Comments
Description
Transcript
施設入所中の精神遅滞男性における脆弱X症 候群の 頻度とその臨床
岡山医 誌 (1993) 105, 847∼858 施設 入所 中の精神 遅滞 男性 にお け る脆弱X症 候 群 の 頻度 とその臨床心 理学的特徴 岡 山 大 学 医 学 部 小 児 科 学 教 室(指 村 上 導:清 政 江 (平成5年7月13日 Key words:脆 弱X症 緒 脆 弱X症 候 群,精 野 佳 紀 教 授) 受 稿) 神 発 達 遅 滞,自 閉 性 障 害,葉 酸欠 乏培地 か に さ れ て い る と は い え な い.本 研 究 で は,脆 言 弱X症 候 群の 疫学 的実態 とその心理 学 的特性 を 知 る こ と を 目的 と して,精 候 群 はX連 鎖 性 の 遺 伝 性 疾 患 で あ り, 神遅 滞 者施 設に入 所 ダ ウ ン症 候 群 に次 い で 精 神 遅 滞 の 重 要 な 原 因 で して い る男 性 患 者 で の 脆 弱X症 あ る.そ の 臨 床 症 状 は,中 を 細 胞 遺 伝 学 的 に 調 査 し,脆 弱X症 遅 滞,け い れ ん,自 な 顔 貌,巨 等 度 か ら重 度 の 精 神 閉 症 に 似 た 行 動 異 常,特 を施 行 した. 結 合 織 の 異 常 を特 徴 とす る1).本 疾 患 は,1943年 Martin-Bell症 対象 および方 法 報 告 した た め2), 候 群 と も呼 称 され る.一 方,脆 弱 X染 色 体 は1969年 にLubs3)に れ た が,1977年 I. よ り初 め て 記 載 さ に な り よ うや く脆 弱X染 対 象 社 会 福 祉 法 人 旭 川 荘 の 精 神 遅 滞 者 施 設,旭 色体 が 葉 酸 欠 乏 培 地 に よ り誘 発 さ れ,Martin-Bell症 候 群 と診 断 さ れ た精 神 遅 滞 患 者 に つ い て 臨 床 心 理 学 的 検 査 異 大 睾 丸 お よび関節 や心 臓の 弁 な どの にす で にMartinとBellが 候群 患者 の頻 度 学 園,愛 本 人 精 神 遅 滞 男 性183例 を対 象 と し た.同 胞 例 は 候 群 に 特 異 的 で あ る こ とが 判 明 し た4).その 後 の 研 1例 と して 算 定 した.年 究 で,脆 た っ て お り,平 均 年 齢 は18.7歳 で あ っ た.37例 弱X症 候 群 は精神 遅 滞者施 設 に入所 中 の 男 性 患 者 の1.6∼7.9%に 男 性 で も1500人 に1人 認 め られ5),一 般 集 団 (21.4%)は が 罹 患 す る 比 較 的 日常 的 %)は 齢 は6歳 最 重 度 の 精 神 遅 滞 者 で,54例(31.2 等 度 の 精 神 遅 滞 者,37例(21.4%)は の 原 因 遺 伝 子 が 単 離 され,遺 神 遅 滞 者 で あ っ た.精 伝 子 内 のCGGリ rich る と,こ れ ら の症 例 の う ち28例(15.3%)で 出 生 前 要 因 が,43例(23.5%)で され た7). が,20例(10.9%)で 脆 弱X症 す た め,当 の うち89例(45.3%)に 閉症 の 一 成 因 と して 注 目 を 浴 び た8).し か しな が ら,そ の 後 の 臨 床 心 理 学 的 研 め ら れ た. 究 で は,本 II. 方 症 候 群 と 自 閉症 との 関 連 に つ い て 互 は明確 な原 お,こ れ らの症例 はて んか んの合併 が 認 法 い に 相 反 す る結 果 が 報 告 さ れ て お り9-11),その 異 1. 細胞遺 伝 学的方 法 同 に 関 し今 も な お 論 議 が 続 い て い る. 1) 脆 弱X染 わ が 国 で は 脆 弱X症 は 出生後要 因が その成 因 因 が 不 明 で あ っ た(表1).な 覚 過 敏 な どの 特 異 な 行 動 異 常 を 示 色体誘 発法 次 の い ず れ か の 方 法 で 細 胞 にthymidylate 候 群 の 系 統 的 な疫 学 的 調 査 は1報 告 の み で12),本疾 患 の 罹 病 率 は まだ 明 ら stressを 負 荷 して 脆 弱X染 847 は は 周産期要 因 と考 え ら れ た が,92例(50.3%)で 候 群 患 者 は 言 語 の 異 常 や 視 線 回 避, 初,自 中 軽度 の精 神遅 滞の 原因別 に分類 す islandの メ チ ル 化 が そ の病 因 で あ る こ とが 決 定 常 同 運 動,触 か ら60歳 に わ 重 度 の 精 神 遅 滞 者,45例(26.0%)は な 疾 患 で あ る こ とが 示 さ れ た6).最 近,本 症 候 群 ピー トの 延 長 と,そ の 上 流 に 存 在 す るCpG 川 育 寮 お よ び いづ み 寮 に 入 所 して い る 日 色 体 を誘 発 し た. 848 村 上 表1 対 象 に おけ る精神 遅 滞 の 原 因別 分 類 政 江 表2 臨 床 心 理 検査 を施行 した3群 の年 齢 及 び 知 能 指数 の 比 較 に5×10-7MのFdUで 処 理 した.染 色 体 の 収 穫, 標 本 作 製 はMEM-FA誘 2) 脆 弱X染 発 法 と同 様 に 行 っ た. 色体 の 同定 染 色 体 標 本 を最 低3日 0.005%ト 間 室 温 で 乾 燥 し た後, リプ シ ン で 短 時 間 処 理 し,2%ギ 液 で染 色 した.Sutherlandら Xq27バ ムザ が 記 載 した よ うに13), ン ドq28バ ン ドとの 境 界 で,染 色 分 体 の 片 方 あ る い は 双 方 に 切 断(break),間 隙(gap) あ るい は染 色 体 内 部 分 重 複(endoreduplication) が み ら れ る もの を脆 弱X染 と して 判 定 した.1症 色 体fra(X)(q27.3) 例 に つ い て,少 な くとも 50個 以 上 の 細 胞 を顕 微 鏡 下 に 観 察 し,2%以 の 陽 性 率 を示 す 場 合 を脆 弱X染 *ダ ウ ン 症 候 群10例,部 よ びInv dup 分11pモ (15)1例 ノ ソ ミー1例,お を含 む. した.脆 弱X染 上 色体 陽 性 と診断 色 体 が 低 率 の例 で は,リ 培 養 を複 数 回 繰 り返 し,脆 弱X染 ンパ球 色体 が常 に陽 性 で あ る こ と を確 認 し た. a) 葉 酸 欠 乏MEM培 Sutherlandが 地(MEM-FA法) 2. 記 載 した 方 法13)に準 じ,MEM 必 須 ア ミ ノ酸,葉 酸(FA)を ン お よびEarleの 緩 衝 液 と を調 合 し,MEM-FA 培 地 を 作 製 し た.25mM NaOHでpHを8.2に 除 いた必 須 ビ タ ミ Hepesお 調 整 し た後,ろ 臨 床心理 学的検 査 染 色 体 検 査 で 同 定 さ れ た 脆 弱X症 候 群6症 例 の 臨 床 心 理 学 的 特 徴 を 明 ら か に す る た め に,脆 弱X染 色 体 が 陰 性 で,知 能 お よ び 年 齢 が 脆 弱X よ び1M 症 候 群 患 者 と相 一 致 し,原 因 が 不 明 の 精 神 遅 滞 過 滅菌 し 者 お よ び 自閉 性 障 害 者 そ れ ぞ れ6例 を対照 と し た.生 理 食 塩 水 で一 昼 夜 透 析 し た牛 胎 児 血 清(5 て(表2),以 %容 量)と 抗 生 物 質(streptomycin/penicillin) 障 害 につ いて はDSM-III(米 と をMEM-FA培 の 診 断 基 準15)を満 足 す る 症 例 を選 定 した.な お, 地 に 添 加 して 完 全 培 地 と した. 下 の 心 理 検 査 を施 行 した.自 全 血 を 完 全 培 地 に 適 量 加 え た 後,phytohemagg 臨 床 心 理 学 的 検 査 は,ア lutininで 刺 激 して,37℃ で,脆 穫2時 で96時 間 培 養 し た.収 間 前 に コ ル セ ミ ドを加 え,分 裂 中期 細 胞 を 回 収 し た.染 色 体 標 本 の 作 製 を通 常 の 方 法 を Fluorodeoxyuridine Tommerupら (FdU)処 理 の 方 法14)を改 変 し て 行 っ た.す 国 精 神 医 学 会, 1980) ン ケ ー ト調 査 で あ る の 候 群 の 診 断 を 知 らせ て い な い 生 活 指 導 員 と 臨 床 心 理 士 に よ り行 わ れ た. 1) 新 版SM社 会 生 活 能 力 検 査16) こ の 検 査 は,精 用 い 施 行 した. b) 弱X症 閉性 身 辺 自立,移 神 遅 滞 児 の 社 会 生 活 能 力 を, 動 能 力,作 業 能 力,意 団 参 加 お よ び 自 己統 制 の6領 志 交 換,集 域 か ら評 価 す る も な わ ち,末 梢 血 リ ンパ 球 をphytohemagglutinin の で あ る.各 領 域 に は 一 定 数 の 社 会 生 活 能 力 に で 刺 激 し て,10%の 関 す る項 目が 設 け て あ り,そ の 得 点 数(粗 1640培 地 で37℃,96時 牛 胎 児 血 清 を 含 むPRMI 間 培 養 し,収 穫24時 間 前 か ら社 会 成 熟 年 齢 を 求 め る.満13歳 点) レベ ル の 成 脆 弱X症 候 群 の頻度 とその 臨床 心理 学的特 徴 表3 熟 度 を100点 と し,成 熟 度 は領 域 別 に 社 会 成 熟 年 849 自閉 性 障 害:診 断 基準 齢 を 暦 年 齢 で 割 り100を 乗 じ た 社 会 生 活 指 数 (SQ)と して 表 示 す る.本 研 究で は暦年 齢 増加 に よ る社 会 生 活 指 数 の み か け 上 の 低 下 を避 け る た め,暦 年 齢 が13歳 以 上 で は,母 数 を13歳 と し う ちAか 排 泄,着 衣,遊 閉 児 の 発 達 水 準 を,食 び,対 人 関 係,言 ら1項 目,Cか ら1項 陥 習 慣, 2. 苦 しい時 に安 楽 を求め る こ との欠 如,あ る い は 異常 な 求め 方 域24の 尺 度 に 3. 模 倣 す るこ との 欠 如,ま た は 不 足 お い て 行 動 パ ター ンか ら評 価 す る もの で あ る. 4. 社 会 性 の い る遊 び の 欠如,ま た は異 常 そ れ ぞ れ の 尺 度 を6歳 5. 点 と し て5段 の 健 常 児 の 発 達 水 準 を満 階 で 評 価 し,9領 域 全体 のサ イ コ DSM-III-R(自 B. 言語 的 お よ び非 言語 的 意 志 伝 達 や 想像 上 の 1. 伝達 様 式 の な い こ と 閉 性 障 害 の 診 断 基 準)18) 2. 米 国 精 神 医 学 会 よ り最 近 提 唱 さ れ た 小 児 の 自 閉 性 障 害 の 診 断 基 準 で(表3),A(対 反 応),B(言 の 活 動)お の3種 語 的,非 人 的相互 3. 想像 上 の 活 動 の欠 如,想 像 上 の事 件 に つ い 言語 的意志 伝達 や 想像上 よ びC(活 ての お話 に 興 味 が ない 動 や 興 味 の レ パ ト リー) 4. の カ テ ゴ リー16項 目 に 記 載 さ れ て い る 障 単 語 や文 節 の 独 自の用 い方;無 関係 の 言動 6. 十 分 な会 話 の 能 力が あ るの に,他 人 と会 話 を始 め た り,続 け た りす る能 力 の 障 害 し,行 動 が 異 常 で あ る場 合 だ け で も基 準 をみ た C. す と判 定 し た. 会 話 の仕 方 の 異常 5. 会 話 形 式 や 内容 の 異 常;代 名 詞 の 逆 転; 診 断 す る もの で あ る.患 者 の 発 達 レベ ル に 照 ら 活動 や 興味 の レパー ト リー が 限 られ て い る 1. 常 動 的 な 身体 運動 統 計学 的 方法 2. 対 象 物 の部 分 の とら われ 連 続 変 数 の 差 の 検 定 に はF検 定 を,不 対 人的 相 互 反 応 を開 始 し調 節 す る,非 言 語 的 意 志伝 達 の 異常 害 の 有 無 を 検 討 し,総 合 得 点 か ら 自 閉 性 障 害 を 3. 仲 間関 係 を作 る能 力 の著 しい不 足 活 動 に おけ る障害 グ ラ ム と し て 表 し比 較 した. 3) 目 対 人的 相 互反 応 の 障害 語,表 現 活 動, ハ ン ド リン グ,行 動 の 自律 の9領 目,Bか 1. 他 者 の 存在,ま た は感 情 に 気づ くこ との 欠 自 閉 児 の 行 動 評 定(CLAC-II)17) この 検 査 は,自 ら2項 を含 む こ と A. て 補 正 し た. 2) 症 状 リス トか ら16項 目 の 少 な く と も8つ が 存 在 し, 定 あ る い はt検 3. 環 境 が 変 わ るこ とに対 す る心 痛 連 続 変 数 の 差 の 検 定 に はWilcoxon検 定 を,比 率 の 差 の 検 定 に はFisherの 算 法 を応 用 した.P<0.05の 4. 場 合,統 な興 味 に 夢 中 にな る 計的 に有 意 で あ る と み な し た. いつ ものや り方 の 固執 5. 興 味 の 範 囲が 限 局 してい た り,また は特 殊 直接 確率 計 D. 発症 は幼 児期 あ るい は小 児期 で あ る(生 後36 ヶ月 以降 の 発症 な らば特 定 せ よ) 結 I. 果 細 胞遺伝 学 的検査 性 率 か ら,2∼8%の 精 神 遅 滞 男 性183例 の う ち6例(3.3%)に, 脆 弱X染 色 体 が 陽 性 で あ っ た.い 大 多 数 の 細 胞 で,脆 弱X染 ずれ の症例 も 色体は染色分体の の 高 率 群(3例)と 率 が2%で 低 率 群(3例)と40∼54 の2群 あ っ た2例 で は,合 breakあ る い はgapと して み ら れ た が,1症 例 球 培 養 で い ず れ も脆 弱X染 で は1細 胞 にXq28分 節 のendoreduplication さ れ た.6例 た,高 精 度 分 析 レベ ル で 家 族 歴 が 認 め ら れ た が,逆 が み ら れ た(図1).ま 脆 弱 部 位 はXq27.3とXq28バ 在 す る こ と を確 認 した.こ 状 を 表4に 示 す.年 ン ドの 境 界 に 存 れ ら6症 例 の 臨 床 症 齢 は6か 平 均 年 齢 は16.2歳 で あ っ た.脆 ら27歳 に わ た り, 弱X染 色体 の 陽 に 区別 さ れ た.陽 性 計3回 の リンパ 色体 が低頻 度 に検 出 の う ち4例(67%)に 精 神遅 滞 の に家 族性精 神 遅滞 者 18例 の う ち4例(22.2%)が 脆 弱X症 っ た.精 で 最 重 度,2例 神 遅 滞 の 程 度 は3例 重 度 で,1例 候 群 であ で で 中 等 度 で あ っ た.全 例 に 長 い顔, 下 顎 の突 出お よび思春 期 後の 巨大 睾丸 が認 め ら 850 図1 村 脆 弱X染 色 体 の 諸 相 a:染 色 分 体 のgap, partial endoreduplicationを b:染 で は-2SD以 で,大 江 c:染 色 体 のbreak, d:Xq28分 節の 示 す. 脆 弱X症 き な 耳 介 と そ の 聳 立 が,1例 下 の 低 身 長 が み られ た.な お,て ん か ん 発 作 が 高 率 で,全 政 色 分 体 に お け るisogap, 表4 れ た.5例 上 例 に脳 波異常 が認 め られ た.し か し,心 臓 の聴 診 は い ず れ の 症 例 も正 常 で,関 節 の 過 伸 展 な どの 結 合 織 の 異 常 は 認 め ら 候 群6症 例 の 臨床 症状 れ な か っ た. II. 臨床心理 学的 検査 所 見 1. 新 版SM社 会能 力検査 結果 すべ て の領 域 で,脆 弱X症 候 群 の社会 生活 指 数(SQ)は 精 神遅 滞群 と 自閉性 障害 群 との 中間 脆弱X症 候群 の 頻度 とその 臨床心 理 学的特 徴 表5 SM社 会 生 活 能 力検 査 結 果(SQ平 851 均 値 表示) 括弧 内の数 字 は標 準 偏差 を示 す. *:P<0.05 図2 3群 に お け るCLAK-II検 ●:脆 弱X症 歳 レ ベ ル を5点 候 群, 値 を 示 した(表5).自 査 サ イ コグ ラム o:精 神 遅 滞 群, 満 点 とす る.ア □:自 ラ ビ ア 数 字 は9発 閉 性 障 害 群 は 他 の2群 に 閉 性 障 害 群 を 示 す.中 達 領 域 の24項 心 よ り 同 心 円 上 に 点 数 を示 し,6 目 を 示 す. 害 群 は 精 神 遅 滞 群 と 身 辺 自 立,移 動 能 力,意 比 べ 測 定 値 の 分 散 が 少 な い こ とが 特 徴 で,F検 交 換 お よび 集 団 参 加 の 領 域 で,脆 弱X症 定 で 脆 弱X症 は 身 辺 自立 の 領 域 で い ず れ も有 意 差(P<0.05) 候 群 とは 移 動 能 力(P<0.05),意 志 交 換(P<0.05)お で,精 神 遅 滞 群 とは 身 辺 自立(P<0.05),移 能 力(P<0.05),集 が 認 め られ た.一 よ び 自 己統 制(P<0.01) 団 参 加(P<0.05)お 動 よび は 認 め られ な か っ た. 2. 学 的 有 意 差 は な か っ た.t検 人 関 係,言 閉性 障 定 に お い て も脆 弱X 症 候 群 と精 神 遅 滞 群 との 間 に は 統 計 学 的 有 意 差 早 己 統 制(P<0.01)で 有 意 差 が 認 め られ た. 一方 ,脆 弱X症 候 群 と精 神 遅 滞 群 の 間 に は統 計 定 で は,自 方,t検 志 候群 と CLAC-II検 脆 弱X症 査結 果 候 群 の サ イ コ グ ラ ム で は,遊 語,表 現 活 動,ハ び,対 ン ド リン グお よ び 852 村 行 動 の 自律 の 領 域 が 食 習 慣,排 上 泄 お よび 着 衣 の 領 域 に 比 し低 水 準 で あ っ た(図2).3群 Wilcoxon検 政 江 ま た,自 間の 閉性 障 害 群 に 比 して 表 現 活 動 や ハ ン ド リ ン グ に お い て 比 較 的 に低 水 準 で あ っ た が,行 定 に よ る 比 較 で は,す べ て の 尺 度 動 の 自律 に お い て は他 の2群 よ りも高水準 の傾 に お い て 統 計 学 的 有 意 差 は 認 め られ な か っ た. 向 で あ っ た.こ し か し な が ら,脆 弱X症 症 例 で は 言 語 や 非 言 語 に よ る 表 現 活 動 お よび 合 し て 対 人 関 係,言 候群 は精神 遅滞群 に比 語 や ハ ン ドリ ン グ に お い て, 表6 平 均 値(± 図3 標 準 値)で 表 示. *:P<0.05, 3群 に おけ るDSM-III-R検 れ らの こ とか ら,脆 弱X症 候群 目的 動 作 に何 らか の 発 達 障 害 が 存 在 す る こ と が DSM-III-R検 査結果 **:P<0.01 査結果 頻 度 を ヒ ス トグラ ム で表示 し,Fisherの 直 接確 率 法 で 有意 差 を示 す.A,B,Cは そ れ ぞれ 対 人的 相 互 反 応 の障 害,意 志 伝 達や 想像 上 の 活動 に お け る障 害,活 動 ・ 興 味 の レパ トリー の限 局 の カ テ ゴ リー,ア ラ ビア数 字 は それ ぞ れの 小 項 目 を示 す(表3を 参 照). 脆 弱X症 候群 の 頻度 とその 臨床心 理学 的特 徴 示 唆 さ れ た. 3. を 平 均 す る と,施 設 人 所 中 の 日本 人 精 神 遅 滞 男 DSM-III-R検 本 検 査 で,少 査結果 ら1項 性 で の 頻 度 は4.3%と な く と も8項 在 し,そ の う ちAか Cか 853 ら2項 目以 上 の 障 害 が 存 目,Bか ら1項 目, 目 を 含 む 場 合 を 自 閉 性 障 害 とす る DSM-III-Rの 診 断 基 準 に 沿 え ば,脆 弱X症 候群 に お け る脆 弱X症 な る.こ れ ら の2つ の研 究 候群 の頻 度 には統 計学 的 な有 意 差 は 認 め られ ず(x2=3.84, df=1, P<0.05), 検 出 頻 度 の 差 は 単 な る偶 然 で あ る可 能 性 が 強 い. しか し,2つ の 研 究 で は 患 者 の 年 齢 分 布,精 神 の3症 例 が 自閉 性 障 害 の 診 断 基 準 を 満 た し て い 遅 滞 の 程 度 お よ び 原 因 別 の 患 者 の 比 率 が 多少 異 た.し か し な が ら,群 な っ て お り,背 景 因 子 の 差 異 が 検 出 頻 度 の 差 を と し て 比 較 す る と,脆 弱 X症 候 群 の 得 点 数 は,SM社 会 生活 能力検 査 と 同 様 に,対 語 的 ・非 言 語 的 意 人 的相 互 反 応,言 志 伝達 や想像 上 の 活動 お よび活動 や 興味 の レパ ト リー ら の3つ の カ テ ゴ リー で,精 神遅 滞群 と 自閉 性 障 害 群 との 中 間 値 を 示 した(表6).ま 脆 弱X症 た, 候 群 は 自 閉 性 障 害群 に 比 し,総 合 得 点 で 有 意(P<0.05)に 低 値 で あ る が,精 神遅 滞 ひ き起 こ した 可 能 性 が あ る. 脆 弱X染 色 体 誘 発 に は,(1)葉 (MEM-FA)13),(2)Methotrexate 理13),(3)FdU処 酸 欠乏培 地 (MTX)処 理14),(4)高 濃 度 チ ミジ ン処 理19) が 用 い ら れ て い る.誘 発 の 機 序 は そ れ ぞ れ 異 な っ て い る が,最 終 的 に はDNA合 るdTTPやdCTPの 成 に必要 で あ 細 胞 内枯 渇 を起 こ し,脆 群 とは 統 計 的 差 が 認 め られ な か っ た.一 方,自 弱X染 閉 性 障 害 群 は 精 神 遅 滞 群 に 比 し,対 人 的 相 互 反 る誘 発 効 率 は ほ ぼ 同 等 と考 え られ て お り,簡 便 応 お よ び 言 語 ・非 言 語 的 意 志 伝 達 の カ テ ゴ リー 性 と確 実 性 よ り,そ れ ぞ れ の 研 究 機 関 で そ れ ぞ での異常 お よび総 合得 点 で有 意 に高得 点 であ っ れ の 方法 が 用 い られ て い る.し か しなが ら,MEM た(P<0.01). -FA法 で は ,培 養 前 の 細 胞 内 葉 酸 蓄 積 状 況 が20), FdU処 理 で は組 織 培 養 で の 細 胞 密 度 がfra A,Bお よ びCの カ テ ゴ リー の 各 項 目 ご とに 3群 の 間 で その 陽 性 率 をFisherの 法 で 比 較 検 討 し た(図3).脆 自閉 性 障 害 群 に 比 し,A に 気 付 か な い 障 害,A の 不 足,B 直接確 率 計算 弱X症 候 群 で は, 1の 他 者 の 存 在 や 感 情 5の 仲 間 関 係 を 作 る 能 力 5の 会 話 形 式 や 内 容 の 異 常 が 有 意 に 低 率 で あ っ た(P<0.05).一 方,精 比 し,A 3の 環 境 へ の 不 適 3の 模 倣 の 欠 如 やC 神 遅滞 群 に 色 体 が 誘 発 さ れ る.こ れ らの方 法に おけ で はMEM-FA法 あ る い はFdU法 の 研 究 で はTC 199培 地 とMTX処 れ て お り,方 法 の 差 が2つ が,有 理 が 用い ら X症 候 群 の 検 出 頻 度 の 差 に 関 与 す るか も しれ な い. 国 外 で は,主 に 白色 人 種 で 精 神 遅 滞 者 施 設 に お,自 入 所 し て い る 男 性 患 者 に お い て 脆 弱X症 閉 性 障 害 群 と精 神 遅 滞 群 と の 間 に は,A 1, 検 索 さ れ,そ の 頻 度 は1.6∼7.9%と 候群 が 報 告 され て 言語 的意志 伝達 い る5).施 設 に よ り,入 所 して い る 患 者 の 精 神 遅 話 の 音 量 ・高 さ ・リ ズ ム な ど 滞 の 程 度 や 原 因 に 差 が 存 在 す る の で,本 邦 に お 1(伝 達 様 式 の 欠 如),B の 異 常),B 4(会 の 異 常),B 5お よ びC 2(非 3の6項 目で統計 学 的 け る検 出 頻 度 と比 較 す る こ と は妥 当 とは い え な い .し か し,本 邦 に お け る頻 度 と諸 外 国 に お け に 有 意 差 が 認 め ら れ た. る 平 均 頻 度(4.5%)と 考 本 研 究 で は,MEM-FA法 に よ り脆 弱X染 波 ら の調 査 にお け る脆弱 応 が 有 意 に 高 率 で あ っ た(P<0.05).な B (X) の 誘 発 効 率 に影 響 す る とい わ れ て い る21).本研 究 察 あ る い はFdU法 色 体 を誘 発 し,施 設 入 所 中 の 精 邦 で は,有 目 され る.こ の こ とは,脆 弱X症 変 異 が,民 等 に浸 透 して い る こ 族 を 問 わ ず,均 候群 の遺 伝 子 と を示 唆 す る もの で あ る.事 実,ア フ リ カ黒 人22), 脆 弱X メ キ シ コ人23),ブ ラ ジ ル 人24),ス リ ラ ン カ 人25), 波 ら(1986) お よ び パ キス タ ン人26)で本 症 候 群 が 確 認 され て い 神 遅 滞 男 性183例 の う ち6例(3.3%)に 症 候 群 が 検 出 さ れ た.本 が 一 致 して い る こ とは 注 が,同 様 に 施 設 入 所 中 の 精 神 遅 滞 男 性243例 を細 る.ま 胞 遺 伝 学 的 に ス ク リー ニ ン グ し脆 弱X症 候 群13 滞 男 性 の 調 査 で は,脆 弱X症 の調査 と報 告 さ れ て い る27).本邦 に お け る 原 因 不 明 の 精 例(5.3%)を 発 見 し た12).こ れ らの2つ た,フ ィ ン ラ ン ドで の 原 因 不 明 の 精 神 遅 候 群 の頻 度 は8.8% 854 村 神 遅 滞 者 中 の 脆 弱X症 研 究 で は8.6%,本 候 群 の 頻 度 は,有 研 究 で は6.5%で ドで の 結 果 と違 背 して お らず,脆 上 波 らの フィ ンラ ン 弱X症 候群 の 普 遍 性 を支 持 す る と思 わ れ る. 最 近,脆 弱X症 遺 伝 子 内 のCGGリ の 延 長 と そ の 上 流 に あ るCpG 江 査 は 認 知 能 力 の 検 定 に 最 良 の 方 法 で あ るが,適 切 な 判 断 に は 被 験 者 が70以 上 の 知 能 指 数 を 有 す る こ と を必 要 とす る.し 中 の 脆 弱X症 候 群 の 候 補 遺 伝 子FMR-1が ロ ー ニ ン グ さ れ,本 政 か し な が ら,施 設 入 所 候 群 患 者 は 中 等 度 か ら最 重 度 の 精 ク 神 遅 滞 を示 し て お り,WISC知 ピー ト 困 難 で あ る.本 研 究 で は,脆 rich islandの メ 能検 査 の応用 が 弱X症 症 との 異 同 の 論 議 を勘 案 して,行 候 群 と 自閉 動 観察 を主 と チ ル 化 が 本 症 候 群 の 病 因 で あ る こ と が 明 らか に した 心 理 検 査 を用 い て,本 症候 群 の臨床 心理 学 さ れ た.FRM-1遺 的 特 性 を検 討 した.SM社 会生 活能 力検 査 では 伝 子 の ノザ ンプ ロ ッ ト解 析 で, 本 遺 伝 子 は ほ とん どす べ て の 組 織 に 発 現 して い 社 会 的 成 熟 度 を,CLAC-IIお る こ とが 示 さ れ,そ 検 査 で は 自 閉 性 行 動 を 行 動 観 察 の 主 眼 と した. の 塩 基 配 列 よ り核 結 合 蛋 白 を コー ドして い る こ とが 推 測 さ れ て い る7).また, 脆 弱X染 色 体 の 発 現 と リピ ー トの 延 長 との 関 係 SM社 よ びDSM-III-R 会 生 活 能 力 検 査 で は,す 活 領 域 に お い て,脆 弱X症 べ て の社会 生 候 群 患 者 は 自閉 性 障 も ほぼ 確 定 さ れ るに 至 っ た28).本研 究 で は 結 果 を 害 群 よ り優 れ た社 会 成 熟 度 を 示 した が,精 示 さ な か っ た が,確 滞 群 に 比 して 劣 る傾 向 を示 し た.こ 認 さ れ た 脆 弱X症 症 例 は す べ てFMR-1遺 候 群 の6 伝 子 内 のCGGリ トの 延 長 が 認 め られ た.さ 長 が 長 い ほ ど,脆 弱X染 ら に,リ ピー ピー トの 延 色 体 の誘 発 頻 度 が 高 率 で あ る傾 向 が 顕 著 で あ っ た.CGGリ 長 が 軽 度(premutation)の ピー トの 延 症 例 で は,脆 弱X染 色 体 は 通 常 認 め られ ず28),精 神 遅 滞 者 に お け る脆 弱X症 候 群 の 頻 度 はFMR-1遺 伝 子の分 子遺 伝 学 的 解 析 に よ り再 検 討 さ れ る 必 要 が あ る. 脆 弱X症 候 群 の 表 現 型 であ る精 神 遅 滞, 長 い 顔 と聳 立 した 耳 介 お よ び 巨大 睾 丸 の3主 が 約60%の 徴 症 例 に 存 在 す る と報 告 さ れ て い る22). の こ とは 脆 候群 に社会 的 な相 互作 用の 障害 が存在 す る こ と を示 唆 す る もの で あ る.脆 者 で は,視 線 を避 け た り,手 弱X症 候群 患 を た た くあ る い は 咬 む な ど の常 同運 動 あ る い は 触 れ られ る こ と を 極 度 に 嫌 う と い う社 会 的 回 避 行 動 が 高 頻 度 に 認 め ら れ る31).しか し な が ら,本 症 候 群 患 者 が 身 辺 自立 の 領 域 で 自閉 性 障 害 群 よ り有 意 に 高 得 点 で あ っ た 結 果 は,自 候 群 の思春 期 以降 の男性 で は いわゆ るMartin-Bell症 弱X症 神遅 閉 性 障 害 者 と異 な り,脆 弱X 症 候 群 で は 自律 行 動 に お い て 執 行 能 力 が 保 全 さ れ て い る こ と を示 す と考 え ら れ る. CLAC-II検 査 で は,脆 弱X症 人 関 係 や 言 語 の 領 域 で,自 候 群 患 者 は,対 閉 性 障 害 群 と 同様 に 本 研 究 に お い て も思 春 期 以 降 の4症 例 の う ち3 精 神 遅 滞 群 に 比 し て 劣 り,表 現 活 動 や ハ ン ド リ 例 が こ の3主 ん かん の合 ン グ に お い て は 自 閉 性 障 害 群 よ り も さ ら に劣 る 徴 を示 し た.一 併 頻 度 に 関 して は10%か 方,て ら75%と の報告 が な さ 傾 向 が 認 め ら れ た.脆 弱X症 的 で,流 ん あ る い は 脳 波 上 の て ん か ん 波 が 認 め られ た. 文 法 的 誤 りが 高頻 度 で あ る と い われ て お り32),一 こ の こ とは 脆 弱X症 見 自閉 性 障 害 群 と 区 別 で き な い.さ は,神 候群 患者 の神 経学 的評価 に 経 生 理 学 的 検 査 が 必 須 で あ る こ と を示 唆 す る.さ らに,本 患 者 で は4/6 研 究 で 発 見 され た 本 症 候 群 の (67%)に め られ て お り,脆 弱X症 に は,上 述 した3主 執 性,お う む が え し, ら に,身 振 りあ る い は顔 や 頭 の 動 作 に よ る非 言 語 的 表 現 が, ダ ウ ン症 候 群 な ど の 精 神 遅 滞 者 と比 して 少 な い 精神 遅滞 の家 族歴 が認 とい う報 告 もな され てい る33).脆弱X症 候 群 の ス ク リー ニ ン グ 言語 的 お よび非言語 的表 現 での統 合能 力 の障害 徴 の 存 在 ば か りで な く,家 候 群 で は, が 非 社 会 性 を惹 起 して い る 可 能 性 が 示 唆 され る. DSM-III-R検 族 歴 の 存 在 も参 考 に な る と考 え られ る. 査 で は,脆 弱X症 候 群6症 例の 伝 子の変 異に起 因す る う ち3例 が 自閉 性 障 害 の 診 断 基 準 を満 た したが, 候 群 患 者 の 臨 床 心 理 学 的 特 性 を検 討 す 異 常 行 動 の総 合 得 点 では 自 閉 性 障 害 群 に 比 して, 本 研 究 で は,FMR-1遺 脆 弱X症 暢 性 の 欠 如,固 候 群 の 言語 は特 徴 れ て い る29,30).本研 究 で は,全 例 に 臨 床 的 て ん か る こ とに よ り,本 遺 伝 子 の 認 知 と行 動 に お け る 有 意 に 低 得 点 で あ っ た.カ 役 割 を 明 ら か に し よ う と試 み た.WISC知 弱X症 能検 テ ゴ リー 別 に は,脆 候 群 患 者 で は 自 閉 性 障 害 群 に 比 して,他 脆 弱X症 候群 の頻 度 とその臨 床心理 学 的特 徴 者 の 存 在 や 感 情 に 気 付 か な い 障 害,仲 間関係 を 855 体 を検 索 し た 結 果,6例(3.3%)の 脆 弱X症 つ くる 能 力 の 不 足 お よ び 会 話 形 式 や 内 容 の 異 常 群 が検 出 され た.大 多数 の症 例 がMartin-Bell症 が 有 意 に 低 率 で,一 候 群 の 表 現 型 を示 した. 方,精 神 遅 滞 群 に 比 し て, 模 倣 の 欠 如 お よび 環 境 へ の不 適 応 が 有 意 に 高 率 で あ っ た.こ れ ら の 所 見 は,脆 弱X症 候 群 で は, こ れ らの6例 候 の 心 理 学 的 検 査 所 見 を,年 齢 お よ び 知 能 が マ ッ チ した 精 神 遅 滞 者 お よ び 自閉 性 い わ ゆ る 自閉 性 障 害 に 認 め ら れ る社 会 性 の 障 害 障 害 者 そ れ ぞ れ6例 と は 異 な り,見 知 らぬ 他 者 や もの を極 度 に 回 避 能 力 検 査 で は,脆 す る 異 常 性 が,そ 精 神 遅 滞 者 群 と の 中 間 値 を 示 し,身 辺 自 立 の 領 の 中核 的 な臨床心 理学 的特 性 で あ る こ と を 示 唆 す る と 思 わ れ る. 最 近 の 研 究 か ら,自 と比 較 し た.SM社 弱X症 域 で 自 閉 性 障 害 群 よ り高 値 で あ っ た.CLAC-II 閉性 障 害は先 天性 の発 達 検 査 で は,脆 弱X症 候 群 は 自閉 性 障 害 群 に 比 し 障 害 で あ り,多 病 因 的 お よ び 普 遍 的 な症 候 群 と て,表 して と らえ る べ きで あ る とす る観 点 が 強 調 され 傾 向 で あ っ た.DSM-III-R検 て い る34).自閉 性 障 害 が 一 卵 性 双 生 児や 同 胞 に 高 候 群 の3例 頻 度 に 起 こ る こ と よ り,そ の 病 因 に 遺 伝 的 素 因 が,本 が 関 与 す る こ とが 明 らか とな っ た35).脆 弱X症 者 の 存 在 や 感 情 の 無 視,仲 群 と 自 閉 性 障 害 との 関 係 に つ い て は,論 反 して い る.す な わ ち,脆 弱X染 会生 活 候 群 は 自閉 性 障 害 群 と 候 議 が相 色 体 が 陽性 の 精 神 遅 滞 者 で の 自閉 性 障 害 の 頻 度 と,脆 弱X染 現 活 動 や ハ ン ド リン グの 領 域 で 低 水 準 の 査 で は,脆 弱X症 が 自閉 性 障 害 の 診 断 基 準 を 満 た し た 症 候 群 で は,自 閉 性 障 害 群 に 比 し て,他 間 関 係 を作 る能 力 の 不 足 や 会 話 の 異 常 が よ り低 率 で,一 滞 者 群 に 比 して,模 方,精 神 遅 倣 の欠如 や環 境変 化へ の不 適 応 が 高 率 で あ っ た. 色 体 陰 性 の 精 神 遅 滞 者 に お け る 自閉 性 障 害 の 頻 本 研 究 に お け る 脆 弱X症 候 群 の頻度 は欧 米 で 度 とが 統 計 的 に 有 意 差 が な い こ と よ り,こ の 関 の 頻 度 と近 似 し て お り,脆 弱X症 連 を否 定 す る報 告36)や,逆 に,一 般 集 団 で 自 閉 性 異 常 は 民 族 を 問 わ ず 均 等 に 浸 透 して い る と考 え 障 害 と脆 弱X症 ら れ た.臨 比 して,実 候 群 が 偶 然 同 時 に 起 こ る確 率 に 際 に 脆 弱X症 候 群 と 自閉 性 障 害 が 同 候 群 遺伝 子の 床 心 理 学 的 検 査 の 結 果 か ら,脆 弱X 症 候 群 は 基 本 的 に他 人 の 存 在 を認 識 す るが,言 時 に 起 こ る確 率 は 数 百 倍 高 く,関 連 を 肯 定 す る 語 ・非 言 語 的 な 表 現 能 力 の 障 害 と極 度 の 社 会 的 報 告 が あ る37).前 述 した よ う に,自 閉 性 障 害 が 症 回 避 の た め に,一 部 の 症 例 が 自閉 性 障 害 を示 す 候 論 的 な 概 念 で あ る 以 上,脆 と結 論 さ れ る. 弱X症 候群 が その 1原 因 で あ る こ とは 否 定 で き な い.実 際 に,DSM -III-Rで 自 閉 性 障 害 と診 断 さ れ た症 例 の な か に もFMR-1遺 伝 子 の 異 常 が 報 告 され て お り38), 稿 を終 え るに あた り,御 指 導 を賜 わっ た清 野 佳 紀 教 授 に謝 意 を表 す る とと もに,終 始 直 接 に御 指 導 頂 自 閉 症 は 遺 伝 学 的 に 多 様 な 疾 患 で あ る と考 え る い た楢 原 幸 二助 教 授 に感 謝 します.ま た,本 研 究 に の が 妥 当 で あ ろ う.脆 弱X症 候 群 が,社 会的回 御 協 力頂 い た社 会 福 祉法 人旭 川荘 旭 川児 童院 院 長 末 避 の ため に 自閉 性 障 害 を 起 こ す の か,社 会的回 光 避 とは 別 に 自閉 性 障 害 を 起 こ す の か,今 後 の検 の 山村 討 が 要 望 さ れ る. 生 お よび 心理 検 査 に こ こ ろ よ く御 協 力頂 いた生 活 指 論 わ が 国 に お け る 脆 弱X症 導 貝や 心理 士の 皆 様 に深 謝 致 します. 候群 の疫 学的 実態 と そ の 心 理 学 的 特 性 を知 る 目的 で,精 神遅 滞者 施 設 に入所 中の 男性 患者 に おい て本症 候群 の頻 度 と そ の 臨 床 心 理 学 的 特 徴 を 検 討 し た. 精 神 遅 滞 者 施 設 に 入 所 中 の 男 性 患 者183例 を 対 象 に,葉 健先 生,愛 育 寮 寮長 の 浜 口喜 義 先 生,い づ み寮 の安達 正 信 先 生,児 童 院 医療 課 長 の笠 井 良 造 先 結 酸 欠 乏 培 地(MEM-FA)あ fluorodeoxyuridine処 茂 先 生,院 長代 理 中 島 洋子 先 生,旭 川学 園 園 長 るい は 理 法 を用 い て 脆 弱X染 色 856 村 上 政 江 文 1) Sutherland GR, in Fragile Sites New York 2) Martin 3) Lubs 4) Sutherland 5) Jp and Oxford 6) medium. The containing in 8) fragile Brown H, X 9) of Blomquist J: 10) 12) 13) Am JD, ology. J Autism Arinami T, retarded males. Sutherland Xq28 15) Disord I and Hum Am X Nielsen linked mental 三 木 安 正:新 版S-M社 閉 症 の 行 動 評 定; 18) American Psychiatric American Psychiaric Genet Nielsen KB Press, (1985) Neurol Neurosurg E 22, Tommerup and DPA, their X dependence on Syndrome, and the Davies segregation Pizzuti LAJ, Warren A, Riggins ST: cluster type KE ratios Reiner GJ. O, ed, in the Richards Shastain Identification region Wisniewski 1, C, JL, Kunst of a gene exhibiting length S, (FMR variation K, Raguthu S and French JH: 100. Gustavson autism. Jenkins X S: Frequency 73, 309-312. on KH, Clin EC and (1979) KB: Holmgren Genet Gross G (1985) A: and 27, Autism Wahlstrom 113-117. and fragile 31, predisposition X syndrome the fragile X psychopath Japanese affecting mentally expression in 125-135. J Med and to in I. Factors 5-fuloro-2'-deoxyuridine induction Genet Statistical (1981) Manual of 18, (DSM the fragile site on 374-376. III), 3rd ed, American (1980). 三 木 安 正 編 纂, 説 書, and Washington, A: genetic chromosomes. retardation. DC syndrome: of the human Diagnostic Fratini J, infantile 精 研 式CLAC解 Association and (1982) Diagnostic Association: 231-244. incidence a breakpoint 343-354. 会 生 活 能 力 検 査. Baker and University 71-73. Washington, 梅 津 耕 作:自 J Med J Fragile Blonden BA Fragile Genet and 17) 20) sex-linkage. 21, The Kuhl G-JB, 18, sites Association: Associatione, GR, 143, SI: (1986) J Hum H with in WT, fragile Poulsen Psychiatric Sutherland Oxford phenotype; 573-580. Gillberg Brown Ort 23, Brooks SO, Nakajima 16) 19) F eds, of in Y-H, Lancet (1988) Genet Heritable associated Psychiatric physical 905-914. EC, syndrome and (1969) Population Oostra 65, (1986) Dev Kondo N, American X EG, Fu with Edvinsson Wolf J: Ommen autism. fragile Genet (1986) DL, (1991) with JF culture. Tommerup X: pp40-43. JS, van Jenkins Leckman GR: lymphocyte 14) fragile Hecht showing syndrome; Genet Nelson J Psychiatry Bregman and The 265-266. Todd co-incident M, IL, and BE, E, X X Sutcliffe Cell the Cohen defect 197, (1989) AL repeat Bohman of GS, syndrome. 11) CT, fragile HK, Frequency Fisch Eussen Friedman Association BK: chromosomes-demonstration fragile J Med F, syndrome. WT, Hecht GR J Hum (1977) York M, Caskey a CGG human Thake Am Zhang -1) on New SE, Pieretti MF, Galjaard mental Am of Press, Bundey CB, of Science epidemiology AJMH, Vicoria and Sutherland pedigree sites syndrome. Verkerk TW 154-157. Fragile Martin-Bell 7) Glover X-chromosome. GR: TP, A 6, marker University Webb JC, Chromosomes. J: culture TP: Mulley Human Bell A tissue F, pp132-149. (1943) HA: Webb on (1985) Psychiatry of Hecht 献 DC Excess 日 本 文 化 科 学 社, 梅 津 耕 作 編 纂, statistical 東 京 (1980). 金 子 書 房, manual 東 京 (1980). (DSM-III-R), 3rd ed, revised, (1987). thymidine induces folate sensitive fragile sites. Am 433-443. N: Cytogenetic investigations in mentally retarded and normal males 脆 弱X症 21) 22) 23) 24) from 14 families Hum Genet with (1984) Krawczun density. Mattei JF, Mattei fragile X. A Rivera H, Hernandez study Vianna-Morgante 22, M, Direct 31) 34) J, S, on RJ, fragile X and Eur DNA F, (1987) the X expression X-linked increased by low mental retardation with the 281-289. J, Garcia-Cruz D and testicular hyperplasia Escalante syndrome O: H: 26, A Martin-Bell Cantu JM: and fra Some (X) (q28) and the marker X syndrome fra (X) (q28) in fragile X study of severe chromosome in mental its retardation aetionlogy. in J Med the Genet S: 23, Marker Bumenfeld MF, S, Kretz Gilgenkrantz of X associated mental retardation. A study 397-404. the C, S, fragile X Boue J, Jalbert P, syndrome Tommerup N, Voelckel of MA, mental Van der Oberle Hagen I, Mandel retardation. N Engl J Human JC, Glover TW Chromosomes. and Hecht Sutherland GR BK: and The fragile Hecht F eds, X: physical Oxford phenotype, University Press, RM, Musumeci patients S and in Italy Neri and G: Fragile description X mental of a novel retardation: EEG pattern. prevalence in J Med Genet Am and syndrome. 29, Peven autism J Dis (1985) 143, language Malmgren N: H, Infantile (1992) 44, a Learning Child disabilities (1985) and 139, and attentional problems in boys 674-678. behavioral disturbances in 13 boys with Am Speech fragile X 269-275. and the fragile X syndrome: initial findings. Hearing 35-38. J: V, M: Developmental 精 神 医 学 Etiology of associated Sudhalter syndrome Hudson Am A: Speech, and Is IL, M with Pfadt associated? A, (1992) autism: the Jenkins Conceptual 34, 570-584. genetic fragile X EC, Brown and influences. syndrome? WT Pediatrics Am and J Med Vietze Mehodological (1991) Genet PM: issues. Why Am J Hum 87, (1992) are 767-773. 43, autism Genet 47-55. and the (1991) 48, 195-202. 38) a 251-257. community Varonen analysis 閉 症 の 内 的 世 界. SE GS: fragile-X F: 59, Poulsen J: (1983) Mulley J Pediatr 杉 山 登 志 郎:自 Cohen Croquette Schinzel Association 37) and V, by Kemper EG: Folstein . pp113-130. Wolf-Schein Fisch expression 589-595. RH 36) M Genet C, Garusa Hagermann 35) (X) 237-240. (1982) of Biancalana institutionalized 23, the fra 1673-1681. (1985) Sanfilippo Largo on 220-222. and Todd importance Wilska Hecht Sites of 12, Res and (1981) 24, M Defic Giraud Frota-Pessoa (1982) A Clin D, 325, GR, syndrome. 33) Heitz York with 32) the males. (1991) (1986) treatment 467-474. and normo-functional (1981) Mikkelsen Thake diagnosis Sutherland group acid Fragile Sanchez-Corona I and J Mental Delozier-Blanchet in Fragile 30) folic WT: 23, Genet L, Genet Genet Brown M deficiency, M, Leisti F, New and Hum Armando T, retarded Med 29) of 857 258-266. Rousseau JL: Result (1986) Plascencia Ann and Xq28. Auger families. J Med Webb Midlands C, C, mental family. S, 150 Genet AM, Am Kahkonen of J Med 15 Senanayahe Bundey (1985) 28) the at EC Aumeras A, syndrome. West 27) of on site Jenkins Am chromosome P, KP, MG, observations Soysa fragile と そ の 臨 床 心 理 学 的 特 徴 225-229. Lele cell-culture Sri-Lankan 26) 66, MS, chromosome. 25) the 候 群 の 頻 度 Gustavson autism-fragile 830-833. K-H, X: Wahlstrom molecular J, Arpi-Henriksson findings support I, genetic Bensch J, heterogeneity. Pettersson Am U J Med and Dahl Genet 858 村 Prevalence of male fragile patients 上 and X 政 psychological syndrome with in mental Masae Department Okayama 江 features institutionalized retardation in Japan MURAKAMI of Pediatrics, University Medical School, Okayama 700, Japan (Director: Prof. Y. Seino) To determine the prevalence and psychological features of fragile X syndrome among Japanese, cytogenetic and psychologicalstudieswere conducted on 183 institutionalized male retardates. The induction of fra (X) (q27)by MEM-FA medium or fluorodeoxyuridinetreat ment revealed that 6 (3.3%) patients had fragileX syndrome. Psychological tests in the 6 patientswith fragileX syndrome [Fra(X)], 6 controlsubjectswith autism [AU] and 6 with simple mental retardation [MR] showed the following results:(1)on SM socialmaturity test, overallscores of socialskillsin Fra (X) were between those in AU and those patientsin MR. Behavioral autonomy patients; (2) on CLAC-II was much better in Fra (X) than in AU behavior evaluation,Fra (X) patients had a tendency toward lower developmental levelsin verbal and nonverbal expression as well as in handling compared to AU patients; (3)on DSM -III-Rtest, 3 of the 6 Fra (X) males met the criteriafor autism. Fra (X) patientshad fewer failuresin recognizing others'existenceor emotions, to develop relationshipswith others and to use language appropriately compared to AU patients,but had more defects in imitationof others and adaptation to environmental changes than MR patients. The similarityin the prevalence of the fragileX syndrome in the Japanese male retardates to that reported in Caucasians suggests that Fra (X) is a common genetic disorder affecting allethnic populations. From the psychologicalfindings,we concluded that Fra (X) patients have strong socialaversion and defects in verbal and nonverbal expression which sometimes lead to autism.