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市場調査部レポート - マネースクウェア・ジャパン

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市場調査部レポート - マネースクウェア・ジャパン
2013 年 3 月 1 日(金)発行 No.019
日銀人事で
日銀人事で期待高まる
期待高まる!?
まる!? 市場がみる
市場がみる金融政策
がみる金融政策の
金融政策の行方
~今週号の
今週号のポイント~
ポイント~
●アウトルッ
アウトルック
トルック:日銀の
日銀の追加緩和期待が
追加緩和期待が一段と
一段と高まるか
4-5 日の正副総裁候補の所信聴取で、積極的な緩和姿勢が示されるか。現体制最後の政策決定会合
は「無風」が予想されるが・・。「中銀ウィーク」では、いずれもコンセンサスは「変更なし」ながら、「RBA の利
下げ」、「BOE の資産購入枠拡大」を予想する向きも。ECB 理事会での経済見通しが大幅に下方修正され
れば、「利下げ」観測の台頭も。ドラギ総裁が債務懸念鎮静化を図る発言をするか。米株式市場は、強制
的歳出削減を楽観視しているようにみえるが・・。2013 年度予算失効やデットシーリング復活が次の重要な
節目。米財政問題に絡んで、雇用統計はブレが大きくなる可能性あり
------------------------------
●トピックス1
トピックス1:OIS でみる日米欧政策金利
でみる日米欧政策金利の
日米欧政策金利の行方
OIS(翌日物金利スワップ)を用いて、市場が予想する日米欧の政策金利の行方をみた。ゼロ金利の日本
と米国の「次の一手」は「利上げ」。ただし、日本が約 5 年後、米国でも 2 年以上先とみられている。ユーロ
圏では、1 年以内の「利下げ」がわずかに織り込まれており、「利上げ」は 3 年後より先。英国では、今後 2 年
以内に「利下げ」の可能性がかなりの確率で織り込まれている
------------------------------
●トピックス2
トピックス2:投資家の
投資家の関心事 2
・シェール革命で米国経済はどうなる?
・米国の巨額の債務は問題にならないのか?
・ECB の利下げは? 年後半にかけてのユーロドルは? など
------------------------------
●注目イベ
注目イベント
イベント&
ント&経済指標
日 付
主なイベント&経済指標
備 考
3 月 4 日(月)
日 日銀総裁候補の
日銀総裁候補 の所信聴取
黒田東彦 ADB(アジア開発銀行)総裁
3 月 5 日(火)
豪 RBA 金融政策決定会合
「政策金利」【予想 3.0%】【現行 3.0%】
3 月 6 日(水)
米 ベージュブック(
ベージュブック(地区連銀景況報告)
地区連銀景況報告 )
日 日銀金融政策決定会合
日銀金融政策決定会合
3 月 7 日(木)
英 BOE 金融政策委員会
ユーロ圏
ユーロ圏 ECB 理事会
3 月 8 日(金)
1
米 雇用統計(2
雇用統計(2 月)
「政策金利」【予想ナシ】【現行 0-0.1%】
「政策金利」【予想 0.5%】【現行 0.5%】
「資産購入目標」【予想 3,750 億ポンド】【現行 3,750 億ポンド】
【予想+0.75%】【現行 0.75%】
「非農業部門雇用者」【予想+15.1 万人】【1 月+15.7 万人】
「失業率」【予想 7.9%】【1 月 7.9%】
Copyright
- 1 - © 2002-2013 MONEY SQUARE JAPAN, INC. All rights reserved.
This Report is for Authorized Recipients Only and Not for Public Distribution.
アウトルック:
アウトルック:日銀の
日銀の追加緩和期待が
追加緩和期待が一段と
一段と高まるか
●今週の
今週のレビュー(
レビュー(2/25 ~2/28):
28):イタリア
):イタリア総選挙
イタリア総選挙で
総選挙でリスクオフが
リスクオフが強まるも、
まるも、ドル円
ドル円は比較的しっかり
比較的しっかり
【総括】:イタリア総選挙の結果を受けてリスクオフが強まり、円が対ドルで上昇、その他の通貨は総じて対ド
ルで下落しましたが、週後半の動きは各通貨でマチマチでした。
週後半、円は対ドルで弱含み、イタリア・ショックの地元ユーロはもみ合いで推移しました。英ポンドは、ユ
ーロからの逃避資金が向かったのか、イタリア・ショック時にはやや強含む局面もありましたが、その後は横ば
いの動きでした。オセアニア通貨は、軟調~横ばいでした。カナダドルと南アランドは、それぞれの要因で下
落しました。
ドル円は、イタリア・ショック後は比較的堅調でした。26 日の議会証言で、バーナンキ FRB 議長は金融緩
和継続の必要性を説きましたが、その一方で日銀の正副総裁候補が明らかになり、日本の追加緩和期待
が根強かったことが背景だとみられます。住宅販売や消費者信頼感など、米国の経済指標は総じて良好で
した。
ユーロは、イタリア選挙後の国債入札が比較的順調だったことから、債務危機懸念がやや後退して対ドルで
のユーロの下支えとなりました。一方で、イタリアの政局が先行き不透明であることに変わりはなく、また、足
下での域内景気の悪さも意識され、それらがユーロの重石となりました。
英ポンドは、先週まで対ドルで下落基調が続いていましたが、2010 年 7 月以来となる 1.50 ドル割れの寸
前で踏みとどまっています。もっとも、景気低迷が続くなかで、いずれ BOE(英国中銀)が利下げや資産購入
枠の拡大に踏み切るとの見方も根強く、英ポンドの頭を押さえています。
豪ドルは、対ドルで軟調な展開が続いています。ただ、先週の RBA(豪州準備銀行)のスティーブンス総裁
の議会証言や、今週明らかになった 2013-14 年の企業の設備投資計画などを受けて、利下げ観測がや
や後退していることが、豪ドルの下支え要因となっています。
(2/21-2/28)
NZ ドルは、豪ドルに比べて良好なパフォーマンスを
みせていましたが、先週 RBNZ(NZ 準備銀行)のウィ
ーラー総裁が NZ ドル高に対して懸念を表明したこと
もあって、足下で弱めの動きとなっています。
カナダドルは、対ドルで続落して、約 8 か月ぶりの
安値をつけました。政府の調査によって、今年の企
業の設備投資計画が弱い伸びにとどまることが明ら
かになり(前年比+1.7%←2012 年同+7.2%)、景
気に対する懸念が強まったためです。
通貨
対円
通貨
対ドル
香港ドル
-0.59%
日本円
+0.61%
米ドル
-0.59%
香港ドル
+0.01%
豪ドル
-0.89%
豪ドル
-0.29%
英ポンド
-1.19%
英ポンド
-0.60%
ユーロ
-1.60%
ユーロ
-1.01%
NZドル
-1.69%
NZドル
-1.12%
カナダドル
-1.77%
カナダドル
-1.17%
南アランド
-1.97%
南アランド
-1.43%
出所:Bloomberg 終値ベース
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南アランドは、 1 月の貿易赤字が過去最大となったことで、対ドルで下落しました。1 月の貿易赤字は 245
億ランドと前月(27 億ランドの赤字)から拡大、市場予想(97 億ランドの赤字)を大幅に上回りました。世界
景気の弱さに加えて、鉱山ストが輸出に響いたようです。
●来週の
来週の相場材料(
相場材料(3/4 ~3/8):日銀正副総裁候補
):日銀正副総裁候補の
日銀正副総裁候補の政策スタンス
政策スタンス、
スタンス、各国中銀の
各国中銀の金融政策決定会合、
金融政策決定会合、
米強制的歳出削減、
米強制的歳出削減、米雇用統計など
米雇用統計など
【概観】:来週は、日銀、ECB、BOE、RBA などが金融政策決定会合を開催する、「中銀ウィーク」です。いず
れも、コンセンサスは「変更なし」ですが、低い確率ながら「RBA の利下げ」、「BOE の資産購入枠拡大」の予
想もあります。また、日銀の正副総裁候補が国会に提示されたことで、金融緩和期待が一段と高まる可能
性がありそうです。
日銀の新体制の発足は 3 月 20 日の予定ですが、それまでにも正副総裁候補から積極的な緩和姿勢が
示されるか、要注目です。来週は、4~5 日に衆院で正副総裁候補からの所信聴取が実施されます。
7 日、日銀の金融政策決定会合が開催されます。現体制での最後の会合は「無風」に終わりそうですが、
審議員から緩和強化の提案がなされるなど、新体制発足に向けた地均しが行われる可能性はあるかもし
れません。次回 4 月 4 日の会合は、新体制での最初のものとなります。
同じく 7 日には、ECB 理事会と BOE 金融政策委員会もあります。ECB の理事会では、政策変更はなさそ
うですが、12 月に発表した経済見通しをアップデートします。これが大きく下方修正されるようであれば、将
来的な利下げの期待が高まりそうです。欧州債務危機再燃の懸念を鎮めるために、ドラギ総裁が何を語る
かにも注目したいところです。
BOE の金融政策委員会では、前回 2 月にキング総裁らが資産購入枠の拡大を主張しており、今度はそ
の主張が通るかもしれません。
RBA の金融政策決定会合は、6 日に開催されます。先週の議会証言で、スティーブンス総裁は、豪ドル
の割高を指摘しつつ、「利下げの余地はあるものの、これまでの緩和効果がこれからも出てくる」との発言を
しました。2 月中旬のブルームバーグの調査では、金融機関 28 社のうち 7 社(25%)が 0.25%の利下げを
予想していました。
6 日には、BOC(カナダ中銀)の理事会もあります。カーニー総裁は、「次の一手」は「利上げ」との姿勢を変
えていませんが、最近になって「利上げは以前ほど切迫していない」との見解を表明しています。市場では、
ごくわずかながら、「次は利下げ」との観測が台頭しています。
米国では、3 月 1 日に強制的歳出削減が発動される公算が高まっています。発動されると、2013 年度
(今年 9 月まで)中に 850 億ドルの歳出が削減されます。CBO(議会予算局)は、全て実施された場合、米
国の GDP 成長率を 0.6%押し下げ、75 万人の雇用喪失につながると試算しています。
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政府と議会は、強制削減を停止すべく代替プランで交渉を続けるものとみられますが、両者が包括的な
赤字削減策で合意して、財政問題に決着をつけるのは困難を極めそうです。交渉の過程で、3 月 27 日の
2013 年度暫定予算失効(残り 6 か月分が未定)、5 月 19 日のデットシーリング(連邦債務法定上限)の復
活などが重要な節目となりそうです。
なお、2007 年 10 月の史上最高値に肉薄している NY ダウをみる限り、市場は強制的歳出削減を懸念し
ていないようです。市場が、強制削減の土壇場での回避や早期の停止を織り込んでいるのであれば、その
期待は裏切られるかもしれません。
8 日発表の 2 月の米雇用統計では、NFP(非農業部門雇用者数)の市場予想は+15.1 万人で、1 月実
績(+15.7 万人)とほぼ同じです。「財政の崖」回避がプラス要因になった可能性がある一方で、強制的歳
出削減に備えて政府部門が雇用を抑制している可能性があり、ブレが大きくなるかもしれません。雇用統計
の 2 日前の 6 日に発表される ADP 統計やベージュブック(地区連銀景況報告)も重要でしょう。前回のベー
ジュブックでは、「景気がやや改善する一方で、雇用情勢に変化なし」と報告されており、どう変化しているか
興味深いところです。
来週は、その他にも経済指標が多く発表されます。とりわけ、日本の景気ウォッチャー調査で、アベノミク
スへの期待がどれだけ反映されるか、中国の鉱工業生産が伸びを加速させるか、などが注目されます。
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トピックス1
トピックス1:OIS でみる日米欧政策金利
でみる日米欧政策金利の
日米欧政策金利の行方
●サマリー
・日、米、ユーロ圏
ユーロ圏、英国の
英国の政策金利の
政策金利の行方を
行方を、市場予想(
市場予想(OIS=
OIS=翌日物金利スワップ
翌日物金利スワップ)
スワップ)からみた
・ゼロ金利
ゼロ金利の
金利の日本と
日本と米国の
米国の「次の一手」
一手」は「利上げ
利上げ」。ただし
」。ただし、
ただし、日本が
日本が約 5 年後、
年後、米国でも
米国でも 2 年以上先とみら
年以上先とみら
れている
・ユーロ圏
ユーロ圏では、
では、1 年以内の
年以内の「利下げ
利下げ」がわずかに織
がわずかに織り込まれており、「
まれており、「利上
、「利上げ
利上げ」は 3 年後より
年後より先
より先。英国では
英国では、
では、
今後 2 年以内に
年以内に「利下げ
利下げ」の可能性がかなりの
可能性がかなりの確率
がかなりの確率で
確率で織り込まれている
-----------------------------最近、お客様の関心が高い OIS(翌日物金利スワップ)を用いて、現在の金融市場が織り込んでいる各
国・地域の政策金利見通しを、以下に解説します。OIS は、将来の翌日物金利に関する金融市場参加
者の予測の平均(コンセンサス)と言うことができます。
OIS は純粋に金利の先行きを予想するものなので、国債買い増しによる緩和強化など、「量的」な政策
変更の予想は反映されません。つまり、「ゼロ金利」の場合は、金融政策の「次の一手」は、時期を別とす
れば必然的に「利上げ」になります。
結論は、上記「サマリー」をご覧ください。
日本(日銀)のケース:
日銀の「ゼロ金利」は厳密には、政策金利(無担保翌日物コールレート)の誘導目標が 0~0.1%です。
したがって、OIS が 0.1%を明確に超えるところが、「利上げ」の織り込み始めと考えることができます。それ
は、4 年後より先であり、5 年後より前です。つまり、金融市場は、日銀の積極的な金融緩和は想定してい
るでしょうが、その結果として早期の「デフレ脱却」「2%インフレ目標」の達成には懐疑的なようです。政策
金利が必ずしもインフレ率を上回っている必要はありませんが、正常な状況ではそうなるはずです。
なお、昨年 11 月の衆議院解散によりアベノミクスへの期待が高まる前と、現在とを比べても、市場の政
策金利予想に大きな変化はないようです。
(%)
図1:市場の
市場の日銀政策金利予想(OIS)
日銀政策金利予想(OIS)
0.50
2013年2月28日
0.40
2012年11月15日
0.30
現在の政策金利上限
0.20
0.10
0.00
0 1M 2M 3M 4M 5M 6M 9M 1Y 2Y 3Y 4Y 5Y 6Y 7Y 8Y 9Y
M=月、Y=年.政策金利は市場予想(OIS)では4年先以降、5年先までに政策金
利(0-0.1%)の利上げを織り込み始める。OIS=翌日物金利スワップ
出所:Bloombergより筆者作成
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米国(FRB)のケース:
FRB の「ゼロ金利」は厳密には、政策金利(フェデラルファンドレート、FF レート)の誘導目標が 0~
0.25%です。したがって、OIS が 0.25%を明確に超えるところが、「利上げ」の織り込み始めと考えることが
できます。それは、2 年後より先であり、3 年後より手前です。
FRB は昨年 12 月 12 日の FOMC で、金融緩和継続のメドを、それまでの「2015 年半ばまで」という時
間軸から、「少なくとも失業率が 6.5%を下回るまで」という経済条件に変更しました。この変化によって利
上げ時期の予想に大きな変化はみられませんが、現在の方が若干前倒しになっているようです。
図2:市場の
市場のFRB政策金利予想
FRB政策金利予想(OIS)
政策金利予想(OIS)
(%)
1.75
2013年2月28日
1.50
2012年12月11日
1.25
1.00
現在の政策金利上限
0.75
0.50
0.25
0.00
0
1M 2M 3M 4M 5M 6M 9M 1Y 2Y 3Y 4Y 5Y 10Y
M=月、Y=年.政策金利は市場予想(OIS)では2年先以降、3年先までに政策金
利(0-0.25%)の引き上げを織り込み始める。OIS=翌日物金利スワップ
出所:Bloombergより筆者作成
ユーロ圏(ECB)のケース:
ECB の政策金利(レポレート)は現在 0.75%ですが、これは「1週間物」です。翌日物市場金利の指標
である EONIA はほぼゼロ%であり(2/27 時点で 0.056%)、その意味では ECB も「ゼロ金利」政策に近い
と言えます(技術的にはまだ金利を動かす余地はあるようですが)。
(%)
図3:市場の
市場のECB金融政策予想
ECB金融政策予想(OIS)
金融政策予想(OIS)
1.50
1.25
1.00
2013年2月28日
2012年7月25日
0.75
0.50
0.25
0.00
-0.25
0 1M 2M 3M 4M 5M 6M 9M 1Y 2Y 3Y 4Y 5Y 6Y 7Y 8Y 9Y 10Y
M=月、Y=年.対象はEONIA(翌日物市場金利)。市場予想(OIS)では、3年先以
降に利上げを織り込み始める。OIS=翌日物金利スワップ
出所:Bloombergより筆者作成
6
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上記 EONIA の OIS は1年後までにやや低下しており、利下げ予想がわずかに織り込まれていることを示
しています。そして、3年後から先では利上げが織り込まれ始めます。
なお、昨年 7 月 26 日にドラギ総裁が「(ユーロを守るために)何でもする」と宣言する直前と、現在とを
比較すると、金融緩和期待がやや強まっています。
英国(BOE)のケース:
BOE(英国中銀)の政策金利(ベースレート、基準貸出金利)は、現在 0.50%。短期金利の指標である
SONIA(翌日物銀行間金利)は多少の変動はありますが、ほぼ政策金利に連動しています。
SONIA の OIS によれば、市場が予想する BOE の「次の一手」は「(0.25%の?)利下げ」です。その確率
は 2 年後に最大となっており、そこから先は次第に「利上げ」が織り込まれる格好です。
(%)
図4:市場の
市場のBOE政策金利予想
BOE政策金利予想(OIS)
政策金利予想(OIS)
1.75
1.50
1.25
1.00
2013年2月28日
2012年7月25日
現在の政策金利
0.75
0.50
0.25
0.00
0 1M 2M 3M 4M 5M 6M 9M 1Y 2Y 3Y 4Y 5Y 6Y 7Y 8Y 9Y 10Y
M=月、Y=年.対象はSONIA(翌日物銀行間金利)。市場予想(OIS)では、2年先
までに利下げを、その後に利上げを織り込む。OIS=翌日物金利スワップ
出所:Bloombergより筆者作成
もちろん。上記の OIS は、現時点での市場の予測に過ぎませんし、予測する将来が遠いほど不確実性
が高まるのは間違いないでしょう。また、OIS がベースとする短期金融市場の参加者の予測は、為替市場
の参加者の予測とは異なっているかもしれません。ただ、為替相場の先行きを考えるうえで、政策金利の
見通しは重要な要素になりうると思います。現時点でどのような予測が織り込まれているかも大切ですが、
それがそのように変化するかに注意したいところです。
(チーフアナリスト 西田明弘)
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トピックス2
トピックス2:投資家の
投資家の関心事 2
お客様より寄せられるご質問への回答から、他のお客様のご関心も高いと思われるものを選んでご紹
介いたします。
Q1.シェール
シェール革命で
革命で米国経済はどうなる
米国経済はどうなる?
はどうなる?
Q2.米国の
米国の巨額の
巨額の債務は
債務は問題にならないのか
問題にならないのか?
にならないのか?
Q3.米国で
米国で職を探す人が増えると、
えると、失業率は
失業率は上がる?
がる?
Q4.外人投資家の
外人投資家の日本株買いは
日本株買いは、
いは、円高要因ではないか
円高要因ではないか?
ではないか?
Q5.ECB の利下げは
利下げは?
げは? 年後半にかけての
年後半にかけてのユーロドル
にかけてのユーロドルは
ユーロドルは?
Q6.日本や
日本や米国の
米国の OIS(
OIS(翌日物金利スワップ
翌日物金利スワップ)
スワップ)はどうなっている?
はどうなっている?
Q1.シェール革命
シェール革命で
革命で米国経済はどうなる
米国経済はどうなる?
はどうなる?
A1.シェールガスおよびオイルの生産・輸出は、米国経済にとって大きなプラスになると見込まれてい
ます。経常収支が改善し、設備投資や雇用創出が促進されるでしょう(いずれもドル高要因)。
IEA(国際エネルギー機関)は、2035 年までに米国のエネルギー自給率がほぼ 100%になると予測し
ています。2012 年の米国の原油輸入額は 4,151 億ドルです。原油の輸出から輸入を引いた原油収支
は 2,913 億ドルの赤字で、貿易赤字全体(7,357 億ドル)の約 4 割を占めています。この分の赤字がなく
なるだけで、相当な貿易収支の改善になりそうです。
また、シェール革命の結果、エネルギーコストの低下が見込まれ、それ自体も経済にプラスです。その
場合、生産量 1 単位当たりの消費エネルギー(GDP 原単位と呼びます)が大きい国ほど有利になるはず
です。主な国を、GDP 原単位の小さい順に並べると、英国<日本<ドイツ<豪州<米国<カナダです
(2004 年日本エネルギー経済研究所調べ)。
したがって、米国は、日本や欧州諸国以上にシェール革命の恩恵を受け易い経済構造だと言えそうで
す。なお、中国などのエマージング経済は先進国よりはるかに大きなエネルギーを消費しており、その意
味では米国以上に恩恵を受ける立場にあります。
もっとも、現在の予測はかなり不確実性が大きいと思われます。また、金融市場はシェールガス革命の
期待を相当に織り込んでいるかもしれません。
Q2.米国の
米国の巨額の
巨額の債務は
債務は問題にならないのか
問題にならないのか?
にならないのか?
A2.債務が「政府債務」のことでしたら、米国の連邦債務残高は GDP 比で約 100%です。これは日本
の政府債務が 200%を超えていることに比べれば小さいと言えます。
「対外純債務」のことであれば、2011年末時点で、純債権国の日本(253 兆円、GDP 比 54%)に対し
て、米国は約 4 兆ドル、GDP 比約 25%の対外純債務を抱えています。これはイタリアの対外純債務(同
約 22%)を上回っています(財務省調べ)。
ただ、以下の点から、危機は起こりにくいと考えられます。第一に、ドルは基軸通貨なので(あくまで「現
時点では」ですが)、対外債務の多くがドル建てであり、その履行に困ることはないはずです(ドルを刷れば
8
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良い)。第二に、米国は対外債務も大きいですが、対外債権も大きく、少しの為替変動(ドル安)や価格変
化によって、両者の差である対外純債務が簡単に縮小するケースもありえます。第三に、対外債務の大
きさは、米国が海外から投資資金を引き寄せた結果でもあります。そうした資金の流れが逆転するのか、
それはいつか。それは、誰にもわからないのではないでしょうか。
Q3.米国で
米国で職を探す人が増えると、
えると、失業率は
失業率は上がる?
がる?
A3.概念的にはその通りです。ただ、職探しを再開する人が増えると、失業率は下がりにくくはなります
が、上昇に転じるということはないと思います。
職を持つ人と失業者の合計を労働力人口といい、これに対する失業者の比率が「失業率」です。職探
しを諦めた人は失業者でなく、労働力人口にカウントされません。その人が、職探しを始めると労働力人
口にカウントされ、職が見つからなければ失業者です。
16 歳以上の人口(軍人等を除く)を生産年齢人口と呼び、そのうち労働力人口の比率を労働参加率
といいます。米国では、リーマンショック直後から労働参加率が低下しており、職探しを諦めた人が増えた
可能性を示唆しています。ただ、2010 年前後を境にベビーブーム世代(1946-64 年生まれ)の退職の
影響が大きいとの説もあり、労働参加率がどこまで上昇するか不透明です。昨年夏以降は労働参加率の
低下に歯止めがかかっているようにみえます。
また、忘れてはならないのは、米国の雇用はそこそこ順調なペースで増えているということです。昨年 1
年間に非農業就業者数(NFP)は+18.1 万人/月のペースで増加しました。これはリーマンショック前の住
宅バブル期の 2004~2006 年の平均+18.4 万人/月と比べても遜色ありません(単年で雇用が強かった
のは、2005 年の+20.8 万人/月)。FRB が失業率を金融政策の基準にしている以上、失業率の低下が
遅々としているのは歯痒いことかもしれませんが、多くを望み過ぎなのかもしれません。
Q4.外人投資家の
外人投資家の日本株買いは
日本株買いは、
いは、円高要因ではないか
円高要因ではないか?
ではないか?
A4.円高になっていないということは、外人の日本株買いを上回る資金が日本から外に出て行こうとし
ているのでしょう。それは FX など個人の資金かもしれませんし、日本の企業が外貨資産を買っているのか
もしれません。日本の金融機関は国内の低金利環境で外貨資産でも運用してきましたが、その多くが為
替リスクをヘッジしたものでした(先物などでの外貨売り円買い)。円の先高感が後退してヘッジを外してい
るとすれば、それは外貨買い円売りと同じ行動です。
なお、同様に、外人が日本株を買うとしても、円売りヘッジをしているかもしれません。円安によって日
本の輸出企業の業績が上がると考えれば、輸出企業の株を買う一方で円安のリスクをヘッジするはずで
す。したがって、日本株買い=円買いに直接的につながるとは限りません。
Q5.ECB の利下げは
利下げは?
げは? 年後半にかけての
年後半にかけてのユーロドル
にかけてのユーロドルの
ユーロドルの見通しは
見通しは?
しは?
A5.ECB が利下げする可能性は、あまり高くないと思います。ECB の政策金利は 0.75%ですが、
EONIA(翌日物市場金利)はほぼゼロ%となっており、これ以上政策金利を下げても、その効果は限定的
だからです。景気後退が続くユーロ圏ですが、わずかながら明るさも見えてきました。
一方で、ECB が「利上げ」するとしても、まだまだ先のことだと思われます。これに対して、FRB の利上げ
観測が高まる可能性があります。今年後半には、2 年以内の利上げ観測を反映する形で 2 年物金利が
上がってくるかもしれません。
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米国の 2 年物金利が昨年春のように 0.4%程度まで上がる一方で、ドイツの 2 年物金利が現在の
0.1%程度からあまり動かないとすると、独-米の金利差はマイナス 0.3%まで拡大します。当社の「マイ
ページ」の「マーケット情報」にある『為替レートと 2 国間金利差の相関チャート』の「ユーロドルと独-米金
利差」のチャートから、マイナス 0.3%と一致するユーロドルの水準を調べると 1.23 ドル/ユーロ辺りになり
ます。これは、あくまでも、独米金利差の考察に基づいたユーロドル相場の目安です。
Q6.日本や
日本や米国の
米国の OIS(
OIS(翌日物金利スワップ
翌日物金利スワップ)
スワップ)は?
A6.OIS は、各国・地域の政策金利に関する金融市場の予測を反映します。日本、米国、ユーロ圏、
英国について、今週号の「トピックス1」で解説しました。
(チーフアナリスト 西田明弘)
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来週(3/4
来週(3/4~
(3/4~3/9)の
3/9)の主なイベント&
イベント&経済指標
日 付
3 月 4 日(月)
3 月 5 日(火)
主なイベント&経済指標
日 日銀総裁候補の
日銀総裁候補 の所信聴取
黒田東彦 ADB(アジア開発銀行)総裁
日 日銀副総裁候補の所信聴取
岩田規久男 学習院大学教授/中曽宏 日銀理事
豪 経常収支(10-12 月)
【予想-153 億豪ドル】【前期-149 億豪ドル】
豪 小売売上高(1 月)
【予想+0.4%】【12 月-0.2%】(前月比)
豪 RBA 金融政策決定会合
「政策金利」【予想 3.0%】【現行 3.0%】
米 ISM 非製造業景況指数(2 月)
【予想 55.0】【12 月 55.2】
【予想+30.6%】【前期+0.5%】(前期比)
豪 GDP(10-12 月期)
【予想+3.0%】【前期+3.1%】(前年比)
【予想-0.6%】【前期-0.6%】(前期比)
ユーロ圏 GDP(10-12 月期/速報値)
3 月 6 日(水)
備 考
【予想-0.9%】【前期-0.9%】(前年比)
米 ADP 雇用統計(2 月)
「非農業部門雇用者」【予想+16.2 万人】【1 月+19.2 万人】
加 BOC 理事会
「政策金利」【予想 1.0%】【現行 1.0%】
米 ベージュブック(
ベージュブック(地区連銀景況報告)
地区連銀景況報告 )
3 月 7 日(木)
豪 貿易収支(1 月)
【予想-5.00 億豪ドル】【12 月-4.27 億豪ドル】
日 日銀金融政策決定会合
日銀金融政策決定会合
「政策金利」【予想ナシ】【現行 0-0.1%】
英 BOE 金融政策委員会
「資産購入目標」【予想 3,750 億ポンド】【現行 3,750 億ポンド】
ユーロ圏
ユーロ圏 ECB 理事会
【予想+0.75%】【現行 0.75%】
米 貿易収支(1 月)
【予想-430 億米ドル】【12 月-385 億米ドル】
日 国際収支(1 月)
日 GDP(10-12 月/2次速報)
3 月 8 日(金)
日 景気ウォッチャー調査(2 月)
米 雇用統計(2
雇用統計(2 月)
3 月 9 日(土)
「政策金利」【予想 0.5%】【現行 0.5%】
「経常収支」【予想-6,266 億円】【12 月-2,641 億円】
「貿易収支」【予想-1兆 4,149 億円】】【12 月-5,676 億円】
【予想ナシ】【1次速報-0.4%】(年率/前期比)
「現状 DI」【予想ナシ】【1 月 49.5】
「先行 DI」【予想ナシ】【1 月 56.5】
「非農業部門雇用者」【予想+15.1 万人】【1 月+15.7 万人】
「失業率」【予想 7.9%】【1 月 7.9%】
中 消費者物価指数(2 月)
【予想+3.1%】【1 月+2.0%】(前年比)
中 鉱工業生産指数(2 月)
【予想+10.1%】【1 月+10.3%】(前年比)
中 固定資産投資(2 月)
【予想+20.9%】【1 月+20.6%】(除農村部/年初来/前年比)
予想は Bloomberg(3/1 12:00 現在)、青太字は重要と思われる指標&イベント、発表日付は現地時間
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金融商品取引業
関東財務局長【金商】第 296 号
加入協会:一般社団法人金融先物取引業協会(会員番号 1507)
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