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2011年5月号 - 信金中金 地域・中小企業研究所

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2011年5月号 - 信金中金 地域・中小企業研究所
ISSN1346-9479
Shinkin Central Bank Monthly Review
第10巻 第5号(通巻461号)
2011. 5
今こそ金融の社会的責任を
介護保険制度改正へ向けて的確な対応が求められる介護関連事業者
−高齢化社会を支えるインフラの担い手として期待される役割とは−
中国経済金融動向
−第 12 次 5 か年計画実施に向けて−
注目される認知症支援と信用金庫業界における取組み
第 143 回全国中小企業景気動向調査
1∼3 月期業況は震災直前までは改善基調を持続
特別調査−中小企業の採用動向について
統計
「信金中金月報掲載論文」募集のお知らせ
○対象分野は、当研究所の研究分野でもある「地域」「中小企業」「協同組織」に関連する金融・
経済分野とし、これら分野の研究の奨励を通じて、研究者の育成を図り、もって我が国におけ
る当該分野の学術研究振興に寄与することを目的としています。
○かかる目的を効果的に実現するため、本論文募集は、①懸賞論文と異なり、募集期限を設けな
い随時募集として息の長い取り組みを目指していること、②要改善点を指摘し、加筆修正後の
再応募を認める場合があること、を特徴としています。
○信金中金月報への応募論文の掲載可否は、編集委員会が委嘱する審査員の審査結果に基づき、
編集委員会が決定するという、いわゆるレフェリー制を採用しており、本月報に掲載された論
文は当研究所ホームページにも掲載することで、広く一般に公表する機会を設けております。
詳しくは、当研究所ホームページ(http://www.scbri.jp/)に掲載されている募集要項等をご
参照ください。
編集委員会 (敬称略、順不同)
委 員 長 清水啓典 一橋大学大学院 商学研究科教授
副委員長 藤野次雄 横浜市立大学 国際総合科学部教授
委 員 川波洋一 九州大学大学院 経済学研究院教授
委 員 鹿野嘉昭 同志社大学 経済学部教授
委 員 首藤 惠 早稲田大学大学院 ファイナンス研究科教授
問い合わせ先
信金中央金庫 地域・中小企業研究所「信金中金月報掲載論文」募集事務局(担当:山田、刀禰)
Tel : 03(5202)7671/Fax : 03(3278)7048
Shinkin
Central
B a n k
Monthly
Review
2011年5月号 目次
今こそ金融の社会的責任を
2
信金中金月報掲載論文編集委員
首藤 惠
(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)
調 査
介護保険制度改正へ向けて的確な対応が求められる介護関連事業者
廣澤貴典
中村健太郎
4
−高齢化社会を支えるインフラの担い手として期待される役割とは−
中国経済金融動向
篠崎幸弘
31
藁品和寿
45
地域・中小企業研究所
62
−第12次5か年計画実施に向けて−
注目される認知症支援と信用金庫業界における取組み
第143回全国中小企業景気動向調査
1∼3月期業況は震災直前までは改善基調を持続
特別調査−中小企業の採用動向について
信金中金だより
信金中央金庫 地域・中小企業研究所活動状況(3月)
74
統 計
信用金庫統計、金融機関業態別統計
75
2011
5
個人名による掲載文のうち意見にわたる部分は執筆者個人の見解です。
投資・施策実施等についてはご自身の判断によってください。
今こそ金融の社会的責任を
信金中金月報掲載論文 編集委員
首藤 惠
(早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授)
3月11日の午後に東北・北関東を襲った巨大地震と大津波がもたらした被害の悲惨さは、まこ
とに私たちの予想を超えるものであった。多くの人命が失われ、多くの方々が危機的状況のも
とで最大の努力を出し支え合っている姿に、あらためて日本の行く末を思い、日本人として当
事者意識を共有した人も多いと思われる。土地、建物、社会インフラの喪失の大きさには息を
のむばかりだが、人々の冷静さと我慢強さ、過酷な環境のもとで助け合い励まし合って何とか
困難を乗り切ろうとする強い意識や、避難所での協力や秩序だった行動は、神戸の震災時にま
して国際社会の驚きと敬意を集めている。困難の中で失ったものをなげくのではなく現状を打
破し前を向いて進もうとする日本人の強さが、これまでも幾多の国家的危機を乗り越えてきた
原動力であった。広く一般の人々の中に埋め込まれているこうした精神は、日本社会がもつ最
大の無形資産であり、その価値があらためて評価されている。
他方で、これだけ用意周到に地震対策を行ってきた日本社会において、危機管理の面で危う
さがあることも明らかになった。リーマン・ショックのときには、当初、
「百年に一度」という
言葉が多用され、金融危機に対してあたかも制御不能の空から降ってきた厄災のような捉え方
がされた。予想しがたい特殊な危機という見方が日本の金融業界でとくに強かったのは、金融
技術革新で遅れをとっていたこともあろう。後知恵を使うのは卑怯と思われるのを承知で言え
ば、そこに共通の課題をあえて取り出すと、想定すべきリスク構造と危機の連鎖に対して、過
去の経験に強く依存した仮説に大きく依存していたことではなかろうか。
今回の大災害において、巨大津波を想定していなかった原発の予備装置や危機シナリオの貧
弱さには、素人目にも納得しきれない部分がある。東京電力のガバナンスに関して、これまで
も問題視されていたけれども、当然ではあるが、一企業の責任にして済むものではない。再考
すべきは、こうした巨大な社会的リスクと広範な連鎖を内包する産業の危機管理に対する行政
のモニタリングの仕組みであり、あらゆる可能性を想定した危機シナリオの構築と包括的な危
機管理に対する政府と担当部門の責任である。
2
信金中金月報 2011.5
それにも増して重要なのは、災害大国日本に住む、われわれ国民の危機管理に対する関心の
持ち方であろう。危機管理に対する関心が、安全性についての確信や安心を得ることにあって
はならない。関心をもつべきは、想定しうるリスクとリスク管理について適切な情報を与えら
れているか、起こりうる事態と対応について十分な説明がなされているか、である。
日本人は危機に際して、冷静さを失わず相互を思いやる連帯と惨事を克服する強い精神力を
発揮してきた。この点で、世界の日本人に対する評価は極めて高い。他方で、生じうるリスク
と最悪の事態を想定して事前にそれを回避するための危機管理、危機の連鎖を回避するための
事前的な仕組み作りに関しては、相対的に弱いのではないだろうか。日本は国力の大部分を
失った第二次大戦を経て世界有数の経済成長をなしとげ、長期低迷に陥ってもなお、蓄積され
た巨額の資産を有する裕福な国である。社会は閉そく感を強め緩やかな後退に向かっていると
言われながらも安定を保ち、われわれは生活の基盤を根底から覆されるような危機とは隔絶し
た状況に慣れてきた。
今回の震災は、被災地の方々が言い尽くせぬ苦難を負っただけでなく、日本全体に長期的影
響を及ぼすことを覚悟しなければならない。被災地の方々の生活基盤と経済基盤を立て直すこ
とは、日本の社会と経済のよって立つ基盤を立て直すことである。そこで何よりも必要なのは、
国民の強い意思と企業の高い士気だが、それを社会と経済の再構築につなげるには、金融の力
が不可欠である。蓄積した金融資産を有効に活用し、金融が実体経済を支えるインフラとして
の本来の機能を発揮するために、金融機関や市場関係者が専門能力を駆使し、金融の担い手と
しての本質的な役割を果たすことが求められている。
地震から時を経ずして、国際金融市場では日本の金融機関による期末の円需要を見込んだ国
際投資家の短期的な思惑買いが急増し、急激な円高に見舞われた。先進国の協調介入によって
一定の水準にようやく落ち着いたものの、あらゆる機会をとらえて冷徹に短期利益を追求しよ
うとする市場の現実を目の当たりにした。こうしたグリードな投資家行動は、金融市場の活力
であると同時に、金融本来の機能を壊す潜在的な脅威であり、まぎれもない金融市場の一側面
である。そうした動きを牽制するための国際社会の一致した意思表示は、市場の暴走を止め市
場を正常に機能させるための適切な判断であった。
日本の社会と経済は、この震災を契機として前向きに方向転換できるかどうか、新たな発展
へと進むことができるか否かは、国民の意識と企業の力だけでなく、社会のニーズを市場につ
なげ投資に結び付ける金融サービス業の行動にかかっている。金融機関や市場関係者は、長期
的観点からその技能と情報能力を活用し、資金配分、リスク管理、流動性供給、情報発信の機
能を果たしてほしいと切に思う。いまこそ、金融の社会的責任をまっとうする力量が問われて
いる。
3
調
査
介護保険制度改正へ向けて的確な対応が求められる介護関連事業者
−高齢化社会を支えるインフラの担い手として期待される役割とは−
信金中央金庫 地域・中小企業研究所主任研究員
廣澤 貴典
信金中央金庫 地域・中小企業研究所研究員
中村健太郎
(キーワード)介護保険制度、介護関連事業者、高齢化、デイサービス、高専賃、有料老
人ホーム
(視 点)
00年に介護保険制度が導入されてから10年が経過した。介護サービス利用者は、居宅サー
ビスを中心に倍増し、介護保険制度は、もはやわが国の老後の安心を支える仕組みとして定
着したといっても過言ではない。
高齢化が進むわが国において、介護市場が今後もますます拡大すると見込まれるなか、介
護市場には、多くの民間企業が参入し、地域金融機関である信用金庫においても介護事業者
との業務上の接点が増加している。そこで本稿では、複雑に入り組んだ介護関連法制と多岐
にわたる介護サービスをわかりやすくまとめるとともに、中小介護関連事業者を中心とした
事例も交えながら、今後求められる介護事業者像などについて考察してみた。
(要 旨)
介護保険制度導入後の10年間で、要介護認定者数は倍増し、介護保険制度に基づくサービ
スの利用者数は、居宅サービスを中心に2.5倍に増加した。もはや介護保険制度は、わが国
の老後の安心を支える仕組みとして、広く定着したといっても過言ではない。また、介護
保険制度導入により、居宅サービス、地域密着型サービスなどの分野における事業所数が
大幅に増加している。
一方で、介護事業には、介護報酬改正や介護保険制度自体の改正などによる経営上のリス
クが存在するほか、高齢者に対するヒューマンサービスといった他のビジネスとは異なる
特殊性も併せ持っている。それらの経営の難しさや事業者数の増加に伴う過当競争によっ
て、経営難に陥る介護事業事業者や倒産・廃業を余儀なくされる介護事業者が増えてきて
いるのも事実である。
利用者やその家族は、自身や大事な家族の“命”をより安心して託すことができる介護事
業者を求めている。こうしたなかで介護事業者として大切なことは、理念や強みを利用者
や家族にきちんと理解してもらい、信頼して身を委ねてもらえるような信頼関係の構築で
あろう。利用者やその家族と強固な信頼関係を築けている介護事業者こそが、今後の日本
の高齢化社会を担っていくべき存在といえるのではないだろうか。
4
信金中金月報 2011.5
くの民間企業が介護市場に参入し、地域金融
はじめに
機関である信用金庫においても介護事業者と
わが国の総人口は、11年1月1日時点で1億
の業務上の接点が大幅に増加している。本稿
2,737万 人、 う ち65歳 以 上 人 口 は2,936万 人
では、複雑に入り組んだ介護関連法制と、多
で、 総 人 口 に 占 め る65歳 以 上 人 口 の 割 合
岐にわたる介護サービスについてわかりやす
(高齢化率)は23.0%となった。国立社会保
くまとめるとともに、中小の介護事業者を中
障・人口問題研究所の推計によれば、65歳
心とした経営事例も交えながら、今後求めら
以上人口のピークは、いまからおよそ30年
れる介護事業者像などを考察してみた。
後 の40年 に3,852万 人(高 齢 化 率36.4%) と
なると予測されており、わが国の高齢化はさ
らなる進行が見込まれる。
1.日本の高齢化と介護保険制度
(1)介護保険制度とは
また、高齢者の家族との付き合い方に関す
介護保険制度導入前の高齢者福祉制度は、
る意識にも変化が見られている。80年代は、
サービス利用の可否から受けられるサービス
家族との同居を求める高齢者が多かったのに
内容についてまで、すべて市町村等の行政が
対して、00年以降その割合は減少し、家族
決定していた。また、サービスを提供する事
とある程度距離をとった関係を望む高齢者が
業者の運営主体に関しても、市町村や社会福
増加傾向にある(図表1)。
祉協議会等の公的な団体、社会福祉法人が中
高齢化の進行と高齢者の意識の変化等を背
心であった。
景に、わが国の介護市場は急激に成長し、今
しかしながら、急速に進む少子高齢化によ
後も市場拡大が見込まれる。それとともに多
り、公費のみを財源とする社会保障制度維持
図表1 高齢者の子どもや孫との付き合い方
への危機感が増していったことから、民間の
活力も活用し、税と保険料(国民負担)を財
まったく付き合わずに生活するのがよい
たまに会話をする程度でよい
ときどき会って食事や会話をするのがよい
いつも一緒に生活できるのがよい
(%)
80
60
59.4
42.9
40
うになった。そして、97年に介護保険法及
び関連する法律が成立し、00年4月にそれら
の法律が施行され、わが国の介護保険制度は
30.1
34.8
20
スタートした(図表2)。
14.7
現在の介護保険制度の被保険者は、65歳以
7.1
0
源とする公的保険制度の導入が提唱されるよ
0.6
1.1
80
85
90
95
00
05
(年度)
(備考)内閣府『平成22年度版 高齢社会白書』をもとに信
金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
上の者(1号被保険者)と、40歳から64歳の
医療保険加入者(2号被保険者)となってい
(注)
1
る。給付費
の財源は、国、都道府県、市
(注)1.給付費とは、総費用から介護保険サービス利用者自己負担分を除いたもの。
調 査
5
図表2 介護保険制度のスキーム図
保険料徴収
被保険者
保険料徴収
第1号被保険者
(65歳以上)
医療保険者
保険料徴収
第2号被保険者
(40歳∼64歳)
介護サービスを
利用できる方
区市町村及び
健保組合等
社会保険診療
報酬支払基金
老化が原因
とされる病気
で介護が必要
になり、認定
を受けた方
保険料納付
要介護認定申請
⑴
⑵
⑶
⑷
⑸
⑹
⑺
⑻
⑼
⑽
被保険者管理事務
保険料徴収
保険給付
介護保険事業計画の策定
居宅サービス計画に
係る届出受付
保険福祉事業
広報
会計事務
他制度関連事務
要介護認定 等
介護認定審査会
介護給付費の
審査・支払
請求 支払
国民健康保険
団体連合会
介護事業者
介護給付費
の請求
指定・許可・指導
都道府県
不服審査
⑴
⑵
⑶
⑷
⑸
⑹
国
⑴
⑵
⑶
⑷
⑸
基本指針作成
負担金交付
調整交付金交付
要介護認定等1/2交付
広報 等
基金への拠出
サービス利用
一部負担
(約1割)
保険者
(区市町村)
負担金交付
指導・助言
サービス
提供
保険料納付
年金保険者
区市町村支援
介護保険事業支援計画の策定
財政安定化基金の設置
事業者、施設の指定
介護保険審査会の設置
広報 等
介護保険審査会
基金へ拠出
負担金等交付
(備考)東京都国民健康保険団体連合会資料をもとに信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
町村が負担する公費が50%(内訳:国25%、
された場合、心身の状態に応じて要支援1、2、
都道府県12.5%、市町村12.5%) と、被保険
要介護1∼5と認定される(図表3)。
者が負担する保険料が50%となっている。
介護保険制度に基づくサービスを受けるた
介護保険制度に基づくサービスは、1号被保
めには、居宅介護支援事務所、地域包括支援セ
険者の場合は原因を問わず要支援・要介護状
ンター等の介護支援専門員
(ケアマネージャー)
態になったときに、2号被保険者の場合は末
に介護サービス計画(ケアプラン)を作成し
期がんや関節リウマチなどの老化による病気
てもらう必要がある。利用者は、ケアプラン
が原因で要支援・要介護状態になったとき
に沿った介護保険制度に基づくサービスを提
に、受けることができる。要介護認定は、市
供する介護事業者を自ら選択、契約をして
町村もしくは地域包括支援センターで介護認
サービスを受けることになる。
定の申請を行い、市町村が、医師の意見書や
一方、介護保険制度に基づくサービスを提
訪問調査により「介護が必要である」と判定
供する事業者は、各都道府県知事から「指定
6
信金中金月報 2011.5
図表3 要介護度別介護給付の限度額
要介護度
支給限度額
(1ヶ月、単位:円)
認定の目安
要支援1
49,700
障害のために生活機能の一部に若干の低下が認められ、介護予防サービスを提
供すれば改善が見込まれる。
要支援2
104,000
障害のために生活機能の一部に低下が認められ、介護予防サービスを提供すれ
ば改善が見込まれる。
要介護1
165,800
身の回りの世話に見守りや手助けが必要。
立ち上がり・歩行等で支えが必要。
要介護2
194,800
身の回りの世話全般に見守りや手助けが必要。
立ち上がり・歩行等で支えが必要。排泄や食事で見守りや手助けが必要。
要介護3
267,500
身の回りの世話や立ち上がりが一人ではできない。
排泄等で全般的な介助が必要。
要介護4
306,000
日常生活を営む機能がかなり低下しており、全面的な介助が必要な場合が多い。
問題行動や理解低下もある。
要介護5
358,300
日常生活を営む機能が著しく低下しており、全面的な介助が必要。多くの問題
行動や全般的な理解低下もある。
(備考)1.独立行政法人福祉医療機構HPをもとに信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
2.支給限度額は1単位10円で計算
居宅サービス事業者」、
「指定居宅介護支援事
単位は、原則1単位10円であるが、都市部な
業者」、
「介護保険施設」のいずれかの指定を
ど人件費をはじめとする経費がその他の地域
受けなければならない。介護保険制度では、
と比べて高いと判断される地域では、1単位
サービス種類、内容等に細かく単位数が決め
当たり1.2%∼7.2%が加算されているのが実
られており、すべての介護保険制度に基づく
情となっている。
サービスは、公定価格となっている(図表4)。
介護報酬は、3年に1度、介護保険制度自
図表4 訪問介護の介護報酬点数表
サービス
身体介護
生活援助
通院等の乗降車介助
加算等
サービス内容
30分未満
30分以上㽎1時間未満
1時間以上㽎1時間30分未満
以降30分を増すごとに
30分以上㽎1時間未満
1時間以上
初回加算
1月につき
身体介護に引続き生活援助を行った場合(30分ごと249単位を限度)
2人訪問できる場合
所定の
夜間(18㽎22時)早朝(6㽎8時)
所定の
深夜(22㽎6時)
所定の
特定事業所加算Ⅰ
所定の
特定事業所加算Ⅱ
所定の
特定事業所加算Ⅲ
所定の
特別地域訪問介護
所定の
中山間地域等小規模事業所加算
所定の
中山間地域等サービス提供加算
所定の
緊急時訪問介護加算
報酬
254
402
584
83
229
291
100
200
83
200
25
50
20
10
10
15
10
5
100
単位
単位/回
単位/回
単位/回
単位/回
単位/回
単位/回
単位/回
単位/月
単位/回
%
%増
%増
%増
%増
%増
%増
%増
%増
単位/回
(備考)東京都板橋区HPをもとに信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
調 査
7
体は5年に1度、見直しが行われる。介護報
(2)複雑多岐にわたる介護サービス
酬が改定されると、介護保険制度に基づいて
05年の介護保険制度改正により、新たな
提供されるサービスの“値段”が変わること
介護保険制度に基づくサービスが追加された
となり、利用者、介護事業者双方に大きな影
ことに加え、厚生労働省所管の老人福祉法に
響を与える。特に介護事業者にとっては、改
基づく高齢者入居施設である「有料老人ホー
定により収入が大きく変動することから、改
ム」や国土交通省所管の高齢者入居安定確保
定率は重要なポイントとなる。ちなみに過去
に関する法律(高齢者住まい法)に基づく
の介護報酬改定は、03年、06年とマイナス
「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」など、わが
改定が続いていたが、09年は一転して初の
国には様々な法律に基づいた高齢者向けの
プラス改定となっている(図表5)。
サービスや施設が存在する。
また、05年介護保険制度改正では、地域
また、介護保険制度に基づくサービスや有
密着型サービスの創設、地域包括支援セン
料老人ホーム、高専賃等を提供(運営)する
ターの創設、新予防給付の創設等、新たな介
事業者では、1つの介護サービスのみを単体
護保険制度に基づくサービスが追加された。
で提供することが少なく、様々な介護サービ
スを複合的に提供しているケースが多い。そ
図表5 介護保険制度を巡るこれまでの経緯
1960年代:高齢者福祉政策の始まり
1961年
1963年
1970年代:老人医療費の増大
1973年
(1970年高齢化率7.1%)
老人福祉法の改正【老人医療費無料化】
1980年代:社会的入院や寝たきり老人の社会問題化
1982年
1989年
(1960年高齢化率5.7%)
国民皆保険制度開始
老人福祉法制定【特別養護老人ホーム創設、老人家庭奉仕員法制化】
(1980年高齢化率9.1%)
老人保健法の制定【老人医療費の一定額負担の導入等】
ゴールドプラン(高齢者保健福祉推進10ヵ年戦略)策定
【施設緊急整備と在宅福祉の推進】
1990年代:ゴールドプラン推進
(1990年高齢化率12.0%)
1994年
新ゴールドプラン(新・高齢者保健福祉推進10か年戦略)策定
【在宅介護の充実】
1996年 連立与党3党政策合意 介護保険制度創設に関する「与党合意事項」
1997年 介護保険法成立
2000年代:介護保険制度の実施
2000年
2003年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2012年
(2000年高齢化率17.3%)
介護保険法施行
介護報酬改定、1号保険料の見直し
介護保険部会設置「5年後の見直し]について検討開始
改正介護保険法成立
改正介護保険法一部施行【介護施設の食費・家賃が自己負担に】
改正介護保険法全面施行【予防給付、地域密着型サービス創設等】
介護報酬改定、1号保険料の見直し
業界最大手㈱コムスンが、厚生労働省から介護サービス事業所の新規及び更新指定不許可処分を受ける
改正介護保険法、改正老人福祉法成立
介護報酬改定(初のプラス改定)、1号保険料の見直し
改正介護保険法全面施行【業務管理体制整備、サービス確保対策等】
介護保険制度見直し(予定)【高齢者住宅の促進、医療連携等が焦点】
(備考)厚生労働省作成資料をもとに信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
8
信金中金月報 2011.5
のことが、介護業界をわかりづらく、複雑な
図表7 要介護認定者数とサービス利用者数
ものにしている1つの要因となっている。
本稿では、介護保険制度に基づくサービス
を“居 宅 サ ー ビ ス ”、“地 域 密 着 型 サ ー ビ
(万人)
600
居宅サービス利用者数
(左目盛)
施設サービス利用者数
(左目盛)
地域密着型サービス利用者数
(左目盛)
要介護認定者数
(左目盛)
認定者数に占めるサービス
利用者の割合
(右目盛)
(%)
100
ス”、“施設サービス”の3つに分類するとと
81.9%
もに、有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅
400
80
等の高齢者が居住する施設を 高齢者住宅 と
別途分類し、複雑多岐にわたる介護サービス
68.3%
278
200
を整理した一覧表を作成してみた(図表6)。
97
(3)介護保険制度の定着と拡大する介護市場
介護保険制度導入後の10年間で、要介護認
218
60
23
83
52
0
469
40
2000年4月
2009年4月
(備考)厚生労働省資料をもとに信金中央金庫 地域・中小
企業研究所作成
定者数は倍増し、介護保険制度に基づくサービ
ス利用者数は、居宅サービスを中心に2.5倍に
サービスでは、営利法人が事業主体である事
増加した
(図表7)
。もはや介護保険制度は、わ
業所数が大幅に増加している(図表8)
。また、
が国の老後の安心を支える社会的なインフラと
保険給付額と公費負担額、利用者負担額の合
して、広く定着したといっても過言ではない。
計である介護保険総費用も、00年度は3.6兆円
介護保険制度導入により、営利法人の参入
であったのに対して、10年度予算は7.9兆円と
が認められている居宅サービス、地域密着型
倍増した。
サービス別にみると、居宅サービス、
図表8 03年度と08年度のサービス別費用累計額と営利法人数、割合
2003年度
2008年度
2003年度
費用額累計
(億円)
事業所数
訪問系
8,140
23,266
8,299
35.7%
8,942
28,332
13,534
47.8%
通所系
8,986
18,230
2,398
13.2%
13,337
28,792
9,086
31.6%
短期入所系
2,579
11,197
54
0.5%
3,311
12,589
569
4.5%
うち
営利法人
2008年度
費用額累計
割合(%) (億円)
事業所数
うち
営利法人
割合(%)
居宅サービス
福祉用具貸与
1,413
5,016
4,363
87.0%
1,737
4,974
4,457
89.6%
居宅介護支援
2,132
23,184
6,036
26.0%
2,890
28,121
10,466
37.2%
地域密着型サービス
1,322
3,665
1,569
42.8%
5,646
14,345
6,527
45.5%
介護老人福祉施設
13,198
5,084
−
−
13,136
6,015
−
−
介護老人保険施設
10,593
3,013
−
−
10,320
3,500
−
−
7,152
3,817
−
−
4,733
2,252
−
−
施設サービス
介護療養施設
(備考)1.厚生労働省作成資料をもとに信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
2.2003年度地域密着サービスは、痴呆対応型共同生活介護の事業所数、総数を使用
調 査
9
図表6 主要介護サービス等一覧
居宅サービス
名 称
内 容
介
護
護
ホームヘルパー(介護職員)が利用者の自宅を訪問し、食事・入浴・排泄等の身体介護、洗濯・掃除等の生
活援助、生活相談等を行う。
看
護
護
病院・診療所・訪問看護ステーションの看護師等が利用者の自宅を訪問し、医師の指示に基づいて療養上の
世話や診療の補助を行う。
訪 問 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン
介護予防訪問リハビリテーション
理学療法士や言語聴覚士等が利用者の自宅を訪問し、心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助け
るために必要なリハビリテーションを行う。
通
介
護
護
デイサービスセンター等において、食事・入浴・排泄等の身体介護、生活相談、健康状態の確認等日常生活
上の世話や機能訓練を行う。
通 所 リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン
介護予防通所リハビリテーション
老人保健施設、医療機関において、心身の機能維持回復や自律を助けるためにリハビリテーション・栄養改
善サービス・口腔機能向上サービスを行う。
短 期 入 所 生 活 介 護
介 護 予 防 短 期 入 所 生 活 介 護
介護老人福祉施設等へ短期間入所し、食事・入浴・排泄等の身体介護、日常生活の世話、機能訓練等を行う。
短 期 入 所 療 養 介 護
介 護 予 防 短 期 入 所 療 養 介 護
老人保健施設・介護療養型医療施設等へ短期間入所し、看護・医療の管理下で介護、機能訓練、その他必要
な医療等を行う。
特 定 施 設 入 居 者 生 活 介 護
介護予防特定施設入居者生活介護
特定施設
(有料老人ホーム、適合高専賃、軽費老人ホーム、養護老人ホーム)
が、入居している要介護者に対し
て、食事・入浴・排泄等の身体介護、機能訓練等を行う。
福
祉
用
具
貸
与
介 護 予 防 福 祉 用 具 貸 与
福祉用具専門相談員の助言のもと、車いす・特殊寝台・床ずれ予防用具等日常生活の便宜を図るための福祉用
具や機能訓練のための福祉用具の貸与を行う。
特 定 福 祉 用 具 販 売
特 定 介 護 予 防 福 祉 用 具 販 売
利用者が自立した日常生活を営むことができるよう、特定介護予防福祉用具の選定の援助、取り付け、調整
等を行い、福祉用具を販売する。
居 宅 介 護 住 宅 改 修 費 支 給
居宅介護予防住宅改修費支給
要介護者等が自宅に手すりを取り付ける、段差の解消等の住宅改修を行うとき、改修費の一部を補助する。
居 宅 介 護 支 援 事 業 所
介 護 予 防 支 援 事 業 所
(地 域 包 括 支 援 セ ン タ ー)
要介護(支援)認定された人に対して、介護(予防)サービス種類・内容・担当者等を定めたケアプランを
作成するとともに、利用者と介護事業者等との連絡調整も行う。
訪
問
訪
介
訪
介
護
問
予 防
介
訪 問
護
問
予 防
看
訪 問
通所
︵デイサービス︶
所
予 防
護
介
所
通
介
短期入所
そ
の
他
地域密着型サービス
名 称
内 容
訪問
通所
︵デイサービス︶
夜 間 対 応 型 訪 問 介 護
夜間において定期的な巡回、通報によってホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浴・排泄等の身体介護、
洗濯・掃除等の生活援助、生活相談等を行う。
小 規 模 多 機 能 型 居 宅 介 護
介護予防小規模多機能型居宅介護
サービスの拠点への通所を中心に、利用者の状態や施設規模に応じて訪問介護や短期入所を組み合わせた
サービスを提供する。
認 知 症 対 応 型 通 所 介 護
介護予防認知症対応型通所介護
食事・入浴・排泄等の身体介護や機能訓練を施設等で受けるサービスで、認知症の人が対象。主に介護老人福祉
施設やデイサービスセンター等で実施されている。
そ
の
他
認 知 症 対 応 型 共 同 生 活 介 護
介護予防認知症対応型共同生活介護
(グ ル ー プ ホ ー ム )
認知症を持つ高齢者が少人数で共同生活をしながら、食事・入浴・排泄等の身体介護、機能訓練を行う。
地域密着型特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設(定員29名以下の小規模の有料老人ホーム、適合高専賃、軽費老人ホーム、養護老人ホー
ム)が入居者に対して身体介護や機能訓練を行う。
地域密着型介護老人福祉施設
定員29名以下の小型の介護老人福祉施設で、食事・入浴・排泄等の身体介護、機能訓練、健康管理及び療養上の
世話を行う。
施設サービス
名 称
内 容
介
護
老
人
福
祉
(特 別 養 護 老 人 ホ ー ム :
施
設
特 養 )
介
(
施
介
護
設
)
病状が安定期にあり、看護・医療・リハビリテーションが必要な要介護者が入所する。主な経営主体は医療法人、
社会福祉法人等。
設
病状が安定期にあり、療養上の管理・看護・介護・機能訓練が必要な要介護者が入所する。主な経営主体は医
療法人。
高 齢 者 円 滑 入 居 賃 貸 住 宅
都道府県等の登録制度。高齢者の入居を拒まない賃貸住宅で、一定の設備要件や入居条件等の登録基準を満
たす必要がある。
(高齢者以外も入居可能)
護
老
老
療
人
保
健
常時介護が必要で在宅生活が困難な要介護者が入所する。主な経営主体は社会福祉法人、地方自治体等。
健
養
型
医
療
施
高齢者住宅
名 称
内 容
賃 貸 住 宅
有料老人ホーム
高 齢 者 専 用 賃 貸 住 宅
(
高
専
賃
)
都道府県等の登録制度。高齢者円滑入居賃貸住宅の内、専ら高齢者を賃借人とする賃貸住宅。
高 齢 者 向 け 優 良 賃 貸 住 宅
(
高
優
賃
)
都道府県等の認定制度。
バリアフリー、緊急時対応サービス等の認定基準を満たし、認定を受けると建築費、
整備費、家賃等に補助や税制優遇を受けることが可能。
適 合 高 齢 者 専 用 賃 貸 住 宅
(
適
合
高
専
賃
)
都道府県等の許可制度。介護保険法に規定された「特定施設」の一つ。
(地域密着型)特定施設入居者生活介
護の指定を受けることも可能。
介 護 付 有 料 老 人 ホ ー ム
特定施設入居者生活介護の指定を受けている有料老人ホーム。施設職員が安否確認、計画作成、介護サービス
等を提供する。
(介護サービスは外部委託の場合も有り)
住 宅 型 有 料 老 人 ホ ー ム
生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの入居施設。介護が必要になった場合、自身の選択により、地域の
介護事業者を利用しながら当該施設での生活が可能。
健 康 型 有 料 老 人 ホ ー ム
そ
の
他
軽
費
老
( ケ
ア
養
宅
護
老
食事等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設。介護が必要になった場合は、契約を解除し退去しなければ
人
ハ
ホ
ウ
ー
ス
ム
)
介護保険法に規定された「特定施設」の一つ。老人福祉法に基づいて、無料又は低料金で給食・入浴等のサー
ビスを提供。主な経営主体は地方公共団体及び社会福祉法人。
人
ホ
ー
ム
介護保険法に規定された「特定施設」の一つ。主に経済的理由により自宅での生活が困難な高齢者(自立者)
を入所させる行政による措置施設。
所
サービス内容は、通所・泊り・住まい・配食と様々で、介護保険法の指定を受けている事業者もあれば、利用
者からの利用料のみで運営している事業者もある。
老
(備考)社団法人全国有料老人ホーム協会、財団法人高齢者住宅財団HP等を参考に信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
10
信金中金月報 2011.5
地域密着型サービスで顕著に増加している。
(注)
2
のに対して行うものであり、介護職員の手に
の
よるサービスが必要不可欠であるため、多く
“医療・介護費用のシミュレーション”によれ
の従業員を必要とする。しかし、介護事業者
ば、25年の介護保険総費用は、現状のままの
は、利用者の安全に配慮した施設、特殊浴槽
サービス内容を維持した場合で19兆円、積極
や手すりといった低下した身体機能を補う設
的な改革に取り組んだ場合最大で24兆円にま
備、機能回復のためのリハビリ機器等にも高
で膨れあがると予測されている。また、10年6
額な投資をしなければならない。こうしたな
08年に設置された社会保障国民会議
(注)
3
では、20
かで、介護保険制度では、指定を受ける際に
年までに市場規模19兆円、新規雇用201万人
一定の人員・設備基準が設けられており、介
と目標が掲げられる等、わが国の介護市場
護事業者に相応の人員確保、設備投資を求め
は、今後も拡大するものと見込まれている。
ているのが実情となっている。
月に閣議決定された新成長戦略
2.介護事業者の経営環境
(1)介護サービスの特徴
また、介護を含むわが国の社会保障制度は、
憲法に規定された生存権や幸福追求権に基づ
き、税金や被保険者からの保険料を財源に営
一般に製造業は、機械や設備に資本を投下
まれている。そのため、介護事業者には、介
し、労働力よりも機械や設備の力で生産する
護を単に営利を追求する手段として行うので
資本集約型産業といわれている。一方、サー
はなく、公共性・倫理性をもって運営するこ
ビス業は機械化が難しく、労働力の提供が収
とが求められている。最近の例でいえば、大
益の源泉となっているケースが多く、売上に
手介護事業者の不正摘発をきっかけとした廃
対する人件費の割合が高い労働集約型産業と
業
いわれている。こうしたなかで、介護サービ
あらためて認識させる契機となったことは記
スを提供する介護事業者は、サービス業とし
憶に新しい。
(注)4
が、そうした公共性・倫理性の重要さを
て労働集約的な側面を持ちながらその一方
で、多額な設備投資が必要な資本集約的な側
(2)介護事業者の経営状況
面も有するなど、両方の側面を併せ持ってい
イ.介護事業収益(売上高)
るところに大きな特徴がある。
通常、サービス(商品)の価格は市場が決
すなわち、介護事業者が提供するサービス
め、提供するサービスの付加価値が高いほど
は、身体機能の低下した利用者の心身そのも
得られる収益は大きくなる。しかしながら、
(注)2.内閣総理大臣が開催する会議の一つで、本会議には総理大臣、厚生労働大臣、官房長官ら国務大臣が出席する。設置根拠
は閣議決定に基づく。
3.信金中央金庫 地域・中小企業研究所ニュース&トピックス(10.7.6付、10.12.28付)参照
4.元業界大手㈱コムスンは、いわゆる営利企業的経営手法のもとで、事業を急速に拡大させた。しかし、制度リスクや公共
性といった介護事業の特殊性に直面、徐々に経営は厳しくなっていった。そうしたなかで、一部事業所の介護報酬の不正請
求や事業所指定の不正取得などの不法行為が摘発されるに及び、最終的には廃業(分割譲渡)に追い込まれた。
調 査
11
介護保険制度に基づくサービスは公定価格で
ある。一般的に、介護サービスの利用者は、
あり、価格競争や高い付加価値サービスの提
介護サービス事業所から半径5∼10km圏内の
供による高価格設定ができない。
利用者が多い。その地域にどのような介護状
介護事業者の収入は、定員数、利用者の要
態の人が多いのか、どのような介護サービス
介護度、介護保険対象外サービスの提供等に
を受けたい人が多いのか等をマーケティング
よって決まる。定員数は、事業所ごとに決
することが重要である。そういった情報は、
まっており、定員数を増やすためには職員・
病院の生活支援室や地域包括支援センター等
設備をより高い基準で満たす必要がある。ま
で入手可能なこともある。
た、利用者の要介護度が高くなれば介護保険
支給限度額は上がるものの、それに合わせて
ロ.収益性
介護職員の増員や高度な介護技術や設備等が
介護事業者の収益構造のひとつの特徴とし
必要となり、費用の増加も伴うこととなる。
て、50%を超える高い人件費比率があげられ
つまり、介護事業では、ただいたずらに定員
る(図表9)。介護サービスは労働集約型産
数を増やし、要介護度の高い利用者を募れば
業としての側面が強く、介護事業者の指定を
よいといったわけではない。
受けるための職員数の基準をクリアしていく
また、いくら全国的に介護サービスの需要
うえで、他のサービス業以上に人件費比率が
が高いと言われていても、ただ待っていれば
高くなりがちである。
自然と利用者が集まるわけではなく、適切な
ただ、介護事業者の収益性を判断する収支
利用者募集施策を講じなければならないの
差率
は、通常のビジネスと共通している。介護事
般のサービス業の
“売上高純利益率”
と比べて
業者の中には、利用者が当初の計画より集ま
高い水準にあり、一見すると一般のサービス
らず、経営状況が悪化したり、廃業に追い込
業より収益性が高い。なお、介護サービスは
まれたりする事業者も存在する。的確な需要
公定価格であり、3年に一度の介護報酬改定に
予測に基づくマーケティングのもとで、利用
より収益に大きな影響が及ぶ面がある。実際、
者の募集活動を積極的に行い、稼働率を常に
厚生労働省が発表した「平成22年度介護事業
意識していなければならない。
経営概況調査」
をみると、09年に介護報酬が初
しかし、地域によっては、そもそも当該介
のプラス改定となったことを受け、前回調査
護サービスの需要が少ない、支援を要する高
(平成19年
(07年)
)と比較すると15サービスの
齢者の絶対数が少ないことや、すでに供給過
うち14サービスで収支差率が改善していた。
剰で“過当競争”に陥っているという場合も
とはいえ、介護事業者の介護事業収益は介
(注)5
は、単純な比較はできないものの、一
(注)5.収入(介護事業収益+介護事業外収益)から支出(介護事業費用+介護事業外費用+特別損失)を引いた収支差額の収入
に対する割合(支出には法人税等租税公課を含む)
12
信金中金月報 2011.5
図表9 介護事業者の収支差率と人件費比率
収益率
低い
高い
高い
100
居宅介護支援
介護事業者
(収支差率)
(%) 産業大分類別業種平均
(売上高純利益率)
訪問入浴介護
訪問看護
小規模多機能型居宅介護
通所介護
人件費比率
サービス業
低い
生活関連サービス業,
娯楽業
0
-5.0
認知症対応型共同生活介護
学術研究,
専門・技術サービス業
宿泊業,
飲食サービス業
-10.0
介護老人福祉施設
50 介護老人保健施設
0.0
5.0
10.0
15.0
(%)
(備考)1.厚生労働省「平成22年度介護事業経営概況調査結果の概要(案)
」
、中小企業庁「平
成21年度中小企業実態基本調査」をもとに信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
2.縦軸:売上高人件費比率、横軸:収支差(売上高純利益)率
3.介護事業者は収支差率、産業大分類別業種平均は売上高純利益率
護報酬という公的な制度によって決められて
視していくことが極めて大切である。
おり、人員配置に関しても、サービスごとに基準
また、行政側においても、過度に介護事業者
が設けられているため、経営努力による改善に
に対して経営リスクを負わせるような制度変
は限界があるのもまた事実といえる。また、現
更は、わが国の高齢化を支えるインフラの担い
在、業界として介護職員の“担い手不足”や
“高
手である介護事業者の健全性を損なうことと
い離職率”といった問題も内包しており、介護
なり、より慎重な対応が求められるであろう。
事業者も自社の介護職員の定着率を高めること
が緊近の課題となっている。このような事業環
ハ.内包する介護職員の処遇改善問題
境の下、介護事業者が収益を向上させていく
介護保険制度が導入された00年の介護職
には、人員の効率的な配置や、本部費用や食事
員数は54.9万人であったが、導入から8年経
等の外注費といった介護事業費用をコツコツ
過した08年の介護職員数は128.0万人と倍増
削減していく努力が必要不可欠となっている。
した。今後も更なる高齢化の進行が見込まれ
介護事業者には、介護保険制度や介護報酬
るなか、社会保障国民会議が08年に行った
の 改定による経営リスク が存在するといっ
“医療・介護費用のシミュレーション”によ
ても過言ではない。実際、過去の介護報酬マ
れば、47年から49年生まれのいわゆる「団
イナス改定時には、多くの介護事業者の収益
塊の世代」が全員75歳以上になる25年には、
悪化がみられた。個々の事業者においては、
212∼255万人程度の介護職員が必要になる
国の政策変更に関する情報を厚生労働省の社
とされている。
会保障審議会での議論や業界紙、自治体福祉
一方で、社会保障・社会福祉・介護事業の
窓口等で情報収集し、今後の政策の動向を注
給与額は、産業計(全産業平均)と比べて月
調 査
13
間で約8万円ほど低い(図表10)。また、こ
図表10 介護職員の平均給与額と勤続年数
平均年齢 勤続年数 給与額
(歳)
(年) (千円)
れを職種別に見ると、ホームヘルパー、福祉
施設介護員といった介護職員の給与額は、産
産業別
業 計 と 比 べ る と 月 間 で 約11万 円 ほ ど 低 く、
他産業と比べた場合の待遇面での見劣りは否
めない。
このような状況を受け、09年4月から介護
が図られたほか、介護業を確固とした雇用の
場として成長させていくため、09年10月から
は、100%国費を財源とした「介護職員処遇改
(注)6
善交付金
」が創設された。また、「介護
(注)7
基盤人材確保等助成金
」や「介護未経験
(注)
8
者確保助成金
」といった助成金も創設さ
職種別
報酬を3%プラス改定し介護職員の処遇改善
産業計
40.9
11.6
328.8
医療業
38.8
8.2
333.0
社会保険・社会福祉
・介護事業
39.0
7.1
242.4
サービス業
37.9
9.3
369.0
医師
40.9
4.8
888.9
看護師
35.9
6.8
322.0
准看護師
44.5
9.9
277.1
理学療法士・
作業療法士
30.1
3.8
274.7
保育士
33.5
7.7
215.9
ケアマネージャー
44.9
7.1
260.3
ホームヘルパー
43.9
4.4
211.7
福祉施設介護員
35.8
5.2
215.8
(備考)1.厚生労働省「平成20年度賃金構造基本統計調査」
をもとに信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
2.期間を定めず雇われている労働者のデータ(短
期労働者は除く)
3.給与額=基本給+諸手当+超過勤務手当て(賞
与は除く)
れており、介護職員の処遇改善問題に向けて
様々な措置が講じられている。
おいて、国費に全面依存した処遇改善策で
ちなみに、厚生労働省の「平成22年介護
は、いずれは財源の問題に直面することは明
従事者処遇状況等調査」によれば、10年に
白である。介護サービスは、公定価格により
介護職員処遇改善交付金を申請した介護事業
付加価値が付けにくく、介護職員一人当たり
者 は 全 体 の86.7% で、 給 与 等 を 引 き 上 げ た
の付加価値額(生産性)は、他の産業と比べ
(1年以内に引き上げ予定を含む)事業者は、
低いのが実情だ。今後、わが国の雇用の受け
81.4%となった。また、当該交付金を申請し
皿となるであろう介護業界の自助努力で処遇
た介護事業者に従事する職員(月給の者)の
改善を図るためには、何らかの形で生産性を
平均給与額(10年)は、09年と比べ1万円前
高める努力をしていくことも不可欠と考えら
後増加したとされており、一定の効果はあ
れている。そうした動きの一つとして、今日
がっているようにもみえる。
ではITを駆使した業務管理システムや介護
しかし、今後さらに高齢化が進み、介護保
機器、介護ロボットなど生産性向上に繋がる
険給付が増加すると予測されているわが国に
ような研究開発も各方面で活発化している。
(注)6.介護職員の処遇改善に取組む事業者に対して、09年10月から11年度末までの間、計約4,000億円を交付する。この交付金
は、介護サービス提供に関わる介護報酬に一定の率を乗じて得た額を、毎月の介護報酬と併せて交付し、事業者は年度ごと実
績報告を行う。
7.介護事業者の定着率改善と雇用管理の改善を目的に、介護事業に進出・創業する企業の人材確保のために支給される。一
人当たり70万円を限度(1企業当たり3名まで)
8.介護事業者が、介護未経験者を雇い入れ、定着させる場合に50万円∼100万円支給される。
14
信金中金月報 2011.5
(3)12年介護保険制度改正の焦点
ハ.高齢者住宅の促進
12年の介護保険制度改正に向け、厚生労
高齢の単身者や夫婦のみの世帯が増加する
働省社会保障審議会介護保険部会が、10年5
中で、高齢者住宅を増やすことが基本的に必要
月より13回にわたり介護保険制度について
である。厚生労働省と国土交通省共管の制度と
審 議 を 行 い、10年11月30日 に「介 護 保 険 制
して、現行の有料老人ホームと高専賃を再編し、
度の見直しに関する意見」を取りまとめた。
介護・医療と連携して高齢者を支援するサービ
厚生労働省は、この意見を基に介護保険法改
スを提供する
「サービス付き高齢者向け住宅」
正案を取りまとめることとなる。主な焦点は
の登録制度が11年2月8日に閣議決定された。
以下のとおり。
登録には、①居室面積が原則25m2以上、②ト
イレ・洗面設備等の設置、バリアフリー、③安
イ.24時間対応の定期巡回・臨時対応サー
ビスの創設
否確認・生活相談等のサービスの提供、④高齢
者の居住の安定が図られた契約等、の登録基
要介護度が高くなった場合、夜間・早朝の
準が設けられている
(図表11)
。普及促進策と
時間帯を含め、水分補給や排泄介助等の介護
して、高齢者等居住安定化推進事業に盛り込
が複数回必要になる。こういった要介護者
まれ、建設・改修に対して国が補助金を交付
が、できる限り在宅生活を継続できるよう、
することが予定されている
(予算要求額:325
訪問介護と訪問看護の連携の下で、短時間の
億円、補助額:建築費の1/10、改修費の1/3上
定期巡回型訪問と通報システムによる随時の
限100万円/戸)
。また、住宅金融支援機構の融
対応等を適宜・適切に組み合わせて提供する
資条件緩和や税制面での優遇も図られる予定
24時間対応の定期巡回・臨時対応サービス
である。これらの措置に伴い、高専賃等の新た
を新たに創設する方向で検討する。
な登録・申請は、廃止される見通しである。
ロ.予防給付と生活支援サービスの一体化
ニ.医療・介護のシームレスな連携の推進
単身・高齢者のみの世帯等地域で孤立する
医療と介護のシームレスな連携の推進は、
恐れのある高齢者にとっては、介護サービス
「次期診療報酬改定へ向けた今後の検討課題
のみならず、配食や見守りといった生活支援
に関する提案」でも検討すべき課題とされて
サービスも不可欠である。保険者(市町村)
いる。訪問看護のように、要介護者に対して
の判断により、サービスを一体化した介護予
は介護保険が適用され、要介護認定を受けて
防・生活支援サービスを地域支援事業に導入
いない場合には医療保険が適用されるといっ
し、配食サービスなどが、効率的に実施され
た医療・介護保険の両方がカバーしている領
るような仕組みを検討する。
域の見直しを検討する。
調 査
15
図表11 サービス付き高齢者向け住宅概要
サービス付き高齢者向け住宅制度の概要
【登録基準】※有料老人ホームも登録可
〈住宅〉
・床面積(原則25m2以上)
、便所、洗面設備等の設備、バリアフリー
〈サービス〉
・サービスを提供すること(少なくとも安否確認・生活支援サービス)
〈契約〉
・高齢者の居住の安定が図られた契約であること、前払い家賃等の返還ルール及び保全措置が講じられていること
【事業者の義務】
・入居契約に関わる措置(提供するサービス等の登録事項の情報開示、入居者に対する契約前の説明)
・誇大広告の禁止
【指導・監督】
・住宅管理やサービスに関する行政の指導監督(報告徴収・立入検査・指示等)
*高円賃・高専賃(登録制度)、高優賃(供給計画認定制度)の廃止
*高齢者入居支援センター(指定制度)の廃止
○補助・融資・税による支援策を充実し、民間による供給を促進
○介護保険法改正による「定期巡回随時対応サービス」等と組み合わせた仕組みを普及
(備考)国土交通省HPを参考に信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
(4)介護事業者の資金需要
表12)
。約1割の自己負担分は、介護事業者が
介護事業者の行う設備投資のうち、国や地
利用者から直接受け取るが、残りの9割が最大
方公共団体、民間団体の補助金対象事業とし
3か月経たないと入金されないため、通常月商
て採尺された事業は、建設費等に補助金が出
の2∼3か月分程度の運転資金が必要となる。
るが、全額を補助金でまかなうことはできな
介護事業者を資金面から支える金融機関に
い。介護事業者に対する公的な融資として、
とって(図表13)
、今後の介護市場は、一段の市
独立行政法人福祉医療機構(WAM)の福祉貸
場拡大と民間介護事業者の増加が見込まれる
(注)9
がある。しかし、営利法人やNPO
一方、関連法制、サービス種類などが複雑多岐
法人に対する貸付は、原則、国や地方自治体
に渡り、取引推進、貸出審査において専門的な
等の補助対象事業のみを融資対象とし、貸付
知識等が求められる状況となっている。こうし
付事業
(注)10
対象施設
(事業)も限られており、すべて
たことを受けて、一部の信用金庫においては、専
(注)11
の介護事業者を網羅するものではない。
担者や専門チーム
また、介護事業者が国民健康保険団体連合
介護関連事業者を取り巻く事業環境や経営内
会(国保連)から介護報酬が入金されるまで、
容をきちんと見極めていこうという動きは、今
サービス提供時点から最大約3か月かかる(図
後ますます強まっていくことになりそうだ。
を設置する動きもあり、
(注)9.国の福祉政策に即して社会福祉法人等の民間社会福祉事業者に対して、長期・固定・低利の資金を提供する。
10.認知症高齢者グループホーム、認知症対応型デイサービスセンター、老人短期入所施設
11.専担者や専門チームでは、主に介護事業者や医療機関の「この地域に出店したい」というような情報を持った大手ハウス
メーカーやコンサルタントと情報交換を行い、情報を一元管理している信用金庫も存在した。
16
信金中金月報 2011.5
図表12 国保連の介護給付費の請求から支払までの流れ
サービス提供月の翌月
1日
10日
29日前後
審査結果通知の送付
・介護保険審査決定増減表
・介護保険審査増減単位数通知書
・請求明細書・給付管理票返戻
金融機関の
最終営業日 サービス提供から
代金回収まで
最大約3か月
かかる。
利用者自己負担
支払通知の送付
分
(1割相当)
・介護給付費等支払決定額通知書
は別途
20日前後
・介護給付費等支払決定額内訳書
・介護給付費過誤決定通知書
介護給付費の支払
請求締切日
請求受付期間
サービス提供の翌々月
(備考)1.山梨県国民健康保険団体連合会HPを参考に信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
2.審査結果通知、支払通知の送付日、介護給付費の支払日は、各国民健康保険団体連合会により異なる。
3.介護関連事業者の経営事例
ここまで見てきたように、一概に介護関連
図表13 信用金庫における医療・福祉向け貸
出先数と残高の推移
(件)
40,000
事業者と言っても事業内容や規模は多岐にわ
たる。本章では、様々な形で介護関連事業に
(億円)
20,000
17,196
15,000
35,000
12,434
参入し、地域密着で活躍する中小事業者の経
営事例を紹介する。
貸出先数
(左目盛)
医療・福祉向け貸出残高(右目盛)
32,559
30,000
10,000
26,431
(1)有限会社 大成(愛知県安城市)
25,000
5,000
当社は、愛知県額田郡幸田町で介護付有料
0
20,000
老人ホーム「ケアホーム穂の香」を経営する
事業者である(図表14)。
03.3末 04.3末 05.3末 06.3末 07.3末 08.3末 09.3末 10.3末
(備考)信金中央金庫「信用金庫統計」をもとに信金中央
金庫 地域・中小企業研究所作成
代表取締役である西英次氏は、車いすメー
カーや、老人ホーム相談員など、様々な角度
は、30床と比較的小規模な施設である。これ
から高齢者福祉に携わった経験から、「いつ
は、規模の小さな施設にすることで、入居者・
かは自身でよりよい終末を過ごしてもらえる
職員が1つの家族のようなコミュニティーを形
老人ホームを作りたい」という思いを抱くに
成できると考えているためである。
至り、当時勤務していた「かいごやさん安城
当社で実際の介護に携わる職員の平均年齢
店」から子会社として分離独立するような形
は31歳と若い。これは、当社では、採用に関
で06年11月に「ケアホーム穂の香」をオー
しては年齢・経験よりも“自ら積極的に行動
プンした。
できるか”という点を重視して採用しているた
西社長の経営方針で、
「ケアホーム穂の香」
めである。ただ、清掃作業員にはシルバー人
調 査
17
材を積極的に活用し、少しでも地域の雇用の
(2)有限会社 ひまわり
(北海道紋別郡遠軽町)
受け皿として貢献したいとも考えている。
当社は、北海道紋別郡湧別町にて住宅型有
現 在、「ケ ア ホ ー ム 穂 の 香 」 は ほ ぼ 満 室
料老人ホーム「向 日葵」を営む事業者である
で、若干の入居者の入れ替わりはあるもの
(図表15)。当社では、介護職員についての人
の、常に高い入居率が保たれている。今後
員制限の比較的緩い、住宅型有料老人ホーム
は、このように地域に根ざした小規模施設を
という形態を採用している。当社では、入居
周辺にも点在させることで、地域から必要と
者から居室費、食費、共益費を受け取り、介
される企業となることを目指しており、今春
護保険給付対象外サービスである生活相談や
に は2棟 目 の 介 護 付 有 料 老 人 ホ ー ム「ケ ア
見守りサービスも含めて提供している。「向
ホームあや音」(29床)がオープンの予定と
日葵」の入居者で、その他の介護サービスが
なっている。さらに、人材が確保できれば、
必要な人は、要介護認定を取得していれば、
ショートステイやデイサービスなどへの事業
関連会社が提供する訪問介護サービスも受け
展開も視野に入れている。
ることができる。
社長の吉田保氏は、住宅メーカーに営業と
して勤務した後、個人で運送業を独立開業し
ていた。小口配送業務で地域の家々を訪問す
図表14 介護付有料老人ホーム「ケアホーム
穂の香」外観
図表15 住宅型有料老人ホーム「向日葵」外観
当社の概要
社
名
有限会社 大成
当社の概要
代
表
者
西 英次
社
所
在
地
愛知県安城市
代
立
2005年11月
所
数
17名
設
立
2006年1月
商
約1億円
入
居
定
員
22名
容
介護付有料老人ホーム
福祉用具貸与・販売(関連会社)
業
務
内
容
住宅型有料老人ホーム
訪問介護(関連会社)
設
従
業
員
年
業
務
内
(備考)信金中央金庫 地域・中小企業研究所 撮影
18
信金中金月報 2011.5
名
有限会社 ひまわり
表
者
吉田 保
在
地
北海道紋別郡遠軽町
(備考)信金中央金庫 地域・中小企業研究所 撮影
る中で、一人暮らしの高齢者が多い一方で、
地元には介護施設や高齢者住宅が少なく、介
(3)特定非営利活動法人 鹿沼さつき会デイ
ホームさつき(栃木県鹿沼市)
護サービスを受けるには、車で1時間以上か
当社は、栃木県鹿沼市の郊外でデイサービ
かる市街地へ行かなければならないことに気
スセンター「デイホームさつき」と小規模多機
付き、地元で高齢者が安心して暮らせる施設
能型居宅介護施設「芦の子田中さん家」など
を作りたいと決心した。05年より、フラン
を展開しているNPO法人である(図表16)。
チャイズによるグループホーム経営、宅老所
理事長の田中清美氏は、もともと市内の産婦
など様々な介護事業を錯綜したが、北海道庁
人科医院に看護助手として勤務していた。そ
の福祉担当者や社会福祉協議会などと何度も
の時に、夫と長男が相次いで負傷するというア
相談を重ね、現在の住宅型有料老人ホームと
クシデントに見舞われ、自身がその介護を経験
いう形態にたどり着いた。
したことなどを契機として、自らで介護事業を
06年に「向日葵」が完成した際には、多
独立創業することを意識するようになった。
くの近隣住民から家電製品や米や野菜などの
その後は、家族の容態回復を受け、地元の介
食料品が贈られた。オープンから数年経過し
護サービス事業所が主催するホームヘルパー2
た現在でも、「少しでも食費の足しにして欲
級養成講座を修了し、その介護サービス事業
しい」と食料品を届けてくれる地域の住民も
所に転職した。そこで引き続き1年間の実務経
いるなど、地域社会に根ざした施設としての
地位を確立している。
図表16 「デイホームさつき」外観
現在、「向日葵」の隣接地に、事務所兼デ
イサービスセンターの建設を計画している。
これは、「向日葵」の入居者の中には、デイ
サービスへの需要も根強いためである。ま
た、入居者以外の地域住民からも、高齢者住
宅に入居するほどではないが、在宅で介護
サービスを受けたいというニーズも寄せられ
ており、こうした潜在的なニーズへの対応も
視野に入れている。
当社の概要
社
名
吉田社長は、「自身も地域に支えられて今
日に至っている。今後もできるだけ入居者や
地域住民の期待に応えていきたい」と考えて
いる。
特定非営利活動法人
鹿沼さつき会デイホームさつき
代
表
者
田中 清美
所
在
地
栃木県鹿沼市
立
2002年1月
設
年
業
務
内
商
約1億円
容
通所介護、小規模多機能型居宅介護
(備考)信金中央金庫 地域・中小企業研究所 撮影
調 査
19
験を積んだころ、栃木県から定員10名の通所
にグループホームを建設中で、11年4月には
介護事業
(デイサービス)
の指定を受けること
開業予定である。当社では、グループホーム
ができたことから、02年にそれまで勤務してい
の開業によって、これまで以上に地域住民の
た介護事業所をベテラン事務職員、栄養士と
ニーズに対応した総合的な介護サービスの提
共に退職し、
「デイホームさつき」を開設した。
供が可能になると考えている。
声かけ”などの家族的なサービスが利用
者の心をつかみ、開業後6か月足らずで定員
(4)株式会社 青山(北海道旭川市)
は満員状態となったため、その後、自宅を増
当社は、北海道旭川市でデイサービスセン
築して定員を25名まで拡大した。また、し
ター「希望のつぼみ」など5か所の施設を経
ばらくすると、利用者や家族、近隣住民から
営する介護事業者である(図表17)。
スポット的な宿泊サービスのニーズも寄せら
社長の青山央明氏は、もともとは言語聴覚
れるようになった。当初は、“保険外サービ
士として病院のリハビリテーション部に勤務し
ス”として柔軟に対応していたものの、鹿沼
ていた。そのころ、医療保険制度の改正で病
市で小規模多機能型居宅介護事業の公募が
院でのリハビリに制限が設けられるようになっ
あったことからこれに対応、07年11月より
た一方で、その受け皿が結局は病院以外には
新たに小規模多機能型居宅介護施設「芦の子
ないということに気づき、自らが新たにその受
田中さん家」をスタートさせた。
け皿となるような施設を作ろうと決意した。そ
当NPO法人の経営理念は、「①寄り添う介
図表17 「希望のつぼみ」外観
護―ご利用者の尊厳・自己決定を十分に理
解・重視し、自立を支援したい―、②スタッ
フの笑顔は、ご利用者の笑顔―自分の家族に
対する思いと同様にご利用者に接したい―」
である。当法人では、この経営理念のもと、
「利用者さんには、来ていただいている」と
いう意識を全職員が共有するように心がけて
いる。そして、次回も利用してもらえるよう
に、 帰 宅 す る タ イ ミ ン グ で“来 て よ か っ
た”、“また来たい”と思えるような演出を行
当社の概要
社
名
株式会社 青山
代
表
者
青山央明
うように心がけている。また、利用者家族と
所
在
地
北海道旭川市
も積極的にコミュニケーションを取り、家族
設
立
2006年9月
年
商
70名
容
通所介護、ショートステイ
ぐるみでの関わりを大切にしている。
現在では、「芦の子田中さん家」の敷地内
20
信金中金月報 2011.5
業
務
内
(備考)信金中央金庫 地域・中小企業研究所 撮影
して、06年9月に同僚の理学療法士らとともに、
また、施設内には、平行棒や背もたれ付の
リハビリの専門家が在籍するデイサービスセ
エアロバイク、フットマッサージャーといっ
ンター「希望のつぼみ」を開設するに至った。
たリハビリ関連の設備が本格導入されてい
現在は、70名のスタッフでデイサービスセン
る。これらの設備は、リハビリのプロである
ター4施設、ショートステイ1施設を経営してい
青山社長が選んだものばかりで、病院にも引
る。当社では、
「あきらめない介護」を理念に専
けをとらない。通常は大学病院クラスで使用
門的なリハビリを提供し、利用者が日常生活に
されることの多い可動式免荷装置(アンウェ
楽しみを見つけられることを心掛けている。
イシステム)を導入するなど、高度なリハビ
「希望のつぼみ」という名前は、
「全ての人に希
リが行える施設となっている。
望は必要であり、ここに来ることで明日への糧
最近では青山社長に賛同し、高い志を持っ
を提供したい」という思いの下、命名された。
た人材が道内各地から集まるようになった。
通常、介護施設では段差をなくしたり、ス
利用者(家族)に対しては、常に“おもて
ロープを設置したりするなどのバリアフリー
なしの心”をもって接するように教育し、近
化されている施設が多い。しかしながら、当
時は青山氏の高い志を受け継いだ中堅職員も
社施設の玄関にはわずかながら段差があり、
育ってきている。今後は、リハビリ設備を整
2階への移動には階段を利用するなど、この
えた有料老人ホームの開設や、高齢者向け配
手の施設の常識を超えた作りとなっている。
食サービスなどへの展開も検討中である。
また、浴室にも家庭用のサイズの浴槽と介護
用の特殊浴槽の2つが設置されている。これ
(5)有限会社 ハッピーおがわ(広島県呉市)
は、長年リハビリのプロとして在宅医療に携
当社は、広島県呉市で福祉寝具、福祉衣料
わった青山社長の、「日常に近い環境で機能
などの製造業を営む事業者である(図表18)。
訓練を行い、利用者の気持ちを前向きにし、
当社はもともと、呉市内で100年以上続く
生活の質を向上する」という理念によるもの
老舗の呉服店で、社長の小川意房氏は五代目
である。バリアフリー化された施設内では、
当主だった。当社が、福祉用具、福祉衣料品
歩行したり、入浴したりすることができる
の製造業に大転換したきっかけは、今から約
が、自宅に戻ると段差や介護設備に制約があ
30年前、小川社長の、祖母の介護の経験だっ
り、思うように生活できないという壁にぶつ
た。寝たきりとなった祖母の為に、オシャレ
かり自信を無くしてしまうというケースを数
な介護服を着せてあげようと全国の問屋や介
多く目にしてきた。しかし、当社では、施設
護施設を探し回ったが、当時はそういったも
に段差や家庭用浴槽をあえて設けることで、
のを製造している会社がどこにもなかった。
専門スタッフ介助のもと日常生活に復帰する
祖母にオシャレな服を着させてあげたいとい
リハビリを行うことを可能としている。
う思いで、当時当社が営んでいた売り場面積
調 査
21
100坪程の衣料品店の一角に介護服を作る作
図表18 本社1Fの作業場風景
業場を設け、小川氏自らが開発にあたった。
その後、小川社長が、介護服を製造している
という話を聞きつけた全国各地の人から注文
が相次ぎ、介護服の必要性を痛感した小川社
長は、現在の福祉寝具、福祉衣料品製造業に
業態を大転換し、現在に至っている。
当社の経営理念は、
「困っている人をハッ
ピーにしたい」である。福祉衣料品の製造を
開始した当時は、世の中に福祉衣料品という
ものは無く、当社の福祉衣料品作りは、ゼロ
からのスタートだった。経営理念に基づき、
身体が不自由な人でも自分で脱いだり着たり
することができるデザインを追及し、試行錯
誤を繰り返しながら現在の商品が開発された。
当社の概要
社
名
有限会社 ハッピーおがわ
代
表
者
小川 意房
所
在
地
広島県呉市
設
従
立
1868年(明治元年)
業
員
数
26名
商
約3億円
務
内
容
福祉寝具・福祉衣料品製造
年
業
(備考)信金中央金庫 地域・中小企業研究所 撮影
小川社長は、
「排泄は、人間の尊厳にかかわる
最も重要なこと」と考えており、当社の商品は、
不自由な人ほど、その人ににあったデザインが
いかにすばやく、簡単に脱げるかを最優先に
必要である」という考えによるものである。
デザインされている。また、
「全ての人にオ
これらの商品は、本社作業場でデザインさ
シャレを楽しんでもらいたい」
と、カラーバリ
れ、基本的には委託製造先に発注される。本社
エーションも豊富に揃え、特殊な機能を有した
では主に顧客から依頼されるサイズ調整や、特
衣料であるにもかかわらず、上着で6色、ズボ
注品の製造を行っている。特注品は何度も顧
ンで9色、靴下は8色展開している商品もある。
客の心身の状態を確認し、試行錯誤しながら
さらに当社では、
「往復送料・サイズ直し無
製造しており、どうしてもコストは高くなって
料」を実施している。顧客から注文があると、
しまう。しかし、当社では、
「そのコストを価格に
複数の商品をダンボールに詰めて送り、顧客は
乗せてしまうと、必要な人に商品が届かない」
それを自由に試着することができる。そして、
と通常の商品と同等の値段で販売している。
気に入った商品のみを購入し、残りは当社へ送
現在、当社の主力商品は高反発マットレス
り返す。また、試着して、不具合な商品は、無
の「ハッピーそよかぜ」である。この商品
料でサイズ直しに応じている。これは、小川
は、東洋紡績㈱のブレスエアー®という新幹
氏が「 身体が不自由な人は、健康だったとき
線の座席にも使用されている特殊な素材を使
のように自由に買い物にも行けない。身体が
用している。「ハッピーそよかぜ」は、体圧
22
信金中金月報 2011.5
分散性、通気性、速乾性に優れており、床ず
れを防止することができる。また、抗菌防臭
図表19 総合介護施設「ケアセンター」
(八幡)
の外観
加工がほどこされており、マットの上で失禁
してしまっても丸洗い可能である。当商品
は、当社のひた向きな経営方針に賛同した広
島大学名誉教授の長町三生氏を始めとする、
多くの有識者の支援によって開発された。
顧客の“ハッピー”を徹底追求した福祉衣
料セグメントの収支は厳しいのが現状で、周
囲から撤退を勧められることもある。しかし、
当社では「当社がやらなければ、誰が困って
いる人をハッピーにするんだ」という極めて
強い使命感を持っており、今後も福祉衣料品
の製造に注力していく意向である。
当社の概要
社
名
株式会社 スタッフ・アクタガワ
代
表
者
芥川 崇仁
所
在
地
静岡県静岡市駿河区
立
1999年6月
設
従
県静岡市駿河区)
当社は、静岡県中部を中心に、デイサービ
員
数
320名
商
約10億円
務
内
容
訪 問 介 護、 訪 問 入 浴、 通 所 介 護、
居宅介護支援事業、小規模多機能
型 居 宅 介 護、 地 域 包 括 支 援 セ ン
ター、福祉用具貸与・販売、介護
付 有 料 老 人 ホ ー ム、 ホ ー ム ヘ ル
パー2級養成講座 他
年
業
(6)株式会社 スタッフ・アクタガワ(静岡
業
(備考)信金中央金庫 地域・中小企業研究所 撮影
スや訪問介護、ショートステイなどの様々な
介護サービスを総合的に提供する介護施設
「ケアセンター」8か所と、介護付有料老人ホー
んで当社社員を現場に同行訪問させてもらう
などで技術やノウハウを習得していった。
ム「ハートライフ」1か所を運営する介護事業
その後、00年の介護保険制度開始ととも
者である(図表19)。
に、静岡市より在宅介護支援センター業務を
創業者で代表取締役の芥川崇仁氏は、小口
受託、静岡県中部を中心に「ケアセンター」
配送業務を請負う運送会社での勤務時代から、
の展開を開始した。さらに最近では、09年5
21世紀の成長産業は「環境・安全・福祉」で
月に静岡市で介護付有料老人ホーム「ハート
あると考えていた。その中でも比較的少ない
ライフ」を建設、11年夏の2棟目開設へ向け
資本で開業できる福祉分野に着目した。99年
ても着々と準備が進行している。
12月に1台の移動巡回入浴車を購入し、訪問
芥川社長は、 介護が必要な状態になって
入浴サービスを牧之原郡相良町(現・牧之原
も、今までと同様の生活が楽しめる介護サー
市)で開始した。開業当初は訪問入浴に関す
ビス を提供したいと考えている。しかしな
る知識やノウハウも乏しく、同業者に頼み込
がら、現在の介護保険制度では、顧客に提供
調 査
23
できるサービスが業態ごとに細かく決められ
当 社 の 今 後 の 展 開 と し て は、「ケ ア セ ン
ており、単一の介護サービスでは十分なサー
ター」を引き続き県中部地区に集中出店して
ビスが提供できないと考え、サービスの提供
いくと共に、今後の新しいサービスとして注
スタイルとして総合的な介護事業の展開を目
目されている夜間対応型訪問介護サービスで
指 し て き た。 そ れ を 具 現 化 し て い る8つ の
ある“24時間ヘルパー通報サービス”にも
「ケアセンター」では、訪問介護、デイサー
力を入れていく意向である。
ビス、小規模多機能型居宅介護、グループ
ホームとしての機能を備え、利用者・家族の
状況によって訪問から通所、宿泊まで幅広い
サービスを提供することができる。
(7)医療法人社団 康明会(東京都日野市)
当 法 人 は、 医 療 療 養 病 床96床 を 擁 す る
「康明会病院」を中核として、日野市を中心に
現在、当社では、従業員数320名(内常勤120
無床クリニック、デイサービスセンター、訪問
名、平均年齢40歳)と多くの人材を抱えてい
看護ステーション、小規模多機能ホーム、地
る。当社 では、どの 職 員が 介 護 サービスを
域包括支援センターなどを展開する、地域に
行っても同様に満足されるサービスを提供で
根ざした医療法人である(図表20)。
きるようにサービス等をマニュアル化(商品
図表20 医療介護連携型高専賃「風のガーデン」
化)
するなど、人材育成と品質管理に注力、03
年8月には県内の民間介護事業者として初め
てのISO9001を認証取得するに及んでいる。
人材育成に関しては、社内に22の検定試
験を設け、履修度合いに応じて昇進昇格する
といった人事システムを採用している。この
人材育成プログラムでは、目に見える形で
キャリアアップを啓発することで、職員のモ
チベーションも向上し、スキルも上昇させる
ことが可能となっている。その結果、当社の
離職率は10%程度と、業界平均17%に比べて
低い水準にある。また、当社では、芥川社長
が地元の静岡福祉大学(焼津市)で「福祉と
当社の概要
社
名
医療法人社団 康明会
代
表
者
田中 基樹
所
在
地
東京都日野市
立
1993年12月
設
病
数
96床(医療療養)
診
療
床
科
目
内科、老年内科、循環器内科、胃
腸内科、放射線科、リハビリテー
ション科
業
務
内
容
訪問介護、通所介護、居宅介護支
援事業、地域包括支援センター、
医療・介護連携型
高齢者専用賃貸住宅
経営」についての講師を務めていることなど
と相俟って、独自に“ホームヘルパー2級養
成講座”を開講しており、優秀な人材の早期
発見、囲い込みにも力を入れている。
24
信金中金月報 2011.5
(備考)信金中央金庫 地域・中小企業研究所 撮影
もともと高齢 者を中心に外来と入院診 療
者医療の担い手としての存在感を高めている。
サービスする病院からスタートしていた当法人
こうしたなかで、07年5月より医療法人に
では、98年に在宅介護支援センターやデイケ
よる適合高齢者専用賃貸住宅(適合高専賃)
アセンターを開設したことから、本格的に介護
等の一定の賃貸住宅の整備・管理が認めらた
事業を手がけるようになった。
「地域を支え、
ことを受け、当法人においても有料老人ホー
地域に支えられる医療」という理念のもと、
ムよりも利用者の自由度が高く、プライバ
医療と介護を手がける同法人は、現在では地
シーも保護され、入居に際しても高額な費用
域社会に必要不可欠な存在となっている。
がかからない高専賃に着目するようになった。
最近の医療機関では、診療報酬のマイナス
こうした経緯を経て、10年11月には東京都の
改定などにより減収が続き、赤字化する病院
医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅モデル
も増加している。当法人においても、
「従来の
事業(図表21)の第1号として、日野市内に
外来患者を待っているだけの受身の経営では
「風のガーデン」をオープンするに至った。
いけない」といった問題意識を持つ一方で、
「風のガーデン」では、高専賃でありなが
都市部を中心に“医療・介護難民”と呼ばれ
ら、経験豊富な介護職員(介護福祉士)が24
る高齢者に着目。
「介護を国や特養、老健など
時間365日ワーデン(管理人)として常駐し、
に任せるのではなく、民間病院が『新しいホ
日常ケアの手伝いや生活相談を受ける。同一
スピタリティ』の提供主体になるべき」といっ
建物内にはデイサービスセンターも併設され
た考えのもと、介護事業に本格進出した経緯
ているほか、同一敷地内には訪問看護ステー
がある。介護事業に進出することで、患者や
ションも設置されている。また、入居者は当
その予備軍と接する機会も増え、地域の高齢
法人が運営するクリニックの24時間訪問診療
図表21 東京都 医療・介護連携型高齢者専用賃貸住宅モデル事業
高専賃
(見守り等サービス付き)
住宅には、
入居者の
生活相談や、
各種サービス
の取次ぎなど、
コーディネート
する人材を
配置する。
フォーマル
サービス
ケアマネ
訪問看護
見守り・安否確認
緊急時対応等
入居者
管理人室
フォーマルサービス
通所介護
サービスの契約
住宅運営者
通所リハ
など
コーディネーター
併設事業所を利用するか、
他の事業所を利用するかは、
入居者の自由
テナント
小規模多機能型居宅介護等
診療所
訪問看護ステーション
(備考)東京都HPを参考に信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
調 査
25
のサービスを受けることができ、必要があれ
ば康明会病院に入院することもできる。ちな
図表22 介護付有料老人ホーム「レストヴィ
ラ八王子片倉」の外観
みに、康明会病院では、介護サービス利用者
の入院受け入れのため、随時ベッドを5床程
度 空けている。同法 人 では、今 後も「風の
ガーデン」と同様の事業モデルによる医療・
介護連携型の高専賃を新たに近隣で開設する
ことも検討中で、生活支援サービスを担う医
療法人としての地盤を着実に固めつつある。
なお、
「風のガーデン」は、地元の多摩信用
金庫が主催する「多摩ブルー・グリーン賞」
当社の概要
社
名
(新しいビジネスモデルにより地域経済の発展
に貢献した中小企業等を表彰)の経営部門
(多摩グリーン賞)で、第8回(10年度)の最
代
表
者
清水 邦晃
所
在
地
東京都大田区
設
従
優秀賞を受賞している。
立
1992年11月
業
員
数
4,687名(11年3月1日時点)
商
174億円
務
内
容
介護付有料老人ホーム、住宅型有
料老人ホーム、居宅介護支援事業、
訪問介護、訪問看護、通所介護
年
業
(8)ワタミの介護 株式会社(東京都大田区)
当社は、居酒屋チェーン
「和民」
などを展開す
ワタミの介護 株式会社
(東証1部上場企業ワタミ㈱の連結
子会社)
(備考)写真はワタミの介護㈱提供
るワタミ㈱
(東証1部上場)
のグループ企業(図
め、当社では“自分の親にしてあげたい介
表22)
。ワタミグループ創業者の渡邉美樹氏が、
護”を追及している。異業種から参入したか
とある経緯から病院の経営改善に取り組むな
らこそ、従来の介護を客観的にみることがで
(注)12
かで、医療療養病床での
“社会的入院
”に
き、従来の介護の“当たり前”を見つめ直す
問題意識を持ち、これに対して自社で何か貢
ことにもつながっている。
献できないかと検討してきた。その結果、外
当社の展開する介護付有料老人ホーム(64
食事業で培った食事や接客ノウハウという強
棟、11年3月現在)
「レストヴィラ」
「レヴィータ」
みを生かせる介護事業への参入を決意、05年
で提供される食事は、通常食、介護食とも味、
㈱アールの介護の全株式を取得、06年にワタ
見映え、栄 養 バランス、素 材に外 食 事 業で
ミの介護㈱に社名変更し本格展開を開始した。
培ったノウハウが集結されている。素材には、
当社の経営理念である「ホームは、ご入居
自社農場「ワタミファーム」から届く有機野菜
者様の幸せのためだけにある」を実践するた
や、外食事業の仕入れ力を生かし、全国から
(注)12.入院による治療の必要性が低くなっていながら、帰る家がない、引き取り手がいない、独居で家庭に介護者がいない、後
遺症があって動けないなどの理由で入院の続く状態
26
信金中金月報 2011.5
旬の海の幸、山の幸を調達し使用している。
コスト管理を徹底して行っている。また、当
また、最終調理は必ずホームで行い、常に入
社では、基本的にホームの土地建物は自社所
居者に出来たての温かい食事を提供している。
有せず、リースバック方式を採用することで
当社では、入居者に自分らしい暮らしを長
イニシャルコストの削減にも努めている。
く楽しんでもらうために、「4大ゼロ」(おむ
当社では、
“総量規制
つゼロ、特殊浴ゼロ、経管食ゼロ、車椅子ゼ
されるのは、次の介護保険法改正のタイミン
ロ)に取り組んでいる。こうした取組みは、
グになると考え、現在は関東を中心に介護付
サポートする職員の業務量を増加させるが、
有料老人ホームを展開しているが、今後は大
「ホームは、ご入居者様の幸せのためだけに
(注)13
”が本格的に解除
阪、名古屋などにも展開していく意向である。
ある」という経営理念に従って、人員配置を
厚くすることなどで対応している(入居者1
4.介護保険制度導入後の10年と求め
られる介護事業者像
人に対して職員2.5人)。
また、定期的に開催しているアクティビ
(1)介護保険制度導入後の10年を振り返る
ティ(レクリエーション)では、月に1度全
00年に介護保険制度がスタートして10年
ホームのアクティビティ担当者を対象とした
が経過した。介護保険制度導入によって、従
研修・会議を実施し、内容の充実に努めてい
来は国や行政主導で行われていた高齢者福祉
る。アクティビティの中には、外食事業の経
に、民間企業からの参入が相次いだ。この
験を生かした“寿司キャラバン”や“居酒屋
10年 の 間 に 介 護 サ ー ビ ス 利 用 者 は 倍 増 し、
キャラバン”といった食事イベントも企画さ
介護保険制度は国民の老後を担う重要なイン
れ、入居者の好評を得ている。
フラへと成長した。しかし、その一方で、大
なお、10年2月期の当社の売上高営業利益率
手介護事業者による介護報酬不正請求事件、
は15%強と、他の上場介護関連事業社と比較し
有料老人ホームや介護サービス業者との契約
ても高水準である。この要因としては、高い
内容を巡るトラブルなど、介護事業者を取り
入居率の維持、新設ホーム入居者の早期確保、
巻く問題も次々と表面化し、解決を模索しな
徹底した計数管理等が挙げられる。ちなみに
がら現在11年目を迎えている。
「レストヴィラ」の入居率は93.6%(10年10月末)
介護保険制度も導入後まだ10年と新しい
と高水準を維持している。新設ホーム開設の
制度であり、今後ますます高齢化が進むと予
際は、予定地から半径5∼10km圏内の要介護
測されているわが国においては、増加の一途
者数、競合施設等を徹底的にマーケット調査
を辿る給付費を巡る財源問題、介護職員の処
し、オープンから満室化までの時間短縮に務
遇改善問題といった、制度自体の問題点も指
めている。計数管理では、外食事業で培った
摘されている。25年には、いわゆる「団塊の
(注)13.信金中央金庫 地域・中小企業研究所ニュース&トピックス(2010.12.28付)参照
調 査
27
世代」が全員75歳以上になり、総費用は19∼
出や報告等の複雑な規制に沿った的確な運営
24兆円、必要とされる人材は212∼255万人と
(コンプライアンス)を求められる。また、新
予測されている。現状の介護給付費の財源構
しい産業ゆえに業界経験者の不足、介護職員
造のままで、将来必要とされている財源をま
の担い手不足、社会性や公共性といった、介
かなうことが可能なのか、利用者の負担は現
護業界独特の経営の難しさも存在する。
行(一律1割)のままでよいのか等、わが国
2度の介護報酬のマイナス改定と介護事業
の社会保障を担う制度として、さらなる議論
者数の増加に伴い、07年以降倒産する介護事
が必要であろう。
業 者 が 増 加し て いる(図 表23)
。09年 に は、
また、介護職員が、今後大量に必要となっ
介護報酬がプラス改定されたものの、すでに
ていくなか、処遇改善問題を内包したままで
介護サービスが供給過剰な状態となっている
は、介護の担い手不足を解消できないのでは
地域もみられ、経営難に苦しむ介護事業者や
といった懸念もある。現状、交付金や助成金
倒産・廃業を余儀なくされている介護事業者
といった100%国費で介護職員の給与水準を
も少なくない。さらに、介護事業者が経営難
“底上げ”しているが、このことも介護給付
や倒産・廃業により事業から撤退してしまう
費と同様に財源の問題を考慮すれば、必ずし
と、有料老人ホームなどを利用している利用
も持続可能なものとはいえない。今後、介護
者やその家族が、路頭に迷ってしまうことさ
の担い手が大量に必要となる中で、介護職員
えあるのが現実だ。高齢者福祉の担い手であ
の ス キ ル ア ッ プ に 対 す る 道 筋 を 示 し つ つ、
る介護事業者は、第2章で述べた公共性や倫
個々の能力に応じた対価が受け取れるような
システムも構築していかなければならないの
図表23 老人福祉事業者の倒産件数推移
(件数)
ではないだろうか。
(2)増加する介護事業者と競争激化
40
30
32
26
介護保険制度導入により、民間企業にも介
23
20
護市場への門戸が開かれ、この10年で民間の
介護事業者は急増した。介護事業者の中に
は、病院や薬局等のヘルスケア関連の業種か
らの参入、建設業や飲食業、運送業といった
まったくの異業種からの参入、新たに介護事
業で創業した者等、様々な事業者が存在する。
しかし、介護は今後も成長する市場とされ
ている一方で、介護事業は、行政への各種届
28
信金中金月報 2011.5
17
10
1
0
01
7
2
02
4
4
4
03
04
05
06
07
08
09
10
(年)
(備考)1.㈱帝国データバンク「医療機関・老人福祉事業
者の倒産動向調査」を参考に信金中央金庫 地域・
中小企業研究所作成
2.老人福祉事業者は、養護老人ホーム、特別養護
老 人 ホ ー ム、 経 費 老 人 ホ ー ム、 老 人 福 祉 セ ン
ター、老人デイサービスセンター、老人短期入所
施設の運営及び移動入浴サービス、在宅介護サー
ビスを行っている事業者を対象
理性と同時に、利用者に安心して利用し続け
られることを担保すべく、事業の継続性につ
いても強く求められているものと思われる。
今後も中長期的に拡大が見込まれる介護市場
は、その成長性は疑う余地がない。しかし、
利用者満足の向上、制度変更への的確な対
応、 人 材 の 確 保・ 育 成、 収 益 力 向 上 な ど、
個々の事業者にとっては、個々の経営力が問
われる状況が続くことに変わりはないだろう。
おわりに
図表24 有料老人ホーム選びの注意点
1.居室は個室か、介護はどこで受けるか
2.一時金は何のために払うか、退去するときは戻
るのか
3.入居率、退去者数と退去先をみて、ホームを比較
4.夜間の勤務職員数と有資格者数
5.倒産の心配のない経営内容か
6.介護サービスの有無と費用
7.重要事項説明書と契約書を事前に確認
8.体験入居する
9.介護の現場をじっくり観察する
10.成年後見制度を利用する
(備考)国民生活センター「有料老人ホームをめぐる消費
者問題に関する調査研究(06年3月)」をもとに信金
中央金庫 地域・中小企業研究所作成
利用者にとっての介護事業は、介護保険制
排泄が一人ではできない」、「低下した機能を
度導入によって、利用者が自ら介護事業者を
回復させたい」、「安心して老後を送ることが
選択、契約し、サービスを受けるものへと変
できる、終の棲家に住まいたい」等の目的を
化した。今日、介護事業者数は年々増加して
達成する為に、自身の“命”そのものを介護
いるがその一方で、経営難により倒産・廃業
事業者に委ね、介護サービスを利用している
を余儀なくされる介護事業者や、有料老人
のが実情だ。
ホーム等の高額な入居一時金等を巡り利用者
今回、事例で取り上げた介護関連事業者で
との間でのトラブルを抱えている介護事業者
は、「あきらめない介護」、「利用者と職員が
も散見されることは、国民生活センター等に
家族のような関係を構築」、「親にしてあげた
苦情や相談が寄せられていることからも明ら
い介護」といった強い理念や「何かあったら
かである(図表24)。
すぐに系列病院に入院できる」という強みを
今後も拡大が見込まれる一方で、競争も激
持ち、それを全職員と共有しているケースが
しくなっている介護市場で、“求められる介
多かった。
護事業者像”とは、どのようなものなのだろ
利用者やその家族は、自身や大事な家族の
うか。
“命”をより安心して託すことができる介護
利用者やその家族が介護サービスや施設等
事業者を求めている。こうしたなかで介護事
を利用する目的は、利用者の心身の状態、家
業者として大切なことは、理念や強みを利用
庭環境、経済状況等によって異なる。しかし
者や家族にきちんと理解してもらい、信頼し
ながら、利用者に共通していることは、要介
て身を委ねてもらえるような信頼関係の構築
護認定を受けている“身体的に弱者”である
であろう。利用者やその家族と強固な信頼関
ということである。その利用者が、「食事や
係を築けている介護事業者こそが、今後の日
調 査
29
本の高齢化社会を担っていくべき存在といえ
るためには、業況や財務のみにとらわれるの
るのではないだろうか。
ではなく、介護の現場に足を運び、利用者や
また、全国各地の地域社会における高齢化
介護職員の状況、評判などにも気を配り、地
の進展は、地域社会全体で支えていくことの
域に根ざした経営がなされているか確認する
重要性が今後ますます高まっていくものと考
必要がある。そして、地域に根ざし、地域か
えられる。その重要な担い手である地域の介
ら必要とされている介護事業者の事業展開を
護事業者を金融面から支える立場にあるのが、
経営ソフト面から支えていくことが、高齢化
地域金融機関である信用金庫の役割ではない
社会を迎えたわが国における信用金庫の責務
だろうか。支援すべき事業者を的確に見極め
ではないかと考える。
〈 参考文献 〉
㈱ヒューマン・ヘルスケア・システム『シニア・コミュニティ』(各号)
厚生労働省編『平成22年度版 厚生労働白書』
坂本光司『ちっちゃいけど、世界一誇りにしたい会社』ダイヤモンド社(2010年3月)
社会保障審議会介護保険部会『介護保険制度の見直しに関する意見』
独立行政法人福祉医療機構『WAM』㈱法研(各号)
内閣府編『平成22年度版 高齢社会白書』
松田尚之『介護・福祉業界大研究』産学社(2009年10月)
30
信金中金月報 2011.5
調
査
中国経済金融動向
−第12次5か年計画実施に向けて−
信金中央金庫 信金業務支援部 海外業務支援センター上席審議役
篠崎 幸弘
(キーワード)中国経済、12次5か年計画、最新動向、外資利用、省エネ環境、外資政策
(視 点)
世界的な金融危機からいち早く立ち直った中国経済は、10年も引続き好調で実質GDP成長
率は10.3%増と、07年以来、3年ぶりの2桁成長となった。物価上昇、不動産価格の高騰によ
り、金融引締め、人民元対米ドル相場の人民元高容認などの政策がとられている。
また、11年から始まる第12次5か年計画では、さらなる発展に向けて、格差是正、省エネ・
環境保全といった課題解決に関する諸施策が盛り込まれることとなった。こうしたビジネス
環境の変化は、信用金庫取引先の対中ビジネスにも大きな影響を与えることとなる。
そうした状況下、筆者は、昨年(10年)11月に上海を訪問する機会を得た。本レポートで
は、その後の状況も踏まえて、中国経済金融動向について報告することとしたい。
(要 旨)
10年の中国の名目GDPは、39兆7,983億元(5兆8,790億ドル)となり、日本(5兆4,740億ド
ル)を上回り世界第2位となった。中国のGDPは、00年が9兆9,215億元であり、直近10年
で約4倍に拡大した。10年の実質GDP成長率は前年比10.3%増となり、07年以来、3年ぶり
の2桁成長である。
消費者物価上昇率(月ベース)は、10年12月が前年同月比4.6%と08年9月の水準まで達し
た。中国政府は、インフレ抑制に力を注いでおり、人民元対米ドル相場の人民元高容認、
貸付基準金利の引上げ等の対策がとられている。
不動産価格は、度重なる不動産価格抑制策にもかかわらず、10年11月以降、再び上昇傾向
が見られる。庶民にとって、マイホームが高値の花である状態は、当面続きそうである。
中国経済は、
「格差拡大」
、「環境問題」といった矛盾を抱えており、11年から始まる12次5
か年計画では、さらなる発展に向けて、格差是正、省エネ・環境保全といった課題解決に
関する事項が重要な政策を占めている。
02年6月に公布された中華人民共和国中小企業促進法(主席令第69号)により、本格的な
取組みが始まった中小企業支援は、全国各地に、中小企業支援センターや保証機関が設立
されたほか、中小企業共同手形制度の創設や銀行における中小企業専担部署の設置等新た
な取組みが行われている。
調 査
31
11.9%増、第2四半期
(4−6月)
10.3%増
(第3四半
1.中国経済概況
期
(7−9月)
9.6%増、第4四半期
(10−12月)
9.8%
増となり、安定基調がうかがわれる
(図表2)
。
(1)中国経済は10%を超える高成長
10年 の 中 国 の 名目GDPは、39兆7,983億 元
産業別に見ると、第1次産業が4兆497億元,
(5兆8,790億ドル)となり、日本(5兆4,740億
第2次産業が18兆6,481億元、第3次産業が17兆
ドル)を上回り世界第2位となった。中国の
1,005億元となった。産業別成長率は、第1次産
GDPは、00年が9兆9,215億元であり、直近10
業が4.3%増,と相対的に低い状況にある。第2
年で約4倍に拡大した(図表1)
。
次産業のGDP成長率は12.2%増、第3次産業が
10年の実質GDP成長率は前年比10.3%増と
9.5%増であり、09年、10年は第2次産業の成長
なり、07年以来、3年ぶりの2桁成長である。
率が第3次産業の成長率を上回った
(図表3)
。
四 半 期 ベ ー ス で は、第1四 半 期
(1−3月 )
10年の産業構成比は、第2次産業が46.9%
図表1 中国のGDP(年ベース)の推移
(億元)
(%)
450,000
16.0
GDP
(名目)
実質成長率
400,000
14.0
350,000
12.0
300,000
10.0
250,000
8.0
200,000
6.0
150,000
100,000
4.0
50,000
2.0
0
0.0
80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10(年)
(備考)中国統計年鑑および中国国家統計局ホーム・ページより作成
図表2 中国のGDP成長率(四半期ベース)の推移
(%)
14.0
12.0
11.3
11.9
10.8
10.0
11.4
9.7
10.3
9.7
7.6
8.0
6.0
9.6
9.8
8.2
6.6
4.0
2.0
0.0
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
08
(備考)中国国家統計局ホーム・ページより作成
32
信金中金月報 2011.5
2Q
3Q
09
4Q
1Q
2Q
3Q
10 (年)
4Q
図表3 中国の産業別GDP成長率の推移
(%)
18.0
第1次産業
16.0
第2次産業
14.0
第3次産業
12.0
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
0.0
00
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
(年)
(備考)中国統計年鑑および中国国家統計局ホーム・ページより作成
ともっとも高く、第3次産業が43.0%で続い
13.7%増、集団企業9.4%の順となった。
ている。第1次産業のシェアは、年々低下し
10年の全輸出入総額は、前年比34.7%増の
ており、10年では10.2%とぎりぎり10%台を
2兆9,728億 ド ル と な っ た。 輸 出 は 前 年 比
キープしている(図表4)。
31.3%増の1兆5,779億ドル、 輸入は1兆3,948
工業付加価値額は、前年比15.7%増(第1
億ドルとなった。昨年がリーマン・ショック
四 半 期19.6% 増、 第2四 半 期15.9% 増、 第3四
により10%台半ばの減少であったこともあ
半期13.5%増、第4四半期13.3%増)と高い伸
り、ここ10年で3番目に高い伸びとなった。
びを示している。所有形態別では、株式会社
また、全輸出入総額、輸出額、輸入額と
が前年比16.8%増ともっとも高い伸びとなっ
も、08年 比 で そ れ ぞ れ16.0% 増、10.3% 増、
た。続いて、外資企業の14.5%増、国有企業の
23.1%増とリーマン・ショック前の水準を上
図表4 中国の産業別GDP構成比の推移
(年)
00
15.1
01
14.4
02
13.7
44.8
41.5
03
12.8
46.0
41.2
04
13.4
46.2
40.4
05
12.1
47.4
40.5
06
11.1
47.9
40.9
07
10.8
47.3
41.9
08
10.7
47.4
41.8
09
10.3
46.2
43.4
10
10.2
46.9
43.0
0
39.0
45.9
45.2
20
40
第1次産業
第2次産業
第3次産業
40.5
60
80
100
(%)
(備考)中国統計年鑑および中国国家統計局ホーム・ページより作成
調 査
33
図表6 中国の国定資産投資動向(10年)
図表5 中国の輸出入額の推移
(億ドル)
(単位:億元、%)
35,000
投資額
輸出
輸入
貿易総額
30,000
25,000
固定資産投資全体
都市部
増加率
278,140
23.8
241,415
24.5
20,000
第1次産業
−
18.2
15,000
第2次産業
−
23.2
第3次産業
−
25.6
東部地区
−
22.8
中部地区
−
26.9
西部地区
−
26.2
36,725
19.7
10,000
5,000
-
00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10
農村部
(年)
(備考)中国統計年鑑および中国国家統計局ホーム・ペー
ジより作成
(備考)中国国家統計局ホーム・ページより作成
回っている(図表5)。
増 の1,067億 ド ル と な っ た。 契 約 件 数 は、
ま た、 固 定 資 産 投 資 全 体 で は、 前 年 比
リーマン・ショック前の08年(27,514件)と
23.8% 増 の27兆8,140億 元 と な っ た。 そ の う
ほぼ同水準に回復した。一方、外資実行額は
ち都市固定資産投資は、前年比24.5%増の24
08年比でも14.4%増と過去最高を記録した。
兆1,415億元であり、農村部は前年比19.7%増
好調な中国市場を目指した新規および拡張投
の3兆6,725億元であった。不動産投資は、前
資が続いていると見られる(図表7)。
年 比33.2% 増 の4兆8,267億 元 と09年 の16.1%
(2)消費者物価は上昇傾向
増を大きく上回った(図表6)。
10年の外国投資契約件数は、前年比16.9%
10年の消費者物価上昇率(年ベース)では、
増の27,406件、外資実行額は、前年比17.4%
前年比3.3%と07年の前年比4.8%、08年の前年
図表7 中国の外国投資の動向
(億ドル)
(件)
1,200
90,000
外資実行額
契約件数
1,000
80,000
70,000
60,000
800
50,000
600
40,000
30,000
400
20,000
200
10,000
0
0
90
95
(備考)中国統計年鑑および中国経済景気月報より作成
34
信金中金月報 2011.5
00
05
10
(年)
図表8 中国の消費者物価、工業品出荷価格の動向(年ベース)
(%)
8.0
4.0
4.9
4.8
3.9
0.4
00
-2.0
5.5
5.9
3.0
2.8
2.0
-
6.9
6.1
6.0
2.3
0.7
01
-1.3
02
1.8
1.2
-0.8
3.3
3.1
03
04
1.5
05
06
-0.7
07
08
09
10
-2.2
-4.0
工業品出荷価格
消費者物価
-6.0
-5.4
-8.0
(備考)中国統計年鑑および中国経済景気月報より作成
図表9 中国の消費者物価、工業品出荷価格の動向(月ベース)
15.0
10.0
工業品出荷価格
消費者物価
10.1
8.7
7.1
5.9
5.0
4.6
0.0
-1.8
-5.0
-8.2
-10.0
08年6月
09年6月
10年6月
(備考)中国国家統計局ホーム・ページより作成
比5.9%の水準には達していない(図表8)。
(3)不動産価格は、再び上昇傾向
しかしながら、月ベースでは、10年12月
09年前半から徐々に高騰し始めた不動産
が前年同月比4.6%と08年9月の水準まで達し
価格は、10年4月、9月に出された不動産取
ている(図表9)。
引抑制策、全国の主要都市で導入された購入
中国政府は、インフレ抑制に力を注いでい
制限などにより一時横ばいとなった
(図表11)
。
る。輸入製品価格上昇の抑制や輸入原材料・
10年4月は融資規制により取引が一時的に
燃料価格の高騰による国内製品価格への影響
少なくなり、大手不動産会社の中には、全国
を防止するため、人民元対米ドル相場の人民
一律15%オフを始めたところがあった。市場
元高がこれまでになく容認されている。
価格が10∼20%下がってきた8月後半から9月
また、2月9日には、春節明けの物価上昇
にかけて反転し売れ始めた。10月4日にさら
を抑えるべく、貸付基準金利の引上げ等の対
に厳しい融資規制が行われ、取引量は3割減
策がとられている(図表10)。
少したと言われるが、それでも投売りはな
調 査
35
図表10 中国の貸付基準金利等の推移
貸付基準金利
(単位:%)
種類
期間
短期貸付金利
長期貸付金利
04.10.29 06.4.28 06.8.19
07.3.18
07.5.19
07.7.21 07.8.22 07.9.15 07.12.21 08.9.16
08.10.9 08.10.30 08.11.27 08.12.23
10.10.
10.12.26 11.2.9
6か月以内
5.22
5.40
5.58
5.67
5.85
6.03
6.21
6.48
6.57
6.21
6.12
6.03
5.04
4.86
5.10
5.35
5.60
1年以内
5.58
5.85
6.12
6.39
6.57
6.84
7.02
7.29
7.47
7.20
6.93
6.66
5.58
5.31
5.56
5.81
6.06
3年以内
5.76
6.03
6.30
6.57
6.75
7.02
7.20
7.47
7.56
7.29
7.02
6.75
5.67
5.40
5.60
5.85
6.10
5年以内
5.85
6.12
6.48
6.75
6.93
7.20
7.38
7.65
7.74
7.56
7.29
7.02
5.94
5.76
5.96
6.22
6.45
5年超
6.12
6.39
6.84
7.11
7.20
7.38
7.56
7.83
7.83
7.74
7.47
7.20
6.12
5.94
6.14
6.40
6.60
預金金利
(単位:%)
種類
期間
普通預金
定期預金
07.3.18
07.5.19
−
04.10.29 06.4.28 06.8.19
→
→
→
→
→
07.7.21 07.8.22 07.9.15 07.12.21 08.9.16
0.81
→
→
0.72
→
08.10.9 08.10.30 08.11.27 08.12.23
→
→
0.36
→
10.10.
→
10.12.26 11.2.9
→
0.40
3か月
→
→
1.80
1.98
2.07
2.34
2.61
2.88
3.33
→
3.15
2.88
1.98
1.71
1.91
2.25
2.60
6か月
2.07
→
2.25
2.43
2.61
2.88
3.15
3.42
3.78
→
3.51
3.24
2.25
1.98
2.20
2.50
2.80
1年
2.25
→
2.52
2.79
3.06
3.33
3.60
3.87
4.14
→
3.87
3.60
2.52
2.25
2.50
2.75
3.00
2年
2.70
→
3.06
3.33
3.69
3.96
4.23
4.50
4.68
→
4.41
4.14
3.06
2.79
3.25
3.55
3.90
3年
3.24
→
3.69
3.96
4.41
4.68
4.95
5.22
5.40
→
5.13
4.77
3.60
3.33
3.85
4.15
4.50
5年
3.60
→
4.14
4.41
4.95
5.22
5.49
5.76
5.85
→
5.58
5.13
3.87
3.60
4.20
4.55
5.00
(備考)中国人民銀行ホーム・ページ等より作成
図表11 中国の不動産価格指数の動向(月ベース)
120
115.4
新建住宅价格指数前年同月比
115
新建住宅价格指数前月比
房屋鎖售价格指数前年同月比
110
112.8
房屋鎖售价格指数前月比
107.6
105
106.4
100
95
90
85
09年3月
09年6月
09年9月
09年12月
10年3月
10年6月
10年9月
10年12月
(備考)中国国家統計局ホーム・ページより作成
かった。10月の追加住宅価格抑制策後に行
件があれば考える人が50%、影響なしとする
われた上海でのアンケート調査でも、その傾
人が23%と7割の人は引続き購入意欲が高い
向は顕著である。アンケート結果では、マン
といった結果となった。価格についても、大
ション価格が高すぎると思っている人は90%
幅な下落はないとする人が7割を占めている。
を占める。抑制策は前回(4月)に比べて厳し
10年11月以降、再び上昇傾向が見られ、11
いという人は32%、変わりなしという人が2
年1月には、新たな抑制策により、2軒目の購
倍の64%とされた。購入計画に対する影響
入にあたっては、頭金が50%以上から60%以
は、購入を控えるという人は27%で、良い物
上へと引き上げられた(金利は基準金利の1.1
36
信金中金月報 2011.5
倍は変更なし)
。さらに、北京、上海、深圳、
なる人民元高へ向けて推移すると見られる。
重慶の各市では、個人向けの固定資産税であ
人民元対米ドル相場は、毎年3月に開催され
る「房産税」の試験的導入が始まりつつあ
る全人代の前には相場変動が小さくなる傾向
る。度重なる不動産価格抑制策にもかかわら
にあった。しかしながら、11年は、インフ
ず、庶民にとって、マイホームが高値の花で
レ抑制が喫緊の課題となっており、輸入製品
ある状態は、当面続きそうである。
価格上昇の抑制や輸入原材料・燃料価格の高
騰による国内製品価格への影響を防止する観
(4)人民元相場は、元高へ
点 か ら 人 民 元 高 が 容 認 さ れ て い る。 ま た、
05年7月21日に人民元対米ドル相場は、2%
「走出去」と言われる中国企業の海外進出に
切り上げられた後、徐々に速度を上げて元高
対する支援の観点からも、当面人民元高傾向
ドル安が進行してきた。
が続くと思われる。
しかしながら、08年中盤以降、輸出減退、
米国発金融危機等の影響により、人民元対米
2.第12次5か年計画
ドル相場は、2年近く横ばい状態が続くこと
10年10月18日、 中 国 共 産 党 第17期 中 央 委
となる。
員 会 第5回 全 体 会 議 に お い て、「国 民 経 済・
10年6月下旬から、再び元高ドル安が徐々に
社会発展第12次5か年計画(以下「十二五」
進行し、11年3月4日現 在、1米ドル=6.5671元
という。)の骨子」が決定された。決定され
まで上昇している(図表12)。
た骨子は、12章56項目から構成される。第
今後、人民元相場は、①中国自身の判断に
12次5か年計画は11年から15年までの経済大
よる、②徐々に、③中国の利益となる(中国
綱であり、骨子にもとづき、全人代に向けて
が損をしない)という点に配慮しつつ、さら
細部が決められていくこととなる。
図表12 中国人民元の対米ドル相場の推移
元
(1ドルにつき)
8.40
8.20
8.00
7.80
7.60
7.40
7.20
7.00
6.80
6.60
6.40
05年06月 05年12月 06年06月 06年12月 07年06月 07年12月 08年6月 08年12月 09年6月 09年12月 10年6月 10年12月
(備考)中国国家外貨管理局ホーム・ページより作成
調 査
37
十二五の骨子冒頭では、2006年から10年
得層の実質賃金のアップであり、もう1つは
までの第11次5か年計画の成果を振り返ると
社会保障制度の充実にあると思われる。賃金
ともに、十二五における内外情勢および指導
上昇により所得の増加を図る一方、賃金上昇
思想について触れている。十二五の指導思想
をどれくらい製品価格に転嫁できるのか、そ
(注)1
は、引続き鄧小平理論(先富論)
と三つの
して、製品価格の上昇は、実質賃金の低下の
代表(注)2とし、胡錦濤国家主席が提唱する科
みならず国際競争力の低下にも繋がってい
学的発展観をもって、経済社会の健全な発展
く。そこには、難しい経済運営が見え隠れし
を目指すと見られる。また、経済に加え、政
ている。また、社会保障制度の整備は、第
治、文化、社会等の改革を推進するとしてい
11次5か年計画で本格的な取組みに入ったと
る点も注目される。
ころであり、企業に新たな負担が課されるこ
特に、第11次5か年計画の成果の振返りで
ととなっている。
は、
「金融危機や四川大地震等重大な自然災害
また、矛盾ということでは、省エネ・環境
にみまわれたものの、5年間の努力により、国
問題も大きな課題である。中国経済のさらな
力は増強し、人々の生活水準も向上した。北
る発展を考える際、これまでの資源大量消費
京オリンピック、上海万博も成功し、中国の
型の生産技術ではすぐに限界に到達してしま
国際的な地位も向上した」と自讃する一方で、
うであろう。資源節約型、省エネ型の高度生
「いろいろな矛盾も存在している」としている。
産技術が必要となってくる。さらに、環境配
矛盾(課題)
について、具体的な記述はなかっ
慮型経済でなくては、豊かな人民生活は過ご
たものの、矛盾の解消こそが、十二五の大き
せない。まさに、中国の産業構造の転換が必
な課題となってくることは、間違いない。
要となっているのである。したがって、十二五
これまで、先富論では「先に豊かになれる
では、さらなる発展に向けて、格差是正、省
人が豊かになり」といった前段部分が強調さ
エネ・環境保全といった課題解決に関する事
れてきた。先に豊かになれる人が確かに豊か
項が重要な政策を占めている。
になったが、一方で都市と農村、東部と中西
十二五期間中の経済成長率の目標は、第
部等格差が拡大している。今こそ、前段部分
11次5か年計画の目標値7.5%から0.5%引き下
に続く「豊かになった人は他の人も豊かにな
げて、年平均7%とした。より、成長の内容
れるように助ける」という後段部分の実践が
を意識した目標となっている。なお、11年
必要となっている。その実践の1つは、低所
の経済成長率の目標は、10年の10.3%を受け
(注)1.鄧小平理論(先富論)
:
「先に豊かになれる人が豊かになり、豊かになった人は他の人も豊かになれるように助ける。
」とい
うもので、毛沢東、華国鋒が提唱した「横並び路線」とは全く異なる。
『フリー百科事典 ウィキペ
ディア日本語版』
(http://ja.wikipedia.org/)
。11年3月2日12時(日本時間)現在での最新版を取得
2.三つの代表:江沢民が唱える「生産力」
、「文化」、「人民の利益」を重視する思想。中国共産党は、①中国の生産的な社会
生産力の発展の要求 、②中国の先進的文化の前進の方向、③中国の最も広範な人民の根本的利益 を代表す
べき、とするもの。
『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』
(http://ja.wikipedia.org/)。11年3月2日12
時(日本時間)現在での最新版を取得
38
信金中金月報 2011.5
て8%と高目に設定されている。
十二五には、今後の中国経済および中国社
会の目指す方向が書かれているのであり、中
国ビジネスを手がけるものにとって、重要な
道標となるものである。
上を図る(3項目)。
⑩改革の推進を堅持し、社会主義市場経済
体制をさらに改善する。(6項目)
⑪相互利益となる開放戦略を実施し、対外
開放水準をさらに高める。(4項目)
⑫全党(員)、全国各民族人民が団結し、
【十二五の骨子概要】
①経済発展方式の転換を加速するととも
「十二五」実現のため、努力をする。(7
項目)
に、科学的発展の新局面を切り開く(4
さらに、十二五の骨子では、10年4月に公
項目)。
布された「外資利用業務をより適切に行うこ
②内需拡大を堅持し、平穏な経済発展を保
持する(3項目)。
③農業の現代化を推進し、社会主義新農村
の建設を加速する(4項目)。
④現代産業構造を伸展させ、産業のコア競
争力を向上させる(6項目)。
⑤地域の調和がとれた発展を促し、都市化
を推進する(4項目)。
と に 関 す る 若 干 の 意 見(注 )4」(国 務 院 国 発
[2010]9号)により示された中国の外資利
用政策の新しい方向性は、堅持されている。
3.トピックス
ここでは、昨年(10年)11月に上海でヒ
アリングした結果から、現地事情について紹
介しておきたいと思う。
⑥省エネ型、環境にやさしい社会を建設
し、エコロジー文化のレベルを高める
(5項目)。
(1)金融市場概観
中国における外資系金融機関への市場開放
⑦「科 学と教 育 による国 づくり」および
は、01年の中国のWTO加盟に伴い、順次進
「人材の育成・強化」を深化し、科学技術
められ、上海浦東新区の陸家嘴金融貿易区を
革新型国家の建設を推進する(4項目)。
中心に外資系金融機関が進出している。地場
⑧(和 諧 ) 社 会(注 )3建 設 を 強 力 に 推 進 し、
銀行は、本店が北京でも、どの銀行も上海に
健全な基本公共サービスシステムを構築
資金管理部門を置いている。また、外資系銀
する(6項目)。
行 は、 上 海 に 本 店 を 置 く と こ ろ が 多 い が、
⑨(中国)文化の大いなる発展・繁栄を推
進し、(中華)文化のソフトパワーの向
08年の現地法人設立が可能となった時点で、
韓国系銀行等は、北京に本店を移した。本店
(注)3.和諧社会:中国共産党が2004年に発表した各階層間で調和の取れた社会を目指すというスローガンのこと。
『フリー百科事
典 ウィキペディア日本語版』
(http://ja.wikipedia.org/)
。11年3月2日12時(日本時間)現在での最新版を取得
4.意見:ここでいう「意見」は提言でなく、日本政府における閣議決定に準ずるもので、今後の外資利用に関する政策指針と解
される(アジアビジネスレポート22−1「最近の中国外資政策動向をどう見るか∼新たな段階を迎えた日中経済交流∼」を参照)
。
調 査
39
を移した銀行も、資金管理部門は上海に残っ
併せて紙ベースの商業手形の登記、照会およ
ている。こうした状況により、上海外為市場
び商業手形(紙ベース、電子商業手形を含
は、全国の80%以上のシェアを有する。
む)のオファー価格公表の総合的な業務処理
また、09年には銀行間貸出センター(コー
のプラットフォームを全国向けに提供してい
ル市場)が整備された。10年には、外資系
る。なお、広い中国で電子手形がさらに有効
金融機関に対しても人民元建債券の発行が認
な手段となるためには、銀行保証を付与でき
められ、日系金融機関の現地法人、外資系自
るような機能が望まれるが、今のところ、そ
動車メーカーの金融子会社が発行している。
のような機能は備わっていない。
このほか、金の交易市場が創設されている。
一方、手形売買市 場では、
「中国票 据 網」
上海金融市場は中国国内トップであり、09
が、手形の知識、学習、業務討論、取引需給、
年の銀行、証券、保険の外国投資金額は過去
公表、オファー価格照会の専門的なプラット
最高を記録した。
フォームを提供しており、手形売買市場の発
電子商業手形システム(中国人民銀行創
展において重要な役割を発揮している。なお、
設・運営管理)は、09年10月28日から運営
「中国票据網」は、情報サービスのみを提供
を開始した。電子商業手形は、銀行引受為替
し、取引と決済サービスを提供していない。
手形および商業引受為替手形を含み、電子手
形は、伝統的な紙ベースの手形に対して、新
(2)証券市場概観(図表13、14)
しい取引・支払の方式を提供している。ま
外資系証券会社の出資上限は、WTO加盟
た、電子商業手形システムは、電子商業手形
時の約束で、1/3となっている。外資企業の
の交付、資金決済行為に関連するサービス、
出資上限は、投資信託会社および保険会社で
図表13 中国市場(A株とB株の違い)
取引所
(交易所)
A株
B株
取引通貨
上海
人民元
深圳
取引可能な投資家
国内投資家
QFⅡ(注)
上海
米ドル
海外投資家
深圳
香港ドル
国内投資家
(注) QFⅡ:適格国外機関投資家。海外からの投資家のうち、中国当局から認められた機関投資家で、一定の規制のもとで、人民
元建取引が認められている。大和投資信託「投資信託のFAQ」より。
(備考)大和投資信託「投資信託のFAQ」より作成
図表14 香港市場(レッドチップとH株)
取引所
登記
資本
経営
レッドチップ
香港証券取引所
本土以外(香港等)
中国国内企業が大株主
中国国内企業の関与
H株
香港証券取引所
中国国内
(備考)大和投資信託「投資信託のFAQ」より作成
40
信金中金月報 2011.5
中国国内企業がそのまま香港市場に上場したもの
は49%、金融機関では、合弁金融機関では1
なっている。
行あたり外資全体で25%、単独で20%となっ
ているが、独資での現地法人設立が認められ
(3)中小企業支援
ている。実質的に証券会社の出資規制が一番
中国おいても、中小企業は、GDPの60%、
厳しくなっている。
税金の50%、輸出の70%、就業の80%を占め、
外資が資本参加している証券会社は7社で、
中国経済の重要なプレーヤーの1つとなって
外資系証券各社の出資比率は①大和33%、②
いる。しかしながら、中国で中小企業に対す
クレディ・リヨネ33%、③クレディ・スイス
る融資やサービスは、まだ始まって間もない
33%、④ドイツ銀行33%、⑤UBS20%、⑥モル
ので、充分とは言い難い状況にある。中国に
ガン・スタンレー34%、⑦ゴールドマン・サッ
おける中小企業支援は、2002 年6月に公布さ
クス33%となっている。業務範囲はA株の引受
れた中華人民共和国中小企業促進法(主席令
け、M&A、自己資金運用の3業務のみであ
第69号)により、本格的な取組みが始まる
り、流通株式の顧客との売買はできない。地
こととなる。全国各地に、中小企業支援セン
場証券会社の収益の7割がブローカー手数料
ターや保証機関が設立されている。
で賄われていると言われ、ブローカー手数料
金融支援としては、銀行間取引や手形制度
は自由化されたが、上限が3/1,000で、実勢
の整備を行っており、09年10月には中小企
は8/10,000である。最近、売買高は伸びてお
業共同手形制度を創設された。これまで14
り、地場証券会社は何処も損益分岐点の売買
回募集され(図表15)、中小企業のために50
高の倍ぐらいを取り扱っている。株売買の勧
億元が集められた。発行される手形は、2∼
誘は、営業マンが行うが、支店には営業マン
10の法人資格をもった企業が共同で発行し、
を置いていない。支店は、決済と注文の受注
統一の券種名、様式、信用性により実現する
だけで、店長はその管理を行うだけである。
集合融資である。一種の債券と見なすことが
証券市場への上場は、上海と深圳へ同時に
できる。中小企業は、資本金の40%以内の資
はできない。上海証券市場は東証第1部、深
金を申請でき、集合手形一本あたりの金額
圳証券市場は、東証第2部とマザースを併せ
は、10億元以内となっている。この融資手
たようなものである。最近、中小企業、創業
段は、中小企業は規模が小さく、信用級別が
では、証券取引所への届出制である店頭公開
低く、債券市場で資金を調達することが難し
が利用されている。株価指数の先物や信用取
いことを考慮して作られたものである。中小
引は十数社が取り扱える。また、ブルーチッ
企業集合手形はインターバンク市場取引商協
プ(優良株)は33銘柄となり、拡大傾向で
会が登録、管理を行っている。協会が申込み
ある。上海+深圳の証券市場の規模は、時価
を受けて、信用会社、格付け会社を使って、
ベースで世界6位、売買高では世界2∼3位と
審査する。審査を通ると登記され、保証が付
調 査
41
図表15 中小企業共同手形の発行事例
ケースA
ケースB
5憶人民元
3憶人民元
3年
2年
区政府外廓・都市建設会社
江蘇省信用再担保会社
AA+
AA+
7社
2社
発行人別発行金額
0.2∼2憶人民元
1∼3億人民元
発行人信用ランク
A+∼BBB
A∼BBB+
上海市
江蘇省
応募状況により決定
応募状況により決定
発行手形金額
発行期間
連帯責任保証
発行手形信用ランク
発行人企業数
発行人所在地
適用利率
(備考)各募集説明書より作成
与される。その手形は、銀行、証券会社が引
下の営業所(上海市内約200か所)の融資審
き受け、さらに一般投資家に販売することも
査も監督している。現在、大手地場銀行でも
できる。手形利率と募集金額どおり資金が集
中小企業業務部があるのは、北京の本店と上
まるかは、企業の信用等級および市場の資金
海だけである。まず、全国にある40の分行
需供等により決まる。なお、引受け会社の資
に広げることを目指しており、各行とも傘下
格は、人民銀行が付与する。なお、本手形を
の営業所は約1万か所になると見られる。
人民銀行が再割引するようなことは、今のと
また、中小企業に融資する際の担保は、工
ころ行っていない。
場(土地、建物、機械)が60%、保証会社が
また、各銀行では、中小企業の専担部署を
30%、知的財産権が10%ぐらいであり、無担
設置し、中小企業向け融資の増加を図ってい
保はほとんどない状況である。地場銀行によ
る。増加目標は特に設定されていないが、地
る外資系中小企業に対する融資はほとんどな
方政府が制度融資を作るなど官民あげて取り
く、特に、日系はその中でも少ないようであ
組んでいる。
る。担保は工場が60%、スタンドバイが40%
地場銀行では、05年頃から中小企業との
である。地場銀行は、投注差という制約があ
取引が増えるとの見通しのもと、専担部署を
るので、できればスタンドバイでなく、工場
設置する準備を始め、中小企業業務部のよう
担保でやりたいと考えているようである。地
な専担部署を設置するところが増えている。
場銀行と外資系中小企業との融資取引は、預
設置された中小企業業務部は、一種の支店と
金取引開始後だいたい2∼3年で始まるよう
も言え、中小企業が最初にここに来れば、借
である。
入手続き、審査、与信管理等一括で行うワン
さらに、中小企業の手形利用は、銀行保証
ストップサービスが受けられるようになって
手形の方がほとんどで、商業手形は少ない。
いる。大手地場銀行の中小企業業務部では傘
自行の系列保険会社の信用保証保険と組み合
42
信金中金月報 2011.5
わせた融資商品を利用するケースでは、融資
から夜間に一度ここに荷揚げし、再度配達先
実行が比較的スムーズに行くが、保険会社に
のある営業店(センター)に配送し、最終顧
よる債務保証履行はなかなか渋いようであ
客まで荷物を繋いでいる。ベース店での締切
る。なお、債務保証履行後の債権管理は、銀
り時間を19∼20時に設定し、翌日午前中か
行に残ることとなっている。
ら配達可能となっている。同社は、日本同様
に冷凍、冷蔵のクール便、代金引換サービス
の他、日本と同じ時間区分での時間帯お届け
(4)宅配便事業
日系の宅配便事業者は、これまで佐川急便
サービスを行っている。社員は運送業経験者
が上海大衆グループと組んで、2003年から宅
でなく、サービス業経験者を選別雇用し、教
配便事業を行っていた。10年1月にヤマト運
育している。上海の環状線の内側は、通常5
輸(中国)が宅配便事業の取扱いを開始した
∼18時の間、荷物配送車が通行できないが、
同社の車は特別に許可されている。取扱高、
(図表16)。
ヤマト運輸(中国)の営業エリアは、まだ
取引企業とも増加しており、取扱地域の拡大
上海市だけである。いすゞ社のトラックを
等さらなるサービスの充実に期待がかかる。
100台輸入して、車に設置する冷蔵冷凍庫は
中国における宅配便事業の発展は、中国国
日本から輸入し、全車クール便が取り扱える
内への販路拡大を目指す日系企業にとって、
ようにした。そのほかには、市内では、電動
大きなプラス材料であり、他地域への展開等
アシスト自転車45台を使用している。現在
今後の展開に期待がかかる。同社では日本と
は、松江に核となる拠点(ベース店)をおい
同じ高品質の倉庫も上海市内に構えており、
て、 上 海 市 内 に13あ る 営 業 店(セ ン タ ー)
中国で商品を在庫し、宅配便でお客様宅へ直
図表16 ヤマトの食品輸入における物流支援/物流業務内容
日本 中国
④輸入代行
①中文ラベル作成
中国へ初めて輸入する商品
は、成分等中国での事前調
査の上、ラベルを作成する
必要がございます。
輸入通関を行います。中国でライセン
スをお持ちでない企業でも、当社代理
店を通して食品の輸入が可能となります。
2週間∼
3週間
10日∼
2週間
⑤衛生許可申請
1週間
検疫検査を行い、中国で食品を販売
するための許可申請を行います。衛
生許可書がないと中国での販売行為
ができません。
10日
食品到着後の保管を当社指定倉庫で
当社管理のもと行います。
②輸出手続き
各企業様工場から商品の
引取り、輸出書類の手配
を行います。
2週間
⑥保管
③輸送アレンジ
ヤマトにて最適なスケジ
ュールにて船積み手配を
行い、海上輸送を行います。
X日
販売スタート
⑦中国内輸送アレンジ
開催イベント場所、および販売場所ま
で適宜配送致します。
調 査
43
接お届けする等中国国内への販路拡大を目指
が経験できることもあり、最初の中国国内へ
す企業の支援を行っている。
の販路拡大の有効な方法となっている。
また、ヤマトマーケティングギャラリーを
さらに、日本から中国国内への国際宅配便
利用したテスト販売も可能である(図表17)。
は、中国の検疫等により取扱荷物が書類に限
スペース利用料は一棚・約1.5m∼(貸出最小
られており、国際宅配便の食品等への取扱拡
単 位30cm) で あ れ ば、 月4.5万 円 程 度 あ る。
大にも期待がかかっている。
テスト販売だけでなく、実際に中国への輸入
図表17 マーケティングギャラリー棚イメージ
空白の壁に
ポスター提示
棚1段
棚1棚
(棚3段)
40cm
3,000元/月
物産販売とともに
観光PRも
可能です。
9,000元/月
146cm
36cm
40cm
40cm
150cm
※最下段のみ寸法
が大きくなります。
44
信金中金月報 2011.5
調
査
注目される認知症支援と信用金庫業界における取組み
信金中央金庫 地域・中小企業研究所主任研究員
藁品 和寿
(キーワード)認知症、高齢者、認知症サポーター、市民後見人
(視 点)
04年に、厚生労働省での有識者の議論を経て「痴呆」という用語が「認知症」に改められ、
これを受けた「認知症を知り地域をつくる10カ年」キャンペーンの展開などにより、国民の
間に「認知症」についての理解が進んできている。認知症になっても安心して生活できる社
会の実現に向けて、行政を中心に地域福祉ネットワーク体制が構築される動きがあるなか、
信用金庫業界において、こうした動きに歩調を合わせる取組みがみられる。
そこで、本稿では、行政や信用金庫業界における取組事例を概観したうえで、こうした取
組みを通じて信用金庫に期待される役割や成果を整理する。
(要 旨)
世帯の「高齢化」と「単独化」が進むなかで、特に無職高齢者世帯は厳しい家計環境に置
かれている。また、認知症にかかる高齢者の増加が見込まれ、高齢者世帯は健康面で不安
を抱える。こうした不安に付け込んだ消費者被害が増えるなか、特に認知症高齢者の権利
を擁護する社会的ニーズが高まっている。
認知症地域支援体制を支える主な仕組みとして、厚生労働省による認知症サポーター等養
成事業や東京大学・筑波大学による市民後見人養成プロジェクト事業が取り組まれている。
地方行政の一部において先進的に地域の高齢者見守りネットワークを構築する動きがある。
また、信用金庫の一部でも、認知症サポーターを養成したり、成年後見制度への理解を深
めるための取組みを行うなど、当該ネットワークに関わる動きがある。
信用金庫が地域の高齢者福祉ネットワークに関わることは、地元に対して今まで以上に
「地域の一員」を強く印象付けるとともに、地元の行政や医療・介護機関等との関わりが強
まることが期待できる。また、役職員が認知症に対して正しい理解をすることで、窓口対
応におけるマナーが向上するとともに、介護保険窓販の推進や介護事業者との取引にあた
り、利用者にとって納得性のある営業活動を実現することが期待できよう。
調 査
45
図表1 世帯主65歳以上の高齢者世帯の将来
推計
はじめに
(万世帯)
(万世帯)
2,000
5,500
国の世帯数の将来推計(全国推計)による
1,500
と、一般世帯総数は、15年に5,060万世帯と
高齢者世帯数
総世帯数
(右目盛り)
ピークを迎えた後、減少に転じる見込みであ
1,000
る。このなかで、世帯主65歳以上の高齢者
5,000
単独高齢者世帯数
︵左目盛り︶
世帯数は、05年の1,355万世帯(一般世帯総
500
数に占める高齢者世帯数の割合27.6%)から
一貫して増加基調を辿り、30年には1,903万
総世帯数
単独以外の高齢者世帯数
︵左目盛り︶
国立社会保障・人口問題研究所によるわが
0
4,500
05
世帯(同39.0%)になる。このうち、高齢者
10
15
20
25
30
(年)
(備考)国立社会保障・人口問題研究所資料を基に信金中
央金庫 地域・中小企業研究所作成
単独世帯の増加が目立ち、05年の387万世帯
(高 齢 者 世 帯 数 に 占 め る 単 独 世 帯 数 の 割 合
28.5%) か ら30年 に は717万 世 帯(同37.7%)
なっている。また、高齢者世帯の家計状況を
になると予想されている(図表1)。このよ
みると、世帯主である高齢者に勤め先収入が
うに、少子高齢化問題を捉えるうえで、世帯
あるかないかによって二極化しているのが実
の「高齢化」と「単独化」はキーワードと
態である(図表2)。
図表2 勤労者・無職世帯(世帯主65歳以上・二人以上)の1か月間における収支(09年平均)
0
(1)
勤労者世帯
5
10
15
20
25
30
35
40 (万円)
実収入
380,953円
勤め先収入235,851円
社会保障給付
132,118円
特別収入他
12,984円
実支出
黒字
348,612円
0
(2)
無職世帯
5
10
15
社会保障給付
198,860円
実収入
227,065円
非費支出
56,165円
消費支出292,447円
勤め先収入
13,332円
20
25
30
32,341円
35
赤字
特別収入他
14,873円
44,009円
実支出
271,074円
消費支出240,224円 非費支出30,850円
(注)1.「実収入」とは経常収入(勤め先収入、社会保障給付等)に特別収入(受贈金等)を加えたもの。
2.「実支出」とは消費支出に非消費支出(税、社会保険料等)を加えたもの。
(備考)総務省「家計調査」を基に信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
46
信金中金月報 2011.5
40 (万円)
こうしたなか、今後、認知症高齢者数が増
加することが見込まれており、例えば三菱
図表3 高齢者(70歳以上)における消費者
被害関する相談件数
(万件)
UFJリサーチ&コンサルティングが公表した
16
「地域包括ケア研究会報告書」(10年3月)で
14
12.2
12
は、認知症高齢者は02年の149万人から25年
10
には倍以上の323万人に増加することが示さ
8
れている。また、認知症は加齢とともに増加
6
し、85歳以上では27.3%が発症するといわれ
ている。
4
2
0
01
02
03
04
05
06
07
08
このように高齢者は収入や健康の面で将来
に大きな不安を抱えるなか、こうした不安に
09
(年度)
(備考)独立行政法人国民生活センター発表情報を基に信
金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
付け込んだ悪徳業者等による被害が増えてい
る。独立行政法人国民生活センターによると、
70歳以上の高齢者による消費者被害に関する
1.認知症地域支援体制の構築を支え
る仕組み
相談は、01年度の約5万7千件から09年度には
約12万件と倍増している
(図表3)
。09年度にお
(1)認知症サポーター等養成事業の概要
ける相談内容を主な販売手法別にみると、家
04年12月24日 に、 厚 生 労 働 省 が「『痴 呆 』
庭 訪 販(16.5%、20,127件 )、 電 話 勧 誘 販 売
に替わる用語に関する検討会報告書」を公表
(注)1
(10.4%、12,655件)
、次々販売
(4.0%、4,876
したことを受けて、「痴呆」という呼称は、
件)などとなっている。
法令用語上、「認知症」に変更された。これ
こうした高齢者を巡る状況のなか、特に認
を契機に、“みんなで認知症の人とその家族
知症高齢者の権利を擁護する社会的ニーズが
を支え、誰もが暮らしやすい地域をつくって
高まっている。
いく”運動として「認知症を知り地域をつく
そこで本稿では、認知症地域支援体制の構
る10カ年」キャンペーンが開始された。
築を支える主な仕組みとして、厚 生労 働省
当キャンペーンの初年度は「認知症を知る
(事務局:全国キャラバン・メイト連絡協議会)
1年」と位置づけられ、その一環として、地
が実施する認知症サポーター等養成事業と、
域や職域において、認知症を理解し、認知症
成年後見制度について概説したうえで、行政
の人や家族を支援する者等を養成する目的で
機関および信用金庫業界における取組事例を
「認知症サポーター等養成事業」が実施され
紹介する。なお、本稿の事例として取り上げ
ることになった。当事業の実施主体は、「認
る各主体の所在地は図表4のとおりである。
知 症 を 知 り 地 域 を つ く る10カ 年 」 キ ャ ン
(注)1.一度悪徳商法の被害を受けた消費者を狙い、繰り返し商品を売りつける商法のこと。
調 査
47
図表4 事例で取り上げる信用金庫・行政機関の所在地
北海信用金庫
(認知症サポーター
等養成)
北空知信用金庫
(認知症サポーター
等養成)
米沢信用金庫
(市民後見人養成
プロジェクト事業)
金沢市役所
(認知症サポーター認
定所制度)
金沢信用金庫
(成年後見制度にかか
る内部体制整備)
烏山信用金庫
(認知症サポーター
等養成)
板橋区役所
(高齢者あんしん協力
店制度)
湘南信用金庫
(認知症サポーター
等養成)
宇和島信用金庫
(認知症サポー
ター等養成)
(備考)信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
ペーンの実施団体となっている全国キャラバ
養成を担う。キャラバン・メイト養成講座の内
ン・メイト連絡協議会である。
容は、認知症サポーター養成講座で受講生に
当事業には「キャラバン・メイト養成講座」
伝えることやグループワーク(認知症サポー
と「認知症サポーター養成講座」が用意され
ター養成講座の運営方法等)を中心に基本6
ている。キャラバン・メイトは認知症サポー
時間コースである。認知症サポーターとは、
ター養 成講 座の講師役であり、研 修 主体に
この認知症サポーター養成講座を受講した者
よって「自治体キャラバン・メイト」と「企
である。認知症サポーターに義務的な役割は
業・団体キャラバン・メイト」がある(図表
課されていないが、認知症について正しい知
5)
。それぞれが地域(住民、学校、職域)
、企
識を持ったうえで、地域において認知症の人
業・団体組織内において認知症サポーターの
や家族を応援するボランティア活動をした
48
信金中金月報 2011.5
図表5 「認知症サポーター100万人キャラバン」の仕組み
自治体
企業・団体
+
+
全国キャラバン・メイト連絡協議会
全国キャラバン・メイト連絡協議会
キャラバン・メイト養成(地域における
認知症サポータ養成講座の講師役)
キャラバン・メイト養成(地域における
認知症サポータ養成講座の講師役)
自治体キャラバン・メイトによる認知症
サポーター養成講座
企業・団体キャラバン・メイトによる認知症
サポーター養成講座
住民・学校・職域
企業・団体の組織内
認知症サポーター
100万人誕生
(地域・職場で活動)
(備考)全国キャラバン・メイト連絡協議会資料を基に信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
り、職場での接客等において役立てることを
は「認知症サポーター400万人養成するために
期待されている。認知症サポーター養成講座
普及啓発等を行う事業」が開始され、当キャ
の内容は、認知症の症状や認知症者への対応
ンペーンの最終年度(14年度)までに400万人
を中心に最低60分で原則90分コースである。
の認知症サポーターを輩出する目標が掲げら
「認知症を知り地域をつくる10カ年」キャ
れている。これが達成すれば、14年度までに、
ンペーンの下、認知症サポーター数は初期目
数字の上では「認知症高齢者1名につき認知症
標 の100万 人を突 破し、10年3月末 現 在 で 約
サポーター1名」で支えられることになる。
(注)
2
。自治体等での養成実績
このように、認知症サポーター等養成事業
は151万人、企業・団体での養成実績は9万5
は“数”として実績を上げている。なお、全
千人であり、そのほか各種団体が主催したシ
国キャラバン・メイト連絡協議会としては、
ンポジウムやフォーラムで約5万5千人が養成
きめ細かな対応で講義を行ってほしいという
されている。認知症サポーターの属性(性
期待から、受講者10名以下での研修を推奨
別・ 年 齢 ) を み る と、 全 体 の66% が 女 性、
している。今後の中心的な課題は、各自治体
55%が60歳代以上となっている。11年度から
が、いかに地元の認知症サポーターが地域で
166万人となった
(注)2.http://www.caravanmate.com/index003.pdf
調 査
49
人の判断能力の程度に応じて「後見」
「保佐」
活躍できる環境を整備できるか、に移ってい
「補助」を行う 。本制度の理念は「自己決定
るといえよう。
(注)3
権の尊重
(注)4
」、「身 上 保 護 の 重 視
(注)5
(2)成年後見制度の概要
び「ノーマライゼーション
①成年後見制度とは
」およ
」であるが、
「自己決定権の尊重」の観点からは「任意後
00年4月に、高齢者(認知症のほか知的障
見」がとりわけ重視されている。成年後見人
害や精神障害)を財産管理や身上監護の面で
には身上配慮義務(民法858条)
権利擁護する制度として成年後見制度が創設
れており、認知症高齢者等の“見守り”の観
された(図表6)
。成年後見制度には「任意後
点から、本制度は高齢者の消費者被害の防止
見」と「法定後見」がある。
「任意後見」は、
策として有効といえる。また、成年後見制度
本人が十分な判断能力を有している間に、将
を補完する仕組みとして、日常生活自立支援
来自己の判断能力が不十分になった時のため、
事業も整備されている(図表7)。
後見事務の内容と後見する人(任意後見人)
現在、成年後見人に選任された者のうち
を事前の契約で決めておくものである。一方、
63.5%(うち、子(30.9%)、配偶者(6.8%)、親
「法定後見」は、すでに本人の判断能力が低下
(注)6
が課さ
(注)
7
(5.1%)
)が親族となっていることから
してしまった後に支援する手続きであり、本
、親族
が成年後見人等になりやすい環境を整えるこ
図表6 成年後見制度とは
任意後見制度
法定後見制度
後見
保佐
補助
被任意後見人
成年被後見人
被保佐人
被補助人
健常(契約時)
事理弁識能力を
欠く常況
事理弁識能力が著しく
不十分
事理弁識能力が不十分
保護者
任意後見人
成年後見人
保佐人
補助人
監督者
任意後見監督人
成年後見監督人
保佐監督人
補助監督人
取消権
×
○(注)2
○(注)2
○(注)2
代理権
(注)1
(注)
3
(注)
4
○
○(注)4
×
○(注)5
○(注)5
本人
状態
保護者
同意権
○
×
○
(注)1.契約した範囲内の行為
2.日常生活に関する行為は対象外
3.財産権に関するすべての行為
4.本人以外の者の請求に基づき審判で認められた行為
5.民法13条1項の行為(借金、訴訟行為、相続の承認・放棄、新築・改築・増築などの行為)
(備考)法務省ホームページを基に信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
(注)3.意思等の能力がある時にあらかじめ能力喪失後の自己決定を行おうという考え方、および意思等の能力が低下した場合に当
人の残存能力を活用しようという考え方
4.当人の財産保全に加えて生活支援、自立支援を重視する考え方
5.障害者等を差別することなく、可能な限り、従前と同様の生活ができるように保障していくという考え方
6.「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養監護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を
尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と規定されており、成年後見人が本人の身上面
について負うべき善管注意義務の内容を具体化かつ明確にしたものといえる。
7.最高裁判所「成年後見関係事件の概況 ― 平成21年1月∼12月 ― 」
50
信金中金月報 2011.5
図表7 成年後見制度と日常生活自立支援事業の概要
成年後見制度
日常生活自立支援事業
所管庁
法務省
厚生労働省
対象者
精神上の障害により事理弁識する能力を欠く常
況にある者
精神上の理由により日常生活を営むのに支障が
ある者
主な担い手
成年後見人
都道府県・指定都市の社会福祉協議会
主な手続き
家庭裁判所に申立て
社会福祉協議会に相談・申込み
家庭裁判所による援助(保護)内容の決定
本人と社会福祉協議会による援助内容の決定
●財産管理・身上監護に関する法律行為
●福祉サービスの情報提供、助言等相談
・財産管理処分、遺産分割協議、介護保険サー
ビス契約、身上監護等に関する法律行為
●日常的金銭管理(日常的金銭管理に伴う預貯
金通帳の払出し等の代理、代行等)
・同意権・取消権(日常生活に関する行為以外
の行為)
●書類等の預かり(証書等の保管など)
権利保護の方法
権利保護の種類
・代理権(財産に関するすべての法律行為)
費用
全て本人の財産から支払い(申立ての手続き費
用、登記の手続き費用、後見の事務に関する費
用、成年後見人・監督人に対する報酬費用等)
社会福祉事業として契約締結までの費用は公費
補助、契約後の費用は利用者負担
(備考)厚生労働省資料を基に信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
とは重要である。しかし、親族間の関係の希
の学生だけでなく多様な社会人の学習ニーズ
薄化、親族自身の高齢化
(老老介護等)
などを
に応えることが求められている。
「市民後見人
背景に、親族以外の成年後見人等の確保がよ
養成講座」
のカリキュラムを検討するにあたっ
(注)8
り重要な課題として取り上げられている
。
ては、講座内容が体系的に構築されていること
(単なる公開講座ではないこと)
、比較的短期間
②市民後見人養成プロジェクト事業の概要
(1年以内)
で修了できること、地方公共団体や
このように第三者後見人の確保が課題に挙
産業界等との連携により社会的ニーズを踏ま
げられるなか、東京大学と筑波大学では、成年
えていること、教育プログラムで習得した能
後見人の担い手の多様化という観点から、文
力を示す証明書を出すことが配慮された。
部科学省
「社会人の学び直しニーズ対応教育推
市民後見人養成講座の受講生の属性をみる
進プログラム」委託事業の1つとして市民後見
と、平均年齢は60歳前後とシニア層が中心
人養成プロジェクトを展開している
(図表8)
。
となっており、成年後見制度を必要とする家
「社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログ
族がいる人や、金融機関、介護事業者、不動
ラム」では、教育基本法
(06年12月)
、学校教育
産会社などの成年後見制度を必要とする顧客
法
(07年6月)
の改正に基づき、大学等の社会貢
がいる可能性の高い業種の会社員が多い。東
献として、その教育研究資源を活用して正規
京大学および東京大学以外の地方開催
(注)9
を
(注)8.成年後見制度研究会(平成22年7月)
「研究報告 成年後見制度の現状の分析と課題の検討 ∼成年後見制度の更なる円滑な
利用に向けて∼」
9.10年10月30日(土)から、全国的な普及に向けた取組みの一環として、山形県において当講座が実施されている。
(http://www.shimin-kouken.jp/reserve_yamagata.html)
調 査
51
図表8 文部科学省「社会人学び直し」委託事業「市民後見人養成講座」の概要
基礎講座
(18時間)
・目的:成年後見の全体とポイントを抑える。
・内容:認知症や高齢者の理解、知的・精神障害の理解、成年後見制度の概要、成年後見実
務の流れ、介護や福祉サービスの概要、家庭裁判所の役割、受講者同士の意見交
換、総合質疑
地域活動
(30時間)
・目的:成年後見に関連して高齢者や障害者への対応の実情を把握する。
・内容:自治体、社会福祉協議会、地域包括支援センター、障害者支援センター、消費生活
センター、警察、保健所、金融、不動産、マンション管理、薬局、介護などを訪問
ヒアリング
実務講座
(18時間)
・目的:本人理解や制度利用の具体的方法を学ぶ。
・内容:高齢者や障害者とのコミュニケーションの取り方、成年後見制度関連書類の書き方
実務講座
(18時間)
・目的:成年後見に関する実務を体験する。
・内容:高齢者や障害者施設でのインターンシップ、自分や家族のための成年後見の申請、成
年後見制度に関する勉強会の企画開催、普及のためのパンフレット作成と配布など
(備考)東京大学医学系研究科資料を基に信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
含めると、11年3月末までに累計約1,500人が
修了する見込みであり、14年度末までには約2
(1)東京都板橋区(総人口513,589人、高齢
化率19.8%(10年3月末))
万人の修了生を輩出したい意向である。今後
東京都板橋区では、10年11月から、おとし
の課 題として、修了生が成年後見相談セン
より保健福祉センターが中心となり、
「高齢者
(注)10
(注)11
ターを立ち上げるなど、地元の社会資源
あんしん協力店」制度に取り組んでいる
を活かして後見分野で活躍できる仕組みを構
板橋区は、“認知症になっても安心して暮ら
築していくことが挙げられよう。
せるまちづくり”を推進するなかで
2.地方行政における取組み
(注)12
。
、認
知症サポーター養成講座を受講した事業所や
商店を「高齢者あんしん協力店」として登録
厚生労働省が実施する
「認知症を知り地域を
することを推奨している。登録にあたって、
つくる10カ年」
キャンペーンの主旨である
“認知
当該事業所や商店は、板橋区制定の「高齢者
症になっても安心して暮らせる町づくり”
の実
あんしん協力店」確認書を提出し、所定のス
現に向けた地方自治体独自の取組事例として、
テッカー(図表9)の配付を受ける。板橋区
東京都板橋区と石川県金沢市を取り上げる。
は、区内に多くの商店街を抱えていることか
(注)10.ソーシャル・ニーズを充足するために動員される施設・設備(社会福祉法人、医療法人、NPO法人など)や集団や個人の
有する知識や技能の総称
11.東京都板橋区ニュースリリース(10年11月11日付、http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_news_release/031/031957.html)
12.板橋区では、08年度から6年間で5千人の認知症サポーターを養成することを目標としている。
52
信金中金月報 2011.5
図表9 ステッカー(板橋区)
図表10 ステッカー(金沢市)
(出所)金沢市ホームページ
(注)15
り
(出所)板橋区ホームページ
、そのうち116か所が金融機関本支店
ら、商店を“高齢者の見守り”のうえでの重
(金沢信用金庫、のと共栄信用金庫を含む。
)
要なマンパワーとみており、当制度への参加
となっている。そのほか、認知症高齢者等の
をまずは板橋区商店街連合会に呼びかけた。
地域安全ネットワークとして「おとしより 10年11月24日現在、53店舗の事業所や商店
お か え り ね っ と 金 沢 」 を 構 築 し て い る。
が登録しており、区ホームページで紹介して
市、警察のほか公共交通機関、コンビニエン
(注)13
いる
。なお、今後は、区内の金融機関店
舗に参加してもらいたい意向を持っている。
スストア、ガソリンスタンドなどが協力し、
認知症高齢者等の発見、保護、アフターケア
を図っている。また、金沢市独自のボランティ
(2)石川県金沢市(総人口442,203人、高齢
化率20.1%(10年3月末))
(注)16
アである「まちぐるみ福祉活動推進員
」
が民生委員とともに取り組む地域の高齢者見
石川県金沢市では、07年10月から、長寿
(注)17
守り活動
による貢献も大きい。
福祉課が中心となり、認知症サポーター養成
講座を受講した事業所を「認知症サポーター
(注)14
認定所」として認定している
3.信用金庫業界における認知症支援
への対応
。認定証と
して所定のステッカー
(図表10)
を配付してい
る。10年11月30日現在、登録認定所は250に上
(1)認知症サポーター等養成への取組み
信用金庫業界では、㈳全国信用金庫協会の
(注)13.http://www.city.itabashi.tokyo.jp/c_kurashi/032/032118.html
14.金沢市では、07年度から5年間で5千人の認知症サポーターを養成することを目標としている。
15.http://www4.city.kanazawa.lg.jp/23010/support/place.html
16.現在、まちぐるみ福祉活動推進員は8,571名であり、907名の民生委員が兼務している。なお、推進員として主に活躍して
いるのは40歳から50歳代の主婦層である。
17.高齢者だけでなく、子どもの見守りを含めて幅広い活動を担っている。
調 査
53
実施した第13回信用金庫社会貢献賞におい
に及ぶ認知症サポーター養成講座を実施した。
て特別賞を受賞した北海信用金庫(北海道)
その結果、10年8月末現在、当金庫の認知症サ
をはじめ、認知症サポーター等養成事業(前
ポ ーター 数 は457名(全 役 職 員 の96%
出1.
(1))に賛同した取組みを実施している
うちキャラバン・メイトは72名となってい
事例が増えつつある。
る。10年1月からは、各営業店の入り口に「認
以下ではそのうち、北海信用金庫、北空知
知症サポーターのいる店」
(シ ー ル )を 表 示
信 用 金 庫(北 海 道 )、 烏 山 信 用 金 庫(栃 木
し、利用者に安心感をアピールしている。ま
県)、湘南信用金庫(神奈川県)、宇和島信用
た現在、地元の「北海道認知症の人を支える
金庫(愛媛県)の事例を紹介する。
家族の会」に入会し、そこで得た情報を職員
(注)21
)
、
サポーター(認知症サポーター養成講座受講
①北海信用金庫(本店所在地:北海道余市郡
済みの役職員)に適宜通知して情報共有を
余市町
〈総人口21,980人、高齢化率29.8%〉
、
図っているが、今後は、さらに行政や地域包
預金:3,979億円、貸出金:2,420億円、役
括支援センター
職員数:342人〈10年3月末〉)
いきたい意向である。
(注)22
等との外部連携も強めて
北海信用金庫は、08年1月の女性職員から
の提案を契機に、同年4月から取り組んでい
(注)18
る
②北空知信用金庫(本店所在地:北海道深川
。08年3月に、当金庫平田常務理事の発
市〈総人口24,571人、高齢化率32.3%〉、預
案により、効率的かつ一括して認知症サポー
金:951億 円、 貸 出 金:405億 円、 役 職 員
ターを養成する目的で、まずは金庫内にキャ
数:82人〈10年3月末〉)
ラバン、メイト
(認知症サポーター養成講座の
(注)19
講師役)
を育成することから始めた
。同年
北空知信用金庫は、地元・深川市社会福祉
(注)23
協議会
と交流のあった職員が当協議会に
5月、全店にキャラバン・メイトを1名ずつ
よる「認知症サポーター養成講座」開講の話
配置することを目標に、各営業店の支店長代
を阿部理事長に報告したことを契機に、地元
理 ク ラ ス(教 育 訓 練 担 当 者 )を 対 象 と し て
での高齢者人口の増加を鑑みて、当講座への
(注)20
キャラバン・メイト養成講座を実施した
。
その後、同年6月から7月にかけて、延べ40回
(注)24
参加
を 決 定 し た。 当 講 座 は、 当 金 庫 と
「深川市介護者と共に歩む会」との協賛によ
(注)18.当金庫の事例は、近代セールス社(2011年1月15日)
「近代セールス」において紹介されている。
19.当時、企業内にキャラバン・メイトを育成する取組みは全国的にみて珍しいものであった。
20.公募人数の倍以上の受講希望があり、中堅職員の間における認知症への意識の高さがうかがえた。
21.未受講者は、本部に配属されているパート職員
22.05年の改正介護保険法に基づき創設され、地域住民の心身の健康維持や生活の安定、保健・福祉・医療の向上、財産管
理、虐待防止などの諸課題に対して、地域における総合的なマネジメントを担い、課題解決に向けた取り組みを実践してい
くことをその主な業務とする機関
23.社会福祉協議会とは、社会福祉法(51年社会福祉事業法)に基づき、民間の社会福祉活動を推進するために設置された営
利を目的としない民間組織である。都道府県、市町村に設置され、「福祉のまちづくり」の実現に向けた活動を行っている。
24.08年12月から4回に分けて開講した認知症サポーター養成講座を受講し、当時、役職員81名全員が認知症サポーターと
なった。
54
信金中金月報 2011.5
り開催し、全役職員が受講した。当金庫の現
するよう努めており、役職員が認知症に対す
場では、普段から認知症高齢者には自然な形
る正しい理解を得たことで、地域包括支援セ
で接していたことから、当講座を受講する前
ンターとの連携がさらに円滑になったと実感
から役職員の間で認知症に対する抵抗感はな
している。そのほか、当金庫宝積寺支店は、
かった。また、当金庫自体の取組姿勢も“や
地元・高根沢町(栃木県塩谷郡)の社会福祉
るべきこと
(当たり前のこと)
”と意識は高い。
協議会(福祉マップ作成委員会)から福祉認
認知症サポーター養成講座の受講により、
定店の認定を受けており、地域の高齢者の見
特に若手職員を中心に認知症高齢者に対する
守り役としての役割を果たしている。
認識を変えることができ、当金庫では今後、
役職員が日常業務での経験を通じて接客マ
④湘南信用金庫
(本店所在地:神奈川県県横須
ナーをさらに高めていくことが重要であると
賀市〈総人口427,173人、高齢化率23.2%〉、
考えている。10年8月末現在、当金庫の認知
預金:9,713億円、貸出金:6,550億円、役
症サポーター数は72名となっており、役職
職員数:852人〈10年3月末〉)
員は業務中、認知症サポーターの証として、
「認知症サポーター100万人キャラバンの胸
章(バッチ)」を付けることにしている。
湘南信用金庫は、石渡理事長の指示の下、
10年3月から取り組んでいる。地域に対して
“優しさ”をアピールし、人と人とのふれあい
を大切にすることで思いやりと温かみのある
③烏山信用金庫(本店所在地:栃木県那須烏
信用金庫として地域貢献する姿勢を示したも
山市 〈総人口30,962人、高齢化率26.6%〉、
のといえる。まず、金庫内のイントラネットで
預 金:1,723億 円、 貸 出 金:713億 円、 役
理事長のメッセージを発信し、役職員に対し
職員数:195人〈10年3月末〉)
て認知症サポーター事業に取り組むことを周
烏山信用金庫は、束原理事長の指示の下、
知した。同年3月に、理事長自身が率先して認
10年6月から取り組んでいる。まず回覧(事
知症サポーター養成講座を受講し、その後も
務連絡)を通じて全役職員に周知を図ったう
金庫内周知を続けながら、同年5月末までに全
えで、同年6月27日に171名の役職員が那須
役職員および希望者(パート職員等)911名が
烏山市役所において認知症サポーター養成講
認知症サポーターとなっている
座を受講した。その後、同年8月27日に未受
営業店の全役職員は、業務中、認知症サポー
講の役職員が受講することで、全役職員が認
ターの証であるバッチを着用することを義務
知症サポーターとなった。全営業店に「地域
付けられている。また各営業店の店頭に、
「認
包括支援センター一覧表」を配付するなど、
知症サポーターがいます」と表示したB5版の
店頭における認知症高齢者への対応を円滑に
ポスター(立て看板形式)を掲示している。
(注)25
。本部・
(注)25.受講後の役職員アンケートには、「もっと早く受講しておきたかった」といった前向きな声が多かった。
調 査
55
⑤宇和島信用金庫(本店所在地:愛媛県宇和
○金沢信用金庫(本店所在地:石川県金沢市
島市 〈総人口89,192人、高齢化率29.5%〉、
〈総 人 口442,203人、 高 齢 化 率20.1%〉、 預
預 金:867億 円、 貸 出 金:618億 円、 役 職
金:5,793億円、貸出金:3,483億円、役職
員数:96人〈10年3月末〉)
員数:690人〈10年3月末〉)
宇和島信用金庫は、高川理事長の経営意思
金沢信用金庫は、04年頃から営業店から
を 受 け て、「顧 客 か ら 相 談 を 受 け た ら 断 ら
本部に対して成年後見制度の取扱いに関する
ず、一緒に悩む」ことを周知徹底している。
照会が徐々に増えてきたことを受け、“現場
また、本部と営業店との間の地理的かつ心理
で当制度を理解しないまま事務処理を行うだ
的な距離感が近いことから、意思決定にス
けでは適切な顧客対応はできない”と考えた
ピード感がある。
ことを契機に
地元・宇和島市における高齢化が進むなか、
かかる体制整備に取り組み始めた。規程の検
認知症高齢者への取引に対する問題意識の高
討にあたっては、当金庫顧問弁護士や司法書
い支店長による提案を契機に、10年度から
士の意見等を踏まえ、慎重に1年以上の時間
認知症サポーター等養成事業に積極的に取り
をかけた。最も配慮した点は、成年後見制度
組んでいる。具体的には、当金庫の全役職員
の概要について新入職員がみても理解して対
が、10年7月 初 旬 ま で に、3回 に 分 か れ て、
応できるように工夫したことである。検討の
宇和島市の地域包括支援センターにおいて認
結果、10年7月に「成年後見制度に関する預
知症サポーター養成講座を受講している。
金事務取扱要領」が制定された。制定時、ま
また、09年1月に、当金庫が利用者向けに発
ず営業店の次長クラスを対象に、4、5時間
刊している広報誌のなかで、地元・宇和島市
をかけて事例中心の勉強会を実施した。この
にある「認知症の人と家族の会」の活動内容
勉強会に参加した次長が、それぞれ店内勉強
を紹介するなど、役職員の間では、10年7月
会により職員への周知を図った。さらに成年
に認知症サポーター養成講座を受講する前か
後見制度に対する金庫内周知を徹底するた
ら認知症に対する問題意識が持たれていた。
め、同年7月から11月にかけて実施した人事
(注)27
、成年後見制度への対応に
部人材育成室主催の「金曜サークル(公募形
(2)成年後見制度の対応にかかる体制整備
ここでは、成年後見制度に関する規程を整
(注)26
備して金庫内周知
に努める金沢信用金庫
(石川県)の事例を紹介する。
式の庫内勉強会)」のテーマに取り入れて勉
強会を実施した。当勉強会には、役席者から
入庫2∼3年目までの職員約100名が受講し、
成年後見制度に対する職員の意識の高さがう
(注)26.日本弁護士連合会(09年10月8日)が公表する「
「成年後見制度に関する取扱いについてのアンケート」集計結果、分析と
考察」によると、成年後見制度に関する研修を実施している金融機関はすべての金融機関のうち3割程度にとどまっている。
27.当時は通達で事務取扱い方法のみを伝えていたため、営業店担当者は接客にあたり画一的な対応にならざるをえない実態が
あった。
56
信金中金月報 2011.5
かがわれたという。今後、本部(事務部事務
きていることから、役職員における成年後見
企画室)への成年後見制度に関する基本的な
制度への理解が必要であると考えていた。ま
照会がなくなるまで、さらに役職員への周知
た、地元での小さな親切運動の会長を引き受
徹底に努めたい意向がある。
けており、その運動のなかで行方不明の老人
そのほか、22の本支店が、2(2)で紹介
を保護して表彰する事例が多いことを経験し
した金沢市認定の「認知症サポーター認定
た。こうした業務外での活動も成年後見制度
所」になるなど、認知症高齢者に対する店頭
の必要性を強く認識する契機となった。さら
での対応をスムーズにする取組みも行ってい
に、10年3月、種村理事長が、地元・米沢市
る。こうした当金庫の成年後見制度および認
出身で特定非営利活動法人(NPO法人)市
知症高齢者への対応の取組みについては、金
民後見プロジェクトやまがた
沢市や地元司法関係者の間で高い評価を受け
美代表
ている。
特任助教から市民後見人養成プロジェクト事
(注)28
(注)29
の齋藤真由
による紹介で、東京大学宮内康二
業への協力要請を受け、同年10月末から同
4.信用金庫業界における認知症地域
支援体制の構築へ向けた挑戦
―米沢信用金庫の事例―
事業に協力している。
市民後見人養成講座(山形市と米沢市の2
会場)は、10年10月30日(土)から11年10月29
(注)30
ここでは、一般市民の後見人を養成して地
日(土)の1年間かけて実施される
域における市民後見活動を活発にすることを
内容は、成年後見に関する座学27時間(3時
目的とする市民後見人養成プロジェクト事業
間 ×9回 ) と 体 験 活 動(延 べ100時 間 程 度 )
(前出1.(2)②)に賛同し協力する米沢信用
で 構 成 さ れ て い る(図 表11、12)。 当 金 庫
金庫(山形県)の事例を紹介する。
。その
は、当講座の後援団体として名を連ねるとと
もに、本店5階大会議室を講義室として提供
○米沢信用金庫(本店所在地:山形県米沢市
している。また、当講座の募集にあたって、
〈総 人 口88,716人、 高 齢 化 率25.1%〉、 預
まず10年9月に、すべての役職員に対して、
金:1,108億 円、 貸 出 金:611億 円、 役 職
通達を通じ当金庫による当講座への取組み
員数:171人〈10年3月末〉)
(目的や対応等)について周知徹底した。そ
米沢信用金庫の種村理事長は、「障害者や
のうえで、案内チラシ1,200枚を全営業店の
お年寄りにやさしい地域金融機関」を目指す
店頭に配置したり、渉外担当者が、直接、市
なかで、当金庫窓口において認知症高齢者ま
民後見制度への関心を示した顧客および認知
たはその家族によるトラブルや苦情が増えて
症高齢者や知的障害者を抱える家族に配布し
(注)28.10年10月にNPO法人として新設
29.㈶民事法務協会民事法務研究所成年後見センターにも勤務している。
30.脚注2参照
調 査
57
図表11 山形県で開催されている「市民後見人養成講座」の内容
成年後見に関する座学
(3時間×9回=27時間)
1回目
成年後見概論
平成22年10月30日(土)
2回目
知的障害について
平成22年11月13日(土)
3回目
高次脳機能障害について
平成22年11月27日(土)
4回目
認知症について
平成22年12月12日(日)
5回目
成年後見の実務
平成23年1月15日(土)
6回目
任意後見について
平成23年2月5日(土)
7回目
高齢者を後見すること
平成23年3月5日(土)
8回目
障害者を後見すること
平成23年5月14日(土)
9回目
地域における市民後見活動
平成23年7月9日(土)
成年後見に関する体験活動
(延べ100時間程度)
1回目
知的障害者の実態把握
平成22年11月14日∼11月26日
2回目
高次脳機能障害者の実態把握
平成22年11月28日∼12月10日
3回目
認知症高齢者の実態把握
平成22年12月13日∼1月14日
4回目
成年後見に関する実態把握
平成23年1月16日∼2月4日
5回目
高齢者後見インターンシップ
平成23年3月∼5月
6回目
障害者後見インターンシップ
平成23年5月∼7月
7回目
市民後見準備活動
平成23年8月∼9月
修了式
平成23年10月29日(土)
山形大学
(出所)「市民後見人養成講座」講座内容チラシ
た。当金庫OBに対しては、案内チラシを郵
(注)31
送
することで参加を促した。こうした取
(注)32
組み
図表12 「市 民 後 見 人 養 成 講 座 」 テ キ ス ト
(表紙)
の結果、米沢会場の受講者数は66名
となり、このうち6割以上を当金庫利用者等
で占めている。
講義の開催にあたって、講座の受付に1∼
2名の職員を配置している。また、各営業店
のコンプライアンス担当者が中心となり、店
頭での接客や渉外のなかで広報活動を実施し
ている。さらに、11年1月15日(土)に行わ
れた第5回講義の冒頭で種村理事長が受講生
に対して挨拶を行い、当金庫の当事業への協
力姿勢をアピールした(図表13)。当日の講
義では、受講生から活発かつ内容の深い質問
(注)31.当金庫営業エリアに居住する当金庫OB計280名を対象に郵送した。なお、郵送料は当金庫負担である。
32.米沢市の広報誌である「広報よねざわ」
(10年9月15日付)でも紹介された。
58
信金中金月報 2011.5
が出るなど、受講生の参加意識の高さがうか
がわれた。また、同年2月5日(土)の第6回
図表13 米沢信用金庫種村理事長による挨拶
(写真)
講義において、当金庫が一部の受講生に対し
て行ったアンケート(声・感想)によると、
「受講について、当初は忙しくなり自分にマイ
ナスかと思いましたが、逆に気持ちに張りが
出た気がします」
、
「講義受講によりニュース
に対する見方が変わりました。物事を深く考
えるようになったり、理解できる事も増えま
した」
、
「今まで全く縁のなかった福祉の現場
や、社会的な問題の現場を体験することが出
(備考)信金中央金庫 地域・中小企業研究所撮影
来て勉強になり貴重な機会だと思う」
、
「実務
の間に成年後見制度に対する理解を求め周知
に携わっている優れた講師の方が多く、短時
徹底していくこととしている。また、預金取
間ながら良い講義内容です」といった前向き
引等における成年後見制度への対応方法に関
な意見があった。一方、
「受講回数が進むにつ
する規定を整備するなど、内部体制の構築に
れて、解らない事、知らない事があまりにあ
も取り組んでいく方針である。こうした取組
り過ぎて、当初の気持ちが薄れ、正直なとこ
みを通じて、“生涯を通じて地域に貢献する
ろ苦痛感が顔を出し始めています」
、
「講座が
ことを生きがいにできる”職員を育成したい
進むにつれて後見人という仕事の難しさを感
との意向である。さらに、NPO法人市民後
じるようになりました。自分が後見人という
見プロジェクトやまがたと連携し、当金庫窓
仕事に向いているのかどうか、まだ判断出来
口において、認知症の疑われる利用者もしく
ずにいます」などの悩みも寄せられた。この
はその家族に対して成年後見制度の利用を勧
ように、当講座への評価は高いものの、市民
奨していきたい意向もある。この取組みは、
後見人の仕事に対する不安や躊躇を感じる受
米沢市における市民後見活動を後押しするも
講生が存在することから、こうした不安感を
のとして高く評価されよう。
和らげる内容を盛り込むなど、さらに受講生
そのほか、山形県で初めての取組みとし
の視点に立った講座の運営が求められよう。
て、10年10月までに当金庫のほぼすべての
今後、当金庫としては、監査部コンプライ
役職員(パート職員含む。)
アンス統括室を主管部署として、すべての営
ポ ー タ ー 養 成 講 座 を 受 講 し て い る(図 表
業店役職員に冊子「任意後見契約と法定後
14)。第1回目の講座(同年7月31日)では内
見」を配付し研修を行うことにより、役職員
勤職員を中心に88名、第2回目の講座(同年
(注)33
が認知症サ
(注)33.11年2月1日現在、日程の都合等により、計2名(正職員1名、パート職員1名)が未受講となっている。
調 査
59
図表14 認知症サポーター養成講座への取組み経緯
日時
2010年
内容
当庫参加者数
備考
6月22日
認知症サポーター養成講座
6名
於:九里学園
7月31日
認知症サポーター養成講座(第1回)
88名
於:当庫本店
5階大会議室
8月7日
認知症サポーター養成講座(第2回)
56名
於:当庫本店
5階大会議室
米沢市記者クラブに対してニュースリリース
−
−
山形新聞に掲載
−
−
49名
於:当庫本店
5階大会議室
8月8日
10月6日
認知症サポーター養成講座(第3回)
(備考)米沢信用金庫監査部提供資料を基に信金中央金庫 地域・中小企業研究所作成
8月7日 ) で は 渉 外 担 当 職 員 を 中 心 に56名、
金融機関の協力の下、特に認知症高齢者を対
第3回目の講座(同年10月6日)では残りの
象とした高齢者見守りネットワークを構築す
職 員49名 が 受 講 し た。 講 師(キ ャ ラ バ ン・
る動きがみられる。こうした動きのなか、信
メイト)は米沢市職員が担当した。講座の実
用金庫の一部には地元の行政や専門家団体等
施にあたっては、受講者に実感を持たせる目
との連携を図りながら高齢者見守りネット
的で、ロールプレイング(窓口での対応、訪
ワークに関わる動きが出てきている。
問先での対応)を取り入れた。なお、本取組
北海信用金庫をはじめとした多くの信用金
みは、米沢市記者クラブに対してニュースリ
庫の事例のように認知症を正しく理解した役
リースし、山形新聞に掲載された。 職員を養成したり、金沢信用金庫の事例のよ
現在、すべての営業店の店頭に「認知症サ
うに認知症高齢者に対応できる内部体制を構
ポーターがいます」と表示したステッカーを
築する取組みは、認知症地域支援体制づくり
貼りだすとともに、受講済みの役職員は認知
の一端を担うものといえる。
症サポーターの証となるオレンジリングを着
また、米沢信用金庫では、信用金庫業界で
用している。また、朝礼等において苦情等の
は初めて市民後見人養成プロジェクト事業に
状況を周知するなかで、認知症高齢者を巡る
賛同し関与している。今後、成年後見制度の
対応事例も盛り込んでいる。このように、米
利用を勧奨していくなかで地元のNPO法人
沢信用金庫は、認知症支援によって地元・米
との連携を図っていきたいと考えている。高
沢市における存在感を高めている。
齢化が急激に進み、成年後見制度の果たす役
5.期待される役割・成果
割の重要度合いはますます高まることが予想
される。この取組みは、地元における市民後
本稿で紹介した東京都板橋区や石川県金沢
見活動(親族以外の成年後見人等の確保)を
市での取組事例のように、地方行政(区市町
活発化することに大いに貢献するものと期待
村レベル)において、地元の商店、事業所、
される。
60
信金中金月報 2011.5
信用金庫が地域の高齢者福祉ネットワーク
散見されるなか、役職員が認知症に対して正
に関わることは、地元(地域住民)に対して
しい理解をすることで窓口対応におけるマ
今まで以上に「地域の一員」を強く印象付け
ナーが向上するとともに、介護保険窓販の推
るとともに、地方行政(区市町村)や医療・
進や介護事業者との取引にあたり、利用者に
介護機関等との関わりがますます強まること
とって納得性のある営業活動を実現すること
が期待できる。また、認知症者の来店事例が
が期待できよう。
〈 取材協力先 〉
石川県金沢市(長寿福祉課)
宇和島信用金庫(業務推進部)
金沢信用金庫(事務部事務企画室)
烏山信用金庫(業務部)
北空知信用金庫(廣上光義専務理事、業務部)
湘南信用金庫(人事部)
東京都板橋区(おとしより保健福祉センター)
特定非営利法人市民後見プロジェクトやまがた(齋藤真由美代表)
北海信用金庫(平田進常務理事・業務推進部長、業務推進部)
米沢信用金庫(種村信次理事長、須貝常勤理事・監査部長、羽賀秀一常勤理事・総務部長)
調 査
61
調
査
第143回全国中小企業景気動向調査
(2011年1∼3月期実績・2011年4∼6月期見通し)
1∼3月期業況は震災直前までは改善基調を持続
【特別調査 ― 中小企業の採用動向について】
信金中央金庫
地域・中小企業研究所
調査の概要
1.調査時点:2011年3月1日∼7日
2.調査方法:全国各地の信用金庫営業店の調査員による、共通の調査表に基づく「聴取り」調査
3.標本数:15,660企業(有効回答数 13,592企業・回答率 86.8%)
※有効回答数のうち従業員数20人未満の企業が占める割合は71.7%
4.分析方法:各質問項目について、
「増加」
(良い)−「減少」
(悪い)の構成比の差=判断D.I.に基づく分析
(概 況)
1.11年1∼3月期(今期)の業況判断D.I.は△31.6と、前期比0.6ポイント改善した。なお、今
回の調査結果は、今般発生した大震災の影響を織り込んでいない。
収益面では、前年同期比売上額および収益の判断D.I.が、それぞれ△18.8、△23.2と、と
もに3ポイント前後の小幅改善となった。
また、人手過不足判断D.I.は△3.2と、3四半期連続の「不足」超で、不足感も一段と強まった。
業種別の業況判断D.I.は、不動産、小売、建設の3業種で改善した。また、地域別では11
地域中6地域で改善した。
2.11年4∼6月期(来期)の予想業況判断D.I.は△28.8と、今期実績比2.8ポイントの改善見通
しとなっている。ただし、今回調査の見通しについても、今般の大震災の影響を織り込んで
いない点に留意する必要がある。
製
造
業
卸
売
業
小
売
業
サービス業
建
設
業
不 動 産 業
建
設
業
不 動 産 業
62
信金中金月報 2011.5
(この天気図は、景気指標を総合的に判断して作成したものです。
)
好調←
→低調
南九州
合
九州北部
国
サービス業
四
業
国
売
中
小
畿
業
近
売
海
卸
東
業
陸
造
北
製
首都圏
総
合
東
総
地 域
関
業種名
北
時 期 2010年 2011年 2011年
4月∼6月
10月∼12月 1月∼3月(見通し)
業種名
東
地域別天気図(今期分)
北海道
業種別天気図
1.全業種総合
○震災直前までの業況は改善基調
11年1∼3月期(今期)の業況判断D.I.は、
た(図表3)。
○業 種 別 の 業 況 判 断D.I.は 不 動 産 業、 小 売
業、建設業で改善
前期比0.6ポイント改善の△31.6と、リーマ
業 況 判 断D.I.を 業 種 別 に み る と、 不 動 産
ン・ショック直後(09年1∼3月期、△55.3)
業、小売業、建設業では改善がみられたもの
をボトムに8四半期続けて改善した(図表1)
。
の、製造業とサービス業は前期比横ばい、卸
なお、調査時点は3月上旬であり、今回の調
査結果は、今般発生した大震災(3/11)の
図表1 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
0
影響を織り込んでいない。
収益面では、前年同期比売上額判断D.I.が
△18.8
△23.2
△20
△18.8、 同 収 益 判 断D.I.が △23.2と、それぞ
△30
れ前期比4.0ポイント、2.2ポイント改善した。
△40
一方、前期比売上額判断D.I.は△25.3、同
△50
収益判断D.I.は△28.2と、季節要因からとも
前年同期比売上額判断D.I.
△10
業況判断D.I.
△31.6
前年同期比収益判断D.I.
△60
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
(時期)
に前期に比べ10ポイント前後のマイナス幅
拡大となった。
図表2 販売価格・仕入価格判断D.I.の推移
(D.I.)
60
50
○仕入価格判断D.I.は大幅に上昇
販売価格判断D.I.は△12.4と、前期比3.1ポ
イント上昇し、価格「下降」と回答した企業
仕入価格判断D.I.
40
30
20
17.7
10
0
△10
△12.4
の割合が2四半期続けて減少した。一方、仕
△20
入価格判断D.I.は同11.4ポイント上昇の17.7
△30
06.3
販売価格判断D.I.
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
(時期)
と、価格「上昇」と回答した企業の割合が急
増した(図表2)。
雇用面では人手過不足判断D.I.が△3.2
(マイ
ナスは人手「不足」超)となった。3四半期続け
図表3 設備投資実施企業割合、資金繰り
判断D.I.等の推移
(D.I.)
20
(%)
25
設備投資実施企業割合(右目盛) 人手過不足判断D.I.(左目盛)
10
20
借入難易度判断D.I.(左目盛)
16.3
ての「不足」超で、不足感も一段と強まった。
0
資金繰り判断D.I.は△22.4と、前期比0.5ポ
△10
△7.7
△20
△22.4
イントの小幅改善となった。
△3.2
15
10
資金繰り判断D.I.
(左目盛)
5
△30
設備投資実施企業割合は16.3%、 前期比
0.1ポイント上昇し、小幅の増加にとどまっ
△40
06.3
0
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
(時期)
調 査
63
売業が小幅悪化となった。ちなみに、不動産
業の業況判断D.I.は前期比4.5ポイント改善の
△19.9と、水準面でも相対的に最も改善が進
んでいる。
地域別の業況判断D.I.は、全11地域中、6
地 域 で 改 善、5地 域 で 悪 化 と ま ち ま ち だ っ
た。ちなみに、今回調査で改善した地域は、
改善幅が大きい順に、九州北部、首都圏、東
海、近畿、南九州、中国となっていた。
図表4 製造業 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
10
0
前年同期比売上額
△10
△9.0
△14.6
△20
業況
△28.0
△30
△40
前年同期比収益
△50
△60
△70
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
(時期)
また、前期比売上額判断D.I.および 同収益
判断D.I.は、それぞれ季節的要因により前期
○震災直前の時点では今後も改善見通し
比13.3ポイント、同10.6ポイントのマイナス
来期の予想業況判断D.I.は△28.8と、今期
幅拡大となった。
実績比2.8ポイントの改善見通しとなってい
る。ただし、前述したとおり、今回調査の見
○人手は「不足」超に転じる
通しについても、今般の大震災を織り込んで
設備投資実施企業割合は、季節的な要因な
いない点に留意する必要がある。
どもあり、前期比0.5ポイント低下の17.9%
業種別の予想業況判断D.I.は、建設業を除
と、2四半期連続で小幅低下した。
く5業種で今期実績比改善が見込まれている。
人手過不足判断D.I.は、前期比1.8ポイント
また、地域別の予想業況判断D.I.では、九
低下の△1.6(マイナスは人手「不足」超)
となっ
州北部、四国、中国を除く8地域で今期実績
た。09年4∼6月期
(21.5)
から7四半期連続の低
比改善の見通しとなっている。
下で、10四半期ぶりに人手「不足」超に転じた。
2.製造業
残業時間判断D.I.は△0.4と、前期比0.2ポ
イントのマイナス幅縮小となり、残業時間が
○業況は横ばい
減少したとする企業の割合は7四半期続けて
今期の業況判断D.I.は、前期に引き続き
低下した。
△28.0と、横ばい推移となった。バブル崩壊
原材料(仕入)価格判断D.I.は26.4と、足
以降初となる6四半期連続の改善を記録した
下の原材料価格高騰を受けて前期比13.7ポイ
前期までの改善基調には、やや一服感がみら
ントの大幅上昇となった。一方、販売価格判
れる(図表4)。
断D.I.は△12.7と、前期比0.9ポイントのマイ
前年同期比売上額判断D.I.は、前期比3.2ポ
ナス幅縮小となった。
イ ン ト 改 善 の △9.0、 同 収 益 判 断D.I.は、 同
なお、資金繰り判断D.I.は△20.2と、前期
0.5ポイント改善の△14.6となった。
比1.8ポイントの改善となった。
64
信金中金月報 2011.5
○全22業種中14業種で改善
業 種 別 業 況 判 断D.I.は、 製 造 業 全22業 種
中、14業種で改善がみられた(図表5)。
図表5 業種別業況判断D.I.の推移
△60 △50 △40 △30 △20 △10
(D.I.)
0 10
繊維
化学
皮製品
素材型業種は、4業種で改善、3業種で悪
化とまちまちだった。なかでも繊維、鉄鋼、
非鉄金属は、前期比10ポイント超の大幅改
善となった。
部品加工型業種は、全3業種で改善した。
なかでも、金属製品は7四半期連続での改善
となっている。
建設関連型業種は、建設建築用金属、家
具・装備品では小幅改善となった。一方、窯
素材型 ゴム
鉄鋼
非鉄金属
紙・パルプ
プラスチック
部 品
金属製品
加工型
金属プレス・メッキ
窯業・土石
建 設 建設建築用金属
関連型 木材・木製品
家具・装備品
一般機械
機 械 電気機械
器具型 輸送用機器
精密機械
業・土石、木材・木製品では、それぞれ5ポ
イント程度悪化した。
機械器具型業種は、2四半期連続で悪化し
衣服その他
消 費 食料品
財 型 玩具・スポーツ
出版・印刷
全業種平均
た精密機械を除く3業種で改善した。とりわ
●前期(2010年10∼12月期)⃝今期(2011年1∼3月期)
け一般機械は、前期比14.8ポイントの大幅改
善となった。
幅悪化となった。
消費財型業種は、衣服、出版・印刷で改善
従業員規模別の業況判断D.I.は、従業員
した。一方、悪化した2業種のうち食料品は、
1∼19人と100人以上の階層で悪化した。100
前期比13.4ポイントの大幅悪化となった。
人以上の階層では2四半期連続の悪化となる
一方、20∼49人、50∼99人の中規模階層で
○従業員規模別では中規模階層で改善続く
は、7四半期連続での改善となっている。
販売先形態別の業況判断D.I.は、それぞれ
前期比3.5ポイント、同2.3ポイント改善した
○全11地域中、7地域で悪化
大メーカー型と中小メーカー型を除く3形態
地域別の業況判断D.I.は、全11地域中、首
で悪化した。悪化した3形態については、や
都圏、東海、近畿、四国を除く7地域で悪化
やばらつきがあるものの、おおむね5ポイン
した(図表6)。
ト前後の悪化となった。
とりわけ北海道、関東、中国では、前期比10
輸出主力型の業況判断D.I.は△4.9と、前期
ポイント超の大幅悪化となった。また、業況判
比17.9ポイントの大幅改善となった。一方、
断D.I.の水準をみると、前期比19.1ポイント悪化
内需主力型は、△29.1と同1.1ポイントの小
した北海道が、唯一△40台まで後退している。
調 査
65
図表6 地域別業況判断D.I.の推移
△60
△50
△40
△30
△20
図表7 卸売業 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
△10
0
(D.I.)
0
前年同期比売上額
北海道
△10
東 北
関 東
△20
首都圏
△30
北 陸
△18.4
△22.2
前年同期比収益
△36.4
△40
東 海
△50
近 畿
中 国
△60
四 国
△70
06.3
九州北部
業況
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
(時期)
南九州
全地域平均
●前期(2010年10∼12月期)⃝今期(2011年1∼3月期)
○改善傾向にはばらつき
○来期は改善を見込む
業 種 別 の 業 況 判 断D.I.は、15業 種 中、 玩
来期の予想業況判断D.I.は△22.6と、今期
具、紙製品、機械器具などの8業種で改善し
実績比5.4ポイントの改善を見込んでいる。
たものの、それ以外の7業種では悪化した。
業種別には、全22業種中、15業種で改善の
また、地域別では、全11地域中、近畿、中
見通しとなっている。このうち、ゴム、プラ
国、九州北部など5地域で改善した。
スチック、食料品では、今期実績比10ポイ
ント以上の大幅な改善を見込む。一方、輸送
○来期は改善を見込む
用機器では前期比横ばいの見通しである。ま
来期の予想業況判断D.I.は△31.1と、今期
た、地域別には、全11地域中、九州北部を
実績比5.3ポイントの改善を見込んでいる。業
除く10地域で改善を見込んでいる。とりわ
種別では、15業種中、紙製品、鉱物・燃料な
け、北海道、北陸では、今期実績比10ポイ
ど8業種を除いた7業種で改善を見込む。ま
ント超の大幅な改善見通しとなっている。
た、地域別では、11地域中、北海道、四国を
3.卸売業
○業況改善から悪化へ
除いた9地域で改善の見通しとなっている。
4.小売業
今期の業況判断D.I.は前期比2.6ポイント悪
○業況は小幅改善
化し、△36.4となった。前期まで3四半期連続
今期の業況判断D.I.は、前期比2.1ポイント
の改善となっていたが、今期は悪化に転じた。
改善の△39.9となった。△30台となったのは、
な お、 前 年 同 期 比 売 上 額 判 断D.I.は △18.4、
08年7∼9月期以来。前年同期比売上額判断
同収益判断D.I.は△22.2と、それぞれ前期比
D.I.は、前期比5.1ポイント改善の△32.1、同
6.4ポイント、同3.2ポイントの改善となった
収益判断D.I.も前期比3.3ポイント改善の△35.3
(図表7)。
66
信金中金月報 2011.5
となった(図表8)。
図表8 小売業 主要判断D.I.の推移
図表9 サービス業 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
(D.I.)
0
△10
△20
△10
前年同期比売上額
前年同期比売上額
△20
△30
△40
△32.1
△35.3
業況
業況
△29.3
△30.0
△39.9
△36.7
△40
前年同期比収益
△50
△60
06.3
△30
前年同期比収益
△50
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
△60
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
(時期)
(時期)
○全13業種中9業種で改善
○業種、地域でばらつき
業種別の業況判断D.I.は、前期比27.1ポイ
業種別の業況判断D.I.は、8業種中、自動
ント改善の自動車など全13業種中9業種で改
車整備と情報・調査・広告で改善したもの
善した。一方、家電は、前期比27.7ポイント
の、それ以外の6業種では悪化した。ちなみ
悪化し、エコポイント制度縮小に伴う景況感
に、自動車整備は、前期の18.3ポイントの悪
悪化がうかがわれる。地域別では、全11地域
化から、今期は14.8ポイントの改善となった。
中、九州北部、南九州など6地域で改善した。
地域別では、北陸、九州北部など11地域中6
地域で改善した。
○13業種中10業種で改善の見通し
来期の予想業況判断D.I.は△37.8と、今期
○改善を見込む
実績比2.1ポイントの改善を見込んでいる。
来期の予想業況判断D.I.は△31.0と、今期
業種別には、燃料、自動車、家電を除く13
実績比5.7ポイントの改善を見込んでいる。
業種中10業種で改善を見込む。また、地域
業 種 別 で は、 娯 楽 な ど6業 種 で 改 善 を 見 込
別には、全11地域中、今期悪化となった中
む。地域別では、東北、近畿など8地域で改
国、北陸、北海道を含む6地域で改善を見込
善の見通しとなっている。
むなど、まちまちな見通しとなっている。
5.サービス業
6.建設業
○業況は3四半期連続で改善
○業況は横ばい
今期の業況判断D.I.は、前期比1.6ポイント
今期の業況判断D.I.は△36.7と、前期比横
改善の△26.8となった。改善は3四半期連続。
ばいとなった。前年同期比売上額判断D.I.は
前年同期比売上額判断D.I.は前期比5.4ポイン
△29.3、同収益判断D.I.は△30.0と、それぞ
ト改善の△17.5、同収益判断D.I.も前期比3.6
れ前期比2.9ポイント、同3.9ポイントの改善
ポイント改善の△25.4となった(図表10)。
となった(図表9)。
調 査
67
○中国、九州北部など8地域で改善
をみると、08年4∼6月期以来、11四半期ぶ
業況判断D.I.を請負先別でみると、個人を
りに△10台となった。一方、前年同期比売
除く3業種が改善した。中小企業は7四半期
上額判断D.I.は、△18.5と、前期比1.3ポイン
連続、官公庁と大企業は3四半期連続の改善
ト 悪 化 し た。 同 収 益 判 断D.I.は、 △19.9と、
となった。地域別では、北海道、東北、北陸
前期比0.4ポイント改善した(図表11)。
で悪化がみられたものの、残る8地域で改善
した。特に、中国と九州北部では、前期比
○関東、中国、南九州など6地域で改善
10ポイント超の大幅改善となった。
業況判断D.I.を業種別でみると、5業種中、
貸事務所、貸家、建売、仲介の4業種が改善
○9地域で悪化する見通し
した。地域別では、悪化した東北、東海、近
来期の予想業況判断D.I.は△34.2と、今期
畿、九州北部と横ばいの北陸を除く6地域で
実績比7.4ポイントの悪化を見込む。請負先
改善した。うち、関東、中国、南九州は、前
別では、個人を除く3業種で悪化の見通しと
期比10ポイント超の大幅改善となった。ま
なっている。地域別では、北海道と北陸を除
た、関東と四国は4四半期連続で改善した。
く9地域で悪化を見込んでいる。うち、関東
と首都圏以外の7地域は、10ポイント超の大
○改善の見通し
幅悪化となる見通しである。
来期の予想業況判断D.I.は△17.6と、今期
実績比2.3ポイントの改善を見込む。業種別
7.不動産業
では、仲介を除く4業種で改善する見通しで
○業況は改善
ある。地域別では、東北、首都圏、東海、近
今期の業況判断D.I.は、前期比4.5ポイント
畿、九州北部の5地域では改善、残る6地域
改善の△19.9となった。業況判断D.I.の水準
では悪化の見込みとなっている。
図表10 建設業 主要判断D.I.の推移
図表11 不動産業 主要判断D.I.の推移
(D.I.)
(D.I.)
0
10
前年同期比売上額
△20
△30
△40
△17.5
△10
△25.4
△26.8
△20
△18.5
△19.9
(業況)
前年同期比収益
△19.9
(収益)
△40
△50
業況
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
(時期)
68
業況
△30
前年同期比収益
△50
△60
06.3
前年同期比売上額
0
△10
信金中金月報 2011.5
△60
06.3
07.3
08.3
09.3
10.3
11.3
(時期)
特別調査
中小企業の採用動向について
○正規・非正規を問わず増やす企業が増加
が12.9%だったことと比較すると、改善傾向
今後1、2年程度の正規社員の雇用につい
が目立った。従業員規模別にみると、規模が
ては、12.3%が「増やす」と回答し、「減ら
比較的大きな企業ほど、「増やす」と回答し
す」の8.4%を上回った。前回(2009年4∼6
た割合が目立った(図表12)。
月期)時点で「増やす」が6.7%、「減らす」
非正規社員についても、
「増やす」が9.8%
図表12 正規社員・非正規社員の雇用について
体
道
北
東
圏
陸
海
畿
国
増やす
(A)
12.3
9.5
16.0
16.4
6.8
11.7
21.7
17.8
12.4
四
国
九 州 北 部
南 九 州
1∼ 4人
5∼ 9人
10∼ 19人
20∼ 29人
30∼ 39人
40∼ 49人
50∼ 99人
100∼199人
200∼300人
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
サービス業
建 設 業
不 動 産 業
8.7
8.5
7.8
3.4
9.0
14.7
20.7
21.3
22.9
27.1
29.7
34.1
15.3
12.9
5.6
12.5
14.2
8.6
全
地
域
別
北
東
関
首
北
東
近
中
海
都
(単位:%)
正規社員
減らす
増やす
- B)
変えない
(A)
(
(B)
(A)
78.3
8.4
3.9
9.8
-1.5
78.8
11.0
10.3
71.5
11.1
5.0
12.8
72.6
10.1
6.2
12.4
86.4
5.9
0.9
5.9
76.3
10.3
1.5
12.2
67.4
10.1
11.6
13.1
72.4
8.6
9.3
13.4
76.1
11.2
1.1
10.3
従業員規模別
業
種
別
81.9
84.5
83.3
90.1
82.8
73.2
66.1
67.4
64.3
62.0
60.2
53.5
74.7
77.9
85.5
78.0
74.8
86.5
7.8
6.5
7.4
4.3
7.7
11.6
12.9
10.7
12.5
10.8
9.7
12.4
9.2
8.5
6.9
8.3
10.6
3.8
0.9
2.0
0.4
-0.9
1.3
3.1
7.8
10.6
10.4
16.2
20.1
21.7
6.1
4.4
-1.3
4.1
3.6
4.8
8.0
8.2
7.5
4.3
8.8
12.7
14.7
13.9
17.3
15.1
16.2
20.2
12.1
9.6
7.8
11.7
7.5
5.4
<参考>前回(2009年4∼6月期)調査時
全
体
増やす
(A)
6.7
正規社員
減らす
増やす
- B)
変えない
(A)
(
(B)
(A)
-6.2
80.4
12.9
7.9
非正規社員
減らす 従来から
- B)
変えない
(A)
(
(B)
いない
52.1
5.6
26.5
4.2
55.1
7.9
21.8
2.4
46.5
6.8
26.5
6.0
51.8
5.5
22.2
6.9
54.5
4.1
33.3
1.8
43.6
7.7
29.0
4.6
52.1
7.6
19.6
5.5
53.1
5.5
22.1
7.8
46.4
7.2
26.5
3.1
47.1
53.6
52.7
50.3
54.4
51.6
49.7
53.2
55.8
54.4
58.7
47.3
52.3
52.3
54.3
51.8
50.7
49.0
3.3
3.8
5.3
2.9
4.7
6.3
7.8
7.8
8.7
9.9
12.0
18.6
6.9
5.1
5.5
5.2
5.3
1.7
29.4
25.0
25.7
36.7
26.9
23.1
21.2
18.5
12.4
13.8
7.3
10.1
22.7
26.4
27.2
25.3
30.9
36.4
4.7
4.3
2.2
1.4
4.1
6.3
6.8
6.2
8.6
5.2
4.2
1.6
5.2
4.5
2.3
6.5
2.2
3.7
(単位:%)
非正規社員
減らす 従来から
- B)
変えない
(A)
(
(B)
いない
-2.7
51.7
10.6
29.7
(備考)前回調査の詳細については下記URLを参照
http://www.scbri.jp/PDFtyuusyoukigyou/release/release136.pdf
調 査
69
(前 回 は7.9%)、
「減 ら す 」が5.6%(前 回 は
模別では規模の大きな企業ほど「採用した」
10.6%)と、改善傾向がみられた。とりわけ、
の割合が高く、40人以上の階層では軒並み
100人 以 上 の 比 較 的 大 規 模 な 企 業 に お い て
50%を上回った(図表13)。
は、 前 回 時 は30% 以 上 の 企 業 が「減 ら す 」
内 訳をみると、
「採 用した 」に つい ては、
と回答していたが、今回は10%台と大きく
「定例的な人材の採用」が15.0%と大半を占
め、以下「業務の拡大・多様化」が2.7%で続
減少している。
いた。対して「採用しなかった」については、
「もともと採用する気がなかった」が67.0%と、
○全体の3分の2が「新卒採用する気ない」
2008年4月以降における新卒社員の採用の
全体の約3分の2を占めた。とりわけ従業員
有無については、「採用した」が20.6%、「採
4人以下の小規模企業では9割近くが「もと
用しなかった」は79.4%となった。従業員規
もと採用する気がなかった」と回答した。
図表13 新卒社員の採用の有無とその理由
全
地
域
別
従業員規模別
業
種
別
70
体
道
北
東
圏
陸
海
畿
20.6
22.1
20.4
28.8
11.0
22.0
32.3
27.0
中
国
四
国
九 州 北 部
南 九 州
1∼ 4人
5∼ 9人
10∼ 19人
20∼ 29人
30∼ 39人
40∼ 49人
50∼ 99人
100∼199人
200∼300人
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
サービス業
建 設 業
不 動 産 業
24.8
17.2
20.4
17.7
3.9
7.7
18.3
32.5
43.5
55.9
64.2
81.9
94.6
26.0
19.0
12.0
23.0
21.6
13.1
北
東
関
首
北
東
近
海
都
(単位:%)
採用した
採用しなかった
知人・
定例的 業務の 中途よ
取引先
その他
な人材 拡大・ り賃金
等から
の採用 多様化 が低い
の依頼
15.0
2.7
0.8
1.5
0.7
17.4
1.9
0.8
1.5
0.5
14.0
1.9
0.7
2.8
1.0
22.5
3.0
1.2
1.1
0.9
6.9
1.9
0.6
1.2
0.5
15.8
3.3
0.7
1.6
0.7
26.4
2.8
1.0
1.5
0.7
19.8
4.3
0.7
1.2
1.1
採用す
採用募
教育に
優秀な
る気が
集への
その他
手間が
人材が
なかっ
応募が
かかる
いない
た
ない
3.2
2.0
4.6
67.0
2.6
4.2
2.1
5.2
62.5
3.9
3.1
2.0
9.0
61.0
4.5
3.4
2.4
4.9
57.3
3.3
2.9
1.6
3.2
79.6
1.7
1.5
1.6
4.3
68.1
2.5
3.1
2.7
4.7
54.0
3.2
3.4
2.2
6.0
59.2
2.1
17.6
11.8
13.7
11.3
2.0
3.8
11.5
21.2
32.4
45.9
53.0
73.4
84.5
19.4
13.3
8.5
16.5
15.8
8.8
信金中金月報 2011.5
3.4
3.5
3.0
2.2
0.9
1.4
2.8
5.8
5.0
5.8
5.9
4.6
6.2
3.2
2.9
2.0
3.1
1.9
2.0
0.7
0.2
0.8
1.2
0.1
0.5
1.1
1.7
1.3
0.9
1.4
1.9
3.1
0.9
0.5
0.6
0.9
0.9
0.5
2.4
1.2
2.5
1.9
0.4
1.5
1.8
2.6
3.4
2.6
2.8
1.9
0.0
1.8
1.5
0.6
1.7
2.2
0.8
0.7
0.5
0.3
1.3
0.5
0.5
1.0
1.1
1.5
0.6
1.0
0.0
0.8
0.8
0.8
0.5
0.8
0.7
0.9
79.4
77.9
79.6
71.2
89.0
78.0
67.7
73.0
75.2
82.8
79.6
82.3
96.1
92.3
81.7
67.5
56.5
44.1
35.8
18.1
5.4
74.0
81.0
88.0
77.0
78.4
86.9
3.7
3.1
2.7
3.8
1.9
3.8
4.3
3.5
4.0
3.6
4.5
1.5
0.0
3.0
3.5
2.8
3.0
4.1
2.5
2.6
2.1
1.8
2.2
1.2
2.4
2.7
3.3
3.2
1.7
1.9
0.4
0.8
1.9
2.3
1.6
2.3
2.4
1.5
4.4
2.4
3.7
3.6
1.5
4.9
7.7
8.3
8.7
5.0
3.6
1.9
0.8
4.4
4.8
2.8
4.8
7.2
4.0
61.9
71.2
69.2
70.4
89.1
77.8
64.2
49.6
38.3
31.7
23.8
13.9
3.9
62.0
68.0
78.5
63.2
62.1
76.7
2.6
4.0
2.2
2.3
2.4
3.4
2.9
2.9
2.3
2.2
1.9
0.4
0.0
2.6
2.4
2.3
3.5
2.6
2.2
○中途採用の一番の動機は「即戦力獲得」
○再雇用は進むも、新規採用の意欲は減退
2008年4月以降における中途社員の採用の
高齢者の活用状況に関して、まず、定年を
有無については、
「採用した」が37.3%、
「採用
迎えた従業員の再雇用については「本人の能
しなかった」は62.7%となった。新卒社員と同
力による」が45.9%ともっとも高く、以下
様に、従業員規模別では規模の大きな企業ほ
「積極的に再雇用する」が11.4%、「本人の人
ど「採用した」の割合が高かった(図表14)。
柄による」が5.5%で続いた。対して、「再雇
内 訳をみると、
「採 用した 」に つい ては、
用は考えていない」という回答も37.2%にの
「即戦力の獲得」が23.7%と大半を占め、以下
ぼった。前回、2000年7∼9月期に同様の調
「業務の拡大・多様化」が4.9%で続いた。対
査を実施した時と比較すると、「積極的に再
して「採用しなかった」については、
「もともと
雇用する」が大幅に増加し、「再雇用は考え
採用する気がなかった」が55.7%を占めた。
ていない」はわずかに減少した(図表15)。
図表14 中途社員の採用の有無とその理由
全
地
域
別
従業員規模別
業
種
別
体
北 海 道
東
北
関
東
首 都 圏
北
陸
東
海
近
畿
中
国
四
国
九 州 北 部
南 九 州
1∼ 4人
5∼ 9人
10∼ 19人
20∼ 29人
30∼ 39人
40∼ 49人
50∼ 99人
100∼199人
200∼300人
製 造 業
卸 売 業
小 売 業
サービス業
建 設 業
不 動 産 業
37.3
37.6
48.7
52.0
20.5
38.8
51.0
47.9
49.8
31.9
34.9
34.8
10.2
28.2
46.6
62.4
66.7
75.6
74.6
78.4
90.7
43.2
38.7
21.7
40.1
43.8
27.4
(単位:%)
採用した
採用しなかった
知人・
業務の 新卒よ
取引先
即戦力
その他
拡大・ り採用
等から
の獲得
多様化 が容易
の依頼
23.7
4.9
2.8
3.8
2.1
23.6
4.1
3.1
4.1
2.7
29.6
5.6
3.4
5.7
4.3
35.5
5.8
2.7
5.3
2.7
12.7
3.4
1.6
2.0
0.9
24.4
5.5
1.7
3.8
3.5
34.8
5.7
3.7
4.2
2.7
30.5
6.9
4.2
4.2
2.1
32.2
7.1
2.8
4.9
2.8
17.0
5.0
3.1
4.3
2.6
22.3
4.3
3.5
3.5
1.3
19.9
4.5
1.9
6.1
2.5
5.7
1.5
0.8
1.5
0.7
15.6
3.1
2.8
4.1
2.6
28.5
5.6
3.7
6.0
2.8
40.4
8.7
4.0
5.8
3.4
45.8
8.2
5.3
3.8
3.5
51.5
9.8
5.8
4.5
4.0
52.8
11.9
4.2
3.9
1.8
58.7
11.2
1.9
4.6
1.9
58.1
19.4
3.1
7.8
2.3
27.2
6.3
3.4
3.9
2.4
21.7
6.2
3.8
4.7
2.3
13.5
3.2
1.6
2.1
1.3
26.1
4.1
3.6
2.9
3.3
31.2
3.7
1.7
5.7
1.6
17.1
4.6
1.0
3.1
1.5
採用す
採用募
採用条
優秀な
る気が
集への
その他
件が合
人材が
なかっ
応募が
わない
いない
た
ない
3.2
1.0
1.4
55.7
1.5
4.4
1.1
0.9
54.1
1.9
2.7
0.8
0.9
45.3
1.5
2.8
1.0
1.0
40.7
2.5
2.7
0.8
1.2
73.6
1.3
2.8
1.2
1.7
54.6
1.0
3.3
0.8
1.6
41.4
1.8
3.9
1.2
2.2
43.5
1.3
3.0
1.0
0.5
44.9
0.8
3.3
1.2
1.2
59.8
2.6
3.3
1.2
2.0
57.6
1.0
2.9
1.3
1.4
58.8
0.7
2.0
0.7
0.8
84.5
1.9
4.0
1.3
1.5
63.1
2.0
3.9
1.2
2.4
44.6
1.2
4.1
1.0
1.4
29.5
1.6
3.8
1.5
1.2
26.2
0.6
3.0
0.8
1.8
18.6
0.3
3.6
0.6
1.3
19.3
0.5
3.5
0.8
1.2
15.4
0.8
0.0
1.6
0.8
7.0
0.0
3.3
1.0
1.6
49.5
1.4
3.4
0.9
1.2
54.4
1.4
2.3
0.9
1.0
72.4
1.7
3.1
1.1
1.5
52.5
1.7
3.9
1.2
1.5
48.3
1.3
3.4
0.7
1.0
66.4
1.1
62.7
62.4
51.3
48.0
79.5
61.2
49.0
52.1
50.2
68.1
65.1
65.2
89.8
71.8
53.4
37.6
33.3
24.4
25.4
21.6
9.3
56.8
61.3
78.3
59.9
56.2
72.6
調 査
71
高齢者の新規採用については、「本人の能
○外国人従業員の勤勉さや意欲に高評価
力 に よ る 」 が28.4%、「本 人 の 人 柄 に よ る 」
外 国 人 従 業 員 の 雇 用 状 況 に つ い て は、
が4.1% と な っ た。 た だ し、66.1% が「採 用
9.6%が「雇用している」、90.4%が「雇用し
は考えていない」と回答しており、前回調査
ていない」と回答した。雇用している理由
(3つまで複数回答可)としては、「勤勉さや
(56.7%)と比較しても割合が上昇した。
仕事への意欲」が5.2%、「賃金面」が4.2%、
図表15 定年を迎えた従業員の再雇用と60歳以上の高齢者の新規採用
採用は
積極的に 本人の能 本人の人 考えて
採用する 力による 柄による いない
再雇用は
積極的に
本人の能 本人の人 考えて
再雇用
力による 柄による いない
する
全
(単位:%)
新規採用の意向がある
再雇用の意向がある
体
62.8
11.4
45.9
5.5
37.2
33.9
1.4
28.4
4.1
66.1
道
69.5
11.7
51.8
6.0
30.5
34.9
1.8
29.2
3.9
65.1
北
74.4
15.1
55.4
3.9
25.6
34.3
1.8
28.8
3.6
65.7
東
73.5
16.4
52.7
4.4
26.5
39.1
0.5
35.4
3.1
60.9
圏
46.4
6.1
34.4
5.9
53.6
26.5
1.2
21.7
3.6
73.5
北
陸
62.9
11.5
45.9
5.6
37.1
34.0
1.2
28.0
4.7
66.0
東
海
77.3
18.0
53.6
5.8
22.7
40.8
1.4
34.3
5.1
59.2
近
畿
69.8
14.3
50.3
5.1
30.2
38.9
1.8
32.5
4.5
61.1
中
国
76.6
15.2
55.5
6.0
23.4
41.5
2.8
34.4
4.2
58.5
四
国
61.1
10.1
45.0
5.9
38.9
35.5
0.5
30.1
4.8
64.5
九 州 北 部
62.1
9.3
49.0
3.8
37.9
33.7
0.9
28.2
4.6
66.3
北
海
東
関
地
域
別
首
南
都
州
57.2
7.8
43.1
6.3
42.8
32.8
1.3
27.7
3.8
67.2
1∼
九
4人
33.4
3.8
24.2
5.5
66.6
17.9
0.6
13.6
3.7
82.1
5∼
従業員規模別
業
種
別
9人
63.9
9.5
47.3
7.1
36.1
33.8
1.5
27.6
4.7
66.2
10∼ 19人
77.0
13.7
56.8
6.5
23.0
42.3
1.8
36.0
4.4
57.7
20∼ 29人
83.5
17.3
61.4
4.8
16.5
46.9
2.4
39.6
4.9
53.1
30∼ 39人
85.5
17.3
64.2
4.0
14.5
47.9
1.4
42.1
4.4
52.1
40∼ 49人
85.9
20.6
60.9
4.4
14.1
48.4
2.5
42.5
3.5
51.6
50∼ 99人
91.0
25.2
63.9
2.0
9.0
49.0
2.1
44.4
2.5
51.0
100∼199人
94.1
23.0
70.3
0.8
5.9
47.3
2.9
42.4
2.1
52.7
200∼300人
92.2
20.2
69.8
2.3
7.8
57.5
0.0
53.3
4.2
42.5
製
造
業
72.5
15.3
52.5
4.8
27.5
40.1
1.7
34.2
4.1
59.9
卸
売
業
66.6
13.5
46.6
6.5
33.4
33.7
1.0
27.6
5.2
66.3
小
売
業
43.6
6.2
31.0
6.4
56.4
21.8
1.0
17.1
3.7
78.2
サービス業
57.9
9.8
41.7
6.4
42.1
34.4
2.3
27.3
4.7
65.6
建
業
71.8
11.0
56.7
4.2
28.2
37.9
1.4
33.6
2.9
62.1
不 動 産 業
45.5
5.0
35.0
5.5
54.5
25.3
0.4
21.4
3.5
74.7
設
<参考>前回(2000年7∼9月期)調査時
(単位:%)
新規採用の意向がある
再雇用の意向がある
採用は
積極的に 本人の能 本人の人 考えて
採用する 力による 柄による いない
再雇用は
積極的に
本人の能 本人の人 考えて
再雇用
力による 柄による いない
する
全
72
体
61.2
信金中金月報 2011.5
4.3
50.5
6.4
38.9
43.3
1.9
36.5
4.9
56.7
では49.2%が「雇用している」と回答してお
「能力」が2.4%と続いた(図表16)。
従業員規模別にみると、従業員19人以下
り、規模間で差が目立った。
の規模階層では雇用している割合が軒並み
業種別では、製造業で17.5%が外国人従業
10%を下回ったのに対し、従業員100∼199
員を雇用していたのに対し、他の業種では軒
人 の 企 業 で は39.4% が、200∼300人 の 企 業
並み10%を割り込んだ。
図表16 外国人従業員の雇用
(単位:%)
雇用している
勤勉さや 海外進出 外国人 日本人に
仕事へ
の
顧客増加 はない
の意欲 足がかり への対応 発想
全
北
海
能力
賃金面
雇用して
日本人を
採用
その他 いない
できず
体
9.6
5.2
1.1
0.9
0.8
2.4
4.2
1.2
0.7
90.4
道
5.9
3.1
0.4
0.9
0.5
1.2
2.4
2.1
0.1
94.1
東
北
4.3
2.7
0.5
0.2
0.1
0.6
1.4
0.8
0.5
95.7
関
東
13.1
7.8
1.8
0.7
1.6
3.6
5.1
1.7
0.9
86.9
地
域
別
首
圏
7.4
4.0
0.6
0.6
0.7
2.2
3.0
0.7
0.5
92.6
北
陸
10.0
4.6
1.3
0.3
0.7
1.5
6.1
0.7
0.3
90.0
東
海
18.9
10.8
2.8
2.0
1.0
4.1
8.9
2.6
1.6
81.1
近
畿
12.0
6.3
1.6
1.4
1.0
3.6
4.6
1.3
0.9
88.0
中
国
10.5
5.3
0.5
0.7
0.5
1.8
6.2
1.3
1.5
89.5
四
国
7.5
3.4
0.2
0.2
1.4
2.2
4.3
0.7
0.5
92.5
九 州 北 部
5.9
2.9
0.8
1.0
0.3
1.2
3.0
1.0
0.3
94.1
南
都
州
7.5
4.9
1.2
0.9
1.2
2.1
3.1
0.7
0.3
92.5
1∼
九
4人
3.1
1.4
0.2
0.2
0.3
0.9
1.3
0.3
0.3
96.9
5∼
従業員規模別
業
種
別
9人
4.9
2.7
0.3
0.4
0.8
1.0
2.2
0.5
0.2
95.1
10∼ 19人
9.2
5.0
0.7
0.8
0.8
2.1
4.4
1.4
0.4
90.8
20∼ 29人
15.3
9.2
1.7
0.9
1.0
5.0
6.4
2.7
1.0
84.7
30∼ 39人
14.8
7.5
1.3
1.6
1.2
3.4
6.1
2.4
1.5
85.2
40∼ 49人
18.4
10.7
1.7
2.0
1.4
4.7
5.9
2.6
2.1
81.6
50∼ 99人
27.3
15.7
4.5
2.2
2.1
6.9
13.9
3.1
1.7
72.7
100∼199人
39.4
20.1
9.4
5.1
1.6
8.3
15.4
3.5
3.9
60.6
200∼300人
49.2
25.0
8.6
11.7
2.3
10.9
23.4
3.9
0.8
50.8
製
造
業
17.5
9.8
2.3
1.3
1.2
4.2
8.4
2.6
1.2
82.5
卸
売
業
7.6
3.5
1.1
1.2
0.8
2.2
3.2
0.7
0.4
92.4
小
売
業
3.9
2.2
0.3
0.4
0.5
1.0
1.3
0.5
0.3
96.1
サービス業
8.2
4.1
0.4
1.1
1.0
2.2
2.2
0.8
1.1
91.8
建
業
4.3
2.3
0.3
0.2
0.4
1.2
2.1
0.5
0.2
95.7
不 動 産 業
2.6
1.9
0.4
0.6
0.3
0.8
1.0
0.0
0.0
97.4
設
(備考)雇用している目的については、最大3つまで複数回答可
※本稿の地域区分のうち、関東は茨城、栃木、群馬、新潟、山梨、長野の6県。首都圏は埼玉、
千葉、東京、神奈川の1都3県。東海は岐阜、静岡、愛知、三重の4県。九州北部は福岡、佐
賀、長崎の3県。南九州は熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄の5県。
調 査
73
信金中金だより
信金中央金庫 地域・中小企業研究所活動状況
(3月)
1.レポート等の発行
発行日
レポート分類
通巻
タ イ ト ル
執筆者
11.3.1
内外金利・為替見通し
22-12
国内金利環境:11年度に景気は自律回復に移行しよ
うが、実質ゼロ金利政策は長期化へ
斎藤大紀
11.3.9
金融調査情報
22-6
注目される認知症支援と信用金庫業界における取組み
藁品和寿
11.3.9
産業企業情報
22-8
円滑化法でも求められる経営改善計画の実効性向上
― 不可欠なコンサルティング機能の発揮と適切なモ
ニタリング ―
藤津勝一
11.3.9
内外経済・金融動向
22-7
地域別にみた日本経済の景況判断 ― 景気は踊り場を
迎えているが、生産活動には反転の兆し ―
斎藤大紀
11.3.16
貿易投資相談ニュース
190
−
−
11.3.23
産業企業情報
22-9
住宅エコポイント制度で関心高まる省エネ住宅 ― 熱
エネルギーの消費節減には、高気密・高断熱化と太陽
熱・地中熱利用が有効 ―
澤山弘
11.3.30
産業企業情報
22-10
介護保険制度改正へ向けて的確な対応が求められる介
護関連事業者 ― 高齢化社会を支えるインフラの担い
手として期待される役割とは ―
中村健太郎
廣澤貴典
2.講座・講演・放送等の実施
実施日
種類
タ イ ト ル
講座・講演会・番組名称
主催
講師等
11.3.2
講演
今後の経済情勢ついて
11.3.3
講演
世界第2位の経済大国となった中 安城碧青会 経営セミナー
国の現状と展望
11.3.3
講演
中小企業の中国市場開拓の実際
第6回中国ビジネス連続講座「中 埼玉国際ビジネスサ 篠崎幸弘
国市場開拓のポイント」
ポートセンター運営
協議会
11.3.4
講演
勝ち残る元気な経営者を目指して
長野信用金庫 信用会
11.3.4
講演
時代に挑む!中小企業の熱き経 北群馬しんきん会青年部
営者達
11.3.9
講演
環境変化に挑む中小企業の経営 杉並区しんきん協議会「講演会」 東京商工会議所杉並 鉢嶺実
事例
支部 杉並区しんき
ん協議会
11.3.17
講演
地域金融機関におけるストレス 東京金融市場をシステム力で活 リッキーマーケットソ 高橋宏彰
テストの考え方
性化する勉強会
リューション
11.3.23
講演
2011年の展望
瀧野川信用金庫第二回ビジネス 瀧野川信用金庫
交流会
斎藤大紀
碧海信用金庫
黒岩達也
長野信用金庫
藤津勝一
北群馬信用金庫
鉢嶺実
摂津水都信用金庫 顧客向け講 摂津水都信用金庫
演会
角田匠
3.原稿掲載
発行日
11.3.7
74
タイトル
減少続く地域金融機関の
中小企業向け貸出
信金中金月報 2011.5
掲載紙
週刊金融財政事業3月7日号
発行
(社)金融財政事情研究会
執筆者
間下聡
品田雄志
統
計
1.信用金庫統計
(1)信用金庫の主要勘定概況 ………… 75
(2)信用金庫の店舗数、合併等 ……… 77
(3)信用金庫の預金種類別預金、地区別預金 …… 78
(4)信用金庫の預金者別預金 ………… 79
(5)信用金庫の科目別貸出金、地区別貸出金 …… 80
(6)信用金庫の貸出先別貸出金 ……… 81
(7)信用金庫の余裕資金運用状況 …… 82
2.金融機関業態別統計
(1)業態別預貯金等 …………………… 83
(2)業態別貸出金 ……………………… 84
統計資料の照会先:
信金中央金庫 地域・中小企業研究所
Tel 03-5202-7671 Fax 03-3278-7048
(凡 例)
1.金額は、単位未満切捨てとした。
2.比率は、原則として小数点以下第1位までとし第2位以下切捨てとした。
3.記号・符号表示は次のとおり。
〔 0 〕ゼロまたは単位未満の計数 〔 ̶ 〕該当計数なし
〔△〕減少または負
〔…〕不詳または算出不能
〔*〕1,000%以上の増加率
〔p〕速報数字
〔r〕訂正数字
〔b〕b印までの数字と次期以降との数字は不連続
4.地区別統計における地区のうち、関東には山梨、長野、新潟を含む。東海は静岡、愛知、岐阜、三重の
4県、九州北部は福岡、佐賀、長崎の3県、南九州は熊本、大分、宮崎、鹿児島の4県である。
※ 信金中金 地域・中小企業研究所のホームページ
(http://www.scbri.jp/)
よりExcel形式の統計資料をダウンロードすることができます。
1.(1)信用金庫の主要勘定概況
○預 金
2月の全国信用金庫の預金は、月中6,217億円、0.5%増と、前年同月
(5,865億円、0.4%増)
と同様に増加した。
① 要求払預金は、月中7,406億円、1.8%増と、前年同月(6,954億円、1.7%増)と同様に増加した。
② 定期性預金は、月中1,097億円、0.1%減と、前年同月(765億円、0.0%減)と同様に減少した。
③ 外貨預金等は、月中91億円、2.8%減少した。
なお、2011年2月末の預金の前年同月比増減率は、1.9%増となった。
○貸出金
貸出金は、月中614億円、0.0%減と、前年同月(831億円、0.1%減)と同様に減少した。
① 割引手形は、月中257億円、2.4%減と、前年同月(249億円、2.1%減)と同様に減少した。
② 貸付金は、月中357億円、0.0%減と、前年同月(581億円、0.0%減)と同様に減少した。
なお、2011年2月末の貸出金の前年同月比増減率は、1.2%減となった。
○余資運用資産
余資運用資産は、月中7,198億円、1.1%増と、前年同月(6,695億円、1.1%増)と同様に増加した。
主な内訳をみると、預け金は、月中9,146億円、3.5%増となった。
コールローンは、月中65億円、1.3%増となった。
有価証券は、地方債(703億円増)が増加したものの、国債(1,050億円減)、社債(382億円減)、外国証券
(104億円減)、投資信託(71億円減)等が減少したことから、月中979億円、0.2%減となった。
統 計
75
信用金庫の主要勘定増減状況(2011年2月末)
前月比増減
区 分
現
負
債
項
目
純
資
産
項
目
純
資
産
出
資
金
普 通 出 資 金
優 先 出 資 金
優先出資申込証拠金
資
本
剰
余
金
資 本 準 備 金
その他資本剰余金
利
益
剰
余
金
利 益 準 備 金
その他利益剰余金
特 別 積 立 金
前 期 繰 越 金
未 処 分 剰 余 金
処 分 未 済 持 分
自 己 優 先 出 資
自己優先出資申込証拠金
その他有価証券評価差額金
繰 延 ヘ ッ ジ 損 益
土 地 再 評 価 差 額 金
増 減 額
1,288,856
△
100,092 )
(
26,515,564
22,247,006 )
(
59,000 )
(△
0
477,157
0
5,034
330,650
△
213,125
△
7,131
34,998,278
△
9,936,532
△
5,619,428
30,674
△
13,978,566
△
704,720
△
2
643,977
△
3,962,706
△
121,668
△
63,835,798
63,317,737
△
63,197,664 )
(△
795,635
1,033,173
△
62,284,564
△
4,507,652
55,058,729
△
2,718,182
△
120,606,575
119,597,468 )
(△
40,592,732
2,164,299
△
36,069,998
1,101,474
95,587
△
1,131,044
30,327
79,703,564
△
73,939,176
△
5,764,387
310,278
△
120,506,482
90,693
△
309,785
52.4
(
(
資
産
項
目
金
(小 切 手 ・ 手 形)
預
け
金
(信 金 中 金 預 け 金)
(譲 渡 性 預 け 金)
買
入
手
形
コ ー ル ロ ー ン
買
現
先
勘
定
債券貸借取引 支 払 保 証 金
買 入 金 銭 債 権
金
銭
の
信
託
商 品 有 価 証 券
有
価
証
券
国
債
地
方
債
短
期
社
債
社
債
株
式
貸
付
信
託
投
資
信
託
外
国
証
券
そ の 他 の 証 券
小 計
貸
出
金
(月 中 平 残)
(うち金融機関貸付金)
割
引
手
形
貸
付
金
手
形
貸
付
証
書
貸
付
当
座
貸
越
預
金
・
積
金
(月 中 平 残)
要
求
払
預
金
当
座
預
金
普
通
預
金
貯
蓄
預
金
通
知
預
金
別
段
預
金
納 税 準 備 預 金
定
期
性
預
金
定
期
預
金
定
期
積
金
外
貨
預
金
等
実
質
預
金
譲
渡
性
預
金
借
用
金
預
貸
率
残 高
(
(
△
△
△
△
6,399,651
770,288
633,323
136,965
0
51,817
51,817
0
5,429,452
428,166
5,001,285
4,827,652
173,715
82
832
0
0
2,776
1,928
153,631
△
△
△
△
増
99,698
△
1,567 )
(
914,692
590,887 )
(
8,000 )
(△
0
6,540
0
5,034
7,527
△
1,700
△
394
97,911
△
105,061
△
70,328
1,746
△
38,289
△
4,690
△
0
7,148
△
10,402
△
904
△
719,823
61,450
△
261,616 )
(△
10,099
25,705
△
35,744
△
2,595
28,845
△
9,494
△
621,727
195,586 )
(△
740,613
50,141
△
565,771
1,944
21,493
△
244,332
201
109,736
△
167,753
△
58,017
9,150
△
620,160
4,360
25,607
△
446
693
693
0
0
0
0
0
350
0
351
0
0
349
107
0
0
0
0
3
△
△
△
△
(単位:百万円、% )
前 年 同 月
前年同月比
減 率 増 減 率
月中増減額
月中増減率
増 減 率
7.1
△
2.1
△
77,790
△
5.5
△
6.6
1.5 )
(△ 41.9 )
(
10,789 )
(
6.6 )
(△ 15.6 )
3.5
12.8
381,671
1.6
4.6
2.7 )
(
12.4 )
(
142,814 )
(
0.7 )
(△
0.0 )
11.9 )
(△ 32.5 )
(△
1,100 ) △
1.2 (△ 37.3 )
̶
̶
0
̶
̶
1.3
△ 28.9
△
8,700
△
1.2
10.9
̶
̶
0
̶
̶
̶
△ 85.7
35,384
̶
233.2
2.2
△
4.6
△
8,026
△
2.2
19.6
0.7
7.9
△
5,500
△
2.7
△ 14.3
5.8
26.8
△
316
△
5.3
38.7
0.2
1.3
352,842
1.0
3.7
1.0
△
3.3
290,716
2.9
8.9
1.2
19.5
110,255
2.4
23.4
5.3
△ 34.5
△
16,969
△ 26.5
△ 60.9
0.2
1.5
28,929
0.2
5.5
0.6
△
3.1
△
1,262
△
0.1
△ 18.8
0.0
0.0
0
0.0
△ 33.3
1.0
△
6.8
△
12,030
△
1.7
△ 31.0
0.2
△
5.4
△
46,307
△
1.0
△ 13.2
0.7
△
6.7
△
491
△
0.3
△
8.2
1.1
5.3
669,565
1.1
3.9
0.0
△
1.2
△
83,103
△
0.1
△
0.8
0.4 )
(△
0.9 )
(△
276,581 )
(△
0.4 )
(△
0.6 )
1.2
12.7
12,218
1.7
0.2
2.4
△
9.0
△
24,951
△
2.1
△ 26.4
0.0
△
1.0
△
58,153
△
0.0
△
0.2
0.0
△
7.5
△
17,896
△
0.3
△ 10.9
0.0
△
0.4
△
13,682
△
0.0
1.0
0.3
△
2.2
△
26,576
△
0.9
△
5.1
0.5
1.9
586,559
0.4
1.8
(△
0.2 )
(
1.8 )
0.1 )
(
1.9 )
(△
295,757 )
1.8
2.4
695,445
1.7
1.4
2.2
△
9.6
△
39,290
△
1.6
△
6.3
1.5
1.4
767,362
2.2
3.0
0.1
△
0.0
6,753
0.6
△
0.5
18.3
1.4
△
34,142
△ 26.5
△ 27.0
27.5
142.3
△
6,601
△
1.3
△ 36.5
0.6
△
9.4
1,363
4.2
△
6.3
0.1
1.6
△
76,559
△
0.0
2.1
0.2
1.7
△
107,541
△
0.1
2.3
1.0
0.8
30,982
0.5
△
1.2
2.8
15.9
△
32,327
△ 10.7
△ 19.2
0.5
2.0
575,769
0.4
1.8
5.0
46.7
260
0.4
△ 32.6
7.6
6.9
2,405
0.8
△
4.6
前年同月比
0.0
0.0
0.1
0.0
̶
0.0
0.0
̶
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
130.7
̶
̶
̶
̶
̶
0.0
(備考)預貸率=貸出金/預金・積金×100(預金には譲渡性預金を含む。)
76
信金中金月報 2011.5
△
△
△
△
2.7
3.2
0.5
18.4
̶
0.6
0.6
̶
2.7
1.5
2.8
2.1
28.6
169.4
̶
̶
̶
̶
̶
0.8
△
△
△
△
△
△
672
1,054
1,054
0
0
0
0
0
484
0
484
200
230
54
106
0
0
0
0
4
△
△
△
△
△
△
0.0
0.1
0.1
0.0
̶
0.0
0.0
̶
0.0
0.0
0.0
0.0
0.1
31.3
̶
̶
̶
̶
̶
0.0
△
△
△
△
△
△
△
3.1
4.4
1.3
25.2
̶
5.6
5.6
̶
4.1
0.5
4.5
3.9
21.5
81.4
̶
̶
̶
̶
̶
1.8
1.(2)信用金庫の店舗数、合併等
信用金庫の店舗数、会員数、常勤役職員数の推移
(単位:店、人)
店 舗 数
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
本 店
支 店
(信用金庫数)
287
7,172
281
7,128
279
7,126
279
7,132
278
7,126
274
7,104
272
7,091
272
7,089
272
7,089
272
7,088
272
7,089
272
7,089
272
7,084
272
7,078
272
7,068
272
7,056
272
7,058
272
7,057
271
7,051
出張所
合 計
275
278
266
266
263
258
257
258
258
259
259
259
260
263
265
264
264
264
263
7,734
7,687
7,671
7,677
7,667
7,636
7,620
7,619
7,619
7,619
7,620
7,620
7,616
7,613
7,605
7,592
7,594
7,593
7,585
会 員 数
9,256,033
9,278,994
9,311,661
9,324,875
9,325,159
9,334,858
9,335,142
9,317,116
9,317,074
9,320,010
9,322,125
9,319,542
9,318,544
9,321,405
9,322,729
9,324,580
9,328,348
9,327,951
9,330,020
常勤役員
2,292
2,298
2,290
2,292
2,301
2,285
2,279
2,271
2,268
2,266
2,274
2,274
2,274
2,273
2,270
2,268
2,271
2,269
2,262
常 勤 役 職 員 数
職 員
男 子
女 子
計
77,908
32,165
110,073
77,110
33,065
110,175
76,956
34,766
111,722
79,240
38,351
117,591
78,513
37,873
116,386
77,963
37,454
115,417
77,521
37,243
114,764
76,640
36,722
113,362
79,067
39,860
118,927
78,888
39,810
118,698
78,458
39,623
118,081
78,254
39,452
117,706
78,081
39,304
117,385
77,776
39,121
116,897
77,608
39,025
116,633
77,452
38,966
116,418
77,194
38,723
115,917
76,986
38,576
115,562
76,822
38,437
115,259
合 計
112,365
112,473
114,012
119,883
118,687
117,702
117,043
115,633
121,195
120,964
120,355
119,980
119,659
119,170
118,903
118,686
118,188
117,831
117,521
信用金庫の合併等
年 月 日
異 動 金 庫 名
新金庫名
金庫数
異動の種類
2004年10月12日
大阪
南大阪
大阪
303
合併
2004年11月15日
大牟田
柳川
大牟田柳川
302
合併
2004年11月22日
足利
小山
足利小山
301
合併
2005年 1 月 4 日
伊勢崎太田
アイオー
301
名称変更
2005年 2 月14日
北海
古平
北海
300
合併
2005年 2 月14日
阪奈
八光
大阪東
299
合併
2005年 3 月14日 (大分県信組) 杵築
298
合併・解散
2005年 7 月19日
仙台
塩竈
(大分県信組)
杜の都
297
合併
2005年10月17日
高鍋
西諸
高鍋
296
合併
2005年11月21日
新川水橋
滑川
にいかわ
295
合併
2005年11月21日
広島
大竹
広島
294
合併
2006年 1 月10日
多摩中央
八王子
多摩
292
合併
2006年10月16日
三島
伊豆
三島
291
合併
2006年10月16日
愛媛
三津浜
愛媛
290
合併
2006年11月 6 日
島根中央
島根中央
290
合併
2007年 1 月 9 日
下関
津和野
西中国
287
合併
2007年10月 9 日
名寄
士別
2007年11月26日
かんら
ぐんま
2008年 1 月15日
沼津
駿河
沼津
283
合併
2008年 1 月15日
きのくに
湯浅
きのくに
282
合併
2008年 1 月21日
伊達
2008年 3 月17日
鶴岡
太平
(出雲信組)
宇部
吉南
多野
(室蘭商工信組)
酒田
北星
286
合併
しののめ
284
合併
伊達
282
合併
鶴岡
281
合併
2008年 5 月19日
八戸
十和田
八戸
280
合併
2008年 7 月 7 日
盛岡
二戸
盛岡
279
合併
2009年 2 月16日
山形
山形
279
合併
2009年 7 月13日
羽後
秋田ふれあい
羽後
278
合併
2009年10月13日
西中国
岩国
西中国
277
合併
2009年11月 9 日
八戸
あおもり
青い森
275
合併
2009年11月24日
北見
紋別
北見
274
合併
2010年 1 月12日
山口
萩
萩山口
273
合併
2010年 2 月15日
杵島
西九州
九州ひぜん
272
合併
2011年 2 月14日
富山
上市
富山
271
合併
(山形庶民信組)
(下関市職員信組)
下北
統 計
77
1.(3)信用金庫の預金種類別預金、地区別預金
預金種類別預金
預金計
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
1,113,772
1,137,275
1,154,531
1,175,838
1,173,980
1,185,688
1,183,144
1,173,806
1,188,482
1,185,709
1,196,877
1,192,613
1,196,704
1,195,743
1,197,645
1,194,795
1,208,008
1,199,848
1,206,065
(単位:億円、%)
前年同月比
増 減 率
1.9
2.1
1.5
1.7
1.7
1.7
1.8
1.6
1.7
1.7
1.7
2.0
1.8
1.8
1.9
1.8
1.8
1.9
1.9
要求払
386,576
382,240
385,019
396,876
390,423
398,768
396,386
388,510
402,339
396,786
401,875
394,314
397,008
397,783
402,223
399,174
408,277
398,521
405,927
前年同月比
増 減 率
2.4
△ 1.1
0.7
1.7
1.6
1.2
1.4
0.9
1.4
1.2
1.2
2.3
1.7
1.8
2.1
2.0
2.3
2.3
2.4
定期性
721,712
749,326
764,590
775,550
780,243
783,981
784,081
780,139
783,431
786,023
792,177
795,391
796,839
794,763
792,272
792,433
796,269
798,133
797,035
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
1.7
5,483
2.9
3.8
5,707
4.0
2.0
4,921 △ 13.7
1.9
3,411 △ 31.1
1.9
3,313 △ 29.2
2.1
2,937 △ 20.1
2.1
2,676 △ 19.2
2.0
5,157
4.8
2.0
2,711 △ 22.2
2.1
2,899 △ 16.8
2.1
2,823 △ 17.2
1.9
2,906 △ 10.5
1.9
2,856 △ 7.2
1.8
3,195 △ 3.5
1.7
3,149
0.8
1.6
3,186
9.4
1.5
3,461
17.8
1.6
3,194
6.5
1.6
3,102
15.9
実質預金
1,110,316
1,134,949
1,152,438
1,174,809
1,172,599
1,184,175
1,181,420
1,171,806
1,187,163
1,184,671
1,195,868
1,190,900
1,195,752
1,194,235
1,196,061
1,193,787
1,206,349
1,198,863
1,205,064
前年同月比
増 減 率
1.8
2.2
1.5
1.7
1.7
1.8
1.8
1.6
1.7
1.8
1.7
1.9
1.8
1.8
1.8
1.8
1.8
1.9
2.0
譲渡性預金
998
911
517
674
647
623
617
470
581
880
929
965
960
923
850
869
875
863
906
前年同月比
増 減 率
△ 15.4
△ 8.7
△ 43.1
△ 36.0
△ 36.9
△ 34.6
△ 32.6
△ 9.1
△ 5.9
42.7
37.8
37.9
36.9
42.5
33.5
33.5
40.4
40.3
46.7
(備考)1.預金計には譲渡性預金を含まない。
2.実質預金は預金計から小切手・手形を差引いたもの。
地区別預金
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
(単位:億円、%)
北海道
59,138
59,718
60,762
63,119
62,538
64,039
62,952
62,249
63,906
63,774
64,669
63,960
64,154
63,960
63,958
64,263
65,352
64,057
64,082
近 畿
220,845
226,819
230,428
235,110
235,930
239,098
239,063
236,386
239,967
239,725
241,880
242,003
243,136
243,561
243,590
243,304
245,810
244,398
245,755
前年同月比
増 減 率
1.9
0.9
1.7
2.6
2.4
2.3
2.3
2.4
2.6
2.7
2.4
2.7
2.3
2.2
2.1
1.7
2.0
2.0
1.7
前年同月比
増 減 率
3.0
2.7
1.5
1.9
2.2
2.8
3.1
2.5
2.7
2.7
2.8
3.0
3.1
3.2
3.1
3.0
2.8
2.6
2.7
東 北
40,258
40,772
41,643
42,896
42,708
43,031
42,943
42,044
42,968
42,742
43,327
43,006
43,185
43,037
43,204
43,069
43,533
43,129
43,394
中 国
52,842
53,292
53,589
54,393
54,089
54,437
54,254
53,671
54,305
54,011
54,645
54,427
54,685
54,456
54,627
54,393
54,937
54,452
55,064
(備考)沖縄地区は全国に含めた。
78
信金中金月報 2011.5
前年同月比
増 減 率
0.1
1.2
2.1
3.1
3.0
2.4
1.2
0.9
0.7
0.7
1.0
0.9
0.8
0.7
0.8
1.0
1.1
1.1
1.0
前年同月比
増 減 率
3.1
0.8
0.5
0.4
0.3
0.2
0.4
0.1
0.6
0.3
0.4
1.1
0.8
0.6
1.0
0.9
0.9
1.1
1.4
東 京
207,952
211,882
213,414
215,799
216,296
217,529
217,239
216,091
218,541
218,043
219,240
218,276
218,616
218,361
219,156
218,232
219,800
218,711
219,778
四 国
20,731
21,775
22,362
23,135
23,146
23,461
23,457
23,230
23,424
23,410
23,694
23,650
23,757
23,667
23,830
23,834
24,053
23,952
24,046
前年同月比
増 減 率
1.4
1.8
0.7
0.7
1.4
1.1
1.1
1.2
1.6
1.4
1.5
1.3
0.9
0.9
1.0
1.0
1.0
1.1
1.1
前年同月比
増 減 率
4.1
5.0
2.6
4.4
4.3
4.1
4.4
3.8
3.6
3.0
2.4
2.6
2.6
2.2
2.3
2.6
2.5
2.4
2.5
関 東
211,889
216,685
219,830
223,752
222,820
224,863
224,299
222,137
224,847
223,965
226,456
225,304
226,220
225,608
226,459
225,501
228,350
226,751
227,875
九州北部
19,220
19,492
19,858
20,547
20,434
20,597
20,542
20,001
20,609
20,493
20,738
20,614
20,641
20,566
20,641
20,520
20,802
20,574
20,700
前年同月比
増 減 率
1.6
2.2
1.4
1.5
1.2
1.0
1.2
1.0
1.0
1.0
1.2
1.5
1.3
1.2
1.4
1.3
1.5
1.6
1.5
前年同月比
増 減 率
1.6
1.4
1.8
2.3
2.4
1.9
1.7
0.7
0.7
0.6
0.9
1.3
0.7
0.6
0.7
0.7
0.9
0.9
0.7
北 陸
33,765
34,270
34,931
35,827
35,626
35,837
35,785
35,517
35,823
35,931
36,277
36,133
36,362
35,982
36,021
35,851
36,223
35,951
36,137
南九州
24,173
24,313
24,447
25,040
24,896
25,130
24,967
24,785
25,159
25,086
25,331
25,208
25,232
25,079
25,222
25,111
25,437
25,320
25,381
前年同月比
増 減 率
1.2
1.4
1.9
2.9
2.0
1.9
1.8
1.6
1.5
1.7
1.2
1.9
1.7
0.9
0.9
1.0
1.0
0.9
0.9
前年同月比
増 減 率
0.3
0.5
0.5
1.2
1.4
1.2
1.2
1.3
1.3
1.0
1.1
1.8
1.4
0.7
1.2
1.1
1.2
1.5
1.6
東 海
221,464
226,859
231,857
234,702
234,112
236,311
236,291
236,300
237,567
237,175
239,138
238,594
239,301
240,023
239,528
239,325
242,303
241,168
242,469
全国計
1,113,772
1,137,275
1,154,531
1,175,838
1,173,980
1,185,688
1,183,144
1,173,806
1,188,482
1,185,709
1,196,877
1,192,613
1,196,704
1,195,743
1,197,645
1,194,795
1,208,008
1,199,848
1,206,065
前年同月比
増 減 率
2.0
2.4
2.2
2.0
1.5
1.8
1.8
1.9
1.8
2.0
1.8
2.3
2.1
2.5
2.4
2.2
2.5
2.7
2.6
前年同月比
増 減 率
1.9
2.1
1.5
1.7
1.7
1.7
1.8
1.6
1.7
1.7
1.7
2.0
1.8
1.8
1.9
1.8
1.8
1.9
1.9
1.(4)信用金庫の預金者別預金
(単位:億円、%)
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
預金計
1,113,482
1,136,973
1,154,529
1,175,835
1,173,978
1,185,686
1,183,143
1,173,805
1,188,480
1,185,707
1,196,876
1,192,612
1,196,703
1,195,739
1,197,643
1,194,793
1,208,007
1,199,847
1,206,064
一般法人預金
186,590
180,120
178,052
180,195
183,060
186,741
181,203
179,509
182,428
180,906
180,469
181,529
177,683
183,666
183,454
181,062
186,770
178,587
178,069
要求払
10,088
9,087
9,366
12,675
11,406
10,385
10,431
9,297
15,068
16,577
15,081
12,587
15,305
14,852
12,714
16,276
13,838
16,281
16,105
前年同月比
増 減 率
1.9
2.1
1.5
1.7
1.7
1.7
1.8
1.6
1.7
1.7
1.7
2.0
1.8
1.8
1.9
1.8
1.8
1.9
1.9
個人預金
893,616
923,693
944,286
954,384
950,996
962,693
966,812
960,208
966,085
960,246
970,068
968,047
972,194
966,511
972,887
967,271
978,332
975,369
982,813
前年同月比
増 減 率
2.6
△ 3.4
△ 1.1
0.8
1.9
1.4
1.0
0.8
△ 0.0
△ 1.6
0.1
2.2
△ 0.0
0.3
0.0
△ 0.2
0.0
△ 2.2
△ 1.7
要求払
前年同月比
増 減 率
△ 9.4
△ 9.9
3.0
8.8
5.6
12.2
9.3
△ 0.7
23.7
53.1
18.9
2.1
25.2
30.2
34.7
23.8
33.2
57.4
54.3
定期性
102,909
96,086
96,105
97,857
99,573
103,458
97,129
94,976
97,558
95,570
95,469
96,513
92,395
98,131
98,149
96,192
102,343
93,570
92,662
10,864
11,620
11,958
19,056
17,457
16,378
15,710
13,154
14,697
17,212
20,913
21,006
21,150
19,924
18,851
19,234
18,704
18,777
17,722
前年同月比
増 減 率
2.2
3.3
2.2
1.9
1.6
1.6
1.8
1.6
1.6
1.4
1.6
1.9
1.7
1.6
1.7
1.6
1.6
1.7
1.6
要求払
前年同月比
増 減 率
3.6
△ 6.6
0.0
2.9
3.7
0.1
△ 0.8
△ 1.1
△ 2.4
△ 5.7
△ 2.4
1.7
△ 2.5
△ 1.4
△ 1.6
△ 1.8
△ 1.0
△ 5.4
△ 4.5
定期性
270,825
273,708
276,390
283,823
276,525
283,211
287,363
281,284
287,493
282,094
289,175
284,019
287,100
282,501
290,092
284,286
290,555
286,410
294,232
83,430
83,703
81,701
82,096
83,208
83,015
83,796
84,257
84,606
85,063
84,714
84,723
84,974
85,230
84,999
84,580
84,123
84,698
85,083
前年同月比
増 減 率
2.8
1.0
0.9
1.1
0.9
1.4
2.3
1.7
1.9
1.4
1.8
2.8
2.1
2.1
2.4
2.4
2.5
2.7
2.3
定期性
622,333
649,352
667,109
669,783
673,669
678,675
678,618
678,066
677,754
677,287
680,043
683,175
684,203
683,116
681,889
682,107
686,865
688,074
687,677
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
2.0
446 △ 13.3
4.3
623
39.4
2.7
778
24.8
2.2
768
16.7
1.9
791
17.6
1.7
797
4.5
1.6
822
14.0
1.6
847
8.9
1.5
827
7.5
1.4
855
9.3
1.5
840
9.4
1.5
843
8.0
1.5
880
13.2
1.4
884
11.7
1.3
896
13.9
1.3
868
5.3
1.2
901
12.9
1.3
875
4.4
1.3
894
8.8
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
1.4
242 △ 6.4
0.3
323
33.3
△ 2.3
237 △ 26.3
△ 1.4
233 △ 25.5
△ 0.0
270 △ 13.0
3.0
259
9.6
3.3
270
16.8
3.1
267
12.5
2.9
256
11.7
3.4
265
12.9
3.1
277
18.7
2.8
286
22.1
2.6
306
23.7
2.4
297
9.7
2.0
297
13.1
1.7
281
0.8
1.3
296
14.2
1.4
311
11.9
1.5
315
16.5
前年同月比 外貨預金等 前年同月比
増 減 率
増 減 率
9.3
562
26.4
6.9
752
33.8
2.9
857
14.0
13.3
99 △ 48.0
9.1
46 △ 76.7
8.7
54 △ 12.4
9.2
67 △ 42.8
9.9
778 △ 9.2
7.7
64 △ 1.4
11.7
258
276.9
9.7
115
16.0
9.3
142
35.4
11.9
111 △ 3.3
14.1
62
35.7
13.4
45 △ 26.6
12.5
78 △ 6.9
14.1
103
90.1
14.4
82
26.1
12.8
51 △ 24.4
金融機関預金
11,753
11,692
10,001
9,417
11,005
9,426
8,909
10,850
10,130
10,499
10,221
9,291
10,250
10,715
9,683
10,863
10,251
10,742
11,257
前年同月比
増 減 率
△ 20.5
△ 0.5
△ 14.4
△ 20.9
△ 7.6
△ 0.9
△ 3.4
8.4
8.2
19.7
8.5
△ 8.9
0.7
△ 2.6
5.1
6.4
8.7
18.9
26.3
公金預金
21,517
21,462
22,184
31,834
28,913
26,821
26,213
23,233
29,832
34,051
36,113
33,739
36,570
34,843
31,615
35,592
32,648
35,144
33,882
政府関係
預 り 金
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
前年同月比
増 減 率
△ 0.0
△ 0.2
3.3
11.1
7.1
10.0
9.0
4.7
15.2
29.4
13.4
6.6
17.0
20.5
21.0
17.3
21.7
31.0
29.2
譲渡性預金
968
911
517
674
647
623
617
470
581
880
929
965
960
923
850
869
875
863
906
(備考)1.日本銀行 「預金現金貸出金調査表」より作成。このため、
「日計表」による(3)預金種類別・地区別預金の預金計とは
一致しない。
2.2011年2月計数が未入手となった一部信用金庫の計数については、前月と同値としている。
統 計
79
1.(5)信用金庫の科目別貸出金、地区別貸出金
科目別貸出金
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
(単位:億円、%)
貸出金計
634,953
635,433
648,786
642,434
644,595
646,570
640,893
641,574
635,020
634,292
634,260
636,198
633,070
637,069
635,390
632,816
640,623
633,791
633,177
前年同月比
増 減 率
1.3
0.0
2.1
1.9
0.9
△ 0.3
△ 0.8
△ 1.1
△ 1.3
△ 1.6
△ 1.2
△ 0.9
△ 1.2
△ 1.1
△ 1.1
△ 1.1
△ 0.9
△ 1.2
△ 1.2
割引手形
20,168
16,753
13,003
10,645
10,017
11,929
11,361
10,515
10,209
10,149
10,174
11,270
9,739
10,078
11,139
10,099
12,110
10,588
10,331
前年同月比
増 減 率
6.5
△ 16.9
△ 22.3
△ 32.3
△ 34.4
△ 31.1
△ 26.4
△ 19.1
△ 13.2
△ 19.1
△ 4.4
9.3
△ 1.0
0.6
0.4
0.9
1.5
△ 8.8
△ 9.0
貸付金
614,784
618,680
635,782
631,788
634,577
634,641
629,532
631,059
624,811
624,142
624,086
624,927
623,331
626,990
624,250
622,717
628,512
623,203
622,845
前年同月比
増 減 率
1.1
0.6
2.7
2.7
1.8
0.4
△ 0.2
△ 0.7
△ 1.1
△ 1.2
△ 1.2
△ 1.1
△ 1.2
△ 1.1
△ 1.2
△ 1.1
△ 0.9
△ 1.0
△ 1.0
手形貸付
62,626
60,234
54,019
49,022
49,910
50,024
48,736
48,306
45,612
44,180
44,179
44,536
44,612
45,687
45,185
45,009
46,180
45,050
45,076
前年同月比
増 減 率
△ 6.7
△ 3.8
△ 10.3
△ 11.1
△ 12.1
△ 12.3
△ 10.9
△ 10.5
△ 10.4
△ 10.4
△ 9.8
△ 9.2
△ 8.7
△ 8.4
△ 7.9
△ 7.8
△ 7.6
△ 7.9
△ 7.5
証書貸付
522,186
527,985
551,706
554,359
554,695
555,734
552,982
553,842
551,896
552,583
552,791
553,367
551,498
552,341
551,896
550,183
554,248
550,875
550,587
前年同月比
増 減 率
2.2
1.1
4.4
4.5
3.6
2.0
1.0
0.3
△ 0.0
△ 0.3
△ 0.2
△ 0.2
△ 0.4
△ 0.4
△ 0.4
△ 0.4
△ 0.2
△ 0.4
△ 0.4
地区別貸出金
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
29,971
30,459
30,057
28,407
29,970
28,882
27,813
28,911
27,302
27,378
27,116
27,023
27,220
28,961
27,169
27,523
28,083
27,276
27,181
前年同月比
増 減 率
0.2
1.6
△ 1.3
△ 3.2
△ 4.0
△ 4.5
△ 5.1
△ 3.8
△ 4.9
△ 3.6
△ 4.5
△ 5.2
△ 4.4
△ 3.3
△ 3.9
△ 4.1
△ 2.7
△ 2.8
△ 2.2
(単位:億円、%)
北海道
31,012
31,109
31,786
30,463
30,778
30,971
30,544
31,002
30,160
29,871
29,846
29,950
29,879
30,167
30,271
30,110
30,592
29,910
29,991
近 畿
127,784
128,502
131,004
130,275
130,484
131,411
130,418
130,804
129,851
129,708
129,833
130,411
129,555
130,361
130,331
129,819
131,768
130,386
130,237
前年同月比
増 減 率
1.1
0.3
2.1
2.4
0.7
△ 1.3
△ 0.9
△ 2.4
△ 2.1
△ 2.4
△ 2.0
△ 1.5
△ 1.5
△ 1.9
△ 1.9
△ 1.4
△ 1.2
△ 2.0
△ 1.8
前年同月比
増 減 率
2.6
0.5
1.9
1.8
1.1
0.2
△ 0.3
△ 0.1
△ 0.5
△ 0.9
△ 0.3
0.0
△ 0.3
△ 0.0
△ 0.1
0.0
0.2
△ 0.1
△ 0.1
東 北
22,849
22,672
23,392
23,030
22,982
22,940
22,801
22,908
22,557
22,596
22,584
22,600
22,550
22,564
22,480
22,432
22,623
22,352
22,304
中 国
30,232
30,194
30,793
30,294
30,472
30,428
30,273
30,417
29,930
29,932
29,888
29,993
29,881
30,096
29,860
29,770
30,106
29,839
29,958
(備考)沖縄地区は全国に含めた。
80
当座貸越
信金中金月報 2011.5
前年同月比
増 減 率
△ 1.8
△ 0.7
3.1
3.3
2.2
0.9
△ 1.3
△ 2.0
△ 2.2
△ 2.3
△ 1.9
△ 1.7
△ 1.8
△ 1.8
△ 1.9
△ 1.7
△ 1.3
△ 1.8
△ 2.1
前年同月比
増 減 率
3.3
△ 0.1
1.9
1.0
△ 0.0
△ 1.5
△ 1.6
△ 1.2
△ 1.3
△ 1.6
△ 1.3
△ 1.2
△ 1.5
△ 1.2
△ 1.4
△ 1.3
△ 1.0
△ 1.1
△ 1.0
東 京
124,506
123,881
125,048
124,161
124,235
124,264
123,270
122,517
121,980
121,596
121,482
121,715
120,814
121,081
120,904
120,445
121,510
120,332
120,047
四 国
10,608
10,684
11,023
10,981
11,008
10,996
10,899
10,893
10,794
10,836
10,811
10,847
10,814
10,837
10,782
10,743
10,798
10,713
10,692
前年同月比
増 減 率
0.8
△ 0.5
0.9
0.9
0.7
△ 1.2
△ 1.7
△ 2.0
△ 2.0
△ 2.4
△ 2.1
△ 1.9
△ 2.3
△ 2.5
△ 2.5
△ 2.3
△ 2.2
△ 2.6
△ 2.6
前年同月比
増 減 率
△ 0.2
0.7
3.1
2.9
1.3
0.1
△ 0.1
△ 1.1
△ 1.2
△ 1.5
△ 1.5
△ 1.1
△ 1.2
△ 1.5
△ 1.7
△ 2.1
△ 1.7
△ 1.9
△ 1.8
関 東
119,227
119,536
121,363
120,037
120,476
120,950
119,821
119,524
118,383
118,282
118,208
118,566
118,102
118,839
118,492
117,961
119,291
118,226
118,106
九州北部
11,566
11,709
12,258
12,174
12,188
12,238
12,112
12,096
11,881
11,855
11,856
11,882
11,811
11,907
11,866
11,838
12,006
11,866
11,820
前年同月比
増 減 率
0.5
0.2
1.5
1.1
0.1
△ 0.6
△ 0.9
△ 1.5
△ 1.7
△ 1.7
△ 1.5
△ 1.2
△ 1.4
△ 1.3
△ 1.4
△ 1.5
△ 1.3
△ 1.5
△ 1.4
前年同月比
増 減 率
0.3
1.2
4.6
3.6
2.3
△ 0.0
△ 1.4
△ 1.3
△ 2.4
△ 2.7
△ 2.6
△ 2.3
△ 2.8
△ 2.3
△ 2.5
△ 2.2
△ 1.8
△ 2.1
△ 2.4
北 陸
18,384
18,316
18,647
18,472
18,567
18,564
18,387
18,293
17,944
17,950
17,913
18,006
17,964
17,965
17,850
17,773
17,955
17,730
17,662
南九州
14,963
14,652
14,810
14,631
14,694
14,783
14,646
14,560
14,418
14,384
14,356
14,407
14,375
14,459
14,444
14,426
14,632
14,464
14,458
前年同月比
増 減 率
△ 0.8
△ 0.3
1.8
1.4
0.3
△ 0.4
△ 0.8
△ 1.8
△ 2.3
△ 3.0
△ 3.0
△ 2.6
△ 2.7
△ 3.2
△ 3.4
△ 3.4
△ 3.2
△ 3.5
△ 3.9
前年同月比
増 減 率
△ 1.9
△ 2.0
1.0
0.5
△ 0.4
△ 1.9
△ 1.9
△ 1.6
△ 1.7
△ 2.1
△ 1.8
△ 1.4
△ 1.6
△ 1.5
△ 1.4
△ 1.3
△ 1.0
△ 1.3
△ 1.2
東 海
122,722
123,155
127,618
126,871
127,663
127,991
126,689
127,512
126,087
126,239
126,441
126,767
126,274
127,735
127,061
126,457
128,294
126,930
126,859
全国計
634,953
635,433
648,786
642,434
644,595
646,570
640,893
641,574
635,020
634,292
634,260
636,198
633,070
637,069
635,390
632,816
640,623
633,791
633,177
前年同月比
増 減 率
2.3
0.3
3.6
3.3
1.8
0.4
△ 0.0
△ 0.0
△ 0.4
△ 0.7
△ 0.3
△ 0.1
△ 0.3
0.0
0.1
△ 0.0
0.2
0.0
0.1
前年同月比
増 減 率
1.3
0.0
2.1
1.9
0.9
△ 0.3
△ 0.8
△ 1.1
△ 1.3
△ 1.6
△ 1.2
△ 0.9
△ 1.2
△ 1.1
△ 1.1
△ 1.1
△ 0.9
△ 1.2
△ 1.2
1.(6)信用金庫の貸出先別貸出金
(単位:億円、%)
貸出金計
2006.
07.
08.
09.
3
3
3
3
6
9
12
10. 3
6
9
12
年 月 末
2006.
07.
08.
09.
3
3
3
3
6
9
12
10. 3
6
9
12
年 月 末
2006.
07.
08.
09.
3
3
3
3
6
9
12
10. 3
6
9
12
企業向け計
製造業
年 月 末
626,700
634,953
635,431
648,783
642,433
644,594
646,569
641,573
634,259
637,068
640,621
前年同月比
増 減 率
構成比
0.9
1.3
0.0
2.1
1.9
0.9
0.3
1.1
1.2
1.1
0.9
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
△
△
△
△
△
卸売業
32,103
32,828
32,332
32,996
32,703
33,088
33,551
32,413
31,699
32,051
32,521
407,728
416,942
416,464
427,171
423,022
425,819
428,252
420,925
413,909
417,203
420,242
前年同月比
増 減 率
構成比
0.8
2.2
0.1
2.5
2.4
1.4
0.4
1.4
2.1
2.0
1.8
65.0
65.6
65.5
65.8
65.8
66.0
66.2
65.6
65.2
65.4
65.5
△
△
△
△
△
△
小売業
前年同月比
増 減 率
構成比
△ 0.6
2.2
△ 1.5
2.0
2.7
2.1
△ 1.0
△ 1.7
△ 3.0
△ 3.1
△ 3.0
5.1
5.1
5.0
5.0
5.0
5.1
5.1
5.0
4.9
5.0
5.0
サービス業
(各種サービス) 前年同月比
構成比
増 減 率
80,075
79,987
78,660
80,166
△ 1.0
△ 0.1
△ 1.6
1.9
12.7
12.5
12.3
12.3
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
33,303
32,640
31,544
31,793
31,014
31,097
31,028
30,421
29,890
29,976
29,943
飲食業
11,116
10,780
10,304
10,284
10,479
10,551
10,574
10,377
10,285
10,272
10,216
2006.
07.
08.
09.
3
3
3
3
6
9
12
10. 3
6
9
12
物品賃貸業 前年同月比
構成比
増 減 率
3,399
3,379
3,145
3,159
3,207
3,218
3,303
3,202
3,096
3,137
3,127
0.0
△ 0.5
△ 6.9
0.4
3.2
2.7
5.5
1.3
△ 3.4
△ 2.5
△ 5.3
0.5
0.5
0.4
0.4
0.4
0.4
0.5
0.4
0.4
0.4
0.4
構成比
△ 3.4
△ 1.9
△ 3.3
0.7
△ 0.5
△ 0.8
△ 3.0
△ 4.3
△ 3.6
△ 3.6
△ 3.4
5.3
5.1
4.9
4.9
4.8
4.8
4.7
4.7
4.7
4.7
4.6
△ 1.5
1.2
△ 3.2
1.3
0.8
△ 0.1
△ 3.2
△ 4.6
△ 4.4
△ 4.2
△ 4.0
12.4
12.4
12.0
11.9
11.8
11.8
11.8
11.5
11.4
11.4
11.4
前年同月比
増 減 率
構成比
7.9
7.8
5.4
3.1
4.2
3.6
3.2
2.8
0.8
1.3
1.3
16.0
17.0
17.9
18.1
18.6
18.6
18.6
18.8
19.0
19.0
19.0
前年同月比
構成比
増 減 率
△
△
△
△
5.8
3.0
4.4
0.1
2.2
3.3
1.8
0.9
△ 1.8
△ 2.6
△ 3.3
1.7
1.6
1.6
1.5
1.6
1.6
1.6
1.6
1.6
1.6
1.5
100,316
108,200
114,045
117,600
119,545
120,076
120,657
121,003
120,603
121,653
122,261
宿泊業
8,165
7,887
7,427
7,311
7,416
7,414
7,364
7,144
7,070
6,999
6,936
前年同月比
構成比
増 減 率
△
△
△
△
△
△
△
△
△
△
△
3.8
3.4
5.8
1.5
0.5
0.4
1.1
2.2
4.6
5.5
5.8
1.3
1.2
1.1
1.1
1.1
1.1
1.1
1.1
1.1
1.0
1.0
個 人
前年同月比
構成比
増 減 率
21,043
23,294
27,845
32,878
33,391
33,063
33,630
36,815
37,804
37,359
37,961
構成比
前年同月比
構成比
増 減 率
58,229
57,780
56,640
57,509
54,530
55,628
55,857
54,659
52,057
53,080
53,717
△ 2.0
△ 0.7
△ 1.9
1.5
0.3
0.0
△ 3.3
△ 4.9
△ 4.5
△ 4.5
△ 3.8
9.2
9.0
8.9
8.8
8.4
8.6
8.6
8.5
8.2
8.3
8.3
不動産業
前年同月比
増 減 率
地方公共団体
年 月 末
78,118
79,103
76,511
77,564
75,969
76,099
76,587
73,994
72,579
72,830
73,474
建設業
前年同月比
増 減 率
13.5
10.6
19.5
18.0
20.2
17.3
15.6
11.9
13.2
12.9
12.8
3.3
3.6
4.3
5.0
5.1
5.1
5.2
5.7
5.9
5.8
5.9
個人による貸家業 前年同月比
構成比
増 減 率
̶
̶
̶
̶
49,847
51,621
52,140
51,766
51,888
52,118
52,227
医療・福祉
4.0
0.9
0.1
̶
̶
̶
̶
7.7
8.0
8.0
8.0
8.1
8.1
8.1
前年同月比
構成比
増 減 率
14,053
14,758
15,228
16,406
16,900
17,025
17,251
17,196
17,305
17,425
17,736
4.6
5.0
3.1
7.7
8.0
7.5
6.3
4.8
2.3
2.3
2.8
2.2
2.3
2.3
2.5
2.6
2.6
2.6
2.6
2.7
2.7
2.7
住宅ローン
前年同月比
構成比
増 減 率
197,929
194,717
191,122
188,734
186,020
185,712
184,687
183,833
182,546
182,506
182,418
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
△
△
△
△
△
△
△
△
△
△
△
0.0
1.6
1.8
1.2
2.0
2.4
2.6
2.5
1.8
1.7
1.2
31.5
30.6
30.0
29.0
28.9
28.8
28.5
28.6
28.7
28.6
28.4
前年同月比
構成比
増 減 率
147,901
149,058
148,973
149,717
148,724
148,984
149,328
148,755
148,383
148,440
149,159
△
△
△
△
△
△
△
△
2.8
0.7
0.0
0.4
0.3
0.5
0.6
0.6
0.2
0.3
0.1
23.5
23.4
23.4
23.0
23.1
23.1
23.0
23.1
23.3
23.3
23.2
(備考)1.日本銀行「業種別貸出金調査表」より作成。このため、「日計表」による(5)科目別・地区別貸出金の貸出金計とは一致しない。
2.企業向け計には、海外円借款、国内店名義現地貸を含む。
3.2009年6月から日本銀行「業種別貸出金調査表」の業種分類変更に伴い、不動産業の内訳として「個人による貸家業」を追加
サービス業(各種サービス)の更新停止に伴い、
「飲食業」、「宿泊業」、「医療・福祉」、「物品賃貸業」を追加
統 計
81
1.(7)信用金庫の余裕資金運用状況
(単位:億円、%)
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
年 月 末
2007.
08.
09.
09.
3
3
3
6
9
12
10. 2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
11. 1
2
現 金
17,490
16,670
16,741
16,495
15,210
16,104
13,172
15,872
14,284
14,403
14,159
14,202
13,504
14,643
13,183
14,114
15,449
13,885
12,888
商 品
有価証券
預け金
193,753
208,064
214,336
233,383
231,012
238,101
234,966
227,793
246,738
249,189
260,673
254,679
265,087
261,062
263,855
256,851
257,092
256,008
265,155
(△
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
0.2)
7.3)
3.0)
3.4)
6.2)
7.4)
4.6)
6.2)
8.1)
10.9)
11.6)
10.6)
13.5)
13.0)
13.3)
9.9)
7.9)
10.7)
12.8)
168,470
176,971
181,259
206,524
202,244
203,252
197,881
190,076
205,117
208,759
220,487
216,627
222,418
220,922
221,989
218,481
218,296
216,561
222,470
3.9)
1.6)
0.2)
0.2)
0.3)
1.9)
3.7)
5.9)
2.6)
1.1)
1.4)
1.1)
0.2)
0.3)
0.0)
2.1)
3.5)
2.6)
1.3)
98,728
101,608
97,509
91,967
96,783
96,658
102,827
104,547
101,207
96,942
94,726
93,954
93,602
94,925
93,800
97,260
99,944
100,415
99,365
有価証券
59
45
36
36
38
44
56
51
52
47
38
38
37
41
43
51
56
67
71
318,110
323,482
324,132
331,519
335,707
336,438
345,301
343,384
341,779
337,970
336,483
337,193
335,906
336,983
338,510
344,894
348,449
350,961
349,982
株 式
貸付信託
10,514
8,284
6,580
7,925
7,598
7,432
7,274
6,773
7,023
7,118
7,133
7,198
7,241
7,309
7,305
7,134
7,052
7,094
7,047
うち信金中金預け金
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
(
(
(
(△
(
(
(
(
(
(
(
(
(△
(
(
(
(
(
(
(
11.0)
(
5.0)
(
2.4)
(
4.2)
(
7.5)
(
4.7)
(△ 0.0)
(
4.8)
(
1.5)
(
5.4)
(
6.7)
(
5.7)
(
6.1)
(
9.2)
(
6.6)
(
4.6)
(
7.4)
(
10.2)
(
12.4)
国 債
投資信託
9,518
9,129
6,602
7,850
7,317
7,199
6,914
6,037
6,509
6,702
6,758
6,825
6,861
6,774
6,770
6,711
6,549
6,511
6,439
外国証券
47,161
47,488
44,613
46,074
44,186
42,581
41,890
40,327
40,030
39,882
39,941
40,209
39,896
39,805
40,003
39,685
39,755
39,731
39,627
金融機関
貸 付 等
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
地方債
(
10.7)
(
2.9)
(△ 4.0)
(△ 6.9)
(△ 3.1)
(
5.6)
(
8.9)
(
7.2)
(
4.7)
(
0.5)
(
2.9)
(
0.7)
(△ 2.6)
(△ 1.9)
(△ 3.3)
(△ 0.0)
(
3.4)
(
0.4)
(△ 3.3)
33,976
34,602
37,995
40,330
42,126
44,445
46,985
47,258
48,108
48,789
50,085
50,614
50,464
50,684
51,709
53,641
54,581
55,491
56,194
その他の
証 券
1,404
1,616
1,150
1,310
1,304
1,310
1,304
1,167
1,236
1,254
1,270
1,273
1,277
1,258
1,258
1,223
1,228
1,225
1,216
余資運用
資 産 計
(A)
543,515
563,638
562,869
593,639
592,253
602,961
606,005
595,768
615,027
613,777
624,632
618,310
626,968
622,748
626,686
626,595
632,450
631,159
638,357
買入手形
0
500
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
短期社債
169
320
283
710
394
610
468
21
328
444
481
557
537
153
268
349
329
324
306
信金中金
利 用 額
(B)
168,470
176,971
181,259
206,524
202,244
203,252
197,881
190,076
205,117
208,759
220,487
216,627
222,418
220,922
221,989
218,481
218,296
216,561
222,470
コール
ローン
買現先勘定
7,517
8,918
2,439
5,854
4,092
6,351
6,712
3,768
6,235
5,966
7,067
5,769
6,339
3,669
4,945
4,788
5,532
4,706
4,771
0
0
0
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
社 債
116,636
120,431
129,396
135,348
135,995
136,201
137,634
137,250
137,333
136,836
136,086
136,561
136,026
136,071
137,393
138,887
139,007
140,168
139,785
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(
(△
(
(△
(
(
(
(
1.2)
3.2)
7.4)
7.5)
6.9)
4.8)
5.5)
6.0)
3.8)
2.2)
0.5)
0.0)
0.6)
0.0)
0.1)
1.5)
2.0)
2.0)
1.5)
預貸率 (A)/預金
56.9
55.8
56.1
54.6
54.8
54.5
54.1
54.6
53.4
53.4
52.9
53.3
52.8
53.2
53.0
52.9
52.9
52.7
52.4
48.7
49.5
48.7
50.4
50.4
50.8
51.1
50.7
51.7
51.7
52.1
51.8
52.3
52.0
52.2
52.4
52.3
52.5
52.8
債券貸借取引 買入金銭
支 払 保 証 金 債 権
1,303
1,299
759
400
799
149
353
150
536
406
204
354
209
708
338
82
0
0
50
公社公団債
44,265
42,898
42,510
44,087
43,746
44,192
45,852
45,377
45,614
45,655
45,010
45,279
45,627
45,745
46,471
47,884
47,819
48,174
48,685
金銭の信託
2,641
2,452
2,653
3,811
3,382
3,725
3,467
3,090
3,424
3,761
3,895
4,006
3,720
3,452
3,630
3,584
3,675
3,381
3,306
2,637
2,205
1,768
2,137
2,006
2,044
1,974
1,657
1,975
2,032
2,110
2,065
2,161
2,187
2,178
2,228
2,193
2,148
2,131
金融債
33,925
35,774
37,492
36,822
35,189
34,237
33,754
33,622
32,890
32,510
32,235
31,897
31,371
31,028
30,907
30,713
30,358
30,295
30,041
その他
38,445
41,758
49,394
54,438
57,059
57,771
58,027
58,250
58,828
58,670
58,840
59,384
59,027
59,297
60,014
60,289
60,829
61,698
61,058
預証率 (B)/預金(B)/(A)
28.5
28.4
28.0
28.1
28.5
28.3
29.1
29.2
28.7
28.4
28.0
28.2
28.0
28.1
28.2
28.8
28.8
29.2
28.9
15.1
15.5
15.6
17.5
17.2
17.1
16.7
16.1
17.2
17.5
18.4
18.1
18.5
18.4
18.5
18.2
18.0
18.0
18.4
30.9
31.3
32.2
34.7
34.1
33.7
32.6
31.9
33.3
34.0
35.2
35.0
35.4
35.4
35.4
34.8
34.5
34.3
34.8
(備考)1.( )内は前年同月比増減率
2.預貸率=貸出金/預金×100(%)、預証率=有価証券/預金×100(%)(預金には譲渡性預金を含む。)
3.2006年8月末までの余資運用資産計は、現金、預け金、金融機関貸付等、買入金銭債権、金銭の信託、商品有価証券、
有価証券の合計
4.2006年9月末以降の余資運用資産計は、現金、預け金、買入手形、コールローン、買現先勘定、債券貸借取引支払保証
金、買入金銭債権、金銭の信託、商品有価証券、有価証券の合計
82
信金中金月報 2011.5
2.(1)業態別預貯金等
(単位:億円、%)
年 月 末
2007. 3
国内銀行
信用金庫
前年同月比
増 減 率
1,113,772
1.9
大手銀行
(債券、信託
を含む。)
前年同月比
増 減 率
7,674,949
3.3
前年同月比
増 減 率
5,191,912
3.8
うち預金
(債券、信託
を含む。)
前年同月比 うち都市銀行 前年同月比
増 減 率
増 減 率
2,916,384
0.1
2,487,565 △ 0.7
地方銀行
前年同月比
増 減 率
1,936,818
2.5
08. 3
1,137,275
2.1
7,780,686
1.3
5,268,076
1.4
3,032,690
3.9
2,525,751
1.5
1,956,991
1.0
09. 3
1,154,531
1.5
7,694,609
△ 1.1
5,131,449
△ 2.5
3,133,105
3.3
2,575,584
1.9
2,002,165
2.3
09. 6
1,175,838
1.7
7,684,306
△ 1.4
5,078,496
△ 3.1
3,121,625
2.7
2,571,576
1.9
2,036,327
2.1
9
1,173,980
1.7
7,651,985
1.6
5,066,773
1.0
3,095,631
2.2
2,536,077
1.7
2,016,367
2.9
12
1,185,688
1.7
7,633,468
0.1
5,013,004
△ 1.2
3,089,448
1.6
2,534,595
1.7
2,043,112
2.8
10. 2
1,183,144
1.8
7,640,521
0.1
5,021,944
△ 1.1
3,098,756
1.1
2,550,103
1.6
2,043,890
2.9
3
1,173,806
1.6
7,802,680
1.4
5,162,829
0.6
3,186,534
1.7
2,633,256
2.2
2,072,150
3.4
4
1,188,482
1.7
7,772,750
1.4
5,129,094
0.8
3,168,660
1.6
2,615,920
2.2
2,073,746
3.0
5
1,185,709
1.7
7,799,302
2.0
5,153,829
1.8
3,185,893
2.9
2,639,017
3.7
2,077,071
2.8
6
1,196,877
1.7
7,778,507
1.2
5,115,894
0.7
3,174,534
1.6
2,627,392
2.1
2,089,368
2.6
7
1,192,613
2.0
7,720,475
1.2
5,077,245
0.5
3,132,287
1.3
2,583,335
1.7
2,073,691
3.1
8
1,196,704
1.8
7,722,792
1.4
5,082,578
1.1
3,142,245
2.1
2,591,522
2.6
2,072,321
2.7
9
1,195,743
1.8
7,760,577
1.4
5,118,486
1.0
3,169,900
2.3
2,619,065
3.2
2,071,464
2.7
10
1,197,645
1.9
7,707,304
1.6
5,069,744
1.5
3,127,427
2.5
2,579,077
3.2
2,068,207
2.5
11
1,194,795
1.8
7,747,958
1.5
5,105,937
1.2
3,150,045
1.7
2,601,743
2.1
2,073,550
2.4
12
1,208,008
1.8
7,727,318
1.2
5,053,586
0.8
3,123,062
1.0
2,576,384
1.6
2,097,915
2.6
11. 1
1,199,848
1.9
7,719,507
1.2
5,067,902
0.9
3,135,055
1.4
2,591,537
1.9
2,081,173
2.5
2
1,206,065
1.9
7,755,338
1.5
5,089,914
1.3
3,163,488
2.0
2,619,609
2.7
2,091,740
2.3
年 月 末
2007. 3
第二地銀
前年同月比
増 減 率
546,219
0.9
信用組合
前年同月比
増 減 率
̶
̶
農業協同組合
労働金庫
郵便貯金
預貯金等合計
前年同月比
増 減 率
̶
̶
前年同月比
増 減 率
̶
̶
前年同月比
増 減 率
1,869,692 △ 6.5
前年同月比
増 減 率
10,658,413
1.3
08. 3
555,619
1.7
̶
̶
̶
̶
̶
̶
1,817,438
̶
10,735,399
̶
09. 3
560,995
0.9
̶
̶
̶
̶
̶
̶
1,774,798
△ 2.3
10,623,938
△ 1.0
09. 6
569,483
1.3
̶
̶
̶
̶
̶
̶
1,782,331
△ 1.6
10,642,475
△ 1.1
9
568,845
2.2
̶
̶
̶
̶
̶
̶
1,764,443
△ 1.1
10,590,408
1.1
12
577,352
2.7
̶
̶
̶
̶
̶
̶
1,769,908
△ 1.1
10,589,064
0.0
10. 2
574,687
2.5
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶ ̶
̶
̶
3
567,701
1.1
̶
̶
̶
̶
̶
̶
1,757,977
△ 0.9
10,734,463
1.0
4
569,910
1.0
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶ ̶
̶
̶
5
568,402
0.7
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶ ̶
̶
̶
6
573,245
0.6
̶
̶
̶
̶
̶
̶
1,768,055
△ 0.8
10,743,439
0.9
7
569,539
0.7
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶ ̶
̶
̶
8
567,893
0.1
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶ ̶
̶
̶
9
570,627
0.3
̶
̶
̶
̶
̶
̶
1,750,404
△ 0.7
10,706,724
1.0
10
569,353
0.1
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶ ̶
̶
̶
11
568,471
△ 0.0
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶ ̶
̶
̶
0.9
12
575,817
△ 0.2
̶
̶
̶
̶
̶
̶
1,757,299
△ 0.7
10,692,625
11. 1
570,432
△ 0.2
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶ ̶
̶
̶
2
573,684
△ 0.1
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶ ̶
̶
̶
(備考)1.日本銀行『金融経済統計月報』、ゆうちょ銀行ホームページ等より作成
2.大手銀行は、国内銀行−(地方銀行+第二地銀)の計数
3.国内銀行・大手銀行には、全国内銀行の債券および信託勘定の金銭信託・貸付信託・年金信託・財産形成給付信託を含
めた。
4.信用組合、労働金庫、農業協同組合の計数については、日本銀行がデータの掲載を中止したことを受けて、更新を停止
した。
5.2007年10月以降の郵便貯金は、振替貯金を含む。また、郵便貯金は2008年4月より四半期ベースで公表
6.預貯金等合計は、単位(億円)未満を切り捨てた各業態の預貯金残高の合計により算出した。なお、2006年4月以降に
ついては、信用組合、労働金庫、農業協同組合を除いたベースで算出した。
統 計
83
2.(2)業態別貸出金
(単位:億円、%)
年 月 末
信用金庫
大手銀行
地方銀行
第二地銀
信用組合
前年同月比
増 減 率
634,953
1.3
前年同月比
増 減 率
2,270,176 △ 0.9
都市銀行
前年同月比
増 減 率
1,860,370 △ 1.9
前年同月比
増 減 率
1,445,409
2.9
前年同月比
増 減 率
419,377
1.6
前年同月比
増 減 率
̶
̶
08. 3
635,433
0.0
2,281,304
0.4
1,854,662
△ 0.3
1,483,586
2.6
429,309
2.3
̶
̶
09. 3
648,786
2.1
2,391,966
4.8
1,952,042
5.2
1,547,581
4.3
435,832
1.5
̶
̶
09. 6
642,434
1.9
2,346,518
2.7
1,912,553
2.7
1,527,067
3.2
432,265
1.3
̶
̶
9
644,595
0.9
2,319,911
1.7
1,873,709
1.2
1,534,325
2.5
436,640
1.4
̶
̶
2007. 3
12
646,570
△ 0.3
2,306,697
△ 3.5
1,870,486
△ 4.4
1,540,391
0.0
438,591
0.4
̶
̶
10. 2
640,893
△ 0.8
2,283,568
△ 3.8
1,853,333
△ 4.7
1,535,649
△ 0.0
436,229
0.4
̶
̶
3
641,574
△ 1.1
2,293,569
△ 4.1
1,846,180
△ 5.4
1,547,663
0.0
434,891
△ 0.2
̶
̶
4
635,020
△ 1.3
2,258,143
△ 4.7
1,826,249
△ 5.8
1,534,487
0.0
430,080
△ 0.6
̶
̶
5
634,292
△ 1.6
2,244,456
△ 5.0
1,814,893
△ 6.0
1,533,310
△ 0.0
429,332
△ 1.0
̶
̶
6
634,260
△ 1.2
2,259,091
△ 3.7
1,824,204
△ 4.6
1,532,230
0.3
428,845
△ 0.7
̶
̶
7
636,198
△ 0.9
2,234,723
△ 4.1
1,808,959
△ 4.8
1,542,202
0.9
430,305
△ 0.6
̶
̶
8
633,070
△ 1.2
2,227,890
△ 3.4
1,803,887
△ 3.9
1,537,833
0.8
428,518
△ 0.8
̶
̶
9
637,069
△ 1.1
2,250,279
△ 3.0
1,811,077
△ 3.3
1,550,119
1.0
433,739
△ 0.6
̶
̶
10
635,390
△ 1.1
2,213,692
△ 3.7
1,786,124
△ 4.2
1,547,526
1.0
431,403
△ 0.6
̶
̶
11
632,816
△ 1.1
2,199,556
△ 4.1
1,772,065
△ 4.8
1,544,492
1.2
430,321
△ 0.5
̶
̶
12
640,623
△ 0.9
2,208,028
△ 4.2
1,780,767
△ 4.7
1,559,490
1.2
436,660
△ 0.4
̶
̶
11. 1
633,791
△ 1.2
2,196,404
△ 3.9
1,775,843
△ 4.4
1,551,552
0.9
432,818
△ 0.8
̶
̶
2
633,177
△ 1.2
2,198,003
△ 3.7
1,776,232
△ 4.1
1,555,365
1.2
432,799
△ 0.7
̶
̶
年 月 末
農業協同組合
労働金庫
公的金融機関
合 計
̶
08. 3
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,829,632
1.2
09. 3
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
5,024,165
4.0
09. 6
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,948,284
2.6
9
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,935,471
1.8
12
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,932,249
△ 1.6
10. 2
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,896,339
△ 1.9
3
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,917,697
△ 2.1
4
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,857,730
△ 2.4
5
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,841,390
△ 2.7
6
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,854,426
△ 1.8
7
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,843,428
△ 1.8
8
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,827,311
△ 1.6
9
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,871,206
△ 1.3
10
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,828,011
△ 1.6
11
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,807,185
△ 1.7
12
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,844,801
△ 1.7
11. 1
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,814,565
△ 1.7
2
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
̶
4,819,344
△ 1.5
̶
前年同月比
増 減 率
̶
うち住宅
金融公庫
前年同月比
増 減 率
̶
̶
2007. 3
前年同月比
増 減 率
̶
うち中小
企業向け
前年同月比
増 減 率
̶
̶
̶
前年同月比
増 減 率
̶
前年同月比
増 減 率
4,769,915
0.7
(備考)1.日本銀行『金融経済統計月報』より作成
2.大手銀行は、国内銀行−(地方銀行+第二地銀)の計数
3.公的金融機関は、日本政策投資銀行、国際協力銀行、国民生活金融公庫、住宅金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業
金融公庫、公営企業金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、商工組合中央金庫の合計
4.公的金融機関のうち中小企業向けは、国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、商工組合中央金庫の合計
5.信用組合、労働金庫、農業協同組合、公的金融機関の計数については、日本銀行がデータの掲載を中止したことを受
けて、更新を停止した。
6.合計は、単位(億円)未満を切り捨てた各業態の貸出金残高の合計により算出した。なお、2006年3月以降については、
信用組合、労働金庫、農業協同組合、公的金融機関を除いたベースで算出した。
84
信金中金月報 2011.5
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I S S N 1 3 4 6 −9479
2011年(平成23年)5月1日 発行
2011年5月号 第10巻 第5号(通巻461号)
発 行 信金中央金庫
編 集 信金中央金庫 地域・中小企業研究所
〒103−0028 東京都中央区八重洲1−3−7
TE L 0 3(5 2 0 2)7 6 7 1 F A X 0 3(32 78)7048
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