香川県
香川県
香川県商工会連合会 株式会社村上鐡工所(機械製造業)
しかし、島内には同業者が150 以上あり、 消費者には商品
の区別がつきにくく、差別化が経営課題のひとつになっていた。
一方、平成26年3月に、事業承継の準備がないまま急きょ先
代から現経営者に代替わりした経緯があった。そのため、そ
れまで先代がこなしていた経理業務に支障が発生。代替わり
計画や行動計画の策定を支援。2年前に準備期間のないまま
に急きょ事業継承したことを踏まえ、あらためて新体制に向け
ての基盤づくりが行われた。これら一連の取り組みの結果、売
り上げ高は支援開始前よりも 23%アップにつながっている。
支援の経過
期間
支援内容
H26年3月~4月
持続化補助金の申請支援
4月~5月
マル経融資の斡旋
9月~11月
ロゴマークの開発支援
10月~11月
包装紙の開発支援
10月~12月
紙箱の開発支援
H26年4月~
経営計画の策定支援
5月~
経理記帳代行開始
以降、会計処理上の不備が見られるなど家族経営ゆえの課題
も抱えていた。
経営指導員から
経営者なら経営計画の重要性
を認識していますが、 必要に迫られ
支援
ないと計画をつくらないのが実情で
す。しかし近年の補助金制度の拡
充により、事業計画をつくる機会
が増えました。申請書のためとはい
え、結果的にそれが自社の行く末
ねることで会員との信頼関係が深 香川県商工会連合会
設備の導入で売り上げアップにつながった
74
森 眞三樹さん
としっかり向き合うことができまし
た。そのなかで事業者がとくに意
識していなかった自社事業のあり
方や思いを見つめ直すことができ
業者持続化補助金の申請を提案。そうめんは商品の見た目で
たのは大きかったと思います。ま
ケージを刷新することで製造元の認知度向上を狙った。
す。さらに作成のために面談を重
補助事業を入り口にして事業者
これらの経営課題に対して、土庄町商工会はまず小規模事
は差別化がつきにくいため、箱や包装紙、ロゴマークなどパッ
を見つめ直すことにつながっていま
まるよさもあります。
自社理念にもとづく
こだわりのロゴを制定
経営指導員から
なお、補助金申請にあたり、新しい経営者に自社の理念や
目的、特徴などを再確認してもらい、そのうえでロゴや包装デ
ザインなどの検討に入っている。これについては、デザイナー
た、事業者はロゴマークを利用し
て新たな独自のホームページを立
ち上げ、シンプルながらインパクト
と趣きのあるページが完成。ネッ
ト販売も伸びつつあります。
土庄町商工会
藤本 祐希さん
75
愛媛県
保内町商工会
有限会社中村ラボラトリー(歯科技工所)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
中国・四国ブロック
記帳指導などの経営管理指導と
補助金を活用した設備導入支援
病気休業後の業績悪化と
未実施の経営管理
で導入できないかと相談を受ける。CAD/CAMシステムを導入
宇和海に面した八幡浜市で歯科技工所を営む中村ラボラト
れば、事業者の病気休業による業績ダウンから脱し、新技術
リーは開業以来、経営者の努力の結果、順調な業績だったが、
による増収効果も期待できると判断。愛媛県商工会連合会の
平成24年、経営者が病気で3週間入院してしまい、部分休業
広域サポートセンターに支援を要請し、申請に着手した。
課題
すれば、作業の効率化、コストの低減、新素材利用による新
たな商品提供が可能になる。商工会でも、補助金が活用でき
を余儀なくされたために売り上げが少なからず落ち込んだ。事
また、愛媛県連の提案により、補助金申請と同時に経営革
業を完全再開した後も、休業前の水準に回復しないまま推移
新計画の策定にも着手することになった。そして採択、認定後
し、キャッシュフローに余裕のない状態となっていた。
も経営計画に基づいた進捗状況の確認や、資金繰り表作成な
創業以来業績が順調だったため経営管理には力を入れてお
どの指導を行っている。
らず、中間決算や年次途上の業績管理もされていない状況で、
「独力では不可能なシステムの導入や、補助金の申請、経営
決算書の透明性は決して高いとはいいがたく、経営計画など
革新計画の認定が実現できました。ものづくり補助金の採択を
も未整備だった。加えて鋳造機やコンプレッサーの設備も老朽
はじめ、商工会の支援があったからこそ」だと事業者は商工
化するなど、内在する経営課題が表面化していた。
会の支援を評価している。
支援
ものづくり補助金で
CAD/CAMシステムを導入
経営指導員の巡回訪問から支援に乗り出した保内町商工会
ではまず、老朽化した設備を入れ替えるため、マル経融資で
の資金調達を提案、実行する。
経営管理指導については、まずは簡単な経営管理体制を整
備することを目指し、それまで1年分をまとめて行っていた記帳
支援の経過
期間
H26年4月
4月〜
H27年4月
支援内容
マル経融資
記帳指導や資金繰り指導
ものづくり補助金の申請支援
経営革新計画の申請支援
を、毎日実施するように指導し、半期、できれば四半期ごとに
6月
ものづくり補助金採択
試算表作成を顧問税理士に依頼するように指導した。
7月
経営革新計画の認定
9月
CAD/CAMシステム導入事業開始
事業資金調達など事業実施支援
また事業者から、資金調達がネックとなってこれまで断念し
ていたCAD/CAMシステムを、ものづくり補助金を受けること
経営指導員から
同社はそれまで、経営に関して
はおおまかであり、経営計画を作
成したことはなく、資金管理や利
益管理もとくに行っていませんでし
た。高齢化が進む過疎地域にお
いて、安定した事業経営を行うた
め、これを機に合理的な経営手法
を身につけてもらい、長期的に安
定した事業基盤を構築することを
目標に、経営支援を実施してまい
ります。
メーカーから導入したシステムの説明を受ける経営者(奥)
76
保内町商工会
浜田 和夫さん
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
者にとっても、産品のロスをなくすことができ、商品が広く流通
されれば、糸島産品のPRにもつながることになるわけだ。
支援は、糸島市商工会や福岡県商工会連合会、糸島市など
九州・沖縄ブロック
地域活性化と新分野進出を
農商工連携で実現
福岡県
糸島市商工会 富士食品株式会社(液卵製造・加工販売業)
さまざまな協力機関の連携体制のもとで進められた。まず計
画的な商品開発と販売戦略づくりとしての経営革新計画と、農
商工連携計画の策定を支援。続く商品開発にあたっては、専
門家からの助言をはじめ、商品アンケート調査などの商工会の
ネットワークを使った情報提供、商品開発チームの設置、協力
機関の紹介などのサポートを実施。補助金活用や商談機会の
あっせんなどの販路開拓支援も行った。
同社を中心とした取り組みが地域の活性化にもつながっている
課題
地域のネットワークを活用して
B to C事業へ
平成25年に糸島市に移転してきた富士食品は、従業員100人
の中堅液卵製造メーカーである。加工した液卵を食品メーカー
や菓子メーカーに卸すB to Bの事業を行っているが、液卵は、
商品の差別化が難しいため価格競争に陥りやすく、また原料
の卵価は変動が激しいため、それによって経営状況を左右さ
この取り組みで「糸島ねぎ入りだし巻きたまご」や「牡蠣入り
茶碗むし」などの商品が開発され、販売は好調だ。さらに同
社では、
「この事業を通して社内のコミュニケーションも増え、
以前に比べて、職場内の雰囲気が明るくなった」という。
支援の経過
期間
支援内容
H25年3月
初回面談
4月〜6月
経営革新計画の策定
7月〜H26年1月
農商工連携計画の策定
め、そのネットワークを活かして何か新しい事業ができないか
6月〜
販路開拓支援
と考えていた。
8月〜
商品開発支援
れるなどの課題を抱えていた。そんななか同社では、糸島市へ
の移転にともない、地域の事業者や生産者と交流ができたた
一方で、地域の生産者も課題を抱えていた。糸島市は、農・
海産品ともに豊富ながら、多くは小規模事業者のため生産量
が少なく、都市部の大手量販店に安定供給ができないため地
H26年2月
農商工連携申請の認定
H27年4月〜
経営革新フォローアップ事業支援
域内での流通が中心で、地域で消費しきれない産品は廃棄さ
れていた。
支援
経営指導員から
生産者との連携で地元産品を
活かした商品開発
そこで糸島市商工会の支援のもと、同社が中心となり、生
産者2社(鶏肉、牡蠣など)との農商工連携の取り組みが始ま
った。目指したのは、同社のもつ技術と、地域の農・海産品を
組み合わせ、質量ともに安定した商品をつくること。糸島産の
卵(液卵)
、鶏肉(廃鶏)
、牡蠣、醤油、ねぎなどを組み合わ
せた冷凍食品の開発である。これにより、同社は自社のオリジ
ナルブランド商品でB to C事業を行うことができる。また生産
糸島地区初の農商工連携でし
たが、参画者全員が意欲的に取
り組みました。想像以上に課題も
多く、申請をあきらめかけたことも
ありましたが、チームワークで認
定を受けることができ、事業者、
農業者、行政、支援機関など多く
の協力者や、開発ノウハウを得る
ことができました。この経験をも
とに、多くの地域活性化につなが
る啓発をしていきたいと思います。
糸島市商工会
一坊寺 政典さん
77
ピザカフェげんき畑(飲食業)
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
経営資源の効果的な
活用が不十分
き
神埼市商工会 有限会社魚喜(割烹)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
店の人気メニューを加工商品に。
特産魚えつを使った商品開発
トを明確にして売り場を開拓すべき」などの助言を受けた。
ナーへの参加」を適宜促した。⑥「販路拡大」については、
広告宣伝としてSNSやホームページの立ち上げや活用、ポイン
そのアドバイスをもとに、商工会では商品開発や販路開拓の
トカードの導入などを支援したほか、小規模事業者持続化補
支援を開始。商品開発では、ターゲットの再設定を行い、道
福智町にある「ピザカフェげんき畑」
(従業員1名)は、も
助金活用による⑦「資金面の支援」も行った。そして、これ
の駅や物産販売所向けと、百貨店・土産物店向けに分けて、
ともと有機栽培食品や自然化粧品の販売を中心に行っていた。
までの経営改善と今後の経営計画の一区切りとして平成26年、
販路別の包装形態などを検討。さらに商品特長(地域の食文
商工会が支援を開始した平成23年当時、同店では、店内での
⑧「経営革新計画の策定」を行った。
化や調理方法など)を明確化し、小規模事業者持続化補助金
ピザやコーヒーなどを提供するカフェ事業に注力しようと模索
こうした取り組みの結果、ピザ販売を中心に売り上げが増
を活用して、ポスターやフライヤー、幟などの売り場用の販促
中だった。同店の特長は、添加物が少ないピザやお菓子など
加。平成23年から毎年、前期比+10%で推移し、平成26年に
グッズなどを作成した。そして、新ネーミングについては、先行
の販売物、景色のいい好立地、子どもが遊べる広い店内スペ
は、平成23年に比べて+30%の増収を実現した。また最近で
商標調査を踏まえ、
「えつんこ」と決定。その後、商標出願・
ースなど、子育て世代の母親に訴求できる経営資源をもってい
は、旅行雑誌や地元情報誌に紹介されることも増え、販路拡
登録支援を行った。その一方で、県内外の百貨店などへの催
ることである。しかし、最初の巡回訪問で福智町商工会の経
大の取り組みも成果を上げている。事業者は、
「この取り組みで、
営指導員は、同店がそれらを十分に活用できていない現状を
当店の強みと弱みを意識することができ、明確な目標ができた。
把握。PR不足とともに今後のサービス展開なども明確でない
事業計画の策定、実行におけるさまざまな支援で、経営課題
なかで、売り上げが伸び悩んでいることが経営課題だった。
の解決につながり、売り上げの向上につながった」という。
支援
店舗づくりから販路開拓まで
トータルサポート
期間
H23年8月
者の経営資源を分析」し、経営者と指導員で経営改善の方向
性を共有することからスタート。そして、即効性のある支援とし
て②「店舗陳列やPOP、商品パッケージなどの改善指導」を行
い、訴求力の向上を実感してもらった。
次に③「事業計画の策定」で、コンセプトと経営計画を可
視化するとともに、経営計画を達成するため、オリジナルピザ
の開発など④「新商品開発」にも取り組んだ。
その一方で、経営者としての資質向上を目的に⑤「経営セミ
課題
パッケージやネーミングを
リニューアルしたい
事出展や、佐賀県商工会連合会の販路開拓塾への参加、商
工会主催のネットビジネス塾への参加といった販路開拓支援に
も取り組んだ。これにより、同店では従来の飲食業のほかに、
将来の収益の柱となる加工部門を立ち上げることができた。
魚喜(従業員4名)は、大正9年に創業した有明海の魚を
支援の経過
支援にあたっては、次の流れで実行した。まずは①「事業
自慢の味が新しいネーミングやパッケージで売り出された
支援内容
提供する料理店がルーツの老舗割烹だ。割烹のほか仕出し部
門にも力を入れていた同店だが、リーマンショックなど外部環
支援の経過
期間
支援内容
経営分析
境の影響により、売り上げは頭打ちの状態だった。打開策を模
適宜
店舗商品改善支援
索するなか、地元の筑後川流域でしかとれない特産魚「えつ」
H25年5月〜
経営革新計画の策定支援
適宜
経営セミナーへの参加
に着目。規格外の小さな魚を使った「えつの南蛮漬け」をメニ
H26年2月〜
県専門家派遣の活用
持続化補助金の活用支援
H24年8月
事業計画の策定
H25年2月〜
販路拡大の取り組み
4月〜
H26年7月
12月
九州・沖縄ブロック
九州・沖縄ブロック
販促や商品開発を支援して
売り上げ増につなげる
う お
佐賀県
福岡県
福智町商工会
支援テーマ
新商品の開発
ューとして開発し、店で提供した。すると、客の評判がよかっ
たため、より多くの人に食べてもらいたいと、自社ブランド品と
してパッケージ商品化して販売。当初は、店の客に販売してい
たが、道の駅や農産物直売所などに少しずつ販路を広げてき
持続化補助金の申請支援
た。同店は神埼市商工会の支援のもと、このテーマで平成25
経営革新計画の策定支援
年度に経営革新計画の認定を受けている。
4月〜
商標出願支援
5月〜
百貨店等催事出展支援
7月〜
販路開拓塾への参加
8月〜
ネットビジネス塾への参加
そんななか、同店では「えつがどんな魚かわからない」
「ネ
ーミングに工夫がない」といった客やバイヤーからの声を耳に
経営指導員から
するようになる。今後の販路開拓に不安を抱いた事業者はパッ
さまざまな取り組みが奏功して売
ケージや、ネーミングを早急にリニューアルにしたいと商工会の
り上げ増につながりましたが、今
経営指導員に相談した。
後も分析、計画、実行、見直し
を継 続する必 要があります。 経
範囲や深さが拡大するなか、自身
支援
の学習はもちろん、専門家との
協力体制の構築も必要になります。
営改善の喜びを分かち合っていき
たいと思います。
広々とした店内。強みと弱みを認識することで課題解決につながった
78
経営者が将来を見据えて、20
代の後継者に新商品部門をまかせ
て取り組みました。 販路開拓セミ
ナーへの参加や、持続化補助金
営指導員に求められる指導力の
これからも事業者とともに歩み、経
経営指導員から
ターゲットや商品特長を
明確にした再検討
ネーミングについては、経営指導員が事業者と一緒にブレー
福智町商工会
有川 真哉さん
ンストーミングを行いながらアイデアを出し合い、パッケージは専
門家(デザイナー)の力を借りて進めていくことになる。専門家
からは、
「商品の魅力を理解できる客に届いていない」
「ターゲッ
の実績報告、商標出願、催事へ
の出展を通して、後継者は経験を
積んでいます。 同店では、これま
での飲食業とは異なる小売への初
挑戦なので、課題も多くありますが、
大きな収益の柱に育つように支援
していきます。
神埼市商工会
塚原 正幸さん
79
株式会社シーガルイン(宿泊・卸小売業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
商品開発や
販売ノウハウに限界
MANAMIオリジナル(食品製造販売業)
未活用食材を有効活用。
マグロのホルモンで島の特産品を
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
の信用を得ることに成功。同時に、財政面の支援を図るため、
申請にあたっては、専門家派遣を要請。経営指導員と専門家
販路開拓費用などが補助の対象となる長崎県ニュービジネス
が連携して、指導、助言を行っていった。
促進事業費補助金の申請書類作成やプレゼン指導を行い、採
ちなみに、町内にはマグロの胃を柔らかくする加工技術をも
九州と対馬の間、玄界灘に位置する壱岐島(壱岐市)
。シー
択を受けた。また、日本政策金融公庫インターネットビジネス
つ連携先は存在しなかったが、島外の企業の技術で調理可能
ガルイン(従業員4名)は、この島で平成8年からペンションを
マッチングの登録支援も行い、金融機関の信用と商談の機会
であることがわかり、この課題を解決することができた。
経営している。宿泊客の9割がマリンスポーツ愛好家であるた
を得ることもできた。
商工会では、助成金の採択後も、地元消費者向けの試食会
め、海水浴場でのマリンスポーツ研修会の開催や、宿泊客の
さらに、販路拡大のため、長崎県窯業技術センターのデザ
やアンケートを実施するなどの側面的な支援を継続した。そし
マリンスポーツ撮影なども行っている。この撮影サービスが大
イナーズバンクと連携して新しくホームページやパンフレットの
て、平成26年11月、この取り組みから生まれた「漁師まかない
変好評だったため、事業者はもっといい写真が撮れるようにカ
作成支援も行った。長崎だけでなく、東京や大阪で実施され
カレー」が完成。販路拡大に向け、展示商談会への案内など
メラ撮影用の補助具を考案。新たなビジネス展開を目指した。
る商談会や展示ショーなども紹介し、これまで取引がなかった
のサポートを継続している。
しかし、商品化や販路開拓は小規模事業者では限界があった。
沖縄県への販路開拓のため沖縄県商工会連合会や那覇商工
新たな島の味として誕生した「漁師まかないカレー」
会議所などに連絡し、取引先候補の紹介も行った。
支援
実用新案申請から
補助金申請、展示会出展まで
宿泊客のマリンスポーツ撮影は経営者自身が行っていたが、
海中での撮影が多いため、手ブレが気になっていた。そこで
こうした商工会による伴走型の支援策により、夏場の繁忙期
を含め、
これまでに約1500個を販売。順調なすべり出しを受け、
課題
マリンスポーツだけでなく、ウィンタースポーツや登山にも応用
できるようにパーツの改良を行った。また、スマートフォンなど
にも対応できるように改良を進め、販路はさらに広がっている。
マグロ養殖業者からの
相談を解決できるのか
を考案した経営者は、製品の試作段階で商品化や販売につい
ナル)
。これまで「五島牛カレー」や「飛魚醤油の素」などを
て壱岐市商工会に相談した。この商品の改良を進め、総合的
支援の経過
開発しており、
「飛魚醤油の素」は平成25年度むらおこし特産
なレジャー・観光など他用途に展開することも視野に入れ、販
期間
った。
H24年4月〜
商品化に向けて商工会では、まずは他社から商品が模倣さ
れないよう、特許を含む実用新案申請を支援し、商品保護を
図った。また、商品の価値を明確にするため、経営革新計画
申請の書類作成指導を行い、認定を受けることで取引先から
H25年4月〜
経営診断・課題整理支援
実用新案の取得支援
長崎県ニュービジネス促進事業費補助金
申請支援
販路開拓支援
商工会事業や各商談会などの情報提供と
利用支援
付加価値のある商品で、企業ブランドの向上を図りたいという。
また、連携したマグロ養殖業者にとっては、それまで産廃業者
に支払っていたコストを削減できただけでなく、地元養殖マグ
ロのPRも期待できるだろう。
事業者が、平成24年度から、地域資源や地元食材を活かした
商品の製造・販売を行う冨喜(食品事業部 MANAMIオリジ
支援内容
事業者は、市場になかなか流通しない未活用資源を使った
離島の魅力に惹かれて五島列島の新上五島町にIターンした
平成24年4月、海中でもブレない写真が撮れる撮影用補助具
路の拡大と事業活動の計画についても相談したいということだ
九州・沖縄ブロック
九州・沖縄ブロック
宿泊客への撮影サービスから
生まれた新商品の販路拡大
新上五島町商工会 株式会社冨喜
長崎県
長崎県
壱岐市商工会
品コンテストで審査員特別賞を受賞している。
そんな同社に、地元のマグロ養殖業者から相談がもちかけ
られた。それは、
これまで廃棄処分されてきたマグロの内臓
(ホ
支援の経過
期間
支援内容
H25年12月
課題の抽出と整理 H26年1月〜
農商工連携ファンドの申請支援
2月
プレゼン資料作成支援
練習会の実施
4月〜
事業遂行の側面支援
ルモン)を使って「何か商品化できないか」というものだった。
ちなみに長崎県は、クロマグロ養殖の国内有数の産地である。
相談を受けたものの、課題は多かった。そもそもマグロのホ
ルモンの20%を占める胃はとても硬いため、柔らかくするため
11月〜
「漁師まかないカレー」完成
販売促進支援
の調理にはそれなりの技術が必要だった。また、商品開発や
販路開拓には当然、資金も必要になる。
経営指導員から
商品の独自性や販路の広範囲
(国内外)という点で、法的手続
支援
きや契約などが難しい面もありまし
たが、商工会が中心となってプラッ
ない巡回・窓口相談の会話から、
事業者とマグロ養殖業者それぞれ
の強みなどの情報を得ることがで
平成25年12月、商品開発について事業者から相談を受けた
きました。新商品開発のアイデア
きました。また、ほかの支援機関と
新上五島町商工会はまず、課題の抽出や整理を行い、未活用
があっても財源が乏しく、商品化
の連携対応ができたのも、商工会
新商品の営業活動が壱岐のPR
にもつながり、新規宿泊客が増え
たのもうれしい相乗効果でした。
80
この支援事例は、普段の何気
トフォーム型の支援を行うことがで
資源であるマグロのホルモンを活用した商品は新規性があり、
ならではの強みだと思っています。
マリンスポーツ時の撮影用に開発した補助具
農商工連携ファンドで
商品開発をサポート
経営指導員から
商品化の可能性も高いと判断。農商工連携ファンド事業助成
壱岐市商工会
堀 義昭さん
金の活用を提案した。
そして、マグロのホルモンを使ったカレー開発に向けて事業
計画の作成に着手することになった。事業計画および助成金
は困難だと思われたので、補助
事業の活用を提案したところ、当
該助成金の採択を受けることがで
き、効率的に商品化、販路開拓
支援を実施できました。
新上五島町商工会
福田 万作さん
81
阿蘇品時計店(小売業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
大手に負けない技術で
信頼される店へ
阿蘇市内の県道沿いに店舗を構える阿蘇品時計店(従業員
3名)は、時計や眼鏡、補聴器、宝飾品を販売している。
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
環境に優しい水性塗料導入に
向けた技術や設備を確立する
客の聴覚の状態を十分に把握できていなかった。そこで今後、
い、③自動車の補修塗装において水性塗料の導入事例が少な
よりいっそう細かい状態を測定し、安心して商品を購入しても
いためトラブル例の情報が少なく対処策が確立されていない、
らうためにも、補聴器検査設備が必要と考えたのだ。また、
という理由があった。しかし、何よりも大がかりな設備投資が
認定補聴器技能士としてのPRも欠かせなかった。
必要で、コスト面での課題が大きかった。
巡回指導に訪れた際に設備導入の相談を受けた阿蘇市商工
商工会では、今後の業界の動向、また市場ニーズなどを考
近年は、眼鏡をつくるために必要な機械類が飛躍的な進化
会の経営指導員は、小規模事業者持続化補助金の活用を提
慮し、この課題に早急に取り組む必要があると判断。ものづく
を遂げ、さほど技術のない販売員でもつくれるようになり、眼
案する。そして、熊本県商工会連合会の経営計画作成支援セ
り補助金の申請を提案した。経営指導員が専門家も交えてヒ
鏡チェーン店も増えてきた。
ミナーを活用しながら、経営計画書および申請書の作成を支
アリングを重ね、事業計画書の策定を支援。補助金の申請は
援。補助金の採択後も、経営計画の実施について伴走型支援
平成26年9月に採択された。
同店ではこうした大手眼鏡チェーンとの価格競争はできない
が、大手に負けない細かなところに手が届くような技術や接客
をセールスポイントに、地元の固定客を獲得している。チェー
商工会の支援によって資金的な課題や今後の事業計画など
を行った。
設備の購入と同時に、DMなどによる販促活動の支援も実施
ン店で眼鏡をつくった客が、そのでき上がりに不満を感じ、同
した。
店に相談にくるというケースも少なくないという。
「商工会から、表現方法などの指導を受けたおかげで、思い
このような経営環境のなかで同店では、ある課題を抱えてい
描いていたプランが明確に文面化され、経営に対する意識も変
た。後継者が認定眼鏡士であり、阿蘇で唯一の認定補聴器
わりました。また、それまではDMやチラシの配布は場当たり
技能者だという強みをもっているにもかかわらず、その資格を
的なものでしたが、年間計画を立てることの大切さも実感しま
有する技能を、十分に活かしきれていないということだった。
した」
(事業者)
もっと地域のために役立ち、信頼される店に成長するためには
どうすればいいのか。
水性塗料専用の塗装ブース
課題
有機溶剤の規制を見据えた
新技術の導入が急務
ヨーロッパでは自動車における有機溶剤(シンナー)の使用
が規制されており、日本でも新車製造では水性塗料への転換
この取り組みにより、少しずつ補聴器に関する問い合わせが
支援
持続化補助金を
強みのPRにも活用
その課題に対して、同店が考えたのが補聴器検査設備の導
入だった。それまでは、耳鼻科で聴力検査をした客の場合は
その結果を見て、最適な補聴器を販売していた。一方、同店
で検査する場合には、簡易的な検査機器を使用していたため、
環境への影響、従業員の健康対策のために水性溶剤の研究を
支援の経過
H26年4月〜5月
6月〜12月
H27年1月
続けているが、
本格導入にはいたっていない。技術的な難しさ、
支援内容
持続化補助金の申請支援
経営計画の実施支援
補修での導入事例の少なさなどの問題のほか、既存の設備で
ても事業の継続が可能になり、何よりも従業員の安全が確保
されたので大変よかった」と経営者はいう。経営者は商工会
青年部の部長であるため影響力は大きく、商工会の信頼度の
向上にもつながった。また、商工会にとって、会員事業者のも
のづくり支援に積極的に取り組む自信にもなっている。
からだ。他社との差別化を図って企業イメージを上げる意味か
らも、水性塗料の導入は急務といえる。
支援
設備導入の相談を受け、使い
事業計画書を策定し
ものづくり補助金を申請
自動車整備業界は、競合他社との価格競争や新規参入によ
道が広い持続化補助金を紹介し
る競争激化のため差別化が必要となっていた。このようななか、
ました。セミナーも活用しながら、
支援の経過
期間
H26年7月
は対応できないため、大がかりな設備投資が必要になってくる
実績報告書の作成支援
経営指導員から
支援内容
事業内容、現状課題のヒアリング
ものづくり補助金申請に向けたヒア
リングや課題の洗い出しなど
8月
事業計画書のブラッシュアップ
12月
今後の売り上げ拡大などに向けた支
援の実施
経営指導員から
ヒアリングのなかから新たな課題
を発見し、解決できたことはとても
よかったと思います。今回のものづ
経営計画書・申請書の作成から、
同社は「ディーラーや保険会社からの注文を増やすための新た
くり補助金の事業計画書策定は、
申請・実績報告まで、ワンストッ
な取り組み」を考えており、佐伯市番匠商工会に相談に行った。
商工会、大分県連、専門家が一
プで支援することができ、商工会
商工会ではその取り組み内容や既存事業についてヒアリング
体となった取り組みで、実績以上
の存在意義を高めることができま
を進めていくうちに、同社の課題や問題点が明らかになり、前
した。今後も、多くの経営者、後
継者にさまざまな有益な情報を発
信して、商工会の積極的な活用を
勧めていきたいと思います。
事業者の店舗に導入された補聴器検査設備
かけになった。
「これで将来、有機溶剤の使用に規制がかかっ
規制強化は時間の問題といわれている。
増えるなど、成果が見え始めている。
期間
が明確になり、水性塗料の導入事業へ本格的に取り組むきっ
が進んでいる。普及が遅れている整備工場での補修塗装でも、
昭和43年創業の塩月自動車整備(従業員 14 名)でも、周辺
82
支援テーマ
九州・沖縄ブロック
九州・沖縄ブロック
補聴器検査設備を導入して
阿蘇唯一の技能者資格を活かす
佐伯市番匠商工会 有限会社塩月自動車整備(自動車整備業)
大分県
熊本県
阿蘇市商工会
述の水性塗料の導入の必要性が判明した。
阿蘇市商工会
吉村 淳さん
※所属商工会は支援当時
同社が水性塗料に踏み切れないのは、①乾燥しにくいため
時間がかかる、②溶剤系塗料と水性塗料では調色の技術、色
の大きな効果があるものと期待して
います。今後もヒアリング力を向上
させ、まずは会員事業者の課題発
見に全力で取り組んでいきます。
佐伯市番匠商工会
川津 大樹さん
の出方が異なり、これまで蓄積してきたカラーデータが使えな
83
安岐支所
合名会社 青木本店(製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
九州唯一の老舗が直面した
設備老朽化による業務力低下
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
新スイーツ「ジャズ羊羹」を
経営革新計画で販売強化
小規模事業者持続化補助金も活用することになった。
ることも提案した。
まずは広域担当経営指導員が申請書案を作成し、それをも
商工会ではまず、今後の事業計画の可視化を提案。事業内
とに専門家を派遣。専門家に設備投資の妥当性を検討しても
容や販売計画、実施計画をまとめる支援を行うとともに、専門
国内唯一の七島藺の産地である国東半島(世界農業遺産登
らい、申請内容についての助言ももらった。その助言内容を織
家による指導を実施。計画内容や数値目標が現実的なものと
録)で、明治 35 年から畳の製造を行ってきた青木本店(従業
り込んで申請書をブラッシュアップ。事業者・商工会の経営指
なり、店頭販売で現状の5割増の100万円/月、ネット販売で
員 12 名)
。住宅事情の変化にともない、主力の畳需要が減少
導員・広域担当経営指導員にて最終調整し、申請を行った。
現状の3倍の150万円/月を目指す計画が承認された。
しっとうい
していくなか、畳表・履物の製造を行っている会社は現在、九
補助金の採択が決定し、設備導入を行う際にも専門家の派
また、持続化補助金により、オンラインショップのリニューア
遣支援を行い、平成26年6月にウレタン接着機の導入を実現し
ルを実施。専門家の指導により、ホームページでの商品購入ま
多品種少量生産で商品化に取り組んでいるが、設備の老朽
た。これにより、これまで外部委託していた工程の内製化で
での流れを改善する支援も行った。
化が進むにつれ、機械の故障や不具合による業務力低下が心
経費圧縮に成功。ほかにも、需要増加への対応や納期の迅速
「経営革新計画の承認で、外部から評価を受けたことで、計
配されていた。
化などの付帯効果があった。
州では同社のみとなってしまった。
ドライいちじくと黒糖を使った「ジャズ羊羹」
さらに、新規でウレタン接着に関する発注もあり、今後の新
支援
ものづくり補助金から
設備導入までトータル支援
分野開拓に向け、手応えを感じている。その後も、機械の稼
働時間のロス(アイドルタイム)を有効活用するため、経営革
課題
新計画の策定支援を継続して行った。
注文が増えすぎて
対応ができない事態に
の畳表需要に対応する七島藺の用途拡大は、過疎が進む地域
布院。この地で、音楽イベントの企画・運営や、店舗での音
の雇用創出、地域活性化に大きく貢献することが期待されてい
楽CD・関連雑貨などの販売を行っているのが、平成23年に創
る。同社でもベテランの従業員がプレス機や工業用ミシン・加
業したNight&Day(従業員1名)
である。
いるが、なにぶん設備の老朽化が大きな課題となっていた。
国東市商工会では、経営指導員による巡回訪問のヒアリン
支援の経過
期間
設備投資により新たな雇用の創出や、新分野への開拓ができ
ものづくり補助金の策定支援
専門家派遣
専門家派遣
設備導入の実施体制・導入計画支援
11月〜
行った。補助金を活用して老朽化しているプレス機、工業用ミ
着作業を内製化して製造原価の低減を図ることを狙った。
また、
支援内容
H25年6月〜11月
グで、設備の老朽化対策としてものづくり補助金の申請提案を
シンを増設し、これまで外注で作業を依頼していたウレタン接
画実施に自信をもって踏み出すことができました」
(事業者)
同社では今後、
「ジャズ羊羹」の関連商品や季節限定商品な
どの開発も行い、事業の大きな柱のひとつに育てていく計画で
ある。
年間約400万人が訪れる国内でも有数の観光地、由布市由
畳の需要は減少しているものの、高品質(耐熱性・強度など)
熱炉などの機械を使用しながら多品種少量生産に取り組んで
九州・沖縄ブロック
九州・沖縄ブロック
大規模設備投資で業務向上と
新分野開拓を実現
由布市商工会 Night&Day 株式会社(小売・娯楽業)
大分県
大分県
国東市商工会
H26年6月〜11月
経営革新計画の策定支援
(承認)
H27年
PR強化支援、
進捗管理
同社の売り上げの多くは、屋外施設などでの音楽イベントの
企画や運営が占めているが、イベントは天候に左右されやすく、
中止になることも少なくないため、赤字決算が続いていた。そ
こで、経営を安定させるため新たな事業に取り組んだ。ピアノ
の鍵盤のかたちをしたオリジナル商品「ジャズ羊羹」の開発・
販売である。
支援の経過
期間
H27年4月
経営改善の相談
5月
専門家派遣による計画の検証支援
6月
経営革新計画の承認
7月
専門家派遣によるHP改善
8月
経営計画の策定
持続化補助金の申請支援
9月
持続化補助金採択
この新商品はインターネット販売を始めてまもなく、さまざま
な雑誌やテレビ番組で紹介されたことで、一躍注目を集めるこ
支援内容
とになる。しかし、ここで問題が起きた。急激に注文が増え
過ぎてしまったため、注文確認や製造元への発注に遅れなど
経営指導員から
が生じ、対応ができなくなってしまったのだ。
ものづくり補助金の活用で、大
規模設備投資を行うことができ、そ
れまで外注していた作業の内製化
支援
が可能になりました。
制度の申請書作成から申請サ
ポートまで一連の支援を行うことで、
その状況を改善したいと、事業者は由布市商工会の経営指
事業者との信頼関係も構築。こ
導員に相談。自社ホームページでの取引方法を改善するため、
れをきっかけにほかの事業者からの
ものづくり補助金支援案件も増え、
「商工会ブランド力」の向上にも 大分県商工会連合会
つながりました。
七島藺の畳表を使ってつくられる草履
84
持続化補助金を活用して
ホームページを改善
角谷 浩一さん
補助金を活用できないか考えているという。
そこで、事業者の考えをヒアリングした結果、
「ジャズ羊羹」
の製造・販売事業について、経営革新計画の承認を目指すと
ともに、自社ホームページでの通信販売方法を確立するため、
経営指導員から
支援を通して事業者の商工会
に対する印象が変わったことを実
感しています。観光産業が盛んな
この地域では事業者の参入や撤
退の入れ替わりが多く、商工会の
存在を知らない事業者も多数いま
す。そのなかで、創業間もない今
回の事業者に対する支援により、
商工会の認知や活動に対する信
頼につなげることができました。
今後も挑戦を後押ししていきます。
由布市商工会
二宮 剛さん
85
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
燃料消費の減少による
来客減で伸び悩む
経営ノウハウのない整復師の
整骨院創業をバックアップ
院への説明用パンフレットの制作もサポート。さらに、開業に
加価値の創造」をテーマとして経営革新計画の申請に取り組む
必要な手続きや、記帳方法などの経理についてのアドバイス、
ことになった。
商工会の記帳サービス「ネット de 記帳」による会計処理、新
支援は事業者の考えを聞き、それらを具体的な言葉に置き
タイヤ・バッテリー交換、パンク修理など)
、洗車サービスなど
換えることで構想をまとめていくことから始まった。次に販売
を行っている。支援当時、業界を取り巻く環境は、同業他社と
促進活動、従業員教育、設備投資の内容や時期を検討し、行
の過当な価格競争や原油価格の高騰、ハイブリッド自動車な
動計画、資金計画を策定していった。
規顧客の開拓支援として商工会報『商工連みやざき』への掲
載による県内への周知も実施した。
そして、平成27年11年には、
「高度医療機器を導入した整骨
院の広告媒体による新規患者獲得事業」をテーマにした、小
どの普及によるガソリン消費の減少などで、急激に厳しさを増
事業計画表はひな形を商工会が作成し、事業者とともに毎
していた。ガソリンスタンドの数は、宮崎県では最盛期(昭和
月の売り上げ数や売り上げ金額の妥当性を協議しながら、売り
55年)の919店から平成24年8月には546店と大幅に減少。同
上げ計画や損益計画を策定する。損益計画をつくるときには、
社も客の来店頻度の減少で、燃料販売だけでなくバッテリー
損益分岐点売り上げ高や目標利益達成売り上げ高の算出方法
交換などの油外商品販売も伸び悩んでおり、その対策として
などについて説明を行い、数値管理の重要性を理解してもらう
新サービスの展開を検討していた。
ように努めた。
平成25年10月に経営革新計画の承認を受けるとともに、県
支援
規模事業者持続化補助金の申請書類の作成支援も行った。
こうした取り組みの結果、当初の計画通りの患者数を獲得し、
事業は順調に推移しており、口コミなどによって地域外から訪
同院の施術室。今後の事業の広がりが期待できる
課題
の成長産業基盤支援事業補助金に採択されることができた。
さらに地元の新聞やテレビに取り上げられたことで認知度も上
開業資金も
経営の知識も乏しい
柔道整復師の免許を取得後、県外のスポーツジムや整骨院
願の独立開業を果たした。ゆう整骨院のサービスの特長は、
「バ
うなかで、同社の後継者から「自分が中心となって新事業に取
イタルリアクター」という最新のコンピュータ医療システムを用
革新計画に該当するかもしれないと、県央経営支援センターに
情報提供、支援依頼をした。
商工会の地区指導員と県央経営支援センターの広域指導員
2名は、後継者を中心に新事業の内容、顧客ターゲット、リソ
ース、採算見込み、実現可能性などについてヒアリングを行っ
た結果、採算性と実現可能性があり、新規性も高いという結
論にいたった。そして、
「カーコーティングを主とするカーディテ
支援の経過
期間
れる患者も増えているという。
「次のステップとして、公的資格の健康運動実践指導者の資
格を取得して、健康づくり講習会を開催して地域を健康面から
サポートしたい」という事業者。青年部にも加入し、青年部活
動を通した経営の勉強や、地域を盛り上げる活動にも意欲を示
している。
で技術を磨いてきた事業者は、平成27年1月、宮崎市内で念
がり、受注の増加に結びついている。
高岡町商工会の経営指導員が積極的な巡回や部会活動を行
り組む予定がある」という相談を受けた。経営指導員は経営
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
イリング(車購入後のトータルアフターケア)事業確立による付
C社はガソリンスタンドでの燃料販売、自動車整備(オイル・
後継者の経営革新事業を
商工会と広域指導員で支援
支援テーマ
支援内容
いた治療である。
支援の経過
期間
創業にあたって、自己資金だけではまかなえず、創業補助金
H26年6月
新規事業について聞き取り
の申請を考えていたのだが、申請の経験はなく、申請書類を
7月
5月〜9月
経営革新計画の策定支援
どう記入したらいいのかまったくわからない状況だった。また、
10月
経営革新計画の承認
地元新聞社に取材情報の提供
11月〜
補助金申請や各支援施策案内など
のフォローアップ
H25年5月
九州・沖縄ブロック
九州・沖縄ブロック
ガソリンスタンドの後継者が
挑んだ新事業を支援
県央経営支援センター(宮崎県商工会連合会) ゆう整骨院(整骨院)
宮崎県
宮崎県
県央経営支援センター
(国富町商工会) C社(燃料小売業)
同院の治療には、レントゲン撮影をしてくれる病院と提携する
必要があり、その提携先を探す必要もあった。
さらに、事業者自身がかつての職場で院長経験があるとは
いえ、経営上の手続きや経理についての知識が乏しいという課
H27年7月
支援内容
創業内容のヒアリングなど
創業補助金の申請支援
金融機関提出創業計画書の作成支援
商工会報による新規顧客開拓支援
9月
持続化補助金の申請支援
11月〜
支援施策の案内などフォローアップ
題もあった。
経営指導員から
経営指導員から
地区指導員と広域指導員が連
支援
携し、お互いの強みを活かすことが
できた支援事例です。お互いが支
的なメンテナンスを行う事業者は、
時代にあった事業展開であり、今
県央経営支援センターでは、広域担当経営指導員や地区担
とでよりよい支援ができることがわ
当の経営指導員などの連携のもと、平成26年6月から支援をス
の支援として、事業者にはスポー
タート。
ツジムでの勤務経験を活かして、
担った後継者は、経営に対する意
創業内容のヒアリングや課題の整理を行い、事業の新規性
識が変わり、商工会青年部に積
極的に参加するようになりました。
後継人材の育成が図られたことが
一番の成果だと考えています。
86
高齢化社会を迎え、体の定期
援案件に対する考えをぶつけ合うこ
かりました。計画書策定の中心を
カーコーティングの施工の様子
補助金の申請をはじめ
トータルサポート
などから創業補助金に該当すると判断。申請書の作成を支援
国富町商工会
里見 憲一さん
※所属商工会は支援当時
するとともに、創業資金借り入れにともなう金融機関提出用の
事業計画書の作成支援も行った。
一方、提携病院については、地域の病院の情報提供や、病
後が楽しみな支援先です。今後
来院者に健康機能維持を目的と
した運動指導を行う新サービスの
構想があり、経営革新計画の承
認などを見据えた伴走型支援を行
っていく予定です。
県央経営
支援センター
阪元 洋介さん
87
しま工房(製造業)
支援テーマ
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
課題
低価格競争と売り上げ減で
受注制作営業が限界に
しま工房(従業員4人)は、店舗サイン、横断幕、ステッカ
ーなどの屋外広告全般の企画制作、施工を行っている。
創 経 源 農 販
海 再 承 も 雇
資 持 他
観光事業の閑散期対策とともに
スーパーマーケット消滅の危機を救う
ランをあらためて検討し、経営革新計画のブラッシュアップを
た。費用面では、譲渡金額の妥当性の検討から、今後の事業
進めていった。ときには沖縄県商工会連合会のスーパーバイザ
の売り上げ予測、沖縄振興開発金融公庫からの借り入れなど
ーが専門家や経営指導員との相談支援に同行し、アドバイス
をサポート。さらにエキスパートバンク事業で税理士などの専
を行っている。
門家を派遣して税務上の注意点、譲渡契約の注意点なども検
こうして完成した経営革新計画をもとに、平成26年10月、経
討した。その結果、融資を受けることもでき、11月には譲渡契
営革新計画書評価委員会でプレゼンテーションを実施。翌月、
約を締結。円滑に第三者承継を行うことができた。翌27年1月
販のデザインソフトなどの普及によりユーザーが自ら広告物を
承認を受けた。
には経営革新計画が承認されている。
つくるようになっているため、同社の売り上げは伸び悩み、減
「経営計画のプレゼンテーションはいい緊張感で臨め、達成
スーパーの2階は宿泊施設になっており、承継時には休眠
益傾向にあった。
感を味わうことができた」と、事業者はいう。自らが思い描い
状態だったが、今後はマリンレジャーの拠点として、宿泊とレ
同社では、これまでの受注制作中心の営業は限界にきてお
ていた企画を計画書に落とし込んだことで、目標が具体的に見
ジャーをセットにしたプランを提供できる。さらにスーパーでは
り、今後、安定した利益を確保するためには、事業の付加価
え、自信につながっていったようだ。今後は、商工会の販売
値を高める新たな戦略が必要で、企画提案型の営業展開が求
促進支援、販路開拓支援を受けながら、広告プロデュースに
められると考えていた。
よる企画提案型の事業展開を進めていく予定だ。
近年は、景気の低迷と同業他社との低価格競争に加え、市
今回は、事業者が青年部長を務めていたことで、ほかの若
支援
専門家を派遣することで
経営革新計画を具体化
支援にあたったうるま市商工会では、経営革新計画に取り
事業者に計画内容の状況を確認する
課題
手経営者たちに対してもいい刺激になったようだ。青年部を中
心に経営革新の輪が広がりつつあり、経営指導員が相談を受
安定した収益確保と
地域貢献を両立
ける機会も増えてきている。商工会への信頼度アップにもつな
6月から9月が繁忙期で、年間売り上げの9割をこの時期に売
がっている。
り上げていることから、閑散期の収益性向上が課題だった。
一方、長年にわたって西表島民の生活を支えたスーパーマー
商工会青年部を対象に全3回の経営計画作成セミナーを実施。
ケット(以下スーパー)が廃業の危機を迎えていた。
ながら検討した。
事業者は思い描いていた事業計画を経営指導員に相談し、
支援の経過
期間
H26年7月〜10月
経営指導員は経営革新につながる新商品・新サービスのアイデ
アを提案しながら、経営計画を作成していく。
さらに、経営革新計画策定のための専門家を派遣。経営指
導員も同行し、事業の採算性、実効性などの面からビジネスプ
支援内容
経営革新計画の策定支援
経営計画作成セミナーの実施
専門家派遣
11月
経営革新計画承認
現在
販路開拓支援
経営支援に際し、経営指導員
を検討。安定した収益の確保と島に不可欠なスーパー存続とい
う2つのミッションを成し遂げながら、2つの事業の相乗効果
を狙った取り組みが始まった。
経営革新を支援しながら
第三者事業承継も
から「転居するので店を譲りたい」という相談を受けたことだ
はその生活を支える不可欠な存在。安定的な売り上げも見込
派遣を行うことは、事業者にとって
も重要なツールであると実感しまし
める。そこで商工会で引き受け手を探したところ、手を挙げた
た。今回、支援事業者の商工会
のが通年安定した事業を模索していた同社だったのだ。
に対する満足度も向上していると
平成26年7 月、商工会ではこの案件を同社の経営革新事業
思います。今後、商工会の広いネ
と判断し、計画書作成の支援をする一方で、費用や手続きなど、
ットワークを活用した集客支援や計
画の具体化のため、事業者との
連携を密にし、フォローアップとし
て継続的に支援を行っていきます。
事業承継に関するあらゆる面で支援に乗り出すことになった。
うるま市商工会
城間 敦子さん
地域活性化の拠点となる店舗を目指している。
このケースは、同社の経営革新計画書の作成支援だけでな
く、結果的にスーパーの事業承継を支援する事例として注目さ
れ、地元メディアにも取り上げられた。
支援の経過
期間
H26年7月
まず最初にスーパーを取り巻く環境の分析を行った。人口も
観光客も増えており、安定的な収入が見込めると判断。酒類
販売、宿泊施設などの許認可取得のための書類作成を支援し
支援内容
事業譲渡にともなう経営計画の検討
9月
沖縄振興開発金融公庫への融資
あっせん指導
10月
専門家派遣
経営革新計画の策定支援
11月
事業譲渡に係る契約締結
H27年1月
きっかけは、竹富商工会の経営指導員がスーパーの経営者
った。西表島は移住者を中心に人口が増加しており、スーパー
だけでなく、必要に応じて専門家
経営革新計画書を作成する同社の代表(左)と経営指導員
そんななか、同社はこのスーパーの不動産を含む事業承継
支援
経営指導員から
島民の生活必需品を扱うだけでなく、土産物を販売するなど、
西表島でシュノーケルツアーを主催する西表インシャーは、
組む機運を高めるために、平成26年、事業者が部長を務める
その後、事業者と経営指導員が経営計画のテーマを話し合い
88
支援テーマ
九州・沖縄ブロック
九州・沖縄ブロック
専門家の的確なアドバイスで
企画提案型事業への展開を図る
竹富町商工会 西表インシャー(サービス業)
沖縄県
沖縄県
うるま市商工会
経営革新計画承認
経営指導員から
今回の支援では、事業者の経
営革新もさることながら、地域で数
少ないスーパーの存続と雇用を維
持できたことに達成感がありました。
事業引継センターと連携して、条
件の設定や資金調達支援をメイン
に、専門家派遣などさまざまな手法
を駆使して事業計画書の作成を行
っています。過疎化が進む地域で
の事業承継の参考になるのではな
いでしょうか。
竹富町商工会
金城 学さん
89
Index
北海道
商工会名
事業者名/業種
支援テーマ
商工会名
事業者名/業種
支援テーマ
49
松阪商工会広域連合(大紀町商工会)
丸太水産(卸売業)
経営革新/販路拡大・販路支援/その他(三重県版経営向上計画)
50
山中商工会
有限会社中政商店(小売業)
販路拡大・販路支援
51
志賀町商工会
株式会社笑栄通商(製材・運送業)
販路拡大・販路支援/その他
(経営計画策定支援)
52
中能登町商工会
カフェ食堂れんげや(飲食業)
販路拡大・販路支援/雇用・労務関係/資金繰り
富山県
53
高岡市商工会 福岡支所
福岡町商業協同組合(商業)
その他(地域力活用市場獲得等支援事業:アンテナショップ事業/地域商店街活性化事業:にぎわい補助金)
滋賀県
54
長浜北商工会
菓子乃蔵 角屋(菓子製造・小売業)
経営革新
55
甲賀市商工会
有限会社草土(製造業)
販路拡大・販路支援/海外展開・海外販路開拓
56
和束町商工会
有限会社北午木材(木材・建築業)
その他
(知的資産経営に係る企業方針策定支援)
57
京都府商工会連合会
仁アートショップ&スペース(鞄製造・販売業)
販路拡大・販路支援
奈良県
58
中吉野地区広域協議会
有限会社ドライブインS・T・D(飲食業)
経営革新/販路拡大・販路支援/持続化補助金
大阪府
59
大阪府商工会連合会
株式会社ミサキ(製造業)
経営革新/ものづくり
和歌山県
60
南紀くろしお商工会
木下水産物株式会社(卸売業)
経営革新
61
龍神村商工会
川口建設株式会社(総合工事業)
経営革新/販路拡大・販路支援/ものづくり
62
坂井市商工会
岡本レース株式会社(繊維製造業)
経営革新/販路拡大・販路支援/ものづくり/持続化補助金
63
あわら市商工会
株式会社三丹本店(食料品製造業)
地域資源活用・新連携/農商工等連携・6次産業/販路拡大・販路支援
64
西部商工会産業支援センター(大山町商工会)
カンダシード株式会社(種苗製造・卸売業)
経営革新/農商工等連携・
6次産業/事業承継
65
中部商工会産業支援センター
有限会社木屋旅館(旅館業)
経営革新
音更町商工会
らーめん酒屋 三楽/麺処 田楽(飲食業)
農商工等連携・6次産業
5
鷹栖町商工会
佐々木鉄工業(鉄工業)
経営革新/販路拡大・販路支援/その他(意匠権等申請)
6
平川市商工会
つしま印刷(印刷業)
販路拡大・販路支援/持続化補助金
7
横浜町商工会
有限会社すぎやま(小売業)
販路拡大・販路支援/持続化補助金
8
青森市浪岡商工会
メガネフラワー(サービス業)
販路拡大・販路支援/持続化補助金
9
洋野町商工会
株式会社みちのくクックサービス(小売業)
経営革新/販路拡大・販路支援
10
岩手県商工会連合会
有限会社羽沢製菓(製菓・販売業)
経営革新/販路拡大・販路支援
11
村田町商工会
山専酒店(酒小売業)
地域資源活用・新連携/農商工等連携・6次産業/事業承継
12
亘理山元商工会
田所食品株式会社(食品製造業)
地域資源活用・新連携/販路拡大・販路支援/ものづくり/その他(新商品開発)
13
柴田町商工会
株式会社白石ハウビング
(設備工事・菓子パン製造小売業)
経営革新/地域資源活用・新連携/販路拡大・販路支援/ものづくり
14
ゆざわ小町商工会
オーシャンクロス株式会社(繊維工業)
経営革新/販路拡大・販路支援/ものづくり
15
湖東3町商工会
株式会社畠栄(製造小売業)
販路拡大・販路支援
16
N商工会
有限会社M商店(小売業)
経営革新/販路拡大・販路支援/持続化補助金
17
東根市商工会
吉田屋(菓子製造小売業)
経営革新/農商工等連携・6次産業/販路拡大・販路支援/持続化補助金
18
白鷹町商工会
銀舎利いなほ(食品製造販売業)
持続化補助金
19
川前町商工会
株式会社宇佐見興産(農業)
経営革新/農商工等連携・6次産業/事業再生・再チャレンジ/持続化補助金
20
ひがし商工会
有限会社石井養鶏場(製造販売業)
地域資源活用・新連携/農商工等連携・6次産業/販路拡大・販路支援
21
茨城県商工会連合会
株式会社イイジマ(食肉小売業)
経営革新/地域資源活用/販路拡大・販路支援/海外展開・海外販路開拓
22
桜川市商工会
株式会社西岡本店(清酒製造業)
経営革新/地域資源活用/販路拡大・販路支援/持続化補助金
栃木県
23
那須町商工会
ペンションあじわい(宿泊業)
販路拡大・販路支援/持続化補助金
島根県
66
まつえ南商工会
株式会社スナハラ(食品製造業)
経営革新/販路拡大・販路支援
群馬県
24
みなかみ町商工会
株式会社BMZ(製造業)
ものづくり/その他(群馬イノベーションアワードへの申請)
岡山県
67
A商工会
B 株式会社(印刷・製本業)
経営革新/事業再生・再チャレンジ/資金繰り
25
群馬伊勢崎商工会
かばんねこ(小売業)
創業/資金繰り
広島県
68
尾道しまなみ商工会
株式会社パティスリーオクモト(製造業)
地域資源活用・新連携/販路拡大・販路支援/その他(IT活用)
26
嬬恋村商工会
ログコテージふりーたいむ(貸コテージ)
経営革新/持続化補助金
69
五日市商工会
学習塾Choice(教育・学習支援業)
創業/持続化補助金
27
幸手市商工会
有限会社ふくだや(小売業)
持続化補助金
70
安芸太田町商工会
有限会社いわみ(花・植木小売業)
経営革新/地域資源活用・新連携/販路拡大・販路支援
28
東秩父村商工会
美容室えはら(美容業)
経営革新
71
山口県央商工会
長門峡 美蔵屋(食品製造業)
経営革新/農商工等連携・6次産業/販路拡大・販路支援/持続化補助金
千葉県
29
いすみ市商工会
有限会社野瀬銘木店(製造業)
創業/経営革新/販路拡大・販路支援
72
徳地商工会
株式会社ミライエfarm(農業)
経営革新/雇用・労務関係
東京都
30
東大和市商工会
株式会社感謝(学習塾)
販路拡大・販路支援/資金繰り/持続化補助金
徳島県
73
徳島県商工会連合会
有限会社柚冬庵(食品製造・販売業)
経営革新/地域資源活用・新連携/農商工等連携/販路拡大・販路支援
31
昭島市商工会
株式会社丸和製作所(製造業)
経営革新/販路拡大・販路支援/ものづくり/持続化補助金
香川県
74
香川県商工会連合会
株式会社村上鐵工所(機械製造業)
ものづくり
神奈川県
32
綾瀬市商工会
有限会社光製作所(金属製品製造業)
経営革新/ものづくり
75
土庄町商工会
伊藤製麺所(食品製造業)
販路拡大・販路支援
山梨県
33
山梨県商工会連合会・富士川町商工会
有限会社おかめ鮨(飲食業)
地域資源活用・新連携
愛媛県
76
保内町商工会
有限会社中村ラボラトリー(歯科技工所)
経営革新/ものづくり
長野県
35
木祖村商工会
伊勢屋木工所(木工業)
販路拡大・販路支援/ものづくり
新潟県
36
安田商工会
鈴木大和園(造園業)
販路拡大・販路支援/持続化補助金
37
柿崎商工会
ヤマイ佐藤商店(小売業)
販路拡大・販路支援/持続化補助金
福岡県
77
糸島市商工会
富士食品株式会社(液卵製造・加工販売業)
経営革新/農商工等連携・6次産業/販路拡大・販路支援
38
岡部町商工会
西光エンジニアリング株式会社(機械製造業)
経営革新/その他(中小企業・小規模事業者ものづくり・商業・サービス革新事業)
78
福智町商工会
ピザカフェげんき畑(飲食業)
経営革新/販路拡大・販路支援/資金繰り/持続化補助金
39
菊川市商工会
マルマツ食品有限会社(食肉加工業)
経営革新
佐賀県
79
神埼市商工会
有限会社魚喜(割烹)
経営革新/販路拡大/持続化補助金/その他(知財出願支援)
40
吉田町商工会
本橋テープ株式会社(製造業)
経営革新/ものづくり
長崎県
80
壱岐市商工会
株式会社シーガルイン(宿泊・卸小売業)
経営革新/販路拡大・販路支援/海外展開・海外販路開拓
81
新上五島町商工会
株式会社冨喜 MANAMIオリジナル(食品製造販売業) 地域資源活用/農商工等連携/販路拡大・販路支援
熊本県
82
阿蘇市商工会
阿蘇品時計店(小売業)
持続化補助金
大分県
83
佐伯市番匠商工会
有限会社塩月自動車整備(自動車整備業)
販路拡大・販路支援/ものづくり
84
国東市商工会 安岐支所
合名会社 青木本店(製造業)
経営革新/ものづくり
85
由布市商工会
Night&Day 株式会社(小売・娯楽業)
経営革新/持続化補助金
86
県央経営支援センター
(国富町商工会)
C社(燃料小売業)
経営革新
87
県央経営支援センター
(宮崎県商工会連合会)
ゆう整骨院(整骨院)
創業/その他(補助金申請)
88
うるま市商工会
しま工房(製造業)
経営革新
89
竹富町商工会
西表インシャー(サービス業)
経営革新/事業承継
岩手県
宮城県
山形県
福島県
茨城県
関東ブロック
静岡県
中部ブロック
愛知県
三重県
41
大野町商工会
杉原酒造株式会社(酒製造業)
経営革新/農商工等連携・6次産業/販路拡大・販路支援/海外展開・海外販路開拓/資金繰り
42
金山町商工会
有限会社デザインオフィス・シィ(電子機器設計業)
経営革新/販路拡大・販路支援/ものづくり
43
郡上市商工会
めいほうキャンプ場(キャンプ場)
販路拡大・販路支援/事業承継
44
大垣市赤坂商工会
プライベートスクールシナプス(学習塾)
経営革新/販路拡大・販路支援
45
清須市商工会
八洲重量株式会社(重量物据付業)
経営革新
46
大口町商工会
株式会社松浦紙器製作所(紙器容器製造業)
経営革新/販路拡大・販路支援/ものづくり
47
南伊勢町商工会
ラーメン・お食事 ありすえ(飲食業)
持続化補助金
48
いなべ市商工会
博多らーめん 半蔵(飲食業)
持続化補助金/その他
(三重県版経営向上計画)
鳥取県
九州・沖縄ブロック
岐阜県
福井県
中国・四国ブロック
埼玉県
石川県
京都府
近畿ブロック
秋田県
中部ブロック
北海道・東北ブロック
頁数
4
青森県
90
頁数
山口県
宮崎県
沖縄県
91
商工会支援事例集
平成28年3月
発行:全国商工会連合会
東京都千代田区有楽町1-7-1
☎ 03-6268-0088(代表)
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