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はじめに - 学際物質科学研究センター

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はじめに - 学際物質科学研究センター
はじめに
センター長 大塚洋一
平成 20 年度の筑波大学学際物質科学研究センター(TIMS)の活動を報告いたします。
大阪大学及び東京理科大学との連携によるアトミックテクノロジー創出事業は、共
同研究の実施のほか、第3回アトミックテクノロジー国際シンポジウム(ISAT-3)、第
3回長万部学生研究会の開催などで交流を深め、研究・教育両面で着実な展開を見せ
ております。
前年度スタートしたプレ戦略イニシアティブ学際物質科学研究拠点は 1 年間の活動
に対する評価の結果、戦略イニシアティブ(A)に移行することになるとともに、物質
材料研究機構国際ナノアーキテクトニス研究拠点(MANA)の筑波大学サテライトと
しての機能も併せてもつことになりました。このプロジェクトには TIMS の5教授を
はじめ、数理物質科学研究科の計 13 名の教員が中核教員として参加しています。メン
バーは隔週集い、若手・女性研究者並びに大学院学生の研究支援、第2回学際物質科
学国際シンポジウム(ISIMS-2009)など数多くの研究会・ワークショップの開催、実習
コースの実施を通して、数理物質科学研究科内の専攻や学系の枠を超えた組織作りや
NIMS との一層の研究協力の実現に向けた検討を続けています。
文部科学省による共同利用・共同研究拠点の認定制度が新たに設けられることが 7
月にわかり、その対応を検討した結果、3 大学連携融合事業の実績を基にTIMS,大
阪大学CAMT、東京理科大学PTRCによる新しいネットワーク型共同利用・共同
研究拠点として応募することを決断しました。大学本部の支援を得ながら、年度後半
はこの申請に向けた作業に多大な時間を費やすことになりましたが、日本化学会、高
分子学会、プラズマ・核融合学会、日本バイオマテリアル学会など28の学会・個人
からの推薦を得ることができ、3月末に TIMS を中核とするアトミックテクノロジー
物質科学研究拠点を申請しました。しかしながら、本年度春の書類審査及びヒアリン
グの結果、新たな分野を開拓する取り組みは評価できるが、運営体制や共同研究の方
向性が必ずしも明確ではないとの理由で最終的には認定を受けるには至りませんでし
た。大規模研究所と比較した組織力の差を強く感じる結果であります。理由書には当
面は体制整備を図り、共同研究の実績を積むことが望まれるとのコメントが付記され
ており、今後も大学の支援を仰ぎながら、努力して参りたいと考えます。
目
次
はじめに
1.理念と沿革
1
1.1 理念
1.2 沿革
1.3 歴代センター長
1.4
TIMS ロゴ
3
2.組織
2.1 構成員
2.2 委員会
2.3 学内委員等
2.4 組織図
2.5 WEB
2.6 所在地
3.センター活動報告
6
3.1 運営委員会等
3.2
TIMS セミナー、シンポジウム
3.3 三大学連携アトミックテクノロジー事業
3.4 筑波大学戦略イニシアティブ「学際物質科学研究拠点」
3.5 決算
3.6 来訪
3.7 行事
4.研究活動報告
18
4.1 研究コア報告
機能性高分子コア
19
分子物質変換コア
24
融合物質生命コア
34
ハイブリッド機能コア
59
量子制御コア
65
4.2 競争的資金獲得状況
72
4.3 共同研究
74
4.4 研究生等の受け入れ
74
4.5 受 賞
75
4.6 学会活動・各種委員など
76
4.7 新聞報道など
78
1.
理念と沿革
1.1 理念
筑波大学学際物質科学研究センターは、白川英樹筑波大学名誉教授の 2000 年ノーベ
ル化学賞受賞を契機として、工学と理学の枠を越えた連携と融合により、未来型機能性物
質群の創成と学際物質科学研究の新機軸の構築を目指し、さらには研究成果の社会還元
を図ることを目的として平成 15 年 4 月に設置された。
これからの我が国の発展には、物質創成に端を発するデファクトスタンダードの獲得が
求められている。白川教授のポリアセチレン研究にも見られるように、新たなブレークスル
ーの多くは学際的研究から生まれてきている。学際物質科学研究センターでは、高度な研
究環境と研究支援体制のもと、異なる領域の研究者が日常的に互いに連携しつつ中長期
的展望に立った基盤研究を推進し、物質科学の未踏領域に一段と高い研究ピークを実現
することを目指す。
1.2 沿
革
2000 年
10 月
白川英樹博士のノーベル化学賞受賞
11 月
「白川記念学際物質科学研究センター」(仮称)WG の発足
2001 年
9月
2002 年
11 月
2003 年
2月
「学際物質科学研究センター」WG の発足
概算要求事項の申請
学際物質科学研究センター設置準備委員会の発足
4月
1日
学際物質科学研究センターのスタート
5月
19 日
センター看板上掲式(共同研究棟 A)
6月
17 日
スタートアップシンポジウム(つくば研究交流センター)
11 月
10・11 日
2006 年
4月
2007 年
3月
16・17 日
10 月
1・2 日
三大学連携融合事業「アトミックテクノロジー」の開始
11月
2008 年
アトミックテクノロジー国際シンポジウム(ISAT-2007)の開催
第 2 回アトミックテクノロジー国際シンポジウム(ISAT-2)の開催
筑波大プレ戦略イニシアティブ学際物質科学研究拠点に採択
3月
13,14 日
3月
25 日
7月
2009 年
開所式、記念講演会(筑波大学大学会館)
第 1 回学際物質科学国際シンポジウム(ISIMS-1)の開催
ネブラスカ大学バイオメディカルセンターとの部局間協定締結
学際物質科学研究拠点が戦略イニシアティブ(A)に昇格
1月
20 日
3月
5・6 日
3月
9・10 日
台湾国立清華大学との合同ワークショップ開催
第 3 回アトミックテクノロジー国際シンポジウム(ISAT-3)の開催
第 2 回学際物質科学国際シンポジウム(ISIMS-2)の開催
1.3 歴代センター長
2003.4~2006.1
赤木和夫
1.4 TIMS ロゴマーク
中心の小円と外の楕円は物質の根源要素である原子を表し Science の S を抽象化し
た形3つは、物質科学の各分野の協力による新物質の創成を意味します。また、こ
れら3つの形は通称、白川センターの川の字も表しています。(2003 年 11 月 10 日
制定)考案者:筑波大学電子・情報工学系教授
根本承次郎氏
2.
組織
2.1 構成員
専任教員
神原貴樹
教授
(物性・分子工学専攻、物質工学系)
鍋島達弥
教授
(物質創成先端科学専攻、化学系)
長崎幸夫
教授
(物性・分子工学専攻、物質工学系)
山部紀久夫
教授
(電子・物理工学専攻、物理工学系)
大塚洋一
教授
(物理学専攻、物理学系)
大石 基
講師
(物性・分子工学専攻、物質工学系)
金山直樹
講師
(物性・分子工学専攻、物質工学系)
蓮沼 隆
講師
(電子・物理工学専攻、物理工学系)
神田晶申
講師
(物理学専攻、物理学系)
桑原純平
助教
(物性・分子工学専攻、物質工学系)
山村正樹
助教
(物質創成先端科学専攻、化学系)
客員研究員
京谷陸征
非常勤研究員
Robert Trokowski
(研究機関研究員)
辰巳泰我
(連携融合事業推進博士研究員)
竹歳絢子
(連携融合事業推進博士研究員)
Jeremy Brandel
(連携融合事業推進博士研究員)
技術補佐員
大森恵美子
(研究支援推進員)
事務職員
秋葉 清
(専門職員)
事務補佐員
山内由美子
(MANA)
2.2 委員会
運営委員会
大塚洋一
(センター長、TIMS)
鍋島達弥
(TIMS)
山部紀久夫 (TIMS)
長崎幸夫
(TIMS)
神原貴樹
(TIMS)
赤平昌文
(数理物質科学研究科長)
宮本雅彦
(数学系)
金 信弘
(物理学系)
山本泰彦
(化学系)
秋本克洋
(物理工学系)
鈴木博章
(物質工学系)
鍋島達弥
(TIMS)
山部紀久夫 (TIMS)
長崎幸夫
(TIMS)
神原貴樹
小林俊一
(秋田県立大学長)
運営協議会
大塚洋一
(センター長、TIMS)
(TIMS)
徳丸克己
(筑波大学大学名誉教授)
菅野卓雄
(東京大学名誉教授)
筒井哲夫
(九州大学名誉教授)
赤平昌文
(数理物質科学研究科長)
大塚洋一
(センター長、TIMS)
神原貴樹
(TIMS)
鍋島達弥
(TIMS)
長崎幸夫
(TIMS)
推進室
山部紀久夫 (TIMS)
2.3 学内委員等
サブネットワーク管理委員会
委員長
鍋島達弥
環境安全管理室
廃棄物管理責任者
鍋島達弥
〃 補助責任者
長崎幸夫
2.4 組織図
運営委員会
センター長
運営協議会
研究コア
z
機能性高分子コア
z
分子・物質変換コア
z
融合物質生命コア
z
ハイブリッド機能コア
z
量子制御コア
2.5 WEB
http://www.tims.tsukuba.ac.jp/
2.6 研究室等の所在地
センター固有の建物は未整備のため、以下の共同利用スペースを借用して活動している。
共同研究棟A 406、 413、 414、 415、 416(電子顕微鏡室)、111、 214
総合研究棟B 223、 224、 225、 226、 1225、 1226、 1227、 022-1(クリーンルーム)
(左・中)総合研究棟 B、
学内地図
(右上)共同研究棟 A、
(右下)TIMS 看板
3.
センター活動報告
3.1 運営委員会等
平成 20 年度第 1 回運営委員会 (平成 20 年 5 月 21 日(水) 開催)
1.平成 19 年度第 2 回運営委員会議事録の承認
2.平成 19 年度決算について
3.平成 20 年度予算について
4.分子・物質変換コア人事について
5.平成 20 年度センター活動予定について
平成 20 年度第 2 回運営委員会(臨時) (平成 21 年 1 月 26 日(月) 開催)
1.平成 20 年度第 1 回運営委員会議事録の承認
2.センター長選出選挙
3.人事について (分子・物質変換コア講師、量子制御コア講師、戦略イニシア
ティブ学際物質科学研究センター特別教員配置助教)
4.平成 20 年度予算執行状況について
5.平成 20 年度センター活動について
平成 20 年度第 3 回運営委員会
(平成 21 年 3 月 11 日(月) 開催)
1.平成 20 年度第 2 回運営委員会議事録の承認
2.人事について (分子・物質変換コア講師、量子制御コア講師、戦略イニシア
ティブ学際物質科学研究センター特別教員配置助教)
3.平成 20 年度予算執行状況について
4.平成 20 年度センター活動について
5.平成 21 年度予算内示について
6.平成 22 年度概算要求について
推進室会議
毎週火曜日正午から 13 時までを定例として推進室会議を開催し、TIMS の研究推進全
般に関して緊密な意見交換を行い、センター活動の活性化を図っている。
3.2 TIMS セミナー、シンポジウム
TIMS セミナー
2008.11.25
TIMS/MANA 合同セミナー:
Marcus Textor (ETH Zurich, Swisserlands)
“Creation of New Biointerface”
2009.03.11
TIMS/MANA 合同セミナー: Tatiana K. Bronich (University of Nebraska , USA)
“Block Ionomer Complexes as Novel Nanomedicines
シンポジウム・ワークショップ
2008.6.5
バイオマテリアルのミニ国際シンポジウム(ISATBMS-2008)を開催(筑波大)
Satoshi Hamaguchi (Osaka Univ.), “Plasma Technique in Bio-related Science”
Hirofumi Matsui (Univ. of Tsukuba) , “Porphyrin as a Targeting Ligands”
Allan S. Hoffman (Univ. of Washington), “The Origins and Evolution of Controlled
Drug Delivery Systems (DDS) over the Past 40-50 Years”
Aki Hirayama (Tsukuba Univ. of Technology), “in vivo Imaging and Therapy for
Oxidative Stress”
2008.7.16
第2回バイオマテリアルのミニ国際シンポジウム(2nd ISATBMS-2008)を開催
Takanori Ichiki (Univ.Tokyo), “Biodevice Reseach for Cell Therapy”
Katsuhisa Kitano (Osaka Univ.), “Atmospheric Pressure Plasma Technique in
Bio-related Science”
Osamu Niwa (AIST), “Sputtered nanocarbon films for developing electrochemical
biosensor”
Jun Nakanishi (NIMS), “Photo-induced Cell patterning technology”
Chiaki Yoshikawa (NIMS), ”Densely Packed Surface Polymer Brush”
Pillip Messersmith (Northwestern Univ.), ”Mussel Adhesive Proteins: Mechanochemistry and Biologically Inspired Polymers”
Kohei Soga (Tokyo Univ. Sci.), ”Upconversion Nanophosphors for NIR
Biophotonics”
2008.9.16
第2回機能性分子シンポジウム-最先端の化学をリードする女性科学者による講演
会(第1回)-を開催 (筑波大学総合研究棟B)
棚谷綾(お茶大院), 「芳香族アミドの立体特性を利用した機能性分子の構築」
斎藤礼子(東工大院), 「ペルヒドロポリシラザンを用いた有機-無機ブロック・グラフ
ト共重合体によるミクロ相分離構造体の創製とナノ複合材料への応用」
永次史(東北大・多元研), 「遺伝子発現の制御を目指した機能性分子の合成及び
機能評価」
2008.10.25
第3回機能性分子シンポジウム-最先端の化学をリードする女性科学者による講演
会(第2回)-を開催 (筑波大学総合研究棟B)
岩浦里愛(食産総研), 「DNAを鋳型とした超分子ナノファイバーの創製」
福田伸子(産総研), 「エバネッセント波を利用したケミカル・バイオセンシング」
伊藤香織(東工大), 「液晶性ブロックコポリマーのナノ相分離構造とテンプレートプ
ロセス」
安藤香織(岐阜大学), 「理論計算から始まる有機合成への挑戦」
2008.11.28-29 戦略イニシアティブ研究会「ナノ分子磁性体の化学・物理・応用」を開催 (筑波大
学総合研究棟B)
栄長泰明(慶應大), 「界面化学制御による磁性の光制御」
佐藤治(九州大・先導物質化学研究所), 「外場応答性CN架橋錯体の開発」
守友浩(筑波大), 「物性物理学の研究対象としてのプルシャンブルー類似体」
大越慎一(東大), 「プルシアンブルー類似体を用いた新奇磁気物性の探索」
川本徹(産総研), 「プルシアンブルー型錯体の応用:エレクトロクロミズムを中心に」
西野正理(物材機構), 「プルシアンブルーやスピンクロスオーバー化合物で発現
する新奇物性の理論・計算による研究」
上岡隼人(筑波大), 「プルシャンブルー錯体膜の時間分解分光」
二瓶雅之(筑波大), 「外場応答性金属錯体における多重相転移の発現」
井上克也(広島大), 「キラル構造を持つプルシアンブルー型錯体の磁気構造と特
異スピンダイナミクス」
大場正昭(京大), 「シアノ架橋多孔性磁性体のゲスト応答磁気変換」
浜田典昭(東京理科大), 「遷移金属化合物の結晶構造とイオン価値・スピン状態」
大塩寛紀(筑波大), 「単分子磁石と単一次元磁石のスピンダイナミクス」
末元徹(東大), 「シアノ架橋錯体における光誘起相の時間分解CN振動分光」
野澤俊介(JST), 「時分割 XAFS 測定を用いたプルシアンブルー類似体における
光誘起相転移ダイナミクスの研究」
金延恩(JASRI), 「放射光X線粉末回折によるPBの水位置の決定」
有川晃弘(筑波大), 「ナノ分子グラフェンの理論」
2008.12.6
第 35 回炭素材料学会年会特別企画「21 世紀を担う炭素材料を知る」を協賛開催
(筑波大学総合交流会館)/ 特別講演:白川英樹博士「炭素材料は百面相」(筑波
大学会館ホール) / 主催:炭素材料学会
2008.12.20
第4回機能性分子シンポジウムを開催 (筑波大学総合研究棟B)
山本泰彦(筑波大), 「電子伝達タンパク質シトクロムcの酸化還元電位と熱安定性」
久保由治(首都大), 「含ホウ素動的共有結合を利用した機能分子組織体の創製」
大月 穣(日大), 「二次元超分子化学-基板表面での分子の自己集合構造と動き」
川端猛夫(京大), 「精密分子認識型アシル化触媒」
石谷 治(東工大), 「金属錯体を中核とした人工光合成システムの開発」
久新荘一郎(群馬大), 「14 族元素基を側鎖とする液晶及び分子性ガラスの合成と
性質」
小寺政人(同志社大), 「非ヘムニ核金属タンパクの機能を再現する高機能性金属
錯体の構築」
伊与田正彦(首都大), 「有機π電子系の作る超分子構造とナノ集積体」
2009.1.6
第1回学際物質戦略イニシアティブバイオグループシンポジウム-可視化と治療-を
開催 (筑波大学総合研究棟B)
青木 伸(東京理科大), 「分子間相互作用に基づく細胞内イオン・分子のセンシン
グと新しい薬剤の設計・合成」
松井裕史(筑波大), 「がん特異的ヘム・ポルフィリン集積現象の検討」
巨瀬勝美(筑波大), 「可視化と治療のための MRI の可能性」
小島周二(東京理科大), 「小線量放射線の免疫疾患治療への応用の可能性」
松村 明(筑波大), 「ホウ素 DDS を用いた病変可視化と腫瘍選択的粒子線治療」
三輪佳宏(筑波大), 「蛍光を用いたマウス in vivo イメージング」
藤井博史(国立がんセンター)「PET 装置を用いた腫瘍イメージング」
安藤正海(東京理科大 DDS セ), 「X線イメージング」
長崎幸夫(筑波大), 「電磁波とナノ粒子のコラボレーション」
2009.1.20
TIMS/国立清華大学合同シンポジウム(TIMS/NTHU Joint Symposium: Nano and
Bio-related Material Technology )を 開催
(台湾・国立清華大学にて)
Ryu Hasunuma (TIMS), “Roughness Increase on Surface and Interface of SiO2 Grown on
Atomically Flat Si (111) Terrace”
Tatsuya Nabeshima (TIMS), “Metallo-supramolecules for Cooperative and Responding
Functions”
Yukio Nagasaki (TIMS), “Bionanopatricle for Apoptosis Detection”
Takaki Kanbara (TIMS), “Molecular Design of π-Conjugated n-Type Electrically
Conducting Polymers by Organometallic Polycondensation”
Kohei Soga (Tokyo Univ. of Science), “Bioimaging under NIR excitation”
Katsuhisa Kitano (CAMT), “Atmospheric-pressure plasma processings in liquids”
J.Jou (NTHU), “Some-approaches for high efficiency OLEDs”
Shih Yuan Lu (NTHU), “Applications of CdS Nanowires as Piezoelectric Nanogenerator”
Arnold C. M. Yang (NTHU), “Molecular confinement and residual stresses in ultrathin
polymer films”
Hsing Wen Sung (NTHU), “Novel Nanoparticles Shelled with Chitosan for Oral Delivery
of Protein Drugs”
Chi-Young Lee (NTHU), “Preparation and Application of Nanomaterials - Stratagem and
Method”
Hsin Lung Chen (NTHU), “Nanostructures of Block Copolymers with Comb-Coil
Architecture”
Rong Ming Ho (NTHU), “Novel Nanostructures from Self-assembly of Chiral Block
Copolymers”
Fan Gang Tseng (NTHU), “Single Molecule/single Cell Based m-Nano Biochips”
Yen Chung Chang (NTHU), ” Development of a chip for studying the degeneration and
regeneration of neuronal axons”
2009.1.29
第3回光・プラズマプロセスのバイオ応用ワークショップを協賛開催 [主催:大阪大
学原子分子イオン制御理工学センター] (大阪大学レーザーエネルギー学研究セ
ンター:研究棟 4 階大ホールにて)
2009.2.21
第5回機能性分子シンポジウム会を開催 (筑波大学総合研究棟B)
木越英夫(筑波大), 「生物活性海洋天然物の生物有機化学」
平谷和久(宇都宮大学院), 「ダンデムクライゼン転位の利用による新規機能分子、
超分子の創製」
柳澤 章(千葉大院), 「バリウム反応剤を用いる炭素-炭素結合形成反応」
秋山隆彦(学習院大), 「キラルブレンステッド酸触媒の開発と不斉合成反応への展
開」
石井昭彦(埼玉大院), 「シクロオクタン-1,2-ジチオールから出発するクラウンチオ
エーテルおよび[OSSO]型四座配位子の合成とそれらの錯形成」
2009.3.2-3
学際物質科学戦略イニシアティブ研究会「スピントロニクスをめぐるあたらしい物理
現象と魅力的な材料」を開催 (筑波大学計算科学研究センターワークショップ室)
福島章雄(産総研), 「スピンダイス(スピン注入磁化反転を用いた乱数発生器)」
末益 崇(筑波大), 「Si 系磁性化合物のスピントロニクスへの応用」
後藤秀徳(筑波大), 「グラフェン多層膜におけるスピン伝導」
草部浩一(阪大), 「埋め込み型グラフェン・エッジ状態の理論」
齊藤英治(慶大), 「スピンホール効果とスピンゼーベック効果」
久保田均(産総研), 「スピン注入トルク」
谷山智康(東工大), 「磁性体・半導体・誘電体ヘテロ構造系におけるスピン注入、
スピン検出、スピン操作」
高柳英明(東理大、MANA/NIMS), 「超伝導体・磁性体結合構造における量子効
果」
岡林 潤(東工大), 「強磁性半導体多層構造を用いたスピン注入磁化反転」
2009.3.5-6
第3回アトミックテクノロジー国際シンポジウム(ISAT-3)を共同開催 [主催:東京理
科大ポリスケールテクノロジー研究センター] (東京国際交流館にて)
2009.3.9-10
第2回学際物質科学国際シンポジム(ISMS-2009)を開催 (つくば国際会議場「エ
ポカル」にて)
Jean-François Létard (Univ.Bordeaux), “Nanoparticles of Switchable Iron(Ⅱ) Spincrossover Materials : Molecular Engineering in Confined Media “
Yutaka Moritomo (Univ.of Tsukuba), “Functionality of Prussian Blue Lattice Mediated
by Guest-host Interaction”
Tatsuo Hasegawa (AIST), “Molecular Donor-Acceptor Compounds as Functional
Components of Organic Field-Effect Transistors”
Yasuo Nozue (Osaka Univ.), “Ferromagnetic Properties of Alkali-Metal Clusters Arrayed
in Zeolite Crystals”
Katsumi
Tanigaki
(Tohoku
Univ.),
“Physical
Properties
in
Nano-Assembled
Materials : Endohedral Atoms and Molecules in Confined Nanospaces”
Bradly D. Smith (Univ.of Nortre Dame), “Supramolecular Fluorescent Probes for
Bioimaging”
Takanori Suzuki (Hokkaido Univ.), “Molecular Response System Based on
Hexaphenylethanes: Toward the Realization of Unimolecular Memory and
Multi-functional Properties”
Hiroaki Misawa (Hokkaido Univ.), “Photochemistry on Nano-engineered Au Structures”
Masaaki Ichinohe (Univ. of Tsukuba), “Reactivity of Disilyne with a Silicon-Silicon
Triple Bond”
Qi-Kun Xue (Tsinghua Univ.), “Spin Detection with a Scanning Tunneling Microscope”
Norio Tokuda (AIST), “Atomically Controlled Diamond Surfaces”
Ryu Hasunuma (Univ. of Tsukuba), “Microscopic Analysis on Surface Roughness of
SiO2 Films Grown on Atomically Flat Si(111)”
Masahiko Hara (Tokyo Institute of Technology), “STM/AFM Studies of Self-Assembled
Monolayers and Molecular Recognition”
Hidenobu Nakao (NIMS), “Forming Highly Ordered Arrays of DNA Nanofibers by
Solvent Evaporation”
Mohammad Asadullah (Univ. of Rajshahi), “Biomass-A Solution for Energy and
Environment”
Keiichi Tomishige (Univ. of Tsukuba), “Development of Catalysts for Conversion of
Biomass to Fuels and Value-added Chemicals”
Hiroyuki Yasuda (AIST), “Green Chemistry: Transformation of Carbon Dioxide to
Carbonates”
Jinhua Ye (NIMS), “Nano Photocatalysis: An Ultimate Green Technology for a
Sustainable Society”
Atsushi Fukuoka (Hokkaido Univ.), “Synthesis of Renewable Chemicals by Catalytic
Conversion of Non-food Biomass”
2009.3.13-14 学際物質科学研究会「先端光計測と光応答性材料」を開催(筑波大学総合研棟 B)
腰原伸也(東工大)「動的構造化学が生み出す新物質」
田中義人(理研播磨), 「SPring-8 における時間分解測定技術開発と将来展望」
足立伸一(KEK 物構研), 「時間分解X線測定法による物質構造ダイナミクス」
宮野健次郎(東大先端研), 「マンガン酸化物簿膜の可逆・持続的光誘起的転移」
岩井伸一郎(東北大), 「有機伝導体における光誘起相転移の超高速分光:より高
い時間分解能と広帯域化を目指して」
小島憲道(東大), 「光応答性有機・無機複合錯体の開発と光・スピン・電荷の相乗
効果による特異な物性現象の創出」
守友 浩(筑波大院), 「プルシャンブルー錯体の機能探索」
足立 智(北大), 「時間分解イメージング分光とその応用」
松田一成(京大), 「先端光イメージング技術を用いた量子ナノ構造の物性探索」
久保 敦(筑波大), 「フェムト秒レーザー励起光電子顕微鏡によるナノ領域光応答イ
メージング」
池沢道男(筑波大), 「半導体中の単一不純物分光」
武田 淳(横浜国大), 「生体関連物質における超高速光応答の時間・周波数実時
間イメージング」
2009.3.16
第2回学際物質戦略イニシアティブバイオグループシンポジウム-可視化と治療-を
開催 (筑波大学東京キャンパス(秋葉原地区)にて)
三輪佳宏(筑波大), 「蛍光を用いたマウス in vivo イメージング」
田中志信(金沢大), 「光干渉断層法と特殊光観察法の併用による内視鏡下ビジュ
アルキネティクスの可能性について」
青木 伸(東京理科大), 「天然の金属酵素に学ぶ分子認識と反応」
絹谷清剛(金沢大), 「Targeted Radiotherpy」
松井裕史(筑波大), 「ワーバーグ効果と可視化」
玉井郁巳(金沢大), 「トランスポーター活性を利用した医薬品開発」
川井恵一(金沢大), 「ビジュアルキネティクスによる体内物流解析と個別化医療」
小島周二(東京理科大), 「小線量放射線の免疫疾患治療への応用の可能性」
長崎幸夫(筑波大), 「pH に応答するナノ粒子の設計と評価」
学際研修コース
2008.10.1
学際研修コース「Lab View 入門」 を開催
2008.11.26
学際研修コース「X 線構造解析研修コース」 を開催
2008.12.19
学際研修コース「バイオ実習コース:培養細胞の取り扱いと細胞の免疫染色」を開催
2009.2.9-10
学際研修コース「電子顕微鏡実習」を開催
3.3 三大学連携アトミックテクノロジー事業
2006 年 4 月から 4 カ年計画として文部科学省特別教
育研究経費大学間連携事業としてアトミックテクノロジ
ー推進事業を推進している。本事業で TIMS は大阪大
学科原子分子イオン制御理工学センター、東京理科
大学ポリスケールテクノロジー研究センターと有機的
に連携し、三者がそれぞれ得意とする研究分野と技術
(最先端の原子操作・評価技術とそれを可能にする装
置開発技術、世界的な新機能物質創製技術、量子物
性評価技術、卓越した超微細加工・デバイス展開技術)を効率よく融合させることにより、キーアトム
の操作・制御による究極のものづくり技術の構築を目指している。また、このプロジェクトを通して、博
士課程院生の相互指導、若手研究者の活用と育成を積極的に推進する。
2008 年度の主な活動
・第3回三大学連携学生研究会 (2008 年 8 月 21-23 日、東京理科大学長万部キャンパス)
・第3回光・プラズマプロセスのバイオ応用ワークショップ (2009 年 1 月 29 日、大阪大学)
・第3回アトミックテクノロジー国際シンポジウム(ISAT-3) (2009 年 3 月 5-6 日、東京国際交流館)
・阪大・筑波アトミック第2期計画ミーティング (2008 年 5 月 2 日、筑波大秋葉原キャンパス)
・第2回アトミックテクノロジー第2期計画ミーティング (2008 年 6 月 7 日、大阪大学学士会館)
・第3回アトミックテクノロジー第2期計画ミーティング (2008 年 9 月 6 日、大阪大学学士会館)
・三大学連携アトミックテクノロジー創出事業 中間評価委員会 (2008 年 9 月 28 日、東京理科
大学 森戸記念館)
第 3 回アトミックテクノロジー国際シンポジウム
開催日: 2009 年 3 月 5 日(木)、6 日(金)
会場 : 東京国際交流館
参加者数: 136 名
招待講演 : 12 件
一般講演 :
4件
ポスター講演 : 102 件
第3回 三大学連携学生研究会
2008 年 8 月 21-23 日
東京理科大学長万部キャンパス
参加者: 76 名
3.4 筑波大学戦略イニシアティブ(A)「学際物質科学研究拠点」
平成 19 年度に採択されたプレ戦略イニシアティブ学際物質科学研究拠点は中間評価を経
て、組織を見直し戦略イニシアティブ(A)に衣替えして再スタートすることになった。本プ
ロジェクトでは、TIMS の将来計画の検討や各種大型予算獲得に向けた学系や専攻を超えた組
織作り、さらには新しい取り組みの先行実施という当初のプレ戦略イニシアティブでの目標
を継承するとともに、新たに WPI-MANA の筑波大サテライトとして物質材料研究機構との緊密
な研究協力の実現を海外連携の推進を目指す。
参加教員
新井達郎(化学)、一戸雅聡(化学)
、大塚洋一(物理・TIMS、代表)
門脇和男(物性分子、MANA-PI)、神原貴樹(物性分子・TIMS)、重川秀実(物質創成)
寺西利治(化学)、冨重圭一(物性分子、MANA-PI)、長崎幸夫(物性分子・TIMS、MANA-PI)
鍋島達弥(物質創成・TIMS)、服部利明(物理工学)、
守友 浩(物理)、山部紀久夫(物理工学・TIMS)
(1)シンポジウム・研究会の開催
・バイオマテリアルの国際シンポジウム ISATBMS-2008
(6/5, 7/16)
・機能性分子シンポジウム (9/13, 10/25, 12/20, 09.2/21)
・戦略イニシアティブバイオグループシンポジウム
(09.1/6, 09.3/16)
・学際物質科学国際シンポジウム ISIMS-2009
(2009.3/9-10、つくば国際会議場「エポカル」
)
招待講演:19、ポスター講演:104、参加者:186 名
・「ナノ分子磁性体の化学・物理・応用」研究会(11/28-29)
・炭素材料学会特別企画「21 世紀を担う炭素材料を知る」の協賛
(12/6)(筑波大学総合交流会館)
・「スピントロニクスをめぐるあたらしい物理現象と魅力的な材料」研究会(09.3/2-3)
・「先端光計測と光応答性材料」研究会(09.03/13-14)
(2)学際研修コースの実施
・Lab View 入門 (10/1)
・X 線構造解析研修コース (11/26)
・細胞培養実習コース (12/19)
・電子顕微鏡実習コース (09.2/9-10)
(3)NIMS-MANA との連携強化
学内に MANA サテライトを設置し、MANA の主任研究員でもある 3 人の教員を中心に MANA
との共同研究を行うとともに、サテライト事務室にてその活動を支援している。さらに、
テーマを絞って MANA の研究者(特に若手研究員)を含めた研究会・セミナーを行い、新
しい試みやコラボレーションを推進した。
(4)若手・女性研究者への支援
異分野間共同研究の推進のため、公募に基づき若手研究者・女性研究者の共同研究提案
への研究支援を行った。
(若手:4 名、女性:2 名)
(5)博士後期課程学生に対する支援
RA 経費によって後期大学院生への研究支援を行った。(3 名)
(6)概算要求申請・プロジェクトの立ち上げ
本戦略イニシアティブの活動を通して、平成 22 年度概算要求として、3 件の特別研究経
費をまとめた。KEK の大学連携支援事業に「加速器科学と融合した物質科学研究拠点の
構築に向けて」を申請した。
(7)国際連携の推進
南京大学電子工学科との協定(数理物質科学研究科との部局間協定)の締結
モントリオール大との部局間協定の締結
3.5
決算
(2008 年度)
予
算
科
目
決算額
(円)
管理運営費(補正予算 16,000,000 円を含む)
23,661,931
特別教育研究経費:学際的連携融合による物質科学研究創出事業
特別教育研究経費:アトミックテクノロジー創出事業
45,000,000
戦略イニシアティブ経費
11,200,000
RA 経費
3.6
650,346
来訪
台湾・国立清華大学
3.8
693,000
陳文村学長一行(5 名)(2008 年 10 月 1 日)
センター行事
第 34 回筑波レガッタ
三大学スキー旅行
3 位入賞
(11 月 2 日、土浦市
桜川)
(1 月 10-12 日、苗場山)
4.
研究活動報告
4.1 研究コア報告
機能性高分子コア
分子物質変換コア
融合物質生命コア
ハイブリッド機能コア
量子制御コア
19
24
34
59
65
1.機能性高分子コア
専任教員:
神原貴樹(数理物質科学研究科物性・分子工学専攻・教授)
桑原純平(数理物質科学研究科物性・分子工学専攻・助教)
研究員 竹歳 絢子(アトミックテクノロジー技
術職員)
学部学生 3 名、研究生 1 名
種々の高分子について調査した結果、ポリビニ
ルピロリドン(PVP)をポリマーマトリクスとして
用いた場合、室温で良好な発光特性を示すハイブ
リッド薄膜が得られることが確認された。
機能性高分子コアでは、有機金属化学を機軸とす
る機能性分子材料の創製を中心に研究を行ってい
る。本年度は、昨年度得た知見をもとに、機能性
分子材料の設計並びに新しい機能性高分子の合成
に関する研究を行った。
【 1 】 りん光発光ハイブリッドフィルム
チオアミド基を有する芳香族配位子から得られ
る Scheme 1 のようなピンサー型 Pt 錯体は良好な
りん光発光を示す。さらに、この錯体に 2 級チオ
アミド基を導入した場合、NH 部位が外部環境に
対するアンテナ部として働き、外部からの化学的
刺激によって錯体の発光機能を制御することがで
きる。
A-
B:
H
R N
H
N R
S
Pt
Ln
S
外部刺激・環境応答型発光性錯体
Scheme 1
一方、一般に Pd 錯体は Pt 錯体に比べて金属内遷
移が低エネルギー側に位置しており、無輻射失活
を起こしやすい。そのため、室温で安定なりん光
発光特性を示す Pd 錯体の報告例は少ない。そこ
で、2 級チオアミド基を導入したピンサー型 Pd 錯
体を高分子マトリクス中に分散・溶解させ、室温
で安定な発光特性を有するハイブリッドフィルム
の調製を試みた。
図1 りん光発光ハイブリッドフィルム
PVP の誘電率(ε = 4.3)ガラス転移点(Tg = 175 ℃)
とそれぞれ高く、PVP 中に分散・相溶された金属
錯体は硬いガラスマトリックス中に固定化され熱
的失活が抑制されたことで、室温でも安定な発光
特性が発現したものと考えられる。また、錯体の
2 級チオアミド部位が水素結合ドナーとして働き、
ピロリドンユニットのカルボニル基と分子間での
非共有結合性相互作用により特徴的な複合体を形
成することも安定な発光特性の一因となっている。
今後は、このハイブリッド薄膜の発光機能制御
について精査し、外部環境に応答して光の彩色が
自在に変わるフィルムの調製を試みる。
【 2 】アズレンを有するピンサー型錯体の合成
アズレンは低いバンドギャップに加えて双極子
モーメントを有する興味深い有機分子であり、そ
の特徴的な色彩から化学センサーなどへの応用が
なされている。アズレンにチオアミド部位を導入
し金属錯体へと変換することで、新しい構造や光
学的性質が発現することが期待できる。そこで安
定であり,これまで報告例のないピンサー型錯体
の合成を行った(Scheme 2)。得られた錯体の構造
を単結晶 X 線構造解析によって確認したところ、
Scheme 1 に示したようなベンゼン環を有する錯
体に比べて金属と炭素の結合距離が短く、アズレ
ンと金属の間に強い電子的な相互作用があること
を示唆する結果が得られた(図 2) 。
N
N
S
Pd or Pt
S
n OHC Ar CHO
N
S
M
S
Cl
1
S8
N
M = Pd 2
M = Pt, 3
+ n R'
N R N R'
H
H
S
R'
C Ar C N R N
S
R' n
Scheme 3
図2 錯体 3 の結晶構造
UV-Vis 吸収スペクトルによって光学的性質に
ついて検討したところ、Pt からアズレンへの電子
遷移に帰属される吸収帯が 630 nm 付近にまで広
がっていることを確認することができた。今後は
新たな置換基の導入などによる分子センサーや発
光材料への応用が考えられる。
【 3 】 ポリチオアミドの重金属捕集機能
排水・廃液中に含まれる有価金属を選択的に分
離回収するためには、
1) 特定の金属を選択的に認識・相互作用する材料
の開発
2) 特定の金属を選択的に分離回収するための分
離・処理条件の確立
が重要である。
そこで、チオアミド基のソフトな金属に対する配
位能に注目し、Willgerodt-Kindler 重縮合によりポ
リチオアミドの合成を行い (Scheme 3)、このポリ
マーの重金属捕集剤としての利用について有価金
属である 10 族遷移金属を中心に評価を行った。
100
80
60
40
20
0
S
H
N
S
N n
H
Au
(Ⅲ
)
Ni
(Ⅱ
)
Pd
(Ⅱ
)
Pt
(Ⅳ
)
Cu
(Ⅱ
)
Zn
(Ⅱ
)
Co
(Ⅱ
)
Recovery / %
Scheme 2
Sample volume,10 mL; pH ca. 3; metal, 0.05 mM;
adsorbent, 5 mg; stirring time, 6 h.
図3 各種金属水溶液からの金属捕集評価
各種金属イオンに対する捕集実験を行った結果、
酸性条件下において、ポリチオアミドは Au(III),
Pd(II), Pt(IV)等のソフトな遷移金属をほぼ定量的
に捕集できることがわかった。また、吸着特性の
pH 依存性測定から Pd(II)を広い pH 範囲で効率よ
く吸着できることが確認された。そこで、モデル
廃液の酸性度を調節することで、重金属の混合溶
液から Pd のみを選択的に分離回収できることを
実証した(図 4)。さらに、ポリマーに吸着された
Pd は溶離剤によってほぼ定量的に溶出でき、回収
されたポリマーも再利用可能であった。
従来、燃焼・熱分解によって処理されていた有
機廃液に含まれる有価金属を前処理段階で選択的
に分離回収することができれば、資源を有効に利
用でき且つ環境保全にも貢献できる。今後はポリ
マー主鎖中の配位サイトの協同的配位機能を精査
することでさらに高選択的な捕集能力の発現を目
指す。
Ni/Pd
+ HCl
計算化学を用いることで基礎的な反応論に関する
知見を得た。得られたポリマーの電気化学的性質
や金属との錯形成などを明らかにすることで機能
材料へと展開できると考えられる。
Pd/Pt
+ NaOMe
Recovery / %
100
80
60
40
20
0
Ni Pd
Pd Pt
図 4 Ni/Pd, Pd/Pt 混合 MeOH 溶液(各 0.1mM)
からの Pd の捕集特性
【 4 】有機金属触媒を用いた位置規則性重縮合
代表的な導電性高分子の一つであるポリアニリ
ンは、
一般的に酸化重合によって合成されている。
しかしながらこの手法は酸化されにくいピリジン
部位をもつポリマーの合成には適応しにくく、さ
らに生成したポリマーの位置規則性が低いという
問題点があった。これに対して Pd 触媒によるカ
ップリング反応を用いた重縮合によって、高い位
置性を有するポリアミノピリジン類を選択的に合
成することに成功した(Scheme 4)
。
n Br
NH2
Pd catalyst
N
N
N
H n
【 5 】分子内水素結合を有する平面分子の構築
平面性の高いπ共役分子は積層することによっ
て分子間での電子移動が可能となり、積層方向に
沿って導電性が発現することが知られている。し
かしながら、芳香環を複数連結すると立体反発な
どの理由で分子が平面性を保てなくなる。簡便に
高い平面性を有する分子を構築する戦略として、
水素結合を用いる手法を検討した。水素結合を導
入した目的の分子は、Pd 触媒による炭素‐窒素結
合形成反応を用いて合成した(Scheme 5)
。単結晶
X 線構造解析によって構造を明らかにしたところ、
期待したように N-H とイミン窒素の間に水素結
合が存在し,非常に平面性の高い構造を有してい
ることが明らかになった(図 5) 。
N
N
N
N
Br
Br
NH2
N
H
Pd catalyst
+ 2
N
H
N
N
N
Scheme 5
Pd catalyst
n
Br
N
n Br
NH2
NH2
N
Pd catalyst
N
H
n
No polymer
N
Scheme 4
モノマーの構造によってパラもしくはメタで連結
されたポリアミノピリジンが合成できるが、ピリ
ジン窒素の位置によっては全く重合反応が進行し
ないことを見いだした。この理由を解明するため
に上記三種類のモノマーに対して DFT 計算によ
る解析を行ったところ、Br が結合している炭素の
電子密度と反応性に相関があることが明らかにな
った。
このように,
新たな重合方法の開発と共に、
図 5 結晶構造 (a)上部 (b)側部から見た図
NMR スペクトルによって、この水素結合は溶液
中においても保たれており、加熱や極性溶媒の存
在によっても変化しない強固なものであることが
証明された。本来水素結合は単独では非常に弱い
が、適切な位置に複数組み込むことで分子設計に
有用であることを示した。
<論文>
1. Junpei Kuwabara and Takaki Kanbara, Synthesis and Optical
Properties of Pincer Palladium and Platinum Complexes
having Thioamide Units, J. Photopol. Sci. Technol., 21,
349-353 (2008).
2. Ken Okamoto, Takakazu Yamamoto, and Takaki Kanbara,
N–H···Cl Hydrogen Bonded Networks Constructed of a
Secondary Thioamide-based SCS Pincer Palladium
Complex, J. Nanosci. Nanotechnol., 9, 646–649 (2009).
3.
Shigehiro Kagaya, Erika Tanaka, Nobuhiro Kawai, Ikumi
Masore, Emi Sato, Kiyoshi Hasegawa, Masato Kishi, and
Takaki Kanbara, Selective Separation of Palladium from
Organic Solutions Containing Nickel or Platinum Using
Polythioamide as a Sorbent, J. Inorg. Organomet. Polym.
Mater., 19, 67-73 (2009).
4.
Ken Okamoto, Takakazu Yamamoto, Munetaka Akita,
Akihide Wada, and Takaki Kanbara, Chemical Stimuli
Induced Phosphorescence Modulation of Secondary
Thioamide-Based
Pincer
Platinum
Complexes,
Organometallics, 28, 3307-3310 (2009).
5. Junpei Kuwabara, Hironori Mori, Takuya Teratani, Munetaka
Akita, and Takaki Kanbara, Regioregulated Syntheses of
Poly(aminopyridine)s by Pd-catalyzed Amination Reaction,
Macromol. Chem. Rapid Comun. 2009, in press.
6.
Junpei Kuwabara, Hyo Jae Yoon, Chad A. Mirkin, Antonio
G. DiPasquale, Arnold L. Rheingold, Pseudo-Allosteric
Regulation of the Anion Binding Affinity of a Macrocyclic
Coordination Complex, Chem. Commun. 2009, in press.
7.
Junpei Kuwabara, Daisuke Takeuhi, and Kohtaro Osakada,
Structures of Co, Pd and Ni Complexes with Iminopyridine
Ligands Having a Hydroxymethyl or Acrylate Pendant
Group, Polyhedron, 2009 in press.
1.
T. Kanbara and J. Kuwabara “Synthesis and Optical
Properties of Pincer Palladium and Platinum Complexes
having Thioamide Units”, the 25th International Conference
of Photopolymer Science and Technology (ICPST-25), Chiba,
June 2008.
2.
T. Teratani, K. Okamoto, T. Koizumi, T. Kanbara, and T.
Yamamoto “Synthesis and Electrochemical Properties of
Nickel (S,C,S)- and (S,N,S)-pincer Complexes”, the 23rd
International Conference on Organometallic Chemistry
(ICOMC2008), Rennes, July 2008.
3.
S. Maeda, T. Koizumi, and T. Kanbara "Aerobic oxidative
dehydrogenation of coordinated imidazoline units of pincer
ruthenium complex “, the 23rd International Conference on
Organometallic Chemistry (ICOMC2008), Rennes, July
2008.
4.
T. Kanbara “Molecular Design of π-Conjugated n-Type
Electrically Conducting Polymers by Organometallic
Polycondensation”, 2009 TIMS-NTHU Joint Symposium,
Taiwan, January 2009.
5.
A. Tsujimoto, A. Taketoshi, S. Maeda, T. Koizumi, and T.
Kanbara ”Development of ruthenium-catalyzed oxidation of
2-substituted imidazolines with aerial oxygen”, 2009
TIMS-NTHU Joint Symposium, Taiwan, January 2009.
6.
A. Taketoshi and T. Kanbara ”Preparation and
Characterization of Novel π Conjugated Polymers
Containing Squaraine Dye Unit”, 2009 TIMS-NTHU Joint
Symposium, Taiwan, January 2009.
7.
T. Kanbara “Syntheses and Properties of Pincer Complexes
having Thioamide Units”, Third International Symposium
on Atomic Technology (ISAT-3), Tokyo, March 2009.
8.
A. Taketoshi and T. Kanbara “Preparation and Optical
Properties of Methine bridged Polypyrroles Containing
Squaraine Dye Unit”, Third International Symposium on
Atomic Technology (ISAT-3), Tokyo, March 2009.
9.
J. Kuwabara and T. Kanbara ”Coordination polymers with
nucleobase side-chain for development of a new artificial
DNA”, Third International Symposium on Atomic
Technology (ISAT-3), Tokyo, March 2009.
<総説>
1. 桑原純平,神原貴樹,“再生利用を指向した均一系高
分子錯体触媒の開発”, 触媒,50, 333-338 (2008).
2.
岡本健,神原貴樹,“発光性金属錯体の潜在能力を引
桑原純平,神原貴樹,““分子一本”の導線をめざし
10. Y. Ogawa, A. Taketoshi, and T. Kanbara ”Luminescence
studies of thioamide-based pincer palladium complex in
polyvinylpyrrolidone”, Third International Symposium on
Atomic Technology (ISAT-3), Tokyo, March 2009.
て”, 化学,64, No.3, 61-62 (2009).
11.
き出す三座配位子”, 化学,63, No.8, 70-71 (2008).
3.
<国際会議>
A. Tsujimoto, A. Taketoshi, S. Maeda, T. Koizum, and T.
Kanbara “Aerobic Oxidation of Imidazolines to Imidazoles
Catalyzed by Cyclometallated Ru Complex”, Third
International Symposium on Atomic Technology (ISAT-3),
Tokyo, March 2009.
12. J. Kuwabara and T. Kanbara “Coordination polymers with
nucleobase side-chain for development of a new artificial
DNA”,
Second
International
Symposium
on
Interdisciplinary Materials Science (ISIMS-2009), Tsukuba,
March 2009..
13. A. Taketoshi and T. Kanbara “Preparation and
Characterization of π-Conjugated Polymer Containing
Squaraine Dye Unit”, Second International Symposium
on Interdisciplinary Materials Science (ISIMS-2009),
Tsukuba, March 2009.
14. A. Tsujimoto, A. Taketoshi, S. Maeda, T. Koizumi, T.
Kanbara “Deveropment of ruthenium-catalyzed oxidation
of 2-substituted imidazolines with aerial oxigen”, Second
International Symposium on Interdisciplinary Materials
Science (ISIMS-2009), Tsukuba, March 2009.
15. K. Saito, J. Kuwabara, and T. Kanbara “Photoinduced
anodic reaction on bilayer of π-conjugated polymer film”,
Second International Symposium on Interdisciplinary
Materials Science (ISIMS-2009), Tsukuba, March 2009.
16. T. Yamagata , J. Kuwabara and T. Kanbara ”New synthetic
approach to diketopyrrolopyrrole derivatives and their
luminescence properties,
Second
International
Symposium on Interdisciplinary Materials Science
(ISIMS-2009), Tsukuba, March 2009.
<国内会議>
1.
2.
3.
加賀谷重浩、○宮﨑寛之、伊藤将大、遠田浩司、神原
貴樹「ポリチオアミド担持 XAD 樹脂の水銀(II)吸着特
性」第 67 回分析化学討論会、秋田、2008 年 5 月.
○高田大亮、北川公子、加藤由布子、加賀谷重浩、遠
田浩司、神原貴樹「ジフェニルアミンを用いる金(III)
の選択的抽出分離」第 67 回分析化学討論会、秋田、
2008 年 5 月.
○桑原純平、森洋紀、神原貴樹、山本隆一「遷移金属
錯体触媒によるアミド化を利用したポリアミドの合
成」第 57 回高分子学会年次大会、横浜、2008 年 5 月.
4.
○桑原純平、神原貴樹「遷移金属触媒による炭素―窒
素結合反応を利用した高分子合成反応」第2回 三大
学(東京理科大・筑波大・大阪大)連携学生研究会 「ア
トミック/ポリスケールテクノロジー連携研究 、長
万部、2008 年 8 月.
5.
○竹歳絢子、神原貴樹「Squaraine 色素を導入した新
奇π共役高分子の合成」第2回 三大学(東京理科
大・筑波大・大阪大)連携学生研究会 「アトミック/
ポリスケールテクノロジー連携研究会」、長万部、2008
年 8 月.
6.
○桑原純平、神原貴樹「遷移金属触媒による炭素-窒
素結合形成反応を用いた重縮合反応」 第 57 回高分
子討論会,大阪市立大学、2008 年 9 月.
7.
○寺谷拓也、小泉武昭、神原貴樹、山本隆一「配位子
に第二級チオアミド基を有するピンサー型 Ru 錯体の
PCET 機構に基づく脱プロトン化反応」第 58 回錯体化
学討論会、金沢、2008 年 9 月.
8.
○寺谷拓也、小泉武昭、神原貴樹、山本隆一「シクロ
メタル化したチオアミド基含有 Ni 錯体の合成と電気
化学的特性」第 19 回基礎有機化学討論会、大阪、2008
年 10 月.
9.
神原貴樹「n型導電性高分子の分子設計とドーピング
技術」技術情報協会セミナー、東京、2008 年 11 月.
10. 神原貴樹「学際物質科学研究の中で」北陸信越工学教
育協会富山県支部講演会、富山、2009 年 1 月.
11. 神原貴樹「チオアミドの特性を活かした機能分子設
計」東京工業大学有機・高分子物質専攻講演会、東京、
2009 年 2 月.
12. ○寺谷拓也、小泉武昭、神原貴樹、山本隆一「第二級
チオアミド基を含んだルテニウム錯体の電気化学的
挙動の解明」日本化学会第 89 春季年会、船橋、2009
年 3 月.
13. ○桑原純平、神原貴樹「核酸塩基部位を側鎖に有する
配位高分子の合成」日本化学会第 89 春季年会、船橋、
2009 年 3 月.
14. ○竹歳絢子、神原貴樹「Squaraine 色素を導入したピ
ロール‐メチン型ポリマーの合成とその光学特性」日
本化学会第 89 春季年会、船橋、2009 年 3 月.
15. ○辻本亞紀都、竹歳絢子、前田周作、小泉武昭、神原
貴樹「シクロメタル化された Ru 錯体触媒を用いるイ
ミダゾリン誘導体の酸素酸化反応」日本化学会第 89
春季年会、船橋、2009 年 3 月.
2.分子・物質変換コア
専任教員:
鍋島達弥(数理物質科学研究科物質創成先端科学専攻・教授)
山村正樹(数理物質科学研究科物質創成先端科学専攻・助教)
教員
研究員
秋根茂久(数理物質科学研究科)
池田忠作(化学系準研究員)
Robert Trokowski(TIMS研究員)
Jeremy Brandel(TIMS研究員)
大学院生 宇津野文彦(数理物質科学研究科M2)
木嶋志穂(数理物質科学研究科M2)
西連地雅樹(数理物質科学研究科M2)
坂本直也(数理物質科学研究科M2)
嶋田敏彦(数理物質科学研究科M2)
田所利雄(数理物質科学研究科M2)
佐々木正男(数理物質科学研究科M1)
古川裕理(数理物質科学研究科M1)
保立さやか(数理物質科学研究科M1)
丸山轍治(数理物質科学研究科M1)
三宅惇哉(数理物質科学研究科M1)
分子・物質変換コアでは分子レベルの情報の授
受を利用して、分子の機能が伝達、変換、増幅さ
れる分子システムの構築について研究を行ってい
る。その目的を達成するため、新規な概念や手法
を提案し、それに基づいて分子設計された分子の
合成を行ってきた。特に本コアでは、配位結合の
特性に着目してハイブリッド型の分子システムを
中心に検討を行っている。これは配位結合が元素
および配位子の性質に起因した結合の方向性、結
合数、結合の分極の程度、および電子の授受によ
る構造変換や光化学的な性質の発現制御など、構
造と機能における多様性を有しているからである。
このような観点から本コアでは、機能の多段階制
御など、協同性や応答性をもつ分子の構築を一つ
の目標に設定し、研究を推進している。本年度は
配位結合を金属と配位子間だけではなく、典型元
素と配位子との配位結合に拡張し、自己集積によ
る新規なホスト分子の構築、および自己組織化が
次の組織化を誘起して超構造を形成する新しい有
機— 無機ハイブリッド型超分子の構築を行った。
【 1 】 カテコリル基を導入した新規ジピリン錯
体による超分子ホストの構築
メチンブリッジで結合した二つのピロール環をも
つジピロメテン配位子は、その広い共役系に起因
した強い吸収を可視領域に有する特徴ある配位子
である。中でもそのホウ素錯体は強い発光特性を
有するため注目が集まり、蛍光のON− OFFを
連動させた分子センサー等への応用が広く行われ
ている。本研究ではホウ素がカテコールと容易に
反応することに着目し、カテコールを導入したジ
ピロメテンホウ素錯体を用いた自己集合体の構築
を試みた。まずジメトキシベンズアルデヒドとフ
ェニルピロールを原料として前駆体を合成し、こ
れを脱保護することで目的の配位子 1 を収率 56%
で合成した。種々のホウ素源を用いて錯形成を試
みたところ、1 に三塩化ホウ素を反応させると、1
の三量体と四量体が生成することが粗生成物の
MALDI-TOF マススペクトルから示唆された
(Scheme 1)。三量体(1•B)3、四量体(1•B)4 は GPC に
より単離精製することができた。これらの環状組
織体は溶液中でも安定で、いずれも対称性の高い
1
H NMR スペクトルを与えた。1 と比較すると、
それぞれフェニル基とカテコール基のプロトンが
最 大 1.5 ppm ほ ど 高 磁 場 シ フ
OH
OH
BCl3, N(Et)(iPr)2
NH N
toluene
reflux
1
O
Ph
B N
N
O Ph
N
Ph
O
B
Ph
N
O
O
O
Ph
O
B
Ph
NN
Ph
B N
N
Ph
N N
+
O
Ph
O
Ph
N
N
O
(1•B)3
2%
B Ph
N N
Ph
Ph B
O
O
B
Ph
O
O
(1•B)4
5%
Scheme 1 Synthetic scheme of cyclic oligomers.
トして観察されたが、これはホウ素錯体形成に伴
いカテコール環がフェニル基に挟まれた構造をと
ったためと考えた。また、(1•B)3、(1•B)4 の 11B NMR
はそれぞれ 7.61, 7.51 ppm に観察され、ホウ素がジ
ピロメテン部位とカテコール部位で四面体型配位
していることが示唆された。
によりその変化を検討したところ、(1•B)4 はアル
カリ金属やアンモニウムといったカチオンに全く
親和性を示さなかったのに対し、(1•B)3 はアルカ
リ金属に対して 1:1 で安定なコンプレックスを形
成することが示唆された。イオンの添加に伴う
(1•B)3 のケミカルシフトの変化を非線形最小自乗
法により解析したところ、会合定数はカリウム、
ルビジウム、
セシウムイオンに対してそれぞれ2 ×
104, 8 × 104, 1 × 105 M-1 となり、(1•B)3 はカプセル
内部空間を利用した分子認識が可能なメタロホス
トとして機能することがわかった。
【 2 】 大環状トリスジピリンホストによるカチ
オン性ゲスト認識
Figure 1 Crystal structures of (1•B)3 (a, c) and (1•B)4
(b, d). Parts (a) and (b) show top views with space-fill
representation and (c) and (d) show side views with a
stick framework. The phenyl groups and hydrogen
atoms in (c) and (d) as well as the solvent molecules are
omitted for clarity.
ジピリンは可視領域に強い吸収を有する配位子で、
その特徴ある分光特性を利用したイオンセンサー
の研究が盛んに行われている。しかし、これらの
報告においてジピリンをゲスト認識部位として積
極的に組み込んだ例はほとんどない。本研究では
ジピリン骨格をパラフェニレン環で連結した大環
状トリスジピリンホストを合成し、カチオン性ゲ
ストに対する認識能の検討を行った。
MeO
これらの環状組織体の構造は単結晶構造解析か
ら明らかにすることができた。結晶中では、(1•B)3
はアセトニトリルが二分子包接された三角柱状の
構造を取っていたが、(1•B)4 ではカテコール環が
ジピロメテン平面に対して 54 度の二面角を取る
ことで、四角柱がゆがんだカプセル状の構造を形
成し、内部にクロロホルムを包接していた(Figure
1)。カプセル内側に位置するカテコール酸素で形
成する内部空孔の大きさは (1•B)3、(1•B)4 でそれ
ぞれおよそ 3 Å, 5 Å であった。
次に、カプセル内部のカテコール酸素を利用した
超分子メタロホストとしての機能について検討し
た。クロロホルム− アセトニトリル混合溶媒中で
(1•B)3、(1•B)4 に種々のゲストを添加し、1H NMR
OMe
H
O
+
N
H
N
H
i) TFA
ii) DDQ
MeO
OMe
N
N
MeO
HN
OMe
MeO
OMe
HN
MeO
OMe
3
OMe
MeO
NH
N
N
MeO
+
2
N
H
NH
N
OMe
HN
N
H
N
MeO
N
OMe
Scheme 2 Synthesis of macrocycles 2 and 3.
1,4-ビスピロリル-2,3-ジメトキシベンゼンとベン
ズアルデヒドを酸触媒存在下で縮合し、
DDQ によ
り酸化すると、
ジピリンユニットをそれぞれ三つ、
四つ含む大環状トリスジピリン 2, 3 を合成した。
X 線構造解析から、2 は平面性の高い三角形状の
構造であり、3 は菱形が折れ曲がった構造をして
いることが明らかになった。
よる解析から明らかになった。2 では、ゲストの
添加に伴い 512 nm の吸収極大が 50 nm 程度長波
長シフトした。これは、より効果的な共役が起こ
る配座に 2 が変化したからだと考えている。
また、
1
H NMR ではゲスト添加によりメトキシプロトン
が 3 本に分裂したことから、2 はゲスト認識に伴
い Cs 対称の構造をとることが示唆された。非経験
的な分子軌道計算により行ったカチオン包接体の
最安定構造から、2 ではフェニレン環の回転によ
って 6 つのメトキシ基が 2 の内側を向き、O6 型の
空孔を形成してカチオン性ゲストを認識すること
が示唆された。この構造は吸収スペクトルや 1H
NMR スペクトル変化から示唆されたものと一致
した。
【 3 】 らせん型錯体のキラリティー制御と結晶
中での超らせん構造の形成
Figure 2. Crystal structure of of 2•3.5CHCl3
(ORTEP, 50% probability). (a) and (b) shows the top
and side view, respectively. The solvent molecules
are omitted for clarity.
2, 3 の吸収スペクトルを測定したところ、いずれ
もジピリン単体より長波長側に吸収ピークを示し、
共役系が伸長した大環状配位子としての特性を併
せ持つことがわかった。2 では回転可能なジメト
キシフェニレン環を有するため、全てのメトキシ
基が環の内側を向くと酸素原子六つから成る認識
場を形成する。2 とカチオン性ゲストの相互作用
を紫外可視吸収スペクトルや 1H NMR による滴定
実験により検討したところ、アルカリ金属イオン
と 1:1 で相互作用することが非線形最小二乗法に
可逆な配位結合を含むらせん型金属錯体は、外部
刺激に応答してその構造(ピッチ、巻きの角度な
ど)を変化させることができる可能性があり、応
答性分子の基本骨格として重要である。特に、ら
せんのキラリティー(右巻き、左巻き)をコント
ロールすることは、応答性の不斉認識ホストや反
応場の設計において不可欠である。我々は、複数
の N2O2 キレート配位部位を直鎖状に連結した配
位子と亜鉛(II)、ランタン(III)との錯形成により一
重、一回巻きのらせん型四核錯体が得られること
を見いだし、
その機能について研究を行ってきた。
今回、この配位子にキラル誘起部位としてジフェ
ニルエチレン基を導入した配位子H6L を新たに合
成し、らせん型四核錯体のキラリティー誘起につ
いて検討を行った。
四核錯体[LZn3La]3+は配位子 H6L と酢酸亜鉛(II)、
酢酸ランタン(III)の反応により合成した (Scheme
3)。この四核錯体[LZn3La]3+の 1H NMR スペクトル
では、
二種類のシグナルが観測された。
これらは、
右巻き・左巻きのジアステレオマーに帰属でき、
その比は 29:71 であった。このことから、らせん
の右巻き・左巻きの一方が優先的に生成している
ことがわかった。
N O
O N
OH
Ph
N
OH
Ph
N
OH
HO
Zn2+ (3 equiv.)
La3+ (1 equiv.)
OMe
OMe
OH
HO
N O
O N
H6L
Ph
Ph
N
O
N Zn
O
O
N O
Zn N O
O
O
Me
La
Me
O
O
O
N Zn
N
O
O
(M)-[LZn3La]3+ (Left-handed)
Scheme 3.
complexes.
Left-handed coiled coil
Ph
Ph
+
N
N
N OMe O
ZnO N
O
Zn
La
O
O
O
Zn N O
N
O
Me
O
(P)-[LZn3La]3+ (right-handed)
Formation of helical tetranuclear
Figure 3. Coiled coil structure found in the crystal of
(M)-[LZn3La].
<学位論文>
・ 宇津野文彦:ジフェニルエーテル部位を有する新規
N2O2 型配位子の合成とその多核錯体の機能 (数理物
質科学研究科、物質創成先端科学専攻、修士論文、
2009.3)
このジアステレオマー混合物の溶液から、
[LZn3La]3+の結晶が得られた。その結晶の溶解直後
の 1H NMR スペクトルでは、二種のジアステレオ
マーのうち、一方のみのシグナルが観測された。
したがって、結晶化によって片側巻きのらせん型
錯体を単離できたことになる。しかし、4 時間後
には再び 29:71 の比のジアステレオマー混合物と
なった。この過程は CD スペクトルの変化によっ
ても追跡でき、その半減期は 43.7 分であった。こ
のことから、溶液中で右巻き・左巻きの反転が起
きていることがわかった。
この四核錯体[LZn3La]3+の結晶構造解析から、この
結晶には左巻きの(M)異性体のみが含まれている
ことがわかった。またこの結果から、溶液中で主
成分として存在する成分が(M)体であると決定で
きた。またこの結晶の空間群は P43 であり、四核
錯体[LZn3La]3+が結晶の軸方向に沿って左巻きの
四回らせんを形成していることが明らかとなった
(Figure 3)。すなわち、結晶中でらせん型錯体がら
せん型に配列した超分子的な超らせん構造を形成
させることができた。
・ 木嶋志穂:分子間および分子内錯形成を連動させた集
積型メタロホストの高効率合成とその機能 (数理物
質科学研究科、物質創成先端科学専攻、修士論文、
2009.3)
・ 西連地雅樹:アザクラウンエーテルを有する新規イリ
ジウム(III)錯体の合成と発光の金属イオン応答 (数理
物質科学研究科、物質創成先端科学専攻、修士論文、
2009.3)
・ 坂本直也:新規ジピリン連結型ホストの合成と相乗的
分子機能 (数理物質科学研究科、物質創成先端科学専
攻、修士論文、2009.3)
・ 嶋田敏彦:新規な分子内協同作用のためのオリゴピリ
ジン配位子の設計・合成 (数理物質科学研究科、物質
創成先端科学専攻、修士論文、2009.3)
・ 田所利雄:金属テンプレートオレフィンメタセシスに
よる大環状多座配位子のサイズ選択的合成とその機能
(数理物質科学研究科、物質創成先端科学専攻、修士論
文、2009.3)
the Solid State Coloration of Disilylazobenzenes” J. Org.
<論文>
1.
Chem., vol. 73, pp. 8244-8249, 2008.
Akine, S.; Taniguchi, T.; Nabeshima, T. “Acyclic Bis(N2O2
chelate) Ligand for Trinuclear d-Block Homo- and
Heterometal
2.
3.
Complexes”
Inorg.
Chem.
2008,
47,
3255-3264.
国際会議
Ikeda, C.; Sakamoto, N.; Nabeshima, T. “Synthesis and
1
5.
Pseudomacrocycle Bearing Thiourea and Urea Moieties as an
Containing Porphyrinoids” Org. Lett., 2008, 10, 4601-4604.
Anion Binding Site” 23rd International Symposium on the
Akine, S.; Matsumoto, T.; Nabeshima, T. “Spontaneous
Organic Chemistry of Sulfur (ISOCS-23) June 29-July 4,
Formation of a Chiral Supramolecular Superhelix in the
2008 (Poster)
Nabeshima, T.; Akine, S. “Functional Supramolecular
Second International Conference on Mathematics and Natural
Systems with Highly Cooperative and Responding
Sciences 2008, Bandung, Indonesia, October 28-30, 2008
Properties” Chem. Rec. 2008, 8, 240-251.
(Invited)
Akine, S.; Utsuno, F.; Nabeshima, T. “Visible and
Luminescence
of
Shigehisa Akine, Fumihiko Utsuno, Tatsuya Nabeshima,
“Synthesis and Luminescent Properties of
Helical
Zinc(II)-Lanthanide(III) Complexes Having Oligooxime
Acyclic Bis(N2O2) Oxime Ligand” IOP Conf. Ser.: Mater.
Chelate Ligands” The IUMRS International Conference in
Sci. Eng. 2009, 1, 012009.
Asia 2008 (IUMRS-ICA2008) December 9-13, 2008,
Ikeda, C.; Maruyama, T.; Nabeshima, T. “Convenient and
Nagoya (Oral).
4
Tatsuya Nabeshima, “Metallo-supramolecules for
Arylboronate Center” Tetrahedron Lett. 2009, 50,
Cooperative and Responding Functions” 2009 TIMS-NTHU
3349-3351.
Joint Symposium: Nano and Bio-related Material and
Ikeda, C.; Ueda, S.; Nabeshima, T. “Aluminum Complex of
Technology,新竹,台湾,2009.1.20 (Invited)
Dipyrrin:
the
First
Hetero-Multinuclear
5
Yusuke Furukawa, Tatsuya Nabeshima, “Cooperative
Complexes of Metallo-Dipyrrin with High Fluorescence
Ion-pair Recognition of Nonaamide-Pseudocryptand” 2009
Quantum Yields” Chem. Commun. 2009, 2544-2546.
TIMS-NTHU Joint Symposium: Nano and Bio-related
M. Yamamura, N. Kano, and T. Kawashima: “Synthesis,
Material and Technology,新竹,台湾,2009.1.20 (Poster)
Structure, and Reactivity of Pentacoordinate Hydrosilanes
9.
3
Zinc(II)-Lanthanide(III) Trinuclear Complexes Having
N2O2-type
8.
Chusaku Ikeda, Tatsuya Nabeshima, “Design and Synthesis
of Novel Multifunctional Dipyrrin Architectures as a Host”
Highly Efficient Synthesis of Boron-Dipyrrins Bearing an
7.
2
Metallohelicate” Chem. Commun. 2008, 4604-4606.
Near-infrared
6.
Tatsuya Nabeshima, “Synthesis and Functions of a Novel
Guest Recognition Ability of 2,3-Dimethoxy-1,4-Phenylene
Crystalline State Using a Single-Stranded Tetranuclear
4.
<講演>
6
Naoya Sakamoto, Chusaku Ikeda, Tatsuya Nabeshima,
Bearing a 2-(Phenylazo)phenyl Group” Z. Anorg. Allg.
“Synthesis and Ion Recognition Ability of Macrocyclic
Chem., in press
Oligo-dipyrrins” 2009 TIMS-NTHU Joint Symposium: Nano
S.-i. Kondo, N. Okada, R. Tanaka, M. Yamamura, M. Unno:
and Bio-related Material and Technology,新竹,台湾,
“Anion Recognition by 1,3-Disiloxane-1,1,3,3-tetraols in
2009.1.20 (Poster)
Organic Solvents” Tetrahedron Lett., vol. 50, pp. 2754-2757,
2009.
10. M. Yamamura, N. Kano, T. Kawashima, T. Matsumoto, J.
Harada, K. Ogawa: “Crucial Role of N•••Si Interactions in
7
Chusaku Ikeda, Satoko Ueda, Tatsuya Nabeshima, “Synthesis
and Chelate Coordination of Aluminum Complex of
N2O2-Type Dipyrrin” 3rd International Symposium on
Atomic Technology/3rd Polyscale Technology Workshop
Symposium on Interdisciplinary Materials Science
(ISAT-3/PTW-3), Tokyo, Japan, 2009.3.5-6 (Poster).
8
(ISIMS-2009), Tsukuba, Ibaraki, 2009.3.9-10 (Poster).
Yusuke Furukawa, Tatsuya Nabeshima, “Cooperative
Ion-pair Recognition of Fe(II) Pseudocryptand Bearing
15 Shiho Kijima, Masaki, Yamamura, Tatsuya Nabeshima
Diglycyl Moieties in Polyether Chains” 3rd International
“Cooperative Guest Recognition Ability of Assembled
Symposium on Atomic Technology/3rd Polyscale
Metallohost”, The Second International Symposium on
Technology Workshop (ISAT-3/PTW-3), Tokyo, Japan,
Interdisciplinary Materials Science (ISIMS-2009), Tsukuba,
Ibaraki, 2009.3.9-10 (Poster).
2009.3.5-6 (Poster).
9
Shiho Kijima, Masaki Yamamura, Tatsuya Nabeshima,
16 Masaki Yamamura, Futoshi Sato, Yui Togawa, Tatsuya
“Synthesis and Cooperative Guest Recognition Ability of
Nabeshima “Design and Synthesis of Artificial Receptors for
Boron Biscatecholate Host Bearing Bipyridine Moieties” 3rd
Ion Recognition Cooperatively Enhanced by an External
International Symposium on Atomic Technology/3rd
Effector” The Second International Symposium on
Polyscale Technology Workshop (ISAT-3/PTW-3), Tokyo,
Interdisciplinary Materials Science (ISIMS-2009), Tsukuba,
Japan, 2009.3.5-6 (Poster).
Ibaraki, 2009.3.9-10 (Poster).
10 Naoya Sakamoto, Chusaku Ikeda, and Tatsuya Nabeshima,
17 Robert Trokowski, Shigehisa Akine, Tatsuya Nabeshima,
“Synthesis and Guest Recognition Ability of Macrocyclic
“CH···O hydrogen-bond assisted benzenediols recognition by
tris-Dipyrrin BF2 Complex” 3rd International Symposium on
dimeric Pt(II) terpyridyl-based host” The Second International
Atomic Technology/3rd Polyscale Technology Workshop
Symposium on Interdisciplinary Materials Science
(ISIMS-2009), Tsukuba, Ibaraki, 2009.3.9-10 (Poster).
(ISAT-3/PTW-3), Tokyo, Japan, 2009.3.5-6 (Poster).
11 Robert Trokowski, Shigehisa Akine, Chusaku Ikeda, Tatsuya
18 Masaki Yamamura, Masafumi Unno, “SYNTHESIS AND
Nabeshima, “Selective Recognition of Neutral Benzene
PROPERTIES OF 2,2'-BIPYRIDINES BEARING SILYL
Derivatives by Bis-Platinum(II) Dimer through Synergy of
SUBSTITUENTS” , The 15th International Symposium on
Arene-Arene Interactions and CH Hydrogen Bonding” 3rd
Organosilicon Chemistry, Jeju, Korea, 2008.6 (poster)
International Symposium on Atomic Technology/3rd
Polyscale Technology Workshop (ISAT-3/PTW-3), Tokyo,
国内会議
Japan, 2009.3.5-6 (Poster).
1
性機能の発現」分子研究会,岡崎,2008.7.18-19(招待
12 Naoya Sakamoto, Chusaku Ikeda, Tatsuya Nabeshima,
講演)
.
“Recognition of Cationic Guest by Macrocyclic Tris-dipyrrin
BF2 Complex”, The Second International Symposium on
鍋島達弥「配位構造の形成および構造制御による応答
2
鍋島達弥「応答的分子変換による超分子の動的機能の
Interdisciplinary Materials Science (ISIMS-2009), Tsukuba,
制御」第 4 回分子情報ダイナミクス研究会,吹田,
Ibaraki, 2009.3.9-10 (Poster).
2008.9.9-10(招待講演)
.
13 Masao Sasaki, Masaki Yamamura, Tatsuya Nabeshima,
3
鍋島達弥「高い協同性をもつ知的超分子の創出に向け
“One-Pot Synthesis of Triangular Heterotetranuclear
て」有機合成化学協会九州山口支部平成 20 年度第 2
Complexes Bearing Many Long Alkoxy Chains”, The
回有機合成講演会,宇部,2008.11.20(招待講演)
.
Second International Symposium on Interdisciplinary
4
鍋島達弥「メタロ超分子の協同的機能発現と制御」ナ
Materials Science (ISIMS-2009), Tsukuba, Ibaraki,
ノサイエンス研究センター第 1 回シンポジウム,京田
2009.3.9-10 (Poster).
辺,2009.3.7(招待講演)
.
14 Masaki Sairenji, Chusaku Ikeda, Tatsuya Nabeshima, “Ion
5
鍋島達弥「協同性的機能を目指した分子システムの設
Recognition Ability and Emission Properties of Novel Iridium
計と合成」筑波大学ジョイントシンポジウム プレ戦
Complexes with Azacrown Ethers”, The Second International
略イニシアティブ「機能分子創成研究拠点」文部科学
6
7
8
9
省「産学連携による実践型人材育成事業」大学と企業
ための含カテコール・ビピリジンポダンドの合成と錯
とで育てる創薬化学高度人材,つくば,2009 年 3 月
形成」
第 3 回バイオ関連化学合同シンポジウム,
横浜,
16-17 日(依頼講演)
2008 年 9 月 18 日-20 日(ポスター)
.
鍋島達弥「分子機能変換のための協同性・応答性超分
16 ○保立さやか・秋根茂久・鍋島達弥「カルボン酸イオ
子システムの構築」日本化学会第 89 春季年会,船橋,
ンの配位によるらせん型テトラオキシム三核錯体のキ
2009 年 3 月 27-30 日(受賞講演)
ラリティー誘起」日本化学会第 2 回関東支部大会,桐
○秋根茂久・鍵山聡子・鍋島達弥「非環状配位子をも
生,2008 年 9 月 18 日-19 日(ポスター)
.
つメタロホストの環状構造への変換とイオン認識能」
17 ○古川裕理・秋根茂久・鍋島達弥「鎖に 3 つのアミド
第 3 回ホスト・ゲスト化学シンポジウム,東京,2008
基を有する鉄(II)擬クリプタンドの機能」日本化学会第
年 5 月 31 日-6 月 1 日(口頭)
.
2 回関東支部大会,桐生,2008 年 9 月 18 日-19 日(ポ
○池田 忠作・上田 智子・鍋島 達弥「N2O2 配位部位
スター)
.
を有するジピリンの 13 族元素錯体の合成と性質」
第3
18 ○三宅惇哉・鍋島達弥「アニオン認識部位を有する
回ホスト・ゲスト化学シンポジウム,東京,2008 年 5
Pybox ホストの合成と機能」日本化学会第 2 回関東支
月 31 日-6 月 1 日(ポスター)
.
部大会,桐生,2008 年 9 月 18 日-19 日(ポスター)
.
○坂本直也・池田忠作・鍋島達弥「ジピリンホウ素錯
19 ○佐々木正男・鍋島達弥「複数の長鎖アルコキシ基を
体をイオン認識部位として組み込んだ大環状ホストの
有するトライアングル型 saloph 錯体の合成」日本化学
合成と機能」
第 3 回ホスト・ゲスト化学シンポジウム,
会第 2 回関東支部大会,桐生,2008 年 9 月 18 日-19 日
東京,2008 年 5 月 31 日-6 月 1 日(ポスター)
.
(ポスター)
.
10 ○三宅惇哉・鍋島達弥「カルバマート部位を有する
20 ○秋根茂久・森田陽子・鍋島達弥「ダイマー型直鎖多
Pybox ホストの合成と協同的イオン対認識」第 3 回ホ
座配位子の錯形成による多様な折りたたみ構造の構
スト・ゲスト化学シンポジウム,東京,2008 年 5 月 31
築」第 58 回錯体化学討論会,金沢,2008 年 9 月 20-22
日-6 月 1 日(ポスター)
.
日(口頭)
.
11 ○古川 裕理・鍋島 達弥「新規な多重認識モードを目
21 ○田所利雄・秋根茂久・鍋島達弥「多核錯体ユニット
指したオリゴペプチド擬クリプタンドの機能」第 3 回
のオレフィンメタセシスによるダイマー型大環状オキ
ホスト・ゲスト化学シンポジウム,東京,2008 年 5 月
シム配位子の合成」
第 58 回錯体化学討論会,
金沢,
2008
31 日-6 月 1 日(ポスター)
.
年 9 月 20-22 日(ポスター)
.
12 ○池田忠作・上田智子・鍋島達弥「N2O2 配位部位を有
22 ○古川裕理・秋根茂久・鍋島達弥「新規な多重認識モ
するジピリンの非遷移金属錯体が示すキレート配位能
ードを目指したノナアミド型擬クリプタンドの合成と
と発光特性変化」第 21 回配位化合物の光化学討論会,
機能」第 19 回基礎有機化学討論会,吹田,2008 年 10
相模原,2008 年 8 月 5 日-7 日(ポスター)
.
月 3-5 日(ポスター)
.
13 ◯西連地雅樹・池田忠作・鍋島達弥「アザクラウンエ
23 ○田所利雄・秋根茂久・鍋島達弥「オレフィンメタセ
ーテルをもつイリジウム(III)錯体の金属イオン認識能
シスによる大環状オキシム配位子の合成と多核イオン
および発光特性変化」
第 21 回配位化合物の光化学討論
効果」第 19 回基礎有機化学討論会,吹田,2008 年 10
会,相模原,2008 年 8 月 5 日-7 日(ポスター)
.
月 3-5 日(ポスター)
.
14 ○坂本直也・池田忠作・鍋島達弥「大環状トリスジピ
24 ○佐々木正男・鍋島達弥「複数の疎水性置換基を有す
リンホストによるカチオン性ゲスト認識」第 3 回バイ
る Trisaloph へテロ四核錯体のワンポット合成」第 19
オ関連化学合同シンポジウム,横浜,2008 年 9 月 18
回基礎有機化学討論会,吹田,2008 年 10 月 3-5 日(ポ
日-20 日(口頭)
.
スター)
.
15 ○木嶋志穂・鍋島達弥「集積型ヘテロメタロホストの
25 ○秋根茂久「協同的錯形成のための新しい直鎖状配位
子の設計」
有機合成化学協会 2008 年度若手研究者の
ためのセミナー,
東京,
2008 年 10 月 11 日
(依頼講演)
.
ウム(新潟シンポジウム),新潟,2008 年 11 月 29-30 日
(口頭)
.
26 ○坂本直也・池田忠作・鍋島達弥「大環状ジピリンオ
35 ◯嶋田敏彦・秋根茂久・鍋島達弥「ビピリジン・フェ
リゴマーの構造解析およびそのホウ素錯体の認識能評
ノールの繰り返し構造をもつ新しい直鎖状多座配位子
価」第 47 回 NMR 討論会,つくば,2008 年 11 月 12-14
の合成」
第 35 回有機典型元素化学討論会,
八王子,
2008
日(ポスター)
.
年 12 月 11-13 日(ポスター)
.
27 ○古川裕理, 秋根茂久, 鍋島達弥「NMR 解析に基づく
36 ○古川裕理・木暮 翠・山村正樹・秋根茂久・鍋島達弥
らせん型擬クリプタンドの多重イオン認識能の評価」
「協同的イオン対認識のためのオリゴペプチド型擬ク
第 47 回 NMR 討論会,つくば,2008 年 11 月 12-14 日
リプタンド」
第 35 回有機典型元素化学討論会,
八王子,
(ポスター)
.
2008 年 12 月 11-13 日(口頭)
.
28 ○田所利雄, 秋根茂久, 鍋島達弥「NMR 滴定法による
37 ○渡辺博文, 興 雄司, 秋根茂久, 尾松孝茂「ピコ秒パ
大環状オリゴオキシム金属錯体の構造解析」第 47 回
ルス励起分布帰還型有機導波路ブルーレーザー」レー
NMR 討論会,つくば,2008 年 11 月 12-14 日(ポスタ
ザー学会学術講演会第 29 回年次大会,徳島,2009 年
ー)
.
1月 10-12 日(口頭)
.
29 ○三宅惇哉・池田忠作・鍋島達弥「協同性イオン認識
38 ○宇津野文彦・秋根茂久・鍋島達弥「Bissaloph 二核ニ
能をもつ含オキサゾリン環レセプターの合成と機能」
ッケルメタロホストのカチオン認識挙動」筑波大学ジ
第 38 回複素環化学討論会、福山、2008 年 11 月 21-23
ョイントシンポジウム プレ戦略イニシアティブ「機
日(ポスター)
.
能分子創成研究拠点」文部科学省「産学連携による実
30 ○トロコウスキー ロバート・池田忠作・秋根茂久・
鍋島達弥「芳香族白金錯体二量体による電子豊富なベ
ンゼン誘導体の認識」
第 38 回複素環化学討論会、
福山、
2008 年 11 月 21-23 日(口頭)
.
践型人材育成事業」大学と企業とで育てる創薬化学高
度人材,つくば,2009 年 3 月 16-17 日(ポスター)
39 ○丸山徹治・池田忠作・鍋島達弥「アリールボロネー
ト中心を有する新規ジピリンホウ素錯体の効率的合
31 ○木嶋志穂・山村正樹・鍋島達弥「集積型メタロホス
成」筑波大学ジョイントシンポジウム プレ戦略イニ
トの合成とゲスト認識挙動」
第 56 回有機合成化学協会
シアティブ「機能分子創成研究拠点」文部科学省「産
関東支部シンポジウム,
新潟,
2008 年 11 月 29-30 日
(口
学連携による実践型人材育成事業」大学と企業とで育
頭)
.
てる創薬化学高度人材,つくば,2009 年 3 月 16-17 日
32 ○田所利雄・秋根茂久・鍋島達弥「オレフィンメタセ
(ポスター)
シスによる連結型大環状オキシム配位子の合成と金属
40 ○古川裕理・鍋島達弥「らせん型擬クリプタンドの合
イオン認識」
第 56 回有機合成化学協会関東支部シンポ
成と多重イオン認識能の評価」筑波大学ジョイントシ
ジウム(新潟シンポジウム),新潟,2008 年 11 月 29-30
ンポジウム プレ戦略イニシアティブ「機能分子創成
日(口頭)
.
研究拠点」文部科学省「産学連携による実践型人材育
33 ○西連地雅樹・池田忠作・鍋島達弥「アザクラウンエ
ーテル部位を導入したイリジウム(III)錯体の金属イオ
成事業」大学と企業とで育てる創薬化学高度人材,つ
くば,2009 年 3 月 16-17 日(ポスター)
ン認識能と発光特性変化」
第 56 回有機合成化学協会関
41 ○三宅惇哉・山村正樹・鍋島達弥「Pybox 骨格をもつ
東支部シンポジウム(新潟シンポジウム),新潟,2008
新規アニオンレセプターの合成と性質」筑波大学ジョ
年 11 月 29-30 日(口頭)
.
イントシンポジウム プレ戦略イニシアティブ「機能
34 ○三宅惇哉・山村正樹・鍋島達弥「水素結合性アニオ
分子創成研究拠点」文部科学省「産学連携による実践
ン認識部位を有する Pybox ホストの合成と協同的イオ
型人材育成事業」大学と企業とで育てる創薬化学高度
ン対認識」
第 56 回有機合成化学協会関東支部シンポジ
人材,つくば,2009 年 3 月 16-17 日(ポスター)
42 ○田所利雄・秋根茂久・鍋島達弥「ダイマー型大環状
日(口頭)
.
オキシムメタロホストの協同的な金属交換」筑波大学
52 ○西連地雅樹・池田忠作・鍋島達弥「アザクラウンエ
ジョイントシンポジウム プレ戦略イニシアティブ
ーテル部位を有する新規イリジウム(III)錯体の金属イ
「機能分子創成研究拠点」文部科学省「産学連携によ
オンによる発光特性変化」日本化学会第 89 春季年会,
る実践型人材育成事業」大学と企業とで育てる創薬化
船橋,2009 年 3 月 27-30 日(口頭)
.
学高度人材,つくば,2009 年 3 月 16-17 日(ポスター)
43 ○秋根茂久・宇津野文彦・鍋島達弥「らせん型亜鉛(II)ランタニド(III)三核錯体の発光特性」日本化学会第 89
春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30 日(口頭)
.
53 ○池田忠作・鍋島達弥「N2O2 型ジピリンのケイ素錯体
の合成と性質」日本化学会第 89 春季年会,船橋,2009
年 3 月 27-30 日(口頭)
.
54 ○田所利雄・秋根茂久・鍋島達弥「オレフィンメタセ
44 ○保立さやか・秋根茂久・鍋島達弥「不斉 salen 部位を
シスによる新規な大環状オキシム配位子の合成と錯形
有するオリゴオキシム四核錯体のらせん反転挙動」日
成能」日本化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月
本化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30 日
(口頭)
.
27-30 日(口頭)
.
55 ○嶋田敏彦・秋根茂久・鍋島達弥「ビナフトール骨格
45 ○トロコウスキー ロバート・鍋島達弥「自己集積型白
を持つビス(N2O2)配位子を用いたキラルらせん型錯体
金(II)ホストのスタッキング相互作用と CH 水素結
の合成」日本化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3
合を用いた中性分子の認識」
日本化学会第 89 春季年会,
月 27-30 日(口頭)
.
船橋,2009 年 3 月 27-30 日(口頭)
.
56 ○南雲広樹・秋根茂久・鍋島達弥「ビピリジン・フェ
46 ○宇津野文彦・秋根茂久・鍋島達弥「ジフェニルエー
ノールから成る直鎖状多座配位子の合成とその錯形
テル骨格を持つ環状メタロホストの合成とカチオン認
成」日本化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30
識」日本化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30
日(口頭)
.
日(口頭)
.
47 ○丸山徹治・池田忠作・鍋島達弥「N2O2 型ジピリンと
57 ○木嶋志穂・山村正樹・鍋島達弥「含カテコール• ビ
ピリジンポダンドの 合成と協同的ゲスト認識」日本
アリールボロン酸による新規ジピリンホウ素錯体の合
化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30 日(ポ
成」日本化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30
スター)
.
日(口頭)
.
58 ○外川優衣・山村正樹・鍋島達弥「アニオン認識部位
48 ○古川裕理・鍋島達弥「鎖にジグリシル部位をもつノ
を有するオリゴピリジン配位子の合成」日本化学会第
ナアミド型擬クリプタンドの機能」日本化学会第 89
89 春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30 日(ポスター)
.
春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30 日(口頭)
.
59 ○大長真奈美・坂本直也・池田忠作・鍋島達弥「N2O4
49 ○佐々木正男・山村正樹・鍋島達弥「側鎖に大きな疎
型ジピリンのアルミニウム錯体の合成と性質」日本化
水部位を有する Trisaloph へテロ多核錯体の合成」日本
学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30 日(ポ
化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30 日(口
スター)
.
頭)
.
60 ○佐藤大・山村正樹・鍋島達弥「ホスホリル基を持つ
50 ○坂本直也・池田忠作・鍋島達弥「大環状トリスジピ
ビナフチル骨格とポリエーテル部位を有するホストの
リンホウ素錯体の BF2 部位を利用したカチオン認識」
合成」日本化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月
日本化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30
27-30 日(ポスター)
.
日(口頭)
.
61 ○長谷川裕希・TROKOWSKI Robert・山村正樹・鍋島
51 ○三宅惇哉・山村正樹・鍋島達弥「Pybox 骨格をもつ
達弥「テルピリジン白金(II)錯体と 3,3′′-m-テルフェニ
新規アニオンレセプターの合成と協同的イオン対認
レンスペーサーを連結したクレフト型分子の合成」日
識」日本化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30
本化学会第 89 春季年会,船橋,2009 年 3 月 27-30 日
(ポスター)
.
62 ○撹上健二・山村正樹・海野雅史・京免 徹・花屋 実
「色素増感太陽電池の増感色素におけるアルコキシシ
リル基のアンカー基として の検討」日本化学会第89春
季年会,船橋,2009年3月27-30日(口頭)
.
63 ○塚原 嵩・海野雅史・山村正樹・撹上健二・藤村恵美
「ビピリジル、ピリジル基を持つヒドロシラン、シラノ
ールの合成と、それらの 金属酸化物への担持」日本化
学会第89春季年会,船橋,2009年3月27-30日(口頭)
.
受賞
1
鍋島達弥,日本化学会学術賞,日本化学会, 2009.1.
3. 融合物質生命コア
専任教員:
長崎
大石
金山
吉本
幸夫(数理物質科学研究科物性・分子工学専攻・教授)
基 (数理物質科学研究科物性・分子工学専攻・講師)
直樹(数理物質科学研究科 物性・分子工学専攻・講師)
敬太郎(数理物質科学研究科 物性・分子工学専攻、先
端学際領域研究センター・講師)
研究員 池田 豊(産学官連携研究員)、原 暁
非(産学官連携研究員)、Swapan Kumar
Saha(産学官連携研究員)
、辰巳 泰我
(産学官連携研究員)、藤 加珠子(産
学官連携研究員)、宮本 大輔(産学官
連携研究員)
、
大学院生(数理物質科学研究科 物性・分子
工学専攻)
近藤 章一(D3)、古性 均(D3)、
佐藤 嘉秀(D2)
、田村 篤志(D2)、
星野 裕樹(D2)
、松本 慎哉(D2)、
吉富 徹(D2)、Sumon Ganguli(D1)、
厚見 宙志(M2)
、上村 真生(M2)、
鈴木 豊一(M2)
、角谷 省吾(M2)、
高 橋 絵 美 子 ( M2 )、 中 津 原 均
(M2)、中村 隆仁(M2)、西尾 元
彦(M2)、小島 綾太(M1)
、鈴木 莉
英(M1)、藤野 能富(M1)、山崎 毅
(M1)
大学院生(人間総合科学研究科 フロンティア
医科学専攻)
釘宮 慎太郎(M1)、田村 磨聖(M1)
学類生(工学基礎学類 物質・分子工学主専攻)
窪田 大輔(B4)
、久保田 昌樹(B4)
、
室谷 憲紀(B4)、山口 雄大(B4)
学部生(東京理科大学基礎工学部材料工学科)
山口 雄(B4)
【 1 】 緒 言
バイオ分野におけるナノテクノロジーの技
術の導入は、新たな新領域“ナノバイオテクノ
ロジー”を生み出し、従来の性能をはるかに凌
駕する様々な新規材料やデバイスシステムが
提案されている。われわれは、生体分子・組織
と接触する基材界面の分子設計の重要性にい
ち早く着目し、我々が創製してきた材料によっ
て基材界面を精密に構築し、かつ様々な機能を
インテグレートすることで新しいセンシン
グ・治療用デバイスを開発することを目的とし
ている。実際にマイクロチップやナノ粒子等を
バイオ関連技術に適用する場合、集積化が進め
ば進むほど、界面の影響が大きくなり、バイオ
インターフェースの精密制御が必要不可欠と
なってくる。
このような作業仮説のもと、ポリエチレング
リコール(PEG)化表面を基本としてバイオセン
シング界面設計、バイオイメージング材料設計、
ナノ治療用材料設計及び組織工学用スキャッ
フォールド材料設計を今年度の基本目標とし
て研究を行った。本年次報告では、最表面に
PEG ブラシ表面のナノエンジニアリング、EPR
イメージング、アポトーシスイメージング、ナ
ノ粒子治療およびプラズマジェットを用いた
高分子ミセルの安定化に関して以下にまとめ
る。
【 2 】PEG-PAMA 共重合体修飾金表面におけ
る核酸センシング
(1)DNA センシング用プラットフォームに
ついて
近年、DNA を固定化したチップやアレイを用
いることで迅速且つ網羅的な遺伝子解析が可能
となり、薬剤耐性や疾病などと関連のある遺伝子
が次々と同定されている。 DNA チップを用いた
遺伝子の同定は、基材表面に固定化した一本鎖
DNA (single stranded DNA: ssDNA) の 標 的
DNA に対する二重鎖形成 (ハイブリダイゼーシ
ョン) 能の差を利用して行うのが一般的であり、
DNA 固定化に用いられる基材としてはガラス、プ
ラスチック、金属などが挙げられる。なかでも金属
表面は、スルファニル (SH) 基を含んだ分子を表
面に強固かつ簡単に修飾できるという点に大きな
特徴を有する。特に金表面は、高い導電性や化
学的安定性、薄膜化しやすい点などからサイクリ
ックボルタンメトリーや水晶振動子マイクロバランス、
表面プラズモン共鳴 (SPR) 装置のような電極や
センサーチップとして幅広く利用されており、汎用
性が高いことが知られている。
金表面上に ssDNA を固定化してセンサー表
面を構築する場合、ssDNA 末端に SH 基を導
入したプローブ DNA (ssDNA-SH) を用いて固
定化を行う。 これは、金と SH 基の特異的な結合
を利用しているが、核酸塩基に含まれる窒素原子
も金表面と相互作用することから、ssDNA-SH の
密度や配向性が低下するため、選択的に標的
DNA を検出することは難しい。そこで、プローブ
ssDNA-SH を固定化した後、さらに低分子量のア
ルカンチオール化合物を添加することで、固定化
した ssDNA-SH の密度や配向性を制御する方
法が報告されている(1)。同手法は、配向性の良い
DNA 表面を構築するために DNA と異なる SH
化合物を併用する手法であるが、この場合 SH
基同士の置換反応が起こるため、先に基板に固
定化した目的の SH 化合物が剥離して固定化密
度が低下する問題がある。
は2倍程高く,金基板上に高密度に ssDNA-SH が
固定化されていることが示唆された (2)。このように、
我々はこれまで PEG-b-PAMA 修飾金表面が新
しい DNA 固定化・センシング用プラットフォーム
として有用であることを示しているものの、金表面
上における PEG-b-PAMA の吸着構造や吸着特
性は、いまだ未解明のままであった。本項では、
金表面上における PEG-ポリアミン共重合体の構
造と吸着特性を調べるため、スキーム 1 に示す
PEG-ポリアミンのブロック共重合体とグラフト共重
合体をそれぞれ合成し、これらを修飾した表面を
X 線 光 電 子 分 光 法 (X-ray Photoelectron
h
O
O
k
O
O
O
On
m
O
N
O
O
N
(2)PEG-PAMA 共重合体修飾金表面の構造
解析と同表面上における DNA センシング
我々の研究グループでは、金表面上への分子の
固定化の際に SH 基末端を有する2種類の化合
物を併用するのではなく、ポリアミンと SH 基を併
用した分子固定化法を着想し、新しい DNA 固定
化・センシング用プラットフォームとしてポリエチレ
ングリコール (poly(ethylene glycol): PEG) とポリ
ア ミ ン
(poly[2-(N, N-dimethylamino)ethyl
methacrylate]: PAMA) の ブ ロ ッ ク 共 重 合 体
(PEG-b-PAMA) 修飾金表面を提案している(2) 。
アミノ基の金への結合力は SH 基に比べて弱いも
のの、ポリアミンの多点結合による相互作用を利
用することで金表面上との強固な結合形成が期
待できる。また、中性溶液環境下で正電荷を持つ
ポリアミンは、DNA などの負電荷を持つ化合物と
親和性が高い。実際に、PEG-b-PAMA 修飾金表
面上における ssDNA-SH の固定化量を SPR
センサーにて評価した結果、未修飾の金基板上
における ssDNA-SH の固定化シグナルに比べ、
PEG-b-PAMA 修飾金表面上におけるシグナル
j
O
スキーム1 使用した PEG-ポリアミン共重
合体の構造。PEG-b-PAMA 共重合体(右)、
PAMA-g-PEG 共重合体(左)。
Spectroscopy : XPS) と SPR センサーにより評価し
た結果を紹介する。
図 1 に、PEG-ポリアミン修飾金チップ表面の
ARXPS 解析結果を示す。Graft-Surface の場合、
窒 素 と 炭 素 の 比 (N/C) の 値 は 、 光 電 子 の
take-off angle に依存せず、ほぼ一定の値を示し
たことから、金基板近傍から膜の最表面にかけて、
均等に窒素原子が分布しており、PEG 鎖とポリア
ミン鎖が膜全体に均等に広がっている表面構造
であると考察できる。一方、Block-surface の場合、
光電子の take-off angle が低角度側へシフトする
につれて、N/C の値が減少していく傾向が観測さ
れた。これは、ポリアミン鎖に含まれる窒素原子が
金基板近傍に局在化しており、薄膜の最表面に
近づくにつれて、窒素原子の割合が減少している
ことを示している。すなわち、ブロック共重合体は、
アミンセグメントを基板表面へ固定し、図1 (b) に
102· N / C ratio
10
9
Graft-Surface
8
(a)
7
Block-Surface
(b)
0
0
20
40
60
80
take-off angle [deg]
図1 ARXPS 分析により得られた、構築した基板表面の
深さ方向に対する窒素原子の分布の変化。(○) グラフト共
重合体修飾表面、(●) ブロック共重合体修飾表面。
図 2 に、アルカンチオール添加に伴う各修飾ポ
リマーの剥離挙動を SPR センサーで観察した結
果を示す。SH 基で固定化された PEG-SH の場
合、-0.07 deg の角度変化が観察された。一方で、
ポリアミンセグメントで固定化された
PEG-b-PAMA 及び PAMA-g-PEG では、大きな
角度変化は観測されなかった。すなわち、金表面
上に修飾された PEG-SH は、ME と置換反応を
起こして全修飾量の約 30% 程度が剥離するが、
PEG-ポリアミン共重合体は ME を添加しても
↓ ME injection
102・SPR angle shift
4
PEG-b-PAMA
0
PAMA-g-PEG
Rinse ↑
-4
PEG-SH
-6
-8
-10
0
4
□ complementary
完全相補鎖
■ single
1塩基ミスマッチ
base mismatch
3
2
1
0
2
-2
SH 基との置換反応による剥離はほとんどないと
考察できる。以上の結果から、ポリアミンが強固に
金表面と相互作用することが示された。
図 3 に、PEG-ポリアミン/ssDNA 共固定表面の標
的 DNA 検 出 能 を 評 価 し た 結 果 を 示 す 。
PEG-g-PAMA/ssDNA 共固定表面 (Graft) では、
プローブ ssDNA を固定化した金表面 (Bare Au)
と比べ、完全相補鎖 (□) と非特異的な吸着であ
る1塩基ミスマッチ (■) の値が共に高い結果が観
測され、両基板上では、標的 DNA の選択的な検
出を行うことは出来なかった。一方、
PEG-b-PAMA/ssDNA 共固定表面 (Block) の場
合、完全相補鎖の検出シグナルが高くなったにも
関わらず、1塩基ミスマッチの検出シグナルは最も
低く、選択的な標的 DNA の検出が可能であるこ
とが明らかになった。以上の結果から、
PAMA-graft-PEG/ssDNA 共 固 定 表 面 よ り も
PEG-block-PAMA/ssDNA 共 固 定 表 面 の 方 が
DNA 二重鎖のハイブリダイゼーションに適した環
境を提供することがわかった。
102・SPR angle shift [deg]
示したような PEG 鎖が最表面に広がりを持ったブ
ラシ構造を金表面上で形成していると考察でき
る。
1000
2000
Time [sec]
図2 短鎖アルカンチオール(2-mercaptoethanol:
ME) に対する各ポリマーの剥離耐性評価。
Bare Au
Graft
Block
図3 各表面における標的 DNA 検出能の比較。Bare Au:
ssDNA 固定化金表面、Block: PEG-b-PAMA/ssDNA 共固定
金表面、Graft: PAMA-g-PEG/ssDNA 共固定金表面
以上の結果から、構造の異なる 2 種類の PEGポリアミン共重合体を修飾した金基板表面を作成
し、ARXPS と SPR にて評価した。その結果、ポリ
アミンと金との強い結合が示され、元素組成がほ
ぼ同じ共重合体であるにも関わらず、ブロック共
重合体修飾金表面においてのみ、PEG ブラシ構
造の形成が 示唆された 。また、PEG- ポリアミン
/ssDNA 共固定表面の標的 DNA に対するセンシ
ング能を SPR 測定により評価した結果、PEG がブ
ラシ構造を形成している PEG-ポリアミンブロック共
重合体/ssDNA 共固定表面においてのみ、高い
DNA センシング能が発現することが明らかとなっ
た。
【 3 】PEG/アンチフェリチン抗体共固定化ラテ
ックス粒子による高感度免疫診断
(1)ラテックス凝集免疫診断法について
免疫学的検査における医療診断技術のひと
つに,ラテックス凝集免疫測定法がある.同手
法で用いられる粒子を免疫ラテックス粒子と
呼び,ラテックス表面に抗原を担持させ,抗原
抗体反応による粒子凝集を光学的に測定する
ことで標的の抗原を検出するという測定原理
である.免疫ラテックス粒子は 1956 年に
Singer らによってはじめて開発され,以降同
粒子を用いた医療用検出システムは自動化な
どを経て 1980 年代末にかけて実用化されて
きた.しかしながら現状のラテックス診断薬,
すなわち抗体固定化ラテックス粒子は,粒子自
身の散乱(バックグラウンドノイズの上昇)の
ほかに,固体表面への抗体担持に伴う変性によ
る感度低下や非特異的反応による誤診(凝集)
などの問題点も指摘されている。例えば,測定
対象サンプルが血清等である場合,被検体抗原
と共存する他の血清タンパク質等により非特
異凝集が起こる場合があり,このような非特異
反応を抑制するためにブロッキング剤として
通常牛血清アルブミン(BSA)が利用されてい
るが,ブロッキング剤として BSA を使用する
系ではラテックス/抗体複合体の分散安定性や
免疫診断能力(信号/ノイズ比)は必ずしも十
分ではない.また,ロット差による性能のばら
つきや,BSE 等に代表されるような生体試料
に基づく倫理的な問題も否定できない.
(2)Mixed-PEG/フェリチン抗体共固定ラテ
ックス粒子の創製
我々は免疫ラテックス粒子の高性能化を図
るため,図 4 に示したような粒子表面に
Mixed-PEG を 修 飾 し た ラ テ ッ ク ス 粒 子
(LAmP)を作成し,外部環境にかかわらず,
標的となる抗原分子に対し選択的に応答する
新しい免疫診断用ラテックス粒子の作成を試
みた.PEG 化を行うラテックス粒子は表面に
カルボキシル基を有するものを利用し,PEG
化は PEG 末端に 6 個のポリアミン鎖を有する
共重合体(N6-PEG)を用いて行った.図 5 に
N6-PEG(5k) と BSA をブロッキング剤として
作製した抗体固定化ラテックス粒子(それぞれ
LAP と LAB と略す)のリン酸バッファー溶
液中(PB)と血清中(FBS)におけるフェリチ
ン応答能を示した結果を示す.LAB は反応活
性がほぼ観察されないのに対し,LAP は高い
フェリチン検出能を示すことがわかる.PEG
鎖を表面に修飾してない抗体固定化ラテック
ス粒子は PB 中において分散状態を維持する
ことができず,抗原添加に伴う優位な凝集応答
は示さなかったことを付け加えておく.
非特異的吸
着の抑制
抗体
長いPEG鎖
ラテックス表面
短いPEG鎖
図4
ラテックス表面に構築した
Mixed-PEG/抗体共固定表面の概念図
図5
(A) PB 中,および(B) FBS 中における,PEG 修飾したフェリチン抗体固定化ラテックス粒子のフェリチン応答.PEG(5k)
を修飾した LAmP 粒子のほうが BSA をブロッキング剤として利用した場合よりもフェリチン応答能が高いことがわかる.
図 6
(A) PB 中,および(B) FBS 中における,表面を PEG 修飾したフェリチン抗体固定化ラテックス粒子のフェリチン応答.
Mixed-PEG(2k/5k) を修飾した LAmP 粒子のほうが PEG(5k) のみを修飾した LAP 粒子よりも高いレスポンスを示すことが
わかる.
図 6 に LAP と,N6-PEG(5k) および短鎖の
N6-PEG(2k) 両方を用いて作製した LAmP の
PB 中,FBS 中におけるフェリチン応答能示す.
LAP と LAmP は,バッファー水溶液中におい
て 高 い 分 散 安 定 性 を 示 す と 同 時 に , 10-100
ng/ml のフェリチン溶液を添加した際に,直線
性のある抗原応答能を示すことが明らかとな
った.また,Mixed-PEG 修飾した LAmP は
PEG(5k) を単独修飾した LAP よりもさらに
高いフェリチン検出能を有することわかる.以
上の結果は,BSA よりも PEG 修飾をしたラテ
ックス粒子を用いた場合,感度の高い免疫診断
が可能であり,また単一の分子量をもつ PEG
よりも Mixed-PEG を粒子表面に修飾したほ
うが高性能なラテックス粒子が作製可能であ
ることを示すものである.
【 4 】EPR 法による生体内 pH イメージング
に向けた EPR シグナル内包コア-シェル型ナ
ノ粒子の創製
(1) EPR 法による生体イメージングについて
近年、疾患の診断を目的としたバイオイメー
ジングが注目を集めている。その中でも、磁気
共鳴イメージング(MRI)法はすでに実用化され、
癌などの特異的な組織を可視化する強力な医
療支援ツールとなっている。しかしながら、
MRI の解像度は時間依存的であり、高解像度
のイメージ像を得るためには、長時間にわたる
計測を必要とする。一方、電子常磁性共鳴(EPR)
は、核磁気共鳴(NMR)の約 100 倍の感度を有し
ているといわれており、高感度化と高解像度化
両方の要求を同時に満たすイメージング技術
として期待されるものの、2,2,6,6-テトラメチ
ルピペリジノオキシラジカル(TEMPO)などの
低分子 EPR プローブは、細胞内の還元環境に
おいて容易に還元されて、シグナルを消失する
ため、長期間にわたる経時的観測への適用が困
難であった。そこで本研究では、代表的な EPR
プローブである TEMPO を疎水性セグメント
側鎖に有する両親媒性ブロックポリマーを合
成し、生体還元環境下において安定で、かつ
pH 応答型 EPR シグナルを有するコア-シェル
型ナノ粒子を設計した(図 7)。
図7
EPR シグナルを内包したコア-シェル型ナノ粒子
(2)EPR シグナル内包コア-シェル型ナノ粒
子の創製
片末端にアセタール基、もう片末端にメルカ
プト基を有するポリエチレングリコール
(PEG)(アセタール-PEG-SH)をテローゲンとし
て用いたクロロメチルスチレン(CMS)のラジ
カルテロメリゼーションにより、片末端にアセ
タール基、もう一方の末端に反応性セグメント
であるポリクロロメチルスチレン(PCMS)を有
するブロックポリマーの合成を行った
(Acetal-PEG-b-PCMS)。次に、4-アミノ-TEMPO
を用いてクロロメチル基のアミノ化反応を行
い、ブロックポリマーの疎水性 PCMS セグメ
ントに TEMPO を導入し(Acetal-PEG-b-PCMS
-TEMPO、図 8)、透析法によりコア-シェル型
のナノ粒子を調製した。調製されたナノ粒子は、
動的光散乱(DLS)測定により平均粒径約 40 nm
の単峰性の粒度分布であることが確認された。
図8
Acetal-PEG-PCMS-TEMPO の構造
(3)EPR シグナル内包コア-シェル型ナノ粒
子の pH イメージングへの検討
図 9(b)に、pH 7.2 におけるナノ粒子の EPR
スペクトルを示す。図 9 (a)に示すように、通
常、低分子 TEMPO は希薄溶液中において、窒
素核と不対電子の相互作用により 3 本線のス
ペクトルを示すものの、Acetal-PEG-b-PCMSTEMPO を用いて調製したナノ粒子は、ブロー
ドな 1 本線のスペクトルを示した。これは、疎
水性の PCMS-TEMPO セグメントが粒子コア
として凝集した固体相を形成することで
TEMPO 間においてラジカル同士が相互作用す
ることにより、スペクトルの線幅が増大した結
果、スペクトルが 3 本線から 1 本線に変化した
ものと考えられる。さらに興味深いことに、塩
基性条件下では図 9(b)と同様なスペクトルの
形状を示すものの、酸性条件下においては、図
9(c)に示すようなスペクトルの変化を示した。
この原因は、ブロックポリマーの疎水セグメン
ト側鎖に存在するアミノ基のプロトン化によ
って粒子が崩壊し、さらに側鎖間での静電反発
が生じることにより、TEMPO 間の距離が増大
し、ラジカル同士の相互作用が低下したものと
考えられる。また酸性条件においては EPR シ
グナル高さが増強されるため、通常動物などの
画像化に用いられる L-band EPR 装置を用いて
画像化を行ったところ、図 10 に示すように、
酸性条件下でのみシグナルを示すような画像
が得られた。さらに、この粒子をマウス経口も
しくは皮下投与を行ったところ、胃中から 3
本線のシグナルが得られ、in vivo に於いても、
イメージングできるということが明らかとな
ってきている。これらの結果から、生体還元環
境下において安定で、かつ生体内の pH の変化
に応答したシグナルを示す生体内 pH イメージ
ング用 EPR プローブとしての応用が期待され
る。
図 9 フリーの TEMPO 溶液(1.4 mM, pH 7.2)(a)、EPR
シグナル内包コア-シェル型ナノ粒子(ポリマー濃度: 64
μM、pH 7.2)(b)、および EPR シグナル内包コア-シェル
型ナノ粒子(ポリマー濃度: 64 μM、pH 5)(c) の EPR ス
ペクトル
図 10 L-band EPR 装置を用いた酸性環境のイメージング
(pH 5.6 and 7.4)
(4)生体内酸化ストレス検出を目指した EPR
イメージングプローブの創製
虚血組織や炎症組織では、ROS が産生され、
またアシドーシスが生じていることが知られ
ている。生体内酸化ストレスの関与を解明する
ために、2,2,6,6-テトラメチルピペリジノオキ
シラジカル(TEMPO)などの安定ラジカルをプ
ローブとして用いた EPR イメージングの研究
が注目を集めている。しかしながら、従来用い
られてきたプローブは低分子のものが多く、腎
臓での濾過作用によりほとんどが急速に体外
に排泄されてしまい、特定組織への集積が期待
できない。そこで我々は、TEMPO を還元した
RNP を作製し、生体内酸性環境下において酸
化ストレスを検出できるプローブを創製した
(RNP-H)(図 11)。
この RNP-H もまた、酸性条件下において、粒
子が崩壊することが明らかとなっている。そこ
で、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)と過酸
化水素を生体内の酸化剤モデルとして用いて、
RNP-H の酸化反応を行ったところ、pH5.6 と
pH7.4 に於いて、HRP の活性は一定であるもの
の、RNP-H を用いた実験では、シグナル高さ
が酸性条件下に於いて著しく増大することが
明らかとなった(図 12)
。これは、粒子の崩壊
によって、酸性条件下でのシグナルの増大を促
進させたことが示唆される結果であった。この
ことから、RNP-H は生体内酸性条件下で酸化
ストレスを画像化できるプローブとして期待
される。
図 11 生体内酸化ストレス検出を目指した EPR イメージングプローブ
図 12
HRP/ H2O2 を用いた RNP-H の生体内モデル酸化反応の検出 (at pH 5.6 and pH 7.4)
【 5 】ガンのピンポイント治療に向けた金コ
ロイド内包型 PEG 化ナノゲル粒子の創製
(1)金コロイド内包型 PEG 化ナノゲル粒子
を用いるガンのピンポイントイメージング・ピ
ンポイント治療について
我が国でガンは、死亡疾病原因の第一位(年
間約 30 万人が死亡)であることから国民を悩
ます病の一つである。したがって、ガン患者の
QOL(Quality of Life: 生活の質)の向上を目指
し て 治 療 ( Therapeutic ) と イ メ ー ジ ン グ
(Diagnostic)を同時に行うことができるセラノ
ステック(Theranostic)・ナノデバイスの開発
が注目を集めている。一方、金ナノ粒子は吸収
した光エネルギーを熱エネルギーに変換する
こと、また X 線を吸収・コンプトン散乱する
ことから、ガンの光温熱治療および放射線イメ
ージング・治療の増感剤として注目を集めてい
る。これら光温熱治療や放射線治療において、
金ナノ粒子による増感効果を高めるためには、
均一な粒子の合成と生体内での凝集を防ぐ材
料設計が重要になる。これまで、ヘテロ二官能
性ポリエチレングリコール(PEG)マクロモノ
マーを界面活性剤とし、メタクリル酸(2-(N,Nジエチルアミノエチル)とジメタクリル酸エチ
レンの乳化共重合により、コアにポリアミンゲ
ルマトリックス、シェルに生体適合性の高い
PEG 鎖を有するコア-シェル型ナノゲル粒子
の合成を報告してきた。この PEG 化ナノゲル
粒子のポリアミンゲルコアは、Au(III)イオンを
ゲコア内に取り込むイオン交換ナノマトリッ
クスとして機能するだけでなく、還元剤非存在
下で金ナノ粒子(Au(0))を生成・担持するナ
ノリアクターとして機能することを見出して
いる。本研究ではシェルに生体適合性の高い
PEG とポリアミンゲルコアに光を熱に変換お
よび X 線を効率的に吸収・散乱することが知
られている金ナノ粒子を内包した PEG 化ナノ
ゲ ル 粒 子 を 構 築 し 、 X 線 CT ( Computer
Tomography)によるガンのイメージングと、X
線によるガンの放射線治療および光による光
温熱治療を同時に行う革新的なセラノスティ
ック・ナノデイバスを開発することを目的とし
ている(図 13)。
(2)金コロイド内包型 PEG 化ナノゲル粒子
の創製
pH=6 において、様々な N/Au 比(ナノゲル
中のアミノ基のモル数/金イオンのモル数)お
よび 5 ºC または 60 ºC で調製した金ナノ粒子内
包型 PEG 化ナノゲル粒子 (N/Au=1, 2, 4)の
TEM 写真を図 14 に示す。
各 N/Au 比における TEM 画像を比較すると、
5 ºC で調製した金ナノ粒子の粒径は、N/Au 比
に依存せず粒径がおよそ 11 nm 程度であり、
PEG 化ナノゲル粒子 1 つあたりの金ナノ粒子
の内包個数は N/Au 比の増加に依存して少なく
なる傾向が見受けられた(N/Au = 1, 6 個 →
Acetal group
(Ligand installation moiety)
PEG chain
(High biocompatibility)
N
N
HAuCl4
Self-reduction
N
Au(III)
Au(0)
図 14 5ºC および 60 ºC で調製した金ナノ粒子内包型
PEG 化ナノゲル粒子(N/Au = 1, 2, and 4)の TEM 写真
N/Au = 2, 5 個→ N/Au = 4, 4 個/ナノゲル)。ま
た、60 ºC で調製した金ナノ粒子の粒径は、5 ºC
で合成した時のものよりも比較的小さく(7.7
nm)、N/Au 比依存性は見られなかった。さら
に、PEG 化ナノゲル粒子 1 つあたりの金ナノ
粒子の内包個数は N/Au 比の増加に依存して少
なくなる傾向が同様に見受けられたが、その内
包個数は 5ºC で合成したものと比べ著しく多
いことが明らかとなった(N/Au = 1, 27 個 →
N/Au = 2, 8 個→ N/Au = 4, 2 個/ナノゲル)。そ
れぞれの温度における pH6 での PEG 化ナノゲ
ル粒子のコアは、5 ºC ではプロトン化/膨潤し
ている(180 nm)のに対し、60 ºC では脱プロ
トン化/収縮している(85 nm)状態であり、こ
れらナノリアクターの環境の違いが金ナノ粒
子の合成に影響したものと思われる。
Gold nanoparticles (GNPs)
(Theranostic agent)
Therapy
&
Diagnostic
Cellular
uptake
N
PEAMA gel core
(Nano-reactor and Nano-matrix) PEGylated nanogel
PEGylated nanogel
Light or X-ray
Cancer cell
containing GNPs
図13 ガンのイメージング・治療を可能とする金コロイド内包型PEG化ナノゲル粒子
Cell viability (%)
(3)金コロイド内包型 PEG 化ナノゲル粒子
への光照射によるガンのピンポイント治療
図 15 に、60 ºC(N/Au = 1)で調製した金ナ
ノ粒子内包型 PEG 化ナノゲル粒子の光照射の
有無における細胞毒を示す。その結果、光照射
がないとき(暗毒性)の金ナノ粒子内包型 PEG
化ナノゲル粒子は、ほとんど毒性(細胞生存率
> 90 %, 480 μg/mL)を示さなかったことから非
常に生体適合性が高いことが確認された。一方、
光照射をした(明毒性)場合、金ナノ粒子内包
型 PEG 化ナノゲル粒子は、著しい細胞毒性
(IC50= 90 μg/mL)を示した。さらに、この細
胞毒性(赤色:死細胞、緑色:生細胞)は、光
照射した範囲でのみ確認されたことから(図
16)、選択的かつ非侵襲的なガンの光温熱療法
として期待されるものである。
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
1
10
100
1000
Concentration of PEGylated nanogel (μg/mL)
図 15 金ナノ粒子内包型 PEG 化ナノゲル粒子
(N/Au = 1)存在下での HeLa 細胞の生存率。
光照射なし(白丸○)および光照射あり(黒丸●)
【 6 】アポトーシスのイメージングを目指し
た PEG 化ナノゲル粒子の創製
(1)アポトーシスイメージングについて
近年の遺伝子解析技術・分子生物学の急速な
発展に伴い、抗ガン剤に代表されるような薬物
の研究・開発が日増しに盛んとなってきている。
このような研究・開発において、新たな生理活
性を有する薬物の探索と伴に、これら薬物によ
る細胞内のシグナルの変化を可視化する技術
が注目を集めている。これまでわれわれは、コ
アにポリアミンゲルおよびシェルに生体適合
性の高いポリエチレングリコール(PEG)ブラ
シを有するコア-シェル型の PEG 化ナノゲル
粒子を調製し、この PEG 化ナノゲル粒子が細胞
内・ガン組織の pH 変化に応答した薬物放出(治
療)や 19F Magnetic Resonance Imaging(診断)
が可能であることを報告している。ここでは、
細胞内の体表的なシグナルとしてカスパーゼ
3 の活性化により誘導されるアポトーシスに
着目し、図 17 に示すような PEG 化ナノゲル粒
子を用いたアポトーシス細胞の可視化を検討
した。この PEG 化ナノゲル粒子の分子設計とし
て は 、 蛍 光 ( FITC: fluorescein
isothiocyanate)ラベル化を施した DEVD ペプ
チド(活性化カスパーゼ 3 の基質)を PEG 末端
に結合させ、コアのポリアミンゲルには蛍光消
光剤である金コロイドを内包させた構造であ
る。
DEVDペプチド
(活性化カスパーゼ3応答性)
金ナノ粒子
(蛍光消光剤)
Irradiation Area
0.7mm
蛍光色素(FITC)
(シグナル出力)
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
DEVDペプチド:
PEG
(生体適合性)
ポリアミンゲルコア
(ナノリアクター+担持マトリックス)
金コロイド内包型PEG化ナノゲル粒子
強い発光
非アポトーシス細胞
アポトーシス細胞
励起光
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
金ナノ粒子へのエネ
ルギー移(FRET)
による消光
核
活性化カスパーゼ3による
DEVEDの切断と蛍光分子の
脱離
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
活性カスパーゼ3
不活性カスパーゼ3
図 16 金ナノ粒子内包型 PEG 化ナノゲル粒子(N/Au =
1)存在下、光照射後の HeLa 細胞の蛍光顕微鏡写真
(Live/Dead assay)
D:アスパラギン酸
E:グルタミン酸
V:バリン
D:アスパラギン酸
励起光
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
N
核
図 17 金ナノ粒子内包型 PEG 化ナノゲル粒子を基本骨
格としたアポトーシスイメージングプローブの概念
3500
蛍光強度 (a.u.)
3000
2500
2000
1500
1000
500
0
495
535
555
波長 (nm)
575
595
5
4
3
2
1
0
(3)培養細胞におけるアポトーシスイメー
ジング
図 19 にカスパーゼ 3 および 9 と金コロイド
内包型 PEG 化ナノゲル粒子を反応させたとき
の、時間に対する蛍光強度の変化を示す。カス
パーゼ 3 との反応においては、5 倍近い蛍光強
度の増大が観察された。一方、阻害剤存在下で
のカスパーゼ 3 との反応においては、蛍光強度
の上昇はほとんど観察されなかった。また、カ
スパーゼ 9 との反応においても同様であった。
このことから、金コロイド内包型 PEG 化ナノゲ
ル粒子は、カスパーゼ 3 と特異的に反応するこ
とで DEVD ペプチドが切断され、FITC 分子がナ
ノゲルから離れることで FRET が解消し、蛍光
を示したと考えられる。
次に、金コロイド内包型 PEG 化ナノゲル粒子
515
図 18 FITC-DEVD ペプチドを導入した PEG 化ナノゲル
粒子(黒)、FITC-DEVD ペプチドを導入した金コロイド内
包型 PEG 化ナノゲル粒子(赤)、およびシアンエッチング後
(青)の蛍光スペクトル
規格化した蛍光強度
(2)アポトーシスイメージング用ナノローブ
の創製と評価
図 18 に FITC-DEVD ペプチドを導入した PEG
化ナノゲル粒子および同様に FITC-DEVD ペプ
チドを導入した金コロイド内包型 PEG 化ナノ
ゲル粒子の蛍光スペクトルを示す。金コロイド
を内包していない PEG 化ナノゲル粒子は、520
nm 付近に FITC 分子に基づく蛍光が観察された
が、金コロイド内包型 PEG 化ナノゲル粒子にお
いては FITC に基づく蛍光がほとんど観察され
なかった。さらに、シアンエッチング(金コロ
イドをイオン化)処理後の金コロイド内包型
PEG 化ナノゲル粒子の蛍光スペクトルは、金コ
ロイドを内包していない PEG 化ナノゲル粒子
のそれとほぼ同様のものであった。これらのこ
とから、金コロイド内包型 PEG 化ナノゲル粒子
の蛍光の消光は、PEG 末端に導入した FITC 分
子から金コロイドへの蛍光共鳴エネルギー移
動 ( FRET: Fluorescence Resonance Energy
Transfer)によるものであることが示唆された。
また、このときの消光効率はおよそ 98%であっ
た。
0
20
40
60
80
100
120
時間 (分)
図 19 FITC-DEVD ペプチドを導入した金コロイド内包
型 PEG 化ナノゲル粒子とカスパーゼ 3(赤)、カスパ
ーゼ 9(黒)、および阻害剤存在下でのカスパーゼ 3
(青)との反応における時間に対する蛍光強度の変化
を取り込ませたヒト肝ガン由来 HuH-7 細胞に
対してスタウロスポリンを用いてアポトーシ
スを誘発させ、共焦点蛍光顕微鏡を用いてアポ
トーシス細胞の可視化を行った(図 20)。スタ
ウロスポリンによりアポトーシスを誘発させ
ていない HuH-7 細胞においては、ほとんど蛍光
は観察されなかった。一方、スタウロスポリン
によりアポトーシスを誘発させた細胞におい
ては、ほとんど全ての細胞において蛍光が観察
され、アポトーシスの可視化が可能であった。
すなわち、この金コロイド内包型 PEG 化ナノゲ
ル粒子は、薬物により誘発されたアポトーシス
細胞を可視化するナノプローブであることが
示唆された。
a)
障害の軽減が期待されるが、実際の生体への応
用においては、血中滞留性の低さや血圧低下な
どの副作用の克服が課題である。これらの問題
点を克服するため、本研究では、pH 応答性を
もつ Amino-TEMPO を側鎖に導入したポリマ
ーを構成要素とする TEMPO 内包ナノ粒子(図
21)を作製し、脳梗塞に伴う虚血再還流時の酸
化ストレスの抑制能を評価した。
b)
図 21
図 20 FITC-DEVD ペプチドを導入した金コロイド内包
型 PEG 化ナノゲル粒子とカスパーゼ 3(赤)、カスパ
ーゼ 9(黒)、および阻害剤存在下でのカスパーゼ 3
(青)との反応における時間に対する蛍光強度の変化
【7】酸化ストレス障害抑制を目指した
TEMPO 含有ナノ粒子の創製
(1)酸化ストレス障害抑制について
炎症や脳梗塞に代表される虚血性疾患など、
さまざまな疾病に対して活性酸素種(ROS)が
機能することが知られている。しかしながら、
過剰に発生した ROS を生体が処理できなくな
った場合、組織障害等のダメージを生じる。現
在、多様な疾病に対する ROS の役割が明らか
になりつつあり、「酸化ストレス」として多く
の研究が行われている。近年、このような酸化
ストレスが、老化やがんのみならず、アルツハ
イマーやパーキンソン病などの神経難病等に
関与している可能性も示唆されている。
Hydroxy-TEMPO(Tempol)などの環状ニトロキ
シル化合物は、ラジカル消去活性により例えば
脳虚血時に発生する ROS による酸化ストレス
TEMPO 内包ナノ粒子
(2)ナノ粒子に内包された TEMPO の安定性
本 研 究 で 使 用 し た ポ リ マ ー 、
Acetal-PEG-PCMS(TEMPO)は【 4 】
(2)と同
様の手法によって合成した。このポリマーの自
己組織化から得られるナノ粒子は、疎水セグメ
ントにアミノ基を有するため、中性からアルカ
リ性ではコアーシェル型を維持し、酸性になる
とプロトン化して崩壊する。中性条件下におけ
るナノ粒子内部の TEMPO の安定性を評価し
た。ナノ粒子溶液にグルタチオンを添加し、
EPR スペクトルを経時的に測定した。分子状
の電子スピン(TEMPOL)では 1 時間で 1/2 程度
に減少したのに対し、ナノ粒子に内包した
TEMPO は殆ど変化しなかった。ナノ粒子内部
に閉じこめられた TEMPO ラジカルが、外部グ
ルタチオンに対して隔離されたことによる安
定化効果に起因するものと考えられる。
(3)TEMPO 内包ナノ粒子の血中滞留性評価
マウス尾静脈注射により TEMPO 内包ナノ粒
子溶液を投与し、その血中滞留性を EPR によ
って調査した。図 22 に示すように TEMPOL で
は 3 分の最短観測時間で全くシグナルを観測
することは不可能であったものの、RNP では
数時間は信号を観察することは可能であった。
実際の EPR 強度半減期はおよそ 15 分程度であ
ることが明らかとなった。
injured
図 23
TEMPO 内包ナノ粒子の脳虚血再灌流における酸化
ストレス障害抑制効果
(左:TEMPO 内包ナノ粒子を投与、右:コントロール)
**
図 22
TEMPO 内包ナノ粒子の血中滞留性
(4)TEMPO 内包ナノ粒子の酸化ストレス障
害抑制効果
TEMPO 内包ナノ粒子の活性酸素種(ROS)消
去能を脳梗塞モデルラットを用いて評価した。
図 23 に TTC 染色による脳切片写真を示す。障
害を受けると染色されずに白く見える箇所が
TEMPO 内包ナノ粒子投与では殆どみられず、
障害を受けていないことが示唆された。これら
の結果は ROS による虚血脳障害を TEMPO 内
包ナノ粒子により効果的に消去した結果と判
断される。TEMPO 内包ナノ粒子は安全に投与
可能であるだけでなく、脳に入り効果的に機能
する新しいナノ粒子として期待される。
また、脳梗塞面積を比較したところ、TEMPO
内包ナノ粒子は TEMPOL よりも有意に脳梗塞
を抑制することが示された(図 24)。これは
TEMPO がナノ粒子内部に存在することによる
安定化効果に起因すると考えられる。
Infarct volume (mm3)
300
*
250
200
150
100
50
0
Saline
Micelle
TEMPOL
RNP
*p<0.05, **p<0.01
図 24 脳梗塞面積の評価
(Saline:生理食塩水、Micelle:TEMPO 非内包
ナノ粒子、TEMPOL、RNP:TEMPO 内包ナノ
粒子)
脳梗塞モデルラットにおいて脳細胞内のス
ーパーオキサイドをハイドロエチジン法によ
り検出した。図 25 左列の赤く染色されている
部分がスーパーオキサイド、中央列の緑に染色
している部分は神経細胞である。右列はそれら
二つを合わせたものである。スーパーオキサイ
ドは主に神経細胞で生じていることがわかっ
た。また、TEMPO 内包ナノ粒子ではスーパー
オキサイドを示す赤い部分が少なかった。この
ことにより、TEMPO 内包ナノ粒子が脳梗塞を
抑制するメカニズムの一つとして、神経細胞で
生じるスーパーオキサイドを消去することに
よって脳損傷を抑制していると考えられる。
を siRNA キャリアーとして利用し機能評価を
行った。
図 26
siRNA キャリアとして機能するコア-シェル型ナノ
ゲル粒子
図 25 TEMPO 内包ナノ粒子のスーパーオキサイド抑制効果
(上:Saline(生理食塩水)
、中:TEMPOL、下:RNP(TEMPO
内包ナノ粒子)
)
【 8 】生体内での効率的な siRNA デリバリー
を目指した PEG 化ポリアミンナノゲルの創製
(1)siRNA デリバリーについて
21~23 塩基対程度の二本鎖 RNA(siRNA)
がセントラルドグマ中間体である mRNA を配
列特異的に切断し、当該遺伝子の発現を選択的
に抑制する RNA 干渉(RNAi)は、癌、HIV、
C 型肝炎をはじめとした難治性疾患に対する
遺伝子レベルでの治療方法として注目を集め、
その実用化が期待されている。しかし siRNA
単独で血中へ投与しても効果が得られないの
が現状であり、実用化のためには標的組織への
siRNA デリバリーシステムが必要不可欠であ
る。このような問題に対し、従来では核酸分子
がアニオン性であることに着目し、カチオン性
のポリマーやリポソームとの静電相互作用か
ら成るポリイオンコンプレックスがキャリア
ーとして利用されてきた。しかし siRNA は塩
基対が短いため静電相互作用によるイオンコ
ンプレックスの安定性が低いことが問題であ
り、血中投与後の安定性が懸念される。そこで
本研究ではポリカチオンとして、三次元的に架
橋したナノサイズのポリアミンゲルの外殻を
PEG で被覆したコア-シェル型ナノゲル粒子
表面の PEG 鎖は生態適合性でありポリアミ
ン毒性の低減、血中での長期滞留性に寄与する。
またコアのポリカチオン部位を架橋すること
で見かけ上ポリカチオンの分子量が大幅に増
加するため siRNA との静電相互作用の向上が
見込まれる。さらにキャリアーであるゲルの解
離、分解は起こらないため、生体内でのさらな
る長期滞留化、及びこれに伴う siRNA による
治療効果の向上が期待される。また以上の設計
に加えて siRNA との静電的結合力増大と細胞
内取り込み量増大を狙い、ポリアミンゲル中の
三級アミノ基を四級化することで、pH によら
ずカチオン性を示すナノゲル誘導体を調製し、
細胞内への siRNA 導入量、RNAi 活性の比較を
行った。
(2)PEG 化ポリアミンナノゲルの作製
既報に従いα-acetal-ω-vinylbenzyl PEG マクロ
モノマー(Mn=7,870)とメタクリル酸ジエチ
ルアミノエチル(EAMA)の乳化重合によりナ
ノゲル粒子を合成した。得られたナノゲル粒子
の粒径は、動的光散乱(DLS)により、約 80nm
と求められた。また非架橋のキャリアーである
acetal-PEG-b-PEAMA ブロックポリマー
(PEG:Mn=7,470, PEAMA:Mn=16,700)を比較対
照として合成した。ナノゲルコアにあるアミノ
基の四級化は過剰量のヨウ化メチルとの反応
で行った。
140
15
130
10
120
5
110
0
100
-5
90
-10
80
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
ζ-Potential (mV)
Mean Diameter (nm)
(3)PEG 化ポリアミンナノゲルと siRNA の
コンプレックス化
ゲル内部に三級アミノ基を有するナノゲル
と siRNA とのコンプレックス形成に関して、
N/P 比を変化させゲル電気泳動を行った結果、
N/P=1.5 にて完全にフリーの siRNA のバンドが
消失しコンプレックス形成が確認できた。この
N/P=1.5 という値はブロックポリマーを用いた
場合と全く同様であった。またサイズの N/P
比依存性を調べた結果、もとのナノゲルのサイ
ズが 80 nm であるのに対し N/P=0.5 では 120 nm
に増大し siRNA をコアに内包していることが
示唆された(図 27)。また N/P=1.5 よりサイズ
の減少傾向が確認でき、これはナノゲル一粒子
当たりに担持される siRNA 量が減少するため
と推測される。ゼータ電位は低 N/P 比では多く
の siRNA を担持するためマイナスの値を示す
が、N/P>2 では+1 mV と一定の値を示した。一
方、全てのアミノ基を四級化することで固定電
荷を持たせた四級化アミンナノゲルと siNRA
とのコンプレックス形成挙動は、ゲル電気泳動
においては N/P=1 でフリーの siRNA のバンド
が消失し、siRNA との静電的結合力の増大が認
められた。また四級化ナノゲル-siRNA コンプ
レックスのゼータ電位は N/P>3 で一定のゼー
タ電位(+25 mV)を示した。
-15
N/P Ratio
図 27 PEG 化ポリアミンナノゲル(3級)/siRNA
コンプレックスの粒径(●)
、およびゼータ電位(△)
の N/P 比依存性
(4)PEG 化ポリアミンナノゲルを用いる
siRNA の細胞内デリバリー
HuH-7 細胞を用いて蛍光ラベル化 siRNA の細
胞内導入量を FACS 測定により定量化した。
N/P=3 において三級アミンナノゲルを用いた
場合の siRNA 導入量は培養細胞への siRNA 導
入試薬として市販されている Oligofectamine の
三分の一程度であることがわかった。一方、四
級化ナノゲルを用いた場合は、N/P 比依存的に
導入量の上昇がみられ、N/P=3 では三級アミン
ナノゲルの 25 倍以上の取り込みが確認できた。
これはゲル内部に導入した電荷が細胞膜との
相互作用を高め効果的に siRNA を導入できる
ためだと推測される。
Dual Luciferase Assay による RNAi 活性の N/P
比依存性をブロックポリマー、各ナノゲルに関
して調べた結果、三級アミンナノゲルの場合は
N/P=1.5 より有意な RNAi 活性を示し、N/P=3
では 70%の遺伝子発現抑制効果を示した(図
28)。この値は Oligofectamine と同等かそれ以
上であった。一方、ブロックポリマーを用いた
場合には、siRNA 濃度、N/P 比を変化させても
全く RNAi 活性が確認できなかった。これは細
胞内に siRNA が導入されていないということ
が明らかとなり、血清培地中での不安定性が予
想され、架橋構造を有するナノゲルが siRNA
キャリアーとして優位であるとわかった。また
四級化ナノゲルを用いた場合は N/P=3 で 38%
の発現抑制効果しか示さず、明らかに細胞内
siRNA 導入量とは相関の取れない結果となっ
た。すなわち、細胞内への siRNA の導入量の
みならず、細胞内において RNAi を発現までの
効率的経路を辿るキャリアーの設計が重要だ
と言える。三級アミンナノゲル-siRNA コンプ
レックスのゼータ電位が+1 mV と低いのは
siRNA との結合に関与していないアミノ基の
プロトン化が完全には起こっていないことを
示唆しており、このためエンドソーム内におい
てプロトンスポンジ効果を誘起し効率的にエ
Normalized Firefly-Luc./Renilla-Luc. (%)
ンドソーム脱出し細胞質へ siRNA をリリース
するためと推測される。in vivo における利用を
考えた場合、標的組織への到達効率が低くても
低 N/P 比で高い RNAi 活性を示す三級アミンナ
ノゲルは有効な siRNA キャリアーとして機能
すると考えられる。
120
110
100
90
80
昇につながる。現在、胆汁酸吸着剤が高脂血症
治療薬の 1 つとして利用されている。これは経
口投与により腸管でアニオン性である胆汁酸
を静電的相互作用により吸着させ、体外に排泄
し、腸肝循環を阻害することで、血中から肝臓
へのコレステロールの取り込みを活発化させ、
血中のコレステロール値を低下させるという
ものである。しかし、吸着効率が低く、粒子の
サイズが大きいこと、さらに水に不溶であるた
めに便秘などの副作用を引き起こすことから、
患者への負担が問題となっている。
コレステロール
血管
70
60
50
40
肝臓
30
LDL受容体
アセチルCoA
20
10
0
コレステロール
0
1
2
3
N/P Ratio
4
5
ine
NA
siR ctam
fe
ke d
Na Oligo
図 28 種々の N/P 比で調製した PEG 化ポリアミンナノゲル
/ siRNA コ ン プ レ ッ ク ス の RNAi 活 性 (against firefly
luciferase gene transiently expressed in HuH-7)(○:四級
アミンナノゲル、▲:三級アミンナノゲル、■:
acetal-PEG-b-PMAEMA ブロックポリマー)[siRNA]= 100 nM
(25 pmol/well)
胆汁酸
胆嚢
胆汁酸の再吸収
吸着剤で排泄
小腸
【 9 】経口投与型胆汁酸吸着剤-高い
HDL/LDL 比を示す 4 級化ナノゲルの設計と評
価-
(1)胆汁酸吸着剤について
日本人の死亡原因のおよそ 3 割は、心疾患お
よび脳血管疾患であり、その多くは血中のコレ
ステロール値が高くなる高脂血症が原因と指
摘されている。図 29 に示したように、コレス
テロールは主に肝臓で合成される。またコレス
テロールから胆汁酸が生合成され、小腸へと流
れ込み、食事由来のコレステロールとミセルを
形成し、肝臓へ吸収される。また、胆汁酸自身
は、小腸下部で再吸収される。胆汁酸の腸肝循
環の割合が 95%以上であるため、コレステロ
ールから胆汁酸が合成されなくなる。よって、
血中からコレステロールが取り込まれなくな
るため、結果として血中コレステロール値の上
胆汁酸
図 29
胆汁酸ミセル
胆汁酸吸着剤の作用機序
これまでに我々の研究グループでは、シェル
に生体適合性の高いポリエチレングリコール
(PEG)とコアに pH 応答性ポリアミンゲルを有
するコア-シェル型ナノゲル粒子の合成につい
て報告している。このナノゲルは pH6.5 以下で
コアの 3 級アミノ基がプロトン化するため、小
腸上部(pH6 程度)ではアニオン性の胆汁酸を静
電相互作用により取り込み、また pH6.5 以上で
脱プロトン化することでコア内部が疎水性と
なるため、胆汁酸を疎水的相互作用によりタイ
トに吸着を維持することによって効果的に胆
汁酸を保持、排泄することを期待し胆汁酸吸着
実験を行った。しかしながら、脱プロトン化し
(2)高い胆汁酸吸着能を有するコア-シェル
型 4 級化ポリアミンナノゲルの創製
ナノゲルの合成は、片末端にビニルベンジル基
を有する PEG マクロモノマー(Mn=5100)を界
面活性剤とし、架橋剤としてエチレングリコー
ルジメタクリロイル、3 級アミノ基を有するメ
タクリル酸ジエチルアミノエチルを加え、乳化
共重合により行った。さらに、メタノール中、
コア部の 3 級アミノ基に対してヨウ化メチル
を 2 当量添加し、室温で 24 時間撹拌すること
により 3 級アミンを全て 4 級化した。
ポ リ エ チレ ング リ コ ー ル
+ +
+
+ +
+
(PEG)シェル
生体適合性
分散安定性
ポ リ カ チオ ンコ ア
胆汁酸結合部位
図 30
高い胆汁酸吸着能を有するコア-シェル型 4 級化ポ
pH に依存せず、プロトン化した膨潤状態の 3
級アミンナノゲルの粒径と同等であった。
200
Particle diameter [nm]
た際、予想に反して吸着した胆汁酸を放出して
しまうという結果が得られた。そこで本研究で
は、その改善策としてナノゲルのコア部に固定
電荷である 4 級アミノ基を導入することで、pH
によらず常にカチオン性コアを有するナノゲ
ルを調製し、その胆汁酸吸着特性および in vivo
における LDL-コレステロール抑制効果を評価
した。
160
4級アミンナノゲル
140
120
100
3級アミンナノゲル
80
0
5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5
pH
図 31
ナノゲル粒子粒径の pH 依存性
次にコア-シェル型ポリアミンナノゲルの胆
汁酸吸着能を評価した。コア-シェル型ポリア
ミンナノゲルのアミノ基(N=10mM)の濃度を
固定し、胆汁酸を pH6 にて混合し撹拌後、
NaOH(1M)を用いて pH8 にジャンプさせ、
HPLC により吸着量を定量した(図 32)。pH6 に
おいて、3 級アミンナノゲルはアミンがプロト
ン化しているため、静電的相互作用により胆汁
酸を効率的に吸着した。一方、pH8 においては、
3 級アミンナノゲルは脱プロトン化している
ため、収縮状態のナノゲルに胆汁酸は、ほとん
ど担持されなかった。これに対して 4 級アミン
ナノゲルは pH によらず、
高い吸着能を示した。
以上の結果から、コアを4級化したポリアミン
ナノゲルは高い胆汁酸吸着能を有しているこ
とが明らかとなった。
リアミンナノゲル
1.2
Adsorbed amount of SO3-/N [mol/mol]
これらのナノゲル粒子の物性評価として pH6
(小腸上部に相当)および pH8(小腸下部に相
当)を含む pH5.5 から pH8.4 の範囲で動的光散
乱(DLS)による粒径測定を行った(図 31)。3 級
アミンナノゲルは、小腸上部(pH6)においては
コア部のアミノ基のプロトン化により膨潤状
態であったが、小腸下部(pH8)では脱プロトン
化により収縮状態となっていた。一方、4 級ア
ミンナノゲルは、コアに固定電荷を有するため、
180
1.0
pH6.0
3級アミンナノゲル
pH6.0
0.8
pH8.0
0.6
4級アミンナノゲル
0.4
pH8.0
0.2
0.0
0
5 10 15 20
Bile Acid Concentration [mM]
図 32
コアシェル型ポリアミンナノゲルの胆汁酸吸着挙動
まうことが原因であると考えられる。また、血
清 HDL を測定した結果を図 34 に示す。他の吸
着剤がほぼ一定の血清 HDL 値を示したのに対
し、4 級アミンナノゲルを投与したマウスでは
コントロールと比較して約 3 倍もの血清 HDL
値の上昇が見られた。このようなナノ吸着剤の
投与により血清 HDL 値が上昇することは極め
て興味深い現象である。このように極めて高い
ア テ ロ ジ ェ ニ ッ ク イ ン デ ッ ク ス
(HDL-Cholesterol/LDL-Cholesterol)値を与える
4 級アミンナノゲル療法は、これまでにない高
脂血症治療薬として期待される。
250
200
150
100
50
0
0123 0123 0123 0123
Control TertiaryQuaternary Dowex
Weeks
HDL-Cho Level [mg/dL]
LDL-Cho Level [mg/dL]
(3)in vivo におけるコア-シェル型ポリアミ
ンナノゲルの LDL-コレステロール抑制効果
ICR マウス(4 週齢)に高コレステロール飼料
を自由摂取させ、高脂血症モデルマウスを作成
した。高脂血症モデルマウスに対して、調製し
た 3 級アミンナノゲル(Tertiary)、4 級アミン
ナノゲル(Quaternary)および市販のコレスチ
ラミン(Dowex 1×2)、コントロールとして生理
食塩水を 1 日 1 回(2g/kg)経口投与し、1 週間毎
の 血 清 LDL( 悪 玉 コ レ ス テ ロ ー ル ) 、 血 清
HDL(善玉コレステロール)を測定した。
300
250
200
150
100
50
0
0123 0123 0123 0123
Control TertiaryQuaternary Dowex
図 33
高脂血症モデルマウスにおける LDL コレステロール
値の変化
Weeks
図 34 高脂血症モデルマウスにおける
HDL コレステロール値の変化
各サンプルを 1 日 1 回経口投与し、1 週間毎
の血清 LDL 測定結果を図 33 に示す。4 級アミ
ンナノゲルおよび Dowex を 3 週間投与したマウ
スの血清 LDL 値は、コントロールと比較して大
きく減少していることが確認された。一方、3
級アミンナノゲルを投与したマウスの血清
LDL 値は、コントロールと比較して有意な差が
見られなかった。これは、3 級アミンナノゲル
の胆汁酸吸着実験の結果と相関し、小腸下部の
pH 上昇に伴いコアの 3 級アミノ基が脱プロト
ン化することで、吸着した胆汁酸を放出してし
【10 】 大気圧プラズマジェットを用いた高
分子ミセルの安定化
(1)高分子ミセルとその安定化について
近年、高分子ミセルを用いたドラッグデリバ
リーシステムへの注目が高まっている。その中
でも、親水性セグメントに PEG、疎水性セグ
メントにポリ乳酸(PLA)を有する PEG-b-PLA
から形成される高分子ミセルは、その高い生体
適合性と生分解性から盛んに研究が行われて
いる。コアを形成する PLA は疎水性薬物を高
効率で内包し、さらに外殻に存在する PEG は、
血中タンパク質と内包薬物との相互作用を妨
げることで、細網内皮系組織(RES)による肝
臓・脾臓への取り込みを抑制することが期待で
きる。以上の点から PEG-b-PLA は長期間血中
を滞留し、EPR 効果(Enhanced Permeability and
Retention effects)によって固形ガンへ選択的に
薬物を送達することが期待される。さらにミセ
ルコア部もしくは外殻を架橋(cross-link)する
ことでミセルの安定性が向上し、より長期間に
渡って血中を滞留することが報告されている。
しかしながら従来のミセルの架橋は、熱もしく
は光重合開始剤や架橋剤を予めミセルへ内包
させる必要があり、薬物内包容量の低下が問題
となっている。そこで本研究では、大気圧下で
低温プラズマを発生させるプラズマジェット
(LF-plasma jet) (図 35)を用いた簡便なミセルの
安定化に着目した。我々はこれまでに、プラズ
マジェットによって産生される活性種によっ
て、金微粒子の調製やポリプロピレン基板への
ポリマー修飾を報告している。さらにプラズマ
ジェットをモノマー溶液へ照射することで、重
合開始剤の添加や加熱を行なうことなく、モノ
マーの重合が進行することを見出した。本研究
ではポリ乳酸末端に重合性官能基(メタクリロ
イル基)を持つ Acetal-PEG-b-PLA-MA を用いて
高分子ミセルを調製し、そこへプラズマジェッ
トを照射することでミセルコア部の重合を誘
起し、ミセル粒子の安定性向上を図った。(図
36)
He gas
Plasma jets
Dielectric tube
LF power
図 35 大気圧低温プラズマジェットの構成
MA group
C > CAC
PLA
in water
PEG
Plasma jet
図 36 プラズマジェットによる高分子ミセルの安定化
(2)Acetal-PEG-b-PLA-MA ミセルへのプ
ラズマ照射
既報に従い Acetal-PEG-b-PLA-MA (図 37)を
合成した (PEG; Mn = 9500, PLA; Mn = 5000)。
次に透析によってミセル粒子を調製し、動的光
散乱測定により粒子径を求めたところ 44.0 nm
であった。
O
OEt
EtO
O
O
n
O
O
m
O
図 37 Acetal-PEG-b-PLA-MA
次に調製した Acetal-PEG-b-PLA-MA ミセル
溶液 5 mL (2.0 mg/mL) に対して 5-40 分間プラ
ズマ照射を行った。反応の追跡は 1H-NMR 測
定により未反応の二重結合を定量することで
行なった。その結果、プラズマ照射時間に依存
して反応率が増加し、40 分間の照射によって
約 20 %のメタクリロイル基が反応しているこ
とが確認された(図 38)。この結果から、メタク
リロイル基はプラズマ由来の活性種に対して
反応性を有していることが明らかとなった。
Converision [%]
18
16
14
12
10
8
6
4
2
0
0
10
20
30
40
Irradiation time [min]
図 38 メタクリロイル基反応率のプラズマ照射時間依存性
次 に 40 分 間 プ ラ ズ マ を 照 射 し た
Acetal-PEG-b-PLA-MA の THF 中での GPC 測定
を行った。通常 PEG-b-PLA ミセルは THF 中で
は崩壊してポリマー単独のピークを示すのに
対し、プラズマ照射後は高分子量側にピークが
見られた(図 39)。この結果はポリマーの分子量
増加を示しており、プラズマ照射によってメタ
クリロイル基の重合が進行していることが明
らかとなった。また動的光散乱によってプラズ
マ 40 分照射後のミセルの粒径を測定したとこ
ろ、プラズマ照射前と殆ど変化が無かったこと
から(51.9nm)、プラズマ照射に伴うミセルコア
部の重合において、Acetal-PEG-b-PLA-MA ミ
セルはその形状を安定に保持していることが
確認された。
4
6
8
10
12
14
16
Retention time [min]
図 39 Acetal-PEG-b-PLA-MA の GPC チャート (eluent: THF,
実線: プラズマ照射前, 破線: プラズマ 40 分照射後)
(3)プラズマ照射ミセルの安定性評価
ミセルの安定性評価は、ミセル溶液 0.5 mL
(2.0 mg/mL)に、PEG、PLA 両方に対して良溶
媒である THF を 1 mL 添加し、ミセル溶液の静
的光散乱強度を測定することで行なった。
Acetal-PEG-b-PLA、Acetal-PEG-b-PLA-MA それ
ぞれにプラズマ照射を行い、同濃度における水
中での散乱強度を 1 と規格化したときの、THF
添加時の散乱強度を図 40 に示す。この結果か
ら、ミセルコア部にプラズマ反応性を持つメタ
クリロイル基を有する Acetal-PEG-b-PLA-MA
は、プラズマ照射時間が増加するほど、有機溶
媒中での散乱強度が増加することが確認され
た。この結果は、プラズマによるミセルコア部
の重合によって有機溶媒中でもミセルが崩壊
せず、粒子の形状を保っていることを示してい
る。これに対してプラズマ反応性を持たない
Acetal-PEG-b-PLA ミセルは、プラズマ照射を
行なった後も、有機溶媒添加時における散乱強
度の有意な増加は見られなかった。以上の結果
より、大気圧プラズマジェット を
Acetal-PEG-b-PLA-MA ミセルへ照射すること
で、ミセルコア部に存在するメタクリロイル基
の重合が進行し、その結果ミセル粒子の安定性
向上が達成された。
Relative scattering intensity [a.u.]
20
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
0
20
40
Irradiation time [min]
図 40 プラズマ照射ミセルの安定性評価 (■:
Acetal-PEG-b-PLA-MA、□: Acetal-PEG-b-PLA)
<学位論文>
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
厚見 宙志:機能性ナフチリジン誘導体の創成及
び核酸一塩基蛍光識別への応用(数理物質科学研
究科、物性・分子工学専攻、修士論文、2009.3)
西尾 元彦:Effect of poly(ethylene glycol) (PEG)
densely packed layer on Fab’ fragments immobilized
on a gold surface (抗体フラグメント固定化金表面
における PEG 化密生層の効果)(数理物質科学研
究科、物性・分子工学専攻、修士論文、2009.3)
鈴木 豊一:光治療を目指した色素含有ナノゲル
粒子の創製(数理物質科学研究科、物性・分子工
学専攻、修士論文、2009.3)
角谷 省吾:ガン中性子捕獲療法を目指した PEG
化ナノ粒子の設計と評価(数理物質科学研究科、
物性・分子工学専攻、修士論文、2009.3)
中津原 均:光マクロイニファーターを用いた
PEG ブロック共重合体の合成反応解析と表面設
計へのアプローチ(数理物質科学研究科、物性・
分子工学専攻、修士論文、2009.3)
上 村
真 生 : Creation of high-performance
near-infrared excited bionanoparticles(近赤外光励起
型・高性能バイオナノ粒子の創製)
(数理物質科学
研究科、物性・分子工学専攻、修士論文、2009.3)
中村 隆仁:電磁波応答ナノメディシンを目指し
た金コロイド含有ナノゲルの創製(数理物質科学
研究科、物性・分子工学専攻、修士論文、2009.3)
窪田 大輔:かん治療を目指した abasic site 含有
siRNA の機能評価とキャリアー創製(工学基礎学
類、物性・分子工学主専攻、卒業論文、2009.3)
久保田 昌樹:核酸回収機能の向上を目指した
PEG-streptavidin 共固定化磁性粒子の創製(工学基
礎学類、物性・分子工学主専攻、卒業論文、2009.3)
室谷 憲紀:LF マイクロプラズマジェットを用い
たポリ乳酸の機能化(工学基礎学類、物性・分子
工学主専攻、卒業論文、2009.3)
山口 雄大:がんのマルチプローブを目指した機
能性高分子材料の設計と評価(工学基礎学類、物
性・分子工学主専攻、卒業論文、2009.3)
3.
4.
5.
6.
7.
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Furusho Hitoshi, Kitano Katsuhisa, Hamaguchi
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Ganguli Sumon, Yoshimoto Keitaro, Tomita
Shunsuke, Sakuma Hiroshi, Matsuoka Tsuneyoshi,
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Sakurai Yu , Hatakeyama Hiroto , Akita Hidetaka,
Oishi Motoi, Nagasaki Yukio, Futaki Shiro,
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Atsumi Hiroshi, Yoshimoto Keitaro, Saito Shingo,
Ohkuma Moriya, Maeda Misuzo, Nagasaki Yukio:
Luminescence-based Colorimetric Discrimination of
Single-nucleotide Transversions by the Combined
Use of the Derivatives of DOTA-conjugated
Naphthyridine
and
Its
Terbium
Complex.
Tetrahedron Letters: 50 2177-2180(2009)
.
Yuan Xiaofei, Yoshimoto Keitaro, Nagasaki Yukio:
High-performance Immunolatex Possessing A
Mixed-PEG/Antibody Co-immobilized Surface: High
Sensitive Ferritin Immunodiagnostics. Analytical
Chemistry: 81(4),1549-1556(2009).
Oishi Motoi, Sumitani Shogo, Bronich Tatiana K.,
Kabanov Alexander V., Boska Michael D., Nagasaki
Yukio: Novel Tumor-specific 19F-MRS/I Nanoprobe
based on pH-Responsive PEGylated Nanogel:
pH-Dependent 19F-Magnetic Resonance Studies.
Chemistry Letters: 38(2),128-129(2009).
Oishi
Motoi,
Tamura
Atsushi,
Nakamura
Takahito,Nagasaki Yukio: A Smart Nanoprobe Based
on Fluorescence-Quenching PEGylated Nanogel
Containin Gold Nanoparticles for Monitoring the
Cancer Response to Therapy. Advanced Functional
Materials: 19(6) 827-834(2009).
Yoshimoto Keitaro, Hoshino Yuki, Ishii Takehiko,
Nagasaki Yukio: Binding Enhancement of
Antigen-Functionalized
PEGylated
Gold
Nanoparticles onto Antibody-Immobilized Surface by
Increasing the Functionalized Antigen using
α-sulfanyl-ω-amino-PEG.
Chemical
Communications: 5369-5371 (2008).
Yoshimoto Keitaro, Hirase Takumi, Nemoto Seiko,
Hatta Tamao, Nagasaki Yukio: Facile Construction of
Sulfanyl-terminated Poly(ethylene glycol)-brushed
Layer on a Gold Surface for Protein Immobilization
11.
12.
13.
14.
15.
by the Combined Use of Sulfanyl-Ended Telechelic
and
Semi-Telechelic
Poly(ethylene
glycol)s.
Langmuir 24: 9623-9629 (2008).
Kamimura Masao, Miyamoto Daisuke, Saito Yu,
Soga Kohei, Nagasaki Yukio: Design of
poly(ethylene glycol)/streptavidin co-immobilized
upconversion nanophosphors and their application to
fluorescence biolabeling. Langmuir 24: 8864-8870
(2008).
長崎幸夫: 生体環境下で機能する PEG 化多孔質
無機ナノ粒子の設計と評価 高分子論文集 65:
409-415 (2008).
Yuan Xiaofei , Iijima Michihiro, Oishi Motoi ,
Nagasaki Yukio: Structure and Activity Assay of
Nanozymes Prepared by the Co-immobilization of
Practically Useful Enzymes and Hydrophilic Block
Copolymers on Gold Nanoparticles. Langmuir 24:
6903-6909 (2008).
Nagasaki Yukio: PEG-b-polyamine Stabilized
Bionanoparticles
for
Nanodiagnostics
and
Nanotherapy. Chemistry Letter 37: 564-569 (2008).
Miyamoto Daisuke, Oishi Motoi, Kojima Keiji ,
Yoshimoto Keitaro, Nagasaki Yukio: Completely
Dispersible PEGylated Gold Nanoparticles Under
Physiological Conditions: Modification of Gold
Nanoparticles
With
Precisely
Controlled
PEG-b-polyamine. Langmuir 24: 5010-5017 (2008).
<プロシーディング>
1.
2.
3.
4.
Soga Kohei, Tsuji Takashi , Tashiro Fumio, Chiba Joe,
Oishi Motoi, Yoshimoto Keitaro, Yukio Nagasaki,
Kitano Katsuhisa, Hamaguchi Satoshi Development of
NIR Bioimaging Systems. Journal of Physics:
Conference Series 106: 012023 (2008).
Kamimura Masao, Miyamoto Daisuke, Saito Yu, Soga
Kohei, Nagasaki Yukio: Preparation of PEG and
protein co-immobilized upconversion nanophosphors
as near-infrared biolabeling materials. Journal of
Photopolymer Science and Technology 21: 183-187
(2008).
Saito Yu, Shimizu Kazuaki, Kamimura Masao,
Furusho Hitoshi, Soga Kohei, Nagasaki Yukio: Plate
assay by UC emission from Y2O3: Er3+ under near
infrared excitation. Transactions of the Material
Research Society of Japan.
Nakamura Takahito, Oishi Motoi, Nagasaki Yukio:
Application of Stimuli-Responsive Nanogels for
High-Performance Nanoreactor and Nanoreservoir of
Gold Nanoparticles. Transactions of the Materials
Research Society of Japan.
5.
6.
Nagasaki Yukio, Ichino Masahiro, Yoshimoto
Keitaro: Biosurface Design for Patterned Cell Culture
Engineering. Transactions of the Materials Research
Society of Japan.
Kamimura Masao, Miyamoto Daisuke, Saito Yu, Soga
Kohei, Nagasaki Yukio: Preparation of PEGylated
upconversion nanophosphors with high dispersion
stability under physiological conditions for
near-infrared bioimaging. Transactions of the
Materials Reserch Society of Japan.
<著書>
1.
2.
3.
Motoi Oishi, Yukio Nagasaki, "Block Copolymer
Synthesis of Nanoscale Drug and Gene Delivery", in
Nanotechnology in Drug Delivery, Ed. by Melgaradt
M. de Villiers, Pornanong Aramwit, Glen S. Kwon,
Springer, New York, 2008
Daisuke Miyamoto, Yukio Nagasaki, "Highly
Stabilized Gold Nanoparticles Synthesized and
Modified by PEG-b-Polyamine ", " Nanoparticles:
New Research", Ed. by Simone Luca Lombardi , 2008,
4th Quarter, Nova Science Publishers, Inc.,
Hauppauge, NY, U.S.A.
長崎幸夫、「PEG ブラシ修飾界面」、「次世代医
療のための高分子材料工学」、秋吉一成,岸田晶
夫監修、2008 年 9 月、シーエムーシー出版、東京、
日本
<総説>
1.
2.
3.
4.
曽我公平、上村真生、長崎幸夫、「希土類含有セ
ミラックスナノ粒子によるアップコンバージョン
現象を利用した近赤外励起バイオイメージング」
応用物理、vol.77, No.12, 2008, P1458-1461
吉本敬太郎、星野裕樹、長崎幸夫、「ヘテロニ官
能性ポリエチレングリコールによる機能性金ナノ
粒子の創製」金属、vol.78(2008) No.7
長崎幸夫、「界面におけるタンパク質と PEG の機
能―ナノ表面がシャペロンになる?―」月刊バイオ
インダストリー 5 号、31-37、(2008)
長崎幸夫、「たんぱく質とPEG密生層の機能一
シャペロン様機能を有するナノ表面の設計一」日
本接着学会誌 Vol.44 .4 p149 .2008
<招待講演>
1.
2.
ナノ診断の表面設計: 長崎 幸夫.高分子学会医
用高分子研究会、産業技術総合研究所臨海副都心
センター、東京、2008.11.10.
PEG 密生層による表面エンジニアリング: 長崎
幸夫.第 25 回ナノテク部会研究会 3、東京理科大
学森戸記念館、東京、2008.7.24.
安定ラジカルを内包するコア-シェル型ナノ粒子
の設計: 長崎 幸夫.第4回物理・化学が不得手
な臨床家のための ESR セミナー、神奈川県川崎市
あさおクリニック、川崎、2008.3.20.
4. pH-Responsive
Nanoparticles
with
Electron
Paramagnetic Signals for Novel Polymeric Drug for
Anti-Oxidative Stress: Nagasaki Y.International
Symposium on Polymer Physics, JAL Resort Sea
Hawk Fukuoka, Japan, 2008.9.13.
5. Design of New Bionanoparticles with pH Responsive
Signals: Nagasaki Y.3rd Single Cell Analysis
Conference, ETH Zurich, Switzerland, 2008.9.11.
6. pH-Responsive PEGylated Nanogels as Smart
Nanodevice for Cancer Diagnosis and Therapy :
Oishi M, Nagasaki Y.236th ACS National Meeting,
Philadelphia, USA, 2008.8.21.
7. Materials Design for Functional Bionanoparticles:
Nagasaki Y . 2008 Prague Meetings on
Macromolecules, 48th Microsymposium. ML03,
Czech Republic, 2008.7.21.
8. pH-Responsive Nanogel for Biomaging, Diagnostics
and Therapy: Nagasaki Y.NanoBio Europe 2008,
Barcelona, Spain, 2008.6.10.
9. 生体高分子/合成高分子共密生層界面を有するイ
ンテリジェントセンシングデバイスの創製: 吉
本敬太郎.第 6 回ライフサーベイヤーシンポジウ
ム (2008 年 6 月 26 日,大阪大学)
10. Grafting to 法により構築される PEG 誘導体修飾
表面の不思議: 吉本敬太郎.表面技術協会ナノ
テク部会第 28 回研究会(2009 年 1 月 30 日,東京
理科大学)
3.
<国際会議>
1.
2.
3.
2009.03.05.Hiroshi A, Keitaro Y, Singo S,
OkumaMoriya, Mizuo M, Yukio N: Synthesis of
Functionalized Naphthyridine Derivatives and Its
Application for Fluorescence-Based Colorimetric
Discrimination of Single Nucleotide Transversion
International Symposium on atomic technology
(ISAT3)
3rd
Polyscale
Technology
Workshop(PTW3),
International. 1-21, Tokyo
Internaitional Exchange Center,Tokyo,Japan (2009).
2009.03.05.Atsushi T, Motoi O, Yukio N: Design and
Characterization of pH-Responsive PEGylated
Nanogels for Potential Drug Delivery Carrier.
ISAT-3/PTW-3, . International, Tokyo International
Exchange Center, Tokyo(2009).
2009.03.09Yoshitomi Toru, Mamiya Takashi, Matsui
Hirofumi, Hirayama Aki, Nagasaki Yukio: Design of
pH-Sensitive
Reduced-TEMPO-Containing-Nanoparticles (RNP-H)
for EPR Detection of Oxidative Stress The Second
International
Symposium
on
Interdisciplinary
Materials Science (ISIMS-2009), pp international,
EPOCHAL TSUKUBA, Tsukuba, Japan (2009).
4. 2009.03.05 Takahito N, Tamura A, Oishi M, Yuta J,
Kiyoto M, Ryo T, Hironobu Y, Osamu I, Yukio N:
Enhanced Cancer Photothermal Therapy and
Radiotherapy Using PEGylated Nanogels Containing
Gold Nanoparticles 3rd International Symposium on
atomic technology (ISAT3) 3rd Polyscale Technology
Workshop(PTW3), International. pp-1-14, Tokyo
Internaitional Exchange Center,Tokyo,Japan (2009).
5. 2009.02.26 Hiroshi A, Keitaro Y, Singo S, Moriya O,
Mizuo M, Yukio N: Luminescence-based Colorimetric
Discrimination of Single-nucleotide Transversions by
the Combined Use of the Derivatives of
DOTA-conjugated Naphthyridine and Its Terbium
Complex
MANA
International
Symposium
International.
PB-12,
EPOCAL
TSUKUBA,Ibaraki.japan (2009).
6. 2009.02.25.Tamura A, Oishi M, Nagasaki Y:
Cytoplasmic Delivery of siRNA Based on the Polyion
Complex with Cross-Linked Polyamine Nanogels
Directed to Enhance the Gene Silencing Efficiency
MANA International Symposium 2009 Jonitly with
ICYS,. pp.International, Epochal Tsukuba, Tsukuba,
Japan (2009)
7. 2009.02.25 Nagasaki Y: Nano-particle Assisted
Therapy
MANA
International
Symposium
2009, International, EPOCAL TSUKUBA,Ibaraki
(2009).
8. 2009.02.20 Nagasaki Y: pH-responsive Nanoparticles
with Electron Paramagnetic Signals for Novel
Polymeric Drug for Anti-oxidative Stress The 62nd
MANA/the 24th ICYS Joint Seminar, International,
Seminar Room #431, MANA Bldg., Namiki, Ibaraki
(2009)
9. 2009.01.22 Nagasaki Y: Design of Novel Biomaterials
by Nonequilibrium Atmospheric Plasma Jets
BMMP-9,
International,
Noyori
Conference
Hall,Nagoya University, Nagoya (2009).
10. 2009.01.20 Hiroshi A, Keitaro Y, Saito Singo,
OkumaMoriya,
Mizuo
M,
Yukio
N:
Fluorescence-based colorimetric discrimination of
single nucleotide transversion by the combined use of
DOTA-conjugated naphthyridine derivatives and its
terbium complex The TIMS-NTHUJoint Symposium
11.
12.
13.
14.
15.
16.
pp International. 10, Chemical Engineering Building
ofNTHU,Taiwan (2009)
2009.01.20 Tamura A, Oishi M, Nagasaki Y: Novel
siRNA Delivery System Based on the Polyion
Complex with PEGylated Polyamine Nanogels
Directed to Enhance the Gene Silencing Efficiency
The 2009 TIMS-NTHU Joint Symposium: Nano and
Bio-related Materials and Technology International,
National Tsing Hua University, Hsinchu, Taiwan
(2009).
2009.01.20 Nishio M, Keitaro Y, Yukio N: C-reactive
protein binding activity of Fab'/mixed-PEG
co-immobilized gold sensor surface: Characterization
by Surface Plasmon Resonance and 1251 Radiometric
Assay The TIMS-NTHU Joint Symposium, pp. 国際.
11, Chemical Engineering Building of NTHU,Taiwan
(2009).
2008.12.10 Nishio Motohiko, Yoshimoto Keitaro,
Nagasaki
Yukio:
Remarkable
Effect
of
Mixed-Poly(ethylene glycol) Tethered Chain Layer on
Antigen Binding Activity of Fab' Fragment on a Gold
Sensor Surface IUMRS-ICA2008, pp. 国際. KP19,
Nagoya Congress Center, Aichi (2008).
2008.12.10 Hoshino Yuki, Yoshimoto Keitaro,
Kimura Ryuichiro, Chiba Joe, Nagasaki Yukio:
Site-Specific and Effective Immobilization of Protein
A on a Surface via Multivalent Interaction between
Hexa-Histidine Residues and Gold IUMRS-ICA2008,
pp. 国 際 . KP3, Nagoya Congress Center, Aichi
(2008).
2008.12.10 Matsumoto shinya, Yoshimoto Keitaro,
Nagasaki Yukio: Hybridization behavior of DNA on
PEG-b-PAMA/DNA co-immobilized gold surface. In:
DNA Eotslitp (ed) IUMRS-ICA2008, pp. 国際. KP28,
Nagoya Congress Center, Aichi (2008).
2008.09.28EPR
Imaging
Biomedical
Redox
Navigation (EPR Imaging), pp. international, JAL
Resort Sea Hawk Hotel Fukuoka (2008).
<国内会議>
1.
2009.01.31 丸島愛樹, 鈴木謙介, 吉冨徹, 藤加珠
子, 鶴嶋英夫, 平山暁, 長崎幸夫, 松村明, 「脳虚
血に対する新規抗酸化療法の開発」高分子ミセル
化環状ニトロキシルラジカル化合物による脳梗塞
抑制効果の検証、第 12 回茨城血管疾患研究会, エ
ポカルつくば、茨城
2.
2009.01.14 田村篤志、大石基、長崎幸夫「PEG 化
ナノゲル粒子を用いた siRNA デリバリーの検討
と内核ポリアミン構造が細胞内トラフィッキング
へ及ぼす影響」第 20 回高分子ゲル研究討論会、東
京大学、東京(国内ポスター、P22)
3. 2009.01.14 中村隆仁、田村篤志、大石基、武内亮、
安井博宣、稲波修、長崎幸夫「金ナノ粒子含有ナ
ノゲルによる新規治療技術へのアプローチ」第 20
回高分ゲ子ル研究討論会、東京大学、東京(国内
ポスター、P21)
4. 2008.11.30 長崎幸夫「多剤耐性がんに機能する pH
応答性ナノ粒子製剤の設計と評価」第 6 回がんと
ハイポキシア研究会、広島市南区民文化センター、
広島、(国内口頭)
5. 2008.11.17 吉冨 徹、宮本 大輔、間宮 孝、松井 裕
史、平山 暁、長崎 幸夫 「生体内 ESR イメージ
ングを目指した TEMPO 内包コアシェル型ナノ粒
子の設計」日本バイオマテリアル学会シンポジウ
ム 2008、東京大学、東京(国内ポスター、SYP-16)
6. 2008.11.18 角谷 省吾、大石 基、Tatiana K. Bronich、
Alexander V. Kabanov、 Michael D. Boska、長崎 幸
夫「pH 応答性 19F-MRI プローブとして機能する
PEG 化ナノゲル粒子の調製と評価」日本バイオマ
テリアル学会シンポジウム 2008、東京大学、東京
(国内ポスター、P2-23)
7. 2008.11.18 山崎 毅、大石 基、吉田 吉行、斯波 真
理子、長崎 幸夫「コア-シェル型ポリアミンナノ
ゲルの 4 級化と胆汁酸吸着特性」日本バイオマテ
リアル学会シンポジウム 2008、東京大学、東京(国
内ポスター、P3-36)
8. 2008.10.4 長崎幸夫「高度な治療に貢献するバイ
オナノ粒子の設計と評価 第 52 回日本薬学会関東
支部大会」、 東京理科大学薬学部、野田キャンパ
ス、千葉、(国内口頭、S-V-4)
9. 2008.9.26 田村 篤志、大石 基、長崎 幸夫「siR
NAを搭載したpH対応性ナノゲル粒子による遺
伝子発現抑制」ゲルワークショップイン大阪、ホ
テルアウィーナ大阪、(国内ポスター、P32)
10. 2008.9.26 中村 隆仁、大石 基、長崎 幸夫「マル
チ刺激応答性ナノゲルリアクターを用いた金ナノ
粒子の調製と応用」ゲルワークショップイン大阪、
ホテルアウィーナ大阪、(国内ポスター、P31)
11. 2008.9.26 中村 隆仁、大石 基、長崎 幸夫「マル
チ刺激応答性ナノゲルリアクターを用いた金ナノ
粒子の調製と応用」第 57 回高分子討論会、大阪市
立大学、大阪、口頭(3T02)
12. 2008.9.25 長崎 幸夫、吉冨 徹「抗酸化ストレス能
を有する安定ラジカル内包ナノ粒子(RNP)の設計
と評価」第 57 回高分子討論会、大阪市立大学、大
阪、口頭(2V18)
13. 2008.9.25 長 崎 幸 夫 、 佐 久 間 浩 史 、 Laura
Andre-Boyet、原 暁非、吉本 敬太郎、松岡 常吉、
白木 賢太郎「PEG-g-ポリアミングラフト共重合
体」第 57 回高分子討論会、大阪市立大学、大阪、
口頭(2U16)
14. 2008.9.24 吉本 敬太郎、長崎 幸夫「PEG 誘導体
を用いる合成高分子/生体高分子共固定表面の構
築とインテリジェント界面としての展開」第 57
回高分子討論会、大阪市立大学、大阪、口頭(1W20)
15. 2008.9.24 大石 基、長崎 幸夫「細胞内環境および
シグナルに応答する PEG 化ナノゲル粒子による
バイオイメージング」第 57 回高分子討論会、大阪
市立大学、大阪、口頭(1O18)
16. 2008.9/4 吉本敬太郎、 長崎幸夫 「反応性官能基
を有する PEG ブラシ表面の構築法」、 第 2 回化
学センサー・バイオセンサーおよび計測技術合同
ワークショップ、幕張メッセ国際会議場、国内ポ
スター、PM-6
17. 2008.9/4 星野裕樹、吉本敬太郎、木村竜一朗、千
葉丈、長崎幸夫 「新しい抗体固定化用表面
‐His6 プロテイン A/PEG 共固定金表面‐」、第 2
回化学センサー・バイオセンサーおよび計測技術
合同ワークショップ、幕張メッセ国際会議場、国
内ポスター、PM-7
18. 2008.9/4 角谷省吾、大石基、Tatiana K. Bronich、
Alexander V. Kabanov、Michael D. Boska、長崎幸夫
「生体内 pH 低下部位の局所的な診断を可能とす
る 19F-MRI ナノプローブの調製とその機能評価」、
第 2 回化学センサー・バイオセンサーおよび計測
技術合同ワークショップ、幕張メッセ国際会議場、
国内ポスター、PM-8
19. 2008.7/29 上村真生, 宮本大輔, 斎藤悠, 徳善公一,
曽我公平, 長崎幸夫 (2008) 近赤外光励起型バイ
オナノ粒子の設計と機能評価 第 37 回医用高分子
シンポジウム. 26, 東京医科歯科大学 (国内)
20. 2008.7/18 松 本 慎 哉 , 吉 本 敬 太 郎 , 長 崎 幸 夫
(2008) PEG/PAMA/ssDNA 共固定化修飾金表面の
構 築 と SPR に よ る 一 塩 基 多 型 の 検 出 Biacore
Symposium Japan 2008. d-11, 品川プリンスホテル
(国内)
21. 2008.7/18 星野裕樹, 吉本敬太郎, 木村竜一朗, 千
葉丈, 長崎幸夫 (2008) Site-specific and effective
immobilization of protein A on a surface via
multivalent interaction between hexa-histidine
residues and gold for the highly oriented antibody
immobilization Biacore Symposium Japan 2008. d-10,
品川プリンスホテル (国内)
22. 2008.7/18 西 尾 元 彦 , 吉 本 敬 太 郎 , 長 崎 幸 夫
(2008) 抗体フラグメント/ポリエチレングリコー
ル (PEG) 共 固 定 化 金 表 面 の 抗 原 認 識 能 Biacore
23.
24.
25.
26.
27.
28.
29.
30.
31.
Symposium Japan 2008. d-12, 品川プリンスホテル
(国内)
2008.6/30 吉冨徹, 宮本大輔, 平山暁, 松井裕史,
間宮孝, 長崎幸夫 (2008) 安定ラジカル含有コア
シェル型ナノ粒子の設計と評価 第 24 回日本DD
S学会学術集会. 30D3-7, 六本木アカデミーヒル
ズ (国内口頭)
2008.6/30 長崎幸夫, 林寿人, 大石基 (2008) 高
い多剤耐性ガン活性を有する pH 応答性ナノゲル
キャリアの設計と評価 第 24 回日本DDS学会学
術集会. 30D4-1, 六本木アカデミーヒルズ (国内
口頭)
2008.6/27 上村真生, 宮本大輔, 斎藤悠, 徳善公
一, 曽我公平, 長崎 幸夫 (2008) PEG/streptavidin
共固定アップコンバージョン発光ナノ粒子の設計
と バ イ オ ア ッ セ イ へ の 応 用 25th International
Conference of Photopolymer Science and Technology
B4-05, 千葉大学 (国内口頭)
2008.6/26 長崎幸夫, 梅山雅也, 飯島道弘, 北野
勝久, 浜口智志 (2008) DBDプラズマによるバ
イオ表面の設計 -プラズマ処理のための材料設
計 と 評 価 - 25th International Conference of
Photopolymer Science and Technology B2-12, 千葉
大学 (国内口頭)
2008.6/20 長崎幸夫, 吉冨徹, 宮本大輔, 間宮孝,
松井裕史, 平山暁「 安定な EPR 信号を有する pH
応答性コアーシェル型ナノ粒子(RNP)の設計と
評価」第 61 回日本酸化ストレス学会学術集会. 国
立京都国際会館 アネックスホール、国内口頭
(P036),
2008.5/29 西尾元彦、平瀬匠、吉本敬太郎、長崎
幸夫、「金基板上に固定化した抗体フラグメント
の抗原認識能-PEG 密生層ブラシによる経時的
な抗体活性のふるまい-」、第 57 回高分子学会年
次大会、パシフィコ横浜、国内ポスター、(2Pe175)
2008.5/29 田村篤志、長崎 幸夫、「精密バイオコ
ンジュゲーションに寄与するヘテロ二官能性
PEG の選択的合成」、第 57 回高分子学会年次大
会、パシフィコ横浜、国内ポスター、(2Pd022)
2008.5/28 吉冨徹、宮本大輔、長崎 幸夫、「疎水
性セグメントに安定ラジカルを有する親疎水ブロ
ックポリマーの合成と pH 応筓性の EPR シグナ
ルを有するナノ粒子の設計」、第 57 回高分子学会
年次大会、パシフィコ横浜、国内口頭、(1H08)
2008.5/12 長崎幸夫、「バイオナノマテリアルの
設計」、ナノ粒子研究会第43回公開講演会、(独)
物質・材料研究機構 (NIMS) 千現地 第1会議室、
つくば、講演
4.ハイブリッド機能コア
専任教員:
山部紀久夫(数理物質科学研究科物理工学専攻・教授)
蓮沼 隆 (数理物質科学研究科物理工学専攻・講師)
大学院生 徳河 唯(数理物質科学研究科 D2)
田村知大(数理物質科学研究科 D1)
染谷 満(数理物質科学研究科 D1)
大沢敬一朗(数理物質科学研究科M2)
呂 釗(数理物質科学研究科M2)
杉村総太郎(数理物質科学研究科M2)
林 倫弘(数理物質科学研究科M2)
鎌田 勝也(数理物質科学研究科M1)
野村 豪(数理物質科学研究科M1)
佐藤慎九郎(数理物質科学研究科M1)
本コアでは、ナノエレクトロニクスの基盤技術と
して、ナノテクノロジー固有技術とそれに融合す
るシリコン集積回路のナノ構造制御技術を構築し
ている。ここでは、有効な絶縁膜として使用され
ている絶縁膜であるシリコン酸化膜のナノレベル
の制御性向上によって高められたその絶縁特性に
ついて報告する。
【1】 シリコン酸化膜の絶縁特性とシリコン表
面の原子的平坦性との関連
シリコン単結晶表面を 900℃程度の高温の酸化
性雰囲気で成長させたシリコン酸化膜に一定電流
2
10 nm
w/o ann.
))
F
- 1
1
(
n
l- 0
(
n
l(
-1
,l
l -2
u
b
ie
-3
W
1A/cm2
0.5
0.2
0.1
0.05
0.02
0.01
0.005
0.002
0.001
0.0005
0.0002
-4
1
図1
10
QBD (C/cm2)
100
膜厚 10nm 程度のシリコン酸化膜の経時
絶縁破壊寿命分布。
のストレスを印加したときの経時絶縁破壊
(TDDB:Time dependent dielectric breakdown)特
性を図 1 に示す。Czochralsky 法によるシリコン
基板に存在する結晶欠陥の一つである 0.1μm 程
度の空洞(COP:Crystal originated particles)の
影響を排除して、
膜厚 10nm 程度のシリコン酸化膜
をゲート絶縁膜とする多数の MOS キャパシタを用
いて、0.2mA-1A/cm2 の広範囲のストレス電流を印
加して、それぞれの MOS キャパシタの絶縁破壊寿
命が測定された。図のように、短時間寿命を示す
偶発破壊がほとんどなくなり、多くの摩耗破壊が
起こっており、寿命分布を示し、傾き 5 以上の大
きなものとなっている。
摩耗破壊は、シリコン酸化膜の物性的に支配さ
れ、もはや改善の余地のないものであるかどうか
は、絶縁膜技術にとって重要な判断となる。その
検討結果は、他の新しい絶縁膜に対しても、高信
頼化などに多大な影響をもたらすと期待される。
MOS 構造を使って、シリコン酸化膜に電流スト
レスを印加すると、初期に絶縁破壊することはな
くても、時間の経過とともに絶縁破壊するものが
現れる。ちょうど、金属棒を折り曲げると、一回
では切断されなくても、折曲げを何回も繰り返す
と、ついには切断に至ることがあり、この現象と
類似しており、劣化が時間とともに進行している
ことを示すものである。
絶縁破壊は、MOS 構造のゲート電極下、全体で
はなく、局所的に起こる。つまり、電流ストレス
に対してもっとも脆弱なところで起こる。
ここで、
最弱点の発生について、二通りのことが考えられ
る。つまり、一つは、もともと何らかの因子が存
在し、そこが最弱点につながったとする説、いま
一つは、高電流ストレスがかかっているシリコン
酸化膜の内部全体で、粒状に劣化が進行し、その
劣化粒密度が高くなって互いがつながり、上限電
極間をつなげるとする説が考えられる。前者の因
子としては、シリコン酸化膜の表面・界面のラフ
ネスあるいは膜厚の均一性があげられ、後者の因
子としては、劣化粒があげられる。
0.025
Deg.Rate (Vcm2/C)
8nm
図 2 シリコン酸化膜に高電界ストレス印加時
の膜中の劣化モデル。
Ox-2
Ox-1
Ox-3
0.015
0.005
0.1
1
Stress Current density (C/cm2)
図 4 劣化速度のストレス電流依存性。
図 3 定電流ストレス印加下での印加ゲート電
圧の注入電荷量(電流 x 時間)依存性。
シリコン酸化膜に高電流ストレスを印加したと
き、膜中には、正負の電荷が捕獲され、絶縁破壊
と大きく関連していることが知られている。これ
までの研究報告では、平均的な捕獲量や分布が議
論されてきた。しかし、上述のように、絶縁破壊
の局所性を考慮すると、電荷捕獲が電極面内に不
均一に進行すると考えることができる。実際、捕
獲電荷による不均一なエッチングの結果を考慮す
ると、図 2 のように、劣化つまり電荷捕獲は平均
成分と二次元分布成分を有し、ストレス印加とと
もに、二次元分布成分も成長し、平均成分との和
が、絶縁破壊に対するしきい値に達すると絶縁破
壊すると考えることができる。
このモデルに従えば、絶縁破壊寿命を延ばすた
めの戦略として、2 つのことが考えられる。つま
り、①平均成分の増大を抑える。②二次元分布に
よる不均一さを抑える。もちろん、①と②ともに
成立すれば、最良である。
高電流ストレス印加時に、膜中に正や負の電荷
が捕獲されると、内部電界が変化する。陰極近傍
の電界によって決まるリーク電流を一定に保つた
めには、印加電圧を変化させる必要がある。した
がって、定電流ストレス印加時のゲート電圧の変
化には、シリコン酸化膜中の電荷捕獲の変化が反
映される。図 3 は、膜厚 10nm の熱酸化シリコン酸
化膜に 0.5mA/cm2 の定電流ストレス印加時のゲー
旦減少し、その後増加に転じ、後半は、ほぼ一定
の傾きをもって、変化している。定電流ストレス
印加時の大半は、
直線的な変化で占められている。
また、変化量も、直線領域で劣化を支配している
ということができる。直線領域の傾きは、劣化速
度と定義することができる。劣化速度は、平均的
な成分を表す。 図 4 は、膜厚約 8nm の三種類の
成膜法(Ox-1、Ox-2、Ox-3)によるシリコン酸化膜
の劣化速度の印加ストレス電流依存性を示したも
ので、
いずれのストレスにおいても、
劣化速度は、
全測定領域で Ox-3 がもっとも低い値を示してい
Ox-1
Ox-2
Ox-3
平均成分
(劣化速度)
○
△
◎
二次元分布成分
(SiSuR)
△
○
◎
絶縁破壊の
平均寿命
△
○
◎
表面・ 界面ラフネ
ス の算術平均
△
◎
◎
表 1 三種類の成膜法によるシリコン酸化膜の
特性比較。
る。
劣化が、膜中の捕獲電荷と密接な関係にあるこ
とは述べたが、エッチングの不均一さとして評価
できる方法を開発し、不均一さの指標とした。
異なる成膜法によるシリコン酸化膜に対して、
上記評価法を適用した結果を示す。
上述のように、絶縁膜の特性劣化は、膜中の電
荷捕獲と深く関連していることが知られている。
シリコン酸化膜の化学エッチングは、溶液中の陰
イオンとの反応である。膜中の捕獲電荷は、化学
エッチング時のエッチング速度に変化を与える。
これらを考え合わせると、もし、膜中の捕獲電荷
が二次元分布をしていると、化学エッチングの速
度は、局所的に変化する。つまり、化学エッチン
グ時のシリコン酸化膜表面のラフネスには、捕獲
電荷の二次元分布が反映されていることになる。
この原理により、上記の高電界ストレス印加時の
二次元分布成分を評価することができる。言い換
えると、印加ストレス量や膜質による二次元的な
ムラを相対的に評価することができる。このよう
な二次元分布成分の評価方法を SISuR(Stress
Induced oxide Surface Roughness の略)と呼ぶ。
SISuR の原理に基づき、三種類の成膜法による
シリコン酸化膜 Ox-1 -Ox-3 の相対的な二次元分
布の程度を表す SISuR の rms(root mean square)
は、それぞれ 0.11, 0.10, 0.07nm であった。つ
まり、劣化分布の均一性は、Ox-3 がもっとも高い
ことを示している。
膜厚 8nm 程度のシリコン酸化膜に高電界を印加
した際の、平均的な劣化速度を表す劣化速度と、
二次元分布の程度を表す SISuR の rms 値、ともに
Ox-3 が三種類のシリコン酸化膜の中で最良の値
を示した。一方、定電流ストレスに対する経時絶
縁破壊寿命 TDDB の摩耗破壊領域の平均寿命は、
Ox-1(20 C/cm2)、Ox-2(26 C/cm2)、Ox-3(32 C/cm2)
であり、Ox-3 がもっと高い信頼性を有し、平均的
な膜質、二次元分布成分が、高信頼性の有力な根
拠となっていることが分かる。そこで、表 1 に示
すように、三種類のシリコン酸化膜の 3 つの特性
について比較してみると、
絶縁破壊の平均寿命は、
劣化速度よりも、二次元分布の大きさの順序に従
っていることが分かる。
二次元分布の起源として、いろいろなことが想
定されるが、膜厚均一性は、その一つとして挙げ
られる。そこで、それぞれのシリコン酸化膜の表
面・界面のラフネスを評価した。その結果を表 1
に示した。これらの比較から、摩耗破壊における
平均絶縁破壊寿命は、二次元分布成分を低減し、
均一性向上することが極めて有効であることが分
かる。
今後の計画
絶縁膜の信頼性は、ナノ構造と密接に関連して
いることが明らかになった。しかし、今までのと
ころ、多くは統計的な対応であり、微視的な対応
には至っていない。今後は、原子論的な対応関係
を明らかにしていくことにより、さらに、信頼性
の高いシリコン酸化膜の技術開発につなげていき
たい。
<学位論文>
・
大塚文雄「微細 CMOS トランジスタの高性能化と評価技術の
研究」(数理物質科学研究科電子・物理工学専攻 博
士論文、2009 年 2 月).
・
大沢敬一朗「原子的平坦なシリコン表面の熱酸化時の
凹凸成長」(数理物質科学研究科電子・物理工学専攻
修士論文、2009 年 3 月).
・
杉村聡太郎「高誘電率金属酸化物の電界印加下での電
気的特性」(数理物質科学研究科電子・物理工学専攻
・
・
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6. N.Umezawa,
K.Shiraishi,
Y.Akasaka,
A.Oshiyama,
修士論文、2009 年 3 月).
S.Inumiya, S.Miyazaki, K.Ohmori, T.Chikyow, T.Ohno,
林倫弘「High-k ゲート絶縁膜の伝導機構と絶縁破壊寿
K.Yamabe, Y.Nara, K.Yamada, "Chemical controllability of
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7. M.Sato, K.Yamabe, K.Shiraishi, S.Miyazaki, K.Yamada,
C.Tamura, R.Hasunuma, S.Inumiya, T.Aoyama, Y.Nara,
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<論文>
temperature
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instabilities
in
high-k/metal
gate
stack
Dependent Dielectric Breakdown Lifetime Prediction in
High-k/Metal Gate Stack p-Type Metal-Oxide-Silicon Field
<講演>
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3326-3331 Part: Part 1 (2008).
1. K.Yamabe,
2. Jun Chen, T.Sekiguchi, N.Fukata, M.Takase, T.Chikyo,
K.Murata,
A.Uedono,
T.Hayashi,
K.Shiraishi,
T.Tamura,
N.Umezawa,
M.Sato,
T.Chikyow,
K.Yamabe, R.Hasunuma, M.Sato, Y.Nara, K.Yamada,
H.Watanabe, Y.Nara, Y.Ohji, S.Miyazaki, K.Yamada and
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R.Hasunuma,
metal-oxide-semiconductor capacitors with hafnium silicon
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物理分科会/シリコンテクノロジー分科会共催特別研
Thin Films for Future ULSI Devices-Science and Technology
究会.
5. M.Sometani,
R.Hasunuma,
M.Ogino,
(IWDTF-08), 5-7, Nov. 2008, Tokyo, Japan,, The Japan
5. 林倫弘、田村 知大、中村 源志、 赤坂 泰志、蓮沼 隆、
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応用物理学会薄膜・表面物理分科会/シリコンテクノロ
application of high electric stress", 2008 International
ジー分科会共催特別研究会.
Workshop on Dielectric Thin Films for Future ULSI
6. 村田晃一、田村 知大、林 倫弘、佐藤 基之、蓮沼 隆、
Devices-Science and Technology (IWDTF-08), 5-7, Nov.
山部 紀久夫、 「ゲート電極形成後の熱処理による
2008, Tokyo, Japan,, The Japan Society of Applied Physics,
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、
(2008 年1 月14、
15 日)、
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応用物理学会薄膜・表面物理分科会/シリコンテクノロ
7. K.Kamata, R.Ozaki, R.Hasunuma and K.Yamabe, "The effect
of infiltration on atomic step flow", First International
Symposium
on
Interdisciplinary
Materials
Science
(ISIMS-2008) March 13-14, 2008, Tsukuba.
ジー分科会共催特別研究会.
7. 佐藤基之,田村知大,蓮沼 隆,山部紀久夫,白石賢二,
宮崎誠一,山田啓作,青山敬幸,奈良安雄,大路 譲 、
HfSiON / TiN ゲートスタック pMOSFET の信頼性劣化モ
"Dielectric
デル-ゲートファーストとゲートラストプロセスの
characteristics of SiO2 film formed by radical oxygen", First
TDDB と NBTI 特性の相違-、2008 年秋季 第 69 回応用物
International Symposium on Interdisciplinary Materials
理学会学術講演会、9 月 2~5 日、中部大学.
8. S.Okamoto,
R.Hasunuma
and
K.Yamabe,
Science (ISIMS-2008) March 13-14, 2008, Tsukuba.
8. 山部紀久夫、シリコン酸化膜高信頼化の過去、現在、未
来、 2008 年秋季 第 69 回応用物理学会学術講演会、9
国内会議
月 2~5 日、中部大学.
1. 蓮沼隆、田村知大、林 倫弘、佐藤基之、 山部紀久夫、
9. 徳田規夫,小倉政彦,梅沢 仁,山部紀久夫,大串秀世,
「HfSiON 膜中の欠陥と電気特性に見られるその影響」、
山崎 聡、マイクロ波プラズマ中のダイヤモンド(111)
(2008 年 1 月 14、15 日)、p149-154、応用物理学会薄膜・
膜の成長とエッチング、2008 年秋季 第 69 回応用物理
表面物理分科会/シリコンテクノロジー分科会共催特
学会学術講演会、9 月 2~5 日、中部大学.
別研究会.
2. 岡本真一、蓮沼隆、山部紀久夫、 「ラジカル酸化膜の
10. 林倫弘、田村知大、菊地裕樹、佐藤基之、蓮沼隆、山部
紀久夫、High-k 膜表面に観察される高電解ストレス印
絶縁破壊特性」、(2008 年 1 月 14、15 日)、p333-336、
加時の電流ステップの痕跡、2008 年秋季 第 69 回応用
応用物理学会薄膜・表面物理分科会/シリコンテクノロ
物理学会学術講演会、9 月 2~5 日、中部大学.
ジー分科会共催特別研究会.
11. 大沢敬一朗、林優介、木暮洋輔、荒木浩司、磯貝宏道、
3. 田村知大、林 倫弘、村田 晃一、犬宮 誠治、佐藤 基之、
竹田隆二、松下嘉明、蓮沼隆、山部紀久夫、原子的平坦
蓮沼 隆、 山部 紀久夫、 「窒素添加が HfSiOx の NBTI
シリコン表面の熱酸化膜のラフネス変化、2008 年秋季
に与える影響」、(2008 年 1 月 14、15 日)、p337-342、
第 69 回応用物理学会学術講演会、9 月 2~5 日、中部大
学.
12. 染谷満, 蓮沼隆, 山部紀久夫、TEOS-SiO2 における捕獲
連合講演会、3 月 31 日~4 月 2 日、筑波大学.
22. 林 倫弘,田村知大,村田晃一,犬宮誠治,蓮沼 隆,
電荷の二次元的観察、2008 年秋季 第 69 回応用物理学
山部紀久夫、HfSiON 膜の低温域リーク電流、2008 年春
会学術講演会、9 月 2~5 日、中部大学.
季 第 55 回応用物理学関係連合講演会、3 月 31 日~4
13. 呂釗、佐藤慎九郎、蓮沼隆、山部紀久夫、ラジカル酸化
月 2 日、筑波大学.
と熱酸化によるシリコン酸化膜の膜質制御、2008 年秋
23. 野村 豪,染谷 満,杉村聡太郎,蓮沼 隆,山部紀久
季 第 69 回応用物理学会学術講演会、9 月 2~5 日、中
夫、HfO2 のマイクロ結晶形成による薄膜の電気伝導変
部大学.
化観察、2008 年春季 第 55 回応用物理学関係連合講演
14. 杉村 聡太郎,今井 基晴, 知京 豊裕, 上殿 明良, 蓮沼
会、3 月 31 日~4 月 2 日、筑波大学.
隆, 山部 紀久夫、多結晶 HfO2 の電気伝導機構、2008
24. 陳君,関口隆史,高瀬雅美,深田直樹,知京豊裕,蓮沼
年秋季 第 69 回応用物理学会学術講演会、
9 月 2~5 日、
隆,山部紀久夫,佐藤基之,奈良安雄,山田啓作、EBIC
中部大学.
15. 田村知大 1, 林倫弘 1, 大毛利健治 2, 蓮沼隆 1,3, 山部
紀久夫、PDA 温度が HfSiOx の電気的特性経時劣化へ与
える影響、2008 年秋季 第 69 回応用物理学会学術講演
会、9 月 2~5 日、中部大学.
による pMOS と nMOS のリーク挙動の比較、2008 年春季
第 55 回応用物理学関係連合講演会、3 月 31 日~4 月 2
日、筑波大学.
25. 山部紀久夫,荒木浩司,磯貝宏道,竹田隆二,松下嘉明,
大沢敬一朗,木暮洋輔,蓮沼 隆、極薄シリコン酸化膜
16. 大沢敬一朗, 林優介, 蓮沼隆, 山部紀久夫、熱酸化によ
の均一形成(3)--- シリコン単結晶表面のステップ/テ
る Si(111)ステップテラス構造のモフォロジー変化、ア
ラス構造制御、2008 年春季 第 55 回応用物理学関係連
トミック/ポリスケールテクノロジー連携研究会
合講演会、3 月 31 日~4 月 2 日、筑波大学.
(8/21-23、2008).
26. 大沢敬一朗,木暮洋輔,荒木浩司,磯貝宏道,竹田隆二,
17. 鎌田 勝也, 尾崎 亮太, 蓮沼 隆, 山部 紀久夫、超低溶
松下嘉明,蓮沼 隆,山部紀久夫、極薄シリコン酸化膜
存酸素純水中における原子ステップフロー制御、アトミ
の均一形成(2)---Si(100),Si(110)表面に形成した熱酸
ック/ポリスケールテクノロジー連携研究会(8/21-23、
化膜の凹凸、2008 年春季 第 55 回応用物理学関係連合
2008).
講演会、3 月 31 日~4 月 2 日、筑波大学..
18. 野村豪, 染谷満, 田村知大, 蓮沼隆, 山部紀久夫、絶縁
27. 蓮沼 隆,大沢敬一朗,木暮洋輔,増山浩平,岡本純一,
材料 HfO2 薄膜中微結晶粒近傍の導電性の二次元分布評
山部紀久夫、極薄シリコン酸化膜の均一形成
価、アトミック/ポリスケールテクノロジー連携研究会
(1)---Si(111)表面に形成した熱酸化膜の凹凸、2008 年
(8/21-23、2008).
春季 第 55 回応用物理学関係連合講演会、3 月 31 日~4
19. Zhao Lu,岡本真一,徳河 唯,蓮沼 隆,山部紀久夫、
月 2 日、筑波大学.
高電界ストレス下でのシリコン酸化膜の劣化速度、2008
28. 染谷 満,杉村聡太郎,蓮沼 隆,山部紀久夫、空間電
年春季 第 55 回応用物理学関係連合講演会、3 月 31 日
荷の移動によるイットリア安定化ジルコニア単結晶の
~4 月 2 日、筑波大学.
導電性変化、2008 年春季 第 55 回応用物理学関係連合
20. 田村知大 1,林 倫弘 1,村田晃一 1,佐藤基之 1,2,蓮
講演会、3 月 31 日~4 月 2 日、筑波大学.
沼 隆 1,3,山部紀久夫、HfSiOx のしきい値電圧劣化に
29. 徳田規夫,竹内大輔,梅沢 仁,山部紀久夫,大串秀世,
対する PDA 効果、 2008 年春季 第 55 回応用物理学関係
山崎 聡、熱混酸による原子的平坦ダイヤモンド(111)
連合講演会、3 月 31 日~4 月 2 日、筑波大学.
表面のラフニング、2008 年春季 第 55 回応用物理学関
21. 村田晃一,田村知大,林 倫弘,佐藤基之,蓮沼 隆,
山部紀久夫、TiN/HfSiON における電子伝導に寄与する
欠陥準位の同定、2008 年春季 第 55 回応用物理学関係
係連合講演会、3 月 31 日~4 月 2 日、筑波大学.
5.量子制御コア
専任教員:
大塚洋一(数理物質科学研究科物理学専攻・教授)
神田晶申(数理物質科学研究科物理学専攻・講師)
大学院生 山岸徹(M2)
、乾由美子(M1)、田中翔
(M1)、初見慎也(M1)
量子制御コアでは、金属クラスター、カーボン
ナノチューブ、グラファイト超薄膜、微小超伝導
体、単原子接合など様々なメソ~ナノスコピック
構造の電子輸送現象を中心に研究を行っている。
アトミックテクノロジー推進事業では、MBJ を用
いた単一分子接合系の電気伝導の研究、マイクロ
SQUID の開発、東京理科大学基礎工学部谷口研究
室と微細加工技術の開発と応用の研究を行ってい
る。
コンダクタンスの急激な減少がみられる。
【 2 】トンネル接合型マイクロ SQUID の開発
素の可視化技術の開発の一環として高抵抗の微
小トンネル接合を用いた小型 SQUID の開発を進
めた。前年度までに 2μm 四方のリングをもつマ
イクロ SQUID の基礎特性を明らかにし、今年度
はやや大きなリングをもつ素子の特性を調べた後、
これを微小な磁性体の磁化測定に応用した。
SQUID素子は電子線リソグラフィーとAlの斜
め蒸着法によって作製した。リングの有効面積は
4, 204, 404 (μm)2 の3種、接合面積は約 0.01(μ
m)2、接合抵抗は 10~280 kΩであった。希釈冷
【 1 】MBJ 法による単分子伝導の研究
(1)超伝導 MBJ による伝導チャネル解析
昨年度までにニオブ及び鉛を電極とした水素分
子架橋系の電気伝導特性を調べてきた。その結果
を低温物理学国際会議他で発表した。多重アンド
レーエフ反射に基づくチャネル解析のベンゼン分
子架橋系へ適用すべく実験を開始した。
(2)グラファイトナノコンタクトの電気伝導
多様な機能設計が可能な有機分子の単分子接合
系は分子デバイスの観点で多くの興味が持たれて
いる。しかし、これまでに行われた実験では、共
役分子系についても伝導度が著しく低く、応用の
観点からは大きな問題となる。この抵抗の原因は
電極金属とのリンク部にあると考えられ、分子の
みならず電極材料の選定が必要となる。我々は通
常電極に使用される金や白金の代わりに炭素同位
体であるグラファイトを電極に使用できないかと
考え、その予備実験を行ない以下の知見を得た。
(1)電極間隔の変化に伴うコンダクタンスの変化
は金属のナノコンタクトに比べ桁違いに少ない。
ただし、グラファイトの層間を剥離する方向に破
断するほうが層に垂直に破断する場合より変化は
大きい。
(2) IV 特性には非直線性が見られ、微分コンダク
タンスはほぼバイアス電圧に比例して増加する。
また、高抵抗接合ではゼロバイアス付近で大きな
20μm
SQUID (20x20 um)
図1:
(上)マイクロ SQUID(円中)によるクロムカリ明
礬微結晶(60μm×50μm×60μm、上部影)の磁化測定と
(下)得られた磁化曲線(104mK 以上の結果は常磁性体
の磁化曲線(ブリルアン関数)で記述できる。45mK での
異常は反強磁性転移によるものと理解できる。
凍温度域での測定の結果、いずれの素子も電圧ゼ
ロの超伝導分枝はなく低電流領域でも有限の抵抗
を有し、その抵抗値は垂直磁場に対して周期的に
変化した。そこで、常磁性塩であるクロムカリミ
ョウバン(CPA)の微結晶(質量約 0.3μg)を小型
SQUID の近傍に置き、磁場を SQUID 面にほぼ
水平な方向で掃引した。試料の誘導磁化によって
生じる垂直磁場のために SQUID 素子の抵抗は周
期的に変動し、これを解析することによって試料
の磁化を求めることができる。実験の結果、
100mK 以上の温度領域では J=3/2 のブリルアン
関数とほぼ一致する等温磁化曲線と Curie-Weiss
型磁化率を得るとともに、約 70mK 以下では反強
磁性転移に伴う磁化曲線及び帯磁率の構造が見ら
れた。
このように今回作製した小型 SQUID は 0.1
μg オーダーの微小磁性体の帯磁率および磁化過
程の測定に十分利用できることが示された。
また、
測定時の熱発生はブリッジ型マイクロ SQUID よ
りけた違いに少なく、試料への熱的影響を与えず
に測定できるという利点を有する。また、超伝導
転移温度の高い Nb を利用した小型 SQUID 作製
のために、超高真空 Nb 蒸着装置を立ち上げた。
【 2 】単層・多層グラフェンの電気伝導
(1)グラフェンの移動度とバンドギャップエン
ジニアリング
高速応答を目指した薄膜トランジスタ材料とし
て単層・多層グラフェンの電気伝導を調べた。単
層・多層グラフェンは、移動度の高さ、素子作製
の自由度の高さにより新たな 2 次元電子材料とし
ての可能性を持つことに注目し、グラフェンのデ
バイスプロセスと基礎伝導特性を検討した。
特に、
グラフェンに高効率トップゲート、バックゲート
のデュアルゲートを取り付ける方法を確立し、2
層グラフェンにおいて理論的に予測されてきた電
界誘起バンドギャップの観測に初めて成功した。
観測されたギャップ値は最大 0.5eV に達し、他グ
ループの報告値(0.01eV)よりもはるかに大きい。
また移動度が小さな試料ではバンドギャップも小
さくなることを見出した。これは、膜内の乱れに
よってギャップ内伝導が生じていることに起因す
ると考えられる。さらに、グラフェンデバイスに
おいて移動度を低減させる要因を検討した。多数
の単層・多層グラフェンの低温移動度を比較した
結果、垂直電界侵入長λ(4 層程度)と同程度以
下の厚さをもつ膜の移動度がほとんど温度依存し
ないのに対し、λより十分厚い膜の移動度が低温
で上昇した。このことは、膜上面にある吸着分子・
レジストなどの汚れとリップルが移動度を低減さ
せる主要因であることを示す。すなわち、グラフ
ェン上に付着した汚れや吸着分子を除去すること
が、基板を改良・除去することよりも、移動度の
向上には効果的である。
(2)グラフェンにおけるスピン伝導
多層グラフェンにおけるスピン伝導を検討した。
λと同程度の厚さをもつグラフェンの強磁性体接
合の非局所スピン信号の解析から、多層グラフェ
ンのスピン緩和長が単層グラフェンよりも極めて
長いことを明らかにした。これは上記の移動度の
膜厚依存とも関連し、多層膜では電子散乱の要因
が減少していることに起因すると考えられる。さ
らに、λよりも厚い膜では、スピンバルブ効果が
ゲート電圧によって変調できることを示し、その
原因が、コンタクト抵抗のゲート変調に起因する
可能性があることを指摘した。グラフェンでは
Rashba スピン軌道相互作用が極めて小さいので、
コンタクト抵抗のゲート変調がスピン依存伝導制
御に有効な唯一の方法となる可能性がある。
(3)グラフェンにおける超伝導近接効果
グラフェンの超伝導接合において、近接効果に
よる超伝導電流をゲート電圧によって変調させる
ことに成功した。単層グラフェンの場合には超伝
導電流の温度依存性は従来の short, dirty な接合
に適用される Kulik-Omelyanchuk 理論でよく説
明できることを見出した。一方で、多層グラフェ
ン(5 層以上)においては、超伝導電流は
exp(-(T/T0)2)に比例して温度低下とともに急激に
増加するが、これは従来のSNS接合の振る舞い
とは大きく異なる。理論家と検討を行い、多層グ
ラフェンの超伝導電流は、膜に垂直な方向の電界
遮蔽によって各膜が順次超伝導転移を起こすとす
るモデルでうまく記述できることを明らかにした。
(4)グラフェンへの化学修飾による新規機能性
物質の創生
グラファイト超薄膜に各種原子分子のインタ
ーカレーションや表面吸着を施すことによって新
機能性を発現させ、それをゲート電圧によって制
御することを最終目標とし、予備実験を行った。
インターカレーション(表面吸着)させる物質と
して、アルカリ金属であるカリウムを選定した。
カリウムは、バルクのグラファイトにインターカ
レート(C8K)すると極低温で超伝導となり劇
的な物性変化をもたらすことが知られている。グ
ラファイトを原子レベルまで薄くしたグラフェン
では、低次元化とゲート電界印加により、C8K
からの物性変調が期待される。特に、超伝導転移
温度の上昇やゲート変調が観測されると興味深い。
一方で、単体カリウムやC8Kは空気中で不安定
であるために、電気伝導測定用グラフェン試料の
作製プロセス、測定プロセスをカリウム試料に最
適化する必要がある。本研究では、以下に示す手
順によって、試料作製・極低温測定を行う方法を
確立した。①配線済みグラフェン試料上面にカリ
ウムを蒸着、②不活性ガスで満たしたグローブボ
ックスに試料を搬送し、必要に応じてチューブ炉
でアニール③試料を不活性ガスでシール、④試料
を低温冷却装置まで搬送、⑤低温冷却装置を真空
にし、冷却・測定を実行。4Kまでの測定で、カ
リウム蒸着によって移動度が減少すること、電荷
中性点
(キャリア密度が最小になるゲート電圧値)
がマイナスに移動することが観測された。これら
のことは、カリウムによって電子がドープされる
とともに、荷電不純物が増えることで散乱、電荷
中性点での状態密度が増えたことに起因すると考
えられる。今後、希釈冷凍機を用いて極低温測定
を行うとともに、試料作製プロセスの更なる改良
を行う予定である。
本研究は、塚越一仁、宮崎久生(産総研)
、小
高隼介、青柳克信(東工大)
、林正彦(秋田大)
、
吉岡英生
(奈良女子大)
各氏との共同研究である。
【 3 】メゾスコピック超伝導体における渦糸量
子状態の制御
サイズが超伝導コヒーレンス長や磁場侵入深さ
と同程度のメゾスコピック超伝導体では、磁場を
印加すると、バルクとは異なる特殊な超伝導状態
が出現する。我々は、Multiple-small-tunneljunction(MSTJ)法と呼ぶ独自の方法を使っ
て、新奇渦糸状態の実験的検証を行っている。M
STJ法では、メゾスコピック超伝導体の複数箇
所に SIN トンネル接合を取り付け、その箇所のト
図2:メゾスコピック超伝導正方形試料のSEM写真
と概略図
図3:電流印加による多重渦糸状態間転移を示す実
験データ.上図は印加電流、中、下図はMSTJ測
定電圧を表す.
ンネル分光から超伝導電流密度の空間分布に関す
る情報を得る。得られる情報は部分的なものであ
るが、
試料形状の対称性を考慮することによって、
渦糸状態を予測することが出来る。また、実験結
果を、理論計算結果と比較することで、実験結果
の正当性を評価できる。前年度までに、巨大渦糸
状態、多重渦糸状態―巨大渦糸状態間の転移(2
次転移)
、
非対称リングにおける1次元渦糸の存在
を実験的に明らかにしてきた。今年度は、新規渦
糸状態を磁場以外の外部パラメタによって制御す
ることを目的として実験を行った。
正方形の超伝導体にリード線を取り付け、超伝
導電流印加によって渦糸状態を制御することを試
みた。渦糸状態はMSTJ法によって検出する。
試料を図 1 に示す。希釈冷凍機を用いた測定の結
果、渦糸の侵入・排出磁場は印加する超伝導電流
に複雑に依存することがわかった。その温度依存
の詳細な解析と我々の以前の実験結果との比較か
ら、電流印加による巨大渦糸-多重渦糸状態間転
移が起こっていることを示した。また、多重渦糸
状態に電流を流し込むことで、本来縮退している
状態間の縮退を解き、かつ、電流値によって基底
状態を入れ替えることができることを明らかにし
た(図 2)。
さらに、
電流印加によって、
渦糸の排出、
導入を誘起できることも示した。これらの実験結
果は、時間依存ギンツブルグ-ランダウ理論に基
づく数値計算で再現することができる。
本研究は、M.V. Milošević, F.M. Peeters(アン
トワープ大学(ベルギー)
)
、林正彦(秋田大)各
氏との共同研究である。
至った。導電性高分子は有機デバイスへの応用の
他、Little による高温超伝導体の分子設計など基
礎物理の対象としても興味深い系である。我々は
高分子の伝導、特に極低温における伝導特性の解
明を目的として研究をスタートした。本年度は第
1 歩として、ポリチオフェン、ポリフェニレン、
ポリフルオレンを用いて薄膜試料の作製、ドーピ
ング、FET 特性の評価などの基礎的な実験を行っ
た。なお、本研究では機能性高分子コア神原貴樹
教授の協力をいただいた。
<学位論文>
・山岸徹:トンネル接合型小型 SQUID 磁力計の開発(数
理物質科学研究科、物理学専攻、修士論文、2009 年 3 月)
<論文>
1.
2.
3.
4.
5.
6.
【 5 】導電性高分子の低温電気伝導
ポリアセチレンを代表とする導電性高分子の電
気伝導度は化学ドーピングによって7桁以上も増
加する。しかし、そのような試料の伝導率も温度
の低下と共に減少し、電気抵抗は絶対零度に向け
て発散する。この意味で真に金属的な電気伝導は
得られていなかった。しかし、最近ようやく残留
抵抗比が1以上の高分子系の実現が報告されるに
7.
8.
9.
H. Goto, A. Kanda, T. Sato, S. Tanaka, Y. Ootuka, S.
Odaka, H. Miyazaki, K. Tsukagoshi, and Y. Aoyagi:
Gate control of spin transport in multilayer
graphene, Appl. Phys. Lett. 92, 212110 (2008).
神田晶申: グラフェン, 電気情報通信学会ハンドブッ
ク「知識ベース」
、S2 群 2 編ナノエレクトロニクス
神田晶申: グラフェンをめぐる展開、パリティ、2009
年 1 月号(第 24 巻第 1 号)
、pp. 33-36
T. Sato, S. Tanaka, H. Goto, A. Kanda, Y. Ootuka, H.
Miyazaki, S. Odaka, K. Tsukagoshi, Y. Aoyagi:
Observation of gate-controlled superconducting
proximity effect in microfabricated thin graphite
films, Journal of Physics Conference Series, 109,
012301 (2008).
M.
Hayashi,
H.
Yoshioka,
A.
Kanda:
Superconducting proximity effect through graphene
and graphite films, Journal of Physics Conference
Series, 109, 012014 (2008).
神田晶申、塚越一仁:グラファイト超薄膜の超伝導近
接効果、表面科学、Vol. 29, No. 5, 315-320 (2008).
T. Sato, A. Kanda, T. Moriki, H. Goto, S. Tanaka, Y.
Ootuka, H. Miyazaki, S. Odaka, K. Tsukagoshi, Y.
Aoyagi: A different type of reentrant behavior in
superconductor/thin graphite film/superconductor
Josephson junctions, Physica C 468, 797-800 (2008).
S. Odaka, H. Miyazaki, T. Moriki, T. Sato, A. Kanda,
K. Tsukagoshi, Y. Ootuka, Y. Aoyagi: Coulomb
Blockade Oscillations in Patterned Ultrathin
Graphite Films, Jap. J. Appl. Phys. 47(1), 697-699
(2008).
H. Miyazaki, S. Odaka, T. Sato, S. Tanaka, H. Goto,
A. Kanda, K. Tsukagoshi, Y. Ootuka, Y. Aoyagi:
Inter-Layer Screening Length to Electric Field in
Thin Graphite Film, Applied Physics Express 1,
034007 (2008).
10. H. Miyazaki, S. Odaka, T. Sato, S. Tanaka, H. Goto,
A. Kanda, K. Tsukagoshi, Y. Ootuka, Y. Aoyagi:
Coulomb Blockade Oscillations in Narrow
Corrugated Graphite Ribbons, Applied Physics
Express 1, 024001 (2008).
11. T. Sato, T. Moriki, S. Tanaka, A. Kanda, H.
Miyazaki, S. Odaka, Y. Ootuka, K. Tsukagoshi, Y.
Aoyagi: Gate-controlled superconducting proximity
effect in ultrathin graphite films, Physica E 40,
1495-1497 (2008).
12. A. Kanda, S. Hatsumi, R. Furugen, Y. Ootuka:
Detecting superconducting states in nanoscale
superconductors
using
multiple-small-tunnel-junction method, Journal of
Physics Conference Series, 109, 012016 (2008).
13. R. Furugen, S. Hatsumi, Y. Ootuka, A. Kanda:
Vortex states in mesoscopic superconducting
squares with engineered pinning, Journal of
Physics Conference Series, 109, 012010 (2008).
14. J. Berger, A. Kanda, R. Furugen, Y. Ootuka:
Location of flux-induced vortex, Physica C 468,
848-851 (2008).
15. R. Furugen, S. Hatsumi, Y. Ootuka, A. Kanda:
Stability of vortex states in mesoscopic
superconducting squares with artificial pinning,
Physica C 468, 1301-1304 (2008).
16. S. Hatsumi, A. Kanda, R. Furugen, Y. Ootuka, M.
Hayashi: Experimental determination of vortex
configuration in a mesoscopic superconducting
square with artificial pinning centers, Journal of
Physics, Conference Series, 150 022024 (2009).
17. Y.Ootuka, T.Yamagishi, K.Suzuki, Y.Miyagawa,
T.Maekawa and A.Kanda, A micro SQUID using
ultra-small tunnel junctions, J. Phys.: Conf. Ser. 150
Volume 150 (2009) 012033.
18. Y.Sakaguchi, F.Shimogishi, M.Watanabe, Y.Inui,
A.Kanda and Y.Ootuka, Conduction-channel
analysis of hydrogen-molecule bridge between
superconducting electrodes, J. Phys.: Conf. Ser. 150
Volume 150 (2009) 022069.
19. M. V. Milosevic, A. Kanda, S. Hatsumi, F. M.
Peeters, Y. Ootuka: Local Current Injection into
Mesoscopic Superconductors for the manipulation of
quantum states, submitted to Phys. Rev. Lett.
20. H. Miyazaki, K. Tsukagoshi, A. Kanda, M. Otani, S.
Okada: Shutting off the current in bilayer graphene,
submitted to Nat. Nanotechnol.
<著書>
1. A. Kanda, Y. Ootuka, K. Kadowaki, F.M. Peeters: Novel
Superconducting States in Nanoscale Superconductors, in
2.
"The Oxford Handbook of Nanoscience and Technology
(volume I)", to be published from Oxford University Press
(New York, Jul. 2009).
神田晶申:単層・多層グラフェンにおける超伝導近接効
果、「グラフェンの機能と応用展望」第 7 章(徳本洋志、斉
木幸一郎監修、シーエムシー出版、印刷中)
<講演>
国際会議
1. H. Goto, A. Kanda, T. Sato, S. Tanaka, Y. Ootuka, S.
Odaka, H. Miyazaki, K. Tsukagoshi, Y. Aoyagi, Spin
and Charge Transport in Multilayer Graphene, 25th
International Conference on Low Temperature
Physics, RAI Convention Center, Amsterdam,
Netherland, 2008.8.6-13
2. A. Kanda, H.Goto, S.Tanaka, T. Sato, Y. Ootuka, H.
Miyazaki, S.Okada, K. Tsukagoshi, Y. Aoyagi,
Experimental Study of Cooper-Pair Transport in
Multilayer Graphene, 25th International Conference
on Low Temperature Physics, RAI Convention
Center, Amsterdam, Netherland, 2008.8.6-13.
3. Y.Ootuka, T.Yamagishi, T.Maekawa, A.Kanda, A
micro SQUID using ultra-small tunnel junctions,
25th International Conference on Low Temperature
Physics, RAI Convention Center, Amsterdam,
Netherland, 2008.8.6-13.
4. A. Kanda, S. Hatsumi, R. Furugen, Y. Ootuka,
M.Hayashi, Experimental Determination of Vortex
Positions in a Mesoscopic Superconducting Square
with Arti cial Pinning Centers, 25th International
Conference on Low Temperature Physics, RAI
Convention Center, Amsterdam, Netherland,
2008.8.6-13.
5. Y. Ootuka, Y. Sakaguchi, F. Shimogishi, Y. Inui,
A.Kanda,
Conduction-channel
analysis
of
hydrogen-molecule bridge between superconducting
electrodes, 25th International Conference on Low
Temperature Physics, RAI Convention Center,
Amsterdam, Netherland, 2008.8.6-13.
6. M. Hayashi, H. Yoshioka, A. Kanda: Theory of
superconducting proximity effect in graphene films,
25th International Conference on Low Temperature
Physics, Amsterdam (Netherlands), 2008.8.6-13.
7. N. Kokubo, S. Okayasu, A. Kanda, B. Shinozaki:
Scanning SQUID microscope study for vortices
confined in small superconducting disks, 25th
International Conference on Low Temperature
Physics, Amsterdam (Netherlands), 2008.8.6-13.
8. A. Kanda, H. Goto, S. Tanaka, Y. Nagai, Y. Ootuka, S.
Odaka, H. Miyazaki, K. Tsukagoshi, Y. Aoyagi,
Unconventional temperature dependence of
proximity-induced supercurrent in multilayer
graphene, ICTP Conference Graphene Week 2008,
Trieste (Italy), 2008.8.25-29.
9. H. Goto, A. Kanda, S. Tanaka, Y. Nagai, Y. Ootuka, S.
Odaka, H. Miyazaki, K. Tsukagoshi, Y. Aoyagi, Long
spin coherence length in multilayer graphene, ICTP
Conference Graphene Week 2008, Trieste (Italy),
2008.8.25-29.
10. H. Goto, A. Kanda, T. Sato, S. Tanaka, Y. Ootuka, S.
Odaka, H. Miyazaki, K. Tsukagoshi, Y. Aoyagi,
Coherent spin conduction in multilayer graphene,
2008 International Conference on Solid State
Devices and Materials (SSDM2008),Tsukuba,
2008.9.23-26.
11. S. Tanaka, H. Goto, Y. Nagai, A. Kanda, Y. Ootuka,
H. Miyazaki, S. Odaka, K. Tsukagoshi, Y. Aoyagi,
Temperature dependence of critical supercurrent in
superconducting proximity effect of multilayer
graphene, 21st International Symposium on
Superconductivity
(ISS2008),
Tsukuba,
2008.10.27-29.
12. A. Kanda, K. Tsukagoshi, H. Miyazaki, H. Goto, S.
Odaka, S. Tanaka, Y. Nagai, Y. Ootuka, Y. Aoyagi:
Electron transport in single and multilayer
graphene
(invited),
2008
International
Microprocesses and Nanotechnology Conference
(MNC2008), Fukuoka, 2008.10.27-30.
13. S. Hatsumi, Y. Ootuka, A. Kanda, Effect of current
injection on vortex states in mesoscopic
superconductors, 21st International Symposium on
Superconductivity
(ISS2008),
Tsukuba,
2008.10.27-29.
14. A. Kanda, K. Tsukagoshi, H. Miyazaki, H. Goto, S.
Odaka, S. Tanaka, Y. Nagai, Y. Ootuka, Y. Aoyagi,
Electron transport in single and multilayer
graphene, 2008 International Microprocesses and
Nanotechnology Conference (MNC2008), Fukuoka,
2008.10.27-30.
15. A. Kanda: Mesoscopic Superconductivity (invited),
3rd International Autumn Seminar on Nanoscience
and Engineering in Superconductivity for Young
Scientists, Tsukiji (Tokyo), 2008.11.24-26.
16. Akinobu Kanda, Hidenori Goto, Sho Tanaka,
Yukitoshi Nagai, Youiti Ootuka, Hisao Miyazaki,
Shunsuke Odaka, Yoshinobu Aoyagi, Kazuhito
Tsukagoshi: Spin and charge transport in multilayer
graphene (invited), 13th Advanced Heterostructures
and Nanostructures Workshop (AHNW), Hawaii,
2008.12.7-12.
17. Akinobu Kanda, Hidenori Goto, Sho Tanaka,
Yukitoshi Nagai, Youiti Ootuka, Hisao Miyazaki,
Shunsuke Odaka, Yoshinobu Aoyagi, Kazuhito
Tsukagoshi, Spin and charge transport in multilayer
graphene, 13th Advanced Heterostructures and
Nanostructures Workshop (AHNW), Hawaii,
2008.12.7-12.
18. H. Ito, Y. Shibata1, S. Kashiwaya, Y. Ootuka and S.
Nomura, Optical mapping of the boundary of a
two-dimensional electron gas by a near-field optical
microscopy, International Symposium on Nanoscale
Transport and Technology 2009 -ISNTT2009-,
Atsugi(Kanagawa), 2009.1.20-23.
19. A. Kanda: Manipulation of vortex states in
mesoscopic superconductors by supercurrent
injection (invited), Workshop on Nanostructured
Superconductors, University of Antwerp, Campus
Drie Eiken, Antwerp (Belgium), Feb. 10, 2009.
20. A. Kanda: Spin and Cooper-pair transport in
multilayer graphene (invited), Okazaki Conference
2009, From Aromatic Molecules to Graphene:
Chemistry, Physics and Device Applications,
Okazaki, 2009.2.21-23.
21. Yamagishi T, Nakashima Y and Ootuka Y,
Magnetization curve measurement using a small
SQUID, 3rd International Symposium on Atomic
Technology/3rd Polyscale Technology Workshop
(ISAT-3/ PTW-3), 東京国際交流館, 2009.3.5-6.
22. Inui Y, Sakaguchi Y, Urano K, Shimogishi F,
Watanabe M, and Ootuka Y, Electrical Transport
through Hydrogen Molecular Bridges: Conduction
Channel Analysis, 3rd International Symposium on
Atomic Technology/3rd Polyscale Technology
Workshop (ISAT-3/ PTW-3), 東 京 国 際 交 流 館 ,
2009.3.5-6.
23. Toru Yamagishi, Yuna Nakashima,Youiti Ootuka,
Magnetization Measurement of Small Specimen
Using a Micro-SQUID at Very Low Temperature,
Second
International
Symposium
on
Interdisciplinary Materials Science (ISIMS-2009),
筑波国際会議場, 2009.3.9-10.
24. A. Kanda, H. Goto, S. Tanaka, Y. Nagai, Y.
Ootuka, S. Odaka, H. Miyazaki, K Tsukagoshi,
Proximity induced supercurrent in multilayer
graphene, APS March Meeting, Pittsburg (USA),
2009.3.16.
25. M.V. Milosevic, A. Kanda, S. Hatsumi, F.M. Peeters,
Y. Ootuka, Current-driven quantum switch, 2009
APS March Meeting, Pittsburg (USA), 2009.3.20.
国内会議
1. 神田晶申:超伝導-グラフェン-超伝導接合の実験的
研究(招待講演)
、超伝導・グラフェン・強磁性等接合
系に関する研究会、秋田、2008.4.16-17.
2. 坂口勇也、下岸史明、乾由美子、大塚洋一:超伝導サ
ブギャップスペクトロスコピーによる水素分子接合系
の伝導チャネル解析、ナノリンク分子の電気伝導第 4
回領域研究会、函館・花菱ホテル、2008.7.3-5.
3. 神田晶申:多層グラフェンにおける超伝導近接効果(招
待講演)
、
研究会
「不均一超伝導超流動状態と量子物理」
、
京都大学基礎物理学研究所、2008.7.31-8.2.
4. 大塚洋一:ナノサイエンスと低温:e と h の物理、ア
トミックテクノロジー三大学学生研究会、東京理科大
学長万部キャンパス、2008.8.21.
5. 初見慎也,大塚洋一,神田晶申:2×2 の微細孔を持つ
メゾスコピック超伝導体における渦糸配置の MSTJ
法による検出、日本物理学会、2008 年秋季大会、岩手
大学、2008.9.21.
6. 山岸徹,中嶋佑奈,大塚洋一:トンネル接合型マイク
ロ SQUID の開発、日本物理学会 2008 年秋季大会、
岩手大学、2008.9.21.
7. 宮崎久生,小高隼介,田中翔,後藤秀徳,神田晶申,
塚越一仁,大塚洋一:数層グラフェンの強電場下にお
ける電気伝導、日本物理学会 2008 年秋季大会、岩手
大学、2008.9.22.
8. 田中翔,後藤秀徳,長井超星,神田晶申,大塚洋一,
宮崎久生,小高隼介,塚越一仁,青柳克信:多層グラ
フェンにおける電気伝導の層数効果、日本物理学会
2008 年秋季大会、岩手大学、2008.9.22
9. 林正彦,神田晶申,吉岡英生:グラフェンにおける超
伝導近接効果の理論、
日本物理学会2008年秋季大会、
岩手大学、2008.9.20-23.
10. 大塚洋一:アトミックテクノロジー創出事業の成果:
概要説明、アトミックテクノロジー創出事業外部中間
評価、東京理科大学森戸会館、2008.9.28.
11. 山 岸 徹 , 中 嶋 佑 奈 , 大 塚 洋 一 : Continuous
Measurement of Magnetization using mini-SQUID、
学際物質科学研究会「ナノ分子磁性体の化学・物理・
応用」
、筑波大学、2008.11.28.
12. 神田晶申:劈開法で得た単層・多層グラフェンの電気
伝導特性(招待講演)
、(財) 新機能素子研究開発協会
新技術探索会議分科会、東京、2008.12.25.
13. 神田晶申:グラフェンのスピンデバイス(招待講演)
、
日本学術振興会ナノプローブテクノロジー第167 委員
会第 53 回研究会、京都、2009.1.8-9.
14. 神田晶申:劈開法で得たグラフェンの電気伝導(招待
講演)
、
「第1回 炭素系ナノ構造に関する基礎研究」
研究会、福岡、2009.1.23.
15. 神田晶申:グラフェンの伝導機構(招待講演)
、科学技
術未来戦略ワークショップ「次世代を拓くナノエレク
トロニクス~2030 年の先を求めて~」
、科学技術振興
機構 研究開発戦略センター、2009.3.9.
16. 神田晶申:ナノ構造超伝導体への局所電流注入による
磁束状態制御(招待講演)日本物理学会第 64 回年次
大会シンポジウム「ナノ構造超伝導体における磁束物
理」
、立教大学、2009.3.26.
17. 初見慎也,神田晶申,大塚洋一,M.V. Milosevic,F.M.
Peeters:正方形メゾスコピック超伝導体における局所
電流注入による渦糸状態操作、日本物理学会第 64 回
年次大会、立教大学、2009.3.28
18. 伊藤宙陛,柴田祐輔,柏谷聡,大塚洋一,野村晋太郎、
極低温近接場光学顕微鏡を用いた 2 次元電子系境界の
光応答マッピング、日本物理学会第 64 回年次大会、
立教大学、2009.3.27.
19. 宮崎久生,Seungchol Choi,小高隼介,神田晶申,塚
越一仁,青柳克信:2 層グラフェンにおける電場誘起
バンドギャップエンジニアリング、第 56 回応用物理
学関係連合講演会、筑波大学、2009.4.1
20. 小高隼介,宮崎久生,神田晶申,森田康平,田中 悟,
宮田耕充,片浦弘道,塚越一仁,青柳克信:SiC 基板
上成長の多層エピタキシャルグラフェントランジスタ、
第 56 回応用物理学関係連合講演会、筑波大学、
2009.4.1.
4.2 競争的資金獲得状況(平成 20 年度)
予算区分
種目
科学研究費補
助金
基盤(C)
科学研究費補
助金
共同研究費
共同研究費
若手スタート
アップ
東ソー
東ソー
研究助成
分析センター
奨学寄附金
科学研究費補
助金
理工学振興会
特定領域
研
究 課 題
高分子半導体のヘテロ接合形成に
基づく高効率光電気化学反応シス
テムの構築
配位結合と水素結合の共同作業に
よる分子集合体の構造制御
イミダゾール類の合成研究
有機強塩基触媒の開発
配位結合と DNA 塩基対の水素結合
を用いた分子集合体の構築
導電性を有するゲルの合成
金属錯体超分子の創成と分子認
識・外部刺激応答機能
環状パーシャルテンプレートによ
る金属クラスターの精密合成と分
子集積機能
ラセン型擬大環状構造の生成によ
る柔構造の制御を利用した集積機
能型超分子の構築
研究者
予算額
(千円)
神原貴樹
3,250
桑原純平
1,450
神原貴樹
神原貴樹
500
500
桑原純平
50
桑原純平
200
鍋島達弥
7,300
鍋島達弥
1,600
鍋島達弥
28,300
秋根茂久
1,800
山村正樹
1,100
長崎幸夫
1,885
長崎幸夫
9,360
長崎幸夫
1,430
科学研究費補
助金
萌芽研究
科学研究費補
助金
基盤研究(A)
科学研究費補
助金
特別研究促進
費
科学研究費補
助金
科学研究費補
助金
特別研究員奨
励費
新学術領域研
究
科学研究費補
助金
新学術領域研
究
科学研究費補
助金
特別研究員奨
励費
科学研究費補
助金
基盤(A)
バイオフロンティア界面の創成に
よるナノバイオマテリアルの設計
長崎幸夫
12,090
科学研究費補
助金
特定領域
遺伝子センシングを可能とするバ
イオナノ粒子の材料設計
長崎幸夫
2,600
科学研究費補
助金
若手(B)
In vivo アポトーシスの誘発と検
出を目指したコア-シェル型金ナ
ノ粒子の設計
大石基
1,690
らせん型d−f系多核錯体を基盤
とする新規な発光型自己集合体の
構築
シラノール部位を有する新規な増
感色素の太陽電池への応用
ソフトインターフェースの分子科
学
高度分子認識を目指した生体分子
と合成分子のなす超構造界面密生
層の構築
ナノ診断・治療を目指した抗体ハ
イブリッド密生層表面を有する金
ナノ粒子の創成
科学研究費補
助金
受託研究費
受託研究費
若手(B)
JST 戦略的創
造研究推進事
業
物質・材料機
構
科学研究費補
助金
特定領域
公募研究
奨学寄附金
科研費
科学研究費補
助金
科学研究費補
助金
科学研究費補
助金
受託研究費
奨学寄付金
(研究助成)
長崎幸夫
20,000
長崎幸夫
390,000
(EUR)
長崎幸夫
2,000
大石基
1,000
山部紀久夫
蓮沼隆
2,500
山部紀久夫
蓮沼隆
240
山部紀久夫
100
山部紀久夫
500
シリコン酸化膜に関する研究
高誘電率ゲート絶縁膜の高信頼化
に関する研究
高誘電率絶縁膜の信頼性物理の研
究
固定電極にリンクしたナノスケー
ル導体の電気伝導特性
極微小トンネル接合高磁場SQU
IDの開発と応用
グラファイト超薄膜のインター
カレーションと電気伝導測定
ナノ薄膜層状伝導システムの創生
とコヒーレント伝導制御(分担)
面内伝導システム基礎伝導
メゾスコピック超伝導体におけ
る新規渦糸状態の観測と制御
財団法人国際
科学技術財団
奨学寄附金
革新的ナノバイオマテリアルの創成
富士電機
半導体先端テ
クノロジーズ
東芝セミコン
ダクター
奨学寄付金
(研究助成)
奨学寄附金
12,000
シングルナノワイアトランジスタ
構築に向けた統合的基礎研究
JSR
委託研究費
長崎幸夫
(分担者)
産業技術総合
研究所
共同研究費
共同研究費
マルチ機能性高分子の精密合成と
革新的製造技術の確立
東北大学電気
通信研究所
半導体先端テ
クノロジーズ
東京エレクト
ロン㈱
Biokit
共同研究費
吉本
ヘテロニ官能性ポリエチレングリコールの分子
設計に関する研究
非特異吸着抑制剤及び基材表面設
計の研究
医工学連携によるガンのピンポイ
ント診断・治療を目指したナノデ
バイスの創製
高精度に制御された極薄シリコン
酸化膜を利用した特性バラツキ抑
制技術の研究開発
ナノ半導体材料とそのデバイスへ
の応用に関する研究
高誘電率ゲート絶縁膜の高信頼化
に関する研究
HfSiO 膜の信頼性評価・解析 お
よび SPA 酸化膜の不良解析
共同研究費
共同研究費
核酸塩基認識能を有する水素結合
性希土類錯体の創製と核酸配列・
構造解析への応用
特定領域
萌芽研究
萌芽研究
基盤(A)
CREST
住友財団
敬太郎
山部紀久夫
村上浩一
佐野伸行
重川秀実
山部紀久夫
3,250
16,000
500
山部紀久夫
350
山部紀久夫
500
大塚洋一
23,300
大塚洋一
1,200
神田晶申
500
神田晶申
6,500
神田晶申
6,000
神田晶申
1,600
4.3 共同研究
相 手 先
東京工業大学
期 間
2007~
内
容
新奇有機金属錯体及び機能性高分子の開発に関する研
究
富山大学
分子科学研究所
東京大学
九州大学
北海道大学
東京理科大学
2007~
2007~
2001~
2001~
2001~
2001~
大阪大学
2006~
高選択的分離機能性樹脂・配位子の開発に関する研究
新奇有機金属錯体触媒の開発に関する研究
非ウイルスベクターに関する研究
核酸医薬キャリアに関する研究
DDS 用 PEG 化リポソームに関する研究
バイオイメージング材料の創成に関する研究
誘電体分離型低温プラズマによるナノ粒子設計とバイ
オインターフェースの構築に関する研究
筑波大学大学院数
理物質科学研究科
筑波大学大学院人
間総合科学研究科
筑波大学大学院人
間総合科学研究科
東京大学大学院工
学研究科
筑波技術大学
Biokit
早稲田大学
アントワープ大学
(ベルギー)
秋田大
産業技術総合研究
所
産業技術総合研究
所他
2007~
タンパク質シャペロン活性を有する材料設計
2007~
抗酸化ストレス薬の開発に関する研究
2007~
脳虚血疾患薬の開発に関する研究
2007~
ホウ素中性子補足療法に関する研究
2007~
2007~
ESR イメージング材料の開発に関する研究
ヘテロニ官能性ポリエチレングリコールの分子設計に関する研究
カスタムナノ造形・デバイス評価支援事業にかかる共同
研究契約
2005~
2004~
メゾスコピック超伝導体における渦糸量子状態に関す
る研究
2005~
固定電極にリンクしたナノスケール導体の電気伝導特
性に関する研究
2005~
グラフェンの電気伝導に関する研究
4.4 研究生等の受け入れ
短期留学生(1 名)
Khon Kaen University(Thai)
2008 年 5 月 29 日-8 月 12 日(76 日間)
外国人研究生(1 名)
中国
2008 年 9 月(7 ヶ月間)
4.5 受 賞
受賞者
賞
受賞理由
山部紀久夫
応用物理学会フェロー
表彰
集積回路におけるゲートシリコン酸化膜
の高信頼化技術の開発
2008.9.2
鍋島達弥
日本化学会学術賞
分子機能変換のための協同的・応答的超
分子システムの構築
2009.1.20
長崎幸夫
第 61 回酸化ストレス
学会 優秀演題賞
安定な EPR 信号を有する pH 応答性コア-
シェル型ナノ粒子(RNP)の設計と評価
2008.6.20
ガン細胞のデュアルイメージングとその
治療を可能とするマルチ診断/治療用ナ
ノ粒子の創製
2008.8.24
生体内 pH 低下部位の局所的な診断を可能
とする 19F-MRI ナノプローブの調製とそ
の機能評価
2008.9.4
上村真生
角谷省吾
第 3 回アトミック/ポ
リスケールテクノロジ
ー連携研究会 優秀連
携研究提案賞
第 2 回化学センサー・
バイオセンサーおよび
計測技術合同ワークシ
ョップ ポスター賞
受賞年月日
中村隆仁
ゲルワークショップイ
ン大阪 ポスター賞
マルチ刺激応答性ナノゲルリアクターを
用いた金ナノ粒子の調製と応用
2008.9.17
吉冨 徹
バイオマテリアル学会
最優秀賞
生体内 ESR イメージングを目指した TEMPO
内包コアシェル型ナノ粒子の設計
2008.11.18
The IUMRS
International Conference
in Asia 2008.
Young Research Award
3rd International
Symposium on Atomic
Technology (ISAT-3)
優秀ポスター賞
Hybridization Behavior of DNA on
PEG-b-PAMA/DNA Co-immobilized Gold
Surface: Effect of Thymine Spacer Length in
the Probe DNA
Preparation and Characterization of
pH-sensitive 19F-MRI
Nano-probes Based on the PEGylated
Nanogels
数理物質科学研究科長
賞
Creation of High-performance Near-infrared
excited bionanoparticles
第 14 回「ゲートスタッ
ク研究会−材料・プロセ
ス・評価の物理−」服部
賞
第 3 回三大学連携学生
研究会最優秀連携研究
提案賞
優秀口頭発表による
「HfSiON 膜表面で観察される絶縁破壊
の痕跡」
松本慎哉
角谷省吾
上村真生
林倫弘
丸山徹治
ヒドロキシフェニル基を導入したジピロ
ール類縁体の合成と錯形成能
2008.12.9
2009.3.6
2009.3.25
2009.1.25
2008.8.23
古川裕理
坂本直也
木嶋志穂
山縣拓也
日本化学会関東支部大
会 優秀ポスター賞
3rd
International
Symposium on Atomic
Technology (ISAT-3)
優秀ポスター賞,
Second
International
Symposium on Interdisciplinary
Materials
Science (ISIMS-2009)
優秀ポスター賞
Second
International
Symposium on Interdisciplinary
Materials
Science(ISIMS-2009)
優秀ポスター賞
鎖に 3 つのアミド基を有する鉄(II)擬ク
リプタンドの機能
2008.10.1
Synthesis and Guest Recognition Ability of
Macrocyclic tris-Dipyrrin
BF2 Complex
2009.3.6
Cooperative Guest Recognition Ability of
Assembled Metallohost
2009.3.10
New synthetic approach to
diketopyrrolopyrrole derivatives and their
luminescence properties
2009.3.10
4.6 学会活動・各種委員など
氏名
役職など
組織
任期
神原貴樹
高分子学会関東支部理事
高分子学会
2007~
高分子学会年次大会運営
委員
高分子学会ポリマー材料
フォーラム運営委員
化学オリンピック日本委
員会委員
高分子学会
2007~2008
高分子学会
2008~2009
日本化学会
2007~
神原貴樹
客員教授・兼任
東京工業大学
2008~
鍋島達弥
部会委員(幹事)
日本化学会
生体機能関連化学部会
2005.3~
鍋島達弥
評議員
化学・バイオつくば財団
2005.4~
鍋島達弥
評議員
有機合成化学協会
2004.12~
鍋島達弥
関東支部幹事
有機合成化学協会
2000.4~
鍋島達弥
会長
ホスト-ゲスト超分子研究
会
2006.1~
長崎幸夫
評議員
日本バイオマテリアル学会
2002~
神原貴樹
神原貴樹
神原貴樹
長崎幸夫
electric Journal of
Materials 編集委員
大石 基
Soft
日本ゴム協会
2005~
世話人
高分子学会茨城地区若手会
2006~
吉本敬太郎
世話人
高分子学会茨城地区若手会
2007~
長崎幸夫
プロジェクトリーダー・兼
任
長崎幸夫
客員教授・兼任
長崎幸夫
兼任
長崎幸夫
Reactive Polymer, Advisory
Board
Elsevier
2007~
長崎幸夫
シーズ発掘試験評価委員
(独)科学技術振興機構
2007.3~
長崎幸夫
代議員
日本化学会
2007~
長崎幸夫
主任研究者兼任
物質材料機構 WPI 国際ナノ
アーキテクトニクス研究拠
点(MANA)
2007.10.1~
長崎幸夫
非常勤講師
広島大学大学院工学研究科
「応用化学特別講義」
2008.4.1
209.3.31
長崎幸夫
非常勤講師
東京理科大学基礎工学部材
料工学科、材料工学展望
2008.5.13
長崎幸夫
非常勤講師
山部紀久夫
GOI-WG コリーダー
山部紀久夫
評議委員
山部紀久夫
幹事
山部紀久夫
諮問委員
筑波大学先端学際領域研究
センター・ナノロジーアス
ペクト・長崎プロジェクト
東京理科大学総合研究機構
客員教授(ポリスケールテ
クノロジーセンター)
筑波大学大学院人間総合科
学研究科フロンティア医科
学専攻
岐阜薬科大学大学院特別講
義「安定なフリーラジカル
を有するナノ粒子の設計と
酸化ストレス消去剤として
の評価」
SEMI 国際スタンダード委
員会
シリコンウェーハ委員会
応用物理学会
応用物理学会
薄膜表面物理分科会
応用物理学会
シリコンテクノロジー分科
会
2006.4.1~
2006.4.1~
2006.4.1~
2008.10.24
1996~
1996~
1996~
1996~
~
2008 IWDTF (International
Workshop on Dielectric Thin
Films for Future ULSI
Devices
-Science and
Technology-)
「ゲートスタック研究会−
材料・プロセス・評価の物
理−」
2007
山部紀久夫
プログラム委員
山部紀久夫
運営委員
山部紀久夫
シーズ発掘試験査読評価
委員
(独)科学技術振興機構
2007
大塚洋一
代議員
日本物理学会
2007.9~2009.8
客員教授・兼任
東京理科大学総合研究機構
客員教授(ポリスケールテ
クノロジーセンター)
2006.4.1~
大塚洋一
2007
4.7 新聞報道・特記事項他
日
付
新聞・雑誌名
2008.5.1
バイオイメージング、17 巻 1 号(2008)
2008.11.9
日経産業新聞
2008.12.10
応用物理学会誌、77 巻 12 号、(2008)
報道内容
「特異的分子認識能を有する水中分
散安定性の高いアップコンバージョ
ンナノ粒子の調製と評価」、上村真
生、宮本大輔、斎藤 悠、曽我公平、
長崎幸夫、(第 17 回学術集会 ベス
トイメージ・カールツァイス賞受賞
記念)が表紙絵に採用される
脳梗塞で損傷を抑える粒子を開発
投稿レビュー”希土類含有セラミッ
クスナノ粒子による近赤外バイオイ
メジング”、曽我公平、上村真生、
長崎幸夫、が表紙絵に採用される
平成 20 年度年報
筑波大学学際物質科学研究センター
Tsukuba Research Center for Interdisciplinary Materials Science (TIMS)
〒305-8573 茨城県つくば市天王台 1-1-1
University of Tsukuba, 1-1-1 Tennodai, Tsukuba, Ibaraki 305-8573, Japan
URL: http://www.tims.tsukuba.ac.jp/
Phone: 029-853-4028 (担当事務)
Fax: 029-853-6305
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